説明

自動注射器用針/ハブ・アッセンブリ

【課題】 自動注射器のための針/ハブ・アッセンブリ、およびこの針/ハブ・アッセンブリを作製するための方法を提供する。
【解決手段】 針/ハブ・アッセンブリは、キャップ又はスカート(40)を有し、その前方表面が第1(42)および第2(44)ハブ部係合部間に介在し、それにより補強されている。針(46)がこの2つのハブ部内に形成された連続的チャンネル内に受理されている。針/ハブ・アッセンブリを作製する方法は、第1のハブ部を成形すること、キャップをこの第1のハブ部上に配置させること、針を前記第1のハブ部により画成されたチャンネル内に挿入すること、第2のハブ部をキャップの外側に重ねて成形ないし形成し、前記第1のハブ部と係合させることからなる。この“二個取成形”法により形成されたアッセンブリは、比較的大きい開口部を封止するのに使用することができ、従来のアッセンブリよりも、より効果的に針を支持させることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照文献
本願は、2004年3月11日に出願された米国特許出願第10/797,565号に基づく優先権を主張したものであり、該基礎出願は、2003年10月23日に出願した米国特許出願第10/690,897号の一部継続出願、2001年7月3日に出願した米国特許出願第09/897,422号の一部継続出願、及び2001年10月9日に出願した米国特許出願第09/972,201号の一部継続出願である。これら2つの出願は、2000年10月10日に全て出願された米国仮出願第60/238,458、60/238,448号、及び60/238,447号の優先権を主張したものである。これら全ての出願の内容は、本願の全体に、参照文献として組み込まれている。
【0002】
本発明は薬剤吐出装置に関する。特に、本発明は自動注射装置のための針/ハブ・アッセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
多くのタイプの注入器および他の注射器が医療装置分野において使用されている。例えば、典型的な注入器では、薬剤を患者に対し、皮下、筋内又は静脈を介して輸液するために中空針を使用している。この針は通常、薬剤を収容する注入器の一部にハブ・アッセンブリを用いて接続されている。このハブ・アッセンブリは針を固定し、保持するものである。
【0004】
自動注射器は、1用量分の薬剤を筋内(MI)又は皮下に投与させるようにしたタイプの注射装置である。典型的な自動注射器において、カートリッジが1用量分の薬剤を収容した状態でハブ・アッセンブリに接続される。このカートリッジ・針アッセンブリはハウジング内に収納され、このハウジングは更に作動アッセンブリを収納している。この作動アッセンブリが駆動されたとき、針がハウジングを貫通し、ハウジングから突出して、薬剤が患者の体内に注入されるようになっている。このように、自動注射器は、緊急の場合に薬剤の急速、かつ、簡単なIM注射を可能にするものであり、投与量の計量を必要としない。更に、自動注射器は薬剤の自己投与に好都合なものである。なぜならば、使用者は、この装置を作動させる前に針を見ることがなく、かつ、針を手動で強制的に患者の体内に刺通させる必要もないからである。
【0005】
自動注射器には3つの主なタイプがある。第1のタイプのものは薬剤を液体の形態で混合させて収容している。第2のタイプの自動注射器は“ウエット/ドライ” 自動注射器と呼ばれるもので、これは2つの別々の区域を有し、薬剤を2つの成分、つまり乾燥成分と、液体成分との形でそれぞれ収容している。作動アッセンブリが駆動されたとき、自動注射器のカートリッジ内の構造により、この薬剤の乾燥成分と、液体成分とが強制的に混合されるようになっている。第3のタイプのものは“ウエット/ウエット” 自動注射器と呼ばれるもので、これは2つの別々の区域を有し、薬剤を2つの液体成分の形でそれぞれ収容している。このウエット/ウエット自動注射器はカートリッジ内に或る構造を有し、作動アッセンブリが駆動されたときに、この構造により2つの液体成分が強制的に混合され、あるいは自動注射器がこれら液体成分を連続的に吐出させるようになっている。
【0006】
自動注射器の1つの共通する構造として、薬剤区域の1つが直接的に針アッセンブリに隣接していることである。製造時において、針アッセンブリに隣接する区域は薬剤成分で満たされ、針アッセンブリはこの薬剤区域の封止された開口部の上に設けられている。この針アッセンブリは針用ハブと、針自体とが含まれる。この種の構成において、カートリッジおよびこの薬剤区域の開口部ができるだけ広いことが好便である。なぜならば、広い開口部は薬剤区域に薬剤を充填することがより容易になるからである。これは特に、薬剤又は薬剤成分が乾燥した粉体又は凍結乾燥した錠剤の形態の場合に、そのことが言える。しかし、開口部のサイズは実際上制限される。なぜならば、薬剤区域をうまく封止し、針を適当に支持することができる針アッセンブリを作製することが困難であるからである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの形態は注射装置のための針/ハブ・アッセンブリに関する。この針/ハブ・アッセンブリは、キャップと、第1のハブ部と、針と、第1のハブ部と係合する第2のハブ部とを具備してなるものである。このキャップはカートリッジの外表面と係合するように構成され配置された係合部と、開口部を含む壁部を有する針支持部とを有する。この壁部は内側および外側表面を画成している。第1のハブ部は、前記壁部の開口部を通る針受入れチャンネルを画成すると共に、前記壁部の内側表面に沿って延びた部分を有する。前記針は前記針受入れチャンネル内に装着され、そこから外側に向って延出している。第2のハブ部は第1のハブ部と係合し、針の少なくとも一部を受入れるようになっている。第2のハブ部は更に、補強構造部を有し、該補強構造部が前記壁部の外側表面に沿って外側に向って延びている。キャップの針支持部の壁部は、内側表面が第1のハブ部により補強され、外側表面が第2のハブ部により補強されている。
【0008】
本発明の他の形態は自動注射器に関するものである。この自動注射器は、ハウジングと、カートリッジと、作動アッセンブリと、キャップと、第1のハブ部と、針と、第2のハブ部とを具備してなるものである。カートリッジはハウジング内に配置され、少なくとも1つの開口部を有し、薬剤を収容している。この薬剤は、その後方においてプランジャーにより封入されている(confined)。作動アッセンブリは蓄積エネルギー源を有し、蓄力エネルギー源が解放されることによりプランジャーが駆動され、カートリッジ内を通過するようになっている。キャップは、カートリッジ中の開口部と覆うべくカートリッジの外表面と係合するよう構成され配置された係合部と、開口部を含む壁部を有する針支持部と、を有している。この壁部は内側および外側の表面を画成している。第1のハブ部は、前記壁部中の開口部を通る針受入れチャンネルを画成すると共に、前記壁部の内側表面に沿って延びた部分を有する。針は前記針受入れチャンネル内に装着され、そこから外側に向って延出している。プランジャーがチャンバーを通って駆動されたとき、薬剤が吐出されるようになっている。第2のハブ部は第1のハブ部と係合し、針の少なくとも一部を受入れるようになっている。第2のハブ部は更に、補強構造部を有し、該補強構造部が前記壁部の外側表面に沿って外側に向って延びている。キャップの針支持部の壁部は、内側表面が第1のハブ部により補強され、外側表面が第2のハブ部により補強されている。
【0009】
本発明の更に他の形態は針/ハブ・アッセンブリを作製する方法に関するものである。この方法は、第1のハブ部を形成する工程と、開口部を有するキャップを用意する工程と、第1のハブ部を、その一部がキャップ内の開口部を通って延出するように配置させる工程と、針を前記第1のハブ部により画成されたチャンネル内に配置させる工程と、キャップの外側表面上に第2のハブ部を形成し、それにより、この第2のハブ部が前記第1のハブ部と係合し、キャップの外側表面の少なくとも一部上に延出するようにする工程と、を含む。
【0010】
本発明のこれら、並びに他の形態、特徴および利点については以下の記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図面を参照して説明するが、これら図面を通して同一部材は同一符号で示されている。
【0012】
図1は、本発明の1実施例に係る自動注射器1のためのカートリッジ/針アッセンブリ(大略的に10で示す)の分解縦断面図である。自動注射器1の1例が図7−9に示されている。このカートリッジ/針アッセンブリ10は、本願と同一出願人による継続中の米国特許出願No.10/690,987に記載されているものとほぼ同じタイプのものである。但し、本発明の原理、方法および構造は他のタイプのカートリッジ/針アッセンブリにも広く適用可能である。
【0013】
典型的には、このカートリッジ/針アッセンブリ10は外側ハウジング2内に収納されることになる。このハウジング2には、蓄積エネルギー源4、例えば図9に示すような圧縮バネを備えた作動アッセンブリ3を含んでいる。自動注射器用ハウジングについては多くのタイプのものが知られており、そのいずれも本発明のカートリッジ/針アッセンブリ10と共に使用可能である。従って、本発明は図7−9に示す自動注射器での使用に限定されるものでない。更に、この針アッセンブリ14は薬剤を吐出させるための注入器に使用可能であると考えられる。
【0014】
このカートリッジ12は、液状薬剤成分を乾燥薬剤成分から分離した状態に維持するようにしたタイプのものであり、この維持は自動注射器の起動まで継続され、自動注射器が起動されたとき、この2つの成分が混合されることになる。しかし、本発明の実施例による針/ハブ・アッセンブリ14はカートリッジ12のようなウエット/ドライカートリッジ、ウエット/ウエットカートリッジあるいは単一成分型液体薬剤を収容するように設計されたカートリッジに対しても使用することができる。
【0015】
このカートリッジ12は、一般にガラス、あるいは薬剤又はその成分と反応しない他の硬質材料から形成される。このカートリッジ12は一般に円筒状のもので、円滑な円筒状内面を有する。このカートリッジ12は、ウエット型薬剤区域16と、ドライ型薬剤区域18とに分離されている。このドライ型薬剤区域18内に収容される薬剤は、粉体、凍結乾燥されたもの、その他の公知の任意の固体薬剤である。カートリッジ12の一端には、プランジャー20が液状薬剤区域16を封止するようにして設けられ、作動アッセンブリが駆動されたとき、液状薬剤区域16と係合し、前方に向けて駆動され、液状薬剤区域16内に押し込まれる。封止構造22がカートリッジ12の壁部と封止した状態で係合し、それにより液状薬剤区域16をドライ型薬剤区域18から分離している。
【0016】
この封止構造22は、前記米国特許出願No.10/690,987(その内容は、参照として、ここに具体的に組み込まれるものとする)に開示されているタイプのものからなる。この封止構造のタイプについて特に制限はないが、ウエット/ウエットカートリッジを使用する場合は、この封止構造22は破断可能な薄膜又は他のよりありきたりのタイプの封止構造であってもよい。この封止構造22は、外側封止部材24と、該外側封止部材24内に固定された可動栓体26と、流路28と、バイパスゾーン30とを具備してなる。自動注射器が起動されたとき、前進するプランジャー20により液体薬剤区域16内に圧力が生じ、それにより可動封止栓体26が封止構造22内を前方に移動することになる。この封止栓体26がいったん、封止構造22内を前方に移動すると、液体薬剤区域16内の液体がバイパスゾーン30内に浸入し、ドライ型薬剤区域18内の薬剤成分と混合することになる。
【0017】
自動注射器のカートリッジ、例えばカートリッジ12を充填する方法については前記米国特許出願No.10/690,987に記載されており、従って、これについての詳しい説明はここに繰り返さないことにする。簡単に述べると、伝統的な充填方法での1つの困難は、カートリッジ12のような2区域カートリッジにおいて、同一の開口部を介して双方の薬剤成分を充填した場合に、相互汚染が容易に生じてしまうことである。すなわち、粉体成分が意図に反して液体成分と、あるいは逆に、液体成分が粉体成分と混合してしまい、これが特に開口部の周りで生じてしまう。従って、特に2区域カートリッジにおいては、2つの成分をカートリッジ12の別々の開口部を介して充填することが望ましい。前述のように、これら開口部が比較的広いことも有益である。この広い開口部は、ウエット型およびドライ型薬剤成分の双方の成分のより容易で、より迅速な充填を可能にすることに加えて、別の容器内で凍結乾燥されたドライ型薬剤の錠剤をドライ型薬剤区域18内に直接、配置させることを可能にする。カートリッジ12において、ドライ型薬剤区域18は、針/ハブ・アッセンブリ14近傍のカートリッジ12の前方端に位置する比較的広い開口部32を有する。
【0018】
本発明の1つの充填プロセスにおいて、乾燥薬剤成分がドライ型薬剤区域18内にいったん充填されると、インサート34が開口部32内に挿入される。このインサート34はテーパー状流路36を有し、自動注射器が起動されたときに、混合された薬剤成分を針/ハブ・アッセンブリ14に向けて、じょうご状(すなわち、前方に、かつ、内側に)に狭めるよう作用する。このテーパー状インサート34は更に、フランジ部38を有し、これは開口部32と、針/ハブ・アッセンブリ14との間の封止を形成する。他の充填プロセスとして、カートリッジ12内にインサート又は他の方向付け構造を設けることなく、針/ハブ・アッセンブリを開口部32上に直接封止させることもできる。開口部32の直径は0.280ないし0.500インチの範囲でよい。
【0019】
伝統的に、このタイプのカートリッジのための針/ハブ・アッセンブリは、アルミニウムハブ内に針を配設することにより形成される。一般に、20〜24ゲージのステンレス鋼製針を、0.010ないし0.015インチ厚のアルミニウム製押出シェル内に配設させる。この押出シェルは0.25ないし0.30インチの外径のカートリッジの開口部を覆うよう開口している。開口部32のように広い開口部(例えば、0.472インチ)の場合、針を確実に保持し、それをカートリッジ12に取着させることのできる伝統的な押出アルミニウムハブを形成することは困難である。この問題を解決するため、本発明の針/ハブ・アッセンブリ14は、伝統的な押出し部材および射出成形部材の双方を具備し、かつ、好ましくは、以下に説明するように多段射出成形法により作製される。
【0020】
具体的には、針/ハブ・アッセンブリ14は、金属製により成形された硬質キャップ又はスカート40と、第1の成形ハブ部42と、第2の成形ハブ部44と、針46と、針用シース48とを具備してなる。このスカート40が金属からなる場合、それは典型的には押出し成形されるが、鋳造、その他の方法で形成することもできる。第1および第2の成形ハブ部42,44は、説明上、以下の文面で別々に記載されているが、以下に説明するように、これらは製造時に一緒に融着させ、単一の部材として機能させてもよい。更に、スカート40を金属から形成されるものとして記載したが、十分な硬度を有するプラスチック材料から形成することもできる。
【0021】
針/ハブ・アッセンブリ14の部材が、分離した状態の針/ハブ・アッセンブリ14の部材の縦断面図である図4に、より明瞭に示されている。これは更に、針/ハブ・アッセンブリ14の斜視図並びに一部切欠斜視図である図2および3にも明瞭に示されている。
【0022】
図3および4に示すように、スカート40は、カートリッジ12の外側に嵌合するのに十分な直径を有するほぼ円筒状の部材からなり、ドライ型薬剤区域18の開口部32を閉塞するようになっている。このスカート40は半球形の内部突起45を1又はそれ以上有し、これが図1に示す表面47上に圧接するようになっている。このスカート40の下方部49はカートリッジ12の溝13内に挿入ないし圧挿され、針/ハブ・アッセンブリ14をカートリッジ12に固定するようになっている。スカート40の針支持端部50(すなわち、カートリッジ12と係合するスカート40の端部とは反対側の端部)は、中央孔52を除いてが閉塞された壁部を有する。図4に最も明瞭に示すように、スカート40の針支持端部50は、第1および第2の成形ハブ部42,44間に実質的に挟着されている。この第1および第2の成形ハブ部42,44間のスカート40の針支持端部50の配置は部材相互間を補強させると共に、構造全体の剛性を向上させるものである。
【0023】
第1の成形ハブ部42は、スカート40の針支持端部50の内部に沿って位置し、この場合、第1の成形ハブ部42のフランジ部54がスカート40の針支持端部50に隣接して位置し、第1の成形ハブ部の前方部分56がスカート40の針支持端部50に形成された孔52を介して延出している。針46は、スカート40に形成された孔52を丁度越えて位置する第1の成形ハブ部42の中央チャンネル58内に装着されている。針46は図4に示すように、チャンネル58内に形成されたストッパー58aまで延びていて、それにより製造時において針が同一の深さまで確実に挿入されるようになっている。このストッパー58aは、第1の成形ハブ部42内での針46の挿入深さを制限するものとなっている。針46の僅かに短い長さの部分が第1の成形ハブ部42内に保持されているに過ぎない。
【0024】
図3および4に示すように、図示の実施例の第1の成形ハブ部42は実質的に半球状のチャンバー60を画成している。針46を支持するチャンネル58はこのチャンバー60に開口している。このチャンバー60の広い開口部を覆うようにしてフィルター62が設けられている。これらチャンバー60およびフィルター62はカートリッジ12からの針46に向かう流れの方向付けを行い、フィルター62の“背後”において完全に発達した流れを可能にするものである。これら部材の特徴および利点については本願の部分継続出願である前記米国特許出願No.10/690,987に記載されている。
【0025】
なお、これらチャンバー60およびフィルター62は必須の部材ではなく、本発明の実施例において省略することも可能であることを理解されるべきである。更に、第1の成形ハブ部42は、その使用の対象である自動注射器の内部構造により必要な任意の形状的又は構造的特徴を含むものであってもよいことは当業者にとって自明であろう。一般に、スカート40の内側の第1の成形ハブ部42の構造的特徴は、第1の成形ハブ部42がスカート40内部の所定位置に十分に保持されるような構造のものである限り、本発明にとって特に重要なものではない。
【0026】
第2の成形ハブ部44は、スカート40の針支持端部50の外側に配置される。これは針支持端部50の外側表面に当接して設けられ、部材42および44が恒久的に接合される溶融部64を形成するものである。ハブ部44の形成時において、第1の成形ハブ部42が再溶融され、それにより部材42および44が互いに接合される。図2および3に最も明瞭に示すように、第2の成形ハブ部44は、放射状に延出する多数のリブ66を有し、これらは針支持端部50の外側表面に当接し、径方向外側に向かって延出している。これらリブ66はスカート40の針支持端部50を安定化させ、かつ、強化するよう作用し、更に、自動注射の際に引起される応力による反り、歪み、その他の変形を防止するようにしている。これらリブ66と連続するようにして前方に延出するテーパー部分68が設けられておえい、これにより針46の長さの大部分を支持している。第1および第2の成形ハブ部42,44によって、スカート40の針支持端部50が補強され、針46自体も良好に支持されることになる。
【0027】
本発明の針アッセンブリ14は、数工程からなる射出成形法を用いて最も有利に製造することができる。第1および第2の成形ハブ部42,44は、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン又はその他の公知の医療グレードのポリマーから作製することができる。針アッセンブリ14の射出成形法を以下に、針アッセンブリ14の製造工程を順次示す斜視図である図5A−5Dおよびこのプロセスに含まれる工程のハイレベルブロック図である図6を参照して説明する。これらのプロセスのための適当な射出成形装置としては、周知のものを使用することができる。本発明のプロセスに使用することができる適当な射出成形装置の1例はArburg Model 270 All Rounderである。
【0028】
針/ハブ・アッセンブリ14のための製造プロセス100はS102で開始される。実際の成形プロセスを開始する前に、ユーザーが装置を用意し、種々部材のための適当な成形部品を備える。このプロセスは更にS104に移行し、ここで、ユーザーは加熱流動性プラスチック材料を金型部材内に射出させる。この金型部材は第1の成形ハブ部42の形状を画成するキャビティを有するものである。この流動性プラスチック材料がこの金型キャビティ内で冷却され、図5Aに示すような第1の成形ハブ部42となる。ついで、このハブ部42が金型から取り出される。製造プロセス100は更にS106に移行し、ここで、図5Bに示すように針46がストッパー58aと接触するまで針46を第1の成形ハブ部42内のチャンネル58内に挿入し、配置される。針46がいったん、チャンネル58内に配置されると、製造プロセス100は更にS108に移行し、ここで、押出金属スカート40が第1の成形ハブ部44の外側を覆うように配置される。このスカート40および針46が所定位置にいったん配置されると、図5Cに示すアッセンブリが第1の金型から取り除かれ、第2の金型に配置される。この第2の金型のキャビティは、第2の成形ハブ部の形状を画成するものである。このアッセンブリがいったん配置されると、製造プロセス100は更にS110に移行し、ここで、第2の成形ハブ部44がこのアッセンブリ上に重ねて成形され(overmolded)、図5Dに示すような完成した針/ハブ・アッセンブリ14が形成される。前述のように、このハブ部44の成形の間に、第1の成形ハブ部42の表面領域の一部が再溶融され溶融領域64が形成され、ハブ部42,44が互いに融着され単一体が形成される。製造プロセス100はS112で終了するが、これを所望に応じて多数回繰り返してもよい。
【0029】
第2の成形ハブ部44が製造プロセス100のS110で重ねて成形されたとき、第2の成形ハブ部44は、冷却時に溶融領域64に沿って第1の成形ハブ部42と融着され、一体化された融着部材が形成される。この理由から、第1および第2の成形ハブ部42,44を同一材料から成形し、この両者が効果的に融着されるようにすることが一般に有利である。しかし、2つの熱的に相容性を有する任意の材料を用いてこれら第1および第2の成形ハブ部42,44を成形してもよい。
【0030】
製造プロセス100は針/ハブ・アッセンブリの従来の製造方法に勝る他の利点を有する。例えば、図示の部材を別々に成形し、組み立てさせ、接合させ、溶接させ、嵌合させることができるが、製造プロセス100は、従来のプロセスを使用した場合に存在し得る公差よりも、より厳しい公差を提供することを可能にするものである。
【0031】
以上、本発明を或る実施例との関連で説明下が、これら実施例は単に説明のためだけのものであり、限定を意図するものではない。特許請求の範囲を逸脱しない範囲において本発明を種々、改良、変更することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の1実施例に係る針/ハブ・アッセンブリを有する自動注射器のためのカートリッジの分解縦断面図。
【図2】図1の針/ハブ・アッセンブリを分離して示す斜視図。
【図3】図1の針/ハブ・アッセンブリの一部切欠斜視図。
【図4】図1の針/ハブ・アッセンブリの縦断面図。
【図5A】図1の針/ハブ・アッセンブリ製造工程を順次説明するための斜視図。
【図5B】図1の針/ハブ・アッセンブリ製造工程を順次説明するための斜視図。
【図5C】図1の針/ハブ・アッセンブリ製造工程を順次説明するための斜視図。
【図5D】図1の針/ハブ・アッセンブリ製造工程を順次説明するための斜視図。
【図6】本発明の針/ハブ・アッセンブリを製造するためプロセスのハイレベル模式的ブロック図。
【図7】図1のカートリッジおよび針アッセンブリを有する自動注射器アッセンブリの斜視図。
【図8】図1のカートリッジおよび針アッセンブリを説明するための図7の部分断面図。
【図9】図7の自動注射器の斜視図であって、作動アッセンブリを説明するもの。
【符号の説明】
【0033】
1:自動注射器,2:ハウジング,3:作動アッセンブリ,4:蓄積エネルギー源,10:カートリッジ/針アッセンブリ,12:カートリッジ,13:溝,14:針/ハブ・アッセンブリ(針アッセンブリ),16:ウエット型薬剤区域,18:ドライ型薬剤区域,20:プランジャー,22:封止構造,24:外側封止部材,26:可動栓体,28:流路,30:バイパスゾーン,32:開口部,34:インサート,36:テーパー状流路,38:フランジ部,40:スカート,42:第1の成形ハブ部,44:第2の成形ハブ部,45:突起,46:針,48:針用シース,50:針支持端部,52:中央孔,58:中央チャンネル,58a:ストッパー,60:チャンバー,62:フィルター,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射装置のための針/ハブ・アッセンブリであって:
カートリッジの外側表面と係合するように構成された係合部と、開口部を含むと共に内側表面および外側表面を画成する壁部を有する針支持部と、を有するキャップと;
前記壁部の開口部を通る針受入れチャンネルを画成すると共に、前記壁部の内側表面に沿って延びた部分を有する第1のハブ部と;
前記針受入れチャンネル内に装着され、該受入れチャンネルから外側に向って延出する針と;
前記第1のハブ部と係合し、前記針の少なくとも一部を受入れる第2のハブ部であり、前記壁部の外側表面に沿って外側に向って延出させた補強構造部を有した第2のハブ部と;
を具備してなり;
前記キャップの前記針支持部の壁部は、前記内側表面が前記第1のハブ部により補強され、前記外側表面が前記第2のハブ部により補強されるようになっていることを特徴とする針/ハブ・アッセンブリ。
【請求項2】
第1のハブ部と、第2のハブ部とが融着されている請求項1記載の針/ハブ・アッセンブリ。
【請求項3】
第1のハブ部および第2のハブ部がプラスチック材料からなる請求項2記載の針/ハブ・アッセンブリ。
【請求項4】
第1のハブ部および第2のハブ部が同一のプラスチック材料からなる請求項3記載の針/ハブ・アッセンブリ。
【請求項5】
前記キャップが金属製である請求項2記載の針/ハブ・アッセンブリ。
【請求項6】
前記キャップがアルミニウム製である請求項5記載の針/ハブ・アッセンブリ。
【請求項7】
前記補強構造部が半径方向に延出した複数のリブである請求項2記載の針/ハブ・アッセンブリ。
【請求項8】
第2のハブ部が更に、針に沿って延びた支持部を有する請求項1記載の針/ハブ・アッセンブリ。
【請求項9】
前記針受入れチャンネルが前記キャップの内側からその外側への連続的流路を提供するものである請求項1記載の針/ハブ・アッセンブリ。
【請求項10】
ハウジングと;
該ハウジング内に配置され、少なくとも1つの開口部を有したカートリッジであり、後方終端がプランジャーにより刺入された薬剤を収容するカートリッジと;
蓄積エネルギー源を含み、該蓄積エネルギー源の解放によりプランジャーを駆動させてカートリッジ内を通過させるようにした作動アッセンブリと;
前記カートリッジ中の開口部と覆うように前記カートリッジの外側表面と係合するよう構成された係合部と、開口部を含むと共に内側表面および外側表面を画成する壁部を有する針支持部と、を有するキャップと;
前記壁部の開口部を通る針受入れチャンネルを画成すると共に、前記壁部の内側表面に沿って延びた部分を有する第1のハブ部と;
前記針受入れチャンネル内に装着され、該受入れチャンネルから外側に向って延出し、前記プランジャーがカートリッジを通るべく駆動されたとき、薬剤を吐出させるように構成された針と;
第1のハブ部と係合し、針の少なくとも一部を受入れると共に、補強構造部を有し、これを前記壁部の外側表面に沿って外側に向って延出させた第2のハブ部と;
を具備してなり;
前記キャップの針支持部の壁部が、その内側表面が第1のハブ部により補強され、その外側表面が第2のハブ部により補強されるようになっていることを特徴とする自動注射器。
【請求項11】
第1のハブ部と、第2のハブ部とが融着されている請求項10記載の自動注射器。
【請求項12】
第1のハブ部および第2のハブ部がプラスチック材料からなる請求項11記載の自動注射器。
【請求項13】
第1のハブ部および第2のハブ部が同一のプラスチック材料からなる請求項12記載の自動注射器。
【請求項14】
前記キャップが金属製である請求項10記載の自動注射器。
【請求項15】
前記キャップがアルミニウム製である請求項14記載の自動注射器。
【請求項16】
前記補強構造部が半径方向に延出した複数のリブである請求項10記載の自動注射器。
【請求項17】
第2のハブ部が更に、針に沿って延びた支持部を有する請求項10記載の自動注射器。
【請求項18】
前記針受入れチャンネルが前記キャップの内側からその外側への連続的流路を提供するものである請求項10記載の自動注射器。
【請求項19】
前記カートリッジが2つの薬剤区域を有する請求項10記載の自動注射器。
【請求項20】
前記薬剤区域の1つがウエット型薬剤成分を収容するよう構成され、他方の薬剤区域がドライ型薬剤区域を収容するよう構成されている請求項19記載の自動注射器。
【請求項21】
前記カートリッジ内の少なくとも1つの開口部が前記ドライ型薬剤区域内にある請求項20記載の自動注射器。
【請求項22】
針/ハブ・アッセンブリを作製する方法であって;
第1のハブ部を形成する工程と;
開口部を有するキャップを用意する工程と;
第1のハブ部を、その一部がキャップ内の開口部を通って延出するように配置させる工程と;
針を前記第1のハブ部により画成されたチャンネル内に配置させる工程と;
キャップの外側表面上に第2のハブ部を形成し、それにより、該第2のハブ部が前記第1のハブ部と係合し、前記キャップの外側表面の少なくとも一部上に延出するようにする工程と;
を含む方法。
【請求項23】
前記の第1のハブ部を形成する工程が、該第1のハブ部を射出成形することからなる請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記の第2のハブ部を形成する工程が、該第2のハブ部を射出成形することからなる請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記チャンネル内に針を挿入させた後、かつ、前記第2のハブ部を形成する前に、前記アッセンブリを、該第2のハブ部を画定するキャビティを有する第2の型へ移動させる工程を更に具備してなる請求項22記載の方法。
【請求項26】
第2のハブ部の形成の間に第1のハブ部の一部を溶融させ、それにより溶融区域が該第1のハブ部を該第2のハブ部に固定するように形成されている請求項22記載の方法。
【請求項27】
自動注射器を組立てる方法であって:
ドライ型薬剤区域内の開口部を使用して、ドライ型薬剤区域にドライ型薬剤成分を充填する工程と;
請求項22に記載の針/ハブ・アッセンブリを前記開口部上に配置させることにより、該ドライ型薬剤区域内の開口部を封止する工程と;
を具備してなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−528281(P2007−528281A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503057(P2007−503057)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/008208
【国際公開番号】WO2005/087297
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(506135453)メリディアン メディカル テクノロジーズ,インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】