説明

自動手洗い装置

【課題】手洗いの各行程を画像としてモニタに順次表示することによって、手洗いが半強制的に行われるようにするとともに、誰でもが同じ内容の手洗いが可能となる自動手洗い装置を提供する。
【解決手段】自動手洗い装置本体Xは、手洗い用シンク1の上部中央部に配置されている水吐出ノズル3、その左右に配置されている石けん液吐出ノズル4、消毒液吐出ノズル5を備えている。また、手洗い用シンク1の上部に配置されている液晶モニタ8を備えている。手洗いを行う人は手洗い用シンク1の前に近づいてセンサ9をかざすと、これをセンサ9が検出して、予め記憶されている手洗いシーケンス画像を順次生成して液晶モニタ6に表示し、さらに同画像に同期して各ノズルの制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手洗い用シンクの上部周辺に水吐出ノズル、石けん液吐出ノズル等の液吐出ノズルを備えた自動手洗い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動手洗い装置は、吐出ノズルの蛇口を回さなくても自動的に液を吐出することによって、手洗いが清潔に且つ便利に行えるようにしたものである。
【0003】
従来、この自動手洗い装置としては、手洗い用シンクの上部周辺に配置された水吐出ノズル、石けん液吐出ノズル等に、それぞれバルブを介してタンクを接続し、各ノズルに手が近づけられたことをセンサによって検出すると、上記バルブを制御することによってタンクからノズルに対して自動的に水や石けん液が供給されるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1)。このように構成にすることによって、当該装置の使用者(手洗い者)は、機器に手を触れることなく手を払うことができ、その後、例えばペーパータオル等で手を拭いて消毒液で消毒すれば、衛生的に一連の手洗い作業を行うことが可能になる。このような自動手洗い装置は、特に衛生面での管理が必要な医療部門や食品部門等に最適である。
【特許文献1】実開平6−12566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の手洗い装置では、手洗いの行程が手洗い者自身に委ねられているために、適切な行程で手洗いが行われなかったり、各行程の時間が短かったりして、洗浄消毒処理が確実に行われない可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、手洗いの各行程を画像としてモニタに順次表示することによって、手洗いが半強制的に行われるようにするとともに、誰でもが同じ内容の手洗いが可能となる自動手洗い装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動手洗い装置は、手洗い用シンクの上部周辺に配置された、水吐出ノズル、石けん液吐出ノズル等の液吐出ノズルと、装置本体に設けられ前記手洗い用シンクの前に人が接近したことを検出するセンサと、前記手洗い用シンクの上部周辺に配置したモニタと、
前記センサで前記手洗い用シンクの前に人が接近したことを検出すると、手洗いシーケンス画像を順次生成して前記モニタに表示する制御部と、を備えたものである。
【0007】
本発明の自動手洗い装置では、手洗い用シンクの前に人が接近すると、これをセンサによって検出し、モニタ上に手洗いシーケンス画像が順次生成して表示される。人の接近は、例えば、センサに手がかざされたりすることにより検出可能である。手洗いシーケンス画像は、例えば、水吐出ノズルから水が出る画像またはその状態を表すテキスト画像、石けん液で手を実際に洗っている動画像等であり、各画像はシーケンス画像であるために、それぞれの画像の表示時間が制御部によって規定されている。したがって、手洗い者が手洗い用シンクに近づいてセンサ位置に手をかざすなどの動作を行うことでその接近が検出されると、自動的に吐出ノズルから水や石けん液が吐出され、モニタに表示される画像に従って手洗い行程を実行していけばよいことになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、手洗い者は自動手洗い装置の各要素に手を触れることなく手洗いを実現できるために非常に衛生的である。また、モニタにシーケンス表示される手洗いシーケンス画像に従って手洗い行程を実行していけばよいために、手洗い行程が均一化され、洗浄消毒効果が確実なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態である自動手洗い装置の外観斜視図、図2は正面図、図3は側面図、図4は図2のA−A矢視断面図である。図1〜図4において、自動手洗い装置本体Xの正面ほぼ中央部には、手洗い用シンク1が設けられている。この手洗い用シンク1は、昇降リフト2によって昇降することが可能である。
【0010】
前記手洗い用シンク1の上部周辺のほぼ中央部には、水吐出ノズル3が設けられている。また、その左右には、石けん液吐出ノズル4と消毒液吐出ノズル5が配置され、各ノズル4、5の下部には手が近づいたことを検出する光電センサ4a、5a(図3、4参照)が設けられている。前記水吐出ノズル3の上方には、後述の手洗いシーケンス画像を表示する液晶モニタ6が設けられ、この液晶モニタ6の向かって左側には、ペーパタオルボックス7が配置され、液晶モニタ6の向かって右側には、スポンジ取出し口8が設けられている。また、液晶モニタ6の向かって右側上方と左側上方には、人の手がかざされたことを検出するセンサ9、12が設けられている。このセンサ9、12は光電センサで構成される。センサ9に手がかざされると、後述の手洗いシーケンスが開始し、センサ12に手がかざされると、手洗いシーケンスが中断し、再度かざされると同シーケンスが再開する。
【0011】
前記スポンジ取出し口8の上方には、スポンジ挿入口10が設けられている。このスポンジ挿入口10から、所定数のスポンジが予め挿入され、手洗い者は、必要に応じて、スポンジ取出し口8からスポンジを取り出す。
【0012】
前記ペーパタオル取出し口7は、カバー7aを備えており、図外の駆動部によって、このカバー7aの開閉動作が制御される。手洗い者は、このカバー7aが開いた時にペーパタオルを取り出すことができる。
【0013】
自動手洗い装置本体Xの最上部には照明部11が設けられており、この照明部11には、下方を照明する蛍光灯11aと、下方を照明するブラックライト11cと、スピーカ11bとを収納している。自動手洗い装置本体内には、制御部等が収納される制御ボックス13が設けられている。
【0014】
前記シンク1の内壁面には酸化チタンが塗布されている。このシンク内壁面に上記ブラックライト11cが照射すると、酸化チタンが触媒となってシンク内の殺菌が可能となる。後述の手洗い行程が全部終了すると、このブラックライト11cが点灯し、シンク1内の殺菌が自動的に行われる。
【0015】
図5は制御ボックス13の構成図である。制御部20の入力側には、人の手がかざされたことを検出するセンサ9、12、その他のセンサ(手検出用センサ4a、5a等)21が接続され、出力側には、液晶モニタ6、音声駆動部28、各ノズル等を駆動制御するための駆動制御部21が接続されている。また、制御部20にはシーケンス画像を記憶するシーケンス画像記憶部21が接続されている。駆動制御部22には、水吐出ノズル駆動部23、石けん液吐出ノズル駆動部24、消毒液吐出ノズル駆動部25、ペーパタオル排出駆動部26、照明駆動部27が接続されている。各駆動部23〜26は、電磁弁やポンプの開閉またはオンオフ駆動を行う。また、照明駆動部27は、蛍光灯11a、ブラックライト11cのオンオフ駆動を行う。また、音声駆動部28は、スピーカ11bを駆動する。
【0016】
シーケンス画像記憶部21には、本実施形態では、音声、文字(静止画像)、動画像を含むマルチメディア情報を記憶している。具体的には、属性(Windows(登録商標) OSでは拡張子) が、mpgからなるファイルを記憶し、各ファイルは行程ごととなっている。制御部20内には、タイマカウンタがソフトウェア的に組み込まれ、このタイマカウンタによって、シーケンス画像記憶部21から読みだしたファイルを順次、シーケンスにモニタ6および音声駆動部28に出力する。ファイル中の音声部についてはスピーカ11bから出力され、文字や動画像についてはモニタ6で出力される。
【0017】
図6は、制御部26によるシーケンス制御によって実行される手洗い行程を示す図である。
【0018】
手洗い者が手洗いをするためにシンク1の前に近づいて、手でセンサ9をかざすと、センサ9がこれを検出して、行程がスタートする。すなわち、図6において行程1が実行される。行程1では、シーケンス画像記憶部21から動画ファイルb. mpgが読みだされ、t2秒間出力される。動画ファイルの音声としては、チャイム音が鳴った後「捨て水がでます」が出力され、文字としては、「START」「捨て水がでます(使用しないでください)がモニタ6に出力される。この時、水吐出ノズル駆動部23によって、水吐出ノズル4に連結されている電磁弁を開きt2秒後に閉じる。また、蛍光灯11aをオンする。手洗い者は、スピーカ11bで上記の音声を聞き、且つモニタ6で上記の文字を視認することによって、ノズル3からでている水が、手洗いに使用してはならない捨て水であることを知ることができる。
【0019】
上記t2秒が経過すると、行程2に以降する。行程2は「水流し」である。この行程での対応する動画ファイルはc.mpgである。制御部20は、この動画ファイルC.mpgを読出し、t3秒の期間、チャイム音を出力した後「水がでます」を音声出力し、且つ、「水がでます」の文字をモニタ6上に表示出力する。また、水吐出ノズル3に連結されている電磁弁を開き、ほぼt3秒を経過すると同電磁弁を閉じる。手洗い者は、スピーカ11bからの上記音声出力とモニタ6上の上記文字を視認することによって、水吐出ノズル3からでている水が手洗い用の水であることを知ることができる。
【0020】
次に、行程3に移る。この行程は「洗浄液」行程である。上記と同様な制御によって、制御部20はシーケンス制御を行い、音声出力および文字出力をする。また、この時石けん液吐出ノズル4に連結されている洗浄液ポンプ( 図示せず)をオンする。そして、このノズル4の下方に設けられているセンサで手を検出するとモニタ6上に「手洗いを開始してください」の表示に切り換える。次の行程4( 「スクラブ」行程)では、モニタ6上に手洗い動画像が表示される。手洗い者は、この手洗い動画像を視認しながら、石けん液と水を使用した手洗いを行う。そのときの手洗い期間は、手洗い動画像の表示されている時間である。
【0021】
以下同様にして、制御部20は、行程6から行程17までのシーケンス制御を行い、行程18において終了する。
【0022】
なお、行程中、手でセンサ12をかざすと、行程が中断する。その後、再び手がセンサ12をかざすと中断していた行程が再開する。このセンサ12により、何らかの中断せざるを得ない状況が発生したときに簡単に行程中断に移行することができ、また、その再開も簡単になる。
【0023】
上記実施形態では、手がセンサ9をかざしたときに行程がスタートするが、センサ9により人がシンク前に接近したときを検出して行程をスタートさせることも可能である。この場合、センサ9としては焦電センサや光学センサを使用することが可能である。
【0024】
以上のシーケンス制御により、手洗い者は装置本体に手を含む体の一部を触れることなく手洗いを行うことができるために衛生的となる。また、モニタに表示されるシーケンス画像を見ながら手洗いを行えばよいため、手洗いの手順を誤ることがなくなり、しかも、各行程の時間の均一化を実現できる。このため、誰であっても完全な手洗いが可能である。また、本実施形態のように画像とともに音声も出力することにより、手洗いの確実性ガさらに高まる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
医療従事者向け手洗い装置の他、食品扱い者向け手洗い装置に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態である自動手洗い装置の外観斜視図
【図2】上記自動手洗い装置の正面図
【図3】上記自動手洗い装置の側面図
【図4】上記図2のA−A矢視断面図
【図5】制御ブロックの構成図
【図6】手洗い行程を示す図
【符号の説明】
【0027】
1−手洗い用シンク
3−水吐出ノズル
4−石けん液吐出ノズル
5−消毒液吐出ノズル
6−液晶モニタ
7−ペーパタオル排出部
9−センサ
13−制御ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手洗い用シンクの上部周辺に配置された、水吐出ノズル、石けん液吐出ノズル等の液吐出ノズルと、
装置本体に設けられ前記手洗い用シンクの前に人が接近したことを検出するセンサと、
前記手洗い用シンクの上部周辺に配置したモニタと、
前記センサで前記手洗い用シンクの前に人が接近したことを検出すると、手洗いシーケンス画像を順次生成して前記モニタに表示する制御部と、
を備えてなる自動手洗い装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記モニタに表示される前記手洗いシーケンス画像に同期して各液吐出ノズルからの吐出を制御する請求項1記載の自動手洗い装置。
【請求項3】
手洗い用シンクの周辺に設けられた、ペーパタオル排出部等の手洗い用品排出部をさらに備え、前記制御部は、前記モニタに表示される手洗いシーケンス画像に同期して前記手洗い用品排出部からの排出を制御する請求項2記載の自動手洗い装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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