説明

自動分析装置

【課題】操作を軽減することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】試料が収容される試料容器11を移動可能に保持する保持部43と、保持部43に保持された試料容器11内の被検試料を吸引して反応容器19内に吐出する分注を行うサンプル分注プローブ21と、反応容器19内に分注された試料とこの試料に含まれる検査項目の成分を分析するための試薬との混合液を測定する測定部31とを備え、サンプル分注プローブ21により分注が行われている場合に簡易設定画面74での検査項目の設定を阻止し、サンプル分注プローブ21による分注が停止して測定部31により測定が行われている場合に簡易設定画面74での検査項目の設定を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体から採取された試料等の液体に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された試料と各検査項目の分析を行うための試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を光学的に測定する。この測定により、試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。
【0003】
自動分析装置では、試料を収容する試料容器が試料保持テーブルに保持され、試料保持テーブルの保持位置に夫々番号が割り付けられている。そして、試料容器を設置した試料保持テーブルの保持位置の番号及びこの番号の保持位置に設置される試料の検査項目を入力する事前準備が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平1−21910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、試料毎に試料容器の保持位置及びその試料の検査項目を入力する操作が面倒であるため、不慣れな操作者や緊急時の操作には不向きである。
【0006】
実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、操作を軽減することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、実施形態の自動分析装置は、試料が収容される試料容器を移動可能に保持する保持手段と、前記保持手段により保持された前記試料容器内の試料を吸引して反応容器内に吐出する分注を行うサンプル分注プローブと、前記反応容器内に分注された試料とこの試料に含まれる検査項目の成分を分析するための試薬との混合液を測定する測定手段と、前記サンプル分注プローブにより分注が行われている場合に前記検査項目の設定を阻止し、前記サンプル分注プローブによる分注が停止して前記測定手段により測定が行われている場合に前記検査項目の設定を可能とする設定手段とを備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】実施形態に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】実施形態に係るサンプラ部の構成を示す平面図。
【図4】実施形態に係る分析部の測定動作を説明するための図。
【図5】実施形態に係る表示部に表示された一般設定画面の一例を示す図。
【図6】実施形態に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【図7】実施形態に係る表示部に表示された簡易設定画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検試料と各検査項目成分を分析するための試薬との混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部10と、分析部10の各分析ユニットを駆動制御する分析制御部50と、分析部10で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データの生成を行うデータ処理部60とを備えている。
【0011】
また、自動分析装置100は、データ処理部60で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部70と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部80と、分析制御部50、データ処理部60及び出力部70を統括して制御するシステム制御部90とを備えている。
【0012】
図2は、分析部10の構成を示した斜視図である。この分析部10は、標準試料や被検試料等の各試料が収容される試料容器11と、この試料容器11を移動可能に保持するサンプラ部12と、各検査項目成分を分析するための1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する第1試薬容器13と、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する第2試薬容器14とを備えている。
【0013】
また、分析部10は、第1及び第2試薬容器13,14内の第1及び第2試薬を保冷するための試薬庫17と、試薬庫17内に格納された第1及び第2試薬容器13,14を移動可能に保持する第1試薬ラック15と、試薬庫17内に格納された第2試薬容器14を移動可能に保持する第2試薬ラック16と、円周上に配置された複数の反応容器19を回転移動可能に保持する反応ディスク20とを備えている。
【0014】
また、分析部10は、サンプラ部12に保持された試料容器11内の試料を吸引して反応容器19内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ21と、サンプル分注プローブ21を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム22と、第1試薬ラック15に保持された第1試薬容器13内の第1試薬を吸引して各試料が吐出された反応容器19内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ23とを備えている。
【0015】
また、分析部10は、第1試薬分注プローブ23を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム24と、反応容器19内に吐出された各試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子25と、第1撹拌子25を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム26と、第2試薬ラック16に保持された第2試薬容器14内の第2試薬を吸引して各試料及び第1試薬が吐出された反応容器19内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ27とを備えている。
【0016】
また、分析部10は、第2試薬分注プローブ27を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム28と、反応容器19内の各試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子29と、第2撹拌子29を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム30と、反応容器19内の混合液に光を照射して光学的に測定する測定部31と、測定部31による測定を終了した反応容器19内を洗浄する洗浄ユニット32とを備えている。
【0017】
そして、測定部31は、反応容器19に光を照射し、その反応容器19内の標準試料や被検試料を含む混合液を透過した光を検出する検出信号に基づいて、例えば吸光度や吸光度の変化量で表される標準データや被検データを生成する。そして、生成した標準データや被検データをデータ処理部60に出力する。
【0018】
分析制御部50は、分析部10の各分析ユニットを駆動する機構を有する機構部51、及びこの機構部51の各機構を制御して分析部10の各分析ユニットを1サイクル毎に所定のタイミングで作動させる機構制御部52を備えている。
【0019】
機構部51は、サンプラ部12の試料容器11を移動する機構、並びに第1試薬ラック15及び第2試薬ラック16を夫々回動する機構を備えている。また、反応ディスク20を回転する機構を備えている。また、サンプル分注アーム22、第1試薬分注アーム24、第2試薬分注アーム28、第1撹拌アーム26、及び第2撹拌アーム30を夫々回動及び上下移動する機構を備えている。また、洗浄ユニット32を上下移動する機構等を備えている。
【0020】
図1のデータ処理部60は、分析部10の測定部31から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部61と、演算部61で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部62とを備えている。
【0021】
演算部61は、測定部31から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に予め設定された標準値から、各検査項目成分の濃度や活性と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部70に出力すると共にデータ記憶部62に保存する。
【0022】
また、測定部31から出力された吸光度で表される被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部62から読み出し、読み出した検量データを用いて測定部31により生成された被検データから濃度値や酵素の活性値として表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部70に出力すると共にデータ記憶部62に保存する。
【0023】
データ記憶部62は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部61から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部61から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0024】
出力部70は、データ処理部60の演算部61から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部71及び表示出力する表示部72を備えている。そして、印刷部71は、プリンタなどを備え、演算部61から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0025】
表示部72は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部61から出力された検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で検査可能な各検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面を表示する。また、分析部10のサンプラ部12に保持される試料容器11の保持位置及びその試料容器11に収容された被検試料の検査項目を設定するための一般設定画面を表示する。また、分析部10のサンプラ部12に保持される試料容器11内に収容された被検試料の検査項目を設定するための簡易設定画面を表示する。
【0026】
操作部80は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、表示部72に表示された分析パラメータ設定画面で各検査項目の分析パラメータを設定するための入力を行う。また、表示部72に表示された一般設定画面で試料容器11の保持位置及び検査項目を設定するための入力を行う。また、表示部72に表示された簡易設定画面で検査項目を設定するための入力を行う。
【0027】
システム制御部90は、CPU及び記憶回路を備え、操作部80から入力されたコマンド信号、各検査項目の分析パラメータの情報、保持位置や検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部50、データ処理部60及び出力部70を統括してシステム全体を制御する。
【0028】
次に、図2及び図3を参照して、分析部10のサンプラ部12の構成の一例を説明する。
図3は、サンプラ部12の構成を示した平面図である。このサンプラ部12は、試料容器11を保持する試料ラック40、試料ラック40を移動可能に保持するベルト41及びレーン42により構成される保持部43と、保持部43のベルト41に保持された待機位置A1における試料ラック40の位置やラックIDを検出するラック検出器44とを備えている。また、分析制御部50の機構部51により保持部43のベルト41上の引出位置A2から矢印L2方向のレーン42上に引き出された試料ラック40が保持する試料容器11を検出する容器検出器45を備えている。
【0029】
そして、ベルト41は機構部51に駆動され、ラック検出器44に検出された待機位置A1の試料ラック40を引出位置A2へ移動する。引出位置A2へ移動された試料ラック40は、容器検出器45に検出された試料容器11内の試料をサンプル分注プローブ21で吸引可能な吸引位置A4へ移動される。サンプル分注プローブ21により分注を終えた試料容器11を保持する試料ラック40は、機構部51によりL2方向とは反対方向の矢印L3方向へ移動され、ベルト41上の引出位置A2で停止する。ベルト41は、引出位置A2で停止した試料ラック40を退避位置A3へ移動する。
【0030】
次に、図2乃至図4を参照して、分析部10の測定動作について説明する。
図4は、分析部10の測定動作を説明するための図である。各反応容器19は、洗浄ユニット32により洗浄が行われる洗浄位置Wで停止する。そして、洗浄位置Wで洗浄を終えた反応容器19は、洗浄を終えたときのサイクルから所定のサイクル経過したaサイクル目において、試料吐出位置Paで停止する。サンプル分注プローブ21は、サンプラ部12の試料ラック40に保持された試料容器11内の被検試料を試料吐出位置Paの反応容器19内へ分注する。
【0031】
aサイクル目から例えば1サイクル経過したbサイクル目において、aサイクル目に被検試料が分注された反応容器19は、第1試薬吐出位置Pbで停止する。第1試薬分注プローブ23は、第1試薬ラック15に保持された第1試薬容器13内の第1試薬を第1試薬吐出位置Pbの反応容器19内へ分注する。
【0032】
bサイクル目から例えば1サイクル経過したcサイクル目において、bサイクル目に第1試薬が分注された反応容器19は、第1撹拌位置Pcで停止する。第1撹拌子25は、第1試薬吐出位置Pbの反応容器19内の被検試料及び第1試薬の混合液を撹拌する。
【0033】
cサイクル目から所定のサイクル経過したdサイクル目において、cサイクル目に混合液が撹拌された反応容器19は、第2試薬吐出位置Pdで停止する。第2試薬分注プローブ27は、第2試薬吐出位置Pdの反応容器19内に分注された第1試薬が2試薬系である場合、その第1試薬と対をなす第2試薬ラック16に保持された第2試薬容器14内の第2試薬を第2試薬吐出位置Pdの反応容器19内へ分注する。
【0034】
dサイクル目から例えば1サイクル経過したeサイクル目において、dサイクル目に第2試薬が分注された反応容器19は、第2撹拌位置Peで停止する。第2撹拌子29は、第2試薬吐出位置Peの反応容器19内の被検試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を撹拌する。
【0035】
eサイクル目から所定のサイクル経過したfサイクル目において、eサイクル目に混合液が撹拌された反応容器19は、洗浄位置Wで停止する。洗浄ユニット32は、洗浄位置Wの反応容器19内を洗浄する。
【0036】
測定部31は、aサイクル目に被検試料が分注された反応容器19内の混合液を、その反応容器19がcサイクル目に第1撹拌位置Pcで停止してから、fサイクル目に洗浄位置Wで停止するまでの間のサイクル毎に回転移動中に測定する。
【0037】
以下、図1乃至図7を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。
検査対象の被検試料を収容する試料容器11の保持位置及び検査項目を設定するために、操作部80から一般設定画面を表示させる入力が行われると、表示部72に一般設定画面が表示される。
【0038】
図5は、表示部72に表示された一般設定画面の一例を示した図である。この一般設定画面73は、分析部10の試料容器11を保持させるサンプラ部12の保持位置を設定する「位置」の欄と、「位置」の欄で設定された保持位置の試料容器11内の被検試料の検査項目を設定する「項目」の欄とにより構成される。また、「位置」及び「位置」の欄で設定された条件で分析を開始させるためのボタンである「一般測定」により構成される。
【0039】
そして、操作部80からの入力により、「位置」及び「項目」の欄で設定された入力情報がシステム制御部90の記憶回路に保存されると共に表示部72に表示される。また、「一般測定」を指定する一般測定開始の入力により、システム制御部90は、「位置」及び「項目」の欄で設定された入力情報に基づいて分析制御部50、データ処理部60及び出力部70を制御し、分析動作を実行させる。
【0040】
「位置」の欄は、試料ラック40を識別するラックIDを設定する「ID」の欄と、「ID」の欄で設定されたラックIDで識別される試料ラック40の試料容器11を保持するラック位置の番号を設定する「番号」の欄とにより構成される。そして、操作部80から「ID」の欄に設定する入力が行われると例えばラックIDである「1」がダイアログボックス441内に表示される。また、「番号」の欄に設定する入力が行われると、ラック位置の番号である「1」がダイアログボックス442内に表示される。
【0041】
「項目」の欄には、分析可能な検査項目である「項目A」、「項目B」、「項目C」、「項目D」等が表示されている。そして、表示された検査項目の中から、「位置」の欄に設定された保持位置の試料容器11内に収容される被検試料の検査項目を設定する選択入力が行われると、選択入力された例えば「項目A」、「項目B」及び「項目C」が識別して表示される。
【0042】
図6は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。図5の一般設定画面73で保持位置及び検査項目が設定された検査対象の被検試料を収容する試料容器11が、ラックID「1」で識別される試料ラック40の番号「1」のラック位置に保持される。そして、試料容器11を保持する試料ラック40が分析部10におけるサンプラ部12のベルト41上の待機位置A1に載置された後、操作部80から一般測定開始の入力が行われると、自動分析装置100は、動作を開始する(ステップS1)。
【0043】
システム制御部90は、一般設定画面73の「位置」及び「項目」の欄で設定された入力情報に基づいて分析制御部50、データ処理部60及び出力部70を制御し、分析動作を実行させる。分析制御部50の機構制御部52は、分析部10の各分析ユニットを作動させる。サンプラ部12のラック検出器44は、ベルト41に保持された待機位置A1における試料ラック40の位置及びラックIDを検出する(ステップS2)。
【0044】
ここで、ラック検出器44が検出したラックIDが一般設定画面73で設定されたラックIDと同じである場合、ステップS3へ移行する。また、検出したラックIDが一般設定画面73で設定されたラックIDと異なる場合、ステップS8へ移行する。
【0045】
ベルト41は、ラック検出器44によりラックIDが「1」であると検出された試料ラック40を引出位置A2へ移動する。引出位置A2へ移動された試料ラック40は、機構部51によりL2方向へ移動される。容器検出器45は、試料ラック40に保持された試料容器11を検出する。機構制御部52は、容器検出器45からの検出信号に基づいて、容器検出器45により検出された試料容器11のラック位置を検出する(ステップS3)。
【0046】
なお、L2方向へ移動される試料ラック40に試料容器11が保持されていない場合、ステップS8へ移行する。また、容器検出器45により検出された試料容器11のラック位置が一般設定画面73で設定されたラック位置と異なる場合、ステップS8へ移行する。
【0047】
サンプル分注プローブ21は、吸引位置A4で停止した試料ラック40の番号「1」のラック位置に保持される容器検出器45により検出された試料容器11内の被検試料を反応容器19内に分注する(ステップS4)。
【0048】
ここでは、先ず「項目A」を分析するための被検試料を試料吐出位置Paに停止した反応容器19内に分注する。また、次のサイクルにおいて、前記試料容器11内の「項目B」を分析するための被検試料を試料吐出位置Paに停止した反応容器19内に分注する。更に、次のサイクルにおいて、前記試料容器11内の「項目C」を分析するための被検試料を試料吐出位置Paに停止した反応容器19内に分注する。
【0049】
次に、操作部80から簡易設定画面を表示させる入力が行われると、表示部72に簡易設定画面が表示される。
【0050】
図7は、表示部72に表示された簡易設定画面の一例を示した図である。この簡易設定画面74は、図5に示した一般設定画面73から「位置」の欄を除いた「項目」の欄により構成される。また、「項目」の欄で設定された条件で分析を開始させるためのボタンである「簡易測定」により構成される。「項目」の欄には、一般設定画面73の「項目」の欄に表示された検査項目と同じ検査項目である「項目A」、「項目B」、「項目C」、「項目D」等が表示されている。そして、操作部80からの入力により、「項目」の欄で設定された入力情報がシステム制御部90の記憶回路に保存されると共に表示部72に表示されることになる。また、「簡易測定」を指定する簡易測定開始の入力により、「項目」の欄で設定された入力情報に基づいて分析制御部50、データ処理部60及び出力部70を制御し、分析動作を実行させることになる。
【0051】
表示部72に簡易設定画面74が表示された後、操作部80から検査項目を設定するための入力が行われると、サンプル分注プローブ21により分注が行われている場合、システム制御部90は、操作部80からの検査項目の入力を拒否することにより、簡易設定画面74での検査項目の設定を阻止する。また、サンプル分注プローブ21による分注が停止して測定部31により各反応容器19内の混合液の測定が行われている場合、システム制御部90は、操作部80からの検査項目の入力を受付け、簡易設定画面74での検査項目の設定を可能とする。
【0052】
なお、サンプル分注プローブ21により分注が行われている場合、操作部80からの簡易設定画面74を表示させる入力を拒否することにより、簡易設定画面74での検査項目の設定を阻止するように実施してもよい。
【0053】
サンプル分注プローブ21による分注が停止して測定部31により各反応容器19内の混合液の測定が行われている場合、操作部80からの選択入力により、簡易設定画面74の各欄で設定された入力情報がシステム制御部90の記憶回路に保存されると共に表示部72に表示される。ここでは、「項目」の欄で選択入力された例えば「項目A」が識別して表示される。
【0054】
次に、簡易設定画面74で設定された「項目A」を分析する例えば2つの被検試料を収容する2個の試料容器11が任意の試料ラック40の任意のラック位置に保持される。2個の試料容器11を保持する試料ラック40がベルト41上の待機位置A1に載置され、ステップS3で分注を終えた退避位置A3の試料ラック40がベルト41から取り外された後の測定中において、操作部80から簡易測定開始の入力が行われると、機構制御部52は、システム制御部90から供給される簡易設定画面74で設定された検査項目の入力情報に基づいて機構部51を制御する。ラック検出器44は、簡易測定開始の入力に応じて、ベルト41に保持された待機位置A1の試料ラック40の位置を検出する(図6のステップS5)。
【0055】
このように、サンプル分注プローブ21により分注が行われている場合に簡易設定画面74での検査項目の設定を阻止することにより、一般設定画面73で設定されたラックIDの試料ラック40が待機位置A1に残存している場合のその試料ラック40を簡易設定画面74で設定された検査項目を分析するための試料ラック40として検出されるのを防ぐことができる。
【0056】
なお、簡易測定開始の入力に応じて、ラック検出器44により試料ラック40が検出されない場合、ステップS8へ移行する。
【0057】
ベルト41は、ラック検出器44により位置が検出された全ての試料ラック40を引出位置A2へ移動する。引出位置A2へ移動された試料ラック40は、機構部51によりL2方向へ移動される。容器検出器45は、試料ラック40に保持された試料容器11を検出する。機構制御部52は、容器検出器45からの検出信号に基づいて、容器検出器45により検出された試料容器11のラック位置を検出する(ステップS6)。
【0058】
機構部51は、引出位置A2へ移動された試料ラック40を容器検出器45に検出された試料容器11内の試料をサンプル分注プローブ21で吸引可能な吸引位置A4へ移動する。なお、容器検出器45によりL2方向へ移動される試料ラック40から試料容器11が検出されない場合、ステップS8へ移行する。
【0059】
サンプル分注プローブ21は、容器検出器45により検出された全ての試料容器11内の被検試料を、簡易設定画面74で設定された検査項目に基づいて、反応容器19内に分注する(図6のステップS7)。
【0060】
ここでは、吸引位置A4で停止した試料ラック40に保持される容器検出器45により検出された1個目の試料容器11内の「項目A」を分析するための被検試料を反応容器19内に分注する。次のサイクルにおいて、吸引位置A4で停止した試料ラック40に保持される容器検出器45により検出された2個目の試料容器11内の「項目A」を分析するための被検試料を反応容器19内に分注する。
【0061】
このように、サンプル分注プローブ21による分注が停止した後の測定中において、簡易設定画面74で検査項目を設定することにより、簡易測定開始の入力に応じてベルト41に保持されている待機位置A1の試料ラック40及びこの試料ラック40に保持された試料容器11を検出し、検出した全ての試料ラック40に保持される全ての試料容器11内の被検試料を、簡易設定画面74で設定された検査項目を分析するための試料として反応容器19内に分注することができる。
【0062】
これにより、被検試料毎に試料容器11の保持位置及びその試料の検査項目を入力する操作を必要としないため、面倒な操作を軽減することができる。そして、不慣れな操作者でも容易に操作することができる。また、緊急時に迅速に操作することができる。
【0063】
なお、ステップS7において、サンプル分注プローブ21により分注が行われているときに、試料容器11を保持する試料ラック40がベルト41上の待機位置A1に載置されると、待機位置A1の試料ラック40及びこの試料ラック40に保持された試料容器11を検出し、検出した全ての試料容器11内の被検試料を、簡易設定画面74で設定された検査項目を分析するための試料として反応容器19内に分注する。
【0064】
サンプル分注プローブ21により分注を終えた試料容器11を保持する試料ラック40はL3方向へ移動され、ベルト41上の引出位置A2で停止する。ベルト41は、引出位置A2で停止した試料ラック40を退避位置A3へ移動する。
【0065】
そして、サンプル分注プローブ21により分注された被検試料を含む全ての混合液の測定が終了し、その分析データが出力部70に出力された後、システム制御部90が分析制御部50、データ処理部60及び出力部70に分析の終了を指示することにより、自動分析装置100は動作を終了する(図6のステップS8)。
【0066】
以上述べた実施形態によれば、サンプル分注プローブ21により分注が行われている場合に簡易設定画面74での検査項目の設定を阻止することにより、一般設定画面73で設定されたラックIDの試料ラック40が待機位置A1に残存している場合のその試料ラック40を簡易設定画面74で設定された検査項目を分析するための試料ラック40として検出されるのを防ぐことができる。
【0067】
また、サンプル分注プローブ21による分注が停止した後の測定中において、簡易設定画面74で検査項目を設定することにより、簡易測定開始の入力に応じてベルト41に保持されている待機位置A1の試料ラック40及びこの試料ラック40に保持された試料容器11を検出し、検出した全ての試料ラック40に保持される全ての試料容器11内の被検試料を、簡易設定画面74で設定された検査項目を分析するための試料として反応容器19内に分注することができる。
【0068】
これにより、被検試料毎に試料容器11の保持位置及びその試料の検査項目を入力する操作を必要としないため、面倒な操作を軽減することができる。そして、不慣れな操作者でも容易に操作することができる。また、緊急時に迅速に操作することができる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
A1 待機位置
A2 引出位置
A3 退避位置
A4 吸引位置
10 分析部
11 試料容器
12 サンプラ部
19 反応容器
21 サンプル分注プローブ
22 サンプル分注アーム
40 試料ラック
41 ベルト
42 レーン
43 保持部
44 ラック検出器
45 容器検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料が収容される試料容器を移動可能に保持する保持手段と、
前記保持手段により保持された前記試料容器内の試料を吸引して反応容器内に吐出する分注を行うサンプル分注プローブと、
前記反応容器内に分注された試料とこの試料に含まれる検査項目の成分を分析するための試薬との混合液を測定する測定手段と、
前記サンプル分注プローブにより分注が行われている場合に前記検査項目の設定を阻止し、前記サンプル分注プローブによる分注が停止して前記測定手段により測定が行われている場合に前記検査項目の設定を可能とする設定手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記保持手段により保持された前記試料容器を検出する容器検出手段を有し、
前記サンプル分注プローブは、前記設定手段により設定された後に前記容器検出手段により検出される全ての前記試料容器内の試料を、前記設定手段により設定された前記検査項目の試料として前記反応容器内に分注することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記保持手段は、前記試料容器を保持する試料ラック、この試料ラックを移動可能に保持するベルト及びこのベルトから前記サンプル分注プローブにより前記試料容器内の試料の吸引が可能な吸引位置へ引き出される前記試料ラックを保持するレーンにより構成され、前記容器検出手段は、前記吸引位置へ引き出される前記試料ラックに保持された前記試料容器を検出することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記ベルトに保持された前記試料ラックの位置を検出するラック検出手段を有し、
前記設定手段により設定された後に前記ラック検出手段により検出される全ての前記試料ラックが前記吸引位置へ引き出されることを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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