説明

自動警報弁

【課題】排水管側に逆流する水又は排水管を縮径した際に逆流する水によって当該排水管内で圧縮された圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチの誤作動を確実に防止することができる自動警報弁を提供する。
【解決手段】圧力スイッチよりも下流側の信号水路をオリフィス57及び逆止弁55を介して排水部に連通させ、その逆止弁55に、上端が第2連通路52を介して排水部に連通すると共に下端が第1連通路51を介して信号水路に連通する第3連通路53の上側連通部531に設けられた開閉部材56を備える。この開閉部材56を、第3連通路53をスプリンクラー管の管路から信号水路に導かれた水の圧力により浮遊して上側連通部531の下端を開放する開放位置と、その水の圧力が低下したときに上側連通部531の下端を自重により閉塞する閉塞位置とに移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水源からスプリンクラーヘッドに至る管路中に設けられ、火災時に管路を開放し、スプリンクラーヘッドへの通水を行うと同時に、この通水に連動してスプリンクラーポンプや警報器に作動信号を送出するようにした自動警報弁に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルやマンションなどに設置されるスプリンクラーシステムは、図14の簡略図に示すように、一本の送水管11から分岐する複数系統のスプリンクラー管12,12が設けられ、火災時には、スプリンクラーヘッド13,13,…の作動により圧力の下がった系統のスプリンクラー管12にのみ、この送水管11から送水されるようになっている。
【0003】
つまり、各スプリンクラー管12は、それぞれ独立して機能するように自動警報弁2を介して送水管11に連結されている。
【0004】
この自動警報弁2は、スプリンクラー管12の末端側の圧力低下により、その管路を開放してスプリンクラーヘッド13への通水を行うと同時に、この通水に連動してスプリンクラーポンプ14や、通水がなされた系統の警報器15に作動信号を送出するものである。
【0005】
図15は、下記の特許文献1に示す自動警報弁2の断面図である。この図15に示すように、自動警報弁2は、送水管11に連結されたスプリンクラー管12の途中に挿入されるように設けられている。そして、上記スプリンクラー管12内の加圧水は、1次側(図15にAで示す)と、2次側(図15にBで示す)とが、ほぼ同圧あるいは、2次側の方が1次側よりも高圧(A≦B)になっており、弁体20は、平常時に閉鎖状態が保持されるようになっている。なお、この1次側の圧力は、送水管11に連結された圧力水槽16で一定に維持されるようになっている。
【0006】
上記弁体20は、軸21回りに回動自在に枢着されており、弁体20が接する弁座部22には、信号水路24に連通した中間室23が設けられている。信号水路24は、信号停止弁25を介して三方管28に接続されており、この三方管28は、先端(図15では上端)に警報用圧力スイッチ30が取り付けられた圧力スイッチ取付管26と、排水管10が連結された排水部27とに接続されている。なお、この三方管28の排水部27側には、オリフィス29が設けられると共に、排水部27側からの逆流を防止するための逆止弁として働くボール弁32が設けられている。
【0007】
また、上記中間室23は、常時、弁体20により封鎖されている。つまり、この中間室23と連通した信号水路24は、通常、排水部27を介して大気に開放された状態にある。
【0008】
上記構成の自動警報弁2は、火災発生時、スプリンクラーヘッド13が火災を検知し、作動放水すると、1次側の水圧に比べて2次側の水圧が低下するので、弁体20が回動し、スプリンクラー管12の管路を開放する。このとき、流水の一部が中間室23を介して信号水路24内に流れ込み、その流れ込んだ水が、三方管28を経て圧力スイッチ取付管26に流れ込み、警報用圧力スイッチ30を作動させる。なお、このとき、余剰な水はオリフィス29を通って排水部27に排出されるが、このオリフィス29は、排水部27に排出される水の通路を絞ることにより、信号水路24内の水圧を保持させるように機能する。
【0009】
そして、このようにして警報用圧力スイッチ30が作動すると、警報盤17へ火災検知信号が送られ、モーターサイレンなどの警報器15が鳴動すると共に、ポンプ制御盤18へスプリンクラーポンプ14の起動信号が送られ、スプリンクラーポンプ14が作動して水源45の水が、送水管11とスプリンクラー管12を介してスプリンクラーヘッド13へと送られ、消火用の散水が継続されるようになっている。
【0010】
また、上記スプリンクラーシステムでは、スプリンクラーヘッド13よりも下流側となるスプリンクラー管12の下流端が、末端試験弁33を介して末端試験弁用排水管34に接続されている。このため、スプリンクラーシステムの機能維持を確保する上で、定期的に点検を行う必要がある。かかる点から、末端試験弁33を開放し、スプリンクラー管12内の水を末端試験弁用排水管34に排水して、スプリンクラーヘッド13からの散水がなされたのと同じ状況を作り、スプリンクラー管12内での1次側と2次側との差圧により弁体20を回動させてスプリンクラー管12の管路を開放することで、中間室23を介して信号水路24内から三方管28を経て圧力スイッチ取付管26に流れ込んだ流水によって、警報用圧力スイッチ30の作動を確認することが行われる。
【0011】
そして、上記スプリンクラーシステムでは、スプリンクラーヘッド13の点検や交換などによりスプリンクラー管12内の水を抜く必要が生じた場合、作業を行う系統のスプリンクラー管12の1次側に設けられた制御弁35を閉め、1次側からの送水を遮断することにより、自動警報弁2の弁体20が回動しないようにし、この状態で、スプリンクラー管12の2次側に連通する連通管31に設けられた排水弁36を開放することにより、スプリンクラー管12内に溜まった水を連通管31を介して排水部27から排水管10に排水するようにしている。この場合、排水管10の下流端と末端試験弁用排水管34の下流端とは互いに合流し、その合流した水が長尺な合流管41(図14では便宜上、短尺に示す)を経て屋外の側溝42などに排出されるようにしている。
【0012】
なお、図14において符号37は排水管10の先端に設けられた逆止弁、38は末端試験弁用排水管34に取り付けられた逆止弁、39は電気配線、40は電源をそれぞれ示している。
【0013】
また、図16に示すように、排水管10が末端試験弁用排水管として共用されるようにしたスプリンクラーシステムもある。このものでは、スプリンクラー管12の2次側の下流端(各スプリンクラーヘッド13よりも下流側)が折り返されて排水管10側に延び、末端試験弁33を介して排水管10の排水部27の近辺に連結されている。また、排水管10の下流端は、屋外の側溝42などに開放している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−177412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、上述したスプリンクラーシステムでは、スプリンクラーヘッド13の点検時や交換時などに排水部27から排水管10に排水される水や、機能維持を確保する上で定期的に行われる点検時にスプリンクラー管12から末端試験弁用排水管34や排水管10に排水される水が、初期工事の施工時に発生した切り粉等のゴミや異物を伴って末端試験弁用排水管34や排水管10を経て高所から低所まで流下し、この低所において合流管41で合流する。
【0016】
その場合、合流管41が、低所において横方向に配設されていたり、エルボなどの継手により迂回していると、水流の低下などによって合流管41の管路内でゴミや異物が局部的に堆積し、合流管41の管路内での水の流通が一時的に堰き止められるおそれがある。
【0017】
また、排水管10が末端試験弁用排水管として共用される場合にも、排水管10を経て水を高所から低所まで流下させた排水管10が、低所において横方向に配設されていたり、エルボなどの継手により迂回していると、水流の低下などによって排水管10の管路内でもゴミや異物が局部的に堆積し、排水管10の管路内での水の流通が一時的に堰き止められるおそれがある。
【0018】
このとき、合流管41又は排水管10の管路内で水の流通が一時的に堰き止められると、水が排水管10側に逆流してしまう。そのため、排水管10に逆流する水によって排水管10内の空気が圧縮され、この圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24(三方管28及び圧力スイッチ取付管26)に逆流して圧力スイッチ30を誤作動させるおそれがある。これは、逆流した圧縮空気ではボール弁32を作動させることができないため、他の系統の排水部27から信号水路24に圧縮空気が逆流し、この圧縮空気によって圧力スイッチ30を誤作動させてしまうおそれがあるからである。
【0019】
一方、スプリンクラーシステムにあっては、排水管10を縮径(例えば2インチから1.25インチ程度に縮径)して配管材料費および配管工事費を軽減したいという要求がある。このような要求を満たす上で、排水管10を縮径すると、スプリンクラーヘッド13の点検時や交換時などに排水部27から排水された水であっても排水管10をうまく流下せずに逆流するおそれがある。このため、当該排水管10内の空気が圧縮され、この圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24に逆流し、圧力スイッチ30を誤作動させてしまうこともある。
【0020】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排水管側に逆流する水又は排水管を縮径した際に逆流する水によって当該排水管内で圧縮された圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチの誤作動を確実に防止することができる自動警報弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明が講じた解決手段は、スプリンクラー管の管路中に設けられ、火災時に管路を開放すると共に、この管路を流れる水の一部を圧力スイッチが設けられた信号水路へと導き、この圧力スイッチからスプリンクラーポンプおよび/または警報器に作動信号が送出されるようにした自動警報弁を前提とし、上記圧力スイッチよりも下流側の信号水路をオリフィス及び逆止弁を介して排水部に連通させている。そして、上記逆止弁に、上端が上記排水部に連通すると共に下端が上記信号水路に連通する略鉛直な連通路内に設けられ、かつその連通路を上記スプリンクラー管の管路から信号水路に導かれた水の圧力により開放する一方その水の圧力が低下したときに自重により閉塞する開閉部材を備えていることを特徴とする。
【0022】
また、上記目的を達成するため、本発明が講じたその他の解決手段は、スプリンクラー管の管路中に設けられ、火災時に管路を開放すると共に、この管路を流れる水の一部を圧力スイッチが設けられた信号水路へと導き、この圧力スイッチからスプリンクラーポンプおよび/または警報器に作動信号が送出されるようにした自動警報弁を同様に前提とし、上記圧力スイッチよりも下流側の信号水路をオリフィス及び逆止弁を介して排水部に連通させている。そして、上記逆止弁に、上端が上記排水部に連通すると共に下端が上記信号水路に連通する略鉛直な連通路内に設けられ、かつその連通路を上記スプリンクラー管の管路から信号水路に導かれた水の圧力により開放する一方その水の圧力が低下したときに付勢手段により閉塞する開閉部材を備えていることを特徴とする。
【0023】
更に、上記目的を達成するため、本発明が講じたその他の解決手段は、スプリンクラー管の管路中に設けられ、火災時に管路を開放すると共に、この管路を流れる水の一部を圧力スイッチが設けられた信号水路へと導き、この圧力スイッチからスプリンクラーポンプおよび/または警報器に作動信号が送出されるようにした自動警報弁を同様に前提とし、 上記圧力スイッチよりも下流側の信号水路をオリフィス及び逆止弁を介して排水部に連通させている。そして、上記逆止弁に、上端が上記排水部に連通すると共に下端が上記信号水路に連通する略鉛直な連通路内に設けられ、かつその連通路を上記スプリンクラー管の管路から信号水路に導かれた水の圧力により開放する一方その水の圧力が低下したときに上記排水部側から作用する外圧により閉塞する開閉部材を備えていることを特徴とする。
【0024】
そして、上記連通路、上記開閉部材及び上記オリフィスを、上記信号水路と上記排水部との間に脱着自在に嵌装された脱着部材に一体的に設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
以上、要するに、圧力スイッチよりも下流側の信号水路に設けた逆止弁に、上端が排水部に連通しかつ下端が信号水路に連通する略鉛直な連通路を自重により閉塞する開閉部材を設けたり、逆止弁に、上端が排水部に連通しかつ下端が信号水路に連通する略鉛直な連通路を付勢手段により閉塞する開閉部材を設けたり、また、逆止弁に、上端が排水部に連通しかつ下端が信号水路に連通する略鉛直な連通路を排水部から作用する外圧により閉塞する開閉部材を設けたりすることで、排水管側に逆流する水によって排水管内で圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部から信号水路に逆流しようとしても、信号水路に連通する略鉛直な連通路の下端が開閉部材の自重により閉塞されているために、信号水路への圧縮空気の逆流が阻止される。また、排水管を縮径した際に排水管をうまく流下しない水によって排水管内で圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部から信号水路に逆流しようとしても、信号水路への圧縮空気の逆流が同様に阻止される。
これにより、排水管側に逆流する水はもちろんのこと排水管を縮径した際に逆流する水によって当該排水管内で圧縮された圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチの誤作動を確実に防止することができる。
しかも、排水管を縮径しても圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチの誤作動を確実に防止できることから、排水管の縮径化に伴う配管材料費および配管工事費の軽減化を図ることができ、実施する上で非常に有利なものとなる。
【0026】
そして、信号水路と排水部との間に脱着自在に嵌装された脱着部材に、オリフィス、通路及び開閉部材を一体的に設けることで、オリフィス、連通路及び開閉部材の点検が信号水路と排水部との間から脱着部材を取り外して簡単に行え、オリフィス、連通路及び開閉部材の清掃を円滑に行うことができるとともに、オリフィス、連通路及び開閉部材の交換も脱着部材の交換により簡単に行え、点検時の作業効率を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る自動警報弁の構成を示す断面図である。
【図2】図1の自動警報弁の第2連結管の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る自動警報弁の逆止弁の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態のその他の変形例に係る自動警報弁の逆止弁の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態のその他の変形例に係る自動警報弁の逆止弁の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る自動警報弁の逆止弁の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る自動警報弁の逆止弁の構成を示す断面図である。
【図8】同じく脱着部材を第3連通路側から見た背面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態のその他の変形例に係る自動警報弁の逆止弁の構成を示す断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る自動警報弁の逆止弁の構成を示す断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る自動警報弁の逆止弁の構成を示す断面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る自動警報弁の構成を示す断面図である。
【図13】図12の自動警報弁の逆止弁の構成を示す断面図である。
【図14】スプリンクラーシステムを概略的に示す構成図である。
【図15】従来例に係る自動警報弁の構成を示す断面図である。
【図16】その他のスプリンクラーシステムを概略的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を図示した実施の形態に基づき詳細に説明する。なお、図において、従来例で示したものと同一機能部品には、同一の符号を付している。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る自動警報弁の構成を示す断面図である。この自動警報弁2は、従来のものと同様に、図14に示すようなスプリンクラーシステムに組み込まれ、使用されるものである。
【0030】
ここで、本発明の自動警報弁2が使用されるスプリンクラーシステムについて簡単に説明すると、一般にスプリンクラーシステムは、図14の構成図に示すように、一本の送水管11を分岐するように、この送水管11に複数系統のスプリンクラー管12,12が連結されており、火災時には、スプリンクラーヘッド13,13,…の作動により圧力の下がった系統のスプリンクラー管12にのみ、通水されるようになっている。そのため、各スプリンクラー管12は、独立して機能するように、それぞれの送水管11側には、スプリンクラー管12の末端側の圧力低下により、その管路を開放してスプリンクラーヘッド13,13,…への通水を行うと同時に、この通水に連動してスプリンクラーポンプ14や、通水がなされた系統の警報器15に作動信号を送出する自動警報弁2が設けられている。
【0031】
この自動警報弁2は、送水管11に連結されたスプリンクラー管12の管路中に設けられ、このスプリンクラー管12内には、加圧水が充填されている。加圧水は、送水管11側の1次側(図1においてAで示す)と、スプリンクラーヘッド13側の2次側(図1においてBで示す)とが、ほぼ同圧あるいは、2次側の方が1次側よりも高圧(A≦B)になっている。したがって、軸21で回動自在に枢着された弁体20は、平常時、図1に実線で示す閉鎖状態を維持するようになっている。なお、この1次側の水の圧力は、送水管11に連結された圧力水槽16で一定に保たれるようになっている。
【0032】
また、上記弁体20が接する弁座部22には、信号水路24に連通した中間室23が設けられている。この信号水路24は、信号停止弁25を介して三方管28の内部に連通している。この三方管28には、一端(上流端)が信号停止弁25に連結された第1連結管281の他端(下流端)が連結されているとともに、一端(下流端)が排水部27を介して排水管10に連結された第2連結管282の他端(上流端)が連結されている。また、上記三方管28には、先端(下流端)に警報用圧力スイッチ30が取り付けられた圧力スイッチ取付管26の基端(上流端)が連結されている。そして、上記第2連結管282には、排水部27(排水管10)からの水の逆流を防止する逆止弁55が設けられている。また、上記第2連結管282は、その管本体50の下部を略水平方向へ延び、かつ上記三方管28に一端(図2では左端)が連通する第1連通路51と、上記管本体50の上部を略水平方向へ延び、上記排水部27に一端(図2では右端)が連通する第2連通路52と、上記管本体50の上面より下方に掘削されて略鉛直方向へ延び、上端が上記第2連通路52を介して排水部27に連通すると共に下端が上記第1連通路51を介して信号水路24に連通する連通路としての第3連通路53とを備えている。この第3連通路53は、その第2連通路52との連通部位よりも上端に螺着されたボルト状の閉塞部材54によって上端が閉塞されるようになっている。
【0033】
そして、上記逆止弁55は、上記第3連通路53内に設けられた開閉部材56を備えている。この開閉部材56は、シリコンゴムなどの弾性体よりなり、球体状を呈している。また、上記第3連通路53は、上側に位置し、かつ開閉部材56の径よりも大径な上側連通部531と、下側に位置し、開閉部材56の径よりも小径な下側連通部532とを備えている。この上側連通部531の下端と下側連通部532の上端とは、その両者531,532間に介在させたテーパ部533によって、互いに異なる管径同士の連結を可能にしている。そして、上記開閉部材56は、弁体20の開放時にスプリンクラー管12の管路から中間室23を介して信号水路24に導かれた水の圧力により第3連通路53の上側連通部531内を浮遊し、上側連通部531の下端を開放する開放位置(図2に二点鎖線で示す位置)に移動する一方、弁体20の閉塞時つまり信号水路24に導かれた水の圧力が低下したときに自重により上側連通部531の下端を閉塞する閉塞位置(図2に実線で示す位置)に移動するようになっている。この場合、閉塞部材54のねじ部541の先端には、第2連結管282の他端に重なるように下方(上側連通部531側)に突出する突起542が設けられ、この突起542によって開閉部材56の開放位置よりも第2連結管282側への移動を規制している。
【0034】
また、上記第1連通路51には、その管路を略半分程度に縮径させたオリフィス57が設けられている。なお、図2中における矢印は、弁体20によるスプリンクラー管12の管路の開放時に信号水路24から第2連結管282に導かれる水の流れ方向を示している。
【0035】
ここで、上記構成を有する本発明の自動警報弁2の機能について説明する。まず、火災発生時、スプリンクラーヘッド13,13,…が火災を検知し、作動放水すると、スプリンクラー管12の1次側(図1においてAで示す)の水圧に比べて2次側(図1においてBで示す)の水圧が低下(A>B)するので、弁体20が回動し、スプリンクラー管12の管路を開放する。この弁体20によるスプリンクラー管12の管路の開放時つまり弁体20の開放時に、流水の一部が中間室23を介して信号水路24内に流れ込み、流れ込んだ水は、三方管28の第1連結管281を経て、圧力スイッチ取付管26に流れ込んで警報用圧力スイッチ30を作動させる。このとき、一部の水は、第2連結管282のオリフィス57を通って排水部27に排出されるが、このオリフィス57の部分で水の通路が絞られることにより、信号水路24内の水圧が、警報用圧力スイッチ30の作動に必要な圧力となるものである。
【0036】
そして、このようにして警報用圧力スイッチ30が作動すると、警報盤17へ火災検知信号が送られ、モーターサイレンなどの警報器15が鳴動すると共に、ポンプ制御盤18へスプリンクラーポンプ14の起動信号が送られ、スプリンクラーポンプ14が作動して水源45の水が、送水管11とスプリンクラー管12を介してスプリンクラーヘッド13,13,…へと送られ、消火用の散水が継続されるものである。
【0037】
なお、このとき、スプリンクラーが作動していない他の系統の自動警報弁2は、2次側の水圧が高いため、弁体20が回動せず、この系統のスプリンクラー管12への送水はない。
【0038】
このように本発明の自動警報弁2は、火災時には、従来のものと何ら変わることなく、正確に機能する。
【0039】
次に、本発明の自動警報弁2が要旨とする誤動作防止機能について説明する。
【0040】
一般に、スプリンクラーシステムでは、機能維持を確保する上で定期的に点検を行う必要があるため、末端試験弁33を開放し、スプリンクラー管12内の水を末端試験弁用排水管34に排水して、スプリンクラーヘッド13からの散水がなされたのと同じ状況を作り、スプリンクラー管12内での1次側と2次側との差圧により弁体20を回動させてスプリンクラー管12の管路を開放することで、中間室23を介して信号水路24内から三方管28を経て圧力スイッチ取付管26に流れ込んだ流水によって、警報用圧力スイッチ30の作動を確認することが行われる。
【0041】
また、上記スプリンクラーシステムでは、スプリンクラーヘッド13の点検や交換などによりスプリンクラー管12内の水を抜く必要が生じた場合、その作業を行う系統のスプリンクラー管12の1次側に設けられた制御弁35を閉め、1次側からの送水を遮断することにより、自動警報弁2の弁体20が回動しないようにし、この状態で、スプリンクラー管12の2次側に連通する連通管31に設けられた排水弁36を開放することにより、スプリンクラー管12内に溜まった水を連通管31を介して排水部27から排水管10に排水するようにしている。この場合、排水管10の下流端と末端試験弁用排水管34の下流端とは互いに合流しており、その合流した水が、横方向に延びる長尺な合流管41を経て屋外の側溝42などに排出される。
【0042】
ところで、上述したスプリンクラーシステムにあっては、スプリンクラーヘッド13の点検時や交換時などに排水部27から排水管10に排水される水や、機能維持を確保する上で定期的に行われる点検時にスプリンクラー管12から末端試験弁用排水管34や排水管10に排水される水が、初期工事の施工時に発生した切り粉等のゴミや異物を伴って末端試験弁用排水管34や排水管10を経て高所から低所まで流下し、この低所において合流管41で合流する。その場合、合流管41が、低所において横方向に延びているため、水流の低下などによって合流管41の管路内でゴミや異物が局部的に堆積するおそれがある。このとき、合流管41の管路内でゴミや異物の局部的な堆積によって水の流通が一時的に堰き止められると、末端試験弁用排水管34からの水が排水管10側に逆流することがある。そのため、末端試験弁用排水管34から排水管10に逆流する水によって排水管10内の空気が圧縮され、この圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24(三方管28及び圧力スイッチ取付管26)に逆流して圧力スイッチ30を誤作動させることがある。
【0043】
一方、スプリンクラーシステムにあっては、排水管10を縮径して配管材料費および配管工事費を軽減したいという要求がある。このような要求を満たす上で、排水管10を縮径すると、スプリンクラーヘッド13の点検時や交換時などに排水部27から排水された水であっても排水管10をうまく流下せずに逆流するおそれがある。このため、当該排水管10内の空気が圧縮され、この圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24に逆流し、圧力スイッチ30を誤作動させてしまうことがある。
【0044】
このとき、他の系統のスプリンクラー管12では、弁体20が閉塞しているため、上端が第2連通路52を介して排水部27に連通すると共に下端が第1連通路51を介して信号水路24に連通する第3連通路53の上側連通部531の下端を開閉部材56が自重によって閉塞している。このため、末端試験弁用排水管34から排水管10側に逆流する水によって排水管10内で圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24(三方管28及び圧力スイッチ取付管26)に逆流しようとしても、その逆流した圧縮空気によって開閉部材56が上方から押圧され、これによって圧縮空気の逆流が開閉部材56により確実に阻止される。また、排水管10を縮径した際に排水管10をうまく流下しない水によって排水管10内で圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24に逆流しようとしても、信号水路24への圧縮空気の逆流が開閉部材56により同様に阻止される。
これにより、排水管10側に逆流する水はもちろんのこと排水管10を縮径した際に逆流する水によって当該排水管10内で圧縮された圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチ30の誤作動を確実に防止することができる。
【0045】
しかも、排水管10を縮径しても圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチ30の誤作動を確実に防止できることから、排水管10の縮径化に伴う配管材料費および配管工事費の軽減化を図ることができ、実施する上で非常に有利なものとなる。
【0046】
なお、上記第1の実施の形態では、第1連結管281にオリフィス57を設けたが、図3に示すように、第1連通路51を均一な管径に形成し、第2連通路52の一側(図3では左側)に、その管路を略半分程度に縮径させたオリフィス57が設けられていてもよい。
【0047】
また、図4に示すように、第1及び第2連通路51,52をそれぞれ均一な管径に形成し、第3連通路53の上側連通部531の下側に、管径を上側連通部531の管径の略五分の一程度に縮径させたオリフィス57が設けられていてもよい。
【0048】
また、上記第1の実施の形態では、開閉部材56をシリコンゴムなどの弾性体により球体状に成形したが、図5に示すように、第1及び第2連通路51,52をそれぞれ均一な管径に形成し、第3連通路53の上側連通部531の下側に、管径を上側連通部531の管径の略五分の一程度に縮径させたオリフィス57を設けるとともに、上側連通部531の下面にゴムパッキン61を敷設して、開閉部材62が鋼球により構成されるようにしてもよい。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態を図6に基づいて説明する。
この第2の実施の形態では、オリフィス、第3連通路及び開閉部材を一体的に設けている。なお、オリフィス、第3連通路及び開閉部材を除くその他の構成は、上記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0050】
すなわち、本実施の形態では、図6に示すように、信号水路24に連通する第1連通路51と、排水部27に連通する第2連通路52との間には、第2連結管282の管本体50の上面に設けられた断面略円形状の凹部70に対し上方から脱着自在な脱着部材71が嵌装されている。この脱着部材71は、上端に鍔部711を有して略円筒形状に形成され、その内部にオリフィス72、第3連通路73及び開閉部材74を備えている。
【0051】
上記第3連通路73は、上記脱着部材71の上面より下方に掘削されて略鉛直方向へ延び、上端が上記第2連通路52を介して排水部27に連通すると共に下端が上記第1連通路51を介して信号水路24に連通している。この第3連通路73は、第2連通路52との連通部位よりも上端に螺着されたボルト状の閉塞部材54によって上端が閉塞されるようになっている。
【0052】
上記開閉部材74は、上記第3連通路73内に設けられている。この開閉部材74は、シリコンゴムなどの弾性体よりなり、球体状を呈している。また、上記第3連通路73は、上側に位置し、かつ開閉部材56の径よりも大径な上側連通部731を備えている。
【0053】
上記オリフィス72は、上記第3連通路73の下側に位置し、上側連通部731の管径の略四分の一程度に縮径されている。この上側連通部731の下端とオリフィス72の上端とは、その両者731,72間に介在させたテーパ部733によって、互いに異なる管径同士の連結を可能にしている。そして、上記開閉部材74は、弁体20の開放時にスプリンクラー管12の管路から中間室23を介して信号水路24に導かれた水の圧力により第3連通路73の上側連通部731内を浮遊し、上側連通部731の下端を開放する開放位置(図6に二点鎖線で示す位置)に移動する一方、弁体20の閉塞時(信号水路24に導かれた水の圧力が低下したとき)に自重により上側連通部731の下端を閉塞する閉塞位置(図6に実線で示す位置)に移動するようになっている。この場合、脱着部材71は、その軸線方向の長さが凹部70の軸線方向の長さよりも短く設定され、鍔部711を管本体50の上面に密接するまで螺着させた際に凹部70の底部に形成される空間701を介してオリフィス57が第1連通路51に連通している。
【0054】
また、上記脱着部材71の鍔部711よりも下方の外周面の略中央部には、管本体50の凹部70に対し螺着される雄ねじ部712が設けられている。この雄ねじ部712を挟んだ外周面の上下両端位置には、それぞれOリング75,75が設けられ、この各Oリング75によって、第2連結管282の凹部70に対する脱着部材71の上下両端での水密性が確保されている。この場合、第2連通路52は、脱着部材71を凹部70に螺着させた状態で穿設される。
【0055】
この実施の形態では、第2連結管282の管本体50の凹部70に脱着自在な脱着部材71が上方から嵌装され、この脱着部材71が、信号水路24に連通する第1連通路51と排水部27に連通する第2連通路52とに連通する第3連通路73と、この第3連通路73の上側連通部731に設けられた開閉部材74と、上記第3連通路73の下側に設けられたオリフィス72とを備えている。このため、オリフィス72、第3連通路73及び開閉部材74の点検が第1連通路51と第2連通路52との間つまり管本体50の凹部70から脱着部材71を取り外して簡単に行える。これにより、オリフィス72、第3連通路73及び開閉部材74の清掃を円滑に行うことができるとともに、オリフィス72、第3連通路73及び開閉部材74の交換も脱着部材71の交換により簡単に行え、点検時の作業効率を飛躍的に向上させることができる。
【0056】
なお、上記第2の実施の形態では、脱着部材71を管本体50の凹部70に上方から嵌装させたが、図7に示すように、排水部27に連通する第2連通路52と、信号水路24に連通する第1連通路51との間に、第2連結管282の管本体50の下面に設けられた断面略円形状の凹部70に対し下方から脱着自在な脱着部材71が嵌装されていてもよい。この場合、脱着部材71は、その軸線方向の長さが凹部70の軸線方向の長さよりも短く設定され、鍔部711を管本体50の下面に密接するまで螺着させた際に凹部70の底部との間に形成される空間701を介して第3連通路73の上側連通部731が第2連通路52に連通している。更に、図8にも示すように、第3連通路73の上端には、その第3連通路73の管路を二分するように管径方向に連結するストッパピン76が固設され、このストッパピン76によって開閉部材74の開放位置(図7に二点鎖線で示す位置)よりも第2連結管282側への移動を規制している。また、第1連通路51は、脱着部材71を凹部70に螺着させた状態でオリフィス72の下端と連通するように脱着部材71の中心付近まで穿設される。このものでは、第3連通路73の端部(上端)を閉塞するボルト状の閉塞部材が不要となり、部品点数の削減化とこれに伴う水密性の向上及び構造のシンプル化を図ることが可能となる。
【0057】
また、図9に示すように、排水部27に連通する第2連通路52と、信号水路24に連通する第1連通路51との間に、第2連結管282の管本体50の下面に設けられた断面略円形状の凹部70に対し下方から脱着自在な脱着部材71が嵌装されているものにおいて、第3連通路73を上側連通部731と下側連通部732とで構成し、この下側連通部732の下端と第1連通路51の一端(図9では右端)との間に、管径を第1連通路51の管径の略四分の一程度に縮径させたオリフィス72が設けられていてもよい。この場合、第1連通路51及びオリフィス72は、脱着部材71を凹部70に螺着させた状態で穿設されている。
【0058】
次に、本発明の第3の実施の形態を図10に基づいて説明する。
この第3の実施の形態では、開閉部材の構成を変更している。なお、開閉部材を除くその他の構成は、上記第2の実施の形態と同じであり、同一部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0059】
すなわち、本実施の形態では、図10に示すように、脱着部材71の内部を略鉛直方向に延びる第3連通路73は、上側連通部731と、この上側連通部731の下側に位置し、上側連通部731の管径の略四分の一程度に縮径されたオリフィス72とを備えている。また、上記第3連通路73の上側連通部731の上側には略鉛直方向に延びるシリンダ室77が連設され、このシリンダ室77は、管本体50の上端に螺着されたボルト状の閉塞部材80によって上端が閉塞されている。
【0060】
開閉部材78は、上記第3連通路73の上側連通部731とシリンダ室77との間に跨って当該両者731,77を区画するように設けられている。この開閉部材78は、シリンダ室77の周面に沿って上下方向に摺動するピストンよりなる。また、上記開閉部材78は、その上面より下方に凹設された凹部空間781を有し、その凹部空間781の底面と閉塞部材80のねじ部801の先端との間に縮装された付勢手段としての付勢スプリング79によって下方に付勢されている。更に、上記開閉部材78の下面には、シート状のゴムパッキン782が取り付けられている。
【0061】
そして、上記開閉部材78は、弁体20の開放時にスプリンクラー管12の管路から中間室23を介して信号水路24に導かれた水の圧力により付勢スプリング79の付勢力に抗して上方へ摺動し、上側連通部731の下端を開放する開放位置に移動する一方、弁体20の閉塞時に付勢スプリング79の付勢力により上側連通部731の下端を閉塞する閉塞位置(図10に実線で示す位置)に移動するようになっている。この場合、付勢スプリング79のばね定数は、弁体20の開放時にスプリンクラー管12の管路から中間室23、信号水路24、第1連通路51及びオリフィス72を介して流入する水の圧力よりも小さな値に設定されている。
【0062】
この実施の形態では、弁体20の閉塞時に付勢スプリング79の付勢力により上側連通部731の下端を閉塞する閉塞位置(図10に実線で示す位置)に開閉部材78が移動するので、末端試験弁用排水管34から排水管10に逆流する水によって排水管10内で圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24(三方管28及び圧力スイッチ取付管26)に逆流しようとしても、その圧縮空気の逆流が開閉部材78により確実に阻止される。また、排水管10を縮径した際に排水管10をうまく流下しない水によって排水管10内で圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24に逆流しようとしても、信号水路24への圧縮空気の逆流が開閉部材78により同様に阻止される。
これにより、排水管10側に逆流する水はもちろんのこと排水管10を縮径した際に逆流する水によって当該排水管10内で圧縮された圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチ30の誤作動を確実に防止することができる。
【0063】
しかも、排水管10を縮径しても圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチ30の誤作動を確実に防止できることから、排水管10の縮径化に伴う配管材料費および配管工事費の軽減化を図ることができ、実施する上で非常に有利なものとなる。
【0064】
次に、本発明の第4の実施の形態を図11に基づいて説明する。
この第4の実施の形態では、開閉部材の構成を変更している。なお、開閉部材を除くその他の構成は、上記第3の実施の形態と同じであり、同一部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0065】
すなわち、本実施の形態では、図11に示すように、開閉部材81は、第3連通路73の上側連通部731とシリンダ室77との間に跨って当該両者731,77を区画するようにシリンダ室77の周面に沿って上下方向に摺動するピストンよりなる。この開閉部材81の内部には、第2連通路52とシリンダ室77との間を連通する第4連通路82が設けられている。
【0066】
そして、上記開閉部材81は、弁体20の開放時にスプリンクラー管12の管路から中間室23を介して信号水路24に導かれた水の圧力によりシリンダ室77を縮小させて上方へ摺動し、上側連通部731の下端を開放する開放位置に移動する。一方、上記開閉部材81は、排水部から作用する外圧つまり末端試験弁用排水管34から排水管10に逆流する水によって排水管10内で圧縮されて排水部27から逆流する圧縮空気を第4連通路82を介して第2連通路52からシリンダ室77に流入させることで、シリンダ室77を拡張させて下方に摺動し、上側連通部731の下端を閉塞する閉塞位置(図11に実線で示す位置)に移動する。この場合、弁体20の開放時にスプリンクラー管12の管路から中間室23を介して信号水路24に導かれた水の圧力は、末端試験弁用排水管34から排水管10に逆流する水によって排水管10内で圧縮されて排水部27から逆流する圧縮空気の圧力よりも大きいため、第1連通路51から水の圧力と排水部27からの圧縮空気の圧力とが共に作用しているときは、第1連通路51から水の圧力によりシリンダ室77の圧縮空気を押し出して開閉部材81を開放位置に位置付ける。
【0067】
この実施の形態では、第1連通路51から水の圧力が作用せずに排水部27からの圧縮空気の圧力が作用していれば、この排水部27からの圧縮空気の圧力によりシリンダ室77を拡張させて開閉部材81が下方に摺動し、上側連通部731の下端が閉塞される。このため、末端試験弁用排水管34から排水管10に逆流する水によって排水管10内で圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24(三方管28及び圧力スイッチ取付管26)に逆流しようとしても、その圧縮空気の逆流が開閉部材81により確実に阻止される。また、排水管10を縮径した際に排水管10をうまく流下しない水によって排水管10内で圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24に逆流しようとしても、信号水路24への圧縮空気の逆流が開閉部材81により同様に阻止される。
これにより、排水管10側に逆流する水はもちろんのこと排水管10を縮径した際に逆流する水によって当該排水管10内で圧縮された圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチ30の誤作動を確実に防止することができる。
【0068】
しかも、排水管10を縮径しても圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチ30の誤作動を確実に防止できることから、排水管10の縮径化に伴う配管材料費および配管工事費の軽減化を図ることができ、実施する上で非常に有利なものとなる。
【0069】
次に、本発明の第5の実施の形態を図12及び図13に基づいて説明する。
この第5の実施の形態では、脱着部材及び第2連通路の構成を変更している。なお、脱着部材及び第2連通路を除くその他の構成は、上記第2の実施の形態と同じであり、同一部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0070】
すなわち、本実施の形態では、図12に示すように、脱着部材71の上端と排水部27の上端との間は、略J字状に配管された第2連通路84を介して連通している。この第2連通路84の一端側(図12では右端側)にはオリフィス72が設けられている。
【0071】
また、図13に示すように、上記脱着部材71は、排水部27に連通する第2連通路84と、信号水路24に連通する第1連通路51との間に、第2連結管282の管本体50を上下方向に貫通する貫通孔85の下部に下方から脱着自在に嵌装されて取り付けられている。また、貫通孔85の上部には、下部に雄ねじ部862を有する略円筒形状の継手部材86が螺着されている。第2連通路84の他端は、継手部材86の内部に挿通され、その継手部材86の上部に設けられた雄ねじ部861にナット部材87を螺着させることで当該継手部材86の上部に取り付けられる。また、上記脱着部材71内の第3連通路73は、上側連通部731と、これよりも小径な下側連通部732とで構成され、この下側連通部732を介して第1連通路51に連通している。そして、第3連通路73の上側連通部731は、空間701から継手部材86の内部空間863を介して第2連通路84に連通している。この場合、第1連通路51は、脱着部材71を貫通孔85の下部に螺着させた状態で穿設される。
【0072】
そして、開閉部材74は、弁体20の開放時にスプリンクラー管12の管路から中間室23を介して信号水路24に導かれた水の圧力により第3連通路73の上側連通部731内を浮遊し、上側連通部731の下端を開放する開放位置(図13に二点鎖線で示す位置)に移動する。一方、開閉部材74は、弁体20の閉塞時(信号水路24に導かれた水の圧力が低下したとき)に自重により上側連通部731の下端を閉塞する閉塞位置(図13に実線で示す位置)に移動するようになっている。また、第3連通路73の上端には、その第3連通路73の管路を二分するように管径方向に連結するストッパピン76が固設されている。
【0073】
この実施の形態では、他の系統のスプリンクラー管12で弁体20が閉塞しているので、上端が第2連通路84を介して排水部27に連通すると共に下端が第1連通路51を介して信号水路24に連通する第3連通路73の上側連通部731の下端を開閉部材74が自重によって閉塞している。このため、末端試験弁用排水管34から排水管10に逆流する水によって排水管10内で圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24(三方管28及び圧力スイッチ取付管26)に逆流しようとしても、その逆流した圧縮空気によって開閉部材74が上方から押圧され、これによって圧縮空気の逆流が開閉部材74により確実に阻止される。また、排水管10を縮径した際に排水管10をうまく流下しない水によって排水管10内で圧縮された圧縮空気が他の系統の排水部27から信号水路24に逆流しようとしても、信号水路24への圧縮空気の逆流が開閉部材74により同様に阻止される。
これにより、排水管10側に逆流する水はもちろんのこと排水管10を縮径した際に逆流する水によって当該排水管10内で圧縮された圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチ30の誤作動を確実に防止することができる。
【0074】
しかも、排水管10を縮径しても圧縮空気の逆流による他の系統での圧力スイッチ30の誤作動を確実に防止できることから、排水管10の縮径化に伴う配管材料費および配管工事費の軽減化を図ることができ、実施する上で非常に有利なものとなる。
【0075】
また、上記第1、第2及び第5の実施の形態では、シリコンゴムなどの弾性体よりなる球体状の開閉部材56,74、又は鋼球よりなる開閉部材62を用いたが、鋼球を芯材とし、その表面にシリコンゴムなどの弾性体を被覆した球体状の開閉部材であってもよい。
【0076】
また、上記第5の実施の形態では、第2連通路84の一端側にオリフィス72を設けたが、オリフィスが第2連通路84の他端側又は中央部などの途中位置に設けられていてもよい。
【0077】
また、上記各実施の形態では、第2連結管282の管本体50を第2連通路52,84を介して排水部27に連結したが、第2連結管の管本体が排水部のハウジングに対し一体的に設けられていてもよいのはいうまでもない。その場合、第2連通路は、第2連結管の管本体および排水部のハウジングを貫通する貫通孔により構成される。
【0078】
更に、上記各実施の形態では、オリフィス57,72の縮径度合いを上側連通部531,731、第1連通路51、又は第2連通路52の管径を基準にして述べたが、これらの縮径度合いはほんの一例であり、これに限定されるものでないことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0079】
12 スプリンクラー管
30 圧力スイッチ
24 信号水路
14 スプリンクラーポンプ
15 警報器
2 自動警報弁
57,72 オリフィス
55 逆止弁
27 排水部
53,73 第3連通路(連通路)
56,62,74,78,81 開閉部材
79 付勢スプリング(付勢手段)
71 脱着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラー管の管路中に設けられ、その管路を火災時に開放すると共に、この管路を流れる水の一部を圧力スイッチが設けられた信号水路へと導き、この圧力スイッチからスプリンクラーポンプおよび/または警報器に作動信号が送出されるようにした自動警報弁であって、
上記圧力スイッチよりも下流側の信号水路がオリフィス及び逆止弁を介して排水部に連通しており、
上記逆止弁は、上端が上記排水部に連通すると共に下端が上記信号水路に連通する略鉛直な連通路内に設けられ、かつその連通路を上記スプリンクラー管の管路から信号水路に導かれた水の圧力により開放する一方その水の圧力が低下したときに自重により閉塞する開閉部材を備えていることを特徴とする自動警報弁。
【請求項2】
スプリンクラー管の管路中に設けられ、その管路を火災時に開放すると共に、この管路を流れる水の一部を圧力スイッチが設けられた信号水路へと導き、この圧力スイッチからスプリンクラーポンプおよび/または警報器に作動信号が送出されるようにした自動警報弁であって、
上記圧力スイッチよりも下流側の信号水路がオリフィス及び逆止弁を介して排水部に連通しており、
上記逆止弁は、上端が上記排水部に連通すると共に下端が上記信号水路に連通する略鉛直な連通路内に設けられ、かつその連通路を上記スプリンクラー管の管路から信号水路に導かれた水の圧力により開放する一方その水の圧力が低下したときに付勢手段により閉塞する開閉部材を備えていることを特徴とする自動警報弁。
【請求項3】
スプリンクラー管の管路中に設けられ、その管路を火災時に開放すると共に、この管路を流れる水の一部を圧力スイッチが設けられた信号水路へと導き、この圧力スイッチからスプリンクラーポンプおよび/または警報器に作動信号が送出されるようにした自動警報弁であって、
上記圧力スイッチよりも下流側の信号水路がオリフィス及び逆止弁を介して排水部に連通しており、
上記逆止弁は、上端が上記排水部に連通すると共に下端が上記信号水路に連通する略鉛直な連通路内に設けられ、かつその連通路を上記スプリンクラー管の管路から信号水路に導かれた水の圧力により開放する一方その水の圧力が低下したときに上記排水部から作用する外圧により閉塞する開閉部材を備えていることを特徴とする自動警報弁。
【請求項4】
上記オリフィス、上記通路及び上記開閉部材は、上記信号水路と上記排水部との間に脱着自在に嵌装された脱着部材に一体的に設けられている請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の自動警報弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−40275(P2012−40275A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185809(P2010−185809)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(591274129)アイエススプリンクラー株式会社 (7)
【Fターム(参考)】