説明

自動販売機の制御装置

【課題】自動販売機の制御装置に関し、複数の圧縮機が一つの庫外熱交換器を共用している冷凍装置において、複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネを図る自動販売機を提供することを目的とする。
【解決手段】それぞれ独立した冷凍装置を構成し、庫外熱交換器81を一体化して共用する自動販売機において、一方の冷凍装置の運転状態に応じて他方の冷凍装置の運転を制御する制御手段を備えたことにより、庫外熱交換器を一体化して共用した場合の圧縮機の運転への悪影響を低減することができ、複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネを図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の冷凍装置を備えた自動販売機の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動販売機は、圧縮機やヒータやファンモータを所定の時間停止して省エネを図る制御仕様となってきている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、図面を参照しながら、上記従来の自動販売機について説明する。
【0004】
図4は、従来の自動販売機の概略構成を示す縦断面図、図5は従来の自動販売機の運転状態を示すグラフである。
【0005】
図4において、自動販売機本体1内には断熱材2を介して前面(図の左側の面)が開口した商品収納室3が構成され、その内部に商品収納棚4が配置されている。商品収納棚4は前後に4列の曲がりくねった商品収納通路5を有しているが、この商品収納通路5は左右(紙面に直角の方向)にも複数列、例えば4列形成されている。商品収納室3の前面は断熱壁からなる内扉6で開閉自在に密閉され、その外側に自動販売機本体1を開閉自在に閉塞する本体扉7がある。
【0006】
商品収納室3の底部には冷却器(蒸発器)8、ヒータ9及びファン10が前後に配置され、自動販売機本体1の底部には冷却器8に冷媒を供給する冷凍機の圧縮機11や凝縮器12が収容されている。商品収納棚4の各商品収納通路5には、円筒状の缶容器にコーヒーやジュースが入った缶飲料商品13が種類ごとに分けて横倒し姿勢で多数積み重ねられている。商品収納通路5の下端部は直線通路となっており、最下部の商品13はここに斜めに張り出すフラッパ14に受け止められて落下を阻止されている。商品販売時にはいずれかの商品収納通路5の商品13がフラッパ14による落下阻止を外されシュータ15上に搬出される。この商品13はシュータ15に沿って転動し、内扉6の下部に設けられた搬出扉16を押し開けて商品取出口17に達する。
【0007】
冷却器8やヒータ9は循環空気の吐出口に設置された温度センサ18からの温度検知信号と図示しない制御装置の記憶部に予め設定された基準温度との差に基づいてオンオフ制御され、これによって商品は所望の温度範囲に保たれる。
【0008】
上記構成において、冷却器8やヒータ9を特定の時間帯に強制停止させて省エネを図る場合に、強制停止時間帯を1日のうちに複数回設定し、強制停止を小刻みに実施するようにする。これによりトータルの停止時間を長くする。具体的には、図5に示すように、1日のうちに特定の時間帯を複数回設定し、これらの時間帯には冷却器8又はヒータ9を強制的に停止させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3444441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の自動販売機1では、単一の冷凍装置を備えたものが前提であり、近年のヒートポンプを活用して複数の冷凍装置を備えたもので、複数の圧縮機が庫外熱交換器を共用している冷凍装置においては、省エネのために一方の圧縮機が強制停止する場合、もう他方の圧縮機の動作に影響を及ぼすという課題を有していた。その理由は、庫外熱交換器を共有していることで、一方の圧縮機の停止による圧縮機の高圧と低圧の圧力変化が庫外熱交換器に伝わり、それが他方の圧縮機に伝わるためである。
【0011】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、複数の圧縮機が一つの庫外熱交換器を共用している冷凍装置において、複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネを図る自動販売機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来の課題を解決するために、本発明の自動販売機の制御装置は、冷媒を圧縮する複数の圧縮機と、前記冷媒を蒸発させる複数の庫内熱交換器と、前記冷媒を凝縮または蒸発させる庫外熱交換器と、前記複数の庫内熱交換器に送風する複数の庫内ファンと、前記庫外熱交換器に送風する庫外ファンと、庫内を加温するための複数のヒータとを備え、それぞれ独立した冷凍装置を構成し、前記庫外熱交換器を一体化して共用する自動販売機において、一方の冷凍装置の運転状態に応じて他方の冷凍装置の運転を制御する制御手段を備えたものである。
【0013】
これによって、庫外熱交換器を一体化して共用した場合の圧縮機の運転への悪影響を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自動販売機は、複数の圧縮機が一つの庫外熱交換器を共用している冷凍装置において、複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における自動販売機内部の概要構成図
【図2】本発明の実施の形態1における自動販売機の冷凍装置の概要構成図
【図3】本発明の実施の形態1における自動販売機の制御装置の構成図
【図4】従来の自動販売機の概略構成を示す縦断面図
【図5】従来の自動販売機の運転状態を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0016】
請求項1に記載の発明は、冷媒を圧縮する複数の圧縮機と、前記冷媒を蒸発させる複数の庫内熱交換器と、前記冷媒を凝縮または蒸発させる庫外熱交換器と、前記複数の庫内熱交換器に送風する複数の庫内ファンと、前記庫外熱交換器に送風する庫外ファンと、庫内を加温するための複数のヒータとを備え、それぞれ独立した冷凍装置を構成し、前記庫外熱交換器を一体化して共用する自動販売機において、一方の冷凍装置の運転状態に応じて他方の冷凍装置の運転を制御する制御手段を備えたものであり、庫外熱交換器を一体化して共用した場合の圧縮機の運転への悪影響を低減することができ、複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネ運転を図ることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを、他方の冷凍装置の圧縮機の起動に影響を与えないタイミングで強制停止するものであり、確実に複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネ運転を図ることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機が停止中は、他方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを所定時間強制停止するものであり、確実に複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネ運転を図ることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機が起動してから所定の時間経過後に、他方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを強制停止するものであり、確実に複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネ運転を図ることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを、他方の冷凍装置の圧縮機の起動に影響を与えないタイミングで遅延停止するものであり、確実に複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネ運転を図ることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機が起動してから所定の時間経過後に、他方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを遅延停止するものであり、確実に複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネ運転を図ることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機が停止中は、他方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを遅延動作するものであり、確実に複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネ運転を図ることができる。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における自動販売機内部の概要構成図である。図2は、本発明の実施の形態1における自動販売機の冷凍装置の概要構成図を示す。図3は、本発明の実施の形態1における自動販売機の制御装置の構成図である。
【0025】
図1において、自動販売機21は、断熱隔壁22により区画された庫内A、庫内Bそして庫内Cを備え、それぞれに商品収納コラム23A、商品収納コラム23Bそして商品収納コラム23Cを有する。さらに、商品収納コラム23A、商品収納コラム23Bそして商品収納コラム23C内には、温度を測定するコラム内温度測定センサ41A、コラム内温度測定センサ41Bそしてコラム内温度測定センサ41Cを有する。そして、自動販売機全体を制御するためのコントローラ27、圧縮機等の冷却装置及び商品排出機構等が内蔵された機構部26を備えて構成されている。
【0026】
図2において、冷凍装置の庫内A側は、庫内Aを冷却または加温するための庫内熱交換器51A、庫内ファン61A、ヒータ62A、インバータ圧縮機71A、庫外熱交換器81、庫外ファン82A、庫外ファン82Bそして庫内熱交換器51Aを冷却または加温に切替えるための四方弁92を備えている。一方、冷凍装置の庫内B側と庫内C側は、庫内Bを冷却するための庫内熱交換器51B、庫内ファン61B、ヒータ62B、庫内Cを冷却するための庫内熱交換器51C、庫内ファン61C、ヒータ62Cを備えている。そして、一定速圧縮機71B、庫外熱交換器81、キャピラリチューブ93B、キャピラリチューブ93C、三方弁94を備えている。三方弁94の一方は、キャピラリチューブ93Bと庫内熱交換器51Bと庫内熱交換器51Cにつながる冷媒流路を形成し、三方弁92の他方は、キャピラリチューブ93Cと庫内熱交換器51Cにつながる冷媒流路を形成しており、それぞれ選択的に制御される。
【0027】
図3において、制御装置の主制御部200は、負荷動作低減手段100として、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bの動作状態を判定するための負荷動作判定部100aと、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bの少なくとも一つの強制停止や遅延動作を許可するための動作低減制御許可判定部100bと、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bの少なくとも一つの強制停止や遅延動作する時間を測定し、または決定するための動作低減制御時間決定部100cと、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bに動作または停止の指令を送る負荷動作指令部100dを備えている。
【0028】
負荷動作低減手段100として、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bの少なくとも一つをタイミングよく強制停止するための強制停止制御手段110と、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bの少なくとも一つをタイミングよく遅延動作するための遅延動作制御手段120を備えている。
【0029】
さらに、強制停止制御手段110は、負荷動作判定部100aと、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bの少なくとも一つの強制停止を許可するための強制停止許可判定部110bと、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bの少なくとも一つの強制停止する時間を測定し、または決定するための強制停止時間決定部110cと、負荷動作指令部100dを備えている。
【0030】
本発明の実施の形態1の強制停止制御手段110(負荷動作低減手段100)としての所定時間強制停止制御手段111は、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bの停止状態を判定するための負荷停止判定部101aと、強制停止許可判定部110bと、強制停止時間決定部110cと、負荷動作指令部100dとしている。
【0031】
以上のように構成された自動販売機の制御装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0032】
まず、強制停止の概要を説明する。強制停止は、例えば冷却で、本来なら冷却停止温度に到達すれば冷却を停止するが、冷却停止温度に到達していなくても冷却を停止することである。ここでは一定速圧縮機71Bと庫内ファン61Bと庫内ファン61Cの強制停止についてその動作を説明する。インバータ圧縮機71Aと一定速圧縮機71Bがそれぞれ動作または停止を繰り返している中、強制停止時間決定部110Cに記憶されている時刻(例えば11時から1時間毎)になったとき、負荷停止判定部101aがインバータ圧縮機71Aの動作状態を確認する。インバータ圧縮機71Aが動作中のときは10分後に再度確認し、インバータ圧縮機71A停止と判定するまで繰り返す。インバータ圧縮機71A停止と判定したら強制停止許可決定部110bが一定速圧縮機71Bと庫内ファン61Bと庫内ファン61Cの停止を許可し、負荷動作指令部100dが一定速圧縮機71Bと庫内ファン61Bと庫内ファン61Cを10分間強制停止させる。
【0033】
よって、インバータ圧縮機71Aの起動直後といった過渡状態に強制停止を行わないので、インバータ圧縮機71Aの動作バランス(低圧側と高圧側の圧力バランス)を崩さずに済む。
【0034】
以上のように、本実施の形態においては、強制停止制御手段110(負荷動作低減手段100)を所定時間強制停止制御手段111とすることにより、インバータ圧縮機71Aの起動直後といった過渡状態に強制停止を行わないことで、インバータ圧縮機71Aの動作バランス(低圧側と高圧側の圧力バランス)を崩さずに済み、インバータ圧縮機71Aの起動性を維持した状態で省エネを図ることができる。
【0035】
また、本発明の実施の形態1の強制停止制御手段110(負荷動作低減手段100)を所定動作強制停止制御手段112にしたときも同様の作用と効果を得ることができる。ここでは構成と動作の説明を行う。
【0036】
所定動作強制停止制御手段112は、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bの起動状態を判定するための負荷起動判定部112aと、強制停止許可判定部110bと、強制停止時間決定部112cと、負荷動作指令部100dとしている。
【0037】
以上のように構成された自動販売機の制御装置について、以下その動作を説明する。
【0038】
インバータ圧縮機71Aと一定速圧縮機71Bがそれぞれ動作または停止を繰り返している中、負荷起動判定部112aがインバータ圧縮機71Aの動作を確認する。インバータ圧縮機71Aが起動したと判定した場合、強制停止時間決定部110cが決定した時間(1分)が経過するまで、強制停止許可決定部110bは一定速圧縮機71Bと庫内ファン61Bと庫内ファン61Cの停止を許可せず、1分を過ぎれば停止を許可して負荷動作指令部100dが一定速圧縮機71Bと庫内ファン61Bと庫内ファン61Cを10分間強制停止する。
【0039】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における自動販売機の制御装置の構成図であり、本発明の第2の実施の形態に関する箇所のみ説明する。なお、実施の形態1と同一構成については、詳細な説明を省略する。
【0040】
図3において、本発明の実施の形態2の負荷動作低減手段100としての遅延動作制御手段120は、負荷動作判定部100aと、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bの少なくとも一つの遅延動作を許可するための遅延動作許可判定部120bと、インバータ圧縮機71A、一定速圧縮機71B、庫内ファン61A、庫内ファン61B、庫内ファン61C、ヒータ62A、ヒータ62B、ヒータ62C、庫外ファン82A、庫外ファン82Bの少なくとも一つの遅延動作する時間を測定し、または決定するための遅延動作時間決定部120cと、負荷動作指令部100dとしている。
【0041】
さらに、遅延動作制御手段120(負荷動作低減手段100)としての負荷動作中の遅延動作制御手段121は、負荷起動判定部112aと、遅延動作許可判定部120bと、遅延動作時間決定部120cと、負荷動作指令部100dとしている。
【0042】
以上のように構成された自動販売機の制御装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0043】
まず、遅延動作の概要を説明する。遅延動作は、例えば冷却で、本来なら冷却動作温度に到達すれば冷却を動作するが、この動作のタイミングを遅らせることである。ここでは一定速圧縮機71Bの遅延動作についてその動作を説明する。一定速圧縮機71Bが停止した後、本来の起動条件に到達しても一定速圧縮機71Bを起動せず停止を維持する。負荷起動判定部112aがインバータ圧縮機71Aの起動を確認すると同時に、遅延動作時間決定部120cが遅延動作タイマーのカウントを始める。そして、遅延動作タイマーが所定の時間に到達すれば、遅延動作許可判定部120bが一定速圧縮機71Bの遅延動作を許可し、負荷動作指令部100dが一定速圧縮機71Bを動作させる。
【0044】
よって、インバータ圧縮機の起動直後といった過渡状態に遅延動作を行わないので、インバータ圧縮機の動作バランス(低圧側と高圧側の圧力バランス)を崩さずに済む。
【0045】
以上のように、本実施の形態においては、遅延動作制御手段120(負荷動作低減手段100)を負荷動作中の遅延動作制御手段121とすることにより、インバータ圧縮機71Aの起動直後といった過渡状態に遅延動作を行わないことで、インバータ圧縮機71Aの動作バランス(低圧側と高圧側の圧力バランス)を崩さずに済み、インバータ圧縮機71Aの起動性を維持した状態で省エネを図ることができる。
【0046】
また、本発明の実施の形態2の遅延動作制御手段120(負荷動作低減手段100)を負荷停止中の遅延動作制御手段122にしたときも同様の作用と効果を得ることができる。ここでは構成と動作の説明を行う。
【0047】
負荷停止中の遅延動作制御手段122は、負荷停止判定部101aと、遅延動作許可判定部120bと、遅延動作時間決定部120cと、負荷動作指令部100dと、コラム内温度測定センサ41Aとコラム内温度測定センサ41Bとコラム内温度測定センサ41Cの温度を読み取る冷凍装置温度検知部122eとしている。
【0048】
以上のように構成された自動販売機の制御装置について、以下その動作を説明する。
【0049】
一定速圧縮機71B停止後、本来の起動条件に到達しても一定速圧縮機71Bを起動せず停止を維持する。同時に遅延動作時間決定部120cが遅延動作タイマーのカウントを始める。そして遅延動作タイマーが所定の時間に到達したら、負荷停止判定部101aがインバータ圧縮機71Aの動作状態を確認し、冷凍装置温度検知部122eがインバータ圧縮機71Aを含む冷凍装置の庫内熱交換器51Aの温度を確認する。インバータ圧縮機71Aが停止中で、かつ庫内熱交換器51Aの温度が所定温度に到達していれば、遅延動作許可判定部120bが一定速圧縮機71Bの遅延動作を許可して、負荷動作指令部100dが一定速圧縮機71Bを動作させる。
【0050】
なお、本実施の形態では一定速圧縮機71B、庫内ファン61Bそして庫内ファン61Cの強制停止や、一定速圧縮機71Bの遅延動作としているが、これらの組合せ以外でも同意用の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかる自動販売機は、複数の圧縮機が一つの庫外熱交換器を共用している冷凍装置において、複数の圧縮機が互いに影響を及ぼさずに省エネを図ることができるので、複数の圧縮機が一つの庫外熱交換器を共用している冷凍装置を備えた冷凍機器に適用できる。
【符号の説明】
【0052】
21 自動販売機
51A、51B、51C 庫内熱交換器
61A、61B、61C 庫内ファン
62A、62B、62C ヒータ
71A インバータ圧縮機
71B 一定速圧縮機
81 庫外熱交換器
82A、82B 庫外ファン
200 主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する複数の圧縮機と、前記冷媒を蒸発させる複数の庫内熱交換器と、前記冷媒を凝縮または蒸発させる庫外熱交換器と、前記複数の庫内熱交換器に送風する複数の庫内ファンと、前記庫外熱交換器に送風する庫外ファンと、庫内を加温するための複数のヒータとを備え、それぞれ独立した冷凍装置を構成し、前記庫外熱交換器を一体化して共用する自動販売機において、一方の冷凍装置の運転状態に応じて他方の冷凍装置の運転を制御する制御手段を備えたことを特徴とする自動販売機の制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを、他方の冷凍装置の圧縮機の起動に影響を与えないタイミングで強制停止することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機が停止中は、他方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを所定時間強制停止することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機が起動してから所定の時間経過後に、他方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを強制停止することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを、他方の冷凍装置の圧縮機の起動に影響を与えないタイミングで遅延停止することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機が起動してから所定の時間経過後に、他方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを遅延停止することを特徴とする請求項5に記載の自動販売機の制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、一方の冷凍装置の圧縮機が停止中は、他方の冷凍装置の圧縮機、庫内ファン、庫外ファン、ヒータの少なくとも一つを遅延動作することを特徴とする請求項5に記載の自動販売機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−14477(P2012−14477A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150721(P2010−150721)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】