説明

腹膜平衡試験および腹膜平衡試験を用いた透析システム

限外濾過(「UF」)評価方法であって、(i)第1の滞留時間の間に患者から除去されるUFの量を決定することと、(ii)第2の異なる滞留時間の間に前記患者から除去されるUFの量を決定することと、(iii)第3の異なる滞留時間の間に前記患者から除去されるUFの量を決定することと、(iv)前記第1の滞留時間、前記第2の滞留時間、前記第3の滞留時間の間のUF除去量に曲線を適合させることとを含む、限外濾過(「UF」)評価方法。「UF」計算方法にしたがって決定された曲線を用いて、少なくとも1つの腹膜透析治療投薬計画を生成する、腹膜透析治療生成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動腹膜透析(「APD」)を受ける患者の割合は、部分的に、患者の私生活に関する患者の特定の必要性および患者の治療必要性に適合されるAPDの能力により、世界中で増加している。透析の2つの主要な目標である、溶質クリアランスおよび限外濾過(「UF」)は、行われるAPDの様相および種類(例えば、夜間断続的腹膜透析(「NIPD」)、連続循環腹膜透析(「CCPD」)、および高用量CCPD)、溶液の種類、治療時間、および充填容量に依存する。APD治療の処方は、これらのうちのそれぞれ1つの選択を構成する。したがって、そこから選択する多くの組み合わせおよび可能性がある。
【背景技術】
【0002】
APDデバイスは、典型的には、最近の治療の有効性に関して患者にフィードバックを提供する能力を持たない。また、APDデバイスは、典型的には、実際の測定されたクリアランスおよびUFに基づいて治療パラメータ(例えば、様相、溶液の種類、治療時間、および充填容量)を調整しないように、開ループを実行する。したがって、一部の患者は、標的より低い成果を上げて、過剰輸液等の悪条件、場合によっては高血圧を発現する。治療を調整するための現在の方法は、典型的には、評価されるようにしばしばセンターに患者が報告することを伴う。これらの方法は、もっぱら医師または臨床医に治療調整の負担をかけ、患者の毎週、毎月、季節ごと、または他の生活様式の変化に適正に順応するように十分頻繁に生じない。
【0003】
本開示のシステムおよび方法は、上記の問題を是正しようとする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のシステムは、複数の処方最適化モジュールを含む。モジュールのうちの1つは、先進的腹膜平衡試験または(「PET」)である。PETは、患者が、患者の自動腹膜透析(「APD」)機を使用して、自動的に自宅でPETの限外濾過(「UF」)部分を行うことを可能にする。自動試験は、過去よりも多くのUFデータ点サンプルを収集し、これはより正確なUF患者特性曲線を確立するのに役立つ。次いで、患者について生理学的データを生成するためにUFサンプルおよび血液検査が使用される。
【0005】
本開示の処方最適化システムの第2のモジュールは、提供された範囲に収まる全ての可能な投薬計画を計算または配達するために、特定治療標的(例えば、UF、クリアランス)および治療入力の範囲(例えば、交換の数、サイクル時間、溶液の選択)と継続して上記の患者生理学的データを使用するものである。
【0006】
本開示の第3の側面またはモジュールは、投薬計画の数を管理可能な少数に削減するために、患者の選好または医師の能力要件を特定する1つ以上のフィルタを使用するものである。医師または患者は、治療のために医師によって処方される、ある数の投薬計画、例えば、3つから5つの投薬計画について合意する。
【0007】
本開示の別の特徴は、患者によって選択された異なる処方を行う際に配達サイクルにわたって使用される異なる溶液および他の供給物を追跡する、在庫追跡モジュールである。APD機には、異なるデキストロース濃度の透析溶液を混合してハイブリッドデキストロース透析液混合物を生じる能力があり、それはさらに、患者の治療が最適化されることを可能にする。在庫追跡特徴は、使用されるデキストロースの濃度を記録し、消費される関連透析液濃度を置換する。
【0008】
本開示の第5のモジュールは、患者が行っている処方の動向である。動向は、UF除去、体重、血圧、および使用される処方のうちのいずれか1つ以上を追跡することができる。第6のモジュールは、どのように異なる処方が使用のために呼び戻され、必要であれば調整または置換されるかを制御する。動向はまた、7日間の移動平均UFおよび/または30日間の移動平均等の平均を動向化し、示すこともできる。
【0009】
一実施形態では、治療の開始時の患者は、(例えば、初期排出後に)自分の体重を量り、患者の血圧を採取する。本明細書で詳細に論議されるように、本システムは、Bluetooth(TM)、WiFi(TM)、Zigbee(TM)技術等の無線技術を使用して、APD機に無線で体重および血圧情報をそれぞれ出力する、計量器および血圧採取器を含む。一実施形態では、無線周波数伝送を介して無線リンクが提供される。代替実施形態では、計量器および血圧採取器とAPD機との間の有線接続を介して、体重および血圧情報が提供される。代替として、患者が体重および血液データをタイプする。
【0010】
APD機は、その日の治療のために、そこから患者またはAPD機が1つを選択する、複数の治療処方を提供する。例えば、APD機は、患者に対する5つの承認された処方を提供することができ、そのうちの1つは、患者の体重、血圧、および最後の24時間にわたって除去されたUFに基づいて選択される。処方は、初期排出(初期排出は、可能な治療のうちのいずれかで行われる)前に選択される必要がないため、患者または機械は、どの処方を選択するかを判定する前に、前日の治療から最終UF情報を取得することができる。機械は、一実施形態では、治療の開始時に催促を提供して、患者の体重および血圧を取得することを患者に思い出させる。
【0011】
5つの可能な処方が分析的に判定される。1つの可能性は、アルゴリズムを策定し、APD機自体に、または、例えば、インターネット接続を介してAPD機と通信するサーバコンピュータに記憶することである。アルゴリズムは、例えば、患者の腹膜の3つの異なるサイズの細孔にわたって予測クリアランスを加える、3細孔モデルを採用することができる。腹膜の血管の大孔、小孔、および微小孔を通る毒素の流量が合計される。例えば、尿素およびクレアチニンが、小孔を通して患者の血液から除去される。大孔は、より大きいタンパク分子が、患者の血液から透析液に移動することを可能にする。それぞれの場合において、浸透勾配が、毒素を患者の血液から透析液に駆動する。予測クリアランスおよび3細孔モデルを使用して、本開示のシステムは、患者に対する複数の容認可能な投薬計画を出力する。これらの投薬計画から、例えば、5つの処方を選択することができる。代替として、アルゴリズムは、以下で詳細に論議されるような2プールモデルを使用する。
【0012】
一実施形態では、システムの投薬計画生成部分が記憶され、透析センターまたは腎臓専門医の診療室で使用される。患者が診療室またはセンターに入り、医師または臨床医が患者を診察し、そこから例えば5つの異なる処方が選択される好適な投薬計画を出力する、診療室またはセンターに位置する投薬計画生成ソフトウェアに患者データを入力する。これらの異なる処方は、例えば、次の6ヶ月から1年にわたって、予測できる未来の患者の変動するAPDの必要性に対処することが見込まれる。新規患者は、残存腎機能(「RRF」)を有する場合があるため、腎臓が部分的に機能的である。これらの患者は、腎臓機能がない患者の治療ほど積極的な治療を必要としない。しかしながら、これらの患者に対する調整の必要性は、RRFが悪化するにつれて大きくなる場合がある。ここで、複数の処方が、より頻繁に、例えば、3ヶ月ごとにアップグレードされる必要があってもよい。
【0013】
3細孔モデルは、除去された尿素、Kt/V、pKt/V、除去されたクレアチニン、CCr、pCCr、グルコース吸収、および全排水等のクリアランス値を予測することに非常に優れている。本開示のシステムはまた、UF除去を正確に予測するのに役立つために、先進的腹膜有効性試験(「PET」)も使用する。先進的PETはまた、除去された尿素、Kt/V、pKt/V、除去されたクレアチニン、CCr、pCCr、グルコース吸収、および全排水について、患者のクリアランスをさらに良く正確に予測するように、血液サンプルと、透析液サンプルに行われる化学分析とを含む。
【0014】
本開示の先進的PETモジュールに関して、先進的PETは、2つの治療で採取されたサンプルを含む。第1の治療では、例えば、合計で7.5時間になる、30分間の滞留、60分間の滞留、120分間の滞留、および240分間の滞留後にUFが測定される。第2の治療では、合計で5つのデータ点を提供する、8時間の滞留後にUFが測定される。各時間間隔で、患者は、UFを正確に判定するように完全に排水される。UFは、APD機によって、または、代替として、あるいは加えて、さらなる精度が所望される場合は計量器を介して、測定することができる。患者が毎回完全に排水した後に補充しなければならないため、実際のUF期間は、意図されたUF期間とはわずかに異なる場合がある。例えば、2時間のUF期間が、実際には2時間10分を費やす場合がある。本発明のシステムは、実際の期間を記録し、動力学モデリングへの入力として実際の時間を使用する。
【0015】
血液および透析液サンプルは、採血することができればいつでもどこでも、ある間隔で採取することができる。第1および第2の治療は、連続的に、または2晩にわたって行うことができる。一実施形態では、患者は、就寝前に、30分、1時間、および4時間の充填/滞留/排出を行う。次いで、患者は最後の充填を行い、睡眠し、8時間の排出を行うのに間に合うように目覚める。UFおよび実際の滞留時間は、各滞留期間にわたって記録される。データは、患者が次の日に検査室またはセンターに持って行くデータカード上に記録することができる。データは、代替として、本明細書で論議されるデータ通信モジュールを使用して、インターネットを介して検査室またはセンターに転送される。
【0016】
次いで、患者は、透析センターへ行く。患者は追加回数で充填される。血液および透析液サンプルが、例えば、2時間および4時間で採取される。第2の4時間排出UFデータ点を採取し、追加精度のために、第1の4時間排出UFデータ点と比較することができる。
【0017】
2.5%デキストロース等の特定の透析液濃縮物を使用して、5つのデータUF点、血液検査、および透析液検査データが取得される。データ点は、物質移動面積係数(「MTAC」)データおよび透水率データを生成して、患者の輸送およびUF特性を分類し、それは次いで、1.5%デキストロースおよびExtraneal(R)透析液等の他の種類の透析液濃縮物に生理学的に適用することができる。
【0018】
本開示の投薬計画生成モジュールに関して、予測アルゴリズムは、投薬計画を生成するために、上記の計算された患者輸送およびUF特性、標的情報、および他の治療入力情報を使用する。標的および他の治療情報は、例えば、(i)(a)最小尿素クリアランス、(b)最小尿素Kt/V、(c)最小クレアチニンクリアランス、(d)最大グルコース吸収、および(e)標的UF等の臨床標的と、(ii)(a)治療時間、(b)治療容量、(c)充填容量、(d)デキストロースパーセント、および(e)溶液の種類等の治療パラメータと、(iii)利用可能な溶液とを含む。これらの入力の多くは、範囲で表現され、多くの起こり得る投薬計画の結果につながる。一実施形態では、3細孔または2プールモデル方程式を使用するソフトウェアが、上記の標的および治療情報を満たす、(i)各範囲内の各入力と、(ii)患者の輸送およびUF特性とを使用する、あらゆる可能な投薬計画を生成する。
【0019】
処方フィルタリングモジュールに関して、システムは、ユーザが、あるフィルタリング情報を特定して、そこから一式の処方として選択および承認する、管理可能な数の組み合わせに投薬計画の組み合わせを対合することを可能にする。フィルタリング情報は、例えば、ある値を下回るaKt/V、クレアチニンクリアランス、およびUFと、ある値を上回る吸収されたグルコースとを伴う、全ての投薬計画をフィルタにかけて除外するステップを含むことができる。次いで、臨床医および患者は、患者のAPD機上に、または代替として、APD機への通信リンクを有するサーバコンピュータ上に処方として記憶される、対合した処方の可能性のうちのいくつかに合意する。
【0020】
処方は、患者のデータカード上に記憶し、患者が帰宅した時にAPD機に物理的にロードすることができる。代替として、透析センターが、インターネットまたは他のデータ通信ネットワークを介して、APD機に処方をダウンロードする。一式の処方は、例えば、(i)標準UF処方、(ii)高UF処方、および(iii)低UF処方を含むことができる。患者が可能であれば、APDシステムは、患者が1日の活動に合わせられた処方を実行することを可能にするように設定することができる。患者がある日に激しく運動し、汗を介して大量の体液を失った場合、患者は、その晩により低いUFの治療を実行することができ、おそらく患者が次の日に日中交換を行わなければならない手間を省く。患者が所与の夜に外食し、通常よりも多くの液体を消費した場合、患者は高UF治療を実行することができる。全ての他の日には、患者は標準UF処方を実行する。
【0021】
即時システムに対する1つの随伴構成要素は、在庫流通および追跡モジュールである。選択された処方が異なる種類の透析液濃縮物を必要とする場合、異なる透析液の種類が正しい分量で配達される必要がある。本システムでは、APD機または臨床医のサーバのいずれかが、患者の現在の在庫を追跡し、適切な溶液の必要供給が患者の自宅に配達されることを確実にする。
【0022】
本明細書で論議されるように、治療パラメータのうちの1つは、除去されるUFの量および患者によって吸収されるカロリーの量に影響を及ぼす、溶液のデキストロースパーセントである。より多くのデキストロースが、より多くの除去されるUFをもたらし、これは概して望ましい。しかしながら、より多くのデキストロースは、患者による、より多くのカロリー摂取および体重増加をもたらし、これは望ましくない。したがって、デキストロースプロファイリングは、患者の可能な治療を選択する際の重要な要因である。異なる溶液が、1.5%、2.5%、および4.25%デキストロース等の異なるデキストロースの割合で提供される。本システムに関連して説明されるAPD機には、異なるグルコースの割合を有する複数の溶液バッグに接続し、定格の割合とは異なる所望のグルコースの割合、例えば、2.0%、2.88%、3.38%、および3.81%デキストロースを有する、例えば、加温バッグの中、またはインライン加熱が使用される場合は患者の腹膜の中で混合または混成溶液を形成するように、異なるバッグから溶液を引き出す能力がある。加温バッグの中で混合された場合、加温バッグは、混合溶液の温度補償伝導度測定値が採取されることを可能にして、溶液が適正に混合されていることを確実にする、1つ以上の伝導ストリップを装着することができる。
【0023】
一実施形態では、APD機は、配達サイクルにわたって治療中に使用される、異なるバッグを追跡する。配達人が新規の溶液バッグを持って到着する前に、使用された在庫が溶液流通施設に送信される。この在庫が患者の合計自宅在庫から差し引かれるため、溶液流通施設は、どの溶液をどれだけ患者の自宅に配達するかが分かる。一実施形態では、配達人が患者の自宅に到着すると、残ることが見込まれるものと比較するために、配達人が患者の残りの在庫をスキャンする。APD機は、破壊された、失った、あるいは治療のために使用されていない溶液バッグを自動的に計上しない。しかしながら、そのような手順がより正確な先進在庫情報を提供することが分かれば、患者が、損失または破壊したバッグの量(または残っているバッグの実際の合計量)をAPD機追跡システムに入力できるようにすることが検討される。残りの製品の配達人によるスキャンは、いずれの場合でも、誤差が蓄積しないように、各配達時に患者の在庫をリセットする。
【0024】
動向および警告生成モジュールに関して、本開示のAPDシステムは、日々のUF、血圧、および体重等の、ある治療パラメータを追跡または動向化する。動向は、一実施形態では、治療と治療との間、例えば、治療の開始時に、APD機の表示デバイス上で見ることができる。動向はまた、臨床医および/または医師によって閲覧することもできる。治療の開始時に、患者は、例えば、患者の体重、血圧、および最後の24時間にわたって除去されたUFを閲覧することができる。患者は、前の晩の治療の最後の充填からである、患者の初期排出後に、前日のUFを知ることができる。つまり、第1の初期排出の終了から第2の初期排出の終了までが、記録されるUFサイクルを設定する。患者は、初期排出後に自分の体重を量り、ケーブルを介して、または無線で、あるいは代替として患者入力を介して、機械に入力されるデータを提供する。一式のフィルタまたは基準と組み合わせた動向データは、治療が現在の一式の処方の下で行われること、または新規の処方を介して実行されることを可能にするために使用される。機械は、一実施形態では、アラーム条件が発生した場合、または処方変更が必要とされる場合に、自動的に臨床医に警告する。
【0025】
動向画面は、例えば、日々のUF動向、7日間の移動平均動向、および30日間の移動平均動向を示すことができる。移動平均動向は、日々の高値および低値を平滑化し、UFの上昇および下降動向をより容易に示す。例えば、所定の期間にわたって、または標準以下のUFを回避するように高UF処方を実行する患者と組み合わせて、除去される実際のUFが、除去される低閾値UFを下回る場合、本開示のシステムは、APD機に、透析センターおよび/または医師へアラームまたは警告信号を送信させる。システムが過剰反応すること、または敏感すぎることを防止するために、異なる方法またはアルゴリズムが本明細書で論議される。周期的UF平均のほかに、システムはまた、誤差を蓄積し、UF除去を見るだけの代わりに、より一般的に患者を視認しようとして、体重および血圧等の他の生理学的患者パラメータを探す、アルゴリズムも使用する。
【0026】
処方呼び戻しおよび調整モジュールに関して、臨床医または医師は、患者を診療所に呼ぶこと、現在既存の処方の使用に関して電話またはEメールを介して提案を行うこと、新規PETを指図すること、および/または患者の処方を変更すること等によって、適切な方式で処方アラームに応答する。したがって、システムは、臨床医または医師から、成果が不良な処方を検出する負担を除去するように、および、1日以上の成績不振に過剰反応することなく合理的に可能な限り、そのような成果が不良な処方について警告するように構成される。
【0027】
警告条件が発生し、APD機が診療所またはセンターに警告条件を伝達することができない、例えば、インターネットサービスが利用可能またはアクセス可能ではない場合、システムは、APD機に、診療所またはセンターへ連絡するよう患者を促させるように構成される。そのためには、システムは、臨床医のサーバがAPD機に電子受信確認メッセージを送信するハンドシェイキング手順を含むため、APDは警告が受信されたことを知る。
【0028】
APDシステムは、閉ループ方式で一貫した標準以下の治療に応答するように設定することができる。ここで、APD機は、容認可能な処方、例えば、医師によって上記で処方された5つの処方のデータベースを記憶する。機械は、結果を改善しようとして、医師によって承認された処方を自動的に選択する。例えば、機械は、患者のUFが標準以下であれば、より高いUF処方を選択することができる。または、機械は、医師によって承認された1つ以上の処方を選択する患者に、いくつかの処方オプションを提示する。一実施形態では、システムは、患者が医師によって承認された処方を実行することしか可能にしないと理解されたい。
【0029】
別の代替実施形態では、複数、例えば、5つの承認された処方が患者のAPD機上にロードされるが、一部のみ、例えば、5つ処方のうちの3つが有効化される。有効化された治療が標準以下であることが分かった時、医師または臨床医は、例えば、患者のUFを増加することが可能である、以前に有効化されていなかった治療を有効化する。このようにして、医師または臨床医は、事前承認された一式の処方から選択することができ、上記で説明される投薬計画生成および処方フィルタリング処方シーケンスに戻らなくてもよい。システムはまた、血圧および体重警告条件に対する上記の警告反応を提供することもできる。
【0030】
システムは、患者の処方を変更するほかに、他の方法で警告に応答することができる。動向は、どの日にどの処方が実行されたかを示すため、医師または臨床医は、患者が十分な治療および/または正しい治療を実行しているかどうかを確認することができる。動向はまた、患者体重も示し、患者が過度に体重増加している場合に、患者に飲食物摂取を減らすように医師または臨床医が推奨することを可能にする。患者血圧も動向化し、条件で考慮することができる。本明細書では、患者警告からの起こり得る波及を例証する、複数のアルゴリズムおよび実施例が論議される。
【0031】
患者の治療が適正に機能している時、システムは、患者が所与の日に実行する処方を選択することを可能にするように、動作することができる。機械またはシステムは、代替として、実行する日々の処方、またはそれらの何らかの組み合わせを選択することができる。本明細書では、患者の融通性および生活様式の懸念と、治療性能の懸念とのバランスを保とうとする、いくつかの処方調整アルゴリズムまたは方法が論議される。
【0032】
したがって、本開示の利点は、患者治療データを分析し、結果を医師または臨床医に伝達し、次いで、医師または臨床医が、分析を手動で行うよりもむしろ、患者話すことに多くの時間を費やすことができる、APDシステムを提供することである。
【0033】
本開示の別の利点は、患者に対する治療処方を最適化しようとする、腹膜透析システムを提供することである。
【0034】
なおもさらに、本開示のシステムの利点は、種々の患者PD生理学的パラメータを追跡または動向化すること、同パラメータの周期的平均を提供すること、および迅速に反応するが、明白な標準以下の治療に過剰反応しないことである。
【0035】
本開示のシステムのさらなる利点は、標準以下のUF、患者体重増加、および/または高血圧に応答する、閉ループPDシステムを提供することである。
【0036】
本開示のシステムのさらに別の利点は、患者に複数の必要溶液を効率的に配達するために、患者の溶液使用を追跡するシステムを提供することである。
【0037】
本開示のシステムのなおもさらなる利点は、標準デキストロース溶液を混合して、所望の混成デキストロース濃度の透析液を達成する、透析システムを提供することである。
【0038】
本開示のシステムのさらなる利点は、患者の日々の必要性に適するように、そこから患者が選択することができる、複数の承認された処方を有する透析システムを提供することである。
【0039】
本開示のシステムのさらに別の利点は、より正確な腹膜平衡試験を使用する透析システムを提供することである。
【0040】
追加特徴および利点を本明細書で説明し、それらは以下の発明を実施するための形態および図面から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、改良型腹膜平衡試験(「PET」)モジュールと、投薬計画生成モジュールと、処方フィルタリングおよび選択モジュールと、透析液在庫管理モジュールと、通信モジュールと、データ入力モジュールと、動向および警告生成モジュールと、処方呼び戻しおよび調整モジュールとを含む、本開示の処方最適化システムの一実施形態の概略図である。
【図2A】図2Aは、腹膜透析治療結果を予測するための3細孔モデルで使用される細孔の異なるサイズを示す、腹膜血管の斜視図である。
【図2B】図2Bは、腹膜透析治療結果を予測するための2プールモデルの動力学輸送特性の概略図である。
【図3】図3は、本開示の改良型腹膜平衡試験(「PET」)とともに使用するために自宅で透析器具によって収集されるデータからの滞留時間と対比した、除去されたUFのサンプルプロットを図示する。
【図4A】図4A−4Dは、改良型PETモジュールと関連する追加データを図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図4B】図4A−4Dは、改良型PETモジュールと関連する追加データを図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図4C】図4A−4Dは、改良型PETモジュールと関連する追加データを図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図4D】図4A−4Dは、改良型PETモジュールと関連する追加データを図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図5】図5は、投薬計画生成モジュールと関連するデータを図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図6A】図6A−6Cは、生成された投薬計画を、治療のための可能な処方にフィルタをかけるために使用される、フィルタリング基準を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図6B】図6A−6Cは、生成された投薬計画を、治療のための可能な処方にフィルタをかけるために使用される、フィルタリング基準を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図6C】図6A−6Cは、生成された投薬計画を、治療のための可能な処方にフィルタをかけるために使用される、フィルタリング基準を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図7A】図7Aおよび7Bは、フィルタにかけられた投薬計画のリストからの処方の選択を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図7B】図7Aおよび7Bは、フィルタにかけられた投薬計画のリストからの処方の選択を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図8A】図8A−8Cは、それぞれ、高UF、標準UF、および低UF処方への合意を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図8B】図8A−8Cは、それぞれ、高UF、標準UF、および低UF処方への合意を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図8C】図8A−8Cは、それぞれ、高UF、標準UF、および低UF処方への合意を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図9A】図9A−9Eは、患者に対する3つの処方された投薬計画の最終フィルタをもたらす、本開示によるフィルタリング過程の別の実施例を図示する。
【図9B】図9A−9Eは、患者に対する3つの処方された投薬計画の最終フィルタをもたらす、本開示によるフィルタリング過程の別の実施例を図示する。
【図9C】図9A−9Eは、患者に対する3つの処方された投薬計画の最終フィルタをもたらす、本開示によるフィルタリング過程の別の実施例を図示する。
【図9D】図9A−9Eは、患者に対する3つの処方された投薬計画の最終フィルタをもたらす、本開示によるフィルタリング過程の別の実施例を図示する。
【図9E】図9A−9Eは、患者に対する3つの処方された投薬計画の最終フィルタをもたらす、本開示によるフィルタリング過程の別の実施例を図示する。
【図10】図10−13は、在庫管理モジュールの一実施形態を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図11】図10−13は、在庫管理モジュールの一実施形態を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図12】図10−13は、在庫管理モジュールの一実施形態を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図13】図10−13は、在庫管理モジュールの一実施形態を図示する、本開示のシステムの一部として臨床医または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図14】図14は、本開示の処方最適化システムとともに使用される、デキストロース混合を行うための1つの好適な装置を図示する、透析器具および使い捨てポンプカセットの一実施形態の斜視図である。
【図15A】図15Aおよび15Bは、本開示の処方最適化システムに対する、無線および有線通信モジュールの実施形態をそれぞれ図示する概略図である。
【図15B】図15Aおよび15Bは、本開示の処方最適化システムに対する、無線および有線通信モジュールの実施形態をそれぞれ図示する概略図である。
【図16A】図16Aは、通信モジュールの別の実施形態と、本開示の処方最適化システムに対する無線体重および血圧データ入力を含む、データ収集モジュールの実施形態とを図示する、概略図である。
【図16B】図16Bは、中央臨床サーバが特定の透析センターに位置するか、またはそれと関連付けられている、通信モジュールのさらなる実施形態を図示する概略図である。
【図17】図17−21は、患者に利用可能な種々の動向データを図示する、患者の透析器具上に表示されるサンプル画面である。
【図18】図17−21は、患者に利用可能な種々の動向データを図示する、患者の透析器具上に表示されるサンプル画面である。
【図19】図17−21は、患者に利用可能な種々の動向データを図示する、患者の透析器具上に表示されるサンプル画面である。
【図20】図17−21は、患者に利用可能な種々の動向データを図示する、患者の透析器具上に表示されるサンプル画面である。
【図21】図17−21は、患者に利用可能な種々の動向データを図示する、患者の透析器具上に表示されるサンプル画面である。
【図22】図22および23は、移動UF平均、標的UF、日々のUF、UF限度、および使用された処方を含む、種々の動向データを図示する、本開示の動向モジュールの一部として、患者の透析器具または臨床医および/または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図23】図22および23は、移動UF平均、標的UF、日々のUF、UF限度、および使用された処方を含む、種々の動向データを図示する、本開示の動向モジュールの一部として、患者の透析器具または臨床医および/または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図24】図24は、本開示の処方最適化システムの動向および警告生成モジュールに対する1つの可能な警告生成アルゴリズムを図示する、概略図である。
【図25】図25は、本開示の処方最適化システムの動向および警告生成モジュールに対する別の可能な警告生成/処方修正アルゴリズムを図示する、論理フロー図である。
【図26】図26は、統計的過程制御を介して判定される移動UF平均およびUF限度を含む、種々の動向データを図示する、本開示のシステム一部として、患者の透析器具または臨床医および/または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図27】図27は、統計的過程制御を介して判定される、移動UF平均、標的UF、使用された処方、およびUF限度を含む、種々の動向データを図示する、本開示のシステム一部として、患者の透析器具または臨床医および/または医師のコンピュータ上に表示されるサンプル画面である。
【図28】図28は、本開示の処方最適化システムの処方呼び戻しおよび調整モジュールに使用される、転送機能の一実施形態の概略図である。
【図29】図29は、本開示の処方最適化システムの処方呼び戻しおよび調整モジュールの1つの可能な処方呼び戻し実施形態を図示する、患者の透析器具上に表示されるサンプル画面である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ここで図面、具体的には図1を参照すると、自動腹膜透析(「APD」)機104を有する腹膜透析(「PD」)システム10の概略図が図示されている。システム10は、治療過程にわたる患者の限外濾過(「UF」)曲線を判定するための複数のデータ点をサンプリングし、採用する、改良型腹膜平衡試験(「PET」)12を提供し、使用する。PET12は、PD治療に対する個人の反応を特徴付けるために使用される、UF予測を改善し、臨床医が患者に対する最適化された処方を生成するのに役立つ。一実施形態では、PET12は、自宅でAPD機104を使用する固定治療として行われる。PET12はまた、以下で記載されるような検査室検査および分析も必要とする。
【0043】
システム10はまた、自動投薬計画生成14も行う。公知の投薬計画生成は、無計画型策略を使用して、医師110または臨床医120によって手動で行われ、時間がかかり、看護師または医師による科学的推測に依存する。自動投薬計画生成特徴14は、医師110または臨床医120が投薬計画を生成するために、PET12の結果、治療入力パラメータ、および入力された治療標的パラメータを使用し、時間を節約して、クリアランスおよびUFに対する治療標的を満たし、グルコース暴露を最小限化し、生活様式の必要性を満たす、1つ以上の投薬計画が生成される可能性を増大する。
【0044】
システム10はさらに、自動投薬計画生成特徴14によって生成された多くの投薬計画を管理可能な数の処方に削減する、処方フィルタリングモジュール16を含み、次いで、その処方は、自宅にある患者のAPD機104上にロードされる一式の承認された処方を提供するように、患者および医師/臨床医によって選択される。一実施形態では、APD機104は、データカード、インターネット、または他の種類のデータ通信を介してAPD機104に転送される、最大で5つの処方をサポートする。異なる処方は、例えば、合計で5つになる、2つの主要(または標準)処方、1つの容量減少型(低UF)処方、および2つの過剰輸液(高UF)処方を含むことができる。処方の全てが医師によって有効化されなければならないわけではない。しかしながら、いったん医師によって有効化されると、複数の処方が患者に融通性を提供し、適正な治療を提供しながら、APD機104および治療が患者の生活様式の必要性により良好に適することを可能にする。
【0045】
処方フィルタリング16は自然に、在庫追跡特徴またはモジュール18につながる。異なる処方は、自宅で異なる種類のPD溶液を保管するように患者に要求することができる。例えば、1つの種類の溶液が夜間交換に使用されてもよい一方で、第2の種類の溶液は最後の充填または日中交換に使用される。また、同じ種類の溶液を、異なるデキストロース分量で提供することもできる。システム10は、どのような種類および品種の溶液が必要であるか、そのような種類および品種の分量、および有効化された処方を実行するためにどのような関連使い捨て構成要素が必要であるかを判定する。APD機104は、配達サイクルにわたってどの種類および品種の溶液がどれだけ使用されるかを追跡し、臨床医のサーバに使用量を伝達する。次いで、臨床医のサーバは、次の配達サイクルのために、どの供給物がどれだけ患者に配達される必要があるかを判定する。配達人が患者の家に到着すると、配達人は患者の実際の残りの在庫をスキャンして、臨床医サーバの予期された残りの在庫に対して比較することができる。患者の配達は、必要であれば調整することができる。ここでは、患者の配達後在庫が分かり、臨床医のサーバに送信される。通信は、以下で論議される通信モジュールを使用して行われる。
【0046】
記述されるようなシステム10は、例えば、インターネット、モデム、および携帯電話のうちのいずれか1つ以上を介して、APDソフトウェアと医師/臨床医のソフトウェアとの間でデータを転送する、処方ダウンロードおよび治療データアップロード通信モジュール20を含む。透析センターは、例えば、患者のAPD機に更新された処方を送信するために、通信モジュール20を使用することができる。治療データ、ログ、動向データを、医師/臨床医のデータセンターにアップロードすることができるため、医師または臨床医は、いつでもどこからでも患者情報にアクセスすることができる。
【0047】
システム10はまた、自動の、例えば、24時間UF、血圧、および体重データ収集特徴22も含む。APD機は、一実施形態では、患者の24時間UFを判定し、毎日かつ自動的に血圧および体重を取得する。遠隔交換システム(「RES」)は、患者の日中交換データを収集し、例えば、bluetoothまたは他の無線通信を介して、そのようなデータをAPD機に毎日供給する。血圧および体重デバイスはまた、例えば、毎日かつ無線で、APD機に患者の血圧および体重を伝達することもできる。データ収集特徴22はまた、例えば、投薬計画生成特徴14への、治療範囲および標的情報の収集および入力も含む。
【0048】
システム10はさらに、動向および警告生成特徴24を含む。APD機は、24時間UF、血圧、心拍数、体重、および使用される処方の最大で90日の動向を提供する。患者、臨床医、および/または医師は、APD機、臨床医コンピュータ、または医師コンピュータのディスプレイ上で、これらの曲線を閲覧することができる。APD機は、動向に必要なデータを取得し、サーバコンピュータにデータを送信し、順にサーバコンピュータが動向を生成および監視する。APD機および/または臨床ソフトウェアは、患者治療動向データを監視し、重要なパラメータのうちのいずれかが医師の事前設定範囲から外れた(または本明細書で説明される他の警告フィルタリング基準と組み合わせた範囲から外れた)時に警告を生成する。
【0049】
システム10はさらに、処方呼び戻しおよび修正特徴26を含む。動向特徴24からのデータに基づいて、患者102、医師110、および/または透析センター120は、別の処方に優先して、毎日使用するための1つの承認された処方を呼び戻してもよい。例えば、過去数日の患者のUF結果が予想より少なかった場合、患者102、医師110、および/または透析センター120は、標準UF処方とは対照的に、より高いUF処方を使用することを決定してもよい。システム10は、例えば、全て医師に承認されている、3つまたは5つの異なる処方を記憶することができる。5つの処方は、例えば、(i)低UF、(ii)より短い持続時間およびより高いデキストロースを伴う標準UF、(iii)より長い持続時間およびより低いデキストロースを伴う標準UF、(iv)より短い持続時間およびより高いデキストロースを伴う高UF、および(v)より長い持続時間およびより低いデキストロースを伴う高UFを含んでもよい。
【0050】
患者が最近体重増加したことを患者102、医師110、および/または透析センター120が知っている場合、治療からのカロリー入力を低減するように、より低いデキストロース処方が選択されてもよい。そうでなければ、患者は、生活様式の理由により、より短い治療または日中交換がない治療を実行することを希望してもよい。システム10は、患者が所与の日にどの処方を実行するかを選択するように構成することができる。代替として、透析器具104は、透析センター120からダウンロードされた処方を実行する。さらに、代替として、透析器具104は、医師110からダウンロードされた処方を実行する。システム10は、例えば、患者が責任ある選択を行っている限り、患者が所与の日にどの処方を実行するかを選択することを可能にする、ハイブリッド制御を実行することができ、患者が責任ある選択を行わなければ、システム10は、実行する処方が患者のために機械によって設定されるように切り替わる。代替として、患者が責任ある選択を行わなければ、システム10は、例えば、可能な処方のリストから、あまり積極的ではないオプションを除去することができるが、依然として、患者が残りの処方から選択することを可能にする。
【0051】
多くのPD患者が経時的に残存腎機能(「RRF」)を失うため、PD治療は、より多くのUFを除去する必要がある。また、RRFの損失により、患者の輸送特性が減退する場合がある。患者がどの処方を実行しようと、患者のUFが標準以下であり、患者が過度に体重増加している、患者の血圧が高すぎる、またはこれらの条件の組み合わせが発生していることを動向機能24が示すと、モジュール26に従ったシステム10は、おそらく患者の処方が修正される必要があることを自動的に警告する。本明細書では、システム10が過敏ではなく、例えば、器具誤差または患者の腹膜に残った流体の残留量による、患者UFの自然変動を許容するように講じられる、いくつかの対策が論議される。しかしながら、正常変動の結果ではないことを示すのに十分な標準以下のパターンを患者が示すと、システム10は、患者のPD能力を改善するように、いくつかの手順を制定する。例えば、システム10は、行われる新規PET、それに応じて生成される新規投薬計画、および生成された投薬計画からフィルタにかけられる新規処方を呼び出すことができる。または、おそらく初期試行として、システム10は、以前に生成された投薬計画に適用される新規の一式のフィルタリング基準(例えば、より厳しい治療基準)を呼び出して、新規の一式の処方をフィルタにかけて除去する。新規処方は、データメモリカードを介して、または医師の診療室110あるいは透析診療所120からのインターネットリンクを介して、患者の透析器具104にダウンロードされる。
【0052】
(腹膜平衡試験(「PET」))
ここで図2Aを参照すると、腹膜血管からの断面図が血管の3つの細孔を図示する。3つの細孔はそれぞれ、3細孔モデルと呼ばれる1つの動力学モデルにつながる、各自の毒素およびUFクリアランスを有する。3細孔モデルは、溶液除去、体液移行、治療変数、および生理学的特性の時間的経過の間の関係を表し、相関し、予測する、数学的モデルである。3細孔モデルは、本開示の出願人によって市販されている、Dianeal(R)、Physioneal(R)、Nutrineal(R)、およびExtraneal(R)透析液等の、異なる種類の透析液に使用することができる予測モデルである。
【0053】
3細孔モデルは、以下のように表されるアルゴリズムに基づき、
【0054】
【数1】

式中、
は、腹水容量であり、
VCは、図2Aに示された細胞間細孔またはアクアポリンを通る流体の流量であり、
VSは、図2Aに示された小孔を通る流体の流量であり、
VLは、図2Aに示された大孔を通る流体の流量であり、
Lは、腹膜リンパ流である。
【0055】
研究は、3細孔モデルおよび2プールモデルが、UFおよび小溶質クリアランスに関して本質的に同等であることを示している。2プールモデルは、少ない計算、したがって少ないコンピュータ時間を必要とするため、3細孔モデルよりも実装しやすい。研究はまた、実際の治療から測定された実際の結果と対比した、予測ソフトウェアから導出された予測結果間の相関には、大部分で良好な相関があることも示している。以下の表1は、1つの研究(E. Vonesh et al., 1999)の結果を示す。相関(rc)は、除去された尿素、毎週の尿素クリアランス(pKt/V)、総尿素クリアランス(Kt/V)、除去されたクレアチニン、毎週のクレアチニンクリアランス(pCCr)、総クレアチニンクリアランス(CCr)、グルコース吸収、および全排水(排出量)について正確である。しかしながら、UF相関は、おそらく、APDデバイスのUF容量精度、患者の残存溶液容量、患者の輸送特性の変動、および主要動力学パラメータを推定するための有限入力点により、それほど正確ではない。
【0056】
【表1】

あるAPDデバイスは、充填および排出流体容量を非常に正確に測定できることが分かっている。例えば、本開示の出願人によって提供されるHomeChoice(R)/HomeChoicePRO(R)APD機は、1%または+/−10mLの総充填および排出容量精度を報告している。複数の交換サイクルを採用するAPD機は、主要動力学パラメータを推定するために必要なデータ点を増加させ、同時に、患者の残存溶液容量による誤差を導入する可能性を低減する。したがって、小溶質(または毒素)の現在の良好な予測を維持または改善しながら、UF予測精度を改善させるために、新規PETが提案される。
【0057】
図2Bは、システム10がPET12に使用することができる、代替(2プールPD)動力学モデルを図示する。図2Bの2プールPD動力学モデルは、図2Aのように、PDにおける流体および溶質除去を予測して、(i)患者をケアおよび管理するのに臨床医を援助する、(ii)腹膜輸送を統括する生理学的機構を理解するのに臨床医を支援する、および(iii)治療成績をシミュレートするために使用される。「同等の」膜コアに対する身体および透析液コンパートメントの両方における拡散および対流物質輸送の両方をまとめて表す、一式の微分方程式は、以下の通りである。
(身体コンパートメント)
【0058】
【数2】

(透析液コンパートメント)
【0059】
【数3】

拡散物質移動速度は、物質移動面積係数KPAおよび濃縮物勾配(C−C)の積である。KPAは順に、溶質膜透過性(p)および移動面積(A)の積に等しい。対流物質移動速度は、正味水除去(UF)率Q、溶質ふるい係数s、および平均膜溶質濃度
【0060】
【数4】

の積である。Kは、残存腎機能係数である。
【0061】
時間tでの透析容量Vに対する上記の方程式を解くと、以下の通りである。
(透析液容量)
【0062】
【数5】

式中、(i)Vは、注入直後の透析液容量(mL)であり、(ii)LPA’は、透水率輸送速度(mL/分/mmol/L)であり、(iii)Kは、第i溶質の物質移動面積係数の値(mL/分)であり、(iv)Sは、第i溶質のふるい係数、(v)CD,iは、注入直後の第i溶質の透析液濃度(mmol/L)であり、(vi)CB,iは、注入直後の第i溶質の血液濃度(mmol/L)であり、(vii)tは、時間(分)であり、(viii)Qは、リンパ系吸収(ml/分)である。したがって、UFは、注入容量、溶液濃度、および滞留時間を知る上記の方程式から計算することができる。
【0063】
上記の方程式について透水率(LPA、mL/分/mmol/L)およびリンパ液流速(Q、mL/min)を推定するために、対応する滞留時間t1およびt2における2つのV値が必要とされる。V(充填容量+UF)値は、不完全排出(循環装置)および結果として生じるUF測定誤差により、測定することが困難である。図3に示されるようなPET12は、LPAおよびQ推定の精度を改善し、したがって、UF予測精度を改善するために、複数の(5つの)異なる対応する滞留時間、例えば、一晩、4時間、2時間、1時間、および30分における、複数、例えば、5つの滞留容量(V)測定値を使用する。
【0064】
一実施形態では、本開示のPET12は、患者の流体輸送パラメータを直接推定し、測定されたパラメータを他のPET結果と相関付けることによって、2つの治療過程(例えば、2晩または連続)にわたって行われる滞留時間評価と対比したUFから始まる。特定の種類の透析液について除去されたUFは、患者に未使用の透析液を充填し、溶液が規定の時間にわたって患者の腹膜内に滞留することを可能にし、患者に排出させ、排出容量から充填容量を差し引いて、その特定の滞留時間にわたるUF容量を判定することによって、測定される。
【0065】
1つの実装では、最初の夜に、2.5%デキストロースDianeal(R)透析液等の標準透析液を使用して、APD機は、30分間の滞留での第1のサイクル、60分間(1時間)の滞留での第2のサイクル、120分間(2時間)の滞留での第3のサイクル、および240分間(4時間)の滞留での第4のサイクルといった、4つの別個の2リットル充填/排出サイクルを実行する。全ての滞留時間の合計は、約7時間30分であり、充填および排出に必要な時間を含んで、典型的な約8時間の総治療時間を費やす。APD機は、各サイクルに対する充填容量、排出容量、および実際の滞留時間を記録する。充填容量は、例えば、どれだけ多くの未使用の透析液が最初にバッグの中に実際に存在しているか、およびAPD機がどれだけバッグを空にすることができるかに応じて、2リットルよりもわずかに少ないか、または多くてもよい。いずれの場合も、充填および排出容量は、結果として生じる計算されたUFも正確であるように、正確に記録される。
【0066】
代替実施形態では、精度を増加させるために、患者が充填前および排出後に透析液バッグの重さを量る。重量値は、(以下で詳細に論議されるように)計量器からAPD機に無線で送信することができる。患者は、代替として、重量データを手動で入力する。APD機は、排出後重量から充填前重量を差し引いて、実際の滞留時間と合致するUF値を正確に判定する。
【0067】
滞留時間は、(i)充填の終了と対応する排出の開始との間の時間、(ii)充填の開始と対応する排出の終了との間の時間、および(iii)1つの好ましい実施形態では、充填の終了と対応する排出の終了との間の時間となり得る。シナリオのうちのいずれかでは、実際の滞留時間は、おそらく規定の滞留時間よりもわずかに多く、または少なくなる。例えば、シナリオ(ii)および(iii)では、排出中のねじれたラインが、排出時間、したがって、記録された滞留時間を長くする。シナリオ(ii)では、充填中のねじれたラインが、充填時間、したがって、記録された滞留時間を長くする。APD機は、以下で示されるような使用のために、実際の滞留時間を記録する。規定の時間ではなく実際の時間は、実際の滞留時間と規定の滞留時間との間の差異が、UF予測モデルに誤差を導入しないように使用される。
【0068】
次または第2の夜に、標準(例えば、2.5%デキストロースDianeal(R))透析液を使用して、APD機の患者は、480分または8時間の滞留で単一充填容量を実行する。APD機は、(上記のシナリオ(i)から(iii)のうちのいずれかに従って)実際の滞留時間を記録し、実際の滞留時間を(例えば、APDまたは計量器を介して)APD機に記録された実際のUFと合致させる。
【0069】
2日間の終了時に、APD機は、5つのUF/滞留時間データ点を記録している(より多いまたは少ないデータ点を達成することができるが、上記の5つの滞留時間が、2つの標準8時間治療にわたって容認可能かつ達成可能である)。一実施形態では、APD機は、PET12の残りの部分が行われる透析診療所120または医師の診療室110に位置するサーバコンピュータ(図15A、15B、16A、および16B)にUF/滞留時間データ点を送信する。APD機をサーバコンピュータにリンクするための種々の実施形態が本明細書で示され、例えば、データを輸送するために電子メールリンクを使用することができる。別の実施形態では、APD機は、患者がAPD機に挿入する患者データカード上に5つの(または他の数の)データ点を記録する。次いで、患者は、データカードおよび添付データを透析センター120または医師の診療室110に持って行き、PET12を完了する。
【0070】
次いで、患者は、例えば翌日、透析センターまたは医師の診療室に行く。患者は、追加回数で充填され、典型的には4時間後に排出される。血液および透析液サンプルが、例えば、2時間および4時間で採取される。第2の4時間滞留UFデータ点を採取し、追加精度のために、第1の4時間滞留UFデータ点と比較することができる。代替として、第2の血液サンプルを4時間で採取するが、患者は、例えば5時間で排出され、追加UF滞留データ点を提供する。
【0071】
図3は、異なる実際の滞留時間に対するUFデータ点のプロットを図示する。サーバコンピュータまたは他の臨床ソフトウェアコンピュータは、曲線30を5つのデータ点に適合させるようにプログラムされる。曲線30は、異なる記録された滞留期間の間の間隙(例えば、0.5時間、1時間、2時間、4時間、および8時間における)を埋め、したがって、8時間の範囲内およびそれを超える任意の滞留期間について、使用された特定の透析液およびデキストロース濃度について除去されるUFを予測する。
【0072】
透析溶液中のデキストロースによって作成される浸透勾配は、デキストロースが身体によって吸収されるにつれて、時間ともに減少する。したがって、患者の限外濾過速度が高いレベルで始まり、速度が実際にマイナスになる点まで経時的に減少するため、患者の身体は流体を再吸収し始める。したがって、グラフに示されるようなUF容量は、ある滞留時間後に、実際に減少し得る。本開示の目標のうちの1つは、患者の最適UF滞留時間を知ることであり、それはデキストロース濃度依存性であり、以下で詳細に論議される処方に最適滞留時間を組み込んでもよい。
【0073】
図示された実施形態では、曲線30は、2.5%デキストロースについて除去されるUFを予測する。いったん曲線が特定の患者に対して適合されると、他の透析液および他のデキストロース濃度に対する、例えば、1.5%および4.25%デキストロース濃度に対するUF/滞留時間を予測するように、動力学モデルを使用して曲線を計算することができる。図3に示されるように、2.5%デキストロースについて、曲線30は、約300分または5時間の最大UF除去滞留時間を有する。5時間はおそらく長過ぎる滞留時間であるが、2時間または2.5時間の滞留時間に対するUFは、最大UF滞留時間に極めて近づく。2時間の滞留時間は、1.5%デキストロースに対する最大値にさらに近づく。4.25%デキストロースは、図3で見られるように、より長い滞留に適する。例えば、1日交換が4.25%デキストロースにとっての良好な用途である。
【0074】
最適UFを予測するほかに、2.5%デキストロースDianeal(R)透析液等の特定の透析液を使用して、5つまたは6つのUFデータ点、血液検査、および透析液検査データが採取される。UF、血液、および透析液データのそれぞれは、物質移動面積係数(「MTAC」)データおよび透水率データを生成して、患者の輸送およびUF特性を分類するために使用される。次いで、MTACデータおよび透水率データはまた、1.5または4.5%デキストロース溶液等の他の種類の透析液に、および本開示の出願人によって提供されるExtraneal(R)およびNutrineal(R)透析液等の他の異なる製剤に生理学的に適用することもできる。つまり、曲線30は、1つの濃度について示されている。しかしながら、いったん動力学モデルならびにLPAおよびQ(PET試験結果より)が分かると、システム10は、それぞれ溶液の種類、デキストロース濃度、滞留時間、および充填容量について、上記のアルゴリズムに従ってVを計算することができる。1.0(mL/分/mmol/L)のLPA値および0.8ml/分のQ値を、図3の曲線30(2.5%デキストロース)ならびに1.5%デキストロースおよび4.25%デキストロースの曲線のシミュレーションに使用した。
【0075】
透析液容量Vに対する上記のアルゴリズムを使用して、動力学モデリングシミュレーションを行い、公知のPETおよびPET12を使用したUF推定および関連誤差の比較を示す、表2に示される以下のデータを生成した。データは、公知のPETと比較して、PET12がUF予測精度を有意に改善したことを示した。
【0076】
【表2】

(自動投薬計画生成)
図1で見られるように、本システム10は、治療投薬計画生成モジュール14を含む。投薬計画生成モジュール14は、複数の予測アルゴリズムを含む。予測アルゴリズムは、投薬計画を生成するために、PET12からの上記の計算された患者輸送およびUF特性、標的情報、および他の治療入力情報を使用する。投薬計画生成モジュール14は、一実施形態では、治療入力情報と、計算された患者輸送およびUF特性とを使用して、入力された標的要件を満たす可能な治療投薬計画の全てを生成する。生成される投薬計画は、以下で示されるように多数である。次いで、処方生成モジュール16が、モジュール14において生成された投薬計画をフィルタにかけ、特定の患者に対してAPD機上で行うことができる、有限数の最適化された処方を生じる。
【0077】
図4Aは、投薬計画生成モジュール14用の1つのデータ入力画面を示す。図4Aの画面に入力されるデータは、PET12から取得される。図4Aは、透析センターの臨床看護師に対するPET12データ入力を提供する。データは、透析液UF測定、透析液検査室検査結果(尿素、クレアチニン、およびグルコース)、および血液検査結果(血清尿素、クレアチニン、およびグルコース)を含む。具体的には、図4Aの「夜間交換」モジュールは、(i)%デキストロース、(ii)溶液の種類、(iii)注入された溶液の容量、(iv)排出された溶液の容量、(v)滞留時間(s)、(vi)透析液尿素濃度(排出された透析液からの検査室検査結果)、および(vii)透析液クレアチニン濃度(排出された透析液からの検査室検査結果)を含む、夜間交換データ入力を提供する。図4Aの「4時間平衡」モジュールは、診療所で採取される患者血液サンプルから通常は取得される、4時間交換データ入力を提供し、データは、(i)%デキストロース、(ii)溶液の種類、(iii)注入された溶液の容量、(iv)排出された溶液の容量、(v)注入時間、および(vi)排出時間を含む。図4Aの「データ」モジュールは、4時間交換データ入力を提供し、(i)臨床医の入力である、血清#1のサンプル時間(通常は透析液の注入後120分)、尿素、クレアチニン、およびグルコース濃度と、ソフトウェアアルゴリズムが計算する補正クレアチニン濃度である「補正Crt」とを含み、(ii)、(iii)、および(iv)透析液#1、#2、および#3については、臨床医の入力である、サンプル時間、尿素、クレアチニン、およびグルコース濃度と、ソフトウェアによって計算される「補正Crt」および「CRT D/P」(透析液クレアチニン/血漿クレアチニン)とを含む。
【0078】
図4Bでは、「血清濃度」モジュールは、好ましくは午前中に、通常のAPD治療後に典型的に行われる血液検査を伴い、クレアチニン、尿素、グルコース、およびアルブミンの分析のために検査室に送信される結果につながる。血清濃度(血漿濃度と呼ばれることもある)は、血中尿素、クレアチニン、およびグルコース濃度の検査室検査結果である。末期腎臓病の患者は、機能している腎臓がある人々よりもはるかに高い血中尿素およびクレアチニン濃度を有する。グルコース濃度は、デキストロースベースの溶液を使用した時に患者の身体がどれだけグルコースを吸収するかを測定するため、重要である。図4Bの「24時間透析液および尿収集」モジュールは、患者に残存腎機能がなく、したがって尿を産生しないことを示す。夜間収集データは、患者の残存腎機能(「RRF」)の計算やAPD治療の結果(充填、排出、および検査室検査結果)のため、ならびに患者の体表面積(「BSA」)を計算するように患者の身長および体重を測定するために使用される。PET12(8時間滞留)の2日目の実施例で見られるように、8000ミリリットルの透析液が患者に注入され、8950ミリリットルの透析液が患者から除去され、950ミリリットルの正味UF容量を生じた。透析液は、尿素、クレアチニン、およびグルコースの分析のために検査室に送られる。「毎週のクリアランス」モジュールは、患者が適切なクリアランスを有するかどうかを分析するために医師が使用するパラメータである、毎週の尿素Kt/Vおよび毎週のクレアチニンクリアランス(「CCL」)を計算する。
【0079】
投薬計画生成特徴14の図4Cは、画面4Aおよび4Bのデータならびに記憶されたアルゴリズムを使用して、システム10が物質移動係数(「MTAC」)をおよび水輸送パラメータを計算する、サンプル画面を示す。本開示の出願人によって提供されるRenalSoft(TM)ソフトウェアは、図4Aおよび4Bの入力データから図4Cに示されたデータを計算するための1つの公知のソフトウェアである。図4Cで計算され、示されたデータの一部は、投薬計画生成特徴14に対するアルゴリズムで使用される。具体的には、投薬計画生成アルゴリズムは、投薬計画を生成するために、尿素、クレアチニン、およびグルコースに対するMTAC、ならびに透水率を使用する。
【0080】
投薬計画生成特徴14の図4Dは、PET12から測定された実際のUFと対比した、図4Cの透水率に基づいて判定された予測排出容量を臨床医または医師に示す。結果は、夜間交換(例えば、PET12の第1夜また第2夜)および透析センター120または医師の診療室110で行われた4時間滞留検査について示されている。実際の排出容量UFと予測排出容量との間の差異は、臨床医または医師が、PET12の精度と、排出容量およびUFに対する図4Aから4Dの予測ルーチンとを閲覧することができるように計算される。予測排出容量を生成するために、操作者が流体吸収率を入力する。機械はまた、排出容量の予測で使用される流体吸収値も計算する。図4Dで見られるように、システム10のソフトウェアは、患者のPETから入力された値に基づいて、流体吸収率を0.1ml/分と計算している。図4Dの最上部で見られるように、夜間交換に対する実際の排出容量対予測排出容量は、2200ml対2184mlであった。4時間(日中)の予測排出対実際の排出は、2179ml対2186mlであった。図4Dの最下部は、1.0ml/分のより一般的な流体吸収率に対する予測排出値と対比した実際の値を示し、0.1ml/分の流体吸収率に対する値ほど相互に近くはない。次いで、システムは、UFを予測する時に、この患者に使用したい流体吸収率を入力するよう臨床医に要求することができ、それは通常、0.1ml/分および1.0ml/分を含む、その間のどこかの値である。
【0081】
図5は、投薬計画生成特徴14用の1つの可能な投薬計画計算入力表を図示する。投薬計画計算入力表は、(a)最小尿素クリアランス、(b)最小尿素Kt/V、(c)最小クレアチニンクリアランス、(d)最大グルコース吸収、および(e)標的UF(例えば、24時間にわたる)を含む、臨床標的データを入力する。
【0082】
図5の表はまた、(i)治療時間、(ii)総治療容量、(iii)充填容量、(iv)選択された溶液の種類に対するデキストロースパーセント、およびおそらく(v)溶液の種類等の、夜間治療パラメータデータも入力する。ここで、滞留時間および交換の数は、(ii)および(iii)から計算される。滞留時間は、代替として、上記で論議されるようにPET12の結果に従って設定することができ、それは、残りの合計時間、総容量、および充填容量入力を計算するために、合計時間、総容量、および充填容量等の少なくとも1つの他の入力と組み合わせて使用することができる。例えば、滞留時間、総容量、および合計時間が設定された場合、システム10は、交換ごとの充填容量および交換の数を計算することができる。夜間治療パラメータ入力はまた、(i)滞留時間、(ii)最後の充填容量、および(iii)選択された溶液の種類に対するデキストロースパーセント等の、最後の充填の入力も含む。
【0083】
図5の表はまた、(i)治療時間、(ii)充填容量、(iii)サイクルの数、(iv)選択された溶液の種類に対するデキストロースパーセント、およびおそらく(v)溶液の種類等の、日中治療パラメータデータも入力する。日中交換は、行われても行われなくてもよい。
【0084】
夜間および日中治療用の溶液の種類は、利用可能なデキストロース濃度、溶液製剤(例えば、本開示の出願人によって市販されているDianeal(R)、Physioneal(R)、Nutrineal(R)、およびExtraneal(R)透析液)を入力する、図5の入力表の溶液部分から選択される。バッグのサイズは、特に高齢患者にとって重量の懸念となり得る。より小さいバッグが、異なる最後の充填および/または日中交換溶液あるいはデキストロースレベルを使用する投薬計画に必要とされてもよい。より小さいバッグはまた、図5の表の溶液部分の下に記載された標準デキストロース濃度(例えば、2.0%、2.88%、3.38%、または3.81%のデキストロース濃度)の2つ以上のバッグからの混合を必要とする、デキストロース濃度を要求する投薬計画にも必要とされてもよい。カスタマイズされたデキストロース濃度を生じる混合は、図14に関して以下で論議される。溶液バッグ在庫管理も、図10から13に関して以下で論議される。
【0085】
図5の投薬計画計算入力表はまた、入力の多くが、臨床標的データのプラス/マイナス範囲、ならびに、ある夜間治療パラメータデータおよび日中治療パラメータデータの最大/最小/増分範囲等の範囲を有することも図示する。いったん臨床医または医師が図5の表を完成させ始めると、システム10は、他のセルの多くに提案値を自動的に入れ、入力の量を最小限化する。例えば、溶液データの下で利用可能な溶液は、透析センターによって利用可能であると示されている溶液に基づいて自動的に記入することができ、それはさらに、特定の国で承認されている利用可能な溶液のポートフォリオに基づく。別の実施例では、システム10は、利用可能な溶液の全てを使用するように、夜間治療パラメータデータの充填容量増分を自動的に調整することができる(例えば、12リットル治療が評価されている時、サイクルの数および充填容量は、以下のように及ぶことができる:4回の3000mL充填、5回の2400mL充填、6回の2000mL充填、および7回の1710mL充填)。システム10は、操作者が所望であれば提案値のうちのいずれかを変更することを可能にする。
【0086】
システム10のソフトウェアは、各パラメータについて入力される範囲に基づいて、パラメータの可能な組み合わせの全てに対する予測結果を計算する。図5で見られるように、いくつかの投薬計画は、臨床医によって選択された最小基準を満たす、または超える、尿素クリアランス、クレアチニンクリアランス、およびUFに対する「適切な」予測結果を有する。他の投薬計画にはない。「適切な投薬計画のみを表示する」を選択することにより、投薬計画生成過程を加速する。一部の患者は、何百もの適切な投薬計画を有する場合がある。他の患者には、少しだけ、またはおそらく全くない場合がある。いずれも適切ではない時は、標的要件をほぼ満たす投薬計画をフィルタリングのために識別できるように、全ての投薬計画を表示することが必要であってもよい。表示された全ての投薬計画から開始する時のフィルタリングは、患者にとって最善の処方を見つけようとする時に、臨床医/医師に最大の融通性を提供する。
【0087】
システム10は、結果予測ソフトウェアに治療の組み合わせの全てを投入し、結果を表にし、次いでシステム10が、処方フィルタリングモジュール16に関連して以下で示されるように、その表をフィルタに通すことができる。1つの好適なソフトウェアは、本開示の出願人によって提供されるRenalSoft(TM)ソフトウェアである。組み合わせは、図5の投薬計画計算入力表に上記で入力される異なる範囲を考慮する。
【0088】
以下の表3は、システムソフトウェアに入力された一式のデータに対する最初の10個の結果(合計270個の結果のうち)を示す。ここでは、1.5%夜間デキストロース溶液が選択される。日中交換は許容されない。標準PD治療について生成された結果が示されているが、代替として、または加えて、周期的治療等の他の種類のPD治療について生成することができる。図5は、連続循環腹膜透析(「CCPD」)または周期的治療の一方または両方が投薬計画生成過程に含まれることを可能にする、チェックボックスを有する。
【0089】
【表3】

既述のように、表3は、1.5%夜間デキストロース濃度で可能な270個の有効な組み合わせのうちの10個を図示する。同じ270個の組み合わせはまた、2%デキストロース濃度、2.5%等の夜間デキストロース濃度にも存在する。日中充填が追加されると、等しい数の有効な組み合わせが、それぞれの可能なデキストロース濃度について作成される。さらに、さらに多くの有効な組み合わせを作成するように、最後の充填滞留時間を変動させることができる。
(処方フィルタリング)
上記で示されるように、システム10は、医師/臨床医が、患者充填容量、総治療容量、総治療時間等の臨床標的および治療入力の値を処方することを可能にし、臨床要件の全てを満たす全ての治療を含有する、表3等の表を生成する。次いで、臨床要件の全てを満たす治療の表を、自動的にフィルタにかけ、総夜間治療時間、治療溶液費用、治療重量等のパラメータに基づいて並べ替えることができる。
【0090】
ソフトウェアは、予測治療結果を生成するために、(例えば、表3の)治療の組み合わせ、および図4Aから4Dに関連して示されるようなPET12を介して生成される患者の生理学的データと組み合わせて、1つ以上のアルゴリズムを使用する。図5の臨床標的を満たす(例えば、表3の)治療の組み合わせは、処方投薬計画になる候補として、臨床医、看護師、または医師に提示される。
【0091】
図6Aおよび6Bは、医師または臨床医が投薬計画を排除するために使用することができる、フィルタの実施例を図示する。図6Aでは、最小尿素Kt/V除去が、図5の1.5から図6Aの1.7に増加させられている。一実施形態では、図5の+0から−0.2の範囲は、図6Aで設定される新規の最小値に自動的に適用される。代替として、システム10は、新規の範囲を入力するか、または同じ範囲を保つようユーザを促す。他の臨床標的と組み合わせて、適用された範囲の対象となる値が満たされなければならないことを特定するように、ブール「And」演算子が新規の最小尿素Kt/Vに適用される。
【0092】
図6Bでは、最小24時間UF除去が、図5の1.0から図6Bの1.5に増加させられている。一実施形態では、図5の+0から−0.2の範囲は再度、図6Bで設定される新規の最小値に自動的に適用される。代替として、システム10は、新規の日々のUF範囲を入力するか、または同じUF範囲を保つようユーザを促す。再度、他の臨床標的と組み合わせて、適用された範囲の対象となる値が満たされなければならないことを特定するように、ブール「And」演算子が新規の最小24時間UF適用される。臨床医および患者は、溶液費用、溶液バッグ重量、吸収されたグルコース、夜間治療時間、日中充填容量、夜間充填容量等の、追加、臨床、および非臨床要件を自由に課すことができる。
【0093】
ここで図7Aを参照すると、図5の臨床標的および他の入力、ならびに図6Aおよび6Bの追加フィルタリングを満たす投薬計画が示されている。このように、投薬計画のそれぞれは、毎日少なくとも1.5リットルのUFを除去することが予測され、1.5を上回る最小尿素Kt/V除去を有する。
【0094】
投薬計画36は、最小日中充填容量(患者快適性)、最低溶液重量(患者利便性)、および2番目に最も低いグルコース吸収値(最小食事影響)を有するため、ハイライトされている。したがって、投薬計画36は、標準UF投薬計画として、医師によって選択され、処方される。
【0095】
患者、臨床医、および/または医師はまた、患者の生活様式の必要性にも合う、1つ以上の追加処方を承認するために選ぶこともできる。例えば、患者が、土曜の夜のリーグで競技する冬期月間中のボーリングチームのメンバーであると仮定する。患者は、社交の間に通常よりも少し多く飲む。患者およびその医師/臨床医は、したがって、約20%多くのUFを除去する治療投薬計画が土曜の夜に行われるべきであると合意する。また、ボーリングの夜に、患者は、標準の8時間治療どころか、治療を行うのに7時間しかない。したがって、図7Aでハイライトされる、フィルタにかけられた潜在的処方34が、余分UFを除去するためにより高いデキストロース濃度を使用する、より高いUF処方として承認され、必要な7時間でそれを行う。
【0096】
さらに、患者が南部の州に住み、夏季月間中の週末に庭仕事をし(ボーリングリーグがない)、したがって、発汗により相当量の体液を失うと仮定する。医師/臨床医および患者は、そのような日には、1.5リットル未満のUFが除去される必要があると合意する。図8は、1.5リットル以上のUFを除去する投薬計画のみを示すため、低UF処方としての可能な選択のために低UF投薬計画を提供するように、さらなるフィルタリングが使用される。
【0097】
医師または臨床医は、投薬計画が満たさなければならない、日々のUFの以前の範囲を制限するために、図6Cの24時間UF画面の追加フィルタリングを使用する。ここで、医師/臨床医は、1.1リットル以上および1.3リットル以下の日々のUF除去を有する、投薬計画を探す。治療が図5および6Aの他の臨床要件の全てを満たすように、ブール「And」演算子が選択される。
【0098】
ここで図7Bを参照すると、図5の臨床標的および他の入力、ならびに図6Aおよび6Cの追加フィルタリングを満たす投薬計画が示されている。このように、投薬計画のそれぞれは、1.5を上回る最小尿素Kt/V除去および他の臨床標的を満たす一方で、毎日1.1から1.3リットルの間のUFを除去することが予測される。次いで、医師/臨床医および患者は、日中交換を必要とせず、最も短い夜間治療時間を必要とする、周期的治療投薬計画58(ハイライトされている)を決定する。次いで、医師は治療を処方する。
【0099】
ここで図8Aから8Cを参照すると、それぞれ、3つの合意した高UF、標準UF、および低UF処方が図示されている。処方は、患者102、医師110、および臨床医120によって容易に認識可能であるように名前を付けられる。3つの処方がこの実施例で示されているが、システム10は、本明細書で論議されるような他の好適な数の処方を記憶することができる。システム10は、一実施形態では、APD機104に挿入されるデータカードに処方パラメータをダウンロードし、APD機の不揮発性メモリに処方を転送する。代替として、処方は、インターネット等の有線データ通信リンクを介して、APD機104に転送される。一実施形態では、患者は、所与の日にどの処方が行われるかを自由に選択することができる。代替実施形態では、処方のデータカードまたはデータリンク転送が透析器具のメモリに入力されるため、器具は処方された治療を毎日自動的に実行する。これらの実施形態は、処方呼び戻しおよび調整モジュール26に関連して以下で詳細に論議される。いずれの場合も、患者が治療のうちのいずれかを開始すると、治療が異なる溶液を使用する場合があるため、システム10は、送出用の使い捨てカセットにどの溶液バッグを接続するかについて指図を提供する。
【0100】
図9Aから9Eは、モジュール16の別のフィルタリング実施例を図示する。図9Aは、左側のフィルタにかけられた設定と、223個の可能な投薬計画をもたらす、右側の対応する結果とを図示する。図9Bでは、臨床医が、日中充填容量(患者快適性)を1.5リットルに限定することによって、投薬計画をさらにフィルタにかける。そのようなフィルタリングは、可能な投薬計画を59まで削減する。図9Cでは、臨床ソフトウェアが、投薬計画を19まで減らすことによって、投薬計画をさらにフィルタにかける。図9Dでは、臨床ソフトウェアが、吸収されるグルコースを500Kcal/日に削減することによって、利用可能な投薬計画をさらにフィルタにかける。そのような動作は、利用可能な投薬計画を3つまで削減する。
【0101】
図9Eは、医師によって処方することができるか、または別のフィルタリング実行が行われることを可能にするように放棄することができる、3つのフィルタにかけられた投薬計画を示す。図9Aから9Dの実行は、分かっている患者の生理学的特性に対して便宜的な処方最適化が行われることを示す。図9Aから9Dはまた、可能なフィルタリング基準の好適なリストも示す。
【0102】
(在庫追跡)
ここで図10から13を参照すると、システム10の在庫追跡サブシステムまたはモジュール18の一実施形態が図示されている。本明細書で論議されるように、システム10は、図8Aから8Cに関連して示されるような、高UF、標準UF、および低UF処方等の合意した処方を生成する。異なる処方が、図10で見られるように、異なる溶液を必要とする。図10は、標準UF処方が12リットルの1.5%Dianeal(R)透析液および2リットルのExtraneal(R)透析液を使用することを示す。高UF処方は、(使用される代替透析に応じて)15から18リットルの1.5%Dianeal(R)透析液および2リットルのExtraneal(R)透析液を使用する。低UF処方は、12リットルの1.5%Dianeal(R)透析液および3リットルの2.5%Dianeal(R)透析液を使用する。
【0103】
図11は、上記の3つの処方を有する患者に対して、透析センター120のサーバが表示することができる画面例を示す。図11の画面は、配達サイクルにわたって3つの処方に必要な最小ベース供給在庫を示す。図11の画面は、患者に32回の標準UF処方治療を行うために必要な溶液が供給されることを示す。患者は、6回の高UF処方治療を行うために必要な溶液が供給される。患者はまた、6回の低UF処方治療を行うために必要な溶液も供給される。患者はさらに、1つの「ウルトラバッグ」ケース(6つの2.5リットルバッグ)が提供される。Y字形ウルトラバッグ管類セットの柄は、患者の移送セットに接続することが出来る。空のバッグはY字形の一方の脚部に取り付けられ、満杯のバッグは、Y字形の他方の脚部に事前に取り付けられる。ウルトラバッグは、APD機が故障した場合、電力が失われてAPD機が動作できない場合、または患者が旅行中で供給物が定刻に到着しない場合に、CAPD交換を行うために使用される。
【0104】
加えて、患者には、使い捨てポンプカセットと、バッグラインと、患者ラインと、排出ラインと、ヒータバッグと、関連クランプおよびコネクタとを含む、45個の使い捨てセット(各治療に1つ使用される)も提供される。患者には、低(1.5%)、中(2.5%)、および高(4.25%)デキストロース濃度の透析溶液が提供されるため、患者は、どのデキストロース濃度が使用されるか切り替えることによって、より多いまたは少ない液体を除去することができる。処方の融通性(混合を含む)は、所与の月に必要なバッグの合計数を、約45日相当の溶液に増加させることができる。
【0105】
患者はまた、患者が循環装置に接続されていない時に患者の移送セットに冠着するために使用される、45個のキャップまたはフレキシキャップが提供される。フレキシキャップは、接触汚染による細菌増殖の可能性を最小限化するように、少量のポビドンヨードを含有する。
【0106】
図12は、上記の3つの処方を有する患者に対して、透析センター120が表示することができる画面例を示す。図12の画面は、在庫の新規配達が行われる時の予期された実際の患者在庫を示す。つまり、図12の画面は、配達人が到着した時に、サーバコンピュータが患者の自宅にあると考える在庫を示す。実施例では、サーバコンピュータは、配達人が患者の自宅に到着した時に、患者はすでに、(i)5ケース(1ケースにつき2バッグ)の6リットルバッグを含有する1.5%Dianeal(R)透析液、(ii)1ケース(1ケースにつき4バッグ)の3リットルバッグを含有する2.5%Dianeal(R)透析液、(iii)1ケース(1ケースにつき6バッグ)の2リットルバッグを含有するExtraneal(R)透析液、(iv)(30個入りケースのうち)それぞれ上記で説明される装置を含む、24ケースの使い捨てセット、(v)(6個入りケースのうち)2つの1.5%透析液の2.5リットルウルトラバッグ、および(30個入りケースのうち)6個のキャップまたはフレキシキャップを有すると予期する。
【0107】
図13は、上記の3つの処方を有する患者に対して、透析センター120のサーバが表示することができる画面例を示す。図13の画面は、患者に配達される実際の在庫を示す。つまり、図13の画面は、在庫サイクルの開始時に有するはずであるものと、配達人が到着した時に、サーバコンピュータが患者の自宅にあると考えるものとの間の在庫差を示す。実施例では、患者は以下を必要とする:(i)88個の1.5%Dianeal(R)透析液の6リットルバッグ、自宅に10個あり、78バッグまたは39ケース(1ケースにつき2バッグ)の必要に換算する、(ii)6個の2.5%Dianeal(R)透析液の3リットルバッグ、自宅に4個あり、2バッグまたは1ケース(1ケースにつき4バッグ、2個余分に配達されることになる)の必要に換算する、(iii)38個のExtraneal(R)透析液の2リットルバッグ、自宅に6個あり、32バッグまたは6ケース(1ケースにつき6バッグ、4個余分に配達されることになる)の必要に換算する、(iv)45個の使い捨てセット、自宅に24個あり、21個または1ケース(1ケースにつき30個、9個余分に配達されることになる)の必要に換算する、(v)6個の2.5リットル1.5%ウルトラバッグ、自宅に2個あり、4バッグまたは1ケース(1ケースにつき6バッグ、2個の余分なウルトラバッグが配達されることになる)の必要に換算する、および(vi)45個のフレキシキャップ、自宅に36個あり、9個または1ケース(1ケースにつき36個、27個の余分なフレキシキャップが配達されることになる)の必要に換算する。
【0108】
一実施形態では、在庫追跡モジュール18の透析センターサーバデータベースは、(a)配達サイクルの開始時に、各透析液および他の供給物をどれだけ患者が有するはずであるか、(b)患者の異なる処方、それぞれとともに使用される溶液、および配達サイクルにわたって各処方が使用される回数、および(c)したがって、配達サイクルにわたって各透析液をどれだけ患者が使用するはずであるかを維持し、知る。上記を知ることで、在庫追跡サーバは、次の配達日に、各透析液および他の供給物がどれだけ配達される必要があるかを計算することができる。患者が、他のアイテムよりも1つ以上の溶液を予想より多くまたは少なく消費している可能性がある。例えば、患者が溶液バッグを穿刺し、廃棄しなければならなかったかもしれない。患者が溶液バッグまたは他のアイテムを置き忘れる場合がある。両方の場合により、予想より多くの在庫が消費される。一方で、患者が配達サイクルの間に1つ以上の治療を飛ばす場合があり、予想より少ない在庫が消費されることになる。
【0109】
一実施形態では、システム10の在庫追跡モジュールまたはサブシステム18は、溶液および他の供給物の推定量が必要とされる実際の量に近いことを予期する。多すぎる在庫が配達された(患者が処方よりも少なく使用した)場合、配達人は、余分在庫を患者に配達し、在庫サーバメモリに保存することができるように、追加在庫をスキャンするか、または別様に書き留めることができる。次のサイクルのために、システム10は、上記の(a)、すなわち、配達サイクルの開始時に、各透析液および他の供給物をどれだけ患者が有するはずであるかを更新する(例えば、増加させる)。代替として、配達人は、配達サイクルの開始時の患者の実際の在庫を、上記の(a)における予期在庫に等しくするよう、必要量の在庫のみを配達する。十分でない在庫が配達に予定されている(例えば、患者が溶液または関連供給物をなくした、または損傷した)場合、配達人は、配達サイクルの開始時の患者の実際の在庫を、上記の(a)における予期在庫に等しくするよう、余分在庫を持って行く。
【0110】
システム10の在庫サブシステム18は、一実施形態では、供給物の個別費用、供給物の重量、配達サイクル中に患者が必要供給物を使い果たした場合の必要供給物の代替物等の、追加情報を維持する。図7Aおよび7Bで上記に示されるように、投薬計画生成ソフトウェアは、一実施形態では、どの投薬計画が処方として選択されるかを判定する際の要因または潜在的要因として、重量および費用データを使用または生成する。透析センター120のサーバは、患者のAPD循環装置に代替溶液データをダウンロードする(またはデータカードを介して転送する)。1つの実装では、患者が治療を開始すると、患者は、その日の特定の処方に必要な特定の溶液バッグについて通知される。患者がある種類の溶液を使い果たした場合、システムは、現在の在庫に保持された溶液に基づいて、代替物を提供することができる。
【0111】
(デキストロース混合)
図5で上記に示されるように、システム10は、利用可能な異なるブランドまたは種類の透析液のそれぞれに、複数の異なるデキストロース濃度を使用することを検討し、それは、患者に対する処方を最適化する際に医師/臨床医の選択肢を増加させる。デキストロースによるトレードオフは概して、より高濃度のデキストロースがより多くのUFを除去するが、より高いカロリー入力を有し、患者の体重制御をより困難にすることである。逆もまた真実である。透析液(少なくともある種類)は、0.5%、1.5%、2.5%、および4.25%を含む、異なる標準デキストロース濃度で提供される。図6で見られるように、夜間デキストロース、最後の充填のデキストロース、および日中デキストロースは、上記の標準割合のうちのいずれかを有するように、あるいは2.0%、2.88%、3.38%、または3.81%の混成デキストロース濃度を有するように選択することができる。システム10は、標準割合を混合して混成割合を作成するために、透析器具104を使用する。標準デキストロース濃度透析液のそれぞれがFederal Drug Administration (「FDA」)によって承認されており、混成デキストロース濃度が承認濃度以内であるため、そのような混合はFDA承認に容易に合うと考えられる。
【0112】
【表4】

表4に示された1:1または1:3混合を使用することにより、より多くのデキストロース溶液を生成し、臨床医にとってより多くの治療選択肢を提供する。同時に、これらの混合比は、容器の中の溶液を全て使用し、無駄を生じない。
【0113】
ここで図14を参照すると、透析器具104は、混成デキストロース濃度透析液を産生することが可能な1つの装置を図示する。透析器具104は、本透析液の出願人によって市販されているHomeChoice(R)透析器具として図示されている。HomeChoice(R)透析器具の動作は、その内容全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第5,350,357号(「’357特許」)を含む、多くの特許で説明されている。概して、HomeChoice(R)透析器具は、ポンプチャンバと、弁チャンバと、往復ヒータバッグ管52、排出管54、患者管56、ならびに透析液供給管58aおよび58b等の種々の管と相互接続し、流体的に連通する、流体流路とを含む、使い捨て流体カセット50を受け入れる。図14は2つの供給管58aおよび58bを示すが、透析器具104およびカセット50は、3つ以上の供給管、したがって、3つ以上の供給バッグをサポートすることができる。さらに、’357特許で見られるように、一方または両方の供給管58aおよび58bは、より多くの供給バッグが必要であれば、2つのバッグにY字接続することができる。
【0114】
一実施形態では、システム10は、供給バッグ(図示せず)から、管58aまたは58bのうちの一方とカセット50を通して、APD104のヒータトレイ上に位置する加温バッグ(図示せず)に流体を送出する。加温バッグは、患者に配達される前に溶液を混合するための領域を提供する。そのような場合、加温バッグは、混合溶液の温度補償伝導度測定値が採取されることを可能にして、溶液が適正に混合されていることを確実にする、1つ以上の伝導ストリップを装着することができる。代替として、APD104は、インライン加熱を使用し、その場合、混合は管類および患者の腹膜の中で行われる。
【0115】
カセット50で動作するために、カセットは、カセット作動プレート60とドア62との間で圧縮される。’357特許は、各ポンプストローク後に各ポンプチャンバ(一実施形態ではカセット50が2つ含む)から送出される流体の量が計算される、流量管理システム(「FMS」)を説明している。システムは、FMSを介して判定される個々の容量を加えて、患者に配達され、患者から除去される流体の合計量を計算する。
【0116】
システム10は、所望の混成デキストロースを達成するように、FMSを使用して、異なる標準デキストロース供給物からポンプストロークを釣り合わせることを検討する。上記の表4で見られるように、1.5%標準デキストロース供給バッグを供給ライン58aに接続することができる一方で、4.25%標準デキストロース供給バッグは供給ライン58bに接続される。透析機械104およびカセット50は、2.88%混成デキストロース比を達成するように、FMSを使用して、50/50比で各供給バッグから透析液を送出する。別の実施例では、2.5%標準デキストロース供給バッグが供給ライン58aに接続される一方で、4.25%標準デキストロース供給バッグは供給ライン58bに接続される。透析機械104およびカセット50は、3.38%混成デキストロース比を達成するように、FMSを使用して、50/50比で各供給バッグから透析液を送出する。さらなる実施例では、2.5%標準デキストロース供給バッグ(例えば、2Lバッグ)が供給ライン58aに接続される一方で、4.25%標準デキストロース供給バッグ(例えば、6Lバッグ)は供給ライン58bに接続される。透析機械104およびカセット50は、3.81%混成デキストロース比を達成するように、FMSを使用して、25/75(2.5%対4.25%)比で各供給バッグから透析液を送出する。
【0117】
最初の2つの実施例は、ライン58aおよび58bのそれぞれへの透析液の6リットルバッグの接続を含むことができる。第3の実施例では、3リットル2.5%標準デキストロース供給バッグが供給ライン58aに接続される一方で、3リットル4.25%供給バッグはリットル4.25%供給バッグにY字接続され、順に、両方が供給ライン58bに接続される。透析機械104およびカセット50は、一実施形態では、各供給バッグからヒータバッグに透析液を送出し、それは、2つの異なるデキストロース透析液が、ヒータバッグから患者に送出される前に完全に混合することを可能にする。したがって、システム10は、FMSを使用して、異なる比で異なる標準デキストロース濃度を送出することによって、図6に示された混成透析液比および他の比を達成することができる。透析器具104は、一実施形態では、バッグ識別子を読み取り、患者が適正な透析液および適正な量の透析液を接続することを確実にするように構成される。供給バッグの中の透析液の種類および分量を自動的に識別するためのシステムおよび方法は、その内容全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、本開示の出願人に譲渡された、2007年7月5日出願の「Radio Frequency Auto−Identification System」と題された米国特許出願第11/773,822号(「’822出願」)に記載されている。’822出願は、適正な供給バッグがカセット50の適正なポートに接続されることを確実にするための1つの好適なシステムおよび方法を開示する。システム10は、代替として、溶液の種類/容量を識別するために、バッグまたは容器上に配置されたバーコードを読み取るバーコードリーダを使用することができる。Y字接続が必要とされる場合、APD機104は、追加バッグへのY字接続が行われていることを確認するよう患者を促すことができる。
【0118】
本開示の出願人に譲渡された米国特許第6,814,547号(「’547特許」)は、図17Aおよび17B、ならびに参照することにより本明細書に組み込まれる関連書面説明に関連して、空気圧式および機械的作動の組み合わせを使用する、ポンプ機構および容量制御システムを開示する。ここで、容量制御は、ステッピングモータアクチュエータおよび公知の容量ポンプチャンバの精密制御に基づく。上記の混成デキストロース濃度を達成するために、’357特許のFMSの代わりに、このシステムを使用することが検討される。
【0119】
(処方ダウンロードおよび治療データアップロード通信モジュール)
ここで図15Aを参照すると、ネットワーク100aは、患者102、医師110、および透析センター120の間で、PET、投薬計画生成、処方フィルタリング、在庫追跡、動向、および処方修正情報(以下)を伝達するための1つの無線ネットワークまたは通信モジュール20(図1)を図示する。ここで、患者102は、モデム108aと有線通信しているルータ106aと無線通信する、透析器具104を操作する。医師110は、モデム108bと有線通信しているルータ106bと無線通信する、医師の(または看護師の)コンピュータ112a(医師のネットワークサーバに接続することもできる)を操作する。透析センター120は、モデム108cと有線通信しているルータ106cと無線通信する、臨床医のネットワークサーバ114に接続される、複数の臨床医のコンピュータ112bから112dを含む。モデム108aから108cは、インターネット116、広域ネットワーク(「WAN」)、またはローカルエリアネットワーク(「LAN」)を介して相互と通信する。
【0120】
図15Bは、患者102、医師110、および透析センター120の間で、PET、投薬計画生成、処方フィルタリング、在庫追跡、動向、および処方修正情報(以下)を伝達するための代替有線ネットワーク100bまたは通信モジュール20(図1)を図示する。ここで、患者102は、モデム108aと有線通信している透析器具104を含む。医師110は、モデム108bと有線通信している、医師の(または看護師の)コンピュータ112a(医師のネットワークサーバに接続することもできる)を操作する。透析センター120は、モデム108cと有線通信している、複数の臨床医のコンピュータ112bから112dを含む。モデム108aから108cは再度、インターネット116、WAN、またはLANを介して相互と通信する。
【0121】
一実施形態では、図3の曲線30のデータ点は、器具104で生成され、医師110、または曲線30をデータ点に適合させるソフトウェアを格納する透析センター120(透析センター102の可能性が高い)に送信される。次いで、患者は、血液検査を行うように、および本明細書で論議されるようにPETを完了するように、透析センター120に行く。図4A、4B、5A、5B、および6のPETおよび投薬計画生成画面を実行するように構成されるソフトウェアは、システム100aまたは100bの診療所120の臨床医のサーバ114(または個々のコンピュータ112bから112d)または医師110のコンピュータ112a(診療所120の可能性が高い)上に記憶することができる。同様に、図6Aから6C、7A、7B、8Aから8C、および9Aから9Eのフィルタリングおよび処方最適化画面を実行するように構成されるソフトウェアは、システム100aおよび100bの診療所120の臨床医のサーバ114(または個々のコンピュータ112bから112d)または医師110のコンピュータ112a上に記憶することができる。
【0122】
一実施形態では、透析センター120は、PETを実行し、投薬計画を生成し、処方をフィルタにかける。ネットワーク100(ネットワーク100aおよび100bの一方または両方を指す)を介した透析センター120は、処方を医師110に送信する。フィルタリングは、ネットワーク100、電話、または個人的訪問を介して、患者からの入力で行うことができる。医師は、処方を見直して承認または不承認する。医師が不承認した場合、医師は、ネットワーク100を介して追加または代替フィルタリング基準を透析センター120に返送し、新規の一式の処方を最適化するように追加フィルタリングを行うことができる。最終的に、透析センター120または医師110は、ネットワーク100を介して、承認された処方を患者102の器具104に送信する。代替として、透析センター120または医師110は、承認された処方を記憶し、器具104は、所与の日に、ネットワーク100上で透析センター120または医師110に問い合せを行い、どの処方を実行するかを判定する。処方はさらに、代替として、データカードを介して転送することができる。
【0123】
代替実施形態では、透析センター120は、PETを実行し、投薬計画を生成する。透析センター120は、ネットワーク100を介して、投薬計画を医師110に送信する。医師は、投薬計画を見直し、一式の処方が到着するまで同計画をフィルタにかけて承認または不承認する。フィルタリングは再度、ネットワーク100、電話、または個人的訪問を介して、患者からの入力で行うことができる。医師が不承認した場合、医師は、新規の一式の処方を最適化するように追加フィルタリングを行うことができる。ここで、医師110は、ネットワーク100を介して、承認された処方を器具104および患者102に送信する。代替として、医師110は、承認された処方を記憶し、器具104は、所与の日に、ネットワーク100上で医師110に問い合せを行い、どの処方を実行するかを判定する。さらに代替として、医師110は、ネットワーク100上で承認された処方を透析センター120に送信し、透析センターは、承認された処方を記憶し、器具104は、所与の日に、ネットワーク100上で透析センター120に問い合せを行い、どの処方を実行するかを判定する。
【0124】
上記で論議されるように、透析センター120は、おそらく、在庫追跡モジュールまたはソフトウェア18を取り扱うのに医師110よりも良い立場にある。したがって、一実施形態では、透析センター120は、図10から13の在庫追跡画面を実行するように構成されるソフトウェアを格納する。透析センター120は、ネットワーク100を介して透析器具104および患者102と通信し、患者の承認された処方のための在庫を制御する。
【0125】
ここで図16Aを参照すると、ネットワーク100cは、さらなる代替ネットワークまたは通信モジュール20(図1)を図示する。ネットワーク100cはまた、図1の患者データ収集モジュール22も図示する。ネットワーク100cに関して論議される患者データ収集の原則は、ネットワーク100aおよび100bにも適用可能であることを理解されたい。ネットワーク100cは、透析センター120のうちの1つ、医師の診療室110のうちの1つ、またはシステム10のプロバイダによって運営される施設等の別個の場所に格納することができる、中央臨床サーバ118を含む。患者102aおよび102b、医師110aおよび110b、ならびに透析センター120aおよび120bのそれぞれは、インターネット116を介して、臨床サーバ118と通信する。臨床サーバ118は、PET、投薬計画生成、処方フィルタリング、在庫追跡、動向、および処方修正(以下)モジュールのうちのいずれかと関連するソフトウェアを格納および実行し、患者102a/102b、医師110a/110b、および透析センター120a/120bとの間の通信を促進する。
【0126】
臨床サーバ118は、一実施形態では、透析センター120のうちの1つ(センター120aまたは120bのいずれか一方を指す)からPETデータを受信し、それを臨床サーバ118に送信する。図3のUFデータ点は、患者102(患者102aまたは102bのいずれか一方を指す)から直接、または患者102を介して透析センター120から、臨床サーバ118に送信することができる。臨床サーバ118は、曲線30(図3)をデータ点に適合させ、投薬計画を生成して、(i)医師110(医師110aまたは110bのいずれか一方を指す)が承認または非承認するために、(おそらく患者入力により)投薬計画にフィルタをかけて最適化された処方にするか、または(ii)投薬計画を医師110に送信して、(おそらく患者入力により)フィルタをかけて最適化された処方にする。
【0127】
いずれの場合も、承認された処方は、関連透析センター120に送信されてもされなくてもよい。例えば、関連透析センター120がシステム10の在庫追跡モジュール18を実行する場合、透析センター120は、どの溶液および供給物が必要とされるかを知るために、処方を知る必要がある。また、患者の透析器具104(器具104aまたは104bのいずれか一方を指す)が、所与の日に、どの処方を実行するかについて透析センター120に問い合せを行うように、システム10が操作される場合、透析センター120は処方を知る必要がある。代替として、患者の透析器具104は、どの処方を実行するかについて臨床サーバ118に毎日問い合せを行う。また、臨床サーバ118がシステム10の在庫追跡モジュール18を実行することも可能であり、その場合、関連透析センター120にPETデータの取得を委託することができる。
【0128】
臨床サーバ118は、単一サーバ、例えば、異なる国に異なる複数組の承認された透析溶液があるため、国家サーバであり得る。しかしながら、2つ以上の国に同じ一式の透析溶液および共通言語がある場合は、臨床サーバ118は、2つ以上の国にサービスを提供することができる。臨床サーバ118は、単一サーバであり得るか、または複数サーバ間のスポークまたはハブリンクを有することができる。
【0129】
ここで図16Bを参照すると、ネットワーク100dは、透析センター120のうちの1つに、またはその近くに格納される、中央臨床サーバ118を含む。透析センター120は、それぞれ1つ以上のコンピュータ112aから112dを含む、医師の診療室110および患者サービスエリア90を格納する。患者サービスエリア90は、一実施形態では、透析センター120用のローカルエリアネットワーク(「LAN」)92を介して臨床サーバ118と通信する、サーバコンピュータ114を含む。臨床サーバ118は順に、インターネット116およびLAN92と通信する臨床ウェブサーバと、LAN92と通信する臨床データサーバと、臨床データサーバと連動する臨床データベースとを含む。
【0130】
患者102aおよび102bのそれぞれは、例えば、インターネット116を介して、臨床サーバ118と通信する。臨床サーバ118は、PET、投薬計画生成、処方フィルタリング、在庫追跡、動向、および処方修正(以下)モジュールのうちのいずれかと関連するソフトウェアを格納および実行し、患者102a/102b、医師110、および透析センター120との間の通信を促進する。他の透析センター120は、インターネット116でセンターベースの臨床サーバ118と通信することができる。システム100aから100dのうちのいずれかはまた、例えば、サービスデータベース、データベースサーバ、およびウェブサーバを含むことができる、APD機製造業者のサービスセンター94と通信することもできる。製造業者のサービスセンター94は、機械の問題を追跡する、新規の機器を配達する等を行う。
【0131】
(データ収集特徴)
PETモジュール12、投薬計画生成モジュール14、および処方最適化またはフィルタリングモジュール16は、透析治療を実行するためにネットワーク100(ここでは加えてネットワーク100cおよび100dを指す)が使用するデータを出力する。この点で、システム10のネットワーク114および118は、すでに行われた分析からの結果を使用する。ネットワーク100cで見られるように、システム10はまた、追跡および分析のために(センター120の)サーバ114または118に供給される、リアルタイムの日々の患者データも生成する。このリアルタイムデータは、治療パラメータ入力および治療標的入力とともに、システム10のデータ収集モジュール22(図1)を構成する。
【0132】
各透析機械104(機械104aおよび104bの一方または両方を指す)は、図16Aで図示されるような受信機122を含む。各受信機122は、アドレスおよび個人識別番号(「PIN」)でコード化される。患者には、血圧モニタ124および体重計126が装備されている。血圧モニタ124および体重計126にはそれぞれ、透析機械104の受信機122に無線で患者血圧データおよび患者体重データをそれぞれ送信する、伝送器が提供される。
【0133】
アドレスおよびPINは、血圧モニタ124および体重計126からの情報が適正な透析機械104に届くことを確実にする。つまり、機械104aおよび104bならびに関連血圧モニタ124および体重計126が相互の範囲内にある場合、アドレスおよびPINは、透析機械104aが、透析機械104aと関連する血圧モニタ124および体重計126から情報を受信する一方で、透析機械104bは、透析機械104bと関連する血圧モニタ124および体重計126から情報を受信することを確実にする。アドレスおよびPINはまた、透析機械104が不要なソースから無関係なデータを受信しないことも確実にする。つまり、不要なソースからのデータがどういうわけか、受信機122の同じ周波数、データ転送速度、および通信プロトコルを使用して伝送されたが、データが正しいデバイスアドレスおよび/またはPINを供給できない場合、受信機122は、データを受け取らない。
【0134】
血圧モニタ124、体重計126、および透析機械104の間の無線リンクは、デバイスが、患者の部屋または家の中で相互に対して好都合に位置することを可能にする。つまり、それらは、コードまたはケーブルを介して相互に結合されない。または、血圧および体重データは、手動で器具104に入力される。しかしながら、無線リンクはまた、血圧データおよび体重データが、採取されると透析機械104に自動的に転送されることをも確実にする。各治療のための血圧および体重データ点を提供するように、各治療の前(間または直後)に患者が自分の血圧を採取し、自分の体重を量ることが検討される。データ収集モジュール22は、代替として、血圧モニタ124と器具104の間、および体重計126と器具104との間のうちの1つに有線接続を有するように構成される。
【0135】
各治療のために生成される別のデータ点は、患者から除去される限外濾過(「UF」)の量である。各治療に対する3つ全てのデータ点、血圧、患者体重、およびUF除去は、透析機械104のメモリの中やデータカード上に記憶することができ、および/または遠隔サーバ114または118に送信することができる。データ点は、次に説明されるように、能力動向を生成するために使用される。
【0136】
透析器具104、医師の(または看護師の)コンピュータ112、臨床医のサーバ114、臨床ウェブサーバ118、または製造業者のサービスセンター94のうちのいずれかと関連する、処理およびメモリのいずれか1つまたは組み合わせは、「論理インプリメンタ」と称されてもよい。
【0137】
(動向および条件生成)
本明細書で見られるようなシステム10の動向分析および統計モジュール24(図1)は、以下で示される日々のUFの短期および長期移動平均ならびに他の患者データを計算する。実際の測定された日々のUFを監視することだけでは、透析器具104の残留量および測定誤差による雑音を過度に生じる。したがって、モジュールまたは特徴24の動向体制は、日々のデータ、ならびに1つ以上の期間にわたって平均化されるデータを見て動向化する。
【0138】
(複数の患者パラメータを使用した動向および条件生成)
動向モジュール24は、一実施形態では、短期および長期移動平均を形成するために、以下の方程式を使用する:UFma(n)=1/k*(UF(n)+UF(n−1)+UF(n−2)・・・+UF(n−k))。短期移動平均については、kの典型的な値は、例えば、7日等の3〜14日となり得る。長期移動平均については、kの典型的な値は、28日等の15〜45日となり得る。
【0139】
標的UFと実際の測定UFとの間の差異は、以下のように記載される。
ΔUF=UFtarget-UFma
UFtargetは、医師が処方したUFであり、UFmaは、測定された実際の日々のUFの移動平均値である(日々の測定値または短期移動平均については2〜3日)。ΔUFは、正または負となり得る。ΔUF/UFtargetの絶対値が医師によって事前設定された条件閾値を超えると、システム10は、(機械104レベルで、またはサーバ114/118を介して)患者および医師110および/または臨床医120に警告し、それは、以下で論議されるように、処方調整または他の反応を誘起することができる。
【0140】
警告閾値は、(例えば、測定誤差および残留量により)本質的に有意となり得る、日々のUF変動をシステム10に誤トリガさせないよう、または過敏にさせないよう、UF異常に対処することができる。以下の方程式は、システム10が数日間のある偏差を必要とする、実施例を例証する。
δ(生成された警告)=|△UF/UFtarget|>Y日間でX%
X%は、医師または臨床医によって事前設定することができ、典型的な値は、30〜50パーセントであってもよい。Yもまた、医師または臨床医によって事前設定することができ、典型的な値は、3〜7日であってもよい。
【0141】
次の方程式は、透析を飛ばす患者、または常に標的UFよりもはるかに低い患者のUFの可能性に対応する。
【0142】
【数6】

P%は、医師または臨床医によって事前設定することができ、典型的な値は、150%から250%であってもよい。Qもまた、医師または臨床医によって事前設定することができ、典型的な値は、2〜3日であってもよい。上記の方程式は、日々の測定UFと標的UFとの間の差異を計算し、割合の誤差を判定するように、標的UFの割合として差異を表す。次いで、誤差の割合が、数日、例えば、2〜3(Q)日にわたって累積される。累積誤差が閾値(P%)を超える場合、システム10は、UF警告を生成する。以下の実施例は、上記のアルゴリズムを例証する。
【0143】
実施例#1:
P=150%、Q=3日
第1日に、患者が治療を飛ばし、UF誤差=100%であり、第2日に、患者が治療を飛ばし、UF誤差=100%であり、第3日に、患者が治療を行い、UF誤差=10%であり、累積UF誤差=210%>150%であると、警告を生成する。
【0144】
実施例#2:
P=150%、Q=3日
第1日に、患者が治療を飛ばし、UF誤差=100%であり、第2日に、患者が治療を行い、UF誤差=20%であり、第3日に、患者が治療を行い、UF誤差=10%であり、累積UF誤差=130%<150%であると、警告は生成されない。
【0145】
図17から21は、透析器具104の表示デバイス130上で、および/または医師110または透析センター120のコンピュータモニタ上で、患者に表示することができる、動向画面128、132、134、136、および138をそれぞれ示す。必要に応じて、これらの場所のうちのいずれかで動向を生成することが検討される。図17の主要動向画面128は、患者が、例えば、(i)脈拍および圧力動向、(ii)最近の治療統計、(iii)UF動向、および(iv)体重動向を見るように選択することを可能にする。患者は、タッチスクリーン入力を介して、各選択と関連する膜型または他の種類のスイッチを介して、または選択のうちの1つがハイライトされることを可能にし、その後に患者が「選択」ボタンを押す、ノブまたは他のセレクタを介して、画面のうちのいずれかにアクセスすることができる。
【0146】
患者が、主要動向画面128の脈拍および圧力動向選択を選択すると、表示デバイス130は、図18の脈拍および圧力動向画面132を表示する。脈拍(心拍数、●を伴う線)、収縮期圧(▲を伴う線)、および拡張期圧(■を伴う線)が、mmHgの単位で1ヶ月の期間にわたって示されている。脈拍および圧力動向画面132上の選択オプションは、(i)主要動向画面128に戻ること、(ii)代わりに、脈拍、収縮期圧、および拡張期圧の毎週の動向を見ること、および(iii)次の動向画面134へと進むことを含む。動向期間中に行われる1つ以上の治療、すなわち、治療番号1(例えば、標準UF)も示されている。
【0147】
患者が、脈拍および圧力動向画面132の次の動向選択を選択すると、表示デバイス130は、図19で見られるような最近の治療動向または統計画面134を表示する。図19は、除去されたUF(ミリリットル単位、日中および夜間交換に対する総UFおよび内訳UFを含む)、累積滞留時間(時間、秒単位、日中および夜間交換に対する総滞留および内訳滞留を含む)、排出容量(ミリリットル単位、日中および夜間交換に対する総容量および内訳容量を含む)、および充填容量(ミリリットル単位、日中および夜間交換に対する総容量および内訳容量を含む)の実際の値を示す。図19で見られるような最近の治療動向または統計画面134は、一実施形態では、以前の治療からの統計を示す。画面134は、代替として、以前の治療、例えば、最大で1ヶ月前の治療、または最後の一式の処方のダウンロード以来の治療に対する同じ情報を患者が閲覧することを可能にする、ログオプションを含む。最近の治療動向または統計画面134上に表示される選択オプションは、(i)主要動向画面128に戻ること、(ii)以前の動向画面132に戻ること、および(iii)次の動向画面136へと進むことを含む。
【0148】
患者が、最近の治療動向または統計画面134の次の動向選択を選択すると、表示デバイス130は、図20で見られるようなUF動向画面136を表示する。UF動向画面136は、ミリリットルの単位で1ヶ月の期間にわたる標的UF線および測定UF線を示す。UF動向画面上の選択オプションは、(i)主要動向画面128に戻ること、(ii)UFの毎週の動向、UFの毎月の動向、またはデータが入手可能である限りUFの3ヶ月間の動向を見ること、および(iii)次の動向画面138に進むことを含む。UF動向期間中に行われた治療も示されている。
【0149】
患者が、UF動向画面136の次の動向選択を選択すると、表示デバイス130は、図21で見られるような患者体重動向画面138を表示する。患者体重動向画面138は、ポンドの単位で1ヶ月の期間にわたる測定体重(「BW」)線を示す。患者体重動向画面138上の選択オプションは、(i)主要動向画面128に戻ること、および(ii)次の画面に進むことを含む。BW動向期間中に行われた治療も示されている。
【0150】
図22および23の代替動向チャートは、x軸上に実際の日数を表示する。これらの動向は、医師110および/または透析センター120に確保することができるか、または加えて患者によってアクセス可能となり得て、APDデバイス104から医師および/または臨床医に、またはサーバコンピュータから医師、臨床医、および/または患者に警告を生成できることを意味する。図22および23の代替動向チャートは、患者の最後のPET結果に基づく、患者の期待UF値またはUF標的を示す。期待PET UFと実際のUFとの間の差異が、医師または臨床医が有意であると判定する値を超えて増加した場合、臨床医は、臨床検査を伴う、または伴わない、新規PETを指図することができる。つまり、患者は、図2および3に関連して説明されるようなPETのUF部分を行い、透析センター120に排出容量を持って行くことができる。その内容全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、2008年5月28日出願の「Dialysis System Having Automated Effluent Sampling And Peritoneal Equilibration Test」と題された米国特許出願第12/128,385号は、尿素クリアランス、クレアチニンクリアランス等についてサンプルを分析することができるように患者が透析センター120に持って行くことができる、流出サンプルをもたらす、自動PETを開示している。
【0151】
図22および23の代替動向チャートはまた、図の右側で見られるように、所与の日にどの治療処方が使用されたかを示す(例えば、治療処方0が低UFであり、治療処方1が標準UFであり、治療処方2が高UFであると仮定する)。図22および23で見られるように、標準UF処方は、高UF処方が行われる2日以外の全ての日に行われる。図22では、30日間の移動平均(●を伴う線)は特に、概して、患者の治療がUF目標を満たしていることを示す。図23では、30日間の移動平均(●を伴う線)は、2006年10月2日以降に、患者の治療がUF目標を満たさなくなり始め、次第に悪化したことを示す。また、2006年10月の30日間の動向線全体は、ますます少ないUF除去に向かって傾斜する。ここで、熟達した臨床医であれば、そのような動向を、潜在的に患者の腎機能の損失によるものとして見なし、(医師と併せて)新規PETを指図するか、新規処方を提供するか、または動向が継続するかどうか確認するように患者のUF能力を入念に観察する。臨床医/医師は、代替として、負になるUF動向を逆転させようとして、高UF処方がより頻繁に行われることを処方する。
【0152】
上記について暗示されるように、医師または臨床医は、おそらく、1日が下限を下回る時に通知されたいと思わない。したがって、UFデータがフィルタにかけられる必要がある。フィルタは、アルゴリズムにおける日々のUF値、7日間の周期的平均UF(▼を伴う線)、および30日間の周期的平均(●を伴う線)の3つ全てを考慮して、患者の処方が修正される必要があるかどうかを判定する。フィルタはまた、どの治療が行われているかを考慮することもできる。例えば、患者が高い割合の高UF治療を実行し、標準治療UF標的を依然として満たすことができていない場合に、警告通知は、より早く生じることができる。
【0153】
警告アルゴリズムの1つの具体的実施例として、標準UF処方または高UF処方を行っている間に、30日間の周期的平均UF(●を伴う線)が10パーセント低下し、実際のUF(基線)が過去7日のうち3日間にわたって下限を下回っている。警告アルゴリズムの別の具体的実施例として、標準UFまたは高UF治療を行っている間に、30日間の周期的平均UF(●を伴う線)が10パーセント低下し、7日間の周期的UF(▼を伴う線)が下限LCLを下回っている。
【0154】
警告アルゴリズムはまた、日々の体重および血圧データも考慮することができる。例えば、UF偏差、日々の血圧、および体重がそれぞれ、それぞれの安全閾値を超えると、警告が誘起される。1つの具体的実施例では、(i)UFが標的UFから逸脱した場合、(ii)短期移動平均(例えば、3〜7日間)体重(「BW」)が閾値よりも大きい場合、および(iii)短期移動平均(例えば、3〜7日間)収縮期/拡張期血圧(「BP」)が閾値よりも大きい場合に、システム10が警告する。BPおよびBW閾値は、医師110によって事前設定される。
【0155】
さらに、例えば、患者がある割合で体重を増加させている、またはある量の体重を増加する時に、体重データのみがアラームを誘起することができる。ここで、システム10は、医師110および/または臨床医120に通知することができ、体重増加の説明を求めて患者への電話または電子メールを促す。体重増加が食生活によるものでない場合は、患者の処方における過剰量のデキストロースによるものとなり得るため、新規のより低いデキストロース処方または一式のそのような処方が、処方される必要があってもよい。例えば、臨床医120は、患者の標的体重を設定することができ、日々の測定体重が、7日間の期間におけるYw日間でXwポンドだけずれている場合、体重増加が過剰と見なされ、警告が誘起される。
ΔBW=BW−BWtarget>Yw日間のXwであって、式中、
BWは、測定された日々の体重であり、BWtargetは、標的体重(医師110または臨床医120によって設定される)であり、Xwは、標的を超える体重の限度(医師110または臨床医120によって設定される)であり、Ywは、日数(医師110または臨床医120によって設定される)である。
【0156】
同様に、血圧の増加のみが、患者からの説明のために、医師110および/または臨床医120からの通信を促すことができる。さらに、患者の日々の生体インピーダンスを動向化することが検討され、特に、そのようなものとして、感知が十分に発達する。生体インピーダンスは、例えば、(透析器具104との有線または無線通信のために)血圧カフに統合することができるため、そのような感知は、患者に不便を感じさせない。システム10は、一実施形態では、患者の細胞内および細胞外水分を推定することによって、透析液の患者の水和状態を監視するために、生体インピーダンスを使用する。そのようなデータは、治療を選択するのに患者および臨床医を援助する(例えば、患者が水分過剰になっている時は高UF、および患者が脱水状態になっている時は低UF)。それにより、生体インピーダンスは、患者の体液平衡および血圧を制御するのに役立つことができる。
【0157】
臨床医は、一般的に、治療有効性および患者の順守といった、2つの要因を懸念する。低UFを過度に頻繁に実行しているか、または治療を飛ばしているためにUFが標的を下回る患者は、挙動を変更するように適時に伝えられる必要がある。UFが標的を下回るが、十分に順守しており、標的UFを得るように高UF治療を行っている場合さえある患者は、適時に処方を変更させる必要があってもよい。図22および23の動向は、全てのそのような情報を臨床医に提供する。
【0158】
したがって、システム10は、予想以上に低いUFが、順守の問題または潜在的な治療処方の問題によるものであるかどうかを知る。患者が所与の日にどの処方を実行するかを選択する実施形態では、患者が低UFを過度に頻繁に実行している時に患者に警告を提供するように、透析器具104をプログラムすることができる(低UF処方は標準UF処方よりも要求が少ない場合がある)。プログラミングは、患者がこの挙動を続ける場合に警告を段階的に増大させ、透析センター120が通知を受けていることを患者に知らせ、それに応じて透析センターに通知するように構成することができる。器具104は、同様に、患者が過度に多くの治療を飛ばしている場合に患者に警告し、治療忘れが続く場合に透析センター120に通知するようにプログラムすることができる。ここで、患者が実行する処方を選ぶか、または機械104/診療所120が所与の日の処方を選択するかどうかにかかわらず、警告および通知を行うことができる。
【0159】
図24は、単純または複雑な警告生成論理を設定するために利用可能なオプションを要約する。監視することができるパラメータは、(最上列で)(i)日々のUF偏差限度、(ii)UF偏差累積限度、(iii)体重標的、および(iv)血圧限度を含む。中央の論理演算子は、(a)測定された日々のUF、(b)測定された日々の体重、および(c)測定された日々の血圧のうちの1つ以上を使用して、いつ警告を患者、医師、または臨床医に送信するかを判定するために「AND」論理や「OR」ブール論理を使用する、異なる組み合わせで、最上列の限度を組み合わせることができることを示す。図示された警告は、(i)UFおよびBW、または(ii)UF、BW、およびBPに基づく。しかしながら、警告は、UFのみに基づくことができる。
【0160】
ここで図25を参照すると、アルゴリズムまたは動作フロー図140は、システム10の1つの代替警告順序を示す。楕円142から開始すると、システム10は、ブロック144において日々のUF、BP、およびBWデータを収集する。ブロック146では、例えば、UF、BP、およびBWの医師/臨床医設定および周期的平均に基づいて、偏差分析が行われる。菱形148では、システム10の方法またはアルゴリズム140は、UF、BP、およびBWのうちのいずれかが限度を超えているかどうかを判定する。そうでなければ、方法またはアルゴリズム140は、ブロック150で見られるように、もう1日待ち、次いで、ブロック144の収集ステップに戻る。1つの限度または限度の組み合わせが、菱形148で超えた場合、患者、臨床医、および/または医師に警告が送信される。偏差および累積値はリセットされる。
【0161】
次いで、警告条件が持続するかどうかを確認するように、例えば、7日間、保留または観察期間が菱形154で開始される。この期間中、低UF動向が逆転されるまで毎日または別様に定期的に、システム10が、患者104、医師110、および/または臨床医120の間で通信することが検討される。臨床医は、この期間中に、例えば、高UF処方を試す、または患者の食生活を修正する提案を行ってもよい。論議されるように、透析センター120はまた、UF動向データに加えて、患者体重および血圧の動向データを受信する。平均動脈圧(「MAP」)は、血圧に対して動向化するのに最も適切な値であってもよい。臨床医は、低UF期間中に、体重およびMAPデータを同時に評価する。
【0162】
警告条件が、例えば、菱形154で見られるような7日間の期間にわたって持続する場合、方法140およびシステム10は、ブロック156で見られるように、新規PETを指図し、および/または、患者の処方を変更する。その後、方法140は、楕円158で見られるように終了する。
【0163】
(患者症例研究)
患者Aは、ちょうど2ヶ月前に腹膜透析治療を開始し、依然として残存腎機能(「RRF」)を有する。患者のUF標的は、800mL/日である。医師は、日々のUF偏差、UF偏差累積、および標的体重を見るように、警告観察を設定した。ここで、偏差限度Xは、7日間のうち4日間に等しい期間Yで30%に選択された。3日間のUF偏差の累積誤差は、150%に選択された。標的体重は、7日間で+5ポンドの安全限度差分を伴って、240ポンドに選択された。以下の表は、7日間の期間にわたる測定された日々の24時間UF、BP、およびBWの例である。
【0164】
【表5】

患者Aについて上記で示された治療の週では、木曜の日々のUFのみが、30%下限閾値を下回る。3日間の累積UF偏差は、150%を超えない。患者の体重は、最後の2日以外の全てで限度以下(+5ポンド)にとどまる。ここでは、システム10は警告を生成しない。
【0165】
患者Bは、2年以上にわたってPDを受けている。患者は治療を極めて順守しており、臨床医の指示に厳密に従っている。患者にはRRFがなく、日々のUF標的は1.0Lである。ここで、医師110および/または臨床医120は、以下のように警告条件を設定した。偏差限度Xは、7日間のうち4日間に等しい期間Yで20%に選択された。3日間のUF偏差の累積誤差は、150%に選択された。標的体重は、7日間で+5ポンドの安全限度差分を伴って、140ポンドに選択された。以下の表は、7日間の期間にわたる測定された日々の24時間UF、BP、およびBWの例である。
【0166】
【表6】

患者Bについて上記で示された治療の週では、日々の24時間UF値のうちのいずれも、20%下限閾値を下回らない。3日間の累積UF偏差は、いずれの日にも150%を超えない。患者の体重は、+5ポンドの閾値を決して超えない。したがって、システム10は、この週に動向警告を生成しない。
【0167】
患者Cは、1年以上にわたってPDを受けている。患者は過食/過飲することがあり、時々治療を飛ばす。患者にはRRFがなく、日々のUF標的は1.0Lである。ここで、医師110および/または臨床医120は、以下のように警告条件を設定した。偏差限度Xは、7日間のうち4日間に等しい期間Yで25%に選択された。3日間のUF偏差の累積誤差は、150%に選択された。標的体重は、7日間で+5ポンドの安全限度差分を伴って、220ポンドに選択された。以下の表は、7日間の期間にわたる測定された日々の24時間UF、BP、およびBWの例である。
【0168】
【表7】

患者Cについて上記で示された治療の週では、患者の日々のUFは、ハイライトされているように、月曜、木曜、金曜、および土曜に25%下限閾値を下回った。3日間の累積UF偏差は、土曜の治療後に150%限度を超えた。患者の体重も、4回、すなわち、月曜、木曜、金曜、および土曜に、+5ポンドの体重限度を超える。したがって、システム10は、この週の後に動向警告を送信する。
【0169】
(統計的過程制御を使用した動向および警告生成)
また、不安定性および異常な状況を識別するために、統計的過程制御(「SPC」)を使用することも検討される。ここで図26を参照すると、5日間の平均UF(三角形)および過去30日間の平均UF(基準中央線)を示す、1つの移動平均または動向例が示されている。範囲は、過去30日間にわたる最低および最高UF値の間の差異となるように計算される。所与の日の上部管理限界線(「UCL」、それを通してXを伴う線)は、UCL=(所与の日の移動平均)+(定数、例えば、0.577、*所与の日の範囲)となるように計算され、下部管理限界線(「LCL」、それを通して/を伴う線)は、LCL=(所与の日の動平均)−(定数、例えば、0.577、*所与の日の範囲)となるように計算される。
【0170】
図26は、SPCを使用して、例えば、2003年8月から2004年6月まで、患者に作成されたUF動向を示す。2003年の12月および2004年の4月に、5日間の移動平均UF(三角形)はLCLを下回った。システム10は、5日間の平均を監視し、5日間の移動平均UF(三角形)がLCLを下回る(または連続的に数日間にわたってLCLを下回る)時に、患者、診療所および/または医師に警告するように構成することができる。動向を生成するように構成されるソフトウェアは、透析器具104に、またはサーバコンピュータ114あるいは118に位置することができる。種々の実施形態では、患者102、透析センター120、または医師110のうちのいずれか1つ以上または全てが、動向にアクセスし、閲覧することができる。動向データは、動向が実際に誰かによって閲覧されるかどうかを問わず生成される。警告は、一実施形態では、自動生成され、システム10が、透析センター120および医師110の代わりに患者102を自動的に監視することを可能にする。
【0171】
図27は、患者の処方に変更が行われた後の同じ患者の第2の動向を示す。ここで、患者の日中交換は、Nutrineal(R)透析液からExtraneal(R)透析液に変更されている。図27は、2004年の9月に開始し、患者の残存腎機能が次第に衰えた2004年の11月に再び開始した、患者のUFに新規処方が生じた差異(●を伴う線)を示す。
【0172】
統計的過程制御警告アルゴリズムはまた、体重(「BW」)および/または血圧(「BP」)考慮することもできる。UFが、時間および人口に基づいて計算される、μの平均値およびσの標準偏差を有する正規分布を有する場合、Cは、経験的に決定された定数である。統計的過程制御(SPC)を使用して制御される大部分の過程において、各時点で、複数の測定および観察が行われる(例えば、午前8時に室温を複数回測定する)が、システム10の一実施形態では、SPCの1回のみの測定が各時点で行われ、例えば、1日につき1回のUF測定、1回の圧力および体重測定値である。次いで、(i)短期移動平均(例えば、3〜7日間)UFが、上部管理限界線(UCLUF=UFtarget□+Cσ)または下部管理限界線(LCLUF=UFtarget□−Cσ)外である場合、または(ii)短期移動平均(3〜7日間)体重>BW閾値である場合、および/または(iii)短期移動平均(3〜7日間)収縮期/拡張期BP>BP閾値である場合に、システム10は、警告することができる。
【0173】
図27は、SPC動向チャートが、最後のPET結果に基づいて、患者の予期UF値(▲を伴う線)も表示できることを示す。30日間の平均線が、実際のUFを示す一方で、予期UFへのわずかな遅行(30日間の平均に予期されるものである)は、最終的には予期UF値結果と整合する。ここで、患者は、標準以下ではなく、標的を満たすことができる。しかしながら、患者がRRFを損失している場合があり、患者が自分で廃棄物および過剰水分を除去する能力を低下させているため、患者の処方がUFに対してより積極的になる必要があることを意味する。一方で、予期UFと実際のUFとの間の差異が、医師/臨床医が有意であると判定する値を超えて増加する、例えば、1日以上にわたってLCLを下回る場合、臨床医/医師は、上記で論議されるように、新規PETを指図することができる。
【0174】
(処方呼び戻しおよび修正)
システム10はまた、図1に関連して示され、説明される、処方呼び戻しおよび修正特徴26も含む。ここで図28を参照すると、処方呼び戻しおよび調整特徴またはモジュール26が、より詳細に図示されている。処方呼び戻しおよび調整特徴またはモジュール26は、改良型PET特徴12、投薬計画生成特徴14、処方フィルタリング特徴16、および動向警告生成特徴24等の、システム10の他の特徴に依存し、かつそれらと連動する。図28で見られるように、処方呼び戻しおよび調整特徴またはモジュール26の一側面は、治療のための承認された処方のうちの1つの選択である。
【0175】
ここで図29を参照すると、透析機械104の表示デバイス130の画面160は、患者がその日の治療のための承認された処方(標準、高、および低UF)のうちの1つを選択することを可能にする、1つの患者選択画面を図示する。入力種類は、メンブレインキーを介したもの、またはここではタッチスクリーンオーバーレイを介したものとなり得て、領域162、164、および166が、それぞれ、標準UF処方、高UF処方、および低UF処方選択としてメモリにマップされている。図示した実施形態におけるシステム10は、患者がその日の治療のための処方を選択することを可能にする。例えば、患者が所与の日に通常より多くの流体を消費した場合、患者は高UF処方を実行することができる。患者が運動を行った、日光に当たった、またはどのような理由であれ日中に大量に発汗した場合、患者は、低UF処方を実行することを選択してもよい。
【0176】
例えば、上記の治療動向画面134および136を閲覧している患者が、標準UF処方を実行するUFの降下に気付いた場合、患者は、高UF処方を数日間実行することを選択して、患者が処方変更にどのように反応するかを確認するように権利を与えられてもよい。おそらく、日々のUFが増加するであろう。しかし、実際の増加したUFが、高UF処方の使用による増加した予期UFに対応するかどうかを、患者、臨床医、または医師が確認するべきであることも理解されたい。患者が両方の処方について標準以下である場合は、新規PET、およびおそらく新規の一式の処方の時期かもしれない。
【0177】
上記で説明されるように、患者が自分の治療を調整することを可能にすることは、おそらく、患者が生活様式および治療の順守に関して準拠しているという、患者の安心感を医師または臨床医が有する時のみに行われる。また、医師/臨床医は、患者が低UF治療や標準UF治療と対比して高UF治療を必要とする時に、正確に測定できるように、治療および透析器具104の十分な経験が患者にあることを確認することを希望する場合がある。この実施形態では、たとえ患者が処方決定を行っていても、上記で示されるような動向のデータが透析センター120および/または医師110に送信されているため、どの処方を実行するかについて患者が不良な決定を行っている場合、透析センター120および/または医師110は、迅速に状況を検出して、それを是正することができる。例えば、システム10は、透析センター120および/または医師110が、可能な選択から処方を除去すること、または、機械104またはサーバコンピュータ114あるいは118で設定された処方を自動的に選択するように、透析器具104を設定することを可能にする。
【0178】
透析治療の重要性を考慮して、大部分の人々が責任を負い、誠実かつ思慮深い患者は、患者がより積極的な処方またはあまり積極的ではない処方を必要としてもよい時に最善に測定することができるようになり、あまり積極的ではない処方が承認されていることが分かっていても、ある量のUFを除去すると考えられる。3つより多くの処方を提供することが検討される。例えば、患者は、2つの高UF処方を有することができ、一方はより長い夜間治療を必要とし、他方はより高いデキストロース濃度を必要とする。患者が比較的大量の液体を摂取した日の後に、高UF処方を実行する必要があると分かっていると仮定すると、患者は、最近体重が増加し、より高いデキストロース処方のより高いカロリー摂取を控えた方が良いと知って、より長い夜間治療を選択してもよい。システム10は、患者の生活様式に適応しようとする一方で、適正な治療が行われることを確実にし、またその一方で、経時的に治療データを集めて、患者の生理学的変化が、比較的迅速かつ正確に検出されることを可能にする、徹底的な患者履歴を確立する。
【0179】
別の実施形態では、透析器具104は、患者の日々の体重、およびおそらく患者の血圧に基づいて、患者がどの処方を実行するかを選択する。患者が自分の体重を量り、体重信号が、例えば無線で透析器具104に伝送され、透析器具は、患者がどれだけのUFを蓄積したか、したがって、どの処方を実行するかを判定するために体重信号を使用する。一実施形態では、患者は、最後の夜間充填の直前または日中充填の直前に自分の体重を量り、局所的な「乾燥体重」を確立する。次いで、患者は、最後の充填排出の直後に、夜間に自分の体重を量り、局所的な「湿潤体重」を確立する。局所的な「湿潤体重」と局所的な「乾燥体重」との間の差異は、UF量を判定する。UF量は、低UF範囲、標準UF範囲、および高UF範囲のうちの1つに適合される。次いで、透析器具104は、対応する低UF処方、標準UF処方、または高UF処方を選んで実行する。代替として、透析器具104は、特定の範囲にわたる代替処方、例えば、2つの高UF処方を提供して、患者が2つの高UF処方のうちの1つを選ぶことを可能にする。上記で論議されるように、透析器具104は、一実施形態では、バッグ識別子を読み取り、患者が適正な透析液および適正な量の透析液を接続することを確実にするように構成される。
【0180】
さらなる代替実施形態では、医師110または透析センター120が、所与の日に実行される処方を選択または事前承認するため、患者は異なる処方を実行することができない。ここでは、充填、滞留、および/または排出時間を事前設定することができ、透析器具104はまた、バッグ識別子を読み取り、患者が適正な透析液および適正な量の透析液を接続することを確実にするように構成することができる。
【0181】
さらに、どの処方が実行されるかを患者が入力することを可能にするこが検討されるが、医師110または透析センター120が最終的に処方選択を承認し、または、処方前の選択計画が透析器具104にダウンロードされる。例えば、透析センター120が、例えば、毎月、翌月の開始1週間前に、患者102に自動生成Eメールを送信することが検討される。Eメールは、カレンダーを含み、カレンダーの毎日は、全ての利用可能な処方、例えば、(i)lowUF、(ii)midUFlowDEX、(iii)midUFhighDEX、(iv)highUFlowDEX、および(v)highUFhighDEXを示す。患者は、毎日の処方のうちの1つをクリックし、承認のために完成したカレンダーを臨床医120に送信する。例えば、患者は、週末に高UF処方のうちの1つを、1週間の間に中間または標準処方のうちの1つを実行することを選択してもよい。おそらく、患者は、月曜および水曜の仕事の後に、身体的にきつい運動クラスに出席し、これらの日に低UF処方を選択する。
【0182】
患者が日付に注釈をタイプして、なぜ特定の処方が提案されているのかを説明することを可能にすることが検討される。例えば、患者は、lowUF処方を選択し、そのカレンダーの日に「スピンクラス」とタイプすることができる。または、患者は、highUFhighDEX処方を選択し、そのカレンダーの日に「誕生日パーティ、翌日早起きする」とタイプすることができる。
【0183】
臨床医が患者から完成した提案カレンダーを受信すると、臨床医は、提案カレンダーを承認すること、電話またはEメールで、なぜ1つ以上の処方が特定の日に選択されたのかについて質問すること、提案カレンダーに関して臨床医に懸念または疑問がある場合に、カレンダーを医師の診療室110に転送すること、またはカレンダーにおける選択を修正し、修正したカレンダーを患者に返送することを行うことができる。臨床医は、提案された処方カレンダーを評価する時に、患者の動向データを見直すことができる。例えば、患者が体重を増加させ、1ヶ月の多くまたは全ての日に高デキストロース標準UFを選択している場合、臨床医は、患者に電話またはEメール送信し、患者の体重増加を制御しようとして、低デキストロース標準UF処方に切り替えることを提案することができる。
【0184】
最終的に、臨床医および患者が合意に達する。医師は相談される必要があってもなくてもよい。患者のカレンダーは、月によって同じように見え、季節、休暇、および休日に基づいて自然に変化してもよいことが見込まれる。根本的な変更が提示され、例えば、患者が活発な運動またはトレーニング習慣を開始することを意図し、より多くの低UFの日を導入したい時は、臨床医が医師の承認を求めることができる。
【0185】
一実施形態では、透析器具104は、患者が特定の日に非標準治療を実行したいことを確認する。透析器具104はまた、患者が所望する場合に、患者が標準治療に切り替えることも可能にする。例えば、患者が月曜および水曜に活発な運動をする見込みであるため、それらの日に低UF処方が承認されているが、患者が運動を休んだ場合、患者は、代わりに標準UF処方を実行することを選択できる。または、患者が所与の日にパーティに出席するはずであるため、高UF処方を実行する予定であるが、パーティを欠席した場合、患者は、代わりに標準UF処方を実行することを選択できる。
【0186】
透析器具104はまた、標準UF処方から低または高UF処方への限定量の処方変更を患者に提供するように構成することもできる。例えば、患者が水曜の代わりに木曜に運動することを決定した場合、患者は、木曜に標準UFから低UFに処方を切り替えることができる。システム10は、例えば、1週間につき、1つのそのような標準から非標準処方への変更を可能にするように構成することができる。
【0187】
別の実施例では、透析器具104は、患者がいつでもUF除去を増加させる、つまり、低UF処方から標準または高UF処方に切り替える、または、いつでも標準UF処方から高UF処方に切り替えることを可能にする。患者が、1ヶ月の間にある回数、この選択肢を選択した場合、透析器具104は、警告を医師110または臨床医120に送信することができる。
【0188】
承認されたカレンダーは、一実施形態では、在庫追跡特徴18と一体化する。承認されたカレンダーは、月極めのサイクルとなり得る、次の配達サイクルに、何が必要であるかを在庫追跡特徴18に伝える。患者が複数月にわたって計画し、承認を獲得することができた場合、配達サイクルは、複数月にわたるものとなり得る。いずれの場合でも、患者には、計画された処方からの切替を可能にするために必要であれば、余分な溶液を配達することができる。
【0189】
さらなる代替実施形態では、患者および臨床医および/または医師は、毎週、患者が、ある数の標準、低、および高処方、例えば、5つの標準処方、1つの低処方、および1つの高処方を実行することを合意する。次いで、患者は、1週間の間のどの日に種々の処方を実行するかを選択する。毎週の割当は、いずれの低UFまたは高UF割当も含まなくてもよい。患者は、例えば、4つの低デキストロース標準処方および3つの高デキストロース標準処方を伴う、7つの標準UF割当を有することができる。ここでも、透析器具104は、上記で説明されるように、ある場合において、患者に処方を変更させるように構成することができる。
【0190】
なおもさらなる代替実施形態では、透析器具104、またはサーバコンピュータ114あるは118のうちの1つが、各治療のために患者に対する承認された処方のうちの1つを選ぶ。選択は、上記の動向データのうちのいずれかに基づく、および/または、(i)今日の水分摂取量は低かった、適度であった、平均的であった、高かった、または非常に高かったですか?、(ii)今日の食物摂取量は低かった、適度であった、平均的であった、高かった、または非常に高かったですか?、(iii)今日の炭水化物摂取量は低かった、適度であった、平均的であった、高かった、または非常に高かったですか?、(iv)今日の糖分摂取量は低かった、適度であった、平均的であった、高かった、または非常に高かったですか?、(v)今日の活動レベルは低かった、適度であった、平均的であった、高かった、または非常に高かったですか?等の、患者によって回答される一連の質問に基づくことができる。次いで、システム10は、患者に対する承認された処方のうちの1つを選ぶ。この実施形態の在庫管理は、過去X数の配達サイクルにわたる平均使用量に基づくことができる。上記の投薬計画のうちのいずれかにおいて、透析器具104はまた、バッグ識別子を読み取り、患者が適正な透析液および適正な量の透析液を接続することを確実にするように構成することもできる。
【0191】
図28で見られるように、選択された日々の処方は、処方呼び戻しおよび修正特徴26用の切替機構に供給される。切替機構は、特徴24の適用された警告生成アルゴリズムが、適用された警告生成アルゴリズムの閾値よりも大きい誤差を計算する時に起動される。図28で見られるように、特徴24の適用された警告生成アルゴリズムが、閾値よりも大きくない誤差を計算する時に、特徴26は、いずれの処方呼び戻し体制が採用されていても、現在の一式の処方を維持する。したがって、切替機構は、新規の処方または一式の処方に切り替えない。
【0192】
処方が治療に使用されると、処方は、それとともに、投薬計画生成特徴14を介して生成され、処方フィルタリング特徴16を介して選択される、予測UFを持つ。予測UFはまた、図28の転送機能の加算器64で見られるように、患者の投薬計画偏差によって達成される。
【0193】
実際のUFデータは、動向および警告生成特徴24に関連して上記で論議されるような短期および長期移動平均から取得され、その平均は順に、透析器具104において生成される測定UFデータから作成される。実際のUF値は、本明細書で説明されているような患者の輸送特性の関数であるが、患者による投薬計画偏差等の環境要因も計上する。実際のUF値は、差異発生器66aにおいて予測UF値から差し引かれ、菱形24において警告生成アルゴリズムに供給される。実際のUF値はまた、特徴14に関連して投薬計画を生成するために使用される、標的UF値を調整するために使用される、差異発生器66bにも供給される。他の標的値は、上記で論議されるように、標的尿素除去、標的クレアチニン除去、および標的グルコース吸収を含む。
【0194】
菱形24で見られるように、いったんシステム10がアラーム条件を判定すると、システム10が処方調整切替機構を誘起する。それは、必ずしも患者の処方が調整されることを意味するわけではない。医師110が最終的に、生体インピーダンスを使用した、UF、患者の日々の体重、日々の血圧、または推定乾燥体重のデータに基づいて電話をかける。処方調整が必要であると思われる時に、通信モジュール20を介して、例えば、ルータを通したAPDシステムとモデムとの間の無線通信を介して、システム10が患者と通信する。受信したデータに基づいて、腎臓専門医110は、切替機構26において、(i)現在の処方を続け、以前に計画された通りに外来診療に来る、(ii)現在の処方を続けるが、可能な処方調整のために、より早く受診する、(iii)現在の処方を使用した異なるルーチンに切り替え、早く、例えば2週間以内に受診し、新規ルーチンについての動向データを受信する、(iv)治療を順守していないことを患者に警告し、現在の処方を維持する、(v)低UF処方を過度に頻繁に実行していることを患者に警告し、現在の処方を維持する、(vi)現在の治療および監視を続けるが、UF標的をAまで下げ、UF限度をBまで下げる、(vii)PD膜輸送特性の変化を評価するように新規APD PETを行い、このPETに基づいて更新された治療提案をセンターに提供するといった、決定を行うことができる。
【0195】
患者が十分に順守しており、低UFが新規PETによって検証されるような輸送特性変化の結果である場合、医師110は、1つ以上の標準UF処方の変更を含む、新規の処方が生成されることを指図することができる。そうするために、投薬計画生成モジュール14および処方フィルタリングモジュール16が、新規処方を策定するために再度使用される。医師は、新規処方に合意し、新規処方および切替機構26は、図28で見られるように、新規処方に変更する。
【0196】
本明細書で説明される本発明の好ましい実施形態に対する種々の変更および修正が、当業者にとって明白となることを理解されたい。そのような変更および修正は、本主題の精神および範囲から逸脱することなく、かつその意図された利点を損なうことなく、行うことができる。したがって、そのような変更および修正が、添付の特許請求の範囲によって網羅されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析システムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングによって担持された少なくとも1つのポンプであって、患者に新鮮な透析液を充填し、前記患者から消費された透析液を排出するように構成された少なくとも1つのポンプと、
論理インプリメンタであって、限外濾過(「UF」)評価シーケンスにおいて、
(i)前記少なくとも1つのポンプに、新鮮な透析液を前記患者に供給させ、第1の滞留時間の後に、前記患者から消費された透析液を排出させることと、
(ii)前記第1の消費された透析液の一部分として、前記第1の滞留時間の間に、前記患者から除去されるUFの第1の量を決定することと、
(iii)前記少なくとも1つのポンプに、新鮮な透析液を前記患者に供給させ、第2の異なる滞留時間の後に、前記患者から消費された透析液を排出させることと、
(iv)前記第2の消費された透析液の一部分として、前記第2の異なる滞留時間の間に、UFの第2の量を前記患者から除去することと
を行うように構成された論理インプリメンタと
を含む、腹膜透析システム。
【請求項2】
前記論理インプリメンタは、
(v)前記少なくとも1つのポンプに、新鮮な透析液を前記患者に供給させ、第3の異なる滞留時間の後に、前記患者から消費された透析液を排出させることと、
(vi)前記第3の消費された透析液の一部分として、前記第3の異なる滞留時間の間に、前記患者から除去されるUFの第3の量を決定することと
を行うようにさらに構成されている、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項3】
前記論理インプリメンタは、
(vii)前記少なくとも1つのポンプに、新鮮な透析液を前記患者に供給させ、第4の異なる滞留時間の後に、前記患者から消費された透析液を排出させることと、
(viii)前記第4の消費された透析液の一部分として、前記第4の異なる滞留時間の間に、前記患者から除去されるUFの第4の量を決定することと
を行うようにさらに構成されている、請求項2に記載の腹膜透析システム。
【請求項4】
前記第1の滞留時間および前記第2の滞留時間は、異なっており、公称30分の滞留、公称60分の滞留、公称120分の滞留、公称240分の滞留のうちのいずれかである、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項5】
前記第1の滞留時間および前記第2の滞留時間は、
(i)前記患者への供給の終了から前記患者の排出の開始までの時間と、
(ii)前記患者への供給の終了から前記患者の排出の終了までの時間と
のうちの1つとして取られる、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項6】
データ転送デバイスをさらに含み、
前記データ転送デバイスは、前記論理インプリメンタと共に動作することにより、遠隔位置に、前記第1の滞留時間および前記第2の滞留時間の間に除去される、UFの前記第1の量および前記第2の量を転送するように構成されている、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項7】
前記データ転送デバイスは、
(i)データカードと、
(ii)データネットワークと
からなるグループから選択されるタイプである、請求項6に記載の腹膜透析システム。
【請求項8】
前記論理インプリメンタは、
前記第1の滞留時間および前記第2の滞留時間に対して実際の時間を記録し、第1の実際の時間および第2の実際の時間を、それぞれ第1のUF量および第2のUF量と合致させるようにさらに構成されている、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項9】
前記論理インプリメンタは、第1の論理インプリメンタおよび第2の論理インプリメンタを含み、前記第1の論理インプリメンタは、前記第2の論理インプリメンタが曲線を前記UF量に適合させるために十分な異なる滞留時間の間にUF量の十分な数を計算する、請求項1に記載の腹膜透析システム。
【請求項10】
前記第2の論理インプリメンタは、前記曲線を用いて、LPA/透水係数、流体吸収係数のうちの少なくとも1つを決定し、前記少なくとも1つの係数を用いて、前記患者に対する少なくとも1つの治療投薬計画を開発するようにさらに構成されている、請求項9に記載の腹膜透析システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの治療投薬計画は、
(i)前記患者の血液の化学的分析と、
(ii)前記患者の消費した透析液の化学的分析と、
(iii)動力学的モデルと
のうちの少なくとも1つを用いてさらに開発される、請求項10に記載の腹膜透析システム。
【請求項12】
限外濾過(「UF」)評価方法であって、
第1の滞留時間の間に患者から除去されるUFの量を決定することと、
第2の異なる滞留時間の間に前記患者から除去されるUFの量を決定することと、
第3の異なる滞留時間の間に前記患者から除去されるUFの量を決定することと、
前記第1の滞留時間、前記第2の滞留時間、前記第3の滞留時間の間のUF除去量に曲線を適合させることと
を含む、限外濾過(「UF」)評価方法。
【請求項13】
前記曲線を用いて、最適な滞留時間または滞留時間範囲を決定することを含む、請求項12に記載のUF評価方法。
【請求項14】
5つの滞留時間の間にUF除去量を決定し、前記曲線を5つの除去量に適合させることを含む、請求項12に記載のUF評価方法。
【請求項15】
前記曲線を前記UF除去量に適合させることは、規定された第1の滞留時間、第2の滞留時間、第3の滞留時間ではなく、実際の第1の滞留時間、第2の滞留時間、第3の滞留時間を用いることを含む、請求項12に記載のUF評価方法。
【請求項16】
前記決定することは、前記患者の自動腹膜透析機械を用いて実行され、前記適合させることは、異なる装置によって実行させる、請求項12に記載のUF評価方法。
【請求項17】
前記UF量を決定することは、それぞれの異なる滞留時間の間に前記患者から除去される消費された透析液の容量から、前記患者に配達された新鮮な透析液の容量を減算することを含む、請求項12に記載のUF評価方法。
【請求項18】
請求項12にしたがって決定された曲線を用いることにより、少なくとも1つの腹膜透析治療投薬計画を生成する、腹膜透析治療生成方法。
【請求項19】
(i)前記患者の血液を分析することと、
(ii)前記患者の消費した透析液を分析することと、
(iii)請求項12の曲線を用いることに加えて、動力学的モデルを用いて、少なくとも1つの腹膜透析投薬計画を生成することと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の腹膜透析治療生成方法。
【請求項20】
前記曲線から(i)患者の透水係数、LPA、(ii)患者の流体吸収係数のうちの少なくとも1つを決定し、前記少なくとも1つの係数を用いて、少なくとも1つの腹膜透析投薬計画を生成することを含む、請求項18に記載の腹膜透析治療生成方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公表番号】特表2011−527619(P2011−527619A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517613(P2011−517613)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/050074
【国際公開番号】WO2010/006147
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】