説明

自動分析装置

【課題】
生体試料を用いた臨床検査の分野において、サンプルの希釈をはじめとするサンプル前処理の処理能力を低下させないための前処理システムおよびその動作方法を提供する。
【解決手段】
前処理サイクルと前処理されたサンプルを次工程の分析部に移送する2工程で構成する。一つ目の工程は、1ステップごとに動作位置が移動し順次検体を前処理動作が進められていくAサイクルとする。二つ目の工程は、前処理されたサンプルを前処理容器から分析部の反応ディスク上の反応容器へ移送するBサイクルとする。二つの工程を独立に制御させることにより、一連の希釈動作を停止することなく再サンプリングを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液,尿などの生体試料の定性,定量分析を行う自動分析装置に係り、特に希釈等の試料の分析前処理を行う検体前処理機構を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液,尿などの生体試料の定性,定量分析を行う自動分析装置においては、試料の濃度が高い場合、測定器のダイナミックレンジをオーバーして測定結果が得られない場合がある。そのような場合、試料を希釈した上で再度分析することが行われる。このような試料の希釈手段としては、反応容器中で希釈する方法と、反応容器とは別に試料の希釈専用の容器を用いて希釈する方法がある。特許文献1には、分析前にサンプルを前処理する前処理ディスクを備えた自動分析装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−80059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の自動分析装置では、前処理ディスクで、洗浄した前処理容器(希釈容器)にサンプル分注、更に希釈液を分注、希釈されたサンプルを反応容器に分注、するように順に移動させる。具体的には1サイクルで、前処理ディスクが1回転+1容器回転するように動作させることが記載されている。
【0005】
このような自動分析装置では以下の二点が懸念される。
【0006】
一つは、処理能力の低下である。前処理ディスクは、1サイクルごとに順次移動するが、1つの希釈された検体を、複数テスト実施するため、複数の反応容器に分注すると、前処理ディスクは再サンプリングの間、一定のポジションで停止してサンプリングを繰り返す必要がある。その間新規の検体の希釈追加ができない。また、希釈容器の洗浄もできないため、処理能力が低下する場合があり得る。
【0007】
二つ目は、前処理時間の制御ができないことである。酵素,タンパク質などの分析項目では、サンプルは一定倍率で希釈した後、すぐに分析が可能である。一方、血液中の赤血球成分であるヘモグロビンA1cの測定などでは、赤血球成分サンプルに希釈液を注入してから赤血球が溶血(浸透圧の違いで赤血球が破裂し赤血球中のヘモグロビンなどが溶出すること)するまで、一定時間放置あるいは一定温度で加温する必要がある。上記装置では、常に一定のサイクルで前処理ディスクが回転移動するため、すべてサンプルの前処理時間が一定の場合は効率が良いが、処理時間の異なるサンプルが混在する場合は、分析効率が低下する場合があり得る。
【0008】
本発明の目的は、種々の分析条件に対してもフレキシブルに対応可能なサンプル前処理装置を備えた自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の構成は以下の通りである。
【0010】
サンプルを収容するサンプル容器と、サンプルを反応させる反応容器と、前記サンプル容器から前記反応容器にサンプルを移す前に必要に応じてサンプルを前処理する前処理機構とを備え、前記前処理機構は、複数の前処理容器が同一経路を循環する前処理容器移送機構を備えた自動分析装置において、サンプル容器から前記前処理容器にサンプルを移送する第一のサイクルと、前処理容器から反応容器に前処理されたサンプルを移送する第二のサイクルを繰り返し、更に前記第一のサイクルは予め定められた一定の動作ステップを繰り返し、前記第二のサイクルは、反応容器に移送する前処理されたサンプルが前処理容器にある場合に動作するよう前記前処理容器移送機構を制御する制御手段を備えた自動分析装置。
【0011】
サンプルは本明細書中では試料とも称する。血清,尿などの生体サンプルを意味する。サンプル容器は試験管,採血管,微量カップなどサンプルが収容できればどのような形状のものでも良い。サンプル容器は周上にサンプル容器を複数個載置したサンプルディスクに載置されていても良いし、1個以上のサンプル容器を搭載可能ないわゆるラックに搭載しても良い。反応容器はサンプルと試薬等を混合し、分析するための容器である。分析は反応結果を反応液の色の変化で検知するいわゆる比色分析や、分析対象物に特異的に結合する試薬を用い、結合物の標識体の発光を測定する免疫分析,遺伝子分析などが代表的なものであるが、これ以外のどのような分析でも良い。
【0012】
サンプル容器から前記反応容器にサンプルを移す手段,処理容器から反応容器に前処理されたサンプルを移送する手段は、シリンジ,ダイアフラム,真空ポンプなどの圧力発生手段を用い、ノズル内圧力を変化させることにより移送する液体をノズル内に吸引,吐出させる一般的な液体分注プローブが使用できるが、これ以外の手段であっても液体を移送することができればどのような手段であっても良い。
【0013】
前処理容器移送機構は無限軌道上を前処理容器が移送されるものであればどのようなものであっても良い。代表的な手段はディスク機構であるが、周回軌道が閉じているベルト上を前処理容器が移動する方式であっても良い。
【0014】
第一のサイクル,第二のサイクルとは前処理容器を移送するステップ動作を言う。前処理ディスクを例にとれば、第一のサイクルは、例えば、前処理容器を5容器分ずつ一定方向(時計廻りまたは反時計廻りに)移動させるというように予め定めたステップで移送させるような動作を言う。これに対し第二のサイクルは、第一のサイクルに比べるとランダムに前処理容器が移動しているように見える。第二のサイクルは前処理ディスク上の前処理容器から反応容器に前処理済みのサンプルを移動させる動作であるので、移動させるサンプルがない場合は、何もしないステップもあり得るし、移動させる必要のある前処理済みサンプルが多い場合は、同じ前処理容器から2サイクル以上にわたって、前処理済みサンプルを移動させることもあり得る。本発明はこのように、規則的な動作と(一見)ランダムな動作が繰り返されることを特徴とする。この繰り返し動作は、規則的な動作とランダムな動作が交互に繰り返されても良いし、規則的動作が所定回数連続した後に、ランダムな動作が所定回数連続するような動作であっても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明の自動分析装置の効果は以下の通りである。
(1)前処理の影響による処理能力の低下が少ない。再検時でも再検の検体を保持しながら分析を継続できるため、処理能力の低下が少ない。
(2)前処理において、サンプルと試薬を混合した後に放置あるいは一定温度で加温する時間を必要とする場合、その時間を可変することができる。例えば溶血処理などを必要とする場合も自動分析装置上で実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の特徴を以下、簡単に説明する。
【0017】
希釈するためのサイクルにあわせてシステム制御を構成すると再サンプリングの処理能力低下の影響が大きい。これらを解決するために希釈するためのサイクル(以下、Aサイクル)と再サンプルのサイクル(以下、Bサイクル)の2通りに分ける。AサイクルとBサイクルは交互に動作するようにする。ここでは、生体試料の希釈を例として説明するが、生体試料を取り扱う場合の前処理を自動化したシステムすべてに応用することができる。
【0018】
Aサイクルでは、希釈に関連する部分のうち、希釈容器の洗浄,元サンプルから希釈容器への分注,希釈溶液の分注,攪拌の一連の動作を実行する。これらの動作は、1サイクルの間に希釈ディスク上のセルに対して、各機構が該当する希釈容器に対して作業を実施する。
【0019】
Bサイクルでは、再サンプリングの位置に該当する希釈容器を移動し、希釈されたサンプルを反応容器へと再サンプリング動作を実施する。
【0020】
希釈容器のAサイクル動作は、一連の作業を実施した後、隣の容器に移動するようにし、前記の基本サイクルを守りながら移動する。
【0021】
希釈容器のBサイクル動作は、再サンプリングされる特定の位置にディスクを移動し再サンプリングを行う。
【0022】
AサイクルとBサイクルは、交互に動作しAサイクルからBサイクルに移行するときは、次に再サンプリングされる希釈されたサンプルが入った希釈容器を再サンプリングのポジションまで移動する。この時、希釈ディスクは再サンプリングのポジションまで自由に移動することになる。Aサイクルで攪拌された希釈容器を次のBサイクルのタイミングで再サンプリングする場合、攪拌するポジションから再サンプリングのポジションまで一気に移動する。また、AサイクルからBサイクルへ移行するとき、希釈ディスクは再サンプリングのポジションまで移動させるために時計回りと反時計回りのどちらか短い距離を選択して移動することができる。
【0023】
次にBサイクルからAサイクルに移行するときについて説明する。
【0024】
Aサイクルは、前記の通り、希釈一連の動作を規則的に実施する。BサイクルからAサイクルに移行するときは、前回のAサイクルの動作に対して次の動作を実施するポジションに移動させる。例えば、一つの希釈容器に着目した場合、前回のAサイクルが元サンプルから希釈容器へのサンプリングを終えBサイクルに入ったとすると、次のAサイクルではこの希釈容器は希釈溶液の分注ポジションに移動する。また、BサイクルからAサイクルへ移行するとき希釈ディスクは、決められたポジションまで移動させるために時計回りと反時計回りのどちらか短い距離を選択して移動することができる。
【0025】
本発明におけるシステムでは、Aサイクルにおいて、1サイクルごとに順次移動し次の検体に対して希釈動作が進められ、BサイクルはAサイクルと独立しているため、希釈されたサンプルを希釈ディスク上の希釈容器から反応ディスク上の反応容器へ一連の希釈動作を停止することなく再サンプリングを行うことができる。また、1検体当たり複数テストの分注を実施した場合も、Bサイクルにおいてのみ希釈ディスクは、一定のポジションとなるが、Aサイクルでは新規の検体の希釈追加をすることができる。また、希釈溶液の分注ならびに攪拌後に一定時間放置あるいは加温する場合は、定められた時間が経過するまでBサイクルにおける再サンプリングの動作を実施させないようにするが、その間もAサイクルでは新規検体の希釈を追加することができる。
【0026】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0027】
図1は、本発明の自動分析装置の全体構成を示す図である。1はサンプルラック、2はサンプル容器、3はサンプルプローブ、4は希釈ディスク、5は希釈容器、6は希釈溶液分注プローブ、7は攪拌機構、8は再サンプルポジション、9は洗浄機構、10は再サンプルプローブ、11は反応ディスク、12は反応容器、13は第一試薬ディスク、14は試薬ボトル、15は第一試薬分注プローブ、16は測光機構、17は第2試薬ディスク、18は第2試薬分注プローブ、19はサンプリング機構、20は再サンプリング機構、21は試薬分注機構、22は制御部、23は表示部、24は入力部、25は記憶部を示している。
【0028】
生体試料は、2のサンプル容器に入れそれらを1のサンプルラックによって、3のサンプルプローブの近くまで移動させ、4の希釈ディスク上の5の希釈容器に分注される。一連の希釈動作を終えた後、希釈されたサンプルは、8の再サンプルポジションへと移動し、10の再サンプルプローブによって、11の反応ディスク上の反応容器に再サンプリングされる。
【0029】
本発明では、再サンプリングまでの前処理の効率を上げることができるため、再サンプリングまでの動作について説明する。
【0030】
1−1全体の動き
まず、前処理システムのAサイクルとBサイクルがどのように動作するかを図2で説明する。
【0031】
Aサイクルでは、元サンプルから希釈容器へのサンプリング,希釈液の分注,攪拌,洗浄を1サイクル中に同時に実施する。Bサイクルは、希釈されたサンプルを反応容器へ分注する動作のみを実施する。Aサイクル,Bサイクルは独立に制御され、交互に動作する。また、前処理の動作は以下のように進められる。
【0032】
サンプリング→希釈液分注→攪拌→再サンプリング→再検待ち→洗浄
【0033】
〔前処理において放置あるいは一定温度で加温を必要としないサンプル、例えば一般生化学(単独測定)において前処理としてサンプルの希釈が必要な場合〕
前記の通り、Aサイクルにおいてはサンプリング,希釈液の分注,攪拌と順次動作が送られていく。しかし、Bサイクルは最初に分注されたサンプルが攪拌され、再サンプリングすることができるようになった状態、すなわち再サンプリングする希釈容器があってはじめて動作することになる。また、放置あるいは一定温度での加温時間が必要ではない場合は、検体1が攪拌した後のBサイクルのタイミングで反応容器へ再サンプリングする。
図3で示すように一般生化学の単独測定の場合はAサイクルで攪拌を終えたサンプルが順次、Bサイクルで再サンプリングされることになる。
【0034】
<AサイクルBサイクルの動作の例>
希釈ディスク上の希釈容器が例えば20個の場合について説明する。
【0035】
図6のように元サンプルから希釈容器にサンプリングされる位置をa、希釈液を分注する位置をb、再サンプリングする位置をd、洗浄する位置をe,f,g,hとしたとき、
・ AサイクルのタイミングでNo.1の希釈容器にサンプリングされる。
・ 次にBサイクルでは、この時点で再サンプリングするサンプルが存在しないため、希 釈ディスクは動作しない。
・ 次のAサイクルでは、図7のようにNo.1の希釈容器は、希釈液分注ポジションであ るbに移動し、希釈液が分注される。この時No.18の希釈容器には次のサンプルが サンプリングされる。
・ 次のBサイクルでも、再サンプリングするサンプルが存在しないため、希釈ディスク は動作しない。
・ 次のAサイクルでは、図8のようにNo.1の希釈容器は、攪拌ポジションcに移動し 攪拌される。それと同時にNo.18の希釈容器は希釈液が分注され、またNo.15の 希釈容器には次のサンプリングが実施される。
・ 次のBサイクルにおいて、No.1の希釈容器中の希釈されたサンプルが、再サンプリ ングされるとき、すなわちインキュベーションを必要としない場合は、図9のように No.1の容器は再サンプリングポジションであるdに移動し、Bサイクルのタイミン グで再サンプリングされる。この時、cからdへは、移動距離の短い反時計回りで移 動する。
・ 次のAサイクルでは、図10のようにNo.18の容器が攪拌ポジションであるcに移 動し、このとき希釈ディスクは、移動距離が短い時計回りで回転する。cでは、No. 18が攪拌されNo.15は希釈液分注ポジションであるbにて希釈液を分注される。 さらにNo.12の容器に次のサンプルがサンプリングされる。この時、再サンプリン グが終了したNo.1の容器は再検が必要かどうか判定されるまで保持されている。
・ 次のBサイクルで、No.18にサンプリングされたサンプルが再サンプリングされる 場合、図11のようにNo.18は、cからdへ移動し再サンプリングされる。
【0036】
前記の動作を繰り返すと、Aサイクルにおいて希釈ディスクは4個を1ステップ送り数とした規則的にステップ送りされており、希釈ディスクが一回転すると最初にサンプリングされた希釈容器No.1の右隣であるNo.20の容器にサンプリングされる。
【0037】
〔前処理において放置あるいは一定温度で加温を必要としないサンプル、例えば一般生化学(複数測定)において前処理としてサンプルの希釈が必要な場合〕
前記の通り、Aサイクルにおいてはサンプリング,希釈液の分注,攪拌と順次動作が送られていく。しかし、Bサイクルは最初に分注されたサンプルが攪拌され、再サンプリングすることができるようになった状態、すなわち再サンプリングする希釈容器があってはじめて動作することになる。放置あるいは一定温度での加温時間が必要ではない場合、検体1が攪拌した後のBサイクルのタイミングで反応容器へ再サンプリングする。また、複数の項目が分析される場合、すなわち再サンプリングが複数回必要な場合は、図4のように再サンプリングはBサイクルで必要回数分繰り返される。この時、Bサイクルでは同じ希釈容器から繰り返し再サンプル動作が繰り返されているが、Aサイクルでは順次新規検体の追加を行うことができる。
【0038】
前記と同様に希釈ディスク上の希釈容器を20個の場合で説明する。
【0039】
複数項目で測定する場合も図10までの動作、すなわち最初の希釈サンプルが攪拌されたのちBサイクルで一回目の再サンプリングが行われAサイクルに戻りNo.12に元サンプルからのサンプリングがされるところまでは単独測定と同様である。次のBサイクルでは、No.1から2項目目の再サンプルを行うため、図12のようにNo.1が再サンプルのポジションdに移動し、再サンプリングされる。この時、Bサイクルにおいては、分析する項目数分、No.1の希釈容器から再サンプリングが繰り返される。No.1での再サンプルが終了すると次回のBサイクルではNo.18の希釈容器から再サンプリングが分析する項目数分繰り返されることになる。
【0040】
〔前処理において放置あるいは一定温度で加温が必要なサンプル、例えばHbA1cの分析において前処理として溶血処理が必要な場合〕
下記のような動作が繰り返される。
【0041】
サンプリング→希釈液分注→攪拌→放置/加温→再サンプリング→再検待ち→洗浄
Aサイクルは前回のAサイクルから希釈されたサンプルにおいて放置あるいは一定温度で加温が必要な場合は、定められた時間が経過したときに該当するBサイクルの再サンプリングのタイミングで動作する。
【0042】
Bサイクルで送られる希釈容器の数は自由で、希釈後のサンプルを反応容器への再サンプリングまでの時間を制御するソフトウェアによってスケジューリングされ、必要なときに再サンプリングの動作を行う。
【0043】
この場合、図5のようにAサイクルでは次々と検体の前処理を進めるが、Bサイクルでは決められたインキュベーション時間が経過するまで再サンプリングの動作をしない。
【0044】
例えば、No.1の希釈容器にサンプリングされたサンプルは攪拌処理が終わってから、一定温度で一定時間加温される。この時の一定時間を2分間とした場合、次のBサイクル,Aサイクルの両方の時間を足して2分を経過したところのBサイクルのタイミングで再サンプリングされる。それまでの間、Bサイクルは動作しない。
【0045】
1−2 Aサイクルの動き
図13で示すように、Aサイクルにおける希釈ディスクは、決められたステップ(例えば前処理容器N個)分、規則的に一方向に進められている。希釈ディスクが1回転+1希釈容器あるいは、半回転+1希釈容器動作させる。総希釈容器数と1ステップで動作する数は共通の因子を持たせサンプリング,希釈液分注,攪拌,洗浄を定められた各々のポジションで動作を順次実施する。
【0046】
1−3 Bサイクルの動き
Bサイクルにおける希釈ディスクは、希釈の一連の動作が終了し反応容器に再サンプリングされるサンプルが準備できた段階で動作を始める。この時、図14で示すように、次に再サンプリングされる容器がAサイクルにおいてどのポジションにあっても、AサイクルからBサイクルに移る際に、再サンプリングポジションに移動される。この時の移動距離は自由である。また時計回り,反時計回りのいずれも選択することができるようにし、移動する時間を短縮することができる。
【0047】
また、再サンプリングが開始されるまでBサイクルは停止の状態になるが、例えば前処理容器の洗浄にあててもよい。
【0048】
2.あるひとつの前処理容器フロー
図15で示すように、放置あるいは一定温度で加温が必要な場合について、ある一個の前処理容器に着目したとき以下の過程をたどる。
・ 洗浄された前処理容器はAサイクルのタイミングで元サンプルからサンプリングされ る。
・ Bサイクルで別の前処理容器から再サンプリングが行われているが、着目した前処理 容器は任意のポジションにあり、何も動作されない。この動作を以下B(×)と表記 する。
・ Aサイクルで前処理液を分注される。
・ B(×)
・ Aサイクルで攪拌される。
・ B(×)
・ 放置あるいは一定温度で加温される時間が経過するまで、Aサイクルでは前回の停止 位置からN個分移動したところに移動され、動作されない。この動作を以下A(×) と表記する。
・ B(×)A(×)を定められた時間が経過するまで繰り返す。
・ 再サンプリングのタイミングとなったとき、Bサイクルで再サンプリングポジション に移動し、反応容器に再サンプリングされる。
・ A(×)
・ Bサイクルにて分析する項目数分だけ、再サンプリングの動作が繰り返される。
・ 次に再検待ちの状態に入る。このときもA(×)とB(×)を繰り返す。
・ 分析部において、再検が必要であることが示されると次のBサイクルのタイミングで 再サンプルポジションに移動し、再サンプリングされる。
・ 再検が不要と判断されたときは、Aサイクルにて洗浄が開始される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明における自動化学分析装置の一実施例を示す図。
【図2】本発明におけるAサイクルBサイクルの全体の動きを示す図。
【図3】本発明の実施例に係る前処理において単独測定を放置あるいは加温を必要としない場合のAサイクルBサイクルの動作を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る前処理において複数項目測定を放置あるいは加温を必要としない場合のAサイクルBサイクルの動作を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る前処理において放置あるいは加温を必要としない場合のAサイクルBサイクルの動作を示す図。
【図6】本発明の実施例に係る希釈容器が20個の場合の希釈ディスク上の動作位置を示し、Aサイクルにおいてサンプリングが開始された時の位置を示す図。
【図7】本発明の実施例に係る希釈容器が20個の場合の希釈ディスク上の動作位置を示し、図6で示すAサイクルの次のAサイクルにおける希釈ディスク位置を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る希釈容器が20個の場合の希釈ディスク上の動作位置を示し、図7で示すAサイクルの次のAサイクルにおける希釈ディスク位置を示す図。
【図9】本発明の実施例に係る希釈容器が20個の場合の希釈ディスク上の動作位置を示し、図6においてサンプリングされたサンプルが再サンプルされる時のBサイクルにおける希釈ディスク位置を示す図。
【図10】本発明の実施例に係る希釈容器が20個の場合の希釈ディスク上の動作位置を示し、図8で示すAサイクルの次のAサイクルにおける希釈ディスク位置を示す図。
【図11】本発明の実施例に係る希釈容器が20個の場合の希釈ディスク上の動作位置を示し、図7においてサンプリングされたサンプルが再サンプルされる時のBサイクルにおける希釈ディスク位置を示す図。
【図12】本発明の実施例に係る希釈容器が20個の場合の希釈ディスク上の動作位置を示し、図6においてサンプリングされたサンプルが再検のために再サンプルされる時のBサイクルにおける希釈ディスク位置を示す図。
【図13】本発明における実施例に係るAサイクル動きを示す図。
【図14】本発明における実施例に係るBサイクル動きを示す図。
【図15】本発明における実施例に係るあるひとつの前処理容器フローを示した図。
【符号の説明】
【0050】
1 サンプルラック
2 サンプル容器
3 サンプルプローブ
4 希釈ディスク
5 希釈容器
6 希釈溶液分注プローブ
7 攪拌機構
8 再サンプルポジション
9 洗浄機構
10 再サンプルプローブ
11 反応ディスク
12 反応容器
13 第一試薬ディスク
14 試薬ボトル
15 第一試薬分注プローブ
16 測光機構
17 第2試薬ディスク
18 第2試薬分注プローブ
19 サンプリング機構
20 再サンプリング機構
21 試薬分注機構
22 制御部
23 表示部
24 入力部
25 記憶部
a サンプリング位置
b 希釈液分注位置
c 攪拌位置
d 再サンプリング位置
e,f,g,h 洗浄位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを収容するサンプル容器と、
サンプルを反応させる反応容器と、
前記サンプル容器から前記反応容器にサンプルを移す前に必要に応じてサンプルを前処理する前処理機構とを備え、
前記前処理機構は、複数の前処理容器が同一経路を循環する前処理容器移送機構を備えた自動分析装置において、
サンプル容器から前記前処理容器にサンプルを移送する第一のサイクルと、
前処理容器から反応容器に前処理されたサンプルを移送する第二のサイクルを繰り返し、
更に前記第一のサイクルは予め定められた一定の動作ステップを繰り返し、前記第二のサイクルは、反応容器に移送する前処理されたサンプルが前処理容器にある場合に動作するよう前記前処理容器移送機構を制御する制御手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記前処理容器移送機構は前記第一のサイクルと、前記第二のサイクルを交互に繰り返すことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記前処理容器移送機構はディスク周上に前処理容器を配列する前処理ディスクであることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記前処理はサンプルの希釈処理と、希釈処理以外の前処理を含み、
希釈処理以外の前処理の場合は、所定時間前処理した後に前記第二のサイクルで反応容器に移送するよう、前記制御手段が前記前処理容器移送機構を制御することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の自動分析装置において、
反応容器に移送された前処理されたサンプルの分析結果が出るまでは前記前処理移送機構上に保持されるよう前記制御手段が前処理容器移送機構を制御することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の自動分析装置において、
前記第二のサイクルは、前処理容器から反応容器に前処理されたサンプルを移送する前処理サンプル移送ポジションまでの、移送される前処理容器の移動距離が短い方向に移送されるよう、前記制御手段が前処理容器移送機構を制御することを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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