説明

自動取引装置及び自動取引装置の冊子媒体の読取方法

【課題】温度に関わらず頁の記載を検出する。
【解決手段】自動取引装置1では、読取手段3aが冊子媒体の頁を順次走査して頁の画像情報を読み取り、検出手段2dが頁の一端部から任意の走査数目の画像情報を検出する。このような自動取引装置1では、さらに検出補正手段2eが、温度検知手段3bが検知した温度に応じて検出手段2dが検出する画像情報の一端部からの走査数目を変化させる。これにより、温度により搬送手段の搬送量の変化に応じた冊子媒体の頁の画像情報が変化しても、頁の検出対象の記載を正確に検出できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動取引装置及び自動取引装置の冊子媒体の読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等に設置されている自動取引装置(ATM(Automated Teller Machine))は利用者から受け付けた操作入力に応じて現金の預かり入れ、引き出し、振り込み、送金等の取引を実行する。
【0003】
また、このような自動取引装置は、通帳を受け付けて取引内容を当該通帳に印字して取引履歴を記録する通帳処理ユニットを備えている。
通帳処理ユニットは搬送手段、光学読取手段、印字手段等を備えている。このような通帳処理ユニットは頁が開かれた通帳を受け付けると、搬送手段が当該通帳を所定の位置に搬送して、光学読取手段が頁をスキャンして当該頁の画像情報を読み取る。通帳処理ユニットでは当該画像情報から頁に記載されている頁数を表す頁マーク及び印字の最終行の確認後、印字手段が当該頁に対して取引内容等を印字する。印字が終了すると、搬送手段が通帳を搬送して自動取引装置から外部に排出する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−130298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、通帳処理ユニットでは、温度に応じて搬送手段の搬送ローラの径の膨張(高温時)、縮小(低温時)が生じ、通帳に対する搬送量の適正値にずれが生じてしまう。
このため、通帳処理ユニットの光学読取手段が読み取った通帳の頁の画像情報が伸縮してしまい、頁に記載されている頁マーク等を正確に検出できないという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、温度に関わらず頁の記載を検出することができる自動取引装置及び自動取引装置の冊子媒体の読取方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目標を達成するために、冊子媒体を取り扱う自動取引装置において、前記冊子媒体の頁を順次走査して前記頁の画像情報を読み取る読取手段と、前記頁の一端から任意の走査数目の前記画像情報を検出する検出手段と、温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段が検知した温度に応じて前記検出手段が検出する前記画像情報の前記一端からの前記走査数目を変化させる検出補正手段と、を有する自動取引装置が提供される。
【0008】
また、上記目標を達成するためにこのような自動取引装置の冊子媒体の読取方法が提供される。
また、上記目標を達成するために、冊子媒体を取り扱う自動取引装置において、前記冊子媒体の頁を順次走査して前記頁の画像情報を読み取る読取手段と、前記頁の一端から任意の走査数目の前記画像情報を検出する検出手段と、前記冊子媒体の前記一端から他端までの実際の走査数と前記読取手段が読み取った前記冊子媒体の前記一端から前記他端までの読み取った走査数との比率に応じて、前記検出手段が検出する前記画像情報の前記一端からの前記走査数目を変化させる補正手段と、を有する自動取引装置が提供される。
【0009】
また、上記目標を達成するためにこのような自動取引装置の冊子媒体の読取方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
このような自動取引装置及び自動取引装置の冊子媒体の読取方法により、温度によらず冊子媒体の頁を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に係る自動取引装置を説明するための概念図である。
【図2】第2の実施の形態に係るATMの斜視図である。
【図3】第2の実施の形態に係るATMのハードウェア構成例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係るATMが備える通帳処理ユニットの構成例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係るATMが備える機能を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態に係るATMが備える印字行情報及び温度補正情報を説明するための図である。
【図7】通帳の記載例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係るATMにおける通帳に対する印字処理を実行するための処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係る通帳の頁マークの検出処理を実行するための処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る通帳の印字済最終行の検出処理を実行するための処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態に係るATMが備える機能を示すブロック図である。
【図12】通帳の間延びの例を示す図である。
【図13】第3の実施の形態に係る通帳の頁マーク及び印字済最終行の検出処理を実行するための処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る自動取引装置を説明するための概念図である。
【0013】
なお、図1(A)は自動取引装置1を、図1(B)は開かれた通帳Bの頁の画像情報の左上部をそれぞれ表している。
自動取引装置1は冊子媒体の頁の一端部から任意の走査数目の画像情報を読み取り、温度に応じて読み取る画像情報に対応する走査数を変化させるものである。
【0014】
このような自動取引装置1は制御部2と通帳処理部3とを備える。
制御部2は通帳処理部3の動作を制御して通帳処理部3から通知された情報に基づいて所定の処理を実行する。また、制御部2は温度補正情報保持手段2a、印字行情報保持手段2b、読取制御部2c、検出手段2d及び検出補正手段2eを備える。
【0015】
温度補正情報保持手段2aは、温度に応じた読取対象の頁の一端部から任意の走査数目の補正値に関する情報を保持する。このような温度補正情報保持手段2aは、例えば、常温時には補正値は0、高温時には補正値X、低温時には補正値Y等のようにこれまでの搬送量のずれに基づき予め温度に応じた補正値が定められている。なお、一般的に、高温の場合には、ゴム等で構成される搬送ローラの径は膨張してしまい搬送量が増加する。このため、読取手段3aが所定時間に読み取る頁の情報量が増加するために、読み取る頁の画像は縮小する。一方、低温の場合には、搬送ローラの径は縮小してしまい搬送量が減少することから、読み取る頁の画像は膨張する。
【0016】
印字行情報保持手段2bは、後述する読取手段3aの頁への走査数に対応する頁の行数に関する情報を保持する。
読取制御部2cは、後述する通帳処理部3の読取手段3aの読取処理を制御すると共に、読取手段3aが読み取った情報を受信する。
【0017】
検出手段2dは、頁の一端から任意の走査数目の画像情報を検出する。また、検出手段2dは、頁の一端から第1走査数目と一端部から第2走査数目との間の画像情報を検出する。
【0018】
検出補正手段2eは、温度検知手段3bが検知した温度に応じて検出手段2dが検出する画像情報の一端からの任意の走査数目を変化させる。例えば、検出補正手段2eは、温度補正情報保持手段2aを参照して温度検知手段3bが検知した温度に対応する補正値を決定する。そして、検出手段2dが検出する画像情報における頁の一端から任意の走査数目を補正値分だけ変化させる。
【0019】
また、通帳処理部3は制御部2の読取制御部2cからの制御信号に応じた処理を実行する。例えば、冊子媒体である通帳Bを頁が開いたままの状態で受け付けると通帳Bを内部に搬送し、通帳Bの頁を読み取り、印字等を行った通帳Bを自動取引装置1の外部に搬送する。また、通帳処理部3は読取手段3aと温度検知手段3bとを備える。
【0020】
読取手段3aは受け入れた通帳Bの頁の画像情報を読み取る。例えば、読取手段3aはイメージスキャナであり、受け付けた通帳Bの頁の全面の画像を取得する。
温度検知手段3bは、通帳処理部3の温度を検知する。また、温度検知手段3bは、検知した温度の情報を制御部2の検出補正手段2eに通知する。
【0021】
このような構成を有する自動取引装置1における環境温度に応じた通帳Bの読取方法について、以下に通帳Bに記載の頁マークMを検出する場合を例に挙げて説明する。
なお、頁マークMとは通帳の頁数を示すバーコードである。
【0022】
まず、利用者は通帳処理部3の所定の挿入口に頁を開いた状態の通帳Bを挿入する。読取手段3aは、挿入されて所定位置に搬送された通帳Bの頁の画像を読み取り、制御部2の読取制御部2cに通知する。また、温度検知手段3bは環境の温度の情報を検知して制御部2の検出補正手段2eに通知する。
【0023】
検出補正手段2eは、温度補正情報保持手段2aを参照して通知された温度に対応する補正値を決定して、検出手段2dに通知する。
まず、検出手段2dは、温度による影響を考慮しない場合には、例えば、通帳Bに記載の印字済最終行の文字列を検出するために頁の一端部から任意の走査数目の検出位置A1と検出位置A2との間の画像情報を検出する。
【0024】
しかし、温度により搬送ローラの搬送量が変化したために読取手段3aで読み取られた画像情報は伸縮してしまう。このため、図1(B)に示されるように、検出位置A1及び検出位置A2が(図1(B)では上方に)ずれてしまい、頁マークMは検出位置A1と検出位置A2との間に含まれない。
【0025】
そこで、検出手段2dは、検出補正手段2eから通知された温度に応じた補正値に基づき検出位置A1及び検出位置A2を検出位置B1及び検出位置B2に変化させる。これにより、頁マークMが検出位置B1及び検出位置B2に含まれるようになり(図1(B))、頁マークMが適切に検出されるようになる。
【0026】
このように自動取引装置1では冊子媒体の頁の一端部から走査数目を温度に応じて変化させるようにした。
これにより、温度により搬送手段の搬送量の変化に応じた冊子媒体の頁の画像情報が変化しても、頁の検出対象の記載を正確に検出できるようになる。
【0027】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、第1の実施の形態をより具体的に説明する。
なお、第2の実施の形態では、冊子媒体として、片方に磁気ストライプが設けられた一対の表紙に綴り目で綴られた複数の中紙とを有する通帳の場合について説明する。
【0028】
図2は、第2の実施の形態に係るATMの斜視図である。
ATM10は、前面にカード挿入/排出口40aを有するカード処理ユニット、通帳の挿入口51を有する通帳処理ユニット、硬貨入出金部60aを有する硬貨処理ユニット、及び紙幣入出金部70aを有する紙幣処理ユニットを有する。さらに、ATM10は、利用者からの操作入力及び表示のための表示部30aを有する表示ユニットを有する。
【0029】
図3は、第2の実施の形態に係るATMのハードウェア構成例を示す図である。
ATM10は、ATM10で行われる所定の処理を実行する制御ユニット20、利用者からの操作入力及び出力結果を表示する表示ユニット30を有する。さらに、ATM10には、図2で説明した、カード挿入/排出口40aを有するカード処理ユニット40、通帳の挿入口51を有する通帳処理ユニット50、硬貨入出金部60aを有する硬貨処理ユニット60及び紙幣入出金部70aを有する紙幣処理ユニット70を有する。
【0030】
制御ユニット20は、CPU20a、RAM(Random Access Memory)20b、HDD(Hard Disk Drive)20c、グラフィックインタフェース20d、ホスト通信制御部20e及び入出力インタフェース20fを備えており、これらの各部はバス20gで相互に接続されている。
【0031】
CPU20aは、HDD20c等の記憶媒体に記憶された各種プログラムを実行することにより、このATM10全体を統括的に制御する。
RAM20bには、CPU20aに実行させるOS(Operating System)並びにプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM20bには、CPU20aによる処理に必要な各種データが格納される。
【0032】
HDD20cには、ATM10上のOS及びアプリケーションのプログラムが格納される。また、HDD20cには、CPU20aによる処理に必要な各種データが格納される。
【0033】
グラフィックインタフェース20dには、表示ユニット30が接続されている。グラフィックインタフェース20dは、CPU20aからの命令に従って、画面を表示ユニット30の表示部30aに表示させる。また、グラフィックインタフェース20dは、表示ユニット30の入力検知部30bで検知された操作入力に応じた情報を取得する。
【0034】
ホスト通信制御部20eは、様々な場所に設置したATM10の管理を行う管理センターのホストコンピュータ(図示を省略)と通信可能に例えばLAN(Local Area Network)で接続されており、ホストコンピュータと送受信信号の通信を行うことができる。
【0035】
入出力インタフェース20fには、カード処理ユニット40、通帳処理ユニット50、硬貨処理ユニット60、及び紙幣処理ユニット70が接続されている。また、入出力インタフェース20fは、カード処理ユニット40、通帳処理ユニット50、硬貨処理ユニット60、及び紙幣処理ユニット70が相互に通信可能に接続されており、バス20gを介してCPU20aと相互に信号の送受信を行う。
【0036】
表示ユニット30は、取引に関する画面を表示して、利用者からの操作入力を受け付けることができるものであり、表示部30aと、入力検知部30bとを備える。
表示部30aは、ATM10の処理に応じ画面情報に基づいて画面を表示する、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)である。
【0037】
入力検知部30bは、表示部30aが表示する画面に対する利用者のタッチを検知する。具体的には、利用者のタッチによる操作入力によって赤外線ビームが遮光された赤外線LED(Light Emitting Diode)とフォトトランジスタとから操作入力の位置情報を検出して、当該位置情報を制御ユニット20に送信する。なお、制御ユニット20のCPU20aにより、検知したタッチ位置に該当する画面に表示されている処理内容を識別して、当該処理を実行する。
【0038】
カード処理ユニット40は、カード挿入/排出口40aから挿入された利用者のカードの実行指示に応じて所定の処理の処理結果を記録する。また、カード処理ユニット40は、処理結果の記録が完了したカードを、カード挿入/排出口40aから排出して、利用者に返却する。
【0039】
通帳処理ユニット50は、挿入口51から挿入された利用者の通帳を所定位置まで搬送し、利用者からの実行指示に応じて所定の処理の処理結果を記録する。また、通帳処理ユニット50は、処理結果の記録が完了した通帳を搬送して、挿入口51から排出して、利用者に返却する。
【0040】
硬貨処理ユニット60及び紙幣処理ユニット70は、硬貨入出金部60a及び紙幣入出金部70aから挿入された硬貨及び紙幣を受け入れて、硬貨及び紙幣をそれぞれ計数する。また、利用者の所定の実行指示に応じて、硬貨入出金部60a及び紙幣入出金部70aから処理に応じた額の硬貨及び紙幣を放出することができる。
【0041】
このようなカード処理ユニット40、通帳処理ユニット50、硬貨処理ユニット60、及び紙幣処理ユニット70は、利用者による表示ユニット30を介した操作入力に応じて、制御ユニット20のCPU20aによってそれぞれ制御される。
【0042】
なお、図3に記載したハードウェア構成以外にも、例えば、オペレータ、係員、行員等がATM10の様々な設定を管理し、設定状況を把握するための操作表示ユニット等の上位装置(図示を省略)を制御ユニット20に接続するようにしても構わない。
【0043】
次いで、ATMが備えるこのようなハードウェア構成の1つである通帳処理ユニット50の詳細について説明する。
図4は、第2の実施の形態に係るATMが備える通帳処理ユニットの構成例を示す図である。
【0044】
通帳処理ユニット50は、挿入口51に通じる搬送路52に対して、磁気ストライプユニット53、光学読取部54、印字部55、捲り部56、通帳回転部57、カセット58a〜58d、取り忘れ収納部58e及び温度検知部59を備える。
【0045】
磁気ストライプユニット53は、通帳の表紙の外面に設けられた磁気ストライプに対して取引情報等を磁気的に書き込み、読み取る。
光学読取部54は、例えばイメージスキャナであって、通帳の搬送方向に対して垂直方向に通帳の頁を通帳の上端部から下端部まで1ラインずつ走査(スキャン)して頁の画像情報を読み取って、RAM20bに取り込む。なお、光学読取部54の1スキャンの幅は、例えば、0.182mm程度である。
【0046】
印字部55は、通帳の頁に対して年月日、取引内容、支払金額、振込金額等を取引情報ごとに1行ずつ印字する。
捲り部56は、印字部55により開かれた頁の全てに文字列を印字して次頁を開く場合、開かれた通帳を閉じる場合等に通帳の表紙、中紙を捲る。
【0047】
通帳回転部57は、例えば、閉じられた通帳を回転して、搬送路52を搬送させて挿入口51から外部に排出する。
カセット58a〜58dは、新通帳を保持している。必要に応じて新たに通帳がカセット58a〜58dから発行される。
【0048】
取り忘れ収納部58eは、利用者が通帳を取り忘れた場合に通帳を取り込み、この部で保管する。
温度検知部59は、通帳処理ユニット50の環境温度を検出する。
【0049】
次に、ATM10が備える制御機能について説明する。
図5は、第2の実施の形態に係るATMが備える機能を示すブロック図である。
ATM10は通帳の頁から当該頁に対応する画像情報を読み取り、温度に応じて頁の検出対象の記載に対応する当該画像情報の検出範囲を変化させるものである。
【0050】
このようなATM10の制御ユニット20は、図5に示されるように、印字行情報保持部21a及び温度補正情報保持部21bを備えている。
図6は、第2の実施の形態に係るATMが備える印字行情報及び温度補正情報を説明するための図である。
【0051】
なお、図6(A)は印字行情報保持部21aが保持する印字行情報を、図6(B)は温度補正情報保持部21bが保持する温度補正情報をそれぞれ表している。スキャン数は、光学読取部54が通帳の頁に対して1ラインのスキャンを1回行うことを1スキャンと表す。例えば、1ラインのスキャンを30回行う場合のスキャン数は30スキャンである。
【0052】
また、図7は、通帳の記載例を示す図である。
なお、図7は、開いた状態の通帳Bを示しており、通帳Bの上側の端が上端部、下側の端が下端部、中央の破線で表された綴り目が中央部である。また、頁の左上部には頁マークMが、左欄には行数がそれぞれ記載されている。
【0053】
印字行情報保持部21aは、通帳の上端部からの距離に対応する光学読取部54のスキャン数が対応づけられている情報を予め保持している。
図6(A)によれば、光学読取部54による頁の上端部から117スキャン以上144スキャン未満は、頁の上端部から21mm以上26mm未満であって頁の1行目に対応する。
【0054】
温度補正情報保持部21bは、図6(B)に示されるように、4種の温度範囲に対して、上端部からのスキャン数に対する補正値が対応づけられた情報を保持している。
まず、温度については、−10℃未満の場合を低温時1に、−10℃以上20度未満の場合を低温時2に、20℃以上35℃未満を通常時に、35℃以上を高温時に4種類の温度範囲が設定されている。
【0055】
このような温度変化に対して、通帳Bの上端部から頁マーク検出範囲の上端までのスキャン数(図7中のA)、通帳の上端部から頁マーク検出範囲の下端までのスキャン数(図7中のB)、頁の上端部から印字済最終行までのスキャン数(図7中のC)に対する補正値がそれぞれ設定されている。
【0056】
また、上記の各温度範囲おいて1000スキャン行うと、低温時1の場合には6スキャン分膨張し、低温時2の場合には3スキャン分膨張し、高温時の場合には3スキャン分収縮することが明らかになっている。
【0057】
このような結果を踏まえて、低温時1の係数を0.006、低温時2の係数を0.003、高温時の係数を−0.003とすると補正値は次のように表すことができる。
なお、図7の頁の頁マークMが位置する頁の上端部から7mm以上20mm未満は、38(=A)スキャン以上110(=B)スキャン未満に対応する。
【0058】
低温時1(係数は0.006)の場合の補正値は、
X1=38スキャン×0.006=0.228 ・・・(1)
X2=110スキャン×0.006=0.66 ・・・(2)
低温時2(係数は0.003)の場合の補正値は、
Y1=38スキャン×0.003=0.114 ・・・(3)
Y2=110スキャン×0.003=0.33 ・・・(4)
高温時(係数は−0.003)の場合の補正値は、
Z1=38スキャン×(−0.003)=−0.114 ・・・(5)
Z2=110スキャン×(−0.003)=−0.33 ・・・(6)
また、印字済最終行に対する補正値は以下のように表すことができる。
【0059】
X3=印字済最終行までのスキャン数C×0.006 ・・・(7)
Y3=印字済最終行までのスキャン数C×0.003 ・・・(8)
Z3=印字済最終行までのスキャン数C×(−0.003) ・・・(9)
図5のATM10の制御ユニット20の構成の説明に戻る。
【0060】
制御ユニット20は、さらに、搬送制御部22、通帳処理制御部23、スキャン情報取得部24、検出部25、温度情報取得部26及び検出補正部27を有する。
搬送制御部22は、通帳処理ユニット50内の通帳Bを各部への搬送を制御する。さらに、捲り部56、通帳回転部57の動作を制御する。
【0061】
通帳処理制御部23は、通帳処理ユニット50全体の動作を制御すると共に、通帳処理ユニット50から通知された情報を取得する。
スキャン情報取得部24は、通帳処理制御部23が取得した光学読取部54が取得した画像情報を取得し、後述する検出部25に通知する。
【0062】
検出部25は、頁の上端部から任意のスキャン数目の検出位置の画像情報を検出する。また、検出部25は、頁の上端部からスキャン数目と当該スキャン数目よりも大きいスキャン数目との間の検出範囲の画像情報を検出する。また、検出部25は印字行情報保持部21aを参照して検出したスキャン数に対応する行数を特定する。
【0063】
温度情報取得部26は、通帳処理制御部23が取得した温度検知部59が検知した温度の情報を取得して、取得した温度の情報を後述する検出補正部27に通知する。
検出補正部27は、温度補正情報保持部21bを参照して通知された温度に対応する補正値を決定し、決定した補正値を検出部25に通知する。
【0064】
次に、このようなATM10で実行される印字処理について説明する。
図8は、第2の実施の形態に係るATMにおける通帳に対する印字処理を実行するための処理手順を示すフローチャートである。
【0065】
[ステップS11] 利用者は頁を開いた状態の通帳を通帳処理ユニット50の挿入口51に挿入する。通帳処理ユニット50は通帳を受け付けた旨を制御ユニット20の通帳処理制御部23に通知すると共に、通帳を光学読取部54の設置位置まで搬送させる。
【0066】
[ステップS12] 光学読取部54は通帳の頁をスキャンして頁の画像情報を読み取り、制御ユニット20に通知する。制御ユニット20では通知された画像情報から頁マークを検出する。
【0067】
[ステップS13] 制御ユニット20ではステップS12で通知された画像情報から頁の印字済最終行を検出する。
なお、ステップS12及びステップS13の処理の順序は逆であっても構わない。
【0068】
[ステップS14] 通帳処理制御部23はステップS12で検出した頁マークが正常に確認できるものか否かを判別する。
次の処理は、正常に判別できるものである場合にはステップS15に進められ、判別できない場合にはステップS16に進められる。
【0069】
[ステップS15] 検出部25は印字行情報保持部21aを参照してステップS13で検出した頁の印字済最終行のステップ数から最終行の印字済行数を特定する。検出部25は特定した印字済行数と当該頁に含まれている行数との比較により当該頁に残りの行の有無を判別する。
【0070】
次の処理は、残りの行がある場合にはステップS17に進められ、無い場合にはステップS16に進められる。
[ステップS16] 通帳処理制御部23は搬送制御部22に通帳の捲り要求の通知要求を出力する。搬送制御部22は捲り要求に基づき通帳処理ユニット50において通帳の頁を捲らせる。
【0071】
[ステップS17] 通帳処理制御部23は通帳処理ユニット50の印字部55に通帳に対して取引内容の印字要求を通知する。
印字部55は取引内容を通帳に印字して、印字が完了すると完了通知を通帳処理制御部23に出力する。
【0072】
[ステップS18] 通帳処理制御部23は搬送制御部22に通帳を閉じさせて挿入口51から排出させる要求を通知する。
搬送制御部22は、通帳を捲り部56に搬送させて、捲り部56は通帳を閉じる。閉じた通帳を通帳回転部57に搬送させる。通帳回転部57は通帳を綴り目が挿入口51側になるように回転させる。そして、通帳を挿入口51に搬送させて、挿入口51から排出させる。
【0073】
次いで、ステップS12及びステップS13で実行される処理の詳細について説明する。
まず、頁マーク検出処理(ステップS12)について説明する。
【0074】
図9は、第2の実施の形態に係る通帳の頁マークの検出処理を実行するための処理手順を示すフローチャートである。
[ステップS12a] 通帳処理ユニット50に開いた状態の通帳が挿入されて所定の光学読取位置に搬送される。通帳処理制御部23は通帳の読取要求を通帳処理ユニット50に通知する。
【0075】
通帳処理ユニット50の光学読取部54は光学読取位置にセットされて所定の搬送量で搬送される通帳の頁を1ラインずつスキャンして頁全面の画像情報を取得して通帳処理制御部23に通知する。
【0076】
スキャン情報取得部24は、通帳処理制御部23から頁の画像情報を取得する。
[ステップS12b] 通帳処理制御部23は温度検知部59が検知した温度(t)の情報を通帳処理ユニット50から取得する。
【0077】
温度情報取得部26は通帳処理制御部23から温度情報を取得して、検出補正部27に取得した温度情報を通知する。
[ステップS12c] 検出補正部27は、ステップ12bで取得した温度が20℃以上35℃未満であるか否かを判定する。
【0078】
判定の結果が20℃以上35℃未満である場合にはステップS12dに進められ、20℃以上35℃未満ではない場合にはステップS12eに進められる。
[ステップS12d] 検出補正部27は、温度補正情報保持部21bを参照して温度に応じた補正値は0(温度補正なし)であることを決定する。
【0079】
[ステップS12e] 検出補正部27は、ステップ12bで取得した温度が−10℃未満であるか否かを判定する。
判定の結果が−10℃未満である場合にはステップS12fに進められ、−10℃未満ではない場合にはステップS12gに進められる。
【0080】
[ステップS12f] 検出補正部27は、温度補正情報保持部21bを参照して温度に応じた補正値がX1,X2(ステップ数)であることを決定する。
[ステップS12g] 検出補正部27は、ステップ12bで取得した温度が−10℃以上20℃未満であるか否かを判定する。
【0081】
判定の結果が−10℃以上、20℃未満である場合にはステップS12hに進められ、−10℃以上20℃未満ではない場合には、35℃以上の為ステップS12jに進められる。
【0082】
[ステップS12h] 検出補正部27は、温度補正情報保持部21bを参照して温度に応じた補正値がY1,Y2(ステップ数)であることを決定する。
[ステップS12i] 検出補正部27は、温度補正情報保持部21bを参照して温度に応じた補正値がZ1,Z2(ステップ数)であることを決定する。
【0083】
[ステップS12j] 検出部25は、ステップS12d,S12f,S12h,S12iで決定した補正値に基づいて、スキャン情報取得部24から通知された頁の画像情報に対して頁マークを検出するための検出範囲を補正する。
【0084】
[ステップS12k] 検出部25は、スキャン情報取得部24から取得した頁の画像情報から補正された検出範囲内の頁マークの画像情報を検出する。
次いで、印字済最終行検出処理(ステップS13)について説明する。
【0085】
図10は、第2の実施の形態に係る通帳の印字済最終行の検出処理を実行するための処理手順を示すフローチャートである。
[ステップS13a] 通帳処理ユニット50に開いた状態の通帳が挿入されて所定の光学読取位置に搬送される。通帳処理制御部23は通帳の読取要求を通帳処理ユニット50に通知する。
【0086】
通帳処理ユニット50の光学読取部54は光学読取位置にセットされて所定の搬送量で搬送される通帳の頁を1ラインずつスキャンして頁全面の画像情報を取得して通帳処理制御部23に通知する。
【0087】
スキャン情報取得部24は、通帳処理制御部23から頁の画像情報を取得する。
[ステップS13b] スキャン情報取得部24は通帳処理制御部23から画像情報を取得して検出部25に通知する。
【0088】
検出部25は、通知された画像情報から(温度を考慮しないで)頁の印字済最終行の文字列(仮印字済最終行)と共に当該印字済最終行の文字列までのスキャン数(仮スキャン数)を検出する。
【0089】
[ステップS13c] 通帳処理制御部23は温度検知部59が検知した温度(t)の情報を通帳処理ユニット50から取得する。
温度情報取得部26は通帳処理制御部23から温度情報を取得して、検出補正部27に取得した温度情報を通知する。
【0090】
[ステップS13d] 検出補正部27は、ステップ13cで取得した温度が20℃以上35℃未満であるか否かを判定する。
判定の結果が20℃以上、35℃未満である場合にはステップS13eに進められ、20℃以上35℃未満ではない場合にはステップS13fに進められる。
【0091】
[ステップS13e] 検出補正部27は、温度補正情報保持部21bを参照して温度に応じた補正値は0(温度補正なし)であることを決定する。
[ステップS13f] 検出補正部27は、ステップ13cで取得した温度が−10℃未満であるか否かを判定する。
【0092】
判定の結果が−10℃未満である場合にはステップS13gに進められ、−10℃未満ではない場合にはステップS13hに進められる。
[ステップS13g] 検出補正部27は、温度補正情報保持部21bを参照して式(7)にステップS13bの仮ステップ数を適用して得られた補正値がX3(ステップ数)であることを決定する。
【0093】
[ステップS13h] 検出補正部27は、ステップ13cで取得した温度が−10℃以上20℃未満であるか否かを判定する。
判定の結果が−10℃以上20℃未満である場合にはステップS13iに進められ、−10℃以上、20℃未満ではない場合には、35℃以上の為ステップS13jに進められる。
【0094】
[ステップS13i] 検出補正部27は、温度補正情報保持部21bを参照して式(8)にステップS13bの仮ステップ数を適用して得られた補正値がY3(ステップ数)であることを決定する。
【0095】
[ステップS13j] 検出補正部27は、温度補正情報保持部21bを参照して式(9)にステップS13bの仮ステップ数を適用して得られた補正値がZ3(ステップ数)であることを決定する。
【0096】
[ステップS13k] 検出部25は、ステップS13bの仮ステップ数とステップS13e,S13g,S13i,S13jで決定した補正値とを利用した次式により補正された印字済最終行の文字列に対応するスキャン数を算出する。
【0097】
印字済最終行の文字列のスキャン数
=仮ステップ数(ステップS13b)+((仮ステップ数/100)×補正値(ステップS13e,S13g,S13i,S13j))・・・(10)
[ステップS13l] 検出部25は、ステップS13kで算出されたステップ数から印字済最終行の文字列を検出する。
【0098】
このような処理により頁マーク及び印字済最終行の文字列を検出することができる。
次に、ATM10で実行される図8〜図10の処理の具体例を説明する。
なお、以下では、温度検知部59が検知した温度は18℃であるとする。
【0099】
まず、利用者は頁を開いた状態の通帳を通帳処理ユニット50の挿入口51に挿入する。すると、通帳処理ユニット50は、通帳を受け付けた旨を制御ユニット20の通帳処理制御部23に通知すると共に、通帳を光学読取部54の設置位置まで搬送させる(ステップS11)。
【0100】
光学読取位置にセットされて所定の搬送量で搬送される通帳の頁を通帳処理ユニット50の光学読取部54は1ラインずつスキャンして頁全面の画像情報を取得して通帳処理制御部23に通知する(ステップS12a)。
【0101】
通帳処理制御部23は温度検知部59が検知した温度(t=18℃)の情報を通帳処理ユニット50から取得する(ステップS12b,S12c,S12e,S12g)。
この場合、検出補正部27は、温度補正情報保持部21bを参照し式(3)及び式(4)を適用して温度に応じた補正値がY1=0.114、Y2=0.33であることを決定する(ステップS12h)。
【0102】
検出部25は、このような補正値に基づき、スキャン情報取得部24から通知された頁の画像情報に対して、A=38スキャン目とB=110スキャン目との間の検出範囲を、A=38.114(=38+0.114)スキャン目とB=110.33(=110+0.33)スキャン目との間の検出範囲に補正する(ステップS12j)。
【0103】
そして、検出部25は、このように補正した検出範囲内の頁マークの画像情報を検出する(ステップS12k)。
さらに、検出部25は、通知された頁の画像情報から(温度を考慮しないで)頁の仮印字済最終行と共に当該仮印字済最終行までの仮スキャン数(例えば、350スキャン)を検出する(ステップS13a,S13b)。
【0104】
温度が18℃であるために、検出補正部27は、温度補正情報保持部21bを参照し式(8)を適用して温度に応じた補正値が1.05(=350×0.003)であることを決定する(ステップS13c,S13d,S13f,S13h,S13i)。
【0105】
検出部25は、印字済最終行の文字列のステップ数が353.675(=350(仮スキャン数)+(350/100×1.05))であることを算出して、検出部25は、画像情報のこのようなステップ数目から印字済最終行の文字列を検出する(ステップS13k,S13l)。
【0106】
検出部25はこのように検出した頁マークが正常に確認できる。また、検出部25は印字行情報保持部21aを参照してこのように検出した印字済最終行のスキャン数から当該印字済最終行が9行目であることを特定して、9行目の後に行が残っていることを判別する(ステップS14,S15)。
【0107】
そして、通帳処理制御部23は通帳処理ユニット50の印字部55にステップS13kで検出した印字済最終行の文字列の次に取引内容の印字を行って、印字が終了すると当該通帳は外部に排出される(ステップS17,S18)。
【0108】
このようにATM10では通帳Bの頁を順次スキャンして取得した当該頁の画像情報に対して頁マークを検出するための検出範囲と印字済最終行を検出するための検出位置とを温度に対して変化させるようにした。
【0109】
これにより、通帳Bの温度による搬送量の変化に応じて通帳Bの頁の画像情報が伸縮して変化しても、頁マーク及び印字済最終行を正確に検出できるようになる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、温度を検知することなく温度によらずに通帳の頁の画像情報から頁マーク及び印字済最終行を正確に検出することを説明する。
【0110】
第3の実施の形態のATMは図3で説明したハードウェア構成を有し、次のような制御機能を有する。
図11は、第3の実施の形態に係るATMが備える機能を示すブロック図である。
【0111】
なお、図5と同じ機能のブロックには図5と同じ符号を付してその説明は省略する。
ATM100は通帳の頁から当該頁に対応する画像情報を読み取り、温度によって伸縮等が生じていない通常の画像情報に対する読み取った画像情報の間延び率に応じて、頁の画像情報に対する検出範囲並びに検出位置を変化させるものである。
【0112】
このようなATM100の制御ユニット200は、印字行情報保持部21a、搬送制御部22、通帳処理制御部23、スキャン情報取得部24、間延び率算出部28及び検出部125を備える。
【0113】
間延び率算出部28は、光学読取部54が読み取った通帳Bの頁の画像情報をスキャン情報取得部24から取得して、温度の影響により伸縮していない通常の画像情報に対する読み取った画像情報の搬送方向の長さの間延び率を算出する。なお、通帳Bの間延びの例については後述する。
【0114】
ここで通帳の頁の画像情報の間延びについて説明する。
図12は、通帳の間延びの例を示す図である。
なお、正常に読み取られた通帳Bの頁の画像は図12(A),(B)の左側にそれぞれ示しており、通帳の搬送方向の長さはHである。図12(A)は通帳の頁の画像が縮小した場合、図12(B)は通帳の頁の画像が膨張した場合をそれぞれ表している。
【0115】
既述の通り、通帳処理ユニット50は環境温度に応じて搬送ローラが膨張/収縮することにより通帳Bの搬送量が変化する。
高温時には搬送ローラが膨張することから通帳Bに対する搬送量が増加する。光学読取部54が通常よりも速く搬送される通帳Bの頁を読み取ると、図12(A)の右側に示されるように、通常の頁の画像情報の長さHよりも、読み取られた頁の画像情報の長さh1は小さくなってしまう。
【0116】
この場合には間延び率算出部28によって算出される間延び率はh1/H(<1)となる。
一方、低温時には高温時と逆であって光学読取部54が通常よりも遅く搬送される通帳Bの頁を読み取ると、図12(B)の右側に示されるように、通帳Bの頁の画像情報の長さHよりも、読み取られた頁の画像情報の長さh2は大きくなってしまう。
【0117】
この場合には間延び率算出部28によって算出される間延び率はh2/H(>1)となる。
なお、開かれた状態の通帳Bの搬送方向の通常の長さは174.6mm程度であるために、1スキャンが0.182mmであることから、通常の長さHは959スキャンである。
【0118】
また、検出部125は、(上記の検出部25と同様に)頁の上端部から任意のスキャン数目の検出位置の画像情報を検出する。検出部125は、頁の上端部から任意のスキャン数目と当該スキャン数目よりも大きいスキャン数目との間の検出範囲の画像情報を検出する。また、検出部125は印字行情報保持部21aを参照して検出したスキャン数に対応する行数を特定する。さらに、検出部125は、間延び率算出部28が算出した間延び率に応じてこれらの検出位置並びに検出範囲を補正して変化させる。
【0119】
このような構成を備えるATM100においても図8と同様の処理フローに沿って印字処理を実行する。
また、ATM100では図8のステップS12及びステップS13について次の処理が実行される。
【0120】
図13は、第3の実施の形態に係る通帳の頁マーク及び印字済最終行の検出処理を実行するための処理手順を示すフローチャートである。
なお、図13(A)はステップS12で実行される頁マーク検出処理を、図13(B)はステップS13で実行される印字済最終行検出処理をそれぞれ表している。
【0121】
また、図13でも図9及び図10で実行される処理については同じステップ番号を付してその説明については省略する。
まず、頁マーク検出処理について説明する。
【0122】
[ステップS112a] 間延び率算出部28は、スキャン情報取得部24が取得した頁の画像情報を取得する。間延び率算出部28は通常の頁の画像情報の搬送方向の長さに対する読み取った画像情報の搬送方向の長さの間延び率を算出する。
【0123】
[ステップS112k] 検出部125は間延び率算出部28から間延び率を取得する。そして、当該間延び率に基づいて頁の画像情報に対して頁マークを検出するための検出範囲を補正する。
【0124】
次いで、印字済最終行検出処理について説明する。
[ステップS113a] 間延び率算出部28は、スキャン情報取得部24が取得した頁の画像情報を取得する。間延び率算出部28は頁の通常の画像情報の搬送方向の長さに対する読み取った画像情報の搬送方向の長さの間延び率を算出する。
【0125】
[ステップS113k] 検出部125は、ステップS13bの仮ステップ数と間延び率とを次式に適用することにより、補正された印字済最終行の文字列のステップ数を算出する。
【0126】
印字済最終行の文字列のステップ数
=仮ステップ数(ステップS13b)+(仮ステップ数×間延び率(ステップS113a)・・・(11)
次に、ATM100で実行される図13の処理の具体例を説明する。なお、以下では図8のステップS11,S14〜S18についての説明は省略する。
【0127】
通帳処理ユニット50の光学読取部54は光学読取位置にセットされて所定の搬送量で搬送される通帳の頁を1ラインずつスキャンして頁全面の画像情報を取得して通帳処理制御部23に通知する(ステップS12a)。
【0128】
間延び率算出部28は頁の通常の画像情報の搬送方向の長さ(956スキャン)に対する読み取った画像情報の搬送方向の長さ(例えば、995スキャン)の間延び率(1.04=995/956)を算出する(ステップS112a)。
【0129】
検出部125は間延び率算出部28から間延び率(1.04)を取得する。この場合、検出部125は、このような間延び率から頁の画像情報に対して頁マークを検出するための検出範囲(A=38〜B=110)をA=39.52(=38×1.04)〜B=114.4(=110×1.04)に補正する(ステップS112k)。
【0130】
検出部125は、補正された画像情報の検出範囲内の頁マークの画像情報を検出する(ステップS12k)。
さらに、検出部125は、通知された頁の画像情報から通常(温度を考慮しない)の頁の仮印字済最終行と共に当該仮印字済最終行までの仮スキャン数(例えば、350スキャン)を検出する(ステップS13a,S13b)。
【0131】
頁マークの検出処理と同様に、間延び率算出部28は頁の通常の画像情報の搬送方向の長さ(956スキャン)に対する読み取った画像情報の搬送方向の長さ(例えば、995スキャン)の間延び率(1.04=995/956)を算出する(ステップS113a)。
【0132】
検出部125は、印字済最終行の文字列のステップ数を364(=350×1.04)と算出して、このようなステップ数にて印字済最終行の文字列を検出する(ステップS113k,S13l)。
【0133】
このようにATM100では通帳Bの頁を順次スキャンして取得した当該頁の画像情報に対して頁マークを検出するための検出範囲と印字済最終行を検出するための検出位置とを、頁の正常な長さに対する読み取った頁の長さの間延び率に応じて変化させるようにした。
【0134】
これにより、通帳Bの温度による搬送量の変化に応じて通帳Bの頁の画像情報が伸縮して変化しても、頁マーク及び印字済最終行を正確に検出できるようになる。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、自動取引装置1、ATM10,100が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD(Compact Disc)−ROM/RW(Re-Writable)等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等がある。
【0135】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0136】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0137】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現することもできる。
【符号の説明】
【0138】
1 自動取引装置
2 制御部
2a 温度補正情報保持手段
2b 印字行情報保持手段
2c 読取制御部
2d 検出手段
2e 検出補正手段
3 通帳処理部
3a 読取手段
3b 温度検知手段
10,100 ATM
20,200 制御ユニット
20a CPU
20b RAM
20c HDD
20d グラフィックインタフェース
20e ホスト通信制御部
20f 入出力インタフェース
20g バス
21a 印字行情報保持部
21b 温度補正情報保持部
22 搬送制御部
23 通帳処理制御部
24 スキャン情報取得部
25,125 検出部
26 温度情報取得部
27 検出補正部
28 間延び率算出部
30 表示ユニット
30a 表示部
30b 入力検知部
40 カード処理ユニット
40a カード挿入/排出口
50 通帳処理ユニット
51 挿入口
52 搬送路
53 磁気ストライプユニット
54 光学読取部
55 印字部
56 捲り部
57 通帳回転部
58a〜58d カセット
58e 取り忘れ収納部
59 温度検知部
60 硬貨処理ユニット
60a 硬貨入出金部
70 紙幣処理ユニット
70a 紙幣入出金部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冊子媒体を取り扱う自動取引装置において、
前記冊子媒体の頁を順次走査して前記頁の画像情報を読み取る読取手段と、
前記頁の一端から任意の走査数目の前記画像情報を検出する検出手段と、
温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段が検知した温度に応じて前記検出手段が検出する前記画像情報の前記一端からの前記任意の走査数目を変化させる検出補正手段と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記検出手段は前記頁の前記一端から第1走査数目と前記一端から第2走査数目との間の画像情報を検出し、
前記検出補正手段は前記温度検知手段が検知した温度に応じて前記第1走査数目と前記第2走査数目とをそれぞれ変化させる、
ことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記冊子媒体の頁に文字列が一行ずつ記載されており、
前記温度検知手段が検知した温度に応じて前記検出補正手段が変化させた前記任意の走査数目に前記頁の印字済最終行の文字列が該当する、
ことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記冊子媒体の各頁に頁数を表す頁マークがそれぞれ記載されており、
前記温度検知手段が検知した温度に応じて前記検出補正手段が変化させた前記第1走査数目と前記第2走査数目との間の前記画像情報に前記頁マークが含まれている、
ことを特徴とする請求項2記載の自動取引装置。
【請求項5】
冊子媒体を取り扱う自動取引装置において、
前記冊子媒体の頁を順次走査して前記頁の画像情報を読み取る読取手段と、
前記頁の一端から任意の走査数目の前記画像情報を検出する検出手段と、
前記冊子媒体の前記一端から他端までの実際の走査数と前記読取手段が読み取った前記冊子媒体の前記一端から前記他端までの読み取った走査数との比率に応じて、前記検出手段が検出する前記画像情報の前記一端からの前記任意の走査数目を変化させる補正手段と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
前記検出手段は前記頁の前記一端から第1走査数目と前記一端から第2走査数目との間の画像情報を検出し、
前記補正手段は前記比率に応じて前記第1走査数目と前記第2走査数目とをそれぞれ変化させる、
ことを特徴とする請求項5記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記冊子媒体の頁に文字列が一行ずつ記載されており、
前記比率に応じて前記補正手段が変化させた前記任意の走査数目に前記頁の印字済最終行の文字列が該当する、
ことを特徴とする請求項5記載の自動取引装置。
【請求項8】
前記冊子媒体の各頁に頁数を表す頁マークがそれぞれ記載されており、
前記比率に応じて前記補正手段が変化させた前記第1走査数目と前記第2走査数目との間の前記画像情報に前記頁マークが含まれている、
ことを特徴とする請求項6記載の自動取引装置。
【請求項9】
冊子媒体を取り扱う自動取引装置の冊子媒体の読取方法において、
前記冊子媒体の頁を順次走査して前記頁の画像情報を読み取り、
前記頁の一端から任意の走査数目の前記画像情報を検出し、
温度検知手段が検知した温度に応じて前記画像情報の前記一端からの前記任意の走査数目を変化させる、
ことを有することを特徴とする自動取引装置の冊子媒体の読取方法。
【請求項10】
冊子媒体を取り扱う自動取引装置の冊子媒体の読取方法において、
前記冊子媒体の頁を順次走査して前記頁の画像情報を読み取り、
前記頁の一端から任意の走査数目の前記画像情報を検出し、
前記冊子媒体の前記一端から他端までの実際の走査数と読み取った前記冊子媒体の前記一端から前記他端までの読み取った走査数との比率に応じて、前記画像情報の前記一端からの前記任意の走査数目を変化させる、
ことを有することを特徴とする自動取引装置の冊子媒体の読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−234249(P2012−234249A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100603(P2011−100603)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】