自動予測設計領域推定方法および装置
自動予測設計領域推定のための、コンピュータ・プログラム・プロダクツを含む、コンピュータに基づく方法および装置について記載する。入力要素および出力応答の設計領域を、物理的プロセスに合わせて推定する。物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素、プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準についてのデータを受け取る。1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する入力値範囲を実験によって求め、この範囲内にある入力値の計算範囲を計算する。1つ又は複数の入力要素の各々について、修正入力値範囲を計算する。少なくともこの修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測する。修正入力値範囲は、各々、1つ又は複数の入力要素に対して、規準が満たされる最大可変領域を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、一般的に、自動予測設計領域(design space)推定のための、コンピュータ・プログラム・プロダクツを含む、コンピュータに基づく方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 薬品業界では、クオリティ・バイ・デザイン(QbD:quality by design)の採用は、発展しつつある過程となっている。QbDとは、発端から最終出力まで製品に品質を取り入れる体系的プロセスのことである。具体的には、QbDは、生産プロセスにおいて最終製品に転化される可能性がある製品の動作要件(およびそれらの設計要件への組み入れ)を判定する際における設計機能の有効性のレベルを指す。これは、設計領域(design space)と呼ばれることが多く、設計領域とは、品質の保証が得られることが実証されている入力要素(例えば、材料属性)の多次元的組み合わせおよび相互作用のことである。例えば、製造プロセスでは、設計領域とは、具体的な製品要件(1つ又は複数の出力応答)を満たすことが可能な1組の設計および設計パラメータ(入力要素)である。設計領域を調査するには、所与の技術で可能な種々の設計選択肢を表示し、具体的な制約(例えば、動力(power)、コスト、混合計画)に関して入力要素および出力応答を最適化する必要がある。
【0003】
[0003] 半導体デバイス製造業界では、デバイスの製造業者は、より良いおよび/またはより速いプロセスやハードウェア構成を設計するために、プロセス・ツール製造業者に頼ることによって、許容度を厳格化したプロセスおよび材料仕様に既に移行している。しかしながら、デバイスの外形形状がナノメートル単位(scale)まで縮小すると、製造プロセスにおける複雑さが増大し、プロセスおよび材料仕様を満たすことが一層困難になる。
【0004】
[0004] 現在の半導体製造において用いられている典型的なプロセス・ツールは、数千にも及ぶプ1組のプロセス変数によって記述することができる。これらの変数は、一般に、製造プロセスの物理的パラメータおよび/または製造プロセスにおいて用いられるツールに関係付けられている。場合によっては、これら数千もの変数の内、数百の変数が動的であることもある(例えば、製造プロセス中または複数の製造プロセス間で経時的に変化する)。動的変数(例えば、気体流量、気体圧力、配給電力、電流、電圧、および温度)は、種々の動作要素(例えば、具体的な処理レシピ、プロセス工程の全体的シーケンスにおける特定の工程または一連の工程、製造プロセス中に発生する誤差および障害、あるいは特定のツールまたはチェンバの使用に基づくパラメータの変化(例えば、「ドリフト」と呼ぶ)に基づいて変化する。
【0005】
[0005] 操作者は、例えば、入力要素を変化させることによって製造プロセスを制御することができる。入力要素とは、生産プロセスに影響を及ぼす変数のことである。製造プロセス毎に、出力応答値(例えば、温度、歩留まり、品質属性)を測定することができるが、これらは入力要素に依存する。どの入力要素値の組み合わせから容認可能な出力応答値が得られるか判断するために、特定の製造プロセスに合わせて実験を行うことができる。
【0006】
[0006] 実験計画(DOE)方法は、プロセスに対する入力要素(例えば、製造プロセス、混合計画)とそのプロセスの出力応答との間の関係を判定するための、構造化および組織化された方法である。DOE方法は、入力要素の曖昧な測定値、および入力要素間の相互作用を、入力要素の順序立った変化の結果を観察することによって、満足のいくように定量化することができる。プロセスに関連付けられた動作規準(operational criteria)がある場合、出力応答値は、入力要素の異なる組み合わせ毎に測定され、組み合わせ毎に動作規準が満たされるか否か判定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007] 設計領域を調査するには、あらゆる動作規準に基づいて、可能な種々の設計選択肢を手作業で評価する必要がある。各入力要素の容認可能な可変領域を自動的に規定する方法や、結果領域を予測する方法はない。出力応答に対する様々な要件を、異なる種類の制約と共に同時に満たさなければならないとき、分析プロセスは一層複雑になる。更に、図式方法で操作者が容易に分析および解釈できる方法で、設計領域を表示することができれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008] 一態様において、本発明は、物理的プロセスに対する入力要素および出力応答の設計領域をステイするためのコンピュータ化方法を特徴とする。本明細書において記載するあらゆる実施形態について、物理的プロセスとは、工業プロセス、製造プロセス、半導体プロセス、分析システムまたは手順、あるいは設計プロジェクトとすることができる。前述の方法は、プロセッサを通じて、物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータと、このプロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受け取るステップを含む。規準は、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、目標応答規準を達成するための1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲とを含み、実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する。本方法は、プロセッサを用いて、1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算するステップを含む。計算は、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、第1入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、算出入力値範囲を作成することを含む。本方法は、プロセッサを用いて、1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算するステップを含む。1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、本方法は、算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択するステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、第2入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、入力要素に対する修正入力値範囲を作成するステップとを含む。本方法は、プロセッサを用いて、少なくとも修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測するステップを含み、修正入力値範囲が、各々、入力要素の1つ又は複数に対して規準が満たされる最大可変領域を含む。
【0009】
[0009] 他の実施形態では、設計領域推定値が、更に、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答値の分布を備えており、修正入力値範囲が、出力応答値の分布を決定する。1つ又は複数の出力応答の各々に対して、所定の性能指標が満たされる場合、出力応答値の分散内における予め指定された数の出力応答値が、出力応答に対する所定の制限値以内に入ることができる。
【0010】
[0010] 他の実施形態では、設計領域推定値を予測するステップが、入力要素毎に個々の最大可変領域を予測する一方、残りのあらゆる入力要素をそれらと関連付けられた推定最適値に設定するステップを含む。設計領域推定値を予測するステップは、入力要素毎に、総合最大可変領域を予測するステップを含み、1つ又は複数の入力要素の各々の値が、対応する総合最大可変範囲内のいずれかの位置にあり、各出力応答に対する所定の性能指標を満たすことができる。
【0011】
[0011] 他の実施形態では、算出入力値範囲を作成するステップが、第1性能指標が所定の性能指標よりも下である場合、第1入力値範囲を所定の割合だけ狭めることによって、第3入力値範囲を選択するステップを含む。本方法は、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、第3入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第3性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第3入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々について、算出入力値範囲を作成するステップとを含む。
【0012】
[0012] 他の実施形態では、算出入力値範囲を作成するステップが、第1性能指標が所定の性能指標よりも上である場合、刻み幅(step size)を、第2入力値範囲のサイズの所定の割合に設定するステップと、この刻み幅に基づいて、第1入力値範囲を広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、第3入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第3性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第3入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々について、算出入力値範囲を作成するステップとを含む。
【0013】
[0013] 他の実施形態では、算出入力値範囲を作成するステップは、第3性能指標が所定の性能指標よりも下にある場合、刻み幅に基づいて第3入力値範囲を広げることによって、第4入力値範囲を選択するステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第4性能指標を決定するために、第4入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第4性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第4入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して算出入力値範囲を作成するステップとを含む。算出入力値範囲を作成するステップは、第3性能指標が所定の性能指標よりも上にある場合、第1入力値範囲に等しい第3入力値範囲を設定するステップと、刻み幅を所定の割合だけ縮小するステップと、刻み幅に基づいて第3入力値範囲を広げることによって、第4入力値範囲を選択するステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第4性能指標を決定するために、第4入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第4性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第4入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々について、算出入力値範囲を作成するステップとを含むことができる。
【0014】
[0014] 他の実施形態では、修正入力値範囲を作成するステップは、第2性能指標が所定の性能指標よりも上にある場合、第2入力値範囲に等しい修正入力値範囲を設定するステップと、完了フラグを入力要素と関連付けるステップとを含む。修正入力値範囲を作成するステップは、第2性能指標が所定の性能指標よりも下にある場合、第2入力値範囲を刻み幅だけ広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップであって、刻み幅が、第2入力値範囲を選択するために用いられたものである、ステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、第3入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第3性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第3入力値範囲を調節することによって、入力要素に対して修正入力値範囲を作成するステップとを含むことができる。
【0015】
[0015] 他の実施形態では、1つ又は複数の入力要素の各々に対して前記修正入力値範囲を計算するステップは、更に、1つ又は複数の入力要素の各々が完了フラグと関連付けられていると判断するステップと、第2入力値範囲を選択するために用いられた刻み幅を、所定の割合だけ縮小するステップと、1つ又は複数の入力要素の内1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第2入力値範囲を刻み幅だけ広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、第3入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第3性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第3入力値範囲を調節することによって、入力要素に対して修正入力値範囲を作成するステップとを含む。
【0016】
[0016] 他の実施形態では、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップは、モンテ・カルロ・シミュレーションを実行するステップを含み、第1性能指標、第2性能指標、および所定の性能指標が、所定の制限値以内にある1つ又は複数の出力応答の値の数の尺度となる。1つ又は複数の入力要素の各々に対して第1入力値範囲を選択するステップは、第1入力値範囲を、対応する入力要素の下位外側境界値の所定の割合に設定するステップを含むことができる。
【0017】
[0017] 他の実施形態では、本方法は、1つ又は複数の入力要素に対する制約を受けるステップを含み、第1入力値範囲に基づいて1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップが、更に、制約を補償するように予測を調節するステップを含む。制約には、1つ又は複数の入力要素に対してユーザが定義した制限、要素の分布、およびそのあらゆる組み合わせを含むことができる。1つ又は複数の出力応答の各々に対する目標応答規準は、目標応答値、容認可能な目標応答値の範囲、または限界(critical)目標応答値を含むことができ、出力応答が、限界目標応答値よりも上または下のいずれかとなることができる。一実施形態では、物理的プロセスは、製造プロセス、工業プロセス、設計プロジェクト、半導体プロジェクト、またはこれらのあらゆる組み合わせを含む。
【0018】
[0018] 他の態様では、本発明は、物理的プロセスのために入力要素および出力応答の設計領域を推定するための装置を特徴とする。この装置は、物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータと、プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信するように構成されているプロセッサを含む。この規準が、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、目標応答規準を達成するための1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲とを含み、実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する。プロセッサは、更に、1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算するように構成されている。この計算は、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、第1入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、算出入力値範囲を作成することを含む。プロセッサは、更に、1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算するように構成されている。計算は、1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、第2入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、入力要素に対する修正入力値範囲を作成することを含む。プロセッサは、更に、少なくとも修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測するように構成されており、修正入力値範囲が、各々、入力要素の1つ又は複数に対して規準が満たされる最大可変領域を含む。
【0019】
[0019] 他の態様において、本発明は、情報担体に有形に具体化されているコンピュータ・プログラム・プロダクツを特徴とする。このコンピュータ・プログラム・プロダクツは、データ処理装置に、物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータ、プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信させるように動作可能な命令を含む。この規準は、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、目標応答規準を達成するための1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲とを含み、実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する。コンピュータ・プログラム・プロダクツは、更に、データ処理装置に、1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算させるように動作可能な命令を含む。この計算は、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、第1入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、算出入力値範囲を作成することを含む。コンピュータ・プログラム・プロダクツは、更に、データ処理装置に、1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算させるように動作可能な命令を含む。この計算は、1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、第2入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、入力要素に対する修正入力値範囲を作成することを含む。コンピュータ・プログラム・プロダクツは、更に、データ処理装置に、少なくとも修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測させるように動作可能な命令を含み、修正入力値範囲が、各々、入力要素の1つ又は複数に対して規準が満たされる最大可変領域を含む。
【0020】
[0020] 他の態様において、本発明は、物理的プロセスのために入力要素および出力応答の設計領域を推定するシステムを特徴とする。本システムは、物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータと、プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信する手段を含む。この規準は、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、目標応答規準を達成するための1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲とを含み、実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する。本システムは、更に、1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算する手段を含む。この計算が、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、第1入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、算出入力値範囲を作成することを含む。本システムは、更に、1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算する手段を含む。この計算は、1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、第2入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、入力要素に対する修正入力値範囲を作成することを含む。本システムは、更に、少なくとも修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測する手段を含み、修正入力値範囲が、各々、入力要素の1つ又は複数に対して規準が満たされる最大可変領域を含む。
【0021】
[0021] 本明細書において記載する技法は、方法および装置双方を含み、入力要素毎に最大可変領域を規定し、所与のレベルの確率で出力応答毎に出力応答値の分布を予測するプロセスを自動化するという利点を得ることができる。最大可変領域、および出力応答値の分布は、考慮の対象となる異なる規準全てを、効率的でしかも正確な方法で、組み込むように提示することができる。本明細書において記載する原理は、多くの出力応答を同時に、設計領域推定のための異なる予測モデルを用いて処理することができ、拡大規準と組み合わせ処理することができる。加えて、入力要素および/または出力応答に対する制約を予測モデルに組み込むことができる。
【0022】
[0022] 本発明のその他の態様および利点は、以下の詳細な説明を添付図面と関連付けて検討することによって明らかとなろう。図面は、本発明の原理を一例として示すに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
[0023] 本発明の以上のそしてその他の目的、特徴、および利点、更には本発明自体は、以下の種々の実施形態の説明を、添付図面と合わせて読むことによって、一層深く理解されよう。
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を予測するシステムの模式図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を予測する方法を示すフロー・チャートである。
【図3A】図3Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、入力値の計算範囲の計算方法を示すフロー・チャートである。
【図3B】図3Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、入力値の計算範囲を計算するための、段階的領域拡大方法を示すフロー・チャートである。
【図3C】図3Cは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、入力値の計算範囲を計算するための、段階的領域拡大方法を示すフロー・チャートである。
【図4A】図4Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、入力値の変更範囲を計算する方法を示すフロー・チャートである。
【図4B】図4Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、入力値の変更範囲を計算するための、段階的領域拡大方法を示すフロー・チャートである。
【図5A】図5Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示する図表表示を示す図である。
【図5B】図5Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を計算するために用いられるパラメータを設定する図表表示を示す図である。
【図5C】図5Cは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示を示す図である。
【図5D】図5Dは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示を示す図である。
【図5E】図5Eは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0036] 本発明の実施形態例の中には、入力要素、出力応答、ならびにこれら入力要素および/または出力応答と関連付けられた種々の規準(criteria)に基づいて、物理的プロセス(例えば、製造プロセス、工業プロセス、または設計プロジェクト)のために予測設計領域推定値(PDSE)を決定する場合がある。PDSEは、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答値の分布を含む。また、PDSEは、各入力要素に対して1つ又は複数の最大可変領域(region of variability)を含む。実施形態の中には、PDSEが、各入力要素に対して個別最大可変領域と総合(combined)最大可変領域とを含む場合もあり、これらは双方共、出力応答値の分布に基づいて、入力要素および/または出力応答と関連付けられた規準を満たすように計算される。
【0025】
[0037] 図1は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定を実行するためのシステム100の模式図である。このシステムは、データ入力ユニット102を含む。データ入力ユニット102は、データを設計領域推定モジュール104に送信する。設計領域推定モジュール104は、受信部106を含む。受信部106は、プロセッサ108と通信状態にある。受信機106およびプロセッサ108は、データベース110と通信状態にある。プロセッサ108は、制御ユニット112と通信状態にある。また、プロセッサ108はディスプレイ114とも通信状態にある。
【0026】
[0038] ユーザは、データ入力ユニット102(例えば、キーボードまたはコンピュータ)を通じて、プロセスについてのデータ(例えば、入力要素データおよび出力応答データ)を入力すると、設計領域推定モジュール104は、このデータを用いてPDSEを計算する。一例では、制御ユニット112によって開始規準が設定され、PDSEを計算する間設計領域推定モジュール104がこの開始規準を用いる。開始規準は、例えば、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準を含む。目標応答規準は、1つ又は複数の出力応答の各々について所望の成果を指定する。例えば、出力応答が燃料消費であり、目標応答規準が220mg/ストロークである場合、設計領域推定モジュール104は、入力要素の各々に対する最大可変領域がこの220mg/ストロークという目標応答規準を最も満たすように、PDSEを設計する。実施形態の中には、この目標応答規準が目標応答値(例えば、燃料消費が220mg/ストロークに等しい)であることや、容認可能な目標応答値の範囲(例えば、200mg/ストロークと240mg/ストロークとの間の燃料消費)であることや、限界応答値であることもあり、出力応答は、限界目標応答値よりも上であることも下であることも可能である(例えば、220よりも上または下)。実施形態の中には、設計領域推定モジュール104が、ユーザから直接受け取る代わりに、データベース110からデータを読み出す場合もある。一実施形態では、ユーザ入力から(例えば、データ入力ユニット102)またはコンピュータ・システムから得られたデータは、データベースに格納され、後に受信部に供給されて、設計領域推定モジュール104によって後に用いるために、ユーザがデータを格納することができる。
【0027】
[0039] 実施形態の中には、PDSEを発生する前に、物理的プロセス(例えば、工業プロセス、製造プロセス、または設計プロジェクト)のために多数の実験を行うこともある。これらの実験は、当該設計にはどんな入力要素および出力応答を含ませるべきか判断することができる、用途の専門家によって設計することができる。これらの実験は、システムについての入力要素と出力応答との間の関係を検査するために用いられる。例えば、実験では、入力要素値の種々の組み合わせについてプロセスまたは問題を実行し、これらの組み合わせによってどのような出力応答値が発生するか判定することができる。このデータは、入力要素の既知の組み合わせに基づいて、出力応答について既知の成果を与える。ユーザは、データ入力ユニットを通じて実験データを入力する。
【0028】
[0040] 設計領域推定モジュール104は、受信部106が受け取ったデータを前処理する。設計領域推定モジュール104は、目標応答規準を達成する1つ又は複数の入力要素の各々について、推定最適値を計算する。例えば、単純な検索によって、計算を実行することができる。または、設計領域推定モジュール104はペナルティ関数を用いることができる。設計領域推定モジュール104は、出力応答に対して制約を設定する(例えば、目標および上限/下限)。入力要素値の特定の組み合わせに対する結果の各集合について、制約を違反するとペナルティ項が増大し、制約を違反しない領域では、ペナルティ項は0に達する。
【0029】
[0041] 設計領域推定モジュール104は、多数の出力応答を有するPDSEを計算するように構成されている。更に、設計領域推定モジュール104は、複数の出力応答に跨がって1つのPDSEモデルを計算することができ、あるいは複数の出力応答に跨がって複数のPDSEモデルを計算することができる。前処理されたデータは、目標応答規準を達成する1つ又は複数の入力要素の各々について、1つの推定最適値を与えるに過ぎない。設計領域推定モジュール104は、この推定最適値をプロセスについての他のデータ(例えば、入力要素値、出力応答値、および制約)と組み合わせて用いて、規準が満たされる(PDSE)最大可変領域を1つ又は複数の入力要素について計算する。例えば、ユーザが既知の温度でプロセスを実行したい場合、PDSEに対する最大可変領域から、入力要素(例えば、圧力、気体流量)の許容範囲が得られる。
【0030】
[0042] データ入力ユニット102、設計領域推定モジュール104、および制御ユニット102は、ディジタル電子回路、コンピュータ・ハードウェア、ファームウェア、および/またはプロセッサと共に実装されるソフトウェアで実現することができる。この実施態様は、例えば、プログラマブル・プロセッサ、コンピュータ、および/または多数のコンピュータとすることができる。図1は、データ入力ユニット102、設計領域推定モジュール104、および制御ユニット102を別々のコンポーネントとして示すが、これらのコンポーネントの1つ又は複数の機能を組み合わせることができることは、当業者には認められよう。
【0031】
[0043] 図2は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定を実行するためのコンピュータ化方法200を示すフロー・チャートである。ステップ202は、データを受け取る(例えば、プロセッサ108を通じて)ことを含む。このデータは、製造プロセスまたは工業プロセスについての1つ又は複数の入力要素についてのデータ、プロセスについての1つ又は複数の出力応答、および規準を含む。実施形態の中には、この規準が、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準、1つ又は複数の入力要素の各々が目標応答規準を達成するための推定最適値、および1つ又は複数の入力要素の各々について実験で得られた入力値の範囲を含み、実験で得られた入力値の範囲における各入力値は、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答値を決定する。
【0032】
[0044] ステップ204において、設計領域推定モジュール104は、1つ又は複数の入力要素の各々について最大可変範囲を計算する。ステップ206において、設計領域推定モジュール104は、1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する実験入力値範囲内における、計算入力値範囲を計算する(例えば、プロセッサ108を用いる)。ステップ208において、設計領域推定モジュール104は、1つ又は複数の入力要素の各々について、修正入力値範囲を計算する(例えば、プロセッサ108を用いる)。ステップ210において、設計領域推定モジュール104は、少なくとも修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測する。ここで、修正入力値範囲は、各々、入力要素の内1つ又は複数に対して、規準が満たされる最大可変領域を含む。
【0033】
[0045] ステップ202に関して、最大可変領域の計算は、入力要素範囲の割合(例えば、2.5%)を段階的に大きくしながら行う。入力要素範囲とは、前述のように実験が行われた各入力要素の値の範囲である。設計領域推定モジュール104は、ある割合だけ入力要素範囲を広げ、モンテ・カルロ・シミュレーションを実行して出力応答値を予測する。設計領域推定モジュール104は、予測出力応答値が出力応答の1つ又は複数と一致したときに、要素範囲の段階的拡大を停止する。この段階的拡大は、1つ又は複数の入力要素の各々について、1つずつ行われる。各入力要素について計算された最大可変領域は、入力要素の最大可変領域を組み合わせたものを検索する(ステップ206および208)ための開始規準として用いられ、この総合最大可変領域では、全ての入力要素が可変であり、しかも出力応答仕様を満たす。
【0034】
[0046] ステップ206および208では、全ての入力要素が可変であり、しかも出力応答仕様を満たす入力要素の総合最大可変領域を計算する。ステップ206に関して、設計領域推定モジュール104は、全ての入力要素について一緒に(同時に)計算入力値範囲を計算する。ステップ206については、図3Aを参照して更に詳しく説明する。ステップ208に関して、設計領域推定モジュール104は、入力要素毎に、1つずつ修正入力値範囲を計算する。ステップ208については、図3Bを参照して更に詳しく説明する。
【0035】
[0047] ステップ210に関して、設計領域推定モジュール104は、出力応答毎に異なる数学回帰モデルを用いて、最大可変範囲(例えば、全ての入力要素について個々に、または入力要素の全ての組み合わせについて)をモンテ・カルロ・シミュレーションによって推定することができる。設計領域推定モジュール104は、予め指定されている規準を用いてPDSEを自動的に計算する。この規準は、例えば、特定の分布(例えば、正規分布または三角分布)、入力要素および/または出力応答についてユーザが設定した規準(例えば、ユーザが定義した特定の入力要素に対する制限値、ユーザが定義した入力要素分布)、技術的制約(例えば、混合計画、全ての入力要素の合計は常に1に等しくなければならない)を含む。例の中には、定性的入力要素設定値(例えば、「正しい」および「間違い」)または離散入力要素設定値(例えば、「低」、「中間」、または「高」)というような制約を、連続入力要素と同じ方法では処理できない場合もある(例えば、定性的入力要素は、モンテ・カルロ・シミュレーションの繰り返し計算に要求されるような、ランダム化を行うことができない)。定性的入力要素のランダム設定値を用いて計算(例えば、モンテ・カルロ・シミュレーション)を実行する関数を含ませることができる。関数の一例には、定性的入力要素についてのランダム設定値であり、制約として、分布を特定の確率(例えば、Aの60%、Bの30%、およびCの10%)に設定することができる(例えば、入力要素についての離散設定値のランダムな母集団(population)が、その制約によって設定される最終的分布を有すると仮定することによって)。実施形態の中には、混合に対する技術的制約について、設計領域推定モジュール104は、ランダム変動(random variation)がモンテ・カルロ・シミュレーションのために追加された後に、その度に入力要素を正規化し、入力要素全ての和が一定値(例えば、1)に等しくなるようにする。
【0036】
[0048] 図3Aは、本発明の例示的実施形態にしたがって計算入力値範囲を計算する方法300を示すフロー・チャートである。ステップ302において、設計領域推定モジュール104は(例えば、プロセッサ108を用いて)、1つ又は複数の入力要素の各々に第1入力値範囲を選択する。ステップ304において、設計領域推定モジュール104は、第1入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定する。ステップ306において、設計領域推定モジュール104は、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、入力値の第1範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々について計算入力値範囲を作成する。
【0037】
[0049] ステップ302に関して、設計領域推定モジュール104は、第1範囲を、各入力要素の最大可変領域のある割合(例えば、75%)に設定する。ステップ304に関して、設計領域推定モジュール104は、ユーザによって指定される多数のサンプル(例えば、データベース110に格納されている設定値)を用いて、モンテ・カルロ・シミュレーションを実行する。モンテ・カルロ・シミュレーション、またはモンテ・カルロ法は、繰り返しランダム・サンプリングを拠り所としてそれらの結果を計算して物理的(および数学的)システムをシミュレートする計算方法である。モンテ・カルロ・シミュレーションは、決定論的アルゴリズムでは正確な結果を計算することが現実的でない場合または不可能な場合に用いられることが多い。一般に、モンテ・カルロ・シミュレーションは、最初に可能な入力(例えば、物理的プロセスについての入力要素)のドメインを定義する必要がある。入力(または入力要素値)は、そのドメイン(物理的プロセス)からランダムに発生される。これらの入力を用いて(例えば、出力応答値を、その出力応答値についての所望の規準と比較する)決定論的計算が行われる。最後に、個々の決定論的計算の結果を集計し、最終的な結果が得られる(例えば、PDSE)。
【0038】
[0050] 実施形態の中には、第1性能指標が、ドット・パー・ミリオン演算(DPMO:dot per million operation)と呼ばれる規準であることがある。DPMOは、計算して特定の出力応答についての仕様限度範囲よりも外側となった出力応答値の数である。仕様限度範囲(ユーザによって定義することができる)は、下位出力応答値において開始し、上位出力応答値において終了し、出力応答に対する容認可能な出力応答値の範囲を定義する。モンテ・カルロ・シミュレーションを実行し、予測された出力応答値をDPMOと比較して、選択された第1の値の範囲が容認可能か否か判断する。例えば、50,000ヒットが特定の出力応答に対する限度の外側にある場合のDPMOは、50,000/1,000,000=0.05、即ち、5%となり、予測された出力応答値の内5%が仕様限度範囲の外側となっても、未だ容認可能な性能と見なすことができる。
【0039】
[0051] 更にステップ304に関して、実施形態の中には、モンテ・カルロ・シミュレーションに選択された分布(例えば、正規分布、均一分布、または三角分布)および範囲(例えば、第1範囲)に基づいて、各入力要素にランダム誤差を加算して、モンテ・カルロ・シミュレーションのロバスト性を高める場合もある。実施形態の中には、モンテ・カルロ・モデル誤差に基づくランダム誤差を、各予測出力応答値(例えば、学生のt−分布ランダム誤差)を加算することもある。
【0040】
[0052] ステップ306に関して、設計領域推定モジュール104は、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、計算範囲を作成する。例えば、設計領域推定モジュール104は、モンテ・カルロ・シミュレーション(ステップ304から)について計算されたDPMOを予め指定されているDPMO(例えば、DPMO=50,000)と比較する。この第1性能指標と所定の性能指標との比較について、図3Bにおいて説明する。図3Bは、本発明の例示的実施形態にしたがって計算入力範囲値を計算するための、段階毎領域拡大方法300の一部を示すフロー・チャートである。ステップ322において、第1性能指標を所定の性能指標と比較する。第1性能指標が所定のメトリックよりも上である場合、方法300はステップ324に進む。ステップ324において、設計領域推定モジュール104は、所定の割合だけ第1入力値範囲を狭めることによって、第2入力値範囲を選択する。例えば、DPMOが指定DMPO限度よりも大きい場合、第1範囲を2で割る。第2入力値範囲を選択した後、方法300はステップ3Aのステップ304に進む。
【0041】
[0053] 第1性能指標が所定のメトリックよりも下である場合、方法300はステップ326に進む。ステップ326において、設計領域推定モジュール104は、刻み幅を、第1入力値範囲のサイズの所定の割合に設定する。ステップ328において、この刻み幅に基づいて第1入力値範囲を広げることによって、第2入力値範囲を選択する。ステップ330において、設計領域推定モジュール104は、1つ又は複数の出力応答の各々について第2性能指標を決定するために、第2入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測する。ステップ330において、設計領域推定モジュール104は、第3性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第3入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々について計算した入力値範囲を作成する。
【0042】
[0054] ステップ326および328に関して、設計領域推定モジュール104は、第1入力値範囲の20%の刻み幅を設定し、第1範囲をこの刻み幅だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択する。ステップ330に関して、設計領域推定モジュール104は、図3Aのステップ304を参照して先に説明したようにモンテ・カルロ・シミュレーションを実行し、1つ又は複数の出力応答の各々についてDPMOを決定することができる。
【0043】
[0055] ステップ332に関して、図3Cにおいて説明するように、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、計算範囲を作成する。図3Cは、本発明の例示的実施形態にしたがって計算入力値範囲を計算するための、段階毎領域拡大のための図3Aの方法300の一部を示すフロー・チャートである。ステップ352において、設計領域推定モジュール104は、第2性能指標が所定のメトリックに等しいか否か判定を行う。第2性能指標が所定のメトリックに等しい場合、方法300はステップ354に進む。ステップ354において、設計領域推定モジュール104は、計算した入力値範囲を第2入力値範囲に設定する。
【0044】
[0056] 第2性能指標が所定のメトリックに等しくない場合、方法300はステップ356に進む。ステップ356において、設計領域推定モジュール104は、本方法が最大の繰り返し回数に達したか否か判定を行う。最大繰り返し回数に達している場合、本方法はステップ354に進み、計算した入力値範囲を第2入力値範囲に設定する。最大繰り返し回数に達していない場合、本方法はステップ358に進む。ステップ352および356は、図3A〜3Cの方法300が無限にループすることを防ぐための終了規準である。ステップ358において、設計領域推定モジュール104は、第2性能指標が所定の性能指標よりも下にあるか否か判定を行う。第2性能指標が所定の性能指標よりも下にある場合、方法300は図3Bのステップ328に進む。第2性能指標が所定の性能指標よりも下にない場合、本方法はステップ360に進む。ステップ360において、設計領域推定モジュール104は第3入力値範囲を最終入力値有効範囲(所定の性能指標よりも下にある性能指標と関連付けられた最後の入力値範囲)に設定する。ステップ362において、設計領域推定モジュール104は、所定の割合だけ刻み値を減らす。方法300は、図3Bのボックス328に進み、刻み幅に基づいて第3入力値範囲を広げることによって、第4入力値範囲を選択する等のステップを実行する。
【0045】
[0057] 例えば、図3Cに示した方法300の部分を参照して、DPMOがDPMO限度未満である場合、設計領域推定モジュール104は、終了規準の1つ又は複数が満たされるまで(ステップ352および356)範囲を拡大し検査し続ける。DPMOがDPMO限度よりも高い場合、設計領域推定モジュール104は、要素範囲を縮めて最後の有効設定値に戻し(ステップ360)(例えば、第1範囲)、刻み幅を2で割り(ステップ362)、1つ又は複数の終了規準が満たされるまで、範囲を拡大し検査し続ける(図3Bを参照して説明したように、図3Bのステップ328以降)。方法300は、計算した範囲が、その計算した範囲のモンテ・カルロ・シミュレーションに対して所望のDPMOに達したとき、または最大の繰り返し回数になったときに終了し、1つ又は複数の入力要素の全てを同時に広げるために得られる最良の計算範囲が求められる。
【0046】
[0058] 図4Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、修正入力値範囲を計算する方法400を示すフロー・チャートである。ステップ402において、設計領域推定モジュール104は、1つ又は複数の入力要素から1つの入力要素を選択する。ステップ404において、設計領域推定モジュール104は、刻み幅を、算出入力値範囲のサイズの所定の割合に設定する。ステップ406において、設計領域推定モジュール104は、刻み幅に基づいて、計算された範囲を広げることによって、第2入力値範囲を選択する。ステップ408において、設計領域推定モジュール104は、第2入力値範囲に基づいて1つ又は複数の出力応答の値を予測し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定する。ステップ410において、設計領域推定モジュール104は、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、入力要素に対して修正入力値範囲を作成する。
【0047】
[0059] ステップ410に関して、図4Bに示すように、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、修正範囲を作成する。図4Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、方法400の一部における、修正入力値範囲を計算するための段階毎領域拡大を示すフロー・チャートである。ステップ450において、設計領域推定モジュール104は、第2性能指標が所定のメトリックに等しいか否か判定を行う。第2性能指標が所定のメトリックに等しい場合、本方法はステップ452に進む。ステップ452において、設計領域推定モジュール104は第2入力値範囲に等しい修正範囲を設定する。第2性能指標が所定のメトリックに等しくない場合、本方法はステップ454に進む。
【0048】
[0060] ステップ454において、設計領域推定モジュール104は、方法400が最大の繰り返し回数に達したか否か判定を行う。最大繰り返し回数に達している場合、方法400はステップ452に進み、修正範囲を第2入力値範囲に設定する。最大繰り返し回数に達していない場合、本方法はステップ456に進む。ステップ450および454は、図4A〜図4Bの方法400が無限にループすることを防止する終了規準である。ステップ456において、設計領域推定モジュール104は、第2性能指標が所定の性能指標よりも下にあるか否か判定を行う。第2性能指標が所定のメトリックよりも下にある場合、方法400は図4Aのボックス406に進む。第2性能指標が所定のメトリックよりも下にはない場合、方法400はステップ458に進む。ステップ458において、設計領域推定モジュール104は、最終入力値有効範囲(所定の性能指標よりも下にある性能指標と関連付けられた最後の入力値範囲)に等しい修正入力値範囲を設定する。ステップ460において、設計領域推定モジュール104は完了フラグを入力要素と関連付ける。
【0049】
[0061] ステップ462において、設計領域推定モジュール104は、入力要素と関連付けられた完了フラグを有していない入力要素が、1つ又は複数の入力要素に残っているか否か判定を行う。入力要素が残っている場合、本方法は図4Aのボックス402に進む。入力要素が全く残っていない場合、方法400はステップ464に進む。ステップ464において、設計領域推定モジュール104は、刻み分(step percentage)を所定の割合だけ減らし、ボックス406に進んで、修正した刻みのサイズ等に基づいて、第2入力値範囲を広げることによって、新たな入力値範囲を選択する。
【0050】
[0062] 例えば、方法400は、1つ又は複数の入力要素の各々について個々に実行される(ステップ402)。設計領域推定モジュール104は、刻み幅を入力要素の要素範囲(計算した入力値範囲の20%)の20%に設定する(ステップ404)。設計領域推定モジュール104は、入力要素の要素範囲を、刻み幅を用いて広げる(例えば、現在の入力要素の要素範囲に刻み幅を加算する)(ステップ406)。設計領域推定モジュール104は、前述のようなモンテ・カルロ・シミュレーションを実行し、しかるべき場合には、ランダム誤差を加入する(ステップ408)。DPMOがDPMO限度よりも高い場合、設計領域推定モジュール104は、入力要素の要素範囲を狭めて、DPMO限度よりも下のDPMOを有する要素範囲の最後の設定値に戻し(456)、入力要素を完了フラグと関連付ける。DPMOがDPMO限度よりも低い場合、要素範囲を広げ、モンテ・カルロ・シミュレーションに対する結果的に得られたDPMOを比較することによって(ステップ406から410までを繰り返し、ステップ410はステップ450から464までを含む)、本方法(方法400)を繰り返す。このプロセスは、残りの入力要素の全てが完了フラグと関連付けられるまで、これらの全てについて繰り返される。次いで、設計領域推定モジュール104は、入力要素から完了フラグを削除し、刻み幅を所定量で割り(例えば、刻み幅を2で割る)、本方法を繰り返す(例えば、ステップ406から410までを繰り返す。
【0051】
[0063] 再度図2を参照すると、実施形態の中には、1つ又は複数の入力要素について同時に計算範囲を計算した後(例えば、図3A〜図3Cの方法300によって)、入力要素の各々に対して個々に修正範囲を計算し(例えば、図4A〜図4Bの方法400によって)、PDSEの精度を高めるために、多数回のモンテ・カルロ・シミュレーションによってPDSEを計算する。モンテ・カルロ・シミュレーションに対する所定の性能指標(例えば、限度値)は、DPMOである。このDPMOは、例えば、個々の出力応答に対して許容される最大のDPMO値、または出力応答の全てに対する最大のDPMO値である。例の中には、DPMOの代わりに、出力応答についての指定制限範囲より外側の割合、プロセス較正インデックス(Cpk)、または出力応答の中央値および四分位数というような、他の制限規準を用いる場合もある。
【0052】
[0064] 限定を意図しない例示的な一例として、本発明の一実施態様では、ユーザがmg/ストローク単位で測定された燃料消費(燃料)、mg/秒単位で測定された窒素酸化物の放出量(NOx)、およびmg/秒単位で測定された煤煙放出量(煤煙)の出力応答に対する車のエンジン動作を最適化することを望む。この例では、制御することができる3つの入力要素は、kg/h単位で測定された吸気量(空気)、排気ガス再循環割合(EGR%、エンジンの排気の一部をエンジン・シリンダに環流させることによって動作するNOx低減技法である)、および上死点前に度単位で測定されたニードルリフト(needlelift)(NL)となる。設計領域推定モジュール104は、これら3つの入力要素および3つの出力応答に基づいて、エンジンについてのPDSEを予測し、3つの出力応答に対する規準を満たしつつも、3つの入力要素をどの位変化させることができるか(例えば、個々にまたは同時に)についての尺度を与える。このモデルが有効であることを確保するために、ユーザは、計算を行う具体的な領域、入力値の実験範囲(例えば、図2のステップ204、206、および208)を設定することができる。この例では、計算は、240kg/hおよび284kg/hの間の空気、6%および12%の間のEGR%、ならびに−5.78°BTDCおよび0°BTDCの間のNLで行われる。出力応答に対する規準がある。燃料に対する指定限度範囲は、200mg/ストロークの最小出力応答値と、240mg/ストロークの最大出力応答値との間である。NOxに対する指定限度範囲は、25mg/秒までである(例えば、この指定限度には最小値がなく、この例では0である)。煤煙に対する指定限度は、0.5mg/秒までである。燃料の目標応答値は220mg/ストロークであり、NOxの目標応答値は10mg/秒であり、煤煙の目標応答値は0.2mg/秒である。
【0053】
[0065] 設計領域推定モジュール104(またはユーザ)は、これらの入力要素が出力応答にどの位影響を及ぼすか、入力要素設定値(X)と出力応答(Y)との間の関係の数学的関数y=f(x)を求めることによって推定する。各数学的関数は、異なる入力要素の関数としての期待出力応答である。これは、例えば、実験規範の設計によって行う。この例では、17回の実験による古典的な一連の実験(中央複合設計(CCD)を用いる)を行った。これらの実験から、応答Y毎に1つずつ、3つの異なるモデルを計算した(例えば、多重線形回帰(MLR))。以下の表1から表3は、応答毎に3つの線形回帰モデルの例を示す。
【0054】
【表1】
【0055】
[0066] 表1は、燃料についての回帰モデル例を示す。「燃料」と名付けられた列1は、モデルの異なる成分を含み、定数、空気、EGR、ニードルリフト(NL)、および空気×空気を含む。「係数SC」(倍率を調整し(scaled)中央に合わせた(centered)係数)と名付けられた列2は、燃料成分毎の係数を含む。「標準誤差」(標準誤差)と名付けられた列3は、燃料成分毎の標準誤差を含む。「P」(P検査の確率)と名付けられた列4は、燃料成分毎のP値を含む。「信頼間隔(+/−)」と名付けられた列5は、燃料成分毎の信頼間隔を含む。信頼間隔とは、推定値の信頼性を示すために用いられる統計学の用語である。信頼間隔は、例えば、95%の信頼間隔を得るために用いられる(例えば、空気は、8.78614+/−1.46984となる)。
【0056】
[0067] また、燃料についての回帰モデルは、以下のパラメータも含む。CCF実験の回数(N)は、17である。自由度(DF)は12(17回の実験から表における5つの欄を差し引く)である。性能測定値は、Q2=0.958、R2=0.979、R2Adj.=0.972、およびcond.no.(用いた実験設計の品質の尺度)=2.978を含む。性能測定値が1(1.0)に近い程、入力要素と出力応答との相関が強くなる。他の性能測定値には、Y−miss=0が含まれる。これは、得られなかった値即ち測定値の数である。残余標準偏差(RSD)は、2.0249となり、これはR2に連接(connect)される。R2が1に近い程、RSDは0に近くなる。このモデルの信頼度は、0.95となる。
【0057】
【表2】
【0058】
[0068] 表2は、NOxについての回帰モデル例を示す。「NOx」と名付けられた列1は、モデルの異なる成分を含み、定数、空気、EGR、ニードルリフト(NL)、空気×空気、 EGR×EGR、NL×NL、EGR×NLを含む。表2は、残りの4つの列は、表1と同じもの、即ち、「係数SC」、「標準誤差」、「P」、「信頼間隔(±)」を含む。NOx回帰モデルのパラメータは、N=17、DF=12、Q2=0,987、R2=0.997、R2Adj.=0.995、cond.no.=4.498、Y−miss=0、RSD=0.4624、およびモデルの信頼度は0,95である。
【0059】
【表3】
【0060】
[0069] 表3は、煤煙についての回帰モデル例を示す。「煤煙」と名付けられた列1は、モデルの異なる成分を含み、定数、空気、EGR、およびNLである。表3は、残りの4つの列は、表1と同じもの、即ち、「係数SC」、「標準誤差」、「P」、「信頼間隔(±)」を含む。煤煙回帰モデルのパラメータは、N=17、DF=12、Q2=0,987、R2=0.997、R2Adj.=0.995、cond.no.=4.498、Y−miss=0、RSD=0.4624、およびモデルの信頼度は0,95である。
【0061】
[0070] 出力応答の各々に対する目標応答規準までの距離が最小となる予測出力応答値を与える推定最適値を、入力要素毎に計算する。これらの推定最適値は、PDSE計算の開始点となる。最大可変領域を、空気、EGR、およびニードルリフトについて計算する(例えば、図2のステップ204)。例の中には、各入力要素が、その具体的な推定最適値を中心とした正規分布で変化することを仮定して、この計算を組み立てる場合もある。
【0062】
[0071] 図5Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示する図表表示500を示す図である。図5Aから図5Cおよび図5Eでは、数値欄の一部にはカンマが表示されているが、他の数値記述規則を用いることもできる。例えば、小数点を用いる米国の慣例を、カンマの代わりに用いることができる(例えば、250,88は250.88と同等であり、数値を本システムの図表表示において表示するときには、いずれの規則を用いることもできる)。表示500は、入力要素表502および出力応答表504を含む。入力要素表502は、8つの列、即ち、入力要素列502A、低値列502B、最適値列502C、高値列502D、標準偏差列502E、役割(role)列502F、分布列502G、および推定許容範囲列502Hを含む。入力要素列502Aは、PDSEについての入力要素を表示する。低値列502Bは、総合最大可変領域の最低入力要素値である値を、入力要素毎に表示する。最適値列502Cは、各入力要素に対して推定した最適値である値を、入力要素毎に表示する。高値欄502Dは、総合最大可変領域の最高入力要素値である値を、入力要素毎に表示する。標準偏差列502Eは、PDSEにおける入力要素について標準偏差を列記する。役割列502Fは、入力要素の役割(ロックまたは自由)を表示する。分布列502Gは、モデルの分布を表示する。入力要素表502は、入力毎に、空気506A、EGR%506B、およびニードルリフト506Cの行を含む。これらを纏めて、入力要素行506と呼び、入力要素列502Aの中に列記する。推定許容範囲列502Hは、グラフ508A、508B、および508Cを、それぞれ、入力要素行506A、506B、および506C毎に含む(纏めて、グラフ508)。
【0063】
[0072] 推定許容範囲列502Hにおける各グラフ508は、実験に基づく入力値領域を含み、低値510Aおよび高値510Bが概略的に、この実験に基づく入力値領域の範囲510となる。各グラフ508は、推定最適値512を含み、これは各入力要素行506(例えば、空気入力要素行506Aの推定最適値512は、261kg/hである)の最適値列502Cにおいて示される。推定最適値512は、各出力要素に対する目標応答規準を最良に推定する、入力要素毎の入力要素値である。各グラフ508は、入力要素行506A毎に、個々の最大可変領域514を含む。これは、残りのあらゆる入力要素をそれらに関連付けられた推定最適値に設定しつつPDSEを満足する、関連のある入力要素値の範囲である。各グラフ508は、入力要素行506A毎に、総合最大可変領域516を含む。この領域は、各入力要素行506の低値列502Bおよび高値列502Dに表示されている値の間となる(例えば、空気入力要素行506Aの総合最大可変領域516は、低値510Aである250.88kg/hと高値510Bである271.12kg/hとの間となる)。1つ又は複数の入力要素の各々の値は、対応する入力要素の総合最大可変領域516の範囲内であればどこでも可能であり、各出力応答についての所定の性能指標を満たす。
【0064】
[0073] 出力応答表504は、7つの列、即ち、出力応答列504A、最小値列504B、目標列504C、最大値列504D、規準列504E、DPMO列504F、および予測応答プロファイル列504Gを含む。出力応答表504は、出力応答毎に、燃料520A、NOx520B、および煤煙520Cの行を含む。これらを纏めて出力応答行520と呼び、出力応答列504A内に列記される。予測応答プロファイル列504Gは、出力応答行520A、520B、および520C毎に、それぞれ、グラフ522A、522B、および522Cを含む(纏めて、グラフ522)。各グラフは、最小値列504Bに表示される最小出力応答値524Aと、最大値列504Dに表示される最大出力応答値524Bとを含む指定限度範囲を含む。最小出力応答値524Aおよび最大出力応答値524Bを纏めて、指定限度範囲524とする(例えば、燃料出力応答行520Aは、最小出力応答値524Aである230mg/ストロークと最大出力応答値524Bである260mg/ストロークとの間に、指定限度範囲524を有する。各グラフ522は、目標応答規準526を含む。これは、目標列504Cにおける各出力応答列520の対応する欄によって示されている(例えば、燃料出力応答行520Aの目標値は、240mg/ストロークである)。各グラフは、1つ又は複数の出力応答行520の各々について、出力応答値528の分布を含み、総合最大可変領域(例えば、修正入力値領域)が、出力応答値の分布を決定する(例えば、各入力要素行506Aについて、低値列502Bおよび高値列502Dによって示されるように)。1つ又は複数の出力応答の各々について、出力応答値528の分布内において予め指定された数の出力応答値が、出力応答の指定限度範囲524の中にある(例えば、所定の性能指標、DPMOが出力応答に対して満たされる)。
【0065】
[0074] 規準(例えば、入力応答毎の実験に基づく入力値範囲510、出力応答毎の指定限度領域524、および出力応答毎の目標応答規準526)は、PDSEの予測を抑制する。設計領域推定モジュール104は、目標応答規準512への距離が最小の出力応答値が得られる、最良の入力要素を検索する。これらのお出力応答値は、入力要素毎の推定最適値512である。ユーザは、図5Bに示すように、推定最適値510の計算のために異なる設定値を設定する(configure)ことができる。
【0066】
[0075] 図5Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を計算するために用いられるパラメータを設定する図表表示550を示す図である。図表表示550は、入力要素表552、出力応答表554、および結果表556を含む。入力要素表552は、ユーザが入力要素について設定することができる選択肢を表示し、下限列、上限列、および感度範囲列を含む。出力応答表554は、ユーザが出力応答について設定することができる選択肢を表示し、規準列、重み列、最小値列、目標値列、および最大値列を含む。入力要素表552および出力応答表554に対する数値を、これらの列に入力することができる。ユーザは、出力応答表554の規準列におけるドロップ・ダウン・メニューからエントリを選択することができ、「目標」、「最小」、「最大」、「予測」、「除外」を含む。「目標」は、出力応答が所望の応答であることを示す。「最小」は、設計領域推定モジュール104が出力応答を最小化することを示す(例えば、出力応答について指定されている最大容認値基準に基づいて最小化する)。「最大」は、設計領域推定モジュール104が出力応答を最大化することを示す(例えば、出力応答について指定されている最大容認値基準に基づいて最大化する)。「予測」は、設計領域推定モジュール104が出力応答をPDSEにおいてアクティブと見なさないことを示す(例えば、設計領域推定モジュール104は、未だ出力応答を予測することができる)。「除外」は、設計領域推定モジュール104が出力応答をPDSEから除外することを示す(例えば、設計領域推定モジュール104は出力応答を予測しない)。
【0067】
[0076] 結果表556は、9つの列を含み、1から9までの番号が付けられている。最初の3つの列は、入力要素の各々について計算された入力要素値を表示する。2番目の3つの列は、出力応答の各々について計算された出力応答値を表示する。7番目の列は、計算のために実行された繰り返しの回数を表示し、ユーザはこの回数を繰り返しボックス558および繰り返しスライダ560を用いて設定することができる。8番目の列は、計算に対するlog(D)値を表示する。9番目の列は、計算に対するDPMOを表示する。ユーザは、絶対限度チェックボックス562を選択することができ、そうすると、設計領域推定モジュール104に、規準を外れた予測を受け入れさせなくすることができる。ユーザは、分析感度チェックボックス564を選択することができ、そうすると、設計領域推定モジュール104に、特定の解に対する入力設定値に、外乱が小さなモンテ・カルロ・シミュレーションを追加させることができる。例えば、外乱が小さいモンテ・カルロ・シミュレーションを用いて、DPMOを計算する。DPMOは、入力要素の選択した推定最適値(1つまたは複数)に、解がどの位外乱を受けることができるかを反映する。ここで、DPMOが小さい程良く、DPMO=0が最も良い。結果表556におけるエントリは、同様とすることができる。実施形態の中には、9番目の列が、提案された推定最適値を中心とした入力値510の実験に基づく領域の±10%のばらつきで、モンテ・カルロ・シミュレーションに対するDPMO値を表示する。DPMO値が低い程、入力要素値の選択によって、モンテ・カルロ・シミュレーション誤差に対する感度が低い出力応答が得られる。
【0068】
[0077] 設計領域推定モジュール104は、入力要素毎の推定最適値512からPDSEを検索する(例えば、図2のステップ204から210までによって)。出力応答プロファイルに対する各入力要素の感度に基づいて、段階的に最大可変領域の検索を行う。これは、入力要素毎に個々の最大可変領域514として表示される。入力要素毎にPDSEの総合最大可変領域516を計算し、ディスプレイ500に表示する。実施形態の中には、表示される総合最大可変領域516が、各入力要素の正規分布の95%の領域となることもある。ユーザは、総合最大可変領域516が表示される態様を調節することができる(例えば、領域の割合および/または分布の種類を変更する)。これらの計算(例えば、モンテ・カルロ・シミュレーション)により、予測応答プロファイル504Gが求められ、出力応答毎に表示される。
【0069】
[0078] ユーザは、PDSEを計算するための設定値を調節することができる。実施形態の中には、設計領域推定モジュール104が、1つ又は複数の入力要素についての総合最大可変領域516の外側の境界(outer bounds)を、ユーザに調節させるものもある。ユーザが1つ又は複数の総合最大可変領域516の外側の境界を調節した後、設計領域推定モジュール104は、残りの入力要素について、総合最大可変領域516を計算し直す。例えば、ユーザが総合最大可変領域516を、計算された総合最大可変領域の低値および高値以内の値に制限する場合(例えば、表示されている総合最大可変領域516の終端上でクリックし、マウスを左または右にスライドさせることによって)、修正入力要素に加えられた制約のために、残りの総合最大可変領域516が広げられる。例えば、役割列502Fに表示されている役割が「自由」に設定されている場合、ユーザは入力要素を調節する。例えば、ユーザは、空気入力要素についての総合最大可変領域516の可変可能範囲を±10kg/hに(251kg/hから271kg/h)に制限する。これは、空気入力要素行506Aに対する総合最大可変領域516の低値である250.88kg/hおよび高値である271.12kg/hの範囲内となる。設計領域推定モジュール104は、空気入力要素に加えられた制限により、NOxおよび煤煙入力要素に対する総合最大可変領域516を広げることができる。ユーザは、個々の応答に対してまたは全ての応答に対して同時に、所定の性能指標(例えば、DPMO)を設定することができる。
【0070】
[0079] 利点を挙げると、ある種の入力要素をある値(例えば、温度、圧力)について抑制できることをユーザが知っていれば、ユーザは、残りの入力要素についての総合最大可変領域516が広がるように、入力要素に対する制約を考慮に入れたDPMOを設定できる。このような計算によって、抑制された入力要素を被制御値に維持するとき、残りの入力要素がどの位変動するか、ユーザが知ることが可能になる。例えば、ユーザが製造プロセスの温度を知っている場合、ユーザは、温度入力要素に対する制約を設定し、この製造プロセスの他の要素(例えば、圧力)に対する許容度を発見する。温度の制御が容易である場合、それよりも制御するのが厳しい要素が変動し得る最大量をユーザに示すように、PDSEを調節する。実施形態の中には、PDSE出力を用いて、各入力要素設定値を解釈する場合もある(例えば、ユーザは、どの要素がPDSEにとって最も肝要であるか判断することができる)。例えば、ユーザがPDSEに対する制約を満たすことができない場合、ユーザは、出力応答の制約を変化させること、または出力応答の内1つ又は複数をPDSEモデルから除外することができる。
【0071】
[0080] 図5Cは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示600を示す図である。図表表示600は、各入力要素と出力応答との間における感度分析を示す。図表表示600は、5つの列、即ち、名称列602A、最適値列602B、ならびに出力応答値の各々に1つずつの列、即ち、燃料列602C、NOx列602D、および煤煙列602Eを含む。図表表示600は、入力要素毎、即ち、空気604A、EGR%604B、およびニードルリフト604C毎にエントリを含み、名称列602Aに表示される。燃料列602C、NOx列602D、および煤煙列602Eにおける各表のエントリは、入力要素毎に、それぞれ、グラフ606A、606B、および606Cを含む(纏めて、グラフ606)。各グラフ606は、実験に基づく入力値領域を含み、低値608Aおよび高値608Bが概略的に、経験に基づく入力値領域608の範囲となる。各グラフ606は、推定最適値610を含む。推定最適値610は、各入力要素行604の最適値列602Bに示される(例えば、空気入力要素行506Aの推定最適値610は、261kg/hである)。各グラフ606は、入力要素行604毎に、個々の最大可変領域612、および総合最大可変領域614を含む。
【0072】
[0081] 各グラフ606は、各入力要素および出力応答について個々に結果を表示する。利点を挙げると、ユーザはグラフ606を用いてPDSEを分析することができる。例えば、ユーザは、グラフ606を分析することによって、PDSEの問題点を識別する。グラフ606では、PDSEにとって遵守するのが最も難しい出力応答(例えば、燃料列602C、NOx列602D、および煤煙列602E)は煤煙である。煤煙のグラフ606(入力応答604毎)は、最も小さい総合最大可変領域614を表示する。煤煙についての3つのグラフ606の内、最も小さい総合最大可変領域614は、EGR%のそれである。利点を挙げると、このようにグラフ606を分析することによって、ユーザは、煤煙にとって制御するのに最も肝要な要素がEGR%であることを識別する。何故なら、これは最も小さい総合最大可変領域614を有するからである。
【0073】
[0082] 図5Dは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示650を示す図である。図表表示650は、出力要素毎に、PDSEに基づく3つのグラフ(例えば、これら3つのグラフは、図5Aの予測応答プロファイル504Gにおいて出力要素毎に表示される情報を表示する代替実施形態である)、即ち、燃料予測応答プロファイル652A、NOx予測応答プロファイル652B、および煤煙予測応答プロファイル652Cを含み、これらを纏めてグラフ652と呼ぶ。各グラフ652の縦軸654は、出力応答値の個数を示す。各グラフ652の横軸656は、入力要素毎のビン数(例えば、各入力要素に可能な値)を示す。各グラフは、最小値バー658を含む(適している場合)。例えば、燃料グラフ652Aは、230ビン(例えば、mg/ストローク)に最小値バー658を含み、図5Aの出力応答表504内の最小値列504Bにおける燃料行520Aのエントリに表示されている値に対応する。各グラフは、最大値バー660を含む(適している場合)。例えば、燃料グラフ652Aは、260ビンに最大値バー660を含み、出力応答表504内の最大値列504Dにおける燃料行520Aのエントリに表示されている値に対応する。各グラフは、目標バー662を含む(適している場合)。例えば、燃料グラフ652Aは、240ビンに目標バー662を含み、出力応答表504内の目標値列504Cにおける燃料行520Aのエントリに表示されている値に対応する。各グラフは、更に、対応する出力応答について計算した出力応答値670の第1四分位数664、中央値666、第3四分位数668を示すバーも含む。
【0074】
[0083] PDSEを計算する他の例として、混合計画のために錠剤製造PDSEを行う(例えば、製薬業界において)。この例では、3つの要素(例えば、成分)は、セルロース、乳糖、およびリン酸塩である。この例に限って言えば、これら3つの入力要素は、錠剤を生産するための修正シンプレックス法セントロイド混合計画(modified simplex centroid mixture design)(製薬混合計画の一種)にしたがって変化させられる。出力応答は、反応性物質の放出である。放出出力応答に対して決められる規準は、300の最小出力応答値、および350の目標出力応答値である。PDSEは、これら3つの要素が、反応性物質の放出にどのように影響を及ぼすかについて、ユーザに知らせる。
【0075】
「0084」 図5Eは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示700を示す図である。図表表示700は、錠剤製造の例に対するPDSEを表示する。図表表示700は、入力要素表702および出力応答表704を含む。入力要素表702は、8つの列、即ち、入力要素列702A、低値列702B、最適値列702C、高値列702D、標準偏差列702E、役割(role)列702F、分布列702G、および推定許容範囲列702Hを含む。入力要素列702Aは、PDSEについての入力要素を表示する。低値列702Bは、総合最大可変領域の最低入力要素値である値を、入力要素毎に表示する。最適値列702Cは、各入力要素に対して推定した最適値である値を、入力要素毎に表示する。高値欄702Dは、総合最大可変領域の最高入力要素値である値を、入力要素毎に表示する。標準偏差列702Eは、PDSEにおける入力要素について標準偏差を列記する。役割列702Fは、入力要素の役割(ロックまたは自由)を表示する。分布列702Gは、モデルの分布を表示する。入力要素表702は、入力要素毎に、セルロース706A、乳糖706B、およびリン酸塩706Cの行を含む。これらを纏めて、入力要素行706と呼び、入力要素列702Aの中に列記する。推定許容範囲列502Hは、グラフ708A、708B、および708Cを、それぞれ、入力要素行706A、706B、および706C毎に含む(纏めて、グラフ708)。
【0076】
[0085] 推定許容範囲列702Hにおける各グラフ708は、実験に基づく入力値領域を含み、低値710Aおよび高値710Bが概略的に、この実験に基づく入力値領域710の範囲となる。各グラフ708は、推定最適値712を含み、これは各入力要素行706の最適値列702Cにおいて示される。各グラフ708は、入力要素行706A毎に個々の最大可変領域714と、入力要素行706A毎に総合最大可変領域716とを含む。総合最大可変領域716は、各入力要素行706の低値列702Bおよび高値列702Dに表示されている値の間となる。
【0077】
[0086] 出力応答表704は、8つの列、即ち、出力応答列704A、最小値列704B、目標列704C、最大値列704D、規準列704E、cpk列704F、DPMO列704G、および予測応答プロファイル列704Hを含む。出力応答表704は、出力応答放出720の行を含む。予測応答プロファイル列704Hは、出力応答放出720に対して、グラフ722を含む。グラフ722は、最小値列704Bに表示される最小出力応答値724を含むが、最大値がない指定限度範囲を含む。何故なら、指定制限範囲である最大値列704Dには何も表示されないからである。グラフ722は、目標応答規準726および出力応答値の分布728を含む。
【0078】
[0087] 目標応答規準712は、修正単純中心設計を10回実行することによって推定される。入力要素毎の目標応答規準712から、設計領域推定モジュール104は、PDSEを計算し、入力要素毎に総合最大可変領域714を表示する(例えば、ディスプレイ114によって)。この例では、設計領域推定モジュール104は、関連付けられた推定最適値712を中心とする三角分布で変動する各入力要素に基づいて、PDSEを計算するように構成されている。総合最大可変領域714は、混合制約を用いて計算される。放出に対する予測応答プロファイル704Hは、総合最大可変領域内にある入力要素値に対する出力応答値728の分布を示す。
【0079】
[0088] 以上で説明した技法は、ディジタルおよび/またはアナログ電子回路、あるいはコンピュータ・ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせで実現することができる。実施態様は、コンピュータ・プログラム・プロダクツ、即ち、データ処理装置による実行のため、またはデータ処理装置の動作を制御するために、機械読み取り可能記憶デバイスにおいて有形的に具体化されたコンピュータ・プログラムとすることができる。データ処理装置とは、例えば、プログラマブル・プロセッサ、コンピュータ、および/または多数のコンピュータである。コンピュータ・プログラムは、ソース・コード、コンパイル・コード、インタプリタ・コード、および/またはマシン・コードを含む、いずれの形態のコンピュータ言語またはプログラミング言語でも書くことができる。コンピュータ・プログラムは、いずれの形態でも装備することができ、単体プログラムとして、あるいはサブルーチン、エレメント、または計算環境における使用に適した他のユニットとしての形態が含まれる。コンピュータ・プログラムは、1つのコンピュータ上、または1カ所又は複数カ所のサイトにある多数のコンピュータ上に装備し実行することができる。
【0080】
[0089] 方法ステップは、1つ又は複数のプログラマブル・プロセッサによって実行することができ、入力データに作用するおよび/または出力データを発生することによって本技術の機能を実行するコンピュータ・プログラムを実行する。また、方法ステップは、特殊目的論理回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)、FPAA(フィールド・プログラマブル・アナログ・アレイ)、CPLD(複合プログラマブル・ロジック・デバイス)、PSoC(プログラマブル・システム・オン・チップ)、ASIP(特定用途命令セット・プロセッサ)、またはASIC(特定用途集積回路)によって実行することができる。サブルーチンは、1つ又は複数の機能を実現するコンピュータ・プログラムおよび/またはプロセッサ/特殊回路の一部を指すことができる。
【0081】
[0090] コンピュータ・プログラムの実行に適したプロセッサは、一例として、汎用および特殊目的用マイクロプロセッサの双方、ならびにあらゆる種類のディジタルまたはアナログ・コンピュータの1つ又は複数のあらゆるプロセッサを含む。一般に、プロセッサは命令およびデータをリード・オンリ・メモリまたはランダム・アクセス・メモリあるいはその双方から受け取る。コンピュータの必須要素は、命令を実行するプロセッサと、命令および/またはデータを格納する1つ又は複数のメモリ・デバイスである。キャッシュのようなメモリ・デバイスは、データを一時的に格納するために用いることができる。また、メモリ・デバイスは、長期間のデータ格納にも用いることができる。一般に、コンピュータは、データを格納する1つ又は複数の大容量記憶デバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクも含むか、またはこれらからデータを受け取りこれらにデータを転送する、あるいはこれらの双方を行うように動作的に結合される。また、コンピュータは、ネットワークから命令および/またはデータを受信するため、および/または命令および/またはデータをネットワークに転送するために、通信ネットワークに動作的に結合することもできる。コンピュータ・プログラム命令およびデータを具体化するのに適したコンピュータ読み取り可能記憶デバイスは、あらゆる形態の揮発性および不揮発性メモリを含み、一例として、半導体メモリ・デバイス、例えば、DRAM、SRAM、EPROM、EEPROM、およびフラッシュ・メモリ・デバイス、磁気ディスク、例えば、内部ハード・ディスクまたはリムーバブル・ディスク、光磁気ディスク、ならびに光ディスク、例えば、CD、DVD、HD−DVD、Blu−rayディスクが含まれる。プロセッサおよびメモリは、特殊目的論理回路によって補強すること、および/または特殊目的論理回路の中に組み込むことができる。
[0091] ユーザとの双方向処理に備えるために、前述した技法は、ユーザに情報を表示するディスプレイ・デバイス、例えば、CRT(陰極線管)、プラズマ、またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ、ならびにキーボードおよびポインティング・デバイス、例えば、マウスまたはトラックボール、タッチパッド、または動きセンサを有するコンピュータ上で実現することができる。ユーザは、ポインティング・デバイスによってコンピュータに入力を供給することができる(例えば、ユーザ・インターフェース・エレメントと双方向処理を行う)。ユーザとの双方向処理に備えるためには、他の種類のデバイスも用いることができる。例えば、ユーザに与えるフィードバックは、あらゆる形態の感覚的フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、および/または接触入力を含む、あらゆる形態で受け取ることができる。
【0082】
[0092] 前述した技法は、バックエンド・コンポーネントを含む分散型コンピューティングシステムにおいて実現することができる。バックエンド・コンポーネントは、例えば、データ・サーバ、ミドルウェア・コンポーネント、および/またはアプリケーション・サーバとすることができる。前述した技法は、フロントエンド・コンポーネントを含む分散型コンピューティングシステムにおいて実現することができる。フロントエンド・コンポーネントは、例えば、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを有するクライアント・コンピュータ、ユーザが実施態様例と対話処理することができるウェブ・ブラウザ、および/または送信デバイスに合わせた他のグラフィカル・ユーザ・インターフェースとすることができる。 前述した技法は、このようなバックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンド・コンポーネントのあらゆる組み合わせを含む分散型コンピューティングシステムにおいて実現することができる。
【0083】
[0093] 前述のコンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般に、互いに離れており、通信ネットワークを通じて双方向処理するのが通例である。クライアントおよびサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上において実行し、互いにクライアント−サーバ関係を有するコンピュータ・プログラムによって生ずる。
【0084】
[0094] コンピューティングシステムのコンポーネントは、ディジタルまたはアナログ・データ通信のあらゆる形態または媒体(例えば、通信ネットワーク)によってでも相互接続することができる。通信ネットワークの例には、回線系ネットワークおよびパケット系ネットワークが含まれる。パケット系ネットワークは、例えば、インターネット、キャリア・インターネット・プロトコル(IP)ネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、キャンパス・エリア・ネットワーク(CAN)、都市エリア・ネットワーク(MAN)、ホーム・エリア・ネットワーク(HAN)、個人IPネットワーク、IP個人ブランチ交換(IPBX)、ワイヤレス・ネットワーク(例えば、無線アクセス・ネットワーク(RAN)、802.11ネットワーク、802.16ネットワーク、汎用パケット無線サービス(GPRS)ネットワーク、HiperLAN)、および/またはその他のパケット系ネットワークを含むことができる。回線系ネットワークは、例えば、公衆電話交換ネットワーク(PSTN)、個人ブランチ交換(PBX)、ワイヤレス・ネットワーク(例えば、RAN、bluetooth、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、汎ヨーロッパ移動体通信(GSM)ネットワーク、および/またはその他の回線系ネットワークを含むことができる。
【0085】
[0095] コンピューティングシステムおよび/またはコンピューティングデバイスのデバイスは、例えば、コンピュータ、ブラウザ・デバイスを有するコンピュータ、電話機、IPフォン、移動体デバイス(例えば、セルラ・フォン、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)デバイス、ラップトップ・コンピュータ、電子メール・デバイス)、サーバ、1つ又は複数の処理カードを有するラック、特殊目的回路、および/またはその他の通信デバイスを含むことができる。ブラウザ・デバイスは、例えば、ワールド・ワイド・ウェブ・ブラウザ(例えば、Microsoft Corporationから入手可能なMicrosoft(商標)Internet Explorer(商標)、Mozilla Corporationから入手可能なMozilla(商標)Firefox)を有するコンピュータ(例えば、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ)を含む。移動体計算機は、例えば、Blackberry(商標)を含む。IPフォンは、例えば、Cisco System, Incから入手可能なCisco(商標) Unified IP Phone 7985G、および/または Cisco System, Incから入手可能なCisco(商標)Unified Wireless Phone 7920を含む。
【0086】
[0096] 本発明は、本発明の主旨や本質的な特性から逸脱することなく、他の特定的な形態でも具体化できることは、当業者にはわかるであろう。したがって、以上の実施形態は、あらゆる観点において、本明細書において記載した発明の限定ではなく例示であると見なすこととする。つまり、本発明の範囲は、以上の記載ではなく、添付した特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等の意味および範囲に該当する全ての変更は、したがって、本発明の範囲に包含されることを意図している。
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、一般的に、自動予測設計領域(design space)推定のための、コンピュータ・プログラム・プロダクツを含む、コンピュータに基づく方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 薬品業界では、クオリティ・バイ・デザイン(QbD:quality by design)の採用は、発展しつつある過程となっている。QbDとは、発端から最終出力まで製品に品質を取り入れる体系的プロセスのことである。具体的には、QbDは、生産プロセスにおいて最終製品に転化される可能性がある製品の動作要件(およびそれらの設計要件への組み入れ)を判定する際における設計機能の有効性のレベルを指す。これは、設計領域(design space)と呼ばれることが多く、設計領域とは、品質の保証が得られることが実証されている入力要素(例えば、材料属性)の多次元的組み合わせおよび相互作用のことである。例えば、製造プロセスでは、設計領域とは、具体的な製品要件(1つ又は複数の出力応答)を満たすことが可能な1組の設計および設計パラメータ(入力要素)である。設計領域を調査するには、所与の技術で可能な種々の設計選択肢を表示し、具体的な制約(例えば、動力(power)、コスト、混合計画)に関して入力要素および出力応答を最適化する必要がある。
【0003】
[0003] 半導体デバイス製造業界では、デバイスの製造業者は、より良いおよび/またはより速いプロセスやハードウェア構成を設計するために、プロセス・ツール製造業者に頼ることによって、許容度を厳格化したプロセスおよび材料仕様に既に移行している。しかしながら、デバイスの外形形状がナノメートル単位(scale)まで縮小すると、製造プロセスにおける複雑さが増大し、プロセスおよび材料仕様を満たすことが一層困難になる。
【0004】
[0004] 現在の半導体製造において用いられている典型的なプロセス・ツールは、数千にも及ぶプ1組のプロセス変数によって記述することができる。これらの変数は、一般に、製造プロセスの物理的パラメータおよび/または製造プロセスにおいて用いられるツールに関係付けられている。場合によっては、これら数千もの変数の内、数百の変数が動的であることもある(例えば、製造プロセス中または複数の製造プロセス間で経時的に変化する)。動的変数(例えば、気体流量、気体圧力、配給電力、電流、電圧、および温度)は、種々の動作要素(例えば、具体的な処理レシピ、プロセス工程の全体的シーケンスにおける特定の工程または一連の工程、製造プロセス中に発生する誤差および障害、あるいは特定のツールまたはチェンバの使用に基づくパラメータの変化(例えば、「ドリフト」と呼ぶ)に基づいて変化する。
【0005】
[0005] 操作者は、例えば、入力要素を変化させることによって製造プロセスを制御することができる。入力要素とは、生産プロセスに影響を及ぼす変数のことである。製造プロセス毎に、出力応答値(例えば、温度、歩留まり、品質属性)を測定することができるが、これらは入力要素に依存する。どの入力要素値の組み合わせから容認可能な出力応答値が得られるか判断するために、特定の製造プロセスに合わせて実験を行うことができる。
【0006】
[0006] 実験計画(DOE)方法は、プロセスに対する入力要素(例えば、製造プロセス、混合計画)とそのプロセスの出力応答との間の関係を判定するための、構造化および組織化された方法である。DOE方法は、入力要素の曖昧な測定値、および入力要素間の相互作用を、入力要素の順序立った変化の結果を観察することによって、満足のいくように定量化することができる。プロセスに関連付けられた動作規準(operational criteria)がある場合、出力応答値は、入力要素の異なる組み合わせ毎に測定され、組み合わせ毎に動作規準が満たされるか否か判定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007] 設計領域を調査するには、あらゆる動作規準に基づいて、可能な種々の設計選択肢を手作業で評価する必要がある。各入力要素の容認可能な可変領域を自動的に規定する方法や、結果領域を予測する方法はない。出力応答に対する様々な要件を、異なる種類の制約と共に同時に満たさなければならないとき、分析プロセスは一層複雑になる。更に、図式方法で操作者が容易に分析および解釈できる方法で、設計領域を表示することができれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008] 一態様において、本発明は、物理的プロセスに対する入力要素および出力応答の設計領域をステイするためのコンピュータ化方法を特徴とする。本明細書において記載するあらゆる実施形態について、物理的プロセスとは、工業プロセス、製造プロセス、半導体プロセス、分析システムまたは手順、あるいは設計プロジェクトとすることができる。前述の方法は、プロセッサを通じて、物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータと、このプロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受け取るステップを含む。規準は、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、目標応答規準を達成するための1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲とを含み、実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する。本方法は、プロセッサを用いて、1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算するステップを含む。計算は、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、第1入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、算出入力値範囲を作成することを含む。本方法は、プロセッサを用いて、1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算するステップを含む。1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、本方法は、算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択するステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、第2入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、入力要素に対する修正入力値範囲を作成するステップとを含む。本方法は、プロセッサを用いて、少なくとも修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測するステップを含み、修正入力値範囲が、各々、入力要素の1つ又は複数に対して規準が満たされる最大可変領域を含む。
【0009】
[0009] 他の実施形態では、設計領域推定値が、更に、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答値の分布を備えており、修正入力値範囲が、出力応答値の分布を決定する。1つ又は複数の出力応答の各々に対して、所定の性能指標が満たされる場合、出力応答値の分散内における予め指定された数の出力応答値が、出力応答に対する所定の制限値以内に入ることができる。
【0010】
[0010] 他の実施形態では、設計領域推定値を予測するステップが、入力要素毎に個々の最大可変領域を予測する一方、残りのあらゆる入力要素をそれらと関連付けられた推定最適値に設定するステップを含む。設計領域推定値を予測するステップは、入力要素毎に、総合最大可変領域を予測するステップを含み、1つ又は複数の入力要素の各々の値が、対応する総合最大可変範囲内のいずれかの位置にあり、各出力応答に対する所定の性能指標を満たすことができる。
【0011】
[0011] 他の実施形態では、算出入力値範囲を作成するステップが、第1性能指標が所定の性能指標よりも下である場合、第1入力値範囲を所定の割合だけ狭めることによって、第3入力値範囲を選択するステップを含む。本方法は、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、第3入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第3性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第3入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々について、算出入力値範囲を作成するステップとを含む。
【0012】
[0012] 他の実施形態では、算出入力値範囲を作成するステップが、第1性能指標が所定の性能指標よりも上である場合、刻み幅(step size)を、第2入力値範囲のサイズの所定の割合に設定するステップと、この刻み幅に基づいて、第1入力値範囲を広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、第3入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第3性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第3入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々について、算出入力値範囲を作成するステップとを含む。
【0013】
[0013] 他の実施形態では、算出入力値範囲を作成するステップは、第3性能指標が所定の性能指標よりも下にある場合、刻み幅に基づいて第3入力値範囲を広げることによって、第4入力値範囲を選択するステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第4性能指標を決定するために、第4入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第4性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第4入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して算出入力値範囲を作成するステップとを含む。算出入力値範囲を作成するステップは、第3性能指標が所定の性能指標よりも上にある場合、第1入力値範囲に等しい第3入力値範囲を設定するステップと、刻み幅を所定の割合だけ縮小するステップと、刻み幅に基づいて第3入力値範囲を広げることによって、第4入力値範囲を選択するステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第4性能指標を決定するために、第4入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第4性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第4入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々について、算出入力値範囲を作成するステップとを含むことができる。
【0014】
[0014] 他の実施形態では、修正入力値範囲を作成するステップは、第2性能指標が所定の性能指標よりも上にある場合、第2入力値範囲に等しい修正入力値範囲を設定するステップと、完了フラグを入力要素と関連付けるステップとを含む。修正入力値範囲を作成するステップは、第2性能指標が所定の性能指標よりも下にある場合、第2入力値範囲を刻み幅だけ広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップであって、刻み幅が、第2入力値範囲を選択するために用いられたものである、ステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、第3入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第3性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第3入力値範囲を調節することによって、入力要素に対して修正入力値範囲を作成するステップとを含むことができる。
【0015】
[0015] 他の実施形態では、1つ又は複数の入力要素の各々に対して前記修正入力値範囲を計算するステップは、更に、1つ又は複数の入力要素の各々が完了フラグと関連付けられていると判断するステップと、第2入力値範囲を選択するために用いられた刻み幅を、所定の割合だけ縮小するステップと、1つ又は複数の入力要素の内1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第2入力値範囲を刻み幅だけ広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップと、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、第3入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、第3性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第3入力値範囲を調節することによって、入力要素に対して修正入力値範囲を作成するステップとを含む。
【0016】
[0016] 他の実施形態では、1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップは、モンテ・カルロ・シミュレーションを実行するステップを含み、第1性能指標、第2性能指標、および所定の性能指標が、所定の制限値以内にある1つ又は複数の出力応答の値の数の尺度となる。1つ又は複数の入力要素の各々に対して第1入力値範囲を選択するステップは、第1入力値範囲を、対応する入力要素の下位外側境界値の所定の割合に設定するステップを含むことができる。
【0017】
[0017] 他の実施形態では、本方法は、1つ又は複数の入力要素に対する制約を受けるステップを含み、第1入力値範囲に基づいて1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップが、更に、制約を補償するように予測を調節するステップを含む。制約には、1つ又は複数の入力要素に対してユーザが定義した制限、要素の分布、およびそのあらゆる組み合わせを含むことができる。1つ又は複数の出力応答の各々に対する目標応答規準は、目標応答値、容認可能な目標応答値の範囲、または限界(critical)目標応答値を含むことができ、出力応答が、限界目標応答値よりも上または下のいずれかとなることができる。一実施形態では、物理的プロセスは、製造プロセス、工業プロセス、設計プロジェクト、半導体プロジェクト、またはこれらのあらゆる組み合わせを含む。
【0018】
[0018] 他の態様では、本発明は、物理的プロセスのために入力要素および出力応答の設計領域を推定するための装置を特徴とする。この装置は、物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータと、プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信するように構成されているプロセッサを含む。この規準が、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、目標応答規準を達成するための1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲とを含み、実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する。プロセッサは、更に、1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算するように構成されている。この計算は、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、第1入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、算出入力値範囲を作成することを含む。プロセッサは、更に、1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算するように構成されている。計算は、1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、第2入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、入力要素に対する修正入力値範囲を作成することを含む。プロセッサは、更に、少なくとも修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測するように構成されており、修正入力値範囲が、各々、入力要素の1つ又は複数に対して規準が満たされる最大可変領域を含む。
【0019】
[0019] 他の態様において、本発明は、情報担体に有形に具体化されているコンピュータ・プログラム・プロダクツを特徴とする。このコンピュータ・プログラム・プロダクツは、データ処理装置に、物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータ、プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信させるように動作可能な命令を含む。この規準は、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、目標応答規準を達成するための1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲とを含み、実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する。コンピュータ・プログラム・プロダクツは、更に、データ処理装置に、1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算させるように動作可能な命令を含む。この計算は、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、第1入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、算出入力値範囲を作成することを含む。コンピュータ・プログラム・プロダクツは、更に、データ処理装置に、1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算させるように動作可能な命令を含む。この計算は、1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、第2入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、入力要素に対する修正入力値範囲を作成することを含む。コンピュータ・プログラム・プロダクツは、更に、データ処理装置に、少なくとも修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測させるように動作可能な命令を含み、修正入力値範囲が、各々、入力要素の1つ又は複数に対して規準が満たされる最大可変領域を含む。
【0020】
[0020] 他の態様において、本発明は、物理的プロセスのために入力要素および出力応答の設計領域を推定するシステムを特徴とする。本システムは、物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータと、プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信する手段を含む。この規準は、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、目標応答規準を達成するための1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲とを含み、実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する。本システムは、更に、1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算する手段を含む。この計算が、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、第1入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、算出入力値範囲を作成することを含む。本システムは、更に、1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算する手段を含む。この計算は、1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、第2入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、入力要素に対する修正入力値範囲を作成することを含む。本システムは、更に、少なくとも修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測する手段を含み、修正入力値範囲が、各々、入力要素の1つ又は複数に対して規準が満たされる最大可変領域を含む。
【0021】
[0021] 本明細書において記載する技法は、方法および装置双方を含み、入力要素毎に最大可変領域を規定し、所与のレベルの確率で出力応答毎に出力応答値の分布を予測するプロセスを自動化するという利点を得ることができる。最大可変領域、および出力応答値の分布は、考慮の対象となる異なる規準全てを、効率的でしかも正確な方法で、組み込むように提示することができる。本明細書において記載する原理は、多くの出力応答を同時に、設計領域推定のための異なる予測モデルを用いて処理することができ、拡大規準と組み合わせ処理することができる。加えて、入力要素および/または出力応答に対する制約を予測モデルに組み込むことができる。
【0022】
[0022] 本発明のその他の態様および利点は、以下の詳細な説明を添付図面と関連付けて検討することによって明らかとなろう。図面は、本発明の原理を一例として示すに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
[0023] 本発明の以上のそしてその他の目的、特徴、および利点、更には本発明自体は、以下の種々の実施形態の説明を、添付図面と合わせて読むことによって、一層深く理解されよう。
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を予測するシステムの模式図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を予測する方法を示すフロー・チャートである。
【図3A】図3Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、入力値の計算範囲の計算方法を示すフロー・チャートである。
【図3B】図3Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、入力値の計算範囲を計算するための、段階的領域拡大方法を示すフロー・チャートである。
【図3C】図3Cは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、入力値の計算範囲を計算するための、段階的領域拡大方法を示すフロー・チャートである。
【図4A】図4Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、入力値の変更範囲を計算する方法を示すフロー・チャートである。
【図4B】図4Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、入力値の変更範囲を計算するための、段階的領域拡大方法を示すフロー・チャートである。
【図5A】図5Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示する図表表示を示す図である。
【図5B】図5Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を計算するために用いられるパラメータを設定する図表表示を示す図である。
【図5C】図5Cは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示を示す図である。
【図5D】図5Dは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示を示す図である。
【図5E】図5Eは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0036] 本発明の実施形態例の中には、入力要素、出力応答、ならびにこれら入力要素および/または出力応答と関連付けられた種々の規準(criteria)に基づいて、物理的プロセス(例えば、製造プロセス、工業プロセス、または設計プロジェクト)のために予測設計領域推定値(PDSE)を決定する場合がある。PDSEは、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答値の分布を含む。また、PDSEは、各入力要素に対して1つ又は複数の最大可変領域(region of variability)を含む。実施形態の中には、PDSEが、各入力要素に対して個別最大可変領域と総合(combined)最大可変領域とを含む場合もあり、これらは双方共、出力応答値の分布に基づいて、入力要素および/または出力応答と関連付けられた規準を満たすように計算される。
【0025】
[0037] 図1は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定を実行するためのシステム100の模式図である。このシステムは、データ入力ユニット102を含む。データ入力ユニット102は、データを設計領域推定モジュール104に送信する。設計領域推定モジュール104は、受信部106を含む。受信部106は、プロセッサ108と通信状態にある。受信機106およびプロセッサ108は、データベース110と通信状態にある。プロセッサ108は、制御ユニット112と通信状態にある。また、プロセッサ108はディスプレイ114とも通信状態にある。
【0026】
[0038] ユーザは、データ入力ユニット102(例えば、キーボードまたはコンピュータ)を通じて、プロセスについてのデータ(例えば、入力要素データおよび出力応答データ)を入力すると、設計領域推定モジュール104は、このデータを用いてPDSEを計算する。一例では、制御ユニット112によって開始規準が設定され、PDSEを計算する間設計領域推定モジュール104がこの開始規準を用いる。開始規準は、例えば、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準を含む。目標応答規準は、1つ又は複数の出力応答の各々について所望の成果を指定する。例えば、出力応答が燃料消費であり、目標応答規準が220mg/ストロークである場合、設計領域推定モジュール104は、入力要素の各々に対する最大可変領域がこの220mg/ストロークという目標応答規準を最も満たすように、PDSEを設計する。実施形態の中には、この目標応答規準が目標応答値(例えば、燃料消費が220mg/ストロークに等しい)であることや、容認可能な目標応答値の範囲(例えば、200mg/ストロークと240mg/ストロークとの間の燃料消費)であることや、限界応答値であることもあり、出力応答は、限界目標応答値よりも上であることも下であることも可能である(例えば、220よりも上または下)。実施形態の中には、設計領域推定モジュール104が、ユーザから直接受け取る代わりに、データベース110からデータを読み出す場合もある。一実施形態では、ユーザ入力から(例えば、データ入力ユニット102)またはコンピュータ・システムから得られたデータは、データベースに格納され、後に受信部に供給されて、設計領域推定モジュール104によって後に用いるために、ユーザがデータを格納することができる。
【0027】
[0039] 実施形態の中には、PDSEを発生する前に、物理的プロセス(例えば、工業プロセス、製造プロセス、または設計プロジェクト)のために多数の実験を行うこともある。これらの実験は、当該設計にはどんな入力要素および出力応答を含ませるべきか判断することができる、用途の専門家によって設計することができる。これらの実験は、システムについての入力要素と出力応答との間の関係を検査するために用いられる。例えば、実験では、入力要素値の種々の組み合わせについてプロセスまたは問題を実行し、これらの組み合わせによってどのような出力応答値が発生するか判定することができる。このデータは、入力要素の既知の組み合わせに基づいて、出力応答について既知の成果を与える。ユーザは、データ入力ユニットを通じて実験データを入力する。
【0028】
[0040] 設計領域推定モジュール104は、受信部106が受け取ったデータを前処理する。設計領域推定モジュール104は、目標応答規準を達成する1つ又は複数の入力要素の各々について、推定最適値を計算する。例えば、単純な検索によって、計算を実行することができる。または、設計領域推定モジュール104はペナルティ関数を用いることができる。設計領域推定モジュール104は、出力応答に対して制約を設定する(例えば、目標および上限/下限)。入力要素値の特定の組み合わせに対する結果の各集合について、制約を違反するとペナルティ項が増大し、制約を違反しない領域では、ペナルティ項は0に達する。
【0029】
[0041] 設計領域推定モジュール104は、多数の出力応答を有するPDSEを計算するように構成されている。更に、設計領域推定モジュール104は、複数の出力応答に跨がって1つのPDSEモデルを計算することができ、あるいは複数の出力応答に跨がって複数のPDSEモデルを計算することができる。前処理されたデータは、目標応答規準を達成する1つ又は複数の入力要素の各々について、1つの推定最適値を与えるに過ぎない。設計領域推定モジュール104は、この推定最適値をプロセスについての他のデータ(例えば、入力要素値、出力応答値、および制約)と組み合わせて用いて、規準が満たされる(PDSE)最大可変領域を1つ又は複数の入力要素について計算する。例えば、ユーザが既知の温度でプロセスを実行したい場合、PDSEに対する最大可変領域から、入力要素(例えば、圧力、気体流量)の許容範囲が得られる。
【0030】
[0042] データ入力ユニット102、設計領域推定モジュール104、および制御ユニット102は、ディジタル電子回路、コンピュータ・ハードウェア、ファームウェア、および/またはプロセッサと共に実装されるソフトウェアで実現することができる。この実施態様は、例えば、プログラマブル・プロセッサ、コンピュータ、および/または多数のコンピュータとすることができる。図1は、データ入力ユニット102、設計領域推定モジュール104、および制御ユニット102を別々のコンポーネントとして示すが、これらのコンポーネントの1つ又は複数の機能を組み合わせることができることは、当業者には認められよう。
【0031】
[0043] 図2は、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定を実行するためのコンピュータ化方法200を示すフロー・チャートである。ステップ202は、データを受け取る(例えば、プロセッサ108を通じて)ことを含む。このデータは、製造プロセスまたは工業プロセスについての1つ又は複数の入力要素についてのデータ、プロセスについての1つ又は複数の出力応答、および規準を含む。実施形態の中には、この規準が、1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準、1つ又は複数の入力要素の各々が目標応答規準を達成するための推定最適値、および1つ又は複数の入力要素の各々について実験で得られた入力値の範囲を含み、実験で得られた入力値の範囲における各入力値は、1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答値を決定する。
【0032】
[0044] ステップ204において、設計領域推定モジュール104は、1つ又は複数の入力要素の各々について最大可変範囲を計算する。ステップ206において、設計領域推定モジュール104は、1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する実験入力値範囲内における、計算入力値範囲を計算する(例えば、プロセッサ108を用いる)。ステップ208において、設計領域推定モジュール104は、1つ又は複数の入力要素の各々について、修正入力値範囲を計算する(例えば、プロセッサ108を用いる)。ステップ210において、設計領域推定モジュール104は、少なくとも修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測する。ここで、修正入力値範囲は、各々、入力要素の内1つ又は複数に対して、規準が満たされる最大可変領域を含む。
【0033】
[0045] ステップ202に関して、最大可変領域の計算は、入力要素範囲の割合(例えば、2.5%)を段階的に大きくしながら行う。入力要素範囲とは、前述のように実験が行われた各入力要素の値の範囲である。設計領域推定モジュール104は、ある割合だけ入力要素範囲を広げ、モンテ・カルロ・シミュレーションを実行して出力応答値を予測する。設計領域推定モジュール104は、予測出力応答値が出力応答の1つ又は複数と一致したときに、要素範囲の段階的拡大を停止する。この段階的拡大は、1つ又は複数の入力要素の各々について、1つずつ行われる。各入力要素について計算された最大可変領域は、入力要素の最大可変領域を組み合わせたものを検索する(ステップ206および208)ための開始規準として用いられ、この総合最大可変領域では、全ての入力要素が可変であり、しかも出力応答仕様を満たす。
【0034】
[0046] ステップ206および208では、全ての入力要素が可変であり、しかも出力応答仕様を満たす入力要素の総合最大可変領域を計算する。ステップ206に関して、設計領域推定モジュール104は、全ての入力要素について一緒に(同時に)計算入力値範囲を計算する。ステップ206については、図3Aを参照して更に詳しく説明する。ステップ208に関して、設計領域推定モジュール104は、入力要素毎に、1つずつ修正入力値範囲を計算する。ステップ208については、図3Bを参照して更に詳しく説明する。
【0035】
[0047] ステップ210に関して、設計領域推定モジュール104は、出力応答毎に異なる数学回帰モデルを用いて、最大可変範囲(例えば、全ての入力要素について個々に、または入力要素の全ての組み合わせについて)をモンテ・カルロ・シミュレーションによって推定することができる。設計領域推定モジュール104は、予め指定されている規準を用いてPDSEを自動的に計算する。この規準は、例えば、特定の分布(例えば、正規分布または三角分布)、入力要素および/または出力応答についてユーザが設定した規準(例えば、ユーザが定義した特定の入力要素に対する制限値、ユーザが定義した入力要素分布)、技術的制約(例えば、混合計画、全ての入力要素の合計は常に1に等しくなければならない)を含む。例の中には、定性的入力要素設定値(例えば、「正しい」および「間違い」)または離散入力要素設定値(例えば、「低」、「中間」、または「高」)というような制約を、連続入力要素と同じ方法では処理できない場合もある(例えば、定性的入力要素は、モンテ・カルロ・シミュレーションの繰り返し計算に要求されるような、ランダム化を行うことができない)。定性的入力要素のランダム設定値を用いて計算(例えば、モンテ・カルロ・シミュレーション)を実行する関数を含ませることができる。関数の一例には、定性的入力要素についてのランダム設定値であり、制約として、分布を特定の確率(例えば、Aの60%、Bの30%、およびCの10%)に設定することができる(例えば、入力要素についての離散設定値のランダムな母集団(population)が、その制約によって設定される最終的分布を有すると仮定することによって)。実施形態の中には、混合に対する技術的制約について、設計領域推定モジュール104は、ランダム変動(random variation)がモンテ・カルロ・シミュレーションのために追加された後に、その度に入力要素を正規化し、入力要素全ての和が一定値(例えば、1)に等しくなるようにする。
【0036】
[0048] 図3Aは、本発明の例示的実施形態にしたがって計算入力値範囲を計算する方法300を示すフロー・チャートである。ステップ302において、設計領域推定モジュール104は(例えば、プロセッサ108を用いて)、1つ又は複数の入力要素の各々に第1入力値範囲を選択する。ステップ304において、設計領域推定モジュール104は、第1入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定する。ステップ306において、設計領域推定モジュール104は、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、入力値の第1範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々について計算入力値範囲を作成する。
【0037】
[0049] ステップ302に関して、設計領域推定モジュール104は、第1範囲を、各入力要素の最大可変領域のある割合(例えば、75%)に設定する。ステップ304に関して、設計領域推定モジュール104は、ユーザによって指定される多数のサンプル(例えば、データベース110に格納されている設定値)を用いて、モンテ・カルロ・シミュレーションを実行する。モンテ・カルロ・シミュレーション、またはモンテ・カルロ法は、繰り返しランダム・サンプリングを拠り所としてそれらの結果を計算して物理的(および数学的)システムをシミュレートする計算方法である。モンテ・カルロ・シミュレーションは、決定論的アルゴリズムでは正確な結果を計算することが現実的でない場合または不可能な場合に用いられることが多い。一般に、モンテ・カルロ・シミュレーションは、最初に可能な入力(例えば、物理的プロセスについての入力要素)のドメインを定義する必要がある。入力(または入力要素値)は、そのドメイン(物理的プロセス)からランダムに発生される。これらの入力を用いて(例えば、出力応答値を、その出力応答値についての所望の規準と比較する)決定論的計算が行われる。最後に、個々の決定論的計算の結果を集計し、最終的な結果が得られる(例えば、PDSE)。
【0038】
[0050] 実施形態の中には、第1性能指標が、ドット・パー・ミリオン演算(DPMO:dot per million operation)と呼ばれる規準であることがある。DPMOは、計算して特定の出力応答についての仕様限度範囲よりも外側となった出力応答値の数である。仕様限度範囲(ユーザによって定義することができる)は、下位出力応答値において開始し、上位出力応答値において終了し、出力応答に対する容認可能な出力応答値の範囲を定義する。モンテ・カルロ・シミュレーションを実行し、予測された出力応答値をDPMOと比較して、選択された第1の値の範囲が容認可能か否か判断する。例えば、50,000ヒットが特定の出力応答に対する限度の外側にある場合のDPMOは、50,000/1,000,000=0.05、即ち、5%となり、予測された出力応答値の内5%が仕様限度範囲の外側となっても、未だ容認可能な性能と見なすことができる。
【0039】
[0051] 更にステップ304に関して、実施形態の中には、モンテ・カルロ・シミュレーションに選択された分布(例えば、正規分布、均一分布、または三角分布)および範囲(例えば、第1範囲)に基づいて、各入力要素にランダム誤差を加算して、モンテ・カルロ・シミュレーションのロバスト性を高める場合もある。実施形態の中には、モンテ・カルロ・モデル誤差に基づくランダム誤差を、各予測出力応答値(例えば、学生のt−分布ランダム誤差)を加算することもある。
【0040】
[0052] ステップ306に関して、設計領域推定モジュール104は、第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、計算範囲を作成する。例えば、設計領域推定モジュール104は、モンテ・カルロ・シミュレーション(ステップ304から)について計算されたDPMOを予め指定されているDPMO(例えば、DPMO=50,000)と比較する。この第1性能指標と所定の性能指標との比較について、図3Bにおいて説明する。図3Bは、本発明の例示的実施形態にしたがって計算入力範囲値を計算するための、段階毎領域拡大方法300の一部を示すフロー・チャートである。ステップ322において、第1性能指標を所定の性能指標と比較する。第1性能指標が所定のメトリックよりも上である場合、方法300はステップ324に進む。ステップ324において、設計領域推定モジュール104は、所定の割合だけ第1入力値範囲を狭めることによって、第2入力値範囲を選択する。例えば、DPMOが指定DMPO限度よりも大きい場合、第1範囲を2で割る。第2入力値範囲を選択した後、方法300はステップ3Aのステップ304に進む。
【0041】
[0053] 第1性能指標が所定のメトリックよりも下である場合、方法300はステップ326に進む。ステップ326において、設計領域推定モジュール104は、刻み幅を、第1入力値範囲のサイズの所定の割合に設定する。ステップ328において、この刻み幅に基づいて第1入力値範囲を広げることによって、第2入力値範囲を選択する。ステップ330において、設計領域推定モジュール104は、1つ又は複数の出力応答の各々について第2性能指標を決定するために、第2入力値範囲に基づいて、1つ又は複数の出力応答の値を予測する。ステップ330において、設計領域推定モジュール104は、第3性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第3入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々について計算した入力値範囲を作成する。
【0042】
[0054] ステップ326および328に関して、設計領域推定モジュール104は、第1入力値範囲の20%の刻み幅を設定し、第1範囲をこの刻み幅だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択する。ステップ330に関して、設計領域推定モジュール104は、図3Aのステップ304を参照して先に説明したようにモンテ・カルロ・シミュレーションを実行し、1つ又は複数の出力応答の各々についてDPMOを決定することができる。
【0043】
[0055] ステップ332に関して、図3Cにおいて説明するように、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、計算範囲を作成する。図3Cは、本発明の例示的実施形態にしたがって計算入力値範囲を計算するための、段階毎領域拡大のための図3Aの方法300の一部を示すフロー・チャートである。ステップ352において、設計領域推定モジュール104は、第2性能指標が所定のメトリックに等しいか否か判定を行う。第2性能指標が所定のメトリックに等しい場合、方法300はステップ354に進む。ステップ354において、設計領域推定モジュール104は、計算した入力値範囲を第2入力値範囲に設定する。
【0044】
[0056] 第2性能指標が所定のメトリックに等しくない場合、方法300はステップ356に進む。ステップ356において、設計領域推定モジュール104は、本方法が最大の繰り返し回数に達したか否か判定を行う。最大繰り返し回数に達している場合、本方法はステップ354に進み、計算した入力値範囲を第2入力値範囲に設定する。最大繰り返し回数に達していない場合、本方法はステップ358に進む。ステップ352および356は、図3A〜3Cの方法300が無限にループすることを防ぐための終了規準である。ステップ358において、設計領域推定モジュール104は、第2性能指標が所定の性能指標よりも下にあるか否か判定を行う。第2性能指標が所定の性能指標よりも下にある場合、方法300は図3Bのステップ328に進む。第2性能指標が所定の性能指標よりも下にない場合、本方法はステップ360に進む。ステップ360において、設計領域推定モジュール104は第3入力値範囲を最終入力値有効範囲(所定の性能指標よりも下にある性能指標と関連付けられた最後の入力値範囲)に設定する。ステップ362において、設計領域推定モジュール104は、所定の割合だけ刻み値を減らす。方法300は、図3Bのボックス328に進み、刻み幅に基づいて第3入力値範囲を広げることによって、第4入力値範囲を選択する等のステップを実行する。
【0045】
[0057] 例えば、図3Cに示した方法300の部分を参照して、DPMOがDPMO限度未満である場合、設計領域推定モジュール104は、終了規準の1つ又は複数が満たされるまで(ステップ352および356)範囲を拡大し検査し続ける。DPMOがDPMO限度よりも高い場合、設計領域推定モジュール104は、要素範囲を縮めて最後の有効設定値に戻し(ステップ360)(例えば、第1範囲)、刻み幅を2で割り(ステップ362)、1つ又は複数の終了規準が満たされるまで、範囲を拡大し検査し続ける(図3Bを参照して説明したように、図3Bのステップ328以降)。方法300は、計算した範囲が、その計算した範囲のモンテ・カルロ・シミュレーションに対して所望のDPMOに達したとき、または最大の繰り返し回数になったときに終了し、1つ又は複数の入力要素の全てを同時に広げるために得られる最良の計算範囲が求められる。
【0046】
[0058] 図4Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、修正入力値範囲を計算する方法400を示すフロー・チャートである。ステップ402において、設計領域推定モジュール104は、1つ又は複数の入力要素から1つの入力要素を選択する。ステップ404において、設計領域推定モジュール104は、刻み幅を、算出入力値範囲のサイズの所定の割合に設定する。ステップ406において、設計領域推定モジュール104は、刻み幅に基づいて、計算された範囲を広げることによって、第2入力値範囲を選択する。ステップ408において、設計領域推定モジュール104は、第2入力値範囲に基づいて1つ又は複数の出力応答の値を予測し、1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定する。ステップ410において、設計領域推定モジュール104は、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、第2入力値範囲を調節することによって、入力要素に対して修正入力値範囲を作成する。
【0047】
[0059] ステップ410に関して、図4Bに示すように、第2性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、修正範囲を作成する。図4Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、方法400の一部における、修正入力値範囲を計算するための段階毎領域拡大を示すフロー・チャートである。ステップ450において、設計領域推定モジュール104は、第2性能指標が所定のメトリックに等しいか否か判定を行う。第2性能指標が所定のメトリックに等しい場合、本方法はステップ452に進む。ステップ452において、設計領域推定モジュール104は第2入力値範囲に等しい修正範囲を設定する。第2性能指標が所定のメトリックに等しくない場合、本方法はステップ454に進む。
【0048】
[0060] ステップ454において、設計領域推定モジュール104は、方法400が最大の繰り返し回数に達したか否か判定を行う。最大繰り返し回数に達している場合、方法400はステップ452に進み、修正範囲を第2入力値範囲に設定する。最大繰り返し回数に達していない場合、本方法はステップ456に進む。ステップ450および454は、図4A〜図4Bの方法400が無限にループすることを防止する終了規準である。ステップ456において、設計領域推定モジュール104は、第2性能指標が所定の性能指標よりも下にあるか否か判定を行う。第2性能指標が所定のメトリックよりも下にある場合、方法400は図4Aのボックス406に進む。第2性能指標が所定のメトリックよりも下にはない場合、方法400はステップ458に進む。ステップ458において、設計領域推定モジュール104は、最終入力値有効範囲(所定の性能指標よりも下にある性能指標と関連付けられた最後の入力値範囲)に等しい修正入力値範囲を設定する。ステップ460において、設計領域推定モジュール104は完了フラグを入力要素と関連付ける。
【0049】
[0061] ステップ462において、設計領域推定モジュール104は、入力要素と関連付けられた完了フラグを有していない入力要素が、1つ又は複数の入力要素に残っているか否か判定を行う。入力要素が残っている場合、本方法は図4Aのボックス402に進む。入力要素が全く残っていない場合、方法400はステップ464に進む。ステップ464において、設計領域推定モジュール104は、刻み分(step percentage)を所定の割合だけ減らし、ボックス406に進んで、修正した刻みのサイズ等に基づいて、第2入力値範囲を広げることによって、新たな入力値範囲を選択する。
【0050】
[0062] 例えば、方法400は、1つ又は複数の入力要素の各々について個々に実行される(ステップ402)。設計領域推定モジュール104は、刻み幅を入力要素の要素範囲(計算した入力値範囲の20%)の20%に設定する(ステップ404)。設計領域推定モジュール104は、入力要素の要素範囲を、刻み幅を用いて広げる(例えば、現在の入力要素の要素範囲に刻み幅を加算する)(ステップ406)。設計領域推定モジュール104は、前述のようなモンテ・カルロ・シミュレーションを実行し、しかるべき場合には、ランダム誤差を加入する(ステップ408)。DPMOがDPMO限度よりも高い場合、設計領域推定モジュール104は、入力要素の要素範囲を狭めて、DPMO限度よりも下のDPMOを有する要素範囲の最後の設定値に戻し(456)、入力要素を完了フラグと関連付ける。DPMOがDPMO限度よりも低い場合、要素範囲を広げ、モンテ・カルロ・シミュレーションに対する結果的に得られたDPMOを比較することによって(ステップ406から410までを繰り返し、ステップ410はステップ450から464までを含む)、本方法(方法400)を繰り返す。このプロセスは、残りの入力要素の全てが完了フラグと関連付けられるまで、これらの全てについて繰り返される。次いで、設計領域推定モジュール104は、入力要素から完了フラグを削除し、刻み幅を所定量で割り(例えば、刻み幅を2で割る)、本方法を繰り返す(例えば、ステップ406から410までを繰り返す。
【0051】
[0063] 再度図2を参照すると、実施形態の中には、1つ又は複数の入力要素について同時に計算範囲を計算した後(例えば、図3A〜図3Cの方法300によって)、入力要素の各々に対して個々に修正範囲を計算し(例えば、図4A〜図4Bの方法400によって)、PDSEの精度を高めるために、多数回のモンテ・カルロ・シミュレーションによってPDSEを計算する。モンテ・カルロ・シミュレーションに対する所定の性能指標(例えば、限度値)は、DPMOである。このDPMOは、例えば、個々の出力応答に対して許容される最大のDPMO値、または出力応答の全てに対する最大のDPMO値である。例の中には、DPMOの代わりに、出力応答についての指定制限範囲より外側の割合、プロセス較正インデックス(Cpk)、または出力応答の中央値および四分位数というような、他の制限規準を用いる場合もある。
【0052】
[0064] 限定を意図しない例示的な一例として、本発明の一実施態様では、ユーザがmg/ストローク単位で測定された燃料消費(燃料)、mg/秒単位で測定された窒素酸化物の放出量(NOx)、およびmg/秒単位で測定された煤煙放出量(煤煙)の出力応答に対する車のエンジン動作を最適化することを望む。この例では、制御することができる3つの入力要素は、kg/h単位で測定された吸気量(空気)、排気ガス再循環割合(EGR%、エンジンの排気の一部をエンジン・シリンダに環流させることによって動作するNOx低減技法である)、および上死点前に度単位で測定されたニードルリフト(needlelift)(NL)となる。設計領域推定モジュール104は、これら3つの入力要素および3つの出力応答に基づいて、エンジンについてのPDSEを予測し、3つの出力応答に対する規準を満たしつつも、3つの入力要素をどの位変化させることができるか(例えば、個々にまたは同時に)についての尺度を与える。このモデルが有効であることを確保するために、ユーザは、計算を行う具体的な領域、入力値の実験範囲(例えば、図2のステップ204、206、および208)を設定することができる。この例では、計算は、240kg/hおよび284kg/hの間の空気、6%および12%の間のEGR%、ならびに−5.78°BTDCおよび0°BTDCの間のNLで行われる。出力応答に対する規準がある。燃料に対する指定限度範囲は、200mg/ストロークの最小出力応答値と、240mg/ストロークの最大出力応答値との間である。NOxに対する指定限度範囲は、25mg/秒までである(例えば、この指定限度には最小値がなく、この例では0である)。煤煙に対する指定限度は、0.5mg/秒までである。燃料の目標応答値は220mg/ストロークであり、NOxの目標応答値は10mg/秒であり、煤煙の目標応答値は0.2mg/秒である。
【0053】
[0065] 設計領域推定モジュール104(またはユーザ)は、これらの入力要素が出力応答にどの位影響を及ぼすか、入力要素設定値(X)と出力応答(Y)との間の関係の数学的関数y=f(x)を求めることによって推定する。各数学的関数は、異なる入力要素の関数としての期待出力応答である。これは、例えば、実験規範の設計によって行う。この例では、17回の実験による古典的な一連の実験(中央複合設計(CCD)を用いる)を行った。これらの実験から、応答Y毎に1つずつ、3つの異なるモデルを計算した(例えば、多重線形回帰(MLR))。以下の表1から表3は、応答毎に3つの線形回帰モデルの例を示す。
【0054】
【表1】
【0055】
[0066] 表1は、燃料についての回帰モデル例を示す。「燃料」と名付けられた列1は、モデルの異なる成分を含み、定数、空気、EGR、ニードルリフト(NL)、および空気×空気を含む。「係数SC」(倍率を調整し(scaled)中央に合わせた(centered)係数)と名付けられた列2は、燃料成分毎の係数を含む。「標準誤差」(標準誤差)と名付けられた列3は、燃料成分毎の標準誤差を含む。「P」(P検査の確率)と名付けられた列4は、燃料成分毎のP値を含む。「信頼間隔(+/−)」と名付けられた列5は、燃料成分毎の信頼間隔を含む。信頼間隔とは、推定値の信頼性を示すために用いられる統計学の用語である。信頼間隔は、例えば、95%の信頼間隔を得るために用いられる(例えば、空気は、8.78614+/−1.46984となる)。
【0056】
[0067] また、燃料についての回帰モデルは、以下のパラメータも含む。CCF実験の回数(N)は、17である。自由度(DF)は12(17回の実験から表における5つの欄を差し引く)である。性能測定値は、Q2=0.958、R2=0.979、R2Adj.=0.972、およびcond.no.(用いた実験設計の品質の尺度)=2.978を含む。性能測定値が1(1.0)に近い程、入力要素と出力応答との相関が強くなる。他の性能測定値には、Y−miss=0が含まれる。これは、得られなかった値即ち測定値の数である。残余標準偏差(RSD)は、2.0249となり、これはR2に連接(connect)される。R2が1に近い程、RSDは0に近くなる。このモデルの信頼度は、0.95となる。
【0057】
【表2】
【0058】
[0068] 表2は、NOxについての回帰モデル例を示す。「NOx」と名付けられた列1は、モデルの異なる成分を含み、定数、空気、EGR、ニードルリフト(NL)、空気×空気、 EGR×EGR、NL×NL、EGR×NLを含む。表2は、残りの4つの列は、表1と同じもの、即ち、「係数SC」、「標準誤差」、「P」、「信頼間隔(±)」を含む。NOx回帰モデルのパラメータは、N=17、DF=12、Q2=0,987、R2=0.997、R2Adj.=0.995、cond.no.=4.498、Y−miss=0、RSD=0.4624、およびモデルの信頼度は0,95である。
【0059】
【表3】
【0060】
[0069] 表3は、煤煙についての回帰モデル例を示す。「煤煙」と名付けられた列1は、モデルの異なる成分を含み、定数、空気、EGR、およびNLである。表3は、残りの4つの列は、表1と同じもの、即ち、「係数SC」、「標準誤差」、「P」、「信頼間隔(±)」を含む。煤煙回帰モデルのパラメータは、N=17、DF=12、Q2=0,987、R2=0.997、R2Adj.=0.995、cond.no.=4.498、Y−miss=0、RSD=0.4624、およびモデルの信頼度は0,95である。
【0061】
[0070] 出力応答の各々に対する目標応答規準までの距離が最小となる予測出力応答値を与える推定最適値を、入力要素毎に計算する。これらの推定最適値は、PDSE計算の開始点となる。最大可変領域を、空気、EGR、およびニードルリフトについて計算する(例えば、図2のステップ204)。例の中には、各入力要素が、その具体的な推定最適値を中心とした正規分布で変化することを仮定して、この計算を組み立てる場合もある。
【0062】
[0071] 図5Aは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示する図表表示500を示す図である。図5Aから図5Cおよび図5Eでは、数値欄の一部にはカンマが表示されているが、他の数値記述規則を用いることもできる。例えば、小数点を用いる米国の慣例を、カンマの代わりに用いることができる(例えば、250,88は250.88と同等であり、数値を本システムの図表表示において表示するときには、いずれの規則を用いることもできる)。表示500は、入力要素表502および出力応答表504を含む。入力要素表502は、8つの列、即ち、入力要素列502A、低値列502B、最適値列502C、高値列502D、標準偏差列502E、役割(role)列502F、分布列502G、および推定許容範囲列502Hを含む。入力要素列502Aは、PDSEについての入力要素を表示する。低値列502Bは、総合最大可変領域の最低入力要素値である値を、入力要素毎に表示する。最適値列502Cは、各入力要素に対して推定した最適値である値を、入力要素毎に表示する。高値欄502Dは、総合最大可変領域の最高入力要素値である値を、入力要素毎に表示する。標準偏差列502Eは、PDSEにおける入力要素について標準偏差を列記する。役割列502Fは、入力要素の役割(ロックまたは自由)を表示する。分布列502Gは、モデルの分布を表示する。入力要素表502は、入力毎に、空気506A、EGR%506B、およびニードルリフト506Cの行を含む。これらを纏めて、入力要素行506と呼び、入力要素列502Aの中に列記する。推定許容範囲列502Hは、グラフ508A、508B、および508Cを、それぞれ、入力要素行506A、506B、および506C毎に含む(纏めて、グラフ508)。
【0063】
[0072] 推定許容範囲列502Hにおける各グラフ508は、実験に基づく入力値領域を含み、低値510Aおよび高値510Bが概略的に、この実験に基づく入力値領域の範囲510となる。各グラフ508は、推定最適値512を含み、これは各入力要素行506(例えば、空気入力要素行506Aの推定最適値512は、261kg/hである)の最適値列502Cにおいて示される。推定最適値512は、各出力要素に対する目標応答規準を最良に推定する、入力要素毎の入力要素値である。各グラフ508は、入力要素行506A毎に、個々の最大可変領域514を含む。これは、残りのあらゆる入力要素をそれらに関連付けられた推定最適値に設定しつつPDSEを満足する、関連のある入力要素値の範囲である。各グラフ508は、入力要素行506A毎に、総合最大可変領域516を含む。この領域は、各入力要素行506の低値列502Bおよび高値列502Dに表示されている値の間となる(例えば、空気入力要素行506Aの総合最大可変領域516は、低値510Aである250.88kg/hと高値510Bである271.12kg/hとの間となる)。1つ又は複数の入力要素の各々の値は、対応する入力要素の総合最大可変領域516の範囲内であればどこでも可能であり、各出力応答についての所定の性能指標を満たす。
【0064】
[0073] 出力応答表504は、7つの列、即ち、出力応答列504A、最小値列504B、目標列504C、最大値列504D、規準列504E、DPMO列504F、および予測応答プロファイル列504Gを含む。出力応答表504は、出力応答毎に、燃料520A、NOx520B、および煤煙520Cの行を含む。これらを纏めて出力応答行520と呼び、出力応答列504A内に列記される。予測応答プロファイル列504Gは、出力応答行520A、520B、および520C毎に、それぞれ、グラフ522A、522B、および522Cを含む(纏めて、グラフ522)。各グラフは、最小値列504Bに表示される最小出力応答値524Aと、最大値列504Dに表示される最大出力応答値524Bとを含む指定限度範囲を含む。最小出力応答値524Aおよび最大出力応答値524Bを纏めて、指定限度範囲524とする(例えば、燃料出力応答行520Aは、最小出力応答値524Aである230mg/ストロークと最大出力応答値524Bである260mg/ストロークとの間に、指定限度範囲524を有する。各グラフ522は、目標応答規準526を含む。これは、目標列504Cにおける各出力応答列520の対応する欄によって示されている(例えば、燃料出力応答行520Aの目標値は、240mg/ストロークである)。各グラフは、1つ又は複数の出力応答行520の各々について、出力応答値528の分布を含み、総合最大可変領域(例えば、修正入力値領域)が、出力応答値の分布を決定する(例えば、各入力要素行506Aについて、低値列502Bおよび高値列502Dによって示されるように)。1つ又は複数の出力応答の各々について、出力応答値528の分布内において予め指定された数の出力応答値が、出力応答の指定限度範囲524の中にある(例えば、所定の性能指標、DPMOが出力応答に対して満たされる)。
【0065】
[0074] 規準(例えば、入力応答毎の実験に基づく入力値範囲510、出力応答毎の指定限度領域524、および出力応答毎の目標応答規準526)は、PDSEの予測を抑制する。設計領域推定モジュール104は、目標応答規準512への距離が最小の出力応答値が得られる、最良の入力要素を検索する。これらのお出力応答値は、入力要素毎の推定最適値512である。ユーザは、図5Bに示すように、推定最適値510の計算のために異なる設定値を設定する(configure)ことができる。
【0066】
[0075] 図5Bは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を計算するために用いられるパラメータを設定する図表表示550を示す図である。図表表示550は、入力要素表552、出力応答表554、および結果表556を含む。入力要素表552は、ユーザが入力要素について設定することができる選択肢を表示し、下限列、上限列、および感度範囲列を含む。出力応答表554は、ユーザが出力応答について設定することができる選択肢を表示し、規準列、重み列、最小値列、目標値列、および最大値列を含む。入力要素表552および出力応答表554に対する数値を、これらの列に入力することができる。ユーザは、出力応答表554の規準列におけるドロップ・ダウン・メニューからエントリを選択することができ、「目標」、「最小」、「最大」、「予測」、「除外」を含む。「目標」は、出力応答が所望の応答であることを示す。「最小」は、設計領域推定モジュール104が出力応答を最小化することを示す(例えば、出力応答について指定されている最大容認値基準に基づいて最小化する)。「最大」は、設計領域推定モジュール104が出力応答を最大化することを示す(例えば、出力応答について指定されている最大容認値基準に基づいて最大化する)。「予測」は、設計領域推定モジュール104が出力応答をPDSEにおいてアクティブと見なさないことを示す(例えば、設計領域推定モジュール104は、未だ出力応答を予測することができる)。「除外」は、設計領域推定モジュール104が出力応答をPDSEから除外することを示す(例えば、設計領域推定モジュール104は出力応答を予測しない)。
【0067】
[0076] 結果表556は、9つの列を含み、1から9までの番号が付けられている。最初の3つの列は、入力要素の各々について計算された入力要素値を表示する。2番目の3つの列は、出力応答の各々について計算された出力応答値を表示する。7番目の列は、計算のために実行された繰り返しの回数を表示し、ユーザはこの回数を繰り返しボックス558および繰り返しスライダ560を用いて設定することができる。8番目の列は、計算に対するlog(D)値を表示する。9番目の列は、計算に対するDPMOを表示する。ユーザは、絶対限度チェックボックス562を選択することができ、そうすると、設計領域推定モジュール104に、規準を外れた予測を受け入れさせなくすることができる。ユーザは、分析感度チェックボックス564を選択することができ、そうすると、設計領域推定モジュール104に、特定の解に対する入力設定値に、外乱が小さなモンテ・カルロ・シミュレーションを追加させることができる。例えば、外乱が小さいモンテ・カルロ・シミュレーションを用いて、DPMOを計算する。DPMOは、入力要素の選択した推定最適値(1つまたは複数)に、解がどの位外乱を受けることができるかを反映する。ここで、DPMOが小さい程良く、DPMO=0が最も良い。結果表556におけるエントリは、同様とすることができる。実施形態の中には、9番目の列が、提案された推定最適値を中心とした入力値510の実験に基づく領域の±10%のばらつきで、モンテ・カルロ・シミュレーションに対するDPMO値を表示する。DPMO値が低い程、入力要素値の選択によって、モンテ・カルロ・シミュレーション誤差に対する感度が低い出力応答が得られる。
【0068】
[0077] 設計領域推定モジュール104は、入力要素毎の推定最適値512からPDSEを検索する(例えば、図2のステップ204から210までによって)。出力応答プロファイルに対する各入力要素の感度に基づいて、段階的に最大可変領域の検索を行う。これは、入力要素毎に個々の最大可変領域514として表示される。入力要素毎にPDSEの総合最大可変領域516を計算し、ディスプレイ500に表示する。実施形態の中には、表示される総合最大可変領域516が、各入力要素の正規分布の95%の領域となることもある。ユーザは、総合最大可変領域516が表示される態様を調節することができる(例えば、領域の割合および/または分布の種類を変更する)。これらの計算(例えば、モンテ・カルロ・シミュレーション)により、予測応答プロファイル504Gが求められ、出力応答毎に表示される。
【0069】
[0078] ユーザは、PDSEを計算するための設定値を調節することができる。実施形態の中には、設計領域推定モジュール104が、1つ又は複数の入力要素についての総合最大可変領域516の外側の境界(outer bounds)を、ユーザに調節させるものもある。ユーザが1つ又は複数の総合最大可変領域516の外側の境界を調節した後、設計領域推定モジュール104は、残りの入力要素について、総合最大可変領域516を計算し直す。例えば、ユーザが総合最大可変領域516を、計算された総合最大可変領域の低値および高値以内の値に制限する場合(例えば、表示されている総合最大可変領域516の終端上でクリックし、マウスを左または右にスライドさせることによって)、修正入力要素に加えられた制約のために、残りの総合最大可変領域516が広げられる。例えば、役割列502Fに表示されている役割が「自由」に設定されている場合、ユーザは入力要素を調節する。例えば、ユーザは、空気入力要素についての総合最大可変領域516の可変可能範囲を±10kg/hに(251kg/hから271kg/h)に制限する。これは、空気入力要素行506Aに対する総合最大可変領域516の低値である250.88kg/hおよび高値である271.12kg/hの範囲内となる。設計領域推定モジュール104は、空気入力要素に加えられた制限により、NOxおよび煤煙入力要素に対する総合最大可変領域516を広げることができる。ユーザは、個々の応答に対してまたは全ての応答に対して同時に、所定の性能指標(例えば、DPMO)を設定することができる。
【0070】
[0079] 利点を挙げると、ある種の入力要素をある値(例えば、温度、圧力)について抑制できることをユーザが知っていれば、ユーザは、残りの入力要素についての総合最大可変領域516が広がるように、入力要素に対する制約を考慮に入れたDPMOを設定できる。このような計算によって、抑制された入力要素を被制御値に維持するとき、残りの入力要素がどの位変動するか、ユーザが知ることが可能になる。例えば、ユーザが製造プロセスの温度を知っている場合、ユーザは、温度入力要素に対する制約を設定し、この製造プロセスの他の要素(例えば、圧力)に対する許容度を発見する。温度の制御が容易である場合、それよりも制御するのが厳しい要素が変動し得る最大量をユーザに示すように、PDSEを調節する。実施形態の中には、PDSE出力を用いて、各入力要素設定値を解釈する場合もある(例えば、ユーザは、どの要素がPDSEにとって最も肝要であるか判断することができる)。例えば、ユーザがPDSEに対する制約を満たすことができない場合、ユーザは、出力応答の制約を変化させること、または出力応答の内1つ又は複数をPDSEモデルから除外することができる。
【0071】
[0080] 図5Cは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示600を示す図である。図表表示600は、各入力要素と出力応答との間における感度分析を示す。図表表示600は、5つの列、即ち、名称列602A、最適値列602B、ならびに出力応答値の各々に1つずつの列、即ち、燃料列602C、NOx列602D、および煤煙列602Eを含む。図表表示600は、入力要素毎、即ち、空気604A、EGR%604B、およびニードルリフト604C毎にエントリを含み、名称列602Aに表示される。燃料列602C、NOx列602D、および煤煙列602Eにおける各表のエントリは、入力要素毎に、それぞれ、グラフ606A、606B、および606Cを含む(纏めて、グラフ606)。各グラフ606は、実験に基づく入力値領域を含み、低値608Aおよび高値608Bが概略的に、経験に基づく入力値領域608の範囲となる。各グラフ606は、推定最適値610を含む。推定最適値610は、各入力要素行604の最適値列602Bに示される(例えば、空気入力要素行506Aの推定最適値610は、261kg/hである)。各グラフ606は、入力要素行604毎に、個々の最大可変領域612、および総合最大可変領域614を含む。
【0072】
[0081] 各グラフ606は、各入力要素および出力応答について個々に結果を表示する。利点を挙げると、ユーザはグラフ606を用いてPDSEを分析することができる。例えば、ユーザは、グラフ606を分析することによって、PDSEの問題点を識別する。グラフ606では、PDSEにとって遵守するのが最も難しい出力応答(例えば、燃料列602C、NOx列602D、および煤煙列602E)は煤煙である。煤煙のグラフ606(入力応答604毎)は、最も小さい総合最大可変領域614を表示する。煤煙についての3つのグラフ606の内、最も小さい総合最大可変領域614は、EGR%のそれである。利点を挙げると、このようにグラフ606を分析することによって、ユーザは、煤煙にとって制御するのに最も肝要な要素がEGR%であることを識別する。何故なら、これは最も小さい総合最大可変領域614を有するからである。
【0073】
[0082] 図5Dは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示650を示す図である。図表表示650は、出力要素毎に、PDSEに基づく3つのグラフ(例えば、これら3つのグラフは、図5Aの予測応答プロファイル504Gにおいて出力要素毎に表示される情報を表示する代替実施形態である)、即ち、燃料予測応答プロファイル652A、NOx予測応答プロファイル652B、および煤煙予測応答プロファイル652Cを含み、これらを纏めてグラフ652と呼ぶ。各グラフ652の縦軸654は、出力応答値の個数を示す。各グラフ652の横軸656は、入力要素毎のビン数(例えば、各入力要素に可能な値)を示す。各グラフは、最小値バー658を含む(適している場合)。例えば、燃料グラフ652Aは、230ビン(例えば、mg/ストローク)に最小値バー658を含み、図5Aの出力応答表504内の最小値列504Bにおける燃料行520Aのエントリに表示されている値に対応する。各グラフは、最大値バー660を含む(適している場合)。例えば、燃料グラフ652Aは、260ビンに最大値バー660を含み、出力応答表504内の最大値列504Dにおける燃料行520Aのエントリに表示されている値に対応する。各グラフは、目標バー662を含む(適している場合)。例えば、燃料グラフ652Aは、240ビンに目標バー662を含み、出力応答表504内の目標値列504Cにおける燃料行520Aのエントリに表示されている値に対応する。各グラフは、更に、対応する出力応答について計算した出力応答値670の第1四分位数664、中央値666、第3四分位数668を示すバーも含む。
【0074】
[0083] PDSEを計算する他の例として、混合計画のために錠剤製造PDSEを行う(例えば、製薬業界において)。この例では、3つの要素(例えば、成分)は、セルロース、乳糖、およびリン酸塩である。この例に限って言えば、これら3つの入力要素は、錠剤を生産するための修正シンプレックス法セントロイド混合計画(modified simplex centroid mixture design)(製薬混合計画の一種)にしたがって変化させられる。出力応答は、反応性物質の放出である。放出出力応答に対して決められる規準は、300の最小出力応答値、および350の目標出力応答値である。PDSEは、これら3つの要素が、反応性物質の放出にどのように影響を及ぼすかについて、ユーザに知らせる。
【0075】
「0084」 図5Eは、本発明の例示的な実施形態にしたがって、自動予測設計領域推定値を表示するための図表表示700を示す図である。図表表示700は、錠剤製造の例に対するPDSEを表示する。図表表示700は、入力要素表702および出力応答表704を含む。入力要素表702は、8つの列、即ち、入力要素列702A、低値列702B、最適値列702C、高値列702D、標準偏差列702E、役割(role)列702F、分布列702G、および推定許容範囲列702Hを含む。入力要素列702Aは、PDSEについての入力要素を表示する。低値列702Bは、総合最大可変領域の最低入力要素値である値を、入力要素毎に表示する。最適値列702Cは、各入力要素に対して推定した最適値である値を、入力要素毎に表示する。高値欄702Dは、総合最大可変領域の最高入力要素値である値を、入力要素毎に表示する。標準偏差列702Eは、PDSEにおける入力要素について標準偏差を列記する。役割列702Fは、入力要素の役割(ロックまたは自由)を表示する。分布列702Gは、モデルの分布を表示する。入力要素表702は、入力要素毎に、セルロース706A、乳糖706B、およびリン酸塩706Cの行を含む。これらを纏めて、入力要素行706と呼び、入力要素列702Aの中に列記する。推定許容範囲列502Hは、グラフ708A、708B、および708Cを、それぞれ、入力要素行706A、706B、および706C毎に含む(纏めて、グラフ708)。
【0076】
[0085] 推定許容範囲列702Hにおける各グラフ708は、実験に基づく入力値領域を含み、低値710Aおよび高値710Bが概略的に、この実験に基づく入力値領域710の範囲となる。各グラフ708は、推定最適値712を含み、これは各入力要素行706の最適値列702Cにおいて示される。各グラフ708は、入力要素行706A毎に個々の最大可変領域714と、入力要素行706A毎に総合最大可変領域716とを含む。総合最大可変領域716は、各入力要素行706の低値列702Bおよび高値列702Dに表示されている値の間となる。
【0077】
[0086] 出力応答表704は、8つの列、即ち、出力応答列704A、最小値列704B、目標列704C、最大値列704D、規準列704E、cpk列704F、DPMO列704G、および予測応答プロファイル列704Hを含む。出力応答表704は、出力応答放出720の行を含む。予測応答プロファイル列704Hは、出力応答放出720に対して、グラフ722を含む。グラフ722は、最小値列704Bに表示される最小出力応答値724を含むが、最大値がない指定限度範囲を含む。何故なら、指定制限範囲である最大値列704Dには何も表示されないからである。グラフ722は、目標応答規準726および出力応答値の分布728を含む。
【0078】
[0087] 目標応答規準712は、修正単純中心設計を10回実行することによって推定される。入力要素毎の目標応答規準712から、設計領域推定モジュール104は、PDSEを計算し、入力要素毎に総合最大可変領域714を表示する(例えば、ディスプレイ114によって)。この例では、設計領域推定モジュール104は、関連付けられた推定最適値712を中心とする三角分布で変動する各入力要素に基づいて、PDSEを計算するように構成されている。総合最大可変領域714は、混合制約を用いて計算される。放出に対する予測応答プロファイル704Hは、総合最大可変領域内にある入力要素値に対する出力応答値728の分布を示す。
【0079】
[0088] 以上で説明した技法は、ディジタルおよび/またはアナログ電子回路、あるいはコンピュータ・ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせで実現することができる。実施態様は、コンピュータ・プログラム・プロダクツ、即ち、データ処理装置による実行のため、またはデータ処理装置の動作を制御するために、機械読み取り可能記憶デバイスにおいて有形的に具体化されたコンピュータ・プログラムとすることができる。データ処理装置とは、例えば、プログラマブル・プロセッサ、コンピュータ、および/または多数のコンピュータである。コンピュータ・プログラムは、ソース・コード、コンパイル・コード、インタプリタ・コード、および/またはマシン・コードを含む、いずれの形態のコンピュータ言語またはプログラミング言語でも書くことができる。コンピュータ・プログラムは、いずれの形態でも装備することができ、単体プログラムとして、あるいはサブルーチン、エレメント、または計算環境における使用に適した他のユニットとしての形態が含まれる。コンピュータ・プログラムは、1つのコンピュータ上、または1カ所又は複数カ所のサイトにある多数のコンピュータ上に装備し実行することができる。
【0080】
[0089] 方法ステップは、1つ又は複数のプログラマブル・プロセッサによって実行することができ、入力データに作用するおよび/または出力データを発生することによって本技術の機能を実行するコンピュータ・プログラムを実行する。また、方法ステップは、特殊目的論理回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)、FPAA(フィールド・プログラマブル・アナログ・アレイ)、CPLD(複合プログラマブル・ロジック・デバイス)、PSoC(プログラマブル・システム・オン・チップ)、ASIP(特定用途命令セット・プロセッサ)、またはASIC(特定用途集積回路)によって実行することができる。サブルーチンは、1つ又は複数の機能を実現するコンピュータ・プログラムおよび/またはプロセッサ/特殊回路の一部を指すことができる。
【0081】
[0090] コンピュータ・プログラムの実行に適したプロセッサは、一例として、汎用および特殊目的用マイクロプロセッサの双方、ならびにあらゆる種類のディジタルまたはアナログ・コンピュータの1つ又は複数のあらゆるプロセッサを含む。一般に、プロセッサは命令およびデータをリード・オンリ・メモリまたはランダム・アクセス・メモリあるいはその双方から受け取る。コンピュータの必須要素は、命令を実行するプロセッサと、命令および/またはデータを格納する1つ又は複数のメモリ・デバイスである。キャッシュのようなメモリ・デバイスは、データを一時的に格納するために用いることができる。また、メモリ・デバイスは、長期間のデータ格納にも用いることができる。一般に、コンピュータは、データを格納する1つ又は複数の大容量記憶デバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクも含むか、またはこれらからデータを受け取りこれらにデータを転送する、あるいはこれらの双方を行うように動作的に結合される。また、コンピュータは、ネットワークから命令および/またはデータを受信するため、および/または命令および/またはデータをネットワークに転送するために、通信ネットワークに動作的に結合することもできる。コンピュータ・プログラム命令およびデータを具体化するのに適したコンピュータ読み取り可能記憶デバイスは、あらゆる形態の揮発性および不揮発性メモリを含み、一例として、半導体メモリ・デバイス、例えば、DRAM、SRAM、EPROM、EEPROM、およびフラッシュ・メモリ・デバイス、磁気ディスク、例えば、内部ハード・ディスクまたはリムーバブル・ディスク、光磁気ディスク、ならびに光ディスク、例えば、CD、DVD、HD−DVD、Blu−rayディスクが含まれる。プロセッサおよびメモリは、特殊目的論理回路によって補強すること、および/または特殊目的論理回路の中に組み込むことができる。
[0091] ユーザとの双方向処理に備えるために、前述した技法は、ユーザに情報を表示するディスプレイ・デバイス、例えば、CRT(陰極線管)、プラズマ、またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ、ならびにキーボードおよびポインティング・デバイス、例えば、マウスまたはトラックボール、タッチパッド、または動きセンサを有するコンピュータ上で実現することができる。ユーザは、ポインティング・デバイスによってコンピュータに入力を供給することができる(例えば、ユーザ・インターフェース・エレメントと双方向処理を行う)。ユーザとの双方向処理に備えるためには、他の種類のデバイスも用いることができる。例えば、ユーザに与えるフィードバックは、あらゆる形態の感覚的フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、および/または接触入力を含む、あらゆる形態で受け取ることができる。
【0082】
[0092] 前述した技法は、バックエンド・コンポーネントを含む分散型コンピューティングシステムにおいて実現することができる。バックエンド・コンポーネントは、例えば、データ・サーバ、ミドルウェア・コンポーネント、および/またはアプリケーション・サーバとすることができる。前述した技法は、フロントエンド・コンポーネントを含む分散型コンピューティングシステムにおいて実現することができる。フロントエンド・コンポーネントは、例えば、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを有するクライアント・コンピュータ、ユーザが実施態様例と対話処理することができるウェブ・ブラウザ、および/または送信デバイスに合わせた他のグラフィカル・ユーザ・インターフェースとすることができる。 前述した技法は、このようなバックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンド・コンポーネントのあらゆる組み合わせを含む分散型コンピューティングシステムにおいて実現することができる。
【0083】
[0093] 前述のコンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般に、互いに離れており、通信ネットワークを通じて双方向処理するのが通例である。クライアントおよびサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上において実行し、互いにクライアント−サーバ関係を有するコンピュータ・プログラムによって生ずる。
【0084】
[0094] コンピューティングシステムのコンポーネントは、ディジタルまたはアナログ・データ通信のあらゆる形態または媒体(例えば、通信ネットワーク)によってでも相互接続することができる。通信ネットワークの例には、回線系ネットワークおよびパケット系ネットワークが含まれる。パケット系ネットワークは、例えば、インターネット、キャリア・インターネット・プロトコル(IP)ネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、キャンパス・エリア・ネットワーク(CAN)、都市エリア・ネットワーク(MAN)、ホーム・エリア・ネットワーク(HAN)、個人IPネットワーク、IP個人ブランチ交換(IPBX)、ワイヤレス・ネットワーク(例えば、無線アクセス・ネットワーク(RAN)、802.11ネットワーク、802.16ネットワーク、汎用パケット無線サービス(GPRS)ネットワーク、HiperLAN)、および/またはその他のパケット系ネットワークを含むことができる。回線系ネットワークは、例えば、公衆電話交換ネットワーク(PSTN)、個人ブランチ交換(PBX)、ワイヤレス・ネットワーク(例えば、RAN、bluetooth、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、汎ヨーロッパ移動体通信(GSM)ネットワーク、および/またはその他の回線系ネットワークを含むことができる。
【0085】
[0095] コンピューティングシステムおよび/またはコンピューティングデバイスのデバイスは、例えば、コンピュータ、ブラウザ・デバイスを有するコンピュータ、電話機、IPフォン、移動体デバイス(例えば、セルラ・フォン、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)デバイス、ラップトップ・コンピュータ、電子メール・デバイス)、サーバ、1つ又は複数の処理カードを有するラック、特殊目的回路、および/またはその他の通信デバイスを含むことができる。ブラウザ・デバイスは、例えば、ワールド・ワイド・ウェブ・ブラウザ(例えば、Microsoft Corporationから入手可能なMicrosoft(商標)Internet Explorer(商標)、Mozilla Corporationから入手可能なMozilla(商標)Firefox)を有するコンピュータ(例えば、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ)を含む。移動体計算機は、例えば、Blackberry(商標)を含む。IPフォンは、例えば、Cisco System, Incから入手可能なCisco(商標) Unified IP Phone 7985G、および/または Cisco System, Incから入手可能なCisco(商標)Unified Wireless Phone 7920を含む。
【0086】
[0096] 本発明は、本発明の主旨や本質的な特性から逸脱することなく、他の特定的な形態でも具体化できることは、当業者にはわかるであろう。したがって、以上の実施形態は、あらゆる観点において、本明細書において記載した発明の限定ではなく例示であると見なすこととする。つまり、本発明の範囲は、以上の記載ではなく、添付した特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等の意味および範囲に該当する全ての変更は、したがって、本発明の範囲に包含されることを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的プロセスのために入力要素および出力応答の設計領域を推定するためのコンピュータ化方法であって、
(a)プロセッサを通じて、物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータと、前記プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信するステップであって、前記規準が、
前記1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、
前記目標応答規準を達成するための前記1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、
前記1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲と、
を含み、前記実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する、ステップと、
(b)前記プロセッサを用いて、前記1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する前記実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算するステップであって、計算が、
前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、前記第1入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、前記第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、前記算出入力値範囲を作成することを含む、ステップと、
(c)前記プロセッサを用いて、前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算するステップであって、前記1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、
前記算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択するステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、前記第2入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第2性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第2入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対する修正入力値範囲を作成するステップとを備えている、ステップと、
(d)前記プロセッサを用いて、少なくとも前記修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測するステップであって、前記修正入力値範囲が、各々、前記入力要素の1つ又は複数に対して前記規準が満たされる最大可変領域を含む、ステップと、
を備えている、コンピュータ化方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記設計領域推定値が、更に、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答値の分布を備えており、前記修正入力値範囲が、前記出力応答値の分布を決定する、方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して、前記所定の性能指標が満たされる場合、前記出力応答値の分散内における予め指定された数の出力応答値が、前記出力応答に対する所定の制限値以内に入る、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記設計領域推定値を予測するステップが、入力要素毎に個々の最大可変領域を予測する一方、残りのあらゆる入力要素をそれらと関連付けられた推定最適値に設定するステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記設計領域推定値を予測するステップが、入力要素毎に、総合最大可変領域を予測するステップを含み、前記1つ又は複数の入力要素の各々の値が、前記対応する総合最大可変範囲内のいずれかの位置にあり、各出力応答に対する前記所定の性能指標を満たすことができる、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記算出入力値範囲を作成するステップが、前記第1性能指標が前記所定の性能指標よりも下である場合、前記第1入力値範囲を所定の割合だけ狭めることによって、第3入力値範囲を選択するステップを含む、方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法であって、更に、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、前記第3入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第3性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第3入力値範囲を調節することによって、前記1つ又は複数の入力要素の各々について、前記算出入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記算出入力値範囲を作成するステップが、前記第1性能指標が前記所定の性能指標よりも上である場合、
刻み幅を、前記第2入力値範囲のサイズの所定の割合に設定するステップと、
前記刻み幅に基づいて、前記第1入力値範囲を広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、前記第3入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第3性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第3入力値範囲を調節することによって、前記1つ又は複数の入力要素の各々について、前記算出入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記算出入力値範囲を作成するステップが、前記第3性能指標が前記所定の性能指標よりも下にある場合、
前記刻み幅に基づいて前記第3入力値範囲を広げることによって、第4入力値範囲を選択するステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第4性能指標を決定するために、前記第4入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第4性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第4入力値範囲を調節することによって、前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して算出入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、前記算出入力値範囲を作成するステップが、前記第3性能指標が前記所定の性能指標よりも上にある場合、
前記第1入力値範囲に等しい前記第3入力値範囲を設定するステップと、
前記刻み幅を所定の割合だけ縮小するステップと、
前記刻み幅に基づいて前記第3入力値範囲を広げることによって、第4入力値範囲を選択するステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第4性能指標を決定するために、前記第4入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第4性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第4入力値範囲を調節することによって、前記1つ又は複数の入力要素の各々について、前記算出入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記修正入力値範囲を作成するステップが、前記第2性能指標が前記所定の性能指標よりも上にある場合、
前記第2入力値範囲に等しい前記修正入力値範囲を設定するステップと、
完了フラグを前記入力要素と関連付けるステップと、
を備えている、方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記修正入力値範囲を作成するステップが、前記第2性能指標が前記所定の性能指標よりも下にある場合、
前記第2入力値範囲を刻み幅だけ広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップであって、前記刻み幅が、前記第2入力値範囲を選択するために用いられたものである、ステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、前記第3入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第3性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第3入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対して修正入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して前記修正入力値範囲を計算するステップが、更に、
前記1つ又は複数の入力要素の各々が完了フラグと関連付けられていると判断するステップと、
前記第2入力値範囲を選択するために用いられた刻み幅を、所定の割合だけ縮小するステップと、
前記1つ又は複数の入力要素の内前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して、
前記第2入力値範囲を前記刻み幅だけ広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、前記第3入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第3性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第3入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対して前記修正入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、
前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップが、モンテ・カルロ・シミュレーションを実行するステップを含み、
前記第1性能指標、前記第2性能指標、および前記所定の性能指標が、前記所定の制限値以内にある前記1つ又は複数の出力応答の値の数の尺度である、方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して前記第1入力値範囲を選択するステップが、前記第1入力値範囲を、前記対応する入力要素の下位外側境界値の所定の割合に設定するステップを含む、方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法であって、更に、
前記1つ又は複数の入力要素に対する制約を受けるステップを備えており、
前記第1入力値範囲に基づいて前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップが、更に、前記制約を補償するように前記予測を調節するステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記制約が、1つ又は複数の入力要素に対してユーザが定義した制限、要素の分布、およびそのあらゆる組み合わせを含む、方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する前記目標応答規準が、目標応答値、容認可能な目標応答値の範囲、または限界目標応答値を含み、前記出力応答が、前記限界目標応答値よりも上または下のいずれかとなることができる、方法。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、前記物理的プロセスが、製造プロセス、工業プロセス、設計プロジェクト、半導体プロジェクト、またはこれらのあらゆる組み合わせを含む、方法。
【請求項20】
物理的プロセスのために入力要素および出力応答の設計領域を推定するための装置であって、
(a)物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータと、前記プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信し、前記規準が、
前記1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、
前記目標応答規準を達成するための前記1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、
前記1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲と、
を含み、前記実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定し、
(b)前記1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する前記実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算し、計算が、
前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、前記第1入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、前記第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、前記算出入力値範囲を作成することを含み、
(c)前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算し、前記1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、
前記算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、前記第2入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第2性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第2入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対する修正入力値範囲を作成し、
(d)少なくとも前記修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測し、前記修正入力値範囲が、各々、前記入力要素の1つ又は複数に対して前記規準が満たされる最大可変領域を含む、
ように構成されているプロセッサを備えている、装置。
【請求項21】
情報担体に有形に具体化されているコンピュータ・プログラム・プロダクツであって、データ処理装置に、
(a)物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータ、前記プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信させ、前記規準が、
前記1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、
前記目標応答規準を達成するための前記1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、
前記1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲と、
を含み、前記実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定し、
(b)前記1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する前記実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算させ、計算が、
前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、前記第1入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、前記第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、前記算出入力値範囲を作成することを含み、
(c)前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算させ、前記1つ又は複数の入力要素の内各入力要素に対して、
前記算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択させ、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、前記第2入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測させ、
前記第2性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第2入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対する修正入力値範囲を作成させ、
(d)少なくとも前記修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測させ、前記修正入力値範囲が、各々、前記入力要素の1つ又は複数に対して前記規準が満たされる最大可変領域を含む、
ように動作可能な命令を含む、コンピュータ・プログラム・プロダクツ。
【請求項22】
物理的プロセスのために入力要素および出力応答の設計領域を推定するシステムであって、
(a)物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータ、前記プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受け取る手段であって、前記規準が、
前記1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、
前記目標応答規準を達成するための前記1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、
前記1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲と、
を含み、前記実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する、手段と、
(b)前記1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する前記実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算する手段であって、計算が、
前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、前記第1入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、前記第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、前記算出入力値範囲を作成することを含む、手段と、
(c)前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算する手段であって、前記1つ又は複数の入力要素の内各入力要素に対して、
前記算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、前記第2入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第2性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第2入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対する修正入力値範囲を作成する、手段と、
(d)少なくとも前記修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測する手段であって、前記修正入力値範囲が、各々、前記入力要素の1つ又は複数に対して前記規準が満たされる最大可変領域を含む、手段と、
を備えている、システム。
【請求項1】
物理的プロセスのために入力要素および出力応答の設計領域を推定するためのコンピュータ化方法であって、
(a)プロセッサを通じて、物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータと、前記プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信するステップであって、前記規準が、
前記1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、
前記目標応答規準を達成するための前記1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、
前記1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲と、
を含み、前記実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する、ステップと、
(b)前記プロセッサを用いて、前記1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する前記実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算するステップであって、計算が、
前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、前記第1入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、前記第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、前記算出入力値範囲を作成することを含む、ステップと、
(c)前記プロセッサを用いて、前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算するステップであって、前記1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、
前記算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択するステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、前記第2入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第2性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第2入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対する修正入力値範囲を作成するステップとを備えている、ステップと、
(d)前記プロセッサを用いて、少なくとも前記修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測するステップであって、前記修正入力値範囲が、各々、前記入力要素の1つ又は複数に対して前記規準が満たされる最大可変領域を含む、ステップと、
を備えている、コンピュータ化方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記設計領域推定値が、更に、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答値の分布を備えており、前記修正入力値範囲が、前記出力応答値の分布を決定する、方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して、前記所定の性能指標が満たされる場合、前記出力応答値の分散内における予め指定された数の出力応答値が、前記出力応答に対する所定の制限値以内に入る、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記設計領域推定値を予測するステップが、入力要素毎に個々の最大可変領域を予測する一方、残りのあらゆる入力要素をそれらと関連付けられた推定最適値に設定するステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記設計領域推定値を予測するステップが、入力要素毎に、総合最大可変領域を予測するステップを含み、前記1つ又は複数の入力要素の各々の値が、前記対応する総合最大可変範囲内のいずれかの位置にあり、各出力応答に対する前記所定の性能指標を満たすことができる、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記算出入力値範囲を作成するステップが、前記第1性能指標が前記所定の性能指標よりも下である場合、前記第1入力値範囲を所定の割合だけ狭めることによって、第3入力値範囲を選択するステップを含む、方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法であって、更に、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、前記第3入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第3性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第3入力値範囲を調節することによって、前記1つ又は複数の入力要素の各々について、前記算出入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記算出入力値範囲を作成するステップが、前記第1性能指標が前記所定の性能指標よりも上である場合、
刻み幅を、前記第2入力値範囲のサイズの所定の割合に設定するステップと、
前記刻み幅に基づいて、前記第1入力値範囲を広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、前記第3入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第3性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第3入力値範囲を調節することによって、前記1つ又は複数の入力要素の各々について、前記算出入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、前記算出入力値範囲を作成するステップが、前記第3性能指標が前記所定の性能指標よりも下にある場合、
前記刻み幅に基づいて前記第3入力値範囲を広げることによって、第4入力値範囲を選択するステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第4性能指標を決定するために、前記第4入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第4性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第4入力値範囲を調節することによって、前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して算出入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、前記算出入力値範囲を作成するステップが、前記第3性能指標が前記所定の性能指標よりも上にある場合、
前記第1入力値範囲に等しい前記第3入力値範囲を設定するステップと、
前記刻み幅を所定の割合だけ縮小するステップと、
前記刻み幅に基づいて前記第3入力値範囲を広げることによって、第4入力値範囲を選択するステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第4性能指標を決定するために、前記第4入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第4性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第4入力値範囲を調節することによって、前記1つ又は複数の入力要素の各々について、前記算出入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記修正入力値範囲を作成するステップが、前記第2性能指標が前記所定の性能指標よりも上にある場合、
前記第2入力値範囲に等しい前記修正入力値範囲を設定するステップと、
完了フラグを前記入力要素と関連付けるステップと、
を備えている、方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記修正入力値範囲を作成するステップが、前記第2性能指標が前記所定の性能指標よりも下にある場合、
前記第2入力値範囲を刻み幅だけ広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップであって、前記刻み幅が、前記第2入力値範囲を選択するために用いられたものである、ステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、前記第3入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第3性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第3入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対して修正入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して前記修正入力値範囲を計算するステップが、更に、
前記1つ又は複数の入力要素の各々が完了フラグと関連付けられていると判断するステップと、
前記第2入力値範囲を選択するために用いられた刻み幅を、所定の割合だけ縮小するステップと、
前記1つ又は複数の入力要素の内前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して、
前記第2入力値範囲を前記刻み幅だけ広げることによって、第3入力値範囲を選択するステップと、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第3性能指標を決定するために、前記第3入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップと、
前記第3性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第3入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対して前記修正入力値範囲を作成するステップと、
を備えている、方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、
前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップが、モンテ・カルロ・シミュレーションを実行するステップを含み、
前記第1性能指標、前記第2性能指標、および前記所定の性能指標が、前記所定の制限値以内にある前記1つ又は複数の出力応答の値の数の尺度である、方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して前記第1入力値範囲を選択するステップが、前記第1入力値範囲を、前記対応する入力要素の下位外側境界値の所定の割合に設定するステップを含む、方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法であって、更に、
前記1つ又は複数の入力要素に対する制約を受けるステップを備えており、
前記第1入力値範囲に基づいて前記1つ又は複数の出力応答の値を予測するステップが、更に、前記制約を補償するように前記予測を調節するステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記制約が、1つ又は複数の入力要素に対してユーザが定義した制限、要素の分布、およびそのあらゆる組み合わせを含む、方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する前記目標応答規準が、目標応答値、容認可能な目標応答値の範囲、または限界目標応答値を含み、前記出力応答が、前記限界目標応答値よりも上または下のいずれかとなることができる、方法。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、前記物理的プロセスが、製造プロセス、工業プロセス、設計プロジェクト、半導体プロジェクト、またはこれらのあらゆる組み合わせを含む、方法。
【請求項20】
物理的プロセスのために入力要素および出力応答の設計領域を推定するための装置であって、
(a)物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータと、前記プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信し、前記規準が、
前記1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、
前記目標応答規準を達成するための前記1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、
前記1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲と、
を含み、前記実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定し、
(b)前記1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する前記実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算し、計算が、
前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、前記第1入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、前記第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、前記算出入力値範囲を作成することを含み、
(c)前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算し、前記1つ又は複数の入力要素の内各入力要素について、
前記算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、前記第2入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第2性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第2入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対する修正入力値範囲を作成し、
(d)少なくとも前記修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測し、前記修正入力値範囲が、各々、前記入力要素の1つ又は複数に対して前記規準が満たされる最大可変領域を含む、
ように構成されているプロセッサを備えている、装置。
【請求項21】
情報担体に有形に具体化されているコンピュータ・プログラム・プロダクツであって、データ処理装置に、
(a)物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータ、前記プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受信させ、前記規準が、
前記1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、
前記目標応答規準を達成するための前記1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、
前記1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲と、
を含み、前記実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定し、
(b)前記1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する前記実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算させ、計算が、
前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、前記第1入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、前記第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、前記算出入力値範囲を作成することを含み、
(c)前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算させ、前記1つ又は複数の入力要素の内各入力要素に対して、
前記算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択させ、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、前記第2入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測させ、
前記第2性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第2入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対する修正入力値範囲を作成させ、
(d)少なくとも前記修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測させ、前記修正入力値範囲が、各々、前記入力要素の1つ又は複数に対して前記規準が満たされる最大可変領域を含む、
ように動作可能な命令を含む、コンピュータ・プログラム・プロダクツ。
【請求項22】
物理的プロセスのために入力要素および出力応答の設計領域を推定するシステムであって、
(a)物理的プロセスの1つ又は複数の入力要素についてのデータ、前記プロセスの1つ又は複数の出力応答、および規準を受け取る手段であって、前記規準が、
前記1つ又は複数の出力応答の各々についての目標応答規準と、
前記目標応答規準を達成するための前記1つ又は複数の入力要素の各々に対する推定最適値と、
前記1つ又は複数の入力要素の各々について実験によって得られた入力値範囲と、
を含み、前記実験によって得られた入力値範囲における各入力値が、前記1つ又は複数の出力応答の各々に対する出力応答を決定する、手段と、
(b)前記1つ又は複数の入力要素の各々について、対応する前記実験で得られた入力値範囲内における算出入力値範囲を計算する手段であって、計算が、
前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して、第1入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第1性能指標を決定するために、前記第1入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第1性能指標と所定の性能指標との比較に基づいて、前記第1入力値範囲を調節することによって、1つ又は複数の入力要素の各々に対して、前記算出入力値範囲を作成することを含む、手段と、
(c)前記1つ又は複数の入力要素の各々に対して修正入力値範囲を計算する手段であって、前記1つ又は複数の入力要素の内各入力要素に対して、
前記算出入力値範囲を所定の割合だけ広げることによって、第2入力値範囲を選択し、
前記1つ又は複数の出力応答の各々に対して第2性能指標を決定するために、前記第2入力値範囲に基づいて、前記1つ又は複数の出力応答の値を予測し、
前記第2性能指標と前記所定の性能指標との比較に基づいて、前記第2入力値範囲を調節することによって、前記入力要素に対する修正入力値範囲を作成する、手段と、
(d)少なくとも前記修正入力値範囲に基づいて、設計領域推定値を予測する手段であって、前記修正入力値範囲が、各々、前記入力要素の1つ又は複数に対して前記規準が満たされる最大可変領域を含む、手段と、
を備えている、システム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【公表番号】特表2012−527040(P2012−527040A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510848(P2012−510848)
【出願日】平成22年5月3日(2010.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/033364
【国際公開番号】WO2010/132224
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.GSM
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月3日(2010.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/033364
【国際公開番号】WO2010/132224
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.GSM
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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