腹膜透析機器管理システム
【課題】腹膜透析機器を用いて家族と同居の患者また独居高齢者等の患者等が腹膜透析の操作手順を行い易くすることができる腹膜透析機器管理システムを提供すること。
【解決手段】腹膜透析を行うときに使用する腹膜透析機器30と、腹膜透析機器と通信可能に接続されている腹膜透析機器管理装置10と、を有し、腹膜透析機器には、情報を出力する情報出力部20とを有し、情報出力部は、操作手順情報を含み、操作手順情報は、一般手順情報と、より詳細な手順情報である詳細手順情報とを有し、情報出力部が一般手順情報を出力した後、入力部39に一般手順情報に対する応答情報が入力されない場合に、情報出力部に詳細手順情報が出力される腹膜透析機器管理システム1。
【解決手段】腹膜透析を行うときに使用する腹膜透析機器30と、腹膜透析機器と通信可能に接続されている腹膜透析機器管理装置10と、を有し、腹膜透析機器には、情報を出力する情報出力部20とを有し、情報出力部は、操作手順情報を含み、操作手順情報は、一般手順情報と、より詳細な手順情報である詳細手順情報とを有し、情報出力部が一般手順情報を出力した後、入力部39に一般手順情報に対する応答情報が入力されない場合に、情報出力部に詳細手順情報が出力される腹膜透析機器管理システム1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、腹膜透析機器を管理する腹膜透析機器管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腎臓病患者等が自宅で透析を行う際に用いる方法として、腹膜透析方法がある。また、この腹膜透析方法には、患者等が自己で透析液を交換するCAPD(continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis:連続携行式腹膜透析)と、装置が自動的に透析液を交換するAPD(Automated Peritoneal Dialysis:自動腹膜透析)がある。
【0003】
CAPDの場合は、例えば、患者等が自己の身体に装着している腹膜カテーテルに、新しく腹腔内に注入する透析液を収容した透析液バッグと、既に腹腔内に収容されている透析液を排出する際に使用する空のバッグを接続し、重力による落差を利用して腹腔内の透析液の入れ換えを行う方法である。
一方、APDの場合は、自動腹膜透析装置を介して、新しい透析液が収容されている透析液バッグと空のバッグを、患者に装着されている腹膜カテーテルに接続し、プログラムされた透析プラン(透析処方)に基づいて自動腹膜透析装置が自動的に腹腔内の透析液の入れ換えを行う方法である。
しかし、患者等は、高齢者等、特に独居高齢者等が多く、このような高齢者等の場合、自宅でCAPDやAPDで透析をする際、透析液バッグ等を交換することが困難となる場合がある。このため、特許文献1に示すように、その操作方法を表示する自動腹膜透析装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004―49497公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような装置の表示を参照しても、高齢者等の患者等にとって、透析液バッグ等の透析液容器の交換が困難な場合がある。また、患者が独居の場合は、透析液容器の交換の手順の不具合は、そのまま腹膜透析療法の不具合につながりかねないという問題もあった。また、高齢者等の患者等は、介護を受けるために自宅や自宅以外でも腹膜透析を行うことがあるが、腹膜透析を熟知していない者による操作や監視が行われた場合においては、腹膜透析の不具合を回避できないという問題があった。
【0006】
そこで、腹膜透析機器を介して、透析液容器を含む透析用器具を患者に装着されている腹膜カテーテルに接続等するときに、高齢者等の患者等透析操作実施者等が操作手順を間違うことなく、容易に接続等をし易くすることができる腹膜透析機器管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、本発明にあっては、腹膜透析を行うときに使用する腹膜透析機器と、前記腹膜透析機器と通信可能に接続されている腹膜透析機器管理装置と、を有する腹膜透析機器管理システムであって、前記腹膜透析機器には、情報を出力する情報出力部と、入力部と、を有し、前記情報出力部は、操作手順情報を含み、前記操作手順情報は、一般手順情報と、より詳細な手順情報である詳細手順情報とを有し、前記情報出力部が前記一般手順情報を出力した後、前記入力部に前記一般手順情報に対する応答情報が入力されない場合に、前記情報出力部に前記詳細手順情報が出力されることを特徴とする。
【0008】
前記構成によれば、出力される情報である操作手順情報は、一般手順情報と、より詳細な手順情報である詳細手順情報とを有し、情報出力部が一般手順情報を出力した後、入力部に一般手順情報に対する応答情報が入力されない場合に、情報出力部に前記詳細手順情報が出力される。
したがって、独居高齢者等の患者が最初の一般手順情報で、腹膜透析機器を用いて腹膜透析を行う操作手順等を理解できない場合は、自動的にさらに詳細な手順情報が出力されるので、患者はその装着方法を詳細に知ることができる。
【0009】
好ましくは、前記情報出力部は表示部を含み、前記一般手順情報は、文字及び実際に使用する器具を示す図画により前記表示部に表示されることを特徴とする。
従って、患者は操作の一般手順をより詳細に知ることができる。
【0010】
好ましくは、前記詳細手順情報は、文字及び実際に使用する器具を示す図画により前記表示部に表示されることを特徴とする。
従って、操作が不慣れな患者であっても操作の詳細な手順をより詳細に知ることができる。
好ましくは、前記表示部は、カラー液晶又は有機ELであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、腹膜透析機器を用いて家族と同居の患者また独居高齢者等の患者等が腹膜透析の操作手順を行い易くすることができる腹膜透析機器管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】腹膜透析機器管理システムを示す概略図である。
【図2】図1の透析液バッグ端末の主な構成等を示す概略ブロック図である。
【図3】図1のCAPD機器及びAPD機器の主な構成等を示す概略ブロック図である。
【図4】図1の管理サーバの主な構成等を示す概略ブロック図である。
【図5】患者家族端末及び医療サイト端末の主な構成等を示す概略ブロック図である。
【図6】患者の透析プラン等を事前に管理サーバに登録する工程を示す概略フローチャートである。
【図7】腹膜透析監視工程を示す概略フローチャートである。
【図8】腹膜透析監視工程を示す他の概略フローチャートである。
【図9】腹膜透析監視工程を示す他の概略フローチャートである。
【図10】個人データ記憶部に記憶される患者の個人データを示す概略説明図である。
【図11】一般的説明の操作画面例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0014】
図1は、腹膜透析機器管理システム1を示す概略図である。
図1に示すように、腹膜透析機器管理システム1は、独居高齢者等が自宅で使用する腹膜透析機器を有している。
【0015】
ところで、腹膜透析には、患者が自分自身又は家族,ヘルパーによる介助のもとで腹腔内の透析液を交換するCAPD(continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis:連続携行式腹膜透析)と、装置が自動的に透析液を交換するAPD(Automated Peritoneal Dialysis:自動腹膜透析)がある。
CAPDでは、患者の腹膜と連結され、患者側に配置された腹膜カテーテルに対して、例えば、2つのバッグを接続する「ツインバッグシステム」がある。
【0016】
この「ツインバッグシステム」は、透析液の入った透析液容器である例えば、透析液バッグと、排液用の空バッグを一体化して処理する機器である。そして、透析液バッグを患者の腹腔より高い位置に置き、排液用バッグを低い位置に置くことで、透析用チューブを介して重力による落差を利用して、既に腹腔内にある透析液を排液用バッグに出しながら新しい透析液を腹腔内に注液することができる機器となっている。
【0017】
本実施の形態では、APDに用いられる機器として、自動腹膜透析機器があり、本実施の形態では、患者の透析プラン(治療パターン、初期排液量、注液量、貯留時間、最終注液量、最終濃度変更、透析時間、総透析液量、総除水量、サイクル数、初期注液量、タイダール量、タイダール除水量等)が任意に設定入力可能な自動腹膜透析装置30(以下「APD機器」と称す。)を用いて、患者が透析を行うことを例に説明する。
【0018】
また、本実施の形態の腹膜透析機器管理システム1では、これら患者サイト(患者の自宅等)に配置されているCAPD機器10及びAPD機器30と中継局4を介してインターネット網5で通信可能な腹膜透析機器管理装置である例えば、管理サーバ50を有している。
【0019】
したがって、本実施の形態では、管理サーバ50は、CAPD機器10及びAPD機器30を監視可能な構成となっている。
【0020】
また、腹膜透析機器管理システム1は、患者が、自己の腹腔内に貯留されている透析液を交換するために、CAPD機器10やAPD機器30に供される透析液バッグ2を含む透析用セットが用いられる。
【0021】
そして、透析液バッグ2には、透析液バッグ2の透析液データ等の情報を管理すると共に、CAPD機器10やAPD機器30と通信等をすることができる透析液バッグ端末70が配置されている(図1参照)。
【0022】
また、図1に示すように、管理サーバ50は、インターネット網5を介して、患者と同居していない患者家族サイト(患者の家族宅)の端末である患者家族端末90や医療サイト(患者の担当医師等がいる場所)の医療サイト端末100(当該腹膜透析機器と関連する端末の一例)と通信可能となっている。
このため、管理サーバ50は、患者の家族や担当医師に連絡等を行うことができる構成となっている。
【0023】
図1に示すCAPD機器10、APD機器30、管理サーバ50、透析液バッグ端末70、患者家族端末90及び医療サイト端末100は、コンピュータ等を有している。このため、図示しない、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、例えば、バスを介して接続されている。
【0024】
図2は、図1の透析液バッグ端末70の主な構成等を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、透析液バッグ端末70は、透析液バッグ端末制御部71を有し、通信チップ72や透析液内容データ記憶部73等を制御している。
【0025】
この通信チップ71は、無線通信チップであり、後述するCAPD機器10(APD機器30)のCAPD機器側読取装置11(APD機器側読取装置31)が近づくと、これらCAPD読取装置11(APD読取装置31)の電波で、電子回路が駆動し、これらCAPD読取装置11(APD読取装置31)と通信が可能となる構成となっている。
また、透析液内容データ記憶部73には、当該透析液バッグ2内に収容されている透析液の種類及び内容のデータが記憶されている。
【0026】
図3は、図1のCAPD機器10及びAPD機器30の主な構成等を示す概略ブロック図である。
図3に示すCAPD機器10及びAPD機器30の主な構成は共通するため、他方を括弧内で示す。
【0027】
図3では、CAPD機器10(APD機器30)、CAPD機器制御部12(APD機器制御部32)を有すると共に、上述したCAPD読取装置11(APD読取装置31)、図1の管理サーバ50等と通信するためのCAPD(APD)機器側通信装置13(33)、CAPD機器側アラーム装置14(APD機器側アラーム装置34)、CAPD機器側計時装置15(APD機器側計時装置35)、入力部である例えば、CAPD機器側入力装置19(APD機器側入力装置39)及び情報出力部である例えば、CAPD機器側表示装置20(APD機器側表示装置40)を有する。
【0028】
そして、CAPD機器制御部12(APD機器制御部32)が、これらCAPD機器側読取装置11(APD機器側読取装置31)等を制御する構成となっている。
また、CAPD機器制御部12(APD機器制御部32)は、図3に示す他の記憶部や処理部等も制御するが、これらについては後述する。
【0029】
図4は、図1の管理サーバ50の主な構成等を示す概略ブロック図である。
図4に示すように、管理サーバ50は、管理サーバ側制御部51を有すると共に、CAPD機器10及びAPD機器30等と通信するための管理サーバ側通信装置52、各種データを表示する管理サーバ側表示装置53、管理サーバ側計時装置54及び管理サーバ側入力装置55を有している。
そして、管理サーバ側制御部51が、これら管理サーバ側通信装置52等を制御する構成となっている。
また、管理サーバ側制御部51は、図4に示す他の記憶部や処理部等も制御する構成となっているが、これらについては後述する。
【0030】
図5は、患者家族端末90及び医療サイト端末100の主な構成等を示す概略ブロック図である。
図5に示す患者家族端末90と医療サイト端末100の主な構成は共通するため、他方を括弧内で示す。
図5に示すように、患者家族端末90(医療サイト端末100)は、患者家族端末制御部91(医療サイト端末制御部101)を有すると共に、図1の管理サーバ50等と通信するための患者家族端末側通信装置92(医療サイト端末側通信装置102)及び各種データを表示する患者家族端末側表示装置93(医療サイト端末側表示装置103)等を有している。
そして、患者家族端末制御部91(医療サイト端末制御部101)が、患者家族端末側通信装置92(医療サイト端末側通信装置102)及び患者家族端末側表示装置93(医療サイト端末側表示装置103)等を制御する構成となっている。
【0031】
図6至図9は、本実施の形態にかかる腹膜透析機器管理システム1の主な動作等を示す概略フローチャートである。
以下、図6等にフローチャートに沿って、腹膜透析機器管理システム1の動作等を説明すると共に、図1乃至図5等の構成等も併せて説明する。
【0032】
本実施の形態では、病院(医療サイト)の担当医師の処方どおりに腹膜透析を自宅で行う、独居高齢者である患者を例に説明する。この患者は、家族と同居していないため、透析を自分一人で行っている。また、家族は同居していないが、図1に示すように、管理サーバ50を介して患者家族端末90と通信可能であり、担当医師も医療サイト端末100で管理サーバ50と通信可能となっている。
【0033】
先ず、図6の事前登録工程が実行される。
図6は、患者の透析プラン(治療パターン、初期排液量、注液量、貯留時間、最終注液量、最終濃度変更、透析時間、総透析液量、総除水量、サイクル数、初期注液量、タイダール量、タイダール除水量等)等を事前に管理サーバに登録する工程を示す概略フローチャートである。
図6のステップST(以下「ST」と称す。)1に示すように、上述の独居高齢者である患者は、所定のデータを図1の管理サーバ50に登録する。
具体的には、図4の個人データ記憶部56に記憶される。図10は、個人データ記憶部56に記憶される上述の患者の個人データ56aを示す概略説明図である。
【0034】
図10に示すように、患者は、当該患者の識別番号、自宅で使用する透析機器識別番号を登録する。透析機器識別番号は、例えば、患者が図1のCAPD機器10とAPD機器30を使用する場合は、それぞれの識別番号が登録される。これらの識別番号は、管理サーバ50が、CAPD機器10やAPD機器30との間で通信をする際の識別データとなる。なお、患者の透析プラン(治療パターン、初期排液量、注液量、貯留時間、最終注液量、最終濃度変更、透析時間、総透析液量、総除水量、サイクル数、初期注液量、タイダール量、タイダール除水量等)は、APD機器30の入力部でも設定できるようになっている。
【0035】
また、個人データ記憶部56には、図10に示すように、図1の患者家族端末90の連絡先データである例えば、連絡先Eメール番号や、図1の担当医師の医療サイト端末100の連絡先である例えば、担当医Eメール番号が登録される。
【0036】
次いで、ST2で、追加のデータが図1の医療サイト端末100から登録される。
具体的には、上述の患者の透析の処方である例えば、透析液容器関連情報である例えば、透析プラン(透析機器(腹膜透析機器の選択情報)及び透析開始時刻(接続時刻情報の一例))が登録される。
例えば、図10の例では、午前0時及び午前6時に、APD機器30で透析をし、その後、午後12時及び午後6時にCAPD機器10で透析を行うこととしている。
これは、患者が寝ている時は、準備手順や操作手順がやや複雑な自動腹膜透析装置であるAPD機器30で、設定された透析プラン(治療パターン、初期排液量、注液量、貯留時間、最終注液量、最終濃度変更、透析時間、総透析液量、総除水量、サイクル数、初期注液量、タイダール量、タイダール除水量等)に基づいて、自動的に透析を行うと共に、患者が起きているときは、ツインバッグの腹膜透析機器であるCAPD10で透析を行うものである。
【0037】
また、個人データ記憶部56には、透析プランで使用される透析機器で使用される、すなわち、当該透析機器(CAPD機器10やAPD機器30)での使用に供されるべき透析液バッグ2の種類データ及び容量データが登録される。
また、透析液に関しては、その在庫管理のため、患者が現在自宅で保持している透析液バッグ2の数も登録される(透析容器数量情報の一例)。
なお、この透析液バッグ2の在庫については、患者、医師又は家族等が登録することできる構成となっている。
【0038】
以上で、事前登録工程が終了する。次いで、図7乃至図9の腹膜透析監視工程が開始される。図7乃至図9は、腹膜透析監視工程を示す概略フローチャートである。
【0039】
先ず、ST11で、図4の管理サーバ10の管理サーバ側計時装置54が現在時刻データを取得して、図4の現在時刻データ記憶部57に記憶する。
次いで、ST12へ進む。ST12では、図4の透析プラン検索処理部(プログラム)58が動作し、図4の個人データ記憶部56内の図9の個人データ56aの「透析プラン」の「開始時刻」を参照し、該当する時刻データがあるか否かを判断する。
【0040】
次いで、ST12で、該当する時刻データが存在した場合は、ST13へ進む。ST13では、図9の該当する透析プランの開始時刻に対応する透析プランの透析機器の透析機器識別番号、例えば、1234−2(APD機器30)に対して、問い合わせ信号を送信する。
具体的には、図4の管理サーバ側通信装置52を介して、図1のAPD機器30へ送信される。例えば、図10の例では、午前0時及び午前6時に、APD機器(1234−2)30で腹膜透析をし、その後、午後12時及び午後6時にCAPD機器(1234−1)10で腹膜透析を行うこととしている。透析プラン(治療パターン、初期排液量、注液量、貯留時間、最終注液量、最終濃度変更、透析時間、総透析液量、総除水量、サイクル数、初期注液量、タイダール量、タイダール除水量等)は、当該患者の腹膜透析を行うために得られたデータ、たとえば、至適透析指標である尿量,排液量,残腎Kt/V,PD Kt/V(腹膜透析によるKt/V),PET試験に基づくCr D/P(血清中のクレアチニン濃度Pと腹膜透析排液中のクレアチニン濃度Dとの比)に基づき、変更が可能であり、変更の可能/不可能は担当医師が予めプログラムすることができる。
【0041】
次いで、ST14へ進む。ST14では、問い合わせ信号を受信したAPD機器30の図3のAPD機器側読取装置31が動作する。
すなわち、当該時刻は,上述の患者にとって、透析液バッグ2を交換する時刻であり、患者が気づいていれば、図1の透析液バッグ2がAPD機器30での使用に供させる予定となっている。
したがって、APD機器30は、APD機器側読取装置31を起動させることで、透析液バッグ2の透析液バッグ端末70の通信チップ72を介して、図2の透析液容器識別情報である例えば、透析液内容データを取得するように試みることになる。これが、ST15である。
【0042】
ST15では、図3のAPD機器側通信状態判断処理部(プログラム)36が動作し、APD機器側読取装置31が、透析液バッグ端末70の通信チップ72との通信が成功し、透析液の種類及び容量データを取得したか否かが判断される。
すなわち、通信ができれば、透析液バッグ2がAPD機器30での使用に供されたことになり、通信が不可の場合は、透析液バッグ2がAPD機器30での使用に供されていないと判断することができる。
したがって、APD機器側通信状態判断処理部(プログラム)36が接続判断部の一例となっている。
【0043】
ST15で、APD機器側読取装置31と透析液バッグ端末70の通信チップ72との通信が成功しない場合は、ST16へ進む。ST16では、所定時間(例えば60秒)が経過したか否かを判断する。
ST16で,所定時間が経過した場合、すなわち、所定時間経過しても、APD機器30に、透析液バッグ2がAPD機器30での使用に供されていない場合は、APD機器30は、患者が自分で透析を行えない状態にあると判断し、ST31へ進む。
【0044】
ST31では、図4の管理サーバ50の操作方法画面表示処理部(プログラム)63が動作し、図10の個人データ56aの当該透析機器識別番号からCAPD機器10又はAPD機器30であるか否かを特定し、当該機器の一般手順情報(接続手順情報)である例えば、一般的説明の操作方法画面を図4の操作画面記憶部64から取得する。
そして、この一般的説明の操作画面を,当該APD機器30のAPD機器側表示装置40に表示する。
【0045】
図11(a)乃至(c)は、一般的説明の操作画面例を示す概略説明図である。
図11(a)は最初に表示されるべき一般的説明画面例を示し、図11(b)は、(a)の次に出力・表示されるべき情報の1つである、一般的説明画面例を示し、図11(c)は、(b)の次に表示されるべき一般的説明画面例を示す。
すなわち、本実施の形態では、これらの画面が同時にAPD機器側表示装置40に表示されるのではなく、操作順に順番に表示される構成となっており、患者はこの順番通りに操作することで、APD機器30を介して適切に透析液バッグ2,空のバッグと患者に装着されている腹膜カテーテルを接続できるように画面が構成されている。
この表示には、文字表示に加え、好ましくは音声による案内や実際に使用する器具が分かるようなカラーのアニメーションによる案内を行なうことで、より容易に透析準備が行える。
【0046】
また、図11(a)等に示すように、一般的説明画面には、一般的説明本体64aと応答情報である例えば、応答案内64bを含んでいる。
したがって、APD機器側表示装置40には、図11(a)の一般的説明本体64a(腹膜透析液の交換を始める時刻です。)と応答案内64b(はい、始めます)の両方が同時に又は順番に表示される。
ところで、本実施の形態では、図11(a)から(c)に進むにつれて、操作手順が進むように画面が構成されているので、表示される順番は、図11(a)乃至(c)となる。
【0047】
ST31で、図11(a)に示す一般的説明本体64a及び応答案内64b(最初に表示されるべき説明画面)が、APD機器側表示装置40に表示されると、ST32へ進む。ST32では、入力部として表示部の画面に表示されるタッチパネル等での応答信号の入力があったか否かを判断する。
すなわち、図3のAPD機器側入力装置39を操作して、患者が応答案内64aをクリック等すると応答信号が管理サーバ50へ送信されることになる。
そして、管理サーバ50では、図4の応答信号受信判断処理部(プログラム)64が動作し、応答信号を受信したか否かを判断する。
【0048】
ST32で応答信号の受信があった場合は、管理サーバ50は、患者は透析液バッグ2の交換を開始したと判断し、ST33へ進む。
ST33では、応答信号受信判断処理部(プログラム)65が、次の一般的説明の操作画面があるか否かを判断する。
本実施の形態では、上述のように、図11(a)の次に図11(b)の操作画面があるので、ST34で、図11(b)の一般的説明本体64a(腹膜透析液バッグを包装袋から出しましたか?)と応答案内64b(はい、出しました)を、APD機器側表示装置40に表示する。
【0049】
このように、上述のST32及びST33等を実行し、全ての一般的説明の説明画面の表示及び患者による応答案内のクリック等が終了するまで、すなわち、患者による透析液バッグ2の交換が終了するまで、繰り返すことになる。
これにより、独居高齢者等の患者等であって、透析液バッグ2の交換に不慣れな場合でも、その交換方法が具体的に教示されるので、患者は容易に透析液バッグ2の交換(APD機器30への装着)をすることができる。
【0050】
一方、ST33で次の操作画面がない、すなわち、操作が終了した場合は、ST35へ進む。ST35では、図4の管理サーバ50の透析液バッグ在庫数処理部(プログラム)66(透析容器数量情報変更処理部の一例)が動作して、図10の当該個人データ56aの透析液の在庫の減数処理を行う。
これにより、管理サーバ50は、当該患者の透析液バッグ2の在庫数を確実に把握することができ、患者の不注意で透析液バッグ2の在庫がゼロとならないように、患者家族端末90や担当医師の医療サイト端末100にその事実を通知し、対策を講じることができる。
【0051】
また、上述のST32で、患者による応答信号の入力が検出することができないときは、ST36へ進む。ST36では、管理サーバ50は、所定時間(例えば60秒)経過したか否かを判断する。
そして、ST36で所定時間が経過したと判断されたときは、ST37へ進み、出力・表示されるべき情報の1つである、実際の手順を示すアニメーションのような動画や静止画による詳細な説明の操作方法画面を、好ましくは音声とともに当該APD機器30のAPD機器側表示装置40の表示部(好ましくはカラーの液晶表示部又は有機EL)に表示する。
すなわち、ST32で、応答信号の入力がないときは、患者が図11(a)等の応答案内64bをクリック等しない、すなわち、患者が透析液バッグ2のAPD機器30への接続方法が分からない場合が想定される。
そこで、本実施の形態では、当該一般的説明の操作画面より詳細な操作情報であり、詳細手順情報であり、文字及び好ましくは、実際に使用する器具を示す図画を含む説明な説明を、当該APD機器30のAPD機器側表示装置40の表示部(好ましくはカラーの液晶表示部又は有機EL)に表示する。
【0052】
この詳細な説明の操作画面も、一般的説明の操作画面と同じく、図示しない「詳細な説明本体」と対応する「応答案内」を有し、図4の操作画面記憶部64に記憶されている。
具体的には、管理サーバ50の操作方法画面表示処理部(プログラム)63が動作し、図10の個人データ56aの当該透析機器識別番号からCAPD機器10かAPD機器30かを特定し、当該機器の詳細な説明の操作方法画面を図4の操作画面記憶部64から取得する。
そして、この詳細な説明の操作画面を,当該APD機器30のAPD機器側表示装置40(好ましくはカラーの液晶表示部又は有機EL)に表示する。
【0053】
このように、本実施の形態では、最初に示した一般的説明本体64aの一般的説明では、透析液バッグ2のAPD機器30への使用に対して、どのような手順で行なうか分からない患者に対して、より詳細な方法等が詳細な説明で自動的に示される。このため、患者は、透析液バッグ2のAPD機器30での使用をより詳細に知ることができる。
【0054】
次いで、ST38に進む。ST38では、患者が上述の「詳細な説明本体」を読んで、それに対応する「応答案内」の画面をクリック等したか否かを判断する。
ST38で、患者が「応答案内」をクリックした場合は、上述のST32へ進む。すなわち、前の説明画面の詳細な説明本体について、患者がその「応答案内」をクリック等すると、次の操作画面の一般的説明が表示される。
したがって、患者は、透析液バッグ2のAPD機器30での使用に関し、その手順毎に一般的説明が不明な場合は詳細な説明をAPD機器側表示装置40の表示部(好ましくはカラーの液晶表示部又は有機EL)から得ることができる一方、一般的説明で分かる場合は、一般的説明のみが表示されるので、必要な操作情報をその手順毎に効率良く取得することができる構成となっている。
【0055】
一方、ST38で、応答信号の入力がない場合は、ST39へ進む。ST39で所定時間(例えば60秒)が経過したと判断すると、ST40以下へ進む。
すなわち、患者が上述の「詳細な説明本体」に対応する「応答案内」の画面をクリック等せず、一定時間経過した場合は、患者は詳細な説明を読んでも、透析液バッグ2のAPD機器30での使用方法が分からない事態となっていると判断し、ST40へ進む。
【0056】
ST40では、APD機器30は、図3の情報出力部である例えば、APD機器側アラーム装置34を動作させ、警報音等を出力し、患者に注意を喚起すると共に、透析液バッグ2が未装着(透析液交換不可)状態である旨の「警報」データを、管理サーバ50へ送信する。
したがって、患者が一人住まいのため、単に透析時刻を忘れた場合は、この警報音等を聞くことで、透析液バッグ2の交換時刻であることに気が付き、透析液バッグをAPD機器30で使用するための動作を行うことができる。このため、一人住まい(独居)であっても、透析時刻を忘れずに透析液の交換を行うことができる。
【0057】
次いで、ST41では、図4のアラーム表示実行処理部(プログラム)59が動作し、管理サーバ50が、受信した「警報」データに基づき、図10の個人データ56aの「警報履歴」に警報の事実を登録すると共に、図10の個人データ56aの「連絡先Eメール番号」及び「担当医Eメール番号」を参照し、これらのEメールアドレスへ「警報データ」を送信する。
【0058】
次いで、ST42では、患者家族端末90及び医療サイト端末100が、それぞれ患者家族端末側通信装置92及び医療サイト端末側通信装置102を用いて、「警報データ」を受信し、出力装置である例えば、患者家族端末側表示装置93及び医療サイト端末側表示装置103に表示する。
これにより、上述の独居高齢者等の患者の家族や担当医師は、患者が透析液の交換ができない状態にあることを迅速に知ることができ、直ちに適切な対応をすることができる。
このように、本実施の形態では、APD機器30での透析液バッグ2の使用に当たり、高齢者等の患者等が直面している具体的な状況に応じたきめ細かい対応(音声ガイド,表示によるガイド等)をすることができる構成となっている。
【0059】
一方、ST15で、APD機器側読取装置31と透析液バッグ端末70の通信チップ72との通信が成功した場合は、ST20へ進む。
ST20では、APD機器30は、透析液バッグ端末70から受信した、当該透析液の種類及び容量データを図3に示すAPD機器側読取データ記憶部37に記憶する。
次いで、ST21へ進む。ST21では、図3のAPD機器側通信装置33が、APD機器側読取データ記憶部37内の当該透析液の種類及び容量データを管理サーバ50へ送信する。
【0060】
次いで、ST22で、管理サーバ50は,図4の透析液バッグ等判断処理部(プログラム)60が動作し、図10の個人データ56aの「透析液」の「種類」及び「容量」を参照し、受信した「当該透析液の種類及び容量データ」と比較し、「当該透析液の種類及び容量データ」が正しいか否か(個人データ56aと一致するか否か)を判断する。
したがって、透析液バッグ等判断処理部(プログラム)60は、透析情報判断部の一例となっている。
【0061】
ST22で、「当該透析液の種類及び容量データ」が、個人データ56aと相違する、すなわち、正しくないと判断された場合は、ST23へ進む。ST23では、管理サーバ50が、当該APD機器30へ「警報」を送信し、当該APD機器側アラーム装置34が「警報」を出力する。
このため、本実施の形態では、患者は自己が使用している透析液バッグ2が、自己の透析液プランと合致していない場合は、その事実を直ちに知ることができる。
【0062】
一方、ST22で、「当該透析液の種類及び容量データ」が、個人データ56aと合致する、すなわち、正しい判断された場合は、ST24へ進む。
ST24では、図4の操作開始時刻処理部(プログラム)61が動作し、図10の個人データ56aの操作開始時刻に現在時刻を登録する。
【0063】
次いで、ST25へ進む。ST25では、透析液の交換が終了したか否かが判断される。具体的には、APD機器30等に配置された流量センサ等で、透析液バッグ2からの透析液の流れを検知しなくなったか否かで判断する。
【0064】
ST25で、APD機器30から透析液の交換が終了したと判断された場合、その旨の信号が管理サーバ50へ送信される。
そして、管理サーバ50は、当該信号の受信時刻を図9の「透析終了時刻」として登録し、併せて、図4の透析操作時間演算処理部(プログラム)62が動作して、透析操作時間を演算し、図10の個人データ56aに「透析操作時間」として登録する。
これにより、管理サーバは、患者の透析液交換時間のデータを得ることができるので、その後の監視体制や製品開発等のデータとして活用することができる。
【0065】
次いで、ST27へ進む。ST27では、図3のAPD機器側操作エラー判断処理部(プログラム)38が動作し、APD機器30における透析液バッグ2交換操作に操作エラーがあったか否かが判断される。
ST28で、操作エラーがあった場合は、そのデータは管理サーバ50へ送信され、図9の個人データ56aに「操作エラー」として登録される。
【0066】
このため,管理サーバ50は、患者が操作エラーし易いデータ等を得ることができ、その後の監視体制や製品開発の資料とすることができる。
【0067】
また、本実施の形態では、APD機器30を例として説明したが、これに限らず、同様にCAPD機器10で動作させることができる。
【符号の説明】
【0068】
1・・・腹膜透析機器管理システム、2・・・透析液バッグ、4・・・中継局、5・・・インターネット網、10・・・CAPD機器、11・・・CAPD機器側読取装置、12・・・CAPD機器制御部、13・・・CAPD機器側通信装置、14・・・CAPD機器側アラーム装置、15・・・CAPD機器側計時装置、16・・・CAPD機器側通信状態判断処理部(プログラム)、17・・・CAPD機器側読取データ記憶部、18・・・CAPD機器側操作エラー判断処理部(プログラム)、19・・・CAPD機器側入力装置、20・・・CAPD機器側表示装置、30・・・APD機器、31・・・APD機器側読取装置、32・・・APD機器制御部、33・・・APD機器側通信装置、34・・・APD機器側アラーム装置、35・・・APD機器側計時装置、39・・・APD機器側入力装置、40・・APD機器側表示装置、50・・・管理サーバ、51・・・管理サーバ側制御部、52・・・管理サーバ側通信装置、53・・・管理サーバ側表示装置、54・・・管理サーバ側計時装置、55・・・管理サーバ側入力装置、56・・・個人データ記憶部、56a・・・個人データ、57・・・現在時刻データ記憶部、58・・・透析プラン検索処理部(プログラム)、59・・・アラーム表示実行処理部(プログラム)、60・・・透析液バッグ等判断処理部(プログラム)、61・・・操作開始時刻処理部(プログラム)、62・・・透析操作時間演算処理部(プログラム)、63・・・操作方法画面表示処理部(プログラム)、64・・・操作画面記憶部、64a・・・一般的説明本体、64b・・・応答案内、65・・・応答信号受信判断処理部(プログラム)、66・・・透析液バッグ在庫数処理部(プログラム)、70・・・透析液バッグ端末、71・・・透析液バッグ端末制御部、72・・・通信チップ、73・・・透析液内容データ記憶部、90・・・患者家族端末、91・・・患者家族端末制御部、92・・・患者家族端末側通信装置、93・・・患者家族端末側表示装置、100・・・医療サイト端末、101・・・医療サイト端末制御部、102・・・医療サイト端末側通信装置、103・・・医療サイト端末側表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、腹膜透析機器を管理する腹膜透析機器管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、腎臓病患者等が自宅で透析を行う際に用いる方法として、腹膜透析方法がある。また、この腹膜透析方法には、患者等が自己で透析液を交換するCAPD(continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis:連続携行式腹膜透析)と、装置が自動的に透析液を交換するAPD(Automated Peritoneal Dialysis:自動腹膜透析)がある。
【0003】
CAPDの場合は、例えば、患者等が自己の身体に装着している腹膜カテーテルに、新しく腹腔内に注入する透析液を収容した透析液バッグと、既に腹腔内に収容されている透析液を排出する際に使用する空のバッグを接続し、重力による落差を利用して腹腔内の透析液の入れ換えを行う方法である。
一方、APDの場合は、自動腹膜透析装置を介して、新しい透析液が収容されている透析液バッグと空のバッグを、患者に装着されている腹膜カテーテルに接続し、プログラムされた透析プラン(透析処方)に基づいて自動腹膜透析装置が自動的に腹腔内の透析液の入れ換えを行う方法である。
しかし、患者等は、高齢者等、特に独居高齢者等が多く、このような高齢者等の場合、自宅でCAPDやAPDで透析をする際、透析液バッグ等を交換することが困難となる場合がある。このため、特許文献1に示すように、その操作方法を表示する自動腹膜透析装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004―49497公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような装置の表示を参照しても、高齢者等の患者等にとって、透析液バッグ等の透析液容器の交換が困難な場合がある。また、患者が独居の場合は、透析液容器の交換の手順の不具合は、そのまま腹膜透析療法の不具合につながりかねないという問題もあった。また、高齢者等の患者等は、介護を受けるために自宅や自宅以外でも腹膜透析を行うことがあるが、腹膜透析を熟知していない者による操作や監視が行われた場合においては、腹膜透析の不具合を回避できないという問題があった。
【0006】
そこで、腹膜透析機器を介して、透析液容器を含む透析用器具を患者に装着されている腹膜カテーテルに接続等するときに、高齢者等の患者等透析操作実施者等が操作手順を間違うことなく、容易に接続等をし易くすることができる腹膜透析機器管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、本発明にあっては、腹膜透析を行うときに使用する腹膜透析機器と、前記腹膜透析機器と通信可能に接続されている腹膜透析機器管理装置と、を有する腹膜透析機器管理システムであって、前記腹膜透析機器には、情報を出力する情報出力部と、入力部と、を有し、前記情報出力部は、操作手順情報を含み、前記操作手順情報は、一般手順情報と、より詳細な手順情報である詳細手順情報とを有し、前記情報出力部が前記一般手順情報を出力した後、前記入力部に前記一般手順情報に対する応答情報が入力されない場合に、前記情報出力部に前記詳細手順情報が出力されることを特徴とする。
【0008】
前記構成によれば、出力される情報である操作手順情報は、一般手順情報と、より詳細な手順情報である詳細手順情報とを有し、情報出力部が一般手順情報を出力した後、入力部に一般手順情報に対する応答情報が入力されない場合に、情報出力部に前記詳細手順情報が出力される。
したがって、独居高齢者等の患者が最初の一般手順情報で、腹膜透析機器を用いて腹膜透析を行う操作手順等を理解できない場合は、自動的にさらに詳細な手順情報が出力されるので、患者はその装着方法を詳細に知ることができる。
【0009】
好ましくは、前記情報出力部は表示部を含み、前記一般手順情報は、文字及び実際に使用する器具を示す図画により前記表示部に表示されることを特徴とする。
従って、患者は操作の一般手順をより詳細に知ることができる。
【0010】
好ましくは、前記詳細手順情報は、文字及び実際に使用する器具を示す図画により前記表示部に表示されることを特徴とする。
従って、操作が不慣れな患者であっても操作の詳細な手順をより詳細に知ることができる。
好ましくは、前記表示部は、カラー液晶又は有機ELであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、腹膜透析機器を用いて家族と同居の患者また独居高齢者等の患者等が腹膜透析の操作手順を行い易くすることができる腹膜透析機器管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】腹膜透析機器管理システムを示す概略図である。
【図2】図1の透析液バッグ端末の主な構成等を示す概略ブロック図である。
【図3】図1のCAPD機器及びAPD機器の主な構成等を示す概略ブロック図である。
【図4】図1の管理サーバの主な構成等を示す概略ブロック図である。
【図5】患者家族端末及び医療サイト端末の主な構成等を示す概略ブロック図である。
【図6】患者の透析プラン等を事前に管理サーバに登録する工程を示す概略フローチャートである。
【図7】腹膜透析監視工程を示す概略フローチャートである。
【図8】腹膜透析監視工程を示す他の概略フローチャートである。
【図9】腹膜透析監視工程を示す他の概略フローチャートである。
【図10】個人データ記憶部に記憶される患者の個人データを示す概略説明図である。
【図11】一般的説明の操作画面例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0014】
図1は、腹膜透析機器管理システム1を示す概略図である。
図1に示すように、腹膜透析機器管理システム1は、独居高齢者等が自宅で使用する腹膜透析機器を有している。
【0015】
ところで、腹膜透析には、患者が自分自身又は家族,ヘルパーによる介助のもとで腹腔内の透析液を交換するCAPD(continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis:連続携行式腹膜透析)と、装置が自動的に透析液を交換するAPD(Automated Peritoneal Dialysis:自動腹膜透析)がある。
CAPDでは、患者の腹膜と連結され、患者側に配置された腹膜カテーテルに対して、例えば、2つのバッグを接続する「ツインバッグシステム」がある。
【0016】
この「ツインバッグシステム」は、透析液の入った透析液容器である例えば、透析液バッグと、排液用の空バッグを一体化して処理する機器である。そして、透析液バッグを患者の腹腔より高い位置に置き、排液用バッグを低い位置に置くことで、透析用チューブを介して重力による落差を利用して、既に腹腔内にある透析液を排液用バッグに出しながら新しい透析液を腹腔内に注液することができる機器となっている。
【0017】
本実施の形態では、APDに用いられる機器として、自動腹膜透析機器があり、本実施の形態では、患者の透析プラン(治療パターン、初期排液量、注液量、貯留時間、最終注液量、最終濃度変更、透析時間、総透析液量、総除水量、サイクル数、初期注液量、タイダール量、タイダール除水量等)が任意に設定入力可能な自動腹膜透析装置30(以下「APD機器」と称す。)を用いて、患者が透析を行うことを例に説明する。
【0018】
また、本実施の形態の腹膜透析機器管理システム1では、これら患者サイト(患者の自宅等)に配置されているCAPD機器10及びAPD機器30と中継局4を介してインターネット網5で通信可能な腹膜透析機器管理装置である例えば、管理サーバ50を有している。
【0019】
したがって、本実施の形態では、管理サーバ50は、CAPD機器10及びAPD機器30を監視可能な構成となっている。
【0020】
また、腹膜透析機器管理システム1は、患者が、自己の腹腔内に貯留されている透析液を交換するために、CAPD機器10やAPD機器30に供される透析液バッグ2を含む透析用セットが用いられる。
【0021】
そして、透析液バッグ2には、透析液バッグ2の透析液データ等の情報を管理すると共に、CAPD機器10やAPD機器30と通信等をすることができる透析液バッグ端末70が配置されている(図1参照)。
【0022】
また、図1に示すように、管理サーバ50は、インターネット網5を介して、患者と同居していない患者家族サイト(患者の家族宅)の端末である患者家族端末90や医療サイト(患者の担当医師等がいる場所)の医療サイト端末100(当該腹膜透析機器と関連する端末の一例)と通信可能となっている。
このため、管理サーバ50は、患者の家族や担当医師に連絡等を行うことができる構成となっている。
【0023】
図1に示すCAPD機器10、APD機器30、管理サーバ50、透析液バッグ端末70、患者家族端末90及び医療サイト端末100は、コンピュータ等を有している。このため、図示しない、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、例えば、バスを介して接続されている。
【0024】
図2は、図1の透析液バッグ端末70の主な構成等を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、透析液バッグ端末70は、透析液バッグ端末制御部71を有し、通信チップ72や透析液内容データ記憶部73等を制御している。
【0025】
この通信チップ71は、無線通信チップであり、後述するCAPD機器10(APD機器30)のCAPD機器側読取装置11(APD機器側読取装置31)が近づくと、これらCAPD読取装置11(APD読取装置31)の電波で、電子回路が駆動し、これらCAPD読取装置11(APD読取装置31)と通信が可能となる構成となっている。
また、透析液内容データ記憶部73には、当該透析液バッグ2内に収容されている透析液の種類及び内容のデータが記憶されている。
【0026】
図3は、図1のCAPD機器10及びAPD機器30の主な構成等を示す概略ブロック図である。
図3に示すCAPD機器10及びAPD機器30の主な構成は共通するため、他方を括弧内で示す。
【0027】
図3では、CAPD機器10(APD機器30)、CAPD機器制御部12(APD機器制御部32)を有すると共に、上述したCAPD読取装置11(APD読取装置31)、図1の管理サーバ50等と通信するためのCAPD(APD)機器側通信装置13(33)、CAPD機器側アラーム装置14(APD機器側アラーム装置34)、CAPD機器側計時装置15(APD機器側計時装置35)、入力部である例えば、CAPD機器側入力装置19(APD機器側入力装置39)及び情報出力部である例えば、CAPD機器側表示装置20(APD機器側表示装置40)を有する。
【0028】
そして、CAPD機器制御部12(APD機器制御部32)が、これらCAPD機器側読取装置11(APD機器側読取装置31)等を制御する構成となっている。
また、CAPD機器制御部12(APD機器制御部32)は、図3に示す他の記憶部や処理部等も制御するが、これらについては後述する。
【0029】
図4は、図1の管理サーバ50の主な構成等を示す概略ブロック図である。
図4に示すように、管理サーバ50は、管理サーバ側制御部51を有すると共に、CAPD機器10及びAPD機器30等と通信するための管理サーバ側通信装置52、各種データを表示する管理サーバ側表示装置53、管理サーバ側計時装置54及び管理サーバ側入力装置55を有している。
そして、管理サーバ側制御部51が、これら管理サーバ側通信装置52等を制御する構成となっている。
また、管理サーバ側制御部51は、図4に示す他の記憶部や処理部等も制御する構成となっているが、これらについては後述する。
【0030】
図5は、患者家族端末90及び医療サイト端末100の主な構成等を示す概略ブロック図である。
図5に示す患者家族端末90と医療サイト端末100の主な構成は共通するため、他方を括弧内で示す。
図5に示すように、患者家族端末90(医療サイト端末100)は、患者家族端末制御部91(医療サイト端末制御部101)を有すると共に、図1の管理サーバ50等と通信するための患者家族端末側通信装置92(医療サイト端末側通信装置102)及び各種データを表示する患者家族端末側表示装置93(医療サイト端末側表示装置103)等を有している。
そして、患者家族端末制御部91(医療サイト端末制御部101)が、患者家族端末側通信装置92(医療サイト端末側通信装置102)及び患者家族端末側表示装置93(医療サイト端末側表示装置103)等を制御する構成となっている。
【0031】
図6至図9は、本実施の形態にかかる腹膜透析機器管理システム1の主な動作等を示す概略フローチャートである。
以下、図6等にフローチャートに沿って、腹膜透析機器管理システム1の動作等を説明すると共に、図1乃至図5等の構成等も併せて説明する。
【0032】
本実施の形態では、病院(医療サイト)の担当医師の処方どおりに腹膜透析を自宅で行う、独居高齢者である患者を例に説明する。この患者は、家族と同居していないため、透析を自分一人で行っている。また、家族は同居していないが、図1に示すように、管理サーバ50を介して患者家族端末90と通信可能であり、担当医師も医療サイト端末100で管理サーバ50と通信可能となっている。
【0033】
先ず、図6の事前登録工程が実行される。
図6は、患者の透析プラン(治療パターン、初期排液量、注液量、貯留時間、最終注液量、最終濃度変更、透析時間、総透析液量、総除水量、サイクル数、初期注液量、タイダール量、タイダール除水量等)等を事前に管理サーバに登録する工程を示す概略フローチャートである。
図6のステップST(以下「ST」と称す。)1に示すように、上述の独居高齢者である患者は、所定のデータを図1の管理サーバ50に登録する。
具体的には、図4の個人データ記憶部56に記憶される。図10は、個人データ記憶部56に記憶される上述の患者の個人データ56aを示す概略説明図である。
【0034】
図10に示すように、患者は、当該患者の識別番号、自宅で使用する透析機器識別番号を登録する。透析機器識別番号は、例えば、患者が図1のCAPD機器10とAPD機器30を使用する場合は、それぞれの識別番号が登録される。これらの識別番号は、管理サーバ50が、CAPD機器10やAPD機器30との間で通信をする際の識別データとなる。なお、患者の透析プラン(治療パターン、初期排液量、注液量、貯留時間、最終注液量、最終濃度変更、透析時間、総透析液量、総除水量、サイクル数、初期注液量、タイダール量、タイダール除水量等)は、APD機器30の入力部でも設定できるようになっている。
【0035】
また、個人データ記憶部56には、図10に示すように、図1の患者家族端末90の連絡先データである例えば、連絡先Eメール番号や、図1の担当医師の医療サイト端末100の連絡先である例えば、担当医Eメール番号が登録される。
【0036】
次いで、ST2で、追加のデータが図1の医療サイト端末100から登録される。
具体的には、上述の患者の透析の処方である例えば、透析液容器関連情報である例えば、透析プラン(透析機器(腹膜透析機器の選択情報)及び透析開始時刻(接続時刻情報の一例))が登録される。
例えば、図10の例では、午前0時及び午前6時に、APD機器30で透析をし、その後、午後12時及び午後6時にCAPD機器10で透析を行うこととしている。
これは、患者が寝ている時は、準備手順や操作手順がやや複雑な自動腹膜透析装置であるAPD機器30で、設定された透析プラン(治療パターン、初期排液量、注液量、貯留時間、最終注液量、最終濃度変更、透析時間、総透析液量、総除水量、サイクル数、初期注液量、タイダール量、タイダール除水量等)に基づいて、自動的に透析を行うと共に、患者が起きているときは、ツインバッグの腹膜透析機器であるCAPD10で透析を行うものである。
【0037】
また、個人データ記憶部56には、透析プランで使用される透析機器で使用される、すなわち、当該透析機器(CAPD機器10やAPD機器30)での使用に供されるべき透析液バッグ2の種類データ及び容量データが登録される。
また、透析液に関しては、その在庫管理のため、患者が現在自宅で保持している透析液バッグ2の数も登録される(透析容器数量情報の一例)。
なお、この透析液バッグ2の在庫については、患者、医師又は家族等が登録することできる構成となっている。
【0038】
以上で、事前登録工程が終了する。次いで、図7乃至図9の腹膜透析監視工程が開始される。図7乃至図9は、腹膜透析監視工程を示す概略フローチャートである。
【0039】
先ず、ST11で、図4の管理サーバ10の管理サーバ側計時装置54が現在時刻データを取得して、図4の現在時刻データ記憶部57に記憶する。
次いで、ST12へ進む。ST12では、図4の透析プラン検索処理部(プログラム)58が動作し、図4の個人データ記憶部56内の図9の個人データ56aの「透析プラン」の「開始時刻」を参照し、該当する時刻データがあるか否かを判断する。
【0040】
次いで、ST12で、該当する時刻データが存在した場合は、ST13へ進む。ST13では、図9の該当する透析プランの開始時刻に対応する透析プランの透析機器の透析機器識別番号、例えば、1234−2(APD機器30)に対して、問い合わせ信号を送信する。
具体的には、図4の管理サーバ側通信装置52を介して、図1のAPD機器30へ送信される。例えば、図10の例では、午前0時及び午前6時に、APD機器(1234−2)30で腹膜透析をし、その後、午後12時及び午後6時にCAPD機器(1234−1)10で腹膜透析を行うこととしている。透析プラン(治療パターン、初期排液量、注液量、貯留時間、最終注液量、最終濃度変更、透析時間、総透析液量、総除水量、サイクル数、初期注液量、タイダール量、タイダール除水量等)は、当該患者の腹膜透析を行うために得られたデータ、たとえば、至適透析指標である尿量,排液量,残腎Kt/V,PD Kt/V(腹膜透析によるKt/V),PET試験に基づくCr D/P(血清中のクレアチニン濃度Pと腹膜透析排液中のクレアチニン濃度Dとの比)に基づき、変更が可能であり、変更の可能/不可能は担当医師が予めプログラムすることができる。
【0041】
次いで、ST14へ進む。ST14では、問い合わせ信号を受信したAPD機器30の図3のAPD機器側読取装置31が動作する。
すなわち、当該時刻は,上述の患者にとって、透析液バッグ2を交換する時刻であり、患者が気づいていれば、図1の透析液バッグ2がAPD機器30での使用に供させる予定となっている。
したがって、APD機器30は、APD機器側読取装置31を起動させることで、透析液バッグ2の透析液バッグ端末70の通信チップ72を介して、図2の透析液容器識別情報である例えば、透析液内容データを取得するように試みることになる。これが、ST15である。
【0042】
ST15では、図3のAPD機器側通信状態判断処理部(プログラム)36が動作し、APD機器側読取装置31が、透析液バッグ端末70の通信チップ72との通信が成功し、透析液の種類及び容量データを取得したか否かが判断される。
すなわち、通信ができれば、透析液バッグ2がAPD機器30での使用に供されたことになり、通信が不可の場合は、透析液バッグ2がAPD機器30での使用に供されていないと判断することができる。
したがって、APD機器側通信状態判断処理部(プログラム)36が接続判断部の一例となっている。
【0043】
ST15で、APD機器側読取装置31と透析液バッグ端末70の通信チップ72との通信が成功しない場合は、ST16へ進む。ST16では、所定時間(例えば60秒)が経過したか否かを判断する。
ST16で,所定時間が経過した場合、すなわち、所定時間経過しても、APD機器30に、透析液バッグ2がAPD機器30での使用に供されていない場合は、APD機器30は、患者が自分で透析を行えない状態にあると判断し、ST31へ進む。
【0044】
ST31では、図4の管理サーバ50の操作方法画面表示処理部(プログラム)63が動作し、図10の個人データ56aの当該透析機器識別番号からCAPD機器10又はAPD機器30であるか否かを特定し、当該機器の一般手順情報(接続手順情報)である例えば、一般的説明の操作方法画面を図4の操作画面記憶部64から取得する。
そして、この一般的説明の操作画面を,当該APD機器30のAPD機器側表示装置40に表示する。
【0045】
図11(a)乃至(c)は、一般的説明の操作画面例を示す概略説明図である。
図11(a)は最初に表示されるべき一般的説明画面例を示し、図11(b)は、(a)の次に出力・表示されるべき情報の1つである、一般的説明画面例を示し、図11(c)は、(b)の次に表示されるべき一般的説明画面例を示す。
すなわち、本実施の形態では、これらの画面が同時にAPD機器側表示装置40に表示されるのではなく、操作順に順番に表示される構成となっており、患者はこの順番通りに操作することで、APD機器30を介して適切に透析液バッグ2,空のバッグと患者に装着されている腹膜カテーテルを接続できるように画面が構成されている。
この表示には、文字表示に加え、好ましくは音声による案内や実際に使用する器具が分かるようなカラーのアニメーションによる案内を行なうことで、より容易に透析準備が行える。
【0046】
また、図11(a)等に示すように、一般的説明画面には、一般的説明本体64aと応答情報である例えば、応答案内64bを含んでいる。
したがって、APD機器側表示装置40には、図11(a)の一般的説明本体64a(腹膜透析液の交換を始める時刻です。)と応答案内64b(はい、始めます)の両方が同時に又は順番に表示される。
ところで、本実施の形態では、図11(a)から(c)に進むにつれて、操作手順が進むように画面が構成されているので、表示される順番は、図11(a)乃至(c)となる。
【0047】
ST31で、図11(a)に示す一般的説明本体64a及び応答案内64b(最初に表示されるべき説明画面)が、APD機器側表示装置40に表示されると、ST32へ進む。ST32では、入力部として表示部の画面に表示されるタッチパネル等での応答信号の入力があったか否かを判断する。
すなわち、図3のAPD機器側入力装置39を操作して、患者が応答案内64aをクリック等すると応答信号が管理サーバ50へ送信されることになる。
そして、管理サーバ50では、図4の応答信号受信判断処理部(プログラム)64が動作し、応答信号を受信したか否かを判断する。
【0048】
ST32で応答信号の受信があった場合は、管理サーバ50は、患者は透析液バッグ2の交換を開始したと判断し、ST33へ進む。
ST33では、応答信号受信判断処理部(プログラム)65が、次の一般的説明の操作画面があるか否かを判断する。
本実施の形態では、上述のように、図11(a)の次に図11(b)の操作画面があるので、ST34で、図11(b)の一般的説明本体64a(腹膜透析液バッグを包装袋から出しましたか?)と応答案内64b(はい、出しました)を、APD機器側表示装置40に表示する。
【0049】
このように、上述のST32及びST33等を実行し、全ての一般的説明の説明画面の表示及び患者による応答案内のクリック等が終了するまで、すなわち、患者による透析液バッグ2の交換が終了するまで、繰り返すことになる。
これにより、独居高齢者等の患者等であって、透析液バッグ2の交換に不慣れな場合でも、その交換方法が具体的に教示されるので、患者は容易に透析液バッグ2の交換(APD機器30への装着)をすることができる。
【0050】
一方、ST33で次の操作画面がない、すなわち、操作が終了した場合は、ST35へ進む。ST35では、図4の管理サーバ50の透析液バッグ在庫数処理部(プログラム)66(透析容器数量情報変更処理部の一例)が動作して、図10の当該個人データ56aの透析液の在庫の減数処理を行う。
これにより、管理サーバ50は、当該患者の透析液バッグ2の在庫数を確実に把握することができ、患者の不注意で透析液バッグ2の在庫がゼロとならないように、患者家族端末90や担当医師の医療サイト端末100にその事実を通知し、対策を講じることができる。
【0051】
また、上述のST32で、患者による応答信号の入力が検出することができないときは、ST36へ進む。ST36では、管理サーバ50は、所定時間(例えば60秒)経過したか否かを判断する。
そして、ST36で所定時間が経過したと判断されたときは、ST37へ進み、出力・表示されるべき情報の1つである、実際の手順を示すアニメーションのような動画や静止画による詳細な説明の操作方法画面を、好ましくは音声とともに当該APD機器30のAPD機器側表示装置40の表示部(好ましくはカラーの液晶表示部又は有機EL)に表示する。
すなわち、ST32で、応答信号の入力がないときは、患者が図11(a)等の応答案内64bをクリック等しない、すなわち、患者が透析液バッグ2のAPD機器30への接続方法が分からない場合が想定される。
そこで、本実施の形態では、当該一般的説明の操作画面より詳細な操作情報であり、詳細手順情報であり、文字及び好ましくは、実際に使用する器具を示す図画を含む説明な説明を、当該APD機器30のAPD機器側表示装置40の表示部(好ましくはカラーの液晶表示部又は有機EL)に表示する。
【0052】
この詳細な説明の操作画面も、一般的説明の操作画面と同じく、図示しない「詳細な説明本体」と対応する「応答案内」を有し、図4の操作画面記憶部64に記憶されている。
具体的には、管理サーバ50の操作方法画面表示処理部(プログラム)63が動作し、図10の個人データ56aの当該透析機器識別番号からCAPD機器10かAPD機器30かを特定し、当該機器の詳細な説明の操作方法画面を図4の操作画面記憶部64から取得する。
そして、この詳細な説明の操作画面を,当該APD機器30のAPD機器側表示装置40(好ましくはカラーの液晶表示部又は有機EL)に表示する。
【0053】
このように、本実施の形態では、最初に示した一般的説明本体64aの一般的説明では、透析液バッグ2のAPD機器30への使用に対して、どのような手順で行なうか分からない患者に対して、より詳細な方法等が詳細な説明で自動的に示される。このため、患者は、透析液バッグ2のAPD機器30での使用をより詳細に知ることができる。
【0054】
次いで、ST38に進む。ST38では、患者が上述の「詳細な説明本体」を読んで、それに対応する「応答案内」の画面をクリック等したか否かを判断する。
ST38で、患者が「応答案内」をクリックした場合は、上述のST32へ進む。すなわち、前の説明画面の詳細な説明本体について、患者がその「応答案内」をクリック等すると、次の操作画面の一般的説明が表示される。
したがって、患者は、透析液バッグ2のAPD機器30での使用に関し、その手順毎に一般的説明が不明な場合は詳細な説明をAPD機器側表示装置40の表示部(好ましくはカラーの液晶表示部又は有機EL)から得ることができる一方、一般的説明で分かる場合は、一般的説明のみが表示されるので、必要な操作情報をその手順毎に効率良く取得することができる構成となっている。
【0055】
一方、ST38で、応答信号の入力がない場合は、ST39へ進む。ST39で所定時間(例えば60秒)が経過したと判断すると、ST40以下へ進む。
すなわち、患者が上述の「詳細な説明本体」に対応する「応答案内」の画面をクリック等せず、一定時間経過した場合は、患者は詳細な説明を読んでも、透析液バッグ2のAPD機器30での使用方法が分からない事態となっていると判断し、ST40へ進む。
【0056】
ST40では、APD機器30は、図3の情報出力部である例えば、APD機器側アラーム装置34を動作させ、警報音等を出力し、患者に注意を喚起すると共に、透析液バッグ2が未装着(透析液交換不可)状態である旨の「警報」データを、管理サーバ50へ送信する。
したがって、患者が一人住まいのため、単に透析時刻を忘れた場合は、この警報音等を聞くことで、透析液バッグ2の交換時刻であることに気が付き、透析液バッグをAPD機器30で使用するための動作を行うことができる。このため、一人住まい(独居)であっても、透析時刻を忘れずに透析液の交換を行うことができる。
【0057】
次いで、ST41では、図4のアラーム表示実行処理部(プログラム)59が動作し、管理サーバ50が、受信した「警報」データに基づき、図10の個人データ56aの「警報履歴」に警報の事実を登録すると共に、図10の個人データ56aの「連絡先Eメール番号」及び「担当医Eメール番号」を参照し、これらのEメールアドレスへ「警報データ」を送信する。
【0058】
次いで、ST42では、患者家族端末90及び医療サイト端末100が、それぞれ患者家族端末側通信装置92及び医療サイト端末側通信装置102を用いて、「警報データ」を受信し、出力装置である例えば、患者家族端末側表示装置93及び医療サイト端末側表示装置103に表示する。
これにより、上述の独居高齢者等の患者の家族や担当医師は、患者が透析液の交換ができない状態にあることを迅速に知ることができ、直ちに適切な対応をすることができる。
このように、本実施の形態では、APD機器30での透析液バッグ2の使用に当たり、高齢者等の患者等が直面している具体的な状況に応じたきめ細かい対応(音声ガイド,表示によるガイド等)をすることができる構成となっている。
【0059】
一方、ST15で、APD機器側読取装置31と透析液バッグ端末70の通信チップ72との通信が成功した場合は、ST20へ進む。
ST20では、APD機器30は、透析液バッグ端末70から受信した、当該透析液の種類及び容量データを図3に示すAPD機器側読取データ記憶部37に記憶する。
次いで、ST21へ進む。ST21では、図3のAPD機器側通信装置33が、APD機器側読取データ記憶部37内の当該透析液の種類及び容量データを管理サーバ50へ送信する。
【0060】
次いで、ST22で、管理サーバ50は,図4の透析液バッグ等判断処理部(プログラム)60が動作し、図10の個人データ56aの「透析液」の「種類」及び「容量」を参照し、受信した「当該透析液の種類及び容量データ」と比較し、「当該透析液の種類及び容量データ」が正しいか否か(個人データ56aと一致するか否か)を判断する。
したがって、透析液バッグ等判断処理部(プログラム)60は、透析情報判断部の一例となっている。
【0061】
ST22で、「当該透析液の種類及び容量データ」が、個人データ56aと相違する、すなわち、正しくないと判断された場合は、ST23へ進む。ST23では、管理サーバ50が、当該APD機器30へ「警報」を送信し、当該APD機器側アラーム装置34が「警報」を出力する。
このため、本実施の形態では、患者は自己が使用している透析液バッグ2が、自己の透析液プランと合致していない場合は、その事実を直ちに知ることができる。
【0062】
一方、ST22で、「当該透析液の種類及び容量データ」が、個人データ56aと合致する、すなわち、正しい判断された場合は、ST24へ進む。
ST24では、図4の操作開始時刻処理部(プログラム)61が動作し、図10の個人データ56aの操作開始時刻に現在時刻を登録する。
【0063】
次いで、ST25へ進む。ST25では、透析液の交換が終了したか否かが判断される。具体的には、APD機器30等に配置された流量センサ等で、透析液バッグ2からの透析液の流れを検知しなくなったか否かで判断する。
【0064】
ST25で、APD機器30から透析液の交換が終了したと判断された場合、その旨の信号が管理サーバ50へ送信される。
そして、管理サーバ50は、当該信号の受信時刻を図9の「透析終了時刻」として登録し、併せて、図4の透析操作時間演算処理部(プログラム)62が動作して、透析操作時間を演算し、図10の個人データ56aに「透析操作時間」として登録する。
これにより、管理サーバは、患者の透析液交換時間のデータを得ることができるので、その後の監視体制や製品開発等のデータとして活用することができる。
【0065】
次いで、ST27へ進む。ST27では、図3のAPD機器側操作エラー判断処理部(プログラム)38が動作し、APD機器30における透析液バッグ2交換操作に操作エラーがあったか否かが判断される。
ST28で、操作エラーがあった場合は、そのデータは管理サーバ50へ送信され、図9の個人データ56aに「操作エラー」として登録される。
【0066】
このため,管理サーバ50は、患者が操作エラーし易いデータ等を得ることができ、その後の監視体制や製品開発の資料とすることができる。
【0067】
また、本実施の形態では、APD機器30を例として説明したが、これに限らず、同様にCAPD機器10で動作させることができる。
【符号の説明】
【0068】
1・・・腹膜透析機器管理システム、2・・・透析液バッグ、4・・・中継局、5・・・インターネット網、10・・・CAPD機器、11・・・CAPD機器側読取装置、12・・・CAPD機器制御部、13・・・CAPD機器側通信装置、14・・・CAPD機器側アラーム装置、15・・・CAPD機器側計時装置、16・・・CAPD機器側通信状態判断処理部(プログラム)、17・・・CAPD機器側読取データ記憶部、18・・・CAPD機器側操作エラー判断処理部(プログラム)、19・・・CAPD機器側入力装置、20・・・CAPD機器側表示装置、30・・・APD機器、31・・・APD機器側読取装置、32・・・APD機器制御部、33・・・APD機器側通信装置、34・・・APD機器側アラーム装置、35・・・APD機器側計時装置、39・・・APD機器側入力装置、40・・APD機器側表示装置、50・・・管理サーバ、51・・・管理サーバ側制御部、52・・・管理サーバ側通信装置、53・・・管理サーバ側表示装置、54・・・管理サーバ側計時装置、55・・・管理サーバ側入力装置、56・・・個人データ記憶部、56a・・・個人データ、57・・・現在時刻データ記憶部、58・・・透析プラン検索処理部(プログラム)、59・・・アラーム表示実行処理部(プログラム)、60・・・透析液バッグ等判断処理部(プログラム)、61・・・操作開始時刻処理部(プログラム)、62・・・透析操作時間演算処理部(プログラム)、63・・・操作方法画面表示処理部(プログラム)、64・・・操作画面記憶部、64a・・・一般的説明本体、64b・・・応答案内、65・・・応答信号受信判断処理部(プログラム)、66・・・透析液バッグ在庫数処理部(プログラム)、70・・・透析液バッグ端末、71・・・透析液バッグ端末制御部、72・・・通信チップ、73・・・透析液内容データ記憶部、90・・・患者家族端末、91・・・患者家族端末制御部、92・・・患者家族端末側通信装置、93・・・患者家族端末側表示装置、100・・・医療サイト端末、101・・・医療サイト端末制御部、102・・・医療サイト端末側通信装置、103・・・医療サイト端末側表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析を行うときに使用する腹膜透析機器と、
前記腹膜透析機器と通信可能に接続されている腹膜透析機器管理装置と、を有する腹膜透析機器管理システムであって、
前記腹膜透析機器には、情報を出力する情報出力部と、入力部と、を有し、
前記情報出力部は、操作手順情報を含み、
前記操作手順情報は、一般手順情報と、より詳細な手順情報である詳細手順情報とを有し、
前記情報出力部が前記一般手順情報を出力した後、前記入力部に前記一般手順情報に対する応答情報が入力されない場合に、前記情報出力部に前記詳細手順情報が出力されることを特徴とする腹膜透析機器管理システム。
【請求項2】
前記情報出力部は表示部を含み、
前記一般手順情報は、文字及び実際に使用する器具を示す図画により前記表示部に表示されることを特徴とする請求項1に記載の腹膜透析機器管理システム。
【請求項3】
前記詳細手順情報は、文字及び実際に使用する器具を示す図画により前記表示部に表示されることを特徴とする請求項1に記載の腹膜透析機器管理システム。
【請求項4】
前記表示部は、カラー液晶又は有機ELであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の腹膜透析機器管理システム。
【請求項1】
腹膜透析を行うときに使用する腹膜透析機器と、
前記腹膜透析機器と通信可能に接続されている腹膜透析機器管理装置と、を有する腹膜透析機器管理システムであって、
前記腹膜透析機器には、情報を出力する情報出力部と、入力部と、を有し、
前記情報出力部は、操作手順情報を含み、
前記操作手順情報は、一般手順情報と、より詳細な手順情報である詳細手順情報とを有し、
前記情報出力部が前記一般手順情報を出力した後、前記入力部に前記一般手順情報に対する応答情報が入力されない場合に、前記情報出力部に前記詳細手順情報が出力されることを特徴とする腹膜透析機器管理システム。
【請求項2】
前記情報出力部は表示部を含み、
前記一般手順情報は、文字及び実際に使用する器具を示す図画により前記表示部に表示されることを特徴とする請求項1に記載の腹膜透析機器管理システム。
【請求項3】
前記詳細手順情報は、文字及び実際に使用する器具を示す図画により前記表示部に表示されることを特徴とする請求項1に記載の腹膜透析機器管理システム。
【請求項4】
前記表示部は、カラー液晶又は有機ELであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の腹膜透析機器管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−223248(P2012−223248A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91364(P2011−91364)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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