説明

膝蓋大腿関節インプラント及び器具

【課題】切除された大腿骨の滑車領域を作成するシステムの提供。
【解決手段】このシステムは、リーマガイド20と、リーマ30とを含む。リーマガイド20は、第1弓形部、第2弓形部、壁、壁に連結された突起部27、第1弓形部または第2弓形部の一方に連結された脚部28、及び脚部28に連結された遠位頂部26を有する。リーマ30は、遠位頂部26に回転可能に連結されるように構成され、リーマ30は、第1端部、第2端部、及び1またはそれ以上の縦溝を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2005年5月20日出願の米国仮特許出願第60/683289号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、整形外科用の装置、より詳細には膝蓋大腿関節インプラント及び器具に関する。
【背景技術】
【0003】
膝関節は、関節損傷の頻発する部位であり、通常の(すなわち比較的疼痛のない)歩行機能の損失が、そのような損傷の結果として起こることが多い。多くの異なる原因または原因の組み合わせによって、膝関節の損傷が起こる。例えば、骨粗鬆症によって衰弱した膝を緩やかに過伸展することによって、損傷が起こることがある。さらに、膝関節への損傷の程度は、原因、患者の年齢、既存の状態、及び他の要因によって大きく異なり得る。
【0004】
膝は、その関節が著しく大きい可動域を有しており、体全体の重量のほぼ半分を支えているため、一般的な問題源となる。屈曲/伸展動作として知られる主な膝の動作は、脚の曲げ(屈曲)伸ばし(伸展)を含み、この動作において脚の下部分(脛骨及び腓骨)は脚の上部分(大腿骨)に対して屈曲する。理想的には、膝関節は、ほぼ180°の屈曲/伸展動作が可能である。膝関節は、下脚部が上脚部に対して数度回転する、一定量の回転動作にも対応可能である。この広範囲の動きは、大腿骨と脛骨との間に広範囲にわたる接触面を要する。さらに、膝関節は、このような広範囲の動作ができるように、腱及び靭帯によってかなり緩く繋ぎ合わされている。
【0005】
膝関節の前側または前方側は、お皿すなわち膝蓋骨によって保護されている。膝蓋骨は、靭帯によって所定位置に保持されており、屈曲/伸展動作の際に大腿関節面の上を滑動する。膝蓋骨及びその靭帯は、関節の伸展に機械的に関与している。この関節表面(例えば、大腿骨面、膝蓋骨面、または脛骨面)のいずれかが損傷または粗くなると、膝関節が正常に動作せず、患者はかなりの疼痛を感じる可能性がある。
【0006】
一般的な問題は、膝蓋骨の自由な動作が妨げられる及び/または疼痛を伴うものとする膝蓋大腿関節の損傷である。このような損傷は、時折、「膝蓋軟骨軟化症(runner's knee)」と称される。膝蓋大腿関節(PFJ)の損傷は、通常の関節動作をほぼ不可能にすることがある。
【0007】
さまざまな補綴具によるさまざま置換術が、膝関節のさまざまな関節面のために開発されている。極端な場合では、関節全体を補綴具で置換することも可能である。このような補綴具による置換術は、膝関節全置換術(total knee replacement)と称される。しかしながら、膝関節全置換術は、回復に相当な時間を要し、それほど極端でない場合には、関節の損傷部分だけを交換することが有利となり得る。
【0008】
いくつかの場合において、PFJの損傷は、膝関節全置換方式に対して、PFJ関節形成術で適切に対応可能である。このタイプの膝関節手術は、膝関節全置換術ほど大幅なものではない。この手術は、主な問題が膝の膝蓋大腿部のみに関している患者のために構成されており、大腿骨と膝蓋骨との間に滑らかな滑動的関係を与えることを意図している。膝蓋骨が滑動する大腿骨の表面は、滑車溝(trochlear groove)と称される。この滑車溝は、大腿骨の遠位部の内側顆面と外側顆面と(medial and lateral condylar surfaces)の間にある窪みまたは溝である。
【0009】
従来技術のPFJ補綴方式(PFJ prosthetic systems)では、補綴的な膝蓋骨支持面が導入される。この補綴的な支持面は、主として本来の膝蓋骨の残った部分を受ける固定部を含む。その結果、最終的な膝蓋骨の構造は、後方の補綴的支持面と前方の本来の膝蓋骨面とを含む。前方の本来の膝蓋骨面は、主として膝蓋骨を大腿四頭筋及び脛骨に連結する連結組織を保持する。
【0010】
補綴的な膝蓋骨支持面の適度な並進動作を達成するために、特に滑車溝の損傷がある場合は、協働する補綴的大腿骨インプラントが主として大腿骨の端部に取り付けられる。ほとんどの場合の補綴的な大腿骨インプラントは、屈曲動作の際の信頼性の高い動きを確実にするために、補綴的な膝蓋骨支持面を受けるように特別に構成された支持面を含む。
【0011】
しかしながら、このような従来技術の方式は、人為的な膝蓋大腿骨のトラッキング(tracking)または膝蓋骨の動作を用いる、主として非常に人工的な方式である。このような方式の1つの欠点は、膝関節全置換方式との互換性がないことである。多くの場合において、PFJシステムは、後に膝関節全置換術を行うことがほぼ不可能になるほどのかなりの量の骨の除去を要する。
【0012】
より自然な膝蓋骨装置は、鞍部形状(saddle-shaped)の構成を用いる。鞍部形状の構成は、大腿骨インプラントと共にまたは大腿骨インプラントなしで用いられることができ、本来の滑車溝内をトラッキングすることを目的としている。
【0013】
したがって、より自然なトラッキングの構成の利点を有する膝蓋大腿骨補綴具(patello-femoral prosthesis)の必要がある。さらに、インプラントに要する骨の除去がより少ない大腿骨インプラントの必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の問題を鑑みて開発された。本発明は、膝蓋大腿関節インプラント及び関連の器具である。本インプラントは、膝の膝蓋大腿部分のみの表面を修復(resurface)し、膝関節の残りの部分を無傷のまま残す。本インプラントは、膝蓋骨のトラッキングを改善するために、非対称形の構成要素と外側の膝蓋骨溝とを用いる。本器具によって、大腿四頭筋機構を広範囲に損傷することなく、最小限の侵襲アプローチによって装置を埋め込むことができる。この器具システムの主要な特徴は、大腿骨の滑車領域を再現可能に作成することのできるリーマ仕上げシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様では、切除された大腿骨の滑車領域を作成するシステムであって、当該システムが、第1弓形部、第2弓形部、第1弓形部と第2弓形部との間に延在する壁、その壁に連結された突起部、第1弓形部または第2弓形部の一方に連結された少なくとも1つの脚部、及びその脚部に連結された遠位頂部を有するリーマガイドと、リーマガイドの遠位頂部に回転可能に連結されるように構成され、第1端部、第2端部、及び少なくとも1つの縦溝を有するリーマとを備えるシステムがある。
【0016】
本発明の別の態様では、膝蓋大腿関節インプラントであって、当該インプラントは、顆間窩(intracondylar notch)部、近位部、及び遠位部と、顆間窩部から近位部へと延在する上面であって、内側部及び側方部を有する上面と、内側部と側方部との間に湾曲した外面を形成する外側の溝と、顆間窩部に連結されて上面の反対側にあるほぼ平坦な下面と、ほぼ平坦な下面に連結された少なくとも1つの前方釘と、ほぼ平坦な下面(16)に連結された少なくとも1つの遠位釘(19)と、を備えるインプラントがある。
【0017】
本発明は、従来技術の装置及び技術に対して複数の利点を有する。第1に、本インプラントは、前方大腿骨をよりよく被覆する、非対称の膝蓋骨の軌道を有する。膝蓋骨の軌道は、大腿骨のトラッキングを改善するために、外側に設けられている。本来の膝蓋骨は、膝が屈曲するにつれて、外側から内側へとトラッキングする。他の装置は、構成要素を回転させ、直線状の大腿骨の軌道を方向転換することによって、このトラッキングを発生させている。これによって、大腿骨が内側に動きすぎることになり、好ましくないトラッキングにつながることがある。本インプラントは、屈曲時に、大腿骨を確実に正しく中央へ配置する。
【0018】
第2に、本器具は、最小限の侵襲アプローチのために構成されている。最小限の侵襲アプローチは、特に、より短い回復期間及び疼痛の軽減を含む複数の利点を患者にもたらす。すべての従来技術のシステムの器具は、最小限の侵襲アプローチのために構成されていない。
【0019】
第3に、リーマ仕上げシステムによって、再現可能な滑車領域の作成ができ、インプラントを正しく位置決めするのを助ける。ほとんどの従来技術のシステムは正確でなく、大腿骨の滑車領域及び/または前方領域をある種フリーハンドで作成することに依存している。これは、この装置の不具合の第2の主な原因となる不正確な作成及び構成要素の回転不良につながる。リーマ仕上げシステムによって、また、手による作成でできるよりもより均一なセメント被膜ができるようになり、セメントの疲労及び緩みの防止を助けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】膝蓋大腿関節インプラントの後部の図である。
【図2】図1に示す膝蓋大腿骨インプラントの遠位の図である。
【図3】図1に示す膝蓋大腿骨インプラントの近位の図である。
【図4】図1に示す膝蓋大腿骨インプラントの前部の図である。
【図5】リーマガイドの第1実施形態及びリーマの第1実施形態の側面図である。
【図6】第1の位置にあるリーマガイド及びリーマの頂面斜視図である。
【図7】第2の位置にあるリーマガイド及びリーマの頂面斜視図である。
【図8】第3の位置にあるリーマガイド及びリーマの頂面斜視図である。
【図9】リーマスリーブの第1実施形態及びリーマの第2実施形態の分解図である。
【図10】第2実施形態のリーマスリーブの前面図である。
【図11】リーマスリーブの第1実施形態の前面図である。
【図12】第3実施形態のリーマスリーブの前面図である。
【図13】リーマガイドの第2実施形態の前面斜視図である。
【図14】図13に示すリーマガイドの頂面斜視図である。
【図15】大腿骨及び大腿骨髄外位置決棒の前面斜視図である。
【図16】大腿骨及びドリルガイドの前面斜視図である。
【図17】大腿骨及びドリルの前面斜視図である。
【図18】大腿骨及び髄内棒の前面斜視図である。
【図19】大腿骨及び前方切断ガイドの前面斜視図である。
【図20】大腿骨、脛骨、及び髄外上方棒を示す前面図である。
【図21】大腿骨、脛骨、及び髄外ガイド組立体の側面図である。
【図22】大腿骨及びハンドルを示す前面図である。
【図23】大腿骨及び位置決棒組立体の頂面図である。
【図24】大腿骨及び第1パンチの前面図である。
【図25】大腿骨及び髄外位置決装置の前面図である。
【図26】大腿骨及びロックハンドルの側面図である。
【図27】大腿骨及びドリルガイドの頂面斜視図である。
【図28】大腿骨、ドリルガイド、骨ピン、骨ピン挿入工具の前面図である。
【図29】大腿骨、ドリルガイド、及び第2ピンパンチの前面図である。
【図30】大腿骨、ドリルガイド、及び仮固定ピンの前面斜視図である。
【図31】大腿骨及びリーマガイドの第2実施形態の頂面斜視図である。
【図32】大腿骨、リーマガイドの第2実施形態、及び複数の固定装置の前面斜視図である。
【図33】大腿骨、リーマガイドの第2実施形態、リーマの第2実施形態の側面図である。
【図34】図33の示す構成要素の前面図である。
【図35】大腿骨、深さゲージ、及びハンドルの頂面斜視図である。
【図36】大腿骨、ドリルガイド、釘ドリル、及び固定釘の前面図である。
【図37】大腿骨及び試作品を示す側面図である。
【図38】大腿骨、インプラント、及びインパクタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のさらなる特徴、態様、及び利点、並びに本発明のさまざまな実施形態の構造及び操作は、添付の図面を参照して下記に詳細に説明される。
【0022】
本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、説明と併せて本発明の原理を説明する働きをする。
【0023】
同様の符号が同様の要素を示す添付の図面を参照すると、図1〜4は、膝蓋大腿インプラント10を示す。インプラント10は、任意の生物学的適合性のある材料から作製されてもよい。インプラント10は、例えばコバルトクロミウム、ステンレス鋼、チタン、酸化ジルコニウム、その他の金属合金、標準のポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量プラスチック、その他のプラスチック、または複合材料から作製されてもよい。インプラント10は、膝蓋大腿関節炎(patello-femoral arthritis)による疼痛を軽減するために、膝の膝蓋大腿領域の表面を修復する。インプラント10は、表面未修復の大腿骨(すなわち本来の大腿骨)とともに、またはドーム形状の膝蓋骨インプラントもしくは長円形の膝蓋骨インプラントなどの、任意の表面修復済み膝蓋骨インプラントとともに使用されてもよい。
【0024】
インプラント10は、顆間窩部11、内側部13、上面14、及び側方部17を含む。また、インプラント10は、近位部すなわち近位領域96と、遠位部すなわち遠位領域98とを含む。上面すなわちインプラントの前方面14は、顆間窩部11から近位部96へと延在する。顆間窩部11は、大腿骨顆(femoral condyles)へ滑らかに移行するように作製及び配置される。いくつかの実施形態において、内側部13及び側方部17は、前方の大腿骨の骨の被覆を最大にするような形状となっている。側方部17は、膝蓋骨の亜脱臼を防ぐために、近位領域96において厚みが増されている。いくつかの実施形態において、内側部13は、近位領域96の側方部17よりも少ない材料を有する。これは複数の理由のためになされてもよい。例えば、内側部13は、インプラント10の全体のサイズを小さくするために、インプラント10の重量を少なくするために、またはインプラント10のよりよい嵌め合いのために、より少ない材料を有してもよい。
【0025】
図4においてよく分かるように、インプラント10は、外側の膝蓋大腿溝(patello-femoral groove)12を有する。図4に示す実施形態において、黒い線が溝12の中心領域または平均位置を示すが、当業者は、黒い線がただ位置を示すものであって実際の溝の形状は表面未修復または表面修復済みの膝蓋骨がその溝の中にトラッキングできるようなものであること理解するであろう。溝12は、膝蓋骨がその中にトラッキングする湾曲した外表面すなわち支持面を形成する。溝12は、膝蓋骨の表面が修復されているか否かにかかわらず、膝蓋骨が正常にトラッキングできるように、近位領域96の外側に設けられている。膝蓋骨は、伸展時において外側にあって溝12の中を動き、屈曲時において顆間窩部11へと移動する。
【0026】
インプラント10は、大腿骨100の一様に平らなまたは平坦な前方切断部190(図31において最もよく分かる)の上に配置する、ほぼ平坦な前方下面16を含む。ほぼ平坦な前方下面すなわちインプラントの後方面16は、上面14の反対側に位置している。ほぼ平坦な前方下面16は、冠状面に対して平行であってもよいか、または前方下面16は、応力遮蔽を防ぐために傾斜されていてもよい。すなわち、インプラント10のいくつかの実施形態は、傾斜されるか、または溝12にかかる力が大腿骨の解剖学上の軸に沿ってではなく解剖学上の軸に向かってインプラント10を押す傾向にある形状にされる。前方下面16は、応力遮蔽を防ぐために、冠状面に対して約1°から約10°の範囲で傾斜されてもよい。図1に示す実施形態において、前方下面16は、約3°傾斜している。
【0027】
いくつかの実施形態において、前方下面16は、骨セメントを用いたその面の使用を強化する特徴を含む。例えば、前方下面16は、表面を粗くするためにグリットブラストされてもよく、窪み、ポケット、凹部、もしくはディンプル15を含んでもよい。ディンプル15は、細長い空洞部、円状の凹部、方形の空隙、三角形の空洞部、または他の任意の形状の窪みであってもよい。
【0028】
インプラント10は、前方固定具または釘18、及びいくつかの実施形態において1またはそれ以上の遠位釘19を含む。図1及び3に示した実施形態において、インプラント10は、3つの前方釘18と1つの遠位釘19とを有するが、当業者はより多いまたは少ない数の釘が使用されてもよいことを理解するであろう。例として、いくつかの実施形態では、遠位釘19が完全に省略されてもよく、またはインプラント10が複数の遠位釘19を含んでもよい。遠位釘19は、セメント固定を強化するために、前方釘18に対して角度をなしていてもよい。図1に示した実施形態において、遠位釘19は、前方釘18に対して傾斜している。遠位釘19の傾斜した角度によって、インプラントがスナップ装着できるようになる。
【0029】
図5〜8は、リーマガイド20の第1実施形態及びリーマ30の第1実施形態を示す。リーマガイド20及びリーマ30は、インプラント10を取り付けできるように、大腿骨100の滑車領域を再現可能にリーマ仕上げする。リーマガイド20は、最小侵襲手術(minimally invasive surgery;MIS)において用いられるような小さい切開部に挿入できるように、小型で内側に偏向されている。リーマガイド20は、左膝、右膝、または両方の膝に使用するように構成されていていよい。図示の実施形態において、リーマガイド20は、両方の膝に使用するように構成されている。リーマガイド20は、切除された前方面190に取り付くように構成されている。リーマガイド20は、第1弓形部21、第2弓形部23、壁25、突起部27、少なくとも1つの位置決部材24、脚部28、遠位頂部26、及びほぼ球形の窪みまたは半球形を超える凹部22をさらに含む。壁25は、第1弓形部21、第2弓形部23、及び突起部27に連結される。壁25の形状は、インプラント10の下側の輪郭に沿うように作製及び配置されている。位置決部材24は、突起部27の下側から延在する。脚部28は、第1弓形部21及び第2弓形部23に連結される。図示の実施形態において、脚部28はV形状であるが、他の形状を用いてもよい。遠位頂部26は脚部28に連結され、半球形を超える凹部22は、遠位頂部26に配置される。
【0030】
いくつかの実施形態において、第1弓形部21及び第2弓形部23は、内側及び側方の切除量を制限するように、サイズ決め及び配置されてもよい。同様に、第1弓形部21、第2弓形部23、及び壁25が、滑車領域の切除の形状及び深さを制御する。他の実施形態において、第1弓形部21及び第2弓形部23は、脚部28をリーマガイド20の他の構成要素に連結する単なる構造部材であり、そのため使用者は、滑車領域が内側または側方に切除されすぎないように注意を払わなければならない。
【0031】
代替としてミルと称されるリーマ30は、やや鼓形の切削器具である。いくつかの実施形態において、リーマ30は、標準のドリルと共に用いられるように構成されている。リーマ30は、リーマガイド20の半球形を超える凹部すなわち超半球形の窪み22によって収容されるコネクタ31を有する。図示の実施形態において、コネクタ31は球形であるか、またはボールノーズ形状を有する。リーマ30の先端部が半球形の窪みの中に収容され、基端部がリーマガイド20にもたれて滑車領域をリーマ仕上げするように内側から側方へと滑動する。また、リーマ30は、第1端部32、支持部34、第2端部36、及び少なくとも1つの歯すなわち縦溝38を含む。支持部34のサイズが減少すると、リーマ30がより深く滑車領域をリーマ仕上げし、支持部のサイズが増加すると、リーマ30がより浅く滑車領域をリーマ仕上げする。代替として、さらなる骨がリーマ仕上げされるように、歯38のサイズが大きくなってもよい。したがって、リーマ30は、所望のリーマ仕上げ量にしたがってリーマの特定のサイズが選択されるように、対応するサイズにされた支持部34または歯38を備えるさまざまな造りで入手可能であってもよい。異なるサイズにされたリーマ及びリーマガイドのキットが提供されてもよい。
【0032】
使用時において、リーマガイド20は、切除された大腿骨の遠位端部に取り付けられる。使用者は、コネクタ31を超半球形の凹部22の中に挿入する。使用者は、リーマ30を下向きにリーマガイド20の上へ、てこ式に動かすかまたは旋回させてリーマ30を旋回する際に骨を切除する。リーマ30は、支持部34が壁25に載るかまたは壁25にもたれて回転するまで旋回される。次に、滑車領域を作成するために、リーマ30は、内側から側方へまたはその逆に動かされる。
【0033】
図9は、符号40で一様に示されるリーマの第2実施形態と、リーマスリーブ50の第1実施形態とを示す。リーマ40とスリーブ50とは、互いに組み立てられて、リーマ組立体45を形成する。リーマ40は、ミルとも称されてもよい。リーマ40は、軸42と、少なくとも1つの歯すなわち縦溝44と、第1端部47と、第2端部48とを有する。任意で、リーマ40は、また、軸42上に配置された溝すなわちチャネル46を含んでもよい。いくつかの実施形態において、縦溝44の外形は、インプラント10の下側と一致する形状にされる。図9に示された実施形態において、リーマ40は、4つの縦溝44を有するが、当業者は、より多いまたは少ない数の縦溝が使用されてもよいことを理解するであろう。縦溝44は、約5°から約35°の範囲の逃げ角Aを有する。図9に示された実施形態において、逃げ角Aは約20°である。第2端部48は、任意の数の形状を有してよく、リーマガイドに回転可能に連結するように構成されている。図9に示された実施形態において、第2端部48は、ほぼ半球の形状を有するコネクタ49で終端している。また、第1端部47は、任意の数の形状を有してもよいが、図示の実施形態において、周囲に間隔をあけて配置された3つの平坦面43であってドリルチャック(図示せず)とともに使用またはドリルチャックと係合するように構成された平坦面43を有する。
【0034】
いくつかの実施形態において、リーマガイド20及びリーマ30、40は、一体であってもよい。例えば、リーマガイド20は球形の支持部などの回転可能な支持部を含んでよく、リーマ30、40はこの支持部とともに回転してもよい。
【0035】
リーマ40は、スリーブ50を受けるように構成されている。スリーブ50は、本体52、少なくとも1つのアーム54、及び支持部すなわちプラットフォーム56を含む。スリーブ50は、ステンレス鋼などの金属、アセタール共重合体などのプラスチック、または複合材料から作製されてもよい。任意で、本体52は、把持部58を含んでよい。把持部58は、使用者が親指と人差し指とを置くのに便利な場所を形成する。リーマスリーブ50は、リーマ40が滑車領域に係合する深さを制御するのに用いられる。すなわち、スリーブ50は、切除量を制御する。これは、プラットフォーム56を適切なサイズにすることにより達成される。プラットフォーム56のサイズが減少するにつれて、より多くの材料が切除される。スリーブ50が軸42に取り外し可能に取り付けられるまたは一時的に固定されるように、アーム54は、溝46と係合するように構成されている。アーム54が溝46を係合しても、スリーブ50は、依然としてリーマ40に対して自由に回転する。
【0036】
図9に示された実施形態はアーム54を含むが、スリーブ50をリーマ40に取り外し可能に取り付ける他の方法が使用されてもよいことを、当業者は理解するであろう。例えば、溝46と係合してスリーブ50をリーマ40に連結するために、Cクリップを用いてもよい。
【0037】
図10〜12は、リーマスリーブの代替実施形態を示す。図10は、小型のリーマスリーブ60を示す。本明細書で用いられる「小型」という用語は骨の切除の程度または量を示しており、小型のリーマスリーブ62は、標準サイズのプラットフォーム56の直径よりも大きい直径を有するプラットフォーム61を有する。図11は、標準のリーマスリーブ50を示す。標準のリーマスリーブ50は、標準サイズのプラットフォーム56を含む。図12は、大型のリーマスリーブ64を示す。本明細書で用いられる「大型」という用語は骨の切除の程度または量を示しており、大型のリーマスリーブ64は、標準サイズのプラットフォーム56の直径よりも小さい直径を有するプラットフォーム65を有する。
【0038】
図13及び14は、参照符号70で一様に示されるリーマガイドの第2実施形態を示す。リーマガイド70は、リーマ30の第1実施形態またはリーマ40の第2実施形態とともに用いられてもよい。リーマガイド70は、第1弓形部71、第2弓形部73、壁75、突起部77と、少なくとも1つのスロット79、第1脚部74、第2脚部78、遠位頂部76、及び半球形を超える凹部またはカップ72とを含む。いくつかの実施形態において、リーマガイド70は縁部80を含む。縁部80及び壁75は、インプラント10の湾曲に合うような形状にされる。カップ72は、リーマ40のコネクタ49を受けるように構成されている。滑車領域がリーマ仕上げされているときに、リーマ40の先端部48が飛び出したり、容易に滑り出したりできないように、カップ72は、一定の深さのところに配置され、超半球形をしている。いくつかの実施形態において、リーマガイド70は、第1穴82、第2穴84、第3穴86、第4穴88、第5穴90、及び第6穴92を含む。
【0039】
リーマガイド70は、左膝または右膝に使用するように構成されていてもよい。同様に、適切な量の滑車領域が除去されるように、リーマガイド70は、リーマ30、40の動きを制限する。ユニバーサルリーマガイド(universal reamer guide)の場合、使用者は、滑車領域を切除しすぎないように気を付けなければならず、切除される骨の量を制限するように注意を払わなければならない。
【0040】
使用時には、リーマガイド70は、切除される大腿骨の遠位端部に取り付けられる。使用者は、コネクタ49をカップ72の中へ挿入する。使用者は、リーマ40を下向きにリーマガイド70の上へ、てこ式に動かすかまたは旋回させてリーマ40が旋回する際に骨を切除する。支持部すなわちプラットフォーム56、61、63、65が壁75の縁部80に載るか、または壁75の縁部80にもたれて回転するまで、リーマ40が旋回される。次に、滑車領域を作成するために、リーマ40は、内側から側方へまたはその逆に動かされる。
【0041】
図15〜38は、大腿骨100の作成及びインプラント10の取り付けを示す。図15は、大腿骨100及び髄外位置決棒102を示す。図16において最もよく分かるように、髄内ドリルガイド104は、大腿骨髄外位置決棒位置決棒(femoral extramedullary alignment rod)102に連結される。図示の実施形態において、穴と穴との間の中央から中央までの距離は、約26mmである。図17は、皮質骨を介して髄管(intramedullary canal)まで穴を開けるために、ドリル106がドリルガイド104の中へ挿入されることを示す。図18は、髄管の中へ穴が開けられた後に、髄内棒108が髄管の中へ挿入されることを示す。挿入時の髄管の損傷を少なくするために、棒108は細くてもよい。図19において最もよく分かるように、前方切断ガイド110は、髄内棒108に連結されて大腿骨100の端部の隣に配置されている。切断ガイド110は、大腿骨100の髄管を介して固定された細い髄内棒108を覆って取り付けられている。切断ガイド110は、最小侵襲の切開部の中に合うように内側に偏向される。前方切断ガイド110は、使用者が適当な切除レベルを達成できるように、調整可能な高さを備えて構成される。
【0042】
切断ガイド110が棒108を覆って置かれた後、前方切断ガイド110の向きを決めるために使用可能な2つの方法がある。これらの方法は、別々にまたは組み合わせて用いられてもよい。例えば、最初に行われたいずれかの方法の結果を確認するために、両方の方法を行ってもよい。図20及び21において最もよく分かる第1の方法では、髄外ガイド組立体130が脛骨112に取り付けられる。髄外ガイド組立体130は、髄外上方棒114、脛骨髄外ガイドプラットフォーム132、髄外脛骨下方棒134、及び踝クランプ136を含む。踝クランプ136は脛骨112の遠位部に取り付けられ、髄外上方棒114は髄外ガイドプラットフォーム132が前方切断ガイド110の底部に接触するまで上向きに伸ばされる。プラットフォーム132によって切断ガイド110が正しい向きに置かれ、その後、切除面の正しい高さを達成するように、切断ガイド110が調整されることができる。
【0043】
図22〜24において最もよく分かるように、切断ガイド110の向きを決める第2の方法において、ハンドル116は前方切断ガイド110に取り付けられ、位置決棒組立体120はハンドル116に取り付けられる。例としてのみ、ハンドル116は、早外し式機構を含む迅速連結式のハンドルであってもよい。位置決棒組立体120は、把持部122、第1位置決棒124、第2位置決棒126、及び位置決棒クリップ128を含む。第1位置決棒124は、上顆部に平行になるように配置される。第2位置決棒126は、大腿骨の機械的軸に平行になるように配置される。把持部122は、位置決棒クリップ128の使用を介して、ハンドル116に連結されてもよい。第1位置決棒124及び第2位置決棒126が配置されると、切除面の正しい高さを達成するように切断ガイド110を調整できる。
【0044】
前方切断ガイド110が正しく配置されると、前方切断ガイド110は、所定位置にピン留めされる。図24は、第1パンチ140及び第1ピン142を用いて所定位置にピン留めされている前方ガイド110を示す。1またはそれ以上の第1ピン142が、前方ガイド110を所定位置にピン留めするために用いられてもよい。
【0045】
図25において最もよく分かるように、前方切断ガイド110がピン留めされた後、前方針144は、切除面の高さを設定するために、前方切断ガイド110に連結される。前方針144の先端部148が大腿骨100の上に載るまで、前方切断ガイド110のつまみ111が回転される。正しい切除レベルが設定されると、鋸ガイド118の高さが所定位置に固定される。図26は、鋸ガイド118を一時的に固定する例示的な方法を示しており、この方法では、前方切断ガイド110の止めねじ(図示せず)を回転するために、固定ハンドルすなわちドライバ146が用いられる。その後、大腿骨100の前方部が、概ね平坦な面190を達成するように切除される(図31において最もよく分かる)。図示の実施形態において、前方の切断は、インプラント10を適切な向きにできるように、3°曲げて行われる。
【0046】
前方の切断が行われた後、膝蓋大腿ドリルガイド150は、大腿骨に取り付けられる。図27〜30は、膝蓋大腿ドリルガイド150を示す。膝蓋大腿ドリルガイド150は、第1ピン穴152、第2ピン穴154、第3ピン穴156、第4ピン穴158、第1ドリルガイド穴160、第2ドリルガイド穴162、第3ドリルガイド穴164、第4ドリルガイド穴166、及び受口すなわち受部168を含む。
【0047】
膝蓋大腿ドリルガイド150は、大腿骨100に配置されると、所定位置にピン留めされる。図28に示す実施形態において、1またはそれ以上の第2ピン170は、第1ピンドライバ172を使用して、所定位置に入れられる。第2ピン170は、頭部があってもなくてもよい。図示の実施形態において、第2ピン170は、第2ピン穴154及び第3ピン穴156に配置されている。任意で、膝蓋大腿ドリルガイド150を大腿骨に一時的に固定するために、追加の固定ピンを用いてもよい。例えば、図29において最もよく分かるように、第2ピンドライバ176は、第3固定ピン178を取り付けるために用いられてもよい。その後、膝蓋大腿ドリルガイド150により、軟骨及び/または骨の上にインプラント10の滑車領域の輪郭が引かれる。輪郭は、焼灼器またはメチレンブルーを使用して描かれてもよい。例えば、使用者は、軟骨及び/または骨に印を付けるために、膝蓋大腿ドリルガイド150の端部を焼灼器で引いてもよい。さらに、膝蓋大腿ドリルガイド150は、線または三角形などの標識151を有する。後に、膝蓋大腿ドリルガイド150を再び取り付けるために、線または「X」などの印153が、大腿骨100の上に配置されなければならない。
【0048】
代替として、滑車領域の輪郭を描くまたは印付けする際、膝蓋大腿ドリルガイド150は、大腿骨100に固定されない。その代わりに、膝蓋大腿ドリルガイド150は、ハンドル116の使用により単に所定位置に保持され、膝蓋大腿ドリルガイド150の輪郭を引くことによって、軟骨及び/または骨に印付けする。
【0049】
滑車領域が輪郭を描かれまたは印付けされた後、膝蓋大腿ドリルガイド150が外されて、第1実施形態20または第2実施形態70のようなリーマガイドが大腿骨100の前方切断面に一時的に固定される。図31及び32に示された実施形態において、頭部のないピン170は外されていない。このようにして、リーマガイド20がピン170の上に置かれる、またはリーマガイド70が頭部のないピン170がスロット79に入るように所定位置に滑り込まされる。いくつかの実施形態において、第2ピン170は頭部付きであってこのピン170がスロット79に入るようにリーマガイド70が所定位置に滑り込まされ、この頭部付きのピンが下向きに打ち込まれてリーマガイド70を所定位置に固定する。リーマガイド20、70は、切除面190に接触し、脚部28、74、78が顆間窩に接触するまで滑り戻される。その後、リーマガイド20、70は大腿骨100にピン留めされる。図32に示される実施形態において、第3ピン208は穴82の中に挿入され、第4ピン210は穴92の中に挿入されているが、他のピン及び穴の組み合わせを用いてもよい。遠位頂部26、76の近くに3つのピンが示されているが、各穴88、90、92の軸は他の穴と同一平面上にあるので、1つのみのピンを用いてもよい。
【0050】
リーマガイド20、70がピン留めされた後、滑車領域がリーマ仕上げされる。図33、34に示す実施形態において、リーマ40及びスリーブ50は、滑車領域を切除するために用いられる。リーマ40または代替としてリーマ30は、滑車領域をリーマ仕上げするのに横から横へと動かされる。リーマガイドがユニバーサルである場合、使用者は、軟骨及び/または骨の上の輪郭または印までのみをリーマ仕上げするように注意しなければならない。しかしながら、リーマガイドが片側のみに使用されるように作製及び配置されている場合、リーマ30、40は、リーマが弓形部21、23、71、73のうちの1つに接触するまで、横から横へと動かされてもよい。
【0051】
いくつかの方法において、滑車領域は、リーマではリーマ仕上げされず、やすり、骨刀、または他の鋭利な工具で単に作成されてもよい。
【0052】
滑車領域がリーマ仕上げされた後、リーマ仕上げされた部分の深さを確かめる必要がある。図35において最もよく分かるように、深さゲージ242が切除部の深さを確認するのに使用される。深さゲージ242は、左手、右手、またはユニバーサルであってもよい。図示の実施形態において、深さゲージ242は、片側(例えば左手)のみ使用するように構成されている。深さゲージ242は、特定のサイズのインプラント用に構成される、またはインプラントの全シリーズにわたって使用するように構成されてもよい。図示の実施形態において、インプラントは、サイズにかかわらずすべて同じ厚さである。すなわち、インプラントは、サイズが増大するにしたがって幅及び長さが増大してもよいが厚さが増大せず、これにより一連のインプラントの側面に対して1つの深さゲージを有することが可能となる。リーマ仕上げされた部分の深さを確認する際、顆間窩部の軟骨と深さゲージ242との間に滑らかな移行部があることが重要である。深さゲージ242が、滑車領域の残りの部分より上方に上げられている場合、追加の深さをリーマ仕上げすることが必要となる。これは、前に使用されたよりも小さい支持部を有するリーマでリーマ仕上げすること、前に使用されたよりも大きい縦溝を有するリーマでリーマ仕上げすること、または前に使用されたよりも小さい直径のプラットフォームを有するスリーブでリーマ仕上げされることによって達成される。しかし、深さゲージが滑車領域の残りの部分またはその下方にある場合、リーマ仕上げされた部分の深さは十分である。いくつかの実施形態において、使用及び操作を容易にするため、ハンドル116は深さゲージ242に取り付けられる。
【0053】
リーマ仕上げされた部分の深さを確認した後、ピン及びリーマガイドを外し、前方及び/または遠位の釘穴を開けるために膝蓋大腿ドリルガイド150を再度取り付ける。図36は、ドリルガイド150の再取り付けを示している。膝蓋大腿ドリルガイド150の顆間窩部分がリーマ仕上げされた滑車領域に置かれ、大腿骨100の印153が膝蓋大腿ドリルガイド150の上の標識151と位置決めされる。その後、膝蓋大腿ドリルガイド150は、1またはそれ以上の固定ピンを使用して所定位置にピン留めされる。膝蓋大腿ドリルガイド150を配置及びピン留めした後、穴の1つが開けられる。ドリルガイド位置決柱252が、構造物を安定化させるために、開けられた穴の中に置かれる。そして、第2穴が開けられ、さらなる安定のために、別のドリルガイド位置決柱254が開けられた第2の穴の中に置かれる。任意で、安定のために追加の位置決柱を用いてもよい。その後、残りの穴が開けられる。次に、膝蓋大腿ドリルガイド150及び固定ピンが外される。
【0054】
図37は、大腿骨100の上に置かれる試行品(trial)300を示す。使用者は、膝蓋骨のトラッキング並びに修正された膝の嵌め合い及び枢着をテストするために、試行品300を用いる。使用者は、修正された膝を仕上げるために、試行品300のサイズまたはその位置を調整する必要があろう。試行品300は、概ね所定位置に嵌るが、試行品300を確実に配置するのにインパクタを用いてもよい。
【0055】
図38は、インパクタ310を用いて取り付けられようとしているインプラント10を示している。インパクタ310は、インパクタハンドル312及びバンパー314を含む。いくつかの実施形態において、取り付けの前にインプラント10の下側に骨セメントを塗布してもよい。
【0056】
また、本発明は、非対称形の膝蓋大腿骨インプラントを取り付ける方法を含む。本方法は、(1)大腿骨を切除するステップと、(2)大腿骨の遠位部分をリーマ仕上げするステップと、(3)膝蓋大腿ドリルガイドを大腿骨に取り付けるステップと、(4)インプラントを取り付けるステップと、を含む。大腿骨を切除するステップは、大腿骨に前方切断ガイドを取り付けるステップを含んでもよい。大腿骨の遠位部分をリーマ仕上げするステップは、リーマガイドを大腿骨に取り付けるステップと、リーマをリーマガイドに回転可能に連結するステップと、大腿骨の遠位端部をリーマ仕上げするためにリーマガイドに対してリーマを動かすステップと、を含んでもよい。さらに、大腿骨の遠位部分をリーマ仕上げするステップは、リーマスリーブをリーマに取り付けるステップを含んでもよい。さらに、大腿骨の遠位部分をリーマ仕上げするステップは、リーマ仕上げされた部分の深さを深さゲージで確かめるステップを含んでもよい。膝蓋大腿ドリルガイドを大腿骨に取り付けるステップは、軟骨及び/または骨の上に膝蓋大腿ドリルガイドの輪郭を印付けするステップと、大腿骨の上に印を付けるステップとを含んでよい。さらに、膝蓋大腿ドリルガイドを大腿骨に取り付けるステップは、大腿骨に複数の穴を開けるステップを含んでよい。インプラントを取り付けるステップは、インプラントまたは大腿骨に骨セメントを付けるステップと、インプラントの釘を大腿骨に開けられた穴の中に入れるステップと、大腿骨にインプラントを着座させるためにインパクタを打つステップとを含んでもよい。
【0057】
キットが提供されてもよい。キットは、リーマ、リーマガイド、深さゲージ、試作品、及びインプラントのうちの1またはそれ以上の品を含んでよい。任意で、キットは、1またはそれ以上の標準リーマスリーブ、大型リーマスリーブ、または小型リーマスリーブを含んでもよい。
【0058】
上記に鑑みて、本発明の複数の利点が成就また達成されることが分かるであろう。
【0059】
実施形態は、この実施形態によって検討された特定の使用に適するように当業者がさまざまな実施形態及びさまざまな変更例を最もよく利用可能とするために、本発明の原理及びその実用的な用途を最もよく説明するために選択及び説明されたものである。
【0060】
本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に説明され、例示された構成及び方法において、さまざまな変更例が作製され得るであろうが、前記の説明に含まれ、添付の図面に示された全ての事項は、限定的なものではなく、例示的なものと解釈されるべきである。例えば、図33及び34は、リーマスリーブと組み合わせたリーマの使用を例示しているが、スリーブのないリーマが等しく許容されることを理解されたい。したがって、本発明の幅及び範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、本明細書に添付された特許請求の範囲及びその均等物にしたがってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0061】
10 インプラント(膝蓋大腿インプラント)
11 顆間窩部
12 溝(膝蓋大腿溝)
13 内側部
14 上面
15 ディンプル
16 前方下面(後方面)
17 側方部
18 前方釘
19 遠位釘
20 リーマガイド
21,71 第1弓形部
22 半球形を超える凹部
23,73 第2弓形部
24 位置決部材
25,75 壁
26,76 遠位頂部
27,77 突起部
28 脚部
30,40 リーマ
31,49 コネクタ
32,47 第1端部
34 支持部
36,48 第2端部
38,44 歯(縦溝)
42 軸
43 平坦面
45 リーマ組立体
46 チャネル(溝)
50 スリーブ(リーマスリーブ)
54 アーム
52 本体
56,61,65 プラットフォーム
58 把持部
62 小型のリーマスリーブ
64 大型のリーマスリーブ
70 リーマガイド
72 凹部(カップ)
74 第1脚部
78 第2脚部
79 スロット
80 縁部
82 第1穴
84 第2穴
86 第3穴
88 第4穴
90 第5穴
92 第6穴
96 近位部(近位領域)
98 遠位部(遠位領域)
100 大腿骨
104 髄内ドリルガイド
110 前方切断ガイド
108 髄内棒
102 大腿骨髄外位置決棒
111 つまみ
112 脛骨
114 髄外上方棒
116 ハンドル
118 鋸ガイド
120 位置決棒組立体
122 把持部
124 第1位置決棒
126 第2位置決棒
128 位置決棒クリップ
130 髄外ガイド組立体
132 脛骨髄外ガイドプラットフォーム
134 髄外脛骨下方棒
136 踝クランプ
140 第1パンチ
142 第1ピン
144 前方針
146 固定ハンドル(ドライバ)
148 先端部
150 膝蓋大腿ドリルガイド
151 標識
152 第1ピン穴
154 第2ピン穴
156 第3ピン穴
158 第4ピン穴
160 第1ドリルガイド穴
162 第2ドリルガイド穴
164 第3ドリルガイド穴
166 第4ドリルガイド穴
168 受口(受部)
170 第2ピン
172 第1ピンドライバ
176 第2ピンドライバ
178 第3固定ピン
190 前方切断部(前方面)
208 第3ピン
210 第4ピン
242 深さゲージ
252,254 ドリルガイド位置決柱
300 試行品
310 インパクタ
312 インパクタハンドル
314 バンパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.顆間窩部(11)、近位部(96)、及び遠位部(98)と、
b.前記顆間窩部(11)から前記近位部(96)へと延在し、内側部(13)及び側方部(17)を有する上面(14)と、
c.前記内側部(13)と前記側方部(17)との間に湾曲した外面を形成する外側の溝(12)と、
d.前記顆間窩部(11)に連結され、前記上面(14)の反対側にあるほぼ平坦な下面(16)と、
e.前記ほぼ平坦な下面(16)に連結された少なくとも1つの前方釘(18)と、
f.前記ほぼ平坦な下面(16)に連結された少なくとも1つの遠位釘(19)と、
を備える膝蓋大腿関節インプラント。
【請求項2】
窪み(15)をさらに備える請求項1に記載の膝蓋大腿関節インプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2011−224389(P2011−224389A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148241(P2011−148241)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【分割の表示】特願2008−512553(P2008−512553)の分割
【原出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(397071355)スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド (186)
【出願人】(507383699)
【Fターム(参考)】