説明

自動取引方法、表示装置、携帯端末および自動取引装置

【課題】表示部を有し、携帯端末30を用いて自動取引をする自動取引装置1において、専用の通信ユニットを実装することなく、また、通信信号の不正傍受による盗聴や改竄などを防止する。
【解決手段】自動取引装置1の表示部を、フォトセンサを内蔵する液晶パネル4にて構成し、携帯端末30の表示部も、フォトセンサを内蔵する液晶パネル34にて構成し、表示内容を相互にスキャンして通信し、所望の取引を自動的に行えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機等の自動取引装置において携帯端末を用いて自動取引を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現金自動預払機等の自動取引装置において、携帯電話等の携帯端末を用いて自動取引を行う場合、携帯端末とは、非接触ICによる通信や赤外線通信などを用いてデータの送受信を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−191809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非接触ICによるデータの送受信や赤外線等によるデータ通信のようなインタフェイスを行うためには、それぞれ専用のユニットを実装しなければならず、装置の低価格化を妨げる要因の1つとなっていた。また、通信信号を不正に傍受され、盗聴や改竄などをされるおそれもあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、表示部を有し、携帯端末を用いて自動取引を行う自動取引装置において、前記表示部をフォトセンサ内蔵液晶パネルにて構成し、前記携帯端末の表示内容を読み取って前記携帯端末と通信し取引を行うようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の自動取引装置によれば、表示部を有し、携帯端末を用いて自動取引を行う自動取引装置において、前記表示部をフォトセンサ内蔵液晶パネルにて構成し、前記携帯端末の表示内容を読み取って前記携帯端末と通信し取引を行うようにしたので、特別な通信ユニットを設けることを要せず、装置の低価格化が可能となり、また、通信信号の不正傍受による盗聴や改竄なども確実に防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の自動取引装置の概観斜視図である。
【図2】実施例1の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図3】実施例1の携帯端末の外観を示す構成図である。
【図4】実施例1の携帯端末の制御系ブロック図である。
【図5】実施例1の自動取引装置および携帯端末の動作フローチャート図である。
【図6】フォトセンサ内蔵液晶パネルの構成の一例(斜視図および拡大図)である。
【図7】フォトセンサ内蔵液晶パネルの構成の一例(断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明では、現金自動預払機を例として説明するが、切符、定期等の発券機などの自動券売機などにも本発明を容易に適用することができる。
【実施例1】
【0009】
(構成)
(自動取引装置の外観構成)
実施例1の自動取引装置1は、図1のような外観をしており、硬貨入出金口2、紙幣入出金口3、表示操作部として機能するフォトセンサ内蔵液晶パネル4、通帳挿入口5、カード挿入口6を備えている。
【0010】
紙幣入出金口3は、紙幣が投入されるとともに、これらが排出される開口部である。紙幣入出金口3には、シャッタが設けられシャッタが駆動されることにより紙幣入出金口3が開閉される。
【0011】
カード挿入口6は、カードを用いて取引を行う場合、当該カードがここから挿入され、取引が終了するとここから排出される。通帳挿入口5は、取引で使用される通帳がここから挿入され、取引が終了するとここから排出される。また、硬貨入出金口2は、硬貨が投入または排出される開口部である。
【0012】
紙幣入出金口3は、入金紙幣が投入されるとともに、出金紙幣が排出される部分で、その奥部には、図示していないが後述の紙幣の入出金処理を行う紙幣処理部26が設けられている。カード挿入口6は、カードが挿入または排出される部分で、その奥部には、図示していないが後述のカード処理部21が設けられている。
【0013】
硬貨入出金口2は、入金硬貨が投入されるとともに、出金硬貨が排出される部分で、その奥部には、図示しないが、硬貨の入出金処理を行う後述の硬貨処理部25が設けられている。通帳挿入出口5は、通帳が挿入または排出される部分で、その奥部には、図示していないが後述の通帳処理部23が設けられている。
【0014】
表示操作部として機能するフォトセンサ内蔵液晶パネル4は、後述記載の構成となっており、顧客の操作により各種の入力を行なうとともに、操作ガイダンス等が表示される。
【0015】
フォトセンサ内蔵液晶パネル4は、図6の外観図および図7の断面図に示したような構造となっており、通常の液晶パネル部分としての、バックライト120、バックライト120の上面および表面に設けられた偏向板121および125、各画素との電気的接続回路として機能するアレイ基板122、各画素のカラーフィルタとして機能するカラーフィルタ基板124とからなる。
【0016】
そして、フォトセンサ内蔵型としての液晶層は、図6右側に示したように液晶の画素(赤)101r、画素(緑)101g、画素(青)101bに加えて、フォトセンサ素子100aがそれぞれの画素に設けられた構成となっており、表示機能とともにスキャナーとしての機能も有する構成となっている。
【0017】
そして、これらの液晶画素およびフォトセンサ素子が、それぞれフォトセンサ駆動回路100、液晶駆動回路101により駆動されて、液晶表示およびフォトセンサが動作するようになっている。なお、ボタンなどの押下は、指の接近をフォトセンサによるスキャン画像から認識し押下と判断するようにすればよい。或いは、フォトセンサ素子100aのほか、図示していないが、所定の押圧により導通するタッチセンサ素子を各画素に設けた構成とし、当該タッチセンサ素子のオンオフを検出し、所定の範囲の押下を検出するようにしてもよい。
【0018】
(自動取引装置の内部構成)
実施例1の自動取引装置の内部は、図2に示したように、後述する各部の制御を行う主制御部20と、前述の表示操作部として機能するフォトセンサ内蔵液晶パネル4と、キャッシュカード等に記録された情報のリードライトを行うカード処理部21と、音声やブザーによりガイダンスを出力する音声案内部22と、通帳の磁気ストライプのリードライトおよび通帳への印字制御を行う通帳処理部23と、取引内容の明細票を印字して出力する明細票処理部24と、図示しない硬貨入出金金庫や硬貨装填庫を備え硬貨の入出金制御を行う硬貨処理部25と、図示しない紙幣入出金金庫や紙幣装填庫を備え紙幣の入出金制御を行う紙幣処理部26と、からなる。
【0019】
さらに、各部に電源を供給する電源部27、主制御部の記憶部として機能するメモリ部28と、図示しないホストコンピュータとのインタフェイスを制御するインタフェイス部29を有する。
【0020】
(携帯端末の外観構成)
実施例1の携帯端末30は、図3のような外観をしており、自動取引装置1のフォトセンサ内蔵液晶パネル4と同様の構成で画素数が比較的少ないフォトセンサ内蔵液晶パネル34と、携帯端末30の各種操作を行うためのボタンからなるキー操作部32を備えている。
【0021】
(携帯端末の内部構成)
実施例1の携帯端末30の内部は、図4に示したように、後述する各部の制御を行う主制御部31と、前述の表示部として機能するフォトセンサ内蔵液晶パネル34と、各部に電源を供給する電源部35、主制御部31の記憶部として機能するメモリ部33と、図示しない公衆回線やインターネット等の通信網との通信を制御するインタフェイス部36を有する。
【0022】
(動作)
以上の構成により実施例1の自動取引装置1および携帯端末31は以下のように動作する。以下、図5の動作フローチャート図を用いて、顧客が取引として出金取引を行った場合を例として、詳細な動作を説明する。
【0023】
まず、顧客が自動取引装置1に接近すると、これを近接センサ等により検知し、自動取引装置1は、取引選択画面をフォトセンサ内蔵液晶パネル4に表示する。このとき、携帯端末30を用いて取引を行うかどうかの選択ボタンも表示する。
【0024】
そして、顧客が出金取引を選択し出金取引ボタンを押下し、携帯端末30を用いて取引を行うボタンを押下し、これをフォトセンサ内蔵液晶パネル4のフォトセンサにより検知すると、携帯端末30を用いた出金取引が開始される。
【0025】
そして、自動取引装置1の主制御部20はフォトセンサ内蔵液晶パネル4に携帯端末30に対して「通信開始」の旨を表示し(ステップS01)、フォトセンサによる携帯端末30からの表示のスキャンを開始する(ステップS02)。なお、自動取引装置1のフォトセンサ内蔵液晶パネル4に表示する「通信開始」の旨の表示は、バーコードや2次元バーコード等によりコード化して表示してもよいし、文字として表示してもよい。
【0026】
このとき、自動取引装置1のフォトセンサ内蔵液晶パネル4に、例えば、「携帯端末の画面を自動取引装置の画面と向かい合わせになるように置いてください」などを表示する。
【0027】
一方、顧客は、携帯端末30の自動取引装置1との通信を行うアプリケーションを起動し、本人確認のための認証コードや出金する金額等を入力した後、自動取引装置のフォトセンサ内蔵液晶パネル4の上に置く(ステップS03)。
【0028】
そして、携帯端末30のフォトセンサ内蔵液晶パネル34は、自動取引装置1のフォトセンサ内蔵液晶パネル4に表示されている「通信開始」の旨の表示をフォトセンサにより検知し(ステップS04)、自動取引装置1との通信を開始する準備を行い(ステップS05)、「通信準備完了」の旨を携帯端末30のフォトセンサ内蔵液晶パネル34に表示し(ステップS06)、フォトセンサにより自動取引装置1のフォトセンサ内蔵液晶パネル4の表示内容のスキャンを開始する(ステップS07)。
【0029】
なお、「通信開始」の旨の表示の検知は、フォトセンサによりスキャンした画像を用いて通信開始を表わす2次元バーコード等をパタンマッチングにより画像認識したり、「通信開始」の文字から文字認識をしたりするようにすればよい。携帯端末側の前記「通信準備完了」の旨の表示についても、自動取引装置1の表示と同様に、バーコードや2次元バーコード等によりコード化して表示したり、文字として表示したりすればよい。
【0030】
すると、自動取引装置1は、携帯端末30のフォトセンサ内蔵液晶パネル34の「通信準備完了」の旨をフォトセンサ内蔵液晶パネル4のフォトセンサにて検知する(ステップS08)。
【0031】
携帯端末30がデータ受信可能な状態となっていると判断した自動取引装置1は、次に、出金取引のための"通信データ"をフォトセンサ内蔵液晶パネル4にて表示する(ステップS09)。なお、通信終了の場合は、"通信データ"としては「通信終了」の旨を表示する。
【0032】
そして、通信終了でない場合は(ステップS10)、携帯端末30のフォトセンサ内蔵液晶パネル34に表示される"通信データ"のスキャンを開始し(ステップS11)、後述のステップS14にて携帯端末30からの"通信データ"を受信すると、ステップS09に戻り、次の"通信データ"を表示し、以下同様の処理を行う。
【0033】
一方、ステップS10にて、通信終了の場合は、自動取引装置1は、携帯端末30からの出金データに基づいて出金処理を行い、本処理を終了する
【0034】
一方、携帯端末30は、自動取引装置1のフォトセンサ内蔵液晶パネル4に表示された"通信データ"を携帯端末30のフォトセンサ内蔵液晶パネル34のフォトセンサにより検知し(ステップS12)、自動取引装置1からの通信データが通信終了を示すデータであった場合、携帯端末30は、本処理を終了する(ステップS13)。
【0035】
一方、自動取引装置1からの"通信データ"が通信終了を示すデータでなかった場合は、応答データとして本人確認のための認証コードや出金金額などの"通信データ"をフォトセンサ内蔵液晶パネル34に表示し(ステップS14)、フォトセンサにより自動取引装置1のフォトセンサ内蔵液晶パネル4の表示内容のスキャンを開始し(ステップS15)、ステップS12に戻り、自動取引装置1からの次の"通信データ"の受信を待ち、以降の処理を同様に行う。
【0036】
なお、以上の実施例の説明では、携帯端末を例として説明したが、フォトセンサ内蔵液晶パネルをカード状の媒体とし、当該媒体を用いて自動取引装置と通信を行い、取引を行うようにしてもよい。
【0037】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように実施例1の自動取引装置および携帯端末によれば、表示部をフォトセンサ内蔵液晶パネルにて構成し、表示内容を相互にスキャンして通信し取引を行えるようにしたので、特別な通信ユニットを設けることを要せず、装置の低価格化が可能となり、また、通信信号の不正傍受による盗聴や改竄なども確実に防止することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上述べたように、本発明は、携帯端末を用いて自動取引を行う現金自動預払機等の自動取引装置に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 自動取引装置
4 フォトセンサ内蔵液晶パネル
20 主制御部
30 携帯端末
31 主制御部
32 キー操作部
34 フォトセンサ内蔵液晶パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有し、携帯端末を用いて自動取引を行う自動取引装置であって、
前記表示部をフォトセンサ内蔵液晶パネルにて構成し、前記携帯端末の表示内容を読み取って前記携帯端末と通信し取引を行うようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
表示部を有し、自動取引装置を用いて自動取引を行う携帯端末であって、
前記表示部をフォトセンサ内蔵液晶パネルにて構成し、前記自動取引装置の表示内容を読み取って前記自動取引装置と通信して取引を行うようにしたことを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
取引データを表示する表示装置であって、他の表示装置により表示された取引データを光学的に読み取ることができるようにしたことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
携帯端末の表示内容を読み取って自動取引装置と通信し、自動取引装置の表示内容を読み取って携帯端末と通信して取引を行うようにしたことを特徴とする自動取引方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−118675(P2011−118675A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275636(P2009−275636)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】