説明

自動二輪車の盗難対策装置

【課題】収納スペースや他の車体スペースを有効利用しつつ配置することが可能な自動二輪車の盗難対策装置を提供する。
【解決手段】自動二輪車の盗難対対策装置において、盗難対策装置50は、シート26の底面に対向するように配置され、シート26は、ライダー及びパッセンジャーの2名が前後に乗車可能に形成され、シート26の前方に燃料タンク22が配置され、燃料タンク22の後部に燃料タンクの上からシート26の前部が重ねられた重合部94が形成され、重合部の燃料タンク22側に盗難対策装置50が取付けられている自動二輪車の盗難対策装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の盗難対策装置、詳しくは、盗難対策装置の配置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両が盗難される際に、例えば、エンジンを始動できないようにしたり、警報を発したり、あるいは盗難された車両を探し出すために、GPS(Global Positioning System)機能を利用して車両位置を検出し、この位置情報を携帯電話等に送信することが可能な盗難対策装置が開発されている。
【0003】
このような自動二輪車の盗難対策装置として、自動二輪車に備えるヘルメット収納ボックス内に配置されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−362448公報
【0004】
特許文献1の図1、図4によれば、車体フレーム1の後部に物入れボックス5が取付けられ、この物入れボックス5内で、2つのヘルメットH1,H2を収納して空いた空間に盗難対策装置20が設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記物入れボックス5内に盗難対策装置20を設けることで、物入れボックス5内の容量が小さくなり、例えば、物入れボックス5内に、ヘルメットH1,H2の他に小物等を収納するスペースが少なくなる。
【0006】
また、例えば、物入れボックスを備えていない自動二輪車では、車両の大型化等を防止するために、車体のスペースを有効利用しつつ盗難対策装置を配置するのが望ましい。
【0007】
本発明の目的は、収納スペースや他の車体スペースを有効利用しつつ配置することが可能な自動二輪車の盗難対策装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体フレームの前部に操舵自在にフロントフォークが取付けられ、このフロントフォークの下端に前輪が支持され、車体フレームの後部にスイング自在にスイングアームが取付けられ、このスイングアームの後端に後輪が支持され、車体フレームの後部上部にシートが取付けられ、自車の位置を測定可能で且つ測定された位置情報を無線送信可能な盗難対策装置を備える自動二輪車において、盗難対策装置は、シートの底面に対向するように配置され、シートは、ライダー及びパッセンジャーの2名が前後に乗車可能に形成され、シートの前方に燃料タンクが配置され、燃料タンクの後部に燃料タンクの上からシートの前部が重ねられた重合部が形成され、重合部の燃料タンク側に盗難対策装置が取付けられていることを特徴とする。
【0009】
作用として、シートの底面に対向するスペースは、使用されていないスペースであり、このスペースに盗難対策装置が配置されることで、収納ボックスを備えた車両では、収納ボックス内のスペースが小さくならない。また、収納ボックスを備えていない車両では、車体スペースが有効利用される。
また、燃料タンク後部とシート前部との間に盗難対策装置収納されており、前部シートの前端部は、運転者の体重が比較的加わりにくい部分であり、この前端部に盗難対策装置を配置することでシートのクッション材が薄くなっても乗り心地に与える影響ない。
また、重合に盗難対策装置を配置することで、乗員の着座位置のシート厚さを変更する必要がない。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1において、盗難対策装置の周辺に弾性部材が配置されていることを特徴とする。
作用として、盗難対策装置の周辺に弾性部材が配置されているので、盗難対策装置の周辺の弾性部材で盗難対策装置を保護することができ、また、シート厚さを薄くした場合であっても弾性部材によって乗り心地を確保することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、燃料タンクの後部にはタンク凹部が形成され、盗難対策装置がこの凹部に配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4は、請求項1又は3において、重合部には、タンク凹部の前方部と盗難対策装置により第2の凹部が形成され、シートの前端部には第2の凹部に係合される係合部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部とを備えることを特徴とする。
作用として、盗難対策装置が搭載された自動二輪車が盗難された場合に、GPSが人工衛星からの軌道情報を受信して自動二輪車の位置情報を検出し、携帯電話通信部が、例えば衛星携帯電話に位置情報を送信することで、自動二輪車の現在位置が突き止められる。
【0014】
以上の請求項1〜請求項4の車体位置に盗難対策装置を配置する場合には、GPS及び携帯電話通信部のそれぞれに備えるアンテナの上方に金属製部材が存在しないため、人工衛星から送られる、又は携帯電話基地局に送る電波が遮られない。
【0015】
請求項6に係る発明は、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサと、これらのGPS、携帯電話通信部及び加速度センサを統合制御する制御部と、これらのGPS及び携帯電話通信部に電力を供給する内部電源とを1つのケース内に備えることを特徴とする。
【0016】
作用として、自動二輪車が盗難される際に車体に振動が加えられると、その振動を加速度センサが検出し、盗難の発生したことが制御部に認識される。
自動二輪車が盗難された場合には、GPSが人工衛星からの軌道情報を受信して自動二輪車の位置情報を検出し、制御部が、携帯電話通信部に対してその位置情報を、例えば携帯電話基地局に送信させることで、自動二輪車の現在位置が突き止められる。
【0017】
以上の請求項1〜請求項4の車体位置に盗難対策装置を配置する場合には、GPS及び携帯電話通信部のそれぞれに備えるアンテナの上方に金属製部材が存在しないため、人工衛星から送られる、又は携帯電話基地局に送る電波が遮られない。
【0018】
GPS及び携帯電話通信部は、車両のバッテリ又は内部電源から電力が供給されて作動する。
盗難対策装置は1つのケースに収められ、車体に取付けられる。
【0019】
請求項7に係る発明は、盗難対策装置が、盗難を検知した場合に、エンジンの始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器を作動させて警報を発する警報機能とを有し、盗難対策装置を車体に備える電装系統に接続することにより、エンジン停止機能及び警報機能が作動可能であることを特徴とする。
【0020】
作用として、盗難対策装置が自動二輪車の盗難を検知すると、エンジンの始動ができなくなり、灯火器が作動して警報が発せられる。
盗難対策装置は車体に備える既存の電装系統に接続することで、エンジン停止機能と警報機能とを作動させることが可能になる。
【0021】
請求項8に係る発明は、ケースが、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面が水平又は水平に近い状態で配置されていることを特徴とする。
作用として、ボックス状に形成されたケースの最も大きな面にGPS及び携帯電話通信部のアンテナを配置すれば、アンテナの面積がより大きくなる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明では、シートの前方に燃料タンクが配置され、燃料タンクの後部に燃料タンクの上からシートの前部が重ねられた重合部が形成され、重合部の燃料タンク側に盗難対策装置が取付けられているので、収納ボックスを備えていない車両では、使用されていないスペースを有効利用して盗難対策装置を設置することができる。また、収納ボックスを備える車両であっても、重合部に盗難対策装置を配置することで、収納ボックスの容量を犠牲にすることなく盗難対策装置を配置することができ、収納ボックス内を有効利用することができる。
また、シートの前方に燃料タンクが配置され、この燃料タンクの後部に燃料タンクの上からシートの前端部が重ねられた重合部が形成され、この重合部の燃料タンク側に盗難対策装置が取付けられているので、シートの前部で盗難対策装置を保護することができ、また、乗員の着座位置でのシート厚さを確保した上で、シート前部の重合部に盗難対策装置を配置することができる。更に、シート前部には乗員の上下荷重が比較的作用しにくいため、シート厚さを薄くして盗難対策装置を配置することができ、重合部が大型になるのを防止することができる。
【0023】
請求項2に係る発明では、盗難対策装置の周辺に弾性部材が配置されているので、請求項1の効果に加えるに、盗難対策装置の周辺の弾性部材で盗難対策装置を保護することができ、また、シート厚さを薄くした場合であっても弾性部材によって乗り心地を確保することができる。
【0024】
請求項3に係る発明では、請求項1又は2の効果に加えるにおいて、燃料タンクの後部にはタンク凹部が形成され、盗難対策装置がこの凹部に配置されている。
【0025】
請求項4に係る発明では、請求項1又は3の効果に加えるに、重合部には、タンク凹部の前方部と盗難対策装置により第2の凹部が形成され、シートの前端部には第2の凹部に係合される係合部が形成されている。
【0026】
請求項5に係る発明では、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部とを備えるので、GPS及び携帯電話通信部を備える盗難対策装置を車体に配置することで、GPSによる人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部による位置情報の送信を行う際に、GPS及び携帯電話通信部の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置を良好に作動させることができる。
【0027】
請求項6に係る発明では、盗難対策装置が、位置情報を検出するGPSと、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサと、これらのGPS、携帯電話通信部及び加速度センサを統合制御する制御部と、これらのGPS及び携帯電話通信部に電力を供給する内部電源とを1つのケース内に備えるので、GPS及び携帯電話通信部を備える盗難対策装置を車体に配置することで、GPSによる人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部による位置情報の送信を行う際に、GPS及び携帯電話通信部の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置を良好に作動させることができる。
【0028】
また、盗難対策装置のシステムを1つのケース内に収めるため、車両への組付け性を向上させることができる。この際、ケースが大型化しても、上記のような盗難対策装置配置構造を採用することで、車両全体の大型化を防止することができる。
【0029】
請求項7に係る発明では、盗難対策装置が、盗難を検知した場合に、エンジンの始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器を作動させて警報を発する警報機能とを有し、盗難対策装置を車体に備える電装系統に接続することにより、エンジン停止機能及び警報機能が作動可能であるので、車体に備える電装系統に盗難対策装置を接続することにより、エンジン停止機能と警報機能とを作動させることができるため、新たな機能部品を配置したり、配線を増やしたりする必要がない。
【0030】
また、上記したように盗難対策装置を配置することにより、車両の基本配線への盗難対策装置の接続が、短い専用配線で済むため、車両の軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
【0031】
請求項8に係る発明では、ケースが、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面が水平又は水平に近い状態で配置されているので、盗難対策装置内の機能部品の配置を最適化した上で、GPS及び携帯電話通信部のアンテナの面積を確保することができ、送受信を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第1及び本実施形態(第2実施形態))である。
【図2】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第1実施形態)を示す断面図である。
【図3】本発明に係る盗難対策装置の取付状態を示す要部斜視図(第1実施形態)である。
【図4】本発明に係る盗難対策装置の取付状態を示す要部平面図(第1実施形態)である。
【図5】本発明に係る盗難対策装置を含む車体後部の横断面図(第1実施形態)である。
【図6】本発明に係る盗難対策装置の配置構造(本実施形態。第2実施形態)を示す説明図である。
【図7】本発明に係る盗難対策装置のブロック図である。
【図8】本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第3実施形態)の側面図である。
【図9】本発明に係る盗難対策装置の取付位置を示す側面図(第3実施形態)である。
【図10】図9の10矢視図(第3実施形態)である。
【図11】本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第4実施形態)である。
【図12】本発明に係る盗難対策装置の取付位置を示す説明図(第4実施形態)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第1・第2実施形態)であり、自動二輪車10は、車体フレーム11が、前端を構成するヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から後方斜め下方に延びるメインフレーム13と、メインフレーム13の後端から更に後方斜め下方に一体に延びるピボットプレート14と、メインフレーム13の前部下部から後方斜め下方に一体に延びるダウンフレーム16と、メインフレーム13の後部上部から後方斜め上方に延びるシートレール17と、ピボットプレート14及びシートレール17のそれぞれに渡されたサブフレーム18とから構成され、ヘッドパイプ12に操舵自在にフロントフォーク21が取付けられ、メインフレーム13の上部に燃料タンク22が取付けられ、ピボットプレート14及びダウンフレーム16にエンジン20が取付けられ、ピボットプレート14にピボット軸23を介してスイングアーム24が上下スイング自在に取付けられ、シートレール17の上部にタンデムシート26が取付けられた鞍乗型車両である。
タンデムシート26は、運転者(ライダー)が着座する前部シート26aと、同乗者(パッセンジャー)が着座する後部シート26bとが一体成形されている。
【0034】
図中の符号31はフロントフォーク21の上端に取付けられたバーハンドル、32はフロントフォーク21の下端に取付けられた前輪、33はフロントカウル、34はフロントカウル33に覆われたヘッドランプ、36は前輪32の上方を覆うフロントフェンダ、37はスイングアーム24の後端に取付けられた後輪、38はピボットプレート14に取付けられたステップブラケット、39はステップブラケット38に取付けられたパッセンジャー用ステップ、41はシートレール17とサブフレーム18との結合部及びスイングアーム24のそれぞれに連結されたリヤクッションユニット、42はリヤボディカバー、43は後輪37の上方を覆うリヤフェンダである。
【0035】
上記の自動二輪車10が盗難される際、あるいは盗難された後に盗難対策を講じる盗難対策装置50は、(1)タンデムシート26に覆われたシートレール17の上面(第1実施形態)、又は(2)タンデムシート26の前端部に覆われた燃料タンク22の後端部(第2実施形態)に取付けられている。以下にその盗難対策装置50の配置構造を詳細に説明する。
【0036】
図2は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第1実施形態)を示す断面図(図中の矢印(FRONT)は車両前方を示している。以下同じ。)であり、シートレール17の後部に盗難対策装置50が取付けられた状態を示している。
【0037】
シートレール17は、プレス成形された鋼板製のアッパフレーム81及びロアフレーム82を上下に接合した部材であり、アッパフレーム81の後部上面81aが平坦に形成され、この後部上面81aに支持ブラケット83が取付けられ、この支持ブラケット83にラバー等からなる第1弾性部材84を介して盗難対策装置50が弾性支持されている。
【0038】
支持ブラケット83は、鋼板を折り曲げることで成形された部材であり、平坦な底壁83aと、この底壁83aから一体に立ち上げられた前部立ち上げ部83b、左右一対の側部立ち上げ部83c,83d(手前側の側部立ち上げ部83cのみ図示)とからなる。
【0039】
第1弾性部材84は、ボックス状の盗難対策装置50に被せられたものであり、前部に前方に一体に突出する前部突出部84b、左右側部にそれぞれ側方に一体に突出する側部突出部84c,84d(手前側の側部突出部84cのみ図示)を備え、これらの前部突出部84b及び側部突出部84c,84dにそれぞれ支持ブラケット83の前部立ち上げ部83b及び側部立ち上げ部83c,83dが挿入されている。
【0040】
盗難対策装置50は、後部に車体側に設けられた電装系統に接続されたハーネス86,87(手前側のハーネス86のみ図示)が接続されている。なお、符号91は一方のハーネス86を盗難対策装置50に接続するためにハーネス86の端部に設けられたコネクタである。
【0041】
タンデムシート26は、樹脂製の底板95と、この底板95に取付けられたクッション材96と、このクッション材96の表面を覆うとともに周縁が底板95の裏面周縁に取付けられた表皮97とからなり、前部シート26aと後部シート26bとの境界部26c(前部シート26aの下方に凸に湾曲した部分から後部シート26bのほぼ水平な部分へ移行する部分)の下方の底板95に上方に窪んだ後部凹部95aが形成され、この後部凹部95a内に盗難対策装置50の上部が収納されている。なお、符号95bは底板95の盗難対策装置50側に臨む底面である。
【0042】
底板95の後部凹部95aより前方及び後方に、ラバー等からなる第2弾性部材101〜103が取付けられ、これらの第2弾性部材101〜103の下端がシートレール17に当てられてタンデムシート26が弾性支持されている。
図中の符号105はシートレール17の後部に取付けられたグラブレールである。
【0043】
図3は本発明に係る盗難対策装置の取付状態を示す要部斜視図(第1実施形態)であり、シートレール17とタンデムシート26(図1参照)の底板95との間に盗難対策装置50が配置された状態を示している。
盗難対策装置50は、その構成部品を収納するボックス状のケース50aを備える。なお、符号50bはケース50aの上面である。
底板95には盗難対策装置50の上方のみで窪んだ後部凹部95aが設けられている。
【0044】
図4は本発明に係る盗難対策装置の取付状態を示す要部平面図(第1実施形態)であり、盗難対策装置50のケース50aの上面50bは、ケース50aの六面のうちで最も面積の大きな面であり、この上面50bを上方に向けることで、盗難対策装置50に内蔵された後述するGPS及び携帯電話通信部の各アンテナで効率良く電波を受信することができる。
【0045】
盗難対策装置50を支持する支持ブラケット83は、平面視T字状の部材であり、T字の各端部に前部立ち上げ部83b及び側部立ち上げ部83c,83dが設けられている。
【0046】
第1弾性部材84は、平面視T字状の部材であり、T字の各端部に前部突出部84b及び側部突出部84c,84dが設けられ、これらの前部突出部84b及び側部突出部84c,84dにそれぞれ開けられた矩形状の取付穴84fに支持ブラケット83の前部立ち上げ部83b及び側部立ち上げ部83c,83dがそれぞれ圧入されている。
前部立ち上げ部83b及び側部立ち上げ部83c,83dは、摩擦力で各取付穴84fから抜けないようになっている。
【0047】
グラブレール105は、金属製の棒が曲げられて形成されたグラブレール本体107と、この本体部107の後部をシートレール17に取付けるブラケット108とからなり、グラブレール本体107の両端部である左取付部107a及び右取付部107bと、ブラケット108の左取付部108a及び右取付部108bとがそれぞれボルト109でシートレール17に取付けられている。なお、符号107d,107eはパッセンジャーが掴む左把持部及び右把持部である。
【0048】
盗難対策装置50に接続されたハーネス86,87は、盗難対策装置50の後端部からグラブレール105の左取付部107aと右取付部107bとの間に出来たスペース111を通って車両後方に延びている。なお、符号92はハーネス87を盗難対策装置50に接続するためにハーネス87の端部に設けられたコネクタである。
【0049】
図5は本発明に係る盗難対策装置を含む車体後部の横断面図(第1実施形態)であり、図4の5−5線を通る断面図に相当する図である。
盗難対策装置50の後部は、その上方、下方及び両側方が第1弾性部材84に囲まれている。従って、盗難対策装置50の四方を第1弾性部材84によって保護することができる。
【0050】
図6(a),(b)は本発明に係る盗難対策装置の配置構造(第2実施形態。本実施形態)を示す説明図である。
(a)において、燃料タンク22の後端部とタンデムシート26の前端部とは、重なって重合部94を構成している。
燃料タンク22は、後端部にタンク凹部22aが形成され、この凹部22aに後下がりに傾斜した平坦な底面22bが形成され、この底面22bに支持ブラケット83が取付けられ、この支持ブラケット83に第1弾性部材84(図6(b)参照)を介して盗難対策装置50が弾性支持されている。盗難対策装置50及び第1弾性部材84は、それらの周囲がラバー等からなる第3弾性部材93で覆われており、第3弾性部材93は、タンデムシート26の底板95と燃料タンク22の凹部22aの底面22bとに当接している。
【0051】
タンデムシート26の底板95は、前端部に後方斜め上方に窪んだ前部凹部95cが形成され、この前部凹部95c内に盗難対策装置50の一部が収納されている。
前部シート26aの前端部26eは、運転者の体重が比較的加わりにくい部分であり、この前端部26eに前部凹部95cを設けたことでクッション材96が薄くなっても乗り心地に与える影響は少ない。
【0052】
(b)は(a)のb矢視図であり、盗難対策装置50は、燃料タンク22のタンク凹部22aに、コネクタ91,92側が車両後側を向くように配置されている。従って、ハーネス86,87をタンデムシート26((a)参照)の下方をタンデムシート26の長手方向に沿って車両後方へ容易に延ばすことができる。
【0053】
第3弾性部材93は、盗難対策装置50のケース50aの3つの側面、即ち、上面50bに直交する側面50c,50d,50e及び第1弾性部材84の前部突出部84b及び側部突出部84c,84dを覆っている。
【0054】
図では、第3弾性部材93を、盗難対策装置50の前方及び両側方に配置したが、これに限らず、盗難対策装置50の後方及び両側方に配置してもよいし、また、盗難対策装置50の前方、後方及び両側方に配置してもよい。
また、第1弾性部材84と第3弾性部材93とを一体に形成してもよい。
【0055】
図7は本発明に係る盗難対策装置のブロック図である。
盗難対策装置50は、自動二輪車の車体に加えられた振動を検知する加速度センサ51と、複数の人工衛星から軌道情報を受信することにより車両の現在位置を計測するGPS(Global Positioning System)52と、加速度センサ51からの加速度信号SA及びGPS52からの位置情報JPを受けて盗難防止対策を指令する制御部55と、制御部55からの交信指令SCに基づいて携帯電話基地局61へ位置情報JPを送信する携帯電話通信部56と、制御部55からのエンジン制御信号SECに基づきエンジン20(図1参照)の点火装置62に点火停止信号SSSを送って点火装置62の作動を停止させる、即ち、エンジン20を停止させるエンジン制御部57と、制御部55からの警報制御信号SACに基づき警報装置63(ヘッドランプ、ウインカ、テールランプ等の灯火器、ホーン)に警報信号SAを送って灯火器、ホーンを作動させる警報発生部58と、GPS52、制御部55、携帯電話通信部56、エンジン制御部57及び警報発生部58へ電力を供給するバッテリ59とからなる。
【0056】
GPS52及び携帯電話通信部56は、それぞれ通信用のアンテナを備え、これらのアンテナを含め、上記の盗難対策装置50の各構成が1つのケース50a(図3参照)に収納されている。
上記したエンジン制御部57は、自動二輪車に備えるエンジンコントロールユニットを介して点火装置62を制御するようにしてもよい。
【0057】
図8は本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第3実施形態)であり、自動二輪車120は、車体フレーム121が、前端を構成するヘッドパイプ122と、このヘッドパイプ122から後方斜め下方に延びるメインフレーム123と、メインフレーム123の後端から下方斜め前方に一体に延びるピボットプレート124と、メインフレーム123の前部下部から後方斜め下方に一体に延びるとともに下端が延長部126aを介して一体にメインフレーム123に接続されたダウンフレーム126と、メインフレーム123の後部上部から一体に突出する後部突出部123aから後方斜め上方に延びるシートレール127とから構成され、ヘッドパイプ122に操舵自在にフロントフォーク131が取付けられ、メインフレーム123の上部に燃料タンク132が取付けられ、ピボットプレート124にピボット軸133を介してスイングアーム134が上下スイング自在に取付けられ、シートレール127の上部にライダーシート136が取付けられ、また、シートレール127の上部に、後述する後輪147の上方を覆うリヤフェンダ137を介してパッセンジャーシート138が取付けられた鞍乗型車両である。
【0058】
図中の符号141はフロントフォーク131の上端に取付けられたバーハンドル、142はフロントフォーク131の下端に取付けられた前輪、143はカウリング、144はカウリング143に取付けられたヘッドランプ、146は前輪142の上方を覆うフロントフェンダ、147はスイングアーム134の後端に取付けられた後輪、148はシートレール127に取付けられたステップブラケット、149はステップブラケット148に取付けられたパッセンジャー用ステップ、151は後部突出部123a側とピボットプレート124側及びスイングアーム134側との間にリンク機構152を介して渡されたリヤクッションユニット、153はリヤボディカバーである。
【0059】
盗難対策装置50は、リヤフェンダ137の上部に取付けられるとともに、パッセンジャーシート138の前端部の下方に配置されている。換言すれば、ライダーシート136とパッセンジャーシート138との段部154の下方に配置されている。以下にその盗難対策装置50の取付位置を詳細に説明する。
【0060】
図9は本発明に係る盗難対策装置の取付位置を示す側面図(第3実施形態)であり、リヤフェンダ137は、前下がりに傾斜した前部傾斜部137Aと、この前部傾斜部137Aの後端部に前部傾斜部137Aよりも前下がりの傾斜角が小さくなるように一体に形成された後部傾斜部137Bと、ライセンスプレートが取付けられるように後部傾斜部137Bの後端に一体に形成された後端部137Cとを備え、後部傾斜部137Bの前部に設けられた平坦部137eに、支持ブラケット83が取付けられ、この支持ブラケット83に第1弾性部材84を介して盗難対策装置50が弾性支持されている。なお、符号139はパッセンジャーシート138の底板、139aは底板139の底面である。
【0061】
図10は図9の10矢視図(第3実施形態)であり、リヤフェンダ137の後部傾斜部137Bに平坦部137eが形成され、この平坦部137eの左右に上方に突出する後部凸部137f,137gが一体成形され、これらの後部凸部137f,137gの間のスペース155に盗難対策装置50が配置されている。
後部凸部137f,137gは、それぞれの上端でパッセンジャーシート138(図8参照)の底板139(図9参照)を支持する部分である。
【0062】
図11は本発明に係る盗難対策装置が搭載された自動二輪車の側面図(第4実施形態)であり、自動二輪車160は、車体フレーム161が、前端を構成するヘッドパイプ162と、このヘッドパイプ162から後方斜め下方に延びるメインフレーム163と、このメインフレーム163の後端に取付けられたピボットプレート164と、メインフレーム163の中間部から後方斜め下方そして後方斜め上方に延びる左右一対のリヤフレーム166,167(手前側の符号166のみ示す。)と、ピボットプレート164及びリヤフレーム166,167のそれぞれに渡されたサブフレーム168,169(手前側の符号168のみ示す。)とから構成され、ヘッドパイプ162に操舵自在にフロントフォーク171が取付けられ、メインフレーム163及びピボットプレート164にエンジン172が取付けられ、リヤフレーム166,167の上部に収納ボックス173及び燃料タンク174が取付けられ、ピボットプレート164にピボット軸176を介してスイングアーム177が上下スイング自在に取付けられ鞍乗型車両である。
収納ボックス173は、前端部にヒンジ部178が設けられ、このヒンジ部178にシート179が開閉自在に取付けられている。
【0063】
図中の符号181はフロントフォーク171の上端に取付けられたバーハンドル、182はフロントフォーク171の下端に取付けられた前輪、183は前輪182の上方を覆うフロントフェンダ、184はバーハンドル181を覆うハンドルカバー、185はハンドルカバー184に取付けられたヘッドランプ、187はスイングアーム177の後端に取付けられた後輪、188,189(手前側の符号188のみ示す。)はリヤフレーム166,167側とスイングアーム177側とにそれぞれ渡された左右一対のリヤクッションユニット、191はリヤボディカバー、192は後輪187の上方を覆うリヤフェンダである。
【0064】
盗難対策装置50は、収納ボックス173におけるヒンジ部178の近傍であるシート179の前端部に取付けられている。以下にその盗難対策装置50の取付位置を詳細に説明する。
【0065】
図12(a),(b)は本発明に係る盗難対策装置の取付位置を示す説明図(第4実施形態)である。
(a)は収納ボックス173及びシート179の前端部を示す断面図であり、シート179は、樹脂製の底板195と、この底板195に取付けられたクッション材196と、このクッション材196の表面を覆うとともに周縁が底板195の裏面周縁に取付けられた表皮197とからなる。
【0066】
底板195は、前端に上方に窪んだ前端部凹部195aが形成され、この前端部凹部195aに平坦に形成された底面195bを備え、この底面195bに図示せぬ締結部材で支持ブラケット83が取付けられ、この支持ブラケット83に第1弾性部材84を介して盗難対策装置50が弾性支持されている。
【0067】
(b)はシート179の底面図であり、シート179の底面に取付けられた盗難対策装置50を示している。
底板195の前端部の左右には収納ボックス173((a)参照)のヒンジ部178((a)参照)にスイング自在に取付けられるシート側ヒンジ(不図示)を取付けるための一対のヒンジ支持部195d,195eが一体に突出形成され、これらのヒンジ支持部195d,195eの間に盗難対策装置50が配置されている。
【0068】
以上の図1、図2に示したように、車体フレーム11の前部に操舵自在にフロントフォーク21が取付けられ、このフロントフォーク21の下端に前輪32が支持され、車体フレーム11の後部にスイング自在にスイングアーム24が取付けられ、このスイングアーム24の後端に後輪37が支持され、車体フレーム11の後部上部にシートとしてのタンデムシート26が取付けられ、自車の位置を測定可能で且つ測定された位置情報を無線送信可能な盗難対策装置50を備える自動二輪車10において、盗難対策装置50が、タンデムシート26の底面95bに対向するように配置されているので、収納ボックスを備えていない車両では、使用されていないスペースを有効利用して盗難対策装置50を設置することができる。また、図11に示した収納ボックス173を備える車両としての自動二輪車160であっても、収納ボックス173の容量を犠牲にすることなく盗難対策装置50を配置することができ、収納ボックス173内を有効利用することができる。
【0069】
また、タンデムシート26が、ライダー及びパッセンジャーの2名が前後に乗車可能に形成され、盗難対策装置50が、ライダーとパッセンジャーとの着座位置間であるタンデムシート26の車両前後方向中央部に配置されているので、盗難対策装置50を配置する空間を確保しても、ライダー及びパッセンジャーのそれぞれの着座位置のシート厚さ等を変更する必要がないため、タンデムシート26の乗り心地を損なうことなく盗難対策装置50を配置することができる。
【0070】
以上の図8、図9に示したように、シートとしてのライダーシート136及びパッセンジャーシート138では、ライダーの乗車位置がパッセンジャーの乗車位置より低い位置になるように形成され、ライダー乗車位置とパッセンジャー乗車位置との間に形成された段部154の下方に盗難対策装置50が配置されているので、段部154により、盗難対策装置50の上方のパッセンジャーシート138のシート厚さを確保することができるとともに盗難対策装置50を保護することができる。
【0071】
以上の図3、図4に示したように、盗難対策装置50よりも後方且つ車体フレーム11、詳しくはシートレール17の両側にグラブレール105の取付部としての左取付部107a、右取付部107bがそれぞれ設けられるとともに、盗難対策装置50に接続されるハーネス86,87が左取付部107a、右取付部107b間を通って車両後端側に延びているので、盗難対策装置50に接続されるハーネス86,87を、グラブレール105の左取付部107a、右取付部107b間に配置することにより、グラブレール105の左取付部107a、右取付部107b間に出来るデッドスペースであるスペース111を有効利用することができ、ハーネス86,87を配置するスペース111のために車両を大型化する必要がない。
【0072】
以上の図2に示したように、車体フレーム11の後部の上面としての後部上面81aが平坦に形成され、この後部上面81aに盗難対策装置50が第1弾性部材84を介して固定されているので、盗難対策装置50を固定する部分が平坦であるため、盗難対策装置50を固定する向きや位置が選びやすくなり、盗難対策装置50の配置自由度が増すとともに、平坦な後部上面81aに確実に且つ容易に固定することができる。
【0073】
以上の図1、図2、図4に示したように、車体フレーム11とタンデムシート26の底面95bとの間に第2弾性部材101〜103が設けられ、この第2弾性部材101〜103が盗難対策装置50の前方及び/又は後方に配置されているので、第2弾性部材101〜103で盗難対策装置50の周辺の振動を抑制できる。
【0074】
以上の図11、図12(a),(b)に示したように、シート179が、その前端又は後端の一方を支点としてのヒンジ部178にして車体側に開閉自在に取付けられるとともに、ヒンジ部178の上方に位置するシート179の底面195bに盗難対策装置50が取付けられているので、着座位置でのシート厚さを確保することができるとともに、ヒンジ部178の近傍に盗難対策装置50が配置されるため、盗難対策装置50に接続されるハーネス86,87を車体側から容易に延ばすことができる。
【0075】
以上の図1、図6(a),(b)に示したように、タンデムシート26の前方に燃料タンク22が配置され、この燃料タンク22の後部に燃料タンク22の上からタンデムシート26の前端部が重ねられた重合部94が形成され、この重合部94の燃料タンク22側に盗難対策装置50が取付けられているので、タンデムシート26の前端部で盗難対策装置50を保護することができ、また、乗員の着座位置でのシート厚さを確保した上で、タンデムシート26の前端部の重合部94に盗難対策装置50を配置することができる。更に、タンデムシート26の前端部には乗員の上下荷重が比較的作用しにくいため、シート厚さを薄くして盗難対策装置50を配置することができ、重合部94が大型になるのを防止することができる。
【0076】
また、盗難対策装置50の周辺に第3弾性部材93が配置されているので、盗難対策装置50の周辺の第3弾性部材93で盗難対策装置50を保護することができ、また、シート厚さを薄くした場合であっても第3弾性部材93によって乗り心地を確保することができる。
【0077】
以上の図1、図7に示したように、盗難対策装置50が、位置情報を検出するGPS52と、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部56とを備えるので、GPS52及び携帯電話通信部56を備える盗難対策装置50を車体に配置することで、GPS52による人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部56による位置情報の送信を行う際に、GPS52及び携帯電話通信部56の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置50の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置50を良好に作動させることができる。
【0078】
また、盗難対策装置50が、位置情報を検出するGPS52と、検出された位置情報を送信する携帯電話通信部56と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサ51と、これらのGPS52、携帯電話通信部56及び加速度センサ51を統合制御する制御部55と、これらのGPS52及び携帯電話通信部56に電力を供給する内部電源としてのバッテリ59とを1つのケース50a(図2参照)内に備えるので、GPS52及び携帯電話通信部56を備える盗難対策装置50を車体に配置することで、GPS52による人工衛星からの軌道情報の受信及び携帯電話通信部56による位置情報の送信を行う際に、GPS52及び携帯電話通信部56の上方に金属製部材が存在しないため、電波が遮られないので、送受信感度が良好になり、盗難対策装置50の配置自由度が低い自動二輪車であっても盗難対策装置50を良好に作動させることができる。
【0079】
また、盗難対策装置50を1つのケース50a内に収めるため、車両への組付け性を向上させることができる。この際、ケース50aが大型化しても、上記のような盗難対策装置50の配置構造を採用することで、車両全体の大型化を防止することができる。
【0080】
以上の図7に示したように、盗難対策装置50が、盗難を検知した場合に、エンジン20(図1参照)の始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器としてのヘッドランプ等の警報装置63を作動させて警報を発する警報機能とを有し、盗難対策装置50を車体に備える電装系統としての点火装置62、電装系統としての警報装置63に接続することにより、エンジン停止機能及び警報機能が作動可能であるので、車体に備える電装系統に盗難対策装置50を接続することにより、エンジン停止機能と警報機能とを作動させることができるため、新たな機能部品を配置したり、配線を増やしたりする必要がない。
【0081】
また、上記したように盗難対策装置50を配置することにより、車両の基本配線への盗難対策装置50の接続が、短い専用配線で済むため、車両の軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
【0082】
以上の図2〜図4に示したように、ケース50aが、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面が水平又は水平に近い状態で配置されているので、盗難対策装置50内の機能部品の配置を最適化した上で、GPS52及び携帯電話通信部56のアンテナの面積を確保することができ、送受信を良好にすることができる。
【0083】
尚、本実施形態では、図6(a)に示したように、燃料タンク22とタンデムシート26との重合部94の燃料タンク22側に盗難対策装置50を取付けたが、これに限らず、重合部94のタンデムシート26側に盗難対策装置50を取付けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の盗難対策装置は、自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0085】
10,120,160…自動二輪車、11…車体フレーム、21,131,171…フロントフォーク、22…燃料タンク、22a…タンク凹部、24,134,177…スイングアーム、26,179…シート(タンデムシート)、32,142,182…前輪、34,144,185…灯火器(ヘッドランプ)、37,147,187…後輪、50…盗難対策装置、51…加速度センサ、52…GPS、55…制御部、56…携帯電話通信部、59…内部電源(バッテリ)、62…電装系統(点火装置)、63…電装系統(警報装置)、86,87…ハーネス、93…弾性体、94…重合部、95c…シート底板の前部の凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(11)の前部に操舵自在にフロントフォーク(21)が取付けられ、このフロントフォークの下端に前輪(32)が支持され、前記車体フレームの後部にスイング自在にスイングアーム(24)が取付けられ、このスイングアームの後端に後輪(37)が支持され、車体フレームの後部上部にシート(26)が取付けられ、自車の位置を測定可能で且つ測定された位置情報を無線送信可能な盗難対策装置(50)を備える自動二輪車において、
前記盗難対策装置(50)は、前記シート(26)の底面に対向するように配置され、
前記シート(26)は、ライダー及びパッセンジャーの2名が前後に乗車可能に形成され、
前記シート(26)の前方に燃料タンク(22)が配置され、
前記燃料タンク(22)の後部に燃料タンクの上から前記シート(26)の前部が重ねられた重合部(94)が形成され、
前記重合部の燃料タンク(22)側に前記盗難対策装置(50)が取付けられている、
ことを特徴とする自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項2】
前記盗難対策装置(50)の周辺に弾性部材(93)が配置されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項3】
前記燃料タンク(22)の後部にはタンク凹部(22a)が形成され、前記盗難対策装置(50)がこの凹部(22a)に配置されていることを特徴とする請求項1又2記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項4】
前記重合部(94)には、タンク凹部(22a)の前方部と盗難対策装置(50)により第2の凹部が形成され、前記シート(26)の前端部には前記第2の凹部に係合される係合部が形成されていることを特徴とする請求項1又は3記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項5】
前記盗難対策装置(50)は、位置情報を検出するGPS(52)と、検出された前記位置情報を送信する携帯電話通信部(56)とを備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項6】
前記盗難対策装置(50)は、位置情報を検出するGPS(52)と、検出された前記位置情報を送信する携帯電話通信部(56)と、盗難時に車体に加えられた振動を検出する加速度センサ(51)と、これらのGPS、携帯電話通信部及び加速度センサを統合制御する制御部(55)と、これらのGPS及び携帯電話通信部に電力を供給する内部電源とを1つのケース(50a)内に備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項7】
前記盗難対策装置(50)は、盗難を検知した場合に、エンジンの始動を停止するエンジン停止機能と、灯火器を作動させて警報を発する警報機能とを有し、前記盗難対策装置を車体に備える電装系統に接続することにより、前記エンジン停止機能及び前記警報機能が作動可能であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の自動二輪車の盗難対策装置。
【請求項8】
前記ケース(50a)は、ボックス状に形成され、ボックスの最も大きな面が水平又は水平に近い状態で配置されていることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の自動二輪車の盗難対策装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−100098(P2013−100098A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−8714(P2013−8714)
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2008−283740(P2008−283740)の分割
【原出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)