説明

自動交互運転回路

【課題】停電時からの復電再起動時に、停電直前の運転号機にて再起動することにより、機器運転時間の平滑化を実現することが可能な自動交互運転回路を提供する。
【解決手段】1号機の運転指令を出力する1号機運転指令用キープリレー88K−P1、2号機の運転指令を出力する2号機運転指令用キープリレー88K−P2、前回運転号機保持リレーSETX−Pは、一度オン状態になるとリセットするまでオン状態を保持するキープリレーで構成され、1号機運転指令用キープリレー88K−P1および2号機運転指令用キープリレー88K−P2は、自動モードのとき、前回運転号機保持リレーSETX−Pに保持された情報を用いて、運転開始条件が成立する毎に、交互にオン状態になる。キープリレーを用いることにより、停電時からの復電再起動時に、停電直前の運転号機にて再起動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2台の負荷を交互に運転する自動交互運転回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動交互運転回路では、運転条件を満たした場合、1号機、2号機と交互に運転するが、運転号機故障にて運転号機の切替を行っていた。すなわち、故障発生時に運転号機の飛び越しを行っていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2561872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来の自動交互運転回路における制御方法では、停電時からの復電再起動時、必ず1号機から運転再開となってしまい、機器運用にあたり1号機と2号機の運転時間に格差が生じてしまう。また、特許文献1には、手動と自動との間の運転モード切替時については記載されてはいない。
【0005】
そこで本発明の目的は、停電時からの復電再起動時に、停電直前の運転号機にて再起動することにより、機器運転時間の平滑化を実現することが可能な自動交互運転回路を提供することである。
【0006】
更に、本発明の目的は、手動と自動との間の運転モード切替時に際しても、切替直前の運転号機運転継続を実現することが可能な自動交互運転回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に、本発明に係る自動交互運転回路は、一度オン状態になるとリセットするまでオン状態を保持し、第1の号機の運転指令を出力する第1のキープリレーと、一度オン状態になるとリセットするまでオン状態を保持し、第2の号機の運転指令を出力する第2のキープリレーと、一度オン状態になるとリセットするまでオン状態を保持し、オン状態で第1および第2の号機のうちの一方の号機が運転されたことを示す情報を保持し、オフ状態で第1および第2の号機のうちの他方の号機が運転されたことを示す情報を保持する第3のキープリレーとを備え、第3のキープリレーは、第1および第2のキープリレーのうちの一方のキープリレーのオン状態でオン状態になり、他方のキープリレーのオン状態でリセットされてオフ状態になるように制御され、第1および第2のキープリレーは、自動モードのとき、第3のキープリレーに保持された情報を用いて、運転開始条件が成立する毎に、交互にオン状態になるように制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動交互運転回路によれば、停電時からの復電再起動時に、停電直前の運転号機にて再起動することにより、機器運転時間の平滑化を実現することが可能となる。
【0009】
また、手動と自動との間の運転モード切替時に際しても、切替直前の運転号機運転継続を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動交互運転回路の構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動交互運転回路の構成を示すものである。この回路により、運転開始条件が成立する(例えば水位レベルが一定値以上となる)毎に、2台の負荷(例えばポンプ用のモーターなど)を交互に運転する。
【0013】
この回路には、1号機運転指令を出力する1号機運転指令用キープリレー88K−P1、2号機運転指令を出力する2号機運転指令用キープリレー88K−P2、およびON(オン)状態で1号機が運転されたことを示す情報を保持し、OFF(オフ)状態で2号機が運転されたことを示す情報を保持する前回運転号機保持リレーSETX−Pが設けられているが、これらのリレーとしては、電流が流れて一度ONとなると、リセット側(R.C)に電流が流れてリセットされてOFFとなるまでは、ON状態を保持するリレーであるキープリレーを用いる。
【0014】
また、1号機運転指令用キープリレー88K−P1のa接点がONとなることによりONとなる1号機運転用リレー88−P1、2号機運転指令用キープリレー88K−P2のa接点がONとなることによりONとなる2号機運転用リレー88−P2が設けられている。
【0015】
1号機運転用リレー88−P1のa接点が、前回運転号機保持リレーSETX−PをONとする電流経路に、また、2号機運転用リレー88−P2のa接点が、前回運転号機保持リレーSETX−Pをリセットする電流経路に接続される。
【0016】
更に、自動モードと手動モードとを切替える自動モード接点43AX−Pのa接点およびb接点が設けられ、この自動モード接点43AX−Pの自動モード側すなわちa接点側には、運転開始条件接点33−Pのa接点およびb接点が接続される。
【0017】
運転開始条件接点33−Pのa接点側には、1号機運転指令用キープリレー88K−P1をONにする電流経路に、2号機故障接点30X−P2のa接点と前回運転号機保持リレーSETX−Pのb接点との並列回路、2号機運転指令用キープリレー88K−P2のb接点、および1号機故障接点30X−P1のb接点が接続されるとともに、1号機運転指令用キープリレー88K−P1をリセットする電流経路に、1号機故障接点30X−P1のa接点が接続される。運転開始条件接点33−Pのa接点側には、さらに、2号機運転指令用キープリレー88K−P2をONにする電流経路に、1号機故障接点30X−P1のa接点と前回運転号機保持リレーSETX−Pのa接点との並列回路、1号機運転指令用キープリレー88K−P1のb接点、および2号機故障接点30X−P2のb接点が接続されるとともに、2号機運転指令用キープリレー88K−P2をリセットする電流経路に、2号機故障接点30X−P2のa接点と1号機運転用リレー88−P1のa接点との並列回路が接続される。
【0018】
また、運転開始条件接点33−Pのb接点側には、1号機運転指令用キープリレー88K−P1をリセットする電流経路に、1号機運転用リレー88−P1のa接点が接続されるとともに、2号機運転指令用キープリレー88K−P2をリセットする電流経路に、2号機運転用リレー88−P2のa接点が接続される。
【0019】
自動モード接点43AX−Pの手動モード側すなわちb接点側には、1号機運転指令用キープリレー88K−P1をONにする電流経路に1号機手動運転指令用スイッチ4X−P1のa接点が、1号機運転指令用キープリレー88K−P1をリセットする電流経路に1号機手動停止指令用スイッチ5X−P1のa接点が、2号機運転指令用キープリレー88K−P2をONにする電流経路に2号機手動運転指令用スイッチ4X−P2のa接点が、2号機運転指令用キープリレー88K−P2をリセットする電流経路に2号機手動停止指令用スイッチ5X−P2のa接点がそれぞれ接続される。
【0020】
次に、この実施形態の動作について説明する。
【0021】
(復電再起動機能および運転号機継続運転機能)
自動モード接点43AX−PがON状態で、運転開始条件接点33−P(主に水位レベルなどを用いる)がONとなった場合(例えば水位レベルが一定値以上になった場合)に、例えば、前回運転でない方の号機が2号機(SETX−Pのa接点がON状態)となり、2号機運転指令用キープリレー88K−P2がONとなり、2号機運転指令が出力され(すなわち、2号機運転指令用キープリレー88K−P2のa接点がONとなり)2号機運転用リレー88−P2がON状態となり、2号機運転となる。このとき2号機運転用リレー88−P2のa接点がONとなり、前回運転号機保持リレーSETX−Pにリセット入力が入り、前回運転号機保持リレーSETX−PがOFF状態となる。
【0022】
この状態で運転開始条件接点33−PがOFFとなる(例えば水位レベルが一定値以下に低下する)と、2号機運転指令用キープリレー88K−P2が、運転開始条件接点33−Pのb接点と2号機運転用リレー88−P2のa接点によりリセットされ、2号機の運転が停止される。
【0023】
再度、運転開始条件接点33−PがONとなる(例えば水位レベルが一定値以上になる)と、前回運転保持リレーSETX−PがOFF状態(SETX−Pのb接点がON状態)であることにより、1号機運転指令用キープリレー88K−P1がONとなり、1号機運転指令が出力され(すなわち、1号機運転指令用キープリレー88K−P1のa接点がONとなり)1号機運転用リレー88−P1がON状態となり、1号機運転となる。
【0024】
このように、i号機運転指令用リレー88K−Pi(i:1〜2)に、一度ON状態にすれば、リセットするまでON状態を保持するキープリレーを用いているため、手動モード、自動モードに関係なく、i号機運転指令用リレー88K−PiをONにする信号は、ワンショット入力で行うことができる。
【0025】
以上説明したように、前回運転保持リレーSETX−Pにキープリレーを用いているため、停電時においても前回運転号機情報を保持することが可能である。併せて、i号機運転指令用リレー88K−Pi(i:1〜2)にキープリレーを用いているため、停電状態からの復電時に停電直前の運転号機を再起動することが可能となる。さらに、運転/停止指令をワンショット入力で行っており、リセット入力を行うまでi号機運転指令用リレー88K−Pi(i:1〜2)はON状態を保持できるため、自動モードと手動モードとのモード切替を行っても、運転号機の継続運転が可能となる。
【0026】
(故障時自動飛越機能)
本実施形態の回路は、上述の機能に加えて、故障時自動飛越機能を有する。
【0027】
例えば、1号機が故障し、1号機故障接点30X−P1がONの際、1号機運転指令用キープリレー88K−P1が1号機故障接点30X−P1のa接点によりリセットされ、2号機運転用キープリレー88K−P2は1号機故障接点30X−P1のa接点によりONとなる。
【0028】
このように、1号機が故障の場合は、2号機を運転させることができ、故障時自動飛越機能を有する。
【0029】
(自動モード切替時優先号機継続運転機能)
本実施形態の回路は、上述の機能に加えて、更に、手動モードで2台運転していた状態から、自動モードに切替えた時、優先号機のみを継続運転する優先号機継続運転機能を有する。
【0030】
例えば、自動モード時に、1号機運転指令の条件、すなわち1号機運転指令用キープリレー88K−P1のONの条件として、2号運転指令用キープリレー88K−P2がONでないこと(1号機運転指令用キープリレー88K−P1をONとする電流経路の2号機運転指令キープリレー88K−P2のb接点がONであること)を条件としている。また、自動モード時に、2号機運転指令の条件、すなわち2号機運転指令用キープリレー88K−P2のONの条件として、1号運転指令用キープリレー88K−P1がONでないことを条件としている。
【0031】
また、手動モードで2台運転していた状態から、自動モードに切替えた時、例えば1号機を優先号機とした場合に、自動モードの運転開始条件接点33−Pのa接点から2号機運転指令キープリレー88K−P2のリセット側に至る電流経路の1号機運転指令用キープリレー88K−P1のa接点がONとなっているため、2号機運転指令キープリレー88K−P2がリセットされてOFFとなる。従って、2号機は停止するが、1号機運転指令用キープリレー88K−P1は、ON状態を継続するので、そのまま1号機の運転を継続する。
【0032】
このような回路構成により、自動モード時に、2台起動状態を防ぐことが可能となる。また、優先号機を設定しておくことで、手動モードで自動モード接点43AX−Pのb接点がONの際に2台起動し、自動モードに切替え自動モード接点43AX−Pのa接点がONとなった際に、優先号機である1号機を運転継続し、優先号機でない2号機を自動停止することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
88K−P1…1号機運転指令用キープリレー
88K−P2…2号機運転指令用キープリレー
SETX−P…前回運転号機保持リレー
88−P1…1号機運転用リレー
88−P2…2号機運転用リレー
43AX−P…自動モード接点
33−P…運転開始条件接点
30X−P1…1号機故障接点
30X−P2…2号機故障接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一度オン状態になるとリセットするまでオン状態を保持し、第1の号機の運転指令を出力する第1のキープリレーと、一度オン状態になるとリセットするまでオン状態を保持し、第2の号機の運転指令を出力する第2のキープリレーと、一度オン状態になるとリセットするまでオン状態を保持し、オン状態で前記第1および第2の号機のうちの一方の号機が運転されたことを示す情報を保持し、オフ状態で前記第1および第2の号機のうちの他方の号機が運転されたことを示す情報を保持する第3のキープリレーとを備え、前記第3のキープリレーは、前記第1および第2のキープリレーのうちの一方のキープリレーのオン状態でオン状態になり、他方のキープリレーのオン状態でリセットされてオフ状態になるように制御され、前記第1および第2のキープリレーは、自動モードのとき、前記第3のキープリレーに保持された情報を用いて、運転開始条件が成立する毎に、交互にオン状態になるように制御されることを特徴とする自動交互運転回路。
【請求項2】
前記第1および第2のキープリレーは、前記第1および第2の号機のうちの一方の号機が故障している場合に、故障していない号機の運転指令を出力するキープリレーがオン状態となるように切替えられることを特徴とする請求項1に記載の自動交互運転回路。
【請求項3】
手動モードで第1および第2のキープリレーがともにオン状態で前記第1および第2の号機の2台が運転されている状態から、自動モードに切替えられたとき、前記第1および第2の号機のうちの優先号機のみが運転継続されるように、前記第1および第2のキープリレーのうちの一方のキープリレーがリセットされ、他方のキープリレーのみがオン状態となるように制御されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動交互運転回路。

【図1】
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