説明

膵臓癌を処置するための方法

本開示は、プロガストリンに特異的に結合する抗体を用いた癌を使用した被験者において膵臓癌を処置する方法に向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本願は、仮出願第61/293,612号(2010年1月8日出願)の35 U.S.C. § 119(e)下の利益を主張し、その内容がその全体において参照により組み入れられる。
【0002】
2.配列リスト、表、又はコンピュータプログラムの参照
配列リストを本明細書と同時に提出する。
【0003】
3.発明の属する技術分野
本開示は、とりわけ、プロガストリンについて特異的な抗体を含む組成物を被験者に投与することにより原発性及び/又は転移性膵臓癌を伴う被験者を処置する方法に向けられる。
【0004】
4.背景
数十年の基礎及び臨床研究にもかかわらず、癌は人類の最も大きな災難の1つのままである。世界保健機関(WHO)により回収された統計によると、癌は世界中の主な死亡原因の1つであり、2004年に740万人(又はその年の全ての死亡の約13%)が死んだ。何が癌を起こすか、及び、癌が分子レベルでどのように作用するのかに関して多くのことが学ばれてきたが、癌の死亡率における最も大きな低下は、公衆衛生介入(例えば禁煙キャンペーンなど)ならびに画像テクノロジー及び分子診断における進歩により可能になった早期診断に起因しうるままである。癌細胞を実際に殺す難しい仕事については、しかし、臨床医は、依然として、一世代前の癌専門医が精通してきたであろう治療様式(例えば手術、放射線、及び化学療法など)に頼っている。全てのこれらの処置の効力が長年にわたり改善されてきたが、治癒率における改善及び寿命における増加は漸進的である。分子腫瘍学における革命に起因する新たな標的治療さえ、大半の部分について、そこそこに転帰を改善してきただけである。
【0005】
膵臓癌(膵臓の悪性新生物)は、処置するのが特に困難な形態の癌である。なぜなら、それは、典型的には、もはや処置できなくなるまで、未検出で進行するからである(Jemal et al., 2008, CA Cancer J. Clin.58(2):71-96)。予後は不良である。膵臓癌と診断された者の5%未満が、依然として、診断後5年間生存しており(Jemal et al., 2010, CA Cancer J. Clin.60(5):277-300)、完全寛解はまれである(Ghaneh et al., 2007, Gut 56(8):1134-1152)。診断からの生存期間中央値はわずか3〜6ヶ月間である(Stathis & Moore, 2010, Nat.Rev.Clin.Oncol.7(3):163-172)。2010年に、米国単独における約43,000人の個人が膵臓癌と診断され、約36,800人がこの疾患で死亡していると推定されている(www.cancer.gov/cancertopics/types/pancreaticを参照のこと)。膵臓癌は毎年診断される新たな癌症例のわずか2.5%を占めるが、それは、年間の癌死亡の6%に関与し(Jemal et al., 2007, Cancer J. Clin.57(1):43-46)、全ての癌の最も高い致死率の1つを表している。実際に、米国では、膵臓癌は、男性及び女性の間で4番目に高い癌による死因である。
【0006】
癌を管理する別の困難な局面は、原発性(最初の)腫瘍からの細胞が壊れて遊離し、身体内の別の部位へ、典型的にはリンパ又は血液を通じて、「転移」と呼ばれるプロセスを介して移動し、別の転移性(又は二次性)腫瘍を形成する患者を処置することである。二次性又は転移性腫瘍は、典型的には、最初の腫瘍と同じ型であり(その新たな部位とは無関係に)、疾患は転移癌として言及され、新たな居住組織の癌ではない。例えば、肝臓に広がった膵臓癌は、転移性膵臓癌であり、肝臓癌ではない。原発性膵臓癌はしばしば後のステージまで診断されないため、転移の発生率は高い。実際に、患者の約80%が診断時に既に転移を有する(Sohn et al., 2000, J. Gastrointest. Surg. 4(6):567-579)。
【0007】
転移は処置の選択肢を限定する。なぜなら、原発腫瘍の切除又は除去はもはや十分な処置の選択肢ではないからである。ゲムシタビンベースの化学療法は、現在、転移性疾患を伴う任意の患者のためのケアの標準を表す。ゲムシタビンを用いて処置された転移性疾患を伴う患者の生存は、わずか約6ヶ月間である(研究によっては、4.0〜7.1ヶ月間の範囲)。組み合わせ処置、例えば、化学療法(オキサリプラチン、5FU、又はイリノテカン)を伴うゲムシタビン、又は標的治療(エルロチニブ、ベバシズマブ、又はセツキシマブ)を伴うゲムシタビンを用いた現在の治験では、わずか1〜2ヶ月間の生存延長が報告されている(Sathis & Moore, 2000, Nat. Rev. Clin. Oncol. 7(3):163-172)。
【0008】
原発性膵臓癌及び転移性膵臓癌のための処置の選択肢における適度な進歩が近年ではなされてきたが(同上を参照のこと)、代替の及び/又はより効果的な治療が依然として差し迫って必要である。
【0009】
5.要約
ガストリンは、胃酸の分泌を刺激する消化管ペプチドホルモンである。成体の哺乳動物において、それは主に胃前庭部においてG細胞により、ならびに上部小腸及び膵臓においてある程度産生される。図1を参照すると、ガストリン遺伝子は、101アミノ酸ポリペプチド(「プレプロガストリン」と呼ばれる)に翻訳され、それは、切断されて、プロガストリン(「PG」)(80アミノ酸残基ポリペプチド)を生じるシグナル配列(下線)を含む。ガストリンは、主に3つの形態G34、G17、及びG14(例証せず)で見出され、プロガストリンプロセシングに起因する。
【0010】
アミド化ガストリンの存在が膵臓腫瘍において観察されてきた(Goetze et al., 2000, Cancer 88(11):2487-2494)。研究者らは、膵臓腫瘍を処置するための抗ガストリンアプローチを使用することを試みてきた(例、Chau et al., 2006, Br. J. Cancer 94:1107-1115;Brett et al., 2002, J. Clin. Oncol. 20:4225-4231を参照のこと)。また、膵臓癌に苦しむ患者がそれらの膵臓腫瘍において検出可能なレベルのプロガストリンを有することが観察されている(Caplin et al., 2000, Br. J. Surg.87(8):1035-1040)。現在、抗プロガストリンアプローチを使用して、原発性及び転移性の両方の膵臓癌を診断、モニター、及び処置することができることが発見されている。本明細書において初めて実証する通り、原発性及び転移性の両方の膵臓癌を伴う患者が、プロガストリンの上昇した血漿及び/又は血清レベルを有し、原発性及び転移性膵臓腫瘍に由来する細胞株の増殖が、プロガストリンに特異的に結合する抗体を用いて処置された場合に阻害される(低付着条件下で癌球を形成するそれらの能力と同様に)。これらの発見は、膵臓癌の再発を診断、処置、防止し、その進行及び/又は処置の経過をモニターするための強力な新たなツールを提供する。
【0011】
したがって、一局面において、本開示は、膵臓癌(それは原発性膵臓癌又は転移性膵臓癌でありうる)を処置する方法を提供し、原発性又は転移性膵臓癌と診断された被験者に、治療的利益を提供するために効果的な、プロガストリンに特異的に結合する抗体(「抗PG抗体」)の量を投与することを含む。抗PG抗体を単独で、単剤療法として、又は他の処置様式(例えば腫瘍切除、放射線治療、化学療法など)と併せて、又はその補助として投与してもよい。
【0012】
腫瘍切除と併せて、又はその補助として使用した場合、抗PG抗体を、腫瘍の除去の前及び/又は後に投与してもよく、腫瘍除去に続く特定の期間にわたり、特定の閾値レベルを下回る血漿及び/又は血清プロガストリンレベルが達成されるまで、あるいは特定の期間にわたる血漿及び/又は血清プロガストリンにおける減少が達成されるまで継続してもよい。
【0013】
化学療法と併せて、又はその補助として使用した場合、抗PG抗体を、化学療法の前に、化学療法と同時に、又は化学療法の後に投与してもよい。再び、抗PG抗体を、特定の期間にわたり、特定の閾値レベルを下回る血漿及び/又は血清プロガストリンレベルが達成されるまで、あるいは特定の期間にわたる血漿及び/又は血清プロガストリンにおける減少が達成されるまで投与してもよい。
【0014】
以下により詳細に考察される通り、原発性及び/又は転移性膵臓癌と診断された患者は、PGの上昇した血漿及び/又は血清レベルを有する。例えば、図4を参照すると、健常個人におけるプロガストリンの血清及び/又は血清レベルは、典型的には、無視できる。膵臓癌に苦しむ個人は、約50pMの測定可能レベルを有する。この発見は、膵臓癌の診断及び管理においていくつかの有用で重要な新たなツールをもたらす。
【0015】
第1に、膵臓癌は診断することが困難でありうるため、測定したPG血漿及び/又は血清レベルを他の診断テストと併せて使用し、膵臓癌の診断を確認する、又は初期診断において助けることができる。例えば、膵臓癌の徴候(存在する場合)は、多くの他の病気の徴候と同様であることが一般に公知である。一般的な症状は、背中に放射する上腹部における疼痛、食欲の喪失及び/又は嘔気と嘔吐、有意な体重減少、及び無痛性黄疸を含む。あまり一般的ではない症状は、遠位静脈血栓症及び肺塞栓症、糖尿病、ならびに膵炎を含む。早期検出はより多くの処置の選択肢及びより良い予後を提供するため、血漿及び/血清PGレベルを、これら及び/又は膵臓癌の他の症状を呈する患者において測定し、診断を助けうるが、ここで、上昇レベル、例えば、約50pMの又はそれを上回る血漿及び/又は血清レベルは、患者が膵臓癌を有することを示しうる。
【0016】
診断を助けるために血漿及び/又は血清PGレベルを測定することは、膵臓癌についてのリスク因子(限定しないが、喫煙、食事及び環境因子を含む)、Hピロリ感染、メタボリックシンドローム(例、肥満、耐糖能障害、長期糖尿病)、及び家族歴(膵臓癌を伴う患者の約5〜10%を占める)を示す被験者において特に有用でありうる(Maisonneuve & Lowenfels, 2010, Dig.Dis.28(4-5):645-656)。そのような又は他のリスク因子を示す被験者における血漿及び/又は血清PGレベルを、定期的にモニターすることができ、観察された経時的な増加、あるいは約50pMの閾値の又はそれを上回る観察されたレベルを伴い、個人が膵臓癌を発生しうることを示す。リスクのある個人のそのようなモニタリングは、疾患の早期検出において役立ち、より良い処置の選択肢を提供しうる。
【0017】
第2に、測定した血漿及び/又は血清PGレベルを使用し、任意の膵臓癌治療(本明細書に記載する抗PG治療を含む)の有効性、及び/又は潜在的な再発もしくは転移をモニターすることができる。操作の任意の特定の理論により拘束されることを意図しないが、腫瘍が治療の経過にわたり収縮するにつれて、血漿及び/又は血清PGレベルが減少し、正常に戻りうることが予測される。
【0018】
このように、別の局面において、開示は、被験者において膵臓癌(原発性膵臓癌又は転移性膵臓癌を問わず)の処置の効力及び/又は再発を診断及び/又はモニターするために有用な方法を提供する。この方法は、一般的に、関連する被験者においてPGの血漿及び/又は血清レベルを別々の時間点で、又は期間にわたり測定すること、及び、レベルが閾値レベルを上回っている又は下回っているか、あるいは経時的に増加又は減少するかを決定することを含む。閾値レベルを上回るレベル、膵臓癌を発生するリスクのある被験者において又は膵臓癌に関連する1つ又は複数の症状を示す被験者において経時的に増加するレベルは、被験者が膵臓癌を有することを示している。閾値レベルを下回る、又は経時的に減少するレベルは、特定の治療が効果的であることを示している。膵臓癌を有する患者の短い生存時間の観点から、測定値を、合理的に、しばしば、例えば、2週間毎に1回、又はさらにより短い間隔で取るべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、ヒトプレプロガストリン(配列番号100)(そこでシグナルペプチド配列に下線が付いている)、成熟ヒトプロガストリン(配列番号20)、及びプロガストリンプロセシングの特定産物(G34(配列番号102)、G34−Gly(配列番号103)、G17(配列番号104)、G17−Gly(配列番号105)、及びCTFP(配列番号106)を含む)のアミノ酸配列を提供する。
【図2A】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Aは、マウス抗hPG MAb3のV鎖のポリペプチド配列(配列番号12)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号16)を提供する;
【図2B】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Bは、マウス抗hPG MAb3のV鎖のポリペプチド配列(配列番号13)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号17)を提供する;
【図2C】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Cは、マウス抗hPG MAb4のV鎖のポリペプチド配列(配列番号14)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号18)を提供する;
【図2D】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Dは、マウス抗hPG MAb4のV鎖のポリペプチド配列(配列番号15)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号19)を提供する;
【図2E】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Eは、マウス抗hPG MAb8のV鎖のポリペプチド配列(配列番号59)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号67)を提供する;
【図2F】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Fは、マウス抗hPG MAb8のV鎖のポリペプチド配列(配列番号63)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号71)を提供する;
【図2G】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Gは、マウス抗hPG MAb13のV鎖のポリペプチド配列(配列番号60)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号68)を提供する;
【図2H】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Hは、マウス抗hPG MAb13のV鎖のポリペプチド配列(配列番号64)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号72)を提供する;
【図2I】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Iは、マウス抗hPG MAb16のV鎖のポリペプチド配列(配列番号61)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号69)を提供する;
【図2J】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Jは、マウス抗hPG MAb16のV鎖のポリペプチド配列(配列番号65)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号73)を提供する;
【図2K】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Kは、マウス抗hPG MAb19のV鎖のポリペプチド配列(配列番号62)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号70)を提供する;そして
【図2L】図2は、特定の例示的なマウス抗hPGモノクローナル抗体の可変軽鎖及び可変重鎖のポリヌクレオチド及びアミノ酸配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図2Lは、マウス抗hPG MAb19のV鎖のポリペプチド配列(配列番号66)及びそれをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号74)を提供する。
【図3A】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Aは、ヒト化MAb3のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号21);
【図3B】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Bは、ヒト化MAb3のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号22);
【図3C】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Cは、ヒト化MAb4のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号23);
【図3D】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Dは、ヒト化MAb4のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号24);
【図3E】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Eは、ヒト化MAb8(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号75);
【図3F】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Fは、ヒト化MAb8(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号76);
【図3G】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Gは、ヒト化MAb8(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号77);
【図3H】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Hは、ヒト化MAb8(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号78);
【図3I】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Iは、ヒト化MAb8(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号79);
【図3J】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Jは、ヒト化MAb8(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号76);
【図3K】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Kは、ヒト化MAb13(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号80);
【図3L】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Lは、ヒト化MAb13(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号81);
【図3M】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Mは、ヒト化MAb13(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号82);
【図3N】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Nは、ヒト化MAb13(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号83);
【図3O】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Oは、ヒト化MAb16(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号84);
【図3P】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Pは、ヒト化MAb16(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号85);
【図3Q】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Qは、ヒト化MAb16(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号86);
【図3R】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Rは、ヒト化MAb16(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号87);
【図3S】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Sは、ヒト化MAb16(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号88);
【図3T】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Tは、ヒト化MAb16(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号89);
【図3U】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Uは、ヒト化MAb19(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号90);
【図3V】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Vは、ヒト化MAb19(a)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号91);
【図3W】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Wは、ヒト化MAb19(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号92);
【図3X】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Xは、ヒト化MAb19(b)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号93);
【図3Y】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Yは、ヒト化MAb19(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号94);そして
【図3Z】図3は、本明細書に記載する、選択された抗hPGモノクローナル抗体のヒト化可変重鎖及び軽鎖についての予測ポリペプチド配列を提供する。各々の場合において、3つのCDRを太字の下線付きテキストで示す。具体的には:図3Zは、ヒト化MAb19(c)のV鎖の予測アミノ酸配列を提供する(配列番号95)。
【図4】図4は、健常コントロールと比較した、原発性(M−)又は転移性(M+)膵臓癌を伴う患者からの血漿又は血清中のプロガストリン濃度を例証するグラフを提供する。
【図5】図5は、種々の型の原発性及び転移性膵臓癌細胞株におけるプロガストリンの発現レベルを例証するグラフを提供する。
【図6】図6は、種々の型の原発性及び転移性膵臓癌細胞株によるプロガストリン分泌を例証するグラフを提供する。
【図7】図7は、ネガティブコントロールモノクローナル抗体と比較した、Capan 1細胞(転移性膵臓腫瘍細胞)に対する例示的な抗hPG MAb3の抗増殖特性を比較するグラフを提供する。
【図8】図8は、ネガティブコントロールモノクローナル抗体と比較した、BxPC 3細胞(原発性膵臓腫瘍細胞)に対する例示的な抗hPG MAb8の抗増殖特性を比較するグラフを提供する。
【図9】図9は、ネガティブコントロールモノクローナル抗体と比較した、MIA PaCa2細胞(原発性膵臓腫瘍細胞)に対する例示的な抗hPG MAb8の抗増殖特性を比較するグラフを提供する。
【図10】図10は、未処理コントロール細胞と比較した、低付着条件下で癌球を形成するCapan 1細胞(転移性膵臓腫瘍細胞)の長期能力に対する例示的な抗hPG MAb3の阻害特性を実証するグラフを提供する。
【図11】図11は、未処理コントロール細胞と比較した、低付着条件下で癌球を形成するSU.86.86細胞(転移性膵臓腫瘍細胞)の長期能力に対する例示的な抗hPG MAb8、MAb13、MAb16、及びMAb19の阻害特性を実証するグラフを提供する。
【0020】
7.詳細な説明
7.1 膵臓癌
膵臓(長さ約6インチの細い腺)は2つの主な機能を有する:食物を消化するのを助ける分泌液を産生し、血糖レベルを制御するのを助けるホルモン(例えばインシュリン及びグルカゴンなど)を産生する。消化分泌液は外分泌膵臓細胞により、ホルモンは内分泌膵臓細胞により産生される。膵臓癌の約95%又はそれ以上が、外分泌細胞において生じる(Yao et al., 2007, Oncology 14(12):3492-3450)。外分泌膵臓癌の内、約95%が腺癌であり、残り5%には腺扁平上皮癌、印環細胞癌、肝様癌、コロイド癌、未分化癌、及び破骨細胞様巨細胞を伴う未分化癌を含むがある(http://pathology.jhu.edu/pancreas/BasicTypes1.phpを参照のこと)。
【0021】
初期膵臓癌は、しばしば、症状を起こさず(Jemal et al., 2008, CA Cancer J. Clin.58(2):71-96)、後期膵臓癌により起こされる症状は通常変動し、非特異的である(Stathis & Moore, 2010, Nat. Rev. Clin. Oncol.7(3):163-172)。結果として、膵臓癌は、しばしば、それが進行するまで診断されない(Jemal et al., 2008, CA Cancer J. Clin. 58(2):71-96)。一般的な症状は、限定しないが、上腹部における疼痛及び背痛、食欲の喪失及び/又は嘔気と嘔吐、有意な体重減少、無痛性黄疸、遠位静脈血栓症、肺塞栓症、ならびに糖尿病及び/又は膵炎を含む。
【0022】
種々のリスク因子は膵臓癌に関連し、限定しないが、喫煙;長期にわたる糖尿病;慢性膵炎;ならびに特定の遺伝性疾患、例えば遺伝性膵炎、多発性内分泌腫瘍1型症候群、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC;リンチ症候群)、フォン・ヒッペル・リンダウ症候群、毛細血管拡張性運動失調症、及び家族性非定型多発性モルメラノーマ症候群(FAMMM)を含む。
【0023】
膵臓癌を診断するために使用される診断手順は、画像研究、例えばコンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像(MRI)、陽電子放射断層撮影(PET)スキャン、内視鏡超音波(EUS)、腹腔鏡検査、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)、及び経皮経肝胆管造影(PTC)などを含む。しかし、確定診断は、放射線学的に疑わしい組織の内視鏡下針生検又は外科的切除により行われる。これらの種々の診断技術を、また、癌を病期分類するために使用し、それは処置の選択肢に影響を及ぼす。以下のステージを一般に使用し、膵臓癌を評価する:
ステージ0(上皮内癌):このステージにおいて、異常細胞が膵臓の内膜において見出される。これらの異常細胞は癌性になり、周囲組織に広がりうる。
ステージI:このステージにおいて、癌が形成し、膵臓だけで見出される。ステージIは、さらに、腫瘍のサイズに依存して、2つのサブステージに分割される:ステージIA(腫瘍が2cm又はそれより小さい)及びステージIB(腫瘍が2cmより大きい)。
ステージII:このステージにおいて、癌は近くの組織及び臓器に広がっており、リンパ節に広がっているであろう。このステージは、さらに、癌がどこに広がっているかに基づいてサブステージに分割される。ステージIA(近くの組織及び臓器に広がっているが、しかし、リンパには広がっていない);及びステージIIB(リンパならびに恐らくは他の近くの組織及び臓器に広がっている)。
ステージIII:このステージにおいて、癌は膵臓近くの主要血管に広がっており、また、近くのリンパ節に広がっている。
ステージIV:このステージにおいて、癌は任意のサイズでありうるが、遠隔組織及び臓器(例えば肝臓、肺、及び腹腔など)に広がっている(即ち、癌は転移している)。
【0024】
3つの主な処置の選択肢があり(手術、放射線治療、及び化学療法)、それはステージにより変動する。ステージI及びステージIIの原発性膵臓癌のための処置は、ゲムシタビン又は5FUレジメンに基づく補助化学療法を伴う手術(放射線治療を伴う又は伴わない)を含みうる。
【0025】
しばしば、原発性膵臓癌が処置に続いて再発する(再発性膵臓癌と呼ばれる)。ゲムシタビンベースの化学療法は、また、一般的に、再発性の局所進行膵臓癌を伴う患者のために使用され、時折、放射線又は化学放射線が続く。
【0026】
7.2 転移
バックグラウンドのセクションにおいて記述する通り、転移は、癌が広がるプロセスを指す。簡単には、腫瘍細胞は、原発腫瘍を離れ、血液循環又はリンパ系を介して新たな組織部位へ移動し、二次腫瘍を形成する。新たな組織部位の腫瘍は転移性腫瘍として言及され、典型的には、原発腫瘍の供給源を同定する。例えば、他の組織に広がっている膵臓癌は、二次性の転移性腫瘍の組織部位にかかわらず、「転移性膵臓癌」として言及される。
【0027】
癌細胞は原発腫瘍の近くのリンパ節に頻繁に広がり、それはリンパ節転移又は局所疾患と呼ばれる。
【0028】
転移は多数の別々のステップからなる:浸潤及び遊走、脈管内への侵入、循環、血管外遊出及びコロニー形成、増殖及び血管新生。浸潤及び遊走の間に、個々の細胞は原発腫瘍から剥離し、隣接する健常組織に浸潤する。これを達成するために、腫瘍細胞は運動性にならなければならず、上皮から間葉への移行と呼ばれる表現型の形質転換を受けると仮定される。Kalluri et al., 2009, J. Clin.Invest.119(6): 1420-28.また、そのような細胞は、しばしば、細胞外マトリックスを分解する酵素を産生し、それにより、原発腫瘍外への及び周囲の健常組織中への遊走を促進する。腫瘍細胞が血管又はリンパ管に遭遇すると、それは、血管を覆う内皮細胞の間にそれ自体を挿入し、血流又はリンパ系中に侵入する。異常腫瘍細胞は、次に、循環器系又はリンパ系を介して新たな臓器に又はリンパ節に移動する。腫瘍細胞は、次に、臓器(例えば肝臓、肺、又は他の組織もしくは臓器など)の毛細血管又はリンパ管に留まり、次に、組織空間中へ内皮に侵入することにより血管外遊出しうる。最後に、コロニー形成、増殖、及び血管新生の間に、腫瘍細胞はその新たな宿主組織中に居を定めて、成長を始める。新たな転移性腫瘍が十分なサイズに達すると、それは、成長因子(例えばVEGFなど)を分泌し、腫瘍中への新たな血管の成長を刺激し、急速に成長する腫瘍に酸素及び栄養を供給しうる。
【0029】
腫瘍は、転移を介してほぼ全ての身体の部位に広がることができる。局所再発、肝臓転移、及び腹膜伝播は、膵臓腫瘍の切除後での最も一般的な再発部位である。典型的な局所領域浸潤が、膵後方神経組織、十二指腸、門脈(PV)、及び上腸間膜静脈(SMV)、又は所属リンパ節において見出される。膵臓癌における遠隔転移の最も通常の部位は、肝臓及び腹膜腔である。他のあまり一般的ではない部位は、肺、骨、及び脳である。まれな部位、例えば筋肉、皮膚、心臓、胸膜、胃、臍、腎臓、虫垂、精索、及び前立腺なども報告されている(Howard, 1996, Curr. Prob.l Cancer 20(5):281-328;Borad et al., 2009, Yale J. Biol.Med.82(1):1-6)。
【0030】
7.3 原発性及び転移性膵臓癌のための処置
膵臓癌と診断された患者は、典型的には、不良な予後を有する。部分的には、なぜなら、膵臓癌は、通常、早期に症状を起こさず、診断時に局所的に進行した又は転移性の疾患に至るからである。処置の選択肢(上に考察する)は、診断時の疾患のステージに依存する。
【0031】
7.4 抗hPG抗体ならびに原発性及び転移性膵臓癌に対するそれらの効果
本明細書に開示する通り、膵臓癌を伴う被験者は、それらの膵臓腫瘍においてプロガストリンの検出可能なレベルを有することが報告されている(Caplin et al., 2000, Br. J. Surg.87(8):1035-1040)。本明細書に報告し、実施例のセクションにおいて考察するデータは、膵臓癌細胞株BxPC−3、MIA PaCa−2、Capan 1、及びSU.86.86が、プロガストリンをコードする遺伝子(GAST)についてのmRNAを発現すること(実施例7)、また、膵臓癌細胞株がプロガストリンを分泌することを実証する(実施例8)。原発性及び転移性の両方の膵臓癌を伴う患者が、プロガストリンの上昇した血漿及び/又は血清レベルを有すること(実施例6)、原発性及び転移性膵臓腫瘍に由来する細胞の成長が、ヒトプロガストリン(「hPG」)に特異的に結合する抗体を用いた処理により阻害されること(実施例9、10、及び11)、及び、低付着培養条件下で腫瘍球として成長する膵臓癌細胞の能力が、抗hPG抗体を用いた前処理に続いて有意に低下すること(実施例12)が現在発見されている。これらの驚くべき励みになる発見に基づき、そのような抗hPG抗体を使用し、膵臓癌の診断を助け、膵臓癌の処置計画の効力をモニターし、発生の任意のステージの膵臓癌(原発性及び転移性の両方の膵臓癌を含む)を処置し、膵臓癌の再発を防止しうることが期待される。
【0032】
Hollande et al.により最近実証された通り、プロガストリンは、ICAT(ベータ−カテニン/Tcf−4シグナル伝達のネガティブ調節因子)を抑制することにより結腸直腸癌細胞のベータ−カテニン/Tcf−4経路を刺激する(WO 2007/135542を参照のこと)。ベータ−カテニン/Tcf−4シグナル伝達は細胞増殖を起こす。このシグナル伝達の非存在において、それらは分化し、正常な細胞周期(プログラムされた細胞死、又はアポトーシスを含む)を受ける。Hollande et al.は、また、そのような細胞を抗hPG抗体に曝露させることで、ベータ−カテニン/Tcf−4誘導性増殖が遮断されること、CRC細胞の成長又は増殖が阻害されることを実証している(例、WO 2007/135542を参照のこと)。プロガストリンを用いた処理又はそれへの曝露に応答して増殖する細胞は、内因性に産生される又は外因性であるに関わらず、それにおいて増殖が、抗PG抗体を用いた処理又はそれへの曝露時に阻害され、本明細書において「プロガストリン感受性」として言及される。
【0033】
上に記述する通り、原発性及び転移性の両方の腫瘍細胞がプロガストリン感受性であり、抗PG抗体を用いた処理又はそれへの曝露に応答することが発見されている。操作の任意の理論により拘束されることを意図しないが、抗PG抗体は、PGに結合し、その推定受容体とのその相互作用を遮断し、順に、増加したICAT発現に起因するベータ−カテニン/Tcf−4誘導性増殖を抑止することによりそれらの抗増殖特性を発揮すると考えられる。他の機構(それにより抗PG抗体が原発性及び/又は転移性癌細胞の生存及び/又は成長に干渉しうる)も可能であり、本明細書に開示する本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0034】
7.5 治療的方法
したがって、一局面において、本開示は、膵臓癌に苦しんでいる又はそれと診断された被験者を処置する方法を提供する。この方法は、被験者に、治療的利益を提供するために効果的な1つ又は複数の抗PG抗体の量を投与することを含む。抗PG抗体を一般的に、及び方法において有用な特異的抗PG抗体を、後のセクションにおいて詳細に記載する。
【0035】
処置される被験者は、任意の動物、例えば、哺乳動物、例えば農場動物(例、ウシ、ブタ、ウマなど)もしくは家畜化したペット(例、イヌ、ネコなど)、又はヒトでありうる。投与される抗PG抗体は、処置されている動物の種について特異的であるべきである。ヒト被験者の処置のために、抗PG抗体は、ヒトプロガストリン(本明細書において「抗hPG抗体」として言及され、以下により詳細に記載する)に特異的に結合すべきである。
【0036】
処置される膵臓癌は、発生の任意のステージ、ステージ0からステージI、ステージII、ステージIII、又はさらにはステージIVでありうる。実際に、本明細書に記載する抗PG治療の有意な利点は、それが、転移性膵臓腫瘍ならびに原発性膵臓腫瘍に対して効果的であると期待されることであり、それにより、発生の後のステージにおいてでさえ膵臓癌を有する患者に利益を提供する。また、膵臓癌の再発を防止することが期待される。
【0037】
抗PG治療を単独で、単剤療法として、又は膵臓癌の特定のステージを処置するために一般的に使用される他の治療と組み合わせてもしくはその補助として使用することができる。そのような一般的な処置が上に記述されており、例えば、ゲムシタビン、5FU、又は他の化学療法剤を用いた化学療法、及び標的治療(例えばベバシズマブを用いた処置など)を含む。特定の実施態様において、抗PG治療を、腫瘍細胞を標的とする他の抗体(例えばベバシズマブなど)を用いた処置と組み合わせて、又はその補助として適用する。他の処置と組み合わせて使用する場合、抗PG抗体及び他の治療を同時に、連続的に、又は別々に投与することができる。
【0038】
本明細書において使用する通り、抗hPG抗体及び第2の治療用薬剤が、それらが患者に同じ日、例えば同じ患者の来診の間に投与される場合、連続的に投与されると言われる。連続投与は、1、2、3、4、5、6、7、8時間又はそれ以上離して生じうる。対照的に、抗PG抗体及び第2の治療用薬剤が、それらが異なる日に患者に投与される場合、別々に投与されると言われる。例えば、抗PG抗体及び第2の治療用薬剤は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、又は1ヶ月間の間隔で投与することができる。抗PG抗体の投与は、第2の治療用薬剤の投与に先行する又は続くことができる。
【0039】
あるいは、抗PG抗体及び第2の治療用薬剤を、期間にわたり同時に投与することができ、抗PG抗体及び第2の治療用薬剤の投与を交代させる第2の期間が続く。
【0040】
同様に、抗PG抗体を、可能な場合、腫瘍の外科的除去と組み合わせて、又はその補助として投与することができる。抗PG抗体を、腫瘍の除去の前、その間、又はその後に投与してもよい。
【0041】
7.6 医薬的組成物
抗PG抗体は、典型的には、医薬的製剤又は組成物の形態で投与されうる。そのような製剤又は組成物は、場合により、追加の活性及び/又は治療用薬剤を含みうる(当技術分野において公知の通り)。製剤は、典型的には、医薬的に許容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤を含みうる。使用される特定の担体、賦形剤、及び/又は希釈剤は、所望の投与様式に依存しうる。この組成物は、患者にそれを投与する所望の方法に依存して、任意の適した形態でありうる。
【0042】
抗PG抗体は、種々の経路により、典型的には、非経口的に、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、又は筋肉内注射を介して被験者に投与することができる。投与は、1つ又は複数のボーラス注射として、あるいは1つ又は複数の注入としてもたらすことができる。他の投与経路が、また、当業者の知識に従って可能である。任意の所与の場合における最も適した投与経路は、特定の抗体、被験者、及び処置される膵臓癌のステージに依存しうる。
【0043】
医薬的組成物は、用量当たりに抗PG抗体の所定量を含む単位用量形態で便利に提示することができる。そのような単位は、限定しないが、5mg〜5g、例えば10mg〜1g、又は20〜50mgを含みうる。
【0044】
医薬的組成物は、所望の純度を有する抗体を、当技術分野において典型的に用いられる任意の医薬的に許容可能な担体、賦形剤、又は安定剤(それらの全てが本明細書において「担体」として言及される)、即ち、緩衝化薬剤、安定化薬剤、保存剤、等張剤、非イオン性界面活性剤、酸化防止剤、及び他の種々の添加剤を混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液としての保存のために調製することができる。Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition (Osol, ed.1980)を参照のこと。そのような添加剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに非毒性であるべきである。
【0045】
緩衝化薬剤は、生理的条件に近似する範囲内のpHを維持するために役立つ。それらは約2mM〜約50mMの範囲の濃度で存在することができる。本開示を用いた使用のための適した緩衝化薬剤は、有機酸及び無機酸の両方ならびにその塩、例えばクエン酸緩衝剤(例、クエン酸一ナトリウム−クエン酸二ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸一ナトリウム混合物など)、コハク酸緩衝剤(例、コハク酸−コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸−水酸化ナトリウム混合物、コハク酸−コハク酸二ナトリウム混合物など)、酒石酸緩衝剤(例、酒石酸−酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸−酒石酸カリウム混合物、酒石酸−水酸化ナトリウム混合物など)、フマル酸塩緩衝剤(例、フマル酸−フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸−フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム−フマル酸二ナトリウム混合物など)、グルコン酸緩衝剤(例、グルコン酸−グルコン酸ナトリウム混合物、グルコン酸−水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸−グルコン酸カリウム混合物など)、シュウ酸緩衝剤(例、シュウ酸−シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸−水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸−シュウ酸カリウム混合物など)、乳酸緩衝剤(例、乳酸−乳酸ナトリウム混合物、乳酸−水酸化ナトリウム混合物、乳酸−乳酸カリウム混合物など)、及び酢酸緩衝剤(例、酢酸−酢酸ナトリウム混合物、酢酸−水酸化ナトリウム混合物など)などを含む。加えて、リン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、及びトリメチルアミン塩(例えばTrisなど)を使用することができる。
【0046】
保存剤を加えて、微生物の成長を遅らせることができ、0.2%−1%(w/v)の範囲の量で加えることができる。本開示を用いた使用のための適した保存剤は、フェノール、ベンジルアルコール、メタクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンザルコニウムハロゲン化物(例、塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、塩化ヘキサメトニウム、及びアルキルパラベン(例えばメチル又はプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、及び3ペンタノールなど)を含む。
【0047】
等張剤(時折「安定剤」として公知である)を加えて、本開示の液体組成物の等張性を確実にしてもよく、多価糖アルコール、例えば、三価又はそれより高い糖アルコール(例えばグリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、及びマンニトールなど)を含む。安定剤は、機能において、増量剤から添加剤(治療用薬剤を安定化する、又は、変性もしくは容器壁への付着を防止することを助ける)に及びうる広範なカテゴリーの賦形剤を指す。典型的な安定剤は、多価糖アルコール(上に列挙);アミノ酸(例えばアルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンなど)、有機糖又は糖アルコール(例えばラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロールなど)、シクリトール(例えばイノシトールなど)を含む;ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;含硫の還元剤(例えば尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、αモノチオグリセロール、及びチオ硫酸ナトリウムなど);低分子量ポリペプチド(例、10残基又はそれより少ないペプチド);タンパク質(例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなど);親水性ポリマー(例えばポリビニルピロリドンなど)単糖類(例えばキシロース、マンノース、フルクトース、グルコースなど);二糖類(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース)、及び三糖類(例えばラフィノースなど);及び多糖類(例えばデキストランなど)でありうる。安定剤は、活性タンパク質重量部当たり0.1〜10,000重量部の範囲で存在することができる。
【0048】
非イオン性界面活性物質又は界面活性剤(「湿潤剤」としても公知である)を加えて、治療用薬剤を可溶化し、ならびに、撹拌誘導性の凝集に対して治療的タンパク質を保護するのを助けることができ、それは、また、タンパク質の変性を起こすことなく、製剤が剪断面に曝露されることを許す。適した非イオン性界面活性物質は、ポリソルベート(20、80など)、ポリオキサマー(184、188など)、プルロニックポリオール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)80など)を含む。非イオン性界面活性物質は、約0.05mg/ml〜約1.0mg/ml、例えば、約0.07mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲で存在しうる。界面活性物質は、しかし、抗体に結合する傾向を有し、それらの立体構造を損ないうる。従って、使用する場合、安定化濃度は低く、実験的に識別しなければならない。
【0049】
追加の種々の賦形剤は、キレート剤(例、EDTA)、酸化防止剤(例、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)、及び共溶媒を含むことができる。
【0050】
7.7 効果的な投与量
抗PG抗体を、被験者に、治療的利益を提供するために十分な又は効果的な量で投与する。原発性及び/又は転移性膵臓癌を処置する状況において、治療的利益を、以下の1つ又は複数が達成される場合に推論することができる:腫瘍の成長を停止又は減速すること、患者の腫瘍の数及び/又はサイズを低下させること、手術不可能な腫瘍を、それらを外科的に除去することができるサイズ及び位置に収縮させること、寿命を延長させること、及び/又は患者の生活の質を改善させること。
【0051】
完治が望ましいが、治療的利益があれば要求されない。実際に、膵臓癌の診断からの生存中央値はわずか3〜6ヶ月間であるため(Stathis & Moore, 2010, Nat Rev Clin Oncol.7(3):163-72)、この中央値を超える追加の3ヶ月間の個人の生存における延長は、大幅な治療的利益を提供する。例えば、Philip et al., 2009, J. Clin.Oncol.24(33):5660-5669を参照のこと。
【0052】
一部の状況において、治療的利益は、当業者の知識に従い、1つ又は複数のサロゲートエンドポイントと相関しうる。例として、限定しないが、血漿及び/又は血清PG濃度を被験者において経時的に測定することができ、PGレベルにおける低下、又は閾値レベルを下回るレベル、例えば、約50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、又は5pM未満は治療的利益を示している。
【0053】
腫瘍サイズ、数、及び代謝を、種々のスキャン技術(例えば、限定しないが、CT、MRI、機能的MRI、SPECT、及びPETなど)、ならびに当業者に公知の他の方法を使用して測定することができる。
【0054】
全ての遊離PGを結合することが、治療的効力を達成するために要求される訳ではないが、それが望まれうる。遊離PGは、抗PG抗体により結合されるために利用可能であるPGを意味する。むしろ、腫瘍内又は周囲の遊離PGの濃度を全身的に、特に体液又は他においてより限定された範囲まで低下させることも効果的でありうる。遊離PG濃度が抗PG抗体組成物の投与により低下されうる例示的な組織及び体液は、限定しないが、患者から除去された腫瘍サンプル、腹水、胸水からの液体、脳脊髄液、リンパ、血液、血漿、血清、及びその他を含む。これらの組織又は体液の1つ又は複数におけるPGの濃度は、ELISA技術又は当業者が精通する他の技術を使用して定量化することができる。
【0055】
当業者の知識によれば、抗PG抗体の用量を、患者において滴定し、投与後の所定の時間での目的の組織又は体液中での遊離PG濃度を低下させるようにすることができる(少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90、又は100%、あるいは約5%−10%、約10%−15%、約15%−20%、約20%−25%、約25%−30%、約30%−35%、約35%−40%、約40%−45%、約45%−50%、約50%−55%、約55%−60%、約60%−65%、約65%−70%、約70%−75%、約75%−80%、約80%−85%、約85%−90%、又は約90%−95%又は先行する値のいずれかの間の範囲での遊離PG濃度におけるパーセンテージ低下)。
【0056】
投与される抗PG抗体の量は、種々の因子(処置されている膵臓癌のステージ、投与の形態、経路、及び部位、治療レジメン(例、第2の治療用薬剤が使用されるか否か)、処置されている特定の被験者の年齢及び状態、処置されている患者の抗PG抗体への感受性)に依存しうる。適切な投与量は、当業者により容易に決定されることができる。最終的には、臨床医が、使用される適切な投与量を決定する。この投与量は、しばしば、適宜、反復することができる。副作用が発生した場合、投与量の量及び/又は頻度を、通常の臨床診療に従って、変える又は低下させることができる。適当な投与量及び処置レジメンは、当業者に公知の従来の技術を使用して、治療の進行をモニターすることにより確立することができる。
【0057】
効果的な投与量を、最初にインビトロアッセイから推定することができる。例えば、動物における使用のための初回用量を製剤化し、特定の抗PG抗体の結合親和性定数である又はそれを上回る抗PG抗体の循環血液又は血清濃度を達成してもよい。特定の抗体のバイオアベイラビリティを考慮に入れた、そのような循環血液又は血清中濃度を達成するための投与量の算出は、十分に当業者の能力内にある。ガイダンスについては、読者はパート1を参照のこと:General Principles in "Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics," 11th Ed., Hardman, J.G., et al., Eds., McGraw-Hill Professional、及びその中で引用される参考文献。
【0058】
初回投与量は、また、インビボのデータ(例えば動物モデルなど)から推定することができる。膵臓癌を処置するための薬剤の効力をテストするために有用な動物モデルが、当技術分野において周知である。当業者は、そのような情報を定期的に適用して、ヒトへの投与のために適した投与量を決定することができる。
【0059】
特定の実施態様において、静脈内用量を、処置の数日から数週間前に数回個人の血清又は血漿PG濃度を測定し、飽和しうる抗PG抗体の量(即ち、PGの全てに結合するために十分でありうる量)を算出することにより個々の被験者について決定してもよい。当業者により理解される通り、PGの所与の血清又は血漿中濃度について飽和を達成するために必要な任意の特定の抗体の量は、特定の抗体の親和定数に部分的に依存する。目的の特定の抗PG抗体についての飽和量を算出するための方法は周知である。
【0060】
飽和を保証するために、算出された飽和量より大きい量を投与してもよく、例えば、算出された飽和量よりも少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又はさらには10倍大きい量を投与してもよい。静脈内以外の投与様式のために、量を、当技術分野において周知の通りに、薬物動態及びバイオアベイラビリティに基づいて調整することができる。
【0061】
抗PG抗体の効果的な用量は、約0.001mg/kg〜約250mg/kg/単回(例、ボーラス)投与、複数投与又は連続(例、注入)投与の範囲である、あるいは、処置されている膵臓癌のステージ、投与経路、ならびに被験者の年齢、体重、及び状態に依存する本明細書における任意の効果的な範囲又は値であることが期待される。特定の実施態様において、各用量は約0.1mg/kg〜約0.5mg/kg;約0.25mg/kg〜約0.75mg/kg;約0.5mg/kg〜約1mg/kg;約2mg/kg;約1.5mg/kg〜約2.5mg/kg;約2mg/kg〜約3mg/kg;約2.5mg/kg〜約3.5mg/kg;約3mg/kg〜約4mg/kg;約3.5mg/kg〜約4.5mg/kg;約4mg/kg〜約5mg/kg;約5mg/kg〜約7mg/kg;約6mg/kg〜約8mg/kg;約7mg/kg〜約9mg/kg;約8mg/kg〜約10mg/kg;約10mg/kg〜約15mg/kg;約12.5mg/kg〜約17.5mg/kg;約15mg/kg〜約20mg/kg;約17.5mg/kg〜約22.5mg/kg;約20mg/kg〜約25mg/kg;約22.5mg/kg〜約27.5mg/kg;約25mg/kg〜約30mg/kg;約30mg/kg〜約40mg/kg;約35mg/kg〜約45mg/kg;約40mg/kg〜約50mg/kg;約45mg/kg〜約55mg/kg;約50mg/kg〜約60mg/kg;約55mg/kg〜約65mg/kg;約60mg/kg〜約70mg/kg;約65mg/kg〜約75mg/kg;約70mg/kg〜約80mg/kg;約75mg/kg〜約85mg/kg;約80mg/kg〜約90mg/kg;約85mg/kg〜約95mg/kg;約90mg/kg〜約100mg/kg;約95mg/kg〜約105mg/kg;約100mg/kg〜約150mg/kg;約125mg/kg〜約175mg/kg;約150mg/kg〜約200mg/kg;約175mg/kg〜約225mg/kg;約200mg/kg〜約250mg/kgの範囲であればよい。他の投与量の範囲も可能である。
【0062】
投与の量、頻度、及び持続時間は、種々の因子(例えば患者の年齢、体重、及び疾患の状態など)に依存する。このように、非限定的な例において、投与のための治療計画は、1日又はそれ以上、2日又はそれ以上、3日又はそれ以上、4日又はそれ以上、5日又はそれ以上、6日又はそれ以上、1週間又はそれ以上、2週間から無制限にわたり、2週間〜6ヶ月間、3ヶ月間〜5年間、6ヶ月間〜1又は2年間、8ヶ月間〜18ヶ月間などにわたり継続することができる。場合により、治療レジメンは、反復投与(例、1日1回、1日2回、2日、3日、5日、1週間、2週間、又は1ヶ月毎)を提供する。反復投与は同じ用量で又は異なる用量でありうる。投与は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回又はそれ以上反復することができる。抗PG抗体の治療的に効果的な量は、単回用量として又は治療レジメンの経過にわたり(例、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年又はそれより長い経過にわたり)投与することができる。
【0063】
7.8 治療的効力を決定するための診断及び患者モニタリングの方法
上に記述する通り、原発性及び/又は転移性膵臓癌と診断された患者は、PGの上昇した血漿及び/又は血清レベルを有する。図4を参照すると、健常個人におけるPGのベースラインレベルは無視でき、典型的には、検出の限度である。原発性及び/又は転移性膵臓癌を伴う被験者におけるPG血漿及び/又は血清レベルが測定可能であり、約50pMである。この観察に基づき、PGの血漿及び/又は血清レベルを使用し、原発性又は転移性膵臓癌の診断を助け、又はその処置の有効性をモニターすることができる。
【0064】
したがって、本開示は、また、原発性又は転移性膵臓癌を診断する、又はその処置の経過の効力をモニターする方法を提供する。診断を助けるために、診断を受けている個人からの血漿又は血清サンプルのPGレベルを測定し、閾値と比較し、閾値よりも高いレベルは膵臓癌を示している(特に、他の診断テストが、個人が膵臓癌に苦しみうることを示す場合)。一部の実施態様において、少なくとも約50pMの血漿又は血清PG濃度は、膵臓癌を示している(特に、他のポジティブなテスト結果と組み合わせた場合)。
【0065】
治療の効力をモニターする目的のために、血液、血漿、又は血清PGレベルを特定の時間点で測定することができる。濃度における経時的な減少、及び/又は特定の時間点での閾値を下回る測定レベルは、効力を示している。閾値は、上で考察されるものでありうる、あるいは、治療の開始前に又は1ラウンドの治療の間の早期の特定の点で処置されている被験者から得られた被験者に特異的な値でありうる。
【0066】
操作の任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、患者における腫瘍の数及び/又はサイズが、治療のラウンドの結果として低下するにつれて、腫瘍により産生されたPGの総量も減退すると考えられる。対照的に、1ラウンドの治療が完了した後でのPGレベルにおける実質的な変化又は上昇がないことは、治療が効果的ではなかったことを示しうる。この情報はケア提供者により使用され、新たなラウンドの治療を開始すべきか否かを決めることができる。
【0067】
PGレベルは、当業者が精通する分析技術(例えば、限定しないが、RIA及びELISAなど)を使用して測定することができる。ヒト被験者のPGレベルを測定するために有用な抗hPG抗体を、後のセクションに記載する。
【0068】
特定の実施態様において、PGレベルは、プロガストリンのN末端を標的化する1つの抗PG抗体及びプロガストリンのC末端を標的化する第2の抗PG抗体を用いたサンドイッチELISA法を使用して測定されうる。そのようなサンドイッチアッセイのために有用な例示的なN及びC末端抗PG抗体を、後のセクションに記載する。そのようなアッセイにおいて、表面(例えば96ウェルプレート中のウェルなど)を調製し、それに、既知量の第1の「捕捉」N末端又はC末端抗PG抗体を結合させる。テストサンプルを次に表面に適用し、インキュベーション期間が続く。表面を次に洗浄し、第2「検出」抗PG抗体を含む溶液を適用し、そこで検出抗体がPGの異なるエピトープに結合する(例えば、捕捉抗体がC末端抗PG抗体である場合、N末端抗PG抗体が検出抗体として使用され、及び逆もまた同様である)。PGレベルを次に直接的(例えば、検出抗体が検出可能な標識に結合している場合)又は間接的(検出抗PG抗体に結合する標識二次抗体を通じて)のいずれかで測定する。このアッセイのために、抗体を過剰に使用すべきであり、全てのPGが結合され、定量化されるようにする。血漿及び/又は血清PGレベルを測定するための特定のサンドイッチアッセイを、実施例1に提供する。
【0069】
治療の完了後の異なる間隔での複数の測定値を取り、次に、グラフ化し、傾向が存在するか否かを決定しうる。非限定的な例において、PGレベルを、1ラウンドの治療が終わった後、最初の6ヶ月にわたり毎週又は毎月決定することができる。他の間隔も可能である。
【0070】
抗PG抗体を使用した1ラウンドの治療を含む実施態様において、1つ又は複数の測定値を、また、治療の経過の間に取ってもよく、PGレベルに対する抗体の効果を推定することができる。他のそのような実施態様において、残留抗PG抗体がサンプリングの間に患者において存在する場合、データは、抗体によるPGの隔離に起因するPGレベルにおける低下を示すことがあり、この効果が軽減するにつれて上昇が続き、処置が効果的である場合にはその後の減退が続く。さらに他の実施態様において、治療後の測定値を、抗PG抗体が患者から取り除かれたことを推定した後に取ることができ、そのような抗体によるPGの結合がPG濃度の測定の精度に影響を及ぼさないようにする。
【0071】
異なるベースラインを使用してもよく、それに対して、患者において検出されたPGレベルを比較する。一部の実施態様において、ベースラインを、同じ患者からの以前の測定値(所定の間隔で取られうる)により確立する。非限定的な例において、PGレベルを、処置の終了後、最初の6ヶ月にわたり毎週又は毎月、次に、処置の終了の2周年目まで3ヶ月毎、次に、その後、6ヶ月又は1年毎に決定することができる。他の間隔も可能である。
【0072】
他の実施態様において、ベースラインは、モニタリングを受けている患者のものと同様の特徴を伴う患者の集団における平均PGレベルから確立することができる。そのような特徴は、しかし、必ずしも限定しないが、性、年齢、原発癌の型、特定の型の処置へ曝露、これらの任意の組み合わせ、及びその他を含みうる。さらなる他の実施態様において、1を上回るベースラインを特定の患者のモニタリングにおいて使用することができる。例えば、患者に特異的なベースライン、ならびに集団に由来するベースラインの両方を使用することができる。
【0073】
一部の実施態様において、以前に処置された癌患者における平均PG濃度が、患者が比較されている関連集団についての正常範囲にあり、定常なままである場合、患者は転移を有さないとしてスコア化されうるが、このように、新たな処置を要求しない。対照的に、PG濃度が、以前に処置された癌患者において期間にわたり上昇するらしく、そして特定の実施態様において、集団データに由来する閾値を超える場合、患者は恐らくは転移を有するとしてスコア化され、このように、転移癌に対する新たな処置のための候補となりうる。
【0074】
なぜなら、摂食は、通常、ガストリン合成及び分泌を増加させるため、それは血液PGレベルにおける一過性の増加を起こしうるが、それは治療的効力について、及び転移の存在についてモニターされている患者においてPGの正確な測定に干渉しうる。この効果を回避するために、特に血液サンプル中のPG濃度を決定すべき場合、サンプルを、絶食後に患者から取ることができる。
【0075】
7.9 抗PG抗体
本明細書に開示する方法において有用な抗体は、ガストリン遺伝子の他の産物を上回りヒトプロガストリンに特異的に結合するものである。図1を参照すると、ガストリン遺伝子は、101アミノ酸ポリペプチド(プレプロガストリンと呼ばれる)に翻訳され、それは、切断されて、プロガストリン(80アミノ酸ポリペプチド)を生じるシグナル配列(下線)を含む。プロガストリンは、順に、切断されて、34アミノ酸産物(配列において、プロガストリンの残基38−71に対応する)を生成し、それは、次に、グリシン残基を用いてそのカルボキシ末端で伸長されて、グリシン伸長G34(「G34−Gly」)を生成する。この切断の副産物は、6アミノ酸ペプチド(C末端隣接ペプチド、又はCTFPと呼ばれる)であり、それは、配列において、プロガストリンの残基75−80に対応する。G34−Glyは、次に、さらに切断されて、配列において、プロガストリンの残基55−71に対応し、G17−Glyとして言及される17残基ポリペプチドを生成する。G34−Gly及びG17−GlyのC末端グリシンの除去、それに続くC末端アミド化は、それぞれG34及びG17をもたらし、それらの両方がC末端アミド化されている。
【0076】
本明細書において使用する通り、抗体は、それが全長プロガストリンに結合するが、しかし、CTFP、アミド化ガストリン、又はグリシン伸長ガストリンには全く結合しない場合、hPG「について高度に特異的」又はhPGに「高度に特異的に結合する」、及び、それがCTFP及びガストリン遺伝子の他の産物よりも少なくとも約5倍大きなhPGの結合を示す場合(標準的な結合アッセイにおいて測定した通り)、hPG「について特異的」又はhPGに「特異的に結合する」。特定の抗hPG抗体の特異性を評価するために使用することができる特定のELISAアッセイが、実施例2に提供される。
【0077】
そのような高度に特異的及び/又は特異的な抗hPG抗体(本明細書において「抗hPG抗体」として言及される)は、ポリクローナル(「抗hPG PAb」)又はモノクローナル(「抗hPG MAb」)であるが、治療的使用、一部の例において、診断又は他のインビトロでの使用のために、モノクローナル抗体が好ましい。
【0078】
抗hPG抗体により結合されるエピトープは決定的ではない。有用な抗hPG抗体は、hPGのN末端領域、hPGのC末端領域、又はhPGの異なる領域に結合しうる。近年、少なくともモノクローナル抗hPG抗体について、抗hPG抗体を産生するために使用される抗原の選択が重要でありうることが発見されている(国際出願第PCT/EP2010/006329号(2010年10月15日出願)及び米国出願第12/906,041号(2010年10月15日出願)、その開示及び具体的に開示される抗hPG抗体が参照により本明細書において組み入れられる;以下、‘329及び‘041出願としてそれぞれ言及される)。‘329及び‘041出願において開示される通り、hPGに由来する全ての抗原が、生理学的条件下でhPGに特異的に結合するモノクローナル抗体の産生を刺激するわけではない。実際に、ポリクローナル抗hPG抗体を成功裏に産生するために使用されてきた特定の抗原(例えば全長組換えhPG(例、WO08/076454 Singhを参照のこと)及びhPGのC末端の最後の10アミノ酸に対応するペプチド(WO07/135542 Hollande et al.を参照のこと)など)は、モノクローナル抗体の生成に失敗した。‘329及び‘041出願において記述される通り、hPG配列内の抗原性N末端及びC末端配列が同定されており、hPGに特異的に結合するモノクローナル抗体を生成するために使用することができる。興味深いことに、抗原性配列は、それに固有であるhPG配列の領域に限定する必要はない。ガストリン遺伝子の他の産物と共通の配列の領域を有するペプチド抗原(例えば、G17、G34、及びCTFP)は、hPGに結合するだけでなく、しかし、それに特異的に結合するモノクローナル抗体をもたらす。
【0079】
hPGのN末端領域に対応する配列を有するペプチド抗原を使用して入手可能であり及び/又はhPGのN末端領域に結合する抗hPG抗体を、本明細書において「N末端抗PG抗体」として言及する。hPGについて特異的なポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方を得るために適した免疫原を構築するために使用することができるhPGの特定の例示的な抗原性領域は、hPGの残基1〜14:SWKPRSQQPDAPLG(配列番号25)に対応する。N末端抗hPG抗体を得るために有用な例示的な免疫原、ならびに、これらの例示的な免疫原を用いて得られたN末端抗hPGモノクローナル抗体のCDRならびにV及びV配列を以下の表1A及び実施例のセクションに提供する:
【表1】



【0080】
hPGのC末端領域に対応する配列を有するペプチド抗原を使用して入手可能であり及び/又はhPGのC末端領域に結合する抗hPG抗体を、本明細書において「C末端抗hPG抗体」として言及する。ポリクローナル及びモノクローナルC末端抗hPG抗体の両方を得るために有用な免疫原を構築するために使用することができる特定の例示的な抗原性領域は、hPGの残基55〜80:QGPWLEEEEEAYGWMDFGRRSAEDEN(配列番号27)に対応する。C末端抗hPG抗体を得るために有用なこの抗原を含む例示的な免疫原、ならびに、これらの例示的な免疫原を用いて得られたC末端抗hPGモノクローナル抗体のCDRならびにV及びV配列を以下の表1B及び実施例のセクションに提供する。
【表2】



【0081】
表1A及び1Bに提供する例示的な抗hPGモノクローナル抗体MAb1−MAb23により結合される特定のエピトープは、SPOT技術及びアラニンスキャンを使用してマッピングされた(Laune et al., 2002, J. Immunol. Methods 267: 53-70及びLaune, 1997, J. Biol. Chem. 272: 30937-30944にそれぞれ記載される通り)(‘329出願の実施例6も参照のこと)。
【0082】
SPOT技術において、推定エピトープに及ぶ15のアミノ酸ペプチド配列を生成し、ニトロセルロース膜上にスポットし、それを、次に、テスト抗体でプローブし、抗体により認識される最小エピトープ配列を決定する。アラニンスキャンを使用して、抗体結合のために決定的であるエピトープ内の残基を決定する。推定エピトープ内の各残基が、1つずつ、アラニンに変異しており、アラニン含有ペプチドを、次に、テスト抗体を用いてプローブする。
【0083】
N末端抗hPGモノクローナル抗体MAb1−4及び15−20について、エピトープは少なくとも以下の配列を含む:DAPLG(配列番号28)、PDAPLG(配列番号29)、PRSQQPD(配列番号30)、WKPRSQQPD(配列番号31)、又はWKPRSQQPDAPLG(配列番号32)(以下の表2Aに示す通り)。
【表3】

【0084】
C末端抗hPGモノクローナル抗体MAb5−7、9−12、14、及び21−23について、エピトープは少なくとも以下の配列を含む:FGRR(配列番号33)、MDFGR(配列番号34)、AEDEN(配列番号35)、及びGWMDFGRR(配列番号36)(以下の表2Bに示す通り)。
【表4】

【0085】
エピトープマッピング実験では、抗hPG MAb2及びMAb4が同じエピトープに結合することが明らかになる;抗hPG MAb1及びMAb3はほぼ同じエピトープに結合する;MAb17、MAb18、MAb19、及びMAb20はほぼ同じエピトープに結合する;MAb15及びMAb16はほぼ同じエピトープに結合する;抗hPG MAb5、MAb6、MAb7、MAb9、及びMAb12は同じエピトープに結合し、抗hPG MAb10とほぼ同じエピトープに結合する;ならびに抗hPG MAb11及びMAb14はほぼ同じエピトープに結合する。
【0086】
本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なN末端抗PG抗体の特定の実施態様は、hPGの残基10〜14(配列番号28)、hPGの残基9〜14(配列番号29)、hPGの残基4〜10(配列番号30)、hPGの残基2〜10(配列番号31)、又はhPGの残基2〜14(配列番号32)を含むエピトープに結合する抗体を含む。
【0087】
本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なC末端抗PG抗体の特定の実施態様は、hPGの残基71〜74(配列番号33)、hPGの残基69〜73(配列番号34)、hPGの残基76〜80(配列番号35)、又はhPGの残基67〜74(配列番号36)を含むエピトープに結合する抗体を含む。
【0088】
本明細書に開示する方法及びキットにおいて有用なN末端及びC末端抗hPG抗体は、表1A&1Bに提供するものに加えて、例示的なMAb1−23を用いた、あるいはN又はC末端エピトープに結合する他の参照抗体を用いた競合結合アッセイにおいて同定することができる(後のセクションにおいてより詳細に記載する通り)。
【0089】
‘329及び‘041出願においても報告される通り、全ての抗hPG抗体(hPGについて高い程度の特異性及び親和性を示すものでさえ)が、hPGの生物学的活性を中和するわけではないであろう。例えば、抗hPG MAb14は約6pMのKでhPGに結合するが、それはインビトロアッセイにおいて結腸直腸癌細胞の成長を阻害しなかったのに対し、他の抗hPGモノクローナル抗体は有意な阻害活性を示した(例、‘329出願の実施例7を参照のこと)。hPGに特異的に結合する非中和及び中和抗体の両方が本明細書に記載する種々の診断及びモニタリング方法のために有用であるが、治療方法のために有用な抗hPG抗体は中和活性を示すはずである。
【0090】
本明細書において使用する通り、「中和性抗hPG抗体」は、非特異的抗体を用いて処理したコントロールサンプルと比較して、抗hPG抗体を用いて処理したテストサンプル中の生きたBxPC 3細胞の数における統計的に有意な低下をもたらす抗hPG抗体である。任意の特定の抗hPG抗体がhPGを中和する能力を評価するための特定のアッセイが、実施例3に記載される。このアッセイにおいて生細胞の数における少なくとも約50%低下を示すそれらの抗hPG抗体は、膵臓癌を処置する際に特に有用であると考えられるが、このアッセイにおける生細胞の数におけるより低いレベルの中和活性、例えば、40%、30%、20%、15%、又はさらには10%の統計的に有意な低下を示す抗hPG抗体が治療的利益を提供することが期待される。
【0091】
したがって、一部の実施態様、例えば、治療的な実施態様において、有用な抗hPG抗体は中和性である。‘329及び‘041出願において開示される通り、抗hPGモノクローナル抗体の能力は、エピトープ依存的ではない。なぜなら、N末端及びC末端抗hPGモノクローナル抗体の両方が、膵臓癌細胞を用いたアッセイにおいて中和活性を示したからである。このように、一部の特定の実施態様において、中和性抗hPG抗体はN末端中和性抗hPG抗体である。他の実施態様において、中和性抗hPG抗体はC末端中和性抗hPG抗体である。
【0092】
任意の特定の抗hPG抗体の親和性は決定的ではない。しかし、一部の使用のために、少なくとも約1μMの親和性を示す抗体が好まれうる。治療的使用のために、少なくとも約90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、15nM、10nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.1nM、0.01nM又はさらに大きい親和性が望まれうる。表1A&1Bにおいて同定された抗hPGモノクローナル抗体の測定された親和性は、10−6〜10−12Mの範囲である(以下の表3に記述する通り):
【表5】

【0093】
特定の所望の適用のために特に適する親和性を有する抗PGモノクローナル抗体を、これらの間より容易に選択する、あるいは、本明細書に記載する抗hPG抗体の種々の免疫原、相補性決定領域(CDR)配列、可変重鎖(V)及び可変軽鎖(V)配列を使用して生成又は設計することができる。任意の特定の抗PGモノクローナル抗体の親和性は、当技術分野において周知の又は本明細書に記載する技術(例えばELISA、等温滴定熱量測定(ITC)、BIAcore、又は蛍光偏光アッセイなど)を使用して決定することができる。特定のアッセイを実施例4に提供する。
【0094】
表1A&1Bに記述する通り、いくつかのN末端及びC末端モノクローナル抗hPG抗体が同定されている。これらの抗体の全てがhPGについて特異的であり、MAb14の例外を伴い、全てが結腸直腸癌細胞を用いたテストにおいて中和活性を示した。膵臓癌細胞を用いてテストした抗体の全て(MAb 8、13、16、及び19)が、中和活性を示した。抗体を得るための有用なハイブリドーマのいくつかが、2010年10月6日に、ブダペスト条約に従って、Collection Nationale de Cultures de Microorganisms(CNCM)に寄託された。抗hPG MAb1−23を産生するハイブリドーマの指定名称及び寄託されたそれらのハイブリドーマの寄託登録番号を表1A&1Bに提供する。また、抗体のいくつかについて、それらの可変重鎖(V)、可変軽鎖(V)、V相補性決定領域(CDR)、及びV CDRのアミノ酸配列が決定されている。これらのアミノ酸配列、及び開示を通じてそれらを参照するために使用される省略命名法も表1A&1Bに提供する。簡単には、マウス重鎖及び軽鎖可変ドメインは、本明細書においてmV及びmVとして言及され、対応するモノクローナル抗体の番号が続く(例えば、抗hPG MAb3の可変軽鎖及び可変重鎖についてそれぞれmV.3及びmV.3)。同様に、ヒト重鎖及び軽鎖可変ドメインは、本明細書においてhV及びhVとして言及され、対応するモノクローナル抗体の番号が続く。3つの可変重鎖CDR及び3つの可変軽鎖CDRは、それぞれV CDR1、2、又は3及びV CDR1、2、又は3として言及され、特定の抗hPGモノクローナル抗体の番号が続く。例えば、MAb3のV CDR1はV CDR1.3と表示され、及び、MAb3のV CDR 1はV CDR1.3と表示される。MAb3のV CDR2はV CDR2.3と表示され、及び、MAb3のV CDR2はV CDR2.3と表示される。
【0095】
ほぼ同じエピトープに結合する抗hPGモノクローナル抗体の対応するCDR及び/又はV及びV鎖を交換して、本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用な新たな抗hPGモノクローナル抗体をもたらしうることが期待される。例えば、上に記述する通り、例示的な抗hPGモノクローナル抗体MAb5及びMAb6は同じエピトープに結合する。そのV鎖において、これらの2つの抗体のV CDRの種々の組み合わせ、及び/又は、そのV鎖において、これらの2つの抗体のV CDRの種々の組み合わせを含む抗hPGモノクローナル抗体を設計することができる。可能な種々の組み合わせを例証するための特定の非限定的な例として、そのような抗体は、そのV鎖において、MAb5のCDR1及び2(それぞれV CDR 1.5及びV CDR 2.5)ならびにMAb6のCDR3(V CDR 3.6)、及び、そのV鎖において、MAb6のCDR1(V CDR 1.6)ならびにMAb5のCDR2及び3(それぞれV CDR 2.5及びV CDR 3.5)を含みうる。寄託されているハイブリドーマにより産生される抗体のCDRのアミノ酸配列(超可変領域としても公知)は、従来の手段を使用して得ることができる。
【0096】
当技術分野において公知の通り、抗体の超可変領域を描写するアミノ酸位置/境界は、状況及び当技術分野において公知の種々の定義に依存して変動しうる。可変ドメイン内の一部の位置を、ハイブリッド超可変位置として見なしてもよく、それにおいて、これらの位置は、1セットの基準下で超可変領域内と見なすことができ、異なるセットの基準下で超可変領域外と見なす。これらの位置の1つ又は複数は、また、伸長した超可変領域において見出すことができる。本明細書に記載する抗PG抗体は、これらのハイブリッド超可変位置において改変を含みうる。天然重及び軽鎖の可変ドメインは、大部分がβシート配置(3つのCDRにより連結され、それは、βシート構造を連結し、一部の場合において、その一部を形成するループを形成する)を採用することにより、各々、4つのFR領域を含む。各鎖中のCDRは、FR領域により近接して、FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4の順番で、他の鎖からのCDRと一緒に保持され、抗体の標的結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institute of Health, Bethesda, Md.1987を参照のこと)。本明細書において使用する通り、免疫グロブリンのアミノ酸残基のナンバリングを、他に示さない場合、Kabat et al.の免疫グロブリンのアミノ酸残基ナンバリングに従って行う。
【0097】
表1Aを参照して、本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なN末端抗hPG抗体の特定の実施態様は、限定しないが、以下を含む:
(a)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV CDRに対応するV CDR、及び、配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV CDRに対応するV CDRを有する抗体;
(b)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV及びV CDRに対応するV CDR及びV CDRを有する抗体;
(c)抗体、それにおいて:
(i)V CDR1はQSIVHSNGNTY(「V CDR 1.3」;配列番号4)、QSLVHSSGVTY(「V CDR 1.4」;配列番号10)、QSLLDSDGKTY(「V CDR 1.16」;配列番号50)、及びSQHRTYT(「V CDR 1.19」;配列番号51)より選択される;
(ii)V CDR2はKVS(「V CDR 2.3」又は「V CDR 2.4」;配列番号5)、LVS(「V CDR 2.16」;配列番号53)、及びVKKDGSH(「V CDR 2.19」;配列番号54)より選択される;
(iii)V CDR3はFQGSHVPFT(「V CDR 3.3」;配列番号6)、SQSTHVPPT(「V CDR 3.4」;配列番号11)、WQGTHSPYT(「V CDR 3.16」;配列番号57)、及びGVGDAIKGQSVFV(「V CDR 3.19」;配列番号58)より選択される;
(iv)V CDR1はGYIFTSYW(「V CDR 1.3」;配列番号1)、GYTFSSSW(「V CDR 1.4」;配列番号7)、GYTFTSYY(「V CDR 1.16」;配列番号39)、及びGYSITSDYA(「V CDR 1.19」;配列番号40)より選択される;
(v)V CDR2はFYPGNSDS(「V CDR 2.3」;配列番号2)、FLPGSGST(「V CDR 2.4」;配列番号8)、INPSNGGT(「V CDR 2.16」;配列番号43)、及びISFSGYT(「V CDR 2.19」;配列番号44)より選択される;及び
(vi)V CDR3はTRRDSPQY(「V CDR 3.3」;配列番号3)、ATDGNYDWFAY(「V CDR 3.4」配列番号9)、TRGGYYPFDY(「V CDR 3.16」;配列番号47)、及びAREVNYGDSYHFDY(「V CDR 3.19」;配列番号48)より選択される;
(d)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のVに対応するV、及び、配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のVに対応するVを有する抗体;及び
(e)配列において、MAb1、MAb2、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16、MAb17、MAb18、MAb19、又はMAb20のV及びVに対応するV及びVを有する抗体。
【0098】
表1Bを参照すると、本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用なC末端抗hPG抗体の特定の実施態様は、限定しないが、以下を含む:
(f)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV CDRに対応するV CDR、及び、配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV CDRに対応するV CDRを有する抗体;
(g)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV及びV CDRに対応するV CDR及びV CDRを有する抗体;
(h)抗体、それにおいて:
(i)V CDR1はKSLRHTKGITF(「V CDR 1.8」;配列番号49)及び QSLLDSDGKTY(「V CDR 1.13」;配列番号50)より選択される;
(ii)V CDR2はQMS(「V CDR 2.8」;配列番号52)及び LVS(「V CDR 2.13」;配列番号53)より選択される;
(iii)V CDR3はAQNLELPLT(「V CDR 3.8」;配列番号55)及び WQGTHFPQT(「V CDR 3.13」;配列番号56)より選択される;
(iv)V CDR1はGFTFTTYA(「V CDR 1.8」;配列番号37)及び GFIFSSYG(「V CDR 1.13」;配列番号38)より選択される;
(v)V CDR2はISSGGTYT(「V CDR 2.8」;配列番号41)及び INTFGDRT(「V CDR 2.13」;配列番号42)より選択される;及び
(vi)V CDR3はATQGNYSLDF(「V CDR 3.8」;配列番号45)及び ARGTGTY(「V CDR 3.13」;配列番号46)より選択される;
(i)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のVに対応するV、及び、配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のVに対応するVを有する抗体;及び
(j)配列において、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb9、MAb10、MAb11、MAb12、MAb13、MAb14、MAb21、MAb22、又はMAb23のV及びVに対応するV及びVを有する抗体。
【0099】
当業者により理解される通り、診断方法において有用な抗hPG抗体は、任意の起源(例えば、哺乳動物(例、ヒト、霊長類、げっ歯類、ヤギ、又はウサギ)、非哺乳動物、又は自然におけるキメラ(1を上回る種に由来する)を含む)でありうる。動物(ヒトを含む)における治療的使用のために適した抗体は、好ましくは、処置されることが意図される同じ種に由来する、あるいは、改変又は設計され、非免疫原性である、又は処置されている動物において低下した免疫原性を有する。ヒトにおける治療的使用のために有用な抗hPG抗体の特定のクラスは、ヒト化抗体のクラスであり、以下により詳細に考察する。本明細書に記載する方法及びキットにおいて有用な抗hPG抗体は、また、任意のアイソタイプ(例えば、IgA(例、IgA1又はIgA2)、IgD、IgE、IgG(例、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)、又はIgMを含む)でありうる、又はそれに由来しうる。治療的使用のために設計された抗hPG抗体は、好ましくは、IgGアイソタイプである。
【0100】
一部の実施態様において、本明細書に記載する治療的方法のために有用な抗hPG抗体はヒト化される。一般的には、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、それにおいて、CDR領域の全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、フレームワーク領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものであり、「CDR移植」として言及することができる。ヒト化抗体は、また、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものを含むことができる。抗体をヒト化するための方法(ヒト化抗体を設計するための方法を含む)は、当技術分野において周知である。例えば、Lefranc et al., 2003, Dev. Comp. Immunol. 27: 55-77;Lefranc et al., 2009, Nucl. Acids Res. 37: D1006-1012;Lefranc, 2008, Mol. Biotechnol. 40: 101-111;Riechmann et al., 1988, Nature 332: 323-7;米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,762号、及び第6,180,370号、Queen et al.;EP239400;PCT公開WO 91/09967;米国特許第5,225,539号;EP592106;EP519596;Padlan, 1991, Mol. Immunol. 28: 489-498;Studnicka et al., 1994, Prot. Eng. 7: 805-814;Roguska et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. 91: 969-973;及び米国特許第5,565,332号(その開示は、その全体において参照により本明細書により組み入れられる)。
【0101】
非ヒト抗hPG抗体のCDRに対応するCDR配列を有する抗体のヒト化バージョン(例として、限定しないが、表1Aに提供する種々のN末端抗hPGモノクローナル抗体及び表1Bに提供する種々のC末端抗hPGモノクローナル抗体を含む)を、これらの周知の方法を使用して得ることができる。選択された抗hPG抗体のヒト化V及びV鎖の予測配列を、表1A及び1Bに提供する。ヒト化抗体の特定の例は、以下を含む抗体を含む:
(k)本明細書に開示される任意の3つのV CDR及び任意の3つのV CDR;
(l)配列番号21に対応するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号22に対応するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(m)配列番号23に対応するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号24に対応するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(n)配列番号75、77、及び79からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号76及び78からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(o)配列番号80及び82からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号81及び83からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(p)配列番号84、86、及び88からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号85、87、及び89からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び
(q)配列番号90、92、及び94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号91、93、及び95からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0102】
当業者により認識される通り、特定の結合特性(例えば、目的の特定のエピトープに結合する能力など)を有する抗hPG抗体は、本明細書に記載する種々の抗原及び免疫原を使用し、目的の参照抗体とhPG結合について競合するそれらの能力を評価して容易に得ることができる。本明細書に記載する抗hPG抗体のいずれかを、そのような競合アッセイにおける参照抗体として利用することができる。目的のビオチン化参照抗hPG抗体を用いてhPG結合について競合する抗体の能力を評価するために有用な特定のアッセイを、実施例5に提供する。
【0103】
参照抗hPG抗体と任意のテスト抗体(種又はアイソタイプと無関係)の間での抗体競合試験を行う際、最初に、参照を、直接的(例えばラジオアイソトープ又はフルオロフォアなど)又は間接的(例えばビオチン(蛍光標識ストレプトアビジンとの結合を介して検出可能)又は酵素(酵素反応を介して検出可能)など)のいずれかで検出可能な標識を用いて標識し、その後の同定を可能にしうる。この場合において、標識参照抗hPG抗体(固定又は増加濃度で)を、既知量のhPGを用いてインキュベートし、hPG:標識抗hPG抗体複合体を形成する。非標識テスト抗体を、次に、複合体に加える。複合標識の強度を測定する。テスト抗体が、重複するエピトープに結合することにより、hPGについて標識参照抗hPG抗体と競合する場合、複合標識の強度は、テスト抗体の非存在において行うコントロール実験と比べて減少する。
【0104】
結合競合アッセイを行うための多数の方法が公知であり、適応し、上に及び実施例5に記載されるアッセイと同等の結果をもたらすことができる。
【0105】
抗体は、それが、競合結合アッセイ、及び、具体的には、実施例5の競合結合アッセイにおいて参照抗hPG抗体のhPGへの結合を、少なくとも50%だけ(より高いレベルの低下、例えば60%、70%、80%、90%、又はさらには100%が望まれうる)、テスト抗体濃度の範囲0.01−100μg/mL(例、0.01μg/mL、0.08μg/mL、0.4μg/mL、2μg/mL、10μg/mL、50μg/mL、又は100μg/mL、あるいは記述する範囲内の他の濃度)で低下させる場合、参照抗hPG抗体とhPG結合について競合すると考えられ、このように、参照抗hPG抗体とほぼ同じ又は重複するhPGのエピトープに結合すると考えられる。
【0106】
当業者は、一部の状況、例えば、診断及びモニタリングの状況において、抗PG抗体を標識することが望まれうることを理解するであろう。そのような標識は検出及び定量化のために有用である。適した標識が当技術分野において周知であり、それらが直接的に観察可能又は検出可能である点で「直接的」(例えば、フルオロフォア又はラジオアイソトープ)、あるいは、それらが観察可能又は検出可能なシグナルを産生する何か他のものと相互作用する点で間接的(例えば、基質上で作用し、検出可能なシグナルを産生する酵素、又は、結合分子、例えば、標識したストレプトアビジン分子に結合するビオチンなど)でありうる。多数の標識システム、ならびにそれらを用いて抗体を標識するための手段が、当技術分野において公知であり、本明細書において使用のために熟慮される。
【0107】
本明細書に記載する方法において有用な種々の抗hPG抗体は、全長抗体を用いて例示されてきたが、当業者は、結合フラグメント、あるいは全長抗体又は結合フラグメントから設計される又はそれに由来するサロゲート抗体も使用してもよいことを理解するであろう。適したフラグメント、サロゲートなどは、限定しないが、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fv、vIgG、scFvフラグメント及びサロボディを含む。他に特定しない場合、用語「抗体」は、本明細書において使用する通り、全ての形態の抗体及び「抗体様」サロゲート分子(一本鎖抗体、サロボディ、及び結合フラグメントを含む)を含むことを意図する。自然発生する抗体に典型的な構造を有する抗体は、本明細書において「天然抗体」として言及される。
【0108】
7.10 抗PG抗体を産生する方法
本明細書に記載する方法において有用な抗PG抗体を、標準的な周知の方法を使用して得てもよい。本明細書に記載する方法において有用な抗PG抗体を発現するために、部分又は全長の軽及び重鎖をコードするDNAを発現ベクター中に挿入し、遺伝子が、転写及び翻訳制御配列に操作的に結合されるようにする。この状況において、用語「操作的に結合される」は、抗体遺伝子がベクター中に連結され、ベクター内の転写及び翻訳制御配列が、抗体遺伝子の転写及び翻訳を調節するそれらの意図される機能を果たすようにすることを意味することを意図する。発現ベクター及び発現制御配列を選び、使用する発現宿主細胞と適合させる。抗体軽鎖遺伝子及び抗体重鎖遺伝子を別々のベクター中に挿入することができる。又は、より典型的には、両方の遺伝子を同じ発現ベクター中に挿入する。
【0109】
抗体遺伝子を発現ベクター中に標準的な方法(例、抗体遺伝子フラグメント及びベクター上の相補的制限部位の連結、又は、制限部位が存在しない場合、平滑末端連結)により挿入する。抗PG抗体の軽又は重鎖配列の挿入前に、発現ベクターは既に抗体定常領域配列を保有することができる。例えば、抗PG抗体V及びV配列を全長抗体遺伝子に変換する1つのアプローチは、それらを、重鎖定常及び軽鎖定常領域をそれぞれ既にコードする発現ベクター中に挿入することであり、Vセグメントがベクター内のCセグメントに操作的に結合され、Vセグメントがベクター内のCセグメントに操作的に結合されるようにする。加えて又は代わりに、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードしうる。抗体鎖遺伝子をベクター中にクローン化することができ、シグナルペプチドをインフレームで抗体鎖遺伝子のアミノ末端に結合するようにする。シグナルペプチドは免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種シグナルペプチド(即ち、非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)でありうる。
【0110】
抗体鎖遺伝子に加えて、開示の組換え発現ベクターは、宿主細胞において抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を保有する。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサー、及び抗体鎖遺伝子の転写又は翻訳を制御する他の発現制御エレメント(例、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。そのような調節配列は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185 (Academic Press, San Diego, CA, 1990)に記載されている。発現ベクターの設計(調節配列の選択を含む)は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの因子に依存しうることが当業者により理解されうる。哺乳動物宿主細胞発現のための適した調節配列は、哺乳動物細胞における高レベルのタンパク質発現に向けるウイルスエレメント、例えばサイトメガロウイルス(CMV)(例えばCMVプロモーター/エンハンサーなど)、サルウイルス40(SV40)(例えばSV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(例、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、及びポリオーマに由来するプロモーター及び/又はエンハンサーなどを含む。ウイルス調節エレメント及びその配列のさらなる記載については、例えば、米国特許第5,168,062号(Stinskiによる)、米国特許第4,510,245号(Bell et al.による)、及び米国特許第4,968,615号(Schaffner et al.による)を参照のこと。
【0111】
抗体鎖遺伝子及び調節配列に加えて、組換え発現ベクターは、追加の配列、例えば宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例、複製起点)及び選択可能なマーカー遺伝子などを保有することができる。選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を促進させる(例、米国特許第4,399,216号、第4,634,665号、及び第5,179,017号(全てAxel et al.による)を参照のこと)。例えば、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子は、薬物(例えばG418、ピューロマイシン、ブラストサイジン、ハイグロマイシン、又はメトトレキサートなど)への耐性を、ベクターが導入された宿主細胞に与える。適した選択可能なマーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅を伴うDHFR宿主細胞における使用のため)及びneo遺伝子(G418選択のため)を含む。軽及び重鎖の発現のために、重及び軽鎖をコードする発現ベクターを、標準的な技術により宿主細胞中にトランスフェクトする。用語「トランスフェクション」の種々の形態は、原核又は真核宿主細胞中への外因性DNAの導入のために一般的に使用される多種多様の技術、例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクションなどを包含することを意図する。
【0112】
原核又は真核生物のいずれかの宿主細胞において本明細書に記載する抗体を発現させることが可能である。特定の実施態様において、抗体の発現が、適切に折り畳まれた、免疫学的に活性な抗体の最適な分泌のために、真核細胞(例、哺乳動物宿主細胞)中で実施される。開示の組換え抗体を発現させるための例示的な哺乳動物宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub & Chasin, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載されるDHFR−CHO細胞を含み、例えば、Kaufman & Sharp, 1982, Mol. Biol. 159: 601-621に記載される通りにDHFR選択可能なマーカーと使用される)、NS0ミエローマ細胞、COS細胞、293細胞、及びSP2/0細胞を含む。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞中に導入する場合、抗体は、宿主細胞における抗体の発現又は宿主細胞が成長する培養培地中への抗体の分泌を許すために十分な期間にわたり宿主細胞を培養することにより産生される。抗体は、標準的なタンパク質精製方法を使用して培養培地から回収することができる。宿主細胞は、また、インタクトな抗体の部分(例えばFabフラグメント又はscFv分子など)を産生するために使用することができる。上の手順のバリエーションは本開示の範囲内であることが理解される。例えば、本明細書中に記載する抗PG抗体の軽鎖又は重鎖のいずれか(両方ではない)をコードするDNAを用いて宿主細胞をトランスフェクトすることが望まれうる。
【0113】
組換えDNAテクノロジーを使用し、PGへの結合のために必要ではない軽及び重鎖のいずれか又は両方をコードするDNAの一部又は全てを除去することもできる。そのような切断DNA分子から発現される分子は、また、本明細書に記載する方法において有用である。
【0114】
抗PG抗体の組換え発現のために、宿主細胞を、2つの発現ベクター、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1ベクター及び軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2ベクターを用いてコトランスフェクトすることができる。典型的には、2つのベクターは、各々、別々の選択可能なマーカーを含む。あるいは、重及び軽鎖の両方のポリペプチドをコードする単一のベクターを使用することができる。
【0115】
抗PG抗体を化学合成により産生することもできる(例、Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd ed., 1984 The Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.に記載される方法による)。種々の抗体を、また、無細胞プラットフォームを使用して生成することができる(例、Chu et al., 2001, Biochemia No. 2 (Roche Molecular Biologicals)を参照のこと)。
【0116】
一旦、抗PG抗体が組換え発現又は合成手段により産生されれば、それは、免疫グロブリン分子の精製のための当該分野において公知の任意の方法により、例えば、クロマトグラフィー(例、イオン交換、親和性、特にプロテインA又はプロテインG選択後のPGについての親和性により、及びサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心、溶解度差により、又はタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術により精製することができる。さらに、抗PG抗体又はその結合フラグメントを、本明細書に記載する又は当技術分野において他で公知の異種ポリペプチド配列に融合し、精製を促進することができる。
【0117】
8.実施例
8.1 実施例1:血漿又は血清PGレベルの定量化
PGの血漿及び/又は血清レベルは、以下のアッセイを使用して便利に決定することができる。96ウェルマイクロタイタープレートを、0.5〜10μg/mLのC末端抗hPG抗体、例えば、ウサギC末端抗hPGポリクローナル抗体、又はC末端抗hPG抗体(本明細書に記載する)を用いてコーティングし、次に、一晩インキュベートする。プレートを、次に、PBS−TWEEN(0.05%)中で3回洗浄し、PBS−TWEEN(0.05%)中の2%(w/v)脱脂乾燥ミルクを用いてブロックする。別々に、テストサンプル、コントロールサンプル(ブランク又はPG陰性血漿又は血清サンプル)、及び約5pM(0.5×10−11M)〜約0.1nM(1×10−10M)のhPG参照基準(PG陰性血漿又は血清中で希釈した凍結乾燥hPG)を適切な希釈剤(例、PBS−TWEEN 0.05%)中で調製する。サンプルを、コーティングしたプレート上で2〜4時間にわたり37℃で、又は、あるいは、12〜16時間21℃でインキュベートする。インキュベーション後、プレートを、PBS−TWEEN(0.05%)を用いて3回洗浄し、0.001〜0.1μg/mLのN末端抗hPG抗体、例えば、ポリクローナルN末端抗hPG抗体又はN末端モノクローナル抗hPG抗体(本明細書に記載する)を用いてインキュベートし、21℃で30分間にわたり西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(Nakane et al., 1974, J. Histochem. Cytochem. 22(12): 1084-1091を参照のこと)に共役させる。プレートを次にPBS−TWEEN(0.05%)中で3回洗浄し、HRP基質を21℃で15分間にわたり加える。反応を、100μLの0.5M硫酸を加えることにより停止させ、光学密度測定値を405nMで取る。テストサンプルhPGレベルを、hPG参照基準に由来する測定値から構築された標準曲線との比較により決定する。
【0118】
8.2 実施例2:抗hPG抗体の特異性を評価するためのELISAアッセイ
抗hPG抗体の特異性を、以下の通りにELISAアッセイを使用して便利に決定することができる。96ウェルプレートを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の適切な濃度のテストポリペプチド(例、25及び50ngの組換えヒトPG、ならびに50及び250ngのCTFP又は他のガストリン由来の遺伝子産物)を用いて4℃で一晩インキュベートした。その後、ウェルを、洗浄溶液(PBS及び0.1%TWEEN−20)を用いて3回洗浄し、次に1ウェル当たり100μLのブロッキング溶液(PBS、0.1%TWEEN−20、0.1%ウシ血清アルブミン又はカゼイン加水分解物)を用いて22℃で2時間にわたりインキュベートした。ブロッキング後、ウェルを3回洗浄し、アッセイする抗体(テスト抗体)を加える。100μLのPBS中のテスト抗体(0.3〜1ng/mL)及び0.1%TWEEN−20を各ウェルに加える。プレートを次に22℃で2時間にわたりインキュベートし、その後、テスト抗体溶液を捨て、洗浄工程(3×100μLの洗浄溶液、上に記述する通り)後、二次抗体、西洋ワサビペルオキシダーゼに共役させたヤギ抗マウスIgG(Fc)抗体を含むブロッキング溶液を用いて置換する。二次抗体を用いた1時間のインキュベーション後、100μLの基質溶液(例、Fast OPD、又はO−フェニレンジアミン二塩酸塩、Sigma-Aldrich Co.から入手可能、製造者の指示に従って調製した)を各ウェルに加え、暗所で、22℃で20分間にわたりインキュベートした。反応は、50μLの4N硫酸を加えることにより停止させ、触媒された基質の量を、492nmでの光学密度(OD)を測定することにより決定する。基質変換は、抗原に結合した一次(テスト)抗体の量に比例する。実験を2通りに実行し、OD測定値を抗原濃度の関数としてプロットする。テスト抗体は、測定されたODがhPGについて0.2〜1.5の間であり、CTFP又は他のガストリン遺伝子由来ペプチドのいずれかを用いて、バックグラウンドを上回る統計的に有意なシグナルがない場合、PGについて特異的であるとスコア化される(ここで、バックグラウンドはPBSだけを含むコントロールウェルからの平均シグナルである)。
【0119】
8.3 実施例3:抗hPG抗体の中和性抗体を評価するためのアッセイ
特異的な抗hPG抗体が中和性であるか否かを評価するための特定のテストを、以下の通りに実行することができる。BxPC−3膵臓癌細胞を6ウェルプレートの6ウェル中に約150,000個細胞/ウェルで播種する。細胞を、次に、テスト抗hPG抗体又はコントロール抗体を用いて、約5μg/mLの抗体濃度で48時間にわたり12時間間隔で処理する。テスト抗体は、テスト抗体を用いて処理した細胞の数が、コントロールの非特異的抗体を用いて処理した細胞の数と比較して、生存細胞の数における少なくとも10%の統計的に有意な低下を示す場合(両側マンホイットニー検定(差は、p<0.05の場合に有意と考えられる)を使用する)、アッセイにおいて中和性であるとして定義される。全細胞数は、処理期間の開始時での細胞数について補正され、T0として言及される。
【0120】
8.4 実施例4:抗hPG抗体の親和性を評価するためのアッセイ
抗hPG抗体の親和性定数は、Proteon Technique(BioRad)を使用して、Nahshol et al., 2008, Analytical Biochemistry 383: 52-60(その全体において参照により本明細書により組み入れられる)に従って測定することができる。簡単には、マウス抗PG抗体について、抗マウスIgG抗体(50μg/mL)を最初にセンサーチップ上にコーティングし、抗体の注射後にチップにより検出されたシグナルが10,000〜11,500応答単位(RU)の間に入ることを確認する。目的のマウス抗hPG抗体(テスト抗体)を次に注射する(30μg/mLの典型的な濃度で)。テスト抗体が十分に結合する場合、少なくとも500RUの追加シグナルが観察される。テスト抗体とhPGの間での結合の時間経過を、次に、hPGの変動濃度、例えば、200nM、100nM、50nM、25nM、及び12.5nMを注射し、結合のレベルを検出することにより得る。典型的には、いくつかのチャンネルが、単一の実験において並行して複数の抗体をテストするために利用可能であり、hPGの異なる濃度で並行して単一のテスト抗体の結合をアッセイすることを可能にする。1つのチャネルを、非特異的結合についてのコントロールとして、hPGに特異的ではないマウスモノクローナル抗体を用いて注射すべきである。別のチャネルを、バックグラウンドシグナルについてのベースラインとして、希釈緩衝液単独を用いて注射すべきである。一般的に、結合は、非特異的マウス抗体を用いて注射したチャネルにおいて検出可能ではない。この設定において高レベルの結合を示す抗体は、hPGによる捕捉モノクローナル抗体の飽和をもたらしうるが、より低いhPG濃度(50nM、25nM、12.5nM、6.25nM、及び3.125nM)に対してテストすることができ、より精度のよい測定を可能とする。
【0121】
親和性定数(K)を、解離定数(k)と結合定数(k)の間の比率として算出する。実験値は、結合測定値に基づく実験曲線及び理論上のプロファイルの間での統計的に関連する類似性を分析することにより検証することができる。
【0122】
非マウス抗hPG抗体の親和性定数は、抗hPGテスト抗体の起源の種について特異的なIgGを使用して同様のフォーマットにおいて評価することができる。
【0123】
8.5 実施例5:参照抗hPG抗体を用いた競合的結合を評価するためのアッセイ
目的の抗体(テスト抗体)が、hPG結合について、ビオチン化参照抗hPG抗体と競合するか否かを評価するための特定のアッセイを、以下の通りに実施することができる。96ウェルプレートを、捕捉抗hPG抗体(ビオチン化参照抗hPG抗体により認識されるエピトープとは異なるhPGのN又はC末端領域を認識するポリクローナル又はモノクローナル抗体)を用いて、1〜10μg/mLの範囲内で選ばれる濃度で、4℃で一晩コーティングする(0.1〜1μg/ウェル)。22℃で2時間にわたるブロッキングバッファー(PBS中の0.1% TWEEN−20、0.1%BSA)を用いたブロッキング後、組換えhPGを、10pM〜1nM(10〜1000pg/ウェル)の間の範囲の濃度で加え、22℃で2時間にわたりインキュベートする。その後、ビオチン化参照抗hPG抗体(又はビオチン化参照抗hPG抗体を含む混合物)を、増加濃度の非標識テスト抗体濃度と共に加え、22℃で1時間にわたりインキュベートする。非結合抗体を除去するための洗浄後、結合した標識参照抗hPG抗体の検出を、混合物を、50ng/mLのストレプトアビジン(steptavidin)−HRPと22℃で1時間にわたりインキュベーション、西洋ワサビペルオキシダーゼ用の蛍光基質との22℃で1時間にわたるインキュベーション、及び、次に、ルミノメーターにおける相対的な光単位(RLU)の定量化により実施する。アッセイは二重に実施する。
【0124】
参照抗hPG抗体と競合する抗体は、hPGへの参照抗体の結合を阻害する。実質的に同一のエピトープに、又は重複するエピトープと参照抗体として結合する抗体は、結合した参照抗hPG抗体の量を有意に(例えば、少なくとも50%)低下させる(観察されたRLUにおける低下により証明される通り)。
【0125】
高いコントロール値が、標識した参照抗体を、テスト抗体を伴わず、組換えhPGとインキュベートすることにより行われるコントロール実験から得られる。低いコントロール値は、過剰濃度の非標識参照抗体(非標識参照抗体は、このように、hPGへの結合について標識抗体と競合する)の存在において、標識された参照抗体を、組換えhPGを用いてインキュベートすることにより行われるコントロール実験から得られる。参照抗hPG抗体と競合するテスト抗体の能力は、次に、標識した参照抗体を、増加濃度の非標識テスト抗体の存在下で組換えhPGとインキュベートすることにより決定される。
【0126】
テストアッセイにおいて、テスト抗体の存在下で観察されるRLUにおける有意な低下は、テスト抗体が、参照抗hPG抗体と実質的に同じエピトープを認識することを示す。
【0127】
結合の阻害は阻害定数又はKiとして表現することができ、以下の式に従って算出される:
=IC50/[1+([参照抗hPG Ab濃度]/K参照抗hPG Ab)]
式中、「IC50」は、参照抗体の結合における50%低下をもたらすテスト抗体の濃度であり、K参照抗hPG Abは参照抗hPG抗体の解離定数(hPGについてのその親和性の測定値)である。参照抗hPG抗体(例えば、本明細書に記載する抗hPG抗体の1つ)と競合する有用なテスト抗体は、典型的には、本明細書に記載するアッセイ条件下で10pM〜100nMの範囲のKsを有する。
【0128】
8.6 実施例6:原発性及び転移性膵臓癌と診断された患者における血漿又は血清ガストリン濃度
この実施例では、原発性又は転移性のいずれかの膵臓癌と診断された患者がプロガストリンの上昇した血漿又は血清レベルを有することを実証する。
【0129】
8.6.1 方法
血漿又は血清プロガストリン濃度を、健常個人(コントロールとして)において、及び膵臓癌、胃癌、食道癌、卵巣癌、又は乳癌と診断された患者において測定した。健常コントロールサンプル(n=104)を血液バンクから得た。分析に含まれた患者の内、25/32の膵臓癌患者が転移性疾患を有したが、その内の10人がそれらの原発性腫瘍を除去されていた。
【0130】
血漿又は血清プロガストリンレベルの定量化は、以下に予測的に記載するものと同様のプロガストリン特異的サンドイッチELISA技術を使用して実施した。
【0131】
Nunc MaxiSORP 96ウェルプレートのウェルを、以下の通りに第1プロガストリン特異的抗体を用いてコーティングする。プロガストリンのカルボキシ末端領域について特異的な抗プロガストリンポリクローナル抗体を、MilliQ水中の50mM,pH 9.6炭酸/重炭酸ナトリウム緩衝液の溶液中に、濃度3μg/mLまで希釈する。合計100μLの抗体溶液を、次に、96ウェルプレートの各ウェルに加えて、4℃で一晩インキュベートする。結合後、抗体溶液をウェルから除去し、それらを次に、100μL洗浄緩衝液(1×PBS/0.1% TWEEN−20)を用いて3回洗浄する。合計100μLのブロッキング緩衝液(1×PBS/0.1% TWEEN−20/0.1% BSA)を次に各ウェルに加えて、22℃で2時間にわたりインキュベートする。ブロッキング緩衝液を次に除去し、ウェルを、洗浄緩衝液を用いて3回洗浄する。患者から単離された血漿又は血清サンプルを、ウェルに、容積100μL中の希釈系列(典型的には1:1、1:2、1:5、及び1:10希釈)において加えて、次に、22℃で2時間にわたりインキュベートする。血漿又は血清サンプルは、二重に分析する。
【0132】
アッセイは、また、2つの標準曲線を含む。第1の標準曲線を、組換えプロガストリンの希釈物を使用して、最終量1ng、0.5ng、0.25ng、0.1ng、0.05ng、0.01ng、及び0ng/ウェルに調製する。第2の標準曲線は、陰性コントロールとしての役割を果たし、テストサンプルと同じ希釈で(即ち、1:1、1:2、1:5及び1:10)、ブロッキング緩衝液中に希釈したプロガストリン陰性ヒト血清から調製する。あるいは、血漿サンプルをアッセイしている場合、第2の標準曲線は、陰性コントロールとしての役割を果たし、テストサンプルと同じ希釈で(即ち、1:1、1:2、1:5及び1:10)、ブロッキング緩衝液中に希釈したプロガストリン陰性ヒト血漿から調製する。
【0133】
血漿又は血清サンプルを用いたインキュベーションが完了した後、ウェル内容物を除去し、ウェルを洗浄緩衝液(100μL/ウェル)を用いて3回洗浄し、その後、第1抗体に結合したプロガストリンを、プロガストリンについて特異的な第2抗体を使用して、以下の通りに検出する。
【0134】
プロガストリンのアミノ末端領域について特異的なビオチン共役抗プロガストリンポリクローナル又はモノクローナル抗体を、ブロッキング緩衝液中で、濃度0.1〜10μg/mLまで、抗体に依存して希釈する。合計100μLの抗体溶液を次に各ウェルに加えて、22℃で1時間にわたりインキュベートする。
【0135】
第2抗体結合が完了した後、プレートを、洗浄緩衝液(100μL/ウェル)を用いて3回洗浄し、その後、100μLのストレプトアビジン−HRP溶液(ブロッキング緩衝液中25ng/mL)を各ウェルに加えて、22℃で1時間にわたりインキュベートする。ストレプトアビジン−HRP溶液を用いたインキュベーションが完了した後、プレートを、洗浄緩衝液(100μL/ウェル)を用いて3回洗浄する。その後、Pierce SuperSignal ELISA Femto Maximum Sensitivity Chemiluminescent Substrateキットを使用して調製した100μLの化学発光基質を1ウェル当たりに加え、暗所に室温で5分間にわたりインキュベートし、ルミノメーターで読み込む。
【0136】
ルミノメーターの読み取りに基づき、線形回帰分析を使用して、標準曲線データに対応する線の等式を導く。この等式を使用して、種々の患者サンプル中でのプロガストリンの濃度を次に算出する。
【0137】
8.6.2 結果
図4におけるボックスプロットは、健常コントロールと比較した、アッセイされた癌患者の25パーセンタイル、中央値、及び75パーセンタイル血漿又は血清プロガストリン濃度を示す。ウィスカーは、血漿又は血清プロガストリン濃度の5及び95パーセンタイルを示す。このデータは、原発性及び転移性膵臓癌を伴う患者を含む患者集団が、健常個人と比較して、それらの血漿又は血清中のプロガストリンの上昇レベルを有していたことを実証する。
【0138】
8.7 実施例7:原発性及び転移性膵臓癌細胞株におけるガストリン遺伝子の発現
この実施例では、GAST遺伝子が原発性及び転移性膵臓癌細胞株において発現されることを示す。
【0139】
8.7.1 方法
テストした細胞は、原発性膵臓癌細胞株BxPC 3及びMIA PaCa 2、ならびに転移性膵臓癌細胞株Capan 1及びSU.86.86からであった。成長の期間後、細胞を再懸濁し、溶解し、全mRNAを、製造者のプロトコールに従ってQIAGEN RNeasy Miniキットを使用して抽出した。RNAを、オリゴ(dT)15プライマー(Roche Applied Science)の存在においてSuperscript II RT(Invitrogen)を使用して逆転写した。リアルタイムPCRを、Quantifast SYBR Green PCRキット(Qiagen)及びEppendorf Mastercycler ep realplex(Eppendorf)を使用して実施した。GAST及びGAPDH遺伝子増幅用のプライマーをSigma Life Scienceから得た。各PCR増幅を、以下の条件を使用して3通りのウェルにおいて実施した:95℃で5分、合計45の2温度サイクル(95℃で10秒及び60℃で30秒)が続く。
【0140】
8.7.2 結果
異なる細胞株中で発現されるガストリンmRNAの相対レベルを図56に報告する。レベルを、LS174T結腸直腸癌細胞株(ポジティブコントロールとしての役割を果たした)において発現されるGAST mRNAの量と比べて標準化し、データをLS174T CRC細胞株における発現レベルと比べて表現した。テストした全ての膵臓癌細胞株が、プロガストリンをコードする遺伝子(GAST)についてのmRNAを発現する。
【0141】
8.8 実施例8:膵臓癌細胞株によるプロガストリンの分泌
この実施例では、膵臓癌細胞株がプロガストリンを分泌することを実証する。
【0142】
8.8.1 方法
プロガストリンの分泌は、以下のプロトコールを使用して、2D培養中で成長させた膵臓細胞から得られた条件培地において、サンドイッチELISA法を使用して定量化した。細胞を、それらが60%コンフルエントに達するまで75cm2フラスコ中で成長させた。培地を次に除去し、細胞をPBSで1回洗浄した。細胞を次に20mlのM11培地(フェノールレッドを伴わない)中で48時間にわたり成長させた。培地を次に回収し、1,000gで5分間にわたり遠心し、細胞デブリを除去し、−80℃で凍結した。細胞を次にトリプシン処理し、カウントした。
【0143】
分泌されたプロガストリンを測定するために、凍結した培地をゆっくりと氷上で解凍し、次に、タンパク質コンセントレータ(Icon, Pierce)を使用して、2,500gで45分間にわたる遠心により容積500μLまで40倍濃縮した。プロガストリン濃度を、次に、サンドイッチELISA技術を使用して測定した。
【0144】
8.8.2 結果
膵臓癌細胞株により条件付けした培地中のプロガストリンの濃度を図6に報告する。データを、プロガストリン濃度(pM)/100万個細胞/48時間の成長として表現した。
【0145】
8.9 実施例9:培養中のCapan 1転移性膵臓癌細胞の成長に対する抗hPGモノクローナル抗体の効果
この実施例では、抗hPG抗体が転移性膵臓腫瘍細胞の増殖を阻害することを実証する。
【0146】
8.9.1 方法
Capan 1細胞を6ウェルプレート中に播種し(50,000個細胞/ウェル)、20%ウシ胎児血清を含むDMEM中で8時間にわたり成長させた。細胞を一晩血清飢餓させ(播種後24時間目に開始する(時間T0))、細胞を、48時間にわたり12時間毎に、0.5% PanexinHの存在において、1μg/mLのコントロールモノクローナル抗体(マウス抗ヒトIgG1、Calbiochem Ref #411451)を用いて、又は1μg/mLの抗hPG MAb3を用いて処理した(示す通り)。技術者は、処理溶液の内容物に関して盲検化された。
【0147】
8.9.2 結果
結果(図7に示す)を、実験の終了時での平均細胞数/ウェル−実験の開始時に播種した細胞数として算出した。この実験の結果は、抗hPG MAb3が、コントロール抗体と比較して、インビトロでCapan 1転移性膵臓癌細胞の成長を低下させるために効果的であることを実証する。
【0148】
8.10 実施例10:BxPC−3細胞の成長に対する抗hPGモノクローナル抗体を用いた2D処理の阻害効果
この実施例では、培養中のBxPC−3原発性膵臓癌細胞の成長に対する抗hPGモノクローナル抗体の阻害効果を実証する。
【0149】
8.10.1 方法
各実験について、150 000個のBxPC−3細胞を6ウェルプレート中に播種し、8時間にわたり10%ウシ胎児血清を含む培地中で成長させた。細胞を一晩血清飢餓させ(播種後24時間目に開始する(時間T0))、細胞を、48時間にわたり12時間毎に、0.5% PanexinHの存在において、1μg/mLのコントロールモノクローナル抗体(P3X63Ag8、ATCC、Ref TIB−9)を用いて、又は1μg/mLの抗hPG MAb8を用いて処理した(示す通り)。
【0150】
コントロールMAb処理細胞及び抗hPG MAb処理細胞の両方における生細胞の数を、48時間目にカウントした。処理の開始時(T0)での細胞数を、48時間目に測定したテスト及びコントロール細胞数から引いた。
【0151】
8.10.2 結果
結果を図8に示す。コントロール及びテストの両方のサンプルについての実際の細胞数、ならびにコントロールと比べたテストサンプルの細胞数を、以下の表4に提供する:
【表6】

【0152】
8.11 実施例11:MIA PaCa−2細胞の成長に対する抗hPGモノクローナル抗体を用いた2D処理の阻害効果
この実施例では、培養中のMIA PaCa−2原発性膵臓癌細胞の成長に対する抗hPGモノクローナル抗体の阻害効果を実証する。
【0153】
8.11.1 方法
各実験について、100 000個のMIA PaCa−2細胞を6ウェルプレート中に播種し、10%ウシ胎児血清+2.5%ウマ血清を含む培地中で8時間にわたり成長させた。細胞を一晩血清飢餓させ(播種後24時間目に開始する(時間T0))、細胞を、72時間にわたり12時間毎に、0.5% PanexinHの存在において、10μg/mLのコントロールモノクローナル抗体(P3X63Ag8、ATCC、Ref TIB−9)を用いて、又は10μg/mLの抗hPG MAb8を用いて処理した(示す通り)。コントロールMAb処理細胞及び抗hPG MAb処理細胞の両方における生細胞の数を、72時間目にカウントした。処理の開始時(T0)での細胞数を、72時間目に測定したテスト及びコントロール細胞数から引いた。
【0154】
8.11.2 結果
実験の結果を図9に提供する。コントロール及びテストの両方のサンプルについての実際の細胞数、ならびにコントロールと比べたテストサンプルの細胞数を、以下の表5に提供する:
【表7】

【0155】
8.12 実施例12:懸濁液中の癌球としての膵臓癌細胞のその後の成長に対する抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた2D前処理の阻害効果
この実施例では、抗プロガストリンモノクローナル抗体を用いた転移性膵臓癌細胞の前処理が、低接着培養条件下で癌球として成長するこれらの細胞のその後の能力に対して有する阻害効果を実証する。
【0156】
8.12.1 実験1:方法
100,000個のCapan 1細胞/ウェルを、最初に6ウェルプレート中へ20%FCSを伴うDMEM中に播種し、一晩血清飢餓させ、抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb3又はモノクローナルコントロール抗体(マウス抗ヒトIgG1;Calbiochem ref #411451)の存在において、0.5%Panexin Hを伴うDMEM中で48時間にわたり成長させた。処理の終了時、各処理群について、500個細胞/ウェルを超低付着24ウェルプレートの8つのウェル中へ500μlの無血清M11培地(bFGF及びEGFを含む)中に蒔き、さらに11日間にわたり処理なしで成長させた。この期間の終了時に、写真を撮り、ウェル当たりの球の数をカウントし、球の表面積を測定した。
【0157】
8.12.2 実験1:結果
写真を11日間の「休薬」期間の終了時に撮り、その間に、全ての本来の処理条件からのCapan 1細胞を同じM11培地中で成長させた。その後、全てのウェルの同一性について盲検化された操作者が、球をカウントした。
【0158】
図10に示す通り、低接着プレート中でスフェロイドとして成長するCapan 1膵臓癌細胞の能力は、プロガストリンに対するモノクローナル抗体を用いた先の48時間処理により有意に低下した。
【0159】
8.12.3 実験2:方法
150,000個細胞/ウェル(転移性膵臓癌細胞株SU.86.86)を、最初に6ウェルプレート(従来の付着性カルチャウェア)中へ8時間にわたり10%FCSを伴うRPMI中に播種し、一晩血清飢餓させ、抗プロガストリンモノクローナル抗体MAb8、MAb13、MAb16、又はMAb19の非存在又は存在において、0.5%Panexin Hを伴うRPMI中で48時間にわたり成長させた。処理の終了時、各処理群について、50個細胞/ウェルを超低付着96ウェルプレートの8つのウェル中へ100μlの無血清M11培地(bFGF及びEGFを含む)中に蒔き、さらに6日間にわたり処理なしで成長させた。この期間の終了時に、写真を撮り、ウェル当たりの球の数をカウントし、球の表面積を測定した。
【0160】
8.12.4 実験2:結果
写真を6日間の「休薬」期間の終了時に撮り、その間に、全ての本来の処置条件からのSU.86.86細胞を同じM11培地中で成長させた。その後、全てのウェルの同一性について盲検化された操作者が、球をカウントした。
【0161】
図11に示す通り、低接着プレート中でスフェロイドとして成長するSU.86.86膵臓癌細胞の能力は、プロガストリンに対するモノクローナル抗体を用いた先の48時間処理により有意に低下した。
【0162】
本願において引用する全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の文書が、各々の個々の刊行物、特許、特許出願、又は他の文書が全ての目的のために参照により組み入れられることが個々に示される場合と同じ程度まで、全ての目的のためにそれらの全体において参照により本明細書により組み入れられる。
【0163】
種々の特定の実施態様が例証及び記載されているが、種々の変化を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく作ることができることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的利益を提供するために十分な抗PG抗体の量を膵臓癌と診断された被験者に投与することを含む、被験体において膵臓癌を処置する方法。
【請求項2】
被験者がヒトであり、そして抗PG抗体が抗hPGモノクローナル抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
抗hPGモノクローナル抗体が、ヒト化抗hPGモノクローナル抗体である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
抗hPGモノクローナル抗体が、N末端抗hPGモノクローナル抗体である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
N末端抗hPGモノクローナル抗体が、DAPLG(配列番号28)、 PDAPLG(配列番号29)、PRSQQPD(配列番号30)、WKPRSQQPD(配列番号31)及びWKPRSQQPDAPLG(配列番号32)からなる群より選択される配列を含むエピトープに結合する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
N末端抗hPGモノクローナル抗体が、配列SWKPRSQQPDAPLG(配列番号25)を有するペプチドを含む免疫原に対して産生される、請求項4記載の方法。
【請求項7】
N末端抗hPGモノクローナル抗体が、配列においてMAb3、MAb4、MAb15、MAb16又はMAb19のV CDRに対応する3つのV CDRならびに配列においてMAb3、Mab4、MAb15、MAb16又はMAb19のV CDRに対応する3つのV CDRを含む、請求項4記載の方法。
【請求項8】
N末端抗hPGモノクローナル抗体が、配列においてMAb3、MAb4、MAb15、MAb16、又はMAb19のCDRに対応するCDRを含む、請求項4記載の方法。
【請求項9】
抗hPGモノクローナル抗体が、MAb3、MAb4、MAb15、MAb16及びMAb19からなる群より選択される参照抗体とhPG結合について競合する、請求項4記載の方法。
【請求項10】
抗hPGモノクローナル抗体が、C末端抗hPGモノクローナル抗体である、請求項2記載の方法。
【請求項11】
C末端抗hPGモノクローナル抗体が、FGRR(配列番号33)、MDFGR(配列番号34)、AEDEN(配列番号35)及びGWMDFGRR(配列番号36)からなる群より選択される配列を含むエピトープに結合する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
C末端抗hPGモノクローナル抗体が、配列QGPWLEEEEEAYGWMDFGRRSAEDEN(配列番号27)を有するペプチドを含む免疫原に対して産生される、請求項10記載の方法。
【請求項13】
C末端抗hPGモノクローナル抗体が、配列においてMAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb11、MAb12又はMAb13のCDRに対応する3つのV CDRならびに配列においてMAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb11、MAb12又はMAb13のCDRに対応する3つのV CDRを含む、請求項10記載の方法。
【請求項14】
C末端抗hPGモノクローナル抗体が、配列においてMAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb11、MAb12又はMAb13のCDRに対応するCDRを含む、請求項10記載の方法。
【請求項15】
C末端抗hPGモノクローナル抗体が、MAb5、MAb6、MAb7、MAb8、MAb11、MAb12及びMAb13からなる群より選択される参照抗体とhPG結合について競合する、請求項10記載の方法。
【請求項16】
膵臓癌が、原発性膵臓癌である、請求項2記載の方法。
【請求項17】
膵臓癌が、転移性膵臓癌である、請求項2記載の方法。
【請求項18】
抗hPGモノクローナル抗体が、腫瘍の外科的切除の補助として投与される、請求項2記載の方法。
【請求項19】
抗hPGモノクローナル抗体が、化学療法の補助として投与される、請求項2記載の方法。
【請求項20】
細胞を、その増殖を阻害するのに十分な抗PG抗体の量に曝露することを含む膵臓腫瘍細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項21】
インビトロで実行される請求項20記載の方法。
【請求項22】
インビボで実行される請求項20記載の方法。
【請求項23】
抗PGが抗hPGモノクローナル抗体である、請求項20記載の方法。
【請求項24】
抗PG抗体がN末端抗hPGモノクローナル抗体である、請求項20記載の方法。
【請求項25】
抗PG抗体がC末端抗hPGモノクローナル抗体である、請求項20記載の方法。
【請求項26】
被験者が約50pMの又はそれを上回る血漿又は血清プロガストリン濃度を有するか否かを決定することを含み、そこで、そのような濃度は、膵臓癌の少なくとも1つの他の症状と合わせて、被験者が膵臓癌を有する可能性が高いことを示す、膵臓癌の少なくとも1つの症状を示す被験者において膵臓癌を診断する方法。
【請求項27】
膵臓癌のために処置されている被験者が、約10pMを下回る血漿又は血清プロガストリン濃度を有するか否かを決定することを含み、そこで、そのような濃度は、処置が効果的であることを示す、膵臓癌処置の有効性をモニターする方法。
【請求項28】
膵臓癌のために処置されている患者の血漿又は血清プロガストリン濃度を、時間の関数としてモニターすることを含み、そこで、血漿又は血清プロガストリン濃度における経時的な減少は、膵臓癌処置が効果的であることを示す、膵臓癌処置の有効性をモニターする方法。

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図2F】
image rotate

【図2G】
image rotate

【図2H】
image rotate

【図2I】
image rotate

【図2J】
image rotate

【図2K】
image rotate

【図2L】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図3E】
image rotate

【図3F】
image rotate

【図3G】
image rotate

【図3H】
image rotate

【図3I】
image rotate

【図3J】
image rotate

【図3K】
image rotate

【図3L】
image rotate

【図3M】
image rotate

【図3N】
image rotate

【図3O】
image rotate

【図3P】
image rotate

【図3Q】
image rotate

【図3R】
image rotate

【図3S】
image rotate

【図3T】
image rotate

【図3U】
image rotate

【図3V】
image rotate

【図3W】
image rotate

【図3X】
image rotate

【図3Y】
image rotate

【図3Z】
image rotate

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2013−516439(P2013−516439A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547495(P2012−547495)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000049
【国際公開番号】WO2011/083091
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512097880)
【氏名又は名称原語表記】BIOREALITES
【出願人】(591100596)アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル (59)
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】