説明

自動取引装置

【課題】
自動取引装置の保守員操作環境を犠牲にすることなく保守員のミスによる意図しない誤動作を未然に防ぐ為の装置側の制御により安定した装置動作を提供する。
【解決手段】
保守員操作用の汎用I/Fを装備した自動取引装置において、汎用I/Fに接続する機器を事前に自動取引装置に登録し、登録済みの機器以外を使用出来ないように制御する事により、誤動作を未然に防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等で顧客が自動的に取引する自動取引装置に係り、特に、その装置における保守員操作の誤操作防止に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM、CDなどの自動取引装置におけるデータ入力手段は、エンドユーザーや係員が使用するときに使用するタッチパネルや、スイッチ等の操作手段とそれに合わせた専用のアプリケーションを用いて簡単に限られた操作を行う事が前提となっている。これは、保守員等が装置の環境設定を行う場合も同様の手段を用いている。自動取引装置のメンテナンス技術として特許文献1がある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−85364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動取引装置の提供する機能の多様化および高度化に伴い、保守員が設定を行う項目は、専用のアプリケーションのみでは、装置毎に合わせた詳細な環境設定環境を提供することが困難になってきている。そのため、詳細な設定を行う場合は、保守技術を習得した保守員がキーボードなどの入力装置を、装置本体のインターフェース(I/F)に接続し個別に設定等を行う。この設定を行う為のI/Fは、上記のように詳細設定を行う他に障害発生時の解析ログ収集用I/Fとしても使用する場合があり、保守員の操作でこのI/Fを使用しキーボード等の入力装置或いは、外部記録装置を接続する事が可能となっている。しかし、技術が未熟な保守員の操作ミスや、装置の接続ミスにより、意図しない装置の誤動作等を引き起こす可能性があり装置保守の確実性の観点から、好ましくない。
【0005】
本発明は、自動取引装置の保守員操作環境を犠牲にすることなく保守員のミスによる意図しない誤動作を未然に防ぐ為の装置側の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
保守員操作用の汎用I/Fを具備した自動取引装置において、汎用I/Fに接続する機器を事前に自動取引装置に登録し、登録済みの機器以外を使用出来ないように制御する自動取引装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保守員以外の操作による装置の誤動作の防止を可能にする。また、理解の浅い保守員の操作ミスによる装置の誤動作の防止を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、金融機関等で設置され取り扱われ、現金の入金、出金取引等を自動的に行う現金自動取引装置(以下ATMとする)のブロック図である。なお、顧客が希望する取引の選択を受け付けてその取引を自動的に行うことから自動取引装置とも言う。ATM本体101は、ATMの制御を行いCPU,メモリ等のハードを有する制御部102と、エンドユーザーに対して情報を表示したりエンドユーザーの操作を入力するための顧客操作部103と、係員に対してATM101の状態を表示したり係員が操作を入力する係員操作部104と、エンドユーザーのキャッシュカードを取り扱うカードリーダ/ライタとエンドユーザーに明細票印字して発行する印字機構から構成されるカード/明細票印字機構105と、エンドユーザーの通帳に印字する通帳印字機構106と、紙幣の入出金を行う紙幣入出金機構107と、硬貨の入出金を行う硬貨入出金機構108と、ATM101とホスト110と接続する回線I/F部109と、汎用I/F部111を有している。
【0010】
上記各部位の制御を行う制御部102に内蔵されたプログラムの構成を図2に示す。制御プログラムは、基本ソフトであるオペレーションシステム203(以下OSとする)とその制御を行う専用プログラム201によって構成されATMの動作を制御している。通常の装置運用では、図1に示す現金自動取引装置101の構成で運用可能として、キーボード112や、外部記憶装置113等は必要としない。そのため、本構成の装置では、上記通常の装置運用中は、汎用I/Fに接続される装置などの入出力は一切受け付けないように、専用アプリケーション201によって汎用I/F111に接続されるデバイスのデバイスドライバ204を無効とする事で、通常運用中の意図しない装置誤動作を防止することが出来る。
【0011】
さらに、専用アプリケーション201にはデータ領域202があり、装置制御に関わる情報等が格納され、事前に使用可能として登録済みのデバイス情報206とその登録情報を管理する為のパスワード207も格納している。また、OSには各ユニット部およびI/F部を制御する為のデバイスドライバ204が組み込まれており、図2は、デバイス接続の一例として汎用I/F部111に保守員が使用するキーボード112を接続した場合を示している。例えば、キーボード112には図2に示す個別情報205が記録されており、接続時にOSが汎用I/F部111を経由して個別情報205を読み取る。この個別情報205とデバイス情報206を専用アプリケーション201で比較し、デバイス情報206に存在しない場合は、専用アプリケーションによってキーボード112のデバイスドライバ204を活性化しない、つまり無効とする事で、キーボード112の接続又はその入力を無効とする。
【0012】
次に、上記構成のATM101において保守員がキーボード201を用いて保守作業を行う場合のATM101の動作を図3〜図6を用いて説明する。
【0013】
初めに、保守員がキーボード201を用いて保守作業を行う場合、使用するキーボード201の個別情報205をあらかじめATM101に登録する。このキーボード201の個別情報205の登録方法について図3、4を用いて説明する。まず、係員操作部104から保守員モード進入ボタンを押下する(ステップ301)。パスワード入力受付画面が表示されるので(ステップ302)、パスワードAを入力する(ステップ303)。パスワードの正否判定を行い(ステップ304)パスワードが一致した場合は保守モードに入る(ステップ305)。次に、保守モード中の係員操作部104から治工具登録モード進入ボタンを押下する(ステップ306)。パスワード入力受付画面が表示されるので(ステップ307)、パスワードBを入力する(ステップ308)。パスワードの正否判定を行い(ステップ309)パスワードが一致した場合は治工具登録モードに入る(ステップ310)。図4に移行し、ここで、汎用I/F部111にキーボード201を接続(ステップ311)すると、OSがキーボード201の個別情報205を読み取り(ステップ312)、図2のデータ領域203にデバイス情報206として記録する(ステップ313)。個別情報205の記録終了が表示されたら(ステップ314)、キーボード201を取外す。以上でキーボード201の登録作業は終了する。
【0014】
次に、登録したキーボードを使用して保守を行う場合について図5、図6を用いて説明する。なお、図3と同様な処理については省略するが、登録時と同様にして保守モードに入る(ステップ305)。ここでI/F部111にキーボード201を接続(ステップ401)するとデータ領域203に登録済の個別情報205と照合を行う(ステップ402)。登録済のキーボードか判定を行い(ステップ403)、未登録の場合は“未登録の為使用不可”と表示し(ステップ404)、以降再接続まではキーボード201の操作を無効とする(ステップ405)。登録済のキーボードと判定された場合はパスワード入力画面へと進む(ステップ406、図6のステップ407)。ここで、パスワードBを知らなかった場合は、パスワード入力をキャンセル(ステップ408)し、Read onlyモード(ファイルの閲覧のみ可)(ステップ412)にて保守作業を行う。パスワードBを入力(ステップ409)した場合は、パスワードの正否判定を行う(ステップ410)。パスワードが違っていた場合、2回目までは再度パスワード入力画面が表示されるが、3回目以降ではそのままRead onlyモードに入る(ステップ411)。正しいパスワードを入力すると、Read/Write OKモード(ファイルの読み書きが可能)に入り保守作業を行うことができる(ステップ413)。
【0015】
このように、ATMに外部より接続するデバイスの情報を予め登録しておき、未登録のデバイスを受け付けない又は登録デバイスを受け付けてもパスワード入力させる制御を行う、との構成を採用している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】現金自動取引装置のブロック図である。
【図2】現金自動取引装置の制御部の詳細制御ブロック図である。
【図3】現金自動取引装置の保守治工具登録のフローチャートである。
【図4】図3に続く、保守治工具登録のフローチャートである。
【図5】現金自動取引装置の保守操作時のフローチャートである。
【図6】図5に続く、保守操作時のフローチャートである。
【符号の説明】
【0017】
101…自動取引装置、102…制御部、111…汎用I/F部、201…専用アプリケーション、202…データ領域、204…デバイスドライバ、206…デバイス情報、207…パスワード情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引を自動的に行う自動取引装置において、外部からのデバイスを接続するI/F部と、制御部とを有し、前記制御部は、前記I/F部を介して接続される前記デバイスのデバイス情報を記憶する記憶部と、前記I/F部に接続される或るデバイスと前記記憶部に記憶された前記デバイス情報とを照合し、予め登録されているか否かの判断を行うことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
係員が操作を行う係員操作部を有し、前記制御部は、前記I/F部に接続される前記或るデバイスが予め登録されていることを判断したことに基づき、前記係員操作部にパスワード入力の要求を出力することを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
係員が操作を行う係員操作部を有し、前記制御部は、前記記憶部に前記デバイス情報を登録するとき、前記係員操作部より入力される正当なパスワードに基づき前記I/Fに接続される前記デバイスの情報を読み取り、当該読み取ったデバイス情報を前記記憶部に登録することを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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