説明

自動取引装置

【課題】紙幣20等の媒体を搬送し所定の取引を行う自動取引装置1において、ジャム媒体の除去に要する時間を短くし装置復旧時間を短くする。
【解決手段】フレーム12a、12bにて両側面を支持された搬送ガイド10a、10bによりガイドして紙幣20の媒体を搬送し所定の取引を行う自動取引装置1において、前記フレーム12a、12bの外側に前記搬送ガイドによりガイドされた搬送ルート16aを等倍にて表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣等の媒体を搬送し所定の取引を行う自動取引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来の紙幣入出金機等の自動取引装置の搬送路は、図9の従来の自動取引装置の要部構成図、図10の要部斜視図に示したように、紙幣等の搬送をガイドする搬送ガイド10a、10b、紙幣等を搬送する搬送ローラ11、搬送ガイド10a、10bの両側面に設けられたフレーム12a、12b、搬送状態を検知するための搬送監視用センサ13、駆動源である駆動モータ14、ギア等から構成され駆動モータ14の駆動力を伝達する駆動伝達部品15が備えられている。
【0003】
なお、図10は、認識部5近傍の搬送路の斜視図であり、同図矢印Aのように搬入された紙幣20が搬送ガイド10a、10bによりガイドされて方向を変え矢印Bのように搬送される。
【0004】
そして、搬送ガイド10a、10bは強度を保つためにフレーム12a、12bにその両側面を固定され、外観からは搬送路内が見えない構造となっている。
【0005】
また、搬送路内でジャムが発生したときに残留する紙幣を除去するために、搬送ガイド10a、10bを開くことができる構造となっている。搬送ガイド10a、10bを開くことができない箇所は、残留紙幣を強制的に移動させるノブが実装されている。
【0006】
そして、図11の動作フローチャート図のように、この搬送路にてジャムが発生すると(ステップS11)、エラーコードや発生内容の情報を表示し(ステップS12)、これを係員が確認し、次に、ジャム発生箇所および除去方法を表示し(ステップS13)、表示された情報をもとに保守マニュアルや自動取引装置の保守画面を確認しながら、該当する搬送ガイドを開いたり、ノブによる紙幣除去を行って(ステップS14)、発生箇所すべての箇所についてジャム除去を行い(ステップS15)、ジャム除去処理を終了する。
【0007】
或いは、さらに除去作業を容易にするために、装置のドアの内側面に、ジャム処理方法の説明を記述した透明なシールを貼り、ジャム位置が分かるようにシールの裏側のジャムが発生した箇所に相当する箇所のLEDを点灯させるようにし、ジャムが発生したときに前記ドアを開いて発生した箇所を確認しジャム処理方法を確認できるようにした技術はあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−247235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の自動取引装置では、搬送路が両側をフレーム12a、12bにて覆われており外観からは搬送ルートがわからない構造となっており、残留紙幣を除去する搬送ルートを確認するためには、保守マニュアルや保守画面の表示内容、或いはドアの内側のシールに記載された内容を見ながら搬送ルートを都度確認しなくてはならず、やはり、ジャム除去に時間が掛かってしまい、装置復旧に時間がかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述の課題を解決するために次の構成を採用する。すなわち、フレームにて両側面を支持された搬送ガイドによりガイドして媒体を搬送し所定の取引を行う自動取引装置において、前記フレームの外側に搬送ルートを等倍にて表示するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動取引装置によれば、以上のように構成したので、搬送ルートの存在をイメージしながら紙幣除去作業を行うことができ、装置の復旧までの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の自動取引装置の構成図である。
【図2】実施例1の自動取引装置の要部構成図である。
【図3】実施例1の自動取引装置の要部斜視図である。
【図4】実施例1の自動取引装置の動作フローチャート図である。
【図5】実施例1の変形例の自動取引装置の要部斜視図である。
【図6】ガイド表示カバー閉時における実施例2の自動取引装置の要部斜視図
【図7】ガイド表示カバー開時における実施例2の自動取引装置の要部斜視図
【図8】実施例2の自動取引装置の動作フローチャート
【図9】従来の自動取引装置の要部構成図である。
【図10】従来の自動取引装置の要部斜視図である。
【図11】従来の自動取引装置の動作フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明では、金融機関等に設置され紙幣を取扱う紙幣入出金機を例として説明するが、硬貨を取扱う硬貨処理装置などにも本発明を適用することができる。
【実施例1】
【0014】
(構成)
図1は実施例1の自動取引装置の構成を示す図である。同図に示したように、実施例1の自動取引装置は、矢印Cのように開くシャッタ2sおよび分離部2aを備え紙幣の投入や出金紙幣を集積して受け渡す入出金部2と、入出金部2に投入された紙幣を搬送して一時貯留する集積機構および集積機構にて集積された紙幣を1枚ずつ分離して繰出す分離部6aを備えた一時保留部6を備える。
【0015】
また、分離部7aを備え入出金部2に投入された紙幣を金種毎に収納する紙幣収納部7と、紙幣収納部7から繰出された紙幣が出金紙幣として不適であると鑑別されたリジェクト紙幣を収納するリジェクト部9と、搬送路上に設けられ搬送される紙幣の真偽、金種、正損、表裏等の鑑別および計数を行うとともに搬送異常の検出を行う認識部5とを備える。
【0016】
また、実施例1の自動取引装置の搬送路は、図2の要部構成図、図3の要部斜視図に示したような構成となっている。なお、図2、図3に示した搬送路は図1のa部位置の搬送路を例として示したものであり、この搬送路では図3のように認識部5から矢印Aのように搬送されてきた紙幣20は矢印Bのように搬送される。
【0017】
同図に示したように、実施例1の自動取引装置の搬送路は、紙幣等の搬送をガイドする搬送ガイド10a、10b、紙幣等を搬送する搬送ローラ11、搬送ガイド10a、10bの両側面に設けられたフレーム12a、12b、搬送状態を検知するための搬送監視用センサ13、駆動源である駆動モータ14、ギア等から構成され駆動モータ14の駆動力を伝達する駆動伝達部品15が備えられている。
【0018】
そして、実施例1の自動取引装置では、保守を行う側のフレーム12aの外側に搬送ルートを等倍で表した搬送ルート表示16aが記載されたガイド表示カバー16が備えられている。なお、ガイド表示カバー16には、搬送ルート表示16aに加え、図示したように、紙幣が搬送される方向を矢印16bにて示すようにするとなおよい。
【0019】
そして、従来の自動取引装置と同様、搬送ガイド10a、10bは強度を保つためにその両側面がフレーム12a、12bに固定され、外観からは搬送路内が見えない構造となっている。
【0020】
また、搬送路内でジャムが発生したときに残留する紙幣を除去するために、搬送ガイド10a、10bは開くことができる構造となっている。搬送ガイド10a、10bを開くことができない箇所は、残留紙幣を強制的に移動させるノブが実装されている。
【0021】
(動作)
以上の構成にて実施例1の自動取引装置1は、以下のように動作する。まず、自動取引装置による所定の取引の1つとして入金取引の動作を前述の図1を用いて説明する。
【0022】
自動取引装置1の紙幣を入金する入金取引では、入金する紙幣20はシャッタ2sが矢印Cのように開いた後、入出金口2に投入され、図示しない入出金口内のセンサにて投入を確認後、シャッタ2sを閉じる。
【0023】
このとき、入出金部2の入金口に紙幣が複数枚投入されたときは、分離部2aにより1枚ずつ分離し、認識部5へ搬送されて真偽及び紙幣状態を判定し、真券・正常と判断すると一時保留部6へ搬送し、それ以外は入出金部2へ搬送し、返却する。
【0024】
取引確定後、分離部6aにより紙幣を1枚ずつ分離し、認識部5にて金種及び紙幣状態を判別し分岐部にて正常券は各紙幣収納部7へ、正常券以外はリジェクト部9へ搬送して収納を行う。
【0025】
なお、出金時は紙幣収納部7から分離部7aにより紙幣を1枚ずつ分離し搬出し認識部5にて紙幣状態を判別し、正常券は入出金部2へ、正常券以外はリジェクト部9へ搬送し集積する。
【0026】
次に、実施例1の自動取引装置のジャム除去動作について図4の動作フローチャート図を用いて以下説明する。なお、以下の説明では、図1のa部、すなわち認識部5の搬出位置の搬送路においてジャムが発生した場合を例として説明するが、その他の場所であってもよい。
【0027】
まず、この搬送路にてジャムが発生すると(ステップS01)、エラーコードや発生内容の情報を表示し(ステップS02)、これを係員が確認し、表示された情報をもとに、該当する搬送ガイドを開いたり、ノブによる紙幣除去を行って(ステップS03)、発生箇所すべての箇所についてジャム除去を行い(ステップS04)、ジャム除去処理を終了する。
【0028】
なお、以上の実施例の説明では、ジャムの発生位置の表示方法については、詳細に説明しなかったが、図3に示したように、ガイド表示カバー16にジャム発生表示ランプ16cを設け、ジャムが検知された搬送路のランプを点灯或いは点滅させるようにすればよい。
【0029】
なお、以上の実施例の説明では、ガイド表示カバー16に記載する搬送ルート表示16aを搬送ルートの等倍で記載するように説明したが、搬送路が切り替えられたり、搬送方向が変化したりする場合を考慮し、ガイド表示カバー16を液晶表示部にて構成し、ジャムが発生したときの搬送方向や搬送路を液晶表示するようにしてもよい。搬送ルート表示16aは、搬送ルートの等倍で記載するように説明したが、ここで等倍とは、ジャム発生時に係員が搬送ルートの存在をイメージできるような表示であればよく、搬送ルート表示16aは搬送ルートと全く同じ寸法である必要はない。
【0030】
なお、以上の実施例の説明では、搬送ルート表示16aはガイド表示カバー16に記載するように説明したが、例えば図5に示す実施例1の変形例を表す要部斜視図のように、フレーム12aに搬送ルート16aを記載するようにしてもよい。このとき、搬送方向を示す矢印16bもフレーム12aに記載するようにしてもよいが、例えば図5のように、ジャム発生表示ランプ16cを保護するように、別部材の矢印16b−1及び16b−2を備えるようにしてもよい。こうすることによって、ジャム発生表示ランプ16cの保護及びフレーム12aの強度を向上することができる。
【0031】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の紙幣入出金機によれば、フレームにて両側面を支持された搬送ガイドによりガイドして媒体を搬送し所定の取引を行う自動取引装置において、前記フレームの外側に前記搬送ガイドによりガイドされた搬送ルートを等倍にて表示するガイド表示カバーを設けたので、搬送ルートの存在をイメージしながら紙幣除去作業を行うことができ、装置の復旧までの時間を短くすることができる。
【実施例2】
【0032】
次に、図6及び図7を用いて本発明に係る実施例2について説明する。実施例1と共通の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0033】
実施例2の自動取引装置の搬送路は、図6の要部斜視図に示したような構成となっている。なお、図6に示した搬送路は実施例1同様、図1のa部位置の搬送路を例として示したものであり、紙幣の搬送方向等は実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0034】
実施例2におけるガイド表示カバー16の実施例1との違いは、図6に示すように、実施例1で詳細に説明したガイド表示カバー16の表面に、新たに取っ手部17が設けられている。また、図7に示すようにガイド表示カバー16は開閉可能にフレーム12aに取り付けられ、ガイド表示カバー16の開時にはフレーム12aに設けた穴部により搬送ガイド10a、10bが視認できる構成となっており、また、ガイド表示カバー16の閉時にジャム発生表示ランプ16cにあたる位置に、ジャム発生表示ランプ孔19を備えている。また、ガイド表示カバー16の大きさは、ガイド表示カバー16閉時にフレーム孔18全体を覆うことができる大きさである。なお、ガイド表示カバー16のフレーム12aへの取り付け手段は図示しないが、例えば蝶番などにより取り付けられればよい。
【0035】
次に、実施例2の自動取引装置のジャム除去動作について図8の動作フローチャート図を用いて以下説明する。なお、以下の説明では実施例1同様、図1のa部にてジャムが発生した場合を例として説明する。
【0036】
まず、実施例1同様、この搬送路にてジャムが発生すると(ステップS21)、エラーコードや発生内容の情報を表示する(ステップS22)。これを係員が確認し、表示された情報をもとに、取っ手部17によりガイド表示カバー16を開き、フレーム孔18より搬送ガイド10a、10bを視認し、紙幣のジャム状態を確認する(S23)。該当する搬送ガイドを開いたり、ノブによる紙幣除去を行って(ステップS24)、発生箇所すべての箇所についてジャム除去を行い(ステップS25)、ジャム除去処理を終了する。
【0037】
なお、以上の実施例の説明では、S23にてガイド表示カバー16を開いて紙幣のジャム状態を確認後、搬送ガイドを開いたりノブによる紙幣除去を行うこととして説明したが、フレーム孔18から紙幣除去が行えるようなジャムである場合はS23にて紙幣除去を行い、S24を省略してもよい。
【0038】
なお、ガイド表示カバー16に記載する搬送ルート表示16aは、実施例1同様、搬送路が切り替えられたり、搬送方向が変化したりする場合を考慮し、ガイド表示カバー16を液晶表示部にて構成し、ジャムが発生したときの搬送方向や搬送路を液晶表示するようにしてもよい。また、搬送ルート表示16aはジャム発生時に係員が搬送ルートの存在をイメージできるような表示であれば、搬送ルート表示16aは搬送ルートの等倍で表示しなくともよい。
【0039】
なお、以上の実施例の説明では、ガイド表示カバー16はジャム発生表示ランプ孔19を備えているとして説明したが、ジャム発生表示ランプ16cを設けない場合、ガイド表示カバー16にジャム発生表示ランプ孔19を備えなくともよい。
【0040】
なお、以上の実施例の説明では、ガイド表示カバー16はガイド表示カバー16閉時にフレーム孔18全体を覆うことができる大きさであるとして説明したが、例えばガイド表示カバー16をフレーム孔18と同じサイズにし、ガイド表示カバー16閉時はフレーム穴18にガイド表示カバー16を嵌めることとし、ガイド表示カバー16開時はフレーム孔18に嵌めたガイド表示カバー16を取り外すことができる着脱構造としてもよい。こうすることで、ガイド表示カバー16がフレーム12aと同じ機能を持つと同時に、ジャム発生時にはガイド表示カバー16を取り外すことで搬送ガイド10a、10bが視認可能となる。また、蝶番等の取り付け手段も不要となる。
【0041】
(実施例2の効果)
以上のように、実施例2の紙幣入出金機によれば、フレームにて両側面を支持された搬送ガイドによりガイドして媒体を搬送し所定の取引を行う自動取引装置において、前記フレーム片側側面にフレーム孔を設け、前記フレーム孔を覆う位置に前記搬送ガイドによりガイドされた搬送ルートを等倍にて表示するガイド表示カバーを開閉可能に設けたので、搬送ルートの存在をイメージしながら紙幣除去作業を行うことができ、装置の復旧までの時間を短くすることができる。また、ガイド表示カバーの開閉によりフレーム孔を介して搬送ガイドを視認することができるため、係員が搬送ルートにおける紙幣のジャム状態を容易に確認できるだけでなく、フレーム孔を介しての紙幣除去も可能であるため、装置の復旧までの時間を短くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上述べたように、本発明は、入出金する紙幣等の媒体を搬送し所定の取引を行う自動取引装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 自動取引装置
2 入出金部
4 シャッタ
5 認識部
6 一時保留部
7 紙幣収容部
9 リジェクト部
10a、10b 搬送ガイド
11 搬送ローラ
12a、12b フレーム
13 搬送監視センサ
16 ガイド表示カバー
20 紙幣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームにて両側面を支持された搬送ガイドによりガイドして媒体を搬送し所定の取引を行う自動取引装置において、
前記フレームの外側に、前記搬送ガイドによりガイドされた搬送ルートを等倍にて表示するようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記フレームの外側に、前記搬送ガイドによりガイドされた搬送ルートを表示するガイド表示カバーを設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記フレーム片側側面にフレーム孔を設け、前記フレーム孔を覆う位置に前記搬送ガイドによりガイドされた搬送ルートを等倍にて表示するガイド表示カバーを開閉可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記ガイド表示カバーは、前記搬送ルートとともに搬送方向を表示するようにしたことを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記ガイド表示カバーは、当該搬送路にてジャムが発生したときに点灯または点滅するジャム発生表示ランプを備えたことを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−94114(P2012−94114A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141676(P2011−141676)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】