説明

自動取引装置

【課題】キー操作により本人確認を行う自動取引装置において、顧客の背後から覗き見され、暗証番号等を盗用されることを予防する。
【解決手段】顧客およびその周辺を撮影するカメラ8aと、当該前記カメラ8aにより取得した画像より顧客の背後に第三者がおり操作部を覗き見していることを解析する画像解析部12を備え、当該解析結果に基づき、覗き見されている旨の注意を操作部4に表示し或いはさらに次の処理に進まないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯機能を有する現金自動支払機、現金自動預払機等の自動取引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来の自動取引装置では、取引の際の顧客を識別・認証する手段として、透明タッチパネルと表示器からなる操作部に表示されたキーを顧客がタッチ操作して暗証番号を入力する方法が採られている。或いは、操作部に備え付けのキー入力部を顧客に押下させて暗証番号を入力させるようにしている。
【0003】
そして、この暗証番号の入力操作を背後から読み取られることを困難にするために、前記操作部を略水平とし、さらに顧客の陰になるような位置に設けるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−58939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の自動取引装置では、前記操作部の角度や位置を工夫しても、なお、顧客の背後から覗き見され、暗証番号等が盗用されるという恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、キー操作により本人確認を行う自動取引装置において、顧客およびその周辺を撮影する第1の画像取得手段と、前記第1の画像取得手段により取得した画像から第三者が操作部を覗き見していることを解析する画像解析部を備え、当該解析結果に基づき、覗き見されている旨の注意を操作部に表示するようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自動取引装置によれば、顧客およびその周辺を撮影する第1の画像取得手段と、前記第1の画像取得手段により取得した画像から第三者が操作部を覗き見していることを解析する画像解析部を備え、当該解析結果に基づき、覗き見されている旨の注意を操作部に表示するようにしたので、顧客の背後から第三者に覗き見され、暗証番号を盗用されることを予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の自動取引装置の概観斜視図である。
【図2】実施例1の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図3】実施例1の自動取引装置の動作フローチャートである。
【図4】実施例1の自動取引装置の動作説明図である。
【図5】実施例1の自動取引装置の動作説明図である。
【図6】実施例2の自動取引装置の動作フローチャートである。
【図7】実施例3の自動取引装置の概観斜視図である。
【図8】実施例3の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図9】実施例3の自動取引装置の動作フローチャートである。
【図10】実施例3の自動取引装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0010】
(構成)
実施例1の自動取引装置は、図1のような外観をしており、硬貨入出金口2、紙幣入出金口3、操作部4、通帳挿入口5、カード挿入口6を備えている。そして、自動取引装置の前面側に、カメラ8aが備えられている。
【0011】
硬貨挿入口2および紙幣入出金口3は、それぞれ硬貨および紙幣が投入されるとともに、これらが排出される開口部である。硬貨挿入口2および紙幣入出金口3には、それぞれシャッタが設けられ、シャッタが駆動されることにより硬貨挿入口2および紙幣入出金口3がそれぞれ開閉される。これらの奥部には、後述する硬貨および紙幣の入出金処理を行う硬貨処理部および紙幣処理部が設けられている。
【0012】
通帳挿入口5は、取引で使用される通帳がここから挿入され、取引が終了すると通帳が排出される部分で、その奥部には、後述する通帳処理部が設けられている。カード挿入口6は、カードが挿入または排出される部分で、その奥部には、後述するカード処理部が設けられている。
【0013】
操作部4は、取引に際して操作画面を表示するLCDと、取引選択、暗証番号や取引金額などを入力するタッチパネルが一体化されて構成される。
【0014】
そして、操作部4近傍にカメラ8aが配置されている。このカメラ8aは、顧客およびその周辺の撮影用のカメラで、自動取引装置1に顧客が接近した際に顧客の顔およびその周辺を撮影できる範囲にレンズの画角を調整したものとなっている。
【0015】
(制御系の構成)
実施例1の自動取引装置の制御系は、図2の制御系ブロック図に示したように、後述の各部の制御を行う主制御部20と、カメラ8aからの画像データを受信し画像を解析し後述の顔写真範囲に顧客の顔画像があるかどうかを解析しその近傍に第三者の顔画像があるかどうかを解析しその結果を主制御部20に送信する画像解析部12と、表示されるガイダンスに従い顧客が操作する操作部4とが設けられている。
【0016】
さらに、実施例1の自動取引装置の制御系には、キャッシュカード等に記録された情報のリードライトを行うカード処理部21、操作ガイダンス等を音声出力する音声案内部22、通帳の磁気ストライプのリードライトおよび通帳への印字制御を行う通帳処理部23、取引明細を印字出力する明細票処理部24、硬貨の入出金制御を行う硬貨処理部25、紙幣の入出金制御を行う紙幣処理部26が設けられている。
【0017】
さらに、各部に電源を供給する電源部27、主制御部20の記憶部としてのメモリ部28、図示しないホストコンピュータとのインタフェイスを制御するインタフェイス部29が設けられている。
【0018】
(動作)
以上の構成により、実施例1の自動取引装置は以下のように動作する。この動作を図3の動作フローチャート、図4および図5の動作説明図を用いて以下詳細に説明する。
【0019】
まず、顧客が自動取引装置1に近づき、図示しない顧客センサにより顧客を検知すると、操作部4に取引選択画面を表示し、図4に示したように、自動取引装置1の前面に配置したカメラ8aにより顧客20およびその周辺を撮影し(ステップS01)、撮影した画像データを画像解析部12へ送信し、図5のようにカメラの撮影範囲30aから顔写真範囲31aおよび31bのデータを切り出し、当該切り出したカメラ画像データの解析を行い、顧客20の背後に第三者21がいるかどうかを検出する(ステップS02)。
【0020】
そして、第三者21がいないと判定したときは、暗証番号入力画面を表示し、顧客による暗証番号の入力を待ち(ステップS03)、顧客が暗証番号を入力すると(ステップS04)、通常取引に移行し、所望の取引処理を行い(ステップS05)、取引を終了する。
【0021】
一方、ステップS02にて、第三者21がいると判定したときは、第三者21の視線を画像解析部12にて解析し、操作部4を見ているかどうかを解析し(ステップS06)、操作部4を見ていると判定したときは、背後に第三者がおり覗き見している旨を操作部4に表示して顧客に知らせ(ステップS07)、暗証番号入力画面を表示することなくステップS01に戻り、前述と同様の処理を行う。
【0022】
一方、ステップS06にて、第三者21が顧客の背後にいるが操作部4は見ていないと判定したときは、ステップS03に進み、暗証番号入力画面を表示し暗証番号を入力させて通常取引を行い、取引を終了する(ステップS03〜S05)。
【0023】
なお、ステップS06における第三者の顔の向きや視線の向きの解析方法としては、特開2007−179338号公報等に開示された技術を用いればよい。
【0024】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように実施例1の自動取引装置によれば、顧客の背後に第三者がおり、操作部を覗き見していることをカメラ画像により解析する画像解析部を備え、当該解析結果に基づき、覗き見されている旨の注意を操作部に表示し次の処理に進まないようにしたので、顧客の操作を第三者に覗き見され、暗証番号等を盗用されないようにすることができる。
【実施例2】
【0025】
(構成)
実施例2の自動取引装置は、実施例1と同様、図1の構成となっており、また、制御系の構成も図2の構成となっているので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0026】
(動作)
以上の構成により、実施例2の自動取引装置は以下のように動作する。この動作を図6の動作フローチャート、図4および図5の動作説明図を用いて以下詳細に説明する。
【0027】
まず、顧客が自動取引装置1に近づき、図示しない顧客センサにより顧客を検知すると、操作部4に取引選択画面を表示し、図4に示したように、自動取引装置1の前面に配置したカメラ8aにより顧客20およびその周辺を撮影し(ステップS01)、撮影した画像データを画像解析部12へ送信し、図5のようにカメラの撮影範囲30aから顔写真範囲31aおよび31bのデータを切り出し、当該切り出したカメラ画像データの解析を行い、顧客20の背後に第三者21がいるかどうかを検出する(ステップS02)。
【0028】
そして、第三者21がいないと判定したときは、暗証番号入力画面を表示し、顧客による暗証番号の入力を待ち(ステップS03)、顧客が暗証番号を入力すると(ステップS04)、通常取引に移行し、所望の取引処理を行い(ステップS05)、取引を終了する。
【0029】
一方、ステップS02にて、第三者21がいると判定したときは、第三者21の視線を画像解析部12にて解析し、操作部4を見ているかどうかを解析し(ステップS06)、操作部4を見ていると判定したときは、背後に第三者がおり覗き見しているため取引を中止する旨を操作部4に表示し(ステップS17)、取引を終了する。
【0030】
一方、ステップS06にて、第三者21は存在するが操作部4を見ていないと判定したときは、ステップS03に進み、暗証番号入力画面を表示し暗証番号を入力させて通常取引を行い、取引を終了する(ステップS03〜S05)。
【0031】
なお、ステップS06における第三者の顔、視線の向きの解析方法としては、特開2007−179338号公報等に開示された技術を用いればよいことは実施例1と同様である。
【0032】
(実施例2の効果)
以上詳細に述べたように実施例2の自動取引装置によれば、顧客の背後に第三者がおり、操作部を覗き見していることをカメラ画像より解析する画像解析部を備え、当該解析結果に基づき、覗き見が検出され取引を中止する旨の注意を操作部に表示して取引を終了するようにしたので、さらに確実に、顧客の操作を第三者に覗き見されて暗証番号等を盗用されないようにすることができる。
【実施例3】
【0033】
(構成)
実施例3の自動取引装置は、図7および図8に示したように、図1のおよび図2の実施例1の構成に加え、後方を確認できる後方確認ミラー10と、当該後方確認ミラー1を顧客が見ていることを検出するための画像を取得する狭視野角のカメラ8bを設けている。その他の構成は、実施例1の構成と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0034】
(動作)
以上の構成により、実施例3の自動取引装置は以下のように動作する。この動作を図9の動作フローチャート、図10の動作説明図を用いて以下詳細に説明する。
【0035】
まず、顧客が自動取引装置1に近づき、図示しない顧客センサにより顧客を検知すると、操作部4に取引選択画面を表示し、後方確認ミラー10近傍に設けた狭視野角のカメラ8bにより顧客20を撮影し(ステップS01)、撮影した画像データを画像解析部12へ送信し、カメラbの撮影範囲30bのカメラ画像データの解析を行い、顧客20が後方確認ミラー10を見ている場合のみ図10に示したように撮影される顧客の顔があるかどうかを解析し、顧客20が後方確認ミラー10を見ているかどうかを解析する(ステップS02)。
【0036】
そして、顧客の顔がなく、後方確認ミラー10を見ていないと判定したときは、暗証番号入力画面を表示し、顧客による暗証番号の入力を待ち(ステップS03)、顧客が暗証番号を入力すると(ステップS04)、通常取引に移行し、所望の取引処理を行い(ステップS05)、取引を終了する。
【0037】
一方、ステップS02にて、顧客の顔があり、後方確認ミラー10を見ていると判定したときは、所定の時間経過するまで時間監視し(ステップS15)、当該時間監視した回数があらかじめ決めたN回となったときは、顧客が背後に第三者がおり覗き見していることを警戒して後方確認ミラー10を見続けていると判断し、取引を中止する旨を操作部4に表示して顧客に知らせ(ステップS17)、取引を終了する。
【0038】
一方、ステップS16にて、顧客が警戒していると判断し暗証番号入力を待機した回数がN回に満たないときは、ステップS01に戻り前述と同様の処理を繰り返す。
【0039】
なお、以上の実施例の説明では、狭視野角のカメラ8bを設けるように説明したが、広視野角のカメラ8aにより取得した画像から後方確認ミラー10を顧客が見つめていることを検出し、当該検出結果に基づいて、取引を中止する旨操作部4に表示して取引を終了するようにしてもよい。
【0040】
(実施例3の効果)
以上詳細に述べたように実施例3の自動取引装置によれば、顧客が後方確認ミラーを見ていることを検出するカメラと、当該カメラにより取得した画像を解析し顧客の存在の有無を解析する画像解析手段を設け、顧客が後方確認ミラーを所定の時間見ている場合は、取引を中止する旨操作部に表示して取引を終了するようにしたので、顧客の背後から第三者に覗き見され暗証番号を盗用されることを確実に予防することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上述べたように、本発明は、キー操作により本人確認を行う現金自動支払機、現金自動預払機等の自動取引装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 自動取引装置
2 硬貨入出金口
3 カード入出口
4 操作部
5 通帳挿入口
6 カード挿入口
8a、8b カメラ
10 後方確認ミラー
12 画像解析部
20 主制御部
29 インタフェイス部
30a、30b カメラの撮影範囲
31a、31b 顔検出範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー操作により本人確認を行う自動取引装置において、
顧客およびその周辺を撮影する第1の画像取得手段と、
前記第1の画像取得手段により取得した画像から第三者が操作部を覗き見していることを解析する画像解析部を備え、
当該解析結果に基づき、覗き見されている旨の注意を操作部に表示するようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記注意の表示とともに、次の処理に進まないようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記注意の表示は、覗き見されている旨と取引を中止する旨の表示であって、当該表示の後、取引を終了するようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項4】
キー操作により本人確認を行う自動取引装置において、
後方確認ミラーの近傍に設けた第2の画像取得手段と、
前記第2の画像取得手段により取得した画像を解析し顧客が後方確認ミラーを見ているか否かを解析する画像解析手段と、を設け、
当該解析結果に基づき、顧客が後方確認ミラーを所定の時間見ていると判定したときは、取引を中止する旨操作部に表示して取引を終了するようにしたことを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−257349(P2010−257349A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108514(P2009−108514)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】