腱板不全断裂を修復するための二重カニューレシステム及び方法
【課題】腱板不全断裂の修復を行うシステム及び方法を提供する。
【解決手段】骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、軟組織に通してアンカー受容サイトの骨の中に位置決めワイヤを通過させる工程と、内部/外部カニューレシステムを、位置決めワイヤの上に通す工程であって、その内部/外部カニューレシステムが、内部カニューレであって、鋭い遠位端と位置決めワイヤを収容するように寸法設定された内部カニューレを通る軸方向ルーメンとを有する、内部カニューレと、外部カニューレであって、遠位端と、内部カニューレを収容するように寸法設定されかつ内部カニューレを同軸で収容する、外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有し、遠位端は、徐々に増加する輪郭を示すようにその場所でテーパ形状となっており、内部カニューレの遠位先端部が、外部カニューレの遠位端の末端部を越えて遠位側に延びる外部カニューレとを含む工程を含む。
【解決手段】骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、軟組織に通してアンカー受容サイトの骨の中に位置決めワイヤを通過させる工程と、内部/外部カニューレシステムを、位置決めワイヤの上に通す工程であって、その内部/外部カニューレシステムが、内部カニューレであって、鋭い遠位端と位置決めワイヤを収容するように寸法設定された内部カニューレを通る軸方向ルーメンとを有する、内部カニューレと、外部カニューレであって、遠位端と、内部カニューレを収容するように寸法設定されかつ内部カニューレを同軸で収容する、外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有し、遠位端は、徐々に増加する輪郭を示すようにその場所でテーパ形状となっており、内部カニューレの遠位先端部が、外部カニューレの遠位端の末端部を越えて遠位側に延びる外部カニューレとを含む工程を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、腱板不全断裂の修復を行うシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肩の腱板のPASTA(腱板関節面不全断裂(Partial Articular Surface Tendon Avulsion))病変は、特に修復が困難であり得る。腱板は、肩を包囲する筋肉群と、これら筋肉を上腕頭に付着させる腱とを含む。腱は上腕頭に付着するフットプリントを有し、PASTA病変では、腱のフットプリントの一部分が上腕頭から剥離する。かかる病変は、棘上筋腱上に見られることが最も多い。
【0003】
治療法の1つの選択肢は、全層断裂のための標準的な技術を用いて断裂を完了させ、かつ修復することである。したがって、既存の付着の温存は失われ、全腱を再付着させなければならない。別の選択肢は、ねじ式の縫合糸アンカーを腱を通過させて上腕頭の中にねじ込み、縫合糸を腱に通過させ、腱を縛り付けて再付着させることを含む。これは、腱に更なる外傷をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、PASTA病変を修復するためのシステム及び方法を提供し、これは、縫合糸アンカーが腱を通過する際の腱への外傷を最小限に抑えることによって、既存の治療法の選択肢を越えた利点を提供する。本発明による軟組織横断アンカー移植システムは、位置決めワイヤと、カニューレシステムと、縫合糸アンカーとを含む。位置決めワイヤは、組織を穿通する遠位先端部を有する。軟組織を通過するためのカニューレシステムは、鋭い遠位先端部と、位置決めワイヤを収容するように寸法設定された内部カニューレを通る軸方向ルーメンと、近位端と、を有する内部カニューレと、遠位端と、近位端と、内部カニューレを収容するように寸法設定され、かつ内部カニューレを同軸で収容する、外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有する外部カニューレと、を含む。外部カニューレの遠位端は、徐々に増加する輪郭を示すテーパ形状であり、内部カニューレの遠位先端部は、カニューレシステムが組織を通過するときに、組織を貫通する開口部をより穏やかに広げかつ拡張するように、外部カニューレの遠位端の末端部を越えて遠位側に延びる。縫合糸アンカーは、外部カニューレルーメンを通り抜けるように寸法設定される。縫合糸アンカーは、縫合糸アンカーに取り付けられる、ある長さの縫合糸を有するのが好ましい。
【0005】
好ましくは、位置決めワイヤは非平滑化された外表面を含む。
【0006】
好ましくは、外部カニューレ及び内部カニューレは、摺動分離を防止するために係合する。本発明の一態様において、係止部は摩擦である。
【0007】
好ましくは、外部カニューレは深度を示すしるしを有する。
【0008】
本発明の一態様において、システムには、骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、軟組織に通して、アンカー受容サイトの骨の上又は中に位置決めワイヤを通過させる工程と、位置決めワイヤの上にカニューレシステムを通す工程と、内部カニューレ及び位置決めワイヤを除去する工程と、縫合糸アンカーを外部カニューレに通して、アンカーサイトの骨の中に縫合糸アンカーを駆動する工程と、を含む使用説明書が備わっている。
【0009】
本発明による方法は、縫合糸アンカーを軟組織を通して骨の中まで通過させる。この方法は、骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、軟組織に通して、アンカー受容サイトの骨の上又は中に位置決めワイヤを通過させる工程と、内部/外部カニューレシステムを、位置決めワイヤの上に通す工程であって、その内部/外部カニューレシステムが、内部カニューレであって、テーパ形状の鋭い遠位先端部と、位置決めワイヤを収容するように寸法設定された内部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有する、内部カニューレと、外部カニューレであって、遠位端と、内部カニューレを収容するように寸法設定され、かつ内部カニューレを同軸で収容する、外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有し、遠位端は、徐々に増加する輪郭を示すようにその場所でテーパ形状となっており、内部カニューレの遠位先端部が外部カニューレの遠位端の末端部を越えて遠位側に延びる、外部カニューレと、を含む、工程と、軟組織を貫通する開口部を形成するために内部カニューレの鋭い遠位先端部を軟組織に通す工程と、開口部を拡張し、かつ外部カニューレが通過する際の組織の除去、切断、及び妨害を最小限に抑えるために、外部カニューレのテーパ形状の遠位端を開口部に通す工程と、内部カニューレ及び位置決めワイヤを除去する工程と、縫合糸アンカーを外部カニューレに通して、アンカーサイトの骨の中に縫合糸アンカーを駆動する工程と、を含む。
【0010】
好ましくは、内部カニューレ及び外部カニューレを軟組織を通す工程の間、これらは固定して互いに係合される。好ましくは、1つ以上の縫合糸、又は単一縫合糸の複数のリムが、縫合糸アンカーから軟組織に通される。例えば、縫合糸アンカーから出ている一対の縫合糸リムを2つの異なる位置において軟組織に通すことができ、次に、骨に対して軟組織を保持するためにそれらを互いに取り付ける。
【0011】
本発明の一態様において、軟組織は、PASTA病変を有する回旋腱板などの腱を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による縫合糸アンカーの斜視図。
【図2】駆動装置に搭載された図1の縫合糸アンカーの側面図。
【図3】図1の縫合糸アンカーの頂面図。
【図4】Kワイヤが腱を通って縫合糸アンカーを定置するのに適した位置まで挿入されているところを示す、上腕骨、及びPASTA病変を患う関連回旋腱板腱の側面図。
【図5】カニューレシステムが腱を通ってKワイヤの上を通るところを示す、図4の腱の側面図。
【図6】図5のカニューレシステムの斜視図。
【図7】駆動装置に搭載された縫合糸アンカーを、カニューレシステムの外側部を介して腱を通過させる、図4の腱の側面図。
【図8】縫合糸アンカーが腱の下の上腕骨の中に埋め込まれ、縫合糸のリムが縫合糸アンカーから前方のカニューレの外へ出ているところを示す、図4の腱の側面図。
【図9】脊髄針が腱の上の位置を通過し、かつ縫合糸回収装置が脊髄針を通って前方のカニューレの外へ出ているところを示す、図4の腱の側面図。
【図10】両方の縫合糸リムが縫合糸アンカーから出て腱の異なる位置を貫通しているところを示す、図4の腱の側面図。
【図11】腱を上腕骨に押し付けてPASTA病変を修復するために縫合糸リムが結ばれているところを示す、図4の腱の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明による縫合糸アンカー10を示している。縫合糸アンカー10は、尖った遠位先端部14と近位端16とを有する細長い本体12を含む。軸方向通路18は、近位端16から本体12の中に延びる。通路18はその側面20に沿って開口している。ねじ山22が本体12を取り囲んでいる。縫合糸ブリッジ24は、その遠位部26において通路18に横方向に広がっている。
【0014】
ここで図2及び図3を参照すると、挿入具28は通路18に嵌入する。縫合糸30の長さは縫合糸ブリッジ24を周回して、挿入具28上の長手方向溝32の中に受容される。図3に最も良く示されるように、近位端16における通路18の断面形状は、本質的に六角形34であり、その対向隅部に一対の縫合糸通路36を備えている。縫合糸通路36は、縫合糸ブリッジ24の両側に通じている。挿入具28は六角形34に嵌合するように相補型形状を有し、その溝32はアンカー10の縫合糸通路36と一直線上にある。
【0015】
縫合糸通路36が本体12から透けて見え、ねじ山22を除いた通路18を開放して示されている縫合糸アンカー10は、通過する軟組織に与える外傷を最小にするためにその断面積を最小限に抑えているが、駆動装置28が縫合糸アンカー10を骨の中に駆動するのに十分なだけの機械的強度を有する。骨内での更なる固定強度が必要な場合は、アンカー10の断面積を大きくすることが可能であり、その場合、縫合糸通路36は必ずしも本体12を横方向に貫通する必要はない。アンカー10は、ステンレス鋼、チタン、コバルト・クロム、PEEK(ポリアリールエーテルエーテルケトン)、その他の生体適合性ポリマー、高分子セラミック複合材料、生体吸収性高分子等などの任意の好適な生体適合性材料から形成されることができる。
【0016】
図4〜図10は、図1の縫合糸アンカー10を使用してPASTA病変を修復するための手順を示す。図4に示されるように、経皮的に又は関節鏡視的にのいずれかで、キルシュナー鋼線(Kワイヤ)38が、第1の位置39において、腱板の腱40を通してその付着フットプリント44の下の所望のアンカー部位42まで挿入されて、関連上腕頭46の上に位置決めされる。Kワイヤ38は部位42にタップインされることができ、又は部位42に位置決めされるだけであることができる。Kワイヤ38の操作を簡単にするために、その外表面は非平滑化されるのが好ましく、取り外し可能な近位ハンドル(図示せず)が備わっていてもよい。上腕頭46上のこの部位42は、縫合糸アンカー10(図1参照)が埋め込まれる場所である。
【0017】
図5に示されるように、カニューレシステム48はKワイヤ38を覆い、腱40を貫通して部位42まで通過する。図6は、カニューレ48をより詳細に示している。カニューレ48は、鋭い遠位先端部52を有する内部カニューレ50と、近位ハンドル54と、それらを貫通するルーメン56とを含む。内部カニューレ50は、遠位端60と、近位ハンドル62と、それらを貫通するルーメン64とを有する外部カニューレ58に嵌合する。内部カニューレ50の遠位先端部52は、外部カニューレ58の遠位端60をわずかに越えて延在し、遠位端60は、遠位先端部52が腱40を貫く芯でなく小径穴を形成するようにテーパ形状となっており、遠位先端部52及び遠位端60のテーパ形状は、カニューレシステム48が組織を押しのけて、腱40への損傷を最小限にして腱40を貫通する最小孔を形成するのを可能とする。従来のカニューレは、スリットカットを通って組織の中に挿入された。組織への外傷をできるだけ少なくするために、カニューレシステム48は徐々に組織を広げる。外部カニューレ58は、貫通深度の可視指示を提供する線66と、更には、アンカーの挿入及び骨の中への適切な深さの評価を助ける可視化窓68とを有する。挿入中に外部カニューレ58に対して内部カニューレ50が滑るのを防止するために、これらを揃えておくのを助けるための対策が提供されるのが好ましい。図示されているのは連結ナブ70及び溝72であるが、摩擦嵌め、ねじ込み、磁石等などのその他の選択肢を採用することができる。
【0018】
図7に示されるように、アンカー10の挿入に備えて、Kワイヤ38及び内部カニューレ50は除去されて、外部カニューレ58をアンカー部位42に位置決めした状態にする。縫合糸30が、縫合糸ブリッジ24を周回して定位置に配置され、かつ縫合糸通路36及び溝32を通過した状態で(図2参照)縫合糸アンカー10は挿入具28に予め搭載されており、縫合糸アンカー10は、外部カニューレルーメン60を通ってアンカー部位42までの方向に進められ、続いて、上腕頭46の中に打ち込まれる。アンカー10が、ステンレス鋼又はチタンなどの生体適合性金属で形成されている場合、アンカー10は挿入具28を介して簡単にねじ込まれることができる。その代わりに、アンカー10が、生体吸収性高分子又は強度の弱いその他の材料で形成されている場合、ルーメン60を通してアンカー10を挿入する前に、ドリル、タップ、又は千枚通しを使用するなどしてカニューレ46を通して部位42にパイロット孔を準備する必要がある。次に、カニューレ48が通過した第1の位置39において腱40を上方に貫通する第1及び第2の縫合糸リム74及び76をそれぞれ残して、挿入具28及び外部カニューレ58を除去することができる。図8に示されるように、次に、第1の縫合糸リム74を、捕捉器具(図示せず)を介するなどして、補助カニューレ78を通して回収する。
【0019】
図9に示されるように、第1の位置39から離間した第2の位置82において腱40に脊髄針80を通す。第1の縫合糸リム74が縫合糸捕捉ループ86を通ることができるように、縫合糸捕捉ループ86を有する可撓性の針金縫合糸捕捉装置84(例えば、DePuy Mitek,Inc.(Raynham,MA)から入手可能なChia Percpasser)を脊髄針80に通過させ、補助カニューレ78を通して外に回収する。脊髄針80及び縫合糸捕捉装置84が皮膚を通って引き戻されると、第1の縫合糸リム74が第2の位置82において腱40を通して引っ張られる。迅速に手順を進めるために、ここで第1及び第2の縫合糸リム74及び76を結び、腱40に結び付ける。しかしながら、図10に示されるように、第2の縫合糸リム76を第1の位置39の反対側にある第3の位置88において腱40を貫通させて、図8及び図9の手順を繰り返すのが好ましい。糸結びを簡単にするために、縫合糸リム74及び76の両方は、補助カニューレ78又はその他のポータルなどの単一ポータルの中を通って経皮的に引き抜かれるのが好ましい。次に、図11に示されるように、腱40を上腕頭46にしっかりと固定するために、結び目90を結んで縛り付ける。第1の位置39の反対側にある位置82及び88において縫合糸リム74及び76を腱40に通すことによって、カニューレシステム48の通過によってその位置に生じた欠陥は、結び目90が締め付けられるときに自然にお互いに引き合わせられる。
【0020】
PASTA病変の程度に応じて、腱40の下に2つ以上の縫合糸アンカー10を定置するのが望ましい場合がある。このような場合、アンカー10から出ている(2つ以上の)縫合糸リムを一緒に結ぶことができる。好ましくはマットレスパターンにそれらを結ぶ前に、図9及び図10に示されるような別個の位置において縫合糸リムを腱に通過させるのが更に好ましい。また、修復は、腱40の位置92に横方向に定置された、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2008/0033486号に開示されているような、1つ以上の結び目のない縫合糸アンカー(図示せず)を採用して形成されることができ、1つ以上のアンカー10から出ている縫合糸リム74及び76は、好ましくは同様にマットレスパターンを採用して二列修復術で通されることができる。水平アンカーを使用する場合、そのような方法の1つは、一対の本発明の縫合糸アンカー10を前方と後方に置き、三角形を形成するように、それぞれからの一方のリム74を互いに結び、他方の(2つの)リム76を水平アンカー(好ましくは結び目のないもの)にわたすことである。
【0021】
縫合糸アンカー10及びカニューレシステム48はまた、SLAP(肩関節窩上関節唇複合損傷)病変を修復するために使用されてもよい。典型的には、かなり大きな従来のカニューレ(7〜8mm)を腱板を通して定置して、SLAP修復のために上方関節唇にアクセスする。本発明のカニューレシステムはかなり小さく、また、組織を通って挿入されるのではなく組織を広げる傾向があるため、大きなスリットが腱板に与える外傷はより少ない。かかる手順は次の通りであってもよい:Kワイヤ38を挿入する、次に、前述のやり方でカニューレシステム48を腱板間隙部を通して挿入する、関節窩周縁にドリルで孔を開ける、アンカー10を挿入する、カニューレシステム48を除去する、縫合糸シャトルを使用して縫合糸を唇状物に通す、結び目を結ぶ。
【0022】
本発明についてその特定の具体的な実施形態と関連して具体的に説明してきたが、これは、説明を目的とするためのものであって、限定を目的とするものではなく、また、添付の特許請求の範囲は、先行技術で認められるのと同程度に広義に解釈されるべきであることを理解すべきである。例えば、そのシステム及び方法は、寸法が4mm以上であり、DePuy Mitek,Inc.(Raynham,MA)から入手可能な、HEALIXアンカー又はGRYPHONアンカーで使用されることができる。
【0023】
本発明についてその特定の具体的な実施形態と関連して具体的に説明してきたが、これは、説明を目的とするためのものであって、限定を目的とするものではなく、また、添付の特許請求の範囲は、先行技術で認められるのと同程度に広義に解釈されるべきであることを理解すべきである。
【0024】
〔実施の態様〕
(1) 軟組織横断アンカー移植システムであって、
組織を穿通する遠位先端部を有する位置決めワイヤと、
前記軟組織を通過するためのカニューレシステムであって、前記カニューレは、
内部カニューレであって、鋭い遠位先端部と、前記位置決めワイヤを収容するように寸法設定された、前記内部カニューレを通る軸方向ルーメンと、近位端と、を有する、内部カニューレと、
外部カニューレであって、遠位端と、近位端と、前記内部カニューレを収容するように寸法設定され、かつ前記内部カニューレを同軸で収容する、前記外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有し、前記遠位端は、徐々に増加する輪郭を示すようにその場所でテーパ形状となっており、前記内部カニューレの前記遠位先端部が、前記外部カニューレの前記遠位端の前記末端部を越えて遠位側に延びる、外部カニューレと、
を含む、カニューレシステムと、
前記外部カニューレルーメンを通り抜けるように寸法設定された縫合糸アンカーと、を含む、軟組織横断アンカー移植システム。
(2) 前記位置決めワイヤが非平滑化された外表面を含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記外部カニューレと前記内部カニューレの摺動分離を防止するために、それらの間の係止部を更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記係止部が摩擦係止部である、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記外部カニューレ上に深度を示すしるしを更に含む、実施態様3に記載のシステム。
(6) 前記縫合糸アンカーに取り付けられた、ある長さの縫合糸を更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、
前記軟組織を通して、前記アンカー受容サイトの前記骨の上又は中に前記位置決めワイヤを通過させる工程と、
前記カニューレシステムを前記位置決めワイヤの上に通す工程と、
前記内部カニューレ及び前記位置決めワイヤを除去する工程と、
前記縫合糸アンカーを前記外部カニューレに通して、前記アンカーサイトの前記骨の中に前記縫合糸アンカーを駆動する工程と、を含む、使用説明書を更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(8) 縫合糸アンカーを軟組織に通して骨の中まで通過させる方法であって、
前記骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、
前記軟組織を通して、前記アンカー受容サイトの前記骨の上又は中に位置決めワイヤを通過させる工程と、
内部/外部カニューレシステムを、前記位置決めワイヤの上に通す工程であって、前記内部/外部カニューレシステムが、
内部カニューレであって、テーパ形状の鋭い遠位先端部と、前記位置決めワイヤを収容するように寸法設定された、前記内部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有する、内部カニューレと、
外部カニューレであって、遠位端と、前記内部カニューレを収容するように寸法設定され、かつ前記内部カニューレを同軸で収容する、前記外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有し、前記遠位端が、徐々に増加する輪郭を示すようにその場所でテーパ形状となっており、前記内部カニューレの前記遠位先端部が、前記外部カニューレの前記遠位端の前記末端部を越えて遠位側に延びる、外部カニューレと、
を含む、工程と、
前記軟組織を貫通する開口部を形成するために、前記内部カニューレの前記鋭い遠位先端部を前記軟組織に通す工程と、
前記開口部を拡張し、かつ前記外部カニューレが通過する際の前記組織の除去、切断、及び妨害を最小限に抑えるために、前記外部カニューレの前記テーパ形状の遠位端を前記開口部に通す工程と、
前記内部カニューレ及び前記位置決めワイヤを除去する工程と、
前記縫合糸アンカーを前記外部カニューレに通して、前記アンカーサイトの前記骨の中に前記縫合糸アンカーを駆動する工程と、を含む、方法。
(9) 前記内部カニューレ及び前記外部カニューレを前記軟組織に通す工程の間に、これらを固定して互いに係合する工程を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記縫合糸アンカーから出ている縫合糸を前記軟組織に通す工程を更に含む、実施態様8に記載の方法。
【0025】
(11) 前記縫合糸アンカーから出ている一対の縫合糸リムを2つの異なる位置において前記軟組織に通す工程と、その後、前記骨に対して前記軟組織を保持するためにそれらを互いに取り付ける工程と、を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記軟組織が腱を含む、実施態様8に記載の方法。
(13) 前記腱がPASTA病変を有する、実施態様12に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本出願は、腱板不全断裂の修復を行うシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肩の腱板のPASTA(腱板関節面不全断裂(Partial Articular Surface Tendon Avulsion))病変は、特に修復が困難であり得る。腱板は、肩を包囲する筋肉群と、これら筋肉を上腕頭に付着させる腱とを含む。腱は上腕頭に付着するフットプリントを有し、PASTA病変では、腱のフットプリントの一部分が上腕頭から剥離する。かかる病変は、棘上筋腱上に見られることが最も多い。
【0003】
治療法の1つの選択肢は、全層断裂のための標準的な技術を用いて断裂を完了させ、かつ修復することである。したがって、既存の付着の温存は失われ、全腱を再付着させなければならない。別の選択肢は、ねじ式の縫合糸アンカーを腱を通過させて上腕頭の中にねじ込み、縫合糸を腱に通過させ、腱を縛り付けて再付着させることを含む。これは、腱に更なる外傷をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、PASTA病変を修復するためのシステム及び方法を提供し、これは、縫合糸アンカーが腱を通過する際の腱への外傷を最小限に抑えることによって、既存の治療法の選択肢を越えた利点を提供する。本発明による軟組織横断アンカー移植システムは、位置決めワイヤと、カニューレシステムと、縫合糸アンカーとを含む。位置決めワイヤは、組織を穿通する遠位先端部を有する。軟組織を通過するためのカニューレシステムは、鋭い遠位先端部と、位置決めワイヤを収容するように寸法設定された内部カニューレを通る軸方向ルーメンと、近位端と、を有する内部カニューレと、遠位端と、近位端と、内部カニューレを収容するように寸法設定され、かつ内部カニューレを同軸で収容する、外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有する外部カニューレと、を含む。外部カニューレの遠位端は、徐々に増加する輪郭を示すテーパ形状であり、内部カニューレの遠位先端部は、カニューレシステムが組織を通過するときに、組織を貫通する開口部をより穏やかに広げかつ拡張するように、外部カニューレの遠位端の末端部を越えて遠位側に延びる。縫合糸アンカーは、外部カニューレルーメンを通り抜けるように寸法設定される。縫合糸アンカーは、縫合糸アンカーに取り付けられる、ある長さの縫合糸を有するのが好ましい。
【0005】
好ましくは、位置決めワイヤは非平滑化された外表面を含む。
【0006】
好ましくは、外部カニューレ及び内部カニューレは、摺動分離を防止するために係合する。本発明の一態様において、係止部は摩擦である。
【0007】
好ましくは、外部カニューレは深度を示すしるしを有する。
【0008】
本発明の一態様において、システムには、骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、軟組織に通して、アンカー受容サイトの骨の上又は中に位置決めワイヤを通過させる工程と、位置決めワイヤの上にカニューレシステムを通す工程と、内部カニューレ及び位置決めワイヤを除去する工程と、縫合糸アンカーを外部カニューレに通して、アンカーサイトの骨の中に縫合糸アンカーを駆動する工程と、を含む使用説明書が備わっている。
【0009】
本発明による方法は、縫合糸アンカーを軟組織を通して骨の中まで通過させる。この方法は、骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、軟組織に通して、アンカー受容サイトの骨の上又は中に位置決めワイヤを通過させる工程と、内部/外部カニューレシステムを、位置決めワイヤの上に通す工程であって、その内部/外部カニューレシステムが、内部カニューレであって、テーパ形状の鋭い遠位先端部と、位置決めワイヤを収容するように寸法設定された内部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有する、内部カニューレと、外部カニューレであって、遠位端と、内部カニューレを収容するように寸法設定され、かつ内部カニューレを同軸で収容する、外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有し、遠位端は、徐々に増加する輪郭を示すようにその場所でテーパ形状となっており、内部カニューレの遠位先端部が外部カニューレの遠位端の末端部を越えて遠位側に延びる、外部カニューレと、を含む、工程と、軟組織を貫通する開口部を形成するために内部カニューレの鋭い遠位先端部を軟組織に通す工程と、開口部を拡張し、かつ外部カニューレが通過する際の組織の除去、切断、及び妨害を最小限に抑えるために、外部カニューレのテーパ形状の遠位端を開口部に通す工程と、内部カニューレ及び位置決めワイヤを除去する工程と、縫合糸アンカーを外部カニューレに通して、アンカーサイトの骨の中に縫合糸アンカーを駆動する工程と、を含む。
【0010】
好ましくは、内部カニューレ及び外部カニューレを軟組織を通す工程の間、これらは固定して互いに係合される。好ましくは、1つ以上の縫合糸、又は単一縫合糸の複数のリムが、縫合糸アンカーから軟組織に通される。例えば、縫合糸アンカーから出ている一対の縫合糸リムを2つの異なる位置において軟組織に通すことができ、次に、骨に対して軟組織を保持するためにそれらを互いに取り付ける。
【0011】
本発明の一態様において、軟組織は、PASTA病変を有する回旋腱板などの腱を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による縫合糸アンカーの斜視図。
【図2】駆動装置に搭載された図1の縫合糸アンカーの側面図。
【図3】図1の縫合糸アンカーの頂面図。
【図4】Kワイヤが腱を通って縫合糸アンカーを定置するのに適した位置まで挿入されているところを示す、上腕骨、及びPASTA病変を患う関連回旋腱板腱の側面図。
【図5】カニューレシステムが腱を通ってKワイヤの上を通るところを示す、図4の腱の側面図。
【図6】図5のカニューレシステムの斜視図。
【図7】駆動装置に搭載された縫合糸アンカーを、カニューレシステムの外側部を介して腱を通過させる、図4の腱の側面図。
【図8】縫合糸アンカーが腱の下の上腕骨の中に埋め込まれ、縫合糸のリムが縫合糸アンカーから前方のカニューレの外へ出ているところを示す、図4の腱の側面図。
【図9】脊髄針が腱の上の位置を通過し、かつ縫合糸回収装置が脊髄針を通って前方のカニューレの外へ出ているところを示す、図4の腱の側面図。
【図10】両方の縫合糸リムが縫合糸アンカーから出て腱の異なる位置を貫通しているところを示す、図4の腱の側面図。
【図11】腱を上腕骨に押し付けてPASTA病変を修復するために縫合糸リムが結ばれているところを示す、図4の腱の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明による縫合糸アンカー10を示している。縫合糸アンカー10は、尖った遠位先端部14と近位端16とを有する細長い本体12を含む。軸方向通路18は、近位端16から本体12の中に延びる。通路18はその側面20に沿って開口している。ねじ山22が本体12を取り囲んでいる。縫合糸ブリッジ24は、その遠位部26において通路18に横方向に広がっている。
【0014】
ここで図2及び図3を参照すると、挿入具28は通路18に嵌入する。縫合糸30の長さは縫合糸ブリッジ24を周回して、挿入具28上の長手方向溝32の中に受容される。図3に最も良く示されるように、近位端16における通路18の断面形状は、本質的に六角形34であり、その対向隅部に一対の縫合糸通路36を備えている。縫合糸通路36は、縫合糸ブリッジ24の両側に通じている。挿入具28は六角形34に嵌合するように相補型形状を有し、その溝32はアンカー10の縫合糸通路36と一直線上にある。
【0015】
縫合糸通路36が本体12から透けて見え、ねじ山22を除いた通路18を開放して示されている縫合糸アンカー10は、通過する軟組織に与える外傷を最小にするためにその断面積を最小限に抑えているが、駆動装置28が縫合糸アンカー10を骨の中に駆動するのに十分なだけの機械的強度を有する。骨内での更なる固定強度が必要な場合は、アンカー10の断面積を大きくすることが可能であり、その場合、縫合糸通路36は必ずしも本体12を横方向に貫通する必要はない。アンカー10は、ステンレス鋼、チタン、コバルト・クロム、PEEK(ポリアリールエーテルエーテルケトン)、その他の生体適合性ポリマー、高分子セラミック複合材料、生体吸収性高分子等などの任意の好適な生体適合性材料から形成されることができる。
【0016】
図4〜図10は、図1の縫合糸アンカー10を使用してPASTA病変を修復するための手順を示す。図4に示されるように、経皮的に又は関節鏡視的にのいずれかで、キルシュナー鋼線(Kワイヤ)38が、第1の位置39において、腱板の腱40を通してその付着フットプリント44の下の所望のアンカー部位42まで挿入されて、関連上腕頭46の上に位置決めされる。Kワイヤ38は部位42にタップインされることができ、又は部位42に位置決めされるだけであることができる。Kワイヤ38の操作を簡単にするために、その外表面は非平滑化されるのが好ましく、取り外し可能な近位ハンドル(図示せず)が備わっていてもよい。上腕頭46上のこの部位42は、縫合糸アンカー10(図1参照)が埋め込まれる場所である。
【0017】
図5に示されるように、カニューレシステム48はKワイヤ38を覆い、腱40を貫通して部位42まで通過する。図6は、カニューレ48をより詳細に示している。カニューレ48は、鋭い遠位先端部52を有する内部カニューレ50と、近位ハンドル54と、それらを貫通するルーメン56とを含む。内部カニューレ50は、遠位端60と、近位ハンドル62と、それらを貫通するルーメン64とを有する外部カニューレ58に嵌合する。内部カニューレ50の遠位先端部52は、外部カニューレ58の遠位端60をわずかに越えて延在し、遠位端60は、遠位先端部52が腱40を貫く芯でなく小径穴を形成するようにテーパ形状となっており、遠位先端部52及び遠位端60のテーパ形状は、カニューレシステム48が組織を押しのけて、腱40への損傷を最小限にして腱40を貫通する最小孔を形成するのを可能とする。従来のカニューレは、スリットカットを通って組織の中に挿入された。組織への外傷をできるだけ少なくするために、カニューレシステム48は徐々に組織を広げる。外部カニューレ58は、貫通深度の可視指示を提供する線66と、更には、アンカーの挿入及び骨の中への適切な深さの評価を助ける可視化窓68とを有する。挿入中に外部カニューレ58に対して内部カニューレ50が滑るのを防止するために、これらを揃えておくのを助けるための対策が提供されるのが好ましい。図示されているのは連結ナブ70及び溝72であるが、摩擦嵌め、ねじ込み、磁石等などのその他の選択肢を採用することができる。
【0018】
図7に示されるように、アンカー10の挿入に備えて、Kワイヤ38及び内部カニューレ50は除去されて、外部カニューレ58をアンカー部位42に位置決めした状態にする。縫合糸30が、縫合糸ブリッジ24を周回して定位置に配置され、かつ縫合糸通路36及び溝32を通過した状態で(図2参照)縫合糸アンカー10は挿入具28に予め搭載されており、縫合糸アンカー10は、外部カニューレルーメン60を通ってアンカー部位42までの方向に進められ、続いて、上腕頭46の中に打ち込まれる。アンカー10が、ステンレス鋼又はチタンなどの生体適合性金属で形成されている場合、アンカー10は挿入具28を介して簡単にねじ込まれることができる。その代わりに、アンカー10が、生体吸収性高分子又は強度の弱いその他の材料で形成されている場合、ルーメン60を通してアンカー10を挿入する前に、ドリル、タップ、又は千枚通しを使用するなどしてカニューレ46を通して部位42にパイロット孔を準備する必要がある。次に、カニューレ48が通過した第1の位置39において腱40を上方に貫通する第1及び第2の縫合糸リム74及び76をそれぞれ残して、挿入具28及び外部カニューレ58を除去することができる。図8に示されるように、次に、第1の縫合糸リム74を、捕捉器具(図示せず)を介するなどして、補助カニューレ78を通して回収する。
【0019】
図9に示されるように、第1の位置39から離間した第2の位置82において腱40に脊髄針80を通す。第1の縫合糸リム74が縫合糸捕捉ループ86を通ることができるように、縫合糸捕捉ループ86を有する可撓性の針金縫合糸捕捉装置84(例えば、DePuy Mitek,Inc.(Raynham,MA)から入手可能なChia Percpasser)を脊髄針80に通過させ、補助カニューレ78を通して外に回収する。脊髄針80及び縫合糸捕捉装置84が皮膚を通って引き戻されると、第1の縫合糸リム74が第2の位置82において腱40を通して引っ張られる。迅速に手順を進めるために、ここで第1及び第2の縫合糸リム74及び76を結び、腱40に結び付ける。しかしながら、図10に示されるように、第2の縫合糸リム76を第1の位置39の反対側にある第3の位置88において腱40を貫通させて、図8及び図9の手順を繰り返すのが好ましい。糸結びを簡単にするために、縫合糸リム74及び76の両方は、補助カニューレ78又はその他のポータルなどの単一ポータルの中を通って経皮的に引き抜かれるのが好ましい。次に、図11に示されるように、腱40を上腕頭46にしっかりと固定するために、結び目90を結んで縛り付ける。第1の位置39の反対側にある位置82及び88において縫合糸リム74及び76を腱40に通すことによって、カニューレシステム48の通過によってその位置に生じた欠陥は、結び目90が締め付けられるときに自然にお互いに引き合わせられる。
【0020】
PASTA病変の程度に応じて、腱40の下に2つ以上の縫合糸アンカー10を定置するのが望ましい場合がある。このような場合、アンカー10から出ている(2つ以上の)縫合糸リムを一緒に結ぶことができる。好ましくはマットレスパターンにそれらを結ぶ前に、図9及び図10に示されるような別個の位置において縫合糸リムを腱に通過させるのが更に好ましい。また、修復は、腱40の位置92に横方向に定置された、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2008/0033486号に開示されているような、1つ以上の結び目のない縫合糸アンカー(図示せず)を採用して形成されることができ、1つ以上のアンカー10から出ている縫合糸リム74及び76は、好ましくは同様にマットレスパターンを採用して二列修復術で通されることができる。水平アンカーを使用する場合、そのような方法の1つは、一対の本発明の縫合糸アンカー10を前方と後方に置き、三角形を形成するように、それぞれからの一方のリム74を互いに結び、他方の(2つの)リム76を水平アンカー(好ましくは結び目のないもの)にわたすことである。
【0021】
縫合糸アンカー10及びカニューレシステム48はまた、SLAP(肩関節窩上関節唇複合損傷)病変を修復するために使用されてもよい。典型的には、かなり大きな従来のカニューレ(7〜8mm)を腱板を通して定置して、SLAP修復のために上方関節唇にアクセスする。本発明のカニューレシステムはかなり小さく、また、組織を通って挿入されるのではなく組織を広げる傾向があるため、大きなスリットが腱板に与える外傷はより少ない。かかる手順は次の通りであってもよい:Kワイヤ38を挿入する、次に、前述のやり方でカニューレシステム48を腱板間隙部を通して挿入する、関節窩周縁にドリルで孔を開ける、アンカー10を挿入する、カニューレシステム48を除去する、縫合糸シャトルを使用して縫合糸を唇状物に通す、結び目を結ぶ。
【0022】
本発明についてその特定の具体的な実施形態と関連して具体的に説明してきたが、これは、説明を目的とするためのものであって、限定を目的とするものではなく、また、添付の特許請求の範囲は、先行技術で認められるのと同程度に広義に解釈されるべきであることを理解すべきである。例えば、そのシステム及び方法は、寸法が4mm以上であり、DePuy Mitek,Inc.(Raynham,MA)から入手可能な、HEALIXアンカー又はGRYPHONアンカーで使用されることができる。
【0023】
本発明についてその特定の具体的な実施形態と関連して具体的に説明してきたが、これは、説明を目的とするためのものであって、限定を目的とするものではなく、また、添付の特許請求の範囲は、先行技術で認められるのと同程度に広義に解釈されるべきであることを理解すべきである。
【0024】
〔実施の態様〕
(1) 軟組織横断アンカー移植システムであって、
組織を穿通する遠位先端部を有する位置決めワイヤと、
前記軟組織を通過するためのカニューレシステムであって、前記カニューレは、
内部カニューレであって、鋭い遠位先端部と、前記位置決めワイヤを収容するように寸法設定された、前記内部カニューレを通る軸方向ルーメンと、近位端と、を有する、内部カニューレと、
外部カニューレであって、遠位端と、近位端と、前記内部カニューレを収容するように寸法設定され、かつ前記内部カニューレを同軸で収容する、前記外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有し、前記遠位端は、徐々に増加する輪郭を示すようにその場所でテーパ形状となっており、前記内部カニューレの前記遠位先端部が、前記外部カニューレの前記遠位端の前記末端部を越えて遠位側に延びる、外部カニューレと、
を含む、カニューレシステムと、
前記外部カニューレルーメンを通り抜けるように寸法設定された縫合糸アンカーと、を含む、軟組織横断アンカー移植システム。
(2) 前記位置決めワイヤが非平滑化された外表面を含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記外部カニューレと前記内部カニューレの摺動分離を防止するために、それらの間の係止部を更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記係止部が摩擦係止部である、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記外部カニューレ上に深度を示すしるしを更に含む、実施態様3に記載のシステム。
(6) 前記縫合糸アンカーに取り付けられた、ある長さの縫合糸を更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、
前記軟組織を通して、前記アンカー受容サイトの前記骨の上又は中に前記位置決めワイヤを通過させる工程と、
前記カニューレシステムを前記位置決めワイヤの上に通す工程と、
前記内部カニューレ及び前記位置決めワイヤを除去する工程と、
前記縫合糸アンカーを前記外部カニューレに通して、前記アンカーサイトの前記骨の中に前記縫合糸アンカーを駆動する工程と、を含む、使用説明書を更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(8) 縫合糸アンカーを軟組織に通して骨の中まで通過させる方法であって、
前記骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、
前記軟組織を通して、前記アンカー受容サイトの前記骨の上又は中に位置決めワイヤを通過させる工程と、
内部/外部カニューレシステムを、前記位置決めワイヤの上に通す工程であって、前記内部/外部カニューレシステムが、
内部カニューレであって、テーパ形状の鋭い遠位先端部と、前記位置決めワイヤを収容するように寸法設定された、前記内部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有する、内部カニューレと、
外部カニューレであって、遠位端と、前記内部カニューレを収容するように寸法設定され、かつ前記内部カニューレを同軸で収容する、前記外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有し、前記遠位端が、徐々に増加する輪郭を示すようにその場所でテーパ形状となっており、前記内部カニューレの前記遠位先端部が、前記外部カニューレの前記遠位端の前記末端部を越えて遠位側に延びる、外部カニューレと、
を含む、工程と、
前記軟組織を貫通する開口部を形成するために、前記内部カニューレの前記鋭い遠位先端部を前記軟組織に通す工程と、
前記開口部を拡張し、かつ前記外部カニューレが通過する際の前記組織の除去、切断、及び妨害を最小限に抑えるために、前記外部カニューレの前記テーパ形状の遠位端を前記開口部に通す工程と、
前記内部カニューレ及び前記位置決めワイヤを除去する工程と、
前記縫合糸アンカーを前記外部カニューレに通して、前記アンカーサイトの前記骨の中に前記縫合糸アンカーを駆動する工程と、を含む、方法。
(9) 前記内部カニューレ及び前記外部カニューレを前記軟組織に通す工程の間に、これらを固定して互いに係合する工程を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記縫合糸アンカーから出ている縫合糸を前記軟組織に通す工程を更に含む、実施態様8に記載の方法。
【0025】
(11) 前記縫合糸アンカーから出ている一対の縫合糸リムを2つの異なる位置において前記軟組織に通す工程と、その後、前記骨に対して前記軟組織を保持するためにそれらを互いに取り付ける工程と、を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記軟組織が腱を含む、実施態様8に記載の方法。
(13) 前記腱がPASTA病変を有する、実施態様12に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟組織横断アンカー移植システムであって、
組織を穿通する遠位先端部を有する位置決めワイヤと、
前記軟組織を通過するためのカニューレシステムであって、前記カニューレは、
内部カニューレであって、鋭い遠位先端部と、前記位置決めワイヤを収容するように寸法設定された、前記内部カニューレを通る軸方向ルーメンと、近位端と、を有する、内部カニューレと、
外部カニューレであって、遠位端と、近位端と、前記内部カニューレを収容するように寸法設定され、かつ前記内部カニューレを同軸で収容する、前記外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有し、前記遠位端は、徐々に増加する輪郭を示すようにその場所でテーパ形状となっており、前記内部カニューレの前記遠位先端部が、前記外部カニューレの前記遠位端の前記末端部を越えて遠位側に延びる、外部カニューレと、
を含む、カニューレシステムと、
前記外部カニューレルーメンを通り抜けるように寸法設定された縫合糸アンカーと、を含む、軟組織横断アンカー移植システム。
【請求項2】
前記位置決めワイヤが非平滑化された外表面を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記外部カニューレと前記内部カニューレの摺動分離を防止するために、それらの間の係止部を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記係止部が摩擦係止部である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記外部カニューレ上に深度を示すしるしを更に含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記縫合糸アンカーに取り付けられた、ある長さの縫合糸を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、
前記軟組織を通して、前記アンカー受容サイトの前記骨の上又は中に前記位置決めワイヤを通過させる工程と、
前記カニューレシステムを前記位置決めワイヤの上に通す工程と、
前記内部カニューレ及び前記位置決めワイヤを除去する工程と、
前記縫合糸アンカーを前記外部カニューレに通して、前記アンカーサイトの前記骨の中に前記縫合糸アンカーを駆動する工程と、を含む、使用説明書を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項1】
軟組織横断アンカー移植システムであって、
組織を穿通する遠位先端部を有する位置決めワイヤと、
前記軟組織を通過するためのカニューレシステムであって、前記カニューレは、
内部カニューレであって、鋭い遠位先端部と、前記位置決めワイヤを収容するように寸法設定された、前記内部カニューレを通る軸方向ルーメンと、近位端と、を有する、内部カニューレと、
外部カニューレであって、遠位端と、近位端と、前記内部カニューレを収容するように寸法設定され、かつ前記内部カニューレを同軸で収容する、前記外部カニューレを通る軸方向ルーメンと、を有し、前記遠位端は、徐々に増加する輪郭を示すようにその場所でテーパ形状となっており、前記内部カニューレの前記遠位先端部が、前記外部カニューレの前記遠位端の前記末端部を越えて遠位側に延びる、外部カニューレと、
を含む、カニューレシステムと、
前記外部カニューレルーメンを通り抜けるように寸法設定された縫合糸アンカーと、を含む、軟組織横断アンカー移植システム。
【請求項2】
前記位置決めワイヤが非平滑化された外表面を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記外部カニューレと前記内部カニューレの摺動分離を防止するために、それらの間の係止部を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記係止部が摩擦係止部である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記外部カニューレ上に深度を示すしるしを更に含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記縫合糸アンカーに取り付けられた、ある長さの縫合糸を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記骨の上に所望のアンカー受容サイトを位置決めする工程と、
前記軟組織を通して、前記アンカー受容サイトの前記骨の上又は中に前記位置決めワイヤを通過させる工程と、
前記カニューレシステムを前記位置決めワイヤの上に通す工程と、
前記内部カニューレ及び前記位置決めワイヤを除去する工程と、
前記縫合糸アンカーを前記外部カニューレに通して、前記アンカーサイトの前記骨の中に前記縫合糸アンカーを駆動する工程と、を含む、使用説明書を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−92734(P2011−92734A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−243319(P2010−243319)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243319(P2010−243319)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
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