説明

腰部負担軽減用具

【課題】歩行が容易で、階段の昇降に支障をきたさない腰部負担軽減用具を提供すること。
【解決手段】使用者が背負って背中に装着したとき同使用者の腰部にて後方に突出する突出部11を一体に設けた硬質のフレーム10、同使用者がその両足の下肢部分に装着する左右一対の下肢サポータ20と、これらの下肢サポータにその一端をそれぞれ連結した伸縮自在な左右一対の弾力性連結具(ゴムバンド)30,30と、これら弾力性連結具の各他端部にその両端を連結して前記フレームの突出部に左右方向へ移動自在に支持されるロープ40とにより構成され、前記使用者が前記フレームをその背中に装着し前記下肢サポータ20をその両足の下肢部分に装着した状態にて前記弾力性連結具とロープにより前記下肢サポータを前記フレームの突出部にそれぞれ連結して使用される腰部負担軽減用具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰に負担のかかる作業を行う作業者が使用して腰痛に罹らないようにするのに適した腰部負担軽減用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献においては、介護者等の使用者が背負って背中に装着したとき同使用者の腰部にて後方に突出する突出部を一体に設けた硬質のフレームと、同使用者がその両足の下肢部分に装着する左右一対の下肢脱着具と、これらの下肢脱着具を前記フレームの突出部に伸縮自在に連結する左右一対の弾力性連結具とにより構成され、前記使用者が前記フレームをその背中に装着し前記下肢脱着具をその両足の下肢部分に装着した状態にて前記弾力性連結具により前記下肢脱着具を前記フレームの突出部にそれぞれ連結して使用される腰部負担軽減用具が開示されている。
【0003】
上記のように構成した腰部負担軽減用具は、介護者等の使用者がその背中に密着する形態に形成した剛性のフレームをリュックサックのように背負って着用し、同使用者がその両足の下肢部分に装着した左右一対の下肢脱着具を伸縮可能な弾力性連結具により前記フレームの突出部にそれぞれ連結して使用されるもので、当該使用者が前方に屈み込んで患者を抱き上げて起立したり、或いは重量物を持ち上げて起立したりするとき、弾力性連結具の復元力により同使用者の起立を助勢する曲げモーメントが発生し、これにより使用者の腰に加わる負担が軽減される。
【特許文献1】特開2005−192764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の腰部負担軽減用具は、弾力性連結具を構成する各ゴムチューブ等の伸縮可能な連結部材の長さを適宜に調節すれば、使用者の起立動作を助勢する曲げモーメントを発生させて同使用者の腰に加わる負担を軽減する機能を果たすので、腰痛の防止に極めて有用である。 しかしながら、この腰部負担軽減用具を着用して歩行する場合には、上記の弾力性連結具に生じる緊張力が左右の足に不均衡にかかるため、歩幅が狭くなって歩行が困難になり、階段の昇降が危険になったり、膝への締付が強くなって痛みが生じたり、肩と胸が圧迫されるなどの難点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の難点をなくすため、使用者が背負って背中に装着したとき同使用者の腰部にて後方に突出する突出部を一体に設けた硬質のフレームと、同使用者がその両足の下肢部分に装着する左右一対の下肢サポータと、これらの下肢サポータにその一端をそれぞれ連結した伸縮自在な左右一対の弾力性連結具と、これら弾力性連結具の各他端部にその両端を連結して前記フレームの突出部に左右方向へ移動自在に支持されるロープとにより構成され、前記使用者が前記フレームをその背中に装着し前記下肢サポータをその両足の下肢部分に装着した状態にて前記弾力性連結具とロープにより前記下肢サポータを前記フレームの突出部にそれぞれ連結して使用される腰部負担軽減用具を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した本発明による腰部負担軽減用具の使用においては、使用者の歩行時に前記ロープが前記フレームの突出部にて同使用者の足の運びに応じて左右方向に移動するため、同使用者の両足にかかる前記弾力性連結具の緊張力が均衡する。これにより、肩や胸に圧迫を受けることなく、歩行が容易になり、階段の昇降時に支障がなくなる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。図1に示したように、本発明による腰部負担軽減用具は、使用者が背負って背中に装着したとき同使用者の腰部にて後方に突出する突出部11を一体に設けた剛性のフレーム10と、同使用者がその両足の下肢部分に装着する左右一対の下肢サポータ20、20と、これらの下肢サポータ20、20にその一端をそれぞれ連結した伸縮自在な左右一対の弾力性連結具30,30と、これら弾力性連結具30,30の各他端部にその両端を連結して前記フレームの突出部11に左右方向へ移動自在に支持されるロープ40とにより構成されている。
【0008】
フレーム10は、使用者の背中に密着する形態に形成された硬質合成樹脂製の枠体12に化学繊維製のメッシュ13を張設してなり、同枠体12の上部には上方張出部14と下方張出部15が形成され、同枠体12の下端部分が後方に突出する突出部11として形成されている。このフレーム10はその上方張出部14と左右両側部に肩バンド16,16を取付けて使用されるもので、使用者がその両肩に肩バンド16,16を掛けて、図2の(a)と(b)に示したとおり、リュックサックのように背負って装着される。
【0009】
各下肢サポータ20は、その内面にマジックテープ(登録商標)を取付けたもので、図2の(a)と(b)に示したように、使用者が両足の各膝関節の下に巻き付けて固定される。
【0010】
各弾力性連結具30は、一端を下肢サポート20に連結したゴムバンドであって、その他端にロープ40の各端部が連結されている。
ロープ40はナイロン製ロープであって、図3に示したように、フレーム10の突出部11の左右両側に取付けたロープガイド32,32を介して同突出部11の左右両側に取付けた滑車33、33に掛けられてその両端に左右の下肢サポータ20に連結した上記ゴムバンド30が連結されている。このロープ40は、図1の図示右側に位置する中間部に取付けたラチェットストッパー付ローラを有する長さ調整具41によってその長さを調節できるようになっている。
【0011】
上記の腰部負担軽減用具は、図2の(a)、(b)に示したように、使用者が肩バンド16,16をその両肩にかけてフレーム10をリュックサックのように背負った状態にて、同使用者がその両足の各膝関節の下に各下肢サポータ20を巻き付けて起立することにより装着される。この場合、ロープ40の長さは調整具41によって使用者の体格に応じて調節される。このように本発明の腰部負担軽減用具を装着した状態にて当該使用者が歩行すると、その足の運びに応じて左右のゴムバンド30,30にその両端を連結したロープ40が、図3に示したように左右に移動する。このため、使用者の両足にかかるゴムバンド30,30の緊張力が均衡し、同使用者の歩行が容易になり、階段の昇降に支障をきたすことがない。
【0012】
また、図4に示したように、当該使用者が屈み込んで患者を抱き起こしたり、重量物を持ち上げたりするときには、フレーム10の突出部11が上方に突出するため左右のゴムバンド30,30が引っ張られてその反発力により使用者の起立を助勢する曲げモーメントが生じる。これにより、当該使用者の腰にかかる負担が軽減される。
【0013】
本発明の実施にあたっては、上記の腰部負担軽減用具を構成するフレーム10の形態、剛性、材質などを使用者の体形に応じて適宜に変更したり、弾力性連結具30を構成するゴムバンド30を伸縮自在な他の弾性材に代えたり、或いは、ロープ40を左右の滑車33,33によって支持する代わりにフレーム10の突出部11の内面に横方向に形成した断面U字状の滑り面により支持してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の腰部負担軽減用具の斜視図
【図2】図1に示した腰部負担軽減用具の装着状態を示す斜視図
【図3】図1に示した腰部負担軽減用具の部分拡大図
【図4】図1に示した腰部負担軽減用具の使用状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0015】
10・・フレーム、11・・突出部、20・・下肢サポータ、30・・・弾力性連結具(ゴムバンド)、33・・滑車、40・・ロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が背負って背中に装着したとき同使用者の腰部にて後方に突出する突出部を一体に設けた硬質のフレームと、同使用者がその両足の下肢部分に装着する左右一対の下肢サポータと、これらの下肢サポータにその一端をそれぞれ連結した伸縮自在な左右一対の弾力性連結具と、これら弾力性連結具の各他端部にその両端を連結して前記フレームの突出部に左右方向へ移動自在に支持されるロープとにより構成され、前記使用者が前記フレームをその背中に装着し前記下肢サポータをその両足の下肢部分に装着した状態にて前記弾力性連結具とロープにより前記下肢サポータを前記フレームの突出部にそれぞれ連結して使用される腰部負担軽減用具。
【請求項2】
前記弾力性連結具として、一端を前記下肢サポータにそれぞれ連結し他端を前記ロープの各端部に連結したゴムバンドを採用したことを特徴とする請求項1に記載の腰部負担軽減用具。
【請求項3】
前記ロープが前記フレームの突出部の左右両側に取付けた滑車に掛けて支持されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の腰部負担軽減用具。
【請求項4】
前記フレームを、使用者の背中に密着する形態に形成した硬質の枠体にメッシュを張設し、同枠体の下端部分に前記突出部を一体に形成して構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載した腰部負担軽減用具。
【請求項5】
前記フレームを、使用者の背中に密着する形態に形成した硬質の枠体にメッシュを張設し、同枠体の上部に肩バンドが取付けられる上方張出部と使用者の背中に密着する下方張出部を形成し、同枠体の下端部分に前記突出部を一体に形成して構成したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載した腰部負担軽減用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−29480(P2010−29480A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195347(P2008−195347)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(597093894)旭ゴム化工株式会社 (11)
【Fターム(参考)】