説明

臀部内面の洗浄方法及びその実施のために用いる器具

【課題】水洗便器に腰掛けた被介護者等の臀部内側全体を、面状に放出される温水シャワーで衛生的に効率よく洗浄することを課題とする。
【解決手段】水洗便器へのアタッチメント式洗浄装置(1)は、短軸方向に配列される噴水口(131a)の数よりも長軸方向に配列される噴水口(131a)の数を多くし、扇形の噴水流(W)を形成するよう構成された楕円状又は略長方形状のシャワー放出板(131)を有する扇形噴水式シャワーヘッド(13)を、水圧駆動式又は電動式の旋回ブーム(14)に取り付けたことを特徴とする。また、温水洗浄便座(30)においては、伸縮式のシャワーパイプ(31)の先端に上記扇形噴水式シャワーヘッド(13)を取り付けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臀部内面の洗浄方法及びその実施のために用いる器具に関し、特に、被介護者の排便後の臀部内面全体の洗浄に適した洗浄方法及びその実施のために用いる便座その他の器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者介護においては排泄物処理が最大の問題の一つである。排便、排尿をおむつで受け止めている場合には臀部内側全体に汚物が付着していることが多く、その処理は簡単ではない。
便器に取り付けられている従来公知の温水洗浄便座は、臀部を必要以上に濡らさないようにとの観点から、ビーム状に吐出する1〜4本の水流で、肛門、陰部を局部的にのみ洗浄するものであり、臀部内側を全体的に面的な広がりをもって洗浄するものではない。
例えば、下記特許文献1〜3に記載のトイレ装置等も、肛門等の局部をピンポイント的に洗浄するのには好適であるが、臀部内側全体に広く付着した汚物を洗い流すには必ずしも適してはいなかった。
そのため、臀部に広く付着した汚れを除去する際には、ボトルなどで少量の水をかけ、紙・布等で拭き取っているのが実情である。これでは汚物や臭気を十分に取り除くことはできない上、作業時間はかかり、さらには拭き取ることにより皮膚を傷め、爛れや感染症の原因となることも少なくない。一度爛れができると悪循環に陥り、なかなか根本的な治癒に至らない。その結果、感染症を引き起こしたり、痛みのために座ることが困難になり寝たきり状態になる引き金となることもしばしばである。
【0003】
【特許文献1】特開平5−230854号公報
【特許文献2】特開平5−255965号公報
【特許文献3】特開2003−147835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するためなされたものであり、その目的とするところは、被介護者等の肛門、陰部を局部的にのみ洗浄するのではなく、それらを含めた臀部内側全体を、臀部内側凹部に沿って面的に吐出する大量の温水シャワーで洗浄することにより、最も不潔になりやすい臀部の清潔を保ち、被介護者等の衛生性と快適性を実現し、加えて介護者の作業時間を短縮し、労働量を軽減し得る臀部内面の洗浄方法を提供し、また、その実施のために用いる便座等の器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、上記目的を達成するための臀部内面の洗浄方法を提供するものであり、その構成は、水洗便器の便座に腰掛けた使用者の臀部の下方から左右の臀部の間へ向けて、左右方向の数よりも前後方向の数が多くなるよう配列された多数条の扇形噴水流から成る温水シャワーを噴射することにより、左右の臀部内面に当たる面状の水流で臀部内面全体を洗浄することを特徴とするものである。
このような構成とすることにより、汚れた臀部内面を、充分な水量により、皮膚を痛めることなく、効率良く、洗浄することが可能となる。
【0006】
請求項2に係る発明は、本発明の前記目的を達成するため、水洗便器に取り付けて用いるアタッチメント方式の水圧駆動式臀部内面洗浄装置を提供するものであり、その構成は、
水洗便器の便器本体の側壁に固定される取付け台座と、
上端が上記取付け台座に所定の角度範囲内で軸中心に回転可能なよう取り付けられ、水洗便器への設置時には水洗便器の内壁面に沿って略鉛直となるよう配置され、上端には温水導入口が設けられた回転シリンダ管と、
短軸方向に配列される噴水口の数よりも長軸方向に配列される噴水口の数を多くし、扇形の噴水流を形成するよう構成された楕円状又は略長方形状のシャワー放出板を有する扇形噴水式シャワーヘッド[本願において、「扇形噴水式シャワーヘッド」という。]と、
先端には、上記扇形噴水式シャワーヘッドが取り付けられ、基端部は、上記回転シリンダ管の下半部の管壁に明けた通水孔を通じて回転シリンダ管の内部と連通するよう回転シリンダ管の外周面に固着されたパイプ部材から成るシャワーヘッド付き旋回ブームと、
上記回転シリンダ管内に収容され、回転シリンダ管の軸方向には移動可能なように、且つ、回り止め手段によって回転シリンダ管に対しては相対的に回転不能なように保持されたピストン部材と、
上記回転シリンダ管内に挿入され、上端と下端間に軸中心のねじれが形成され、上端は前記取付け台座に対して固定され、中間部は上記ピストン部材の中心に明けた非円形の孔に遊びなく挿通された、軸直角断面がピストン部材の中心の上記非円形の孔に対応する形状のねじれ案内バーと、
上記回転シリンダ管内の底面と上記ピストン部材の下面との間に収容され、ピストン部材を上方向へ押し上げるよう作用するコイルバネと、
上記取付け台座に設けられ、温水供給装置の給水ホースからの温水を上記回転シリンダ管の上端の温水導入口へ導く管路手段とその流路の開閉及び流量調節を行うレバー付きバルブと、を備え;
水洗便器への取付け時には、前記回転シリンダ管が水洗便器の片側の内壁面に沿って鉛直となるように且つ前記シャワーヘッド付き旋回ブームが水洗便器の片側の内壁面に沿って略水平となるように設置した上で、使用時には、前記レバー付きバルブのレバーを操作し、温水供給装置のからの温水を回転シリンダ管の上端の温水導入口から回転シリンダ管内へ導入すると、その水圧により前記ピストン部材が前記コイルバネの弾力に抗して下方へ移動せしめられ、その際、ピストン部材に挿通された前記ねじれ案内バーの作用によりピストン部材がその中心軸を中心に回転せしめられ、前記回り止め手段を介して回転シリンダ管がピストン部材と共に回転せしめられることにより、当該回転シリンダ管に固着された前記シャワーヘッド付き旋回ブームが旋回し、その先端の扇形噴水式シャワーヘッドが便器の中央へ向けて移動すると共に、ピストン部材が回転シリンダ管内でシャワーヘッド付き旋回ブームの基端の固着箇所より下方まで達すると、回転シリンダ管へ導入された温水がパイプ部材から成るシャワーヘッド付き旋回ブームの内部を通じてその先端の扇形噴水式シャワーヘッドから噴出されることにより、前後方向に面状に広がる扇形の噴水流によって臀部内面の洗浄が行われ当該シャワー使用後に、前記水量調節レバーを操作し、回転シリンダ管内への温水の供給を停止すると、前記コイルバネの復元力によりピストン部材が上方へ向けて移動し、その際、ねじれ案内バーの作用によりピストン部材は当初とは逆方向に回転せしめられつつ原位置へ復帰すると共に、回転シリンダ管及びシャワーヘッド付き旋回ブームもピストン部材と共に当初とは逆方向に回転せしめられて原位置へ復帰するよう構成されたこと;
を特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、使用する温水の水圧のみで作動し、必要時に既存の水洗便器に取り付けて用いることのできるアタッチメント方式のコンパクトな臀部内面洗浄装置を提供し得るものである。
また、上記扇形噴水式シャワーヘッドが用いられていることにより、請求項1に記載の本発明に係る洗浄方法を好適に実施し得るものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、本発明の前記目的を達成するため、水洗便器に取り付けて用いるアタッチメント方式の水圧駆動式臀部内面洗浄装置を提供するものであり、その構成は、
水洗便器の便器本体の側壁に固定される取付け台座と、
パイプ部材から成り、水洗便器の片側の内壁面に沿って略水平に配置され、先端には、扇形噴水式シャワーヘッドが取り付けられたシャワーヘッド付き旋回ブームと、
上記取付け台座に設けられ、温水供給装置から供給される温水の水圧により、上記シャワーヘッド付き旋回ブームをその基端部を中心に旋回させ、先端の扇形噴水式シャワーヘッドが便器の中央に達したとき停止させると共に、温水の供給を停止するとシャワーヘッド付き旋回ブームを原位置へ復帰させる旋回ブームの水圧駆動装置と、
上記取付け台座に設けられ、温水供給装置の給水ホースからの温水を上記水圧駆動装置及びシャワーヘッド付き旋回ブームの基端部へ導く管路手段とその流路の開閉及び流量調節を行うレバー付きバルブと、
を備えたことを特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、請求項2の発明と同様に、使用する温水の水圧のみで作動し、必要時に既存の水洗便器に取り付けて用いることのできるアタッチメント方式の臀部内面洗浄装置を提供し得る。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3の水圧駆動式臀部内面洗浄装置の望ましい実施形態に関するものであり、その構成は、
温水供給装置の給水ホースに接続される上記管路手段に、水洗便器内又は水洗タンク内へ直接排水する排水管路が併設され、上記レバー付きバルブのレバー操作により、給水ホースからの水が冷水の間は当該冷水を上記排水管路へ流し、給水ホースからの水が温水となったときは当該温水を前記回転シリンダ管又は水圧駆動装置とシャワーヘッド付き旋回ブームへ流すよう切換え可能に構成されたことを特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、使用開始時の冷水が使用者の臀部に当たり不快感を与えるのを防止できる。
【0009】
請求項5に係る発明は、本発明の前記目的を達成するため、水洗便器に取り付けて用いるアタッチメント方式の電動式臀部内面洗浄装置を提供するものであり、その構成は、
水洗便器の便器本体の側壁に固定される取付け台座と、
パイプ部材から成り、水洗便器の片側の内壁面に沿って略水平に配置され、先端には、扇形噴水式シャワーヘッドが取り付けられたシャワーヘッド付き旋回ブームと、
上記取付け台座に設けられ、使用者による開始スイッチ操作により、上記シャワーヘッド付き旋回ブームをその基端部を中心に旋回させ、先端の扇形噴水式シャワーヘッドが便器の中央に達したとき停止させると共に、使用者による終了スイッチ操作により、シャワーヘッド付き旋回ブームを原位置へ復帰させる旋回ブームの電動駆動装置と、
上記取付け台座に設けられ、温水供給装置の給水ホースからの温水をシャワーヘッド付き旋回ブームの基端部へ導く管路手段とその流路の開閉及び流量調節を行う電動バルブと、
使用者によるスイッチ操作に基づき、上記旋回ブームの電動駆動装置及び上記電動バルブの作動を制御する制御回路と、
を備えたことを特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、必要時に既存の水洗便器に取り付けて用いることができ、動作が正確で便利な電動式の臀部内面洗浄装置を提供し得る。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項5の電動式臀部内面洗浄装置の望ましい実施形態に関するするものであり、その構成は、
温水供給装置の給水ホースに接続される上記管路手段に、水洗便器内又は水洗タンク内へ直接排水する排水管路が併設され、上記電動バルブの制御回路の作動により、給水ホースからの水が冷水の間は当該冷水を上記排水管路へ流し、給水ホースからの水が温水となったときは当該温水をシャワーヘッド付き旋回ブームへ流すよう切換え可能に構成されたことを特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、電動式の臀部内面洗浄装置においても、使用開始時の冷水が使用者の臀部に当たり不快感を与えるのを防止できる。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項2〜6の水圧式又は電動式の臀部内面洗浄装置の望ましい実施形態に関するものであり、その構成は、上記シャワーヘッド付き旋回ブームのブームの長さを調節可能としたことを特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、男性が使用する場合と女性が使用する場合とで異なる最適なブームの長さに対応することができる。
【0012】
請求項8に係る発明は、同様に、請求項2〜6の水圧式又は電動式の臀部内面洗浄装置の望ましい実施形態に関するものであり、その構成は、上記シャワーヘッド付き旋回ブームの先端に取り付けられる扇形噴水式シャワーヘッドの取付け角度を調節可能としたことを特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、シャワーヘッドからの温水の噴出角度を、性差や個人差に応じた最適な角度に調節することができる。
【0013】
請求項9に係る発明は、本発明の前記目的を達成するための温水洗浄便座を提供するものであり、その構成は、便座の後部から便器内部へ向けて伸長、縮退せしめられるシャワーパイプの先端から使用者の左右の臀部の間へ向けて温水流を噴射するよう構成された温水洗浄便座において、上記シャワーパイプの先端に扇形噴水式シャワーヘッドを取り付けたことを特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、便座自体が扇形噴水式シャワーヘッドを備え、従来の温水洗浄便座と比べて、臀部内面全体の洗浄を効率よく且つ安定した動作で行うことができ、長期にわたる使用に適した温水洗浄便座を提供し得る。
【0014】
請求項10に係る発明は、請求項9の温水洗浄便座の望ましい実施形態に関するものであり、その構成は、上記シャワーパイプの使用時の長さを少なくとも2段階に選択可能としたことを特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、シャワーパイプの長さを、性差や個人差に応じた最適な長さに調節することができる。
【0015】
請求項11に係る発明は、同様に、請求項9の温水洗浄便座の望ましい実施形態に関するものであり、その構成は、上記シャワーパイプの先端に取り付けられる扇形噴水式シャワーヘッドの取付け角度を調節可能としたことを特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、温水シャワーの噴出角度を、性差や個人差に応じた最適な長さに調節することができる。
【0016】
請求項12に係る発明は、請求項9〜11の温水洗浄便座の望ましい実施形態に関するものであり、その構成は、先端に扇形噴水式シャワーヘッドを取り付けた上記シャワーパイプに加えて、肛門洗浄用シャワーノズルを有するシャワーパイプ及び/又はビデ用シャワーノズルを有するシャワーパイプを併設し、使用時にこれら3種のシャワーパイプのうちから所望のものを選択する選択手段を設けたことを特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、さまざまな利用目的に広く対応可能な温水洗浄便座を提供することが可能となる。
【0017】
請求項13に係る発明は、本発明の前記目的を達成するための水洗便器を提供するものであり、その構成は、請求項9から12までのいずれか一項に記載の温水洗浄便座を組み付けて成ることを特徴とするものである。
このような構成を採用することにより、水洗便器自体が扇形噴水式シャワーヘッドを有する温水洗浄便座を備え、従来の水洗便器と比べて、臀部内面全体の洗浄を効率よく且つ安定した動作で行うことができ、長期にわたる使用に適した水洗便器を提供し得る。
【0018】
請求項14に係る発明は、本発明の前記目的を達成するための臀部内面洗浄用ハンドシャワーを提供するものであり、その構成は、フレキシブルパイプの先端に、多数条の噴水流から成る面状の水流を形成するシャワーヘッドを取り付け、当該フレキシブルパイプの基端部には、少なくとも、温水供給装置からの給水ホースへの接続コネクタと、水量調節レバー付きバルブとを有するハンドルを取り付けたことを特徴とするものである。
このような構成のハンドシャワーであると、その先端を水洗便器に腰掛けた被介護者の任意の部位に向けることにより、被介護者の背下臀部、股の付け根、陰茎と陰嚢の間など、込み入った部分に付着した汚物を完全に除去することができる。
【0019】
請求項15に係る発明は、請求項14のハンドシャワーの望ましい実施形態に関するものであり、その構成は、上記シャワーヘッドのシャワー放出板の内面の略中央に牽引ワイヤの一端を取り付け、当該牽引ワイヤの他端は上記フレキシブルパイプの内部を通じて又は外周面に沿ってフレキシブルパイプの基端部側へ導き、上記ハンドルに設けた牽引レバーに取り付けたことを特徴とするものである。
そのような構成とすることにより、ハンドルに設けた牽引レバーを引き、牽引ワイヤで、通常は外側へ向けて凸状になっているシャワー放出板の面の凹凸曲率を変化させることにより、シャワーの拡散領域を任意に変更できる。
【0020】
上記の如く、本発明によるときは、温水供給レバーをひねるだけで、または使用開始スイッチを入れるだけで被介護者本人あるいは介護者が、いつでも手軽に、短時間の内に効率よく臀部内側を全体的に洗浄することが可能となるものである。少し長い時間をかければ「お尻だけの入浴」も実現できる。
また、紙や布で拭き取るのではなく、温水での洗浄であるため、擦過傷などをつくることなく、被介護者に高いレベルでの清潔性と快適さを提供できること、介護者の作業時間と労働量を軽減できること、等々の効果も得られる。
なお、本発明に係る臀部内面洗浄装置等は、被介護者に限らず、通常の健康な人であっても、これを使用することにより、従来以上の清潔性と快適さを得ることができるので、被介護者を有する家庭内で共同で利用することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明に係る水圧駆動によるアタッチメント式臀部内面洗浄装置の一実施例を水洗便器に取り付けた状態で示す平面図、
図2は、本発明に係る臀部内面洗浄装置等に取り付けて用いられる扇形噴水式シャワーヘッドの一実施例の説明図、
図3は、図2に示した扇形噴水式シャワーヘッドによる洗浄状態を示す説明図、
図4は、図1に示したアタッチメント式臀部内面洗浄装置の不使用時の状態を示す説明図、
図5は、図4に示したアタッチメント式臀部内面洗浄装置の使用時の状態を示す説明図、
図6は、図4及び図5に示したアタッチメント式臀部内面洗浄装置の回転シリンダ管とピストン部材の組立て状態を示す軸直角断面図、
図7は、冷水及び温水の切換えと水量調節を行うためのバルブの操作を示す説明図、
図8は、本発明に係る電気制御駆動によるアタッチメント式臀部内面洗浄装置の一実施例を示す説明図、
図9は、図4、図5及び図8に示したアタッチメント式臀部内面洗浄装置のシャワーヘッド付き旋回ブームの長さの調節手段の一実施例を示す説明図、
図10は、本発明に係る温水洗浄便座の一実施例を示す説明図、
図11は、本発明に係る臀部内面洗浄用ハンドシャワーの一実施例を示す説明図、
図12は、図11に示したハンドシャワーのシャワーターゲット領域の調節状態を示す説明図である。
【0022】
本発明は、前記の如く、使用者の臀部内側全体を、臀部内側凹部に沿って面的に吐出する大量の温水シャワーで洗浄することを目的とするものである。
この目的を達成するための洗浄装置としては、(A)洗浄機能を持った従来の温水洗浄便座に大量の温水を吐出するシャワーノズルを追加することが最も適切であると考えられるが、(B)既設のトイレ装置とは独立した洗浄装置でも可能である。この場合、(B−1)電気的制御駆動装置を利用したものと、(B−2)電気を一切使わずに水圧のみで作動する装置の2種類が考えられる。
まず、図1〜図8を参照しつつ、既存の水洗便器に取り付けて使用するアタッチメント式の洗浄装置で、上記(B−2)の電気を一切使わずに水圧のみで作動する装置について説明し、次いで、図9により、(B−1)の電気的制御駆動装置を利用したものについて説明し、図10により、(A)の従来の温水洗浄便座に大量の温水を吐出するシャワーヘッドを製造段階で取り付けたものについて説明し、更に、図11〜図12により、ハンドシャワータイプのものについて説明する。
【0023】
図1、図4、図5には、水圧のみで作動する洗浄装置1を、水洗便器の便器本体(便器鉢)Pに設置した状態が示されている。使用時には、この上に便座カバーを降ろして腰掛ける。
図1及び図4(A)に示す如く、先端にシャワーヘッド13のついた旋回ブーム14は、不使用時には便器鉢の内部側面に寄せてあるが、使用時には、バルブ19のレバー191をひねって、装置内に通水することにより、図5(A)に示す如く、水圧で自動的に旋回し、ブーム先端のシャワーヘッド13が便器中央部に移動して、使用者の臀部内面全体に向けて温水を吐出するようになっている。
【0024】
旋回ブーム14の先端に取り付けるシャワーヘッド13としては小型のものを使用し、図2(A)の平面図と同(B)の側面図に示すように、縦方向に湾曲させたシャワー放出板131に、多数の噴水孔131aを縦長に配列することにより、臀部内側の凹部に沿って前後方向に広がる縦扇形の温水シャワーWを吐出させるようになっている。
即ち、シャワーヘッド13(本願において、「扇形噴水式シャワーヘッド」という。)は、楕円状又は略長方形状のシャワー放出板131を有し、その多数の噴水口131aは、短軸方向に配列される数よりも長軸方向に配列される数を多くし、放出板131をその長軸方向に沿って外側へ向けて凸状に湾曲させることにより扇形の噴水流Wが形成されるようになっている。
そのため、この扇形の噴水流Wを使用者の臀部内側へ向けて放出すると、図3(A)の正面図に示す左右方向の広がりよりも、同図(B)の右側面図に示す前後方向の広がりの方が広範囲となる縦長で面状の噴水流Wによって、汚れた臀部内面全体が洗浄されるものであり、従来の温水洗浄便座による1〜4本のビーム状の噴水流によるピンポイント洗浄に比べて、格段に効率良く、広範囲で衛生的な洗浄が行われ得るものである。
即ち、図2に示すような扇形噴水式シャワーヘッド13を用いることにより、本発明に係る洗浄方法、即ち、水洗便器の便座に腰掛けた使用者の臀部Hの下方から左右の臀部の間へ向けて、左右方向の数よりも前後方向の数が多くなるよう配列された多数条の扇形噴水流Wから成る温水シャワーを噴射することにより、左右の臀部内面に当たる面状の水流で臀部内面全体を洗浄することを特徴とする臀部内面の洗浄方法が好適に実施され得るものである。
ここで「多数条」とは、望ましくは10条以上、100条以下、一層望ましくは20条以上、50条以下とされるものである。噴水流の数が10条未満であると、面状に広がる充分な水流が得られず、他方、100条を超えると無駄に消費される温水が多くなるためであり、更にまた、20条以上、50条以下の範囲が面状の水流形成及び温水供給効率の点で最も好適であるからである。
従って、シャワー放出板131に明けられる「多数」の噴水口131aの数も、望ましくは10個以上、100個以下、一層望ましくは20個以上、50個以下とされるものである。
【0025】
なお、上記実施例においては、シャワーヘッド13の楕円状又は略長方形状のシャワー放出板131を、長軸方向に沿って外側へ向けて凸状に湾曲させることにより扇形の噴水流Wが形成されるように構成したが、シャワー放出板131が肉厚の部材である場合には、噴水口131aの穿孔角度を中央領域のものから端部領域のものへ向かうに従って次第に傾斜させることによっても、扇形の噴水流Wを形成することが可能である。
即ち、放出板131の中央領域の噴水口131aは、放出板131の主平面に対して垂直となるように明け、端部領域へ向かうに従って次第に外側へ向けて傾斜させるように明けることにより、それらの噴水口から噴出される水流を全体として扇形に形成し得るものである。
【0026】
以下、図1、図4、図5に示したアタッチメント式の臀部内面洗浄装置1の構成及び作動について説明する。
この洗浄装置1は、取付け台座11、回転シリンダ管12、扇形噴水式シャワーヘッド13、旋回ブーム14、ピストン部材15、ねじれ案内バー16、コイルバネ17、管路手段18、バルブ19、等々から構成されている。
洗浄装置1は、取付け台座11に備えられたクランプ等により水洗便器の便器鉢Pに固定され、その際、取付け台座11に直接的又は間接的に取り付けられた回転シリンダ管12が便器鉢内で略鉛直となるようにセットされる。
本装置の動作は、管路手段18を通じて回転シリンダ管12に通水すると、その水圧により回転シリンダ管12内のピストン部材15が下に押し下げられ、これと同時に旋回ブーム14をその先端が便器中央にくるまで回転させ(図5)、中央にきたところで先端の扇形噴水式シャワーヘッド13から大量の温水が放出される。
洗浄が終わり通水を止めると、回転シリンダ管12内のコイルバネ17の反発力によりピストン部材15が上に押し上げられ、これと同時に旋回ブーム14が便器鉢側面の元の位置まで自動的に戻る。
ピストン部材15を回転させるためのねじれ案内バー16と、その回転を回転シリンダ管12に伝えるための回り止め手段123及び152(図6)が設けられる。
【0027】
以下、より具体的に説明する。
取付け台座11は、洗浄装置1を水洗便器の便器本体Pの側壁に着脱可能なように固定するためのものであり、便器本体Pの外形に対応可能な形状を有すると共に、クランプ等の簡便で安定した固定手段を有する。
なお、取付け台座11は、必ずしも便器本体Pのみによって支持されるものである必要はなく、便器が設置されている床面に設置され、補助的に便器本体Pによって支持されるような台座であってもよい。
回転シリンダ管12は、その上端が上記取付け台座11に対して直接的又は所要の部材を介して間接的に取り付けられ、その際、ベアリング等を介して所定の角度範囲内で軸中心に回転可能なように取り付けられる。
また、回転シリンダ管12の上端には、管路手段18へ通じる温水導入口121が設けられる。
洗浄装置1を便器本体Pに取り付けるときは、回転シリンダ管12が便器鉢の内壁面に沿って略鉛直となるようにセットする。
【0028】
パイプ部材から成るシャワーヘッド付き旋回ブーム14の先端141には、前記扇形噴水式シャワーヘッド13が取り付けられる。
旋回ブーム14の基端部142は、上記回転シリンダ管12の下半部の管壁に明けた通水孔122の箇所で、回転シリンダ管の外周面に固着され、前記温水導入口121から回転シリンダ管内に導入された温水が、通水孔122から旋回ブーム14の内部を通じてシャワーヘッド13へ送られ、放出されるようになっている。
【0029】
ねじれ案内バー16は、回転シリンダ管12内でピストン部材15が上下に移動する際に、ピストン部材に回転を付与する部材である。
図示した実施例におけるねじれ案内バー16は、扁平な串状の部材から成り、回転シリンダ管12内にその中心軸に沿って挿入され、図4(C)及び図5(C)に示す如く、上端と下端間に軸中心のねじれが形成されている。
ねじれ案内バー16の上端は前記取付け台座11に対して直接的又は所要の部材を介して間接的に固定され、中間部はピストン部材15の中心に明けた非円形の孔151(図6参照)に遊びなく挿通されている。
ピストン部材15の非円形の孔151に遊びなく挿通するために、ねじれ案内バー16の軸直角断面は、ピストン部材の上記非円形の孔151に対応する形状に形成されている。
【0030】
ピストン部材15は、回転シリンダ管12内に収容され、回転シリンダ管の軸方向には移動可能なように、且つ、回り止め手段によって回転シリンダ管に対しては相対的に回転不能なように保持される。
回り止め手段の一例としては、例えば図6(イ)に示す如く、回転シリンダ管12の内壁面にその軸方向に沿って上から下まで直線状に延びるスプライン突条123を形成すると共に、ピストン部材15の外周面には、上記スプライン突条123に対応する切欠き152を形成したものを採用できる。
スプライン突条123と切欠き152が嵌まり合っているため、ピストン部材15と回転シリンダ管12とは相対的に回転は不能であるが、ピストン部材15は上下方向にはスプライン突条123に沿って移動可能なものである。
回り止め手段のもう一つの例としては、例えば図6(ロ)に示す如く、ピストン部材15の適宜の箇所に、ピストン部材15の中心軸と平行にその上面から下面へ貫通する孔153を明けておき、この孔に、回転シリンダ管12の中心軸と平行に上下方向に延びる回り止め棒154を挿通する。回り止め棒154の上端及び/又は下端は回転シリンダ管12に固定する。
この場合、回り止め棒154がピストン部材15の孔153に挿通されているため、ピストン部材15と回転シリンダ管12とは相対的に回転は不能であるが、ピストン部材15は上下方向には移動可能である。
【0031】
回転シリンダ管12の底面とピストン部材15の下面との間には、コイルバネ17が収容され、ピストン部材15を上方向へ押し上げる作用をするようになっている。
【0032】
前記取付け台座11には、温水供給装置の給水ホースからの温水を回転シリンダ管12の上端の温水導入口121へ導く管路手段18と、その流路の開閉及び流量調節を行うレバー191の付いたバルブ19とが設けられる。
【0033】
上記の如く構成された、アタッチメント式の洗浄装置1を水洗便器に取り付ける時は、回転シリンダ管12が水洗便器の片側の内壁面に沿って鉛直となるように且つ前記シャワーヘッド付き旋回ブーム14が水洗便器の片側の内壁面に沿って略水平となるように設置する。
【0034】
この洗浄装置1の使用時には、前記レバー付きバルブ19のレバー191を操作し、温水供給装置のからの温水を回転シリンダ管の上端の温水導入口121から回転シリンダ管12内へ導入する。
そうすると、その水圧によりピストン部材15がコイルバネ17の弾力に抗して下方へ移動せしめられ、その際、ピストン部材に挿通されたねじれ案内バー16の作用によりピストン部材15がその中心軸を中心に回転せしめられる。
然るときは、前記回り止め手段123,152を介して回転シリンダ管12がピストン部材15と共に回転せしめられ、これにより、回転シリンダ管12に固着されたシャワーヘッド付き旋回ブーム14が旋回し、その先端の扇形噴水式シャワーヘッド13が便器の中央へ向けて移動する。
このようにして、ピストン部材15が回転シリンダ管12内で旋回ブーム14の基端の固着箇所、即ち、通水口122の位置もしくはそれより下方まで達すると、回転シリンダ管へ導入された温水が、通水口122から旋回ブーム14の内部を通じてその先端の扇形噴水式シャワーヘッド13へ送られ、扇形の噴水流Wとなって噴出される。この前後方向に面状に広がる扇形の噴水流Wによって臀部内面の洗浄が行われるものである。
【0035】
シャワー使用後には、前記水量調節レバー191を操作し、回転シリンダ管内への温水の供給を停止すると、コイルバネ17の復元力によりピストン部材15が上方へ向けて移動する。その際、ねじれ案内バー16の作用によりピストン部材15は当初とは逆方向に回転せしめられつつ原位置へ復帰する。
このとき同時に、前記回り止め手段123、152の作用により、回転シリンダ管12及びシャワーヘッド付き旋回ブーム14もピストン部材15と共に当初とは逆方向に回転せしめられて、原位置へ復帰する。
【0036】
なお、コイルバネ17の復元力によりピストン部材15が上方へ向けて復帰する際に、ピストン部材15より上方に存在する回転シリンダ管12内の水の逃げ場がなければ、ピストン部材15の上方への移動が阻害される。
然しながら、通常は、ピストン部材15に明けた前記非円形の孔151とねじれ案内バー16との間の僅かな隙間や、回り止めのためのスプライン突条123と切欠き152との間の僅かな隙間などからの漏水があるため、ピストン部材15の上方への移動は幾分緩慢ではあるが、支障なく行われる。
ただし、各部品が極めて高精度に作製され、上記漏水が生じ得ない場合には、例えば、ピストン部材15に予め細孔を明けておき、当該細孔を通じてピストン部材15より上方の水を下方へ逃がすようにすればよい。当該細孔のサイズは、回転シリンダ管12内への温水導入時に、その水圧によるピストン部材15の下方への移動に支障が生じない程度に、充分に小さな孔とすべきことは勿論である。
なお、回転シリンダ管12から外部への水漏れについては、旋回ブーム14の回転動作や、シャワーヘッド13からの放水動作に支障がない限り、その水漏れを完全に防止する必要はない。漏れた水は便器内へ落下するので特に問題はなく、また、装置自体の表面洗浄効果も期待できるからである。
【0037】
なお、上記実施例における水圧駆動式の洗浄装置1においては、シャワーヘッド付き旋回ブーム14を不使用時の位置から使用時の位置へ便器鉢内で旋回させるために、回転シリンダ管12と、ピストン部材15と、ねじれ案内バー16とから構成される機構を用いたが、旋回ブームを旋回させるための水圧駆動装置としては、これ以外の手段を用いることも可能である。
例えば、公知の水圧アクチュエータや水圧モータを駆動力源とし、その動力を旋回ブームに伝達して旋回させるようにしてもよい。
従って、本発明は、アタッチメント式の臀部内面洗浄装置であって、そのシャワーヘッド付き旋回ブーム14を水圧駆動する各種形態のものを広く包摂するものである。
即ち、本発明に係るアタッチメント式臀部内面洗浄装置としては、
水洗便器の便器本体Pの側壁に固定される取付け台座11と、
パイプ部材から成り、水洗便器の片側の内壁面に沿って略水平に配置され、先端には、扇形噴水式シャワーヘッド13が取り付けられたシャワーヘッド付き旋回ブーム14と、
上記取付け台座に設けられ、温水供給装置から供給される温水の水圧により、上記シャワーヘッド付き旋回ブーム14をその基端部を中心に旋回させ、先端の扇形噴水式シャワーヘッド13が便器の中央に達したとき停止させると共に、温水の供給を停止するとシャワーヘッド付き旋回ブーム14を原位置へ復帰させる旋回ブームの水圧駆動装置(図面による説明は省略)と、
上記取付け台座に設けられ、温水供給装置の給水ホースからの温水を上記水圧駆動装置及びシャワーヘッド付き旋回ブームの基端部へ導く管路手段18とその流路の開閉及び流量調節を行うレバー付きバルブ19と、
を備えたものが含まれるものである。
【0038】
次に、扇形噴水式シャワーヘッド13から放出される温水の切換え手段について説明する。
即ち、通水の始めは水温が低いので、水温が適温になるまでの間に流れる冷水は便器鉢か水洗タンクに排水し、適温になってからシャワーヘッド13から放出するようにすることが望ましい。
図7には、そのための切換えと水量調節を行うレバー191を備えたバルブ19と、その操作内容が記載されている。レバー191の回し具合で、シャワーヘッド13からの出水量を調節する。
図7において、レバー191が(A)の位置で完全に止水する。
(A)から(B)の間は冷水を排水する。
(B)から(C)の間に温水が前記回転シリンダ管12に流入し、旋回ブーム14が回転し、シャワーヘッド13から温水が吐出する。
そのため、本発明に係る洗浄装置1においては、温水供給装置(図では省略)の給水ホースに接続される上記管路手段18に、水洗便器内又は水洗タンク内へ直接排水する排水管路18a(図1)が併設され、上記レバー付きバルブ19のレバー操作により、給水ホースからの水が冷水の間は当該冷水を排水管路18aへ流し、給水ホースからの水が温水となったときは当該温水を前記回転シリンダ管又は前記水圧駆動装置とシャワーヘッド付き旋回ブームへ流すよう切換え可能に構成されるものである。
このような構成を採用することにより、使用開始時の冷水が使用者の臀部に当たり不快感を与えるのを防止できる。
【0039】
次に、電動式のアタッチメント式臀部内面洗浄装置について、図8を参照しつつ説明する。
電気的制御駆動装置を用いることにより、目的とする動作をより正確で確実なものにすることができる。
図8に、その概略が示されており、図中の電動駆動装置20は、サーボモーター21、歯車列22、電動バルブ23、等々を備え、制御回路24からの制御信号によって作動せしめられるようになっている。
通水スイッチ(図では省略)を入れると、制御回路24からの制御信号によりサーボモーター21が駆動し、歯車列22を介してシャワーヘッド付き旋回ブーム14が回転する。ブーム先端の扇形噴水式シャワーヘッド13が便器の中央に達すると、回転を停止し、電動バルブ23を作動させて通水口を開け、シャワーヘッド13からの吐水を開始する。
このように、本発明は、アタッチメント式の臀部内面洗浄装置であって、そのシャワーヘッド付き旋回ブーム14や給水バルブを電動により駆動するものを広く包摂するものである。
【0040】
従って、本発明に係るアタッチメント式臀部内面洗浄装置としては、
水洗便器の便器本体の側壁に固定される取付け台座11と、
パイプ部材から成り、水洗便器の片側の内壁面に沿って略水平に配置され、先端には、扇形噴水式シャワーヘッド13が取り付けられたシャワーヘッド付き旋回ブーム14と、
上記取付け台座に設けられ、使用者による開始スイッチ操作により、上記シャワーヘッド付き旋回ブーム14をその基端部を中心に旋回させ、先端の扇形噴水式シャワーヘッド13が便器の中央に達したとき停止させると共に、使用者による終了スイッチ操作により、シャワーヘッド付き旋回ブーム14を原位置へ復帰させる旋回ブームの電動駆動装置20と、
上記取付け台座に設けられ、温水供給装置の給水ホースからの温水をシャワーヘッド付き旋回ブームの基端部へ導く管路手段18とその流路の開閉及び流量調節を行う電動バルブ23と、
使用者によるスイッチ操作に基づき、上記旋回ブームの電動駆動装置20及び上記電動バルブ23の作動を制御する制御回路24と、
を備えたものが含まれるものである。
なお、本願において、電動バルブというときは、電磁バルブその他、電力により弁の開閉が行われるものや、電気信号により開閉制御が行われるもの、等々を広く含むものである。
このような電動方式の構成を採用することにより、必要時に既存の水洗便器に取り付けて用いることができ、動作が正確で便利な電動式の臀部内面洗浄装置を提供し得る。
【0041】
なお、電動式の洗浄装置においても、使用開始時の冷水が臀部に当たるのを防止するため、温水供給装置から供給される水の切換え制御を行うように構成することが推奨される。
そのため、電動式の洗浄装置においても、温水供給装置の給水ホースに接続される上記管路手段18に、水洗便器内又は水洗タンク内へ直接排水する排水管路18aを併設し、上記電動バルブの制御回路の作動により、給水ホースからの水が冷水の間(例えば給水開始から予め定めた所定時間内)は当該冷水を排水管路18aへ流し、所定時間が経過し給水ホースからの水が温水となったときは当該温水をシャワーヘッド付き旋回ブーム14へ流すよう切換え制御することが望ましい。
【0042】
次に、扇形噴水式シャワーヘッド13の位置と角度の調節について説明する。
女性の場合、男性よりもやや前方からの洗浄が好ましいので、扇形噴水式シャワーヘッド13の位置を前方にずらすことが可能なように構成することが望ましい。
そのため、図9に示すように、例えば、旋回ブーム14の先端に着脱可能なエクステンションパイプ143を接続できるようにすることが推奨される。
また、シャワーヘッドからの温水の吐出角度を、性差や個人差、好みに応じて調整することができるように、図9に示す如く、旋回ブーム14の先端へのシャワーヘッド13の取付け部分にボールジョイント144を設け、シャワーヘッドの取付け角度を調節可能とすることができる。この場合、2個の着脱用ジョイント145を介してボールジョイント144を取り付けるようにするとよい。
なお、シャワーヘッド13の位置と角度の調節手段は、これらに限らず、各種形態のものを利用できる。
【0043】
以上、必要時に、既存の水洗便器に取り付けて用いることのできるアタッチメント方式の臀部内面洗浄装置について説明してきた。
被介護者を一時的に有する家庭においては、このようなアタッチメント式の洗浄装置を利用することにより、次に説明する便座自体が洗浄装置を備えたものを設置するよりも、臨機応変に対応できるメリットがある。
【0044】
次に、従来の温水洗浄装置に加え、臀部内面全体を面的に広く洗浄するため大量の温水を吐出するシャワーヘッドを便座そのものの一部として一体的に組み込んだ温水洗浄装置について、図10を参照しつつ説明する。
図10(A)は当該便座の平面図、同(B)はその3種のシャワーパイプの配置の一例を示す底面図、同(C)はその正面図である。
従来の温水洗浄装置が、前記の如く、1〜4条の水流によるピンポイント洗浄であったのに対して、図10に示す本発明による温水洗浄装置3においては、便座30に扇形噴水式シャワーヘッド13を組み込むことにより、扇形の面状に広がる多条の水流によって、臀部内面を洗い残しなく効率良く洗浄し得るものである。
なお、この温水洗浄装置は、出水量のコントロールに加え、男性が使用する場合と女性が使用する場合の両方に対応するため、一定の範囲内でシャワーパイプの長さを調節できるものとする。
【0045】
即ち、図10に示す温水洗浄便座3は、便座30の後部から便器内部へ向けて電動形式で伸長、縮退せしめられるシャワーパイプ31の先端から使用者の左右の臀部の間へ向けて温水流を噴射するよう構成された温水洗浄便座において、上記シャワーパイプ31の先端に扇形噴水式シャワーヘッド13を取り付けたことを特徴とするものである。
シャワーパイプ31の使用時の長さは、少なくとも2段階に変更、選択可能なように構成すると共に、扇形噴水式シャワーヘッド13の取付け角度についても、これを調節可能とすることが推奨される。
このような構成を採用することにより、シャワーパイプの長さやシャワーヘッドの角度を、性差や個人差に応じた最適な長さと角度に調節することができる。
なお、温水洗浄便座3は、扇形噴水式シャワーヘッド13を有する上記シャワーパイプ31に加えて、従来の温水洗浄便座と同様の肛門洗浄用シャワーノズルを有するシャワーパイプ32と、ビデ用シャワーノズルを有するシャワーパイプ33とを有すると共に、使用時にこれら3種のシャワーパイプのうちから所望のものを選択する選択手段を備えている。
当該選択手段としては、押しボタン等で所望の洗浄方式を選ぶと、公知の手段によりその洗浄方式のシャワーパイプが伸長し、当該シャワーパイプに対応する電磁バルブが開いて、洗浄が行われるようにすることができる。
図10(A)の平面図に示す状態においては、扇形噴水式シャワーヘッド13を有するシャワーパイプ31だけを使用のため伸長させ、他のシャワーパイプ32と33は縮退させたままとなっている。また、図10(B)の底面図に示す状態においては、参考のためシャワーパイプ31、32及び33のすべてを伸長させた様子が示されているが、実際の使用時には、使用目的に応じてこれら3本のシャワーパイプのうちのいずれか1本だけを伸長させて使用するものである。
このような構成を採用することにより、さまざまな利用目的に広く対応可能な温水洗浄便座を提供することが可能となる。
本発明はまた、上記の如き構成の温水洗浄便座3を当初から組み付けて成る水洗便器(図示せず)をも提供するものである。
これにより、従来の水洗便器と比べて、臀部内面全体の洗浄を効率よく且つ安定した動作で行うことができ、長期にわたる使用に適した水洗便器を提供し得る。
【0046】
次に、図11及び図12を参照しつつ、本発明に係る臀部内面洗浄用ハンドシャワーについて説明する。
図11に示すハンドシャワー4は、フレキシブルパイプ41の先端411に、多数条の噴水流から成る面状の水流を形成するシャワーヘッド42を取り付け、当該フレキシブルパイプの基端部412には、少なくとも、温水供給装置からの給水ホースへの接続コネクタ431と、水量調節レバー付きバルブ432とを有するハンドル43を取り付けたことを特徴とするものである。
このようなハンドシャワーは、臀部内面を、多数条の噴水流から成る面状の水流で洗浄するという点で、前記の水洗便器へのアタッチメント式の洗浄装置等と共通の技術的思想に立脚するものである。
このハンドシャワー4は、被介護者の背下臀部、股の付け根、陰茎と陰嚢の間など、込み入った部分に付着した汚物を完全に除去するために、前記の本発明に係る臀部内面洗浄装置と併用することが望ましい。
【0047】
上記ハンドシャワーに必要とされる要件は、下記(1)〜(4)の通りである。
(1)ハンドルのところでの片手での指操作によりシャワーのオン・オフに加え、軽い力で吐水量の無段階調節ができること。
この要件は、ハンドル43に上記水量調節レバー432aを有するバルブ432を設けることにより充足される。
(2)ハンドルからシャワーヘッドまでは長さ30cm程度のフレキシブルなパイプを使用し、使用時の必要性に応じて自由に曲げられること。
(3)使用中にシャワーヘッドが体に接触することがあるので、シャワーヘッドは小さく、滑らかで突起がなく、皮膚を傷つけないものであること。
シャワーヘッドの大きさは、最大径部分が0.5cm〜3cmの範囲内であることが望ましい。0.5cm未満では充分な水量を確保するのに必要な数の噴水口を設けることが困難となり、他方、3cmを超えると、使用者の体に接触する可能性が増加すると共に、汚れが付着する可能性も増大するからである。特にハンドシャワーの先端は、使用者の股間と便座の間の狭い隙間から出し入れするため、小さく小回りが利くことが重要であり、皮膚を傷つけないよう滑らかであることが必須である。
(4)望ましくは、ハンドルのところでシャワーの拡散領域をコントロールできること。
この要件を充足させるため、例えば、以下の構成を採用することが推奨される。
即ち、図11に示すように、ハンドシャワー4のシャワーヘッド42のシャワー放出板421の内面の略中央に牽引ワイヤ422の一端を取り付け、当該牽引ワイヤの他端は上記フレキシブルパイプ41の内部を通じて又は外周面に沿ってフレキシブルパイプの基端部側へ導き、上記ハンドル43に設けた牽引レバー433に取り付けるように構成するものである。
このように、シャワーヘッド42のシャワー放出板421の中央を牽引ワイヤ422で下方に引くことにより、図12に示す如く、シャワー放出板421の形状が(A)凸面、(B)平面、(C)凹面と変化し、それに伴い多数の水流の噴出方向を変化させ、片手で拡散領域Sを任意に変更できる。
即ち、ハンドル43に設けた牽引レバー433を引き、牽引ワイヤ422で、通常は外側へ向けて凸状になっているシャワー放出板421の凹凸曲率を変化させることにより、シャワーの拡散領域Sを任意に変更できるものである。
【0048】
以上の如き構成を有するハンドシャワーであると、その先端のシャワーヘッドを水洗便器に腰掛けた被介護者の任意の部位に向けることにより、被介護者の背下臀部、股の付け根、陰茎と陰嚢の間など、込み入った部分に付着した汚物を完全に除去することができる。
【0049】
なお、本発明を実施するに当たっては、以下の点に留意する。
(1)本発明装置を機能させるには大量の温水を供給できることが必要である。
そのため給湯器からの配管による給水、もしくは電気瞬間温水器などを使用してトイレ内に温水を供給するための設備を設けることが望ましい。
(2)大量の温水を吐出するため、温水が便器外に飛散しないように便器本体と便座の間の空間に仕切り板を設けることが望ましい。
【0050】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、例えば、扇形噴水式シャワーヘッドの形状、シャワーヘッド付き旋回ブームの駆動機構、回り止め手段、シャワーヘッドの位置及び角度の調節機構、ハンドシャワーのハンドルの形態、等々は適宜設計変更することが可能であり、従って、本発明はその目的の範囲内において、上記の説明から当業者が容易に想到し得るすべての変更実施例を包摂するものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
上記の如く、本発明によるときは、被介護者等の臀部内側全体を、扇形の面状に広がる大量の温水シャワーで洗浄することにより、最も不潔になりやすい臀部内面の清潔を保ち、被介護者等の衛生性と快適性を実現し、加えて介護者の作業時間を短縮し、労働量を軽減し得るものであるから、産業上多大の利用可能性を有するものである。
特に、これからの老人化社会における被介護者の増加が見込まれる状況において、本発明の有用性は一層増大するものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る水圧駆動によるアタッチメント式臀部内面洗浄装置の一実施例を水洗便器に取り付けた状態で示す平面図である。
【図2】本発明に係る臀部内面洗浄装置等に取り付けて用いられる扇形噴水式シャワーヘッドの一実施例の説明図である。
【図3】図2に示した扇形噴水式シャワーヘッドによる洗浄状態を示す説明図である。
【図4】図1に示したアタッチメント式臀部内面洗浄装置の不使用時の状態を示す説明図である。
【図5】図4に示したアタッチメント式臀部内面洗浄装置の使用時の状態を示す説明図である。
【図6】図4及び図5に示したアタッチメント式臀部内面洗浄装置の回転シリンダ管とピストン部材の組立て状態を示す軸直角断面図である。
【図7】冷水及び温水の切換えと水量調節を行うためのバルブの操作を示す説明図である。
【図8】本発明に係る電気制御駆動によるアタッチメント式臀部内面洗浄装置の一実施例を示す説明図である。
【図9】図4、図5及び図8に示したアタッチメント式臀部内面洗浄装置のシャワーヘッド付き旋回ブームの長さの調節手段の一実施例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る温水洗浄便座の一実施例を示す説明図である。
【図11】本発明に係る臀部内面洗浄用ハンドシャワーの一実施例を示す説明図である。
【図12】図11に示したハンドシャワーのシャワーターゲット領域の調節状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 アタッチメント式臀部内面洗浄装置
11 取付け台座
12 回転シリンダ管
121 温水導入口
122 通水口
123 スプライン突条
13 扇形噴水式シャワーヘッド
131 シャワー放出板
131a 噴水口
14 シャワーヘッド付き旋回ブーム
141 先端
142 基端部
143 エクステンションパイプ
144 ボールジョイント
145 着脱用ジョイント
15 ピストン部材
151 非円形の孔
152 切欠き
153 回り止め棒の挿通孔
154 回り止め棒
16 ねじれ案内バー
17 コイルバネ
18 管路手段
18a 排水管路
19 バルブ
191 レバー
20 電動駆動装置
21 サーボモーター
22 歯車列
23 電動バルブ
24 制御回路
3 温水洗浄便座
30 便座
31〜33 シャワーパイプ
4 臀部内面洗浄用ハンドシャワー
41 フレキシブルパイプ
411 先端
412 基端部
42 シャワーヘッド
421 シャワー放出板
422 牽引ワイヤ
43 ハンドル
431 給水ホースへの接続コネクタ
432 バルブ
432a 水量調節レバー
433 牽引レバー
P 便器本体(便器鉢)
H 臀部
W 扇形噴水流


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗便器の便座に腰掛けた使用者の臀部(H)の下方から左右の臀部の間へ向けて、左右方向の数よりも前後方向の数が多くなるよう配列された多数条の扇形噴水流(W)から成る温水シャワーを噴射することにより、左右の臀部内面に当たる面状の水流で臀部内面全体を洗浄することを特徴とする臀部内面の洗浄方法。
【請求項2】
水洗便器の便器本体(P)の側壁に固定される取付け台座(11)と、
上端が上記取付け台座に対して所定の角度範囲内で軸中心に回転可能なよう取り付けられ、水洗便器への設置時には水洗便器の内壁面に沿って略鉛直となるよう配置され、上端には温水導入口(121)が設けられた回転シリンダ管(12)と、
短軸方向に配列される噴水口(131a)の数よりも長軸方向に配列される噴水口(131a)の数を多くし、扇形の噴水流(W)を形成するよう構成された楕円状又は略長方形状のシャワー放出板(131)を有する扇形噴水式シャワーヘッド(13)[本願において、「扇形噴水式シャワーヘッド」という。]と、
先端(141)には、上記扇形噴水式シャワーヘッド(13)が取り付けられ、基端部(142)は、上記回転シリンダ管の下半部の管壁に明けた通水孔(122)を通じて回転シリンダ管の内部と連通するよう回転シリンダ管の外周面に固着されたパイプ部材から成るシャワーヘッド付き旋回ブーム(14)と、
上記回転シリンダ管内に収容され、回転シリンダ管の軸方向には移動可能なように、且つ、回り止め手段(123,152)によって回転シリンダ管に対しては相対的に回転不能なように保持されたピストン部材(15)と、
上記回転シリンダ管(12)内に挿入され、上端と下端間に軸中心のねじれが形成され、上端は前記取付け台座に対して固定され、中間部は上記ピストン部材の中心に明けた非円形の孔に遊びなく挿通された、軸直角断面がピストン部材の中心の上記非円形の孔(151)に対応する形状のねじれ案内バー(16)と、
上記回転シリンダ管内の底面と上記ピストン部材の下面との間に収容され、ピストン部材を上方向へ押し上げるよう作用するコイルバネ(17)と、
上記取付け台座に設けられ、温水供給装置の給水ホースからの温水を上記回転シリンダ管の上端の温水導入口へ導く管路手段(18)とその流路の開閉及び流量調節を行うレバー付きバルブ(19)と、を備え;
水洗便器への取付け時には、前記回転シリンダ管が水洗便器の片側の内壁面に沿って鉛直となるように且つ前記シャワーヘッド付き旋回ブームが水洗便器の片側の内壁面に沿って略水平となるように設置した上で、
使用時には、前記レバー付きバルブ(19)のレバー(191)を操作し、温水供給装置のからの温水を回転シリンダ管の上端の温水導入口(121)から回転シリンダ管(12)内へ導入すると、その水圧により前記ピストン部材(15)が前記コイルバネ(17)の弾力に抗して下方へ移動せしめられ、その際、ピストン部材に挿通された前記ねじれ案内バー(16)の作用によりピストン部材がその中心軸を中心に回転せしめられ、前記回り止め手段(123,152)を介して回転シリンダ管がピストン部材と共に回転せしめられることにより、当該回転シリンダ管に固着された前記シャワーヘッド付き旋回ブーム(14)が旋回し、その先端の扇形噴水式シャワーヘッド(13)が便器の中央へ向けて移動すると共に、ピストン部材が回転シリンダ管内でシャワーヘッド付き旋回ブームの基端の固着箇所より下方まで達すると、回転シリンダ管へ導入された温水がパイプ部材から成るシャワーヘッド付き旋回ブーム(14)の内部を通じてその先端の扇形噴水式シャワーヘッド(13)から噴出されることにより、前後方向に面状に広がる扇形の噴水流(W)によって臀部内面の洗浄が行われ、当該シャワー使用後に、前記水量調節レバー(191)を操作し、回転シリンダ管内への温水の供給を停止すると、前記コイルバネ(17)の復元力によりピストン部材(15)が上方へ向けて移動し、その際、ねじれ案内バー(16)の作用によりピストン部材(15)は当初とは逆方向に回転せしめられつつ原位置へ復帰すると共に、回転シリンダ管(12)及びシャワーヘッド付き旋回ブーム(14)もピストン部材と共に当初とは逆方向に回転せしめられて原位置へ復帰するよう構成されたこと;
を特徴とする水洗便器へのアタッチメント式臀部内面洗浄装置(1)。
【請求項3】
水洗便器の便器本体(P)の側壁に固定される取付け台座(11)と、
パイプ部材から成り、水洗便器の片側の内壁面に沿って略水平に配置され、先端には、扇形噴水式シャワーヘッド(13)が取り付けられたシャワーヘッド付き旋回ブーム(14)と、
上記取付け台座に設けられ、温水供給装置から供給される温水の水圧により、上記シャワーヘッド付き旋回ブーム(14)をその基端部を中心に旋回させ、先端の扇形噴水式シャワーヘッド(13)が便器の中央に達したとき停止させると共に、温水の供給を停止するとシャワーヘッド付き旋回ブーム(14)を原位置へ復帰させる旋回ブームの水圧駆動装置と、
上記取付け台座に設けられ、温水供給装置の給水ホースからの温水を上記水圧駆動装置及びシャワーヘッド付き旋回ブームの基端部へ導く管路手段(18)とその流路の開閉及び流量調節を行うレバー付きバルブ(19)と、
を備えたことを特徴とする水洗便器へのアタッチメント式臀部内面洗浄装置(1)。
【請求項4】
温水供給装置の給水ホースに接続される上記管路手段(18)に、水洗便器内又は水洗タンク内へ直接排水する排水管路(18a)が併設され、上記レバー付きバルブのレバー操作により、給水ホースからの水が冷水の間は当該冷水を上記排水管路へ流し、給水ホースからの水が温水となったときは当該温水を前記回転シリンダ管又は水圧駆動装置とシャワーヘッド付き旋回ブームへ流すよう切換え可能に構成されたことを特徴とする請求項2又は3に記載の水洗便器へのアタッチメント式臀部内面洗浄装置(1)。
【請求項5】
水洗便器の便器本体の側壁に固定される取付け台座(11)と、
パイプ部材から成り、水洗便器の片側の内壁面に沿って略水平に配置され、先端には、扇形噴水式シャワーヘッド(13)が取り付けられたシャワーヘッド付き旋回ブーム(14)と、
上記取付け台座に設けられ、使用者による開始スイッチ操作により、上記シャワーヘッド付き旋回ブーム(14)をその基端部を中心に旋回させ、先端の扇形噴水式シャワーヘッド(13)が便器の中央に達したとき停止させると共に、使用者による終了スイッチ操作により、シャワーヘッド付き旋回ブーム(14)を原位置へ復帰させる旋回ブームの電動駆動装置(20)と、
上記取付け台座に設けられ、温水供給装置の給水ホースからの温水をシャワーヘッド付き旋回ブームの基端部へ導く管路手段(18)とその流路の開閉及び流量調節を行う電動バルブ(23)と、
使用者によるスイッチ操作に基づき、上記旋回ブームの電動駆動装置(20)及び上記電動バルブ(23)の作動を制御する制御回路(24)と、
を備えたことを特徴とする水洗便器へのアタッチメント式臀部内面洗浄装置(1)。
【請求項6】
温水供給装置の給水ホースに接続される上記管路手段(18)に、水洗便器内又は水洗タンク内へ直接排水する排水管路(18a)が併設され、上記電動バルブの制御回路(24)の作動により、給水ホースからの水が冷水の間は当該冷水を上記排水管路へ流し、給水ホースからの水が温水となったときは当該温水をシャワーヘッド付き旋回ブームへ流すよう切換え可能に構成されたことを特徴とする請求項5に記載の水洗便器へのアタッチメント式臀部内面洗浄装置(1)。
【請求項7】
上記シャワーヘッド付き旋回ブーム(14)のブームの長さを調節可能としたことを特徴とする請求項2から6までのいずれか一項に記載の水洗便器へのアタッチメント式臀部内面洗浄装置(1)。
【請求項8】
上記シャワーヘッド付き旋回ブーム(14)の先端に取り付けられる扇形噴水式シャワーヘッド(13)の取付け角度を調節可能としたことを特徴とする請求項2から6までのいずれか一項に記載の水洗便器へのアタッチメント式臀部内面洗浄装置(1)。
【請求項9】
便座(30)の後部から便器内部へ向けて伸長、縮退せしめられるシャワーパイプ(31)の先端から使用者の左右の臀部の間へ向けて温水流を噴射するよう構成された温水洗浄便座において、
上記シャワーパイプ(31)の先端に扇形噴水式シャワーヘッド(13)を取り付けたことを特徴とする温水洗浄便座(3)。
【請求項10】
上記シャワーパイプ(31)の使用時の長さを少なくとも2段階に変更、選択可能としたことを特徴とする請求項9に記載の温水洗浄便座(3)。
【請求項11】
上記シャワーパイプ(31)の先端に取り付けられる扇形噴水式シャワーヘッド(13)の取付け角度を調節可能としたことを特徴とする請求項9に記載の温水洗浄便座(3)。
【請求項12】
先端に扇形噴水式シャワーヘッド(13)を取り付けた上記シャワーパイプ(31)に加えて、肛門洗浄用シャワーノズルを有するシャワーパイプ(32)及び/又はビデ用シャワーノズルを有するシャワーパイプ(33)を併設し、使用時にこれら3種のシャワーパイプのうちから所望のものを選択する選択手段を設けたことを特徴とする請求項9から11までのいずれか一項に記載の温水洗浄便座(3)。
【請求項13】
請求項9から12までのいずれか一項に記載の温水洗浄便座(3)を組み付けて成ることを特徴とする水洗便器。
【請求項14】
フレキシブルパイプ(41)の先端(411)に、多数条の噴水流から成る面状の水流を形成するシャワーヘッド(42)を取り付け、当該フレキシブルパイプの基端部(412)には、少なくとも、温水供給装置からの給水ホースへの接続コネクタ(431)と、水量調節レバー付きバルブ(432)とを有するハンドル(43)を取り付けたことを特徴とする臀部内面洗浄用ハンドシャワー(4)。
【請求項15】
上記シャワーヘッド(42)のシャワー放出板(421)の内面の略中央に牽引ワイヤ(422)の一端を取り付け、当該牽引ワイヤの他端は上記フレキシブルパイプ(41)の内部を通じて又は外周面に沿ってフレキシブルパイプの基端部側へ導き、上記ハンドル(43)に設けた牽引レバー(433)に取り付けたことを特徴とする請求項14に記載の臀部内面洗浄用ハンドシャワー(4)。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−65406(P2010−65406A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230678(P2008−230678)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(308017858)
【Fターム(参考)】