説明

自動給水装置

【課題】発電機の回転数に基づいて電磁弁を閉じるタイミングを制御する構成において、正確に定量吐水を行う。
【解決手段】使用者の動作を検知する人体感知センサ23と、通水路の開閉を行うための電磁弁20と、羽根車31を有する発電機30と、発電された電力を蓄えるキャパシタ25と、キャパシタ25に蓄えられた電力を用いて、人体感知センサ23の出力信号に基づく電磁弁20の開閉制御および羽根車31の回転数のカウントを行うコントローラ22と、洗浄水温度を検出するサーミスタ40とを備え、コントローラ22は、人体感知センサ23により使用者の動作が検知された後に電磁弁20を開弁する開弁制御、および電磁弁20を開弁した後の羽根車31の回転数に基づいて電磁弁20の閉弁タイミングを決定して電磁弁20を閉弁する閉弁制御を行うとともに、サーミスタ40によって検出される洗浄水温度に基づき、閉弁タイミングの補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水洗便器に流される洗浄水等として規定量の水を自動的に吐水させる自動給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水洗便器や洗面台等の水回りに備えられて規定量の水を自動的に吐水させる自動給水装置が知られている。例えば、水洗便器に流される洗浄水用の自動給水装置によれば、便器の使用者の人体がセンサにて感知され、その人体が便器から離れたことが検出されると、人体の感知時間の長さによって大洗浄・小洗浄が判別され、規定量の水が洗浄水として吐水させられる。自動給水装置における水の吐水・止水は、センサからの出力に基づいて制御される電磁弁の開閉により行われる。
【0003】
このような自動給水装置においては、電磁弁を閉じるタイミング、つまり止水するタイミングが、吐水が開始されてからの時間によって制御されると、無駄に多くの洗浄水が流れたり、逆に少ない量でしか洗浄水が流れなかったりする等、吐水量の過不足が生じることがある。こうした現象は、水洗便器等の設置現場によって給水圧力が異なるために自動給水装置に供給される水の瞬間流量(単位時間当たりの流量)が異なること等に起因する。
【0004】
そこで、自動給水装置において、水洗便器等の設置現場による瞬間流量のばらつき等にかかわらず定量吐水(規定量の水の供給)を行うための技術として、自動給水装置内に水の流量を計測するための流量計を設け、この流量計による計測値に基づいて定量吐水を行う技術がある(例えば、特許文献1。)。また、自動給水装置としては、エコロジーの観点等から、特許文献1にも記載されているように、自動給水装置内を流れる水の作用を受けて発電する発電機を組み込んだ自己発電式のものが知られている。
【0005】
しかし、自己発電式の自動給水装置において、定量吐水を行うために流量計を備える構成が採用されると、流量計および発電機が装置内に組み込まれるため、装置本体が大型化してしまうという問題がある。そこで、定量吐水を行うための技術として、電磁弁を閉じるタイミングを決定するための水の流量を、発電機の回転数に基づいて検出することで、流量計を不要とするものがある(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2には、発電機の回転数に係る出力としてのパルス信号を読み取り、このパルス信号のカウント数が一定の値に達することで電磁弁を閉じる制御を行う技術が開示されている。しかし、発電機の回転数に基づいて電磁弁を閉じるタイミングが制御される場合、次のような問題がある。
【0006】
すなわち、自動給水装置に備えられる発電機は、自動給水装置内を流れる水の作用を受けて回転する羽根車と、この羽根車の回転にともなって回転する磁石と、この磁石の周りに設けられるコイルとを有し、羽根車の回転により発電する。このため、季節等によって給水温度(自動給水装置に供給される水の温度)が変化すると、水の粘度(粘性)や磁石の磁力等が変化し、羽根車の回転にともなって羽根車が水から受ける抵抗や磁石を介してコイルから受ける抵抗が変化する。羽根車の水やコイルから受ける抵抗が変化すると、発電機の回転数が変動する。発電機の回転数の変動は、発電機の回転数に基づく電磁弁の制御に影響する。つまり、電磁弁を閉じるタイミングが発電機の回転数に基づいて制御される構成においては、自動給水装置に供給される水の瞬間流量が同じであったとしても、給水温度の変化によって、発電機の回転数が変動し、実際に吐水される水の過不足が生じる場合があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−146735号公報
【特許文献2】実開昭63−176168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、発電機の回転数に基づいて電磁弁を閉じるタイミングを制御する構成において、正確に定量吐水を行うことができる自動給水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の自動給水装置は、使用者の動作に基づいて自動的に吐水を行う自動給水装置であって、前記使用者の動作を検知する検知手段と、吐水される水の通路である通水路の開閉を行うための電磁弁と、前記通水路を流れる水の作用を受けて回転する羽根車を有し、該羽根車の回転により発電する発電機と、該発電機により発電された電力を蓄える蓄電手段と、該蓄電手段に蓄えられた電力を用いて、前記検知手段の出力信号に基づく前記電磁弁の開閉の制御および前記羽根車の回転数のカウントを行う制御回路と、前記通水路中の水の温度を検出する水温検出手段と、を備え、前記制御回路は、前記検知手段により前記使用者の動作が検知された後に前記電磁弁を開弁する開弁制御、および該開弁制御により前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定して該タイミングに従って前記電磁弁を閉弁する閉弁制御を行うとともに、前記水温検出手段によって検出される前記通水路中の水の温度に基づき、前記閉弁制御における前記タイミングの補正を行うものである。このような構成により、羽根車の回転数だけでなく、羽根車の回転数の変動の原因となる羽根車の回転抵抗の変化を生じさせる水温の変化も加味されて電磁弁を閉じるタイミングが決定されるので、発電機の回転数に基づいて電磁弁を閉じるタイミングを制御する構成において、正確に定量吐水を行うことができる。
【0010】
また、本発明の自動給水装置は、使用者の動作に基づいて自動的に吐水を行う自動給水装置であって、前記使用者の動作を検知する検知手段と、吐水される水の通路である通水路の開閉を行うための電磁弁と、前記通水路を流れる水の作用を受けて回転する羽根車、該羽根車の回転にともなって回転する磁石、および該磁石の周りに設けられるコイルを有し、前記羽根車の回転により発電する発電機と、該発電機により発電された電力を蓄える蓄電手段と、該蓄電手段に蓄えられた電力を用いて、前記検知手段の出力信号に基づく前記電磁弁の開閉の制御および前記羽根車の回転数のカウントを行う制御回路と、前記コイルの抵抗値を検出するコイル抵抗検出手段と、を備え、前記制御回路は、前記検知手段により前記使用者の動作が検知された後に前記電磁弁を開弁する開弁制御、および該開弁制御により前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定して該タイミングに従って前記電磁弁を閉弁する閉弁制御を行うとともに、前記コイル抵抗検出手段によって検出される前記コイルの抵抗値に基づき、前記閉弁制御における前記タイミングの補正を行うものである。このような構成により、羽根車の回転数だけでなく、羽根車の回転数の変動の原因となる羽根車の回転抵抗の変化を生じさせる水温の変化が、水温により変化する磁石の磁力変化にともなって変化するコイルの抵抗値として加味されて電磁弁を閉じるタイミングが決定されるので、発電機の回転数に基づいて電磁弁を閉じるタイミングを制御する構成において、正確に定量吐水を行うことができる。
【0011】
また、本発明の自動給水装置は、使用者の動作に基づいて自動的に吐水を行う自動給水装置であって、前記使用者の動作を検知する検知手段と、吐水される水の通路である通水路の開閉を行うための電磁弁と、前記通水路を流れる水の作用を受けて回転する羽根車、該羽根車の回転にともなって回転する磁石、および該磁石の周りに設けられるコイルを有し、前記羽根車の回転により発電する発電機と、該発電機により発電された電力を蓄える蓄電手段と、該蓄電手段に蓄えられた電力を用いて、前記検知手段の出力信号に基づく前記電磁弁の開閉の制御および前記羽根車の回転数のカウントを行う制御回路と、を備え、前記発電機は、前記通水路中の水の温度の変化にともなう前記羽根車の回転抵抗の変化を相殺する方向へ前記磁石および前記コイルの少なくともいずれかを移動させることで、前記磁石および前記コイルの相対的な位置関係を変化させる移動手段をさらに有し、前記制御回路は、前記検知手段により前記使用者の動作が検知された後に前記電磁弁を開弁する開弁制御、および該開弁制御により前記電磁弁を開弁した後の、前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定して該タイミングに従って前記電磁弁を閉弁する閉弁制御を行うものである。このような構成により、水温の変化に応じて、磁石およびコイルの少なくともいずれかが羽根車の回転数の変動を相殺する方向に移動し、羽根車の回転数が自動的に補正されるので、発電機の回転数に基づいて電磁弁を閉じるタイミングを制御する構成において、正確に定量吐水を行うことができる。
【0012】
好ましくは、前記移動手段は、前記通水路中の水の温度の変化にともなって伸縮する感温部材を有し、該感温部材の伸縮を用いて、前記磁石および前記コイルの相対的な位置関係を変化させるものである。このような構成により、移動手段を簡単な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発電機の回転数に基づいて電磁弁を閉じるタイミングを制御する構成において、正確に定量吐水を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動給水装置の適用例を示す図。
【図2】本発明の一実施形態に係る自動給水装置の構成を示す模式図。
【図3】本発明の一実施形態に係る発電機の構成を示す断面図。
【図4】水洗便器の洗浄についてのフロー図。
【図5】本発明の他の実施形態に係る自動給水装置の構成を示す模式図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る発電機の構成を示す断面図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る発電機の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、発電機の回転数に基づいて止水タイミングを制御する構成において、発電機の回転数を変動させる水温の変化に応じて、止水タイミングの補正を行うことで、定量吐水の精度を向上しようとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に説明する本発明の実施の形態においては、本発明に係る自動給水装置が、水洗便器に流される洗浄水について適用される場合を例として説明する。
【0016】
まず、本発明の第一実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態の自動給水装置1は、水洗便器2の使用者(以下単に「使用者」という。)の動作に基づいて自動的に吐水を行う。つまり、自動給水装置1は、使用者の動作に基づいて、給水管3を介して供給される水を水洗便器2の洗浄水として自動的に吐水させる。
【0017】
給水管3によって供給される水は、止水栓4を介して流入管5によって自動給水装置1に流れ込む。自動給水装置1から吐水される洗浄水は、水洗便器2に接続される流出管6を介して水洗便器2に流れ込む。なお、自動給水装置1が適用される水洗便器としては、図1に示すような腰掛式の便器のほか、小便器であってもよい。
【0018】
図2に示すように、本実施形態の自動給水装置1は、装置本体10を、略直方体状の外形を有するケーシング11内に備える。装置本体10は、流入管5(図1)が接続される入水口12を形成するとともに、流出管6(図1)が接続される出水口13を形成する。
【0019】
すなわち、装置本体10においては、給水管3(図1)から供給される水が流入管5を介して入水口12から流れ込み(矢印A1参照)、装置本体10内に形成される水の通路を通って、出水口13から流れ出て(矢印A2参照)、流出管6を介して水洗便器2(図1)へと供給される。このように、本実施形態の自動給水装置1は、吐水される水の通路である通水路(以下単に「通水路」という。)として、装置本体10において入水口12と出水口13との間に形成される水の通路を有する。
【0020】
装置本体10においては、入水口12の下流側に、ピストンバルブ14が設けられている。ピストンバルブ14は、通水路内において上下方向(水洗便器2が設置される床面に対して略垂直方向)に移動可能に設けられる。ピストンバルブ14には、装置本体10においてピストンバルブ14の摺動面として形成される壁面とピストンバルブ14との間をシールするパッキン14aが設けられる。以下の説明では、ピストンバルブ14の移動方向である上下方向(図2における上下方向)を、自動給水装置1における上下方向とする。
【0021】
装置本体10においては、ピストンバルブ14の上側に、背圧室15が形成されている。背圧室15は、ピストンバルブ14の内部に形成される連通路16を介して入水口12と連通する。また、装置本体10においては、ピストンバルブ14の下側に、二次側水路17が形成されている。二次側水路17に流れ込む水は、出水口13から流れ出る。入水口12と二次側水路17とは、下端位置にあるピストンバルブ14によって非連通状態となり、ピストンバルブ14が上昇することで連通状態となる。
【0022】
背圧室15は、互いに並列に設けられる第一バイパス流路18および第二バイパス流路19を介して二次側水路17に連通する。第一バイパス流路18には、電磁弁20が設けられている。電磁弁20は、第一バイパス流路18の開閉を行う。つまり、電磁弁20の開閉により、第一バイパス流路18を介する背圧室15と二次側水路17との連通状態・非連通状態が切り換えられる。
【0023】
また、第二バイパス流路19には、手動弁21が設けられている。手動弁21は、第二バイパス流路19の開閉を行う。つまり、手動弁21の開閉により、第二バイパス流路19を介する背圧室15と二次側水路17との連通状態・非連通状態が切り換えられる。手動弁21は、ケーシング11の外側からボタン等の操作部によって手動での開閉操作が可能に構成される補助洗浄用の開閉弁である。
【0024】
このような構成を備える装置本体10においては、次のようにして、水洗便器2に対する洗浄水の供給が行われる。すなわち、電磁弁20および手動弁21がいずれも閉じている状態においては、給水管3から流入管5を介して入水口12に流れ込む水が、ピストンバルブ14の連通路16を介して、電磁弁20および手動弁21の上流側の背圧室15に流れ込み、背圧室15内に溜まる。
【0025】
背圧室15内に水が溜まることにより、背圧室15内の水圧によって背圧室15内の圧力が二次側水路17内の圧力よりも高くなってピストンバルブ14が押し下げられ、入水口12と二次側水路17との間がピストンバルブ14によって閉じられる(非連通状態となる)。つまり、電磁弁20および手動弁21が閉じている状態においては、入水口12から流れこむ水が電磁弁20、手動弁21、およびピストンバルブ14によってせき止められ、出水口13からの吐水は行われない。
【0026】
このように入水口12と二次側水路17との間がピストンバルブ14によって閉じられている状態から、電磁弁20が開状態とされると、背圧室15内の水が第一バイパス流路18を介して二次側水路17に流れ込む。これにより、背圧室15内の圧力が低下することによって入水口12に滞留していた水がピストンバルブ14に設けられているパッキン14aを押し上げ、これにともなってピストンバルブ14が上昇(背圧室15側に移動)する。ピストンバルブ14が上昇することで、入水口12と二次側水路17とが連通状態となり、入水口12に流れ込む水が、二次側水路17へと流れ、出水口13から流れ出て水洗便器2に供給される。
【0027】
そして、電磁弁20が開弁されることで出水口13から水が流れ出ている状態から、電磁弁20が閉状態とされることで、入水口12から流れ込む水は、ピストンバルブ14の連通路16を介して背圧室15に流れ込み、背圧室15に溜まり始める。これにより、背圧室15内の圧力が上昇するとともに二次側水路17内の圧力が低下し、ピストンバルブ14が押し下げられ、最終的には入水口12と二次側水路17との間がピストンバルブ14によって閉じられる。つまり、出水口13からの吐水が行われない止水状態となる。
【0028】
このように、本実施形態の自動給水装置1が備える電磁弁20は、通水路の開閉を行うための開閉弁であり、電磁弁20の開閉によって、通水路の開閉、つまり自動給水装置1の吐水状態と止水状態とが切り換わる。なお、手動操作によって行われる手動弁21の開閉によっても、電磁弁20の場合と同様にして、通水路の開閉が切り換わる。
【0029】
すなわち、入水口12と二次側水路17との間がピストンバルブ14によって閉じられている状態から、手動弁21が開状態とされると、背圧室15内の水が第二バイパス流路19を介して二次側水路17に流れ込む。これにより、背圧室15内の圧力が低下することで入水口12内に滞留していた水によってピストンバルブ14が上昇し、入水口12に流れ込む水が、二次側水路17へと流れ、出水口13から流れ出て水洗便器2に供給される。そして、手動弁21が開弁されることで出水口13から水が流れ出ている状態から、手動弁21が閉状態とされることで、入水口12から流れ込む水が背圧室15に溜まり始め、背圧室15内と二次側水路17内との圧力差によってピストンバルブ14が押し下げられ、入水口12と二次側水路17との間がピストンバルブ14によって閉じられる。
【0030】
装置本体10に設けられる電磁弁20の開閉は、ケーシング11内において装置本体10の上方に設けられるコントローラ22によって制御される。電磁弁20は、コントローラ22に接続され、コントローラ22からの制御信号に従って第一バイパス流路18の開閉を電気的に行う。
【0031】
また、自動給水装置1は、使用者の動作を感知する人体感知センサ23を備える。人体感知センサ23は、ケーシング11内において、使用者の動作を感知することができるように設けられる。人体感知センサ23は、コントローラ22に接続される。人体感知センサ23から出力される信号が、コントローラ22に入力され、人体感知センサ23によって感知された使用者の動作が、コントローラ22によって検知される。
【0032】
本実施形態では、人体感知センサ23は、水洗便器2を使用している状態にある使用者の人体を感知する。つまり、人体感知センサ23は、自動給水装置1による給水位置に対する使用者の位置の移動を感知する。したがって、人体感知センサ23からは、使用者の人体の有無についての信号が出力される。そして、コントローラ22は、人体感知センサ23による人体感知時間(人体感知センサ23よって人体が検出されている時間)により、大洗浄・小洗浄を判別する。コントローラ22は、例えば、人体検知時間があらかじめ設定された基準の時間よりも長い場合は大洗浄と判断し、逆に基準の時間よりも短い場合は小洗浄と判断する。
【0033】
このように、本実施形態の自動給水装置1においては、人体感知センサ23が、使用者の動作を検知する検知手段として機能する。なお、人体感知センサ23による感知する対象としての使用者の動作には、自動給水装置1による給水位置に対する使用者の位置の移動のほか、例えば、使用者によるスイッチ操作、センサへの手かざし等が含まれる。
【0034】
また、自動給水装置1は、装置本体10において、自己発電を行うため、通水路を流れる水の作用を受けて発電する発電機30を備える。発電機30は、装置本体10において二次側水路17に設けられる。つまり、発電機30は、二次側水路17を流れる水を利用して発電を行う。
【0035】
図3に示すように、発電機30は、通水路を流れる水の作用を受けて回転する羽根車31を有し、この羽根車31の回転により発電する。発電機30は、装置本体10に対して着脱可能なユニットとして構成される。具体的には、発電機30においては、羽根車31は、略筒状に構成されるハウジング32に収容された状態で、回転可能に支持される。そして、発電機30は、ハウジング32の部分が装置本体10に形成される支持孔10aに嵌め込まれた状態で、装置本体10に対して支持される。このように、発電機30においては、羽根車31を支持するハウジング32の部分が、装置本体10に対して着脱される。
【0036】
羽根車31は、略筒状に構成されるハウジング32においてハウジング32の筒軸方向に沿うように架け渡された状態で設けられる支持軸33に支持される。支持軸33は、ハウジング32に対して固定された状態で支持される。つまり、羽根車31は、ハウジング32に対して固定された状態で支持される支持軸33に対して回転可能に支持されることで、ハウジング32内において回転可能に支持される。
【0037】
羽根車31は、支持軸33に支持される部分であって略円筒状に形成される基部31aと、この基部31aの外周側に形成される複数の羽根31bとを有する。複数の羽根31bは、基部31aの周方向に隣り合う羽根31bとの関係において水を通過させるための間隔を隔てて設けられる。
【0038】
発電機30は、羽根車31の回転にともなって回転する磁石34と、磁石34の周りに設けられるコイル35とを有する。磁石34は、羽根車31と一体的に形成される回転支持部36に支持されることで、羽根車31と一体的に回転するように設けられる。コイル35は、環状に形成され、その内部に磁石34が位置するように、ハウジング32対して支持された状態で設けられる。
【0039】
回転支持部36は、筒軸方向が支持軸33の軸心方向と一致するように形成される略円筒状の外形を有する部分であり、環状のコイル35の内部に突出するように形成される円筒状の部分である磁石支持部36aの外周面部に磁石34を支持する。コイル35は、磁石支持部36aに支持される磁石34の周りを円周方向に沿って囲むように設けられる。このように、発電機30においては、磁石34およびコイル35は、環状に形成されるコイル35に対して内周側から磁石34が対向するように配置される。
【0040】
発電機30は、装置本体10に対して、ハウジング32内における羽根車31を支持する空間が二次側水路17に対して開放されるように設けられる。つまり、発電機30は、二次側水路17内から出水口13に流れ出る水がハウジング32内における羽根車31を支持する空間に流れ込み羽根車31を回転させるような状態で、装置本体10に対して支持される。このため、ハウジング32には、羽根車31を支持する空間を二次側水路17に対して開放させるための開口部32aが形成されている。
【0041】
このように構成される発電機30においては、二次側水路17に流れ込む水がハウジング32内に流れ込んで羽根車31の羽根31bに衝突することで、羽根車31が回転させられる。羽根車31が回転することで、羽根車31とともに回転する磁石34がコイル35に作用することにより、コイル35が磁石34から受ける磁力が変化して電流が発生し、発電が行われる。
【0042】
発電機30によって発電された電力は、コントローラ22に内蔵されるキャパシタ25に充電される。キャパシタ25に蓄えられた電気エネルギーは、コントローラ22の駆動に使用されるとともに、自動給水装置1における電磁弁20や人体感知センサ23等の各部に供給される。また、自動給水装置1は、キャパシタ25に電力を供給するための補助電池26を備える。補助電池26は、キャパシタ25に対するバックアップ用の電池であり、自動給水装置1の使用開始時や長期間にわたって発電機30による発電が行われていない状態においてキャパシタ25に電力を供給する。このように、本実施形態の自動給水装置1においては、キャパシタ25が、発電機30により発電された電力を蓄える蓄電手段として機能する。
【0043】
コントローラ22は、キャパシタ25に蓄えられた電力を用いて、人体感知センサ23の出力信号に基づく電磁弁20の開閉の制御を行う。コントローラ22は、前記のとおり人体感知センサ23から出力される使用者の人体の有無についての信号に基づき、所定のタイミングで電磁弁20の開弁および閉弁を行う。
【0044】
また、コントローラ22は、キャパシタ25に蓄えられた電力を用いて、発電機30における羽根車31の回転数(以下「羽根車回転数」という。)のカウントを行う。コントローラ22は、羽根車31にともなって磁石34が回転することで生じるパルス信号に基づいて、羽根車回転数を計測する。
【0045】
具体的には、磁石34は、回転支持部36において、羽根車31に連動する回転にともなって周期的に変化する磁界を形成するように設けられる。これにより、羽根車31とともに回転する磁石34がコイル35に作用することで、コイル35において周期的なパルス信号が発生する。コントローラ22は、羽根車31の回転にともなってコイル35において発生する周期的なパルス信号を読み取り、読み取ったパルス信号の単位時間あたりの数(パルス数)から、羽根車回転数を計測する。
【0046】
このように、本実施形態の自動給水装置1においては、コントローラ22が、キャパシタ25に蓄えられた電力を用いて、人体感知センサ23の出力信号に基づく電磁弁20の開閉の制御および羽根車回転数のカウントを行う制御回路として機能する。なお、羽根車回転数をカウントするための構成は、本実施形態に限定されない。したがって、羽根車回転数をカウントするための構成としては、ホール素子やロータリエンコーダを含む構成等が採用されてもよい。
【0047】
また、図2に示すように、自動給水装置1は、通水路中の水の温度(以下「洗浄水温度」という。)を検出する水温検出手段としてのサーミスタ40を備える。サーミスタ40は、装置本体10における洗浄水温度を検出することができる位置に設けられる。サーミスタ40は、コントローラ22に接続される。サーミスタ40から出力される検出信号が、コントローラ22に入力され、サーミスタ40によって検出される洗浄水温度が、コントローラ22によって計測される。
【0048】
図2に示すように、本実施形態では、サーミスタ40は、第一バイパス流路18に設けられ、第一バイパス流路18内に存在する水の温度を検出する。なお、サーミスタ40が設けられる位置は、本実施形態に限定されるものではなく、装置本体10における洗浄水温度を検出することができる位置であればよい。
【0049】
以上のような構成を備える自動給水装置1によれば、使用者による水洗便器2の使用にともない、自動的に洗浄水が水洗便器2に供給されることで、水洗便器2の洗浄が行われる。水洗便器2の洗浄は、前述したように、自動給水装置1における吐水前の状態、つまり電磁弁20および手動弁21が閉じている状態から、電磁弁20が開弁されることで水洗便器2に洗浄水が吐水された後、再び電磁弁20が閉弁されることによって行われる。
【0050】
自動給水装置1による水洗便器2の洗浄は、コントローラ22による制御のもと、電磁弁20がある時間のあいだ開状態とされることで行われる。このため、自動給水装置1による水洗便器2の洗浄においては、コントローラ22により、電磁弁20を開く制御、および開いた電磁弁20を所定のタイミングで閉じる制御が行われる。
【0051】
自動給水装置1による水洗便器2の洗浄の一連の流れについて、図4に示すフロー図にしたがって説明する。図4に示すように、自動給水装置1による水洗便器2の洗浄においては、まず、人体感知センサ23によって、使用者の人体が感知される(ステップ(以下「S」と略す。)10)。つまり、使用者の動作が、人体感知センサ23からの出力信号に基づき、コントローラ22によって検知される。
【0052】
ここで、コントローラ22は、前記のとおり人体感知センサ23による人体検知時間によって大洗浄・小洗浄を判別する。コントローラ22による大洗浄・小洗浄の判別の結果は、水洗便器2に供給する洗浄水の水量の調整に用いられる。具体的には、コントローラ22によって大洗浄と判断された場合は、小洗浄と判断された場合との比較において多量の洗浄水が吐水され、各場合について定められた水量が水洗便器2に供給される。水洗便器2に供給される洗浄水の水量の調整は、電磁弁20を開状態に保持する時間、言い換えると開状態とされた電磁弁20を閉状態とするタイミングの調整によって行われる。
【0053】
次に、人体感知センサ23において、使用者の人体の感知が切れる(S20)。つまり、使用者が人体感知センサ23によって感知される位置から離れることで、コントローラ22において使用者が検知されていない状態となる。人体感知センサ23による感知が切れることで、コントローラ22により、電磁弁20が開状態とされ、水洗便器2に対する洗浄水の吐水が開始される(S30)。
【0054】
電磁弁20が開状態とされることにより、背圧室15内の水が第一バイパス流路18を介して二次側水路17に流れ込み、背圧室15内の圧力が急激に低下する。背圧室15内に圧力が急激に低下することで、ピストンバルブ14が上昇する(S40)。つまり、背圧室15内の圧力の低下にともなって、ピストンバルブ14が一次側(止水栓4側)の水圧によって押し上げられる。ピストンバルブ14が上昇することで、入水口12に流れ込む水が二次側水路17へと流れ、出水口13から流れ出て水洗便器2に供給される。このように、コントローラ22は、人体感知センサ23により使用者の動作が検知された後に電磁弁20を開弁する開弁制御を行う。
【0055】
二次側水路17に水が流れることにより、発電機30の羽根車31が回転する(S50)。つまり、電磁弁20が開いている間に二次側水路17内を流れる洗浄水によって羽根車31が回転させられることにより、発電機30による発電が行われる。
【0056】
電磁弁20が開弁状態とされ、水洗便器2に対して洗浄水の供給が行われた後、コントローラ22により、電磁弁20が閉状態とされる(S60)。ここで、コントローラ22は、前述したようにカウントする羽根車回転数に基づいて、電磁弁20を閉弁するタイミング(以下「閉弁タイミング」という。)を決定する。
【0057】
具体的には、コントローラ22は、水洗便器2の洗浄のために電磁弁20を開弁して羽根車回転数が安定した後の一定の時間に羽根車回転数を読み込みカウントする。そして、コントローラ22は、カウントした羽根車回転数に応じて、閉弁タイミングを決定する。つまり、コントローラ22においては、カウントされた羽根車回転数の値に対応して、自動給水装置1に供給される洗浄水の瞬間流量(単位時間当たりの流量)が設定され、その瞬間流量に応じた閉弁タイミングが設定される。これにより、水洗便器2に供給される洗浄水が一定の量とされる。
【0058】
このように、コントローラ22は、開弁制御により電磁弁20を開弁した後の羽根車回転数に基づいて閉弁タイミングを決定してこの閉弁タイミングに従って電磁弁20を閉弁する閉弁制御を行う。コントローラ22は、こうした羽根車回転数に基づく閉弁タイミングの決定を、閉弁制御についての基本的な制御として行う。コントローラ22による閉弁制御の一例を以下に示す。
【0059】
本例は、洗浄水温度が常温(20℃)の場合についてのものである。本例においては、コントローラ22による羽根車回転数のカウントが、電磁弁20の開弁時を基準(時刻t=0.0秒)として、羽根車回転数が安定する、時刻tが0.4秒から0.5秒となるまでの0.1秒間の間に行われる。そして、カウントされた羽根車回転数に応じて、閉弁タイミングが次のように設定される。
【0060】
・羽根車回転数が2000回転(rpm)の場合、瞬間流量が80(L/min)であるとの設定のもと、閉弁タイミングが時刻t=2.2秒と設定される。
・羽根車回転数が3200回転(rpm)の場合、瞬間流量が100(L/min)であるとの設定のもと、閉弁タイミングが時刻t=1.6秒と設定される。
・羽根車回転数が4200回転(rpm)の場合、瞬間流量が120(L/min)であるとの設定のもと、閉弁タイミングが時刻t=1.2秒と設定される。
・羽根車回転数が5800回転(rpm)の場合、瞬間流量が150(L/min)であるとの設定のもと、閉弁タイミングが時刻t=1.0秒と設定される。
【0061】
上記各羽根車回転数の値およびこれに対応する閉弁タイミングは、上記各羽根車回転数の値を基準として区切られる複数の羽根車回転数の範囲、および各範囲に対応する閉弁タイミングとして用いられたり、羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係を表すグラフにおける基準点として用いられたりすることで、羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係を規定する。また、羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係は、上記各羽根車回転数の値およびこれに対応する閉弁タイミングを含むテーブルとして設定されてもよい。このような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係は、コントローラ22においてあらかじめ設定され記憶される。
【0062】
このように、羽根車回転数に応じて閉弁タイミングが設定されることで、規定の水量(例えば6L)の洗浄水が安定して水洗便器2に吐水される。しかし、羽根車回転数は、洗浄水温度が変化することにより、水の粘度(粘性)等の変化に起因して変動する。つまり、洗浄水温度が変化することにより、羽根車回転数と瞬間流量との関係が変化する。したがって、上記のような洗浄水温度が常温(20℃)の場合についての羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係に基づく基本的な制御によれば、洗浄水温度が20℃から変化することにより、水洗便器2に対する吐水量にばらつきが生じることとなる。
【0063】
具体的には、洗浄水温度が低くなると、水の粘度が大きくなるため、羽根車31が回転にともなって水から受ける抵抗が大きくなり、羽根車回転数が減少する。また、洗浄水温度が低くなると、発電機30を構成する磁石34の磁力が強くなるために磁石34のコイル35への吸引力が強くなることからも、羽根車回転数が減少する。逆に、洗浄水温度が高くなると、水の粘度が小さくなることや磁石34の磁力が低下することから、羽根車回転数が増加する。
【0064】
このため、上記のような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係は、洗浄水温度が20℃の場合には定量吐水のために有効となるが、洗浄水温度が20℃よりも低くなると、羽根車回転数が減少するため、上記のような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係によれば、実際に流れる洗浄水の流量に対応する羽根車回転数が少なくカウントされ、閉弁タイミングが遅くなる。言い換えると、洗浄水温度が20℃よりも低くなると、羽根車回転数が減少するため、上記のような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係において羽根車回転数に対応する見かけ上の瞬間流量が実際に流れる洗浄水の流量よりも少なくなり、閉弁タイミングが遅くなる。結果として、洗浄水温度が20℃よりも低くなると、水洗便器2に対する吐水量が過多となる。
【0065】
逆に、洗浄水温度が20℃よりも高くなると、羽根車回転数が増加するため、上記のような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係によれば、実際に流れる洗浄水の流量に対応する羽根車回転数が多くカウントされ、閉弁タイミングが速くなる。言い換えると、洗浄水温度が20℃よりも高くなると、羽根車回転数が増加するため、上記のような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係において羽根車回転数に対応する見かけ上の瞬間流量が実際に流れる洗浄水の流量よりも多くなり、閉弁タイミングが速くなる。結果として、洗浄水温度が20℃よりも高くなると、水洗便器2に対する吐水量が不足する。
【0066】
そこで、コントローラ22は、洗浄水温度の変化に応じて、羽根車回転数に基づいて決定される閉弁タイミングの補正を行う。つまり、コントローラ22は、サーミスタ40によって検出される洗浄水温度に基づき、閉弁制御における閉弁タイミングの補正を行う。
【0067】
具体的には、例えば、洗浄水温度が5℃の場合は、洗浄水温度が20℃の場合との比較において羽根車回転数が減少するため、電磁弁20が開弁している時間が短くなるように、閉弁タイミングを0.1秒速くする補正が行われる。つまり、上記のような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係においては、例えば、羽根車回転数が2000rpmの場合、閉弁タイミングが時刻t=2.1秒と設定される。
【0068】
また、例えば、洗浄水温度が35℃の場合は、洗浄水温度が20℃の場合との比較において羽根車回転数が増加するため、電磁弁20が開弁している時間が長くなるように、閉弁タイミングを0.1秒遅くする補正が行われる。つまり、上記のような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係においては、例えば、羽根車回転数が2000rpmの場合、閉弁タイミングが時刻t=2.3秒と設定される。
【0069】
このように、コントローラ22による閉弁制御においては、サーミスタ40によって検出される洗浄水温度の変化に応じて、羽根車回転数に基づく閉弁タイミングの補正が行われる。つまり、本実施形態に係る閉弁制御は、洗浄水温度の変化にともなう洗浄水の粘度や磁石34の磁力の変化に着目し、サーミスタ40によって検知される洗浄水温度の変化に応じて閉弁タイミングを補正することで、羽根車回転数に基づく閉弁タイミングの制御の精度を向上させようとするものである。
【0070】
したがって、閉弁制御における洗浄水温度に基づく閉弁タイミングの補正においては、洗浄水温度について基準の温度となる常温(20℃)との温度差やこれに対応する閉弁タイミングの補正量等、閉弁タイミングの補正に係る数値等は、自動給水装置1が設置される現場の環境や自動給水装置1の性能等によって適宜設定される。
【0071】
また、閉弁タイミングの補正に際して行われるサーミスタ40の検出値に基づく洗浄水温度の計測は、コントローラ22により、水洗便器2の洗浄工程の前、つまり上記S30において電磁弁20が開状態とされる工程の前における適宜のタイミングで行われる。
【0072】
以上のようにして、上記S60において電磁弁20の閉弁が行われることで、背圧室15内の圧力が上昇するとともに二次側水路17内の圧力が低下し、ピストンバルブ14が下降する(S70)。ピストンバルブ14が下降することで、入水口12と二次側水路17との間がピストンバルブ14によって閉じられ、出水口13からの水洗便器2に対する吐水が停止される。これにより、水洗便器2の洗浄が終了する(S80)。
【0073】
以上のような本実施形態の自動給水装置1によれば、羽根車回転数だけでなく、羽根車回転数の変動の原因となる羽根車31の回転抵抗の変化を生じさせる洗浄水温度の変化も加味されて閉弁タイミングが決定される。このため、洗浄水温度の変化による羽根車31の回転抵抗の変化を閉弁制御に反映させることができ、定量吐水の精度を向上することができる。これにより、水洗便器2において無駄に多くの洗浄水が流れたり、逆に少ない量でしか洗浄水が流れず、洗浄不良になったりする等、水洗便器2に供給される洗浄水の過不足が生じることを防止することができる。このように、本実施形態の自動給水装置1によれば、発電機30の回転数(羽根車回転数)に基づいて閉弁タイミングを制御する構成において、正確に定量吐水を行うことができる。
【0074】
本発明の第二実施形態について説明する。なお、前述の第一実施形態と共通する部分については、同一の符号を用いる等して適宜説明を省略する。
【0075】
本実施形態では、閉弁制御による閉弁タイミングの補正において、洗浄水温度の代わりに、発電機30を構成するコイル35の抵抗値(コイル35を構成する銅線の巻線抵抗値、以下「コイル抵抗値」という。)が用いられる。
【0076】
コイル抵抗値は、洗浄水温度が変化することによって変化する。コイル抵抗値が低いほど、洗浄水温度は低く、コイル抵抗値が高いほど、洗浄水温度は高い。そこで、本実施形態では、コントローラ22は、コイル抵抗値の変化に応じて、羽根車回転数に基づいて決定される閉弁タイミングの補正を行う。
【0077】
そこで、図5に示すように、本実施形態の自動給水装置201は、コイル抵抗値を検出するコイル抵抗検出手段としてのコイル抵抗検出回路45を備える。コイル抵抗検出回路45は、発電機30のコイル35(図3参照)に電気的に接続される。コイル抵抗検出回路45は、コイル35に対して一定の定格電圧を印加する回路部分と、定格電圧の印加時にコイル35に流れる電流を検出する回路部分とを備える。そして、コイル抵抗検出回路45は、コイル35に対して印加する電圧値と、電圧の印加時に検出した電流値とから、コイル抵抗値を算出し、その算出したコイル抵抗値を検出信号として出力する。
【0078】
コイル抵抗検出回路45は、コントローラ22に接続される。コイル抵抗検出回路45から出力される検出信号が、コントローラ22に入力され、コイル抵抗検出回路45によって検出されるコイル抵抗値が、コントローラ22によって検知される。コイル抵抗検出回路45は、ケーシング11内における適宜の位置に設けられる。
【0079】
なお、コイル抵抗検出回路45の構成は、コイル抵抗値を検出することができるものであれば限定されない。コイル抵抗検出回路45の構成としては、例えば、上記構成のほか、コイル35に対して一定の定格電流を供給する回路部分と、定格電流の供給時にコイル35に生じる電圧を検出する回路部分とを備え、コイル35に供給する電流値と、電流の供給時に検出した電圧値とからコイル抵抗値を算出する構成等であってもよい。また、コイル抵抗検出回路45については、コイル抵抗値を検出するための回路構成がコントローラ22に内蔵される構成であってもよい。この場合、コントローラ22が、コイル抵抗値を検出するコイル抵抗検出手段として機能する。
【0080】
このように、コイル抵抗検出回路45を備える構成において、コントローラ22は、コイル抵抗検出回路45によって検出されるコイル抵抗値に基づき、閉弁制御における閉弁タイミングの補正を行う。
【0081】
具体的には、例えば、洗浄水温度が5℃の場合に対応するコイル抵抗値が12.5Ωの場合は、洗浄水温度が20℃の場合に対応するコイル抵抗値13.3Ωとの比較において羽根車回転数が減少するため、電磁弁20が開弁している時間が短くなるように、閉弁タイミングを0.1秒速くする補正が行われる。つまり、上記のような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係においては、例えば、羽根車回転数が2000rpmの場合、閉弁タイミングが時刻t=2.1秒と設定される。
【0082】
また、例えば、洗浄水温度が35℃の場合に対応するコイル抵抗値が14.1Ωの場合は、洗浄水温度が20℃の場合に対応するコイル抵抗値13.3Ωとの比較において羽根車回転数が増加するため、電磁弁20が開弁している時間が長くなるように、閉弁タイミングを0.1秒遅くする補正が行われる。つまり、上記のような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係においては、例えば、羽根車回転数が2000rpmの場合、閉弁タイミングが時刻t=2.3秒と設定される。なお、コイル抵抗値に基づく閉弁タイミングの補正においては、コイル抵抗検出回路45によって検出されたコイル抵抗値が、コントローラ22等において温度に換算されて用いられてもよい。
【0083】
このように、コントローラ22による閉弁制御においては、コイル抵抗検出回路45によって検出されるコイル抵抗値の変化に応じて、羽根車回転数に基づく閉弁タイミングの補正が行われる。つまり、本実施形態に係る閉弁制御は、洗浄水温度と連動して変化するコイル抵抗値の変化にともなう洗浄水の粘度や磁石34の磁力の変化に着目し、コイル抵抗検出回路45によって検知されるコイル抵抗値の変化に応じて閉弁タイミングを補正することで、羽根車回転数に基づく閉弁タイミングの制御の精度を向上させようとするものである。
【0084】
したがって、閉弁制御におけるコイル抵抗値に基づく閉弁タイミングの補正においては、コイル抵抗値について基準の温度となる常温(20℃)に対応する抵抗値との差やこれに対応する閉弁タイミングの補正量等、閉弁タイミングの補正に係る数値等は、自動給水装置201が設置される現場の環境や自動給水装置201の性能等によって適宜設定される。
【0085】
また、閉弁タイミングの補正に際して行われるコイル抵抗検出回路45の検出値に基づくコイル抵抗値の計測は、コントローラ22により、水洗便器2の洗浄工程の前、つまり上記S30において電磁弁20が開状態とされる工程の前における適宜のタイミングで行われる。
【0086】
以上のような本実施形態の自動給水装置201によれば、羽根車回転数だけでなく、羽根車回転数の変動の原因となる羽根車31の回転抵抗の変化を生じさせる洗浄水温度の変化が、洗浄水温度により変化する磁石34の磁力変化にともなって変化するコイル抵抗値として加味されて閉弁タイミングが決定される。このため、洗浄水温度の変化による羽根車31の回転抵抗の変化を閉弁制御に反映させることができ、定量吐水の精度を向上することができる。これにより、水洗便器2に供給される洗浄水の過不足が生じることを防止することができる。このように、本実施形態の自動給水装置201によれば、発電機30の回転数(羽根車回転数)に基づいて閉弁タイミングを制御する構成において、正確に定量吐水を行うことができる。
【0087】
また、本実施形態においては、コイル抵抗検出回路45によって検出されるコイル抵抗値が換算されることで得られる温度を、自動給水装置201における凍結防止に用いることができる。具体的には、例えば、コントローラ22において、コイル抵抗値が換算されることで得られた温度が、0℃または0℃近傍の規定の温度以下であると判断されると、コントローラ22により、電磁弁20が一時的に開状態とされる。ここで、コントローラ22による電磁弁20の開弁制御は、間欠的なものであってもよい。
【0088】
このように、コイル抵抗値に基づいて得られる洗浄水温度が0℃または0℃付近まで低下することで電磁弁20が開かれることにより、洗浄水が凍結する前に一時的にあるいは間欠的に吐水が行われることとなるので、自動給水装置201の通水路において凍結が生じることを防止することができる。これにより、201を含む設備の保護を行うことができる。
【0089】
本発明の第三実施形態について説明する。なお、前述の第一実施形態と共通する部分については、同一の符号を用いる等して適宜説明を省略する。
【0090】
本実施形態では、閉弁制御による閉弁タイミングの補正が、機械的な構成によって実現される。つまり、本実施形態の自動給水装置においては、洗浄水温度の変化にともなって羽根車31の回転抵抗を変化させるような構成が備えられる。そこで、本実施形態の自動給水装置においては、発電機330は、洗浄水温度の変化にともなう羽根車31の回転抵抗の変化を相殺する方向へ磁石34を移動させることで、磁石34およびコイル35の相対的な位置関係を変化させる移動手段を有する。
【0091】
発電機30を構成する磁石34とコイル35との距離が変化することにより、磁石34からコイル35に作用する磁力の強さが変化する。磁石34とコイル35との距離が小さくなるほど、磁石34からコイル35に作用する磁力は強くなり、磁石34とコイル35との距離が大きくなるほど、磁石34からコイル35に作用する磁力は弱くなる。そして、前述したように、磁石34がコイル35に作用させる磁力の強さは、磁石34の35への吸引力との関係から、羽根車31の回転抵抗、つまり羽根車回転数に影響する。そこで、本実施形態においては、洗浄水温度の変化に応じて磁石34とコイル35との相対的な位置関係、つまり互いの間の距離を変化させることにより、閉弁制御による閉弁タイミングの補正が行われる。
【0092】
図6に示すように、本実施形態に係る発電機330は、洗浄水温度の変化にともなって磁石34およびコイル35の相対的な位置関係を変化させるための構成として、ワックスエレメント50を備える。ワックスエレメント50は、洗浄水温度の変化にともなって伸縮する感温部材である。ワックスエレメント50は、羽根車31と磁石34との間に設けられ、羽根車31と磁石34とを連結するとともに、これら羽根車31および磁石34と一体的に回転する。ワックスエレメント50により、コイル35に対して磁石34が移動可能に支持される。
【0093】
ワックスエレメント50は、全体として略筒状の外形を有し、その筒軸方向に沿って支持軸33を貫通させた状態で、支持軸33に支持される。ワックスエレメント50は、羽根車31に固定される部分であるスリーブ部51と、このスリーブ部51に対して筒軸方向におけるコイル35側(図6における左側)に突出するように設けられるピストン部52とを有する。スリーブ部51の内部には、温度変化にともなって体積を膨張・収縮させるサーモワックスが封入されている。ピストン部52は、スリーブ部51内に封入されるサーモワックスの体積変化により、スリーブ部51からの突出量を変化させる。
【0094】
このように、洗浄水温度の変化にともなってピストン部52のスリーブ部51からの突出量の変化により伸縮するワックスエレメント50は、その伸縮にともなって移動する部分であるピストン部52の部分に、磁石34を支持する。磁石34は、略円筒状の外形を有するピストン部52の外周面部に支持される。
【0095】
ワックスエレメント50は、洗浄水温度が低下することにより、スリーブ部51内のサーモワックスが収縮することで、ピストン部52のスリーブ部51からの突出量を減少させる。これにより、磁石34をコイル35から遠ざける(図6において右側に移動させる)。また、ワックスエレメント50は、洗浄水温度が上昇することにより、スリーブ部51内のサーモワックスが膨張することで、ピストン部52のスリーブ部51からの突出量を増加させる。これにより、磁石34をコイル35に近付ける(図6において左側に移動させる)。このように、ワックスエレメント50は、洗浄水温度の変化にともなう伸縮を用いて、磁石34およびコイル35の相対的な位置関係を変化させる。
【0096】
そして、洗浄水温度の変化にともなってワックスエレメント50によって変化させられる磁石34とコイル35との距離の変化量が、同じく洗浄水温度の変化にともなう羽根車回転数の変動が相殺されるように調整される。
【0097】
例えば、洗浄水温度が5℃の場合は、洗浄水温度が20℃の場合との比較において、洗浄水の粘度が大きくなること、および磁石34の磁力が強くなることから羽根車回転数が減少する。そこで、ワックスエレメント50においては、洗浄水温度の変化による磁石34の移動量が、洗浄水温度が5℃の場合に、磁石34がコイル35から遠ざかる方向(図6において右方向)に5mm移動するように設定される。これにより、羽根車回転数を増加させる作用が得られ、洗浄水温度が5℃の場合における羽根車回転数が、洗浄水温度が20℃の場合と同等にされる。
【0098】
また、例えば、洗浄水温度が35℃の場合は、洗浄水温度が20℃の場合との比較において、洗浄水の粘度が小さくなること、および磁石34の磁力が弱くなることから羽根車回転数が増加する。そこで、ワックスエレメント50においては、洗浄水温度の変化による磁石34の移動量が、洗浄水温度が35℃の場合に、磁石34がコイル35に近付く方向(図6において左方向)に5mm移動するように(コイル35の奥に入るように)設定される。これにより、羽根車回転数を減少させる作用が得られ、洗浄水温度が35℃の場合における羽根車回転数が、洗浄水温度が20℃の場合と同等にされる。
【0099】
以上のように、本実施形態においては、洗浄水温度の変化による羽根車回転数の変動が、ワックスエレメント50による磁石34のコイル35に対する移動によって自動的に補正される。つまり、上記のような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係に基づいて閉弁制御についての基本的な制御が行われることで、羽根車回転数に基づく閉弁タイミングが機械的制御によって自動的に補正される。
【0100】
したがって、本実施形態では、コントローラ22は、開弁制御により電磁弁20を開弁した後の、ワックスエレメント50による磁石34およびコイル35の相対的な位置関係の変化にともなって変化する羽根車回転数に基づいて閉弁を決定してこの閉弁タイミングに従って電磁弁20を閉弁する閉弁制御を行う。
【0101】
以上のような本実施形態の自動給水装置によれば、洗浄水温度の変化に応じて、磁石34がコイル35に対して羽根車回転数の変動(羽根車31の回転抵抗)を相殺する方向に移動し、羽根車回転数が自動的に補正される。このため、洗浄水温度の変化による羽根車31の回転抵抗の変化が防止され、定量吐水の精度を向上することができる。これにより、水洗便器2に供給される洗浄水の過不足が生じることを防止することができる。このように、本実施形態の自動給水装置によれば、発電機330の回転数(羽根車回転数)に基づいて閉弁タイミングを制御する構成において、正確に定量吐水を行うことができる。
【0102】
また、本実施形態においては、洗浄水温度の変化にともなう羽根車31の回転抵抗の変化を相殺する方向へ磁石34を移動させることで、磁石34およびコイル35の相対的な位置関係を変化させる移動手段が、感温部材としてのワックスエレメント50によって構成される。これにより、洗浄水温度の変化に応じて磁石34をコイル35に対して移動させるための構成を簡単に実現することができる。なお、本実施形態では、磁石34が移動することによって磁石34とコイル35との相対的な位置関係が変化する構成が採用されているが、コイル35が移動可能に設けられる構成が採用されてもよい。つまり、磁石34およびコイル35の相対的な位置関係を変化させるための構成は、磁石34およびコイル35の少なくともいずれかを、羽根車31の回転抵抗の変化を相殺する方向へ移動させるものであればよい。
【0103】
また、本実施形態においては、磁石34およびコイル35の相対的な位置関係を変化させる感温部材として、形状記憶合金(SMA;Shape Memory Alloy)により構成されるコイルバネが用いられてもよい。感温部材として形状記憶合金のコイルバネを備える構成を、本実施形態に係る発電機の別構成として説明する。
【0104】
図7は、本構成に係る発電機430を示す。本構成に係る発電機430は、羽根車31と一体的に回転する磁石として、支持軸33の軸方向(以下単に「軸方向」という。)に移動不能に設けられる定位置磁石34aと、軸方向に移動可能に設けられる移動磁石34bとを有する。定位置磁石34aおよび移動磁石34bは、いずれも略同径の円柱状または円板状の外形を有し、その中心軸が支持軸33の中心軸と略一致するように、支持軸33を貫通させた状態で設けられる。本構成においては、一個の移動磁石34bに対して二個の定位置磁石34aが軸方向の両側に配置される。
【0105】
定位置磁石34aおよび移動磁石34bは、連結機構37によって連結される。連結機構37は、定位置磁石34aおよび移動磁石34bがいずれも羽根車31と一体的に回転するように、かつ、移動磁石34bが二個の定位置磁石34aの間においての軸方向に沿って移動可能となるよう連結する。移動磁石34bに対して羽根車31側(図7において右側)に位置する定位置磁石34aは、羽根車31に対して固定されることで、羽根車31と一体的に回転する。
【0106】
そして、移動磁石34bと一方の(図7において右側の)定位置磁石34aとの間には、形状記憶合金のコイルバネである感温バネ55が設けられている。感温バネ55は、洗浄水温度の変化によって移動磁石34bに作用させる付勢力を変化させ、移動磁石34bを移動させる。感温バネ55による移動磁石34bに対する付勢力は、洗浄水温度が高くなることによって増加し、洗浄水温度が低くなることによって減少する。
【0107】
また、移動磁石34bと他方の(図7において左側の)定位置磁石34aとの間には、バイアスバネ56が設けられている。このように、移動磁石34bは、感温バネ55およびバイアスバネ56によって軸方向の両側から付勢された状態で支持される。つまり、感温バネ55およびバイアスバネ56によって移動磁石34bに作用する付勢力(押圧力)は、互いに対向し、感温バネ55の付勢力とバイアスバネ56の付勢力とが釣り合う位置に、移動磁石34bが移動する。
【0108】
このように、本構成に係る発電機430は、洗浄水温度の変化にともなって移動磁石34bおよびコイル35の相対的な位置関係を変化させるための構成として、感温バネ55およびバイアスバネ56を含む構成を備える。感温バネ55は、洗浄水温度の変化にともなって伸縮する感温部材であり、バイアスバネ56とともに、洗浄水温度の変化にともなう伸縮を用いて、移動磁石34bおよびコイル35の相対的な位置関係を変化させる。
【0109】
具体的には、洗浄水温度が低下することにより、感温バネ55の付勢力がバイアスバネ56の付勢力を下回ることで、移動磁石34bが感温バネ55の付勢力に抗してコイル35から遠ざかる(図7において右側に移動する)。また、洗浄水温度が上昇することにより、感温バネ55の付勢力がバイアスバネ56の付勢力を上回ることで、移動磁石34bがバイアスバネ56の付勢力に抗してコイル35に近付く(図7において左側に移動する)。
【0110】
このように洗浄水温度の変化にともなって感温バネ55およびバイアスバネ56によって変化させられる移動磁石34bと、コイル35との距離の変化量が、同じく洗浄水温度の変化にともなう羽根車回転数の変動が相殺されるように調整される。
【0111】
例えば、洗浄水温度が5℃の場合は、洗浄水温度が20℃の場合との比較において、洗浄水の粘度が大きくなることならびに定位置磁石34aおよび移動磁石34bの磁力が強くなることから羽根車回転数が減少する。そこで、感温バネ55およびバイアスバネ56においては、洗浄水温度の変化による移動磁石34bの移動量が、洗浄水温度が5℃の場合に、移動磁石34bがコイル35から遠ざかる方向(図7において右方向)に5mm移動するように設定される。これにより、羽根車回転数を増加させる作用が得られ、洗浄水温度が5℃の場合における羽根車回転数が、洗浄水温度が20℃の場合と同等にされる。
【0112】
また、例えば、洗浄水温度が35℃の場合は、洗浄水温度が20℃の場合との比較において、洗浄水の粘度が小さくなることならびに定位置磁石34aおよび移動磁石34bの磁力が弱くなることから羽根車回転数が増加する。そこで、感温バネ55およびバイアスバネ56においては、洗浄水温度の変化による移動磁石34bの移動量が、洗浄水温度が35℃の場合に、移動磁石34bがコイル35に近付く方向(図7において左方向)に5mm移動するように(コイル35の奥に入るように)設定される。これにより、洗浄水温度が35℃の場合における羽根車回転数が、洗浄水温度が20℃の場合と同等にされる。
【0113】
以上のように、本構成においては、洗浄水温度の変化による羽根車回転数の変動が、感温バネ55およびバイアスバネ56による移動磁石34bのコイル35に対する移動によって自動的に補正される。つまり、上記のような羽根車回転数と閉弁タイミングとの関係に基づいて閉弁制御についての基本的な制御が行われることで、羽根車回転数に基づく閉弁タイミングが機械的制御によって自動的に補正される。
【0114】
したがって、本構成では、コントローラ22は、開弁制御により電磁弁20を開弁した後の、感温バネ55およびバイアスバネ56による移動磁石34bおよびコイル35の相対的な位置関係の変化にともなって変化する羽根車回転数に基づいて閉弁を決定してこの閉弁タイミングに従って電磁弁20を閉弁する閉弁制御を行う。
【0115】
以上のような構成が採用されることにより、前述したようなワックスエレメント50を備える構成の場合と同様の効果を得ることができる。なお、移動磁石34bの両側に配置される感温バネ55およびバイアスバネ56については、互いに逆の配置であったり、両方ともに感温バネが用いられたりしてもよい。
【0116】
以上のように、本実施形態に係る閉弁制御は、洗浄水温度の変化によって伸縮する感温部材を用いて磁石34または移動磁石34bをコイル35に対して移動させることにより、洗浄水温度の変化に応じて羽根車回転数を補正することで、羽根車回転数に基づく閉弁タイミングの制御の精度を向上させようとするものである。
【0117】
したがって、本実施形態に係る発電機330または発電機430においては、ワックスエレメント50または感温バネ55およびバイアスバネ56において設定される、洗浄水温度の変化量に対応する磁石34または移動磁石34bの移動量等は、本実施形態の自動給水装置が設置される現場の環境や自動給水装置の性能等によって適宜設定される。
【符号の説明】
【0118】
1 自動給水装置
20 電磁弁
22 コントローラ(制御回路)
23 人体感知センサ(検知手段)
25 キャパシタ(蓄電手段)
30 発電機
31 羽根車
34 磁石
34b 移動磁石
35 コイル
40 サーミスタ(水温検出手段)
45 コイル抵抗検出回路(コイル抵抗検出手段)
50 ワックスエレメント(感温部材)
55 感温バネ(感温部材)
56 バイアスバネ
201 自動給水装置
330 発電機
430 発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の動作に基づいて自動的に吐水を行う自動給水装置であって、
前記使用者の動作を検知する検知手段と、
吐水される水の通路である通水路の開閉を行うための電磁弁と、
前記通水路を流れる水の作用を受けて回転する羽根車を有し、該羽根車の回転により発電する発電機と、
該発電機により発電された電力を蓄える蓄電手段と、
該蓄電手段に蓄えられた電力を用いて、前記検知手段の出力信号に基づく前記電磁弁の開閉の制御および前記羽根車の回転数のカウントを行う制御回路と、
前記通水路中の水の温度を検出する水温検出手段と、を備え、
前記制御回路は、前記検知手段により前記使用者の動作が検知された後に前記電磁弁を開弁する開弁制御、および該開弁制御により前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定して該タイミングに従って前記電磁弁を閉弁する閉弁制御を行うとともに、前記水温検出手段によって検出される前記通水路中の水の温度に基づき、前記閉弁制御における前記タイミングの補正を行う自動給水装置。
【請求項2】
使用者の動作に基づいて自動的に吐水を行う自動給水装置であって、
前記使用者の動作を検知する検知手段と、
吐水される水の通路である通水路の開閉を行うための電磁弁と、
前記通水路を流れる水の作用を受けて回転する羽根車、該羽根車の回転にともなって回転する磁石、および該磁石の周りに設けられるコイルを有し、前記羽根車の回転により発電する発電機と、
該発電機により発電された電力を蓄える蓄電手段と、
該蓄電手段に蓄えられた電力を用いて、前記検知手段の出力信号に基づく前記電磁弁の開閉の制御および前記羽根車の回転数のカウントを行う制御回路と、
前記コイルの抵抗値を検出するコイル抵抗検出手段と、を備え、
前記制御回路は、前記検知手段により前記使用者の動作が検知された後に前記電磁弁を開弁する開弁制御、および該開弁制御により前記電磁弁を開弁した後の前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定して該タイミングに従って前記電磁弁を閉弁する閉弁制御を行うとともに、前記コイル抵抗検出手段によって検出される前記コイルの抵抗値に基づき、前記閉弁制御における前記タイミングの補正を行う自動給水装置。
【請求項3】
使用者の動作に基づいて自動的に吐水を行う自動給水装置であって、
前記使用者の動作を検知する検知手段と、
吐水される水の通路である通水路の開閉を行うための電磁弁と、
前記通水路を流れる水の作用を受けて回転する羽根車、該羽根車の回転にともなって回転する磁石、および該磁石の周りに設けられるコイルを有し、前記羽根車の回転により発電する発電機と、
該発電機により発電された電力を蓄える蓄電手段と、
該蓄電手段に蓄えられた電力を用いて、前記検知手段の出力信号に基づく前記電磁弁の開閉の制御および前記羽根車の回転数のカウントを行う制御回路と、を備え、
前記発電機は、前記通水路中の水の温度の変化にともなう前記羽根車の回転抵抗の変化を相殺する方向へ前記磁石および前記コイルの少なくともいずれかを移動させることで、前記磁石および前記コイルの相対的な位置関係を変化させる移動手段をさらに有し、
前記制御回路は、前記検知手段により前記使用者の動作が検知された後に前記電磁弁を開弁する開弁制御、および該開弁制御により前記電磁弁を開弁した後の、前記羽根車の回転数に基づいて前記電磁弁を閉弁するタイミングを決定して該タイミングに従って前記電磁弁を閉弁する閉弁制御を行う自動給水装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記通水路中の水の温度の変化にともなって伸縮する感温部材を有し、該感温部材の伸縮を用いて、前記磁石および前記コイルの相対的な位置関係を変化させる請求項3に記載の自動給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−64005(P2011−64005A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215876(P2009−215876)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】