説明

自動アイドリングシステム及び方法

本主題は、エンジン速度ガバナーのための装置及び使用に関する。特に、小型エンジンのための自動アイドリングシステムは、小型エンジンにエンジンの速度に応じて回転可能なガバナーシャフトを接続するために、エンジン速度ガバナーを含有する。ガバナーリンク機構は、ガバナーシャフトに接続するための第1部分及びエンジンのスロットル制御装置に接続するための第2部分を含有し、第1部分は、第2部分とともにまたは第2部分に対して移動可能に接続される。アクチュエータは、ガバナーリンク機構の第2部分に接続され、アクチュエータは、エンジンへの負荷に応じて移動可能であり、第1部分に対して第2部分を移動させる。この構成において、エンジンが低負荷状態にあると、第2部分は、スロットル閉鎖位置へ向かって第1部分に対して移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2009年7月9日付けで出願された米国特許出願第12/500,320号明細書の利益を主張し、その開示は、その全体を参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本明細書に開示される主題は、全体として小型エンジンに対する速度調整システムに関する。より具体的に、本明細書に開示される主題は、エンジン速度ガバナーのための装置及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
小型燃焼エンジンは、さまざまな動力付きの機器に使用されている。例として、圧力洗浄機、伐木機、芝刈り機、空気コンプレッサ、発電機などは、内部燃焼エンジンを使用し、作業する構成要素(例えば、高圧送水ポンプ、油圧式ポンプ、切刃)に動力を供給する。標準的な圧力洗浄機において、速度調整システムは、エンジン速度を調節した速度域内に維持するために設けられる。図1を参照すると、標準的な速度調整システムは、旋回型のまたは固定型のガバナーアーム110を含有し、このガバナーアームは、エンジンに連結される遠心式のまたは空気羽根/翼式のガバナー装置の回転可能なシャフトに回転式に連結される。旋回型または固定型のガバナーアーム110は、遠心式装置をエンジンのスロットル制御装置TCに接続する。明確に、ガバナーロッド112は、旋回型のガバナーアーム110をスロットル制御装置TCに接続する。さらに、ガバナーロッドばね114が設けられ、エンジン速度の小さな変化に起因するガバナーアーム110の位置の変動を抑制させる。ガバナーアーム110は、エンジン速度が低下されるとすぐに、ガバナーアーム110をその初期位置に復帰させることを支援するために、ガバナーばね116によって固定フレーム要素120にさらに接続される。
【0004】
この一般的な構成において、エンジンの速度が増大するにつれて、モーメントが遠心式装置の回転可能なシャフトに発生され、このモーメントは、ガバナーアーム110の回転を同様に引き起こす。この回転は、ガバナーロッド112を移動させ、スロットル制御装置TCを閉鎖位置に向かって移動させる。このようにして、速度調整システムは、エンジン速度を所定の調節した速度域内に維持する。
【0005】
特別な調節した速度域は、ガバナーばね116の張力を加減することによって設定される。例として、この加減は、通常、ガバナーばね116に接続されるガバナーアーム110の一部を曲げること、またはフレーム要素120上のばね取付具を変更することを伴う可能性がある。この加減は、通常、製造時にまたはエンジンが修理される間にのみ行われる。結果として、最良の性能を達成するために、機器製造業者は、調節した速度域を比較的高いエンジン速度に設定する傾向があり、ポンプ流量、圧力、切断性能または別の性能特性を最大化させる。ガバナーの速度域は、容易に加減できないので、エンジンは、ポンプまたはブレードが作業しているかどうかにかかわらず、この高速域で稼動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポンプに関して、特に、この単一の調節した速度域は、ポンプが全体として2つの基本的なエンジン負荷シナリオを示すという事実に起因して問題がある。第1モードにおいて、バルブを作動させ、ポンプが加圧し、流体を流し且つ作業をすることを可能にする。この状況において、ポンプは、エンジンに極めて高い負荷を付与する。第2モードでは、バルブが作動されず、このことは、ポンプが水を流し、または任意の正味の作業をすることを可能にしない。この状況において、ポンプは、エンジンに極めて軽い負荷を付与する。結果として、標準的な使用は、バルブが作動されず且つポンプが作業しない大幅な時間を伴う。ゆえに、エンジンがその無負荷の状態(すなわちバルブが作動されないとき)でさえ高速度で稼動するために存在するいくつかの問題があり、これらの問題は、エンジンから発せられる高レベルの騒音と、高速で稼動することによるポンプの耐用期間及びエンジンの耐用期間の減少と、低速である場合と比べて高い燃料消費と、を含有する。
【0007】
ゆえに、例えば圧力洗浄機、伐木機、芝刈り機、空気コンプレッサ、発電機など小型の動力機付きの機械に対して、例えば圧力洗浄機ポンプ内につなげられる水圧制御ラインなど任意のさらなるシステム統合を必要とすることなく、エンジンのアイドリング速度の大規模な自動低下を達成する制御システムを含有することは、有利である。それに加えて、負荷が付与されると、エンジンが常にすぐに反応する(すなわち高速動作を再開する)ことは、さらに有利である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この開示にしたがって、エンジン速度ガバナーのための装置及び使用が提供される。1つの態様において、小型エンジンのための自動アイドリングシステムが提供される。自動アイドリングシステムは、小型エンジンに接続するためのエンジン速度ガバナーを含有する。ガバナーは、エンジンの速度に応じて回転可能なガバナーシャフトを含有する。ガバナーリンク機構または固定型のガバナーアームは、ガバナーシャフトに接続するための第1部分と、エンジンのスロットル制御装置に接続するための第2部分と、を含有し、第1部分は、例えば第1部分が第2部分に旋回可能に連結されることなどによって、第2部分と移動可能に接続される。アクチュエータは、ガバナーリンク機構の第2部分に接続されており、アクチュエータは、エンジンへの負荷に応じて移動可能であり、第1部分に対して第2部分を基本位置から加減位置へ移動させる。この構成において、エンジンが低負荷状態にあるときに、第2部分は、例えばスロットル閉鎖位置に向かって第1部分に対して旋回することなどによって移動されてもよい。
【0009】
他の態様において、圧力洗浄機が提供される。圧力洗浄機は、ポンプに駆動可能に係合されるエンジンと、エンジンに連結されるエンジン速度ガバナーと、エンジン速度ガバナーをエンジンのスロットル制御装置に接続するガバナーリンク機構と、アクチュエータと、を含有する。エンジンは、加減可能なスロットルと、水がポンプから流れることを可能にするON位置及び水がポンプから流れることを防ぐOFF位置の間で移動可能なスイッチもしくはバルブと、を含有する。ガバナーは、エンジンの速度に応じて回転可能なガバナーシャフトを含有し、ガバナーリンク機構は、ガバナーシャフトに接続される第1部分及びエンジンのスロットル制御装置に接続される第2部分を含有する。第1部分は、例えば旋回可能に連結した接続などによって第2部分と移動可能に接続されており、アクチュエータは、ガバナーリンク機構の第2部分に接続されており、アクチュエータは、エンジンへの負荷に応じて移動可能であり、例えば旋回運動などによって第1部分に対して第2部分を基本位置から加減位置へ移動させる。結果として、スイッチがOFF位置にあると、第2部分は、例えば旋回運動などによってスロットル閉鎖位置へ向かって第1部分に対して移動されてもよい。
【0010】
さらに他の態様では、エンジンの速度を自動的に加減するための方法が提供される。方法は、エンジン速度ガバナーを小型エンジンに連結する工程を含有し、ガバナーは、エンジンの速度に応じて回転可能なガバナーシャフトを含む。方法は、ガバナーシャフト及びエンジンのスロットル制御装置間にガバナーリンク機構を接続する工程をさらに含有し、ガバナーリンク機構がガバナーシャフトに接続される第1部分とスロットル制御装置に接続される第2部分とを含むとともに、第1部分は、例えば旋回可能に連結されることなどによって第2部分とともにまたは第2部分に対して移動可能に接続される。方法は、エンジンへの負荷に応じてアクチュエータを移動させる工程を同様に含有し、第1部分に対して第2部分を基本位置から加減位置へ移動させる。このようにして、エンジンが低負荷状態にあると、第2部分は、スロットル閉鎖位置に向かって第1部分に対して移動される。
【0011】
本明細書に開示される主題の目的のいくつかは、以上に述べられ、これらの目的は、現在開示される主題によって全体的にまたは部分的に達成され、別の目的は、以下で最もよく説明されるように、添付の図面と関連して理解される説明が進むにつれて明らかになる。
【0012】
本主題の特性及び利点は、添付の図面と併せて解釈されるべきである以下の詳細な説明から容易に理解され、これらの図面は、単に説明のための且つ限定ない実施例のためにもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来技術の速度調整システムの標準的な実施形態による移動可能なガバナーアームの側面図である。
【図2】現在開示される主題の実施形態による自動低速アイドリングシステムにおける構成要素の相互接続の概略図である。
【図3A】現在開示される主題の実施形態による3つの異なる動作位置での複数部品型のガバナーリンク機構の側面図である。
【図3B】現在開示される主題の実施形態による3つの異なる動作位置での複数部品型のガバナーリンク機構の側面図である。
【図3C】現在開示される主題の実施形態による3つの異なる動作位置での複数部品型のガバナーリンク機構の側面図である。
【図4】現在開示される主題の実施形態による自動アイドリングシステムとともに使用するための真空アクチュエータの側断面図である。
【図5A】現在開示される主題の実施形態による2つの異なる動作位置にある自動アイドリングシステムの側面図である。
【図5B】現在開示される主題の実施形態による2つの異なる動作位置にある自動アイドリングシステムの側面図である。
【図6】エンジン速度及びスロットル角度の関数として平均の吸気路圧力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本主題は、小型エンジンに対する自動低速アイドリングシステム及び方法を提供する。1つの態様では、本主題は、エンジンが低負荷状態にあるとき(すなわち、圧力洗浄機のトリガーが引かれていないとき)に、エンジン速度を調節した速度域以下に下げるように設計されているシステムを提供する。特に、図2を参照すると、小型エンジンEは、全体としてエンジンEの吸気路に設置されるキャブレターCを含有し、キャブレターCは、キャブレターCからエンジンEへの燃料/空気混合ガスの送出を制御するためのスロットル制御装置TCを含有する。1つの特別な実施形態において、例えば、エンジンEは、圧力洗浄機システムを駆動するように構成される。特に、エンジンは、ノズル包含棒体Wに接続される送水ポンプPを駆動する。使用者は、例えば棒体WのトリガーなどスイッチまたはバルブSを作動させ、このスイッチまたはバルブは、ポンプPと係合し且つ水の流れを開始するON位置に移動される。スイッチSを(例えばトリガーが解除される)OFF位置に移動すると、ポンプPが停止され、水の流れが止まる。代わりに、スイッチSの停止位置への移動は、低圧バイパス回路を作動させ、水の流れを止めてエンジンの負荷を低くしてもよい。
【0015】
小型エンジンEの特定の使用にかかわらず、全体的に符号200で示される自動アイドリングシステムは、エンジンEと連結するエンジン速度ガバナーGを含有する。図3Aから図3Cに図示される特有の構成を参照すると、ガバナーGは、エンジンEの速度に応じて回転可能であるガバナーシャフトGSを有する。全体的に符号210で示されるガバナーリンク機構は、従来の速度調整システムのガバナーアーム110の代わりに使用される。それゆえに、ガバナーリンク機構210は、ガバナーリンク機構210をスロットル制御装置TCに接続するガバナーロッド112及びガバナーばね114と、固定フレーム要素120に接続されるガバナーばね116と、を含有する従来のシステムと同じ構成要素の多くを有する速度調整システムに組み込まれてもよい。
【0016】
ガバナーリンク機構210が従来のガバナーアーム110と異なる点は、ガバナーリンク機構210が複数部品の構成要素であることである。特に、ガバナーリンク機構210は、ガバナーシャフトGSに接続される第1部分212と、エンジンEのスロットル制御装置TCに接続される第2部分214と、を含有する。第1部分212は、回転軸Pで第2部分214に例えば旋回可能に連結されることなどによって移動可能に接続される。
【0017】
ガバナーリンク機構210が単一のガバナーアームよりはむしろ多数の部品を含むにもかかわらず、ガバナーリンク機構210は、負荷をかけられた状況の下で従来のガバナーアームと実質的に同じような方法で機能する。具体的に、エンジンEの速度が比較的低い場合、ガバナーリンク機構210は、例として、キャブレターCに対するガバナーばね114の取付位置であって、ガバナーリンク機構210の第2部分214を時計回りに回転させる傾向がある、取付位置に起因して、図3Aに示される基本位置(例えば“直線”位置)にある。ガバナーリンク機構210は、停止部をさらに含有し、第2部分214がこの基本位置を越えて回転することを防ぐ。エンジン速度が増大すると、ガバナーシャフトGSが回転され、ガバナーリンク機構210を図3Bに示されるスロットル閉鎖位置に向かって移動させ、これは、従来のガバナーアームの動作と同様である。
【0018】
しかしながら、ガバナーリンク機構210の複数部品の構成は、エンジンへの負荷及びエンジンの速度に応じてスロットル制御装置TCの位置を加減することによって、さらなる機能性をもたらす。この負荷に基づいた加減を遂行するために、アクチュエータ220は、ガバナーリンク機構210の第2部分214に接続される。アクチュエータ220は、エンジンEへの負荷に応じて移動可能であり、例えば旋回運動などによって第1部分212に対して第2部分214を基本位置から加減位置へ移動させる。具体的に、エンジンが低負荷状態にある場合、アクチュエータ220は、第1部分212に対して第2部分214が移動される、または旋回される加減位置へ第2部分214を移動させ、スロットル閉鎖位置へ向かってスロットル制御装置TCを移動させる。
【0019】
エンジンに負荷がかけられるとすぐに、アクチュエータ220は、第2部分214がもとの場所へ移動することを可能にし、ガバナーリンク機構210は、再び基本位置にある。さらに、ガバナーリンク機構210は、剛体停止部216をさらに含有し、第2部分214が所望の最大回転よりもさらに移動することを防ぎ、アクチュエータ220の動作がスロットル制御装置TCの加減に作用する量を制限する。ガバナーリンク機構は、基本位置に向かって第2部分214を付勢する例えばばねなど付勢機構を同様に含有してもよい。さらに、アクチュエータ220は、エンジンが負荷を経験してから、エンジンガバナーGの動作及びエンジンEの真空特性がエンジン速度の実質的な減少なくアクチュエータ220によって付与される力を克服することを可能にするように設計される。このようにして、自動アイドリングシステム200は、エンジンEが負荷状況にすぐに反応することを可能にする。
【0020】
1つの特別な実施形態において、アクチュエータ220は、エンジンEのキャブレターCとつながる真空アクチュエータであってもよい。具体的に、図4を参照すると、アクチュエータ220は、可撓性のある管222によって、例えばスロットル制御装置TCとエンジン吸気バルブとの間の吸気路につながるキャブレター絶縁体CIなど吸気システム真空源内の通路へ接続される。制約部230は、通路またはアクチュエータ220自体に設置されてもよく、吸気路内の非定常流に起因する脈動効果を最小化させる。アクチュエータ220は、キャブレターC内の圧力に応じて移動可能であるダイアフラム224と、ダイアフラム224に取り付けられる第1端部及びガバナーリンク機構210の(図3Aから図3Cに示される)第2部分214に連結される第2端部を有する作動ロッド226と、を含有する。
【0021】
例として、第2部分214は、(図3Aから図3Cに示される)隆起形体218を有し、この隆起形体には、作動ロッド226の第2端部のアクチュエータスロット229が連結される。代わりに、第2部分214は、(図5A及び図5Bに示される)リンク機構スロット219を有し、このリンク機構スロットには、作動ロッド226の第2端部が連結されてもよい。どちらの構成でも、作動ロッド226の運動は、第1部分212に対する第2部分214の運動を引き起こすが、エンジン速度の変化に応じるガバナーリンク機構210の任意の運動は、リンク機構スロット219またはアクチュエータスロット229のため、必ずしもアクチュエータ220に伝達されない。
【0022】
それゆえに、特定の構成にかかわらず、アクチュエータ220は、キャブレターCとガバナーリンク機構210との間に接続される。図5Aに示されるシステムを参照すると、エンジンEへの負荷がある場合、吸気システムの真空源内の圧力は、全体として比較的高い。上記状況において、アクチュエータ220は、ガバナーリンク機構210に力をかけず、それゆえに、ガバナーリンク機構210は、標準的な旋回ガバナーアームと同様の方法で動作してもよい。しかしながら、図5Bを参照すると、エンジンEが低負荷状態にある場合に、吸気システムの真空源内の減少した圧力は、アクチュエータ220にガバナーリンク機構210への力をかける。このようにして、ガバナーリンク機構210の第2部分214は、基本位置から加減位置へ移動され、これは、スロットル制御装置TCをスロットル閉鎖位置に向かって同様に移動させる。
【0023】
この装置において、エンジンの本来の真空特性は、エンジンEが調節した高速域でまたは低速アイドリング状態で稼動するべきかどうかに応じて適切な位置へアクチュエータ220を移動させる。例として、図6は、エンジン速度及びスロットル角度の関数として平均の吸気路圧力を示す。スロットル角度は、エンジントルクに関し、関数が線形関係ではないが、全体的により大きなスロットル角度がより大きなエンジントルクを示す。結果として、平均のエンジン吸気路圧力は、負荷が減少するとともに減少することが理解される。
【0024】
したがって、上述したように、アクチュエータ220は、高負荷時に、吸気路圧力が大気圧に比較的近い場合、アクチュエータ220が作動ロッド226を伸長位置へ移動させるように設計されている。さらに、アクチュエータ220は、全体として符号228で示される内部ばねを有してもよく、この内部ばねは、ダイアフラム224に力を付与し、内部圧力が一定レベル以上である場合に、作動ロッド226をその伸長位置へ復帰させる。逆に、低負荷では、比較的低い吸気路圧力は、アクチュエータ220に作動ロッド226を後退位置へ移動させる。
【0025】
例えば上述した構成とともに、システムは、以下のとおりに動作する。エンジンEが高負荷で稼動していると、吸気路圧力は、十分に高いので、アクチュエータ220の作動ロッド226がその伸長位置にあり、ガバナーシステムが任意の作用なく自由に移動することを可能とする。したがって、高負荷の状況において、ガバナーリンク機構210は、従来のガバナーアーム装置を備えているエンジンと幾何学的及び機能的双方で同じである。それゆえに、この構成は、エンジンが負荷をかけられているとき(例えば圧力洗浄機のトリガーが引かれているとき)に、エンジンEをその標準的な比較的高速域で稼動させる。
【0026】
エンジンEが軽負荷で稼動していると、吸気路圧力は、十分に低いので、アクチュエータ220の作動ロッド226は、その後退位置にある。この位置は、ガバナーリンク機構210の第2部分214を例えば旋回運動などによって移動させ、それによって、スロットル制御装置TCを移動させてキャブレタースロットルを閉鎖させ、それによってエンジン速度を減少させる。さらに、回転軸Pにまたは回転軸Pの近くに停止部216があってもよく、第2部分214は、第1部分212に対して所定量または所定距離を動くのみである。第2部分214の回転へのこの制御のために、アクチュエータ220は、ガバナーばね116に、それが後退されるといくらかの張力を同様に付与する。これらの影響の最終結果は、エンジンEへの負荷が低い場合、比較的低いアイドリング速度である。
【0027】
例えば、自動アイドリングシステム200が圧力洗浄機システムに組み込まれると、使用者が作動する例えばノズル包含棒体WのトリガーなどスイッチSは、水がポンプPから流れることが可能になるON位置と、水がポンプPから流れることを防ぐOFF位置と、の間で移動される。ON位置では、ポンプPの動作は、エンジンEへの負荷をかける。この負荷が付与されると、自動アイドリングシステム200は、従来のガバナーアームと実質的に同様の方法で動作する。しかしながら、スイッチSが水の流れを止めるために解除されると、エンジンEへの負荷の減少は、アクチュエータ220がガバナーリンク機構210の第2部分214を移動させるようにし、スロットル制御装置TCは、スロットル閉鎖位置に向かって移動される。結果として、エンジンEは、小さいまたはゼロの負荷がエンジンに付与されると、非常に低速で自動的にアイドリングする。この自動的なアイドリングは、エンジンから発せられる騒音レベルを減少させることと、小さいまたはゼロの負荷が付与されるときにエンジンの(単位時間当たりの)回転数を減少させることによってエンジン及び駆動構成要素(例えば送水ポンプ)の耐用期間を増大させることと、それが低速でアイドリングしているときにエンジンの総合的な燃料消費を低下させることと、を支援する。
【0028】
さらに、本主題は、単にエンジン駆動圧力洗浄機システムへの応用に限定されないことが理解される。現在、開示される自動低速アイドリングシステム及び方法は、エンジンが、機械が作業をしているときの高負荷及び機械が作業していないときの極めて低い負荷という2つの異なる負荷状況を有する用途に使用されることが考えられている。いくつかの実施例は、伐木機、ブレードクラッチを有する芝刈り機、園芸用耕運機及び携帯油圧装置を含有するが、これらに限定されない。
【0029】
本主題は、その精神及び本質的特徴から逸脱することなく別の形態で具体化されてもよい。したがって、説明された実施形態は、実例のように限定的でなくすべての事項に考慮される。本主題は、特定の好ましい実施形態に関して説明されたが、当業者に明らかである別の実施形態は、本主題の範囲内で同様に存在する。
【符号の説明】
【0030】
110 ガバナーアーム、112 ガバナーロッド、114 ガバナーロッドばね、116 ガバナーばね、120 固定フレーム要素、210 ガバナーリンク機構、212 第1部分、214 第2部分、216 停止部、218 隆起形体、220 アクチュエータ、224 ダイアフラム、226 作動ロッド、C キャブレター、E 小型エンジン、G エンジン速度ガバナー、GS ガバナーシャフト、S スイッチ、TC スロットル制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型エンジンのための自動アイドリングシステムであって、
小型エンジンに接続するためのエンジン速度ガバナーであって、該エンジン速度ガバナーは、エンジンの速度に応じて回転可能なガバナーシャフトを含む、エンジン速度ガバナーと、
前記ガバナーシャフトに接続するための第1部分及びエンジンのスロットル制御装置に接続するための第2部分を含むガバナーリンク機構であって、前記第1部分は、前記第2部分と移動可能に接続される、ガバナーリンク機構と、
前記ガバナーリンク機構の前記第2部分に接続されるアクチュエータであって、該アクチュエータは、前記第1部分に対して前記第2部分を基本位置から加減位置へ移動させるためにエンジンへの負荷に応じて移動可能である、アクチュエータと、
を含み、
エンジンが低負荷状態にあるときに、前記第2部分は、スロットル閉鎖位置に向かって前記第1部分に対して移動されることを特徴とする自動アイドリングシステム。
【請求項2】
前記ガバナーリンク機構は、前記第2部分を前記スロットル制御装置へ接続するためのガバナーロッド及びガバナーロッドばねを含むことを特徴とする請求項1に記載の自動アイドリングシステム。
【請求項3】
前記ガバナーリンク機構は、前記第1部分を固定フレーム要素に接続するためのガバナーばねを含むことを特徴とする請求項1に記載の自動アイドリングシステム。
【請求項4】
前記ガバナーリンク機構は、前記第2部分を基本位置に向かって付勢する付勢機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動アイドリングシステム。
【請求項5】
前記ガバナーリンク機構は、前記第1部分に対する前記第2部分の運動が最大量を越えることを防ぐ停止部を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動アイドリングシステム。
【請求項6】
前記アクチュエータは、エンジンにおける吸気システムの真空源につながる真空アクチュエータを含むことを特徴とする請求項1に記載の自動アイドリングシステム。
【請求項7】
前記真空アクチュエータは、
キャブレター内の圧力に応じて移動可能であるダイアフラムと、
前記ダイアフラムに取り付けられる第1端部及び前記ガバナーリンク機構の前記第2部分に連結される第2端部を有する作動ロッドと、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の自動アイドリングシステム。
【請求項8】
前記第2部分は、細長いスロットを含み、前記スロットには、前記作動ロッドの前記第2端部が受けられることを特徴とする請求項7に記載の自動アイドリングシステム。
【請求項9】
前記作動ロッドは、前記第2端部において隆起形体に連結される細長いスロットを含むことを特徴とする請求項7に記載の自動アイドリングシステム。
【請求項10】
前記第1部分は、前記第2部分と旋回可能に連結されることを特徴とする請求項1に記載の自動アイドリングシステム。
【請求項11】
圧力洗浄機であって、
ポンプに駆動可能に係合されるエンジンであって、該エンジンは、加減可能なスロットルと、水がポンプから流れることを可能にするON位置及び水がポンプから流れることを防ぐOFF位置の間で移動可能であるスイッチと、を含有する、エンジンと、
前記エンジンに連結されるエンジン速度ガバナーであって、該エンジン速度ガバナーは、前記エンジンの速度に応じて回転可能なガバナーシャフトを含む、エンジン速度ガバナーと、
前記ガバナーシャフトに接続される第1部分及び前記エンジンのスロットル制御装置に接続される第2部分を含むガバナーリンク機構であって、前記第1部分は、前記第2部分に旋回可能に連結される、ガバナーリンク機構と、
前記ガバナーリンク機構の前記第2部分に接続されるアクチュエータであって、該アクチュエータは、前記第1部分に対して前記第2部分を基本位置から加減位置へ旋回するために前記エンジンへの負荷に応じて移動可能である、アクチュエータと、
を含み、
前記スイッチが前記OFF位置にあると、前記第2部分は、スロットル閉鎖位置に向かって前記第1部分に対して旋回されることを特徴とする圧力洗浄機。
【請求項12】
前記スイッチは、使用者動作式のトリガー機構を含むことを特徴とする請求項11に記載の圧力洗浄機。
【請求項13】
前記ガバナーリンク機構は、前記第2部分を前記スロットル制御装置に接続するガバナーロッド及びガバナーロッドばねを含むことを特徴とする請求項11に記載の圧力洗浄機。
【請求項14】
前記ガバナーリンク機構は、前記第1部分を固定フレーム要素に接続するガバナーばねを含むことを特徴とする請求項11に記載の圧力洗浄機。
【請求項15】
前記ガバナーリンク機構は、前記第2部分を基本位置に向かって付勢する付勢機構を含むことを特徴とする請求項11に記載の圧力洗浄機。
【請求項16】
前記アクチュエータは、前記エンジンのキャブレターにつながる真空アクチュエータを含むことを特徴とする請求項11に記載の圧力洗浄機。
【請求項17】
前記真空アクチュエータは、
キャブレター内の圧力に応じて移動可能なダイアフラムと、
前記ダイアフラムに取り付けられる第1端部及び前記ガバナーリンク機構の前記第2部分に連結される第2端部を有する作動ロッドと、
を含むことを特徴とする請求項16に記載の圧力洗浄機。
【請求項18】
前記第2部分は、細長いスロットを含み、前記スロットには、作動ロッドの前記第2端部が受けられることを特徴とする請求項17に記載の圧力洗浄機。
【請求項19】
前記作動ロッドは、前記第2部分において隆起形体に連結される細長いスロットを含むことを特徴とする請求項17に記載の圧力洗浄機。
【請求項20】
エンジンの速度を自動的に加減するための方法であって、
エンジン速度ガバナーを小型エンジンに連結する工程であって、該エンジン速度ガバナーは、エンジンの速度に応じて回転可能なガバナーシャフトを含む、工程と、
前記ガバナーシャフト及び前記エンジンのスロットル制御装置の間にガバナーリンク機構を接続する工程であって、該ガバナーリンク機構は、前記ガバナーシャフトに接続される第1部分及びスロットル制御装置に接続される第2部分を含み、前記第1部分は、前記第2部分と移動可能に接続される、工程と、
前記第1部分に対して前記第2部分を基本位置から加減位置へ移動させるために、エンジンへの負荷に応じてアクチュエータを移動させる工程と、
を含み、
前記エンジンが低負荷状態にあるときに、前記第2部分は、スロットル閉鎖位置に向かって前記第1部分に対して移動されることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記アクチュエータを移動させる工程は、前記エンジンのキャブレター内の圧力に応じて真空アクチュエータを移動させる工程を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
負荷がエンジンに付与されると、前記第2部分を基本位置へ復帰させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−533019(P2012−533019A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519693(P2012−519693)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/041174
【国際公開番号】WO2011/005834
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】