説明

膜ろ過システム

【課題】逆浸透膜モジュールへ原水を供給する高圧ポンプの動力費を低減させ、トータルのランニングコストを低減できる膜ろ過システムを提供する。
【解決手段】原水槽2と、原水から溶質の一部が除去された一次処理水を収容する第1の処理水槽5と、一次処理水から溶質がさらに除去された二次処理水を収容する第2の処理水槽8と、原水槽から第1の処理水槽までの間に配置され、溶質の除去率が1%〜30%となるように溶質を除去するナノろ過膜モジュール4,41-4nと、原水槽からナノろ過膜モジュールに供給し、ナノろ過膜を透過した一次処理水を第1の処理水槽に送る第1の供給ポンプ3と、第1の処理水槽から第2の処理水槽までの間に配置され、一次処理水から溶質を除去する逆浸透膜モジュール7と、第1の処理水槽から一次処理水を逆浸透膜モジュールに供給し、逆浸透膜を透過した二次処理水を第2の処理水槽に送る第2の供給ポンプ6と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンや塩類などの溶質を含む汽水、海水、地下水又は埋立地浸出水、産業廃水などの水処理に適した膜ろ過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理分野において、イオンや塩類などの溶質を含む汽水、海水、地下水又は埋立地浸出水、産業廃水などをろ過して、生活用水、工業用水、農業用水を得る方法として逆浸透膜モジュールによるろ過が用いられている。
【0003】
逆浸透膜は、通水してイオンや塩類など水以外の不純物を透過しない性質を持つ膜のことで、溶質の濃度に応じた浸透圧以上の圧力をかけることにより水と溶質を分離する。
【0004】
こうした逆浸透膜を用いた膜ろ過システムは、例えば海水のように溶質濃度が高くなるとろ過に必要な圧力が高くなり、逆浸透膜モジュールに水を供給する高圧ポンプを動作させるための動力費が高いという課題がある。
【0005】
こうした課題を解消するために、例えば特許文献1,2,3では、上記の逆浸透膜を用いた逆浸透膜モジュールの前段にナノろ過膜モジュールを設け、イオンや塩類などの溶質を含む汽水、海水、地下水又は埋立地浸出水、産業廃水などをまずナノろ過膜モジュールに供給して、透過水と濃縮水に膜分離し、この透過水を逆浸透膜モジュールに供給して、淡水または清水を得ることを提案している。
【0006】
しかしながら、これらの従来の膜ろ過システムでは、イオンや塩類などの溶質を含む汽水、海水、地下水又は埋立地浸出水、産業廃水などをナノろ過膜モジュールに供給すると、ナノろ過膜が短期間で目詰まりしてしまい、ろ過処理を継続することができず、その目詰まりを解消するために膜洗浄を頻繁に行う必要があった。このため、ろ過処理の運転をしばしば停止しなければならず、処理効率が低下するとともに、ポンプを駆動させるための動力費が増加して、トータルのランニングコストが上昇するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−282855号公報
【特許文献2】特開2003−200161号公報
【特許文献3】特開2008−100219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、ろ過膜の目詰まりを低減するとともに、イオンや塩類などの溶質の一部を除去することにより、逆浸透膜モジュールへ原水を供給する高圧ポンプの動力費を低減させ、トータルのランニングコストを低減することができる膜ろ過システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の膜ろ過システムは、溶質を含む原水を収容する原水槽と、原水から溶質の一部が除去された一次処理水を収容する第1の処理水槽と、前記一次処理水から溶質がさらに除去された二次処理水を収容する第2の処理水槽と、前記原水槽から前記第1の処理水槽までの間に配置され、溶質の除去率が1%以上30%以下となるように原水から溶質を除去するナノろ過膜を有するナノろ過膜モジュールと、前記原水槽から原水を前記ナノろ過膜モジュールに供給し、前記ナノろ過膜に透過させ、前記ナノろ過膜を透過した一次処理水を前記第1の処理水槽に送る第1の供給ポンプと、前記第1の処理水槽から前記第2の処理水槽までの間に配置され、前記一次処理水から溶質を除去する逆浸透膜を有する逆浸透膜モジュールと、前記第1の処理水槽から一次処理水を前記逆浸透膜モジュールに供給し、前記逆浸透膜に透過させ、前記逆浸透膜を透過した二次処理水を前記第2の処理水槽に送る第2の供給ポンプと、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明では、ナノろ過膜モジュールにおいて溶質の除去率が1%以上30%以下になるようにナノろ過膜で溶質を除去する。単一のナノろ過膜における溶質の除去率が30%を超えると、ポンプの負荷が増大するとともに、ろ過膜が目詰まりしやすくなり、ろ過膜を短いサイクルで頻繁に洗浄しなければならず、処理の効率が大幅に低下するからである。ちなみに、ナノろ過膜モジュールおよび逆浸透膜モジュールに通水するためには、膜モジュール入口の溶質濃度に応じた浸透圧以上の動作圧力をかける必要がある。この浸透圧(気圧)をナノろ過膜モジュールの動作圧力と整合するように、溶質の除去率と回収率を決定する。溶質の除去率を高くすることにより、処理水側の溶質濃度を下げると濃縮水側の溶質濃度が高くなるため、結果としてナノろ過膜モジュールの動作圧力が高くなる。これを回避するために、ナノろ過膜モジュールにおける溶質の除去率を30%以下と低く抑え、ナノろ過膜モジュールの動作圧力を低減すると同時に、後段の逆浸透膜モジュールへ供給される溶質濃度も低減させることにより、溶質除去の負荷分散を図り、溶質の除去に必要なトータルの動力が低減される。
【0011】
一方、ナノろ過膜モジュールにおける溶質の除去率が1%未満になると、ナノろ過膜モジュールにおける処理の実効的な効率が低くなりすぎて、後段の逆浸透膜モジュールの負荷を軽減するという目的を達成し難くなる。この場合に、逆浸透膜モジュールの負荷軽減を図るためにナノろ過膜モジュールの数を増やすと、コストが増大化する。
【0012】
本発明においては、ナノろ過膜における溶質の除去率を1%以上10%以下にするとさらに好ましい。溶質の除去率を10%以下にすると、ポンプの負荷がさらに軽減され、動力が低減されるからである。一方、溶質の除去率が10%を超えると、洗浄処理したとしても目詰まりしたナノろ過膜を元の状態まで戻し難くなり、膜質の劣化が進みやすくなることがある。
【0013】
本発明では、複数段のナノろ過膜モジュールを逆浸透膜モジュールの前段に設置することが好ましい(図2〜図8)。複数段のナノろ過膜モジュールを用いて原水から段階的に溶質を除去して溶質濃度を徐々に低減させることにより、各段のナノろ過膜モジュールの負荷が軽減され、ろ過膜に目詰まりを生じ難くなるという利点がある。この場合においても、各段のナノろ過膜モジュールにおける溶質の除去率を1%以上30%以下に、より好ましくは1%以上10%以下に抑える。ちなみに、海水淡水化プラントなどにおいてイオンや塩類などの溶質を高濃度に含む原水(海水)を多量にろ過処理する場合は、許される範囲内でできるだけナノろ過膜モジュールをメンテナンスフリーの状態におくことが望ましい反面、可能な限りろ過膜に目詰まりを生じないことが要求されるため、数千基から数万基にもおよぶ膨大な数のナノろ過膜モジュールを設置して、並行処理やローテーション処理を組み合わせた運転を行なうことにより、個々のろ過膜の負荷を軽減することがなされる。
【0014】
本発明において、逆浸透膜およびナノろ過膜を洗浄する際に所定の頻度で用いられ、常温よりも高い温度の温水を逆浸透膜およびナノろ過膜にそれぞれ供給して洗浄する洗浄手段を有することが好ましい(図4)。このような洗浄手段を用いて適当な頻度で逆浸透膜とナノろ過膜をそれぞれ温水洗浄することにより、ろ過処理効率の低下を防ぎ、ろ過膜の寿命延長を図り、ポンプ負荷を低減することができる。また、化学薬品を使用しない温水洗浄手段を採用することにより、環境負荷が大幅に低減される。
【0015】
本発明において、ナノろ過膜モジュールの前段に、砂充填層を有する砂ろ過器をさらに設置することができる(図5)。また、ナノろ過膜モジュールの前段に、精密ろ過膜モジュールまたは限外ろ過膜モジュールをさらに設置することができる(図6)。さらに、本発明において、ナノろ過膜モジュールの前段に、砂ろ過器と精密ろ過膜モジュールを設置するか、または砂ろ過器と限外ろ過膜モジュールを設置することができる(図7、図8)。
【0016】
本発明において、逆浸透膜およびナノろ過膜、または砂ろ過層および精密ろ過膜、または砂ろ過層および限外ろ過膜をそれぞれ洗浄する際に所定の頻度で用いられ、常温よりも高い温度の温水を逆浸透膜およびナノろ過膜、または砂ろ過層および精密ろ過膜、または砂ろ過層および限外ろ過膜にそれぞれ供給して洗浄する洗浄手段をさらに有することが好ましい(図1、図2、図4〜図8)。これらの複数の異なるろ過手段を組み合わせて用いる場合であっても、それぞれを洗浄手段により温水洗浄することが処理効率の向上、ろ過膜の目詰まり防止、ポンプ負荷の低減を実現する上で効果的である。
【0017】
以下に本願明細書中の用語をそれぞれ定義する。
【0018】
「ナノろ過膜モジュールの除去率」とは、ナノろ過膜モジュールの入口側の溶質濃度C1(mg/l)に対する出口側の溶質濃度C2(mg/l)の減少の割合を百分率で表わした指数をいう。溶質とは例えば汽水、海水、地下水、埋立地浸出水または産業廃水などに溶解している物質をいう。ナノろ過膜モジュールの溶質の除去率R(%)は下式(1)で与えられる。
【0019】
R={1−(C2/C1)}×100 …(1)
「ナノろ過膜モジュールの回収率」とは、ナノろ過膜モジュールの入口側バルブを通過する流量F1に対して出口側バルブを通過する流量F2の割合を百分率で表わした指数をいう。ナノろ過膜モジュールの溶質の回収率K(%)は下式(2)で与えられる。
【0020】
K=(F2/F1)×100 …(2)
「物理洗浄」とは、加圧水をろ過膜に供給し、加圧水の透過圧力(貫通力と衝突力)により膜の表面から付着物を物理的に離脱させる洗浄方法をいう。
【0021】
「温水洗浄」とは、温度が40℃以上の温水をろ過膜に通流させて、ろ過膜の表面から付着物を除去する洗浄方法をいう。温水洗浄は、化学薬品を使用しないため、洗浄後の排水処理が簡単であり、環境負荷が小さいという利点がある。なお、膜表面を温度応答性高分子で処理した機能性中空糸を用いると、温水が接触したときに高分子の鎖がらせん状に収縮して孔が拡径するので、温水洗浄の効果がさらに高まる。
【0022】
「砂ろ過」とは、砂が充填された砂充填層に原水を通過させて原水中の固形分を除去するろ過方法をいう。本発明において、砂ろ過は、ナノろ過膜の前段において、ナノろ過膜の負荷を軽減するために、比較的サイズの大きい固形分を除去する前処理として利用される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、イオンや塩類などの溶質を含む汽水、海水、地下水又は埋立地浸出水、産業廃水、などをろ過する逆浸透膜モジュールの前段に、溶質の一部を除去するナノろ過膜で構成されるナノろ過膜モジュールを設置することにより、ナノろ過膜モジュールの目詰まりを低減するとともに、イオンや塩類などの溶質の一部を除去することにより、逆浸透膜モジュールへ原水を供給する高圧ポンプの動力費を低減させ、トータルのランニングコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る膜ろ過システムを示す構成ブロック図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る膜ろ過システムを示す構成ブロック図。
【図3】(a)は本発明の膜ろ過システムを模式的に示すブロック図、(b)〜(d)は本発明の膜ろ過システムの作用効果を説明するための表図。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る膜ろ過システムを示す構成ブロック図。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る膜ろ過システムを示す構成ブロック図。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る膜ろ過システムを示す構成ブロック図。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る膜ろ過システムを示す構成ブロック図。
【図8】本発明の第7の実施形態に係る膜ろ過システムを示す構成ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して本発明を実施するための種々の形態を説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1を参照して本発明の第1の実施形態に係る膜ろ過システムを説明する。
【0027】
本実施形態の膜ろ過システム1は、上流側から順に原水槽2、第1の供給ポンプ3、ナノろ過膜モジュール4、第1の処理水槽5、第2の供給ポンプ(高圧ポンプ)6、逆浸透膜モジュール7および第2の処理水槽8を備えている。これらの機器2〜8は、主プロセスラインである水配管ラインL1〜L4により直列に接続され、定常運転時において上流側の原水槽2から下流側の第2の処理水槽8に向けて被処理水が間欠的または連続的に送られるようになっている。これらのラインL1〜L4の適所には開閉操作可能なバルブV1,V21,V22,V5,V6,V7がそれぞれ配置され、図示しない制御器により所定のプロセス条件に従って各バルブが所望のタイミングで開閉制御されるようになっている。
【0028】
原水槽2は、図示しない原水供給源からイオンや塩類などの溶質を含む汽水、海水、地下水又は埋立地浸出水、産業廃水などが供給され、原水を所望の時間だけ一時的に滞留させ、固形分を沈殿させる貯留槽である。
【0029】
ナノろ過膜モジュール4は、原水槽2と第1の処理水槽5との間に配置され、原水に含まれる溶質を除去するためのナノろ過膜を内蔵している。ナノろ過膜は平均孔径が逆浸透膜より大きい孔を有する機能性ろ過膜である。ナノろ過膜の使用形態として例えば中空糸膜を束ねた形態でろ過膜モジュール容器のなかに装入して用いられる。ナノろ過膜モジュール4は、原水に多量に含まれる溶質の一部を除去する機能を備えており、後段の逆浸透膜モジュール7の負荷を軽減する役割をもつものである。
【0030】
第1の供給ポンプ3が原水槽2からナノろ過膜モジュール4までをつなぐ原水供給ラインL1に取り付けられている。この第1の供給ポンプ3は、所定のポンプ供給圧力で原水をナノろ過膜モジュール4に供給することにより、ナノろ過膜に対して所望の動作圧力をかけるものである。ポンプ3の供給圧力により原水がナノろ過膜を透過し、溶質の一部が除去された一次処理水が生成される。
【0031】
第1の処理水槽5は、バルブV22を有するラインL2によりナノろ過膜モジュール4の出口側に接続され、ナノろ過膜で溶質の一部が除去された一次処理水を収容するものである。
【0032】
逆浸透膜モジュール7は、第1の処理水槽5と第2の処理水槽8との間に配置され、一次処理水に含まれる溶質を除去するための逆浸透膜を内蔵している。逆浸透膜は、水分子は通すが、水以外の不純物(溶質)は通さない平均孔径2nm未満の孔を有する機能性ろ過膜である。逆浸透膜は溶質の濃度に応じた浸透圧以上の圧力をかけることにより水と溶質とを分離する。逆浸透膜モジュール7は、一次処理水に含まれる溶質をほぼ完全に除去する機能を備えており、淡水を製造する役割をもつものである。
【0033】
第2の処理水槽8は、バルブV7を有するラインL4により逆浸透膜モジュール7の出口側に接続され、逆浸透膜で溶質のほとんど全部が除去された二次処理水(淡水)を収容するものである。
【0034】
第2の供給ポンプ6が第1の処理水槽5から逆浸透膜モジュール7までをつなぐ一次処理水供給ラインL3に取り付けられている。この第2の供給ポンプ6は、所定のポンプ供給圧力で一次処理水を逆浸透膜モジュール7に供給することにより、逆浸透膜に対して所望の動作圧力をかけるものである。第2の供給ポンプ6には例えば往復ポンプ、多段うず巻きポンプなどの高圧ポンプを用いることができる。ポンプ6の供給圧力により一次処理水が逆浸透膜を透過し、溶質がほぼ完全に除去された二次処理水が生成されるようになっている。
【0035】
さらに、膜ろ過システム1は、ナノろ過膜モジュール4と第1の処理水槽5との間に洗浄ポンプ9を備えている。洗浄ポンプ9は、吸込口側がバルブV4を有するラインL5を介して第1の処理水槽5に接続され、吐出口側が3つの分岐ラインL6,L7,L8に接続されている。第1分岐ラインL6は、ナノろ過膜モジュール4の洗浄ラインであり、ナノろ過膜モジュール4の入口側に接続され、開閉バルブV91を有する。第2分岐ラインL8は、ナノろ過膜モジュール4の逆洗浄ラインであり、ナノろ過膜モジュール4の出口側に接続され、開閉バルブV92を有する。第3の分岐ラインL7は、逆浸透膜モジュール7の洗浄ラインであり、逆浸透膜モジュール7の入口側に接続され、開閉バルブV10を有する。
【0036】
次に本実施形態の作用を説明する。
【0037】
ろ過時の操作として、バルブV1,V3,V8,V21,V22,V5,V6,V7を開とし、バルブV3,V8,V91,V92,V10を閉とする。原水は原水槽2からラインL1を通ってポンプ3の駆動によりナノろ過膜モジュール4に供給され、ナノろ過膜モジュール4により処理された処理水が第1の処理水槽5に一時的に貯留された後に、高圧ポンプ6により逆浸透膜モジュール7に供給される。ナノろ過膜モジュール4の回収率Kは、上式(2)に示したようにバルブV21を通過する流量に対してバルブV22を通過する流量で定義される。また、ナノろ過膜モジュール4の除去率Rは、上式(1)に示したように膜モジュール入口の溶質濃度C1に対する膜モジュール出口の溶質濃度C2により与えられる。
【0038】
ナノろ過膜モジュール4の物理洗浄は2通りあり、バルブV21とV22を閉とした状態でバルブV91を開とするか、またはバルブV21とV22を閉とした状態でバルブV92を開として、さらにバルブV4を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はドレインバルブV3を開けてナノろ過膜モジュール4から排出される。前者の洗浄処理において、洗浄水は、処理水槽5→L5→V4→ポンプ9→L6→V91→モジュール4→V3の順に通流してろ過膜を洗浄する。後者の逆洗浄処理では、洗浄水は、処理水槽5→L5→V4→ポンプ9→L8→V92→モジュール4→V3の順に通流してろ過膜を逆洗浄する。
【0039】
逆浸透膜モジュール7の物理洗浄は、バルブV6とV7を閉とし、バルブV10を開とした状態で、洗浄ポンプ9を起動し、ラインL7を介して洗浄水を逆浸透膜モジュール7内に送る。洗浄済みの水はバルブV8を開けてモジュール底部のドレインラインから排出される。逆浸透膜の洗浄処理において、洗浄水は、処理水槽5→L5→V4→ポンプ9→L7→V10→モジュール7→V8の順に通流して逆浸透膜を洗浄する。
【0040】
本実施形態によれば、逆浸透膜モジュールの前段に、溶質の一部を除去するナノろ過膜で構成されるナノろ過膜モジュールを設置することより、ナノろ過膜モジュールの目詰まりを低減するとともに、イオンや塩類などの溶質の一部を除去することにより、逆浸透膜モジュールへ原水を供給する高圧ポンプの動力費を低減させ、トータルのランニングコストを低減することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、図2を参照して第2の実施形態の膜ろ過システムを説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
【0042】
本実施形態の膜ろ過システム1Aは、原水槽2と第1の処理水槽5との間に複数のナノろ過膜モジュール41〜4nを備えている。これら複数のナノろ過膜モジュール41〜4nは、ラインL1〜L2に沿って順次直列に接続されている。ナノろ過膜モジュール41〜4nの各々の入口側および出口側にはバルブV21,V22,・・V2nがそれぞれ設置されている。すなわち、第1段目のモジュール41の入口側はバルブV21を介して第1の供給ポンプ3の吐出側に連通し、第2段目のモジュール42の入口側はバルブV22を介して第1段目のモジュール41の出口側に連通し、第n段目のモジュール4nの入口側はバルブV2n-1を介して第n-1段目のモジュール4n-1の出口側に連通し、第n段目のモジュール4nの出口側はバルブV2nを介して第1の処理水槽5に連通している。
【0043】
さらに、ナノろ過膜モジュール41〜4nの入口側/出口側をつなぐラインには、洗浄ポンプ9を有する洗浄ラインL6から分岐する洗浄/逆洗浄ラインL81〜L8nがそれぞれ接続されている。これらの洗浄/逆洗浄ラインL81〜L8nにはバルブV91,V921〜V92nがそれぞれ取り付けられている。また、ナノろ過膜モジュール41〜4nの各々の底部は、バルブV31〜V3nを有するドレインラインにそれぞれ連通している。
【0044】
本実施形態の作用を説明する。
【0045】
ろ過時はバルブV1,V31〜3n,V8,V21,V22,V5,V6,V7を開とし、バルブV31〜V3n,V8,V91〜V9n,V10を閉とする。原水は供給ポンプ3によりナノろ過膜モジュール41〜4nに供給され、ナノろ過膜モジュール41〜4nによる処理水が高圧ポンプ(第2の供給ポンプ)6により逆浸透膜モジュール7に供給される。ナノろ過膜モジュール41〜4nの回収率Kは、上式(2)に示すようにバルブV21を通過する流量に対してバルブV22を通過する流量で定義される。ナノろ過膜モジュールの除去率Rは、上式(1)に示すように膜モジュール入口の溶質濃度に対する膜モジュール出口の溶質濃度で定義される。ここで、ナノろ過膜モジュールにおける溶質の除去率は、ナノろ過膜の目詰まりを低減するため、1%以上30%以下の範囲にすることが望ましい。溶質除去率が30%を超えると、ナノろ過膜が短期間で目詰まりして連続的な運転に支障を生じるからである。
【0046】
ナノろ過膜モジュール41〜4nおよび逆浸透膜モジュール7に通水するには、当該膜モジュールの入口側の溶質濃度に応じた浸透圧以上の動作圧力をかける必要がある。この浸透圧がナノろ過膜モジュール41〜4nの動作圧力と整合するように、除去率Rと回収率Kを決定する。溶質の除去率Rを高くすることにより、処理水側の溶質濃度を下げると濃縮水側の溶質濃度が高くなるため、結果としてナノろ過膜モジュールの動作圧力が高くなる。これを回避するために、本実施形態ではナノろ過膜モジュールの溶質の除去率を1〜30%と低いレベルに抑え、いわば溶質の粗取りをすることにより、ナノろ過膜モジュール41〜4nの動作圧力を低減するとともに、後段の逆浸透膜モジュール7へ供給される溶質濃度も低減させることで、溶質除去の負荷分散を図り、溶質除去に必要なトータルの動力を低減するようにしている。
【0047】
次に図3を参照して、上記の実施形態に即した仮想の形態として複数のナノろ過膜モジュールと逆浸透膜モジュールとの組合せモデルについて、3つの異なるプロセス条件下でそれぞれコンピュータ・シミュレーションした入力結果1〜3をそれぞれ説明する。
【0048】
ナノろ過膜モジュールの溶質の除去率Rを1〜10%の範囲に設定し、第1段目のナノろ過膜モジュール41へのポンプ供給圧力を15気圧程度を目標値として、2本のナノろ過膜モジュール41,42の後段に1本の逆浸透膜モジュール7を接続して組合せたモデルの例を図3の(a)に示す。測定位置(1)〜(7)はそれぞれ以下に対応している。
【0049】
測定位置(1)→ 第1段目のナノろ過膜モジュール41の入口側
測定位置(2)→ 第1段目のナノろ過膜モジュール41の出口側
測定位置(3)→ 第1段目のナノろ過膜モジュール41の濃縮水出口側
測定位置(4)→ 第2段目のナノろ過膜モジュール42の出口側
測定位置(5)→ 第2段目のナノろ過膜モジュール42の濃縮水出口側
測定位置(6)→ 第3段目の逆浸透膜モジュール7の出口側
測定位置(7)→ 第3段目の逆浸透膜モジュール7の濃縮水出口側
入力結果1において、図3の(b)に示すように、測定位置(1)で原水の塩濃度3.00%、測定位置(2)で第1段目からの一次処理水の塩濃度2.97%、測定位置(4)で第2段目からの一次処理水の塩濃度2.94%、測定位置(6)で第3段目からの二次処理水の塩濃度0.01%であった。ちなみに、各ろ過膜の浸透圧に対応するポンプ供給圧力に関しては、測定位置(3)で12.1気圧のポンプ供給圧力が得られ、測定位置(5)で12.0気圧のポンプ供給圧力が得られ、測定位置(7)で47.2気圧のポンプ供給圧力がそれぞれ得られた。
【0050】
入力結果2において、図3の(c)に示すように、測定位置(1)で原水の塩濃度3.00%、測定位置(2)で第1段目からの一次処理水の塩濃度2.85%、測定位置(4)で第2段目からの一次処理水の塩濃度2.71%、測定位置(6)で第3段目からの二次処理水の塩濃度0.01%であった。ちなみに、各ろ過膜の浸透圧に対応するポンプ供給圧力に関しては、測定位置(3)で12.1気圧のポンプ供給圧力が得られ、測定位置(5)で11.5気圧のポンプ供給圧力が得られ、測定位置(7)で43.5気圧のポンプ供給圧力がそれぞれ得られた。
【0051】
入力結果3において、図3の(d)に示すように、測定位置(1)で原水の塩濃度3.50%、測定位置(2)で第1段目からの一次処理水の塩濃度3.15%、測定位置(4)で第2段目からの一次処理水の塩濃度2.84%、測定位置(6)で第3段目からの二次処理水の塩濃度0.01%であった。ちなみに、各ろ過膜の浸透圧に対応するポンプ供給圧力に関しては、測定位置(3)で14.1気圧のポンプ供給圧力が得られ、測定位置(5)で12.7気圧のポンプ供給圧力が得られ、測定位置(7)で45.5気圧のポンプ供給圧力がそれぞれ得られた。
【0052】
ナノろ過膜モジュール41,42の物理洗浄は2通りあり、バルブV21〜V2nを閉として、バルブV91〜V92n-1を開とするか、またはバルブV21〜V2nを閉として、バルブV92〜V92nを開とし、バルブV4を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はドレインバルブV31〜V3nを通って各モジュールからそれぞれ排出される。逆浸透膜モジュール7の物理洗浄は、バルブV6とV7を閉として、バルブV10を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はドレインバルブV8を通ってモジュール7から排出される。すなわち、ナノろ過膜の洗浄処理において、洗浄水は、処理水槽5→L5→V4→ポンプ9→L6,L81〜L8n-1→V91,V921〜V92n-1→モジュール4〜4n→V31〜V3nの順に通流してろ過膜を洗浄する。また、ナノろ過膜の逆洗浄処理では、洗浄水は、処理水槽5→L5→V4→ポンプ9→L81〜L8n→V921〜V92n→モジュール4〜4n→V31〜V3nの順に通流してろ過膜を逆洗浄する。さらに、逆浸透膜の洗浄処理において、洗浄水は、処理水槽5→L5→V4→ポンプ9→L7→V10→モジュール7→V8の順に通流して逆浸透膜を洗浄する。
【0053】
以下に本実施形態の効果を説明する。
【0054】
図2に示すように、逆浸透膜モジュール7の前段に複数のナノろ過膜モジュール41〜4nを設置することにより、各段のナノろ過膜モジュール41〜4nの負荷を軽減し、各ナノろ過膜の目詰まりを低減するとともに、イオンや塩類などの溶質の一部を除去することにより、逆浸透膜モジュール7へ原水を供給する高圧ポンプ6の動力費を低減させ、トータルのランニングコストを低減することができる。
【0055】
ポンプ動力費の算出方法の概要を説明する。
【0056】
ポンプ動力費は、下式(3)から算出される軸動力および下式(4)から算出される電動機出力から電力量を算出する。式(3)中の予想効率ηはポンプの性能曲線から求める。
【0057】
Ps(kW)=(Q×H)/(3600×η) …(3)
但し、Ps:軸動力、Q:容量(m3/h)、H:全揚程(kPa)、η:予想効率(%)である。
【0058】
Pc=Ps×C …(4)
但し、Pc:ポンプ出力、Ps:計算上必要な軸動力、C:裕度(=5%)である。
【0059】
上記の算出方法を用いてポンプ動力費を算出し、本発明の効果を検証した結果、従来に比べて本発明ではポンプ動力費が大幅にコスト削減できることがわかった。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、図4を参照して第3の実施形態の膜ろ過システムを説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
【0061】
本実施形態の膜ろ過システム1Bは、温水を用いてろ過膜を洗浄するための温水洗浄手段10,11,L12,L13,L15,V11,V12,V15をさらに備えている。温水洗浄手段は、温水槽10、ヒータ11、配管ラインL12,L13,L15および開閉バルブV11,V12,V15を有している。
【0062】
温水槽10は、内部に収容した水を40℃以上に加温するためのヒータ11および温度センサ(図示せず)を有し、温水供給ラインL15に接続されている。温水供給ラインL15は、ナノろ過膜の洗浄/逆洗浄ラインL6,L81〜L8nおよび逆浸透膜の洗浄ラインL7に複数のバルブV15,V91,V92〜V92n,V10を介してそれぞれ連通している。
【0063】
また、温水槽10には、第1処理水槽5からの一次処理水供給ラインL12、第2処理水槽8からの二次処理水供給ラインL13、およびナノろ過膜モジュール41〜4nからの濃縮水ラインL11がそれぞれ接続されている。
【0064】
本実施形態の作用を説明する。
【0065】
ろ過時はバルブV1,V21〜V2n,V31〜3n,V8,V5,V6,V7を開とし、バルブV31〜V3n,V8,V91〜V9n,V10,V11,V12,V13を閉とする。原水は第1供給ポンプ3により複数のナノろ過膜モジュール41〜4nに順次供給され、ナノろ過膜モジュール41〜4nによる一次処理水が高圧ポンプ6により逆浸透膜モジュール7に供給される。ナノろ過膜モジュールの回収率Kは、上式(2)に示すように、バルブV21を通過する流量に対してバルブV22を通過する流量で定義される。ナノろ過膜モジュールの除去率Rは、上式(1)に示すように、膜モジュール入口の溶質濃度に対する膜モジュール出口の溶質濃度で定義される。
【0066】
ナノろ過膜モジュール41〜4nの物理洗浄は2通りあり、バルブV21〜V2nを閉として、バルブV921〜V92nを開とするか、またはバルブV21〜V2nを閉として、バルブV921〜V92nを開として、バルブV4を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はドレインバルブV31〜V3nを介してモジュール41〜4nからそれぞれ排出される。逆浸透膜モジュール7の物理洗浄は、バルブV6とV7を閉として、バルブV10を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はドレインバルブV8を介してモジュール7から排出される。
【0067】
上記の物理洗浄に加えて本実施形態では、バルブV11,V12,V13のうちの少なくとも1つを開けて、第1処理水槽5の一次処理水またはナノろ過膜の濃縮水または第2処理水槽8の二次処理水の一部を、それぞれラインL12,L11,L13を介して温水槽10内へ導入し、ヒータ11で加温し、バルブV15を開けて、洗浄ポンプ9を駆動させ、さらにバルブV91,V921〜V92n,V31〜V3n,V10,V8を開けて、ナノろ過膜モジュール41〜4nおよび/または逆浸透膜モジュール7にそれぞれ温水を供給し、これらに設けられたろ過膜を温水洗浄する。このとき温水の温度は40〜100℃の範囲に調整する。
【0068】
温水洗浄に関しても、通常の物理洗浄と同様に、ナノろ過膜モジュール41〜4nの洗浄は2通りあり、バルブV21〜V2nを閉として、バルブV91,V921〜V92nを開とするか、またはバルブV21〜V2nを閉として、バルブV91,V921〜V92nを開として、バルブV15を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はバルブV31〜V3nを通り、さらにバルブV35を通って排出される。逆浸透膜モジュール7の洗浄は、バルブV6とV7を閉として、バルブV10を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はバルブV8を介してモジュール7から排出される。
【0069】
本実施形態の効果を説明する。
【0070】
本実施形態によれば、逆浸透膜モジュールの前段に、溶質の一部を除去するナノろ過膜で構成されるナノろ過膜モジュールを複数設置するととともに、ナノろ過膜モジュールおよび逆浸透膜モジュールに対して、通常の物理洗浄に定期的な頻度で通常の洗浄水よりも高い温度の水を通水する温水洗浄を組み合わせることより、ナノろ過膜モジュールの目詰まりを低減するとともに、イオンや塩類などの溶質の一部を除去することにより、逆浸透膜モジュールへ原水を供給する高圧ポンプの動力費を低減させ、トータルのランニングコストを低減することができる。
【0071】
(第4の実施形態)
次に、図5を参照して第4の実施形態の膜ろ過システムを説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
【0072】
本実施形態の膜ろ過システム1Cは、原水槽2から第1段目のナノろ過膜モジュール41までの間に、前処理用供給ポンプ12、砂ろ過器13、第1の前処理水槽14および第2の洗浄ポンプ15を備えている。砂ろ過器13は、前処理用供給ポンプ12とバルブV1,V11を有するラインL21を介して原水槽2に接続され、後段の膜ろ過処理前において原水に含まれる固形分(SS等)をあらかじめ除去するための砂充填層を有する。砂ろ過器13の出口はラインL23を介して第1の前処理水槽14に連通し、砂ろ過された前処理水が前処理水槽14に収容されるようになっている。また、前処理水槽14の出口はラインL1を介して第1段目のナノろ過膜モジュール41に連通し、第1供給ポンプ3の駆動により複数のナノろ過膜モジュール41〜4nに前処理水が順次供給されるようになっている。
【0073】
さらに、砂ろ過器13と前処理水槽14との間に逆洗浄ラインL24が設けられ、第2の洗浄ポンプ15の駆動により前処理水槽14からの前処理水が砂ろ過器13内に逆向きに送られて砂充填層が逆洗浄されるようになっている。逆洗浄ラインL24にはバルブV14,V29が設けられている。
【0074】
本実施形態の作用を説明する。
【0075】
ろ過時はバルブV1,V31〜3n,V8,V21〜V2n,V5,V6,V7を開とし、バルブV31〜V3n,V8,V91〜V9n,V10を閉とする。原水はまず、ポンプ12の駆動により砂ろ過器13に供給され、砂ろ過層により固形分および溶質の一部が除去される。前処理水は、砂ろ過器13からラインL23を通って前処理水槽14に送られ、さらにポンプ3の駆動により前処理水槽14からラインL1を通って第1段目のナノろ過膜モジュール41に送られる。そして、前処理水は、多段のナノろ過膜モジュール41〜4nのろ過膜を順次透過することにより溶質が除去された一次処理水となる。一次処理水は、第1の処理水槽5に貯留され、高圧ポンプ6の駆動により逆浸透膜モジュール7に供給され、逆浸透膜を透過することにより溶質の大部分が除去された二次処理水となる。二次処理水は、第2の処理水槽8に貯留され、さらに図示しない後工程の装置に送られる。
【0076】
ナノろ過膜モジュールの回収率Kは、上式(2)に示すようにバルブV21を通過する流量に対してバルブV22を通過する流量で定義される。ナノろ過膜モジュールの除去率Rは、上式(1)に示すように膜モジュール入口の溶質濃度に対する膜モジュール出口の溶質濃度で定義される。
【0077】
ナノろ過膜モジュール41〜4nの物理洗浄は2通りあり、バルブV21〜V2nを閉として、バルブV921〜V92nを開とするか、またはバルブV21〜V2nを閉として、バルブV921〜V92nを開として、バルブV4を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はドレインバルブV31〜V3nを介してモジュール41〜4nからそれぞれ排出される。逆浸透膜モジュール7の物理洗浄は、バルブV6とV7を閉として、バルブV10を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はドレインバルブV8を介してモジュール7から排出される。
【0078】
上記のろ過膜の物理洗浄に加えて本実施形態では、さらに砂ろ過器13の砂ろ過層を物理洗浄する。砂ろ過層を物理洗浄は、ポンプ15の駆動により前処理槽14から逆洗浄ラインL24を介して砂ろ過器13内へ前処理水を逆向きに供給することにより行われる。この逆洗浄操作として、バルブV12とV13を閉とし、バルブV14とV15とV29を開とし、洗浄ポンプ15を起動する。洗浄水はバルブV15を介して砂ろ過器13から排出される。
【0079】
本実施形態の効果を説明する。
【0080】
本実施形態によれば、さらに砂ろ過器をナノろ過膜モジュールの前段に設置することにより、ナノろ過膜モジュールの目詰まりを低減するとともに、イオンや塩類などの溶質の一部を除去することにより、逆浸透膜モジュールへ原水を供給する高圧ポンプの動力費を低減させ、トータルのランニングコストを低減することができる。
【0081】
(第5の実施形態)
次に、図6を参照して第5の実施形態の膜ろ過システムを説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
【0082】
本実施形態の膜ろ過システム1Dは、原水槽2から第1段目のナノろ過膜モジュール41までの間に、前処理用供給ポンプ16、前処理膜モジュールとしてのMF膜モジュール17、第2の前処理水槽18、第3の洗浄ポンプ19およびコンプレッサ20を備えている。MF膜モジュール17は、前処理用供給ポンプ16とバルブV16,V17を有するラインL11を介して原水槽2に接続され、後段の膜ろ過処理前において原水に含まれる固形分(SS等)と溶質の一部をあらかじめ除去するための精密ろ過膜を有している。なお、本実施形態においては、前処理膜モジュール17内に精密ろ過膜を設置しているが、この代わりとして限外ろ過膜(UF膜)を設置するようにしてもよい。精密ろ過膜は、0.01μmより大きい粒子や高分子を捕捉する機能性ろ過膜である。精密ろ過膜は、略してMF膜(マイクロフィルター)と称し、一般的には平均孔径が限外ろ過膜より大きい孔を有する。また、限外ろ過膜は、分子量が数百から数千程度の粒子や高分子を捕捉する平均孔径が2nm以上200nm以下の孔を有する機能性ろ過膜である。限外ろ過膜は、略してUF膜(ウルトラフィルター)と称し、一般的には平均孔径が逆浸透膜より大きく、精密ろ過膜より小さい孔を有する。前処理膜モジュール17の出口はラインL12を介して第2の前処理水槽18に連通し、膜ろ過された前処理水が前処理水槽18に収容されるようになっている。また、前処理水槽18の出口はラインL21を介して第1段目のナノろ過膜モジュール41に連通し、第1供給ポンプ3の駆動により複数のナノろ過膜モジュール41〜4nに前処理水が順次供給されるようになっている。
【0083】
前処理膜モジュール17と前処理水槽18との間にバルブV20を有する逆洗浄ラインL13が設けられ、洗浄ポンプ19の駆動により前処理水槽18からモジュール17に前処理水を供給することによりMF膜が逆洗浄されるようになっている。さらに、コンプレッサ20がエアバルブV21を有するラインを介して前処理膜モジュール17に接続されている。コンプレッサ20は、洗浄時において前処理膜モジュール17内に加圧空気を吹き込み、MF膜を揺動させ、膜表面から付着物を離脱させるものである。
【0084】
本実施形態の作用を説明する。
【0085】
ろ過時はバルブV1,V31〜3n,V8,V21〜V2n,V5,V6,V7を開とし、バルブV31〜V3n,V8,V91〜V9n,V10を閉とする。原水は、ポンプ16の駆動により前処理膜モジュール17に供給され、MF膜を透過するときに固形分と溶質の一部がろ過されて前処理水となり、前処理水槽18に収容される。前処理水は、ポンプ3の駆動により前処理水槽18から第1段目のナノろ過膜モジュール41に送られる。そして、前処理水は、多段のナノろ過膜モジュール41〜4nのろ過膜を順次透過することにより溶質が除去された一次処理水となる。一次処理水は、第1の処理水槽5に貯留され、高圧ポンプ6の駆動により逆浸透膜モジュール7に供給され、逆浸透膜を透過することにより溶質の大部分が除去された二次処理水となる。二次処理水は、第2の処理水槽8に貯留され、さらに図示しない後工程の装置に送られる。
【0086】
ナノろ過膜モジュールの回収率Kは、上式(2)に示すようにバルブV21を通過する流量に対してバルブV22を通過する流量で定義される。ナノろ過膜モジュールの除去率Rは、上式(1)に示すように膜モジュール入口の溶質濃度に対する膜モジュール出口の溶質濃度で定義される。
【0087】
ナノろ過膜モジュール41〜4nの物理洗浄は2通りあり、バルブV21〜V2nを閉として、バルブV91,V92〜V92n-1を開とするか、またはバルブV21とV2nを閉として、バルブV92〜V92nを開として、バルブV4を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はバルブV31〜V3nを介してモジュール41〜4nから排出される。逆浸透膜モジュール7の物理洗浄は、バルブV6とV7を閉として、バルブV10を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はバルブV8を介してモジュール7から排出される。
【0088】
さらに、前処理膜モジュール17の物理洗浄は、バルブV17とV18を閉とし、バルブV19,V20,V30を開とし、ポンプ19を起動する。同時にバルブV21を開とし、コンプレッサ20を起動して、前処理膜モジュール17内に加圧空気を供給してMF膜を揺動させる。これによりMF膜に付着した固形分が効率良く膜表面から離脱し、膜の逆洗浄効果が促進される。洗浄水はバルブV19を介してモジュール17から排出される。
【0089】
本実施形態の効果を説明する。
【0090】
本実施形態によれば、多段のナノろ過膜モジュールの前段にMF膜モジュールまたはUF膜モジュールを設置することより、ナノろ過膜モジュールの目詰まりを低減するとともに、イオンや塩類などの溶質の一部を除去することにより逆浸透膜モジュールの負荷を低減し、逆浸透膜モジュールへ水を供給する高圧ポンプの動力費を低減させ、トータルのランニングコストを低減することができる。
【0091】
(第6の実施形態)
次に、図7を参照して第6の実施形態の膜ろ過システムを説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
【0092】
本実施形態の膜ろ過システム1Eは、上記第4の実施形態のシステム1Cと第5の実施形態のシステム1Dとを組み合わせたものであり、原水槽2から第1段目のナノろ過膜モジュール41までの間に、第1の前処理用供給ポンプ12、砂ろ過器13、第1の前処理水槽14、第2の洗浄ポンプ15、第2の前処理用供給ポンプ16、前処理膜モジュールとしてのMF膜モジュール17、第2の前処理水槽18、第3の洗浄ポンプ19およびコンプレッサ20を備えている。
【0093】
本実施形態の作用を説明する。
【0094】
ろ過時はバルブV1,V31〜3n,V8,V11,V12,V16,V17,V18,V13,V21〜V2n,V5,V6,V7を開とし、バルブV14,V15,V29,V19,V21,V30,V31〜V3n,V8,V91〜V9n,V10を閉とする。原水は、ポンプ12の駆動により砂ろ過器13に供給され、砂ろ過器13でろ過処理された第1前処理水が第1の前処理水槽14に送られ、次いでポンプ16の駆動により第1前処理水がMF膜モジュール17に供給され、MF膜を透過した第2前処理水が第2の前処理槽18に送られる。次いで、ポンプ3の駆動により第2前処理水が第2の前処理槽18から第1段目のナノろ過膜モジュール41に送られる。そして、前処理水は、多段のナノろ過膜モジュール41〜4nのろ過膜を順次透過することにより溶質が除去された一次処理水となる。一次処理水は、第1の処理水槽5に貯留され、高圧ポンプ6の駆動により逆浸透膜モジュール7に供給され、逆浸透膜を透過することにより溶質の大部分が除去された二次処理水となる。二次処理水は、第2の処理水槽8に貯留され、さらに図示しない後工程の装置に送られる。
【0095】
ナノろ過膜モジュールの回収率Kは、上式(2)に示すようにバルブV21を通過する流量に対してバルブV22を通過する流量で定義される。ナノろ過膜モジュールの除去率Rは、上式(1)に示すように膜モジュール入口の溶質濃度に対する膜モジュール出口の溶質濃度で定義される。
【0096】
ナノろ過膜モジュールの物理洗浄は2通りあり、バルブV21〜V2nを閉として、バルブV921〜V92nを開とするか、またはバルブV21〜V2nを閉として、バルブV921〜V92nを開として、バルブV4を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はドレインバルブV31〜V3nを介してモジュール41〜4nからそれぞれ排出される。逆浸透膜モジュール7の物理洗浄は、バルブV6とV7を閉として、バルブV10を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はドレインバルブV8を介してモジュール7から排出される。
【0097】
上記のろ過膜の物理洗浄に加えて本実施形態では、さらに砂ろ過器13の砂ろ過層を物理洗浄する。砂ろ過層を物理洗浄は、ポンプ15の駆動により第1の前処理槽14から逆洗浄ラインL24を介して砂ろ過器13内へ前処理水を逆向きに供給することにより行われる。この逆洗浄操作として、バルブV12とV13を閉とし、バルブV14とV15とV29を開とし、洗浄ポンプ15を起動する。洗浄水はバルブV15を介して砂ろ過器13から排出される。
【0098】
また、本実施形態では、さらに前処理膜モジュール17のろ過膜を物理洗浄する。その洗浄操作は、バルブV17とV18を閉とし、バルブV19,V20,V30を開とし、ポンプ19を起動する。同時にバルブV21を開とし、コンプレッサ20を起動して、前処理膜モジュール17内に加圧空気を供給してMF膜を揺動させる。これによりMF膜に付着した固形分が効率良く膜表面から離脱し、膜の逆洗浄効果が促進される。洗浄水はバルブV19を介してモジュール17から排出される。
【0099】
本実施形態の効果を説明する。
【0100】
本実施形態によれば、多段のナノろ過膜モジュールの前段に砂ろ過器およびMF膜モジュールまたはUF膜モジュールをさらに設置することより、ナノろ過膜モジュールの目詰まりを低減するとともに、イオンや塩類などの溶質の一部を除去することにより、逆浸透膜モジュールへ原水を供給する高圧ポンプの動力費を低減させ、トータルのランニングコストを低減することができる。
【0101】
(第7の実施形態)
次に、図8を参照して第7の実施形態の膜ろ過システムを説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と共通する部分の説明は省略する。
【0102】
本実施形態の膜ろ過システム1Fは、上記第3の実施形態のシステム1Bと第4の実施形態のシステム1Cと第5の実施形態のシステム1Dとを組み合わせたものであり、原水槽2から第1段目のナノろ過膜モジュール41までの間に、第1の前処理用供給ポンプ12、砂ろ過器13、第1の前処理水槽14、第2の洗浄ポンプ15、第2の前処理用供給ポンプ16、前処理膜モジュールとしてのMF膜モジュール17、第2の前処理水槽18、第3の洗浄ポンプ19およびコンプレッサ20を有するとともに、温水洗浄手段10,11,21,L11,L12,L13,L30,L31,L32,L42,L43,V22,V23,V24,V26,V27,V28,V36をさらに備えている。
【0103】
温水洗浄手段は、温水槽10、ヒータ11、ポンプ21、配管ラインL11,L12,L13,L30,L31,L32,L42,L43およびバルブV27,V28等を有している。温水槽10は、内部に収容した水を40℃以上に加温するためのヒータ11および温度センサ(図示せず)を備え、第1及び第2の温水供給ラインL30,L34に接続されている。第1の温水供給ラインL30は、砂ろ過層の逆洗浄ラインL31,L24および前処理膜(MF膜またはUF膜)の洗浄ラインL32に複数のバルブを介してそれぞれ連通している。第2の温水供給ラインL34は、ナノろ過膜の洗浄/逆洗浄ラインL6,L81〜L8nおよび逆浸透膜の洗浄ラインL7に複数のバルブを介してそれぞれ連通している。
【0104】
また、温水槽10には、第1前処理水槽14からのラインL42、第2前処理水槽18からのラインL43、第1処理水槽5からの一次処理水供給ラインL12、第2処理水槽8からの二次処理水供給ラインL13、およびナノろ過膜モジュール41〜4nからの洗浄排水ラインL11がそれぞれ接続されている。
【0105】
本実施形態の作用を説明する。
【0106】
ろ過時はバルブV1,V31〜3n,V8,V11,V12,V16,V17,V18,V13,V21〜V2n,V5,V6,V7を開とし、バルブV14,V15,V29,V19,V21,V30,V31〜V3n,V8,V91〜V9n,V10,V22,V23,V24,V26,V36,V27,V28を閉とする。原水は、ポンプ12の駆動により砂ろ過器13に供給され、砂ろ過器13でろ過処理された第1前処理水が第1の前処理水槽14に送られ、次いでポンプ16の駆動により第1前処理水がMF膜モジュール17に供給され、MF膜を透過した第2前処理水が第2の前処理槽18に送られる。次いで、ポンプ3の駆動により第2前処理水が第2の前処理槽18から第1段目のナノろ過膜モジュール41に送られる。そして、前処理水は、多段のナノろ過膜モジュール41〜4nのろ過膜を順次透過することにより溶質が除去された一次処理水となる。一次処理水は、第1の処理水槽5に貯留され、高圧ポンプ6の駆動により逆浸透膜モジュール7に供給され、逆浸透膜を透過することにより溶質の大部分が除去された二次処理水となる。二次処理水は、第2の処理水槽8に貯留され、さらに図示しない後工程の装置に送られる。
【0107】
ナノろ過膜モジュールの回収率Kは、上式(2)に示すようにバルブV21を通過する流量に対してバルブV22を通過する流量で定義される。ナノろ過膜モジュールの除去率Rは、上式(1)に示すように膜モジュール入口の溶質濃度に対する膜モジュール出口の溶質濃度で定義される。
【0108】
ナノろ過膜モジュールの物理洗浄は2通りあり、バルブV21〜V2nを閉として、バルブV921〜V92nを開とするか、またはバルブV21〜V2nを閉として、バルブV921〜V92nを開として、バルブV4を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はドレインバルブV31〜V3nを介してモジュール41〜4nからそれぞれ排出される。逆浸透膜モジュール7の物理洗浄は、バルブV6とV7を閉として、バルブV10を開とし、洗浄ポンプ9を起動する。洗浄水はドレインバルブV8を介してモジュール7から排出される。さらに、本実施形態では、バルブV28を開け、ポンプ9を起動させ、温水槽10からライン34を介してナノろ過膜の洗浄/逆洗浄ラインL6に温水を注入する。温水の温度は40〜100℃とする。
【0109】
上記のろ過膜の物理洗浄に加えて本実施形態では、さらに砂ろ過器13の砂ろ過層を物理洗浄する。砂ろ過層を物理洗浄は、ポンプ15の駆動により第1の前処理槽14から逆洗浄ラインL24を介して砂ろ過器13内へ前処理水を逆向きに供給することにより行われる。この逆洗浄操作として、バルブV12とV13を閉とし、バルブV14とV15とV29を開とし、洗浄ポンプ15を起動する。洗浄水はバルブV15を介して砂ろ過器13から排出される。さらに、本実施形態では、バルブV27,V31を開け、ポンプ21を起動させ、温水槽10からライン30,L31を介して砂ろ過層逆洗浄ラインL24に温水を注入する。温水の温度は40〜100℃とする。
【0110】
また、本実施形態では、さらに前処理膜モジュール17のろ過膜を物理洗浄する。その洗浄操作は、バルブV17とV18を閉とし、バルブV19,V20,V30を開とし、ポンプ19を起動する。同時にバルブV21を開とし、コンプレッサ20を起動して、前処理膜モジュール17内に加圧空気を供給してMF膜を揺動させる。これによりMF膜に付着した固形分が効率良く膜表面から離脱し、膜の逆洗浄効果が促進される。洗浄水はバルブV19を介してモジュール17から排出される。さらに、本実施形態では、バルブV27,V31を開け、ポンプ21を起動させ、温水槽10からライン30,L32を介して前処理膜モジュール17の逆洗浄ラインL13に温水を注入する。温水の温度は40〜100℃とする。
【0111】
本実施形態の効果を説明する。
【0112】
本実施形態によれば、逆浸透膜モジュールの前段に、溶質の一部を除去するナノろ過膜で構成されるナノろ過膜モジュールを複数設置し、さらに、ナノろ過膜モジュールの前段に砂ろ過器およびMF膜モジュールまたはUF膜モジュールを設置するとともに、砂ろ過器、およびMF膜モジュールまたはUF膜モジュール、およびナノろ過膜モジュール、および逆浸透膜モジュールに対して、通常の物理洗浄に定期的な頻度で通常の洗浄水よりも高い温度の水を通水する温水洗浄を組み合わせることより、ナノろ過膜モジュールの目詰まりを低減するとともに、イオンや塩類などの溶質の一部を除去することにより、逆浸透膜モジュールへ原水を供給する高圧ポンプの動力費を低減させ、トータルのランニングコストを低減することができる。
【符号の説明】
【0113】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F…膜ろ過システム、
2…原水槽、
3…第1の供給ポンプ、
4,41〜4n…ナノろ過膜モジュール、
5…第1の処理水槽、
6…第2の供給ポンプ(高圧ポンプ)、
7…逆浸透膜モジュール、
8…第2の処理水槽、
9…洗浄ポンプ(第1の洗浄ポンプ)、
10…温水槽、11…ヒータ、
12…前処理用供給ポンプ、
13…砂ろ過器(砂ろ過層)、
14…第1の前処理水槽、15…第2の洗浄ポンプ、16…前処理用供給ポンプ、
17…前処理膜モジュール(MF膜モジュールまたはUF膜モジュール)、
18…第2の前処理水槽、19…第3の洗浄ポンプ、20…コンプレッサ、
21…第4の洗浄ポンプ、
V1,V21〜V2n,V3,V31〜V3n,V4〜V8,V91〜V9n…バルブ、
L1〜L7,L8,L81〜L8n…ライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶質を含む原水を収容する原水槽と、
原水から溶質の一部が除去された一次処理水を収容する第1の処理水槽と、
前記一次処理水から溶質がさらに除去された二次処理水を収容する第2の処理水槽と、
前記原水槽から前記第1の処理水槽までの間に配置され、溶質の除去率が1%以上30%以下となるように原水から溶質を除去するナノろ過膜を有するナノろ過膜モジュールと、
前記原水槽から原水を前記ナノろ過膜モジュールに供給し、前記ナノろ過膜に透過させ、前記ナノろ過膜を透過した一次処理水を前記第1の処理水槽に送る第1の供給ポンプと、
前記第1の処理水槽から前記第2の処理水槽までの間に配置され、前記一次処理水から溶質を除去する逆浸透膜を有する逆浸透膜モジュールと、
前記第1の処理水槽から一次処理水を前記逆浸透膜モジュールに供給し、前記逆浸透膜に透過させ、前記逆浸透膜を透過した二次処理水を前記第2の処理水槽に送る第2の供給ポンプと、
を有することを特徴とする膜ろ過システム。
【請求項2】
前記ナノろ過膜モジュールにおける溶質の除去率を1%以上10%以下とすることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載の膜ろ過システム。
【請求項3】
複数段の前記ナノろ過膜モジュールを前記逆浸透膜モジュールの前段に設置することを特徴とする請求項1記載の膜ろ過システム。
【請求項4】
前記逆浸透膜および前記ナノろ過膜を洗浄する際に所定の頻度で用いられ、常温よりも高い温度の温水を前記逆浸透膜および前記ナノろ過膜にそれぞれ供給して洗浄する洗浄手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の膜ろ過システム。
【請求項5】
前記ナノろ過膜モジュールの前段に、砂充填層を有する砂ろ過器をさらに設置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の膜ろ過システム。
【請求項6】
前記ナノろ過膜モジュールの前段に、精密ろ過膜モジュールまたは限外ろ過膜モジュールをさらに設置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の膜ろ過システム
【請求項7】
前記ナノろ過膜モジュールの前段に、砂ろ過器と精密ろ過膜モジュールを設置するか、または砂ろ過器と限外ろ過膜モジュールを設置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の膜ろ過システム
【請求項8】
前記逆浸透膜および前記ナノろ過膜、または前記砂ろ過層および前記精密ろ過膜、または前記砂ろ過層および前記限外ろ過膜をそれぞれ洗浄する際に所定の頻度で用いられ、常温よりも高い温度の温水を前記逆浸透膜および前記ナノろ過膜、または前記砂ろ過層および前記精密ろ過膜、または前記砂ろ過層および前記限外ろ過膜にそれぞれ供給して洗浄する洗浄手段をさらに有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の膜ろ過システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−56412(P2011−56412A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209524(P2009−209524)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】