説明

自動取引装置

【課題】紙幣よりも小型の紙葉類を顧客が投入した場合においても、取引の継続を可能にして、現金自動預払機の稼動効率を向上させる手段を提供する。
【解決手段】顧客が投入した紙幣を1枚毎に分離して紙幣を短手方向に繰出す分離機構15と、顧客に引渡す紙幣を集積する集積機構16とが設けられた接客部13と、取忘れられた紙幣を収納する取忘れ収納庫22と、取忘れられた小型の紙葉類を収納する紙葉類回収庫24と、接客部13に、紙幣の短手方向の長さと長手方向の長さとを検出して紙幣の大きさを検出する複数の紙幣サイズ検出センサ31を設け、投入された紙葉類を顧客に返却する際に、紙幣サイズ検出センサ31が、接客部13に存在する紙葉類が紙幣よりも小さいことを検出した場合は、紙葉類を小型の紙葉類と判定し、返却する紙葉類が小型の紙葉類であることを表示し、返却する紙葉類が取忘れられた場合に、その紙葉類を紙葉類回収庫24に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等の店舗に設置された現金自動預払機等の顧客との現金による取引を自動で行う自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引装置に設けられた紙幣入出金機は、シャッタを設けた紙幣入出金口と、鑑別部と、紙幣入出金口の底板に設けられた開口部と、底板の下方に開口部から落下した硬貨やクリップ等の異物を受止める異物受けとを設け、紙幣入出金口に紙幣が投入されたときに、紙幣入出金口の前板と押板を揺動させて、投入された異物を開口部から異物受けに落下させ、その後に紙幣入出金口から紙幣を繰出して入金処理を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−154255号公報(段落0013−0021、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、紙幣入出金口の底板に設けた開口部から異物を異物受けに落下させて、紙幣入出金口に投入された異物を除去しているため、投入された異物が、硬貨やクリップ等の重い異物の場合は除去することができるが、顧客の不注意によってレシート等の紙幣よりも小型の紙葉類が紙幣と共に投入された場合には、小型の紙葉類は除去されずに搬送路へ繰出されてしまうと、ジャム等の搬送障害が発生しやすくなり、搬送障害が発生すると自動取引装置による取引が停止して、自動取引装置における取引の継続が困難になるという問題がある。
【0005】
このため、紙幣入出金口と鑑別部の間の搬送路の搬送ローラを高密度に配置して小型の紙葉類の搬送を可能としても、鑑別部へ搬送された小型の紙葉類は、リジェクト紙幣と鑑別されて紙幣入出金口へ搬送され、シャッタを開放して顧客に返却される。
【0006】
このとき、小型の紙葉類は顧客からの視認性が悪く、受取るべき紙葉類が存在することを顧客が視認できない場合は、顧客は操作を終了していると思い込み、小型の紙葉類を取出さずにいると、所定の時間の経過後にシャッタが閉鎖され、紙幣入出金口に取忘れられた小型の紙葉類が残留する。
【0007】
また、顧客が紙葉類を取出した場合においても、小型の紙葉類が他の紙幣から分離して紙幣入出金口に置き去りにされてしまう場合があり、所定の時間の経過後にシャッタが閉鎖されると、紙幣入出金口に置き去りにされた小型の紙葉類が残留する。
【0008】
このような場合に、紙幣入出金口に残留した紙葉類は、通常、取忘れ紙幣を収納する取忘れ収納庫に搬送されて収納されるが、小型の紙葉類を取忘れ収納庫に搬送しようとすると、取忘れ収納庫までの搬送路も搬送ローラを高密度に配置しなければならず、搬送路の搬送機構を含めた大幅な改造が必要になるという問題がある。
【0009】
また、取忘れ収納庫までの搬送路を、紙幣を搬送する通常の搬送路にした場合には、ジャム等の搬送障害が発生が懸念されるため、紙幣入出金口に小型の紙葉類を残留させたままにすると、その後の取引を停止しなければならず、自動取引装置における取引の継続が困難になるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、顧客が投入した紙幣を1枚毎に分離して紙幣を短手方向に繰出す分離機構と、顧客に引渡す紙幣を集積する集積機構とが設けられた接客部と、前記接客部に取忘れられた紙幣を収納する取忘れ収納庫と、前記接客部に取忘れられた小型の紙葉類を収納する紙葉類回収庫と、を有する紙幣入出金機を備えた自動取引装置であって、前記接客部に、紙幣の短手方向の長さと長手方向の長さとを検出して紙幣の大きさを検出する複数の紙幣サイズ検出センサを設け、投入された紙葉類を顧客に返却する際に、前記紙幣サイズ検出センサが、前記接客部に存在する紙葉類が、紙幣よりも小さいことを検出した場合に、当該紙葉類を小型の紙葉類と判定する手段と、前記小型の紙葉類と判定した場合に、返却する紙葉類が小型の紙葉類であることを表示する手段と、前記返却する紙葉類が取忘れられた場合に、前記紙葉類を前記紙葉類回収庫に収納する手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
これにより、本発明は、紙幣と共に投入された紙幣よりも小型の紙葉類を顧客に返却する際に、受取るべき小型の紙葉類の存在を報知して顧客の注意を喚起することができ、接客部に取忘れられた小型の紙葉類が残留することを防止することが可能になると共に、返却する紙葉類が取忘れられた場合に、その紙葉類を紙葉類回収庫に収納することが可能になり、自動取引装置による取引の継続を可能にして、自動取引装置の稼動効率を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の現金自動預払機を示すブロック図
【図2】実施例1の紙幣入出金機の内部構成を示す概略側面図
【図3】実施例1の紙幣入出金機を示すブロック図
【図4】実施例1の収容箱の接客位置および分離集積位置を示す説明図
【図5】実施例1の接客部を示す説明図
【図6】図5のA方向から見た矢視図
【図7】実施例1の収容箱からの紙幣の繰出状態を示す説明図
【図8】実施例1の紙幣入出金機の入金処理を示すフローチャート
【図9】実施例2の紙幣入出金機の内部構成を示す概略側面図
【図10】実施例2の紙幣入出金機の入金処理を示すフローチャート
【図11】実施例3の紙幣入出金機の内部構成を示す概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して本発明による自動取引装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1において、1は自動取引装置としての現金自動預払機であり、銀行等の金融機関の支店やコンビニエンスストア等の店舗に設置され、顧客との間で取引処理を自動で行う。
【0015】
2は金融機関のセンタに設置された上位装置としてのホストコンピュータであり、店舗に設置されている現金自動預払機1と専用回線や電話回線等の通信回線3を介して接続しており、口座開設者である顧客の口座の金融機関名や口座番号等の口座情報やその暗証番号、口座残高等の顧客情報を保有して顧客の口座を管理する。
【0016】
5は現金自動預払機1の主制御部であり、通信回線3を介してホストコンピュータ2と接続しており、現金自動預払機1内の各部を制御して取引処理等を実行すると共に、ホストコンピュータ2とのデータ通信等も制御する。
【0017】
6は現金自動預払機1の主記憶部であり、主制御部5が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび主制御部5による処理結果等が格納される。
【0018】
7は操作表示部であり、LCD等の表示画面とタッチパネル等の入力手段との組合せで構成されており、表示画面に入金取引や出金取引等の取引選択ボタンを表示した取引選択画面や各種の入力画面等を表示する他、入力手段により顧客からの入力を受付ける。
【0019】
8はカード取扱部であり、挿入された顧客のキャッシュカード等の取引カードの磁気ストライプやICチップ等に記録されている顧客ID等のカード情報を読み書きする機能を有すると共に、明細票等に取引内容等を印刷する機能等を有している。
【0020】
9は通帳取扱部であり、挿入された顧客の通帳の磁気ストライプやICチップ等に記録されている顧客ID等の通帳情報を読み書きする機能を有すると共に、取引内容等を顧客の通帳に記帳する機能を有している。
【0021】
10は紙幣入出金機であり、後述する接客部13によって顧客が投入した紙幣を受入れ、これを鑑別および計数して収納し、顧客に支払う紙幣を計数して接客部13から排出して顧客に払い出す機能等を有している。
【0022】
11は硬貨入出金機であり、顧客が投入した硬貨を受入れ、これを鑑別および計数して収納し、顧客に支払う硬貨を計数して顧客に払い出す機能等を有している。
【0023】
本実施例の紙幣入出金機10は、図2、図3に示すように、接客部13が設けられ、その接客部13は、紙幣押え14aが設けられた収容箱14と、顧客が収容箱14に投入した紙幣を1枚毎に分離して繰出す分離機構15と、顧客に引渡す出金紙幣や返却紙幣等を収容箱14に集積する集積機構16と、顧客との入出金取引における紙幣の投入時および支払時等に開閉するシャッタ17等を備えている。
【0024】
本実施例の収容箱14は、図4に示すように、顧客から投入された紙幣を受入れるときの、開口部をシャッタ17側に向けた接客位置と、受入れた紙幣を分離機構15で分離して繰出すとき、または出金紙幣等を集積機構16によって集積するときの、開口部を分離機構15および集積機構16側に向けた分離集積位置との2位置の間を回動可能に構成され、その底板14bは、最大直径を有する流通硬貨を通過させることが可能な間隔で、紙幣押え14aの鉛直方向に配置された支持棒によってスノコ状に形成されている。
【0025】
また、本実施例の分離機構15は、分離集積位置にある収容箱14の開口部に配置されたピックアップローラ15aと、ピックアップローラ15aの繰出方向の下流側に配置されたフィードローラ15bおよびフィードローラ15bに対向配置された図示しないリバースローラとで構成される(図7参照)。
【0026】
図2、図3において、18は鑑別部であり、搬送された紙幣に対する各種の鑑別を行う機能、つまり紙幣の真偽や正損、金種等を識別する機能、および重送等の搬送異常を検出する機能を有し、その鑑別結果を制御部36(後述)へ送出する機能等を有している。
【0027】
19は一時保留部であり、入金処理において接客部13に投入された紙幣で、鑑別部18により真券と鑑別され、取込処理可能と鑑別された紙幣を集積して一時保留する収納庫であって、紙幣を1枚毎に分離して繰出す機能および搬送された紙幣を集積する機能を有している。
【0028】
20は紙幣収納庫であり、出金に用いる紙幣および/もしくは入金された紙幣を収納する収納庫であって、紙幣を1枚毎に分離して繰出す機能および搬送された紙幣を集積する機能を有している。
【0029】
21はリジェクト紙幣収納庫であり、入金取引時に一時保留部19から、出金取引時に紙幣収納庫20から繰出され、鑑別部18により重送等の搬送異常と鑑別された紙幣を収納する収納庫であって、搬送された紙幣を集積する機能を有している。
【0030】
22は取忘れ収納庫であり、入金取引や出金取引時に顧客が取忘れて収容箱14に残留した紙幣を収納する収納庫であって、搬送された紙幣を集積する機能を有している。
【0031】
23は異物返却口であり、収容箱14の底板14bの支持棒の間から落下した硬貨やクリップ等の重い異物が、底板14bの直下に配置されたシュータ23aに導かれて集積され、集積された異物は顧客に返却される。
【0032】
24は紙葉類回収庫であり、入金取引時に顧客に返却する紙葉類が取忘れられて収容箱14に残留した場合に、その取忘れられた小型の紙葉類を収納する収納庫であって、接客部13の下方の近傍に配置されており、搬送された小型の紙葉類を集積する機能を有している。
【0033】
25は搬送路であり、搬送ローラ26(図7参照)で紙幣の表裏両面を挟持して搬送する搬送路であって、搬送路25aを除く搬送路25は、紙幣を搬送するための通常の間隔で搬送ローラ26やベルト対を配置した搬送路である。
【0034】
搬送路25aは、接客部13の分離機構15から紙葉類回収庫24に至る搬送路であって、小型の紙葉類を確実に搬送するために、紙幣の搬送方向に配置された搬送ローラ26の配置間隔を狭めて形成された高密度化された搬送路である。
【0035】
また、搬送路25aの途中から、鑑別部18に至る搬送路25との分岐部には、紙幣の搬送方向を切替える切替ブレード27が設けられている。
【0036】
この場合に、高密度化された搬送路25aは、紙幣の搬送方向の直交方向に配置されたベルト対の配置間隔を狭めて形成するようにしてもよい。
【0037】
なお、本実施例の搬送路25、25aは、紙幣の短手方向を搬送方向として搬送する搬送路である。
【0038】
図5、図6において、30は投入異常検出センサであり、接客部13に、収容箱14を挟んで正常に投入された紙幣の紙面の略鉛直方向に発光部と受光部とを対向配置した光学式のセンサであって、発光部からの光を顧客の手や紙葉類が遮ったことを受光部で検出して顧客の手の挿入や紙葉類の存在を検出する機能を有しており、収容箱14に投入された紙幣の短手方向の上端より上に、紙幣の長手方向に沿って複数(本実施例では、長手方向の中心線を中心として両側に対称に2つ)配列され、投入された紙葉類に、紙幣の短手方向の長さより長い紙葉類が存在することを検出して、他の紙幣からはみ出した状態で投入された紙幣や、長手方向に投入された紙幣等の紙葉類の投入姿勢の異常を検出する。
【0039】
31は紙幣サイズ検出センサであり、接客部13に、収容箱14を挟んで投入異常検出センサ30と同様に配置された光学式のセンサであって、発光部からの光を紙葉類が遮ったことを受光部で検出して紙葉類の存在を検出する機能を有しており、収容箱14に存在する紙葉類の紙幣の短手方向の上端を、外部から視認できる限度の位置(本実施例では、短手方向の中央部)に、長手方向に沿って複数(本実施例では、長手方向の中心線を中心として両側に対称に2つ)配列された上端検出センサ31aと、収容箱14に存在する紙葉類の紙幣の短手方向の下端部(収容箱14の底板14b側の端部)に、長手方向に沿って複数(本実施例では、長手方向の中心に1つ、それを中心として両側に対称に2つの合計3つ)配列された下端検出センサ31bとで構成され、上端検出センサ31aは、収容箱14に存在する紙葉類の紙幣の短手方向の上端の視認性とその位置における紙葉類の存在および長手方向の長さとを検出し、下端検出センサ31bは、収容箱14に存在する紙葉類の紙幣の短手方向の下端部における紙葉類の存在および長手方向の長さを検出して、収容箱14に存在する紙葉類の大きさを検出する。
【0040】
32は落下物検出センサであり、図6に示すように、接客部13の収容箱14の底板14bの直下の収容箱14の長手方向の両端の外側に、それぞれ配置された発光部と受光部とを対向させた光学式のセンサであって、発光部からの光が遮られたことを受光部で検出して収容箱14からの落下物の存在を検出する機能を有しており、収容箱14に投入された硬貨やクリップ等の重い異物が収容箱14の底板14bの支持棒間の間隔から落下したことを検出する。
【0041】
34は通過検出センサであり、図7に示すように、搬送路25aを挟んで発光部と受光部とを対向配置した光学式のセンサであって、発光部からの光を紙葉類が遮ったことを受光部で検出して紙葉類が通過中であることを検出する機能を有しており、分離集積位置にある収容箱14の開口部に配置された分離機構15のフィードローラ15bの繰出方向の下流側に配置された搬送路25aのフィードローラ15b側の端部に、紙幣の長手方向に沿って複数(本実施例では、6つ)配置され、分離機構15によって繰出された紙葉類の長手方向の長さを検出すると共に、紙葉類の通過時間の長短を基に繰出された紙葉類の短手方向の長さを検出する。
【0042】
図3において、36は紙幣入出金機10の制御部であり、主制御部5からの各種の指令に基づいて、紙幣入出金機10内の各部を制御して、紙幣の取込処理等の紙幣処理等を実行する機能を有している。
【0043】
37は紙幣入出金機10の記憶部であり、制御部36が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび制御部36による処理結果等が格納される。
【0044】
上記の現金自動預払機1の主記憶部6には、予め顧客との間で各種の取引を行うための通常の取引処理プログラムと、図8を用いて説明する本実施例の入金取引処理時に紙幣入出金機10の制御部36から受信した小型紙葉類返却画面等を操作表示部7の表示画面に表示する機能を有するアプリケーションプログラム等からなる業務処理実行プログラムが格納されており、主制御部5が実行する業務処理実行プログラムのステップにより本実施例の現金自動預払機1の各機能手段が形成される。
【0045】
本実施例の紙幣入出金機10の記憶部37には、主制御部5からの指令によって、出金取引処理における紙幣の出金処理、図8を用いて説明する本実施例の入金取引処理における紙幣の入金処理や返却処理等の紙幣処理を実行する機能を有する紙幣処理プログラムが予め格納されており、制御部36が実行する紙幣処理プログラムのステップにより本実施例の紙幣入出金機10の各機能手段が形成される。
【0046】
また、記憶部37には、各紙幣収納庫20に対応させて収納すべき金種を設定した収納金種設定情報が予め設定されて格納される他、紙幣収納庫20に収納されている紙幣の収納枚数を紙幣収納庫20別にカウントするための収納枚数カウントエリア、一時保留部19に集積した紙幣を金種別にカウントするための取込紙幣カウントエリア等が予め確保されている。
【0047】
更に、記憶部37には、搬送路25aを搬送される紙幣の通過検出センサ34における標準的な通過時間から予め求められた変動時間を減じた通過時間である紙幣長さ判定値、シャッタ17の解放後に、顧客による紙幣の取出しを待って待機する所定の待ち時間である取忘れ判定時間が予め設定されて格納されている。
【0048】
以下に、図8に示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って本実施例の紙幣入出金機の入金処理について説明する。
【0049】
金融機関等の店舗の係員が、始業時等に現金自動預払機1へ電源を投入すると、現金自動預払機1の主記憶部6に格納されている業務処理実行プログラムおよび紙幣入出金機10の記憶部37に格納されている紙幣処理プログラムが自動的に起動される。
【0050】
業務処理実行プログラムが起動すると、現金自動預払機1の主制御部5は、その操作表示部7の表示画面に取引選択画面を表示して待機する。
【0051】
取引選択画面には、出金取引のための「お引き出し」ボタン、入金取引のための「お預け入れ」ボタン等の取引を選択するための取引選択ボタンが表示される。
【0052】
本実施例では、顧客は入金取引を選択し、操作表示部7の表示画面から入力手段によって「お引き出し」ボタンを押下する。
【0053】
この入力手段からの信号により顧客の選択した取引を入金取引と認識した主制御部5は、入金取引処理を開始し、操作表示部7の表示画面に取引カードの挿入を促す旨の文言を表示した取引カード挿入依頼画面を表示し、顧客が取引カードをカード取扱部8に挿入すると、主制御部5は、取引カードに記録されているカード情報を読取り、操作表示部7の表示画面に紙幣の投入を促す旨の文言を表示した紙幣投入依頼画面を表示すると共に、紙幣入出金機10の制御部36へ入金処理指令を送信する。
【0054】
S1、主制御部5からの処理指令等の着信を待って待機していた紙幣入出金機10の制御部36は、入金処理指令を受信したときに入金処理を開始し、接客部13の収容箱14を接客位置(図4(a)参照)にしてシャッタ17を開放する。
【0055】
顧客が接客部13の収容箱14に紙幣を投入すると、制御部36は投入姿勢検出センサ30が紙葉類の存在を検出したことによって紙葉類の投入を認識し、投入姿勢検出センサ30が紙葉類の存在を検出し続けている場合は、投入姿勢の異常を判定してステップS2へ移行する。
【0056】
複数の投入姿勢検出センサ30が投入された紙葉類の検出後に、全ての投入姿勢検出センサ30が紙葉類の存在を検出しない場合は、紙葉類が正常姿勢で投入されたと判定してステップS3へ移行する。
【0057】
なお、硬貨やクリップ等の重い異物が同時に投入された場合は、その重い異物は、収容箱14の底板14bの支持棒の間から落下し、シュータ23aに導かれて異物返却口23に集積され、顧客に返却される。
【0058】
S2、投入姿勢の異常を判定判定した制御部36は、収容箱14に投入姿勢の異常な紙葉類が存在する旨を添付した返却画面表示通知を主制御部5へ送信する。
【0059】
返却画面表示通知を主制御部5は、通常の場合と同様の「紙幣をお受け取りください。」等の紙幣を返却する旨の文言を表示した紙幣返却画面を操作表示部7の表示画面に表示する。
【0060】
そして、制御部36は、接客部13のシャッタ17を開放したままでステップS1へ戻り、顧客による紙幣の再投入を待って待機し、紙幣が再投入されたときにステップS1による投入姿勢の判定を実行する。
【0061】
S3、紙葉類が正常姿勢で投入されたと判定した制御部36は、所定の時間の経過後に接客部13のシャッタ17を閉鎖して収容箱14の紙幣押え14aにより投入された紙葉類を押圧し、紙幣サイズ検出センサ31(上端検出センサ31aおよび下端検出センサ31b)等によって、投入された紙葉類の大きさを判定し、複数の紙幣サイズ検出センサ31の少なくとも一つが、接客部13の収容箱14に存在する紙葉類を検出しない場合は、収容箱14に存在する紙葉類を、紙幣より小さいために返却すべき紙葉類(返却紙葉類Phという。)と判定してステップS18へ移行する。
【0062】
投入異常検出センサ30の全てが収容箱14に存在する紙葉類を検出せず、かつ紙幣サイズ検出センサ31の全てが収容箱14に存在する紙葉類を検出している場合は、正常な紙葉類(正常紙葉類Pという。)と判定してステップS4へ移行する。
【0063】
なお、本ステップでは、返却紙葉類Phのみが投入された場合を除き、投入された紙葉類に返却紙葉類Phが含まれていても正常紙葉類Pと判定される。
【0064】
S4、収容箱14に投入された紙葉類を正常紙葉類Pと判定した制御部36は、収容箱14を接客位置から分離集積位置へ回動させて入金処理における紙幣の取込処理を開始する。
【0065】
S5、紙幣の取込処理を開始した制御部36は、分離機構15のピックアップローラ15aとフィードローラ15bを繰出方向へ回転させ、収容箱14の紙葉類を1枚毎に分離して搬送路25aへ繰出す。
【0066】
このとき、制御部36は、搬送路25aのフィードローラ15b側の端部に配置された通過検出センサ34によって、繰出された紙葉類の長手方向の長さと短手方向の長さとを検出する。
【0067】
すなわち、制御部36は、全ての通過検出センサ34が、繰出された紙葉類の通過を検出した場合は、紙葉類の通過後に長手方向の長さを正常と判定する。
【0068】
少なくとも1つの通過検出センサ34が紙葉類の通過を検出せず、他の通過検出センサ34が紙葉類が通過を検出した場合は、長手方向の長さが短いと判定して紙葉類の通過後に返却紙葉類Phが繰出されたと判定する。
【0069】
各通過検出センサ34によって検出した紙葉類の通過時間の全てが、記憶部37の紙幣長さ判定値以上の通過時間である場合は、紙葉類の通過後に短手方向の長さを正常と判定する。
【0070】
各通過検出センサ34によって検出した紙葉類の通過時間の少なくとも1つが、記憶部37の紙幣長さ判定値未満の通過時間である場合は、短手方向の長さが短いと判定して紙葉類の通過後に返却紙葉類Phが繰出されたと判定する。
【0071】
S6、制御部36は、前記の判定によって、繰出された紙葉類を返却紙葉類Phと判定した場合はステップS7へ移行する。
【0072】
繰出された紙葉類の短手方向および長手方向の長さが正常である場合は、正常紙葉類Pが繰出されたと判定してステップS8へ移行する。
【0073】
なお、本ステップにおける判定においては、返却紙葉類Phには、レシート等の小型の紙葉類の他に、長手方向を半分に折畳んだ紙幣(図7参照、長手半折れ券という。)や、短手方向を半分に折畳んだ紙幣(短手半折れ券という。)、隅の一部が折れた紙幣、隅の一部が欠落した紙幣(これらを隅欠損券という。)が含まれている。
【0074】
また、正常紙葉類Pには、紙幣の真券の他に、紙幣の偽券や紙幣と同程度の大きさの大型のレシート等が含まれている。
【0075】
S7、繰出された紙葉類を返却紙葉類Phと判定した制御部36は、顧客に返却紙葉類Phを返却するために、紙幣押え14aによる押圧を解除すると共に、搬送路25aの搬送ローラ26や、フィードローラ26b、ピックアップローラ26aを逆転させ、繰出された紙葉類を収容箱14内に搬送してステップS17へ移行する。
【0076】
S8、正常紙葉類Pが繰出されたと判定した制御部36は、搬送路25a、搬送路25により正常紙葉類Pを鑑別部18へ搬送し、鑑別部18で搬送された正常紙葉類Pの紙幣としての真偽や金種等を鑑別する。
【0077】
S9、制御部36は、鑑別部18での鑑別結果が、紙幣の真券である場合はステップS10へ移行する。鑑別結果が、偽券や大型のレシート等であることによって金種不明と鑑別された場合は、返却紙葉類Phと判定してステップS16へ移行する。
【0078】
S10、鑑別部18での鑑別結果が紙幣の真券であることを認識した制御部36は、当該紙幣を搬送路25により一時保留部19へ搬送して集積し、鑑別結果の金種を基に、記憶部37の取込紙幣カウントエリアによって、集積した紙幣の金種別の枚数を計数する。
【0079】
S11、制御部36は、通過検出センサ34が紙葉類の繰出しを検出しなくなった後に、その紙葉類が紙幣と鑑別され、当該紙幣を一時保留部19へ集積したことによって紙幣の取込の終了を判定したときはステップS12へ移行する。
【0080】
通過検出センサ34が紙葉類の繰出しを検出し続けている場合は、ステップS5へ戻り、繰出された紙葉類の判定等を継続する。
【0081】
S12、紙幣の取込処理を終えた制御部36は、取込紙幣カウントエリアにより計数された金種別の枚数に基づいて取込まれた紙幣の合計金額を演算し、その合計金額等を添付した取込終了通知を主制御部5へ送信する。
【0082】
S13、取込終了通知を受信した主制御部5は、操作表示部7の表示画面に、取込終了通知の合計金額等や、入金金額の確定を指示するため「確認」ボタン、投入した紙幣の返却を指示するための「返却」ボタン等を表示した入金金額確認画面を表示する。
【0083】
顧客は入金金額が正しいことを確認したときは「確認」ボタンを、投入した紙幣の返却を指示するときは「返却」ボタンを押下する。
【0084】
主制御部5は、顧客が「確認」ボタンを押下したことを認識した場合は、入金金額が確定されたと判定して、読取ったカード情報に確定された入金金額を添付してホストコンピュータ2へ送信すると共に、カード取扱部8に挿入されている取引カードを排出し、制御部36へ入金処理における収納処理指令を送信する。
【0085】
また、主制御部5は、顧客が「返却」ボタンを押下したことを認識した場合は、制御部36へ入金処理における返却処理指令を送信する。
【0086】
S13、取込終了通知の送信後に、主制御部5からの収納処理指令または返却処理指令の着信を待って待機していた制御部36は、主制御部5からの収納処理指令を受信した場合はステップS15へ移行する。主制御部5からの返却処理指令を受信した場合はステップS14へ移行する。
【0087】
S14、返却処理指令を受信した制御部36は、一時保留部19に集積されている紙幣を繰出し、搬送路25によって返却紙幣を接客部13の集積機構16へ搬送し、集積機構16によって、分離集積位置で紙幣押え14aを開作動させた収容箱14へ返却紙幣を集積し、一時保留部19の紙幣を全て収納箱14へ集積したときに、記憶部37の取込紙幣カウントエリアの各金種別の枚数を「0」に初期化し、紙幣押え14aにより紙幣を押圧して収容箱14を分離集積位置から接客位置へ回動させ、収容箱14に返却紙幣を集積した旨を添付した返却画面表示通知を主制御部5へ送信すると共に、紙幣押え14aによる紙幣の押圧を解除してシャッタ17を開放する。
【0088】
返却画面表示通知を受信した主制御部5は、通常の場合と同様の「紙幣をお受け取りください。」等の紙幣を返却する旨の文言を表示した紙幣返却画面を操作表示部7の表示画面に表示すると共に、カード取扱部8に挿入されている取引カードを排出する。
【0089】
そして、制御部36は、投入姿勢検出センサ30や下端検出センサ31b等によって顧客が収容箱14内の返却紙幣を取出したことを確認し、シャッタ17を閉鎖して主制御部5へ返却終了通知を送信し、入金処理を終了させる。
【0090】
返却終了通知を受信した主制御部5は、顧客が取引カードを受取ったことを確認して入金取引処理を終了させ、操作表示部7の表示画面に取引選択画面を表示して待機する。
【0091】
この返却処理のときに、返却紙幣の取忘れが発生した場合は、制御部36は、収容箱14を接客位置から分離集積位置へ回動させ、分離機構15によって収容箱14の紙葉類を1枚毎に搬送路25aへ繰出し、搬送路25a、搬送路25によって取忘れ収納庫22へ搬送して収納し、主制御部5へ返却終了通知を送信して入金処理を終了させる。
【0092】
返却終了通知を受信した主制御部5は、顧客が取引カードを取忘れている場合はその取引カードをカード取扱部8の図示しない回収庫に収納して入金取引処理を終了させ、操作表示部7の表示画面に取引選択画面を表示して待機する。
【0093】
S15、収納処理指令を受信した制御部36は、一時保留部19に集積されている確定された紙幣を繰出し、これを搬送路25によって鑑別部18へ搬送して金種を鑑別し、鑑別された金種を基に、記憶部37の収納金種設定情報を参照して、搬送先の紙幣収納庫20を特定し、その紙幣収納庫20に当該紙幣を搬送して収納すると共に、収納枚数カウントエリアによって収納した紙幣の枚数を紙幣収納庫20別に計数する。
【0094】
そして、一時保留部19の紙幣を全て紙幣収納庫20に収納したときに、記憶部37の取込紙幣カウントエリアの各金種別の枚数を「0」に初期化し、収納終了通知を主制御部5へ送信して入金処理を終了させる。
【0095】
収納終了通知を受信した主制御部5は、顧客が取引カードを受取ったことを確認して入金取引処理を終了させ、操作表示部7の表示画面に取引選択画面を表示して待機する。
【0096】
S16、一方、ステップS9において鑑別部18へ搬送した紙葉類を返却紙葉類Phと判定した制御部36は、顧客に返却紙葉類Phを返却するために、鑑別部18から搬送路25によって返却紙葉類Phを接客部13の集積機構16へ搬送し、集積機構16によって、分離集積位置で紙幣押え14aを開作動させた収容箱14へ返却紙葉類Phを集積する。
【0097】
S17、収容箱14へ返却紙葉類Phを集積した、またはステップS7において返却紙葉類Phを収容箱14内へ搬送した制御部36は、紙幣押え14aにより紙葉類を押圧して、収容箱14を分離集積位置から接客位置へ回動させてステップS18へ移行する。
【0098】
S18、収容箱14を接客位置へ回動させた、またはステップS3において投入された紙葉類が紙幣より小さいために返却紙葉類Phと判定した制御部36は、紙幣サイズ検出センサ31等によって収容箱14に存在する返却紙葉類Phの大きさを判定し、投入姿勢検出センサ30の全てが紙葉類の存在を検出せず、かつ上端検出センサ31aの少なくとも一つが紙葉類の存在を検出している場合は、収容箱14に存在する紙葉類を、返却時に視認が可能な紙葉類(視認可紙葉類という。偽券や隅欠損券、長手半折れ券、大型のレシート等)と判定してステップS19へ移行する。
【0099】
投入姿勢検出センサ30の全てが紙葉類の存在を検出せず、かつ上端検出センサ31aの全てが紙葉類の存在を検出していない場合は、収容箱14に存在する紙葉類を短手方向の長さが短いために返却時に視認が困難な紙葉類(視認難紙葉類という。小型のレシートや短手半折れ券等)と判定してステップS20へ移行する。
【0100】
この場合に、投入姿勢検出センサ30の全てが紙葉類の存在を検出せず、かつ上端検出センサ31a、下端検出センサ31bの全てが紙葉類の存在を検出している場合に、その紙葉類を紙幣と同等の大きさの大型の紙葉類(偽券や大型のレシート等)と判定し、投入姿勢検出センサ30の全てが紙葉類の存在を検出せず、かつ上端検出センサ31a、下端検出センサ31bの少なくとも一つが紙葉類の存在を検出していない場合に、その紙葉類を紙幣より小さい小型の紙葉類(隅欠損券、長手半折れ券、短手半折れ券、小型のレシート等)と判定するようにし、大型の紙葉類と判定した場合にステップS19へ、小型の紙葉類と判定した場合にステップS20へ移行するようにしてもよい。
【0101】
S19、収容箱14に存在する返却紙葉類Phを視認可紙葉類(または大型の紙葉類)と判定した制御部36は、収容箱14に視認可紙葉類(または大型の紙葉類)が存在する旨を添付した返却画面表示通知を主制御部5へ送信すると共に、紙幣押え14aによる紙葉類の押圧を解除して接客部13のシャッタ17を開放する。
【0102】
返却画面表示通知を主制御部5は、通常の場合と同様の「紙幣をお受け取りください。」等の紙幣を返却する旨の文言を表示した紙幣返却画面を操作表示部7の表示画面に表示してステップS21へ移行する。
【0103】
S20、収容箱14に存在する返却紙葉類Phを視認難紙葉類(または小型の紙葉類)と判定した制御部36は、収容箱14に視認難紙葉類(または小型の紙葉類)が存在する旨を添付した返却画面表示通知を主制御部5へ送信すると共に、紙幣押え14aによる紙葉類の押圧を解除して接客部13のシャッタ17を開放する。
【0104】
返却画面表示通知を主制御部5は、「小さい紙葉類が投入口内にあります。ご確認の上、お受け取りください。」等の小型の紙葉類の受取を促す旨の文言を表示した小型紙葉類返却画面を操作表示部7の表示画面に表示してステップS21へ移行する。
【0105】
S21、返却画面表示通知の送信後に、投入姿勢検出センサ30や下端検出センサ31b等によって顧客による収容箱14内の紙葉類の取出しを監視しながら待機していた制御部36は、取忘れ判定時間内に、顧客による収容箱14内の紙葉類の取出しを確認した場合、つまり投入姿勢検出センサ30が顧客のよる手の挿入を検出した後に、上端検出センサ31aおよび下端検出センサ31bの全てが収容箱14内の紙葉類の存在を検出しなくなった場合は、紙葉類の取出を判定してステップS22へ移行する。
【0106】
そして、顧客は取出した紙葉類を確認し、返却紙葉類Phを取除いて、または正常な紙幣に交換して接客部13の収容箱14に紙幣を投入する。
【0107】
S22、紙葉類の取出を判定した制御部36は、その時計機能によって経過時間を計測しながら、投入姿勢検出センサ30が収容箱14への紙葉類の再投入を検出するのを待って待機し、所定の時間を経過しても、投入姿勢検出センサ30が紙葉類の投入を検出しなかった場合は、顧客の立去りを判定し、接客部13のシャッタ17を閉鎖してステップS30へ移行する。
【0108】
所定の時間内に、投入姿勢検出センサ30が紙葉類の投入を検出した場合は、紙葉類の再投入を認識し、接続子Aを介してステップS1へ戻り、ステップS1〜S15による入金処理を継続する。
【0109】
本ステップにおいては、記憶部37の取込紙幣カウントエリアの金種別の枚数はそのままの状態にされ、再投入を認識してステップS1へ移行した場合は、ステップS10において再投入後の紙幣を一時保留部19へ集積したときに再投入前に記憶した各金種別の枚数に加算して一時保留部19へ取込んだ紙幣の金種別の枚数を計数する。
【0110】
S23、返却画面表示通知の送信後に、その時計機能によって経過時間を計測しながら取忘れ判定時間の経過を待って待機していた制御部36は、経過時間が取忘れ判定時間以内の場合は、ステップS21、S23による待機を継続する。
【0111】
経過時間が取忘れ判定時間を超えても収容箱14内に紙葉類が残留している(置き去りにされた小型の紙葉類を含む。)場合、つまり投入姿勢検出センサ30が顧客による手の挿入を検出した場合を含めて、上端検出センサ31aおよび下端検出センサ31bの少なくとも一つが収容箱14内の紙葉類の存在を検出している場合は、顧客の立去りによる取忘れの発生を判定し、接客部13のシャッタ17を閉鎖してステップS24へ移行する。
【0112】
S24、紙葉類の取忘れを判定した制御部36は、収容箱14を接客位置から分離集積位置へ回動させる。
【0113】
S25、収容箱14を分離集積位置へ回動させた制御部36は、上記ステップS5と同様にして、分離機構15によって収容箱14内に取忘れられた紙葉類(取忘紙葉類という。)を1枚毎に搬送路25aへ繰出し、搬送路25aに繰出された紙葉類の長手方向の長さや短手方向の長さが、正常であるか否かを検出する。
【0114】
S26、制御部36は、前記の判定によって、繰出された紙葉類の短手方向および長手方向の長さが正常である場合は、その紙葉類を搬送路25による搬送が可能な紙幣と同等の大きさを有する大型の紙葉類(偽券や大型のレシート等)と判定してステップS26へ移行する。
【0115】
繰出された紙葉類の短手方向および/もしくは長手方向の長さが短い場合は、その紙葉類を搬送路25による搬送が困難な紙幣より小さい小型の紙葉類(隅欠損券、長手半折れ券、短手半折れ券、小型のレシート等)と判定してステップS27へ移行する。
【0116】
S27、大型の取忘紙葉類の繰出しを判定した制御部36は、その紙葉類を搬送路25a、搬送路25によって取忘れ収納庫22へ搬送して収納し、ステップS29へ移行する。
【0117】
S28、小型の取忘紙葉類の繰出しを判定した制御部36は、その紙葉類を搬送路25aによって紙葉類回収庫24へ搬送して収納し、ステップS29へ移行する。
【0118】
S29、制御部36は、通過検出センサ34が紙葉類の繰出しを検出しなくなった後に、当該紙葉類を取忘れ収納庫22または紙葉類回収庫24へ収納したことによって取忘紙葉類の収納の終了を判定したときはステップS30へ移行する。
【0119】
通過検出センサ34が紙葉類の繰出しを検出し続けている場合は、ステップS25へ戻り、繰出された紙葉類の判定等を継続する。
【0120】
S30、ステップS22において紙葉類の再投入を検出しなかったことによって顧客の立去りを判定した、または顧客の立去りにより発生した取忘紙葉類の収納を終えた制御部36は、記憶部37の取込紙幣カウントエリアの記憶状態を確認し、各金種別の枚数が「0」の場合は、主制御部5へ処理終了通知を送信して入金処理を終了させる。
【0121】
取込紙幣カウントエリアに金種別の枚数が格納されている場合は、一時保留部19の紙幣を取忘れられた紙幣と判定して、ステップS31へ移行する。
【0122】
S31、一時保留部19の紙幣を取忘れられた紙幣と判定した制御部36は、一時保留部19に集積されている紙幣を繰出し、これを搬送路25によって取忘れ収納庫22へ搬送して収納し、一時保留部19の紙幣を全て取忘れ収納庫22へ収納したときに、記憶部37の取込紙幣カウントエリアの各金種別の枚数を「0」に初期化し、主制御部5へ処理終了通知を送信して入金処理を終了させる。
【0123】
処理終了通知を受信した主制御部5は、カード取扱部8に残留している取引カードを図示しない回収庫に収納して入金取引処理を終了させ、操作表示部7の表示画面に取引選択画面を表示して待機する。
【0124】
このようにして、本実施例の紙幣入出金機10による入金処理が実行される。
【0125】
上記のように、本実施例の入金処理においては、接客部13の収容箱14へ搬送した返却紙葉類Phを視認難紙葉類(または小型の紙葉類)と判定した場合に、投入された紙葉類を顧客に返却する際に、小型の紙葉類の受取を促す旨の文言を表示した小型紙葉類返却画面を表示して顧客に返却するので、レシート等の紙幣よりも小型の紙葉類が紙幣と共に投入された場合に、投入された紙葉類を顧客に返却する際に、受取るべき小型の紙葉類の存在を報知して顧客の注意を喚起することができ、接客部13に取忘れられた小型の紙葉類が残留することを防止することが可能になり、現金自動預払機の取引停止を防止して、その稼動効率を向上させることができる。
【0126】
上記に加えて、本実施例では、接客部13に集積した顧客に返却する紙葉類が取忘れられた場合に、紙幣よりも小型の紙葉類を高密度化した搬送路によって紙葉類回収庫に搬送して収納するので、小型の紙葉類によるジャム等の搬送障害の発生を防止して現金自動預払機の取引停止を防止ることができると共に、取引の継続を可能にして現金自動預払機の稼動効率を向上させることができる。
【0127】
また、接客部13の分離機構15から接客部13の近傍に配置された紙葉類回収庫24に至る搬送路25aのみを、高密度化された搬送路25aとするので、搬送路25の搬送機構を含めた改造を小規模に止めて、製造コストの増加を抑制することができる。
【0128】
以上説明したように、本実施例では、現金自動預払機の紙幣入出金機の接客部と紙葉類回収庫との間を高密度化した搬送路で接続すると共に、接客部に紙幣の短手方向の長さと長手方向の長さとを検出して紙幣の大きさを検出する複数の紙幣サイズ検出センサを設け、投入された紙葉類を顧客に返却する際に、紙幣サイズ検出センサが接客部に存在する紙葉類が紙幣よりも小さいことを検出した場合に、当該紙葉類を小型の紙葉類と判定して返却する紙葉類が小型の紙葉類であることを表示し、その小型の紙葉類が取忘れられた場合に、小型の紙葉類を高密度化した搬送路で搬送して紙葉類回収庫に収納するようにしたことによって、紙幣と共に投入されたレシート等の紙幣よりも小型の紙葉類を顧客に返却する際に、受取るべき小型の紙葉類の存在を報知して顧客の注意を喚起することができ、接客部に取忘れられた小型の紙葉類が残留することを防止することが可能になると共に、接客部に集積した顧客に返却する紙葉類が取忘れられた場合に、小型の紙葉類を高密度化した搬送路により搬送して小型の紙葉類によるジャム等の搬送障害の発生を防止することができ、現金自動預払機による取引の継続を可能にして、現金自動預払機の稼動効率を向上させることができる。
【実施例2】
【0129】
本実施例の説明においては、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0130】
本実施例の接客部13に設けられた収容箱14の底板14bは、上記実施例1と同様に支持棒によってスノコ状に形成され、図9に示すように、分離機構15側に設けられた回転支点40によって、図示しない駆動機構により開閉可能に構成されている。
【0131】
また、本実施例の紙葉類回収庫24は、収容箱14の底板14bの下方に配置され、底板14bの支持棒の間から落下した重い異物を、直下に配置されたガイドダクト41で導いて収納する他、入金取引時に顧客に返却する紙葉類が取忘れた場合に、収容箱14の底板14bを開作動(図9に示す2点鎖線)させて収容箱14に残留した小型の紙葉類を含む紙葉類を落下させ、ガイドダクト41で導いて収納する収納庫である。
【0132】
なお、本実施例の高密度化された搬送路25aは、通過検出センサ34の繰出方向の下流側に、紙幣の短手方向の長さに相当する長さのみ形成されている。
【0133】
本実施例の現金自動預払機1の主記憶部6には、上記実施例1と同様の業務処理実行プログラムが格納されており、主制御部5が実行する業務処理実行プログラムのステップにより本実施例の現金自動預払機1の各機能手段が形成される。
【0134】
本実施例の紙幣入出金機10の記憶部37には、主制御部5からの指令によって、出金取引処理における紙幣の出金処理、図10を用いて説明する本実施例の入金取引処理における紙幣の入金処理や返却処理等の紙幣処理を実行する機能を有する紙幣処理プログラムが予め格納されており、制御部36が実行する紙幣処理プログラムのステップにより本実施例の紙幣入出金機10の各機能手段が形成される。
【0135】
また、記憶部37には、上記実施例1と同様の収納金種設定情報が予め設定されて格納される他、収納枚数カウントエリア、取込紙幣カウントエリア等が予め確保されている。
【0136】
更に、記憶部37には、上記実施例1と同様の紙幣長さ判定値、取忘れ判定時間が予め設定されて格納されている。
【0137】
以下に、図10に示すフローチャートを用い、SAで示すステップに従って本実施例の紙幣入出金機の入金処理について説明する。
【0138】
本実施例のステップSA1〜SA23の作動は、上記実施例1のステップS1〜S23の作動と同様であるので、その説明を省略する。
【0139】
この場合に、ステップSA1において、硬貨やクリップ等の重い異物が同時に投入された場合は、その重い異物は、収容箱14の底板14bの支持棒の間から落下し、ガイドダクト41に導かれて紙葉類回収庫24に収納される。
【0140】
SA24、紙葉類の取忘れを判定した制御部36は、接客位置に位置している収容箱14の底板14bを開作動させて収容箱14に残留した小型の紙葉類含む紙葉類を落下させ、ガイドダクト41で導いて紙葉類回収庫24へ収納する。
【0141】
その後のステップSA25〜SA26の作動は、上記実施例1のステップS30〜S31の作動と同様であるので、その説明を省略する。
【0142】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、接客部の収容箱の底板を開閉可能に構成すると共に紙葉類回収庫を底板の下方に配置し、返却する紙葉類が取忘れられた場合に、収容箱の底板を開作動させ、取忘れられた紙葉類を落下させて紙葉類回収庫に収納するようにしたことによって、接客部に集積した顧客に返却する紙葉類が取忘れられた場合に、紙幣よりも小さい小型の紙葉類を含む紙葉類を落下させて紙葉類回収庫に収納することができ、小型の紙葉類によるジャム等の搬送障害の発生を防止して現金自動預払機の取引停止を防止ることができると共に、取引の継続を可能にして現金自動預払機の稼動効率を向上させることができる他、接客部の分離機構の近傍のみを高密度化された搬送路とすることができ、紙幣入出金機の改造を最小限に止めて、製造コストの増加を更に抑制することができる。
【実施例3】
【0143】
本実施例の説明においては、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0144】
本実施例の紙葉類回収庫24は、図11に示すように、接客部13の収容箱14の挟んで分離機構15の反対側に配置され、入金取引時に顧客に返却する紙葉類が取忘れた場合に、収容箱14に残留した小型の紙葉類を含む紙葉類を収納する収納庫である。
【0145】
また、本実施例の接客部13に設けられた収容箱14の底板14bは、上記実施例1と同様に支持棒によってスノコ状に形成され、上記実施例1の接客位置と分離集積位置(図4参照)に加えて、図11(b)に示すように、小型の紙葉類が取忘れられた場合に、収容箱14に残留した小型の紙葉類を含む紙葉類を紙葉類回収庫24へ収納するための、開口部を分離機構15の反対側に向けた回収位置との3位置の間を回動可能に構成され、回収位置に回動させた収容箱14から小型の紙葉類を含む紙葉類を紙葉類回収庫24へ移動させるための搬送ローラ45が設けられている。
【0146】
この場合に、搬送ローラ45に代えて、小型の紙葉類を紙葉類回収庫24へ移動させるための駆動可能に構成されたレバーを設けるようにしてもよい。
【0147】
なお、本実施例では、収容箱14の紙幣押え14aは省略されている。
【0148】
また、本実施例の高密度化された搬送路25aは、上記実施例2の同様に、通過検出センサ34の繰出方向の下流側に、紙幣の短手方向の長さに相当する長さのみ形成されている。
【0149】
本実施例の紙幣入出金機10による入金処理の作動は、上記実施例2(図10参照)の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0150】
この場合に、ステップSA1において、硬貨やクリップ等の重い異物が同時に投入された場合は、その重い異物は、上記実施例1のステップS1と同様に、異物返却口23に集積され、顧客に返却される。
【0151】
また、SA24において、紙葉類の取忘れを判定した制御部36は、収容箱14を接客位置から回収位置へ回動させ、搬送ローラ45を回転させて収容箱14に残留した小型の紙葉類を含む紙葉類を紙葉類回収庫24へ移動させて収納する。
【0152】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、接客部の収容箱を回動可能に構成すると共に紙葉類回収庫を、収容箱を挟んで分離機構の反対側に配置し、返却する紙葉類が取忘れられた場合に、収容箱を紙葉類回収庫の方向へ回動させて小型の紙葉類を紙葉類回収庫に収納するようにしたことによって、接客部に集積した顧客に返却する紙葉類が取忘れられた場合に、紙幣よりも小さい小型の紙葉類を含む紙葉類を搬送ローラ等によって移動させて紙葉類回収庫に収納することができ、小型の紙葉類によるジャム等の搬送障害の発生を防止して現金自動預払機の取引停止を防止ることができると共に、取引の継続を可能にして現金自動預払機の稼動効率を向上させることができる他、接客部の分離機構の近傍のみを高密度化された搬送路とすることができ、紙幣入出金機の改造を小規模に止めて、製造コストの増加を抑制することができる。
【0153】
なお、上記各実施例においては、接客部における分離集積動作のときに収容箱を分離集積位置に回動させるとして説明したが、収容箱を回動させずに投入された紙幣を分離する接客部の場合であっても、本発明を適用すれば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0154】
また、上記各実施例においては、自動取引装置は現金自動預払機であるとして説明したが、自動取引装置は前記に限らず、発券機や自動販売機等であってもよい。要は紙幣を投入する接客部を有する自動取引装置であればどのような自動取引装置に適用しても本発明と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0155】
1 現金自動預払機
2 ホストコンピュータ
3 通信回線
5 主制御部
6 主記憶部
7 操作表示部
8 カード取扱部
9 通帳取扱部
10 紙幣入出金機
11 硬貨入出金機
13 接客部
14 収容箱
14a 紙幣押え
15 分離機構
15a ピックアップローラ
15b フィードローラ
16 集積機構
17 シャッタ
18 鑑別部
19 一時保留部
20 紙幣収納庫
21 リジェクト紙幣収納庫
22 取忘れ収納庫
23 異物返却口
24 紙葉類回収庫
25、25a 搬送路
26、45 搬送ローラ
27 切替ブレード
30 投入異常検出センサ
31 紙幣サイズ検出センサ
31a 上端検出センサ
31b 下端検出センサ
32 落下物検出センサ
34 通過検出センサ
36 制御部
37 記憶部
40 回転支点
41 ガイドダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が投入した紙幣を1枚毎に分離して紙幣を短手方向に繰出す分離機構と、顧客に引渡す紙幣を集積する集積機構とが設けられた接客部と、
前記接客部に取忘れられた紙幣を収納する取忘れ収納庫と、
前記接客部に取忘れられた小型の紙葉類を収納する紙葉類回収庫と、を有する紙幣入出金機を備えた自動取引装置であって、
前記接客部に、紙幣の短手方向の長さと長手方向の長さとを検出して紙幣の大きさを検出する複数の紙幣サイズ検出センサを設け、
投入された紙葉類を顧客に返却する際に、前記紙幣サイズ検出センサが、前記接客部に存在する紙葉類が、紙幣よりも小さいことを検出した場合に、当該紙葉類を小型の紙葉類と判定する手段と、
前記小型の紙葉類と判定した場合に、返却する紙葉類が小型の紙葉類であることを表示する手段と、
前記返却する紙葉類が取忘れられた場合に、前記紙葉類を前記紙葉類回収庫に収納する手段と、を備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記紙幣サイズ検出センサは、
前記接客部に存在する紙葉類の紙幣の短手方向の上端を、外部から視認できる限度の位置に、紙幣の長手方向に沿って配列された複数の上端検出センサと、
前記接客部に存在する紙葉類の紙幣の短手方向の下端部に、紙幣の長手方向に沿って配列された複数の下端検出センサとで構成され、
前記上端検出センサおよび下端検出センサの少なくとも一つが、前記接客部に存在する紙葉類の存在を検出しない場合に、当該紙葉類を小型の紙葉類と判定する手段を備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記接客部に、前記分離機構によって繰出される紙葉類の短手方向の長さと長手方向の長さを検出する複数の通過検出センサとを設け、
前記通過検知センサの少なくとも一つが、繰出された紙葉類を検出しない場合に、当該紙葉類を返却すべき紙葉類と判定する手段と、
前記通過検知センサが、繰出された紙葉類の短手方向の長さが短いことを検出した場合に、当該紙葉類を返却すべき紙葉類と判定する手段と判定する手段と、
前記返却すべき紙葉類と判定した場合に、当該紙葉類を前記接客部へ搬送する手段と、備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記接客部と前記紙葉類回収庫の間を高密度化された搬送路で接続し、
前記返却する紙葉類が取忘れられた場合に、小型の紙葉類を、前記高密度化された搬送路によって前記紙葉類回収庫に搬送して収納する手段を備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記接客部の収容箱の底板を開閉可能に構成すると共に、前記紙葉類回収庫を前記底板の下方に配置し、
前記返却する紙葉類が取忘れられた場合に、前記収容箱の底板を開作動させ、前記紙葉類を落下させて前記紙葉類回収庫に収納する手段を備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記接客部の収容箱を回動可能に構成すると共に、前記紙葉類回収庫を、前記収容箱を挟んで前記分離機構の反対側に配置し、
前記返却する紙葉類が取忘れられた場合に、前記収容箱を前記紙葉類回収庫の方向へ回動させて、前記紙葉類を前記紙葉類回収庫に収納する手段を備えることを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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