説明

自動分析装置の障害解析支援方法、自動分析装置、および自動分析装置の障害解析支援用プログラム

【課題】自動分析装置における障害の発生原因を迅速かつ適確に特定することを可能にする。
【解決手段】当該装置に発生した障害に関する情報を記録するアラームログ、当該装置に施された操作に関する情報を記録する操作ログ、当該装置内で通信された情報を記録する通信ログ、および当該装置による分析結果の異常に関する情報を記録する分析異常ログを記憶する記憶部を備え、アラームログ、操作ログ、通信ログ、および分析異常ログの各々に含まれる少なくとも一部のレコードを結合することによって一つの結合ファイルを作成し、この結合ファイルに記録されているレコードの中で障害の発生原因と関連し得るレコードを検索し、検索の結果、障害の発生原因と関連し得るレコードが存在する場合、結合ファイルの中で当該装置が再現すべきレコードの指定入力を受け、指定入力されたレコードと同じ内容のオペレーションを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬とを用いて前記検体の分析を行う自動分析装置に発生した障害の解析を支援する自動分析装置の障害解析支援方法、自動分析装置、および自動分析装置の障害解析支援用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検体と試薬とを用いてその検体の分析を行う自動分析装置では、障害が発生した場合にその発生原因を特定する障害解析を行う。このような障害解析を行うための一般的な技術として、クライアント・サーバシステムにおけるデータベースに障害が発生した場合、このデータベースへのクライアントからのアクセスログを記録するアクセスログ記録部と、障害の発生原因である可能性が高いログレコードを記録する障害ログレコード記録部と、を備えたサーバ(障害発生原因分析装置)に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−263353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術を自動分析装置における障害解析に適用する場合には、当該装置に発生した障害に関する情報を記録するアラームログ、当該装置に施された操作に関する情報を記録する操作ログ、当該装置内で通信された情報を記録する通信ログ、および当該装置が求めた分析結果の異常に関する情報を記録する分析異常ログを検索対象として障害の発生原因を特定する。ところが、この場合には、各ログファイルの検索結果を比較しながら障害解析を行うため、発生原因を特定するまでにに時間がかかってしまうという問題があった。また、障害の発生原因が装置の不具合に起因するものか、オペレータの誤操作に起因するものかの判別がつきにくく、障害の発生原因を特定すること自体が困難な場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、障害の発生原因を迅速かつ適確に特定することを可能にする自動分析装置の障害解析支援方法、自動分析装置、および障害解析支援用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1記載の発明は、検体と試薬とを用いて前記検体の分析を行う自動分析装置に発生した障害の解析を支援する自動分析装置の障害解析支援方法であって、当該装置に発生した障害に関する情報を記録するアラームログ、当該装置に施された操作に関する情報を記録する操作ログ、当該装置内で通信された情報を記録する通信ログ、および当該装置が求めた分析結果の異常に関する情報を記録する分析異常ログを記憶する記憶部を備えた前記自動分析装置が、前記アラームログ、前記操作ログ、前記通信ログ、および前記分析異常ログを前記記憶部から読み出し、この読み出した各々のログに含まれるレコードのうち少なくとも一部のレコードを結合することによって一つの結合ファイルを作成する結合ファイル作成ステップと、前記結合ファイル作成ステップで作成した結合ファイルに記録されているレコードの中で障害の発生原因と関連し得るレコードを検索する検索ステップと、前記検索ステップで検索した結果、前記障害の発生原因と関連し得るレコードが存在する場合、前記結合ファイルの中で当該装置が再現すべきレコードの指定入力を受けるレコード指定入力ステップと、前記レコード指定入力ステップで指定入力されたレコードを前記記憶部から読み出して取得し、この取得したレコードと同じ内容のオペレーションを実行するオペレーション実行ステップと、を少なくとも行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記結合ファイル作成ステップは、前記アラームログ、前記操作ログ、前記通信ログ、および前記分析異常ログにそれぞれ含まれるレコードのうち少なくとも一部のレコードを記録日時順に並べて結合することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記結合ファイル作成ステップで作成した結合ファイルに記録されているレコードの中で前記障害の発生原因と関連し得るレコードを検索するための検索条件の入力を受ける検索条件入力ステップを有し、前記検索ステップは、前記検索条件入力ステップで入力された検索条件に基づいて障害の発生原因と関連し得るレコードの検索を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、検体と試薬とを用いて前記検体の分析を行う自動分析装置であって、当該装置に発生した障害に関する情報を記録するアラームログ、当該装置に施された操作に関する情報を記録する操作ログ、当該装置内で通信された情報を記録する通信ログ、および当該装置が求めた分析結果の異常に関する情報を記録する分析異常ログを記憶する記憶手段と、前記アラームログ、前記操作ログ、前記通信ログ、および前記分析異常ログを前記記憶手段から読み出し、この読み出した各々のログに含まれるレコードのうち少なくとも一部のレコードを結合することによって一つの結合ファイルを作成する結合ファイル作成手段と、前記結合ファイル作成手段で作成した結合ファイルに記録されているレコードの中で障害の発生原因と関連し得るレコードを検索する検索手段と、前記検索手段で検索した結果、前記障害の発生原因と関連し得るレコードが存在する場合、前記結合ファイルの中で当該装置が再現すべきレコードの指定入力を受けるレコード指定入力手段と、前記レコード指定入力手段で指定入力されたレコードを前記記憶手段から読み出して取得し、この取得したレコードと同じ内容のオペレーションを実行するオペレーション実行手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記結合ファイル作成手段は、前記アラームログ、前記操作ログ、前記通信ログ、および前記分析異常ログにそれぞれ含まれるレコードのうち少なくとも一部のレコードを記録日時順に並べて結合することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の発明において、前記結合ファイル作成手段で作成した結合ファイルに記録されているレコードの中で前記障害の発生原因と関連し得るレコードを検索するための検索条件の入力を受ける検索条件入力手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明に係る自動分析装置の障害解析支援用プログラムは、請求項1〜3のいずれか一項記載の自動分析装置の障害解析支援方法を前記自動分析装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、当該装置に発生した障害に関する情報を記録するアラームログ、当該装置に施された操作に関する情報を記録する操作ログ、当該装置内で通信された情報を記録する通信ログ、および当該装置による分析結果の異常に関する情報を記録する分析異常ログを記憶する記憶部を備え、アラームログ、操作ログ、通信ログ、および分析異常ログの各々に含まれる少なくとも一部のレコードを結合することによって一つの結合ファイルを作成し、この結合ファイルに記録されているレコードの中で障害の発生原因と関連し得るレコードを検索し、検索の結果、障害の発生原因と関連し得るレコードが存在する場合、結合ファイルの中で当該装置が再現すべきレコードの指定入力を受け、指定入力されたレコードと同じ内容のオペレーションを実行することにより、障害の発生原因を迅速かつ適確に特定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以後、実施の形態と称する)を説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置要部の機能構成を模式的に示す図である。同図に示す自動分析装置1は、検体(試料)および試薬を反応容器にそれぞれ分注し、その反応容器内で生じる反応を光学的に測定する測定機構11と、この測定機構11を含む自動分析装置1の制御を行うとともに測定機構11における測定結果の分析を行う制御分析機構21とを有し、これら二つの機構が連携することによって複数の検体の成分の生化学的な分析を自動的かつ連続的に行う。
【0015】
測定機構11は、検体を収容する検体容器31が搭載された複数のラック32を収納して順次移送する検体移送部12と、試薬容器41を保持する試薬容器保持部13と、検体と試薬とを収容して反応させる反応容器51を保持する反応容器保持部14と、検体移送部12上の検体容器31に収容された検体を反応容器51に分注する検体分注部15と、試薬容器保持部13上の試薬容器41に収容された試薬を反応容器51に分注する試薬分注部16と、反応容器51の内部に収容された液体(微量の固体成分を含み得る)を攪拌する攪拌部17と、光源から照射されて反応容器51内を通過した光を受光して所定の波長成分の強度等を測定する測光部18と、反応容器51の洗浄を行う洗浄部19とを備える。
【0016】
制御分析機構21は、検体の分析に必要な情報や自動分析装置1の動作を指示する情報などの入力を受ける入力部22と、検体の分析に関する情報や自動分析装置1の動作に関する情報などを出力する出力部23と、測定機構11における測定結果に基づいて検体の成分の分析を行う分析部24と、検体の分析に関する情報や自動分析装置1の動作に関する情報などを記憶する記憶部25とを備える。また、制御分析機構21は、自動分析装置1に発生した障害、オペレータによる操作、測定機構11との通信、および分析結果の異常をそれぞれ記録した4つのログファイルの少なくとも一部のレコードを結合することによって一つの結合ファイルを作成する結合ファイル作成部26と、結合ファイル作成部26で作成した結合ファイルに記録されているレコードの中で障害の発生原因と関連し得るレコードを検索する検索部27と、検索部27で検索した結果に応じて指定されたレコードと同じ内容のオペレーションを自動的に実行するオペレーション実行部28と、自動分析装置1の動作制御や各種演算を行う制御部29とを備える。
【0017】
入力部22は、キーボードやマウスを有しており、結合ファイル作成部26で作成した結合ファイルに記録されているレコードの中で障害の発生原因と関連し得るレコードを検索するための検索条件の入力、および結合ファイルの中で自動分析装置1が再現すべきレコードの指定入力を受ける。この意味で、入力部22は、検索条件入力手段およびレコード指定入力手段の少なくとも一部の機能を具備している。なお、入力部22は、トラックボールやトラックパッドなどのポインティングデバイスや音声入力用のマイクロフォンなどのユーザインターフェースをさらに具備してもよい。
【0018】
出力部23は、液晶、プラズマ、有機EL(Electroluminescence)、CRT等のディスプレイによって実現される表示部231を有する。この表示部231では、結合ファイル作成部26で作成した結合ファイル、検体の分析に関する情報、および自動分析装置1が行う動作を利用者が選択するためのメニューなどを表示する。なお、出力部23は、音声出力用のスピーカや、紙などに情報を印刷して出力するプリンタをさらに具備してもよい。
【0019】
記憶部25は、自動分析装置1に発生した障害に関する情報を記録するアラームログを記憶するアラームログ記憶部251と、自動分析装置1に施された操作に関する情報を記録する操作ログを記憶する操作ログ記憶部252と、自動分析装置1の内部(より具体的には、測定機構11と制御分析機構21との間)で通信された情報を記録する通信ログを記憶する通信ログ記憶部253と、自動分析装置1が行う分析に関する各種情報を記憶する分析情報記憶部254と、結合ファイル作成部26で作成した結合ファイルを記憶する結合ファイル記憶部255とを有する。このうち、分析情報記憶部254が記憶する情報は、分析項目、分析項目毎の分析パラメータ、分析結果、および分析結果の異常を記録した分析異常ログなどである。
【0020】
記憶部25は、さまざまな情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理に係るプログラムをハードディスクからロードして電気的に記録するメモリとを用いて実現される。このプログラムには、本実施の形態に係る自動分析装置の障害解析支援方法(後述)を自動分析装置1に実行させる障害解析支援用プログラムも含まれる。また、記憶部25は、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、MOディスク、PCカード、xDピクチャーカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された情報を読み取る補助記憶装置を具備してもよく、そのような記録媒体に対して前記障害解析支援用プログラムを記録しておくことも可能である。
【0021】
結合ファイル作成部26は、アラーム、操作ログ、通信ログ、および分析異常ログに記録されているレコードのうち、少なくとも一部のレコードを記録日時順に並べることによって一つの結合ファイルを作成する。この結合ファイルは、オペレーション実行部28で自動的に実行することが可能なファイル形式を有している。
【0022】
制御部29は、入力部22で入力された操作信号に基づいて自動分析装置1の動作制御を行うとともに、アラームログ、操作ログ、通信ログ、および分析異常ログを記憶部25内の所定の記憶領域(アラームログ記憶部251、操作ログ記憶部252、通信ログ記憶部253、および分析情報記憶部254)にそれぞれ書き込んで記録する機能を有しており、CPU(Central Processing Unit)等を用いて実現される。
【0023】
なお、制御分析機構21において、結合ファイル作成部26は、結合ファイル作成手段の少なくとも一部の機能を有している。同様に、検索部27は検索手段の少なくとも一部の機能を有し、オペレーション実行部28はオペレーション実行手段の少なくとも一部の機能を有している。
【0024】
以上の機能構成を有する制御分析機構21は、一または複数のコンピュータを用いて実現される。このうち、制御分析機構21が複数のコンピュータを用いて実現される場合には、制御分析機構21が有する各機能を異なるコンピュータに適宜分散し、コンピュータ同士を直接的に接続するか、または通信ネットワーク(インターネット、イントラネット、専用回線網、LAN、電話網、等)を介して相互に接続すればよい。このように複数のコンピュータを用いる場合には、例えば障害解析支援に係る処理を行う機能(結合ファイル作成部26、検索部27、およびオペレーション実行部28を含む)を自動分析装置1のメーカ側のコンピュータに具備させることにより、メーカ側で障害解析を行うことが可能となる。
【0025】
制御分析機構21では、測定機構11の測光部18から検体の分析に係る測定結果を受信すると、分析部24が測定対象である検体の分析情報(分析項目、分析パラメータ等)を分析情報記憶部254から読み出し、測定結果の分析演算を行う。この分析演算においては、測光部18から送られてくる測定結果に基づいて反応液の吸光度を算出し、この算出結果に加えて標準検体から得られる検量線や分析情報に含まれる分析パラメータを用いることにより、反応液の成分等を定量的に求める。このようにして得られた分析結果は、出力部23から出力される(表示部231での表示を含む)一方、分析情報記憶部254に書き込まれて記憶される。
【0026】
図2は、本実施の形態に係る自動分析装置の障害解析支援方法の概要を示すフローチャートである。以下に説明する自動分析装置の障害解析支援方法を実行するにあたっては、その実行に先立って、アラームログ、操作ログ、通信ログ、および分析異常ログがそれぞれ蓄積され、記憶部25で記憶されているものとする。
【0027】
入力部22を介してオペレータから障害解析支援処理の開始を指示する動作指示信号の入力を受けた自動分析装置1は、結合ファイル作成部26において結合ファイルを作成する(ステップS1)。この際には、アラームログ、操作ログ、通信ログ、および分析異常ログを、アラームログ記憶部251、操作ログ記憶部252、通信ログ記憶部253、および分析情報記憶部254からそれぞれ読み出す。そして、読み出した各ログファイルに記録されているレコードのうち結合対象であるレコードを記録日時順に並べて結合することによって一つの結合ファイルを作成する。この結合ファイルは、表示部231で表示されるとともに、結合ファイル記憶部255に書き込まれて記録される。このステップS1で結合対象とするレコードは、例えばレコードの記録日時(の範囲)をオペレータが入力部22から指定入力することによって設定すればよい。
【0028】
図3は、ステップS1で作成された結合ファイルの構成例を示す図である。同図に示す結合ファイル61は、2005年8月8日12時00分に「分析開始」されてから、2005年8月8日12時15分に「分析終了」されるまでのアラームログ、操作ログ、通信ログ、分析異常ログを記録日時順に並べて結合することによって作成されたものである。この結合ファイル61には、前述した分析開始/終了のレコードに加えて、2005年8月8日12時3分に発生した操作ログ(「試薬Aチェック」)、2005年8月8日12時4分に順次発生した通信ログ(「プローブ位置」、「残量チェック」、「IDチェック」)、2005年8月8日12時8分に発生した装置エラーに関するレコード(「装置エラー発生」)と、2005年8月8日12時11分に発生した分析結果の異常に関するレコード(「分析結果異常」)とが含まれている。この図3において、破線はレコードの記載を省略した箇所であることを示している。
【0029】
結合ファイルを見たオペレータは、表示されているレコードの中から障害の発生原因と関連し得るレコードを検索するための検索条件を入力部22から入力する(ステップS2)。ここで入力する検索条件としては、例えば「装置エラー発生」や「分析結果異常」などの具体的なレコードの内容でもよい。また、障害の発生時間がある程度予測できる場合には、記録日時(の範囲)を検索条件としてもよい。この後、検索部27では、入力された検索条件に基づいたレコードの検索を行う(ステップS3)。
【0030】
なお、ステップS2で検索条件を入力する代わりに、予め検索条件を設定しておいてもよい。この場合には、ステップS1で結合ファイルが作成された後、上記ステップS2を経ることなく、検索部27が所定の検索条件に基づくレコードの検索(ステップS3)を行うことになる。
【0031】
ステップS3における検索の結果、検索条件に適合するレコードがあった場合(ステップS4でYes)、オペレータは、障害の発生原因を特定するために自動分析装置1で再現すべき結合ファイル中のレコードを指定入力する(ステップS5)。この際には、オペレータによって指定入力された結合ファイル中のレコードにフラグを立てるなどして、指定されたレコードのみが実行可能な形式となるようにする。
【0032】
続いて、オペレーション実行部28では、ステップS5で指定入力されたレコードを結合ファイル記憶部255から読み出して取得し、この取得したレコードと同じ内容のオペレーションを自動的に実行する(ステップS6)。オペレータは、この自動オペレーションに基づく自動分析装置1の動作を監視し、障害の発生原因の特定を図る。この際には、出力部23(特に表示部231)から出力される情報や自動分析装置1の各部位の動作などを目視し、障害が発生する状況が再現されるか否かを監視する。
【0033】
上述したステップS6における自動オペレーションの結果、オペレータによって障害の発生原因が特定された場合(ステップS7でYes)には、オペレータが障害解析支援処理を終了するための動作指示信号を入力部22から入力し、一連の処理を終了する。これに対して、障害の発生原因が特定されなかった場合(ステップS7でNo)、オペレータは別な観点から検索条件を再入力(ステップS2)し、処理を続行する。
【0034】
ここまで、ステップS4で検索条件に適合するレコードがあった場合を説明してきたが、ステップS4で検索条件に適合するレコードがなかった場合(ステップS4でNo)には、出力部23で「レコードなし」のメッセージを出力する(ステップS8)。あわせて、処理を続行するか否かの判断をオペレータに促すメッセージを出力する。その後、処理を続行するための動作指示信号が入力部22から入力された場合(ステップS9でYes)には、ステップS2に戻って検索条件の再入力を受ける。他方、処理を中断するための動作指示信号が入力部22から入力された場合(ステップS9でNo)には、一連の障害解析支援処理を終了する。
【0035】
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、当該装置に発生した障害に関する情報を記録するアラームログ、当該装置に施された操作に関する情報を記録する操作ログ、当該装置内で通信された情報を記録する通信ログ、および当該装置による分析結果の異常に関する情報を記録する分析異常ログを記憶する記憶部を備え、アラームログ、操作ログ、通信ログ、および分析異常ログの各々に含まれる少なくとも一部のレコードを結合することによって一つの結合ファイルを作成し、この結合ファイルに記録されているレコードの中で障害の発生原因と関連し得るレコードを検索し、検索の結果、障害の発生原因と関連し得るレコードが存在する場合、結合ファイルの中で当該装置が再現すべきレコードの指定入力を受け、指定入力されたレコードと同じ内容のオペレーションを実行することにより、障害の発生原因を迅速かつ適確に特定することが可能となる。
【0036】
なお、本発明は上記一実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、本発明に係る自動分析装置の測定機構は、図1に示すような構成を有するものに限られるわけではなく、従来知られているさまざまなタイプの自動分析装置の測定機構(検体の免疫学的または遺伝学的な分析を含む)を適用することが可能である。
【0037】
このように、本発明は、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置要部の機能構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の障害解析支援方法の概要を示すフローチャートである。
【図3】結合ファイルの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 自動分析装置
11 測定機構
12 検体移送部
13 試薬容器保持部
14 反応容器保持部
15 検体分注部
16 試薬分注部
17 攪拌部
18 測光部
19 洗浄部
21 制御分析機構
22 入力部
23 出力部
24 分析部
25 記憶部
26 結合ファイル作成部
27 検索部
28 オペレーション実行部
29 制御部
31 検体容器
32 ラック
41 試薬容器
51 反応容器
61 結合ファイル
231 表示部
251 アラームログ記憶部
252 操作ログ記憶部
253 通信ログ記憶部
254 分析情報記憶部
255 結合ファイル記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬とを用いて前記検体の分析を行う自動分析装置に発生した障害の解析を支援する自動分析装置の障害解析支援方法であって、
当該装置に発生した障害に関する情報を記録するアラームログ、当該装置に施された操作に関する情報を記録する操作ログ、当該装置内で通信された情報を記録する通信ログ、および当該装置が求めた分析結果の異常に関する情報を記録する分析異常ログを記憶する記憶部を備えた前記自動分析装置が、
前記アラームログ、前記操作ログ、前記通信ログ、および前記分析異常ログを前記記憶部から読み出し、この読み出した各々のログに含まれるレコードのうち少なくとも一部のレコードを結合することによって一つの結合ファイルを作成する結合ファイル作成ステップと、
前記結合ファイル作成ステップで作成した結合ファイルに記録されているレコードの中で障害の発生原因と関連し得るレコードを検索する検索ステップと、
前記検索ステップで検索した結果、前記障害の発生原因と関連し得るレコードが存在する場合、前記結合ファイルの中で当該装置が再現すべきレコードの指定入力を受けるレコード指定入力ステップと、
前記レコード指定入力ステップで指定入力されたレコードを前記記憶部から読み出して取得し、この取得したレコードと同じ内容のオペレーションを実行するオペレーション実行ステップと、
を少なくとも行うことを特徴とする自動分析装置の障害解析支援方法。
【請求項2】
前記結合ファイル作成ステップは、
前記アラームログ、前記操作ログ、前記通信ログ、および前記分析異常ログにそれぞれ含まれるレコードのうち少なくとも一部のレコードを記録日時順に並べて結合することを特徴とする請求項1記載の自動分析装置の障害解析支援方法。
【請求項3】
前記結合ファイル作成ステップで作成した結合ファイルに記録されているレコードの中で前記障害の発生原因と関連し得るレコードを検索するための検索条件の入力を受ける検索条件入力ステップを有し、
前記検索ステップは、前記検索条件入力ステップで入力された検索条件に基づいて障害の発生原因と関連し得るレコードの検索を行うことを特徴とする請求項1または2記載の自動分析装置の障害解析支援方法。
【請求項4】
検体と試薬とを用いて前記検体の分析を行う自動分析装置であって、
当該装置に発生した障害に関する情報を記録するアラームログ、当該装置に施された操作に関する情報を記録する操作ログ、当該装置内で通信された情報を記録する通信ログ、および当該装置が求めた分析結果の異常に関する情報を記録する分析異常ログを記憶する記憶手段と、
前記アラームログ、前記操作ログ、前記通信ログ、および前記分析異常ログを前記記憶手段から読み出し、この読み出した各々のログに含まれるレコードのうち少なくとも一部のレコードを結合することによって一つの結合ファイルを作成する結合ファイル作成手段と、
前記結合ファイル作成手段で作成した結合ファイルに記録されているレコードの中で障害の発生原因と関連し得るレコードを検索する検索手段と、
前記検索手段で検索した結果、前記障害の発生原因と関連し得るレコードが存在する場合、前記結合ファイルの中で当該装置が再現すべきレコードの指定入力を受けるレコード指定入力手段と、
前記レコード指定入力手段で指定入力されたレコードを前記記憶手段から読み出して取得し、この取得したレコードと同じ内容のオペレーションを実行するオペレーション実行手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
前記結合ファイル作成手段は、
前記アラームログ、前記操作ログ、前記通信ログ、および前記分析異常ログにそれぞれ含まれるレコードのうち少なくとも一部のレコードを記録日時順に並べて結合することを特徴とする請求項4記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記結合ファイル作成手段で作成した結合ファイルに記録されているレコードの中で前記障害の発生原因と関連し得るレコードを検索するための検索条件の入力を受ける検索条件入力手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4または5記載の自動分析装置。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか一項記載の自動分析装置の障害解析支援方法を前記自動分析装置に実行させることを特徴とする自動分析装置の障害解析支援用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−2898(P2008−2898A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171610(P2006−171610)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】