説明

腹臥位手術の位置決めのためのダイナミック・フレーム

ダイナミック胴体部位置決め装置(10)は手術台(12)に取り外し可能な方法で取り付けられるフレーム(14)を具備する。患者の胴体部に当てるための複数のパッド(34)が用いられる。手術前に患者の位置決めをする時、または手術中に患者の胸郭にさらに矯正力を加える必要がある場合に、外科医が3次元の操作を行なうことができるように、各々のパッド(34)は個々に3方向に動かすことできるよう、フレーム(14)に各々、調整可能な方法で取り付けることが好ましい。これにより手術台上で患者を安定した位置に保つだけでなく、患者の胴体部の異なる位置に能動的に個々の矯正力を加えることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般として、背中の手術中に患者を最適の腹臥位に保つための位置決め装置に関し、またより詳細には、手術中、いつでも外科医が患者の胴体部に個々の矯正力を加え、調節することを可能にするダイナミック位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(従来技術の説明)
背中の手術において患者の位置決めは配慮を要する重要な問題である。以前は、患者は手術台の上に腹部を押し付けてうつぶせに寝かせられているだけの状態であった。患者を腹臥位置にして胃部を下にして寝かせると、下大静脈に余分の圧力がかかり、出血が増えるということが知られてきた。腹部を懸垂し、自由な状態で患者を腹臥位置に保つことにより失血が抑えられるということがその後わかってきた。
【0003】
腹部を懸垂し、自由な状態で患者を腹臥位に保つために現在、手術室で用いられている装置は、長時間の手術中に骨の隆起部分に褥瘡ができるのを防止し、および/または出血を防ぐために、手術中に手術台上で患者の胴体部を支えることだけを目的とした受動的な装置である。
最もよく使用されている装置はRelton−Hallフレームであり、これは、腸骨稜と鎖骨の下部の上部胸郭との下で支える4本支柱の受動的サポート装置である。Relton−Hallフレームと類似した台は、フォー・ポスト、チェスト・ロール、ジャクソン・テーブルなどと呼ばれる場合もある。このような受動的な装置は、重力の影響のために、脊髄の形状に変化を引き起こす場合があるということが実証されている。また脊柱側弯症の手術中の患者の位置は術後の経過に大きな影響を及ぼす重要な要素であるということが研究により実証されている。
【0004】
脊髄変形の矯正手術中に、最適の矯正を行なうため、外科医は種々の手術器具を用いて脊髄を操作しなければならない。患者の胸郭に矯正力をかけることにより、外科医がこのような矯正のための操作を行うことを能動的に助けることのできる位置決め装置を使用することができれば有用であると考えられる。出願人の知る限りでは、脊髄変形の手術中に、脊髄変形の矯正を能動的に行なうことができる手術台の位置決め装置は現在、存在しない。
【0005】
また現行の位置決め装置では、患者の位置決めパッドを大まかに患者の形態にあわせて調節することができるだけなので、患者の最初の位置決めレベルに限界がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は手術中、手術台上における患者の位置決めを改善することである。
【0007】
またさらに本発明の目的は、手術中に腹臥位置にある患者を支えるための新規の装置を提供することであり、それにより、外科医は患者を最適の位置に保持するために、手術の開始前、および手術中に患者の胴体部の様々な位置に個々の矯正力を加え、調節することを可能にする装置を提供することである。
【0008】
またさらに本発明の目的は、通常用いられている手術台に合わせて取り付けることができる腹臥位置手術位置決め装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては、手術中に手術台上で患者を腹臥位置に支えるための患者位置決め装置を提供し、その装置は手術台に取り付けるフレームと、前記フレームに取り付ける複数の胴体部サポート・モジュールを具備し、前記の複数の胴体部サポート・モジュールの少なくとも1つが少なくとも3度の自由度を有し、さらに前記装置は、前記フレームに対し第1の方向に移動するように調節可能なように前記フレームに取り付けられた第1キャリッジと、前記フレームに対し第2の方向に移動するように前記第1キャリッジに調節可能なように取り付けられた第2キャリッジと、前記フレームに対し第3の方向に移動するように前記第2キャリッジに調節可能なように取り付けられたサポート・パッドとを具備し、それにより前記の複数の胴体部サポートモジュールの少なくとも1つを手術前および手術中に個々に調節することを可能とする。
【0010】
さらに本発明の全般的態様において、手術台上で患者を一定の位置に保つだけでなく、手術前に患者の位置決めを行なう時、または手術中に患者の胸郭に矯正力を加える必要がある場合に、外科医が3次元で操作し、取り外すことのできる複数の矯正パッドを用いることにより、脊髄変形の矯正を能動的に行なうことができる装置を提供する。矯正パッドは手術台上で必要に応じ、追加したり、取り除いたりすることができる。矯正パッドは胴体部の色々な箇所に力を加え、加えられた力は軟組織(皮膚、筋肉など)や肋骨を通じて脊髄に伝えられることにより機能する。
【0011】
またさらに本発明の全般的態様において、手術中に手術台上で患者を腹臥位置に保持する胴体部位置決め装置を提供し、本装置は手術台に取り外し可能なように取り付けられるフレームと、前記フレームに独立に調節可能なように取り付けられる複数の胴体部サポート・パッドを具備し、その3次元操作を可能にするため、胴体部サポート・パッドは、手術前および手術中に、フレームに対して独立した3方向に移動することが可能であり、それにより患者の胴体部の異なる位置に個々に能動的に矯正力をかけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1と図2は、手術中、患者Pを最適の腹臥位置に位置決めし保持するために、標準手術台12(図2)に取り外し可能なように取り付けられる胴体位置決めシステム10を示す。システム10は、脊柱側弯症、脊柱後弯症、前弯性異常などの胸郭部脊髄や腰部脊髄または腰仙骨脊髄変形をもった患者に対する手術のため、脊髄外科医(整形外科医または神経外科医)が用いるのに特に適した装置である。以下の記述より明らかなように、位置決めシステム10は、手術中いつでも、患者の胴体部にかかる力の強さと位置を変化させ、再調節することを可能とする。位置決めシステム10は、手術台上の患者の安定な位置決めと同時に、手術前および手術中に外科医が操作する可動矯正パッドおよびクッションを配置することにより、脊髄変形の矯正を能動的に援助し、胴体部の変形の最適な矯正を可能にする。
【0013】
図1に最も明らかに示されているように、胴体位置決めシステム10は、通常、システム10を種々の手術台に設置するための一般用取り付け構造16を具備する長方形のフレーム14を具備する。フレーム14は、一対の横に延在する端部材20によって間隔をあけて平行に保たれた、一対の縦に延在するレール18を具備する。レール18と端部材20は、ともにボルト止めし、アルミニウムなどの構造材で製作することが好ましい。図1に図示のように、端部材上の様々な位置でレール18を固定することができるように端部材20の上面には、間隔をあけた位置決め穴またはペグ(くぎ)22bが配置されている。これにより、フレーム14を異なった形状に調節し、手術台12上で大きさの異なる患者に合わせ、位置決めを容易に行なうことができる。
【0014】
患者が肥満体の場合、X線カセットC(図4)のスペースを保護するため、レール18の間の端部材20に腹部プレート23を取り付けることができる。プレート23はいつも使用する必要はないため、フレーム14への設置、取り外しを簡単に行なうことができるような形態となっている。例えば、端部材20の上面にプレート23を取り外し可能な方法で取り付けるために、受け用締め具(図示なし)のためにプレート23と端部材20内に定位穴22を設ける。プレート23はレキサンを用いて製作することが好ましいが、それ以外の放射線透過性の材料を用いることもできる。
【0015】
一般用取り付け構造16は、各々の横端部材20の対向する両端に従属する一対の調節可能な固定脚24を具備する。各々の固定脚24は、縦に延在するスロット28の中を摺動動作を行なうようにブラケット26を具備する。各ブラケット26にはちょうネジなどの止めネジ30が設けられており、通常、標準手術台の両側に設置されている縦方向に延在するレール32(図2)にフレーム14を取り外し可能な方法で固定することができる。スロット28内のブラケット26の位置を調節することにより、簡単にフレーム14を手術台12の上で様々な高さに取り付けることができる。
【0016】
図4aに図示のように、フレーム14には、患者Pの胴体部と腹部プレート23(図1)の下のテーブル12の上にX線写真カセットCを挿入し、取り外しができるように十分な間隔が設けられている。
【0017】
図1に図示のように、胴体部位置決めシステム10はさらに、複数の患者位置決めモジュール34(図示の例では2対)を具備する。さらに詳細には図1と図2に図示のように、位置決めモジュール34には、フレーム14に調節可能で、また取り外し可能な方法で取り付けられた1対の骨盤パッド34aと1対の上部胸部パッド34bを具備してもよい。これらのパッド34aおよび34bにより患者の最初の適切な位置を確保することができる。パッド34aおよび34bのみにより、最初にある程度、患者の変形の矯正を行なうことができる。図2に図示のように、患者位置決めモジュール34はさらに、複数の調節可能な矯正パッド34cを具備し、矯正パッド34cは、手術中に外科医が患者Pの脊柱の各側に矯正ロッド(図示なし)を挿入する間に、胸郭および腰部に矯正力を加えるために用いられる。矯正パッド34cは2個のみが図示されているが、パッドは2個に限るものではない。患者の大きさおよび変形のタイプに応じて3個(またはそれ以上)を用いてもよい。骨盤パッドおよび上部胸部パッド34aと34bに対峙して設置される矯正パッド34cは、手術台12の両側に延在するレール32に滅菌シートを介して取り外し可能な方法で取り付けることが好ましい。矯正パッド34cは、必要な場合のみ、すなわち矯正ロッドを移植する直前に、レール32に取り付ける。ロッドの移植が完了すると、矯正パッド34cは通常、手術台12から取り外す。
【0018】
図3に図示のように、フレーム14に取り付けられた各々の患者位置決めモジュール34は、レール18の一方に摺動可能な方法で取り付けられた第1スライダ26と、横に延在するレール40上に摺動可能な方法で取り付けられた第2スライダ38、または第1スライダ36の最上部に固定されたスライドを具備し、これにより第2スライダ38を第1スライダ36の上に乗せることが可能となる。これ以外のタイプのキャリッジを使用することが可能であることは理解される。パッド・サポート構造42は、第2スライダ38の最上部面から縦に延在する円柱形支柱44に摺動可能で、また回転可能な方法で取り付けられる。弾性パッド46はパッド・サポート構造42に取り付けられる。弾性パッド46は、超弾性で粘弾性フォーム(例えばポリウレタンフォームのクッション材やPVCで覆ったシリコン)で製作することが好ましい。円柱形支柱44上でパッド・サポート構造42を所望の高さと所望の角度で、解除可能な方法で固定するため、ロック機構48が設置される。
【0019】
第1スライダ36は、縦方向に延在するレール18の一方に沿って摺動するC型のアルミニウムのスリーブ50として形成することが好ましい。別法としては、ダブテール(蟻継ぎ)スリーブ、タビング、アクメねじまたは線形移動に用いられるすべての機構を用いて構成することもできる。スリーブ50をレール18上に解除可能な方法で固定するために止めネジ51またはその他のロック手段が設置される。第2スライダ38を支えるために適切なデルリン(Delrin)スライドまたはその他のタイプの放射線透過性のレールの形で横方向のレール40が設置される。
【0020】
第2スライダ38は、レール40に摺動可能な方法で取り付けられた放射線透過性のC型のスリーブ54を具備する。スライダ38はデルリンを用いて製作することが好ましい。レール40上にスリーブ54を解除可能な方法で固定するため、止めネジ(これも放射線透過性の材料を用いて製作する)などを設置する。スリーブ54の最上部にサポート・プレート56を取り付ける。サポート・プレート56から上に向かって縦方向に円筒形支柱44が延在する。円筒形支柱44は、管状の底部60と、ネジなどの締め具を用いて管状の底部60に固定されたメイン部62を含む2部構造とすることが好ましい。管状の底部60はアルミニウムで製作することが好ましい。一方、メイン部62はナイロンやPVCなどの放射線透過性の材料で製作する。
【0021】
パッド・サポート構造42には、好適にはアルミニウムで作られ、サポート構造42を支柱44に取り外し可能なように固定するために用いるロック機構48を格納する長方形のボックス型の部分64を具備する。パッド・サポート構造42はさらに弾性パッドの1つを受けるためのボックス型の部分64に取り付けられたパッド受け部66またはクッションを具備する。
【0022】
ロック機構48は、好ましくは「マンフロット(Manfrotto)グリップ」の形態として設置し、ボックス型の部分64内に収容される長方形のハウジング72内で摺動動作を行なうように取り付けられたプラグ70と支柱44の周りに取り付けられた垂直チューブ68を具備する。プラグ70は通常、スプリング73により円筒形支柱44に対して垂直チューブ68の内側に半径方向に偏って設置されている。バネ73の付勢力に対抗してプラグ70を支柱44から遠ざける方向に動かし、それによりパッド・サポート構造42を支柱44に沿ってまたその周りを移動させるために、ハンドルまたはレバー74が、ハウジング72の中を通して横に延在するピボット軸を介してプラグ70に接続される。このようにして、サポート構造42のロックを解除するために、外科医はレバー74をチューブ68の方に手動で回転させるだけで、それにより患者のクッションが支柱44から離れる。外科医がレバー74を放すと、プラグは自動的に支柱44に押し付けられ、パッド・サポート構造42を所定の位置に保持する。
【0023】
垂直チューブ68は、ロッキング・リング80によりベース部76に圧入された上端部78とハウジング72と一体構造をなすベース部76を具備する。ハウジング72、ベース部76およびレバー74は鋳造アルミニウム製とし、一方、上端部78とパッド受け部66はナイロンなどの放射線透過性の材料により製作する。
【0024】
脊柱側弯症の手術に課せられる制限の1つは、脊柱に沿った器具の位置のX線写真による検証である。脊椎、胸郭、骨盤(後前方向(PA)および側面像)の手術中のクリアなX線写真を得るためには、脊椎のX線撮影野から放射線不透性物質を取り除かなければならない。図4aと図4bに図示のように、患者クッション46、レール40、パッド受け部66およびC型スリーブ54に用いる材料は、後前方向図または側面図から脊柱全体がX線で透視できるように十分な広さの放射線透過性の野を確保できるものとする。
【0025】
患者位置決めユニット34の構造部品の放射線不透性の高さは患者の骨盤(図4b)の腸骨稜に制限される。このようにして、ロック機構48、第2スライダ38、およびレール40の下部は、アルミニウムなどの放射線不透性の構造材料で製作し、一方これらの上部パーツ(機械的強度をそれほど要求されない)はポリウレタンやナイロンやPVCなどの放射線透過性の材料で製作することができると、一般的に言うことができる。
【0026】
図1および図4aに図示のように、クッションまたはパッド46は患者の胴体部の全体の曲線に沿うような形状をしている。従来の凸状の患者位置決めクッションと異なり、パッド46は、サポート部分の面積を広くし、それにより患者の胴体部にかかる圧力を適切に分散できるように凹型をしている。パッド自体はプラスチックのベースと背面上にジェルとフォームの異なる層から構成されている。パッド46に圧力センサを一体化することによりリアルタイムでの圧力測定を行なうこともできる。これにより患者の最初の位置決めの間、および手術中に患者の胴体部にかかる圧力の強さを外科医が正確に知ることができる。また別法として、VistaMedical製のような独立した圧力マットなどをパッド46の上に付けることもできる。
【0027】
これまで、肋骨または腰部隆起(脊椎の回転による腰部または胸郭変形および肋骨変形)は、外科医が患者に対して手術器具を操作中に、手動でこぶの部分に力を加えて矯正を行なってきた。矯正力はある一定時間加える必要があり、このような力を手動で加える場合、時間の経過とともに一様でないという難点があった。矯正パッド34cは、患者の胴体部に一定で一様な機械的矯正力を加えるための機械的手段を設けることによりその問題を克服する。
【0028】
図2に図示のように、各々の矯正パッド34cは、C型スライダ84と止めネジ86により手術台12のレール32に連結して留めつけられている。連結されたロッド88、90および92のシステムは、矯正パッド34cの位置を3次元的に調節することができるようにスライダ84により動かされる。矯正パッド34cは最後のロッド92の遠位端に取り付けられる。スリーブおよびクランプネジ配置94は各ロッド88、90および92の間に配置される。クランプネジ96を緩めた後、ロッドは縦方向にスライドし、縦軸の周りに回転し、パッド34cの完全な位置調節を行う。それに対して、反対方向に押す力を加えることにより凸形状を矯正するためパッド34cが適切に位置決めされると、クランプネジ96を締め付けることにより、ロッド88、90および92はもとのロック位置に帰る。ロッド88、90および92を調節可能なように接続するために、種々のタイプのジョイントを使うことができるということがわかる。いかなる場合も、ロッド・システムには少なくとも3度の自由度を持たせ、矯正クッション34cの正しい位置調整を可能とする。矯正クッション34cは患者の背中の所定のターゲット点に矯正力を加えることができるような形状を有する。
【0029】
使用においては、システムを手術台上に置き、固定足24により手術台のサイドレールに32に固定する。その後、現行のRelton−Hallクッションの場合と同じようなやり方で患者をクッション34a、34b上に横たえる。患者の非対称性を明らかにし矯正するため、肩クッションを調節する。手術が開始し、ロッド挿入の直前までは従来どおりのやり方ですすめる。その後、さらに患者の変形を矯正するため、外部肋骨および腰部隆起矯正クッション34cを取り付ける。矯正クッションを用いるかどうかは外科医の判断によるが、予備研究の結果によると、矯正クッションは腰部および肋骨隆起部に同時にあてがわれる。第1、第2ロッドを締め付ける(変形を矯正するため、脊椎に固定するネジまたはフックに挿入するロッド)。肋骨および腰部隆起矯正クッション34cの圧力を緩め、患者を閉じ込める。矯正クッション34cは患者に圧力がかかる時間を減らすために手術中に移植するだけである。
【0030】
上記の記述は例示のためだけにあげたものであり、開示する本発明の範囲を逸脱しないで上記の実施形態に種々の変更を加えることが可能であることは、当業者に理解されるであろう。例えば、システムを完全に放射線透過性とすることもできる。またフレーム全体をカーボンファイバやデルリンなどの強度の高いプラスチック、またはその他の構造的に健全な放射線透過性の材料を用いて製作することもできる。さらにまた本発明の範囲内でのその他の変更は、本発明の検討を踏まえて、当業者には明らかであろうし、又そのような変更は添付の請求項の範囲に含まれることを意図する。
【0031】
その好適な実施形態の説明手段として示す添付図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】手術のため患者を腹臥位置に位置決めするため、標準手術台に取り外し可能なように取り付けられるダイナミック・フレームを含む胴体部位置決めシステムの透視図を示す。
【図2】手術台上にうつむけに横たわっている患者の透視図を示し、患者の胴体部はダイナミック・フレームによりその両側で保持され、その結果、患者の腹部は手術台上でもち上げられて自由になっている。
【図3】図1に図示したシステムの一部を構成する患者位置決め装置の透視図を示す。
【図4A】図1に図示したダイナミック・フレームの1端部の分解正面図であり、フレームの放射線透過性部および放射線不透性部を示す。
【図4B】図1に図示したダイナミック・フレームの1側面の分解側面図であり、フレームの放射線透過性部および放射線不透性部を示す。
【符号の説明】
【0033】
10 胴体位置決めシステム
12 標準手術台
14 長方形のフレーム
16 一般用取り付け構造
18 レール
20 端部材
22 定位穴
22b ペグ
23 腹部プレート
24 固定脚
26 ブラケット
28 スロット
30 止めネジ
32 縦方向に延在するレール
34 パッド
34a 骨盤パッド
34b 上部胸部パッド
34c 矯正パッド
36 第1スライダ
38 第2スライダ
40 横方向のレール
42 パッド・サポート構造
44 円筒形支柱
46 患者クッション
48 ロック機構
50 スリーブ
51 止めネジ
54 スリーブ
56 サポート・プレート
60 管状の底部
62 メイン部
64 ボックス型部分
66 パッド受け部
68 垂直チューブ
70 プラグ
72 ハウジング
73 スプリング
74 レバー
76 ベース部
78 上端部
80 ロッキング・リング
84 C型スライダ
86 止めネジ
88 ロッド
90 ロッド
92 ロッド
94 クランプネジ配置
96 クランプネジ
C X線カセット
P 患者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術中に手術台上で患者を腹臥位に保持するための患者位置決め装置にであって、前記位置決め装置は、手術台に取り付けられるフレームと、前記フレームに取り付けられる複数の胴体部サポート・モジュールを具備し、前記複数の胴体部サポート・モジュールの少なくとも1つは少なくとも3度の自由度を有し、さらに前記位置決め装置は、前記フレームに対して第1の方向に移動するように前記フレームに調節可能なように取り付けられた第1キャリッジと、前記フレームに対して第2の方向に移動するように前記第1キャリッジに調節可能なように取り付けられた第2キャリッジと、前記フレームに対して第3の方向に移動するように前記第2キャリッジに調節可能なように取り付けられたサポート・パッドとを具備し、それにより、前記の複数の胴体部サポート・モジュールの少なくとも1つを、手術前、および手術中に個々に調節することを可能とすることを特徴とする患者位置決め装置
【請求項2】
前記サポート・パッドがパッド・サポート構造に取り付けられ、前記パッド・サポート構造が、前記第2キャリッジから延在する支柱に沿って縦方向に摺動するように取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パッド・サポート構造が前記支柱の周りに回転可能であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記フレームが、横方向に間隔をあけて配置した一対の縦長のレールを具備し、前記第1キャリッジが前記縦長のレールの一方に沿って摺動するように設置され、前記第1キャリッジには、前記第2キャリッジが摺動可能な方法で取り付けられた横方向のレールを有し、垂直の支柱が前記第2キャリッジから延在し、前記サポート・パッドが前記垂直の支柱に沿って摺動可能なパッド・サポート構造に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
後前方向から患者の胴体部に対して一時的に矯正力を加えるため、取り外し可能な方法で手術台上に一対の矯正パッドが取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
各々の矯正パッドが一組の連結されたロッドに取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
解除可能な方法でロッドを固定するため、ロッド間にロックが設置されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、手術台に取り付けられる連結構造に複数の矯正パッドが取り付けられ、患者の変形と反対の方向に患者の胴体部に押す力を加えるため、前記連結構造を色々な位置に固定することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1キャリッジと第2キャリッジを選択した位置で解除できるようにロックするため、前記第1キャリッジと第2キャリッジに止めネジが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
請求項3に記載の装置において、前記パッド・サポート構造が、前記パッド・サポート構造に取り付けられたプラグにより解除できるように前記支柱に沿って色々な高さに固定でき、前記パッド・サポート構造は通常はスプリングにより前記支柱に押し付けられており、且つ前記パッド・サポート構造を前記支柱から離して前記スプリングに対して前記支柱から離れる方向に前記プラグを移動させるために、前記パッド・サポート構造にハンドルが取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項11】
手術中に手術台上で患者を腹臥位置に保持するための胴体部位置決め装置において、前記装置が、取り外し可能な方法で手術台に取り付けられたフレームと、独立して調節可能なように前記フレームに取り付けられた複数の胴体部サポート・パッドとを具備し、胴体部サポート・パッドは、3次元での操作を可能にするため、手術前、および手術中に、フレームに対して独立した3方向に動かすことが可能であり、それにより患者の胴体部の異なる位置に個々の矯正力を能動的に加えることが可能であることを特徴とする胴体部位置決め装置。
【請求項12】
前記胴体部サポート・パッドが前記フレームに対して縦方向と横方向に独立して摺動可能であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
独立してその高さを調整するために、前記胴体部サポート・パッドが、前記フレームに対して縦方向に個々に移動可能であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記胴体部サポート・パッドが前記フレームに対して独立して角度をつけて方向付けが可能であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
全体として患者の胴体部の湾曲部に沿うように、前記胴体部サポート・パッドが凸状の曲線部を有することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
請求項11に記載の装置において、前記胴体部サポート・パッドの各々が、前記フレームに対して第1の方向に移動するように取り付けられた第1キャリッジと、前記フレームに対して第2の方向に移動するように前記第1キャリッジに調節可能なように取り付けられた第2キャリッジと、前記フレームに対して第3の方向に移動するように前記第2キャリッジに調節可能なように取り付けられたパッド・サポート構造とを具備することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記第2キャリッジから延在する支柱に沿って垂直方向に摺動するように前記パッド・サポート構造が取り付けられていることを特徴とする請求項16に記載の装置
【請求項18】
前記パッド・サポート構造が前記支柱の周りを回転可能であることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
請求項16に記載の装置において、前記フレームが少なくとも1本のレールを具備し、且つ前記第1キャリッジが前記レールに沿って摺動するように取り付けられ、前記第1キャリッジには、前記第2キャリッジがその上を摺動するように取り付けられた横方向のレールを有し、第2キャリッジから縦方向の支柱が延在し、前記パッド・サポート構造が前記縦方向の支柱に沿って摺動可能であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項20】
請求項11に記載の装置において、前記装置がさらに、手術台に取り付けられる個々の連結構造に取り付けられた一対の凸形の矯正パッドを具備し、患者の変形と反対の方向に患者の胴体部に押す力を加えるため、前記連結構造が種々の位置に固定可能であることを特徴とする請求項11に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2007−508073(P2007−508073A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534555(P2006−534555)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001839
【国際公開番号】WO2005/034827
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(506130090)エコール・ポリテクニック・ドゥ・モンレアル (2)
【Fターム(参考)】