説明

自動貫入試験機

【課題】実際に貫入ロッドにかかっている荷重を測定し、これをフィードバックして所望の荷重がかかるよう補正する自動貫入試験機を提供する。
【解決手段】
上記課題に鑑みて提供された自動貫入試験機1は、立設された支柱に沿って昇降可能な昇降台3と、この昇降台3に設けられ、当該昇降台3の下降に伴って地中に貫入する貫入ロッド4を保持可能なチャック5と、前記貫入ロッドにかかる荷重を検出可能な荷重検出手段26と、前記昇降台を昇降操作するよう設けられ、かつ出力トルクを調整して貫入ロッド4にかかる荷重を所定の荷重に変更可能な昇降用駆動手段8と、前記荷重検出手段26による検出値と貫入ロッド4にかかるべき荷重の目標値とを比較し、実際に貫入ロッド4にかかる荷重が目標値となるよう昇降用駆動手段8を駆動制御する制御ユニット10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の事前調査として地盤の硬軟を判定するのに利用する自動貫入試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地盤の硬軟を判定する試験の一例として非特許文献1に示すスウェーデン式サウンディング試験方法が知られている。この試験方法では、先端にスクリューポイントを備える貫入ロッドを地面に垂直に突き立て、この状態で貫入ロッドの後端に錘を載せる。そして、最大1KNまで6段階で荷重を加えて荷重のみで所謂自沈貫入を行う荷重段階と、最大荷重1KNにおいてもロッドが貫入しない場合に、その荷重下でロッドないしスクリューポイントを回転させて所謂回転貫入を行う回転段階との2段階で構成される。
【0003】
また、この試験方法を自動で行う自動貫入試験機としては、特許文献1に示すものがある。この自動貫入試験機は、立設された支柱に沿って昇降可能な昇降台と、この昇降台に設けられ、貫入ロッドを保持可能なチャックユニットと、前記昇降台を昇降操作する昇降用駆動手段とから構成されている。また、前記昇降台にはパウダブレーキを設け、このパウダブレーキの制動力によって昇降台にかかる荷重を調整して貫入ロッドにかかる荷重を所定の荷重に変更するように構成されている。さらに、昇降台には貫入ロッドに実際にかかっている荷重を検出可能な荷重検出手段を設け、この荷重検出手段の検出値をフィードバックするように構成されている。そして、この検出値に基づいて貫入ロッドにかかる荷重を適正ならしめるよう前記パウダブレーキの制動力を調整し、貫入ロッドに所望の荷重をかけるように構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本工業規格A1221(スウェーデン式サウンディング試験方法)
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−95931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記自動貫入試験機では、荷重の調整にパウダブレーキが設けられている。しかしながら、このパウダブレーキにおいては、経年劣化により制動力が弱ってしまうばかりか、制動力を発揮することができなくなる場合がある。そのため、前記荷重検出手段による検出値をフィードバックして、貫入ロッドにかかる荷重が適正ならしめるようパウダブレーキの制動力を調整したとろこで、結局目標の荷重を貫入ロッドにかけることが不可能となる問題が発生している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の自動貫入試験機は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、立設された支柱に沿って昇降可能な昇降台と、この昇降台に設けられ、当該昇降台の下降に伴って地中に貫入する貫入ロッドを保持可能なチャックと、前記貫入ロッドにかかる荷重を検出可能な荷重検出手段と、前記昇降台を昇降操作するよう設けられ、かつ出力トルクを調整して貫入ロッドにかかる荷重を所定の荷重に変更可能な昇降用駆動手段と、前記荷重検出手段による検出値と貫入ロッドにかかるべき荷重の目標値とを比較し、実際に貫入ロッドにかかる荷重が目標値となるよう昇降用駆動手段を駆動制御する制御ユニットとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動貫入試験機においては、荷重検出手段による検出値と貫入ロッドにかかるべき荷重の目標値とを比較し、実際に貫入ロッドにかかる荷重が目標値となるよう昇降用駆動手段を駆動制御するように構成されている。これにより、パウダブレーキを用いずとも、実際に貫入ロッドにかかる荷重を適正化することが可能となり、パウダブレーキの経年劣化による制動力の低下が引き起こす各種問題が完全に皆無となる。しかも、パウダブレーキが不要となるため、コスト面においても優れている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の自動貫入試験機の斜視図である。
【図2】本発明の自動貫入試験機の側面図である。
【図3】図2のA−A線拡大一部切欠断面図である。
【図4】本発明の自動貫入試験機の要部を前方から見た拡大斜視説明図である。
【図5】本発明の自動貫入試験機の要部を後方から見た拡大斜視説明図である。
【図6】図4のA−A線断面図であり、(a)は第2の一方向クラッチが作動する前、(b)は第2の一方向クラッチが作動した後を示す。
【図7】本発明の自動貫入試験機の要部拡大断面図である。
【図8】本発明の自動貫入試験機の要部を下方から見た拡大斜視説明図である。
【図9】本発明の自動貫入試験機の要部を上方から見た拡大斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、1は自動貫入試験機であり、支柱2に沿って昇降可能な昇降台3を有している。この昇降台3には、所定重量の錘3aと、回転駆動手段の一例であるチャック用モータ6と、このチャック用モータ6の駆動を受けて回転可能なチャック5と、このチャック5に保持されて一体に回転可能に構成されるとともに、ロッド4aの先端にスクリューポイント4bを備える貫入ロッド4と、昇降台3を昇降操作させるための昇降用駆動手段の一例である昇降用モータ8とが載荷されている。また、この昇降台3は、図2に示すように、支柱2に沿って垂直に配された案内チェーン2aに沿って回転するスプロケット7を有し、このスプロケット7が案内チェーン2aに沿って回転することで昇降するように構成されている。この昇降台3および昇降台3に載荷された前述の総重量により、前記貫入ロッド4には1KNの荷重が負荷できるように構成されている。
【0011】
続いて、図3乃至図7に基き、本発明の自動貫入試験機1における昇降台3の落下防止機能について説明する。
【0012】
図3および図4に示すように、前記スプロケット7は、遊星歯車機構11を介して伝達軸12と一体に回転するように連結されている。また、前記昇降用モータ8の正逆転可能な駆動軸8aには、駆動歯車13、中間歯車14および伝達歯車15が当該昇降用モータ8の駆動に伴い回転自在に設けられている。そして、これら歯車列および第1の一方向クラッチ16を介して前記伝達軸12が連結されている。具体的には、前記伝達歯車15は、円柱を成し、その周面に外歯を備える構成である。そして、この伝達歯車15の内部には、特許請求の範囲に記載の回転部材の一例の第1の一方向クラッチ16が当該伝達歯車15と一体に回転するよう圧入されるとともに、伝達軸12に回転自在に支持されている。この第1の一方向クラッチ16の作用によって、スプロケット7には、昇降台3を上昇させる方向にのみ昇降用モータ8の駆動が伝達されるように構成されている。さらに、伝達軸12の先端には、ロータリエンコーダ17が設けてあり、スプロケット7の回転に伴うパルス信号を出力できるように構成されている。そして、詳細を後述する制御装置10が当該ロータリエンコーダ17の発するパルス信号を処理し、貫入ロッド4の貫入量、貫入速度等を求める。
【0013】
ここで、前記伝達軸12には、第1の一方向クラッチ16に加え、第2の一方向クラッチ18も回転自在に支持されている。ただし、この第2の一方向クラッチ18は、前記伝達歯車15に内蔵されているものの、当該伝達歯車15には圧入されておらず、通常、伝達歯車15と一体に回転しないよう構成されている。
【0014】
また、前記伝達歯車15の内周面には円周方向に延びる係合溝15aが形成されている。一方、前記第2の一方向クラッチ18の外輪には溝が形成されここに係合片18aが嵌合させてある。そして、前記係合溝15aに当該係合片18aが挿入されている。さらに、第1の一方向クラッチ18の係合片18aと伝達歯車15とはばね19で繋がれている。これにより、第2の一方向クラッチ18は、当該ばね19に引張られるとともに、ばね19の弾性作用により、当該回転部材の回転に対して遅れて回転し、追従するよう構成されている。この構成により、図6(a)に示すように、第1の一方向クラッチ16が通常のクラッチ作用を発揮している場合には、これら係合溝15aと係合片18aとは係合せず、前述の接触摩擦およびばね19により、第2の一方向クラッチ18が伝達歯車15に追従する。一方、前記第1の一方向クラッチ16が損傷してクラッチ作用を失った場合には、これら第2の一方向クラッチ18と伝達歯車15とは、一時的に相対的に逆回転となり、図6(b)に示すように、係合片18aが移動して当該係合溝15aの最終端15bに接触して係合することにより、これらは一体に回転する。
【0015】
以上の構成により、第2の一方向クラッチ18が、伝達歯車15の回転に追従するようにして前記伝達軸12に回転自在に支持される一方、前記第1の一方向クラッチ16が損傷してクラッチ作用を失った場合には、当該伝達歯車15と一体に回転する。すなわち、第1の一方向クラッチ16に代わって、第2の一方向クラッチ18がクラッチ作用を発揮するよう構成されている。これにより、第1の一方向クラッチ16の損傷時、昇降台3が落下する危険が皆無となる。
【0016】
また、前述した第2の一方向クラッチ18を伝達歯車15に追従させる詳細な説明として、第2の一方向クラッチ18の外輪が伝達歯車15の回転によってばね19に引張られ回転を開始するときには、すでに第1の一方向クラッチ16のクラッチ作用により伝達軸12が回転を開始している。そのため、伝達軸12と第2の一方向クラッチ18との間には負荷が掛らないので、第2の一方向クラッチ18が第1の一方向クラッチ16より先に、あるいは同時に損傷してしまう可能性は低くなる。従って、第1のクラッチの損傷時には、これに代わって第2の一方向クラッチ18がほぼ確実にクラッチ作用を発揮することになる。
【0017】
さらに、第1の一方向クラッチ16が損傷してクラッチ作用を失って正逆の両方向に対してフリーになるような損傷をした場合、昇降用モータ8による駆動力がスプロケット7に伝達されず、そのため、第2の一方向クラッチ18には昇降台3およびこれに載荷された各種構成部品の自重が作用する。これにより、第2の一方向クラッチ18の内輪と伝達軸12の間でクラッチ作用が生じ、当該第2の一方向クラッチ18が回転する。一方、伝達歯車15は、昇降用モータ8の駆動により、回転を続けるため、相対的に逆回転となる。そのため、第2の一方向クラッチ18と伝達歯車15とは、一時的に相対的に逆回転となって、係合片18aが移動して当該係合溝15aと係合することにより、一体に回転するように構成されている。このような比較的簡単な構成で第2の一方向クラッチ18と伝達歯車15とを一体に回転させることができる。そればかりか、第1の一方向クラッチ16から第2の一方向クラッチ18への切替えも正確かつ迅速になる。
【0018】
また、図5に示すように、伝達歯車15の片面には検出部材35が取付けられており、これを近接センサ36が検知するよう配置されている。しかも、前記第2の一方向クラッチ18に取付けられた係合片18aは、その一部が伝達歯車15の片面から突出するように配置されているため、当該近接センサ36は係合片18aも検出する。そこで、第1の一方向クラッチ16が損傷する前後では、第2の一方向クラッチ18と伝達歯車15とが一時的に相対的に逆回転となり、係合片18aと検出部材35との距離に変化が生じるため、近接センサ36による検出信号パターンに変化が生じる。この検出信号は、詳細を後述する制御装置10に送信され、第1の一方向クラッチ16の損傷を検出するように構成されている。
【0019】
以下、本発明の自動貫入試験機1の貫入ロッド4に掛かるスラスト荷重の検出機構について説明する。
【0020】
図7に示すように、前記チャック5は、昇降台3に設けられるチャック用モータ6と無端チェーン6aによって連結されて回転可能に構成されている。また、このチャック5は、鋼球20を貫入ロッド4の凹状溝4cに嵌合させて貫入ロッド4を保持するようになっており、保持した貫入ロッド4と一体に回転可能な内筒21を有している。この円筒21は、特許請求の範囲に記載の軸受けの一例であってラジアル荷重に対して負荷能力を有する一対の円筒ころ軸受け22,23によって回転自在に支持されている。
【0021】
さらに、前記一対の円筒ころ軸受け22,23の間には、スラスト荷重の伝達部材の一例であって背面を組み合わせて配置される一対のアンギュラ玉軸受け24,25が円筒21を回転自在に支持するように介在している。さらに、一方の円筒ころ軸受け22と、一方のアンギュラ玉軸受け24との間には、荷重検出手段の一例であるワッシャ型ロードセル26がカラー27を介して円筒21に挿入されて介在している。
【0022】
前記ワッシャ型ロードセル26は、図8および図9に示す構成であり、環状を成すロードセル本体28を有している。このロードセル本体28の片面において大径の円周縁の近傍には、図8に示すように、軸線方向に延びる支持部29a,29b,29c,29dが円周方向に4箇所に形成されている。また、この支持部29a,29b,29c,29dは段付き状に形成されており、ここに前記アンギュラ玉軸受け24の外輪の円周縁が嵌め合わされ、スラスト荷重を受けるように構成されている。
【0023】
一方、ロードセル本体28の他方の片面には、図9に示すように、突部30a,30b,30c,30dが円周方向に4箇所に形成されており、この突部30a,30b,30c,30dは前記支持部29a,29b,29c,29dに対して円周方向における位相が異なるようにして配置されている。また、この突部30a,30b,30c,30dに接触するようにして、円筒21には環状の受け部材31が挿入されている。この受け部材31は、スラスト荷重を受けて軸線方向に移動しようとするロードセル本体28を受けるためのものであり、その片面は前述の通り、突部30a,30b,30c,30dと接触する一方、他方の片面は円筒ころ軸受け22の片面と接触するようにして配置されている。
【0024】
また、ロードセル本体28において突部30a,30b,30c,30dが形成された片面には、これよりも厚みの薄い第2の突部32a,32b,32c,32dが円周方向に4箇所に形成されている。この第2の突部32a,32b,32c,32dは、前記支持部に対して円周方向における位相が同一となるように配置されている。
【0025】
また、図9に示すように、前記突部30dと第2の突部32dとの間には歪み検出手段の一例である歪みゲージ33aが貼付けられており、その裏面にも、図8に示すように、歪みゲージ33bが貼付けられている。さらに、この歪みゲージ33a,33bが貼付けられた位置から円筒21の中心軸を介して対向する位置にも、歪みゲージ33c,33dがロードセル本体28の両面に貼付けられている。これら歪みゲージ33a,33b,33c,33dをブリッジ回路に組み込んで荷重センサを構成し、ロードセル本体28の微小変化量である歪みが電気信号として検出される。
【0026】
また、一方のアンギュラ玉軸受け25と、一方の円筒ころ軸受け23との間にはウェーブワッシャ34が介在している。このウェーブワッシャ34が円筒21に挿入される前述の各構成部品に予圧を与え、当該部品間に隙間が生じることがないようになっている。ここで、このウェーブワッシャ34は、その両面がウェーブ形状を成しており、押圧されて弾性変形可能に構成されている。なお、このウェーブワッシャ34に代えて、弾性変形可能な部品の一例としてゴム製のパッキンを用いてもよい。
【0027】
続いて、円筒21に作用するスラスト荷重の伝達経路を説明する。図7に示す1点鎖線の矢印は、スラスト荷重の伝達経路を示すものであり、まず、貫入ロッド4にスラスト荷重が作用すると、これを保持する円筒21にもスラスト荷重が作用し、円筒21のフランジ部21aが円筒ころ軸受け23の内輪を押圧する。この内輪からウェーブワッシャ34を介して隣接するアンギュラ玉軸受け25の内輪にスラスト荷重が伝達される。ここで、アンギュラ玉軸受け24,25においては、玉と、内輪および外輪とは接触角を有している。そのため、二個のアンギュラ玉軸受け24,25の背面を組合わせて配置することにより、内輪に伝達されたスラスト荷重は、玉を介して確実に外輪へ伝達される。
【0028】
続いて、前記アンギュラ玉軸受け24の外輪に伝達されたスラスト荷重は、ロードセル本体28の支持部29a,29b,29c,29dに伝達される。これを受け、ロードセル本体28に形成された突部30a,30b,30c,30dが受け部材31を押圧する。そのため、当該突部30a,30b,30c,30dを支点としてロードセル本体28には歪みが生じる。すなわち、ロードセル本体28において、隣接する突部30aと突部30d、突部30dと突部30c、突部30cと突部30b、及び突部30bと突部30aは梁として機能し、この梁に歪みが生じる。ここで、ロードセル本体28の片面上には、前記第2の突部32a,32b,32c,32dが形成されている。これにより、所定の歪みが生じると、当該第2の突部32a,32b,32c,32dが受け部材に接触する。そのため、ロードセル本体28がスラスト荷重の過負荷により損傷することがないよう保護されている。
【0029】
以上のように、スラスト荷重を検出するための構成においては、円筒21が一対の円筒ころ軸受け22,23によって回転自在に支持されている。この円筒ころ玉軸受け22,23は、円筒21に作用するラジアル荷重に対して負荷能力を有するものであるが、スラスト荷重に対しては負荷能力がない。しかも、アンギュラ玉軸受け24,25の背面を組み合わせて配置することにより、スラスト荷重がその外輪へ確実に伝達される。そのため、ワッシャ型ロードセル26がラジアル荷重の影響を受け、誤って歪むことが皆無となるとともに、ワッシャ型ロードセル26へスラスト荷重が確実に伝達されるため、円筒21であって、すなわち貫入ロッド4に作用するスラスト荷重を精度良く検出することができる。
【0030】
また、ロードセル本体28においては、その片面がスラスト荷重を受けると、反対の片面に形成された突部30a,30b,30c,30dが支点となり、ロードセル本体28に歪みが生じる。しかも、この突部30a,30b,30c,30dから円周方向に所定の間隔を空けた位置の裏面には支持部29a,29b,29c,29dが形成され、この支持部29a,29b,29c,29dの段付き部にスラスト荷重が作用する。これにより、ロードセル本体28は、複数の梁で構成されることとなり、歪みゲージ33a,33b,33c,33dをブリッジ接続することにより、低スラスト荷重でも出力を大きくとることができる。そのため、スラスト荷重の検出精度に優れたものとなる。
【0031】
前記ワッシャ型ロードセル26の歪みゲージ33a,33b,33c,33dは前記制御装置10に接続されて、ロードセル本体28の歪みによる検出値を制御装置10に送るように構成されている。
【0032】
以下、荷重検出手段の一例であるワッシャ型ロードセル26による検出値に基づく、昇降用モータ8のフィードバック制御について説明する。
【0033】
前記制御装置10は、自動貫入試験機1の動作を制御するものであり、昇降用モータ8およびチャック用モータ6の駆動制御、貫入状況に応じた荷重設定などをそれぞれ相互に関連づけて行うように構成されている。また、この制御装置10には、所定の荷重ごとに昇降用モータ8へ通電する指令値が登録されており、所定荷重設定時に当該指令値を選択し、この指令値を昇降用モータ8に出力して、貫入ロッド4に所定の荷重をかけるように構成されている。さらに、この制御装置10は前記ワッシャ型ロードセル26による検出値をフィードバックするように構成されており、フィードバックされた検出値と前記指令値とを比較するように構成されている。そして、当該指令値と検出値とに差がある場合には、昇降用モータ8の指令値を繰り返し補正し、貫入ロッド4にかかる荷重が目標の値となるよう制御するように構成されている。
【0034】
上記自動貫入試験機1においては、昇降台3が上昇した位置で昇降台3に所定重量の錘3aを載荷し、チャック5に貫入ロッド4を保持した後、制御装置10からのスタート指令により昇降用モータ8が駆動する。この時、昇降用モータ8は、第1の一方向クラッチ16がスプロケット7の伝達軸12に対して空転する方向に駆動し、このためスプロケット7の伝達軸12は第1の一方向クラッチ16の回転数以下の範囲内で回転自在となって、案内チェーン2aに沿って回転して昇降台3を自重により支柱2に沿って下降させる。これにより、昇降台3は、貫入ロッド4が地表に当接するまでは一定速度で下降する。続いて、貫入ロッド4が地表に当接すると、ワッシャ型ロードセル26による検出値が上昇するため、貫入ロッド4には初期荷重の50Nがかけられる。
【0035】
貫入試験では、貫入ロッド4に負荷される荷重が、50N,150N,250N,500N,750N,1KNの6段階の値に設定されている。例えば、250N荷重で貫入速度が遅くなった場合には、貫入ロッド4にかけられる荷重を増加する。一方、貫入速度が速くなった場合には、貫入ロッド4にかけられる荷重を減少する。このように、貫入段階で貫入速度が遅くなるごとに500N、750N、1KNの順に荷重が増すよう指令値が変更される。そして1KNの荷重がかけられた状態で、かつ貫入速度が遅くなった時には、チャック用モータ6が駆動してチャック5と貫入ロッド47を一体に回転させ、荷重を負荷した状態で回転貫入が行われる。
【0036】
続いて、貫入ロッド4先端にかかるスラスト荷重に応じてワッシャ型ロードセル26のロードセル本体28には相応の歪みが発生するため、これを歪みゲージ33a,33b,33c,33dが検出する。次に、この検出値は、制御装置10にフィードバックされて指令値と比較される。この時、検出値と目標値とが同じであれば、昇降用モータ8の通電量を定める指令値は変更されない。
【0037】
一方、目標値と検出値とに差がある場合、制御装置10はその差に応じて昇降用モータ8に出力される指令値を増減し、この指令値を再度昇降用モータ8に出力する。すなわち、昇降台3のじん性、あるいは駆動系の駆動抵抗により、パウダクラッチのクラッチ力が低下して、これによりワッシャ型ロードセル26の検出値が目標値より大きい場合、制御装置10は、貫入ロッド4にかかる荷重が小さくなるよう昇降用モータ8を駆動する。一方、ワッシャ型ロードセル26の検出値が目標値より小さい場合、制御装置10は、貫入ロッド4にかかる荷重が大きくなるよう昇降用モータ8を駆動する。このように、本自動貫入試験機1では、ワッシャ型ロードセル26の歪みゲージ33a,33b,33c,33dの検出値を連続的にフィードバックして、これを目標値と比較し、両者の差に応じて昇降用モータ8へ出力される指令値を補正するようになっている。これにより、実際に貫入ロッド4にかかる荷重を適正化することが可能となり、貫入試験結果の信頼性も向上する。
【符号の説明】
【0038】
1 自動貫入試験機
2 支柱
2a 案内チェーン
3 昇降台
3a 錘
4 貫入ロッド
4a ロッド
4b スクリューポイント
4c 凹状溝
5 チャック
6 チャック用モータ
6a 無端チェーン
7 スプロケット
8 昇降用モータ
8a 駆動軸
10 制御装置
11 遊星歯車機構
12 伝達軸
13 駆動歯車
14 中間歯車
15 伝達歯車
15a 係合溝
15b 最終端
16 第1の一方向クラッチ
17 ロータリエンコーダ
18 第2の一方向クラッチ
18a 係合片
19 ばね
20 鋼球
21 円筒
21a フランジ部
22,23 円筒ころ軸受け
24,25 アンギュラ玉軸受け
26 ワッシャ型ロードセル
27 カラー
28 ロードセル本体
29a,29b,29c,29d 支持部
30a,30b,30c,30d 突部
31 受け部材
32a,32b,32c,32d 第2の突部
33a,33b,33c,33d 歪みゲージ
34 ウェーブワッシャ
35 検出部材
36 近接センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設された支柱に沿って昇降可能な昇降台と、
この昇降台に設けられ、当該昇降台の下降に伴って地中に貫入する貫入ロッドを保持可能なチャックと、
前記貫入ロッドにかかる荷重を検出可能な荷重検出手段と、
前記昇降台を昇降操作するよう設けられ、かつ出力トルクを調整して貫入ロッドにかかる荷重を所定の荷重に変更可能な昇降用駆動手段と、
前記荷重検出手段による検出値と貫入ロッドにかかるべき荷重の目標値とを比較し、実際に貫入ロッドにかかる荷重が目標値となるよう昇降用駆動手段を駆動制御する制御ユニットと
を備えることを特徴とする自動貫入試験機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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