説明

自動給茶機

【課題】
茶葉供給部から茶漉しに茶葉が供給される際に、茶葉の微粉末が周囲に拡散することを防止して、機内を清潔に保持して保守管理が容易な自動給茶機を提供する。
【解決手段】
機体1内に、茶葉を収容する茶漉部10と、茶漉部10に茶葉を供給する茶葉供給手段8と、茶漉部10に供給された茶葉に湯を注ぐ注湯部12と、を備えて茶飲料を抽出する自動給茶機であって、茶葉が供給され、またはその供給された茶葉に湯が注がれる状態の茶漉部10を上方から覆うように配置された覆部9と、茶漉部10と覆部9の上下方向の間に外部と通じる開口18を設けた排気部と、排気部に設けられた排気ファン20と、排気ファン20の駆動を制御する制御手段40を備えたことを特徴とする自動給茶機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶漉器に茶葉を収容し、この茶葉に湯を注いで茶飲料を抽出する自動給茶機に関し、特に注湯時に生じる湯気や、茶葉の供給時に飛散する微粉末を外部に排出する排気装置を備えた自動給茶機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の給茶機としては、先に出願公開された特開2000−14552号公報(特許文献1)に記載されるようなものが知られている。ここで、特許文献1に記載される給茶機は、茶葉が収容された茶漉しに向けて湯を吐出することでお茶を抽出する給湯機構と、茶漉しの茶殻を廃棄して茶葉供給部から新たな茶葉を供給する茶葉交換機構とを備えるとともに、注湯位置付近で立ち上がった湯気を引いて外部に排出させる湯気引きファンを設けたものであって、茶葉供給部から茶漉しに対して茶葉が供給される際には湯気引きファンの駆動を停止するファン駆動制御手段が設けられている構成としたものである。
【0003】
これによれば、茶葉供給部から茶漉しに対して茶葉が供給される際に、茶葉の微粉末がその付近に浮遊する可能性があるが、このとき湯気引きファンの駆動を停止することで、浮遊する茶葉の微粉末が空気と共に引かれて、その湯気引き通路上の例えば駆動機構等に入り込むのを防止することができる効果を有する。
【特許文献1】特開2000−14552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載される給茶機においては、茶葉供給部から茶漉しに対して茶葉が供給される際に、湯気引きファンの駆動を停止するから、茶葉の微粉末が駆動機構等に入り込むことが防止されるが、一方で、その付近に浮遊する茶葉の微粉末の一部が湯気引きファンの停止中に拡散して周囲の部品等に付着し、内部を汚してしまう問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に対応するため、茶葉供給部から茶漉しに対して茶葉が供給される際に、その付近に浮遊して生じる茶葉の微粉末が、湯気引きファンの停止中に周囲に拡散することを防止し、その内部を清潔に保持して清掃等の保守管理が容易な自動給茶機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、機体内に、茶葉を収容する茶漉部と、前記茶漉部に茶葉を供給する茶葉供給手段と、前記茶漉部に供給された茶葉に湯を注ぐ注湯部と、を備えて茶飲料を抽出する自動給茶機であって、前記茶葉が供給され、またはその供給された茶葉に湯が注がれる状態の前記茶漉部を上方から覆うように配置された覆部と、前記茶漉部と前記覆部の上下方向の間に外部と通じる開口を設けた排気部と、前記排気部に設けられた排気ファンと、前記排気ファンの駆動を制御する制御手段を備えたものである。
【0007】
これによれば、前記茶葉供給部から前記茶漉部に対して茶葉が供給される際に、その付近に浮遊して生じる茶葉の微粉末を、前記茶漉部を上方から覆うように配置された前記覆部により覆い、その周囲への拡散を防止することができる。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動給茶機において、前記排気部はフィルター部を有し、前記制御手段は、前記茶葉供給手段による前記茶漉部への茶葉の供給開始時に前記排気ファンの駆動を停止し、その後に時間をずらして起動するものである。
【0009】
これによれば、前記茶葉供給部から前記茶漉部に対して茶葉が供給される際に、茶葉の微粉末がその付近に浮遊するが、その際に前記排気ファンの駆動を停止することで、その浮遊する茶葉の微粉末が前記排気部へ引き込まれるのを防止することができる。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の自動給茶において、前記制御手段は、前記注湯部による前記茶漉部内の茶葉への最初の注湯時に前記排気ファンの駆動を停止するものである。
【0011】
これによれば、前記注湯部による前記茶漉部内の茶葉への最初の注湯の際に、茶葉の微粉末がその付近に浮遊するが、その際に前記排気ファンの駆動を停止することで、その茶葉の微粉末が排気部へ引き込まれるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように請求項1に係る発明によれば、この自動給茶機は、茶葉供給部から茶漉部に対して茶葉が供給される際に、その付近に浮遊して生じる茶葉の微粉末を、茶漉部を上方から覆うように配置された覆部により覆い、その茶葉の微粉末の周囲への拡散を防止することができるから、茶葉の微粉末が拡散して周囲の部品等に付着し、内部が広範に汚れることを防止することができる。また、茶葉への注湯時に生じる湯気を拡散しないように覆部で覆い、効率的には排気部を介して外部に排出することができる。これにより、内部の清掃等が簡単で保守管理が容易な自動給茶機を提供することができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明によれば、茶葉供給部から茶漉部に対して茶葉が供給される際に茶葉の微粉末がその付近に浮遊するが、その際に排気ファンの駆動を停止することで、その浮遊する茶葉の微粉末が排気部へ引き込まれるのを防止することができるから、排気部のフィルター部の目詰まりを防止し、茶葉への注湯時に生じる湯気等を排気部を介して効率的に外部に排気することができる。したがって、故障の少ない品質の良い自動給茶機を提供することができる。
【0014】
また、請求項3に係る発明によれば、注湯部による茶漉部内の茶葉への最初の注湯の際に、茶葉の微粉末がその付近に浮遊するが、その際に排気ファンの駆動を停止することで、その茶葉の微粉末が排気部へ引き込まれるのを防止することができるから、上記と同様に排気部のフィルター部の目詰まりを防止し、後の茶葉への注湯時に生じる湯気等を排気部を介して効率的に外部に排気することができる。したがって、故障の少ない品質の良い自動給茶機を同様に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は本発明の自動給茶機の外観を示す斜視図、図2は本発明の自動給茶機において前扉を開放した状態を示す斜視図、図3は本発明の自動給茶機の前扉を取り除いた状態の要部構成を示す正面図、図4は本発明の自動給茶機の要部構成を示す側面断面図である。
【0016】
図に示すようにこの自動給茶機は、前面を開口した本体(機体)1と、本体1前面の開口1aを閉塞する前扉2とを備えている。そして、前扉2の前面には、装置の稼動状態(断水、満水、故障等)を示す状態表示ランプ3や、所望の各種の飲料(茶飲料、冷水、温水等)を選択するための選択ボタ4と、カップ等の容器に供給された各種の飲料を取り出すための取出口5等が設けられている。一方、本体1は、その内部を仕切板7により前後に区分けされ、その仕切板7の前方には開口1aに臨んで、茶飲料を抽出するための茶葉を貯留するキャニスタ部(茶葉供給手段)8と、キャニスタ部8から送出される茶葉を受け溜める茶漉器(茶漉部)10と、茶漉器10の上方を覆う茶漉カバー部(覆部)9と、茶漉器10の茶葉に湯を注ぐための注湯部12と、飲料を収容する容器を載置するベンドステージ15と、ベンドステージ15の下方に配設され排水を集める排水トレイ16等を備えている。また、仕切板7の後方には、水を加熱して貯留する温水タンク11や、温水タンク11内の温水を各部に配給するための配管類、各種の駆動装置、電装部品等が配設されている。
【0017】
茶漉器10と茶漉カバー部9の上下方向の間には、その奥側の仕切板7に外部と通じる開口(排気部)18が設けられている。さらに、この開口18の背面側にはフィルター部19を介して排気ファン20が設けられ、開口18から吸い込まれた空気がダクト28を介して外部に強制的に排気されるように構成されている。
【0018】
図5は茶漉器10とそれを回転駆動する駆動部21を示す斜視図である。図に示すように茶漉器10は、仕切板7を貫通する駆動軸22の前部に取り付けられ、この駆動軸22は仕切板7の背面側に設けられた茶漉駆動装置23に後端部が連結されている。そして、この茶漉器10は茶漉駆動装置23の駆動モータ24により駆動軸22の回りに回転駆動される。
【0019】
図6は、本発明の自動給茶機を構成する要部の制御構成を示す制御ブロック図である。図のように、本発明の自動給茶機は、排気ファン20、茶漉駆動装置23、注湯部12の給湯弁13等の動作を制御する主制御部41を有する制御手段40を備えている。
【0020】
次に、このように構成される本発明の自動給茶機の動作について説明する。先ず、茶漉器10が茶の抽出位置にある(図3に実線で示す)状態で、キャニスタ部8の原料払出モータ8aが駆動され内部に貯留された茶葉が原料シュート17を介して茶漉部10に所定量供給される。この状態で、前扉2の前面に設けられた茶飲料用の選択ボタン4が操作されると、注湯部12の給湯弁13が開かれ、温水タンク11内の湯がその注湯部12から茶漉器10の茶葉に吐出されて茶飲料が抽出される。この茶漉器10から抽出される茶飲料は、さらに茶漉器10の下方のベンドステージ15上に載置されたカップ等の容器に注がれ、顧客により前扉2の取出口5から取り出される。そして、その後に茶飲料用の選択ボタン4が操作される度に、温水タンク11内の湯が茶漉器10の茶葉に吐出されて茶飲料が抽出され、カップ等の容器に注がれる。このようにして茶飲料が繰り返して抽出され、所定回数の茶飲料の抽出が終了すると、次に茶漉器10内の茶葉の交換動作が開始される。先ず、茶漉駆動装置23の駆動モータ24が起動され、茶の抽出位置にある茶漉器10が上方に移動するようにして駆動軸22の回りに回動し、その駆動軸22の反対側において上部開口10aが下方に向いた倒立状態(茶殻廃棄位置)となる(図3に破線で示す)ように駆動される。この状態に置いて、茶漉器10内の茶殻がベンドステージ15の側方に配置された茶殻入れ26に廃棄される。そして、茶漉器10内の茶殻が全て廃棄されると、倒立状態の茶漉器10が上方に移動するようにして再び駆動軸22の回りに回動され、茶の抽出位置にある元の状態に戻される。この状態に置いて、キャニスタ部8の原料払出モータ8aが駆動されその内部に貯留された茶葉が原料シュート17を介して再び茶漉器10に所定量供給される。そして、茶飲料用の選択ボタン4が操作されると、温水タンク11内の湯が注湯部12を介して茶漉器10の乾燥した茶葉に最初に吐出されて、香り豊かで味見の濃い茶飲料が抽出される。
【0021】
ところで、このような自動給茶機の動作において、キャニスタ部8の原料払出モータ8aが駆動され、その内部に貯留された茶葉が原料シュート17を介して茶漉部10に供給されるとき、或いは茶葉がキャニスタ部8から茶漉部10に供給された後に最初に茶飲料用の選択ボタン4が操作されて、温水タンク11内の湯が注湯部12を介して茶漉器10の乾燥した茶葉に吐出されるときは、茶葉の微粉末が茶漉器10から舞い上がってその付近に浮遊する。しかしながら、本発明の実施の形態の自動給茶機においては、茶漉部10を上方から覆うように配置された茶漉カバー部9を備えるので、茶漉部10から舞い上がった茶葉の微粉末が周囲に拡散することを防止することができる。また、茶葉への注湯時に生じる湯気を拡散しないように茶漉カバー部9で覆い、効率的に仕切板7に設けた開口18を介して外部に排出することができる。したがって、茶葉の微粉末が拡散して周囲の部品等に付着し、内部が広範に汚れることを防止することができる。すなわち、これにより、内部の清掃等が簡単で保守管理が容易な自動給茶機を提供することができる。なお、茶漉カバー部9は、茶漉器10を周囲から覆うようにその天井周囲に囲いを設けて形成すれば好都合である。
【0022】
また、本実施の形態の自動給茶機においては、図7(a)に示すタイムチャートのようにキャニスタ部8の原料払出モータ8aが駆動され、その内部に貯留された茶葉が原料シュート17を介して茶漉部10に供給されるときは、制御手段40は、茶葉の微粉末が浮遊する間は排気用の排気ファン20の駆動を停止し、その茶葉の浮遊状態が終息した後に時間をずらして起動する。これによれば、キャニスタ部8から茶漉部10に対して茶葉が供給される際に、茶葉の微粉末がその付近に浮遊するが、その際に排気ファン20の駆動を停止することで、その浮遊する茶葉の微粉末が仕切板7の開口18へ引き込まれるのを防止することができる。したがって、その開口18の背面側に設けられたフィルター部19の目詰まりを防止し、茶葉への注湯時に生じる湯気等を仕切板7の開口18を介して効率的に外部に排気することができる。これにより、故障の少ない品質の良い自動給茶機を提供することができる。
【0023】
また、本実施の形態の自動給茶機においては、図7(b)に示すタイムチャートのように、制御手段40は、注湯部12の給湯弁13を開いて温水タンク11の湯を茶漉部10内の乾燥した茶葉へ最初に注湯する際に排気ファン20の駆動を停止する。これによれば、注湯部12による茶漉部10内の乾燥した茶葉への最初の注湯の際に、茶葉の微粉末がその付近に浮遊するが、その際に排気ファン18の駆動をその浮遊状態が終息するまで停止することで、その茶葉の微粉末が仕切板7の開口18へ引き込まれるのを防止することができる。したがって、同様に開口18の背面側に設けられたフィルター部19の目詰まりを防止し、後の茶葉への注湯時に生じる湯気等をその開口18を介して効率的に外部に排気することができる。したがって、故障の少ない品質の良い自動給茶機を同様に提供することができる。
【0024】
なお、本発明は、言うまでもなく本実施の形態に示す装置にのみ限定されず、その趣旨の包含する範囲で応用変更が可能である。例えば、茶漉器10を上方から覆う茶漉カバー部9の形状は、茶葉を収容するキャニスタ部8や、原料シュート17、注湯部12の配置や、茶葉を受け入れ、または廃棄する茶漉器10の稼動範囲等に応じて適宜に変更して良い。また、茶漉器10への茶葉の供給の際、あるいは茶漉器10の茶葉への最初の注湯の際に停止する排気ファンのその後の駆動は、実施形態に応じて茶葉の微粉末の浮遊が収束する適当な時間後に行うことできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の自動給茶機の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の自動給茶機において前扉を開放した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の自動給茶機の前扉を取り除いた状態の要部構成を示す正面図である。
【図4】本発明の自動給茶機の要部構成を示す側面断面図である。
【図5】本発明の自動給茶機の茶漉器とそれを回転駆動する駆動部を示す斜視図である。
【図6】本発明の自動給茶機を構成する要部の制御構成を示す制御ブロック図である
【図7】本発明の自動給茶機の制御手段による排気ファンの制御を示すタイムチャートであって、(a)はキャニスタ部の原料払出モータを駆動して茶漉部へ茶葉原料を供給するとき、(b)は茶漉部の茶葉へ注湯部の給湯弁を開いて最初に注湯するときのそれぞれの排気ファンの運転状況を示す。
【符号の説明】
【0026】
1 本体(機体)
2 前扉
4 選択ボタン
5 取出口
8 キャニスタ部(茶葉供給手段)
9 茶漉カバー部(覆部)
10 茶漉器(茶漉部)
12 注湯部
13 給湯弁
18 開口(排気部)
19 フィルター部
20 排気ファン
23 茶漉駆動装置
40 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体内に、茶葉を収容する茶漉部と、前記茶漉部に茶葉を供給する茶葉供給手段と、前記茶漉部に供給された茶葉に湯を注ぐ注湯部と、を備えて茶飲料を抽出する自動給茶機であって、前記茶葉が供給され、またはその供給された茶葉に湯が注がれる状態の前記茶漉部を上方から覆うように配置された覆部と、前記茶漉部と前記覆部の上下方向の間に外部と通じる開口を設けた排気部と、前記排気部に設けられた排気ファンと、前記排気ファンの駆動を制御する制御手段を備えたことを特徴とする自動給茶機。
【請求項2】
前記排気部はフィルター部を有し、前記制御手段は、前記茶葉供給手段による前記茶漉部への茶葉の供給開始時に前記排気ファンの駆動を停止し、その後に時間をずらして起動することを特徴とする請求項1に記載の自動給茶機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記注湯部による前記茶漉部内の茶葉への最初の注湯時に前記排気ファンの駆動を停止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動給茶機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−302094(P2008−302094A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153457(P2007−153457)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】