腫瘍細胞のアポトーシスを阻害するためにヘッジホッグ/スムーズンド信号を使用する腫瘍を治療するための製薬組成物
【課題】 腫瘍細胞のアポトーシスを阻害するためにヘッジホッグ/スムーズンド信号を使用する腫瘍を治療するための製薬組成物を提供すること。
【解決手段】 同製薬組成物はシクロパミン若しくはその製薬的に許容される塩或いはヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達を特異的に阻害する別の製薬的に許容される化合物を十分な量にて含む。同製薬組成物を十分な用量にて腫瘍内注射等により投与することにより、腫瘍細胞のアポトーシスが誘導され、同腫瘍の大きさが低減され、又は同腫瘍が消失し、基底細胞癌等の腫瘍が治療される。
【解決手段】 同製薬組成物はシクロパミン若しくはその製薬的に許容される塩或いはヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達を特異的に阻害する別の製薬的に許容される化合物を十分な量にて含む。同製薬組成物を十分な用量にて腫瘍内注射等により投与することにより、腫瘍細胞のアポトーシスが誘導され、同腫瘍の大きさが低減され、又は同腫瘍が消失し、基底細胞癌等の腫瘍が治療される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正常な表皮基底層及び毛包の未分化細胞を含む、正常な組織細胞を維持しながら、腫瘍細胞の分化、及びこれと同時にアポトーシス及びこれらの腫瘍細胞の除去を生じることによって治療効果を達成するためのin vivoでの基底細胞癌(BCC)へのシクロパミンの使用に関する。シクロパミンによりアポトーシスを引き起こすことは、非遺伝毒性の機構によるものであり、従って、DNAに損傷を引き起こす作用を有する放射線治療及び、現在使用されるほとんどの癌の化学療法薬とは異なっている。従来の癌の化学療法薬により達成されなかった、これらの新規の効果により、癌治療に、さらにBCCと、増殖のため、及びアポトーシスの防止のためのヘッジホッグ/スムーズンドシグナル信号伝達経路を使用する他の腫瘍との治療において、シクロパミンの使用が、非常に望ましいものとなった。
【背景技術】
【0002】
基底細胞癌は、一般的な上皮腫瘍である。発病率は、加齢により上昇する。現在のBCCの治療は、正常組織の縁と共に腫瘍を外科的に削除することと、手術の実現可能性がないか、又は望ましくない場合における、電離放射線又は他の手段による、腫瘍細胞の破壊とを含む。潜在的な副作用として、傷及び美感を損なうことがあるが、腫瘍細胞を残さない外科的切除は、回復を実現する。放射線治療は、回復不可能なほどの大量のDNAの損傷を起こし、次に、腫瘍細胞のアポトーシスを引き起こすことにより、作用する。放射線治療の作用の形態、すなわちDNAの損傷に続く、アポトーシスは、癌治療に現在使用されている多くの化学療法剤と同様である。しかし、放射線治療、及び細胞障害性の癌の化学治療は、腫瘍細胞に加えて、患者の正常細胞内のDNA損傷を生じる可能性を有する。その結果、癌治療におけるそれらの有効性及び実用性は著しく限定される。さらに、放射線及び遺伝毒性癌の化学療法の使用に伴うジレンマとして、最初の腫瘍の治療が実現できたとしても、最初の腫瘍の治療中に被ったDNAの損傷及び生じた変異により、患者の新規癌の発生リスクが著しく上昇していくという、不安な要因がある。従って、非遺伝毒性手段により、選択的に腫瘍細胞にアポトーシスを起こすことは、癌治療の分野において、最適であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
BCCはしばしば、発生中に組織のパターニングに影響を与えることにより、最初に同定されたヘッジホッグ(hedgehog)タンパク質に対する受容体として作用する、膜貫通型のタンパク質をエンコードするパッチド(patched)遺伝子の非活性変異を示している。ヘッジホッグによってリガンドされない場合、パッチドタンパク質は、他の膜貫通タンパク質スムーズンド(smoothened)による細胞内情報伝達を抑制するように作用する。ヘッジホッグとパッチドの結合は、この抑制の緩和を生じる。スムーズンドによって緩和された細胞内情報伝達は、次に、ヘッジホッグ標的遺伝子の発現、及び細胞内の役割の変性を最終的に生じる一連の細胞内の事象を開始する。ヘッジホッグ/スムーズンド経路の情報伝達の一般的な形態は、ショウジョウバエ(Drosophila)で同定され、ショウジョウバエからヒトまで多様な生体組織へ受け継がれている。しかし、経路は、より進化した組織では、より複雑である(ヒトにおいては、ショウジョウバエの単一パッチド遺伝子に非常に類似を示す一つ以上の遺伝子が存在する等)。パッチドの非活性変異は、ヘッジホッグ/スムーズンド経路を経由する構造的な(リガンドなしの)信号伝達を生じることが見出された。ヘッジホッグ/スムーズンド経路の過活性は、パッチド及び/又は更に下流の経路の要素の変異により生じ、全てのBCC内で見出される。母斑性基底細胞癌症候群(NBCCS)は、パッチドのハプロ不全により生じる。NBCCSの患者は、全ての細胞が既に変異パッチドのため、老化するにつれ、複数のBCCを発生させる。
【0004】
ステロイドアルカロイドである、シクロパミンは、以下に示す化学式である。
【0005】
【化1】
シクロパミンは、ユリ科のベラトラム カリフォルニカム(Veratrum californicum)により見出され、ベラトラム カリフォルニカム及び他のソースから精製により取得され得る。シクロパミンによるヘッジホッグ/スムーズンド経路の抑制は、鶏の胚及びマウスの培養細胞により見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、基底細胞癌の局所治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
請求項2に記載の発明は、基底細胞癌の局所治療に使用するために、シクロパミン、又は医学的に許容可能な化合物を製造するためのシクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
【0007】
請求項3に記載の発明は、腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
請求項4に記載の発明は、腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療に使用のための医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
【0008】
請求項5に記載の発明は、基底細胞癌の局所治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
請求項6に記載の発明は、基底細胞癌の局所治療に使用のための、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
【0009】
請求項7に記載の発明は、腫瘍内注射を含む、非局所的手段による、基底細胞癌の治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
【0010】
請求項8に記載の発明は、腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療に使用のための医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
【0011】
請求項9に記載の発明は、増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
【0012】
請求項10に記載の発明は、増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
【0013】
請求項11に記載の発明は、増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
【0014】
請求項12に記載の発明は、増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
【0015】
局所適用のため、シクロパミンは、エタノール又は、他の適した溶剤、及び適したもととなる(ベース)クリーム、軟膏、又はゲルの混合物により溶解され得る。シクロパミンは、ハイドロゲル、又は放出制御可能な医学的に適用可能な形態により取り込まれ得、且つ皮膚班において吸収され得る。図1A〜図1D、図2A〜図2F、図3A〜図3G、図4A〜図4Dに示される効果は、クリーム内に最終濃度が18mMのシクロパミンを得るために、エタノール内のシクロパミンの溶液をベースクリームと混合することにより取得されたクリーム調合液により得られてきた。使用したベースクリームは、重パラフィンオイル(10重量%)、ワセリン(10重量%)、ステアリルアルコール(8重量%)、ポリオキシルステアレス−40(3重量%)及び水(68重量%)から主に製造されるが、他の適切に調合したベースクリームがさらに可能である。最適な投薬量として医学的に適用可能な形態のシクロパミンの最適な濃度及び投与のスケジュールは、特定の医学的に適用可能な形態、局在化、腫瘍を含む皮膚の特性(表皮の厚さ等)、及び腫瘍の大きさ等の因子により、明らかに影響を受け得る。しかしこれは、周知の公開された最適化の方法に従って、判定され得る。図1A(鼻唇溝上のBCC、表面に約4×5mm)及び図1C(額のBCC、表面に約4×4mm)に示される腫瘍に従った、投薬量及び投与のスケジュールは、以下の通りである。10±2μlのクリームが、約午前9時から開始して、約3時間半の間隔で一日に4回、鉄へらを使用して、BCC上に直接塗布された。睡眠中に患者の皮膚からシーツへ、クリームを失う可能性のために避けられた、夜間の塗布は、適切な皮膚班に対して実施され得る。本発明に記載された、シクロパミンへの露出による、正常な上皮細胞及び毛包細胞の未分化細胞の維持は、水溶液を直接腫瘍内に注射、水溶液又は、リポソームに取り込まれたシクロパミンの全身投与等の他の可能な投薬形態により耐容投薬量についての情報を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、腫瘍細胞のアポトーシスを阻害するためにヘッジホッグ/スムーズンド信号を使用する同腫瘍を治療する製薬組成物が提供された。更に、腫瘍細胞の分化及びアポトーシスの少なくとも一方をインビトロにおいて誘導する方法であって、前記腫瘍細胞の分化及びアポトーシスの少なくとも一方を誘導する過程を阻害するためのヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達を使用する方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】治療前の、左鼻唇溝に位置するBCC。
【図1B】局所シクロパミン治療が5日目の図1Aと同一のBCC。
【図1C】治療前の、額に位置するBCC。
【図1D】局所シクロパミン治療が6日目の図1Aと同一のBCC。
【図2A】残留腫瘍細胞が無いことを示す腫瘍細胞小隗が消失した位置に対応する真皮内の大きな嚢胞(倍率100倍)。
【図2B】シクロパミン治療前はBCCを含んでいるが、治療後はBCCを含まなくなった他の表皮領域内の同様な嚢胞(倍率100倍)。
【図2C】残留細胞と、細胞の間の多数の小型の嚢胞が結合することによる大型の嚢胞の形成とを示す図1DのBCC領域の低出力画像(倍率100倍)。
【図2D】アポトーシス性の細胞と、BCC細胞のアポトーシス性の除去による嚢胞の拡大と同時の形成との頻度の顕著な増加を示す図2Cのように、同一の残留BCCの内部領域の高出力画像(倍率1000倍)。
【図2E】アポトーシス性の細胞と、BCC細胞のアポトーシス性の除去による嚢胞の拡大と同時の形成との頻度の顕著な増加を示す図2Cのように、同一の残留BCCの周辺領域の高出力画像(倍率1000倍)。
【図2F】腫瘍の典型的な腫瘍細胞、及びアポトーシスが無い偽薬治療後のBCCの内部領域の高出力画像(倍率1000倍)。
【図3A】シクロパミン治療後のBCCの全ての残留細胞内にモノクローナル抗体Ber−Ep4が染色されないことを示している免疫組織化学解析(倍率400倍)。
【図3B】図3Aと対照的に、偽薬治療後のBCCの全ての残留細胞内にモノクローナル抗体Ber−Ep4が非常に強く染色されていることを示している免疫組織化学解析(倍率400倍)。
【図3C】BCC細胞、又は正常皮膚の基質層細胞を通常、標識しないが、分化後の上層細胞を標識するこのレクチンにより検出される工程までずっと同一のBCC細胞の分化を示す、Ulex EuropaeusレクチンI型を使用したシクロパミン治療後のBCCの残留細胞の異質の標識を示している免疫組織化学解析(倍率1000倍)。
【図3D】シクロパミン治療後のBCC内のモノクローナル抗体DO−7により検出されるp53の発現の減少を示している免疫組織化学解析(倍率100倍)。
【図3E】図3Dと比較して、偽薬治療後のBCC内のモノクローナル抗体DO−7により検出されるp53の発現を示している免疫組織化学解析(倍率100倍)。
【図3F】シクロパミン治療後により観察される、腫瘍細胞の増殖の停止に関すると公知の形態である、基質からのBCCの一貫した収縮を示している免疫組織化学解析(矢印は収縮を示す)(倍率100倍)。
【図3G】偽薬治療後により、収縮が観察されないことを示している免疫組織化学解析(基質からの収縮に関してシクロパミン治療後のBCCと偽薬治療後のBCCの違いは、更に3D、2C対3B、3Eにおいても観察される)(倍率100倍)。
【図4A】シクロパミン治療後の表皮の基底層細胞のBer−Ep4標識(倍率400倍)。
【図4B】基底細胞のBer−Ep4標識を示す治療後の表皮の領域の高出力画像(倍率1000倍)。
【図4C】基底細胞のBer−Ep4標識を示す治療後の表皮の領域の高出力画像(倍率1000倍)。
【図4D】Ber−Ep4を使用した正常標識を示しているシクロパミン治療後の毛包の高出力画像(倍率1000倍)。
【図5A】68歳男性の上部鼻領域の潰瘍を生じた治療前のBCCを示す顕微鏡写真。
【図5B】下半分に、シクロパミン適用した54時間時点の図5Aと同一のBCCを示す顕微鏡写真。
【図5C】54時間時点のBCCのシクロパミンを適用した半分からの切片であって、ヘマトキシレン エオシン(H&E)染色による、倍率が400倍の顕微鏡写真。
【図5D】同一のBCCの非治療部位からの切片であって、ヘマトキシレン エオシン(H&E)染色による、倍率が400倍の顕微鏡写真。
【図5E】54時間時点のBCCのシクロパミンを適用した半分からの切片であって、Ki67抗原に免疫組織化学染色を使用した、倍率200倍の顕微鏡写真。
【図5F】シクロパミン治療した領域からもっとも離れた腫瘍細胞では明らかに増殖活性を示している切片であって、Ki67抗原に免疫組織化学染色を使用した、倍率200倍の顕微鏡写真。
【図6A】82歳男性の頬の治療前の毛包上皮腫を示す顕微鏡写真。
【図6B】シクロパミン治療24時間後の図6Aと同一の皮膚領域を示す顕微鏡写真。
【図6C】残留腫瘍細胞とともに図6Bで示された削除した皮膚領域の切片であって、H&E、倍率400倍の顕微鏡写真。
【図6D】図6Cと同一の組織の別の領域であって、多くのアポトーシス細胞及び除去により形成された嚢胞構造に加えて、腫瘍が単核細胞により進入されることが観察される、H&E、倍率200倍の顕微鏡写真。
【図7A】59歳男性の下部眼陰部上の色素沈着した治療前のBCCを示す顕微鏡写真。
【図7B】シクロパミン治療3日目の図7Aと同一のBCCを示す顕微鏡写真。
【図7C】図7Bに示されたBCCの治療後の領域からの切片であって、H&E、倍率200倍の顕微鏡写真。
【図7D】BCCの治療後の領域からの切片内の残留腫瘍細胞の領域の接写であって、H&E、倍率400倍の顕微鏡写真。
【図7E】治療前の、図7Aに示されたBCCから取得されたパンチ検体物質からの切片であって、H&E、倍率400倍の顕微鏡写真。
【図7F】図7Aの矢印により示されたBCCの小塊の一部を含む切片であって、組織が治療の3日後に削除され、非治療で6日追跡した、H&E、倍率100倍の顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1A、図1B、図1C、及び図1Dは、シクロパミンへの露出によりBCCの急速な臨床的退行を示している。シクロパミンの露出の一週間以内の幾つかの腫瘍領域の視覚的な消失の他に、図1Bと図1A、図1Dと図1Cの比較により見られるように、典型的な半透明の外観が失われる。
【0019】
図2A〜図2Fは、シクロパミンの投与から5、6日目の正常組織縁と共に外科削除の対象となった、腫瘍領域の顕微鏡による外観を示し、BCCが、ほとんどの前治療領域で消失されるが、ほんの一部の領域で、高さの著しい減少はあるが、完全には未だ消失しておらず、従って、顕微鏡観察の対象の残留腫瘍細胞を有している。
【0020】
図2A及び図2Bは、組織切片上で、視覚的に消失した腫瘍の小結節に対応した皮膚領域を示している。腫瘍は、非常に少量の物質の内部と、検出不可能な腫瘍細胞とを含む嚢胞性の構造を残して、消失したように観察され得る。
【0021】
図2Cは、inVivoにおいて、依然として可視的なBCCが含まれる皮膚領域の顕微鏡の外観を示している。これらの領域は、腫瘍の中心内の巨大な嚢胞を示す残留BCC、及び外周に向かう、様々な大きさにより、残留BCC細胞の間に位置した小さな嚢胞構造が含まれることが観察される。
【0022】
図2D及び図2Eは、残留BCCの、内部と柵状化した周囲の領域の1000倍の外観を示し、腫瘍領域には関係なく、残留BCC細胞の間の大規模なアポトーシス活性の存在を示している。高倍率は、アポトーシスの形態、及び、図2Dにおいて実証されたように、アポトーシス性の中隔細胞の除去により、三つの小さな嚢胞が、大きな嚢胞に近接結合する、細胞のアポトーシス性の除去による、嚢胞構造の形成を示すBCC細胞の非常に増加した頻度を示している。
【0023】
図2Fは、偽薬のクリーム(即ち、偽薬中に、シクロパミンが存在しないことを除けば、シクロパミンクリームと同一の調合のクリーム)による治療後のBCCを示し、対照的に、腫瘍性BCC細胞とアポトーシス活性が検出されないことを示している。
【0024】
アポトーシスとなった細胞はマクロファージ、及び正常組織内の近隣の細胞により除去されることが公知であり、ヘマトキシリン エオジン染色済みの切片上の形態学的な基準によるアポトーシス活性の定量は、過小評価を提供することが公知である。それにも関わらす、表1に示される定量データは、残留BCC細胞間にシクロパミンにより生じたアポトーシス活性の著しい上昇を示している。
【0025】
シクロパミン治療されたBCC内の透過性の喪失は、シクロパミンの影響による、興味深いBCCの分化の可能性を上昇する。BCCの免疫組織化学分析によって検査され得る、この可能性は、本発明の事例において、見出せられ得る。正常な表皮では、基底層細胞から上皮層細胞への分化は、Ber−Ep4モノクローナル抗体を使用した標識の喪失に付随して実現される。さらに、Ber−Ep4はBCC細胞を標識し、それらの新生物に対するマーカとして公知である。図3A、図3B、及びテーブル1の定量データは、Ber−Ep4が、偽薬治療後の全ての周縁柵状細胞と、BCCの内部細胞の90%以上を強力に標識するが、シクロパミン治療後の残留周辺細胞、又は内部細胞が、Ber−Ep4により、標識されないことを示している。シクロパミンの影響によるBCCの分化は、今まで他の手段は知られておらず、免疫組織化学の基準によるin Vitro及び全ての細胞で実現するため、非常に例外的な、癌の治療の独立した価値を有する。
【0026】
他の分化のマーカ、Ulex EuropaeusレクチンI型は、BCC又は正常表皮の基底層細胞を通常標識しないが、分化後の上層細胞を標識する。図3Cは、レクチンを使用して、シクロパミン治療後のBCCの残留細胞の異質の標識を示し、Ber−Ep4により検出される分化の工程から、Ulex EuropaeusレクチンI型により検出される工程までずっと、BCC細胞の分化の一部を示している。
【0027】
P53は、DNA損傷に対する細胞の反応の主要な調整因子である。このタンパク質の量は、遺伝子毒性剤への細胞の露出により細胞核内に増加することが公知である。DNA損傷が、閾値を越えて増加した場合、p53は細胞にアポトーシス性の死を引き起こす。現在一般的に公知のガンの放射線治療、及び遺伝子毒性の癌の化学療法は、この機構により、即ち、DNAの損傷により生じるアポトーシスを引き起こすことにより、大部分が作用する。モノクローナル抗体DO−7は、正常形態及びミスセンス変異形態(非機能的な)のp53の双方に結合し得、DNA損傷剤に露出した細胞内のp53の増加を検出する能力を有することが公知である。
【0028】
図3D、図3E及びテーブル1の定量データは、DO−7標識強度、及び標識細胞の頻度が、偽薬治療後のBCCと比較して、シクロパミン治療後のBCCでは顕著に減少されていることを示している。従って、シクロパミンは、シクロパミン治療後のBCC細胞の核内のp53を増加させないだけではなく、むしろ減少を生じさせる。p53の発現が、分化による表皮細胞の減少であると公知であるため、シクロパミン治療後のBCCのDO−7標識の減少は、BCC細胞のシクロパミン−誘発分化のために生じる可能性が高い。いかなる場合においても、p53の発現の顕著な減少にも関わらず、シクロパミン治療後のBCCの大量のアポトーシス活性は、シクロパミン−誘発した腫瘍細胞のアポトーシスが非遺伝毒性によるものであることを意味する。
【0029】
BCCの増殖の停止は、基質からの収縮に関連することが公知である。基質からの収縮が、不適切な固定及び組織の処理により人工的に生じ得るが、公知の技術的な詳細の遵守は、このような影響の回避を保証する。図3F及び図3Gに示すように、偽薬治療ではないが、シクロパミン治療後のBCCでは、一貫して基質から収縮される。従って、シクロパミンへのBCCの露出は、さらに、増殖の停止に関連することは明白である。
【0030】
図4A〜図4Dは、シクロパミン治療後のBCC上及び周囲に見出される通常の皮膚組織のBer−Ep4標識を示している。シクロパミンを使用して治療した、異なる表皮領域が、図4A、図4B、及び図4Cに示されることにより、Ber−Ep4を使用して標識した通常のパターン、即ち基底層細胞の標識を表示する。同様に図4Dは、シクロパミンに露出した毛包に対する通常のBer−Ep4標識を示している。従って、通常表皮及び毛包の未分化細胞は、BCCと同様の、同一のスケジュール及び量のシクロパミンに露出されるにもかかわらず、維持される。
【0031】
未分化組織細胞を維持する量において、シクロパミンによるin Vivoの腫瘍細胞の高効率の分化、及びアポトーシスの発生は、非遺伝子毒性のシクロパミンの作用とあわせて、BCCだけでなく、増殖と、アポトーシスの及び/又は、分化の抑制とにヘッジホッグ/smoothened経路を利用する、他の内部の腫瘍へのシクロパミンの使用を支持する、従来未知の功績である。
【0032】
分子が、シクロパミンから誘導され得、又、構造形態を処理することにより、シクロパミンと同一の受容体の結合特性及び生物的/治療的作用を及ぼす方法によって、分子が合成され得ることが特に考えられる。本開示において、この分子は、「シクロパミン誘導体」と呼ばれ、以下のように定義される。分子は、生物学的標的にシクロパミンの結合を要求するシクロパミン分子の原子集団を含むが、新規のシクロパミン誘導体が同一の生物学的標的と特に結合する能力が継続することにより、本開示のシクロパミンの生物学的作用を及ぼすような方法で親シクロパミン分子の変更を含む。このようなシクロパミンの変更は、シクロパミン分子の許容可能な置換と、除去と、又は、生じた分子が、安定し、さらにシクロパミンと同一の生物学的標的に特に結合する能力となるよう処理されることにより、本開示による生物学的作用を及ぼすように提供されたシクロパミン分子への分子集団(特にメタノール族などの小分子集団)の付加とである。シクロパミンから誘導した新規の分子は、当業者により、容易に実現され、さらに、新規の誘導分子内のシクロパミンの生物学的作用の有無は、当業者による本開示の生物学的作用の試験により容易に判定され得る。
更なる実施例
図5Aは、上部鼻領域上に巨大な潰瘍を生じた68歳の男性の治療前のBCCを示している。シクロパミンクリーム(上記のベースクリームに18mMシクロパミン)は図5Aで示されるBCCの下半分に塗布された。3時間ごとに、約20μlのクリームが直接下半分に塗布され、上半分が治療されなかった。したがって、最上部の腫瘍細胞(図5A)は、直接塗布された領域からの拡散により受け取ったシクロパミンはほとんどありえず、たとえあったとしても、比較的に、非常に低濃度のシクロパミンに露出される。図5Bは、研究のために外科的削除する直前の治療54時間の腫瘍を示している。急速に収縮した腫瘍が、シクロパミンを塗布した下半分では起きた一方、直接塗布した領域からもっとも離れた腫瘍領域では、比較的に変化が見られない(図5Bの図の右上部に対する領域)。図5Cは、削除した組織の下部(シクロパミン治療後)をヘマトキシレン エオシン染色した切片を示している。多くのアポトーシス細胞が、腫瘍細胞の死と除去により生じて形成される様々な嚢胞とともに示される(図5C)。対照的に、シクロパミンを塗布した領域からもっとも離れた同一の腫瘍の非治療領域は、分裂を示し、アポトーシス細胞が検出されない凝集した腫瘍組織を示している(図5D)。図5Eと、図5Fは、Ki67抗原に対して、KiS5抗体(Dako A/S Glostrupデンマーク)を使用して、シクロパミン治療後と非治療のそれぞれを免疫組織化学染色した組織切片を示している。Ki67抗原は、増殖細胞の公知のマーカであり、腫瘍細胞のシクロパミン治療後の領域では発現していないが(図5E)、シクロパミン治療した領域からもっとも離れた腫瘍細胞では明らかに増殖活性を示している(図5F)。Ki67抗原に対する抗体により染色された組織切片は、記載した条件の下でシクロパミンにより腫瘍細胞の増殖がさらに停止されることを示している。
【0033】
毛包上皮腫はHedgehog−smoothened信号の増加を生じる遺伝子変異に関する別の腫瘍である(ボレチョブスキー エル(Vorechovsky l)等、(1997年)キャンサーリサーチ(Cancer Res)57、4677−4681、ニルソン エム(Nilsson M)等、(2000年) プロシーディング オブ ザ ナショナル アカデミー サイエンス USA(Proc.Natl.Acad.Sci)97、3438−3443)。図6Aは、82歳の男性の頬にある治療前の毛包上皮腫を示し、図6Bは、シクロパミンクリームに24時間のみ露出した後の同一の皮膚領域を示している(ベースクリームに18mMシクロパミン、約25μlのクリームを腫瘍に3時間ごと塗布)。急速な収縮のため、治療は24時間で中止され、最初の腫瘍に対応するすべての皮膚の領域が研究のために削除された。図6Cと図6Dは24時間の残留腫瘍細胞を含む組織領域を示し、それらの残留腫瘍細胞内の、著しいアポトーシス性の活性を明らかにする。腫瘍の単核細胞性の浸潤と(図6D)同様に、腫瘍細胞のアポトーシス性の除去により生じた嚢胞空間(図6Cと図6D)が示される。別の本発明の注目に値する発見は、24時間の治療により、治療した腫瘍の近傍に位置したあざの大きさや色素沈着の減少である(図6Bと図6Aとを対比して)。シクロパミンが、適用した近接領域から拡散され得るように、あざ(良性のメラニン性腫瘍)は、比較的低濃度のシクロパミンに感受性を示している。
【0034】
図7Aは、59歳の男性の下部眼陰部における色素沈着した治療前のBCCを示している。シクロパミンクリーム(ベースクリーム内に18mMシクロパミン)が、矢印で示された一つを除き、患者の全ての小塊に適用された。この小塊は、近接した治療後の領域から拡散によるシクロパミンのみを受け取り得たとすると、比較的低濃度のシクロパミンに露出しうる。この腫瘍の色素性の性質が、臨床的追跡を容易にし、治療(約20μlシクロパミンクリームを4時間ごとに適用)は、治療領域内の腫瘍が大幅に退行したが、依然として可視部を含む3日目に、中断された(図7B)。次に腫瘍は、遅行効果の可能性を研究するために、治療せずに、追跡された。更なる明示の退行が治療なしでは観測されず、最初の腫瘍に対応する領域は、追跡の6日目に削除された(治療開始から9日目)。腫瘍の治療領域のヘマトキシレン エオシン染色切片は、多くの腫瘍細胞が消失した嚢胞空間を明らかにする(図7C)。上皮の裏打ちが欠落するこれらの嚢胞は(図7C)、腫瘍細胞により以前占められていた組織領域の嚢胞の表示に準ずる。この時点で(治療せずに追跡して6日目)、比較的少数のアポトーシス細胞を表す組織切片は(図7C)、生組織からアポトーシス細胞の公知の急速な排除に準じた。一方で、残留細胞、特に嚢胞の端の近傍は、著しく高頻度で細胞が突起形状へ分化を示している(例えば、図7Cの左下部に対する領域、図7Dの別の領域で例証される高倍率でより明確に観察される)。分化又は嚢胞の同一の領域は、治療の開始前の同一の腫瘍から取得したパンチ生検には存在しない(図7E)。比較的低濃度のシクロパミンを受けた腫瘍の小塊は(図7Aにおいて矢印で示される)、追跡6日目の大きな嚢胞中心を有した(図7F)。しかし、残留小塊の周辺は、(例えば、増大、さらに、好酸性細胞質を伴う)分化した形態の細胞の頻度が、さらに増加し、及び小型の嚢胞が、この周辺内部に存在していたが、典型的なBCC形態を有し続ける(図7F)。したがって、最適な濃度のシクロパミンに応答する腫瘍は、比較的急速であり、最適に及ばない濃度の露出は、追跡中に生存する腫瘍細胞を残す。
【0035】
これらの更なる例は、BCCと、増加したhedgehog−smoothened信号を示す他の腫瘍(毛包上皮腫)との急速臨床収縮を得る記載した治療の効率性を立証する。臨床収縮は、腫瘍細胞のシクロパミン誘導分化及びアポトーシスに関するように見える。これに加えて、腫瘍細胞の増殖は、阻害される。異なる遺伝型の血縁関係を持たない患者のいくつかの独立した腫瘍に対する効率性は、記載した治療の一般的な実用性に準じた。
【0036】
シクロパミンはシュロソウ植物の催奇性要素として発見された(ケリア アール.エフ.(Keeler.R.F)、(1969年)、サイトケミストリ(phytochemictry)8 223−225)。脳の発達において腹部細胞前駆体の分化を阻害することが、報告された(インカードナア ジェイ.ピー.(Incardona J.P.)等、(1998年)、ディベロップメント125 3443−3562、クーパー エム.ケイ(Cooper M.K)等、(1998年)、サイエンス280、1603−1607)。シクロパミンによる細胞の分化の抑制は、骨髄細胞から赤血球細胞への分化(デトマー ケイ(Detmer K)等、(2000年)、ディベロップメント バイオロジー(Dev.Biol)222−242)、尿生殖洞から前立腺への分化(バーマン ディ.エム.(Berman D.M)、(2000年)、ジャーナル オブ ウロロジ―(J.Urol)163,204)を含む、他の機構内でも報告されて来ている。しかし、反対のことが、シクロパミンに露出した腫瘍細胞を伴う本発明では真実であると見出された。腫瘍細胞のシクロパミン誘導の分化と同様に、さらに腫瘍細胞のアポトーシスが誘導される。以前に記されていない、シクロパミンによる腫瘍細胞のアポトーシスの誘導は、高い効率を示している。さらにシクロパミンによるアポトーシスの誘導は、続いて生じる遺伝毒性作用を持たず、さらに腫瘍細胞が分化され、アポトーシスを受ける一方、腫瘍細胞に近接した毛包の外毛根鞘細胞、及び正常表皮基底細胞が、十分に維持されるという著しい特異性を有する。記載した悪影響の無い治療は、患者のシクロパミン適用領域にて臨床的に正常に見える健康な皮膚の存在により確認された(被験者に対して最も長期の追跡は、本記載時で15ヶ月以上、さらに長期間の治療の安全性も示された)。上記の要約された形態の本発明に記載された治療は、がん治療で非常に求められ、がん治療の長年にわたる問題の解決策を提供する。
【0037】
【表1】
図1A〜図1Dは、一週間未満の期間内で、消失した腫瘍領域(矢印で示される)、皮膚の表面から高さの顕著な減少及び、透光性の消失によって示されるように、シクロパミン治療後のBCCの急速な退行の顕微鏡外観である。
【0038】
図2A〜図2Fは、シクロパミン誘引の大量のアポトーシス、及び腫瘍細胞の除去、及び腫瘍細胞が無い嚢胞空間を残した腫瘍小塊の消失を示す、シクロパミン治療後のBCC、及び偽薬治療後のBCCの顕微鏡の外観である。通常組織の縁と共に、BCCの前治療の位置に対応する皮膚領域が、シクロパミンの露出の5日目及び6日目に、外科的削除され、及び従来法による固定の対象とされ、切開削除、顕微鏡解析のためにヘマトキシリン エオジン染色したものである。
【0039】
図3A〜図3Gは、シクロパミンに露出に付随した、シクロパミンの影響と、BCC内のp53発現の減少により、全ての残留BCC細胞の分化を示すシクロパミン治療、及び偽薬治療後のBCCの免疫組織化学解析である。全ての免疫組織化学標識は、ビオチン標識の二次抗体と結合したストレプトアビジン結合ペルオキシダーゼを使用した。
【0040】
図3A及び図3Bは、シクロパミン治療後のBCC内の全ての残留細胞が、Ber−Ep4により、検出される工程に向けて、又は工程を越えて分化されることを示している。Ber−Ep4は、正常の表皮基底層、及び毛包の未分化細胞と同様に、BCC細胞を染色するが、正常表皮の分化後の上層細胞は染色しない、公知の分化マーカである。
【0041】
図3D及び図3Eでの、p53の発現は、表皮基底細胞の分化、及び培養後のケラチノサイトの分化を減少することが公知である。細胞が遺伝毒性剤に露出された場合に、DO−7で検出可能なp53の量が細胞内で増加することは周知である。
【0042】
図3F及び図3Gで示された切片は、過ヨウ素酸シッフ、及びアルシアンブルーを使用して染色された。
図4A〜図4Dは、BCCと同じように、シクロパミンの同一のスケジュール及び投薬量に露出したにもかかわらず、正常の表皮及び毛包の未分化細胞が維持されることを示している。免疫組織化学検出の手順は、図3A,図3Bと同様であり、標識は茶色で示される。
【0043】
免疫組織化学のデータ及び知見が、グレースケールよりカラーの方が最適に伝達し得るため、12ページと同一の図のカラープリント(図1A、図1B、図1C,図1D、図2A,図2B,図2C,図2E,図2F、図3A,図3B,図3C,図3D,図3E,図3F,図3G,図4A,図4B,図4C,図4D)を、12aページとして加えた。出願人は、特許庁によりこの事実を考慮され及び、12aページを特許出願の一部として扱われることを要求する。しかしながら、ページ12aは、特許庁により必要であるとみなされた場合、本特許出願より除去され得る。
【0044】
免疫組織化学のデータ及び知見が、グレースケールよりカラーの方が最適に伝達し得るため、ページ12bの同一の図のカラー印刷(図5A,図5B,図5C,図5D,図5E、図6A,図6B,図6C,図6D,図7A,図7B,図7C,図7D,図7E,図7F)を、12cページとして加えた。出願人は、特許庁によりこの事実を考慮され及び、12cページを特許出願の一部として扱われることを要求する。しかしながら、ページ12cは、特許庁により必要であるとみなされた場合、本特許出願より除去され得る。
【0045】
免疫組織化学のデータ及び知見が、グレースケールよりカラーの方が最適に伝達し得るため、12ページと同一の図のカラープリント(図1A、図1B、図1C,図1D、図2A,図2B,図2C,図2E,図2F、図3A,図3B,図3C,図3D,図3E,図3F,図3G,図4A,図4B,図4C,図4D)を、12aページとして加えた。出願人は、特許庁によりこの事実を考慮され及び、12aページを特許出願の一部として扱われることを要求する。しかしながら、ページ12aは、特許庁により必要であるとみなされた場合、本特許出願より除去され得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、正常な表皮基底層及び毛包の未分化細胞を含む、正常な組織細胞を維持しながら、腫瘍細胞の分化、及びこれと同時にアポトーシス及びこれらの腫瘍細胞の除去を生じることによって治療効果を達成するためのin vivoでの基底細胞癌(BCC)へのシクロパミンの使用に関する。シクロパミンによりアポトーシスを引き起こすことは、非遺伝毒性の機構によるものであり、従って、DNAに損傷を引き起こす作用を有する放射線治療及び、現在使用されるほとんどの癌の化学療法薬とは異なっている。従来の癌の化学療法薬により達成されなかった、これらの新規の効果により、癌治療に、さらにBCCと、増殖のため、及びアポトーシスの防止のためのヘッジホッグ/スムーズンドシグナル信号伝達経路を使用する他の腫瘍との治療において、シクロパミンの使用が、非常に望ましいものとなった。
【背景技術】
【0002】
基底細胞癌は、一般的な上皮腫瘍である。発病率は、加齢により上昇する。現在のBCCの治療は、正常組織の縁と共に腫瘍を外科的に削除することと、手術の実現可能性がないか、又は望ましくない場合における、電離放射線又は他の手段による、腫瘍細胞の破壊とを含む。潜在的な副作用として、傷及び美感を損なうことがあるが、腫瘍細胞を残さない外科的切除は、回復を実現する。放射線治療は、回復不可能なほどの大量のDNAの損傷を起こし、次に、腫瘍細胞のアポトーシスを引き起こすことにより、作用する。放射線治療の作用の形態、すなわちDNAの損傷に続く、アポトーシスは、癌治療に現在使用されている多くの化学療法剤と同様である。しかし、放射線治療、及び細胞障害性の癌の化学治療は、腫瘍細胞に加えて、患者の正常細胞内のDNA損傷を生じる可能性を有する。その結果、癌治療におけるそれらの有効性及び実用性は著しく限定される。さらに、放射線及び遺伝毒性癌の化学療法の使用に伴うジレンマとして、最初の腫瘍の治療が実現できたとしても、最初の腫瘍の治療中に被ったDNAの損傷及び生じた変異により、患者の新規癌の発生リスクが著しく上昇していくという、不安な要因がある。従って、非遺伝毒性手段により、選択的に腫瘍細胞にアポトーシスを起こすことは、癌治療の分野において、最適であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
BCCはしばしば、発生中に組織のパターニングに影響を与えることにより、最初に同定されたヘッジホッグ(hedgehog)タンパク質に対する受容体として作用する、膜貫通型のタンパク質をエンコードするパッチド(patched)遺伝子の非活性変異を示している。ヘッジホッグによってリガンドされない場合、パッチドタンパク質は、他の膜貫通タンパク質スムーズンド(smoothened)による細胞内情報伝達を抑制するように作用する。ヘッジホッグとパッチドの結合は、この抑制の緩和を生じる。スムーズンドによって緩和された細胞内情報伝達は、次に、ヘッジホッグ標的遺伝子の発現、及び細胞内の役割の変性を最終的に生じる一連の細胞内の事象を開始する。ヘッジホッグ/スムーズンド経路の情報伝達の一般的な形態は、ショウジョウバエ(Drosophila)で同定され、ショウジョウバエからヒトまで多様な生体組織へ受け継がれている。しかし、経路は、より進化した組織では、より複雑である(ヒトにおいては、ショウジョウバエの単一パッチド遺伝子に非常に類似を示す一つ以上の遺伝子が存在する等)。パッチドの非活性変異は、ヘッジホッグ/スムーズンド経路を経由する構造的な(リガンドなしの)信号伝達を生じることが見出された。ヘッジホッグ/スムーズンド経路の過活性は、パッチド及び/又は更に下流の経路の要素の変異により生じ、全てのBCC内で見出される。母斑性基底細胞癌症候群(NBCCS)は、パッチドのハプロ不全により生じる。NBCCSの患者は、全ての細胞が既に変異パッチドのため、老化するにつれ、複数のBCCを発生させる。
【0004】
ステロイドアルカロイドである、シクロパミンは、以下に示す化学式である。
【0005】
【化1】
シクロパミンは、ユリ科のベラトラム カリフォルニカム(Veratrum californicum)により見出され、ベラトラム カリフォルニカム及び他のソースから精製により取得され得る。シクロパミンによるヘッジホッグ/スムーズンド経路の抑制は、鶏の胚及びマウスの培養細胞により見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、基底細胞癌の局所治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
請求項2に記載の発明は、基底細胞癌の局所治療に使用するために、シクロパミン、又は医学的に許容可能な化合物を製造するためのシクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
【0007】
請求項3に記載の発明は、腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
請求項4に記載の発明は、腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療に使用のための医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
【0008】
請求項5に記載の発明は、基底細胞癌の局所治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
請求項6に記載の発明は、基底細胞癌の局所治療に使用のための、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
【0009】
請求項7に記載の発明は、腫瘍内注射を含む、非局所的手段による、基底細胞癌の治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
【0010】
請求項8に記載の発明は、腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療に使用のための医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
【0011】
請求項9に記載の発明は、増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
【0012】
請求項10に記載の発明は、増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法を提供する。
【0013】
請求項11に記載の発明は、増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
【0014】
請求項12に記載の発明は、増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法を提供する。
【0015】
局所適用のため、シクロパミンは、エタノール又は、他の適した溶剤、及び適したもととなる(ベース)クリーム、軟膏、又はゲルの混合物により溶解され得る。シクロパミンは、ハイドロゲル、又は放出制御可能な医学的に適用可能な形態により取り込まれ得、且つ皮膚班において吸収され得る。図1A〜図1D、図2A〜図2F、図3A〜図3G、図4A〜図4Dに示される効果は、クリーム内に最終濃度が18mMのシクロパミンを得るために、エタノール内のシクロパミンの溶液をベースクリームと混合することにより取得されたクリーム調合液により得られてきた。使用したベースクリームは、重パラフィンオイル(10重量%)、ワセリン(10重量%)、ステアリルアルコール(8重量%)、ポリオキシルステアレス−40(3重量%)及び水(68重量%)から主に製造されるが、他の適切に調合したベースクリームがさらに可能である。最適な投薬量として医学的に適用可能な形態のシクロパミンの最適な濃度及び投与のスケジュールは、特定の医学的に適用可能な形態、局在化、腫瘍を含む皮膚の特性(表皮の厚さ等)、及び腫瘍の大きさ等の因子により、明らかに影響を受け得る。しかしこれは、周知の公開された最適化の方法に従って、判定され得る。図1A(鼻唇溝上のBCC、表面に約4×5mm)及び図1C(額のBCC、表面に約4×4mm)に示される腫瘍に従った、投薬量及び投与のスケジュールは、以下の通りである。10±2μlのクリームが、約午前9時から開始して、約3時間半の間隔で一日に4回、鉄へらを使用して、BCC上に直接塗布された。睡眠中に患者の皮膚からシーツへ、クリームを失う可能性のために避けられた、夜間の塗布は、適切な皮膚班に対して実施され得る。本発明に記載された、シクロパミンへの露出による、正常な上皮細胞及び毛包細胞の未分化細胞の維持は、水溶液を直接腫瘍内に注射、水溶液又は、リポソームに取り込まれたシクロパミンの全身投与等の他の可能な投薬形態により耐容投薬量についての情報を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、腫瘍細胞のアポトーシスを阻害するためにヘッジホッグ/スムーズンド信号を使用する同腫瘍を治療する製薬組成物が提供された。更に、腫瘍細胞の分化及びアポトーシスの少なくとも一方をインビトロにおいて誘導する方法であって、前記腫瘍細胞の分化及びアポトーシスの少なくとも一方を誘導する過程を阻害するためのヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達を使用する方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】治療前の、左鼻唇溝に位置するBCC。
【図1B】局所シクロパミン治療が5日目の図1Aと同一のBCC。
【図1C】治療前の、額に位置するBCC。
【図1D】局所シクロパミン治療が6日目の図1Aと同一のBCC。
【図2A】残留腫瘍細胞が無いことを示す腫瘍細胞小隗が消失した位置に対応する真皮内の大きな嚢胞(倍率100倍)。
【図2B】シクロパミン治療前はBCCを含んでいるが、治療後はBCCを含まなくなった他の表皮領域内の同様な嚢胞(倍率100倍)。
【図2C】残留細胞と、細胞の間の多数の小型の嚢胞が結合することによる大型の嚢胞の形成とを示す図1DのBCC領域の低出力画像(倍率100倍)。
【図2D】アポトーシス性の細胞と、BCC細胞のアポトーシス性の除去による嚢胞の拡大と同時の形成との頻度の顕著な増加を示す図2Cのように、同一の残留BCCの内部領域の高出力画像(倍率1000倍)。
【図2E】アポトーシス性の細胞と、BCC細胞のアポトーシス性の除去による嚢胞の拡大と同時の形成との頻度の顕著な増加を示す図2Cのように、同一の残留BCCの周辺領域の高出力画像(倍率1000倍)。
【図2F】腫瘍の典型的な腫瘍細胞、及びアポトーシスが無い偽薬治療後のBCCの内部領域の高出力画像(倍率1000倍)。
【図3A】シクロパミン治療後のBCCの全ての残留細胞内にモノクローナル抗体Ber−Ep4が染色されないことを示している免疫組織化学解析(倍率400倍)。
【図3B】図3Aと対照的に、偽薬治療後のBCCの全ての残留細胞内にモノクローナル抗体Ber−Ep4が非常に強く染色されていることを示している免疫組織化学解析(倍率400倍)。
【図3C】BCC細胞、又は正常皮膚の基質層細胞を通常、標識しないが、分化後の上層細胞を標識するこのレクチンにより検出される工程までずっと同一のBCC細胞の分化を示す、Ulex EuropaeusレクチンI型を使用したシクロパミン治療後のBCCの残留細胞の異質の標識を示している免疫組織化学解析(倍率1000倍)。
【図3D】シクロパミン治療後のBCC内のモノクローナル抗体DO−7により検出されるp53の発現の減少を示している免疫組織化学解析(倍率100倍)。
【図3E】図3Dと比較して、偽薬治療後のBCC内のモノクローナル抗体DO−7により検出されるp53の発現を示している免疫組織化学解析(倍率100倍)。
【図3F】シクロパミン治療後により観察される、腫瘍細胞の増殖の停止に関すると公知の形態である、基質からのBCCの一貫した収縮を示している免疫組織化学解析(矢印は収縮を示す)(倍率100倍)。
【図3G】偽薬治療後により、収縮が観察されないことを示している免疫組織化学解析(基質からの収縮に関してシクロパミン治療後のBCCと偽薬治療後のBCCの違いは、更に3D、2C対3B、3Eにおいても観察される)(倍率100倍)。
【図4A】シクロパミン治療後の表皮の基底層細胞のBer−Ep4標識(倍率400倍)。
【図4B】基底細胞のBer−Ep4標識を示す治療後の表皮の領域の高出力画像(倍率1000倍)。
【図4C】基底細胞のBer−Ep4標識を示す治療後の表皮の領域の高出力画像(倍率1000倍)。
【図4D】Ber−Ep4を使用した正常標識を示しているシクロパミン治療後の毛包の高出力画像(倍率1000倍)。
【図5A】68歳男性の上部鼻領域の潰瘍を生じた治療前のBCCを示す顕微鏡写真。
【図5B】下半分に、シクロパミン適用した54時間時点の図5Aと同一のBCCを示す顕微鏡写真。
【図5C】54時間時点のBCCのシクロパミンを適用した半分からの切片であって、ヘマトキシレン エオシン(H&E)染色による、倍率が400倍の顕微鏡写真。
【図5D】同一のBCCの非治療部位からの切片であって、ヘマトキシレン エオシン(H&E)染色による、倍率が400倍の顕微鏡写真。
【図5E】54時間時点のBCCのシクロパミンを適用した半分からの切片であって、Ki67抗原に免疫組織化学染色を使用した、倍率200倍の顕微鏡写真。
【図5F】シクロパミン治療した領域からもっとも離れた腫瘍細胞では明らかに増殖活性を示している切片であって、Ki67抗原に免疫組織化学染色を使用した、倍率200倍の顕微鏡写真。
【図6A】82歳男性の頬の治療前の毛包上皮腫を示す顕微鏡写真。
【図6B】シクロパミン治療24時間後の図6Aと同一の皮膚領域を示す顕微鏡写真。
【図6C】残留腫瘍細胞とともに図6Bで示された削除した皮膚領域の切片であって、H&E、倍率400倍の顕微鏡写真。
【図6D】図6Cと同一の組織の別の領域であって、多くのアポトーシス細胞及び除去により形成された嚢胞構造に加えて、腫瘍が単核細胞により進入されることが観察される、H&E、倍率200倍の顕微鏡写真。
【図7A】59歳男性の下部眼陰部上の色素沈着した治療前のBCCを示す顕微鏡写真。
【図7B】シクロパミン治療3日目の図7Aと同一のBCCを示す顕微鏡写真。
【図7C】図7Bに示されたBCCの治療後の領域からの切片であって、H&E、倍率200倍の顕微鏡写真。
【図7D】BCCの治療後の領域からの切片内の残留腫瘍細胞の領域の接写であって、H&E、倍率400倍の顕微鏡写真。
【図7E】治療前の、図7Aに示されたBCCから取得されたパンチ検体物質からの切片であって、H&E、倍率400倍の顕微鏡写真。
【図7F】図7Aの矢印により示されたBCCの小塊の一部を含む切片であって、組織が治療の3日後に削除され、非治療で6日追跡した、H&E、倍率100倍の顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1A、図1B、図1C、及び図1Dは、シクロパミンへの露出によりBCCの急速な臨床的退行を示している。シクロパミンの露出の一週間以内の幾つかの腫瘍領域の視覚的な消失の他に、図1Bと図1A、図1Dと図1Cの比較により見られるように、典型的な半透明の外観が失われる。
【0019】
図2A〜図2Fは、シクロパミンの投与から5、6日目の正常組織縁と共に外科削除の対象となった、腫瘍領域の顕微鏡による外観を示し、BCCが、ほとんどの前治療領域で消失されるが、ほんの一部の領域で、高さの著しい減少はあるが、完全には未だ消失しておらず、従って、顕微鏡観察の対象の残留腫瘍細胞を有している。
【0020】
図2A及び図2Bは、組織切片上で、視覚的に消失した腫瘍の小結節に対応した皮膚領域を示している。腫瘍は、非常に少量の物質の内部と、検出不可能な腫瘍細胞とを含む嚢胞性の構造を残して、消失したように観察され得る。
【0021】
図2Cは、inVivoにおいて、依然として可視的なBCCが含まれる皮膚領域の顕微鏡の外観を示している。これらの領域は、腫瘍の中心内の巨大な嚢胞を示す残留BCC、及び外周に向かう、様々な大きさにより、残留BCC細胞の間に位置した小さな嚢胞構造が含まれることが観察される。
【0022】
図2D及び図2Eは、残留BCCの、内部と柵状化した周囲の領域の1000倍の外観を示し、腫瘍領域には関係なく、残留BCC細胞の間の大規模なアポトーシス活性の存在を示している。高倍率は、アポトーシスの形態、及び、図2Dにおいて実証されたように、アポトーシス性の中隔細胞の除去により、三つの小さな嚢胞が、大きな嚢胞に近接結合する、細胞のアポトーシス性の除去による、嚢胞構造の形成を示すBCC細胞の非常に増加した頻度を示している。
【0023】
図2Fは、偽薬のクリーム(即ち、偽薬中に、シクロパミンが存在しないことを除けば、シクロパミンクリームと同一の調合のクリーム)による治療後のBCCを示し、対照的に、腫瘍性BCC細胞とアポトーシス活性が検出されないことを示している。
【0024】
アポトーシスとなった細胞はマクロファージ、及び正常組織内の近隣の細胞により除去されることが公知であり、ヘマトキシリン エオジン染色済みの切片上の形態学的な基準によるアポトーシス活性の定量は、過小評価を提供することが公知である。それにも関わらす、表1に示される定量データは、残留BCC細胞間にシクロパミンにより生じたアポトーシス活性の著しい上昇を示している。
【0025】
シクロパミン治療されたBCC内の透過性の喪失は、シクロパミンの影響による、興味深いBCCの分化の可能性を上昇する。BCCの免疫組織化学分析によって検査され得る、この可能性は、本発明の事例において、見出せられ得る。正常な表皮では、基底層細胞から上皮層細胞への分化は、Ber−Ep4モノクローナル抗体を使用した標識の喪失に付随して実現される。さらに、Ber−Ep4はBCC細胞を標識し、それらの新生物に対するマーカとして公知である。図3A、図3B、及びテーブル1の定量データは、Ber−Ep4が、偽薬治療後の全ての周縁柵状細胞と、BCCの内部細胞の90%以上を強力に標識するが、シクロパミン治療後の残留周辺細胞、又は内部細胞が、Ber−Ep4により、標識されないことを示している。シクロパミンの影響によるBCCの分化は、今まで他の手段は知られておらず、免疫組織化学の基準によるin Vitro及び全ての細胞で実現するため、非常に例外的な、癌の治療の独立した価値を有する。
【0026】
他の分化のマーカ、Ulex EuropaeusレクチンI型は、BCC又は正常表皮の基底層細胞を通常標識しないが、分化後の上層細胞を標識する。図3Cは、レクチンを使用して、シクロパミン治療後のBCCの残留細胞の異質の標識を示し、Ber−Ep4により検出される分化の工程から、Ulex EuropaeusレクチンI型により検出される工程までずっと、BCC細胞の分化の一部を示している。
【0027】
P53は、DNA損傷に対する細胞の反応の主要な調整因子である。このタンパク質の量は、遺伝子毒性剤への細胞の露出により細胞核内に増加することが公知である。DNA損傷が、閾値を越えて増加した場合、p53は細胞にアポトーシス性の死を引き起こす。現在一般的に公知のガンの放射線治療、及び遺伝子毒性の癌の化学療法は、この機構により、即ち、DNAの損傷により生じるアポトーシスを引き起こすことにより、大部分が作用する。モノクローナル抗体DO−7は、正常形態及びミスセンス変異形態(非機能的な)のp53の双方に結合し得、DNA損傷剤に露出した細胞内のp53の増加を検出する能力を有することが公知である。
【0028】
図3D、図3E及びテーブル1の定量データは、DO−7標識強度、及び標識細胞の頻度が、偽薬治療後のBCCと比較して、シクロパミン治療後のBCCでは顕著に減少されていることを示している。従って、シクロパミンは、シクロパミン治療後のBCC細胞の核内のp53を増加させないだけではなく、むしろ減少を生じさせる。p53の発現が、分化による表皮細胞の減少であると公知であるため、シクロパミン治療後のBCCのDO−7標識の減少は、BCC細胞のシクロパミン−誘発分化のために生じる可能性が高い。いかなる場合においても、p53の発現の顕著な減少にも関わらず、シクロパミン治療後のBCCの大量のアポトーシス活性は、シクロパミン−誘発した腫瘍細胞のアポトーシスが非遺伝毒性によるものであることを意味する。
【0029】
BCCの増殖の停止は、基質からの収縮に関連することが公知である。基質からの収縮が、不適切な固定及び組織の処理により人工的に生じ得るが、公知の技術的な詳細の遵守は、このような影響の回避を保証する。図3F及び図3Gに示すように、偽薬治療ではないが、シクロパミン治療後のBCCでは、一貫して基質から収縮される。従って、シクロパミンへのBCCの露出は、さらに、増殖の停止に関連することは明白である。
【0030】
図4A〜図4Dは、シクロパミン治療後のBCC上及び周囲に見出される通常の皮膚組織のBer−Ep4標識を示している。シクロパミンを使用して治療した、異なる表皮領域が、図4A、図4B、及び図4Cに示されることにより、Ber−Ep4を使用して標識した通常のパターン、即ち基底層細胞の標識を表示する。同様に図4Dは、シクロパミンに露出した毛包に対する通常のBer−Ep4標識を示している。従って、通常表皮及び毛包の未分化細胞は、BCCと同様の、同一のスケジュール及び量のシクロパミンに露出されるにもかかわらず、維持される。
【0031】
未分化組織細胞を維持する量において、シクロパミンによるin Vivoの腫瘍細胞の高効率の分化、及びアポトーシスの発生は、非遺伝子毒性のシクロパミンの作用とあわせて、BCCだけでなく、増殖と、アポトーシスの及び/又は、分化の抑制とにヘッジホッグ/smoothened経路を利用する、他の内部の腫瘍へのシクロパミンの使用を支持する、従来未知の功績である。
【0032】
分子が、シクロパミンから誘導され得、又、構造形態を処理することにより、シクロパミンと同一の受容体の結合特性及び生物的/治療的作用を及ぼす方法によって、分子が合成され得ることが特に考えられる。本開示において、この分子は、「シクロパミン誘導体」と呼ばれ、以下のように定義される。分子は、生物学的標的にシクロパミンの結合を要求するシクロパミン分子の原子集団を含むが、新規のシクロパミン誘導体が同一の生物学的標的と特に結合する能力が継続することにより、本開示のシクロパミンの生物学的作用を及ぼすような方法で親シクロパミン分子の変更を含む。このようなシクロパミンの変更は、シクロパミン分子の許容可能な置換と、除去と、又は、生じた分子が、安定し、さらにシクロパミンと同一の生物学的標的に特に結合する能力となるよう処理されることにより、本開示による生物学的作用を及ぼすように提供されたシクロパミン分子への分子集団(特にメタノール族などの小分子集団)の付加とである。シクロパミンから誘導した新規の分子は、当業者により、容易に実現され、さらに、新規の誘導分子内のシクロパミンの生物学的作用の有無は、当業者による本開示の生物学的作用の試験により容易に判定され得る。
更なる実施例
図5Aは、上部鼻領域上に巨大な潰瘍を生じた68歳の男性の治療前のBCCを示している。シクロパミンクリーム(上記のベースクリームに18mMシクロパミン)は図5Aで示されるBCCの下半分に塗布された。3時間ごとに、約20μlのクリームが直接下半分に塗布され、上半分が治療されなかった。したがって、最上部の腫瘍細胞(図5A)は、直接塗布された領域からの拡散により受け取ったシクロパミンはほとんどありえず、たとえあったとしても、比較的に、非常に低濃度のシクロパミンに露出される。図5Bは、研究のために外科的削除する直前の治療54時間の腫瘍を示している。急速に収縮した腫瘍が、シクロパミンを塗布した下半分では起きた一方、直接塗布した領域からもっとも離れた腫瘍領域では、比較的に変化が見られない(図5Bの図の右上部に対する領域)。図5Cは、削除した組織の下部(シクロパミン治療後)をヘマトキシレン エオシン染色した切片を示している。多くのアポトーシス細胞が、腫瘍細胞の死と除去により生じて形成される様々な嚢胞とともに示される(図5C)。対照的に、シクロパミンを塗布した領域からもっとも離れた同一の腫瘍の非治療領域は、分裂を示し、アポトーシス細胞が検出されない凝集した腫瘍組織を示している(図5D)。図5Eと、図5Fは、Ki67抗原に対して、KiS5抗体(Dako A/S Glostrupデンマーク)を使用して、シクロパミン治療後と非治療のそれぞれを免疫組織化学染色した組織切片を示している。Ki67抗原は、増殖細胞の公知のマーカであり、腫瘍細胞のシクロパミン治療後の領域では発現していないが(図5E)、シクロパミン治療した領域からもっとも離れた腫瘍細胞では明らかに増殖活性を示している(図5F)。Ki67抗原に対する抗体により染色された組織切片は、記載した条件の下でシクロパミンにより腫瘍細胞の増殖がさらに停止されることを示している。
【0033】
毛包上皮腫はHedgehog−smoothened信号の増加を生じる遺伝子変異に関する別の腫瘍である(ボレチョブスキー エル(Vorechovsky l)等、(1997年)キャンサーリサーチ(Cancer Res)57、4677−4681、ニルソン エム(Nilsson M)等、(2000年) プロシーディング オブ ザ ナショナル アカデミー サイエンス USA(Proc.Natl.Acad.Sci)97、3438−3443)。図6Aは、82歳の男性の頬にある治療前の毛包上皮腫を示し、図6Bは、シクロパミンクリームに24時間のみ露出した後の同一の皮膚領域を示している(ベースクリームに18mMシクロパミン、約25μlのクリームを腫瘍に3時間ごと塗布)。急速な収縮のため、治療は24時間で中止され、最初の腫瘍に対応するすべての皮膚の領域が研究のために削除された。図6Cと図6Dは24時間の残留腫瘍細胞を含む組織領域を示し、それらの残留腫瘍細胞内の、著しいアポトーシス性の活性を明らかにする。腫瘍の単核細胞性の浸潤と(図6D)同様に、腫瘍細胞のアポトーシス性の除去により生じた嚢胞空間(図6Cと図6D)が示される。別の本発明の注目に値する発見は、24時間の治療により、治療した腫瘍の近傍に位置したあざの大きさや色素沈着の減少である(図6Bと図6Aとを対比して)。シクロパミンが、適用した近接領域から拡散され得るように、あざ(良性のメラニン性腫瘍)は、比較的低濃度のシクロパミンに感受性を示している。
【0034】
図7Aは、59歳の男性の下部眼陰部における色素沈着した治療前のBCCを示している。シクロパミンクリーム(ベースクリーム内に18mMシクロパミン)が、矢印で示された一つを除き、患者の全ての小塊に適用された。この小塊は、近接した治療後の領域から拡散によるシクロパミンのみを受け取り得たとすると、比較的低濃度のシクロパミンに露出しうる。この腫瘍の色素性の性質が、臨床的追跡を容易にし、治療(約20μlシクロパミンクリームを4時間ごとに適用)は、治療領域内の腫瘍が大幅に退行したが、依然として可視部を含む3日目に、中断された(図7B)。次に腫瘍は、遅行効果の可能性を研究するために、治療せずに、追跡された。更なる明示の退行が治療なしでは観測されず、最初の腫瘍に対応する領域は、追跡の6日目に削除された(治療開始から9日目)。腫瘍の治療領域のヘマトキシレン エオシン染色切片は、多くの腫瘍細胞が消失した嚢胞空間を明らかにする(図7C)。上皮の裏打ちが欠落するこれらの嚢胞は(図7C)、腫瘍細胞により以前占められていた組織領域の嚢胞の表示に準ずる。この時点で(治療せずに追跡して6日目)、比較的少数のアポトーシス細胞を表す組織切片は(図7C)、生組織からアポトーシス細胞の公知の急速な排除に準じた。一方で、残留細胞、特に嚢胞の端の近傍は、著しく高頻度で細胞が突起形状へ分化を示している(例えば、図7Cの左下部に対する領域、図7Dの別の領域で例証される高倍率でより明確に観察される)。分化又は嚢胞の同一の領域は、治療の開始前の同一の腫瘍から取得したパンチ生検には存在しない(図7E)。比較的低濃度のシクロパミンを受けた腫瘍の小塊は(図7Aにおいて矢印で示される)、追跡6日目の大きな嚢胞中心を有した(図7F)。しかし、残留小塊の周辺は、(例えば、増大、さらに、好酸性細胞質を伴う)分化した形態の細胞の頻度が、さらに増加し、及び小型の嚢胞が、この周辺内部に存在していたが、典型的なBCC形態を有し続ける(図7F)。したがって、最適な濃度のシクロパミンに応答する腫瘍は、比較的急速であり、最適に及ばない濃度の露出は、追跡中に生存する腫瘍細胞を残す。
【0035】
これらの更なる例は、BCCと、増加したhedgehog−smoothened信号を示す他の腫瘍(毛包上皮腫)との急速臨床収縮を得る記載した治療の効率性を立証する。臨床収縮は、腫瘍細胞のシクロパミン誘導分化及びアポトーシスに関するように見える。これに加えて、腫瘍細胞の増殖は、阻害される。異なる遺伝型の血縁関係を持たない患者のいくつかの独立した腫瘍に対する効率性は、記載した治療の一般的な実用性に準じた。
【0036】
シクロパミンはシュロソウ植物の催奇性要素として発見された(ケリア アール.エフ.(Keeler.R.F)、(1969年)、サイトケミストリ(phytochemictry)8 223−225)。脳の発達において腹部細胞前駆体の分化を阻害することが、報告された(インカードナア ジェイ.ピー.(Incardona J.P.)等、(1998年)、ディベロップメント125 3443−3562、クーパー エム.ケイ(Cooper M.K)等、(1998年)、サイエンス280、1603−1607)。シクロパミンによる細胞の分化の抑制は、骨髄細胞から赤血球細胞への分化(デトマー ケイ(Detmer K)等、(2000年)、ディベロップメント バイオロジー(Dev.Biol)222−242)、尿生殖洞から前立腺への分化(バーマン ディ.エム.(Berman D.M)、(2000年)、ジャーナル オブ ウロロジ―(J.Urol)163,204)を含む、他の機構内でも報告されて来ている。しかし、反対のことが、シクロパミンに露出した腫瘍細胞を伴う本発明では真実であると見出された。腫瘍細胞のシクロパミン誘導の分化と同様に、さらに腫瘍細胞のアポトーシスが誘導される。以前に記されていない、シクロパミンによる腫瘍細胞のアポトーシスの誘導は、高い効率を示している。さらにシクロパミンによるアポトーシスの誘導は、続いて生じる遺伝毒性作用を持たず、さらに腫瘍細胞が分化され、アポトーシスを受ける一方、腫瘍細胞に近接した毛包の外毛根鞘細胞、及び正常表皮基底細胞が、十分に維持されるという著しい特異性を有する。記載した悪影響の無い治療は、患者のシクロパミン適用領域にて臨床的に正常に見える健康な皮膚の存在により確認された(被験者に対して最も長期の追跡は、本記載時で15ヶ月以上、さらに長期間の治療の安全性も示された)。上記の要約された形態の本発明に記載された治療は、がん治療で非常に求められ、がん治療の長年にわたる問題の解決策を提供する。
【0037】
【表1】
図1A〜図1Dは、一週間未満の期間内で、消失した腫瘍領域(矢印で示される)、皮膚の表面から高さの顕著な減少及び、透光性の消失によって示されるように、シクロパミン治療後のBCCの急速な退行の顕微鏡外観である。
【0038】
図2A〜図2Fは、シクロパミン誘引の大量のアポトーシス、及び腫瘍細胞の除去、及び腫瘍細胞が無い嚢胞空間を残した腫瘍小塊の消失を示す、シクロパミン治療後のBCC、及び偽薬治療後のBCCの顕微鏡の外観である。通常組織の縁と共に、BCCの前治療の位置に対応する皮膚領域が、シクロパミンの露出の5日目及び6日目に、外科的削除され、及び従来法による固定の対象とされ、切開削除、顕微鏡解析のためにヘマトキシリン エオジン染色したものである。
【0039】
図3A〜図3Gは、シクロパミンに露出に付随した、シクロパミンの影響と、BCC内のp53発現の減少により、全ての残留BCC細胞の分化を示すシクロパミン治療、及び偽薬治療後のBCCの免疫組織化学解析である。全ての免疫組織化学標識は、ビオチン標識の二次抗体と結合したストレプトアビジン結合ペルオキシダーゼを使用した。
【0040】
図3A及び図3Bは、シクロパミン治療後のBCC内の全ての残留細胞が、Ber−Ep4により、検出される工程に向けて、又は工程を越えて分化されることを示している。Ber−Ep4は、正常の表皮基底層、及び毛包の未分化細胞と同様に、BCC細胞を染色するが、正常表皮の分化後の上層細胞は染色しない、公知の分化マーカである。
【0041】
図3D及び図3Eでの、p53の発現は、表皮基底細胞の分化、及び培養後のケラチノサイトの分化を減少することが公知である。細胞が遺伝毒性剤に露出された場合に、DO−7で検出可能なp53の量が細胞内で増加することは周知である。
【0042】
図3F及び図3Gで示された切片は、過ヨウ素酸シッフ、及びアルシアンブルーを使用して染色された。
図4A〜図4Dは、BCCと同じように、シクロパミンの同一のスケジュール及び投薬量に露出したにもかかわらず、正常の表皮及び毛包の未分化細胞が維持されることを示している。免疫組織化学検出の手順は、図3A,図3Bと同様であり、標識は茶色で示される。
【0043】
免疫組織化学のデータ及び知見が、グレースケールよりカラーの方が最適に伝達し得るため、12ページと同一の図のカラープリント(図1A、図1B、図1C,図1D、図2A,図2B,図2C,図2E,図2F、図3A,図3B,図3C,図3D,図3E,図3F,図3G,図4A,図4B,図4C,図4D)を、12aページとして加えた。出願人は、特許庁によりこの事実を考慮され及び、12aページを特許出願の一部として扱われることを要求する。しかしながら、ページ12aは、特許庁により必要であるとみなされた場合、本特許出願より除去され得る。
【0044】
免疫組織化学のデータ及び知見が、グレースケールよりカラーの方が最適に伝達し得るため、ページ12bの同一の図のカラー印刷(図5A,図5B,図5C,図5D,図5E、図6A,図6B,図6C,図6D,図7A,図7B,図7C,図7D,図7E,図7F)を、12cページとして加えた。出願人は、特許庁によりこの事実を考慮され及び、12cページを特許出願の一部として扱われることを要求する。しかしながら、ページ12cは、特許庁により必要であるとみなされた場合、本特許出願より除去され得る。
【0045】
免疫組織化学のデータ及び知見が、グレースケールよりカラーの方が最適に伝達し得るため、12ページと同一の図のカラープリント(図1A、図1B、図1C,図1D、図2A,図2B,図2C,図2E,図2F、図3A,図3B,図3C,図3D,図3E,図3F,図3G,図4A,図4B,図4C,図4D)を、12aページとして加えた。出願人は、特許庁によりこの事実を考慮され及び、12aページを特許出願の一部として扱われることを要求する。しかしながら、ページ12aは、特許庁により必要であるとみなされた場合、本特許出願より除去され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基底細胞癌の局所治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項2】
基底細胞癌の局所治療に使用するために、シクロパミン、又は医学的に許容可能な化合物を製造するためのシクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項3】
腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項4】
腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療に使用のための医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項5】
基底細胞癌の局所治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【請求項6】
基底細胞癌の局所治療に使用のための、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【請求項7】
腫瘍内注射を含む、非局所的手段による、基底細胞癌の治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【請求項8】
腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療に使用のための医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【請求項9】
増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項10】
増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項11】
増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【請求項12】
増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【請求項1】
基底細胞癌の局所治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項2】
基底細胞癌の局所治療に使用するために、シクロパミン、又は医学的に許容可能な化合物を製造するためのシクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項3】
腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項4】
腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療に使用のための医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項5】
基底細胞癌の局所治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【請求項6】
基底細胞癌の局所治療に使用のための、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【請求項7】
腫瘍内注射を含む、非局所的手段による、基底細胞癌の治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【請求項8】
腫瘍内注射を含む、非局所的手段による基底細胞癌の治療に使用のための医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【請求項9】
増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項10】
増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、又は医学的に許容可能なシクロパミン塩の使用方法。
【請求項11】
増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【請求項12】
増殖のため、及び/又はアポトーシス或いは細胞分化の防止のための、ヘッジホッグ/スムーズンド信号伝達経路を使用する腫瘍の治療における、医学的に許容可能な化合物を製造するための、シクロパミン、医学的に許容可能なシクロパミン塩、又はシクロパミン誘導体の使用方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【公開番号】特開2009−143963(P2009−143963A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74496(P2009−74496)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【分割の表示】特願2002−576969(P2002−576969)の分割
【原出願日】平成13年7月2日(2001.7.2)
【出願人】(504001325)
【氏名又は名称原語表記】TAS,Sinan
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【分割の表示】特願2002−576969(P2002−576969)の分割
【原出願日】平成13年7月2日(2001.7.2)
【出願人】(504001325)
【氏名又は名称原語表記】TAS,Sinan
【Fターム(参考)】
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