自動販売機
【課題】自動販売機内の電子機器の制御仕様が所定の制御仕様に準拠しているか否かを判定する。
【解決手段】第1制御仕様及び第2制御仕様の少なくともいずれかに準拠した複数の電子機器が通信可能に接続されて構成される自動販売機であって、前記第1制御仕様及び前記第2制御仕様のいずれにも準拠する第1電子機器が、前記第1制御仕様にのみ定められたコマンドを第2電子機器に対して送信し、前記コマンドに対する前記第2電子機器からの応答結果に応じて、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠しているか否かを判定することを特徴とする自動販売機。
【解決手段】第1制御仕様及び第2制御仕様の少なくともいずれかに準拠した複数の電子機器が通信可能に接続されて構成される自動販売機であって、前記第1制御仕様及び前記第2制御仕様のいずれにも準拠する第1電子機器が、前記第1制御仕様にのみ定められたコマンドを第2電子機器に対して送信し、前記コマンドに対する前記第2電子機器からの応答結果に応じて、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠しているか否かを判定することを特徴とする自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、様々な種類の自動販売機が様々な場所に設置されており、日々の生活を便利なものにしている。また自動販売機に関する技術は日々進歩し、新しい機能を備えた自動販売機が次々に登場している。
例えば、自動販売機の釣銭を制御する技術も進歩している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−147194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動販売機は、複数の電子機器を内蔵して構成されており、それらの電子機器が相互に連携して、制御情報を交換しながら動作することにより、利用者に対して利便性の高いサービスを提供する。1台の自動販売機に内蔵される各電子機器は、互いに密接に連携して高度な制御が行えるように、同一の制御仕様に準拠したものが使用されている。
【0005】
従って、例えば自動販売機内の電子機器を新たな電子機器に交換する必要が生じた場合に、新たな電子機器が準拠する制御仕様が元の電子機器の制御仕様と一致していなかった場合には、電子機器間の連携ができず、自動販売機が正しく動作しないことになる。
【0006】
そのため、新たな機能が次々に登場し、日々改良が進んでいる自動販売機の分野では、自動販売機内の電子機器の制御仕様が所定の制御仕様に準拠しているか否かを判定できるようにする技術が求められている。
【0007】
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、自動販売機内の電子機器の制御仕様が所定の制御仕様に準拠しているか否かを判定可能な自動販売機を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段の一つは、第1制御仕様及び第2制御仕様の少なくともいずれかに準拠した複数の電子機器が通信可能に接続されて構成される自動販売機であって、前記第1制御仕様及び前記第2制御仕様のいずれにも準拠する第1電子機器が、前記第1制御仕様にのみ定められたコマンドを第2電子機器に対して送信し、前記コマンドに対する前記第2電子機器からの応答結果に応じて、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠しているか否かを判定することを特徴とする自動販売機である。
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動販売機内の電子機器の制御仕様が所定の制御仕様に準拠しているか否かを判定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る自動販売機の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る自動販売機内の電子機器を示す図である。
【図3】本実施形態に係る判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
===自動販売機の外観構成例===
図1を参照しつつ、本実施形態の自動販売機1の外観構成例について説明する。図1に例示するように、本実施の形態の自動販売機1は、正面に接客面10を有する前扉2を備えて構成される。
本実施の形態の自動販売機1は、例えば、利用者から所定金額の金銭が投入されると、内蔵する使い捨てカップにコーヒー等の飲料を注いで利用者に提供する。
【0012】
前扉2は、後述するコインメック300やビルバリ400、自動販売制御部501等の電子機器を収容する本体(不図示)の側端部に軸支されて開閉する。この前扉2は、例えばルートマンによる金銭の補充や回収等に際しては開錠して開けられる一方、飲料販売に際しては施錠して閉じられている。
【0013】
接客面10は、利用者と自動販売機1とのインタフェースを司るものであり、商品選択ボタン11、砂糖増減ボタン12、クリーム増減ボタン13、増減表示ランプ20、21、表示ランプ22、及びディスプレイ25を備えている。
【0014】
商品選択ボタン11は、利用者が飲料を選択するためのボタンであり、本実施の形態では、販売可ランプ(不図示)や売り切れランプ(不図示)を内蔵し、接客面10上で複数種類の飲料の写真や絵柄、文字等の表示にそれぞれ対応するように配置されている。
【0015】
表示ランプ22は、商品取出口19の所定位置に使い捨てカップを払い出して飲料を販売する旨を利用者に対し表示するべく点灯する。ディスプレイ25は、利用者に対して所定のメッセージを表示する。
また接客面10は、硬貨投入口15、紙幣挿入口16、返却レバー17、カード用リーダライタ14、返却口18、及び商品取出口19を備えている。
【0016】
硬貨投入口15は、利用者が飲料の代金を支払うべく硬貨を投入するためのものである。また、紙幣挿入口16は、利用者が飲料の代金を支払うべく紙幣を挿入するためのものである。
【0017】
返却レバー17は、投入された硬貨、或いは釣銭を返却口18に返却するためのものである。カード用リーダライタ14は、飲料販売時に利用者によってICカードがかざされると、そのICカードから販売履歴に関する情報を読み出したり、そのICカードに書き込んだりするためのものである。
【0018】
商品取出口19は、払い出された使い捨てカップが載置される空間を有するとともに、この使い捨てカップに供給管125を通じて飲料が供給される空間を有するものである。利用者は、飲料が供給された使い捨てカップを商品取出口19の出入口を介して取り出すようになっている。
【0019】
===自動販売機の電子機器===
自動販売機1は、複数の電子機器を備えて構成されている。これらの電子機器は互いに通信可能に接続されており、相互にコマンド等の制御情報を授受しながら連携して動作し、利用者に対して例えばコーヒー飲料を提供するための制御を行う。
【0020】
図2は、本実施の形態の自動販売機1が備える複数の電子機器の構成例を示すブロック図である。図2を参照しつつ、本実施の形態の自動販売機1が備える電子機器について説明する。
【0021】
本実施の形態の自動販売機1は、主制御部200、コインメック300、ビルバリ400、自動販売制御部501、自動販売機構502を備えて構成されている。
【0022】
主制御部200は、コインメック300、ビルバリ400、自動販売制御部501と通信可能に接続される。そして主制御部200は、コインメック300、ビルバリ400、自動販売制御部501と相互に制御情報を授受しながら、自動販売機1を統括制御する。
主制御部200は、CPU201、ROM202、RAM203、タイマ204、及びカウンタ205を備えて構成されている。
【0023】
CPU201は、ROM202に記憶されている所定のプログラムを実行することにより、主制御部200の制御を行う。RAM203は、コインメック300やビルバリ400、自動販売制御部501などから取得した制御情報などの各種情報を記憶する。タイマ204は、飲料販売における各動作の時間を計時する。またカウンタ205は、例えば前述した砂糖増減ボタン12やクリーム増減ボタン13の押下回数等を計数する。
【0024】
コインメック300は、利用者に投入された硬貨の受け入れや選別、貯留等を行う電子機器であり、自動販売機1内に釣銭用に保有する硬貨の枚数を制御する機能を有する。コインメック300は、例えば、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の4金種に対応している。コインメック300は、硬貨処理制御部301と硬貨投入機構302とを備えて構成される。
【0025】
硬貨処理制御部301は、投入された硬貨の真偽の判別や、投入された硬貨を貯留しておくためのコインチューブ(不図示)に硬貨を種類別に選別するための制御、コインチューブ内の各硬貨の枚数の検出等の制御を行う。
【0026】
硬貨投入機構302は、上記コインチューブや、投入された硬貨がコインチューブに落下するまでの通路、コインチューブから返却口18にいたる通路等により構成される。
【0027】
コインメック300は、硬貨投入口15からの硬貨投入を検出すると、投入金額を算出して主制御部200に送信する。またコインメック300は、主制御部200からの要求に応じて、コインチューブ内に貯留されている硬貨の枚数を種類別に検出し、主制御部200に各硬貨の枚数を送信する。またコインメック300は、釣銭切れを検出すると主制御部200にその旨の情報を送信する。
【0028】
ビルバリ400は、利用者に挿入された紙幣の受け入れや選別、貯留等を行う電子機器である。ビルバリ400は、紙幣処理制御部401と紙幣挿入機構402とを備えて構成される。
紙幣処理制御部401は、挿入された紙幣の真偽の判別や、挿入された紙幣を種類別に選別するための制御、各紙幣の枚数の検出等の制御を行う。
紙幣挿入機構402は、挿入された紙幣が貯留されるまでの通路等により構成される。
【0029】
ビルバリ400は、紙幣挿入口16からの紙幣挿入を検出すると、挿入金額を算出して主制御部200に送信する。またビルバリ400は、内部に貯留されている紙幣の枚数を種類別に検出し、主制御部200に各紙幣の枚数を送信する。またビルバリ400は、釣銭切れを検出すると主制御部200にその旨の情報を送信する。
【0030】
自動販売機構502は、商品選択ボタン11や砂糖増減ボタン12、クリーム増減ボタン13、カード用リーダライタ14、増減表示ランプ20、21、表示ランプ22及びディスプレイ25、さらには使い捨てカップの払い出し、飲料の調理、飲料の使い捨てカップへの供給等の、利用者へ飲料を提供するために制御される機構を含む。
自動販売制御部501は、上述した自動販売機構502を制御する。
【0031】
例えば、自動販売制御部501は、商品選択ボタン11や砂糖増減ボタン12、クリーム増減ボタン13等が押下されると、各ボタンに応じた検出信号を生成して主制御部200に送信する。そして自動販売制御部501は、主制御部200からの制御信号に応じて、自動販売機構502を制御し、飲料の調理、使い捨てカップの払い出し、飲料の注ぎだし等を制御する。
【0032】
===電子機器の制御仕様===
上述したように、自動販売機1の技術は次々に進歩しているので、新たな技術が開発される毎に、新たな機能が追加された新たな電子機器が製品化される。
【0033】
例えば、最新の機能を搭載した電子機器の制御仕様を第1制御仕様とし、第1制御仕様の1世代前の制御仕様を第2制御仕様とし、第2制御仕様の1世代前の制御仕様を第3制御仕様とする。そして、第2制御仕様には、第3制御仕様にはない新たな機能が追加されており、第1制御仕様には、第2制御仕様及び第3制御仕様のいずれにもない新たな機能が追加されているとする。
【0034】
自動販売機1内の各電子機器は、相互に制御情報等のコマンドを授受しながら連携して動作するため、いずれかの同一の制御仕様に準拠している。
例えば、本実施形態に係る主制御部200及びコインメック300は、いずれも第1制御仕様に準拠しているとする。
【0035】
この場合は、主制御部200とコインメック300との間では、第1制御仕様により定められたコマンドの授受が行われる。つまり、主制御部200からコインメック300に対して、第1制御仕様で定められたコマンドを送信すると、コインメック300からは、第1制御仕様に定められた正常な応答結果が送信される。
【0036】
この場合、主制御部200は、コインメック300に対して、第1制御仕様に定められたいかなるコマンドを送信しても、コインメック300からは、第1制御仕様に定められた正常な応答結果を受信する。従って主制御部200は、第1制御仕様のみに定められたコマンド(例えば、第1制御仕様よりも古い第2制御仕様には定められていない拡張コマンド)を送信しても、コインメック300からは第1制御仕様に定められたとおりの正常な応答結果を受信する。
【0037】
本実施形態に係る主制御部200は、このようにして、第1制御仕様のみに定められた拡張コマンドをコインメック300に送信し、第1制御仕様に定められた正常な応答結果をコインメック300から受信することにより、コインメック300が第1制御仕様に準拠していることを判定することができる。そして主制御部200は、第1制御仕様に準拠したコマンドを用いてコインメック300に対する制御を行うことができる。
次に、コインメック300が第1制御仕様には準拠しておらず、第1制御仕様の1世代前の第2制御仕様に準拠している場合について説明する。
【0038】
この場合、主制御部200は、第1制御仕様のみに定められた拡張コマンドをコインメック300に送信しても、コインメック300から第1制御仕様に定められたとおりの正常な応答結果を受信することはできない。従って主制御部200は、コインメック300が第1制御仕様に準拠していないことを判定することができる。
【0039】
主制御部200は、第1制御仕様に準拠しているので、1世代前の第2制御仕様にも準拠している。そこで主制御部200は、コインメック300に対して第2制御仕様のみに定められたコマンドを送信することにより、コインメック300が第2制御仕様に準拠しているか否かを判定することができる。主制御部200は、第2制御仕様に定められた正常な応答結果をコインメック300から受信した場合には、コインメック300が第2制御仕様に準拠していることを判定することができる。そして主制御部200は、第2制御仕様に準拠したコマンドを用いてコインメック300に対する制御を行うことができる。
【0040】
また主制御部200は、第2制御仕様に定められた正常な応答結果をコインメック300から受信できなかった場合には、以下同様に、コインメック300が第3制御仕様に準拠しているか否かを判定することができる。
【0041】
なお、主制御部200が、第1制御仕様のみに定められた拡張コマンドをコインメック300に送信した際に、コインメック300から第1制御仕様に定められたとおりの正常な応答結果を受信することができなかったとしても、その原因が、例えば、主制御部200とコインメック300との間の通信路の接触不良等の不具合であったり、外部環境からの一過性のノイズ等による影響であったりすることも考えられる。
【0042】
従って主制御部200は、第1制御仕様のみに定められた拡張コマンドをコインメック300に送信した結果、コインメック300から第1制御仕様に定められたとおりの正常な応答結果を受信することはできなかった場合には、その拡張コマンドをコインメック300に対して再送信するようにしてもよい。そして主制御部200は、拡張コマンドを所定回数送信しても、コインメック300から正常な応答結果を受信できなかった場合には、コインメック300は第1制御仕様に準拠していないと判定するようにしてもよい。
このようにすることにより、通信不良や一過性の不具合等による誤判定を防止することが可能となり、自動販売機1の信頼性を向上させることが可能となる。
【0043】
以上のように、主制御部200は、主制御部200が準拠する複数の制御仕様について、より多くの機能が定められた制御仕様から順に、1世代前の制御仕様には含まれていない機能に関するコマンドをコインメック300に送信することにより、コインメック300が準拠している制御仕様を特定することができる。そして主制御部200は、特定した制御仕様に従ってコインメック300を制御することが可能となる。
【0044】
これにより、自動販売機1内の電子機器の制御仕様が一致していない場合であっても自動販売機1の制御が可能となる。そのため、例えば自動販売機1内のある電子機器を新たな電子機器に交換する必要が生じた場合に、元の電子機器と制御仕様が同一の電子機器がすぐに手に入らないような場合であっても、制御仕様の異なる暫定品で代用することも可能となる。
【0045】
また自動販売機1に搭載する電子機器の制御仕様の幅が広がるため、電子機器の選択の自由度が増し、自動販売機1のオーナ等の要望に応じて、より低コストの電子機器を使用して自動販売機1を構成するようにすることも可能となる。
【0046】
以上の処理の流れを、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず主制御部200は、拡張コマンドをコインメック300に送信する(S1000)。ここで拡張コマンドとは、コインメック300が準拠しているか否かの判定対象となっている制御仕様にのみ規定されているコマンドを意味する。
【0047】
主制御部200からコインメック300への拡張コマンドの送信に対して、コインメック300は主制御部200に対して応答を送信する(S1010)。コインメック300が拡張コマンドに対応する制御仕様に準拠していれば、コインメック300は、その制御仕様に定められた正常な応答(ACK)を送信する。一方、コインメック300がその制御仕様に準拠していなければNACKを送信するか、あるいは応答を送信しない。
【0048】
次に主制御部200は、拡張コマンドの送信回数が所定回数を超えたか否かを判定する(S1020)。拡張コマンドの送信回数が所定回数を超えていなければ、「NO」に進む。
【0049】
主制御部200は、S1010でのコインメック300からの応答が正常な応答であったか否かを判定する(S1030)。正常な応答でないか、所定時間以内に正常な応答を受信できなかった場合には、「NO」に進み、主制御部200は再度拡張コマンドをコインメック300に送信する(S1000)。
【0050】
S1010でのコインメック300からの応答が正常な応答であった場合には、主制御部200は、S1030において「YES」に進む。そして主制御部200は、コインメック300は、拡張コマンドに対応した制御仕様に準拠していると判定する(S1060)。そして主制御部200は、コインメック300に対して、その制御仕様に従って制御を行う。
【0051】
一方S1020において、拡張コマンドの送信回数が判定値を超えた場合には、主制御部200は、コインメック300は拡張コマンドに対応した制御仕様に準拠していないと判定する(S1040)。そして主制御部200は、拡張コマンドを用いずにコインメック300の制御を行う。
【0052】
上述したように、コインメック300は利用者に投入された硬貨の受け入れや選別、貯留等を行う電子機器であるが、例えば、釣銭セット機能や残量合わせ機能を備えるものと備えないものが存在する。
【0053】
釣銭セット機能とは、ルートマンが自動販売機1から釣銭の回収を行う際に、コインチューブ内に貯留しているコインを、事前に設定した枚数まで払い出す機能である。また釣銭回収時点で設定枚数に満たない場合には、コインメック300は足りない枚数を主制御部200に送信し、主制御部200がディスプレイ25に不足枚数を表示する。
【0054】
また残量合わせ機能とは、利用者から投入された硬貨が、コインチューブ内に所定枚数以上貯留された場合には、所定枚数以上の硬貨をキャッシュボックス内に落とす機能である。
【0055】
主制御部200は、釣銭セット機能や残量合わせ機能にのみ使用されるコマンドをコインメック300に送信してみて、コインメック300から正常な応答が返ってくるか否かに応じて、コインメック300が釣銭セット機能や残量合わせ機能に対応しているか否かを判定することができる。
【0056】
また先に説明したように、コインメック300は10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の4金種に対応している。しかしながら、主制御部200が、例えば1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の6金種に対応している場合には、主制御部200は、この6金種に対応したコインメック300の制御も行うことができる。
従ってこの場合、主制御部200は、1円硬貨および5円硬貨も使えるコインメック300のみに使用されるコマンドをコインメック300に送信し、コインメック300から正常な応答が返ってくるか否かに応じて、そのコインメック300が1円硬貨及び5円硬貨に対応しているコインメック300であるか否かを判定することができる。
【0057】
以上、本実施の形態によれば、自動販売機1内の電子機器の制御仕様が所定の制御仕様に準拠しているか否かを判定することが可能になる。
また主制御部200は、主制御部200が準拠する複数の制御仕様について、より多くの機能が定められた制御仕様から順に、1世代前の制御仕様には含まれていない機能に関するコマンドをコインメック300に送信することにより、コインメック300が準拠している制御仕様を特定することができる。そして主制御部200は、特定した制御仕様に従ってコインメック300を制御することが可能となる。
【0058】
これにより、自動販売機1内の電子機器の制御仕様が一致していない場合であっても自動販売機1の制御が可能となる。そのため、例えば自動販売機1内のある電子機器を新たな電子機器に交換する必要が生じた場合に、元の電子機器と制御仕様が同一の電子機器がすぐに手に入らないような場合であっても、制御仕様の異なる暫定品で代用することも可能となる。
【0059】
また自動販売機1に搭載する電子機器の制御仕様の幅が広がるため、電子機器の選択の自由度が増し、自動販売機1のオーナ等の要望に応じて、より低コストの電子機器を使用して自動販売機1を構成するようにすることも可能となる。
【0060】
なお上記の実施形態では、第1制御仕様は、第2制御仕様に定められる機能に加えて、追加の機能を有するものとして説明したが、第1制御仕様と第2制御仕様とは互換性のない相互に独立した制御仕様であっても良い。
【0061】
この場合、主制御部200は、第1制御仕様に準拠したコマンドをコインメック300に送信して正常な応答が得られれば、そのコインメック300は第1制御仕様に準拠していると判定でき、第2制御仕様に準拠したコマンドをコインメック300に送信して正常な応答が得られれば、そのコインメック300は第2制御仕様に準拠していると判定できることになる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施例を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲を実施例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 自動販売機
200 主制御部
210 硬貨処理制御部
211 硬貨投入機構
220 紙幣処理制御部
221 紙幣挿入機構
300 コインメック
301 硬貨処理制御部
302 硬貨投入機構
400 ビルバリ
401 紙幣処理制御部
402 紙幣挿入機構
501 自動販売制御部
502 自動販売機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、様々な種類の自動販売機が様々な場所に設置されており、日々の生活を便利なものにしている。また自動販売機に関する技術は日々進歩し、新しい機能を備えた自動販売機が次々に登場している。
例えば、自動販売機の釣銭を制御する技術も進歩している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−147194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動販売機は、複数の電子機器を内蔵して構成されており、それらの電子機器が相互に連携して、制御情報を交換しながら動作することにより、利用者に対して利便性の高いサービスを提供する。1台の自動販売機に内蔵される各電子機器は、互いに密接に連携して高度な制御が行えるように、同一の制御仕様に準拠したものが使用されている。
【0005】
従って、例えば自動販売機内の電子機器を新たな電子機器に交換する必要が生じた場合に、新たな電子機器が準拠する制御仕様が元の電子機器の制御仕様と一致していなかった場合には、電子機器間の連携ができず、自動販売機が正しく動作しないことになる。
【0006】
そのため、新たな機能が次々に登場し、日々改良が進んでいる自動販売機の分野では、自動販売機内の電子機器の制御仕様が所定の制御仕様に準拠しているか否かを判定できるようにする技術が求められている。
【0007】
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、自動販売機内の電子機器の制御仕様が所定の制御仕様に準拠しているか否かを判定可能な自動販売機を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段の一つは、第1制御仕様及び第2制御仕様の少なくともいずれかに準拠した複数の電子機器が通信可能に接続されて構成される自動販売機であって、前記第1制御仕様及び前記第2制御仕様のいずれにも準拠する第1電子機器が、前記第1制御仕様にのみ定められたコマンドを第2電子機器に対して送信し、前記コマンドに対する前記第2電子機器からの応答結果に応じて、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠しているか否かを判定することを特徴とする自動販売機である。
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動販売機内の電子機器の制御仕様が所定の制御仕様に準拠しているか否かを判定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る自動販売機の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る自動販売機内の電子機器を示す図である。
【図3】本実施形態に係る判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
===自動販売機の外観構成例===
図1を参照しつつ、本実施形態の自動販売機1の外観構成例について説明する。図1に例示するように、本実施の形態の自動販売機1は、正面に接客面10を有する前扉2を備えて構成される。
本実施の形態の自動販売機1は、例えば、利用者から所定金額の金銭が投入されると、内蔵する使い捨てカップにコーヒー等の飲料を注いで利用者に提供する。
【0012】
前扉2は、後述するコインメック300やビルバリ400、自動販売制御部501等の電子機器を収容する本体(不図示)の側端部に軸支されて開閉する。この前扉2は、例えばルートマンによる金銭の補充や回収等に際しては開錠して開けられる一方、飲料販売に際しては施錠して閉じられている。
【0013】
接客面10は、利用者と自動販売機1とのインタフェースを司るものであり、商品選択ボタン11、砂糖増減ボタン12、クリーム増減ボタン13、増減表示ランプ20、21、表示ランプ22、及びディスプレイ25を備えている。
【0014】
商品選択ボタン11は、利用者が飲料を選択するためのボタンであり、本実施の形態では、販売可ランプ(不図示)や売り切れランプ(不図示)を内蔵し、接客面10上で複数種類の飲料の写真や絵柄、文字等の表示にそれぞれ対応するように配置されている。
【0015】
表示ランプ22は、商品取出口19の所定位置に使い捨てカップを払い出して飲料を販売する旨を利用者に対し表示するべく点灯する。ディスプレイ25は、利用者に対して所定のメッセージを表示する。
また接客面10は、硬貨投入口15、紙幣挿入口16、返却レバー17、カード用リーダライタ14、返却口18、及び商品取出口19を備えている。
【0016】
硬貨投入口15は、利用者が飲料の代金を支払うべく硬貨を投入するためのものである。また、紙幣挿入口16は、利用者が飲料の代金を支払うべく紙幣を挿入するためのものである。
【0017】
返却レバー17は、投入された硬貨、或いは釣銭を返却口18に返却するためのものである。カード用リーダライタ14は、飲料販売時に利用者によってICカードがかざされると、そのICカードから販売履歴に関する情報を読み出したり、そのICカードに書き込んだりするためのものである。
【0018】
商品取出口19は、払い出された使い捨てカップが載置される空間を有するとともに、この使い捨てカップに供給管125を通じて飲料が供給される空間を有するものである。利用者は、飲料が供給された使い捨てカップを商品取出口19の出入口を介して取り出すようになっている。
【0019】
===自動販売機の電子機器===
自動販売機1は、複数の電子機器を備えて構成されている。これらの電子機器は互いに通信可能に接続されており、相互にコマンド等の制御情報を授受しながら連携して動作し、利用者に対して例えばコーヒー飲料を提供するための制御を行う。
【0020】
図2は、本実施の形態の自動販売機1が備える複数の電子機器の構成例を示すブロック図である。図2を参照しつつ、本実施の形態の自動販売機1が備える電子機器について説明する。
【0021】
本実施の形態の自動販売機1は、主制御部200、コインメック300、ビルバリ400、自動販売制御部501、自動販売機構502を備えて構成されている。
【0022】
主制御部200は、コインメック300、ビルバリ400、自動販売制御部501と通信可能に接続される。そして主制御部200は、コインメック300、ビルバリ400、自動販売制御部501と相互に制御情報を授受しながら、自動販売機1を統括制御する。
主制御部200は、CPU201、ROM202、RAM203、タイマ204、及びカウンタ205を備えて構成されている。
【0023】
CPU201は、ROM202に記憶されている所定のプログラムを実行することにより、主制御部200の制御を行う。RAM203は、コインメック300やビルバリ400、自動販売制御部501などから取得した制御情報などの各種情報を記憶する。タイマ204は、飲料販売における各動作の時間を計時する。またカウンタ205は、例えば前述した砂糖増減ボタン12やクリーム増減ボタン13の押下回数等を計数する。
【0024】
コインメック300は、利用者に投入された硬貨の受け入れや選別、貯留等を行う電子機器であり、自動販売機1内に釣銭用に保有する硬貨の枚数を制御する機能を有する。コインメック300は、例えば、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の4金種に対応している。コインメック300は、硬貨処理制御部301と硬貨投入機構302とを備えて構成される。
【0025】
硬貨処理制御部301は、投入された硬貨の真偽の判別や、投入された硬貨を貯留しておくためのコインチューブ(不図示)に硬貨を種類別に選別するための制御、コインチューブ内の各硬貨の枚数の検出等の制御を行う。
【0026】
硬貨投入機構302は、上記コインチューブや、投入された硬貨がコインチューブに落下するまでの通路、コインチューブから返却口18にいたる通路等により構成される。
【0027】
コインメック300は、硬貨投入口15からの硬貨投入を検出すると、投入金額を算出して主制御部200に送信する。またコインメック300は、主制御部200からの要求に応じて、コインチューブ内に貯留されている硬貨の枚数を種類別に検出し、主制御部200に各硬貨の枚数を送信する。またコインメック300は、釣銭切れを検出すると主制御部200にその旨の情報を送信する。
【0028】
ビルバリ400は、利用者に挿入された紙幣の受け入れや選別、貯留等を行う電子機器である。ビルバリ400は、紙幣処理制御部401と紙幣挿入機構402とを備えて構成される。
紙幣処理制御部401は、挿入された紙幣の真偽の判別や、挿入された紙幣を種類別に選別するための制御、各紙幣の枚数の検出等の制御を行う。
紙幣挿入機構402は、挿入された紙幣が貯留されるまでの通路等により構成される。
【0029】
ビルバリ400は、紙幣挿入口16からの紙幣挿入を検出すると、挿入金額を算出して主制御部200に送信する。またビルバリ400は、内部に貯留されている紙幣の枚数を種類別に検出し、主制御部200に各紙幣の枚数を送信する。またビルバリ400は、釣銭切れを検出すると主制御部200にその旨の情報を送信する。
【0030】
自動販売機構502は、商品選択ボタン11や砂糖増減ボタン12、クリーム増減ボタン13、カード用リーダライタ14、増減表示ランプ20、21、表示ランプ22及びディスプレイ25、さらには使い捨てカップの払い出し、飲料の調理、飲料の使い捨てカップへの供給等の、利用者へ飲料を提供するために制御される機構を含む。
自動販売制御部501は、上述した自動販売機構502を制御する。
【0031】
例えば、自動販売制御部501は、商品選択ボタン11や砂糖増減ボタン12、クリーム増減ボタン13等が押下されると、各ボタンに応じた検出信号を生成して主制御部200に送信する。そして自動販売制御部501は、主制御部200からの制御信号に応じて、自動販売機構502を制御し、飲料の調理、使い捨てカップの払い出し、飲料の注ぎだし等を制御する。
【0032】
===電子機器の制御仕様===
上述したように、自動販売機1の技術は次々に進歩しているので、新たな技術が開発される毎に、新たな機能が追加された新たな電子機器が製品化される。
【0033】
例えば、最新の機能を搭載した電子機器の制御仕様を第1制御仕様とし、第1制御仕様の1世代前の制御仕様を第2制御仕様とし、第2制御仕様の1世代前の制御仕様を第3制御仕様とする。そして、第2制御仕様には、第3制御仕様にはない新たな機能が追加されており、第1制御仕様には、第2制御仕様及び第3制御仕様のいずれにもない新たな機能が追加されているとする。
【0034】
自動販売機1内の各電子機器は、相互に制御情報等のコマンドを授受しながら連携して動作するため、いずれかの同一の制御仕様に準拠している。
例えば、本実施形態に係る主制御部200及びコインメック300は、いずれも第1制御仕様に準拠しているとする。
【0035】
この場合は、主制御部200とコインメック300との間では、第1制御仕様により定められたコマンドの授受が行われる。つまり、主制御部200からコインメック300に対して、第1制御仕様で定められたコマンドを送信すると、コインメック300からは、第1制御仕様に定められた正常な応答結果が送信される。
【0036】
この場合、主制御部200は、コインメック300に対して、第1制御仕様に定められたいかなるコマンドを送信しても、コインメック300からは、第1制御仕様に定められた正常な応答結果を受信する。従って主制御部200は、第1制御仕様のみに定められたコマンド(例えば、第1制御仕様よりも古い第2制御仕様には定められていない拡張コマンド)を送信しても、コインメック300からは第1制御仕様に定められたとおりの正常な応答結果を受信する。
【0037】
本実施形態に係る主制御部200は、このようにして、第1制御仕様のみに定められた拡張コマンドをコインメック300に送信し、第1制御仕様に定められた正常な応答結果をコインメック300から受信することにより、コインメック300が第1制御仕様に準拠していることを判定することができる。そして主制御部200は、第1制御仕様に準拠したコマンドを用いてコインメック300に対する制御を行うことができる。
次に、コインメック300が第1制御仕様には準拠しておらず、第1制御仕様の1世代前の第2制御仕様に準拠している場合について説明する。
【0038】
この場合、主制御部200は、第1制御仕様のみに定められた拡張コマンドをコインメック300に送信しても、コインメック300から第1制御仕様に定められたとおりの正常な応答結果を受信することはできない。従って主制御部200は、コインメック300が第1制御仕様に準拠していないことを判定することができる。
【0039】
主制御部200は、第1制御仕様に準拠しているので、1世代前の第2制御仕様にも準拠している。そこで主制御部200は、コインメック300に対して第2制御仕様のみに定められたコマンドを送信することにより、コインメック300が第2制御仕様に準拠しているか否かを判定することができる。主制御部200は、第2制御仕様に定められた正常な応答結果をコインメック300から受信した場合には、コインメック300が第2制御仕様に準拠していることを判定することができる。そして主制御部200は、第2制御仕様に準拠したコマンドを用いてコインメック300に対する制御を行うことができる。
【0040】
また主制御部200は、第2制御仕様に定められた正常な応答結果をコインメック300から受信できなかった場合には、以下同様に、コインメック300が第3制御仕様に準拠しているか否かを判定することができる。
【0041】
なお、主制御部200が、第1制御仕様のみに定められた拡張コマンドをコインメック300に送信した際に、コインメック300から第1制御仕様に定められたとおりの正常な応答結果を受信することができなかったとしても、その原因が、例えば、主制御部200とコインメック300との間の通信路の接触不良等の不具合であったり、外部環境からの一過性のノイズ等による影響であったりすることも考えられる。
【0042】
従って主制御部200は、第1制御仕様のみに定められた拡張コマンドをコインメック300に送信した結果、コインメック300から第1制御仕様に定められたとおりの正常な応答結果を受信することはできなかった場合には、その拡張コマンドをコインメック300に対して再送信するようにしてもよい。そして主制御部200は、拡張コマンドを所定回数送信しても、コインメック300から正常な応答結果を受信できなかった場合には、コインメック300は第1制御仕様に準拠していないと判定するようにしてもよい。
このようにすることにより、通信不良や一過性の不具合等による誤判定を防止することが可能となり、自動販売機1の信頼性を向上させることが可能となる。
【0043】
以上のように、主制御部200は、主制御部200が準拠する複数の制御仕様について、より多くの機能が定められた制御仕様から順に、1世代前の制御仕様には含まれていない機能に関するコマンドをコインメック300に送信することにより、コインメック300が準拠している制御仕様を特定することができる。そして主制御部200は、特定した制御仕様に従ってコインメック300を制御することが可能となる。
【0044】
これにより、自動販売機1内の電子機器の制御仕様が一致していない場合であっても自動販売機1の制御が可能となる。そのため、例えば自動販売機1内のある電子機器を新たな電子機器に交換する必要が生じた場合に、元の電子機器と制御仕様が同一の電子機器がすぐに手に入らないような場合であっても、制御仕様の異なる暫定品で代用することも可能となる。
【0045】
また自動販売機1に搭載する電子機器の制御仕様の幅が広がるため、電子機器の選択の自由度が増し、自動販売機1のオーナ等の要望に応じて、より低コストの電子機器を使用して自動販売機1を構成するようにすることも可能となる。
【0046】
以上の処理の流れを、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず主制御部200は、拡張コマンドをコインメック300に送信する(S1000)。ここで拡張コマンドとは、コインメック300が準拠しているか否かの判定対象となっている制御仕様にのみ規定されているコマンドを意味する。
【0047】
主制御部200からコインメック300への拡張コマンドの送信に対して、コインメック300は主制御部200に対して応答を送信する(S1010)。コインメック300が拡張コマンドに対応する制御仕様に準拠していれば、コインメック300は、その制御仕様に定められた正常な応答(ACK)を送信する。一方、コインメック300がその制御仕様に準拠していなければNACKを送信するか、あるいは応答を送信しない。
【0048】
次に主制御部200は、拡張コマンドの送信回数が所定回数を超えたか否かを判定する(S1020)。拡張コマンドの送信回数が所定回数を超えていなければ、「NO」に進む。
【0049】
主制御部200は、S1010でのコインメック300からの応答が正常な応答であったか否かを判定する(S1030)。正常な応答でないか、所定時間以内に正常な応答を受信できなかった場合には、「NO」に進み、主制御部200は再度拡張コマンドをコインメック300に送信する(S1000)。
【0050】
S1010でのコインメック300からの応答が正常な応答であった場合には、主制御部200は、S1030において「YES」に進む。そして主制御部200は、コインメック300は、拡張コマンドに対応した制御仕様に準拠していると判定する(S1060)。そして主制御部200は、コインメック300に対して、その制御仕様に従って制御を行う。
【0051】
一方S1020において、拡張コマンドの送信回数が判定値を超えた場合には、主制御部200は、コインメック300は拡張コマンドに対応した制御仕様に準拠していないと判定する(S1040)。そして主制御部200は、拡張コマンドを用いずにコインメック300の制御を行う。
【0052】
上述したように、コインメック300は利用者に投入された硬貨の受け入れや選別、貯留等を行う電子機器であるが、例えば、釣銭セット機能や残量合わせ機能を備えるものと備えないものが存在する。
【0053】
釣銭セット機能とは、ルートマンが自動販売機1から釣銭の回収を行う際に、コインチューブ内に貯留しているコインを、事前に設定した枚数まで払い出す機能である。また釣銭回収時点で設定枚数に満たない場合には、コインメック300は足りない枚数を主制御部200に送信し、主制御部200がディスプレイ25に不足枚数を表示する。
【0054】
また残量合わせ機能とは、利用者から投入された硬貨が、コインチューブ内に所定枚数以上貯留された場合には、所定枚数以上の硬貨をキャッシュボックス内に落とす機能である。
【0055】
主制御部200は、釣銭セット機能や残量合わせ機能にのみ使用されるコマンドをコインメック300に送信してみて、コインメック300から正常な応答が返ってくるか否かに応じて、コインメック300が釣銭セット機能や残量合わせ機能に対応しているか否かを判定することができる。
【0056】
また先に説明したように、コインメック300は10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の4金種に対応している。しかしながら、主制御部200が、例えば1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の6金種に対応している場合には、主制御部200は、この6金種に対応したコインメック300の制御も行うことができる。
従ってこの場合、主制御部200は、1円硬貨および5円硬貨も使えるコインメック300のみに使用されるコマンドをコインメック300に送信し、コインメック300から正常な応答が返ってくるか否かに応じて、そのコインメック300が1円硬貨及び5円硬貨に対応しているコインメック300であるか否かを判定することができる。
【0057】
以上、本実施の形態によれば、自動販売機1内の電子機器の制御仕様が所定の制御仕様に準拠しているか否かを判定することが可能になる。
また主制御部200は、主制御部200が準拠する複数の制御仕様について、より多くの機能が定められた制御仕様から順に、1世代前の制御仕様には含まれていない機能に関するコマンドをコインメック300に送信することにより、コインメック300が準拠している制御仕様を特定することができる。そして主制御部200は、特定した制御仕様に従ってコインメック300を制御することが可能となる。
【0058】
これにより、自動販売機1内の電子機器の制御仕様が一致していない場合であっても自動販売機1の制御が可能となる。そのため、例えば自動販売機1内のある電子機器を新たな電子機器に交換する必要が生じた場合に、元の電子機器と制御仕様が同一の電子機器がすぐに手に入らないような場合であっても、制御仕様の異なる暫定品で代用することも可能となる。
【0059】
また自動販売機1に搭載する電子機器の制御仕様の幅が広がるため、電子機器の選択の自由度が増し、自動販売機1のオーナ等の要望に応じて、より低コストの電子機器を使用して自動販売機1を構成するようにすることも可能となる。
【0060】
なお上記の実施形態では、第1制御仕様は、第2制御仕様に定められる機能に加えて、追加の機能を有するものとして説明したが、第1制御仕様と第2制御仕様とは互換性のない相互に独立した制御仕様であっても良い。
【0061】
この場合、主制御部200は、第1制御仕様に準拠したコマンドをコインメック300に送信して正常な応答が得られれば、そのコインメック300は第1制御仕様に準拠していると判定でき、第2制御仕様に準拠したコマンドをコインメック300に送信して正常な応答が得られれば、そのコインメック300は第2制御仕様に準拠していると判定できることになる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施例を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲を実施例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 自動販売機
200 主制御部
210 硬貨処理制御部
211 硬貨投入機構
220 紙幣処理制御部
221 紙幣挿入機構
300 コインメック
301 硬貨処理制御部
302 硬貨投入機構
400 ビルバリ
401 紙幣処理制御部
402 紙幣挿入機構
501 自動販売制御部
502 自動販売機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御仕様及び第2制御仕様の少なくともいずれかに準拠した複数の電子機器が通信可能に接続されて構成される自動販売機であって、
前記第1制御仕様及び前記第2制御仕様のいずれにも準拠する第1電子機器が、前記第1制御仕様にのみ定められたコマンドを第2電子機器に対して送信し、前記コマンドに対する前記第2電子機器からの応答結果に応じて、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠しているか否かを判定する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機であって、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器から前記第1制御仕様に定められた正常な応答結果を受信できた場合には、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠していると判定する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
請求項2に記載の自動販売機であって、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠していると判定した場合には、前記第1制御仕様に準拠したコマンドを用いて前記第2電子機器を制御する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
請求項1に記載の自動販売機であって、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器から前記第1制御仕様に定められた正常な応答結果を受信できなかった場合には、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠していないと判定する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項5】
請求項1に記載の自動販売機であって、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器から前記第1制御仕様に定められた正常な応答結果を受信できなかった場合には、前記第1制御仕様にのみ定められた前記コマンドを前記第2電子機器に対して再度送信し、所定回数連続して前記第2電子機器から正常な応答結果を受信できなかった場合には、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠していないと判定する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項6】
請求項4または5のいずれかに記載の自動販売機であって、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠していないと判定した場合には、前記第2制御仕様に準拠したコマンドを用いて前記第2電子機器を制御する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項7】
請求項1に記載の自動販売機であって、
前記第2電子機器は、前記自動販売機内に釣銭用に保有する硬貨の枚数を制御する電子機器であり、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器に対して前記硬貨の枚数を制御させる電子機器であり、
前記第1電子機器は、前記第1制御仕様にのみ定められた内容の制御を実行させるためのコマンドを前記第2電子機器に対して送信し、前記コマンドに対する前記第2電子機器からの応答結果に応じて、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠しているか否かを判定する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項1】
第1制御仕様及び第2制御仕様の少なくともいずれかに準拠した複数の電子機器が通信可能に接続されて構成される自動販売機であって、
前記第1制御仕様及び前記第2制御仕様のいずれにも準拠する第1電子機器が、前記第1制御仕様にのみ定められたコマンドを第2電子機器に対して送信し、前記コマンドに対する前記第2電子機器からの応答結果に応じて、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠しているか否かを判定する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機であって、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器から前記第1制御仕様に定められた正常な応答結果を受信できた場合には、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠していると判定する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
請求項2に記載の自動販売機であって、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠していると判定した場合には、前記第1制御仕様に準拠したコマンドを用いて前記第2電子機器を制御する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
請求項1に記載の自動販売機であって、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器から前記第1制御仕様に定められた正常な応答結果を受信できなかった場合には、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠していないと判定する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項5】
請求項1に記載の自動販売機であって、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器から前記第1制御仕様に定められた正常な応答結果を受信できなかった場合には、前記第1制御仕様にのみ定められた前記コマンドを前記第2電子機器に対して再度送信し、所定回数連続して前記第2電子機器から正常な応答結果を受信できなかった場合には、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠していないと判定する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項6】
請求項4または5のいずれかに記載の自動販売機であって、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠していないと判定した場合には、前記第2制御仕様に準拠したコマンドを用いて前記第2電子機器を制御する
ことを特徴とする自動販売機。
【請求項7】
請求項1に記載の自動販売機であって、
前記第2電子機器は、前記自動販売機内に釣銭用に保有する硬貨の枚数を制御する電子機器であり、
前記第1電子機器は、前記第2電子機器に対して前記硬貨の枚数を制御させる電子機器であり、
前記第1電子機器は、前記第1制御仕様にのみ定められた内容の制御を実行させるためのコマンドを前記第2電子機器に対して送信し、前記コマンドに対する前記第2電子機器からの応答結果に応じて、前記第2電子機器が前記第1制御仕様に準拠しているか否かを判定する
ことを特徴とする自動販売機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2012−133466(P2012−133466A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283244(P2010−283244)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】
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