説明

膜分離装置

【課題】各濾過ユニットにおいて均一な洗浄効果を得ることができる膜分離装置を提供すること。
【解決手段】濾過ユニット1,2,3を複数段備え、隣接する濾過ユニット1,2,3同士を連結配管4,5で連結し、前段の濾過ユニット1(2)の濃縮水を前記連結配管4(5)を経て後段の濾過ユニット2(3)へ原水として導くよう構成された膜分離装置において、前記各濾過ユニット1,2,3を、その内部での原水の流れ方向が上下方向となるよう配置するとともに、全濾過ユニット1,2,3において原水の流れ方向が上下方向において同じになるよう前記連結配管4,5を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数段の濾過ユニットと各濾過ユニットを洗浄する洗浄手段を備えた膜分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6に従来の膜分離装置の基本構成を示すが、図示の膜分離装置は、2段の濾過ユニット1’,2’を備え、前段の濾過ユニット1’からの濃縮水を連結配管3’によって後段の濾過ユニット2’の原水として利用するよう構成されている(特許文献1参照)。ここで、各濾過ユニット1’,2’は、スパイラル型モジュール4’を円筒状の耐圧容器5’内に同軸的に収容して構成されており、膜モジュール4’の軸線方向が上下となるよう配置されている。尚、図示例では、各集水管6’の透過水取入口が各濾過ユニット1’,2’の上端側になるよう配置されている。
【0003】
而して、原水は、原水ポンプ7’によって原水供給管8’から前段の濾過ユニット1’の下端に導入され、該濾過ユニット1’の膜モジュール4’によって膜分離処理を受け、透過水は、集水管6’内に流入し、配管9’,10’を経て取り出される。
【0004】
他方、濃縮水は、濾過ユニット1’,2’の上部同士を連結している前記連結配管3’を通って後段の濾過ユニット2’の上端側に導入され、該濾過ユニット2’の膜モジュール4’によって膜分離処理を受ける。そして、この後段の濾過ユニット2’においては、透過水は、集水管6’から配管11’及び透過水取出用配管10’を経て取り出され、濃縮水は、濾過ユニット2’の下端に接続された濃縮水取出用配管12’から排出される。
【0005】
ところで、前記連結配管3’には洗浄流体供給用の配管13’が接続されており、この配管13’には、空気供給用配管14’と洗浄水供給用配管15’及び洗浄薬液供給用配管16’が接続されており、これらの配管14’,15’,16’には開閉弁V1’,V2’,V3’がそれぞれ設けられている。
【0006】
他方、原水供給管8’からは洗浄流体排出用の配管17’が分岐しており、この配管17’には開閉弁V4’が設けられている。又、後段の濾過ユニット2’から延出する濃縮水排出用配管12’からは洗浄廃流体排出用の配管18’が分岐しており、この配管18’の途中には開閉弁V5’が設けられている。
【0007】
而して、以上の構成を有する膜分離装置においては、原水中に含まれる懸濁物質(SS成分)が通水運転時間の経過と共に各濾過ユニット1’,2’の膜エレメント4’に付着してその分離性能の低下等を招くため、水フラッシング、薬液洗浄、空気洗浄等によって各膜エレメントが定期的に又は随時に洗浄される。
【0008】
即ち、洗浄に際しては、開閉弁V1’,V2’,V3’の何れか1つ又は2つ以上が開かれるとともに、開閉弁V4’,V5’が開かれ、洗浄空気、洗浄水、洗浄薬液の1又は2以上が配管13’から連結配管3’を経て各濾過ユニット1’,2’に供給されて各膜エレメント4’の洗浄に供された後、配管17’,18’から排出される。
【特許文献1】特開2001−259381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記従来の膜分離装置においては、縦型に配置した前後2段の濾過ユニット1’,2’の上端側同士を連結配管3’で連結する構成が採用されているため、膜分離処理時の濾過ユニット1’,2’での原水の流れ方向が互いに逆方向となる。
【0010】
従って、原水に含まれる粗大な濁質により前段の濾過ユニット1’の入口端面で詰まりが発生するような場合には、前後段の濾過ユニット1’,2’において詰まりが発生する箇所が上下逆となる。このため、各濾過ユニット1’,2’に対して同一方向(図6では上方から下方)に洗浄流体を流すと、両濾過ユニット1’,2’で均一な洗浄効果を得ることができない。特に、洗浄流体として洗浄ガスを併用する場合には、ガスの粘性が水の粘性よりも低いことに起因して片流れ等の偏流が生じ易く、両濾過ユニット1’,2’で均一な洗浄効果を得ることが益々困難となる。
【0011】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、各濾過ユニットにおいて均一な洗浄効果を得ることができる膜分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、濾過ユニットを複数段備え、隣接する濾過ユニット同士を連結配管で連結し、前段の濾過ユニットの濃縮水を前記連結配管を経て後段の濾過ユニットへ原水として導くよう構成された膜分離装置において、
前記各濾過ユニットを、その内部での原水の流れ方向が上下方向となるよう配置するとともに、全濾過ユニットにおいて原水の流れ方向が上下方向において同じになるよう前記連結配管を接続したことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記各濾過ユニットに洗浄流体を導入するための洗浄流体供給管と、各濾過ユニットの洗浄に供された洗浄廃流体を各濾過ユニットから系外に排出するための洗浄廃流体排出管を各濾過ユニット毎に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、全濾過ユニットにおいて原水の流れ方向が上下方向において同じとなるため、各濾過ユニットにおいて被処理水中に含まれる濁質等を原因とする詰まりが発生する箇所が上下同じとなり、従来のように上下逆となるようなことがなく、従って、連結配管を経て各濾過ユニットを同じ方向に流れる洗浄水によって各濾過ユニットが各々洗浄され、その洗浄効果が各濾過ユニットについて均一となる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、各濾過ユニットに洗浄流体を導入するための洗浄流体供給管と、各濾過ユニットの洗浄に供された洗浄廃流体を各濾過ユニットから系外に排出するための洗浄廃流体排出管を各濾過ユニット毎に設けたため、洗浄を各濾過ユニット毎に効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
[膜分離装置の構成]
図1は本発明に係る膜分離装置の基本構成図であり、図示の膜分離装置は、3段の濾過ユニット1,2,3を備え、第1段(最前段)の濾過ユニット1からの濃縮水を連結配管4によって第2段の濾過ユニット2の原水として利用し、第2段の濾過ユニット2からの濃縮水を連結配管5によって第3段(最後段)の濾過ユニット3の原水として利用するよう構成されている。
【0017】
上記各濾過ユニット1,2,3は、内部が分離膜6によって一次側の給水室S1と二次側の透過水室S2とに区画されており、第1段の濾過ユニット1の給水室S1の下部には原水供給管7が接続され、該原水供給管7には原水ポンプ8が設けられている。
【0018】
而して、各濾過ユニット1,2,3は、その内部での原水(濃縮水)の流れ方向が上下方向となるよう配置され、全濾過ユニット1,2,3において原水(濃縮水)の流れ方向が上下方向において同じになるよう前記連結配管4,5が接続されている。即ち、各濾過ユニット1,2,3は、下端側が入口側、上端側が出口側となるよう配置されており、第1段の濾過ユニット1の給水室S1の上部(出口)からは連結配管4が導出しており、この連結配管4は、第2段の濾過ユニット2の給水室S1の下部(入口)に接続されている。尚、第1段の濾過ユニット1の透過水室S2からは透過水配管9が導出している。
【0019】
又、第2段の濾過ユニット2においては、給水室S1の上部(出口)からは連結配管5が導出しており、この連結配管5は、第3段の濾過ユニット3の給水室S1の下部(入口)に接続されている。尚、透過水室S2からは透過水配管10が導出している。
【0020】
更に、第3の濾過ユニット3おいては、給水室S1の上部(出口)からは排水管12が導出しており、この排水管12の途中には開閉弁V2が設けられている。尚、透過水室S2からは透過水配管11が導出している。
【0021】
ここで、各濾過ユニット1,2,3の透過水室S2からそれぞれ導出する透過水配管9,10,11は1本の透過水配管14に合流しており、この透過水配管14の透過水配管11合流点よりも下流側には開閉弁V1が設けられている。
【0022】
又、前記連結配管4,5及び排水管12からは分岐管15,16,17がそれぞれ分岐しており、これらの分岐管15,16,17は、洗浄廃流体排出管としての1本の洗浄廃水管18に合流している。そして、各分岐管15,16,17には開閉弁V3,V4,V5がそれぞれ設けられいる。
【0023】
尚、各濾過ユニット1,2,3の形式は特に限定されず、中空糸、管状、スパイラル形式等の任意のものを使用することができる。又、分離膜6の種類も特に限定されず、MF膜(精密濾過膜)、UF膜(限外濾過膜)、NF膜(ナノ濾過膜)、RO膜(逆浸透膜)等の任意のものを使用することができる。
【0024】
而して、以上説明した原水供給管7と原水ポンプ8及び連結配管4,5は、洗浄水を第1段の濾過ユニット1から第2の濾過ユニット2、第3の濾過ユニット3へと順次供給する洗浄水供給手段を構成している。又、前記分岐管15,16,17と洗浄廃水管18、排水管12及び開閉弁V3,V4,V5は、各濾過ユニット1,2,3の洗浄に供された洗浄水と洗浄空気を洗浄廃流体として各濾過ユニット1,2,3から排出する洗浄廃水排出手段を構成している。
【0025】
他方、不図示の洗浄空気供給源から延びる洗浄ガス供給管としての洗浄空気管19からは3つ分岐管20,21,22が分岐しており、図示のように、分岐管20は原水供給管7に接続され、分岐管21,22は、連結配管4,5にそれぞれ接続されている。そして、各分岐管20,21,22には開閉弁V6,V7,V8がそれぞれ設けられている。
【0026】
而して、上記洗浄空気管19と、分岐管20,21,22及び開閉弁V6,V7,V8は、各濾過ユニット1,2,3に洗浄空気を供給する洗浄ガス供給手段を構成している。
【0027】
尚、洗浄水供給配管が別途必要となるが、洗浄ガス供給管と同様に、各濾過ユニット1,2,3に洗浄水を供給するための手段を設けても良い。
[膜分離処理]
次に、以上の構成を有する膜分離装置において実施される原水の膜分離処理を図2に基づいて説明する。尚、図2に示す開閉弁V1〜V8の白抜き表示は「開」を示し、黒塗り表示は「閉」を示す。
【0028】
膜分離処理時には、図2に示すように、開閉弁V1とV2を開とし、他の全ての開閉弁V3〜V8を閉とした上で、原水ポンプ8を駆動する。
【0029】
すると、原水が原水供給管7から第1段の濾過ユニット1へと導入されて該濾過ユニット1内を上方へ向かって流れ、その過程で分離膜6によって膜分離処理を受ける。そして、透過水は、透過水室S2から透過水配管9,14を経て取り出され、濃縮水は、給水室S1から連結配管4を通って第2段の濾過ユニット2に導入されて該濾過ユニット2の原水として利用される。即ち、第1段の濾過ユニット1からの濃縮水は、連結配管4から第2段の濾過ユニット2へと導入されて該濾過ユニット2内を上方へ向かって流れ、その過程で分離膜6によって膜分離処理を受ける。そして、透過水は、透過水室S2から透過水配管10,14を経て取り出され、濃縮水は、給水室S1から連結配管5を通って第3段の濾過ユニット3に導入されて該濾過ユニット3の原水として利用される。
【0030】
そして、第2段の濾過ユニット2からの濃縮水は、連結配管5から第3段の濾過ユニット3へと導入されて該濾過ユニット3内を上方へ向かって流れ、その過程で分離膜6によって膜分離処理を受ける。そして、透過水は、透過水室S2から透過水配管11,14を経て取り出され、濃縮水は、給水室S1から廃水管12を通って排水される。
【0031】
ところで、上記膜分離処理が継続的に行われると、原水中に含まれる懸濁(SS)成分によって各濾過ユニット1,2,3の分離膜6が汚染され、その分離性能が低下したり、圧力損失の増加を招くため、各濾過ユニット1,2,3の分離膜6を定期的に又は随時に洗浄する必要がある。
[洗浄方法]
以下、各濾過ユニット1,2,3の洗浄方法を図3〜図5に基づいて説明する。尚、図3〜図5は本発明に係る膜分離装置の各濾過ユニット毎の洗浄を示す基本構成図であり、これらの図においても、図2と同様に開閉弁V1〜V8の白抜き表示は「開」を示し、黒塗り表示は「閉」を示す。
【0032】
本実施の形態において実施される洗浄方法は、洗浄水と洗浄空気を最前段の第1段の濾過ユニット1から次の段の濾過ユニット2,3へと順次供給することによって、各濾過ユニット1,2,3毎に洗浄を順次行うことを特徴としている。
【0033】
而して、本実施の形態では、洗浄水として原水を用い、洗浄には洗浄水と洗浄空気を各濾過ユニット1,2,3に順次供給し、各濾過ユニット1,2,3の洗浄を洗浄水と洗浄空気との気液混合流によって行うようにしている。以下、各濾過ユニット1,2,3の洗浄方法について説明する。
【0034】
1)第1段の濾過ユニット:
洗浄に際しては、先ず、最前段の第1段の濾過ユニット1に対して洗浄が実施され、この第1段の濾過ユニット1の洗浄に際しては、図3に示すように、開閉弁V3,V6を開、他の開閉弁V1,V2,V4,V5,V7,V8が閉とした上で、原水ポンプ8を駆動する。すると、洗浄水としての原水が原水供給管7から第1段の濾過ユニット1へと導入される。
【0035】
又、同時に不図示の洗浄空気供給源から供給される洗浄空気は、洗浄空気管19から分岐管20へと流れて第1段の濾過ユニット1へと導入される。
【0036】
従って、第1段の濾過ユニット1内には洗浄水と洗浄空気による気液混合流が発生し、この気液混合流は濾過ユニット1内を上方に向かって流れ、粘性の異なる気液が交互に分離膜6の面を通過することによって、分離膜6の面に付着した堆積物に振動が与えられ、この振動によって堆積物の剥離効果が高められる。この結果、分離膜6の面に付着した堆積物が確実に除去され、分離膜6が効果的に洗浄される。そして、分離膜6の洗浄に供された洗浄水と洗浄空気は、連結管4から分岐管15及び洗浄廃水管18を通って第2段及び第3段の濾過ユニット2,3をバイパスして排水管12へと流れ、下水へと排水される。
【0037】
2)第2段の濾過ユニット:
上述のようにして第1段の濾過ユニット1の洗浄が終了すると、次に第2段の濾過ユニット2の洗浄が行われる。この第2段の濾過ユニット2の洗浄に際しては、図4に示すように、開閉弁V3とV6が閉じられ、開閉弁V4とV7が開けられ、他の開閉弁V1,V2,V5,V8はそのまま閉じられた状態に保持される。すると、洗浄水としての原水が原水供給管7から第1段の濾過ユニット1を通過して連結配管4を流れ、第2段の濾過ユニット2へと導入される。
【0038】
又、同時に不図示の洗浄空気供給源から供給される洗浄空気は、洗浄空気管19から分岐管21へと流れて第2段の濾過ユニット2へと導入される。
【0039】
従って、第2段の濾過ユニット2内には洗浄水と洗浄空気による気液混合流が発生し、この気液混合流は濾過ユニット2内を上方に向かって流れ、濾過ユニット2の分離膜6が気液混合流によって洗浄される。そして、分離膜6の洗浄に供された洗浄水と洗浄空気は、連結配管5から分岐管16及び洗浄廃水管18を通って第3段の濾過ユニット3をバイパスして排水管12へと流れ、下水へと排水される。
【0040】
而して、この第2段の濾過ユニット2の洗浄においては、前段の第1の濾過ユニット1の洗浄は既に終了しており、洗浄水が第1段の濾過ユニット1を通過して第2段の濾過ユニット2に供給されても、第1段の濾過ユニット1からの汚れ成分が第2段の濾過ユニット2へと持ち越されて流入することはない。
【0041】
2)第3段の濾過ユニット:
上述のようにして第2段の濾過ユニット2の洗浄が終了すると、次に最終段である第3段の濾過ユニット3の洗浄が行われる。この第3段の濾過ユニット3の洗浄に際しては、図5に示すように、開閉弁V4とV7が閉じられ、開閉弁V5とV8が開けられ、他の開閉弁V1〜V3,V6はそのまま閉じられた状態に保持される。すると、洗浄水としての原水が原水供給管7から第1段の濾過ユニット1、連結配管4、第2段の濾過ユニット2を通過して連結配管5を流れ、第3段の濾過ユニット3へと導入される。
【0042】
又、同時に不図示の洗浄空気供給源から供給される洗浄空気は、洗浄空気管19から分岐管22へと流れて第3段の濾過ユニット3へと導入される。
【0043】
従って、第3段の濾過ユニット3内には洗浄水と洗浄空気による気液混合流が発生し、この気液混合流は濾過ユニット3内を上方に向かって流れ、濾過ユニット3の分離膜6が気液混合流によって洗浄される。そして、分離膜6の洗浄に供された洗浄水と洗浄空気は、排水管12から分岐管17及び洗浄廃水管18を通って排水される。
【0044】
而して、この第3段の濾過ユニット3の洗浄においても、前段の第1及び第2の濾過ユニット1,2の洗浄は既に終了しており、洗浄水が第1段及び第2段の濾過ユニット1,2を通過して第3段の濾過ユニット3に供給されても、第1段及び第2段の濾過ユニット1,2からの汚れ成分が第3段の濾過ユニット3へと持ち越されて流入することはない。
【0045】
以上のように、本実施の形態に係る膜分離装置においては、全濾過ユニット1,2,3において原水(濃縮水)の流れ方向が上下方向において同じ(本実施の形態では、上方に向かう流れ)となるため、各濾過ユニット1,2,3の洗浄を行う際、原水に含まれる粗大な濁質により前段の濾過ユニット1(2)の入口端面で詰まりが発生した場合であっても、各濾過ユニット1,2,3において詰まりが発生する箇所が上下同じとなり、従来のように上下逆となるようなことがなく、従って、連結配管4,5を経て各濾過ユニット1,2,3を同じ方向に流れる洗浄水と洗浄空気の気液混合流によって各濾過ユニット1,2,3が各々洗浄され、その洗浄効果が各濾過ユニット1,2,3について均一となる。
【0046】
又、本実施の形態において用いた洗浄方法によれば、洗浄水と洗浄空気を最前段の第1段の濾過ユニット1からそれに続く次の段の濾過ユニット2,3へと順次供給することによって、各濾過ユニット1,2,3毎に洗浄を順次行うようにしたため、膜分離時に使用される原水供給ラインである原水供給管7と連結配管4,5を洗浄時の洗浄水供給ラインとして共用することができ、この結果、配管構造が簡素化されて膜分離装置の小型化が図られる。
【0047】
更に、本実施の形態では、洗浄水として原水をそのまま用いるため、専用の洗浄水が不要となり、洗浄を低コストで行うことができる。
【0048】
又、本実施の形態では、各濾過ユニット1,2,3の洗浄を洗浄水と洗浄空気との気液混合流によって行うようにしたため、粘性の異なる気液が交互に分離膜6の面を通過することによって、分離膜6の面に付着した堆積物に振動が与えられ、この振動によって堆積物の剥離効果が高められ、この結果、分離膜6の面に付着した堆積物が確実に除去されて分離膜6が効果的に洗浄される。
【0049】
尚、本実施の形態では、洗浄水と洗浄空気を最前段の第1段の濾過ユニット1から次の段の濾過ユニット2,3へと順次供給することによって、各濾過ユニット1,2,3をこの順に個別に洗浄する方式を採用したが、洗浄水と洗浄空気を最後段の第3段の濾過ユニット3からこれよりも前段の濾過ユニット2,1へと順次供給することによって、各濾過ユニット3,2,1をこの順に個別に洗浄する方式を採用しても良い。
【0050】
又、本実施の形態では、洗浄流体として洗浄水と洗浄空気を併用する洗浄方法を採用したが、洗浄方法としては以下の方法が考えられる。
【0051】
1)洗浄ガスのみを供給し、この洗浄ガスと濾過ユニット内の保有水との混合によって気液混相状態として洗浄する方法
2)濾過ユニットの水抜きを実施した後、洗浄ガスを供給し、濾過ユニット内に僅かに残存した保有水との混合により気液洗浄(気液比を大きくした洗浄)し、最後に洗浄液を供給して汚れ成分を押し出してこれを除去する方法
3)洗浄ガスと洗浄液とを同時に供給し、気液混相状態にて洗浄する方法
尚、このように気液混相流で膜面を洗浄する方法を採用する場合には、水平に膜を配置した場合に膜面を均一に洗浄することが困難なスパイラル形式の膜モジュールに本発明を好適に採用することができる。
【0052】
ところで、洗浄流体として洗浄水と洗浄空気を併用する洗浄方法においては、気液比には特に制限はなく、好ましくは液相の流量を通水時の流量の2倍以上、気相の流量も通水時の液流量の2倍以上とし、気液比を2:1〜1:2とする。
【0053】
又、洗浄ガスにも特に制限はなく、空気はコンプレッサーを用いるだけで良いためにガスボンベ等の準備が不要なことから好適に用いることができる。洗浄液にも特に制限はなく、RO給水を洗浄液として用いても良い。
【0054】
更に、洗浄時の洗浄流体の流れ方向にも特に制限はなく、膜分離処理時と同方向である順方向、或は逆方向に流す方法、更には順方向と逆方向に交互に流す方法を採用することができる。
【0055】
又、気液洗浄の実施時間についても特に制限はないが、洗浄時間が長ければ長い程、気液洗浄に用いる水量(排水する水量)が増えて水回収率が低下することとなる。気液洗浄時の流量にもよるが、洗浄時間は10秒〜5分程度が望ましい。気液洗浄の実施頻度についても特に制限はないが、実施頻度の増加は、前述の実施時間と同様に水回収率の低下を招くため、30分〜数日に1回程度の実施頻度が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る膜分離装置の基本構成図である。
【図2】本発明に係る膜分離装置の膜分離処理を示す基本構成図である。
【図3】本発明に係る膜分離装置の各濾過ユニット毎の洗浄(第1段の濾過ユニットの洗浄)を示す基本構成図である。
【図4】本発明に係る膜分離装置の各濾過ユニット毎の洗浄(第2段の濾過ユニットの洗浄)を示す基本構成図である。
【図5】本発明に係る膜分離装置の各濾過ユニット毎の洗浄(第3段の濾過ユニットの洗浄)を示す基本構成図である。
【図6】従来の膜分離装置の基本構成図である。
【符号の説明】
【0057】
1〜3 濾過ユニット
4,5 連結配管
6 分離膜
7 原水供給管
8 原水ポンプ
9〜11 透過水配管
12 排水管
14 透過水配管
15〜17 分岐管
18 洗浄廃水管(洗浄廃流体排出管)
19 洗浄空気管(洗浄ガス供給管)
20〜22 分岐管
S1 給水室
S2 透過水室
V1〜V8 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過ユニットを複数段備え、隣接する濾過ユニット同士を連結配管で連結し、前段の濾過ユニットの濃縮水を前記連結配管を経て後段の濾過ユニットへ原水として導くよう構成された膜分離装置において、
前記各濾過ユニットを、その内部での原水の流れ方向が上下方向となるよう配置するとともに、全濾過ユニットにおいて原水の流れ方向が上下方向において同じになるよう前記連結配管を接続したことを特徴とする膜分離装置。
【請求項2】
前記各濾過ユニットに洗浄流体を導入するための洗浄流体供給管と、各濾過ユニットの洗浄に供された洗浄廃流体を各濾過ユニットから系外に排出するための洗浄廃流体排出管を各濾過ユニット毎に設けたことを特徴とする請求項1記載の膜濾過装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−253050(P2007−253050A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80154(P2006−80154)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】