自動演奏システム、該自動演奏システムに用いられる通信端末、ブロック及び演奏装置。
【課題】自動演奏操作のために要求されるユーザの作業内容をより複雑かつ多様にするとともに、この作業による自動演奏の内容に意外性を出すことでより趣向性高く自動演奏を行うことができる自動演奏システム等を提供する。
【解決手段】複数のスティック状ブロック210がユーザによって組み立てられてなる枠組み200であって、該枠組み200の組み立て形状を取得して該形状に応じた発音指示信号を生成し、通信手段を介して該信号を送信する通信機能を有する通信端末を備えたものと、該通信端末との通信手段を介した通信機能を備えるとともに音源を備え、該通信端末から発音指示信号を受信したときに該発音指示信号に応じた音高及び発音タイミングで演奏を行う演奏装置320と、を備えた自動演奏システム100である。
【解決手段】複数のスティック状ブロック210がユーザによって組み立てられてなる枠組み200であって、該枠組み200の組み立て形状を取得して該形状に応じた発音指示信号を生成し、通信手段を介して該信号を送信する通信機能を有する通信端末を備えたものと、該通信端末との通信手段を介した通信機能を備えるとともに音源を備え、該通信端末から発音指示信号を受信したときに該発音指示信号に応じた音高及び発音タイミングで演奏を行う演奏装置320と、を備えた自動演奏システム100である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザが組み立てた立体に応じた自動演奏を行うことができる自動演奏システム、該自動演奏システムに用いられる通信端末、ブロック及び演奏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、趣向性が高く自動演奏をすることができる自動演奏システムや自動演奏装置、自動演奏プログラムが提案されてきている。
【0003】
この中の1つとして、テノリオンと呼称されるアプリケーションが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。このアプリケーションを実行する携帯電話機やゲーム機等の演奏装置は、横軸でタイミング、縦軸で音高を表すように16×16の演奏操作子がマトリクス上に配列されている。該演奏操作子はスイッチ式であり、ユーザが該スイッチを押下することにより該演奏操作子の指定を受け付ける。
【0004】
そして、この演奏装置は、所定のタイミングで、左側の列から順に、仮想的なスクロールバーを移動させ、指定された演奏操作子上にスクロールバーが到来したときに、該指定された演奏操作子に対応する音高を発音する。これによって、ユーザはこの演奏装置を用いて簡単な作曲を行うことができ、かつ演奏装置でユーザの作曲した曲を自動演奏することができる。
【非特許文献1】“テノリオン”、[online]、ヤマハ、[平成18年2月21日検索]、インターネット〈URL:http://www.yamaha.co.jp/design/tenori-on/〉
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の演奏装置では、自動演奏のためのユーザの作業は演奏操作子を操作するだけの単純なものである。また、演奏操作子の操作による自動演奏内容はユーザの予想できる範囲内であり、演奏内容に意外性がなかった。
【0006】
上記課題を解決するために、自動演奏操作のために要求されるユーザの作業内容をより複雑かつ多様にするとともに、この作業による自動演奏の内容に意外性を出すことでより趣向性高く自動演奏を行うことができる自動演奏システム、該自動演奏システムに用いられる通信端末、コネクタ及びブロックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明では以下の手段を採用している。
【0008】
(1)本発明は、複数のブロックを組み立てて構成された立体であって、該立体の組み立て形状を取得して該形状に応じた発音指示信号を生成し、通信手段を介して該信号を送信する通信機能を有する通信端末を備えたものと、前記通信端末との前記通信手段を介した通信機能を備え、該通信端末から前記発音指示信号を受信したときに該発音指示信号に応じた音高及び発音タイミングで演奏を行う演奏装置と、を備えた自動演奏システムである。
【0009】
上述した本発明の構成によれば、ユーザが複数のブロックの組み立て作業を行うことによって立体が組み立てられる。該立体は通信機能を有する通信端末を備え、該通信端末によって立体の組み立て形状を取得して該形状に応じた発音指示信号が生成される。通信端末によって、発音指示信号が通信手段を介して演奏装置に送信される。演奏装置には通信を介して発音指示信号が入力される。発音指示信号が入力されたときに、演奏装置によって該発音指示信号に応じた音高及び発音タイミングで演奏が行われる。
【0010】
このようにして、自動演奏システムでは、ユーザの立体の組み立て方に応じた音高及び発音タイミングで自動演奏が行われる。また、組み立て形状によって自動演奏内容が変わるため、ユーザは組み立て作業による演奏内容を予想し難い。また、任意の内容で自動演奏を行うための立体の組み立て形状もユーザにとって判断し難い。この様にして、自動演奏操作のために要求されるユーザの作業内容をより複雑かつ多様にするとともに、この作業による自動演奏の内容に意外性を出すことが可能になる。これによって、より趣向性高く自動演奏を行うことが可能になる。
【0011】
(2)本発明は、上記自動演奏システムであって、前記立体は、前記複数のブロックがコネクタを介して接続されてなり、前記通信端末は、前記立体におけるコネクタの位置に応じた発音タイミングを示す発音指示信号を前記演奏装置に送信し、前記演奏装置は、該発音指示信号の示す発音タイミングで演奏を行う、ことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、立体におけるコネクタの位置に応じて発音タイミングが変更される。これによって、自動演奏のためには、コネクタの位置に考慮して立体を組み立てることがユーザに要求され、より多様でかつ複雑な作業が要求される。また、コネクタの位置によって発音タイミングが変わるため、ユーザは組み立て作業による演奏内容を予想し難い。また、任意の内容で自動演奏を行うためのコネクタの位置もユーザにとって判断し難い。これによって、より趣向性高く自動演奏を行うことが可能になる。
【0013】
(3)本発明は、上記自動演奏システムであって、前記立体は、操作子を備えた複数のコネクタを備え、該各コネクタを介して前記複数のブロックが組み合わされてなり、前記通信端末はコネクタ毎に設けられ、前記演奏装置及び他の通信端末との通信を行う通信部と、前記操作子の押下乃至は通信部による発音トークンの受信があったときに、前記通信部を用いて前記演奏装置に対して発音指示信号を送信し、同じブロックに接続された他のコネクタに対応する通信端末に対して所定のタイミングで発音トークンを送信する通信制御部と、を有し、前記演奏装置は、発音指示信号の入力があったときに発音を行う、ことを特徴とする。
【0014】
上述した本発明の構成によれば、前記立体は、操作子を有する複数のコネクタを備え、該各コネクタを介して前記複数のブロックが組み合わされてなる。また、通信端末はコネクタ毎に設けられる。該通信端末では、操作子の押下があったときに、制御部によって、通信部を用いて演奏装置に対して発音指示信号が送信される。これとともに、制御部によって、同じブロックに接続された他のコネクタに対応する通信端末に対して所定のタイミングで発音トークンが送信される。演奏装置によって、発音指示信号の入力があったときに発音が行われる。
【0015】
そして、上記コネクタと同じブロックに接続されたコネクタに対応する通信端末では、通信部によって発音トークンが受信される。該発音トークンが受信されたときに、制御部によって、通信部を用いて演奏装置に対して発音指示信号が送信される。これとともに、制御部によって、同じブロックに接続された他のコネクタに対応する通信端末に対して所定のタイミングで発音トークンが送信される。
【0016】
上述したように、1のコネクタの操作子が押下されたときに発音がなされる。そして、該コネクタと同じブロックに接続されるコネクタに所定のタイミングで発音トークンが送信され、該コネクタに発音トークンが入力されたときに発音がなされる。これによって、ブロックを介してコネクタ間で発音のリレーが行われるようにユーザに知覚させることが可能になり、趣向性高く立体の組み立て形状に応じて発音を行うことが可能になる。
【0017】
(4)本発明は、上記自動演奏システムであって、前記各コネクタは、接続角度が変更自在になるように前記ブロックを接続するための接続部を備え、前記通信端末は、対応するコネクタの接続部に接続された前記ブロックの接続角度を検出し、該接続角度に応じた発音指示信号を前記演奏装置に送信し、前記演奏装置は、該発音指示信号を受信したときに、前記接続角度に応じた音高で発音する、ことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、(3)に記載したようにコネクタ間で発音のリレーが行われる場合に、コネクタに対応する発音の音高が該コネクタへのブロックの接続角度に応じて変わる。これによって、ユーザは、コネクタへのブロックの接続角度を考慮して立体を組み立てる作業が要求され、より多様でかつ複雑な作業が要求される。また、コネクタの位置によって発音タイミングが変わるため、ユーザは組み立て作業による演奏内容を予想し難い。また、任意の内容で自動演奏を行うための各コネクタへのブロックの接続角度もユーザにとって判断し難い。これによって、より趣向性高く自動演奏を行うことが可能になる。
【0019】
(5)本発明は、上述した自動演奏システムに用いられる通信端末である。
【0020】
(6)本発明は、上述した自動演奏システムに用いられるブロックである。
【0021】
(7)本発明は、上述した自動演奏システムに用いられる演奏装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、組み立て形状によって自動演奏内容が変わるため、ユーザは組み立て作業による演奏内容を予想し難い。また、任意の内容で自動演奏を行うための立体の組み立て形状もユーザにとって判断し難い。これによって、自動演奏操作のために要求されるユーザの作業内容をより複雑かつ多様にするとともに、この作業による自動演奏の内容に意外性を出すことができる。このことにより、より趣向性高く自動演奏を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、図面を用いて本発明に係る自動演奏システムを詳細に説明する。
【0024】
〈自動演奏システム100の概略〉
図1は、本実施形態にかかる自動演奏システム100の斜視図である。自動演奏システム100は、複数のスティック状ブロック210が組み立てられてなる枠組み200(本願発明の立体に対応)と、この枠組み200の形状に応じた音声で自動演奏する演奏ユニット300を備える。
【0025】
枠組み200は、複数のスティック状ブロック210(以下スティック210)が直方体状のコネクタ220を介して互いに接続されることで、組み立てられてなる。各コネクタ220は演奏システム100に互いに通信可能に接続されている。該通信可能な構成については詳しくは後述する。
【0026】
また、コネクタ220は、その1面の端にタクトスイッチ221(以下スイッチ221)が設けられているとともに、その6面にスティック210との接続部222が形成されている。これによって、コネクタ220には最大6個のスティック210を接続することが可能になる。
【0027】
接続部222は、それぞれの接続面に対していずれの方向からでもスティック210を接続することができ、1つの接続部222に接続される1つまたは2つのスティック210により略0°〜180°の所定角で接続角度を調整できる。なお、このコネクタ220の構成については、詳しくは図2を用いて後述する。
【0028】
また、スティック210の長さは、全てが同一ではなく、様々な種類の寸法がある。上記によって、使用するスティック210の長さやスティック210とコネクタ220との接続角度を選択しながら、コネクタ220を介してブロックを組み合わせていくことが可能になっている。これによって、ユーザは任意の多様な組み立て形状で枠組み200を組み立てることができる。
【0029】
各スティック210は、透明乃至は半透明に形成され、内部に長手方向に沿って一列に複数の発光部211が配列されてなる発光部群211Aを備える。
【0030】
本自動演奏システム100は、枠組み200の組み立て形状に応じて自動演奏を行う処理(自動演奏処理)を実行する。本自動演奏処理では、スティック210を走路として各コネクタ220間を発音トークン(通知信号)のリレーが行われるようにユーザに知覚させるための処理が実行される。図1では、実線矢印の示すように発音トークンのリレーが行われ、全てのコネクタ220について発音トークンの入力が行われた後にも、点線矢印で示すようにリレーが行われる。
【0031】
以下に、自動演奏処理を概略的に説明する。自動演奏処理では、スイッチ221が押下されたコネクタ220がスティック210を介して他のコネクタ220に対して発音トークンを出力する。発音トークンが入力されたコネクタ220は演奏ユニット300に対して発音を指示する(発音指示信号を送信する)。これによって、演奏ユニット300が発音する。また、該コネクタ220は他のスティック210を介して他のコネクタ220に対して発音トークンを出力する。発音トークンが入力されたコネクタ220は演奏ユニット300に発音指示信号を送信する。これによって発音トークンの移動(リレー)を聴覚によってユーザに知覚させることができる。
【0032】
また、発音トークンの移動をユーザに視覚的に知覚させるため、自動演奏処理では、発音トークンとともに発光点Bを移動させる。具体的には、発光部群211Aの1の発光部211が順次点滅されることで、発光点Bが移動するようにユーザに知覚させることができる。
【0033】
なお、ユーザがスイッチ221を連続して複数回押下することで上記リレーの開始を指示した場合には、該複数個の発光点Bが所定の時間差で出力される。また、リレーが行われているときに、ユーザが1のコネクタ220のスイッチを押下すると、該コネクタ220で発光点Bのリレーが終了する。
【0034】
なお、タクトスイッチ221が押下されたときに、6つの接続部222のうちいずれに接続されたスティック210に発光点Bを出力するかということは予め設定されている。また、どの接続部222のスティック210から発光点Bが到来したらどの接続部222に発光点Bを出力するかということも予め設定されている。この設定については、詳しくは図3(A)を用いて後述する。
【0035】
上記によって本自動演奏システム100では、スティック210の長さが長くなるほど、該スティック210に接続された2つのコネクタ220間の発音タイミングが長くなる。
【0036】
なお、本自動演奏システム100では、コネクタ220が発光点Bを入力するスティック210と出力するスティック210との間の開き角度に応じて音高を決定することができる。また、予め決定した音高を開き角度に応じて上下させてもよい。
【0037】
なお、図1の手前の真中に位置するコネクタ220のように、発光点Bの走路となる2つのスティック210が一直線上に接続される場合(接続角度が180°)がある。このような直線接続の場合には、該コネクタ220に発光点Bが到来したときに発音はなされず、単に発音トークンを中継させるだけであってもよい。
【0038】
なお、2つのスティック210間の開き角度と、スティック210の長さについては詳しくは図3(B)〜(D)を用いて後述する。
【0039】
これによって、コネクタ220に接続するスティック210の長さの選択次第でユーザが発音タイミングを変えることができる。これとともに、上記2つのスティック210を接続する開き角度の選択によって音高をユーザが変えることができる。
【0040】
このため、ユーザが枠組み200を立体的に組み立てるという複雑かつ多様な作業を行うことで、作曲を行うことができる。また、この組み立てによる作曲内容(自動演奏)はユーザにとって予想しにくいものであり、ユーザに意外性のある内容で自動演奏を行うことができる。また、任意の演奏内容で作曲を行うための枠組み200の組み立て形状はユーザにとって判断しがたいものである。これによって、より趣向性高く自動演奏を行うことが可能になっている。
【0041】
自動演奏システム100では、各スティック210には通信線212及び電力線213(図5を参照)が内蔵される。そして、このうち1のスティック210(図1では最奥の左)は、端部に演奏ユニット300と接続するための通信及び電力供給ケーブル400が取り付けられた接続用スティック210Aである。接続用スティック210Aは、上述したように端部にコネクタ220が接続され、該コネクタ220を介して他のスティック210や他のコネクタ220とも接続される。
【0042】
上記によって、各コネクタ220に対して電力を供給するための電力網が形成される。これととともに各コネクタ220と演奏ユニット300との間の通信網M(図4を用いて後述)が形成され、該通信網Mを介して演奏ユニット300と各コネクタ220との間で通信を行うことができる。
【0043】
各コネクタ220と演奏ユニット300との間の通信ルートは複数種類の可能性があるが、本実施形態では自動演奏の前に各コネクタ220と演奏ユニット300との間の最短の通信ルートを探索して、探索した最短の通信ルートで通信を行うように設定する処理を実行する(通信ルートの構築処理)。該通信ルートの構築及び通信ルートの構築処理については詳しくは後述する。
【0044】
演奏ユニット300は、中継装置310と、演奏装置320とを有し、中継装置310及び通信網Mを介して演奏装置320と各コネクタ220との間で通信を行うことができるようになっている。具体的には、中継装置310はケーブル400を接続するための接続端子311が設けられ、これによって該ケーブル400と接続される。これとともに、中継装置310には演奏装置320との間で通信を行うための通信ケーブル500を接続するための接続端子312が設けられている。この接続端子312によって、中継装置310には該通信ケーブル500が接続される。
【0045】
中継装置310は、ケーブル400を介して入力した通信信号を演奏装置に通信ケーブル500を介して出力する。これとともに、中継装置310は演奏装置320から通信ケーブル500を介して入力した通信信号をケーブル400に出力する。この様にして、中継装置310は、各コネクタ220と演奏装置320との間の通信を中継する。
【0046】
また、中継装置310は、電源プラグ600Aを一端に備えた電源ケーブル600を接続し、この電源ケーブル600を介して電源コンセントから電力が供給され、ケーブル400を介して該電力を枠組み200(各コネクタ220)に供給する。更に、中継装置310は、図略のオーディオ装置へのLチャンネル、Rチャンネルの出力端子312Aを備え、これによって、オーディオ装置にオーディオ信号を出力することもできる。
【0047】
演奏装置320は、ケーブル500を接続するための接続端子321と音源326(図5を参照)を内蔵する。演奏装置320は、上述した自動演奏処理において、ケーブル500を介して入力したコネクタ220からの発音指示信号を入力したときに、該発音指示信号に基づいて演奏を行う。具体的には、演奏装置320は、発音指示信号を入力したときに、発音指示信号によって通知された開き角度に応じた音高の発音を行う処理を実行する。これによって、演奏装置320は、枠組みの形状に基づいて自動演奏を行うことができる。
【0048】
なお、演奏ユニット300の構成、子機側及び親機側の自動演奏処理については詳しくは図5、図9〜図11を用いて後述する。
【0049】
演奏装置320は、スピーカSP(図5を参照)を内蔵し、このスピーカSPによって演奏音を出力する。
【0050】
また、演奏装置320は、操作部322を上面に備える。演奏装置320は、操作部322で音量ボリューム設定の変更を指示する操作をユーザから受け付けたときに、該指示に従った音量ボリューム設定に変更する。これによって、自動演奏での音量をユーザの任意のものに変更することができる。
【0051】
なお、演奏装置320には電源プラグ700Aが一端に取り付けられた電源ケーブル700が接続され、該電源ケーブル700を介して電源コンセントから演奏装置320に電力が供給される。
【0052】
〈コネクタ220の構成〉
図2(A)は、コネクタ220の斜視図であり、(B)はスティック210の両端にコネクタ220を接続する方法を説明するための図である。同図(A)で示すように、コネクタ220は、略直方体状の装置本体220aの上面、底面、側面の計6面に接続部222が形成されている。各接続部222は、円状の凹部である。同図(B)で示すように、接続部222に円柱状のスティック210の端部が挿入されることで、スティック210をコネクタ220に接続することができるようになっている。
【0053】
各接続部222は、前述のように、それぞれの接続面に対していずれの方向からでもスティック210を接続することができ、1つの接続部222に接続される1つまたは2つのスティック210により略0°〜180°の所定角で接続角度を調整できる。
【0054】
コネクタ220の上面の角部近傍には、スイッチ221が配設されている。また、コネクタ220の内部には、図5を用いて後述する通信端末1が内蔵されている。この通信端末1と各接続部222は電気的に接続されており、通信端末1は各接続部222を介してスティック210に配された通信線212及び電力線213(図5を参照)と電気的に接続されている。
【0055】
〈発音トークンを出力する接続部222の決定〉
図3(A)は、発音トークンの入力接続部222と出力接続部222との対応関係、及びスイッチ221の押下と発音トークンの出力接続部222との対応関係を説明するための図である。
【0056】
同図において、スイッチ221がある面側を上、該面に対向する面側を下と記載する。また、側面のうち、同図手前の左面側を前、該面に対向する面側を後と記載する。また、同図手前の右側面側を右、該面に対向する面側を左と記載する。
【0057】
本実施形態では、上述したように、スイッチ221が押下された場合、及び接続部222に発音トークンが入力された場合に、何れか1の接続部222に発音トークンが出力される。
【0058】
ここでは、スイッチ221の押下という条件に対応付けて、6つの接続部222の間で優先度が付与されている。また、特定の接続部222に発音トークンが入力されたという条件に対応付けて、他の5つの接続部222の間で優先度が付与されている。なお、この優先度の付与は、6つの接続部222がそれぞれ特定の接続部222となる条件毎に行われている。
【0059】
そして、コネクタ220は、上記各条件に対応する優先度にしたがって、スティック210が接続されている接続部222の中で最も優先度の高い接続部222を各条件毎に決定する。そして、上述した条件のうち何れか1が発生した場合に、コネクタ220は該決定した1の接続部222から発音トークンを出力する。
【0060】
以下に、全ての接続部222にスティック210が接続されている場合において、上記条件に対応して決定された接続部222の一例を説明する。
【0061】
白抜矢印A1で示すように、スイッチ221が押下されたときには、左側面側の接続部222(第1接続部222A)に接続されたスティック210が最も優先度が高い。このため、第1接続部222Aは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。また、矢印A2で示すように、上面側の接続部222(第2接続部222B)に発音トークンが入力される場合にも、第1接続部222Aが最も優先度が高い。このため、該第1接続部222Aは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。
【0062】
矢印A3で示すように、第1接続部222Aに発音トークンが入力される場合には、前側面側の接続部222(第3接続部222C)に接続されたスティック210が最も優先度が高い。このため、第3接続部222Cは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。また、矢印A4で示すように、第3接続部222Cに発音トークンが入力される場合には、第2接続部222Bが最も優先度が高い。このため、第2接続部222Bは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。
【0063】
また、下面側の接続部222(第4接続部222D)に発音トークンが入力される場合には、矢印A5で示すように、右側面側の接続部222(第5接続部222E)が最も優先度が高い。このため、第5接続部222Eは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。第5接続部222Eに発音トークンが入力される場合には、矢印A6で示すように、後側面側の接続部222(第6接続部222F)が最も優先度が高い。このため、第6接続部222Fは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。
【0064】
第6接続部222Fに発音トークンが入力される場合には、矢印A7で示すように、第4接続部222Dが最も優先度が高い。このため、第4接続部222Dは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。
【0065】
〈接続部222とスティック210との接続〉
図3(B)は、長さの異なるスティック210が接続された状態のコネクタ220を示す。接続部222とスティック210の通信線212は電気的に接続される。該スティック210はスティック長さを記憶しているレジスタ(図略)を内蔵し、接続部222の通信端末1(図5を参照)は通信線212を介してレジスタから該スティック長さを取得する。
【0066】
通信端末1は、取得したスティック210の長さに応じて、該スティック210の発光部群211Aの発光を制御する。
【0067】
発音トークンが入力されたコネクタ220は、該スティック210の長さに応じたタイミングで、該スティック210の(自機の)他端に接続されたコネクタ220に発音トークンを出力する。該発音トークンを入力されたコネクタ220は演奏ユニット300に発音指示信号を送信し、これによって、該タイミングで演奏ユニット300によって発音が行われる。
【0068】
また、上述したように、接続部222へのスティック210の接続角度は変更することができる。各接続部222には公知の角度センサ(図略)が取り付けられ、通信端末1は該角度センサ(図略)からの信号に基づいてスティック210の接続角度(傾き角度及び傾いている方角)を検出することができる。通信端末1は、検出した接続角度を用いて、発音トークンを入力するスティック210と発音トークンを出力するスティック210との間の開き角度を算出する。
【0069】
上述したように、2つのスティック間の開き角度に応じて、演奏装置320による発音の音高を決定又は変更することができる。通信端末1は、算出した開き角度を示す発音指示信号を生成して演奏装置320に送信することで、演奏装置320の発音の音高を制御する。これによって、2つのスティック210の開き角度を変更することで、ユーザが音高を変更することができる。本実施形態では、開き角度が小さい程音高が高くなるようになっている。例えば、同図(C)で示す開き角度45°は同図(D)で示す開き角度90°よりも音高が高くなっている。
【0070】
〈通信ルートの構築〉
図4は、自動演奏システム100が構築した通信ルートの一例を示す図である。図1を参照して説明したように、各コネクタ220と演奏ユニット300とは、他のコネクタ220やスティック210を通信路として通信を行う。このため、1のコネクタ220と演奏ユニット300の通信ルートとして複数種類の可能性が生じる場合がある。
【0071】
例えば、図1では、同図における最も左に配置されているコネクタ220の通信ルートは、図4(A)の点線矢印で示す通信ルートと、実線矢印で示す通信ルートの2通りある。本実施形態では、自動演奏システム100は、自動演奏前に後述する通信ルート構築処理を実行することによって、演奏ユニット300と各コネクタ220との間の最短の通信ルート(経由するコネクタ220の数が少ない通信ルート)を探索する。
【0072】
自動演奏システム100は、探索した通信ルートで各コネクタ220は演奏ユニット300に発音指示信号を送信する。上記例では、点線矢印は実線矢印よりも最短ルートであるため、同図における最も左に配置されているコネクタ220の通信ルートは、点線矢印で示すルートで構築される。図4(B)は図1及び図4(A)で示す枠組み200における各コネクタ220と演奏ユニット300との間に構築された通信ルートを示す。
【0073】
構築された通信ルートは各コネクタ220(図5で示す通信端末1)に記憶される。すなわち、各通信端末1は該通信ルートに基づいて発音指示信号を出力すべき接続部222を通信ルート情報D1(図6(A)を用いて後述)として記憶する。そして、発音指示信号を入力したときに、各通信端末1は通信ルート情報D1の示す接続部222に該発音指示信号を入力する。これによって、該接続部222に接続されたスティック210に発音指示信号を入力することができ、該スティック210の他端に接続されたコネクタ220に発音指示信号を転送することができる。
【0074】
上述のようにして、通信ルートにおける各コネクタ220間で演奏ユニット300まで発音指示信号を転送していくことで、構築された通信ルートで各コネクタ220は演奏ユニット300に発音指示信号を送信することができる。
【0075】
<自動演奏システム100の構成>
図5は、図1に示す演奏システム100の電気的構成を示すブロック図である。演奏システム100は上述したように枠組み200と、演奏ユニット300を有する。
【0076】
以下に、枠組み200の構成を説明する。枠組み200は、上述したようにスティック210とコネクタ220とを備える。同図では、接続用スティック210A(図1を参照)と、該接続用スティック210Aに接続されたコネクタ220の構成を示している。
【0077】
コネクタ220は、上述したスイッチ221と、6つの接続部222(第1〜第6接続部222A〜222F)の他に、内部に該スイッチ221及び各接続部222に電気的に接続された通信端末1を備える。
【0078】
通信端末1は、例えばマイクロコンピュータやコネクタ220の筐体等で実現される。通信端末1は、CPU等で実現される処理部2と、メモリ等で実現される記憶部3と、通信インタフェース4を備える。 処理部2は、記憶しているプログラムを実行することで角度検出部21、スティック長検出部22、操作処理部23、タイマ24、通信制御部25、発音トークン生成部26、発音指示信号生成部27及び発光制御部28を備える。
【0079】
記憶部3は、例えばRAMやROM等のメモリで実現される。記憶部3は、自端末ID記憶部31、通信ルート記憶部32、送信タイミング記憶部33、発光制御情報記憶部34、角度・スティック長記憶部35及び送信ルート記憶部36を機能的に備える。
【0080】
自端末ID記憶部31は、自機の端末IDを記憶する領域である。端末IDとは、例えばIPアドレス等であり、各コネクタ220、中継装置310及び演奏装置320に付与されている固有の識別情報である。
【0081】
通信ルート記憶部32は、図6(A)で示すような通信ルート情報D1を記憶する領域である。通信ルート情報D1は、演奏ユニット300と自機との間の通信において経由するコネクタ220の端末IDを経由する順番に含むことで、演奏ユニット300との間の通信ルートを示す。また、通信ルート情報D1は、該通信ルートで通信を行うために用いる接続部222の接続部IDを含む。接続部IDは、第1〜第6接続部222A〜222Fに付与された各部222に固有の識別情報である。
【0082】
送信タイミング記憶部33は、図6(B)で示すような送信タイミングテーブルT1を記憶する領域である。送信タイミングテーブルT1は、スティック210の長さと該長さに対応する発音トークンの送信タイミングとを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。なお、送信タイミングは、スイッチ221から操作信号乃至は他のコネクタ220から発音トークンが入力されてからの経過時間で示される。
【0083】
発光制御情報記憶部34は、図6(C)で示すような発光タイミングテーブルT2を記憶する領域である。発光タイミングテーブルT2は、スティック210の長さと、該長さに対応するスティック210に配列された各発光部211の発光タイミングを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。該発光タイミングとは、スイッチ221から操作信号乃至は他のコネクタ220から発音トークンが入力されてからの経過時間で示される。
【0084】
角度・スティック長記憶部35は、図6(D)で示すようなスティック長さテーブルT3と図6(E)で示すような開き角度テーブルT4とを記憶する領域である。スティック長さテーブルT3は、接続部IDと該接続部IDに対応するスティック210の長さを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。
【0085】
開き角度テーブルT4は、入力接続部ID及び出力接続部IDと、開き角度情報とを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。入力接続部IDは、発音トークンを入力する接続部222の接続部IDである。出力接続部IDは、発音トークンを出力する接続部222の接続部IDである。開き角度情報とは、入力接続部IDで示す接続部222に接続されたスティック210と出力接続部IDで示す接続部222に接続されたスティック210との間の開き角度(0〜180°まで)を示す情報である。
【0086】
送信ルート記憶部36は、図3(A)を用いて説明したような、
スイッチ221の押下という条件に対応する、6つの接続部222の間での優先度を示す情報(第1優先度情報)を記憶する領域である。また、送信ルート記憶部36は、図3(A)を用いて説明したような、特定の接続部222に発音トークンが入力されたという条件に対応付する、他の5つの接続部222の間での優先度を示す情報(第2優先度情報)を記憶する領域である。該情報は、第1〜第6接続部222A〜222Fがそれぞれ特定の接続部222になった条件毎の優先度を示す。
【0087】
上述したように、スティック210が接続されている接続部222の中で第1及び第2優先度情報の示す最も優先度の高い接続部222が、発音トークンを出力する接続部222として決定される。
【0088】
更に、送信ルート記憶部36は、図6(F)で示すような出力接続部テーブルT5を記憶する。出力接続部テーブルT5は、上述したように第1及び第2優先度情報を用いて決定した接続部222の接続部IDを上述した条件(特定の接続部222に発音トークンが入力されたという条件、スイッチ221の押下という条件)に対応付けて登録する。例えば、特定の接続部222に発音トークンが入力されたという条件は入力接続部IDとして示され、スイッチ221の押下という条件はスイッチ221の押下を示す識別子として登録される。
【0089】
通信インタフェース4は、第1〜第6接続部222A〜222Fと電気的に接続され、これによってスティック210の通信線212に該接続部222を介して接続されている。これによって、通信インタフェース4は、他のコネクタ220や演奏ユニット300との間でスティック210や他のコネクタ220を介して通信を行うことができる。
【0090】
角度検出部21はスティック210が第1〜第6接続部222A〜222Fに電気的に接続されたとき、スティック210が内蔵するレジスタからスティック210の長さを示す情報が入力される。
【0091】
角度検出部21は、該情報が入力された接続部222にはスティック210が接続されていると判断する。角度検出部21は、電力の供給開始時に出力接続部テーブルT5の登録内容を削除する。角度検出部21は、スティック210が接続されている接続部222について、各条件(スイッチ221の押下、特定の接続部222への発音トークンの入力)に対応付けて発音トークンを出力する接続部222を決定する。この決定は、送信ルート記憶部36に記憶されている優先度情報を用いて行われる。角度検出部21は、決定した接続部222の接続部IDを各条件に対応付けて該テーブルT5に登録させる。
【0092】
また、角度検出部21は、電力の供給開始時に、開き角度テーブルT4の登録内容を削除する。角度検出部21は、第1〜第6接続部222A〜222Fの角度センサ(図略)に電気的に接続されており、該角度センサ(図略)からスティック210の接続角度を示す信号が入力される。
【0093】
角度検出部21は、該信号を用いて、出力接続部テーブルT5に対応付けて登録されている入力接続部IDと出力接続部IDとで示される2つのスティック210の開き角度を算出する。角度検出部21は、算出した開き角度を示す開き角度情報を入力接続部ID及び出力接続部IDと対応付けて開き角度テーブルT4に登録する。
【0094】
角度検出部21は、所定時間間隔毎にスティック210のレジスタ(図略)にアクセスできるかを検知して、これによって各接続部222へのスティック210の接続状態に変更がないかを判断する。角度検出部21はスティック210の接続状態に変更があったと判断した場合に、変更後の接続状態で出力接続部テーブルT5の登録内容を更新する。これとともに、角度検出部21は、該更新にかかる部分の開き角度情報を生成して、生成した開き角度情報で開き角度テーブルT4の登録内容を更新する。
【0095】
スティック長検出部22は、電力の供給開始時に、スティック長さテーブルT3の登録内容を削除する。また、スティック長検出部22は、各接続部222を介してスティック210に電気的に接続され、スティック210に内蔵されるレジスタからスティック210の長さを示す情報を入力する。これによって、スティック長検出部22は接続部222に接続されたスティック210の長さを取得することができる。
【0096】
スティック長検出部22は、取得した長さを該スティック210が接続された接続部222の接続部IDと対応付けてスティック長さテーブルT3に登録する。
【0097】
操作処理部23は、スイッチ221から該スイッチ221の押下で発生した操作信号を入力する。操作処理部23は、操作信号を入力したときに、該入力を通信制御部25に通知する。
【0098】
通信制御部25は、通信インタフェース4を用いての通信を制御する。また、通信制御部25は、図7を用いて後述する通信ルート構築処理(子側通信ルート構築処理)を実行することで上記通信ルート情報D1を生成して通信ルート記憶部32に記憶させる。
【0099】
また、通信制御部25は、後述する子機側自動演奏処理を実行する。子機側自動演奏処理では、通信制御部25は、スイッチ221から操作信号が入力されるとともに、通信インタフェース4から発音トークンが入力される。通信制御部25は、操作信号乃至は発音トークンの入力があったときに、発音指示信号生成部27に発音指示信号を生成させて、通信インタフェース4を介して該発音指示信号を演奏装置320に送信する。ここで、通信制御部25は、通信ルート記憶部32の示す接続部222に発音指示信号を入力する。
【0100】
また、子機側自動演奏処理では、通信制御部25は発音トークンが入力された接続部222の接続部ID(入力接続部ID)やスイッチ221の押下という条件で出力接続部テーブルT5を検索する。これによって取得した出力接続部IDによって、通信制御部25は発音トークンを出力する接続部222を取得することができる。
【0101】
通信制御部25は、取得した出力接続部IDでスティック長さテーブルT3を参照することで出力接続部IDの接続部222に接続されたスティック210の長さを取得することができる。
【0102】
通信制御部25は取得した長さで発光制御情報記憶部34に記憶されている発光タイミングテーブルT2を検索する。これによって、通信制御部25は、接続されたスティック210に配列された各発光部211の発光タイミングを取得することができる。通信制御部25は、発光制御部28に該発光タイミングで各発光部211を発光させるように指示する。
【0103】
また、通信制御部25は発音トークン生成部26に発音トークンの生成を指示する。通信制御部25は、スティック長さテーブルT3から取得した長さで送信タイミングテーブルT1を検索する。これによって取得した送信タイミングで、通信制御部25は、生成された発音トークンを出力接続部テーブルT5から取得した出力接続部IDの示す接続部222に入力する。
【0104】
発音トークン生成部26は、通信制御部25から発音トークンの生成指示があったときに発音トークンを生成して通信制御部25に入力する。
【0105】
発音指示信号生成部27は、通信制御部25から発音指示信号の生成の指示があったときに、入力接続部IDと出力接続部IDとで開き角度テーブルT4を参照する。これによって、発音指示信号生成部27は開き角度情報を取得し、該情報を含めた発音指示信号を生成して通信制御部25に入力する。発音指示信号は例えばMIDI(Musical Instruments Digital Interface)規格に基づいて記述された信号である。
【0106】
発光制御部28は、各接続部222に電気的に接続され、これによって、接続部222に接続されたスティック210の発光部211に接続部222を介して電気的に接続される。発光制御部28は、通信制御部25の指示に従って接続されている発光部211の発光を制御する。
【0107】
以下に、演奏ユニット300を説明する。演奏ユニット300は上述したように中継装置310と演奏装置320とで構成される。
【0108】
中継装置310は、第1通信インタフェース313、第2通信インタフェース314及び記憶部315が制御部316に接続されて構成される。
【0109】
第1通信インタフェース313は、接続用スティック210Aから延びるケーブル400に接続端子311を介して接続される。第1通信インタフェース313は、接続端子311を介して入力したコネクタ220からの発音指示信号を制御部316に入力する。これとともに、第1通信インタフェース313は、制御部316から入力した演奏装置320からの通信信号を接続端子311に対して出力する。
【0110】
ここで、ケーブル400には通信線の他に電力線が内蔵されている。接続端子311を介して該電力線にコネクタ220に供給するための電力が出力される。
【0111】
第2通信インタフェース314は、演奏装置320に接続されたケーブル500に接続端子312を介して接続される。第2通信インタフェース314は、接続端子312を介して入力した演奏装置320からの通信信号を制御部316に入力する。これとともに、第2通信インタフェース314は、制御部316から入力したコネクタ220からの発音指示信号を接続端子312に対して出力する。
【0112】
記憶部315は、例えばRAMやROM等のメモリやハードディスクで実現され、所定のプログラムを記憶するとともに、制御部316の作業領域としても機能する。
【0113】
演奏装置320は、上記スピーカSP及び操作部322を有するとともに、制御部323、記憶部324、通信インタフェース325、音源326、音声信号処理部327及びD/Aコンバータ328を有する。制御部323と、操作部322、記憶部324、通信インタフェース325、音源326、音声信号処理部327及びD/Aコンバータ328は図略のバスで接続されている。
【0114】
記憶部324は、例えばRAM、ROM等のメモリやハードディスク等で実現される。記憶部324は、図6(G)で示す音高テーブルT6を記憶するテーブル記憶領域324aを機能的に有する。音高テーブルT6は、開き角度情報と該開き角度情報に対応する音高とを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。
【0115】
通信インタフェース325は、ケーブル500に接続端子321を介して接続されており、該ケーブル500を介して中継装置310との間で通信を行う。ここで、通信インタフェース325は、中継装置310から発音指示信号を入力したときに制御部323(後述の通信制御部323A)に入力する。
【0116】
音源326は、例えばMIDI音源であり、所定の音色及び音高でデジタル音声信号を生成し、D/Aコンバータ328に入力するものである。音源326は、制御部323(後述の演奏制御部323B)から発音指示があったときに、該制御部323に通知された音高で発音を行う。
【0117】
音声信号処理部327は、例えばDSP等で実現され、音源326で発音した音声信号に対してレベル調整や周波数調整等の所定の音声信号処理を施してD/Aコンバータ328に出力する。音声信号処理部327の音声信号処理は制御部323(後述の演奏制御部323B)によって制御される。
【0118】
D/Aコンバータ328は、音声信号処理部327から入力されたデジタルの音声信号をアナログに変換してスピーカSPに入力する。
【0119】
制御部323は、例えばCPU等で実現され、プログラムを実行することで通信制御部323Aと演奏制御部323Bとを機能的に備える。制御部323は、これらの機能部によって後述の親機側自動演奏処理を実行する。親機側自動演奏処理では、通信制御部323Aは、通信インタフェース325の通信を制御する。通信制御部323Aは通信インタフェース325から入力された発音指示信号を演奏制御部323Bに出力する。
【0120】
親機側自動演奏処理では、演奏制御部323Bは、発音指示信号が入力されたときに、発音指示信号に含まれる開き角度情報を取得する。演奏制御部323Bは、該開き角度情報で音高テーブルT6を参照する。これによって、演奏制御部323Bは開き角度情報に対応する音高を取得し、取得した音高で発音するように音源326に指示する。
【0121】
また、演奏制御部323Bは、操作部322から操作信号が入力され、該操作信号に基づいて音声信号処理部327の音声信号処理のための制御値を変更する。例えば、ボリュームの変更を指示するための操作信号が入力された場合に、演奏制御部323Bは音声信号処理部327のレベル制御値を該変更の指示に従って変更する。
【0122】
〈自動演奏システム100の実行する処理〉
図7は、自動演奏システム100が実行する通信ルート構築処理を示すフローチャートである。演奏ユニット300が実行する通信ルート構築処理が親側ルート構築処理である。コネクタ220が実行する通信ルート構築処理が子側ルート構築処理である。
【0123】
まず、親側ルート構築処理では、操作部322を用いてユーザがルート構築処理の実行開始を指示すると、演奏ユニット300がメッセージ信号を生成して接続用スティック210Aに出力する(S1)。具体的には、該通信ルート構築処理の実行開始の指示を示す操作信号が操作部322から通信制御部323Aに入力される。通信制御部323Aは、該操作信号を入力したときに、自機の端末IDを記憶部324から読み出して、該端末IDを含むメッセージ信号を生成して通信インタフェース325を介して中継装置310に出力する。中継装置310では、制御部316が第2通信インタフェース314を介してメッセージ信号を入力する。制御部316は、自機の端末IDを記憶部315から読み出してメッセージ信号に含めて第1通信インタフェース313を介して接続用スティック210Aにメッセージ信号を入力する。この後、親側ルート構築処理は終了される。
【0124】
上記処理によって、接続用スティック210Aに接続されたコネクタ220にはメッセージ信号が入力される。
【0125】
次に子側ルート構築処理について説明する。コネクタ220は電力の供給が開始されると、通信制御部25がメッセージ信号を入力したかどうかをYESと判断するまで所定時間間隔毎に繰り返し判断する(S2)。メッセージ信号を入力したと判断した場合には(S2でYES)、通信制御部25はルート構築時間の計時開始済みがどうかを判断する(S3)。ルート構築時間の計時開始済みではないと判断した場合には(S3でNO)、通信制御部25はタイマ24を作動させてルート構築時間のカウントを開始させる(S4)。この後、通信制御部25は後述のステップS5を実行させる。
【0126】
ルート構築時間の計時開始済みだと判断した場合には(S3でYES)、通信制御部25は、メッセージ信号の通信ルートが通信ルート情報D1の示す通信ルートと比較して短いかどうかを判断する(S5)。図8で示すように、メッセージ信号には後述のステップS8が実行されることで、経由してきたコネクタ220の端末IDが経由してきた順番に含められている。したがって、メッセージ信号に付与された端末ID及び端末IDの順番を参照することで、通信制御部25はメッセージ信号の通信ルートを取得することができる。
【0127】
最初のメッセージ信号が入力されたときには、通信ルート記憶部32には通信ルート情報D1が記憶されていない。このため、通信制御部25は入力したメッセージ信号の示す通信ルートで通信ルート情報D1を生成して通信ルート記憶部32に記憶させる。図6(A)で示すように、通信ルート情報D1は、メッセージ信号に含まれている端末IDに該メッセージ信号を入力した接続部222の接続部IDが付与されることで生成される。
【0128】
2回目以降のメッセージ信号の入力からは、通信制御部25は通信ルート情報を含む端末IDとメッセージ信号に含まれる端末IDの個数を比較して、個数が少ない方が短い通信ルートであると判断する。
【0129】
メッセージ信号の示す通信ルートが通信ルート情報の示す通信ルートと比較して長いと判断した場合には(S5でNO)、通信制御部25は、メッセージ信号を破棄して(S6)、後述のステップS9を実行する。一方、メッセージ信号の通信ルートが通信ルート情報の示す通信ルートと比較して短いと判断した場合には(S5でYES)、通信制御部25は、メッセージ信号に付加されている端末IDに、該メッセージ信号を入力した接続部222の接続部IDを付加して通信ルート情報D1を生成する。
【0130】
この後、通信制御部25は生成した通信ルート情報D1で通信ルート記憶部32を更新する(S7)。通信制御部25は、自端末ID記憶部3から端末IDを読み出してメッセージ信号に含める。通信制御部25は、スティック210が接続されている全部の接続部222に該メッセージ信号を出力する(S8)。もっとも、通信制御部25はステップS2でメッセージ信号を入力した接続部222には出力しない。
【0131】
この後、通信制御部25は、タイマ24を参照してルート構築時間が経過したかどうかを判断する(S9)。ルート構築時間が経過していないと判断した場合には(S9でNO)、通信制御部25は本処理をステップS2に戻す。一方、ルート構築時間が経過したと判断した場合には(S9でYES)、通信制御部25はタイマ24を停止させて本処理を終了させる。
【0132】
上述したように、枠組み200を形成し、演奏ユニット300と枠組み200とをケーブル400を介して接続した後に、上記通信ルート構築処理を実行させることで、各コネクタ220と演奏装置320との間の最短の通信ルートを構築することができる。
【0133】
次に図9〜図11を用いて自動演奏処理を説明する。コネクタ220の実行する自動演奏処理が子側演奏処理である。また、演奏ユニット300が実行する自動演奏処理が親側演奏処理である。
【0134】
図9及び図10(A)は、第1の子側演奏処理を示すフローチャート(その1及びその2)である。まず、通信制御部25は操作処理部23からスイッチ221の押下による操作信号の入力が通知されたか、及び通信インタフェース4から発音トークンが入力されたかを、いずれかの信号が入力されたと判断するまで所定時間間隔毎に繰り返し判断する(S11)。
【0135】
操作信号及び発音トークンのうちいずれか1の信号が入力されたと判断した場合には(S11でYES)、通信制御部25はタイマ24を作動させる(S12)。通信制御部25は、送信ルート記憶部36に記憶されている出力接続部テーブルT5を用いて上述したように発音トークンを出力する接続部222を取得する(S13)。
【0136】
この後、通信制御部25は、角度・スティック長記憶部35の長さテーブルT3を参照して、ステップS13で決定した接続部222に接続されているスティック210の長さを取得する。これとともに、通信制御部25は、開き角度テーブルT4を参照して、ステップS13で決定した接続部222の接続部IDと発音トークンが入力された接続部222の接続部IDとで、これら2つの接続部222に接続されている2つのスティック210の開き角度を取得する(S14)。
【0137】
通信制御部25は、取得した開き角度が180°であるかどうかを判断する(S15)。取得した開き角度が180°ではない場合には(S15でNO)、通信制御部25は発音指示信号生成部27に開き角度を通知して、発音指示信号を生成させる(S16)。
【0138】
発音指示信号生成部27は、通知された開き角度を示す情報と操作信号乃至は発音トークンの入力回数を示す情報を含む発音指示信号(ノートオンデータ)を生成して、該信号に演奏装置320の端末IDを送信先の端末IDとして含めて通信制御部25に出力する。
【0139】
通信制御部25は、発音指示信号を入力したときに、通信ルート記憶部32を参照して、通信ルート情報の示す接続部222を取得する(S17)。通信制御部25は、取得した接続部222に発音指示信号を出力する(S18)。ここで、所定時間以内に入力された操作信号乃至は発音トークンの入力回数(スイッチ221の押下回数)が複数ある場合には、通信制御部25は所定時間間隔をおいて該複数回、発音指示信号を接続部222に出力する。この後、通信制御部25は後述のステップS19を実行する。
【0140】
取得した開き角度が180°である場合には(S15でNO)、通信制御部25は、ステップS14で取得したスティック210の長さで発光タイミングテーブルT2を参照して、スティック210の各発光部211の発光タイミングを取得する。
【0141】
通信制御部25は、取得した発光タイミング及び所定時間以内の操作信号乃至は発音トークンの入力回数を発光制御部28に通知して、発光開始を指示する(S19)。発光制御部28は、該指示があったときに、通知された発光タイミングで、ステップS13で取得した接続部222に接続されるスティック210の各発光部211を発光させる。ここで、発光制御部28は、通知された操作信号乃至は発音トークンの入力回数だけ発光点Bを出力する。
【0142】
通信制御部25は、発音トークン生成部26に発音トークンを生成させるとともに、ステップS14で取得したスティック210の長さから発音トークンの出力タイミングを取得する(S20)。具体的には、発音トークン生成部26は、送信タイミングテーブルT1をスティック210の長さで検索することで、発音トークンの出力タイミング(タイマ24の計時時間長)を取得する。
【0143】
発音トークン生成部26は、タイマ24の示す計時時間長がステップS20で取得した時間長さになったかをYESと判断するまで所定時間間隔毎に繰り返し判断する(S21)。タイマ24の示す計時時間長がステップS20で取得した時間長さになったと判断した場合には(S21でYES)、発音トークン生成部26は、タイマ24を停止させて、発音トークンを通信制御部25に出力する。通信制御部25は通信インタフェース4を介してステップS13で決定した接続部222に発音トークンを出力する(S22)。ここで、通信制御部25は、操作信号乃至は発音トークンがステップS11で所定時間以内に複数回入力されたときには、所定時間間隔を開けて発音トークンを該複数回接続部222に出力する。
通信制御部25はこの後本処理をステップS11に戻す。
【0144】
図10(B)は、第2の子側演奏処理を示すフローチャートである。第2の子側演奏処理は第1の子側演奏処理とマルチタスクで実行される。通信制御部25は、発音指示信号を入力したかどうかを入力したと判断するまで所定時間間隔毎に繰り返し判断する(S31)。発音指示信号を入力したと判断した場合には(S31でYES)、通信制御部25は、通信ルート情報D1の示す接続部IDを取得する(S32)。この後、通信制御部25は、取得した接続部IDに対応する接続部222に発音指示信号を出力する(S33)。
【0145】
上記第2の子側演奏処理によって、発音指示信号の送信元のコネクタ220と演奏ユニット300までの通信経路にあるコネクタ220によって発音指示信号を演奏ユニット300まで中継することができる。
【0146】
図11は、親側演奏処理を示すフローチャートである。親側演奏処理は、演奏装置320がメッセージ信号の送信後に実行する。通信制御部323Aは発音指示信号が入力されたかどうかを入力されたと判断するまで繰り返し判断する(S41)。発音指示信号が入力されたと判断した場合には(S41でYES)、通信制御部323Aは演奏制御部323Bに発音指示信号に対応する音高を取得させる(S42)。具体的には、演奏制御部323Bは、発音指示信号に含まれる開き角度情報で音高テーブルT6を参照することで開き角度に対応する音高を取得する。
【0147】
演奏制御部323Bは、取得した音高で発音するように音源326に指示する(S43)。この後、演奏制御部323Bは本処理をステップS41に戻す。
【0148】
上述したように、本実施形態にかかる演奏システム100では、枠組み200の組み立て形状に応じた発音で自動演奏を行うことができる。すなわち、コネクタ220の配置位置で発音タイミングが変わる。また、コネクタ220とスティック210との接続角度(発音トークンが入力されるスティック210と発音トークンを出力するスティック210との間の開き角度)で音高が変わる。
【0149】
このため、枠組み200の形状、すなわち、各コネクタ220の配置位置や各コネクタ220とスティック210との開き角度に対応する演奏内容がどのようになるかもユーザにとって判断し難い。また、任意の演奏内容を自動演奏させるための枠組み200の形状、すなわち、各コネクタ220の配置位置や各コネクタ220とスティック210との開き角度はユーザにとって容易に判断し難い。
【0150】
上述から、自動演奏操作のために要求されるユーザの作業内容をより複雑かつ多様にするとともに、この作業による自動演奏の内容に意外性を出すことができる。これによって、より趣向性高く自動演奏を行うことができる。
【0151】
本実施形態は、以下の変形例を採用することができる。
【0152】
(1)本実施形態では、コネクタ220が通信端末1を内蔵するが、コネクタ220の外部に通信端末1が接続される構成であってもよい。また、通信線212や電力線213はスティック210の外にあってもよい。
【0153】
(2)また、演奏ユニット300とコネクタ220との間の通信は通信網Mを介して行う構成に限定されない。例えば、通信線212の他に演奏ユニット300とコネクタ220との間の通信線を別途設けてもよい。
【0154】
(3)また、自動演奏処理は、枠組み200における各コネクタ220間で発音をリレーさせることができるものであればよく、図9〜図11の示す処理に限定されない。
【0155】
(4)本実施形態では、全てのスティック210の断面形状は同一であるがこの構成に限定されない。例えば、様々な断面形状のスティックを用意して、接続されるスティックの断面形状に応じた演奏が行われてもよい。例えば、該スティックを発音トークンが通過するテンポやスティックの両端に接続されたコネクタ220間に対応する発音のテンポが変更されてもよい。
【0156】
図12(A)は、該変形例にかかるコネクタ220′の接続部222の形状を示す図であり、(B)は、該変形例にかかるスティック210(210a〜210d)の断面形状を示す図である。
【0157】
スティック210aは断面円形である。スティック210bは断面三角形である。スティック210cは断面四角形である。スティック210dは断面十字形状である。コネクタ220′は、異なった断面形状を有するスティック210a〜210dの全てを接続することができる接続部222を6面に備えている。
【0158】
該接続部222には、複数のタクトスイッチ(図略)が配設されており、これらのタクトスイッチは接続されるスティック210a〜210dによってオンされるものが異なる。図5を参照して、本変形例では、処理部2はスティック形状検出部29を備え、該スティック形状検出部29はタクトスイッチ(図略)からのオン・オフ信号が入力される。スティック形状検出部29は、オン・オフ信号に応じて接続されているスティック210の形状を取得する。
【0159】
角度・スティック長記憶部35は、スティック長さテーブルT3に代えて図13(a)で示すようなスティック長さ・形状テーブルT7を記憶する。スティック長さ・形状テーブルT7は、接続部IDと該接続部IDの接続部222に接続されているスティック210の長さ及び形状とを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。スティック形状検出部29は、取得したスティック形状を接続部IDと対応づけてテーブルT7に登録する。
【0160】
また送信タイミング記憶部33は、送信タイミングテーブルT1に代えて図13(B)で示す送信タイミングテーブルT8を記憶する。送信タイミングテーブルT8は、スティック長さ及びスティック形状に対応する発音トークン送信タイミングを登録するためのテーブルである。また、発光制御情報記憶部34は、発光タイミングテーブルT2に代えて図13(C)で示す発光タイミングテーブルT9を記憶する。発光タイミングテーブルT9は、スティック長さ及びスティック形状に対応する発光制御タイミングを登録するためのテーブルである。
【0161】
通信制御部25は、図9で示す第1子側演奏処理のステップS14において、スティック長さ・形状テーブルT7を接続部IDで参照してスティック210の長さ及び形状を取得する。
【0162】
また、図10で示す第1子側演奏処理のステップS19において、通信制御部25は、発光制御情報記憶部34のテーブルを取得形状及び長さで検索する。これによって、スティック210の形状・長さに応じた発光制御タイミングを取得することができる。また、図10で示す第1子側演奏処理のステップS20において、通信制御部25は、スティック長さテーブルT3の代わりにスティック長さ・形状テーブルT7を取得形状及び長さで検索する。これによって、スティック210の形状・長さに応じた発音トークン送信タイミングを取得することができる。
【0163】
上述のようにして、変形例では接続されるスティック210の断面形状に応じて演奏テンポや発音トークンの移動速度を変更することができる。
【0164】
(5)また、本実施形態では、コネクタ220の接続部222は6つであるが、この構成に限定されない。例えば、コネクタ220には5つ以下の接続部222しか配設されていなくてもよい。また、全てのコネクタ220で同数の接続部222が配設されていなくてもよい。例えば、様々な個数の接続部222が配列された複数種類のコネクタ220で枠組み200が形成されてもよい。
【0165】
(6)また、本実施形態では、1台の自動演奏システムに1つの音源を備えたものであるが、1台の自動演奏システムに複数の音源を備えても良く、例えば、音源を枠組み200のスティック201やコネクタ220に備えても良い。
【0166】
(7)また、本実施形態では、枠組み200と中継装置310とを有線で接続する例を示したが、これらを無線で接続しても良い。
【0167】
(8)また、本実施形態では、中継装置310と演奏装置320とを別体にしたが、これらを一体に構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本実施形態にかかる自動演奏システムの斜視図
【図2】(A)は、コネクタの斜視図、(B)はスティック210の両端にコネクタを接続する方法を説明するための図
【図3】(A)は、発音トークンの入力接続部と出力接続部との対応関係、及びスイッチの押下と発音トークンの出力接続部との対応関係を説明するための図、(B)は、長さの異なるスティックが接続された状態のコネクタを示す図、(C)は開き角度45°で2つのスティックを接続した状態を示す図、(D)は開き角度90°で2つのスティックを接続した状態を示す図
【図4】自動演奏システムが構築した通信ルートの一例を示す図
【図5】図1に示す演奏システムの電気的構成を示すブロック図
【図6】(A)は、通信ルート情報D1を示す図、(B)は送信タイミングテーブルT1を示す図、(C)は発光タイミングテーブルT2を示す図、(D)はスティック長さテーブルT3を示す図、(E)は開き角度テーブルT4を示す図、(F)は出力接続部テーブルT5を示す図、(G)や音高テーブルT6を示す図、
【図7】自動演奏システムが実行する通信ルート構築処理を示すフローチャート
【図8】メッセージ信号を示す図
【図9】第1の子側演奏処理を示すフローチャート(その1)
【図10】(A)は、第1の子側演奏処理を示すフローチャート(その2)、(B)は、第2の子側演奏処理を示すフローチャート
【図11】親側演奏処理を示すフローチャート
【図12】(A)は、該変形例にかかるコネクタの接続部222の形状を示す図、(B)は、該変形例にかかるスティックの断面形状を示す図
【図13】(a)は、スティック長さ・形状テーブルT7を示す図、(B)は送信タイミングテーブルT8を示す図、(C)は発光タイミングテーブルT9を示す図
【符号の説明】
【0169】
1−通信端末
100−自動演奏システム
200−枠組み(本願発明の立体)
210−スティック状ブロック
220−コネクタ
221−タクトスイッチ(本願発明の操作子)
222−接続部
320−演奏装置
326−音源
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザが組み立てた立体に応じた自動演奏を行うことができる自動演奏システム、該自動演奏システムに用いられる通信端末、ブロック及び演奏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、趣向性が高く自動演奏をすることができる自動演奏システムや自動演奏装置、自動演奏プログラムが提案されてきている。
【0003】
この中の1つとして、テノリオンと呼称されるアプリケーションが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。このアプリケーションを実行する携帯電話機やゲーム機等の演奏装置は、横軸でタイミング、縦軸で音高を表すように16×16の演奏操作子がマトリクス上に配列されている。該演奏操作子はスイッチ式であり、ユーザが該スイッチを押下することにより該演奏操作子の指定を受け付ける。
【0004】
そして、この演奏装置は、所定のタイミングで、左側の列から順に、仮想的なスクロールバーを移動させ、指定された演奏操作子上にスクロールバーが到来したときに、該指定された演奏操作子に対応する音高を発音する。これによって、ユーザはこの演奏装置を用いて簡単な作曲を行うことができ、かつ演奏装置でユーザの作曲した曲を自動演奏することができる。
【非特許文献1】“テノリオン”、[online]、ヤマハ、[平成18年2月21日検索]、インターネット〈URL:http://www.yamaha.co.jp/design/tenori-on/〉
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の演奏装置では、自動演奏のためのユーザの作業は演奏操作子を操作するだけの単純なものである。また、演奏操作子の操作による自動演奏内容はユーザの予想できる範囲内であり、演奏内容に意外性がなかった。
【0006】
上記課題を解決するために、自動演奏操作のために要求されるユーザの作業内容をより複雑かつ多様にするとともに、この作業による自動演奏の内容に意外性を出すことでより趣向性高く自動演奏を行うことができる自動演奏システム、該自動演奏システムに用いられる通信端末、コネクタ及びブロックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明では以下の手段を採用している。
【0008】
(1)本発明は、複数のブロックを組み立てて構成された立体であって、該立体の組み立て形状を取得して該形状に応じた発音指示信号を生成し、通信手段を介して該信号を送信する通信機能を有する通信端末を備えたものと、前記通信端末との前記通信手段を介した通信機能を備え、該通信端末から前記発音指示信号を受信したときに該発音指示信号に応じた音高及び発音タイミングで演奏を行う演奏装置と、を備えた自動演奏システムである。
【0009】
上述した本発明の構成によれば、ユーザが複数のブロックの組み立て作業を行うことによって立体が組み立てられる。該立体は通信機能を有する通信端末を備え、該通信端末によって立体の組み立て形状を取得して該形状に応じた発音指示信号が生成される。通信端末によって、発音指示信号が通信手段を介して演奏装置に送信される。演奏装置には通信を介して発音指示信号が入力される。発音指示信号が入力されたときに、演奏装置によって該発音指示信号に応じた音高及び発音タイミングで演奏が行われる。
【0010】
このようにして、自動演奏システムでは、ユーザの立体の組み立て方に応じた音高及び発音タイミングで自動演奏が行われる。また、組み立て形状によって自動演奏内容が変わるため、ユーザは組み立て作業による演奏内容を予想し難い。また、任意の内容で自動演奏を行うための立体の組み立て形状もユーザにとって判断し難い。この様にして、自動演奏操作のために要求されるユーザの作業内容をより複雑かつ多様にするとともに、この作業による自動演奏の内容に意外性を出すことが可能になる。これによって、より趣向性高く自動演奏を行うことが可能になる。
【0011】
(2)本発明は、上記自動演奏システムであって、前記立体は、前記複数のブロックがコネクタを介して接続されてなり、前記通信端末は、前記立体におけるコネクタの位置に応じた発音タイミングを示す発音指示信号を前記演奏装置に送信し、前記演奏装置は、該発音指示信号の示す発音タイミングで演奏を行う、ことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、立体におけるコネクタの位置に応じて発音タイミングが変更される。これによって、自動演奏のためには、コネクタの位置に考慮して立体を組み立てることがユーザに要求され、より多様でかつ複雑な作業が要求される。また、コネクタの位置によって発音タイミングが変わるため、ユーザは組み立て作業による演奏内容を予想し難い。また、任意の内容で自動演奏を行うためのコネクタの位置もユーザにとって判断し難い。これによって、より趣向性高く自動演奏を行うことが可能になる。
【0013】
(3)本発明は、上記自動演奏システムであって、前記立体は、操作子を備えた複数のコネクタを備え、該各コネクタを介して前記複数のブロックが組み合わされてなり、前記通信端末はコネクタ毎に設けられ、前記演奏装置及び他の通信端末との通信を行う通信部と、前記操作子の押下乃至は通信部による発音トークンの受信があったときに、前記通信部を用いて前記演奏装置に対して発音指示信号を送信し、同じブロックに接続された他のコネクタに対応する通信端末に対して所定のタイミングで発音トークンを送信する通信制御部と、を有し、前記演奏装置は、発音指示信号の入力があったときに発音を行う、ことを特徴とする。
【0014】
上述した本発明の構成によれば、前記立体は、操作子を有する複数のコネクタを備え、該各コネクタを介して前記複数のブロックが組み合わされてなる。また、通信端末はコネクタ毎に設けられる。該通信端末では、操作子の押下があったときに、制御部によって、通信部を用いて演奏装置に対して発音指示信号が送信される。これとともに、制御部によって、同じブロックに接続された他のコネクタに対応する通信端末に対して所定のタイミングで発音トークンが送信される。演奏装置によって、発音指示信号の入力があったときに発音が行われる。
【0015】
そして、上記コネクタと同じブロックに接続されたコネクタに対応する通信端末では、通信部によって発音トークンが受信される。該発音トークンが受信されたときに、制御部によって、通信部を用いて演奏装置に対して発音指示信号が送信される。これとともに、制御部によって、同じブロックに接続された他のコネクタに対応する通信端末に対して所定のタイミングで発音トークンが送信される。
【0016】
上述したように、1のコネクタの操作子が押下されたときに発音がなされる。そして、該コネクタと同じブロックに接続されるコネクタに所定のタイミングで発音トークンが送信され、該コネクタに発音トークンが入力されたときに発音がなされる。これによって、ブロックを介してコネクタ間で発音のリレーが行われるようにユーザに知覚させることが可能になり、趣向性高く立体の組み立て形状に応じて発音を行うことが可能になる。
【0017】
(4)本発明は、上記自動演奏システムであって、前記各コネクタは、接続角度が変更自在になるように前記ブロックを接続するための接続部を備え、前記通信端末は、対応するコネクタの接続部に接続された前記ブロックの接続角度を検出し、該接続角度に応じた発音指示信号を前記演奏装置に送信し、前記演奏装置は、該発音指示信号を受信したときに、前記接続角度に応じた音高で発音する、ことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、(3)に記載したようにコネクタ間で発音のリレーが行われる場合に、コネクタに対応する発音の音高が該コネクタへのブロックの接続角度に応じて変わる。これによって、ユーザは、コネクタへのブロックの接続角度を考慮して立体を組み立てる作業が要求され、より多様でかつ複雑な作業が要求される。また、コネクタの位置によって発音タイミングが変わるため、ユーザは組み立て作業による演奏内容を予想し難い。また、任意の内容で自動演奏を行うための各コネクタへのブロックの接続角度もユーザにとって判断し難い。これによって、より趣向性高く自動演奏を行うことが可能になる。
【0019】
(5)本発明は、上述した自動演奏システムに用いられる通信端末である。
【0020】
(6)本発明は、上述した自動演奏システムに用いられるブロックである。
【0021】
(7)本発明は、上述した自動演奏システムに用いられる演奏装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、組み立て形状によって自動演奏内容が変わるため、ユーザは組み立て作業による演奏内容を予想し難い。また、任意の内容で自動演奏を行うための立体の組み立て形状もユーザにとって判断し難い。これによって、自動演奏操作のために要求されるユーザの作業内容をより複雑かつ多様にするとともに、この作業による自動演奏の内容に意外性を出すことができる。このことにより、より趣向性高く自動演奏を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、図面を用いて本発明に係る自動演奏システムを詳細に説明する。
【0024】
〈自動演奏システム100の概略〉
図1は、本実施形態にかかる自動演奏システム100の斜視図である。自動演奏システム100は、複数のスティック状ブロック210が組み立てられてなる枠組み200(本願発明の立体に対応)と、この枠組み200の形状に応じた音声で自動演奏する演奏ユニット300を備える。
【0025】
枠組み200は、複数のスティック状ブロック210(以下スティック210)が直方体状のコネクタ220を介して互いに接続されることで、組み立てられてなる。各コネクタ220は演奏システム100に互いに通信可能に接続されている。該通信可能な構成については詳しくは後述する。
【0026】
また、コネクタ220は、その1面の端にタクトスイッチ221(以下スイッチ221)が設けられているとともに、その6面にスティック210との接続部222が形成されている。これによって、コネクタ220には最大6個のスティック210を接続することが可能になる。
【0027】
接続部222は、それぞれの接続面に対していずれの方向からでもスティック210を接続することができ、1つの接続部222に接続される1つまたは2つのスティック210により略0°〜180°の所定角で接続角度を調整できる。なお、このコネクタ220の構成については、詳しくは図2を用いて後述する。
【0028】
また、スティック210の長さは、全てが同一ではなく、様々な種類の寸法がある。上記によって、使用するスティック210の長さやスティック210とコネクタ220との接続角度を選択しながら、コネクタ220を介してブロックを組み合わせていくことが可能になっている。これによって、ユーザは任意の多様な組み立て形状で枠組み200を組み立てることができる。
【0029】
各スティック210は、透明乃至は半透明に形成され、内部に長手方向に沿って一列に複数の発光部211が配列されてなる発光部群211Aを備える。
【0030】
本自動演奏システム100は、枠組み200の組み立て形状に応じて自動演奏を行う処理(自動演奏処理)を実行する。本自動演奏処理では、スティック210を走路として各コネクタ220間を発音トークン(通知信号)のリレーが行われるようにユーザに知覚させるための処理が実行される。図1では、実線矢印の示すように発音トークンのリレーが行われ、全てのコネクタ220について発音トークンの入力が行われた後にも、点線矢印で示すようにリレーが行われる。
【0031】
以下に、自動演奏処理を概略的に説明する。自動演奏処理では、スイッチ221が押下されたコネクタ220がスティック210を介して他のコネクタ220に対して発音トークンを出力する。発音トークンが入力されたコネクタ220は演奏ユニット300に対して発音を指示する(発音指示信号を送信する)。これによって、演奏ユニット300が発音する。また、該コネクタ220は他のスティック210を介して他のコネクタ220に対して発音トークンを出力する。発音トークンが入力されたコネクタ220は演奏ユニット300に発音指示信号を送信する。これによって発音トークンの移動(リレー)を聴覚によってユーザに知覚させることができる。
【0032】
また、発音トークンの移動をユーザに視覚的に知覚させるため、自動演奏処理では、発音トークンとともに発光点Bを移動させる。具体的には、発光部群211Aの1の発光部211が順次点滅されることで、発光点Bが移動するようにユーザに知覚させることができる。
【0033】
なお、ユーザがスイッチ221を連続して複数回押下することで上記リレーの開始を指示した場合には、該複数個の発光点Bが所定の時間差で出力される。また、リレーが行われているときに、ユーザが1のコネクタ220のスイッチを押下すると、該コネクタ220で発光点Bのリレーが終了する。
【0034】
なお、タクトスイッチ221が押下されたときに、6つの接続部222のうちいずれに接続されたスティック210に発光点Bを出力するかということは予め設定されている。また、どの接続部222のスティック210から発光点Bが到来したらどの接続部222に発光点Bを出力するかということも予め設定されている。この設定については、詳しくは図3(A)を用いて後述する。
【0035】
上記によって本自動演奏システム100では、スティック210の長さが長くなるほど、該スティック210に接続された2つのコネクタ220間の発音タイミングが長くなる。
【0036】
なお、本自動演奏システム100では、コネクタ220が発光点Bを入力するスティック210と出力するスティック210との間の開き角度に応じて音高を決定することができる。また、予め決定した音高を開き角度に応じて上下させてもよい。
【0037】
なお、図1の手前の真中に位置するコネクタ220のように、発光点Bの走路となる2つのスティック210が一直線上に接続される場合(接続角度が180°)がある。このような直線接続の場合には、該コネクタ220に発光点Bが到来したときに発音はなされず、単に発音トークンを中継させるだけであってもよい。
【0038】
なお、2つのスティック210間の開き角度と、スティック210の長さについては詳しくは図3(B)〜(D)を用いて後述する。
【0039】
これによって、コネクタ220に接続するスティック210の長さの選択次第でユーザが発音タイミングを変えることができる。これとともに、上記2つのスティック210を接続する開き角度の選択によって音高をユーザが変えることができる。
【0040】
このため、ユーザが枠組み200を立体的に組み立てるという複雑かつ多様な作業を行うことで、作曲を行うことができる。また、この組み立てによる作曲内容(自動演奏)はユーザにとって予想しにくいものであり、ユーザに意外性のある内容で自動演奏を行うことができる。また、任意の演奏内容で作曲を行うための枠組み200の組み立て形状はユーザにとって判断しがたいものである。これによって、より趣向性高く自動演奏を行うことが可能になっている。
【0041】
自動演奏システム100では、各スティック210には通信線212及び電力線213(図5を参照)が内蔵される。そして、このうち1のスティック210(図1では最奥の左)は、端部に演奏ユニット300と接続するための通信及び電力供給ケーブル400が取り付けられた接続用スティック210Aである。接続用スティック210Aは、上述したように端部にコネクタ220が接続され、該コネクタ220を介して他のスティック210や他のコネクタ220とも接続される。
【0042】
上記によって、各コネクタ220に対して電力を供給するための電力網が形成される。これととともに各コネクタ220と演奏ユニット300との間の通信網M(図4を用いて後述)が形成され、該通信網Mを介して演奏ユニット300と各コネクタ220との間で通信を行うことができる。
【0043】
各コネクタ220と演奏ユニット300との間の通信ルートは複数種類の可能性があるが、本実施形態では自動演奏の前に各コネクタ220と演奏ユニット300との間の最短の通信ルートを探索して、探索した最短の通信ルートで通信を行うように設定する処理を実行する(通信ルートの構築処理)。該通信ルートの構築及び通信ルートの構築処理については詳しくは後述する。
【0044】
演奏ユニット300は、中継装置310と、演奏装置320とを有し、中継装置310及び通信網Mを介して演奏装置320と各コネクタ220との間で通信を行うことができるようになっている。具体的には、中継装置310はケーブル400を接続するための接続端子311が設けられ、これによって該ケーブル400と接続される。これとともに、中継装置310には演奏装置320との間で通信を行うための通信ケーブル500を接続するための接続端子312が設けられている。この接続端子312によって、中継装置310には該通信ケーブル500が接続される。
【0045】
中継装置310は、ケーブル400を介して入力した通信信号を演奏装置に通信ケーブル500を介して出力する。これとともに、中継装置310は演奏装置320から通信ケーブル500を介して入力した通信信号をケーブル400に出力する。この様にして、中継装置310は、各コネクタ220と演奏装置320との間の通信を中継する。
【0046】
また、中継装置310は、電源プラグ600Aを一端に備えた電源ケーブル600を接続し、この電源ケーブル600を介して電源コンセントから電力が供給され、ケーブル400を介して該電力を枠組み200(各コネクタ220)に供給する。更に、中継装置310は、図略のオーディオ装置へのLチャンネル、Rチャンネルの出力端子312Aを備え、これによって、オーディオ装置にオーディオ信号を出力することもできる。
【0047】
演奏装置320は、ケーブル500を接続するための接続端子321と音源326(図5を参照)を内蔵する。演奏装置320は、上述した自動演奏処理において、ケーブル500を介して入力したコネクタ220からの発音指示信号を入力したときに、該発音指示信号に基づいて演奏を行う。具体的には、演奏装置320は、発音指示信号を入力したときに、発音指示信号によって通知された開き角度に応じた音高の発音を行う処理を実行する。これによって、演奏装置320は、枠組みの形状に基づいて自動演奏を行うことができる。
【0048】
なお、演奏ユニット300の構成、子機側及び親機側の自動演奏処理については詳しくは図5、図9〜図11を用いて後述する。
【0049】
演奏装置320は、スピーカSP(図5を参照)を内蔵し、このスピーカSPによって演奏音を出力する。
【0050】
また、演奏装置320は、操作部322を上面に備える。演奏装置320は、操作部322で音量ボリューム設定の変更を指示する操作をユーザから受け付けたときに、該指示に従った音量ボリューム設定に変更する。これによって、自動演奏での音量をユーザの任意のものに変更することができる。
【0051】
なお、演奏装置320には電源プラグ700Aが一端に取り付けられた電源ケーブル700が接続され、該電源ケーブル700を介して電源コンセントから演奏装置320に電力が供給される。
【0052】
〈コネクタ220の構成〉
図2(A)は、コネクタ220の斜視図であり、(B)はスティック210の両端にコネクタ220を接続する方法を説明するための図である。同図(A)で示すように、コネクタ220は、略直方体状の装置本体220aの上面、底面、側面の計6面に接続部222が形成されている。各接続部222は、円状の凹部である。同図(B)で示すように、接続部222に円柱状のスティック210の端部が挿入されることで、スティック210をコネクタ220に接続することができるようになっている。
【0053】
各接続部222は、前述のように、それぞれの接続面に対していずれの方向からでもスティック210を接続することができ、1つの接続部222に接続される1つまたは2つのスティック210により略0°〜180°の所定角で接続角度を調整できる。
【0054】
コネクタ220の上面の角部近傍には、スイッチ221が配設されている。また、コネクタ220の内部には、図5を用いて後述する通信端末1が内蔵されている。この通信端末1と各接続部222は電気的に接続されており、通信端末1は各接続部222を介してスティック210に配された通信線212及び電力線213(図5を参照)と電気的に接続されている。
【0055】
〈発音トークンを出力する接続部222の決定〉
図3(A)は、発音トークンの入力接続部222と出力接続部222との対応関係、及びスイッチ221の押下と発音トークンの出力接続部222との対応関係を説明するための図である。
【0056】
同図において、スイッチ221がある面側を上、該面に対向する面側を下と記載する。また、側面のうち、同図手前の左面側を前、該面に対向する面側を後と記載する。また、同図手前の右側面側を右、該面に対向する面側を左と記載する。
【0057】
本実施形態では、上述したように、スイッチ221が押下された場合、及び接続部222に発音トークンが入力された場合に、何れか1の接続部222に発音トークンが出力される。
【0058】
ここでは、スイッチ221の押下という条件に対応付けて、6つの接続部222の間で優先度が付与されている。また、特定の接続部222に発音トークンが入力されたという条件に対応付けて、他の5つの接続部222の間で優先度が付与されている。なお、この優先度の付与は、6つの接続部222がそれぞれ特定の接続部222となる条件毎に行われている。
【0059】
そして、コネクタ220は、上記各条件に対応する優先度にしたがって、スティック210が接続されている接続部222の中で最も優先度の高い接続部222を各条件毎に決定する。そして、上述した条件のうち何れか1が発生した場合に、コネクタ220は該決定した1の接続部222から発音トークンを出力する。
【0060】
以下に、全ての接続部222にスティック210が接続されている場合において、上記条件に対応して決定された接続部222の一例を説明する。
【0061】
白抜矢印A1で示すように、スイッチ221が押下されたときには、左側面側の接続部222(第1接続部222A)に接続されたスティック210が最も優先度が高い。このため、第1接続部222Aは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。また、矢印A2で示すように、上面側の接続部222(第2接続部222B)に発音トークンが入力される場合にも、第1接続部222Aが最も優先度が高い。このため、該第1接続部222Aは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。
【0062】
矢印A3で示すように、第1接続部222Aに発音トークンが入力される場合には、前側面側の接続部222(第3接続部222C)に接続されたスティック210が最も優先度が高い。このため、第3接続部222Cは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。また、矢印A4で示すように、第3接続部222Cに発音トークンが入力される場合には、第2接続部222Bが最も優先度が高い。このため、第2接続部222Bは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。
【0063】
また、下面側の接続部222(第4接続部222D)に発音トークンが入力される場合には、矢印A5で示すように、右側面側の接続部222(第5接続部222E)が最も優先度が高い。このため、第5接続部222Eは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。第5接続部222Eに発音トークンが入力される場合には、矢印A6で示すように、後側面側の接続部222(第6接続部222F)が最も優先度が高い。このため、第6接続部222Fは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。
【0064】
第6接続部222Fに発音トークンが入力される場合には、矢印A7で示すように、第4接続部222Dが最も優先度が高い。このため、第4接続部222Dは発音トークンを出力する接続部222に決定されている。
【0065】
〈接続部222とスティック210との接続〉
図3(B)は、長さの異なるスティック210が接続された状態のコネクタ220を示す。接続部222とスティック210の通信線212は電気的に接続される。該スティック210はスティック長さを記憶しているレジスタ(図略)を内蔵し、接続部222の通信端末1(図5を参照)は通信線212を介してレジスタから該スティック長さを取得する。
【0066】
通信端末1は、取得したスティック210の長さに応じて、該スティック210の発光部群211Aの発光を制御する。
【0067】
発音トークンが入力されたコネクタ220は、該スティック210の長さに応じたタイミングで、該スティック210の(自機の)他端に接続されたコネクタ220に発音トークンを出力する。該発音トークンを入力されたコネクタ220は演奏ユニット300に発音指示信号を送信し、これによって、該タイミングで演奏ユニット300によって発音が行われる。
【0068】
また、上述したように、接続部222へのスティック210の接続角度は変更することができる。各接続部222には公知の角度センサ(図略)が取り付けられ、通信端末1は該角度センサ(図略)からの信号に基づいてスティック210の接続角度(傾き角度及び傾いている方角)を検出することができる。通信端末1は、検出した接続角度を用いて、発音トークンを入力するスティック210と発音トークンを出力するスティック210との間の開き角度を算出する。
【0069】
上述したように、2つのスティック間の開き角度に応じて、演奏装置320による発音の音高を決定又は変更することができる。通信端末1は、算出した開き角度を示す発音指示信号を生成して演奏装置320に送信することで、演奏装置320の発音の音高を制御する。これによって、2つのスティック210の開き角度を変更することで、ユーザが音高を変更することができる。本実施形態では、開き角度が小さい程音高が高くなるようになっている。例えば、同図(C)で示す開き角度45°は同図(D)で示す開き角度90°よりも音高が高くなっている。
【0070】
〈通信ルートの構築〉
図4は、自動演奏システム100が構築した通信ルートの一例を示す図である。図1を参照して説明したように、各コネクタ220と演奏ユニット300とは、他のコネクタ220やスティック210を通信路として通信を行う。このため、1のコネクタ220と演奏ユニット300の通信ルートとして複数種類の可能性が生じる場合がある。
【0071】
例えば、図1では、同図における最も左に配置されているコネクタ220の通信ルートは、図4(A)の点線矢印で示す通信ルートと、実線矢印で示す通信ルートの2通りある。本実施形態では、自動演奏システム100は、自動演奏前に後述する通信ルート構築処理を実行することによって、演奏ユニット300と各コネクタ220との間の最短の通信ルート(経由するコネクタ220の数が少ない通信ルート)を探索する。
【0072】
自動演奏システム100は、探索した通信ルートで各コネクタ220は演奏ユニット300に発音指示信号を送信する。上記例では、点線矢印は実線矢印よりも最短ルートであるため、同図における最も左に配置されているコネクタ220の通信ルートは、点線矢印で示すルートで構築される。図4(B)は図1及び図4(A)で示す枠組み200における各コネクタ220と演奏ユニット300との間に構築された通信ルートを示す。
【0073】
構築された通信ルートは各コネクタ220(図5で示す通信端末1)に記憶される。すなわち、各通信端末1は該通信ルートに基づいて発音指示信号を出力すべき接続部222を通信ルート情報D1(図6(A)を用いて後述)として記憶する。そして、発音指示信号を入力したときに、各通信端末1は通信ルート情報D1の示す接続部222に該発音指示信号を入力する。これによって、該接続部222に接続されたスティック210に発音指示信号を入力することができ、該スティック210の他端に接続されたコネクタ220に発音指示信号を転送することができる。
【0074】
上述のようにして、通信ルートにおける各コネクタ220間で演奏ユニット300まで発音指示信号を転送していくことで、構築された通信ルートで各コネクタ220は演奏ユニット300に発音指示信号を送信することができる。
【0075】
<自動演奏システム100の構成>
図5は、図1に示す演奏システム100の電気的構成を示すブロック図である。演奏システム100は上述したように枠組み200と、演奏ユニット300を有する。
【0076】
以下に、枠組み200の構成を説明する。枠組み200は、上述したようにスティック210とコネクタ220とを備える。同図では、接続用スティック210A(図1を参照)と、該接続用スティック210Aに接続されたコネクタ220の構成を示している。
【0077】
コネクタ220は、上述したスイッチ221と、6つの接続部222(第1〜第6接続部222A〜222F)の他に、内部に該スイッチ221及び各接続部222に電気的に接続された通信端末1を備える。
【0078】
通信端末1は、例えばマイクロコンピュータやコネクタ220の筐体等で実現される。通信端末1は、CPU等で実現される処理部2と、メモリ等で実現される記憶部3と、通信インタフェース4を備える。 処理部2は、記憶しているプログラムを実行することで角度検出部21、スティック長検出部22、操作処理部23、タイマ24、通信制御部25、発音トークン生成部26、発音指示信号生成部27及び発光制御部28を備える。
【0079】
記憶部3は、例えばRAMやROM等のメモリで実現される。記憶部3は、自端末ID記憶部31、通信ルート記憶部32、送信タイミング記憶部33、発光制御情報記憶部34、角度・スティック長記憶部35及び送信ルート記憶部36を機能的に備える。
【0080】
自端末ID記憶部31は、自機の端末IDを記憶する領域である。端末IDとは、例えばIPアドレス等であり、各コネクタ220、中継装置310及び演奏装置320に付与されている固有の識別情報である。
【0081】
通信ルート記憶部32は、図6(A)で示すような通信ルート情報D1を記憶する領域である。通信ルート情報D1は、演奏ユニット300と自機との間の通信において経由するコネクタ220の端末IDを経由する順番に含むことで、演奏ユニット300との間の通信ルートを示す。また、通信ルート情報D1は、該通信ルートで通信を行うために用いる接続部222の接続部IDを含む。接続部IDは、第1〜第6接続部222A〜222Fに付与された各部222に固有の識別情報である。
【0082】
送信タイミング記憶部33は、図6(B)で示すような送信タイミングテーブルT1を記憶する領域である。送信タイミングテーブルT1は、スティック210の長さと該長さに対応する発音トークンの送信タイミングとを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。なお、送信タイミングは、スイッチ221から操作信号乃至は他のコネクタ220から発音トークンが入力されてからの経過時間で示される。
【0083】
発光制御情報記憶部34は、図6(C)で示すような発光タイミングテーブルT2を記憶する領域である。発光タイミングテーブルT2は、スティック210の長さと、該長さに対応するスティック210に配列された各発光部211の発光タイミングを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。該発光タイミングとは、スイッチ221から操作信号乃至は他のコネクタ220から発音トークンが入力されてからの経過時間で示される。
【0084】
角度・スティック長記憶部35は、図6(D)で示すようなスティック長さテーブルT3と図6(E)で示すような開き角度テーブルT4とを記憶する領域である。スティック長さテーブルT3は、接続部IDと該接続部IDに対応するスティック210の長さを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。
【0085】
開き角度テーブルT4は、入力接続部ID及び出力接続部IDと、開き角度情報とを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。入力接続部IDは、発音トークンを入力する接続部222の接続部IDである。出力接続部IDは、発音トークンを出力する接続部222の接続部IDである。開き角度情報とは、入力接続部IDで示す接続部222に接続されたスティック210と出力接続部IDで示す接続部222に接続されたスティック210との間の開き角度(0〜180°まで)を示す情報である。
【0086】
送信ルート記憶部36は、図3(A)を用いて説明したような、
スイッチ221の押下という条件に対応する、6つの接続部222の間での優先度を示す情報(第1優先度情報)を記憶する領域である。また、送信ルート記憶部36は、図3(A)を用いて説明したような、特定の接続部222に発音トークンが入力されたという条件に対応付する、他の5つの接続部222の間での優先度を示す情報(第2優先度情報)を記憶する領域である。該情報は、第1〜第6接続部222A〜222Fがそれぞれ特定の接続部222になった条件毎の優先度を示す。
【0087】
上述したように、スティック210が接続されている接続部222の中で第1及び第2優先度情報の示す最も優先度の高い接続部222が、発音トークンを出力する接続部222として決定される。
【0088】
更に、送信ルート記憶部36は、図6(F)で示すような出力接続部テーブルT5を記憶する。出力接続部テーブルT5は、上述したように第1及び第2優先度情報を用いて決定した接続部222の接続部IDを上述した条件(特定の接続部222に発音トークンが入力されたという条件、スイッチ221の押下という条件)に対応付けて登録する。例えば、特定の接続部222に発音トークンが入力されたという条件は入力接続部IDとして示され、スイッチ221の押下という条件はスイッチ221の押下を示す識別子として登録される。
【0089】
通信インタフェース4は、第1〜第6接続部222A〜222Fと電気的に接続され、これによってスティック210の通信線212に該接続部222を介して接続されている。これによって、通信インタフェース4は、他のコネクタ220や演奏ユニット300との間でスティック210や他のコネクタ220を介して通信を行うことができる。
【0090】
角度検出部21はスティック210が第1〜第6接続部222A〜222Fに電気的に接続されたとき、スティック210が内蔵するレジスタからスティック210の長さを示す情報が入力される。
【0091】
角度検出部21は、該情報が入力された接続部222にはスティック210が接続されていると判断する。角度検出部21は、電力の供給開始時に出力接続部テーブルT5の登録内容を削除する。角度検出部21は、スティック210が接続されている接続部222について、各条件(スイッチ221の押下、特定の接続部222への発音トークンの入力)に対応付けて発音トークンを出力する接続部222を決定する。この決定は、送信ルート記憶部36に記憶されている優先度情報を用いて行われる。角度検出部21は、決定した接続部222の接続部IDを各条件に対応付けて該テーブルT5に登録させる。
【0092】
また、角度検出部21は、電力の供給開始時に、開き角度テーブルT4の登録内容を削除する。角度検出部21は、第1〜第6接続部222A〜222Fの角度センサ(図略)に電気的に接続されており、該角度センサ(図略)からスティック210の接続角度を示す信号が入力される。
【0093】
角度検出部21は、該信号を用いて、出力接続部テーブルT5に対応付けて登録されている入力接続部IDと出力接続部IDとで示される2つのスティック210の開き角度を算出する。角度検出部21は、算出した開き角度を示す開き角度情報を入力接続部ID及び出力接続部IDと対応付けて開き角度テーブルT4に登録する。
【0094】
角度検出部21は、所定時間間隔毎にスティック210のレジスタ(図略)にアクセスできるかを検知して、これによって各接続部222へのスティック210の接続状態に変更がないかを判断する。角度検出部21はスティック210の接続状態に変更があったと判断した場合に、変更後の接続状態で出力接続部テーブルT5の登録内容を更新する。これとともに、角度検出部21は、該更新にかかる部分の開き角度情報を生成して、生成した開き角度情報で開き角度テーブルT4の登録内容を更新する。
【0095】
スティック長検出部22は、電力の供給開始時に、スティック長さテーブルT3の登録内容を削除する。また、スティック長検出部22は、各接続部222を介してスティック210に電気的に接続され、スティック210に内蔵されるレジスタからスティック210の長さを示す情報を入力する。これによって、スティック長検出部22は接続部222に接続されたスティック210の長さを取得することができる。
【0096】
スティック長検出部22は、取得した長さを該スティック210が接続された接続部222の接続部IDと対応付けてスティック長さテーブルT3に登録する。
【0097】
操作処理部23は、スイッチ221から該スイッチ221の押下で発生した操作信号を入力する。操作処理部23は、操作信号を入力したときに、該入力を通信制御部25に通知する。
【0098】
通信制御部25は、通信インタフェース4を用いての通信を制御する。また、通信制御部25は、図7を用いて後述する通信ルート構築処理(子側通信ルート構築処理)を実行することで上記通信ルート情報D1を生成して通信ルート記憶部32に記憶させる。
【0099】
また、通信制御部25は、後述する子機側自動演奏処理を実行する。子機側自動演奏処理では、通信制御部25は、スイッチ221から操作信号が入力されるとともに、通信インタフェース4から発音トークンが入力される。通信制御部25は、操作信号乃至は発音トークンの入力があったときに、発音指示信号生成部27に発音指示信号を生成させて、通信インタフェース4を介して該発音指示信号を演奏装置320に送信する。ここで、通信制御部25は、通信ルート記憶部32の示す接続部222に発音指示信号を入力する。
【0100】
また、子機側自動演奏処理では、通信制御部25は発音トークンが入力された接続部222の接続部ID(入力接続部ID)やスイッチ221の押下という条件で出力接続部テーブルT5を検索する。これによって取得した出力接続部IDによって、通信制御部25は発音トークンを出力する接続部222を取得することができる。
【0101】
通信制御部25は、取得した出力接続部IDでスティック長さテーブルT3を参照することで出力接続部IDの接続部222に接続されたスティック210の長さを取得することができる。
【0102】
通信制御部25は取得した長さで発光制御情報記憶部34に記憶されている発光タイミングテーブルT2を検索する。これによって、通信制御部25は、接続されたスティック210に配列された各発光部211の発光タイミングを取得することができる。通信制御部25は、発光制御部28に該発光タイミングで各発光部211を発光させるように指示する。
【0103】
また、通信制御部25は発音トークン生成部26に発音トークンの生成を指示する。通信制御部25は、スティック長さテーブルT3から取得した長さで送信タイミングテーブルT1を検索する。これによって取得した送信タイミングで、通信制御部25は、生成された発音トークンを出力接続部テーブルT5から取得した出力接続部IDの示す接続部222に入力する。
【0104】
発音トークン生成部26は、通信制御部25から発音トークンの生成指示があったときに発音トークンを生成して通信制御部25に入力する。
【0105】
発音指示信号生成部27は、通信制御部25から発音指示信号の生成の指示があったときに、入力接続部IDと出力接続部IDとで開き角度テーブルT4を参照する。これによって、発音指示信号生成部27は開き角度情報を取得し、該情報を含めた発音指示信号を生成して通信制御部25に入力する。発音指示信号は例えばMIDI(Musical Instruments Digital Interface)規格に基づいて記述された信号である。
【0106】
発光制御部28は、各接続部222に電気的に接続され、これによって、接続部222に接続されたスティック210の発光部211に接続部222を介して電気的に接続される。発光制御部28は、通信制御部25の指示に従って接続されている発光部211の発光を制御する。
【0107】
以下に、演奏ユニット300を説明する。演奏ユニット300は上述したように中継装置310と演奏装置320とで構成される。
【0108】
中継装置310は、第1通信インタフェース313、第2通信インタフェース314及び記憶部315が制御部316に接続されて構成される。
【0109】
第1通信インタフェース313は、接続用スティック210Aから延びるケーブル400に接続端子311を介して接続される。第1通信インタフェース313は、接続端子311を介して入力したコネクタ220からの発音指示信号を制御部316に入力する。これとともに、第1通信インタフェース313は、制御部316から入力した演奏装置320からの通信信号を接続端子311に対して出力する。
【0110】
ここで、ケーブル400には通信線の他に電力線が内蔵されている。接続端子311を介して該電力線にコネクタ220に供給するための電力が出力される。
【0111】
第2通信インタフェース314は、演奏装置320に接続されたケーブル500に接続端子312を介して接続される。第2通信インタフェース314は、接続端子312を介して入力した演奏装置320からの通信信号を制御部316に入力する。これとともに、第2通信インタフェース314は、制御部316から入力したコネクタ220からの発音指示信号を接続端子312に対して出力する。
【0112】
記憶部315は、例えばRAMやROM等のメモリやハードディスクで実現され、所定のプログラムを記憶するとともに、制御部316の作業領域としても機能する。
【0113】
演奏装置320は、上記スピーカSP及び操作部322を有するとともに、制御部323、記憶部324、通信インタフェース325、音源326、音声信号処理部327及びD/Aコンバータ328を有する。制御部323と、操作部322、記憶部324、通信インタフェース325、音源326、音声信号処理部327及びD/Aコンバータ328は図略のバスで接続されている。
【0114】
記憶部324は、例えばRAM、ROM等のメモリやハードディスク等で実現される。記憶部324は、図6(G)で示す音高テーブルT6を記憶するテーブル記憶領域324aを機能的に有する。音高テーブルT6は、開き角度情報と該開き角度情報に対応する音高とを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。
【0115】
通信インタフェース325は、ケーブル500に接続端子321を介して接続されており、該ケーブル500を介して中継装置310との間で通信を行う。ここで、通信インタフェース325は、中継装置310から発音指示信号を入力したときに制御部323(後述の通信制御部323A)に入力する。
【0116】
音源326は、例えばMIDI音源であり、所定の音色及び音高でデジタル音声信号を生成し、D/Aコンバータ328に入力するものである。音源326は、制御部323(後述の演奏制御部323B)から発音指示があったときに、該制御部323に通知された音高で発音を行う。
【0117】
音声信号処理部327は、例えばDSP等で実現され、音源326で発音した音声信号に対してレベル調整や周波数調整等の所定の音声信号処理を施してD/Aコンバータ328に出力する。音声信号処理部327の音声信号処理は制御部323(後述の演奏制御部323B)によって制御される。
【0118】
D/Aコンバータ328は、音声信号処理部327から入力されたデジタルの音声信号をアナログに変換してスピーカSPに入力する。
【0119】
制御部323は、例えばCPU等で実現され、プログラムを実行することで通信制御部323Aと演奏制御部323Bとを機能的に備える。制御部323は、これらの機能部によって後述の親機側自動演奏処理を実行する。親機側自動演奏処理では、通信制御部323Aは、通信インタフェース325の通信を制御する。通信制御部323Aは通信インタフェース325から入力された発音指示信号を演奏制御部323Bに出力する。
【0120】
親機側自動演奏処理では、演奏制御部323Bは、発音指示信号が入力されたときに、発音指示信号に含まれる開き角度情報を取得する。演奏制御部323Bは、該開き角度情報で音高テーブルT6を参照する。これによって、演奏制御部323Bは開き角度情報に対応する音高を取得し、取得した音高で発音するように音源326に指示する。
【0121】
また、演奏制御部323Bは、操作部322から操作信号が入力され、該操作信号に基づいて音声信号処理部327の音声信号処理のための制御値を変更する。例えば、ボリュームの変更を指示するための操作信号が入力された場合に、演奏制御部323Bは音声信号処理部327のレベル制御値を該変更の指示に従って変更する。
【0122】
〈自動演奏システム100の実行する処理〉
図7は、自動演奏システム100が実行する通信ルート構築処理を示すフローチャートである。演奏ユニット300が実行する通信ルート構築処理が親側ルート構築処理である。コネクタ220が実行する通信ルート構築処理が子側ルート構築処理である。
【0123】
まず、親側ルート構築処理では、操作部322を用いてユーザがルート構築処理の実行開始を指示すると、演奏ユニット300がメッセージ信号を生成して接続用スティック210Aに出力する(S1)。具体的には、該通信ルート構築処理の実行開始の指示を示す操作信号が操作部322から通信制御部323Aに入力される。通信制御部323Aは、該操作信号を入力したときに、自機の端末IDを記憶部324から読み出して、該端末IDを含むメッセージ信号を生成して通信インタフェース325を介して中継装置310に出力する。中継装置310では、制御部316が第2通信インタフェース314を介してメッセージ信号を入力する。制御部316は、自機の端末IDを記憶部315から読み出してメッセージ信号に含めて第1通信インタフェース313を介して接続用スティック210Aにメッセージ信号を入力する。この後、親側ルート構築処理は終了される。
【0124】
上記処理によって、接続用スティック210Aに接続されたコネクタ220にはメッセージ信号が入力される。
【0125】
次に子側ルート構築処理について説明する。コネクタ220は電力の供給が開始されると、通信制御部25がメッセージ信号を入力したかどうかをYESと判断するまで所定時間間隔毎に繰り返し判断する(S2)。メッセージ信号を入力したと判断した場合には(S2でYES)、通信制御部25はルート構築時間の計時開始済みがどうかを判断する(S3)。ルート構築時間の計時開始済みではないと判断した場合には(S3でNO)、通信制御部25はタイマ24を作動させてルート構築時間のカウントを開始させる(S4)。この後、通信制御部25は後述のステップS5を実行させる。
【0126】
ルート構築時間の計時開始済みだと判断した場合には(S3でYES)、通信制御部25は、メッセージ信号の通信ルートが通信ルート情報D1の示す通信ルートと比較して短いかどうかを判断する(S5)。図8で示すように、メッセージ信号には後述のステップS8が実行されることで、経由してきたコネクタ220の端末IDが経由してきた順番に含められている。したがって、メッセージ信号に付与された端末ID及び端末IDの順番を参照することで、通信制御部25はメッセージ信号の通信ルートを取得することができる。
【0127】
最初のメッセージ信号が入力されたときには、通信ルート記憶部32には通信ルート情報D1が記憶されていない。このため、通信制御部25は入力したメッセージ信号の示す通信ルートで通信ルート情報D1を生成して通信ルート記憶部32に記憶させる。図6(A)で示すように、通信ルート情報D1は、メッセージ信号に含まれている端末IDに該メッセージ信号を入力した接続部222の接続部IDが付与されることで生成される。
【0128】
2回目以降のメッセージ信号の入力からは、通信制御部25は通信ルート情報を含む端末IDとメッセージ信号に含まれる端末IDの個数を比較して、個数が少ない方が短い通信ルートであると判断する。
【0129】
メッセージ信号の示す通信ルートが通信ルート情報の示す通信ルートと比較して長いと判断した場合には(S5でNO)、通信制御部25は、メッセージ信号を破棄して(S6)、後述のステップS9を実行する。一方、メッセージ信号の通信ルートが通信ルート情報の示す通信ルートと比較して短いと判断した場合には(S5でYES)、通信制御部25は、メッセージ信号に付加されている端末IDに、該メッセージ信号を入力した接続部222の接続部IDを付加して通信ルート情報D1を生成する。
【0130】
この後、通信制御部25は生成した通信ルート情報D1で通信ルート記憶部32を更新する(S7)。通信制御部25は、自端末ID記憶部3から端末IDを読み出してメッセージ信号に含める。通信制御部25は、スティック210が接続されている全部の接続部222に該メッセージ信号を出力する(S8)。もっとも、通信制御部25はステップS2でメッセージ信号を入力した接続部222には出力しない。
【0131】
この後、通信制御部25は、タイマ24を参照してルート構築時間が経過したかどうかを判断する(S9)。ルート構築時間が経過していないと判断した場合には(S9でNO)、通信制御部25は本処理をステップS2に戻す。一方、ルート構築時間が経過したと判断した場合には(S9でYES)、通信制御部25はタイマ24を停止させて本処理を終了させる。
【0132】
上述したように、枠組み200を形成し、演奏ユニット300と枠組み200とをケーブル400を介して接続した後に、上記通信ルート構築処理を実行させることで、各コネクタ220と演奏装置320との間の最短の通信ルートを構築することができる。
【0133】
次に図9〜図11を用いて自動演奏処理を説明する。コネクタ220の実行する自動演奏処理が子側演奏処理である。また、演奏ユニット300が実行する自動演奏処理が親側演奏処理である。
【0134】
図9及び図10(A)は、第1の子側演奏処理を示すフローチャート(その1及びその2)である。まず、通信制御部25は操作処理部23からスイッチ221の押下による操作信号の入力が通知されたか、及び通信インタフェース4から発音トークンが入力されたかを、いずれかの信号が入力されたと判断するまで所定時間間隔毎に繰り返し判断する(S11)。
【0135】
操作信号及び発音トークンのうちいずれか1の信号が入力されたと判断した場合には(S11でYES)、通信制御部25はタイマ24を作動させる(S12)。通信制御部25は、送信ルート記憶部36に記憶されている出力接続部テーブルT5を用いて上述したように発音トークンを出力する接続部222を取得する(S13)。
【0136】
この後、通信制御部25は、角度・スティック長記憶部35の長さテーブルT3を参照して、ステップS13で決定した接続部222に接続されているスティック210の長さを取得する。これとともに、通信制御部25は、開き角度テーブルT4を参照して、ステップS13で決定した接続部222の接続部IDと発音トークンが入力された接続部222の接続部IDとで、これら2つの接続部222に接続されている2つのスティック210の開き角度を取得する(S14)。
【0137】
通信制御部25は、取得した開き角度が180°であるかどうかを判断する(S15)。取得した開き角度が180°ではない場合には(S15でNO)、通信制御部25は発音指示信号生成部27に開き角度を通知して、発音指示信号を生成させる(S16)。
【0138】
発音指示信号生成部27は、通知された開き角度を示す情報と操作信号乃至は発音トークンの入力回数を示す情報を含む発音指示信号(ノートオンデータ)を生成して、該信号に演奏装置320の端末IDを送信先の端末IDとして含めて通信制御部25に出力する。
【0139】
通信制御部25は、発音指示信号を入力したときに、通信ルート記憶部32を参照して、通信ルート情報の示す接続部222を取得する(S17)。通信制御部25は、取得した接続部222に発音指示信号を出力する(S18)。ここで、所定時間以内に入力された操作信号乃至は発音トークンの入力回数(スイッチ221の押下回数)が複数ある場合には、通信制御部25は所定時間間隔をおいて該複数回、発音指示信号を接続部222に出力する。この後、通信制御部25は後述のステップS19を実行する。
【0140】
取得した開き角度が180°である場合には(S15でNO)、通信制御部25は、ステップS14で取得したスティック210の長さで発光タイミングテーブルT2を参照して、スティック210の各発光部211の発光タイミングを取得する。
【0141】
通信制御部25は、取得した発光タイミング及び所定時間以内の操作信号乃至は発音トークンの入力回数を発光制御部28に通知して、発光開始を指示する(S19)。発光制御部28は、該指示があったときに、通知された発光タイミングで、ステップS13で取得した接続部222に接続されるスティック210の各発光部211を発光させる。ここで、発光制御部28は、通知された操作信号乃至は発音トークンの入力回数だけ発光点Bを出力する。
【0142】
通信制御部25は、発音トークン生成部26に発音トークンを生成させるとともに、ステップS14で取得したスティック210の長さから発音トークンの出力タイミングを取得する(S20)。具体的には、発音トークン生成部26は、送信タイミングテーブルT1をスティック210の長さで検索することで、発音トークンの出力タイミング(タイマ24の計時時間長)を取得する。
【0143】
発音トークン生成部26は、タイマ24の示す計時時間長がステップS20で取得した時間長さになったかをYESと判断するまで所定時間間隔毎に繰り返し判断する(S21)。タイマ24の示す計時時間長がステップS20で取得した時間長さになったと判断した場合には(S21でYES)、発音トークン生成部26は、タイマ24を停止させて、発音トークンを通信制御部25に出力する。通信制御部25は通信インタフェース4を介してステップS13で決定した接続部222に発音トークンを出力する(S22)。ここで、通信制御部25は、操作信号乃至は発音トークンがステップS11で所定時間以内に複数回入力されたときには、所定時間間隔を開けて発音トークンを該複数回接続部222に出力する。
通信制御部25はこの後本処理をステップS11に戻す。
【0144】
図10(B)は、第2の子側演奏処理を示すフローチャートである。第2の子側演奏処理は第1の子側演奏処理とマルチタスクで実行される。通信制御部25は、発音指示信号を入力したかどうかを入力したと判断するまで所定時間間隔毎に繰り返し判断する(S31)。発音指示信号を入力したと判断した場合には(S31でYES)、通信制御部25は、通信ルート情報D1の示す接続部IDを取得する(S32)。この後、通信制御部25は、取得した接続部IDに対応する接続部222に発音指示信号を出力する(S33)。
【0145】
上記第2の子側演奏処理によって、発音指示信号の送信元のコネクタ220と演奏ユニット300までの通信経路にあるコネクタ220によって発音指示信号を演奏ユニット300まで中継することができる。
【0146】
図11は、親側演奏処理を示すフローチャートである。親側演奏処理は、演奏装置320がメッセージ信号の送信後に実行する。通信制御部323Aは発音指示信号が入力されたかどうかを入力されたと判断するまで繰り返し判断する(S41)。発音指示信号が入力されたと判断した場合には(S41でYES)、通信制御部323Aは演奏制御部323Bに発音指示信号に対応する音高を取得させる(S42)。具体的には、演奏制御部323Bは、発音指示信号に含まれる開き角度情報で音高テーブルT6を参照することで開き角度に対応する音高を取得する。
【0147】
演奏制御部323Bは、取得した音高で発音するように音源326に指示する(S43)。この後、演奏制御部323Bは本処理をステップS41に戻す。
【0148】
上述したように、本実施形態にかかる演奏システム100では、枠組み200の組み立て形状に応じた発音で自動演奏を行うことができる。すなわち、コネクタ220の配置位置で発音タイミングが変わる。また、コネクタ220とスティック210との接続角度(発音トークンが入力されるスティック210と発音トークンを出力するスティック210との間の開き角度)で音高が変わる。
【0149】
このため、枠組み200の形状、すなわち、各コネクタ220の配置位置や各コネクタ220とスティック210との開き角度に対応する演奏内容がどのようになるかもユーザにとって判断し難い。また、任意の演奏内容を自動演奏させるための枠組み200の形状、すなわち、各コネクタ220の配置位置や各コネクタ220とスティック210との開き角度はユーザにとって容易に判断し難い。
【0150】
上述から、自動演奏操作のために要求されるユーザの作業内容をより複雑かつ多様にするとともに、この作業による自動演奏の内容に意外性を出すことができる。これによって、より趣向性高く自動演奏を行うことができる。
【0151】
本実施形態は、以下の変形例を採用することができる。
【0152】
(1)本実施形態では、コネクタ220が通信端末1を内蔵するが、コネクタ220の外部に通信端末1が接続される構成であってもよい。また、通信線212や電力線213はスティック210の外にあってもよい。
【0153】
(2)また、演奏ユニット300とコネクタ220との間の通信は通信網Mを介して行う構成に限定されない。例えば、通信線212の他に演奏ユニット300とコネクタ220との間の通信線を別途設けてもよい。
【0154】
(3)また、自動演奏処理は、枠組み200における各コネクタ220間で発音をリレーさせることができるものであればよく、図9〜図11の示す処理に限定されない。
【0155】
(4)本実施形態では、全てのスティック210の断面形状は同一であるがこの構成に限定されない。例えば、様々な断面形状のスティックを用意して、接続されるスティックの断面形状に応じた演奏が行われてもよい。例えば、該スティックを発音トークンが通過するテンポやスティックの両端に接続されたコネクタ220間に対応する発音のテンポが変更されてもよい。
【0156】
図12(A)は、該変形例にかかるコネクタ220′の接続部222の形状を示す図であり、(B)は、該変形例にかかるスティック210(210a〜210d)の断面形状を示す図である。
【0157】
スティック210aは断面円形である。スティック210bは断面三角形である。スティック210cは断面四角形である。スティック210dは断面十字形状である。コネクタ220′は、異なった断面形状を有するスティック210a〜210dの全てを接続することができる接続部222を6面に備えている。
【0158】
該接続部222には、複数のタクトスイッチ(図略)が配設されており、これらのタクトスイッチは接続されるスティック210a〜210dによってオンされるものが異なる。図5を参照して、本変形例では、処理部2はスティック形状検出部29を備え、該スティック形状検出部29はタクトスイッチ(図略)からのオン・オフ信号が入力される。スティック形状検出部29は、オン・オフ信号に応じて接続されているスティック210の形状を取得する。
【0159】
角度・スティック長記憶部35は、スティック長さテーブルT3に代えて図13(a)で示すようなスティック長さ・形状テーブルT7を記憶する。スティック長さ・形状テーブルT7は、接続部IDと該接続部IDの接続部222に接続されているスティック210の長さ及び形状とを互いに対応付けて登録するためのテーブルである。スティック形状検出部29は、取得したスティック形状を接続部IDと対応づけてテーブルT7に登録する。
【0160】
また送信タイミング記憶部33は、送信タイミングテーブルT1に代えて図13(B)で示す送信タイミングテーブルT8を記憶する。送信タイミングテーブルT8は、スティック長さ及びスティック形状に対応する発音トークン送信タイミングを登録するためのテーブルである。また、発光制御情報記憶部34は、発光タイミングテーブルT2に代えて図13(C)で示す発光タイミングテーブルT9を記憶する。発光タイミングテーブルT9は、スティック長さ及びスティック形状に対応する発光制御タイミングを登録するためのテーブルである。
【0161】
通信制御部25は、図9で示す第1子側演奏処理のステップS14において、スティック長さ・形状テーブルT7を接続部IDで参照してスティック210の長さ及び形状を取得する。
【0162】
また、図10で示す第1子側演奏処理のステップS19において、通信制御部25は、発光制御情報記憶部34のテーブルを取得形状及び長さで検索する。これによって、スティック210の形状・長さに応じた発光制御タイミングを取得することができる。また、図10で示す第1子側演奏処理のステップS20において、通信制御部25は、スティック長さテーブルT3の代わりにスティック長さ・形状テーブルT7を取得形状及び長さで検索する。これによって、スティック210の形状・長さに応じた発音トークン送信タイミングを取得することができる。
【0163】
上述のようにして、変形例では接続されるスティック210の断面形状に応じて演奏テンポや発音トークンの移動速度を変更することができる。
【0164】
(5)また、本実施形態では、コネクタ220の接続部222は6つであるが、この構成に限定されない。例えば、コネクタ220には5つ以下の接続部222しか配設されていなくてもよい。また、全てのコネクタ220で同数の接続部222が配設されていなくてもよい。例えば、様々な個数の接続部222が配列された複数種類のコネクタ220で枠組み200が形成されてもよい。
【0165】
(6)また、本実施形態では、1台の自動演奏システムに1つの音源を備えたものであるが、1台の自動演奏システムに複数の音源を備えても良く、例えば、音源を枠組み200のスティック201やコネクタ220に備えても良い。
【0166】
(7)また、本実施形態では、枠組み200と中継装置310とを有線で接続する例を示したが、これらを無線で接続しても良い。
【0167】
(8)また、本実施形態では、中継装置310と演奏装置320とを別体にしたが、これらを一体に構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本実施形態にかかる自動演奏システムの斜視図
【図2】(A)は、コネクタの斜視図、(B)はスティック210の両端にコネクタを接続する方法を説明するための図
【図3】(A)は、発音トークンの入力接続部と出力接続部との対応関係、及びスイッチの押下と発音トークンの出力接続部との対応関係を説明するための図、(B)は、長さの異なるスティックが接続された状態のコネクタを示す図、(C)は開き角度45°で2つのスティックを接続した状態を示す図、(D)は開き角度90°で2つのスティックを接続した状態を示す図
【図4】自動演奏システムが構築した通信ルートの一例を示す図
【図5】図1に示す演奏システムの電気的構成を示すブロック図
【図6】(A)は、通信ルート情報D1を示す図、(B)は送信タイミングテーブルT1を示す図、(C)は発光タイミングテーブルT2を示す図、(D)はスティック長さテーブルT3を示す図、(E)は開き角度テーブルT4を示す図、(F)は出力接続部テーブルT5を示す図、(G)や音高テーブルT6を示す図、
【図7】自動演奏システムが実行する通信ルート構築処理を示すフローチャート
【図8】メッセージ信号を示す図
【図9】第1の子側演奏処理を示すフローチャート(その1)
【図10】(A)は、第1の子側演奏処理を示すフローチャート(その2)、(B)は、第2の子側演奏処理を示すフローチャート
【図11】親側演奏処理を示すフローチャート
【図12】(A)は、該変形例にかかるコネクタの接続部222の形状を示す図、(B)は、該変形例にかかるスティックの断面形状を示す図
【図13】(a)は、スティック長さ・形状テーブルT7を示す図、(B)は送信タイミングテーブルT8を示す図、(C)は発光タイミングテーブルT9を示す図
【符号の説明】
【0169】
1−通信端末
100−自動演奏システム
200−枠組み(本願発明の立体)
210−スティック状ブロック
220−コネクタ
221−タクトスイッチ(本願発明の操作子)
222−接続部
320−演奏装置
326−音源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブロックを組み立てて構成された立体であって、該立体の組み立て形状を取得して該形状に応じた発音指示信号を生成し、通信手段を介して該信号を送信する通信機能を有する通信端末を備えたものと、
前記通信端末との前記通信手段を介した通信機能を備え、該通信端末から前記発音指示信号を受信したときに該発音指示信号に応じた音高及び発音タイミングで演奏を行う演奏装置と、
を備えた自動演奏システム。
【請求項2】
前記立体は、前記複数のブロックがコネクタを介して接続されてなり、
前記通信端末は、前記立体におけるコネクタの位置に応じた発音タイミングを示す発音指示信号を前記演奏装置に送信し、
前記演奏装置は、該発音指示信号の示す発音タイミングで演奏を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動演奏システム。
【請求項3】
前記立体は、操作子を有する複数のコネクタを備え、該各コネクタを介して前記複数のブロックが組み合わされてなり、
前記通信端末は各コネクタに設けられ、
前記演奏装置及び他の通信端末との通信を行う通信部と、
前記操作子の押下乃至は通信部による発音トークンの受信があったときに、前記通信部を用いて前記演奏装置に対して発音指示信号を送信し、同じブロックに接続された他のコネクタに対応する通信端末に対して所定のタイミングで発音トークンを送信する通信制御部と、を有し、
前記演奏装置は発音指示信号の入力があったときに発音を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の自動演奏システム。
【請求項4】
前記各コネクタは、接続角度が変更自在になるように前記ブロックを接続するための接続部を備え、
前記通信端末は、対応するコネクタの接続部に接続された前記ブロックの接続角度を検出し、該接続角度に応じた発音指示信号を前記演奏装置に送信し、
前記演奏装置は、該発音指示信号を受信したときに、前記接続角度に応じた音高で発音する、
ことを特徴とする請求項3に記載の自動演奏システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の自動演奏システムに用いられる通信端末。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかに記載の自動演奏システムに用いられるブロック。
【請求項7】
請求項1〜4の何れかに記載の自動演奏システムに用いられる演奏装置。
【請求項1】
複数のブロックを組み立てて構成された立体であって、該立体の組み立て形状を取得して該形状に応じた発音指示信号を生成し、通信手段を介して該信号を送信する通信機能を有する通信端末を備えたものと、
前記通信端末との前記通信手段を介した通信機能を備え、該通信端末から前記発音指示信号を受信したときに該発音指示信号に応じた音高及び発音タイミングで演奏を行う演奏装置と、
を備えた自動演奏システム。
【請求項2】
前記立体は、前記複数のブロックがコネクタを介して接続されてなり、
前記通信端末は、前記立体におけるコネクタの位置に応じた発音タイミングを示す発音指示信号を前記演奏装置に送信し、
前記演奏装置は、該発音指示信号の示す発音タイミングで演奏を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動演奏システム。
【請求項3】
前記立体は、操作子を有する複数のコネクタを備え、該各コネクタを介して前記複数のブロックが組み合わされてなり、
前記通信端末は各コネクタに設けられ、
前記演奏装置及び他の通信端末との通信を行う通信部と、
前記操作子の押下乃至は通信部による発音トークンの受信があったときに、前記通信部を用いて前記演奏装置に対して発音指示信号を送信し、同じブロックに接続された他のコネクタに対応する通信端末に対して所定のタイミングで発音トークンを送信する通信制御部と、を有し、
前記演奏装置は発音指示信号の入力があったときに発音を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の自動演奏システム。
【請求項4】
前記各コネクタは、接続角度が変更自在になるように前記ブロックを接続するための接続部を備え、
前記通信端末は、対応するコネクタの接続部に接続された前記ブロックの接続角度を検出し、該接続角度に応じた発音指示信号を前記演奏装置に送信し、
前記演奏装置は、該発音指示信号を受信したときに、前記接続角度に応じた音高で発音する、
ことを特徴とする請求項3に記載の自動演奏システム。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の自動演奏システムに用いられる通信端末。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかに記載の自動演奏システムに用いられるブロック。
【請求項7】
請求項1〜4の何れかに記載の自動演奏システムに用いられる演奏装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−248511(P2007−248511A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67839(P2006−67839)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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