説明

腫瘍転移の分析のための動物モデル

本発明は、腫瘍転移の分析のためのトランスジェニック動物モデルに関する。本発明は、腫瘍転移の研究のための、新規の再現可能なトランスジェニックマウスモデルを提供する。特に、本発明は、NOD/SCID/nullトランスジェニックマウスモデルにおける腫瘍転移の研究に関する。本発明は、腫瘍転移の研究のための方法を提供する。この方法は、トランスジェニック(ノックアウトを含む)げっ歯類(例えば、マウス)モデルにおける、癌の転移の分析を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、腫瘍転移の分析のためのトランスジェニック動物モデルに関する。特に、本発明は、腫瘍転移の研究のための方法を提供する。この方法は、トランスジェニック(ノックアウトを含む)げっ歯類(例えば、マウス)モデルにおける、癌の転移の分析を包含する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術)
免疫欠損マウス(例えば、胸腺欠損ヌードマウス、C.B−17/重症複合型免疫不全(scid)マウス、およびNOD/SCIDマウス)は、癌転移研究における動物モデルとして広く使用されている(Brunsら,Int.J.Cancer 10:102(2):101−8(2002);Ohtaら,Jpn.J.Cancer Chemother.23:1669−72(1996);Jimenezら,Ann.Surg.231:644−54(2000))。したがって、このようなマウスモデルは、新規の制癌剤の前臨床試験のため、および転移関連遺伝子の検出のために使用されてきた(Brunsら,上述;Ohtaら,上述;Jimenezら,上述;Hotzら,Pancreas 26:E89−98(2003);Tarbeら,Anticancer Res.21:3221−8(2001))。しかし、ヒト癌細胞の転移を研究するためのこれらのモデルの使用は、従来、主に、レシピエントマウスにおける癌転移の発生の低効率性および所望の結果を達成するために多くの細胞が必要とされることに起因して、限られていた。
【0003】
最近、異種移植のためのより効率的な動物レシピエントを確立するため、新規の免疫欠損マウス、NOD/SCID/γnull(γnullを有するNOD/ShiJic−scid、またはNOGとも称される)が開発された。NOGトランスジェニックマウスは、ヒト細胞移植のため(Itoら,Blood 100:3175−82(2002))、およびCD34(+)細胞からのヒトT細胞のインビボ発生研究のため(Saitoら,Int.Immunol.14:1113−24(2002))の、優れたレシピエントマウスモデルとして記載されている。ヒト臍帯血幹細胞(CBSC)がNOGマウス中に保存されている場合、CBSCは、Tリンパ球へと分化し、末梢リンパ器官へと移動した(Yahataら,J.Immunol.169:204−9(2002))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
転移(肝転移を含む)は、ヒトの癌(膵臓癌(初期段階においてさえ)、消化管の癌(結腸直腸癌および胃腸の癌)、肺癌などが挙げられる)において、多くの場合に観察され、これは癌による死の最もよくある原因の一つである。癌転移を制御するための新しい戦略が必要とされている。そしてこの戦略は、適切かつ有効な動物モデルの利用可能性を必要とする。したがって、転移の研究を可能にする信頼性のある動物モデルに対する未対処の大きな必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
一局面において、本発明は、腫瘍転移を試験するための方法に関する。この方法は、以下の工程を包含する:
(a)転移性腫瘍または腫瘍細胞株由来の腫瘍細胞を、NOD/SCID/γnull動物(例えば、げっ歯類、好ましくは、マウス)に接種する工程、および
(b)腫瘍転移の発生をモニタリングする工程。
【0006】
一実施形態において、上記腫瘍は癌であり、例えば、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、胃腸の癌、結腸癌、肺癌、肝細胞癌、頚部癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿路の癌、甲状腺癌、腎臓癌、癌腫、黒色腫、または脳腫瘍である。
【0007】
別の実施形態において、上記転移は、肝転移、骨転移、脳転移、または肺転移であり、特に、肝転移である。
【0008】
なお別の実施形態において、上記腫瘍細胞は転移性腫瘍細胞株由来であり、例えば、高度に転移性であるか、中程度に転移性であるか、または軽度に転移性である腫瘍細胞株であり得る。
【0009】
本発明に適切な膵臓癌細胞株としては、例えば、MIAPaCa−2、AsPC−1、PANC−1、Capan−1およびBxPC−3が挙げられる。
【0010】
接種は、例えば、門脈注射によって行われ得る。
【0011】
一実施形態において、放射線照射またはサイトカイン投薬を含む任意の他の前処置なしに、少なくとも約1×10細胞が接種される。
【0012】
別の実施形態において、少なくとも約1×10細胞が接種される。
【0013】
なお別の実施形態において、少なくとも約1×10細胞が接種される。
【0014】
腫瘍転移の発生は、当該分野で公知の方法によって(例えば、形成された転移小節の様子(appearance)および数を観察することによって)モニタリングされ得る。
【0015】
別の局面において、本発明は、候補抗転移化合物を試験するための方法に関する。この方法は、以下を包含する:
(a)上記候補化合物を、発生した腫瘍転移を有するNOD/SCID/γnull動物(例えば、げっ歯類(例えば、マウス))に投与する工程、および
(b)上記腫瘍転移に対する上記候補化合物の効果をモニタリングする工程。
【0016】
試験化合物は、任意の種類の分子(例えば、ペプチド、ポリペプチド、抗体または非ペプチド低分子が挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。
【0017】
さらなる局面において、本発明は、以下の方法に関する:
(a)NOD/SCID/γnull動物(マウスのようなげっ歯類)に外来遺伝子を導入する工程、および
(b)上記動物における上記外来遺伝子の発現をモニタリングする工程。
【0018】
上記外来遺伝子は、任意の遺伝子導入法によって(ウイルスベクターによる方法が挙げられるが、これに限定されない)、動物(例えば、マウス)に導入される。
【0019】
特定の実施形態において、上記外来遺伝子は、腫瘍転移(例えば、肝転移)において示差的に発現する遺伝子である。
【0020】
肝転移が、膵臓癌の転移である場合、上記遺伝子は、例えば、以下から選択され得る:
TIS1 1Bタンパク質;前立腺分化因子(PDF);糖タンパク質ホルモンα−サブユニット;トロンボポエチン(THPO);manic fringeホモロジー(MFNG);補体成分5(C5);jaggedホモログ1(JAG1);インターロイキンエンハンサー結合因子(ILF);PCAF関連因子65α;インターロイキン−12α−サブユニット(IL−12−α);核内呼吸性因子1(nuclear respiratory factor 1)(NRF1);幹細胞因子(SCF);転写因子リプレッサータンパク質(PRDI−BF1);低分子誘導性サイトカインサブファミリーAメンバー1(small inducible cytokine subfamily A member 1)(SCYA1);トランスデューシンβ2サブユニット;チャイニーズハムスター細胞のX線修復性欠損補完性修復1(X−ray repair complementing defective repair in Chinese hamster cells 1);推定腎臓有機アニオン輸送体1(putative renal organic anion transporter 1);G1/S特異的サイクリンE(CCNE);レチノイン酸レセプターγ(RARG);S−100カルシウム結合タンパク質A1;中性アミノ酸輸送体A(SATT);ドーパクロムトートメラーゼ(dopachrome tautomerase);ets転写因子(NERF2);カルシウム依存性カリウムチャネルβ−サブユニット;CD27BP;ケラチン10;6−O−メチルグアニン−DNA−メチルトランスフェラーゼ(MGMT);色素性乾皮症A群補完性タンパク質(XPA);CDC6関連タンパク質;細胞分裂プロテインキナーゼ4;ノシセプチンレセプター;シトクロムP450 XXVIIB1;N−mycプロトオンコジーン;溶質キャリアーファミリーメンバー1(SLC2A1);膜関連キナーゼmyt1;カスパー(casper)、FADD関連性かつカスパーゼ関連性のアポトーシス誘発因子(FADD−and caspase−related inducer of apoptosis);ならびにC−srcプロトオンコジーン。
【0021】
特定の実施形態において、腫瘍転移の遺伝子マーカーを保有する動物(例えば、マウス)は、候補抗転移化合物で処置されて、この処置結果としてのその遺伝子マーカーまたはその発現産物の発現レベルがモニターされる。
【0022】
異なる局面において、本発明はアレイに関する。このアレイは、固体支持体上に固定化された少なくとも一つの遺伝子またはその発現産物を含むアレイであって、この遺伝子は、以下からなる群より選択される:
TIS1 1Bタンパク質;前立腺分化因子(PDF);糖タンパク質ホルモンα−サブユニット;トロンボポエチン(THPO);manic fringeホモロジー(MFNG);補体成分5(C5);jaggedホモログ1(JAG1);インターロイキンエンハンサー結合因子(ILF);PCAF関連因子65α;インターロイキン−12α−サブユニット(IL−12−α);核内呼吸性因子1(NRF1);幹細胞因子(SCF);転写因子リプレッサータンパク質(PRDI−BF1);低分子誘導性サイトカインサブファミリーAメンバー1(SCYA1);トランスデューシンβ2サブユニット;チャイニーズハムスター細胞のX線修復性欠損補完性修復1;推定腎臓有機アニオン輸送体1;G1/S特異的サイクリンE(CCNE);レチノイン酸レセプターγ(RARG);S−100カルシウム結合タンパク質A1;中性アミノ酸輸送体A(SATT);ドーパクロムトートメラーゼ;ets転写因子(NERF2);カルシウム依存性カリウムチャネルβ−サブユニット;CD27BP;ケラチン10;6−O−メチルグアニン−DNA−メチルトランスフェラーゼ(MGMT);色素性乾皮症A群補完性タンパク質(XPA);CDC6関連タンパク質;細胞分裂プロテインキナーゼ4;ノシセプチンレセプター;シトクロムP450 XXVIIB1;N−mycプロトオンコジーン;溶質キャリアーファミリーメンバー1(SLC2A1);膜関連キナーゼmyt1;カスパー、FADD関連性かつカスパーゼ関連性のアポトーシス誘発因子;ならびにC−srcプロトオンコジーン。
【0023】
種々の実施形態において、上記アレイは、列記された遺伝子またはその発現産物のうちの少なくとも2個、もしくは少なくとも5個、もしくは少なくとも10個、もしくは少なくとも15個、もしくは少なくとも20個、もしくは少なくとも25個を提示する。別の実施形態において、腫瘍転移において過剰発現される全ての遺伝子、またはその発現産物が、提示される。
【0024】
別の実施形態において、腫瘍転移において低く発現される全ての遺伝子、またはその発現産物が提示される。
【0025】
なお別の局面において、本発明は、被験体における腫瘍転移の可能性を予測するための方法に関する。この方法は、以下を包含する:
(a)上記被験体から得られた、癌細胞を含む生物学的サンプルにおいて、1以上のRNA転写物もしくはそれらの発現産物の発現レベルを決定する工程;および
(b)上記遺伝子の一以上が、対応する同じ細胞型の正常細胞の発現レベルに対して発現レベルの上昇を示す場合に、転移の可能性の増加を予測する工程。
ここで、該RNA転写物は、以下からなる群より選択される:
TIS1 1Bタンパク質;前立腺分化因子(PDF);糖タンパク質ホルモンα−サブユニット;トロンボポエチン(THPO);manic fringeホモロジー(MFNG);補体成分5(C5);jaggedホモログ1(JAG1);インターロイキンエンハンサー結合因子(ILF);PCAF関連因子65α;インターロイキン−12α−サブユニット(IL−12−α);核内呼吸性因子1(NRF1);幹細胞因子(SCF);転写因子リプレッサータンパク質(PRDI−BF1);低分子誘導性サイトカインサブファミリーAメンバー1(SCYA1);トランスデューシンβ2サブユニット;チャイニーズハムスター細胞のX線修復性欠損補完性修復1;推定腎臓有機アニオン輸送体1;G1/S特異的サイクリンE(CCNE);レチノイン酸レセプターγ(RARG);S−100カルシウム結合タンパク質A1;中性アミノ酸輸送体A(SATT);ドーパクロムトートメラーゼ;ets転写因子(NERF2);カルシウム依存性カリウムチャネルβ−サブユニット;CD27BP;ケラチン10;6−O−メチルグアニン−DNA−メチルトランスフェラーゼ(MGMT);色素性乾皮症A群補完性タンパク質(XPA);CDC6関連タンパク質;細胞分裂プロテインキナーゼ4;ノシセプチンレセプター;シトクロムP450 XXVIIB1;N−mycプロトオンコジーン;溶質キャリアーファミリーメンバー1(SLC2A1);膜関連キナーゼmyt1;カスパー、FADD関連性かつカスパーゼ関連性のアポトーシス誘発因子;ならびにC−srcプロトオンコジーン。
【0026】
上記被験体は、好ましくは、ヒト被験体であり、上記生物学的サンプルは、好ましくは、標準的手順(例えば、生検など)で得られた腫瘍サンプルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
(A.定義)
他に定義されない限り、本明細書中で使用される科学技術用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。Singletonら,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 第二版,J.Wiley & Sons(New York,NY 1994)は、当業者に、本出願において使用される用語の多くに対して一般的な指針を提供する。
【0028】
当業者は、本明細書で記載される方法および材料と類似または等価な、多くの方法および材料を認識し、これらの方法および材料は、本発明の実施において使用される。実際、本発明は、記載される方法および材料に決して限定されない。本発明の目的のため、以下の用語が、下記に定義される。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語「腫瘍」とは、(悪性にせよ良性にせよ)あらゆる新生物細胞増殖(growthおよびproliferation)を指し、そしてあらゆる前癌細胞および前癌組織、ならびに癌細胞および癌組織を指す。
【0030】
用語「癌」および「癌の」とは、制御されない細胞増殖によって代表的に特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態を指すか、それを記載する。癌の例としては、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、胃腸の癌、結腸癌、肺癌、肝細胞癌、頚部癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿管の癌、甲状腺癌、腎臓癌、癌腫、黒色腫、および脳腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
用語「転移」は、本明細書中で最も広範な意味で使用され、そして身体の一部分から別の部分への腫瘍(例えば、癌)の広がりをいう。広がった細胞から形成される腫瘍は、二次腫瘍と呼ばれ、そして元々の(一次)腫瘍と同じ細胞の型を含む。したがって、肝臓または骨に転移した前立腺癌は、前立腺癌細胞の位置にかかわらずそれがなお前立腺癌細胞を含むということから、肝臓癌でも骨の癌でもなく、むしろ転移された前立腺癌である。
【0032】
癌の「病理学」は、患者の健全を危うくする全ての現象を含む。これには、異常な細胞増殖または制御不可能な細胞増殖、転移、隣接細胞の正常機能の干渉、異常なレベルでのサイトカインまたは他の分泌産物の放出、炎症反応または免疫応答の抑制または悪化、新形成、前悪性、悪性、周囲または離れた組織または器官(例えば、リンパ節など)の浸潤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
用語「示差的に発現される遺伝子」、「示差的な遺伝子発現」およびそれらの同義語は、互換可能に使用され、別の細胞もしくは細胞型と比較して1つの細胞もしくは細胞型において、または別の患者もしくは試験被験体と比較して1人の患者もしくは試験被験体において、その発現がより高いレベルまたはより低いレベルである遺伝子をいう。したがって、例えば、示差的な遺伝子発現は、対応する疾患の細胞/組織/患者と比較して、正常な細胞/組織/患者において起こってもよく、発生の異なる段階における異なる細胞型または細胞の間の遺伝子発現パターンの差異を反映してもよい。上記用語はまた、その発現が、同じ疾患の異なる段階でより高いレベルまたはより低いレベルへと活性化される遺伝子を含む。示差的に発現される遺伝子が、核酸レベルもしくはタンパク質レベルで活性化され得るかまたは阻害され得るかのいずれか、あるいは代替的なスプライシングに供されて異なるポリペプチド産物をもたらし得ることはまた、理解される。このような差異は、例えば、mRNAレベルの変化、表面発現の変化またはポリペプチドの分泌もしくは他の分配の変化によって、証明され得る。示差的な遺伝子発現は、2つ以上の遺伝子もしくはそれらの遺伝子産物の間の発現の比較、または2つ以上の遺伝子もしくはそれらの遺伝子産物の間の発現率の比較、または同じ遺伝子からの2つの示差的に処理された産物の比較を含み得る。本発明の目的のために、「示差的な遺伝子発現」は、比較されるサンプル間の所与の遺伝子または遺伝子産物の発現の間に、少なくとも約2倍、好ましくは、少なくとも約2.5倍、より好ましくは、少なくとも約4倍、さらにより好ましくは、少なくとも約6倍、最も好ましくは、少なくとも約10倍の差異が存在する場合に、存在すると考えられる。
【0034】
用語「マイクロアレイ」とは、ハイブリダイズ可能なアレイ構成要素の基板上の規則的な整列をいう。上記用語としては、特に、ポリヌクレオチドマイクロアレイ(例えば、cDNAマイクロアレイおよびオリゴヌクレオチドマイクロアレイ)ならびにプロテインアレイが挙げられる。特定の実施形態において、マイクロアレイは、固体支持体上に既知の順序で固定化された、何千もの個々の遺伝子(DNA)配列のアレイである。異なる組織由来のRNAは、上記チップ上で上記DNAにハイブリダイズされる。RNA分子は、そのRNA分子がそこから発現されたDNAにのみ結合する。結果として、生物学的サンプル(例えば、正常組織および疾患組織、特定の薬物で処置された組織または処置されなかった組織など)中の何千もの遺伝子の相対的な発現は、単一のアレイ上で比較され得る。同様のタンパク質配列は、マイクロアレイチップ上に提示され得、そしてタンパク質−タンパク質相互作用または異なる生物学的サンプル(例えば、組織)におけるタンパク質レベルの差異を研究するために使用され得る。
【0035】
用語「ポリヌクレオチド」とは、一般的に、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドをいい、これらは、未改変RNAまたは未改変DNAであっても、改変RNAまたは改変DNAであってもよい。したがって、例えば、本明細書中で定義されるポリヌクレオチドとしては、一本鎖DNAおよび二本鎖DNA、一本鎖領域および二本鎖領域を含むDNA、一本鎖RNAおよび二本鎖RNAならびに一本鎖領域および二本鎖領域を含むRNA、一本鎖であり得るかまたはより代表的には二本鎖であり得るか、あるいは一本鎖領域および二本鎖領域を含み得る、DNAおよびRNAを含むハイブリッド分子が挙げられ得るが、これらに限定されない。さらに、本明細書中で使用される場合、上記用語「ポリヌクレオチド」は、RNAもしくはDNA、またはRNAおよびDNAの両方を含む三本鎖領域を含む。このような領域における鎖は、同じ分子を形成しても異なる分子を形成してもよい。上記用語は、1つ以上の改変された塩基を含むDNA(cDNAを含む)およびRNAを含む。したがって、安定性または他の理由のために改変された骨格を有するDNAまたはRNAは、その用語が本明細書中で意図される場合、「ポリヌクレオチド」である。さらに、通常ではない塩基(例えば、イノシン)または改変された塩基(例えば、トリチウム化塩基)を含むDNAまたはRNAは、本明細書中で定義される場合、上記用語「ポリヌクレオチド」内に含まれる。一般的に、上記用語「ポリヌクレオチド」は、未改変ポリヌクレオチドの全ての化学的、酵素的および/または代謝的に改変された形態ならびにウイルスおよび細胞(単一細胞および複合体細胞を含む)に特徴的なDNAおよびRNAの化学的形態を含む。
【0036】
用語「オリゴヌクレオチド」とは、比較的短いポリヌクレオチドをいい、これらとしては、一本鎖デオキシリボヌクレオチド、一本鎖または二本鎖リボヌクレオチド、RNA:DNAハイブリッドおよび二本鎖DNAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
用語「トランスジェニック動物」および「トランスジェニックマウス」ならびにそれらの文法的等価物は、別の動物由来の遺伝子を保有するように故意に作製された動物/マウスをいうために使用される。トランスジェニック動物としては、特に、トランスジェニックげっ歯類(例えば、マウス、ラット、モルモットなど)が挙げられる。
【0038】
用語「異種移植」とは、最も広範な意味で使用され、そして1つの動物種から別の動物種(ヒトを含む)への生きている細胞、組織または器官の移動をいう。
【0039】
(B.詳細な説明)
本発明の実施は、別に示されなければ、従来の分子生物学技術(組み換え技術を含む)、微生物学技術、細胞生物学技術および生物化学技術を用い、これらの技術は、当該分野の技術内である。このような技術は、参考文献、例えば、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版(Sambrookら、1989);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait、編、1984);「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney、編、1987);「Methods in Enzymology」(Academic Press,Inc.);「Handbook of Experimental Immunology」、第4版(D.M.Weir & C.C.Blackwell、編、Blackwell Science Inc.、1987);「Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells」(J.M.Miller & M.P.Calos、編、1987);「Current Protocols in Molecular Biology」(F.M.Ausubelら、編、1987);「Transgenic Mouse:Methods and Protocols」(Methods in Molecular Biology、Clifton N.J.、第209巻、M.H.Hofkerら、編)において完全に説明される。
【0040】
本発明は、腫瘍転移研究のための感受性かつ信頼性のあるトランスジェニック動物モデルを提供する。特に、本発明は、再現可能な肝転移のマウスモデルを提供し、この肝転移は、哺乳動物(例えば、ヒト)癌細胞をNOGマウスに導入することを含む。
【0041】
NOGマウスは、実験動物中央研究所(CIEA、川崎、日本)で開発され、そしてまた、2001年10月25日に出願された、同時係属中の米国出願番号10/221,549に記載され、その開示全体が、本明細書により参考として明確に援用される。
【0042】
簡単に言えば、異種移植のための改善された動物レシピエントを確立するために、重症複合型免疫不全(SCID)変異とインターロイキン−2Rγ(IL−2Rγ)対立遺伝子変異(γnull)とに対するNOD/SCID/γnull(NOG)マウス二重ホモ接合体を、C57BL/6J−γnullマウスとNOD/Shi−scidマウスとの8回の戻し交配によって作製した。臍帯血液由来のヒトCD34+細胞をこの株に移植した場合、その末梢循環、脾臓および骨髄における移植率は、抗アシアロGM1抗体で処理したNOD/Shi−scidマウスまたはβ2マクログロブリン欠損NOD/Shi−scidマウスよりも有意に高かった。NOD/LtSz−scid(NOD/SCID/β2mnull)マウスは、NOD/SCID/γnullと同様に、完全にNK細胞活性を欠損していた。末梢血液単核細胞が腹腔内に導入された場合、腹水において、ヒト成熟細胞の同様の高い移植率が観察された。上記高い移植率に加えて、複数の系統の細胞分化がまた、観察された。さらに、1×10(2)CD34+細胞は、この株において増殖および分化し得た。これらの結果に基づいて、上記NOD/SCID/γnullマウスは、異種移植(特に、ヒト幹細胞アッセイ)のための優れた動物レシピエントであると記載された。さらなる詳細のためには、例えば、Hiramatsuら、Blood 100:3175−82(2002)を参照のこと。
【0043】
現在、上記NOGマウスは、ヒト癌転移研究のための優れたマウスモデルである。したがって、このモデルは、例えば、抗癌薬物候補および抗転移薬物候補をスクリーニングおよび評価するため、ならびに癌転移に関連する遺伝子の検出/スクリーニングのために使用され得、次いで、転移癌および関連状態(転移癌の遺伝子治療処置を含む)の診断および/または処置における有効性を見出している。
【0044】
本発明のマウスモデルは、任意の種類の転移(肝転移、骨転移、脳転移および肺転移を含む)のモデリングおよび研究のために適切である。転移は、全ての癌の型において生じ、これらの転移としては、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、胃腸の癌、結腸癌、肺癌、肝細胞癌、頚部癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿路の癌、甲状腺癌、腎臓癌、癌腫、黒色腫および脳腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。本発明はヒト膵臓癌の肝転移を分析することによって示されるが、それに制限されない。上記NOGマウスモデルはまた、任意の位置(肝臓、骨、脳および肝臓を含む)における他の型の癌に由来する転移を研究するために使用され得る。
【0045】
異種移植の方法は、当該分野において周知であり、そして以下の実施例1に示される。代表的には、癌細胞は、あらかじめ免疫抑制(例えば、致死量以下の用量の全身放射線照射および/または免疫抑制剤の投与)をして、またはしないで、尾静脈注射によってマウスに移植される。肝転移研究のために、上記癌細胞は、適切な留置カテーテルを用いて、脾臓内(門脈)注射によって上記動物に導入され得る。肺転移は、例えば、例えばWorth and Kleinerman;Clin Exp.Metastasis 17:501−6(1999)に記載されるようなレシピエント動物への腫瘍細胞の静脈内注射によって、確立され得る。上記腫瘍細胞は、腫瘍(癌)細胞株、およびヒトまたは非ヒト被験体から得られた一次腫瘍(例えば、癌)に由来し得る。
【0046】
骨転移を研究するために、ヒト胎児骨またはマウス骨の微視的フラグメントをNOGマウスに移植し得る。2〜3週間後、ヒト腫瘍(癌)細胞株または一次腫瘍(癌)の細胞は、静脈内注射され得るか(コロニー形成アッセイ)または上記移植組織フラグメントに直接注射され得るかのいずれかである。腫瘍転移は、当該分野で公知の方法によってモニタリングされ得、これらの方法としては、種々の画像化技術および組織学的検査が挙げられる。
【0047】
異種腫瘍細胞(細胞株由来かまたは一次腫瘍由来かのいずれか)の異種移植後の薬物スクリーニングのために使用される場合、発達した転移癌を有するNOGマウスは、試験化合物で処置され得、そして薬物処置の結果としてのその転移小節の数、大きさまたは他の特性の任意の変化および上記試験動物の生存可能性は、未処置コントロールおよび/またはポジティブコントロールに対してモニタリングされ、ここで、そのポジティブコントロールは、代表的に、公知の抗転移化合物で処置された動物である。上記試験化合物の投与は、任意の適切な経路(例えば、経口投与、経皮投与、静脈内投与、輸液投与、筋内投与などを含む)によって実施され得る。次いで、このモデルにおいて得られた結果は、追跡的な薬物動態学的、毒物学的、生物化学的および免疫学的な研究、そして最終的にはヒト臨床研究によって、検証され得る。
【0048】
上記NOGマウスモデルはまた、例えばレトロウイルスベクターの門脈輸液による、インビボでの転移小節への標的遺伝子送達を研究するために使用され得る。特に、このNOGモデルは、標的腫瘍転移への遺伝子導入の実行可能性を研究するため、その持続時間および遺伝子発現レベルおよび治療効果の程度をモニタリングするため、投与レジメンおよび/または投与様式を最適化するため、上記遺伝子導入ベクターの非標的組織への播種を研究する(これは、毒性の可能性についての情報を提供する)ためなどに、使用され得る。
【0049】
最も一般的な遺伝子送達は、当該分野で周知の技術により、レトロウイルスベクターを用いて実施される。レトロウイルスは、それらのゲノムとして一本鎖RNA分子を含むエンベロープウイルスである。感染後、上記ウイルスゲノムは、二本鎖DNAへと逆転写され、この二本鎖DNAは、それが発現される宿主ゲノムに組み込まれる。上記ウイルスゲノムは、少なくとも3つの遺伝子を含む:gag(コアタンパク質をコードする)、pol(逆転写酵素をコードする)およびenv(上記ウイルスエンベロープたんぱく質をコードする)。上記ゲノムの各末端には長い末端反復(long terminal repeat)(LTR)があり、この長い末端反復は、プロモーター/エンハンサー領域およびウイルス組込みに関与する配列を含む。さらに、上記env遺伝子において、上記ウイルスDNAおよびRNAスプライシング部位をパッケージングするために必要な配列が存在する。マウスモデルにおいて使用されるレトロウイルスベクターは、最も多くの場合、モロニーマウス白血病ウイルス(Mo−MLV)に基づく。さらに、レンチウイルスは、例えば、実験動物(例えば、NOGマウス)への遺伝子導入のために使用され得る。
【0050】
遺伝子送達はまた、アデノウイルスベクターによって実施され得る。アデノウイルスは、直線状二本鎖DNAゲノムを有する非エンベロープ化正十二面体ウイルスである。アデノウイルスは、細胞表面レセプターと相互作用することによって非分裂細胞に感染し、そしてエンドサイトーシスによって細胞に侵入する。アデノウイルスゲノムは宿主細胞ゲノムに組み込まれ得ないことから、アデノウイルスベクター由来の発現は、一時的である。
【実施例】
【0051】
本発明のさらなる詳細は、以下の非限定的実施例によって示される。
【0052】
(実施例1)
(ヒト膵臓癌の肝転移研究)
(材料および方法)
実験動物中央研究所(CIEA、川崎、日本)から得られた7〜9週齢の雄性NOGマウスおよびNOD/shiJic−scidマウスを、この研究に使用した。上記動物を、CIEAの動物実験の規制のためのガイドライン(the Guideline for the Regulation of Animal Experimentation of CIEA)にしたがって特定の病原体を含まない条件下で維持した。この研究で使用した全てのヒト膵臓細胞株は、American Type Culture Collection(Rockville、MD、USA)から得られた。AsPC−1およびCapan−1のための培養培地は、それぞれ20%および15%の胎児ウシ血清(FBS、Hyclone)を補充した、Dulbecco’s改変イーグル培地(modified Eagle’s medium)(DMEM)であった。MIAPaCa−2およびPANC−1を、10%FBSを補充したDMEMの培養物として維持した。BxPC−3、Capan−2およびPL45を、10%FBSを補充したRPMI1640(SIGMA、Cat.No.D6046またはD5796)の培養物として維持した。これらを、5%COを用いた加湿雰囲気下で、37℃で維持した。実験的肝転移を、既に記載されているように(Khatibら、Cancer Res.62:242−50(2002))、癌細胞の脾臓内/門脈注射によって作製した。上記動物を6〜8週間後に屠殺し、そして事前に固定化することなく、肝転移を直ちに数え上げた。その転移病巣を、以下のスケールで評価した:0=転移病巣なし;1=1〜10の転移病巣;2=11〜20の転移病巣;3=21以上の転移病巣。
【0053】
(結果)
NOGマウスにおける肝転移の発生率および肝病巣の数は、NOD/SCIDマウスにおけるよりもはるかに高かった(表1および図1Aおよび図1B)。上記マウスに1×10細胞を接種し、そして6週間後に屠殺した場合、NOGマウスにおける肝転移の発生率は、以下のとおりであった:
MIAPaCa−2、AsPC−1およびPANC−1 100%;
Capan−1 90%;
BxPC−3 12.5%;および
PL45およびCapan−2 0%。
【0054】
さらに、1×10のMIAPaCa−2細胞、AsPC−1細胞、PANC−1細胞およびCapan−1細胞を接種した場合、NOGマウスの50%〜80%で転移が明らかであり、そして1×10MIAPaCa−2癌細胞、AsPC−1癌細胞およびPANC−1癌細胞を接種した場合でさえ、NOGマウスの37.5%〜71.4%が肝転移を示す。これらのデータは、ヒト膵臓癌細胞株を接種されたNOGマウスにおける肝転移病巣は、用量依存的な様式で再現可能に形成されることを示した。
【0055】
NOGマウスおよびNOD/SCIDマウスにおける肝転移の代表的な顕微鏡視野を、図1Aに示す。MIAPaCa−2細胞、AsPC−1細胞、PANC−1細胞、Capan−1細胞およびBxPC−3細胞を注射されたNOGマウスは、その肝臓において、複数の円形の転移を示した。しかし、これらの細胞株における病巣数は、各細胞株に依存して、広範に異なっていた。7つの膵臓癌細胞株からの5つは、NOGマウスにおいて転移可能性を示し、対照的に、NOD/SCIDマウスは、AsPC−1を除いて、同様の条件下では肝転移を示さなかった。図1AおよびBに示されるように、AsPC−1は、両方のマウス系において転移可能性を示したが、NOGマウスにおける転移の程度は、NOD/SCIDマウスにおけるよりも重篤であった。
【0056】
Kusamaら(Gastroenterology 122:308−17(2002))は、1×10のAsPC−1細胞を注射された胸腺欠損ヌードマウスの100%において、転移病巣が明らかであったことを報告した。これらの発見は、AsPC−1が、高い転移可能性を有する細胞のうちの1つであり得る(ここで、この可能性は、注射された細胞数に依存する)ことを示唆する。
【0057】
Capan−1またはBxPC−3を接種されたNOGマウスの転移発生率は、接種細胞の数の減少とともに消失した。対照的に、NOGマウスに1×10細胞のみを接種した場合でさえ、MIAPaCa−2またはAsPC−1を接種したNOGマウスの50%より多くにおいて、転移発生は明らかであった(表1)。これらの発見は、NOGマウスが、他の免疫欠損マウスモデル、そして特にNOD/SCIDマウスと比較して、非常に優れた転移モデルであることを明示している。
【0058】
ヌードマウスを用いたヒト膵臓癌細胞の肝転移に関する以前の刊行物のほとんどは、百万個より多くの癌細胞の脾臓内接種を報告している(Shishidoら、Surg.Today 29(6):519−25(1999);Nomuraら、Clin.Exp.Metastasis 19:391−9(2002);およびIkedaら、Jpn.J.Cancer Res.81:987−93(1990))。それらの細胞株由来の高転移クローンが確立されているほかは、100%の転移発生の報告はほとんどない。しかし、百万個より多くの癌細胞が、門脈を介して一気に肝臓に侵入し、そして膵臓癌患者において転移病巣を形成することはありそうになく、したがって、現在の転移動物モデルは、代表的なヒト臨床状態の代表とはなっていない。
【0059】
対照的に、NOGマウスは、ヒト膵臓癌の臨床的状態および振舞いを適切に反映する、有効な癌転移モデルを代表する。したがって、NOGマウスにおいて見られる充分に組織されかつ再現可能な肝転移は、ヒト膵臓癌の肝転移研究において有用であり、そして新規抗転移薬物をスクリーニングし、そして開発するための好ましいモデルとなると予想される。
【0060】
マウスNK活性は免疫欠損動物(例えば、ヌードマウス、SCIDマウスおよびヌードNOD/SCIDマウス)において代償的に非常に高く、そして低い速度の腫瘍増殖および癌転移に寄与することが報告された(Shpitzら、Anticancer Res.14(5A):1927−34(1994))。対照的に、Itoら(Blood 100:3221−8(2001))は、NOGマウスは、T細胞、B細胞およびNK細胞を有さず、そしてマクロファージ機能および樹状細胞機能を減少することを報告した。NOGマウスを用いた転移モデルにおいて、癌細胞の転移可能性は、その宿主の免疫系、特にNK活性に対して複雑に作用することなく、検出されることが示唆される。
【0061】
(結論)
提示されたデータは、上記NOD/SCIDγnullマウスモデルが、異種細胞移植に対して高い可能性を有することを実証した。癌細胞の脾臓内(門脈)注射のためにこのモデルを使用すると、ヒト膵臓細胞の信頼性のある肝転移の振舞いが観察された。1×10細胞のみを移植後、6週間のNOGマウスにおいて、7つの細胞株のうちの4つが高い転移可能性(>80%の発生)を示し、研究した細胞株のうちの3つが低い転移可能性(<20%の発生)を示した。さらに、高転移可能性細胞株の1×10細胞を接種した場合でさえ、NOGマウスにおいて肝転移が明らかであった。したがって、癌細胞の転移能力は、3対数オーダーの規模全体に広がる広範囲の接種細胞数で実証された。上記結果はまた、上記NOGマウスモデルが、癌転移研究のための最適な動物モデルであると現在考えられているNOD/SCIDモデルよりも、明らかに優れていることを示す。
【0062】
(実施例2)
(cDNAマイクロアレイにおける癌転移関連遺伝子の検出)
(材料および方法)
ヒト膵臓腫瘍細胞株であるMIAPaCa−2、Panc1、Capan2およびPL45(ATCCから入手可能)を、実施例1に記載の方法にしたがって培養した。全RNAを、TRIZOL試薬(GIBCO BRL)を用いて、コンフルエントなそれらの細胞の培養物から抽出した。Cy−3標識されたcDNAプローブを、Atlas human 1K specific primer set(BD)、PowerScript labeling kit(BD)およびCy−3蛍光色素(Amersham)を用いて、20μGの全RNAから合成した。次いで、上記プローブを、製造業者の指示書にしたがって、Altas Glass Human 1.0 Microarray(BD)にハイブリダイズした。
【0063】
上記膵臓腫瘍細胞株のうちの示差的に発現された遺伝子を、Altas Glass Human 1.0 Microarray(BD)を用いて包括的に調査した。上記Cy−3標識されたシグナルを検出および入手し、そしてaGM418アレイスキャナー(Takara)によって対応する画像を分析した。データ処理を、Imagene Version 5.5ソフトウェアを用いて実行した。この実験において、発明者らは、それらの転移可能性に基づいてヒト膵臓腫瘍細胞株を2つの群に分類した。MIAPaCa−2細胞株およびPanc1細胞株を高転移性群に分類し、他方の細胞株であるCapan2およびPL45を、非転移性群に分類した。発現プロフィールを比較するために、「高転移性群」アレイからのシグナル値の平均を、「非転移性群」アレイからのシグナル値の平均で割った。生じた値を「遺伝子発現レベル」と呼び、ここで、10倍の差および10倍の差より高い値を有意と見なした。
【0064】
(結果)
各細胞株の遺伝子発現プロフィールを、EXCELファイル(ArrayData.xcl)に記録した。上記非転移性細胞株(Capan2およびPL45)と比較して上記高転移性細胞株(MIAPaCa−2およびPanc1)において過剰発現した遺伝子、ならび上記非転移性細胞株と比較して上記高転移性細胞株において低く発現した遺伝子を、表2に列挙する。例えば、ブチレート応答因子1遺伝子(BRF1)は、上記非転移性群の細胞においてよりも、上記高転移性群の癌細胞において100,000倍より多く発現した。対照的に、トランスデューシン(transducing)β2サブユニット遺伝子の100,000倍より多くの過剰発現は、上記非転移性群の細胞において見られた。
【0065】
表2に示されるように、以下の遺伝子は、非転移性細胞と比較して、高転移性細胞において有意に過剰発現する:TIS1 1Bタンパク質;前立腺分化因子(PDF);糖タンパク質ホルモンα−サブユニット;トロンボポエチン(THPO);manic fringeホモロジー(MFNG);補体成分5(C5);jaggedホモログ1(JAG1);インターロイキンエンハンサー結合因子(ILF);PCAF関連因子65α;インターロイキン−12α−サブユニット(IL−12−α);核内呼吸性因子1(NRF1);幹細胞因子(SCF);転写因子リプレッサータンパク質(PRDI−BF1);および低分子誘導性サイトカインサブファミリーAメンバー1(SCYA1)。
【0066】
表2に示されるように、以下の遺伝子は、非転移性細胞と比較して、高転移性細胞において有意に低く発現する:トランスデューシンβ2サブユニット;チャイニーズハムスター細胞のX線修復性欠損補完性修復1;推定腎臓有機アニオン輸送体1;G1/S特異的サイクリンE(CCNE);レチノイン酸レセプターγ(RARG);S−100カルシウム結合タンパク質A1;中性アミノ酸輸送体A(SATT);ドーパクロムトートメラーゼ;ets転写因子(NERF2);カルシウム依存性カリウムチャネルβ−サブユニット;CD27BP;ケラチン10;6−O−メチルグアニン−DNA−メチルトランスフェラーゼ(MGMT);色素性乾皮症A群補完性タンパク質(XPA);CDC6関連タンパク質;細胞分裂プロテインキナーゼ4;ノシセプチンレセプター;シトクロムP450 XXVIIB1;N−mycプロトオンコジーン;溶質キャリアーファミリーメンバー1(SLC2A1);膜関連キナーゼmyt1;カスパー、FADD関連性かつカスパーゼ関連性のアポトーシス誘発因子;およびC−srcプロトオンコジーン。
【0067】
列挙された遺伝子および他の遺伝子の示差的な発現は、例えば、薬物スクリーニングにおいて、抗癌薬物候補および/または抗転移薬物候補を試験するために、そして診断目的および治療目的のために、例えば、遺伝子導入アプローチを用いて使用され得る。
【0068】
本明細書中に引用される全ての参考文献は、本明細書により、それらの全体が参考として明確に援用される。
【0069】
本発明は、特定の実施形態によって示されるが、それに限定されない。当業者は、本発明の作用を実質的に変更することなく、種々の改変が可能であることを理解する。したがって、例えば、本明細書中に記載されるマウスモデルは、他の等価な動物モデル(特に、げっ歯類、例えば、ラット)で置換され得る。全てのこのような改変は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0070】
【表1−1】

【0071】
【表1−2】

【0072】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1A】図1AおよびBは、1×10、1×10および1×10細胞の記載した膵腺腫細胞株(MIAPaCa−2、AsPC−1、PANC−1、Capan−1およびBxPC−3)接種後のNOGマウスにおける、肝転移の発生および肝病巣の数を示す。
【図1B】図1AおよびBは、1×10、1×10および1×10細胞の記載した膵腺腫細胞株(MIAPaCa−2、AsPC−1、PANC−1、Capan−1およびBxPC−3)接種後のNOGマウスにおける、肝転移の発生および肝病巣の数を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍転移を試験するための方法であって、以下の工程:
(a)転移性腫瘍または腫瘍細胞株由来の腫瘍細胞を、NOD/SCID/γnull変異を含むげっ歯類に接種する工程、および
(b)腫瘍転移の発生をモニタリングする工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記げっ歯類がNOD/SCID/γnullマウスである、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記腫瘍が癌である、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記癌が、膵臓癌、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌、胃腸の癌、結腸癌、肺癌、肝細胞癌、頚部癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿路の癌、甲状腺癌、腎臓癌、癌腫、黒色腫、および脳腫瘍からなる群より選択される、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記転移が、肝転移、骨転移、脳転移、および肺転移からなる群より選択される、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記転移が肝転移である、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記癌が、膵臓癌、乳癌、結腸直腸癌、および胃腸の癌からなる群より選択される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が、転移性腫瘍細胞株由来である、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記腫瘍細胞株が、高度に転移性の腫瘍細胞株である、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、前記癌が膵臓癌であり、前記腫瘍細胞株が、MIAPaCa−2、AsPC−1、PANC−1、Capan−1、およびBxPC−3からなる群より選択される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記腫瘍細胞株が、MIA_aCa−2、AsPC−1、およびPANC−1からなる群より選択される、方法。
【請求項12】
請求項2に記載の方法であって、前記腫瘍細胞が、門脈注射によって前記マウスに接種される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、少なくとも約1×10細胞が接種される、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、少なくとも約1×10細胞が接種される、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、少なくとも約1×10細胞が接種される、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、前記腫瘍転移の発生が、形成された転移小節の様子および数を観察することによってモニタリングされる、方法。
【請求項17】
候補抗転移化合物を試験するための方法であって、以下:
(a)該候補化合物を、発生した腫瘍転移を有する、NOD/SCID/γnull変異を含むげっ歯類に投与する工程、および
(b)該腫瘍転移に対する該候補化合物の効果をモニタリングする工程、
を包含する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記げっ歯類が、NOD/SCID/γnullマウスである、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記転移が、肝転移である、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記NOD/SCID/γnullマウスが、転移性癌細胞株を用いた接種の結果として発生した肝転移を有する、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記転移性癌細胞株が、膵臓癌細胞株、前立腺癌細胞株、乳癌細胞株、結腸直腸癌細胞株、胃腸の癌の細胞株、結腸癌細胞株、肺癌細胞株、肝細胞癌細胞株、頚部癌細胞株、卵巣癌細胞株、肝臓癌細胞株、膀胱癌細胞株、尿路の癌の細胞株、甲状腺癌細胞株、腎臓癌細胞株、癌腫細胞株、黒色腫細胞株および脳腫瘍細胞株からなる群より選択される、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記癌細胞株が、転移性膵臓腺癌細胞株である、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記転移性膵臓腺癌細胞株が、MIAPaCa−2、AsPC−1、PANC−1、Capan−1、およびBxPC−3からなる群より選択される、方法。
【請求項24】
請求項18に記載の方法であって、前記試験化合物が、経口投与される、方法。
【請求項25】
請求項18に記載の方法であって、前記試験化合物が、静脈内投与される、方法。
【請求項26】
請求項18に記載の方法であって、前記試験化合物が、ペプチド、ポリペプチド、抗体、および非ペプチド低分子からなる群より選択される、方法。
【請求項27】
方法であって、以下:
(a)NOD/SCID/γnullマウスに外来遺伝子を導入する工程、および
(b)該マウスにおける該遺伝子の発現をモニタリングする工程、
を包含する、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記外来遺伝子がウイルスベクターによって導入される、方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記外来遺伝子が、腫瘍転移において示差的に発現される遺伝子である、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記腫瘍転移が、肝転移である、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記肝転移が、膵臓癌の転移である、方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法であって、前記外来遺伝子が、TIS1 1Bタンパク質;前立腺分化因子(PDF);糖タンパク質ホルモンα−サブユニット;トロンボポエチン(THPO);manic fringeホモロジー(MFNG);補体成分5(C5);jaggedホモログ1(JAG1);インターロイキンエンハンサー結合因子(ILF);PCAF関連因子65α;インターロイキン−12α−サブユニット(IL−12−α);核内呼吸性因子1(NRF1);幹細胞因子(SCF);転写因子リプレッサータンパク質(PRDI−BF1);および低分子誘導性サイトカインサブファミリーAメンバー1(SCYA1)からなる群より選択される、方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、前記外来遺伝子が、トランスデューシンβ2サブユニット;チャイニーズハムスター細胞のX線修復性欠損補完性修復1;推定腎臓有機アニオン輸送体1;G1/S特異的サイクリンE(CCNE);レチノイン酸レセプターγ(RARG);S−100カルシウム結合タンパク質A1;中性アミノ酸輸送体A(SATT);ドーパクロムトートメラーゼ;ets転写因子(NERF2);カルシウム依存性カリウムチャネルβ−サブユニット;CD27BP;ケラチン10;6−O−メチルグアニン−DNA−メチルトランスフェラーゼ(MGMT);色素性乾皮症A群補完性タンパク質(XPA);CDC6関連タンパク質;細胞分裂プロテインキナーゼ4;ノシセプチンレセプター;シトクロムP450 XXVIIB1;N−mycプロトオンコジーン;溶質キャリアーファミリーメンバー1(SLC2A1);膜関連キナーゼmyt1;カスパー、FADD関連性かつカスパーゼ関連性のアポトーシス誘発因子;ならびにC−srcプロトオンコジーンからなる群より選択される、方法。
【請求項34】
請求項29に記載の方法であって、前記マウスを候補抗転移化合物で処置する工程、および該処置の結果としての前記遺伝子もしくはその発現産物の発現レベルをモニタリングする工程を、さらに包含する、方法。
【請求項35】
請求項32または33に記載の方法であって、前記マウスを候補抗肝転移化合物で処置する工程、および該処置の結果としての前記遺伝子もしくはその発現産物の発現レベルをモニタリングする工程を、さらに包含する、方法。
【請求項36】
固体支持体上に固定化された少なくとも一つの遺伝子またはその発現産物を含むアレイであって、該遺伝子は、以下:
TIS1 1Bタンパク質;前立腺分化因子(PDF);糖タンパク質ホルモンα−サブユニット;トロンボポエチン(THPO);manic fringeホモロジー(MFNG);補体成分5(C5);jaggedホモログ1(JAG1);インターロイキンエンハンサー結合因子(ILF);PCAF関連因子65α;インターロイキン−12α−サブユニット(IL−12−α);核内呼吸性因子1(NRF1);幹細胞因子(SCF);転写因子リプレッサータンパク質(PRDI−BF1);低分子誘導性サイトカインサブファミリーAメンバー1(SCYA1);トランスデューシンβ2サブユニット;チャイニーズハムスター細胞のX線修復性欠損補完性修復1;推定腎臓有機アニオン輸送体1;G1/S特異的サイクリンE(CCNE);レチノイン酸レセプターγ(RARG);S−100カルシウム結合タンパク質A1;中性アミノ酸輸送体A(SATT);ドーパクロムトートメラーゼ;ets転写因子(NERF2);カルシウム依存性カリウムチャネルβ−サブユニット;CD27BP;ケラチン10;6−O−メチルグアニン−DNA−メチルトランスフェラーゼ(MGMT);色素性乾皮症A群補完性タンパク質(XPA);CDC6関連タンパク質;細胞分裂プロテインキナーゼ4;ノシセプチンレセプター;シトクロムP450 XXVIIB1;N−mycプロトオンコジーン;溶質キャリアーファミリーメンバー1(SLC2A1);膜関連キナーゼmyt1;カスパー、FADD関連性かつカスパーゼ関連性のアポトーシス誘発因子;ならびにC−srcプロトオンコジーン
からなる群より選択される、アレイ。
【請求項37】
請求項36に記載のアレイであって、以下の遺伝子:
TIS1 1Bタンパク質;前立腺分化因子(PDF);糖タンパク質ホルモンα−サブユニット;トロンボポエチン(THPO);manic fringeホモロジー(MFNG);補体成分5(C5);jaggedホモログ1(JAG1);インターロイキンエンハンサー結合因子(ILF);PCAF関連因子65α;インターロイキン−12α−サブユニット(IL−12−α);核内呼吸性因子1(NRF1);幹細胞因子(SCF);転写因子リプレッサータンパク質(PRDI−BF1);低分子誘導性サイトカインサブファミリーAメンバー1(SCYA1)
の全て、またはそれらの発現産物の全てを含む、アレイ。
【請求項38】
請求項36に記載のアレイであって、以下の遺伝子:
トランスデューシンβ2サブユニット;チャイニーズハムスター細胞のX線修復性欠損補完性修復1;推定腎臓有機アニオン輸送体1;G1/S特異的サイクリンE(CCNE);レチノイン酸レセプターγ(RARG);S−100カルシウム結合タンパク質A1;中性アミノ酸輸送体A(SATT);ドーパクロムトートメラーゼ;ets転写因子(NERF2);カルシウム依存性カリウムチャネルβ−サブユニット;CD27BP;ケラチン10;6−O−メチルグアニン−DNA−メチルトランスフェラーゼ(MGMT);色素性乾皮症A群補完性タンパク質(XPA);CDC6関連タンパク質;細胞分裂プロテインキナーゼ4;ノシセプチンレセプター;シトクロムP450 XXVIIB1;N−mycプロトオンコジーン;溶質キャリアーファミリーメンバー1(SLC2A1);膜関連キナーゼmyt1;カスパー、FADD関連性かつカスパーゼ関連性のアポトーシス誘発因子;ならびにC−srcプロトオンコジーン
の全て、またはそれらの発現産物の全てを含む、アレイ。
【請求項39】
被験体における腫瘍転移の可能性を予測するための方法であって、以下:
(a)該被験体から得られた、癌細胞を含む生物学的サンプルにおいて、1以上のRNA転写物もしくはそれらの発現産物の発現レベルを決定する工程;および
(b)該遺伝子の一以上が、対応する同じ細胞型の正常細胞の発現レベルに対して発現レベルの上昇を示す場合、転移の可能性の増加を予測する工程、
を包含し、ここで、該RNA転写物は、以下:
TIS1 1Bタンパク質;前立腺分化因子(PDF);糖タンパク質ホルモンα−サブユニット;トロンボポエチン(THPO);manic fringeホモロジー(MFNG);補体成分5(C5);jaggedホモログ1(JAG1);インターロイキンエンハンサー結合因子(ILF);PCAF関連因子65α;インターロイキン−12α−サブユニット(IL−12−α);核内呼吸性因子1(NRF1);幹細胞因子(SCF);転写因子リプレッサータンパク質(PRDI−BF1);低分子誘導性サイトカインサブファミリーAメンバー1(SCYA1);トランスデューシンβ2サブユニット;チャイニーズハムスター細胞のX線修復性欠損補完性修復1;推定腎臓有機アニオン輸送体1;G1/S特異的サイクリンE(CCNE);レチノイン酸レセプターγ(RARG);S−100カルシウム結合タンパク質A1;中性アミノ酸輸送体A(SATT);ドーパクロムトートメラーゼ;ets転写因子(NERF2);カルシウム依存性カリウムチャネルβ−サブユニット;CD27BP;ケラチン10;6−O−メチルグアニン−DNA−メチルトランスフェラーゼ(MGMT);色素性乾皮症A群補完性タンパク質(XPA);CDC6関連タンパク質;細胞分裂プロテインキナーゼ4;ノシセプチンレセプター;シトクロムP450 XXVIIB1;N−mycプロトオンコジーン;溶質キャリアーファミリーメンバー1(SLC2A1);膜関連キナーゼmyt1;カスパー、FADD関連性かつカスパーゼ関連性のアポトーシス誘発因子;ならびにC−srcプロトオンコジーン
からなる群より選択される、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、前記被験体がヒト患者である、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2007−527216(P2007−527216A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518659(P2006−518659)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019697
【国際公開番号】WO2005/013682
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(390016470)財団法人実験動物中央研究所 (12)
【出願人】(506011272)
【Fターム(参考)】