説明

自動販売機及びインターネット接続サービスシステム

【課題】中間の通信回線網の回線負荷が増大することを防ぐ。
【解決手段】 インターネット接続のために使用者の端末機30によってアクセスされる自動販売機(サービス端末)10は、中間の通信回線網40を介して管理サーバ50と通信し、該管理サーバ50からインターネットに接続される。複数の使用者の端末機30が中間の通信回線網40を経由して管理サーバ50に接続された状態における該通信回線網40の回線負荷が所定の閾値に達したか否かを判定する。回線負荷が所定の閾値に達したと判定されたならば、当該自動販売機10にアクセスしてきた複数の使用者の端末機30のいずれかをシステム内の別の自動販売機から該中間の通信回線網40を経由して管理サーバ50に接続させるよう切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット接続サービスを提供する機能を備えた自動販売機に関し、更には、複数の自動販売機(サービス端末)で構成されるインターネット接続サービスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
公衆インターネット接続サービスとして、都市内の任意の地域に構築された無線式ローカルエリアネットワーク(以下、「無線LAN」と略称する)を利用するシステムがあることは公知である。しかし、従来公知の公衆無線LAN利用インターネット接続サービスにおいては、各利用者が個別にインターネットプロバイダと無線LANによるインターネット利用契約を結んでおく必要があったので、誰でもが簡便に利用できるものではなかった。
【0003】
これに対して、下記特許文献1においては、自動販売機においてローカルエリアネットワークを構築する手段(アクセスポイント)を具備すると共にインターネット接続を行うための通信インターフェースを具備し、利用者のパソコン等の端末機を該ローカルエリアネットワーク経由で通信インターフェースを介して当該自動販売機の管理者が契約している所定のプロバイダに接続し、該所定のプロバイダを介して該利用者のパソコン等の端末機をインターネットに接続させるようにした発明が示されている。これによれば各利用者が個別に特定のインターネットプロバイダと無線LANによるインターネット利用契約を結んでおく必要がないので、任意の利用者であっても、簡便にインターネット接続サービスを受けることができる。
【0004】
ところで、特許文献1に示された発明においては、個別の自動販売機それ自体がインターネット用の通信インターフェースを介して直接インターネットに接続される構成となっているので、個別の自動販売機それ自体がインターネット接続を制御する管理機能(インターネットサーバー機能)を持たねばならない。従って、複数の自動販売機でインターネット接続サービスシステムを組む場合、無駄が多いシステムとなってしまう。
【0005】
一方、図4に示すように、自動販売機1と外部の管理サーバ2とを所定の通信回線網3(例えばFOMA:Freedom Of Mobile Multimedia Access:マルチメディアの移動体のアクセスの自由)に接続し、自動販売機1にアクセスしてきた利用者端末機のインターネット接続の許可/不許可の制御を該管理サーバ2の側で行うシステムも考えられている。この場合、個別の自動販売機1それ自体がインターネット接続を制御する管理機能(インターネットサーバー機能)を持つ必要がないので、複数の自動販売機でインターネット接続サービスシステムを組むのに適している。この場合、個別の自動販売機1は、インターネット接続サービスに関しては、無線LANのアクセスポイント(AP)装置、通信回線網3を介してサーバ2に接続するためのモデム装置、及びこれらを制御する制御装置を具備していればよい。
【0006】
図4に示したようなシステムは、インターネット接続サービス機能を持たない既存の自動販売機管理システムにおいて、インターネット接続サービス機能を導入し易いという利点もある。すなわち、既存の自動販売機管理システムにおいては、所定の通信回線網3(例えばFOMA)を介して複数の自動販売機1を中央の管理サーバ2に接続し、売上管理等種々の管理を中央の管理サーバ2で一括して行うようになっている。このような既存の自動販売機管理システムにおいては、インターネット接続サービス機能を導入するに際して、元々持っている通信用インフラ(管理サーバ2、通信回線網3)を応用することができるので、低い初期コストでインターネット接続サービス機能を導入することができる。
【0007】
しかし、その反面、図4に示したようなシステムにおいては、利用者の端末機のアクセス先である個別自動販売機1とインターネットへの接続元である管理サーバ2との間に中間の通信回線網3(例えばFOMA)が介在することになるので、中間の通信回線網3(例えばFOMA)の回線負荷(通信負荷)に対する許容量に限界があることが問題となる。例えば、管理サーバ2は光回線等で高速・高容量でインターネットに接続可能であっても、中間の通信回線網3(例えばFOMA)の回線負荷許容量に限度があるため、同時に多くの端末機が自動販売機1にアクセスしたとき、インターネット接続のスピードが大きく低下してしまうという問題がある。特に、既存の自動販売機管理システムにおいては、中間の通信回線網3(FOMA等)で取り扱える回線負荷許容量はそれほど大きくない。
【0008】
なお、下記特許文献2及び3においては、通信途中で無線アクセスポイントを自動的に変更する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−157658号
【特許文献2】特開2007−267074号
【特許文献3】特開2007−288695号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、中間の通信回線網を介在させてインターネット接続サービスサービスを提供するシステムにおいて、中間の通信回線網の回線負荷を考慮した円滑な運用が行えるようにすることを目的とし、その目的を達成するための自動販売機及びインターネット接続システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る自動販売機は、インターネット接続を実行するためのサーバ及び該サーバと通信可能な複数の自動販売機で構成されるシステムにおける自動販売機であって、利用者が購入品目を選択するために該利用者によって操作される品目選択手段と、ここで、該品目選択手段によって選択される品目には、利用者が携帯する端末機をインターネットに接続させるサービスを提供することが含まれており、中間の通信回線網を介して前記サーバと通信するための第1の通信手段と、利用者が携帯する端末機と通信するための第2の通信手段と、前記品目選択手段によって選択された購入品目に前記利用者が携帯する端末機をインターネットに接続させるサービスが含まれているならば、該サービスに対する対価の決済条件が充足されることを条件に、前記第2の通信手段を介して接続されている該端末機を更に前記第1の通信手段を介して前記サーバに接続し、該サーバ経由で該端末機をインターネットに接続させる接続制御手段と、複数の使用者の端末機が前記第1の通信手段から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続された状態における該中間の通信回線網の回線負荷が所定の閾値に達したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段で前記回線負荷が前記所定の閾値に達したと判定されたならば、当該自動販売機にアクセスしてきた複数の使用者の端末機のいずれかを前記システム内の別の自動販売機から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続させるよう制御する分担制御手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る自動販売機によれば、複数の使用者の端末機が前記第1の通信手段から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続された状態における該中間の通信回線網の回線負荷が所定の閾値に達したか否かを判定し、該回線負荷が前記所定の閾値に達したと判定されたならば、当該自動販売機にアクセスしてきた複数の使用者の端末機のいずれかを前記システム内の別の自動販売機から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続させるよう制御するので、サーバと当該自動販売機の前記第1の通信手段とを結ぶ中間の通信回線網における回線負荷の増大を防ぎ、該中間の通信回線網を経由したインターネット接続の効率低下を防ぐことができる。
【0013】
本発明に係るインターネット接続サービスシステムは、利用者が携帯する端末機をインターネットに接続させるサービスを行うためのインターネット接続サービスシステムであって、インターネット接続を実行するためのサーバと、複数のサービス端末と、ここで、各サービス端末は、中間の通信回線網を介して前記サーバと通信するための第1の通信手段と、当該サービス端末の有効エリア内にいる利用者が携帯する端末機と無線通信するための第2の通信手段とを含み、前記複数のサービス端末の内の第1のサービス端末に前記第2の通信手段を介してアクセスしてきた端末機につき、インターネットに接続させるサービスに対する対価の決済条件が充足されることを条件に、該端末機を更に前記第1のサービス端末の前記第1の通信手段を介して前記サーバに接続し、該サーバ経由で該端末機をインターネットに接続させる接続制御手段と、複数の使用者の端末機が前記第1のサービス端末の前記第1の通信手段から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続された状態における該中間の通信回線網の回線負荷が所定の閾値に達したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段で前記回線負荷が前記所定の閾値に達したと判定されたならば、前記第1のサービス端末にアクセスしてきた複数の使用者の端末機のいずれかを前記複数のサービス端末の内の第2のサービス端末から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続させるよう制御する分担制御手段とを具備する。
【0014】
本発明に係るインターネット接続サービスシステムによれば、複数の使用者の端末機が前記第1のサービス端末の前記第1の通信手段から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続された状態における該中間の通信回線網の回線負荷が所定の閾値に達したか否かを判定し、該回線負荷が前記所定の閾値に達したと判定されたならば、前記第1のサービス端末にアクセスしてきた複数の使用者の端末機のいずれかを前記複数のサービス端末の内の第2のサービス端末から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続させるよう制御するので、サーバと第1のサービス端末の前記第1の通信手段とを結ぶ中間の通信回線網における回線負荷の増大を防ぎ、該中間の通信回線網を経由したインターネット接続の効率低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係る自動販売機の内部構成の概略ブロック図及びインターネット接続サービスシステムのブロック図。
【図2】同実施例に係る自動販売機及びそれに関連したインターネット接続サービスシステムを用いたインターネット接続サービスの処理手順の第一例を示すシーケンス図。
【図3】同実施例に係る自動販売機及びそれに関連したインターネット接続サービスシステムを用いたインターネット接続サービスの処理手順の第二例を示すシーケンス図。
【図4】自動販売機を用いたインターネット接続サービスシステムの従来例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明しよう。
【0017】
図1は、本発明の一実施例に係る自動販売機10の内部構成の概略ブロック図及びインターネット接続サービスシステムのブロック図である。インターネット接続サービスシステムは、サービス端末として機能する複数の自動販売機10,10a,...10nと、管理サーバ50と、該管理サーバ50と各自動販売機10,10a,...10nとの間で通信を行う中間の通信回線網(例えばFOMA等)40とを含んで構成される。
【0018】
以下、1つの自動販売機(サービス端末)10について、その内部構成例を説明するが、他の自動販売機(サービス端末)10a,...10nも同一構成であってよい。自動販売機10は、公知の自動販売機が持つ装置及び機構に加えて、対価の決済を電子マネーで行うための電子マネー端末装置20を具備しており、また、インターネット接続サービスシステムにおけるサービス端末としての機能(使用者の携帯端末機をアクセスさせる機能及び中間の通信回線網40を介して管理サーバ50と通信する機能)を具備している。
【0019】
図1において、自動販売機10は、自動販売機主制御部11、品目選択部12、硬貨処理装置(コインメックC/M)13、紙幣識別装置(ビルバリデータB/V)14、物品排出機構15などの公知の装置・機構を具備する。硬貨処理装置13及び紙幣識別装置14は、インターネット接続サービスの対価を現金で支払う場合に、利用者が投入した貨幣を受理し、投入金額を計算するもので、これにより、対価支払いのための金銭的価値情報が入力される。
【0020】
品目選択部12は、利用者が購入品目(商品)を選択するために該利用者によって操作されるスイッチ等からなる。この品目選択部12によって選択可能な品目には、利用者が携帯する端末機30をインターネットに接続させるサービスを提供することが含まれている。例えば、所定の1つの品目選択スイッチに対して「インターネット接続サービス」が割り当てられており、「インターネット接続サービス」の利用(時間借り)を希望する利用者は、該「インターネット接続サービス」に対応する当該品目選択スイッチをオンする。この場合、該品目選択スイッチで選択可能な「インターネット接続サービス」の利用時間(借り時間)が例えば1時間のように所定時間に固定されていてもよいし、あるいは、図示しないテンキーボードなどの入力手段を自動販売機10に設け、該入力手段で所望の「インターネット接続サービス」利用時間を入力できるようにしてもよい。若しくは、複数の品目選択スイッチに対してそれぞれ異なる利用時間(借り時間)の「インターネット接続サービス」を割り当てておき、利用者が所望の時間に対応するいずれかの品目選択スイッチを選択操作するように構成してもよい。なお、通常は利用時間(借り時間)の長さに応じて利用料金が異なるようにする。なお、自動販売機10が通常知られているように物品販売機能を持っている場合は、インターネット接続サービスが購入されたとき、おまけとしてジュース等何らかの物品が併せて排出されるようになっていてもよい。その逆に、ジュース等何らかの物品が購入されたとき、おまけとしてインターネット接続サービスを受けることができるようになっていてもよい。なお、「インターネット接続サービス」専用の品目選択スイッチを電子マネー端末装置20の側に具備していてもよい。
【0021】
電子マネー端末装置20は、制御部21、電子マネー入力部22、機器ID読取部23、AP電力モード切替制御部24、通信モジュール25等を含んでいる。
【0022】
通信モジュール25及びアンテナ41は、所定の通信回線網(例えばFOMA)40を介して自動販売機10が外部の管理サーバ50と通信を行うことを可能にする通信インターフェース(第1の通信手段)である。電子マネー端末装置20に関連して無線LANのアクセスポイント(AP)装置16が設けられている。このアクセスポイント(AP)装置16は、当該自動販売機10が設置された場所の周辺のエリアに無線LANを構築し、該エリア内に入った利用者が携帯する端末機30と該自動販売機10(すなわち該自動販売機10内の電子マネー端末装置20)が通信できるようにする手段(第2の通信手段)である。
【0023】
電子マネー入力部22は、現金に代替しうる電子マネー媒体を利用者に提示させる(入力させる)ためのものであり、プリペイドカード、デビットカード、クレジットカード、金券、ポイントカードなど、現金に代替しうる金銭的価値情報を保持する電子マネー媒体であればどのような形態からなっていてもよい。例えば、電子マネー媒体が該利用者が所持するICカードあるいは磁気カード等の記録媒体であるとすると、電子マネー入力部22は、外部から近接した若しくは挿入された記録媒体(電子マネー媒体)に記録された情報の少なくとも読み取りを行う媒体読取器からなっていてよく、該記録媒体に記録された電子マネー情報を媒体読取器で読み取ることにより該電子マネー情報を入力することができる。この場合、勿論、媒体読取器は、書込み機能をも具えた読み書き器であってもよく、例えば、決済処理の結果生じた残金などが書き込まれるようになっていてよい。なお、記録媒体に記録された電子マネー情報は、バーコードあるいは2次元バーコードなどの光学的情報であってもよく、その場合、携帯電話のディスプレイに電子マネー情報を表示させ、これを媒体読取器にて光学的に読み取る構成であってもよい。
【0024】
機器ID読取部23は、アクセスポイント(AP)装置16にアクセスしてきた端末機30から該端末機に固有の機器IDを読み取る。本発明に係るインターネット接続サービスシステムで使用する携帯端末機は、パソコン、PDA、電子ゲーム機等どのような端末機であってもよく、その固有の機器IDとしては、例えばMACアドレス(メディア・アクセス・コントロール・アドレス)を使用することができる。読み取った端末機に固有の機器IDを用いて、後述する分担制御の際に、特定の端末機30のアクセスポイントを別のアクセスポイントに自動的に切り替える等の制御を行うことができるようになっている。
【0025】
AP電力モード切替制御部24は、アクセスポイント(AP)装置16の電源のON/OFFを適切に切替えることで、省エネを図ることができる。
【0026】
制御部21は、電子マネー端末装置20の全体を制御するためのマイクロコンピュータ等で構成されており、例えば、決済処理部26、接続制御部27、判定部28、分担制御部29などの機能を実現する。
【0027】
決済処理部26は、硬貨処理装置13及び紙幣識別装置14あるいは電子マネー入力部22を介して入力された金銭的価値を基礎にして、品目選択部12によって選択された購入品目の対価の決済を行う。
【0028】
接続制御部27は、品目選択部12によって選択された購入品目に、利用者が携帯する端末機30をインターネットに接続させるサービスが含まれているならば、該サービスに対する対価の決済条件が充足されることを条件に、該利用者が携帯する端末機30をインターネットに接続することを許可し、インターネット接続を実現するために必要な制御を行う。具体的には、該接続制御部27によって前記利用者が携帯する端末機30をインターネットに接続することが許可されたとき、前記アクセスポイント(AP)装置16(第2の通信手段)を介して接続されている該端末機30を更に通信モジュール25及びアンテナ41(第1の通信手段)並びに中間の通信回線網40を介して管理サーバ50に接続し、該管理サーバ50経由で該端末機30をインターネットに接続させる。
【0029】
判定部28は、複数の使用者の端末機30が当該自動販売機10から中間の通信回線網40を経由して管理サーバ50を介してインターネットに接続された状態における回線負荷(通信負荷)が所定の閾値に達したか否かを判定する。つまり、当該自動販売機10と管理サーバ50との間の中間の通信回線網40における通信負荷が所定の閾値に達したか否かを判定する。このように中間の通信回線網40を通る通信負荷が所定の閾値に達したか否かを判定するようにした理由は、中間の通信回線網40としてFOMAのような回線負荷に限度のある回線網を用いていることを想定しており、回線負荷に限度のある回線網からなる中間の通信回線網40を経由するインターネット接続サービスの通信効率が使用者にとって目に見えて低下する事態が発生する前に、本発明に従う分担制御(詳しくは後述する)を行うためである。なお、この閾値の質及び値は、設計上任意に定めてよい。最も単純には、インターネット接続のために1台の自動販売機10に対して同時にアクセスしている携帯端末機30の数から現在の回線負荷(通信負荷)を推定し、1台の自動販売機10に対して同時にアクセス可能な携帯端末機30の最大数を該所定の閾値として設定するようにしてよい。本実施例では、このような単純な例に従い回線負荷(通信負荷)を推定し且つ所定の閾値を定めているものとする。しかし、これに限らず、当該自動販売機10を介してインターネットに接続している携帯端末機30の台数と各端末機のパケット通信状態等を詳しく評価して通信負荷を算出し、そのような複雑な通信負荷をベースにして所定の閾値を設定するようにしてもよい。
【0030】
分担制御部29は、判定部28で前記通信負荷が前記所定の閾値に達したと判定されたならば、当該自動販売機10にアクセスしてきた複数の使用者の端末機のいずれかを当該システム内の別の自動販売機(10a〜10n)を経由して管理サーバ50に接続させるよう制御する。この分担制御部29による制御は、具体的には、管理サーバ50の助けを借りて行われる。すなわち、分担制御部29は、判定部28で前記回線負荷(通信負荷)が前記所定の閾値に達したと判定されたならば、その旨の通知を管理サーバ50に送り、使用者の端末機のインターネット接続を代替して行わせることができる別の自動販売機(10a〜10n)を管理サーバ50に選出してもらうよう、依頼するようになっている。また、分担制御部29は、自動販売機10にアクセスしてきた前記複数の使用者の端末機のいずれかを、前記依頼に従って管理サーバ50によって選出された前記別の自動販売機を経由して管理サーバ50に接続させるように切り替えるようになっている(切替手段の機能)。また、分担制御部29では、逆に、管理サーバ50からの指示に従い、他の自動販売機(10a〜10n)にアクセスしてきた使用者の端末機のインターネット接続を代替して行うために必要な制御も行う。
【0031】
管理サーバ50は、いずれかの自動販売機(サービス端末)から中間の通信回線網40を介して該管理サーバ50に接続してきた端末機30のインターネットへの接続を制御するインターネット接続サーバ機能を実行する。また、管理サーバ50は、本発明に従い中間の通信回線網40を経由する通信の負荷を軽減するための負荷管理機能を実行し、更に、必要に応じて決済管理機能を実行するようにしてもよい。
【0032】
管理サーバ50において、通信インターフェース51は、前記通信回路網40(例えばFOMA)と通信を行うためのインターフェースである。管理サーバ50は、該通信インターフェース51を介して前記通信回線網40を経由してシステム内の各自動販売機10と通信する。制御部52は、負荷及び決済管理機能を制御するためのコンピュータからなる。
【0033】
ロケーショングループリスト記憶部53は、配置場所が隣接している複数の自動販売機(サービス端末)をグループ化して管理するためのロケーショングループリストを記憶する。例えば、個々の自動販売機(サービス端末)が構築する無線LANの有効エリアが部分的に重なり合う複数の自動販売機(サービス端末)を1グループとしてグループ化し、そのようなグループを複数グループ設定し、これらの各グループを構成する複数の自動販売機(サービス端末)のIDを一覧するリストを、ロケーショングループリストとして予め作成し、これを記憶する。管理サーバ50では、或る(第1の)自動販売機(サービス端末)10の前記判定部28で前記回線負荷(通信負荷)が前記所定の閾値に達したと判定されたならば、その旨の通知を中間の通信回線網40を介して該或る(第1の)自動販売機(サービス端末)10から受け取り、制御部52がロケーショングループリスト記憶部53を参照して、該或る(第1の)自動販売機(サービス端末)10にアクセスしてきた使用者の端末機のインターネット接続を代替して行わせることができる別の(第2の)自動販売機(サービス端末)(10a〜10n)を同一グループ内から選出する。その場合、同一グループ内の自動販売機(サービス端末)の内の前記回線負荷(通信負荷)が前記所定の閾値に達していない自動販売機(サービス端末)を該第2の自動販売機(サービス端末)として選出する。そして、選出した第2の自動販売機(サービス端末)(10a〜10n)に対して、前記第1の自動販売機(サービス端末)10にアクセスしてきた使用者の端末機のインターネット接続を代替して行うよう、指示する。
【0034】
管理サーバ50において、決済処理部54は、個別の自動販売機(サービス端末)10で利用者が購入したインターネット接続サービス等の対価の決済処理を管理サーバ50の側で行うためのものである。なお、この決済処理を個別の自動販売機(サービス端末)10で行う場合は、管理サーバ50側の決済処理部54は不要である。
【0035】
管理サーバ50において、制御部55は、インターネット接続サーバ機能全体を制御するためのコンピュータからなる。インターネット接続部56は、中間の通信回線網40を介して管理サーバ50に接続してきた端末機30をインターネットに接続させる処理を、制御部55の制御の下で、行う。
【0036】
次に、本発明の一実施例に係る自動販売機10及びそれに関連したインターネット接続サービスシステムを用いたインターネット接続サービスの処理手順のいくつかの例について図2、図3を参照して説明する。図2、図3に示すシーケンス図において、横方向に並んだ要素(縦ライン)は、図1の実施例における各要素を示し、左から順に、管理サーバ50、第1の自動販売機10(サービス端末T1)、第2の自動販売機10a(サービス端末T2)、利用者1の端末機30(これをPC1と略称する)、利用者2の端末機30(これをPC2と略称する)、利用者3の端末機30(これをPC3と略称する)、利用者4の端末機30(これをPC4と略称する)、である。概ね、処理手順の時系列は図で上から下に流れる。適宜の時系列位置で、或る要素(縦ライン)から横に向かう線(横ライン)は、そのタイミングで当該要素で何らかの動作が行われ、その次に横ラインの到達点の要素に処理が移行することを示す。また、各要素(縦ライン)の時系列位置においてブロック中に記載された事項は、当該要素が当該時系列位置で行う処理の内容を代表的に示している。それぞれの具体的処理に関しては、自動販売機主制御部11が行う処理については自動販売機主制御部11が具備するコンピュータが所要のプログラムを実行することにより行い、電子マネー端末装置20が行う処理については電子マネー端末装置20の制御部21が具備するコンピュータが所要のプログラムを実行することにより行い、管理サーバ50が行う処理については管理サーバ50が具備するコンピュータが所要のプログラムを実行することにより行う。
【0037】
図2(第一例)及び図3(第二例)に示す設例では、本発明に従う分担制御における前記所定の閾値として、1台の自動販売機に対して同時にアクセス可能な携帯端末機30の最大数を設定するものとし、一例として「4」としている。そして、第1の自動販売機10(サービス端末T1)に4名の利用者1〜4が順次アクセスしてきた場合の処理例を示している。
【0038】
図2に示す第一例では、システム内の各自動販売機同士は管理サーバ50を介して必要な情報を通信している。また、第1の自動販売機10(サービス端末T1)にアクセスしてきた使用者の端末機30のインターネット接続を、第2の自動販売機10a(サービス端末T2)に代替して(分担させて)行わせる場合に、該第2の自動販売機10a(サービス端末T2)を経由してサーバ50に接続するように制御された当該端末機30のアクセスポイントを、第1の自動販売機10(サービス端末T1)から第2の自動販売機10a(サービス端末T2)に自動的に切り替えるようにしている。
【0039】
図2において、最初の利用者のPC1が第1の自動販売機10(以下、単にサービス端末T1という)のアクセスポイント(AP)装置16(第2の通信手段)にアクセスすると、AP電力モード切替制御部24に対して接続指示を与え、アクセスポイント(AP)装置16の電源がまだONとされていなければ、その電源をONとし、無線LANを起動する(S1)。AP電力モード切替制御部24は、当該電子マネー端末装置20の無線LANの有効エリア内においてインターネットへの接続を要求又は実行している端末機30が存在していない場合は、アクセスポイント(AP)装置16を電源OFF(省エネモード)としている。
【0040】
次に、サービス端末T1は、前記判定部28において、当該サービス端末T1から中間の通信回線網40を介して管理サーバ50にインターネット接続する端末機30による該中間の通信回線網40に対する通信負荷が所定の閾値に達しているかを判定する(S2)。本実施例に係る設例では、当該サービス端末T1から中間の通信回線網40を介して管理サーバ50にインターネット接続する端末機30の数が所定の閾値(4)に達しているかを判定する。PC1がアクセスしてきた時点では、当該サービス端末T1からインターネット接続している端末機30の数は0であるから、所定の閾値(4)に達していないと判定され、無線LANを介してアクセスポイント(AP)装置16に接続してきた利用者の端末機30(PC1)の固有の機器ID(例えばMACアドレス)が電子マネー端末装置20(機器ID読取部23)によって読み取られ、記憶される(S3)。
【0041】
次に、インターネット接続サービスに対する対価の決済条件が充足されることを条件にPC1をインターネットに接続することを許可する(S4)。対価の決済条件とは、通常知られている販売可否の判定条件のことであり、また、通常の販売可否判定条件に限らず、任意の決済条件設定(例えば会員制として会員は無料であるとか、提示したクーポンによって対価金額が異なる又は割引がある等々)がなされていてもよい。例えば、利用者が投入した現金又は提示した電子マネーと選択されたインターネット接続サービスの販売価格情報に基づき、販売対価の決済処理を当該サービス端末T1の電子マネー端末装置20にて行い、利用者が投入した現金又は提示した電子マネーが保持する金銭的価値が選択されたインターネット接続サービスの対価を支払えるのであれば、販売許可すると判定され、PC1をインターネットに接続することを許可する。なお、この決済処理は、図示の段階(時点)に限らず、どの段階(時点)で行うようにしてもよいし、また、サービス端末(自動販売機)の側で行わずに、管理サーバ50の側で行うようにしてもよい。
【0042】
PC1をインターネットに接続することを許可した場合、PC1内の電子マネー端末装置20において、アクセスポイント(AP)装置16に接続してきたPC1を、更に通信モジュール25及びアンテナ41を介して中間の通信回線網40に接続し、該通信回線網40を経由して管理サーバ50に接続する。これに応じて、管理サーバ50は、アクセスポイント(AP)装置16及び中間の通信回線網40を経由して該管理サーバ50にアクセスしてきたPC1を、インターネットに接続させる処理を行う(S5)。
【0043】
次に、2番目の利用者のPC2がサービス端末T1のアクセスポイント(AP)装置16(第2の通信手段)にアクセスすると、S6,S7,S8において前記S2,S3,S4と同様の処理を行う。この場合、PC2がアクセスしてきた時点では、当該サービス端末T1からインターネット接続している端末機30の数は1であるから、所定の閾値(4)に達していないと判定され(S6)、無線LANを介してアクセスポイント(AP)装置16に接続してきたPC2の固有の機器ID(例えばMACアドレス)を読み取って記憶し(S7)、インターネット接続サービスに対する対価の決済条件が充足されることを条件にPC2をインターネットに接続することを許可する(S8)。これに応じて、管理サーバ50は、アクセスポイント(AP)装置16及び中間の通信回線網40を経由して該管理サーバ50にアクセスしてきたPC2を、インターネットに接続させる処理を行う(S9)。
【0044】
次に、3番目の利用者のPC3がサービス端末T1のアクセスポイント(AP)装置16(第2の通信手段)にアクセスすると、S10,S11,S12において前記S2,S3,S4と同様の処理を行う。この場合、PC3がアクセスしてきた時点では、当該サービス端末T1からインターネット接続している端末機30の数は2であるから、所定の閾値(4)に達していないと判定され(S10)、無線LANを介してアクセスポイント(AP)装置16に接続してきたPC3の固有の機器ID(例えばMACアドレス)を読み取って記憶し(S11)、インターネット接続サービスに対する対価の決済条件が充足されることを条件に該PC3をインターネットに接続することを許可する(S12)。これに応じて、管理サーバ50は、アクセスポイント(AP)装置16及び中間の通信回線網40を経由して該管理サーバ50にアクセスしてきたPC3を、インターネットに接続させる処理を行う(S13)。
【0045】
更に、4番目の利用者のPC4がサービス端末T1のアクセスポイント(AP)装置16(第2の通信手段)にアクセスすると、S14,S15,S16において前記S2,S3,S4と同様の処理を行う。この場合、PC4がアクセスしてきた時点では、当該サービス端末T1からインターネット接続している端末機30の数は3であるから、PC4のインターネット接続を許可すると所定の閾値(4)に達すると判定される(S14)。そのように判定した場合でも、4番目の利用者のPC4を速やかに接続処理するために、無線LANを介してアクセスポイント(AP)装置16に接続してきた該PC4の固有の機器ID(例えばMACアドレス)を読み取って記憶し(S15)、インターネット接続サービスに対する対価の決済条件が充足されることを条件に該PC4をインターネットに接続することを許可する(S16)。これに応じて、管理サーバ50は、アクセスポイント(AP)装置16及び中間の通信回線網40を経由して該管理サーバ50にアクセスしてきたPC3を、インターネットに接続させる処理を行う。
【0046】
しかし、PC4のインターネット接続を許可したことにより、当該サービス端末T1からインターネット接続している端末機30の数は4となり、サービス端末T1から管理サーバ50につながる通信回線網40の通信負荷が所定閾値に達したことを意味している。そこで、これ以上、このサービス端末T1に端末機30がアクセスできないようにするために、このサービス端末T1でのインターネット接続サービスの新規の受付を休止する(S17)。そして、管理サーバ50に対してサービス端末T1の負荷を分担できる別のサービス端末(自動販売機)のアクセスポイント(AP)を検索する依頼する(S18)。なお、この依頼は、前記判定部28の処理として行われる。
【0047】
管理サーバ50では、上記依頼を受けて、サービス端末T1の負荷を分担できる別のサービス端末(自動販売機)のアクセスポイント(AP)を検索し選出する(S19)。すなわち、前述のように、管理サーバ50の制御部52がロケーショングループリスト記憶部53を参照して、該サービス端末T1に代替(分担)できる別のサービス端末(自動販売機)を同一グループ内から選出する。その場合、同一グループ内のサービス端末(自動販売機)の内の前記通信負荷が前記所定の閾値に達していないサービス端末(例えばアクセスしている端末機が0のサービス端末)を該代替(分担)できる別のサービス端末(自動販売機)として選出する。該代替(分担)できる別のサービス端末として選出されたサービス端末を、第2のサービス端末T2(例えば自動販売機10a)とする。管理サーバ50は、該選出した第2のサービス端末T2に対してその旨を通知すると共に、第1のサービス端末T1に現在アクセスしている全ての端末機PC1〜PC4の機器IDをサービス端末T1から取得して、サービス端末T2に送付する(S20)。
【0048】
選出された第2のサービス端末T2では、管理サーバ50からの通知に応じて送付されたPC1〜PC4の機器IDを取得し(S20)、AP電力モード切替制御部24に対して接続指示を与え、アクセスポイント(AP)装置16の電源がまだONとされていなければ、その電源をONとし、無線LANを起動する(S21)。そして、該無線LANを介して機器IDからPC1〜PC4の存在を検出し、どのPC(端末機30)の通信を自己のサービス端末T2が分担すべきかを選定する(S22)。例えば、4つのPC1〜PC4のうち、サービス端末T2のアクセスポイント(AP)装置16での無線電波の受信レベルが高い順にランク付し、上位ランクの2つのPC(端末機30)を分担すべきPCとして選定する。一例として、第2のサービス端末T2で分担すべきPCとしてPC3とPC4が選定されたとして、説明を進める。
【0049】
第2のサービス端末T2では、分担すべきPCとして選定したPC3とPC4が、自己のサービス端末T2を介して中間の通信回線網40を経由して管理サーバ50に接続し、インターネットに接続することを許可する(S23)。これに応じて、許可されたPC3とPC4の機器IDが第2のサービス端末T2において記憶され、かつ、PC3とPC4のアクセスポイント(AP)が第1のサービス端末T1のアクセスポイント(AP)装置16から第2のサービス端末T2のアクセスポイント(AP)装置16に自動的に切り替えられる。
【0050】
また、第2のサービス端末T2は、分担すべきPCとして選定したPC3とPC4の機器IDを管理サーバ50に通知し、管理サーバ50ではこの通知を受けて第1のサービス端末T1に対して分担されたPC3とPC4の機器IDを通知する。第1のサービス端末T1では、この通知を受けて、第2のサービス端末T2に分担させたPC3とPC4の接続を停止し、該PC3とPC4の機器IDを自己の記憶から削除する(S24)。こうして、第1のサービス端末T1にアクセスしてきた4つのPC1〜PC4のうち、PC3とPC4の接続が第2のサービス端末T2に分担され、第1のサービス端末T1ではPC1とPC2の接続のみを行うようになり、通信負荷が軽減される。つまり、4つのPC1〜PC4が1つのサービス端末T1から中間の通信回線網40を介して管理サーバ50にアクセスする形態よりも、2つのPC1,PC2が1つのサービス端末T1から中間の通信回線網40を介して管理サーバ50にアクセスし、かつ、2つのPC3,PC4が1つのサービス端末T2から中間の通信回線網40を介して管理サーバ50にアクセスする形態の方が、個々のPCの通信に対しては中間の通信回線網40での回線負荷(通信負荷)が軽くなり、利用者にとって通信遅れを感じさせないインターネット接続サービスを提供することができる。
【0051】
以上のように通信負荷を軽減させた後、サービス端末T1では、インターネット接続サービスの受付を再開する(S25)。
【0052】
図3に示す第二例では、システム内の各自動販売機同士は管理サーバ50を通さずに、それぞれが具備している無線LANのようなローカルな通信手段を介して必要な情報を相互に通信することができるようにしている。この実施例では、それぞれが具備するアクセスポイント(AP)装置16によってそれぞれが構築する無線LANを該ローカルな通信手段として使用するようにしている。また、第1の自動販売機10(サービス端末T1)にアクセスしてきた使用者の端末機30のインターネット接続を、第2の自動販売機10a(サービス端末T2)に代替して(分担させて)行わせる場合に、該第2の自動販売機10a(サービス端末T2)を経由してサーバ50に接続するように制御された当該端末機30のアクセスポイントを、第1の自動販売機10(サービス端末T1)から第2の自動販売機10a(サービス端末T2)に自動的に切り替えるようにしてもよいし、あるいは、当該端末機30のアクセスポイントを切り替えることなく、当該端末機30のアクセスポイントを第1の自動販売機10(サービス端末T1)に設定したまま、第1の自動販売機10(サービス端末T1)から前記ローカルな通信手段を経由して第2の自動販売機10a(サービス端末T2)にアクセスされることがてぎるようにもしている。
【0053】
図3において、S1〜S19までの処理は、図2と同様である。管理サーバ50は、S19で代替(分担)できる第2のサービス端末T2(アクセスポイントAP)を選出すると、該選出した第2のサービス端末T2に第1のサービス端末T1のID(識別情報)を送付し、かつ、第1のサービス端末T1には該選出した第2のサービス端末T2のID(識別情報)を送付する。第2のサービス端末T2では、送付された第1のサービス端末T1のIDを記憶し(S26)、アクセスポイント(AP)装置16の電源がまだONとされていなければ、その電源をONとし、無線LANを起動する(S21)。そして、該無線LANを介して、第1のサービス端末T1の所在を検出し、該第1のサービス端末T1を検出したら、該第1のサービス端末T1が無線LANを介して第2のサービス端末T2に接続することを許可する(S27)。
【0054】
一方、第1のサービス端末T1では、該選出された第2のサービス端末T2のIDを記憶し、無線LANを介して第2のサービス端末T2の所在を検出し、該第2のサービス端末T2を検出したら、該第2のサービス端末T2が無線LANを介して第1のサービス端末T1に接続することを許可し、該第1のサービス端末T1にアクセスしているPC1〜PC4の機器IDを無線LANを介して第2のサービス端末T2に送付する(S28)。
【0055】
第2のサービス端末T2では、無線LANを介して第1のサービス端末T1から送付されてきたPC1〜PC4の機器IDを取得すると(S20)、図2のS22と同様に、無線LANを介して該機器IDからPC1〜PC4の存在を検出し、どのPC(端末機30)の通信を自己のサービス端末T2が分担すべきかを選定する(S22)。前述と同様に、一例として、第2のサービス端末T2で分担すべきPCとしてPC3とPC4が選定されたと仮定して、説明を進める。
【0056】
第2のサービス端末T2では、分担すべきPCとして選定したPC3とPC4が、自己のサービス端末T2を介して中間の通信回線網40を経由して管理サーバ50に接続し、インターネットに接続することを許可する(S23)。これに応じて、許可されたPC3とPC4の機器IDが第2のサービス端末T2において記憶され、かつ、PC3とPC4のアクセスポイント(AP)が第1のサービス端末T1のアクセスポイント(AP)装置16から第2のサービス端末T2のアクセスポイント(AP)装置16に自動的に切り替えられる。
【0057】
また、第2のサービス端末T2は、分担すべきPCとして選定したPC3とPC4の機器IDを無線LANを介して第1のサービス端末T1に通知し、第1のサービス端末T1ではこの通知を受けて、第2のサービス端末T2に分担させたPC3とPC4の接続を停止し、該PC3とPC4の機器IDを自己の記憶から削除する(S24)。こうして、第1のサービス端末T1にアクセスしてきた4つのPC1〜PC4のうち、PC3とPC4の接続が第2のサービス端末T2に分担され、第1のサービス端末T1ではPC1とPC2の接続のみを行うようになり、通信負荷が軽減される。このように通信負荷を軽減させた後、サービス端末T1では、インターネット接続サービスの受付を再開する(S25)。
【0058】
次に、上述した各実施例の変形例について説明する。上述の実施例では、第2のサービス端末T2に分担させることになったPC3とPC4の接続は、そのアクセスポイントを、第1のサービス端末T1から第2のサービス端末T2のアクセスポイント(AP)装置16に自動的に切り替えている。しかし、どのPC1〜PC4も第2のサービス端末T2の無線LANの有効エリアにいない場合もあり得る。そのような場合は、インターネット接続のためのアクセスを分担(代替)させようにもさせることができない。そこで、そのような不都合に対処するために、この変形例においては、S22(分担制御部29)において、どのPC1〜PC4も第2のサービス端末T2の無線LANの有効エリアにいない場合は、任意の基準で分担(代替)させるPCを選定するものとし(仮にその場合もPC3、PC4が選定されるとして説明を進める)、それらの分担(代替)されるべきPC3、PC4の第1のサービス端末T1のアクセスポイント(AP)装置16へのアクセスを維持したまま、ローカル通信手段(無線LAN)を介してそれらの分担(代替)されるべきPC3、PC4を第1のサービス端末T1から第2のサービス端末T2に中継し、更に該第2のサービス端末T2から中間の通信回線網40を経由して管理サーバ50に接続することで、インターネット接続を行わせるようにする。この場合であっても、第1のサービス端末T1にアクセスしてきたPC1〜PC4が、サービス端末T1から中間の通信回線網40に接続するグループ(例えばPC1,PC2)とサービス端末T2から中間の通信回線網40に接続するグループ(例えばPC3,PC4)に振り分けられるので、個々のPCの通信に対する中間の通信回線網40での回線負荷(通信負荷)を軽くすることができる。
【0059】
なお、上記実施例では、本発明に係るインターネット接続サービスシステムのサービス端末が自動販売機であるとしているが、物品販売機能を持つ自動販売機に限らず、インターネット接続サービス専用の端末装置であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
10,10a,10n 自動販売機(サービス端末)
11 自動販売機主制御
12 品目選択部
20 電子マネー端末装置
21 制御部
22 電子マネー入力部
23 機器ID読取部
24 AP電力モード切替制御部
25 通信モジュール
40 通信回路網
50 管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット接続を実行するためのサーバ及び該サーバと通信可能な複数の自動販売機で構成されるシステムにおける自動販売機であって、
利用者が購入品目を選択するために該利用者によって操作される品目選択手段と、ここで、該品目選択手段によって選択される品目には、利用者が携帯する端末機をインターネットに接続させるサービスを提供することが含まれており、
中間の通信回線網を介して前記サーバと通信するための第1の通信手段と、
利用者が携帯する端末機と通信するための第2の通信手段と、
前記品目選択手段によって選択された購入品目に前記利用者が携帯する端末機をインターネットに接続させるサービスが含まれているならば、該サービスに対する対価の決済条件が充足されることを条件に、前記第2の通信手段を介して接続されている該端末機を更に前記第1の通信手段を介して前記サーバに接続し、該サーバ経由で該端末機をインターネットに接続させる接続制御手段と、
複数の使用者の端末機が前記第1の通信手段から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続された状態における該中間の通信回線網の回線負荷が所定の閾値に達したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で前記回線負荷が前記所定の閾値に達したと判定されたならば、当該自動販売機にアクセスしてきた複数の使用者の端末機のいずれかを前記システム内の別の自動販売機から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続させるよう制御する分担制御手段と
を具備することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記分担制御手段は、
前記判定手段で前記回線負荷が前記所定の閾値に達したと判定されたならば、前記サーバに対して前記別の自動販売機を選出するように依頼する手段と、
前記自動販売機にアクセスしてきた前記複数の使用者の端末機のいずれかを、前記依頼に従って前記サーバによって選出された前記別の自動販売機を経由して前記サーバに接続させるように切り替える切替手段と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記切替手段は、前記自動販売機にアクセスしてきた前記複数の使用者の端末機がそれぞれ持っている固有の機器IDを、前記サーバを介して又は直接に、前記別の自動販売機に通知し、これにより通知した機器IDに基づいて前記別の自動販売機が代替して通信する端末機を該別の自動販売機に選択させ、前記別の自動販売機が代替して通信することを選択した機器IDを該別の自動販売機から受信し、該受信した機器IDを持つ端末機の前記第2の通信手段を介した接続を停止することを特徴とする請求項2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記第2の通信手段を介して前記別の自動販売機とローカルに通信することが可能であり、
前記切替手段は、前記自動販売機にアクセスしてきた前記複数の使用者の端末機のいずれかを前記ローカル通信手段を介して前記別の自動販売機に接続することで、該別の自動販売機を経由して前記サーバに接続させることを特徴とする請求項2に記載の自動販売機。
【請求項5】
利用者が携帯する端末機をインターネットに接続させるサービスを行うためのインターネット接続サービスシステムであって、
インターネット接続を実行するためのサーバと、
複数のサービス端末と、ここで、各サービス端末は、中間の通信回線網を介して前記サーバと通信するための第1の通信手段と、当該サービス端末の有効エリア内にいる利用者が携帯する端末機と無線通信するための第2の通信手段とを含み、
前記複数のサービス端末の内の第1のサービス端末に前記第2の通信手段を介してアクセスしてきた端末機につき、インターネットに接続させるサービスに対する対価の決済条件が充足されることを条件に、該端末機を更に前記第1のサービス端末の前記第1の通信手段を介して前記サーバに接続し、該サーバ経由で該端末機をインターネットに接続させる接続制御手段と、
複数の使用者の端末機が前記第1のサービス端末の前記第1の通信手段から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続された状態における該中間の通信回線網の回線負荷が所定の閾値に達したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で前記回線負荷が前記所定の閾値に達したと判定されたならば、前記第1のサービス端末にアクセスしてきた複数の使用者の端末機のいずれかを前記複数のサービス端末の内の第2のサービス端末から前記中間の通信回線網を経由して前記サーバに接続させるよう制御する分担制御手段と
を具備するインターネット接続サービスシステム。
【請求項6】
前記分担制御手段は、配置場所が隣接している複数のサービス端末をグループ化して管理し、前記第1のサービス端末と同一グループ内のサービス端末の中から前記通信負荷が前記所定の閾値に達していないサービス端末を前記第2のサービス端末として選出することを特徴とする請求項5に記載のインターネット接続サービスシステム。
【請求項7】
前記分担制御手段によって前記第2のサービス端末を経由して前記サーバに接続するように制御された前記端末機のアクセスポイントを、前記第1のサービス端末から前記第2のサービス端末に自動的に切り替えることを特徴とする請求項5又は6に記載のインターネット接続サービスシステム。
【請求項8】
前記分担制御手段によって前記第2のサービス端末を経由して前記サーバに接続するように制御された前記端末機のアクセスポイントを前記第1のサービス端末に維持し、該第1のサービス端末から前記第2のサービス端末に通信することで該第1のサービス端末にアクセスしている前記端末機を前記第2のサービス端末に接続し、該第2のサービス端末を経由して前記サーバに接続させることを特徴とする請求項5又は6に記載のインターネット接続サービスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−150411(P2011−150411A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9165(P2010−9165)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】