説明

自動充填装置

【課題】自動充填機において比較的大容量である液体の被包装物を間歇的に充填する場合の液切れが良く、従って、製袋速度を速くして作業能率の向上を図るとともに充填時に包装フィルムに皺を発生させる心配のない充填装置を提供する。
【解決手段】充填ノズル10が基端に被包装物の供給管15への接続部101を有する水平管部11と水平管部11に連続して下方へ屈曲した袋体への差込部12とからなる全体が逆L形で、水平管部11が少なくとも3本の小径管に分岐しているとともに、差込部12が分岐した各小径管が互いに水平管部11の軸線方向へ一列に並設するように集合配置されているものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動充填装置、特に充填物を充填する個所に特徴を有する自動充填装置に関するものである。
【0002】
従来、巻き取りロールから繰り出した包装用フィルムを軸方向に2つ折りにした状態で連続的な縦シールと間歇的な横シールを行うとともに間歇的な横シールとにより順次、袋状体を形成し、その過程で形成される製袋時に上方に形成される開口部に差し込んだ下向きL形の充填ノズルにより例えば液体や粘稠体の被包装物(充填物)を順次間歇的に充填、シールする自動充填装置が知られており、例えば特開平6−135416号公報などに提示されている。
【0003】
ところで、前記連続して包装袋を形成する充填装置において、形袋への被包装物の充填に要する時間は全体の作業時間に占める割合が大きい。そのため、比較的大きな容量(例えば30〜80cc程度)の被袋充填を行う場合にはノズル口径を拡大することにより充填時間の短縮を図っている。
【0004】
しかしながら、被包装物への充填は間歇的にする必要があり、大口径の充填ノズルを用いると被包装物の充填止したときに充填ノズルにおけるノズルの吐出口からの液切れの時間が長くなるという問題がある。
【0005】
そこで、特開2005−8230号公報に提示されているようサックバック機能(逆転させて表面張力で液垂れを防止する)を用いた充填装置が開示されているが、複雑な機構を必要とする割には被包装物によっては充分な液切れ効果が得られない。また、例えば特開平6−135416号公報や特開平8−282630号公報にノズルの吐出口にシャッターや弁機構を設けた充填ノズルが提示されているがこれらのノズルは構成が複雑で製造が困難であるばかりか制御や清浄などもきわめて困難である。また、ノズルの口径と先端に交換可能に配置した口径の異なる吐出口機構を備えた充填ノズルも特開2006−8194号公報に提示されているが、被包装物によって吐出口機構を複数個備える必要がある。更に、前記何れの充填ノズルも大径の1つのノズル口を有していることから充填時に製袋時に包装用フィルムに皺が発生し易くなるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開平6−135416号公報
【特許文献2】特開2005−8230号公報
【特許文献3】特開平8−282630号公報
【特許文献4】特開2006−8194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、自動充填機において比較的大容量である液体の被包装物を間歇的に充填する場合の液切れが良く、従って、製袋速度を速くして作業能率の向上を図るとともに充填時に包装フィルムに皺を発生させる心配のない充填装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためになされた本発明である充填装置は、充填ノズルが基端に被包装物の供給管への接続部を有する水平管部と前記水平管部に連続して下方へ屈曲した袋体への差込管部とからなる全体が逆L形で、前記水平管部が少なくとも3本の小径管に分岐しているとともに、前記差込部が前記分岐した各小径管が互いに前記水平管部の軸線方向へ一列に並設するように集合配置されていることを特徴とする。
【0009】
このように本発明によれば、充填ノズルを少なくとも3本以上の小径管に分岐したことにより、各ノズルの口径を小さくしてあるので、大口径のノズル口において生じるような間歇充填時の被包装物の液垂れによる液切れ不良を生じることがなく、一方、3本以上のノズル口から一度に多量の被包装物を充填できることから短時間で大容量の被包装物を充填することができる。
【0010】
また、本発明において、充填ノズルに接続される被包装物を搬送するポンプとしてモーノポンプを用いることにより、通常のロータリーポンプでは不可能なサックバック機能を併有させることができるばかりか、ピストンポンプでは不可能な連続充填も行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、比較的大容量である液体の被包装物を間歇的に充填する場合の液切れが良く、製袋速度を速くして作業能率の向上を図るとともに充填時に包装フィルムに皺を発生させる心配のない充填装置を提供することができる。特に、充填ノズルに複雑な機構を組み込むことを必要とせず、保守や洗浄も容易であるとともに複雑な制御も不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、添付した図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施の形態につき説明する。
【0013】
図1は本発明である自動充填装置の概略を示すものであり、自動充填装置2は従来のものと同様に、ケース内に配置した巻き取りロール3に巻回した長尺の包装用フィルムFをその上方に配置した案内装置4により連続的に取り出し、フイルム折り返し装置5において両縁を折り重ねて縦シール装置6により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともにノッチ形成機7により側縁シール部にノッチを形成して、次いで、横シール装置8により包装用フィルムFを横方向にシールして充填装置1により被包装物(充填物)を充填して後、更に、横シール装置8により開口部を封着して形成した連続した包装袋をカッター装置9により切断して分離し、包装袋を自動的に連続して形成するものである。
【0014】
そして、前記充填装置1に用いられる充填ノズル10は、例えば前記折り返し装置5に連設して支持され、前記袋状となる包装フィルムの幅方向(図1における左右方向)に延びる水平管部11とその先端において垂直方向に屈曲した差込部12からなる全体がほぼ下向きの逆L字形をしており、ノズルスタンド13に付設されたホルダー14により保持されている。
【0015】
図2乃至図6は本実施の形態における充填ノズル10の更に詳細を示すものであり、基端に被包装物を供給する供給管15(図1参照)への接続部101を有する水平管部11は3本の小径管101a,101b,101cに分岐しているとともに屈曲後の差込部12において前記分岐した各小径管101a,101b,101cが互いに前記水平管部11の軸線方向(図5に示す矢印X方向)へ一列に並設するように集合配置されている。
【0016】
また、前記水平管部11の一列に並設する集合配置される各小径管101a,101b,101cは先端部付近において互いに隣接するもの同士が溶接102により固定されて一体化されている。
【0017】
尚、本実施の形態では、供給管15からの接続部101における口径が例えば通常の充填ノズル(図示せず)と同じ20mm程度であって、分岐した小径管101a,101b,101cの口径が8mm程度であるが、特にこれらに限定されるものでなく、使用する被包装物に応じて定める。
【0018】
また、本実施の形態は、前記小径管101a,101b,101cは小径管101aを上方に配置するとともに小径管101b,101cをそれぞれ斜め下方に対向して配置した各中心位置が正三角形となるように配置されているとともに(図4参照))、前記上方に配置した小径管101aを最外側になるように屈曲されているので無理なく集合することができる。
【0019】
このような充填ノズル10を有する本実施の形態は、従来と同様にして使用するものであり、包装袋への差込部12が小径管101a,101b,101cにより形成されているのでそれぞれ一本当たりの液切れが良いので製袋速度を速くして作業能率の向上を図ることができる。
【0020】
また、小径管101a,101b,101cにより同時に充填するので単位時間当たりの充填容量も充分である。また、差込部12は小径管101a,101b,101cの幅であることから大径の1つのノズル口を有している場合のように充填時に製袋時に包装用フィルムに皺が発生するという心配もない。
【0021】
更に、本実施の形態では、充填ノズルに接続される被包装物を搬送するポンプとしてモーノポンプを用いることにより(図示せず)、通常のロータリーポンプでは不可能なサックバック機能を併有させることができるので更に液切れがよくなるばかりか、ピストンポンプでは不可能な連続充填も行うことができる。
【0022】
図7乃至図9は本発明における充填ノズルの異なる実施の形態を示すものであり、包装袋への差込部12が小径管101a,101b,101c,101dの4本により形成されている点が異なる。本実施の形態では前記実施の形態に比べて分岐数が多く、更に高速での充填が可能であり、また、更に幅狭に形成することができる。
【0023】
尚、本発明は少なくとも3本の小径管に分岐している場合に有効であるが例えば6本程度を越えると構成が複雑となるとともに幅が広くなりすぎて差し込み不可能になるので3または4本程度に小管に分岐した場合が都合がよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明である自動充填装置の正面概略図。
【図2】図1に示した自動充填装置に用いられている充填ノズルを示す斜視図。
【図3】図2に示した充填ノズルの一部を省略した拡大正面図。
【図4】図3の側面図。
【図5】図3の平面図。
【図6】図3のY−Y線に沿う断面図。
【図7】異なる充填ノズルの実施の形態を示す一部を省略した斜視図。
【図8】図7に示した実施の形態の拡大側面図。
【図9】図7に示した実施の形態の拡大正面図。
【符号の説明】
【0025】
1 自動充填装置、10 充填ノズル、11 水平管部、12 差込部、15 供給管、101 接続部、101a,101b,101c,101d 小径管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填ノズルが基端に被包装物の供給管への接続部を有する水平管部と前記水平管部に連続して下方へ屈曲した袋体への差込管部とからなる全体が逆L形で、前記水平管部が少なくとも3本の小径管に分岐しているとともに、前記差込部が前記分岐した各小径管が互いに前記水平管部の軸線方向へ一列に並設するように集合配置されていることを特徴とする自動充填装置。
【請求項2】
充填ノズルに接続される被包装物を搬送するポンプとしてモーノポンプを用いることを特徴とする請求項1記載の自動充填装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−105721(P2010−105721A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281406(P2008−281406)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(502310841)株式会社ケイパック (6)
【出願人】(390037707)オーエスマシナリー株式会社 (15)
【Fターム(参考)】