説明

自動貸金庫装置

【課題】自動貸金庫装置の消費電力を節約すること。
【解決手段】金庫ボックス90を格納可能な複数の格納部を有する格納棚12と、金庫利用者が金庫ボックス90に対して物品を出し入れするためのブース台20と、各格納部との間で金庫ボックス90を移載可能な移載ユニット50と、移載ユニット50を、各格納部に対して金庫ボックス90を出し入れ可能な位置、又は、ブース台20に対して金庫ボックス90を搬出入可能な位置に移動させる棚側搬送機構部40と、棚側搬送機構部40に対して電源供給する動力電源と、棚側搬送機構部40に対して、各格納部に対応する位置又はブース台20に対応する位置に移載ユニット50を移動させる動作指令を与えると共に、棚側搬送機構部40の非利用期間に、少なくとも動力電源からの電源供給をオフ状態にする指令を与える制御ユニット70とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動貸金庫装置の節電技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、収納箱を格納する棚装置と、収納箱に対して物品を出し入れするブースに対して収納箱を搬送可能な中間コンベヤとの間で、収納箱を、スタッカクレーンにより搬送するように構成されている自動貸金庫設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−227271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に、自動貸金庫装置は、金庫利用者が貴重品等の物品を出し入れする際に搬送機構部(スタッカクレーン)が金庫ボックス(収納箱)を搬送する期間より、搬送機構部が動作せずに待機している期間の方が長い。このため、搬送機構部の待機期間中に消費される電力が無駄であった。
【0005】
そこで、本発明は、自動貸金庫装置の消費電力を節約することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る自動貸金庫装置は、金庫ボックスを格納可能な複数の格納部を有する格納棚と、金庫利用者が前記金庫ボックスに対して物品を出し入れするためのブース台と、前記各格納部との間で前記金庫ボックスを移載可能な移載ユニットと、前記移載ユニットを、前記格納棚の前記各格納部に対して前記金庫ボックスを出し入れ可能な位置、又は、前記ブース台に対して前記金庫ボックスを搬出入可能な位置に移動させる搬送機構部と、前記搬送機構部に対して電源供給する動力電源と、前記搬送機構部に対して、前記各格納部に対応する位置又は前記ブース台に対応する位置に前記移載ユニットを移動させる動作指令を与えると共に、前記搬送機構部の非利用期間に、少なくとも前記動力電源からの電源供給をオフ状態にする指令を与える制御部とを備える。
【0007】
第2の態様に係る自動貸金庫装置は、第1の態様に係る自動貸金庫装置であって、前記動力電源からの電源供給を受けて、前記搬送機構部が移動させる前記移載ユニットの移動に応じた信号を出力する検知部と、前記制御部に対して電源供給する常時電源と、を備え、前記制御部は、記憶部を有し、前記検知部の出力に基づいて前記移載ユニットの位置を特定可能で、前記動力電源からの電源供給をオフ状態にする指令を与える際に、特定した前記移載ユニットの位置情報を前記記憶部に格納し、前記搬送機構部に対する動作要求があると、前記動力電源からの電源供給をオン状態にする指令を与えると共に前記記憶部に格納されている前記位置情報を読み出す。
【0008】
第3の態様に係る自動貸金庫装置であって、第1又は第2の態様に係る自動貸金庫装置であって、前記制御部は、前記搬送機構部の動作完了後一定期間経過後に、前記動力電源からの電源供給をオフ状態にする指令を与える。
【0009】
第4の態様に係る自動貸金庫装置は、第1〜第3の態様のいずれか一態様に係る自動貸金庫装置であって、前記制御部は、予め設定された利用優先期間には、前記動力電源からの電源供給をオン状態に維持する。
【発明の効果】
【0010】
第1の態様に係る自動貸金庫装置によると、搬送機構部の非利用期間に、少なくとも搬送機構部に対する動力電源からの電源供給をオフ状態にする指令を与えるように構成されているため、自動貸金庫装置の消費電力の節減に寄与する。
【0011】
動力電源から検知部に電源供給され、常時電源から制御部に電源供給される構成においては、前記動力電源からの電源供給をオンオフすることによって、検知部から移載ユニットの移動に基づかない信号が出力される恐れがある。そこで、第2の態様のように、動力電源からの電源供給をオフ状態にする際に移載ユニットの位置情報を記憶部に格納し、動作要求があると、動力電源からの電源供給をオン状態にすると共に記憶部から当該位置情報を読み出すようにすると、動力電源からの電源供給をオンオフする際における検知部からの検知信号の影響を排除して搬送機構部による移載ユニットの位置をより正確に制御することができる。
【0012】
第3の態様に係る自動貸金庫装置によると、搬送機構部の動作完了後一定期間経過後に動力電源からの電源供給をオフ状態にするように構成されているため、連続した利用が想定されないタイミングで電源供給をオフすることができ、効率よく節電を行うことができる。
【0013】
第4の態様に係る自動貸金庫装置によると、利用優先期間には動力電源からの電源供給をオン状態に維持するように構成されている。このため、比較的自動貸金庫装置の利用頻度が高い時間帯等に動力電源からの電源供給をオン状態に維持することができ、動力電源の電源供給をオフ状態からオン状態に復帰する時間を省略して、金庫利用者の利用要求から金庫ボックスのブース台への搬送までの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】自動貸金庫装置の平面図である。
【図2】自動貸金庫装置を格納棚の前方から見た図である。
【図3】移載ユニットの移動に基づかないHエンコーダの出力を示す図である。
【図4】自動貸金庫装置のハードウェアブロック図である。
【図5】制御ユニットの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態に係る自動貸金庫装置について説明する。
【0016】
<全体構成>
まず、自動貸金庫装置10の全体構成について説明する(図1、図2参照)。自動貸金庫装置10は、一対の格納棚12と、ブース台20と、ブース側搬送機構部30と、棚側搬送機構部40と、移載ユニット50と、中間搬送機構部60と、制御ユニット70とを備えている。この自動貸金庫装置10では、一対の格納棚12に格納された金庫ボックス90が、棚側搬送機構部40及び移載ユニット50、中間搬送機構部60、ブース側搬送機構部30を介してブース台20に搬送される。これにより、金庫利用者は、ブース台20において金庫ボックス90に対する物品(通常は貴重品)等の出し入れを行う。また、金庫利用者による金庫ボックス90に対する物品等の出し入れ終了後、金庫ボックス90は、ブース台20から、ブース側搬送機構部30、中間搬送機構部60、棚側搬送機構部40及び移載ユニット50を介して一対の格納棚12に格納される。
【0017】
金庫ボックス90は、金庫利用者が貴重品等の物品を収納するための筐体であり、物品を出し入れする開口を開閉可能な蓋が設けられていてもよい。
【0018】
格納棚12は、金庫ボックス90を収納可能な格納部13を複数有している(図1、図2参照)。この格納棚12は、一方向(以下、延在方向)に適宜間隔をあけて立設された複数の仕切部14の間に、複数の棚板15が略水平面に沿った姿勢で鉛直方向に間隔をあけて多段に配設された構成とされている。これにより、仕切部14によって格納棚12の延在方向に画されると共に、棚板15により鉛直方向に画される略直方体空間が、金庫ボックス90を格納可能な格納部13として、縦横に並ぶようにして複数構成されている。
【0019】
一対の格納棚12は、延在方向を一方向に揃えた姿勢で、間隔をあけて対向配置されている(図1参照)。この一対の格納棚12は、金庫ボックス90を出し入れ可能な前面側を互いに向かい合わせた姿勢で配置されている。一対の格納棚12の間には、棚側搬送機構部40及び移載ユニット50を配設可能な幅の隙間があけられている。この隙間が、棚側搬送機構部40が走行する空間であり、当該隙間の底面が棚側搬送機構部40が走行可能な走行路である。
【0020】
なお、格納棚12は、一対設けられる場合に限定されず、1つであってもよい。この場合、格納棚12の前方に、棚側搬送機構部40が走行可能な空間及び走行路が設けられていればよい。
【0021】
また、一対の格納棚12は、周囲が金庫壁によって取り囲まれ、立ち入りを管理された金庫室17内に配設されている。金庫ボックス90の格納数の観点から言うと、一対の格納棚12は、延在方向において金庫室17いっぱいに配設されるように設計されているとよい。
【0022】
一対の格納棚12のうち、一方の格納棚12には、制御ユニット70を配設するための制御ユニット収納用スペース19が設けられている。この制御ユニット収納用スペース19は、下方から所定数の棚板15を省略すると共に、1つの仕切部14を下方から所定高さまで除去することにより、縦横に連通する空間とされている。なお、仕切部14を除去した部分については、補強等して強度を保持されている。
【0023】
また、上記金庫室17に隣接して利用ブース28が設けられており、この利用ブース28内にはブース台20が設けられている(図1、図2参照)。ここでは、利用ブース28は、一方の格納棚12の後方(背面側)に2つ配設されている。この利用ブース28は、通常、立ち入りを管理されたエリアであり、周囲がブース壁によって取り囲まれると共に施錠可能な扉29を通じて入退室可能に構成されている。また、利用ブース28と金庫室17との間も、仕切壁26によって仕切られている。また、仕切壁26のうち上記制御ユニット収納用スペース19に対向する部分には、メンテナンス用扉27が開閉可能に設けられている。このメンテナンス用扉27は、通常、錠装置によって施錠された状態に保たれている。そして、自動貸金庫装置10のメンテナンス時等に、権限あるメンテナンス管理者等が鍵を用いてメンテナンス用扉27を開くことにより、当該メンテナンス管理者が制御ユニット70にアクセス可能となる。
【0024】
ブース台20は、上部に天板22を有する略筐状に形成されている。天板22には、略矩形状の天板開口23が形成されており、ブース台20内部に搬送される金庫ボックス90が、当該天板開口23を通じて突出されるように配設される。このように、ブース台20の天板22に突出するように金庫ボックス90が配設されることで、金庫利用者は、金庫ボックス90に対して物品の出し入れを行うことができる。なお、天板開口23は、その内部に金庫ボックス90が配設されていない状態では、開閉可能な蓋により塞がれているとよい。
【0025】
また、各ブース台20の内部空間は、それぞれ、上記仕切壁26を貫通して、金庫室17内に連通している。一方の格納棚12には、この各連通部分に対応して、中間搬送用スペース18が(ここでは2つ)設けられている。この中間搬送用スペース18は、棚側搬送機構部40(移載ユニット50)とブース側搬送機構部30との間で金庫ボックス90を搬送する中間搬送機構部60を配設するためのスペースである。より具体的には、中間搬送用スペース18は、下方から所定数の棚板15を省略する(と共に、1つの仕切部14を下方から所定高さまで除去する)ことにより、縦(及び横)に連通する空間とされている。
【0026】
もっとも、利用ブース28(ブース台20)は、金庫室17に対して一対の格納棚12の側方に隣接するように設けられていてもよい。この場合、中間搬送用スペースは、いずれかの格納棚12の側方に設けられるとよい。
【0027】
移載ユニット50は、各格納棚12との間及び中間搬送機構部60との間で金庫ボックス90を移載可能に構成されている(図1のP1、P3参照)。この移載ユニット50は、各格納部13と対向する位置に配設された状態で、当該対向する格納部13に格納された金庫ボックス90を自己に取り込むように移載して載置状に支持し、或いは、自己に載置状に支持した金庫ボックス90を対向する格納部13に送り込むように移載して当該対向する格納部13に載置状に格納する。同様に、移載ユニット50は、中間搬送機構部60により格納棚12の前方の位置に搬送された金庫ボックス90を取り込むように移載し、或いは、自己に支持した金庫ボックス90を中間搬送機構部60上に送り込むように移載する。
【0028】
この移載ユニット50の構成としては、例えば、爪状部分を格納部13又は中間搬送機構部60上に進退移動させて当該爪状部分を金庫ボックス90に係合させるようにして引き込み或いは押し出し擦る構成を採用することができる。他にも、フォーク状部分の格納部13又は中間搬送機構部60上に進退移動させて当該フォーク状部分で金庫ボックスを持ち上げるようにして移載する構成等、周知技術を含む種々の構成を採用することができる。
【0029】
棚側搬送機構部40は、上記移載ユニット50を、一対の格納棚12の任意の格納部13に対して金庫ボックス90を出し入れ可能な位置と、ブース台20に対して金庫ボックス90を搬出入可能な位置、すなわち、中間搬送機構部60に対して金庫ボックス90を受け渡しする位置との間で移動させるように構成されている。この棚側搬送機構部40は、走行機構部42と昇降機構部46とを有している。
【0030】
走行機構部42は、一対の格納棚12の間の走行路を格納棚12の延在方向に沿って走行可能に構成されている(図1のP2、図2参照)。より具体的には、走行機構部42は、一対の格納棚のうち任意の格納部13に対向する位置と、中間搬送機構部60に対向する位置との間で往復移動するように走行可能である。ここでは、走行機構部42は、Hモータ44の回転駆動によって、車体に設けられた車輪を回転させることで走行する構成を採用している。もっとも、走行機構部42は、一対の格納棚12の間を延在方向に沿って走行可能な構成であれば、車体が固定されたベルトをHモータで回転させることにより車体を移動させる構成、Hモータとしてのリニアモータ等を採用した構成、Hモータとボールネジを用いた構成等、種々の構成を採用することができる。
【0031】
昇降機構部46は、移載ユニット50を、格納棚12の最下段の格納部13と最上段の格納部13との間で昇降移動させ、当該移載ユニット50を、格段の格納部13及び中間搬送機構部60に対向する各位置に昇降移動させるように構成されている(図2参照)。昇降機構部46としては、走行機構部42の車体上に立設した一対の支柱に対して移載ユニット50を昇降可能に支持しておく。そして、一方の支柱の上下端部に設けられた一対の歯車に環状ベルト(環状チェーン等)を巻掛け、移載ユニット50を一対の歯車体間で環状ベルトに連結し、一方の歯車体をVモータ48により回転させることで、環状ベルトを回転させて、移載ユニット50を昇降移動させる構成を採用することができる。他にも、昇降機構部46としては、Vモータとしてのリニアモータにより移載ユニット50を昇降させる構成、Vモータとボールネジを用いた構成等、種々の構成を採用することができる。
【0032】
上記棚側搬送機構部40には、移載ユニット50の移動に応じた信号を出力する検知部が設けられている。より具体的には、検知部は、走行機構部42のHモータ44に取り付けられているHエンコーダ45と、昇降機構部46のVモータ48に取り付けられているVエンコーダ49とを有している。このHエンコーダ45及びVエンコーダ49は、それぞれロータリーエンコーダであり、発光素子から射出される光を受光素子が受光したときにハイレベル、受光しないときにローレベルとなり、Hモータ44及びVモータ48の各回転量に応じたパルス信号を出力する。すなわち、Hエンコーダ45により移載ユニット50の水平方向の移動量に応じた信号が出力され、Vエンコーダ49により移載ユニット50の垂直方向の移動量に応じた信号が出力される。そして、得られた移載ユニット50の移動量の情報と、移載ユニット50の原点位置又は原点位置から移動されて停止した基準位置の情報とから、移載ユニット50の現在の位置情報(例えば、水平方向と垂直方向のx−y平面座標)を得ることができる。この位置情報は、後述する制御ユニット70により特定される。
【0033】
もっとも、検知部は、棚側搬送機構部40により移動される移載ユニット50の位置を検出可能であればよく、上記のようなHエンコーダ45及びVエンコーダ49に限られるものではない。検知部は、他にも、支柱又は床に対して接触して転がるローラにロータリーエンコーダを取り付けた構成、位置センサ(光位置センサ、超音波センサ等)を棚側搬送機構部40又は移載ユニット50に設けた構成等を採用することができる。
【0034】
中間搬送機構部60は、棚側搬送機構部40との間で金庫ボックス90を受け渡し可能な位置と、ブース側搬送機構部30との間で金庫ボックス90を受け渡し可能な位置との間で、金庫ボックス90を搬送可能に構成されている(図1のP4参照)。この中間搬送機構部60は、一方の格納棚12に設けられた中間搬送用スペース18内に配設されている。
【0035】
このような中間搬送機構部60の構成としては、搬送ベルトが掛けられた複数のプーリがモータ等に駆動されることにより、搬送ベルトが搬送方向に沿って回転駆動され、搬送ベルト上に載置される金庫ボックス90を搬送するコンベアの構成を採用することができる。他にも、中間搬送機構部60として、複数のローラが所定方向に沿って適宜間隔をあけて略並列姿勢で回転可能に支持されると共に、当該複数のローラが駆動ベルト等を介してモータ等の駆動により搬送方向に沿って回転駆動されるようにしたコンベア等、周知の水平移動機構を含む種々の構成を採用することができる。
【0036】
ブース側搬送機構部30は、ブース台20の内部であって、天板開口23の下方に設けられている(図1参照)。また、ブース側搬送機構部30の配設位置は、一方の格納棚12の後方で中間搬送機構部60に隣接する位置である。より具体的には、ブース側搬送機構部30は、上記中間搬送機構部60により一方の格納棚12の後方の位置に金庫ボックス90が搬送されると、当該金庫ボックス90を中間搬送機構部60から受け取って天板開口23の下方位置に搬送すると共に天板開口23から突出させるように上昇させ、或いは、天板開口23から突出される金庫ボックス90を下降させると共に中間搬送機構部60に受け渡す位置に搬送するように構成されている。
【0037】
ここでは、ブース側搬送機構部30は、中間搬送機構部60と共に協同的な搬送動作を行うことにより、中間搬送機構部60との間で金庫ボックス90を移載可能に構成されている(図1のP4参照)。すなわち、ブース側搬送機構部30は、中間搬送機構部60と同じ方向に沿って金庫ボックス90を移動させことも可能に構成されている。ブース側搬送機構部30の金庫ボックス90を水平方向に搬送する構成としては、中間搬送機構部60と同様の構成を採用することができる。
【0038】
もっとも、中間搬送機構部60とブース側搬送機構部30との間における金庫ボックス90の移載は、別途、モータ等の駆動により金庫ボックス90を押圧移動させるプッシャー機構を設け、当該プッシャー機構の駆動によって行ってもよい。
【0039】
また、ブース側搬送機構部30の金庫ボックス90を昇降移動させる構成としては、上記昇降機構部46と同様に、モータと環状ベルト等を利用した構成、リニアモータを用いた構成、モータとボールネジを用いた構成等、周知技術を含む種々の昇降機構を採用することができる。
【0040】
また、ブース側搬送機構部30は省略されてもよく、この場合、中間搬送機構部60により、金庫ボックス90が天板開口23の下方位置まで搬送され、当該位置で金庫利用者が金庫ボックス90を利用可能にされた構成であってもよい。
【0041】
また、この自動貸金庫装置10は、制御ユニット70と入力部98とを備えている(図2参照)。入力部98は、キーボード、タッチパネル等、本自動貸金庫装置10に対する諸指示を受け付け可能に構成されており、受け付けた諸指示を制御ユニット70に入力可能なように当該制御ユニット70に接続されている。入力部98は、利用ブース28内に金庫利用者操作用に設けられていてもよいし、別箇所に管理用コンピュータとして設けられていてもよい。
【0042】
制御ユニット70は、MPU(Micro Processing Unit)72と、MPU72と結合された主記憶部(図示省略)と、補助記憶部とを有している(図4参照)。主記憶部は、RAM等によって構成され、補助記憶部は、フラッシュメモリ、EPROM、ハードディスク装置等の非一時的な記憶装置によって構成されている。以下、補助記憶部を記憶部73として説明する。記憶部73にはMPU72に対する指示を記述したプログラム74が格納されており、MPU72は、入力部98を通じて入力された諸指示に応じてプログラム74に記述された指示を実行することで自動貸金庫装置10の全体動作を制御する。すなわち、制御ユニット70は、棚側搬送機構部40(移載ユニット50を含む)、中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30に対して制御信号を出力可能に接続されている。
【0043】
より具体的には、制御ユニット70は、棚側搬送機構部40に対して、各格納部13に対する位置又はブース台20に対応する位置(すなわち中間搬送機構部60の前方の位置)に移載ユニット50を移動させる動作指令を付与可能に構成されている。ここでは、制御ユニット70は、Hモータ44及びVモータ48を回転駆動するように、後述するHモータドライバ84及びVモータドライバ86それぞれに対してモータ駆動指令を与える(図4参照)。より具体的には、制御ユニット70は、移載ユニット50の現在位置を基準にして目標となる位置に対する水平方向の移動方向、移動量、垂直方向の移動方向及び移動量を指定して、動作指令を付与する。また、制御ユニット70は、図4では省略しているが、移載ユニット50に対しても移載動作指令を付与可能に接続されている。また、制御ユニット70は、中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30の各駆動用モータ(以下まとめてコンベアモータ38)を回転駆動させるように、後述するコンベア電源回路88に対してモータ駆動指令を付与可能に構成されている。さらに、制御ユニット70は、検知部としてのHエンコーダ45及びVエンコーダ49の出力に基づいて移載ユニット50の位置を特定可能に構成されている。より具体的には、Hエンコーダ45及びVエンコーダ49からは、移載ユニット50の水平方向の移動方向、移動量及び垂直方向の移動方向及び移動量に応じた信号が出力される。そこで、制御ユニット70は、当該信号に基づいて、初期位置からの移載ユニット50の垂直方向移動方向、移動量、水平方向の移動方向、移動量を求めて、移載ユニット50の現在位置を特定する。
【0044】
また、記憶部73には、プログラム74の他に、格納情報75、復帰位置情報76、切替待機期間77、利用優先期間78、省エネモード設定情報79等が格納されている。格納情報75は、各金庫ボックス90の特定情報(金庫番号等)と、当該金庫ボックス90が格納されている各格納部13の位置情報(水平方向位置、垂直方向位置)とを対応付けした情報である。復帰位置情報76、切替待機期間77、利用優先期間78、省エネモード設定情報79については、後で詳述する。
【0045】
なお、制御ユニット70による電源管理に関する構成については、後で詳述する。
【0046】
<動作>
以下、自動貸金庫装置10による金庫ボックス90の出し入れ動作について説明する。
【0047】
初期状態として、一対の格納棚12の各格納部13内にそれぞれ金庫ボックス90が格納され、移載ユニット50、中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30には金庫ボックス90が支持されていない状態であるものとする。
【0048】
この状態で、入力部98に対して所定の金庫ボックス90の特定情報及び当該金庫ボックス90を利用したい旨の指示を入力する。入力部98に対する入力は、本自動貸金庫装置10の利用者が行ってもよいし、別途存在する係員等が行ってもよい。すると、制御ユニット70は、格納情報を参照して特定された金庫ボックス90が存在する格納部13の位置を特定し、当該特定された格納部13に対向する位置に移載ユニット50を移動させるように、棚側搬送機構部40に動作指令を与える。つまり、特定された金庫ボックス90が存在する格納部13の位置と、移載ユニット50の現在位置とから、移載ユニット50の水平方向移動方向及び移動量、垂直方向移動方向及び移動量を特定して、動作指令を出力する。これにより、移載ユニット50は当該特定された格納部13に対向する位置に移動される(図1のP2、図2参照)。この状態で、制御ユニット70から移載ユニット50に金庫ボックス90の取込み指令が与えられ、移載ユニット50は特定された格納部13から金庫ボックス90を取り込むようにして移載動作を行う(図1のP1参照)。
【0049】
上記動作が終了すると、制御ユニット70は、移載ユニット50を中間搬送機構部60と対向する位置に移動させるように、棚側搬送機構部40に動作指令を与える。これにより、移載ユニット50は、一方の格納棚12の前方の位置で、中間搬送機構部60と対向する位置に配設される。この状態で、制御ユニット70から移載ユニット50に金庫ボックス90の送り出し指令が与えられ、移載ユニット50は、自己に載置された金庫ボックス90を中間搬送機構部60に送り込むようにして移載動作を行う(図1のP3参照)。
【0050】
上記移載動作が完了すると、制御ユニット70から中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30に金庫ボックス90をブース台20側へ搬送する指令が与えられる。もっとも、この指令は、移載動作開始時、移載動作中に与えられてもよい。すると、中間搬送機構部60は、一方の格納棚12の前方の位置から後方の位置に向けて金庫ボックス90を搬送してブース側搬送機構部30上に送り込み、ブース側搬送機構部30の搬送動作と協同してブース側搬送機構部30上に移載する(図1のP4参照)。さらに、ブース側搬送機構部30の搬送動作により、金庫ボックス90が天板開口23の下方まで水平移動される。
【0051】
金庫ボックス90がブース側搬送機構部30上の天板開口23の下方の位置に搬送されると、制御ユニット70からブース側搬送機構部30に金庫ボックス90を上昇させる旨の指令が与えられ、ブース側搬送機構部30は金庫ボックス90を上昇させる。これにより、金庫ボックス90は天板開口23から突出するようにしてブース台20に配設される。そして、金庫利用者は、当該金庫ボックス90を、自己に貸与された鍵等を用いて解錠し、蓋を開いて利用することができる。
【0052】
金庫ボックス90を格納部13に格納する場合には、上記とは逆の動作が行われる。
【0053】
すなわち、金庫利用者が金庫ボックス90の利用終了後に蓋を閉じて施錠した後、入力部98に対して金庫ボックス90を格納する旨の指示を入力する。入力部98に対する入力は、本自動貸金庫装置10の利用者が行ってもよいし、別途存在する係員等が行ってもよい。
【0054】
格納指示入力後、制御ユニット70による制御のもと、ブース側搬送機構部30が金庫ボックス90を下降移動させ、その後、ブース側搬送機構部30及び中間搬送機構部60は金庫ボックス90をブース台20内部から一方の格納棚12の前方の位置に搬送する(図1のP4参照)。
【0055】
この後、制御ユニット70による制御下、棚側搬送機構部40は、移載ユニット50を中間搬送機構部60と対向する位置に移動させ(図1のP2、図2参照)、続いて、移載ユニット50は中間搬送機構部60上の金庫ボックス90を取り込むように移載する(図1のP3参照)。続いて、棚側搬送機構部40は、移載ユニット50を、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動させる(図1のP2、図2参照)。金庫ボックス90を格納すべき格納部13の位置は、取出し前に格納されていた位置であってもよいし、他の空き位置であってもよい。後者の場合、格納情報を当該格納位置に合わせて更新するとよい。そして、移載ユニット50は、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動された状態で、自己に載置された金庫ボックス90を当該格納部13に送り込むようにして移載する(図1のP1参照)。これにより、金庫ボックス90が格納部13に格納され、動作を終了する。
【0056】
<省エネモード>
次に、自動貸金庫装置10の省エネモードSMについて説明する。自動貸金庫装置10においては、各搬送機構部が動作している動作期間より停止している待機期間の方が長いのが一般的である。そこで、本自動貸金庫装置10では、待機期間に消費される無駄な電力を節減するように、待機期間に通常運転モードNMから省エネモードSMに切替えるように構成されている。
【0057】
まず、自動貸金庫装置10に供給される電源について説明する。この自動貸金庫装置10においては、動力電源80から、スイッチ部82を介して棚側搬送機構部40(移載ユニット50)、中間搬送機構部60、ブース側搬送機構部30に対して電源供給されている。また、常時電源81から、制御ユニット70に対して電源供給されている。すなわち、動力電源80からの電力供給がオフ状態になると、常時電源81から電源供給されている制御ユニット70は起動したままの状態で、各搬送機構部に対する電源供給が停止される。
【0058】
スイッチ部82は、動力電源80からの電源供給をオンオフ切り替え可能に構成されている。このスイッチ部82は、MPU72からの指令に従って開閉可能なように、制御ユニット70に接続されている。ここでは、スイッチ部82としては、電磁開閉器等、制御ユニット70からの制御信号に応じてオンオフ可能な種々の電源用スイッチ回路を採用できる。
【0059】
棚側搬送機構部40の走行機構部42のHモータ44は、Hモータドライバ84に接続されている。そして、当該Hモータドライバ84は、スイッチ部82を介して動力電源80に接続されている。また、Hモータドライバ84は、制御ユニット70に接続され、MPU72から与えられる動作指令に従って、Hモータ44を正転、逆転駆動又は停止等させるモータドライバIC又はそれを含む回路である。
【0060】
また、Hモータ44に取り付けられているHエンコーダ45は、MPU72に対して、Hモータ44の回転に応じてハイレベルとローレベルとが繰り返されるパルス信号を出力可能に接続されている。そして、Hエンコーダ45に対しても、動力電源80から電源供給されている。
【0061】
昇降機構部46のVモータ48は、Vモータドライバ86に接続されている。そして、当該Vモータドライバ86は、スイッチ部82を介して動力電源80に接続されている。Vモータドライバ86は、Hモータドライバ84と同様に、制御ユニット70に対して接続され、MPU72から与えられる動作指令に従ってVモータ48を駆動、停止させる。
【0062】
また、Vモータ48に取り付けられているVエンコーダ49は、Hエンコーダ45と同様に、MPU72に対して、Vモータ44の回転に応じてハイ、ロー検知信号を出力可能に接続されている。そして、Vエンコーダ49に対しては、Hエンコーダ45とは異なり、常時電源81から電源供給されている。すなわち、Vエンコーダ49は、動力電源80からの電源供給がオフ状態でも、MPU72に対して検知信号を出力可能である。
【0063】
なお、ここではHエンコーダ45のみが動力電源80から電源供給されるように構成されているが、Hエンコーダ45及びVエンコーダ49の両方或いはVエンコーダ49のみが動力電源80から電源供給されるように構成されていてもよい。
【0064】
また、図4では、移載ユニット50の駆動部を省略しているが、移載ユニット50の駆動部も、スイッチ部82及びモータドライバ等の回路を介して動力電源80に接続されているとよい。
【0065】
中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30に設けられているコンベアモータ38は、コンベア電源回路88に接続されている。このコンベア電源回路88は、スイッチ部82を介して動力電源80に接続されている。そして、コンベア電源回路88は、制御ユニット70に接続され、MPU72から与えられる動作指令に従って、コンベアモータ38を駆動、停止可能に構成されている。
【0066】
次に、通常運転モードNMから省エネモードSMに切替える構成について説明する。すなわち、制御ユニット70は、棚側搬送機構部40の非利用期間に、少なくとも棚側搬送機構部40に対する動力電源80からの電源供給をオフ状態にする指令を与えるように構成されている。より具体的には、動力電源80からHモータドライバ84、Hエンコーダ45及びVモータドライバ86(ここでは、コンベアモータ38の駆動用ドライバ及び移載ユニットの駆動部の駆動用ドライバも含む)に対する電源供給をオフする。
【0067】
非利用期間とは、棚側搬送機構部40(ここでは、移載ユニット50、中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30を含む)が動作していない期間のうちの一部又は全体の期間である。ここでは、棚側搬送機構部40、移載ユニット50、中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30の動作完了後一定期間(以下、切替待機期間77)経過後に、動力電源80からの電源供給をオフ状態にする指令を与えるように構成されている。すなわち、本実施形態における非利用期間とは、棚側搬送機構部40を含む各搬送機構部の動作完了後切替待機期間77経過後、次の動作指令がMPU72から与えられるまでの期間である。
【0068】
上記切替待機期間77は、棚側搬送機構部40を含む各搬送機構部の動作完了後、動力電源80からの電源供給をオン状態からオフ状態に切替えるまでの待機期間(例えば一分間)であり、記憶部73に格納されている。この切替待機期間77は、棚側搬送機構部40を含む各搬送機構部の動作完了後の金庫利用者の平均利用時間、利用ブース28からの平均退出時間等を考慮して決定されるとよい。
【0069】
ここで、上述したように、Hエンコーダ45は、動力電源80からの電源供給を受けて移載ユニット50の水平方向の移動に応じてハイレベルとローレベルとが繰り返されるパルス信号を出力する構成である。このため、動力電源80からの電源供給がオフ状態にされて、Hエンコーダ45に対する電源供給が停止されると、MPU72側からは、Hエンコーダ45からローレベルの信号が出力されているように見える。すなわち、制御ユニット70は常時電源81に接続されて起動状態であるため、MPU72は動力電源80からの電源供給がオフ状態の間も、電源供給されていないHエンコーダ45の出力を取得してしまう(図3参照)。
【0070】
より具体的には、動力電源80からの電源供給がオフ状態にされる直前のHエンコーダ45の出力がハイレベルであった場合には、MPU72からは、電源供給がオフ状態になるとHエンコーダ45の出力がローレベルに切替わったように見えてしまう。そして、動力電源80からの電源供給が再びオン状態になると、MPU72からは、Hエンコーダ45の出力が再び電源供給をオフする直前の出力と同じハイレベルに切替わったように見えてしまう。これにより、移載ユニット50は変位していないにも関わらず、MPU72は、移載ユニット50が1パルス分水平方向に移動されたと誤認して、誤った位置を特定してしまう。すなわち、移載ユニット50の位置情報と実際の位置とが異なってしまう。
【0071】
そこで、制御ユニット70は、動力電源80からの電源供給をオフ状態にする指令を与える際(ここでは直前)に、特定した移載ユニット50の位置情報を復帰位置情報76として記憶部73に格納する。そして、入力部98から動作要求があると、動力電源80からの電源供給をオン状態にする指令を与えると共に記憶部73に格納されている復帰位置情報76を読み出すように構成されている。なお、復帰位置情報76の待避先は、補助記憶部である必要はなく、主記憶部であってもよい。
【0072】
また、制御ユニット70は、予め設定された利用優先期間78には、上述した非利用期間内であっても、動力電源80をオン状態に維持するように構成されているとよい。より具体的には、自動貸金庫装置10が設置される場所の利用状況によっては、金庫利用者の利用率が比較的高い繁忙時間帯と、そうでない時間帯とに分けられる場合もある。そこで、上記繁忙時間帯等を利用優先期間78として設定しておくことで、当該利用優先期間78においては、動力電源80がオフの状態からオンの状態に復帰するまでの時間を省略して運用する。利用優先期間78は、自動貸金庫装置10が設置される場所の利用状況等に応じて決定されるとよく、例えば、金庫利用者の終業時刻付近の17時〜21時の時間帯等に設定することができる。
【0073】
上記利用優先期間78は、動力電源80をオン状態に維持する場合に限られず、動力電源80をオフするまでの切替待機期間77を、利用優先期間78以外の時間帯より長く設定しておく期間であってもよい。また、段階的に、切替待機期間が比較的短く設定された期間と、切替待機期間が比較的長く設定された期間と、動力電源80をオン状態に維持する期間とを設けてもよい。
【0074】
また、ここでは、自動貸金庫装置10の省エネモードSMを有効にするか無効にするか設定可能に構成されている。すなわち、記憶部73に格納されている省エネモード設定情報79には、省エネモードSMを有効にする有効設定又は無効にする無効設定の情報が保存されている。そして、記憶部73の省エネモード設定情報79を、管理者等がアクセス可能な入力部98(例えば、管理用コンピュータ)を通じて、有効設定又は無効設定に書き替え可能に構成されている。
【0075】
以下、図5のフローチャートに基づいて、自動貸金庫装置10の通常運転モードNMと省エネモードSMとの切替えに関して、MPU72がプログラム74を読み込んで実行する処理ステップを説明する。ここでは、棚側搬送機構部40に着目して説明するが、上述したように、移載ユニット50、中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30に対しても、動作指令が与えられる。
【0076】
まず、ステップS1では、省エネモードSMが有効設定になっているか否かを判定する。すなわち、記憶部73に格納されている省エネモード設定情報79を読み出し、省エネモード設定情報79が有効設定である場合にはステップS2に進み、無効設定である場合にはステップS4に進む。すなわち、省エネモード設定情報79が有効設定でない場合には、通常運転モードNMで運転される。
【0077】
ステップS2では、利用優先期間78か否かを判定する。すなわち、記憶部73に格納されている利用優先期間78を読み出して、制御ユニット70に内蔵されたタイマ回路等によって特定される現在時間が利用優先期間78内であるか否かを判定する。そして、現在時刻が利用優先期間78内でない場合にはステップS3に進み、現在時刻が利用優先期間78内である場合にはステップS4に進み動作要求がある場合にステップS5に進む(詳細は下記のステップS4参照)。すなわち、自動貸金庫装置10の利用頻度が高い時間帯である場合には、省エネモードSMには切替えられず、通常運転モードNMで運転される。
【0078】
ステップS3では、直前の棚側搬送機構部40、移載ユニット50、中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30(以下、棚側搬送機構部40及び各周辺搬送機構)の動作完了後、切替待機期間77が経過したか否かを判定する。すなわち、図5とは別の図示省略の処理ルーチンにおいて、棚側搬送機構部40及び各周辺搬送機構の動作が完了したか否か判定され、動作完了と判定された場合に、動作完了後の待機時間が計測開始されるとよい。ここでは、記憶部73に格納されている切替待機期間77を読み出し、計測時間が切替待機期間77を経過したか(それより大きいか)否か判定する。そして、切替待機期間77が経過していない場合にはステップS4に進み、切替待機期間77を経過している場合にはステップS6に進む。
【0079】
ステップS4では、動作要求があるか否かを判定する。この動作要求とは、金庫利用者又は管理者により、入力部98を通じて所定の金庫ボックス90を取り出す又は格納する操作が行われることにより、入力部98からMPU72に入力される信号を指す。この信号は、例えば、MPU72が、取り出し又は格納のいずれかを特定可能であり、格納情報75に格納されている金庫ボックス90の特定情報に対応する信号である。そして、MPU72に対する金庫ボックス90の取り出し又は格納信号の入力がある場合にはステップS5に進み、当該信号の入力がない場合にはステップS1に戻る。
【0080】
ステップS5では、ステップS4で受けた動作要求に従って、棚側搬送機構部40に対して動作指令を出力する。より具体的には、入力信号に応じて、取り出し又は格納を判定し、格納情報75を読み出して当該信号に対応する金庫ボックス90の特定情報に対応付けられている格納部13の位置情報を得る。そして、取り出しの場合には、Hモータドライバ84及びVモータドライバ86に対して、移載ユニット50を当該格納部13に対応する位置に移動させる動作指令(基準位置からの水平方向、垂直方向の相対移動方向、移動量)、及び、移載ユニット50を中間搬送機構部60の前方の位置に移動させる動作指令を与える。また、格納の場合には、Hモータドライバ84及びVモータドライバ86に対して、移載ユニット50を中間搬送機構部60の前方の位置に移動させる動作指令、及び、移載ユニット50を所定の格納部13に対応する位置に移動させる動作指令を与える。そして、その後、ステップS1に戻る。
【0081】
なお、ここでは詳細を省略するが、ステップS5と同時又はその後に、コンベアモータ38の駆動用ドライバ及び移載ユニット50の駆動部の駆動用ドライバに対しても動作指令を与える。
【0082】
ステップS3で切替待機期間77が経過していると判定された場合に、ステップS6では、移載ユニット50の位置情報を復帰位置情報76として記憶部73に格納する。すなわち、Hエンコーダ45及びVエンコーダ49の出力に基づいて算出した相対移動量のデータと、移載ユニット50の原点位置又は直前の停止位置のデータとによって特定された移載ユニット50の現在位置を、復帰位置情報76に格納する。そして、ステップS7に進む。
【0083】
ステップS7では、動力電源80からの電源供給をオフ状態にする。すなわち、スイッチ部82に対して開状態にする切替指令を与える。これにより、自動貸金庫装置10は通常運転モードNMから省エネモードSMに切替えられる。ここでは、動力電源80から電源供給を受けているHモータ44、Hエンコーダ45及びVモータ48に加え、コンベアモータ38、図示省略の移載ユニット50の駆動部に対する電源供給も停止される。次に、ステップS8に進む。
【0084】
ステップS8では、ステップS4と同様に、動作要求があるか否かを判定する。そして、動作要求がない場合にはステップS9に進み、動作要求がある場合にはステップS14に進む。
【0085】
ステップS9では、ステップS1と同様に、省エネモード設定情報79が有効設定であるか否かを判定する。そして、省エネモード設定情報79が有効設定である場合にはステップS10に進み、無効設定である場合にはステップS11に進む。
【0086】
ステップS10では、ステップS2と同様に、現在時刻が利用優先期間78内か否かを判定する。そして、利用優先期間78内である場合にはステップS11に進み、利用優先期間78内でない場合にはステップS8に戻る。
【0087】
ステップS9で省エネモードが無効設定であると判定された場合、又は、ステップS10で利用優先期間78内であると判定された場合に、ステップS11では、動力電源80からの電源供給をオン状態にする。すなわち、MPU72からスイッチ部82に対して閉状態にする切替指令を与える。これにより、自動貸金庫装置10は、省エネモードSMから通常運転モードNMに切替えられる。そして、ステップS12に進む。
【0088】
ステップS12では、ステップS6で記憶部73に格納した復帰位置情報76を読み出すと共に、読み出した復帰位置情報76を現在の位置情報として書き替える(位置情報の復帰)。すなわち、MPU72が移載ユニット50の移動と誤認してしまう恐れがある、動力電源80からの電源供給のオフ、オン時のHエンコーダ45の出力を、実質的に無視している。実際には、MPU72は、動力電源80からの電源供給のオフ、オン時のHエンコーダ45の出力を検出しているが、ステップS6の直後からステップS12までのHエンコーダ45の出力に基づいて特定される移載ユニット50の位置情報を書き替えることにより、当該期間の位置情報を動作指令に利用しないようになっている。そして、ステップS13に進む。
【0089】
ステップS13では、ステップS12の位置情報の復帰処理すなわち位置情報の書き替えが完了したか否かを判定する。そして、復帰処理が完了している場合にはステップS4に進み、復帰処理が完了していない場合にはステップS13の処理を繰り返す。その後、ステップS4で動作要求があると判定されると、次のステップS5では、ステップS12で書き替えられる復帰位置情報76に対応する現在位置を基準位置として、基準位置から目標位置までの相対移動方向、移動量を求め、Hモータドライバ84及びVモータドライバ86に対して、Hモータ44及びVモータ48を目標の回転量回転させる動作指令を与える。
【0090】
ステップS8で動作要求があると判定された場合に、ステップS14では、ステップS11と同様に、スイッチ部82に対して閉状態にする切替え指令を与える。これにより、自動貸金庫装置10は、省エネモードSMから通常運転モードNMに切替えられる。そして、ステップS15に進む。
【0091】
ステップS15では、ステップS12と同様に、ステップS6で格納した復帰位置情報76を読み出すと共に、読み出した復帰位置情報76を現在の位置情報として書き替え(位置情報の復帰)、ステップS16に進む。
【0092】
ステップS16では、ステップS15の位置情報の復帰処理が完了したか否かを判定する。そして、復帰処理が完了している場合にはステップS5に進み、復帰処理が完了していない場合にはステップS16の処理を繰り返す。その後、ステップS5では、ステップS15で書き替えられる復帰位置情報76に対応する現在位置を基準位置として、基準位置から目標位置までの相対移動方向、移動量を求め、Hモータドライバ84及びVモータドライバ86に対して、Hモータ44及びVモータ48を目標の回転量回転させる動作指令を与える。
【0093】
以上のステップにより、制御ユニット70による自動貸金庫装置10の通常運転モードNMと省エネモードSMとの切替が行われる。
【0094】
なお、制御ユニット70が実行する上記処理の一部又は全部が電子回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0095】
上述した処理において、切替待機期間77の計測開始のタイミングは、棚側搬送機構部40及び各周辺搬送機構の動作完了時に限られず、棚側搬送機構部40の動作完了時でもよい。この場合、切替待機期間77は、移載ユニット50、中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30が動作完了してから電源供給がオフされるように、当該動作完了までの期間より長く設定されているとよい。
【0096】
また、動力電源80からの電源供給をオフ状態にする指令を与えるタイミングは、棚側搬送機構部40の動作完了後切替待機期間77経過後に限られない。当該タイミングとしては、他にも、利用ブース28から金庫利用者が退出した時又は退出後一定期間経過後、金庫利用者が金庫ボックス90の格納要求の操作を行った後一定期間経過後等に設定することができる。すなわち、電源供給がオフされるのは、棚側搬送機構部40及び各周辺搬送機構の動作完了後、動作要求があるまでの期間のうち一部又は全体であればよく、オフ指令を与えるタイミングも当該期間内であればよい。
【0097】
また、省エネモードSMとしては、他にも段階的に又は並列的に電源管理をすることにより、より一層の節電を図ることができる。例えば、制御ユニット70に対する電源供給を部分的又は全体的に停止することも考えられる。もっとも、本実施形態においては、図5の処理ステップを実行可能な程度にMPU72のクロック数を低減、記憶部73に対する電源供給を停止する(復帰位置情報76等を補助記憶部としての不揮発性メモリに格納するように構成されているとよい)等により電力消費を低減できる。
【0098】
上記構成に係る自動貸金庫装置10によると、棚側搬送機構部40の非利用期間に、少なくとも棚側搬送機構部40の動力電源80をオフするように構成されているため、自動貸金庫装置10の消費電力の節減に寄与する。
【0099】
また、動力電源80をオフする際に移載ユニット50の復帰位置情報76を記憶部73に格納し、動作要求があると、動力電源80をオンすると共に記憶部73から復帰位置情報76を読み出すように構成されている。このため、本自動貸金庫装置10のように動力電源80からHエンコーダ45に電源供給され、常時電源81から制御ユニット70に電源供給される構成において、動力電源80がオフ、オンされることによるHエンコーダ45の出力を誤認することを防止できる。これにより、棚側搬送機構部40による移載ユニット50の位置をより正確に制御することができる。しかも、Hエンコーダ45の出力を誤カウントしてしまうことによる移載ユニット50の実際の位置と、現状の位置情報とのズレが発生することを防止できるため、省エネモードから通常運転モードに復帰する際に毎回棚側搬送機構部40による移載ユニット50の位置を原点復帰する動作を省略することができる。
【0100】
また、棚側搬送機構部40、移載ユニット50、中間搬送機構部60及びブース側搬送機構部30の動作完了後切替待機期間77の経過後に動力電源80をオフするように構成されているため、自動貸金庫装置10の連続した利用が想定されないタイミングで電源供給をオフすることができ、効率良く節電を行うことができる。
【0101】
また、利用優先期間78には動力電源80をオン状態に維持するように構成されている。このため、比較的自動貸金庫装置10の利用頻度が高い時間帯に動力電源80をオン状態に維持することができ、動力電源80がオフの状態からオンの状態に復帰する時間を省略して、金庫利用者の利用要求から金庫ボックス90のブース台20への搬送までの時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0102】
10 自動貸金庫装置
12 格納棚
13 格納部
20 ブース台
40 棚側搬送機構部
45 Hエンコーダ
50 移載ユニット
70 制御ユニット
73 記憶部
76 復帰位置情報
77 切替待機期間
78 利用優先期間
80 動力電源
81 常時電源
90 金庫ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金庫ボックスを格納可能な複数の格納部を有する格納棚と、
金庫利用者が前記金庫ボックスに対して物品を出し入れするためのブース台と、
前記各格納部との間で前記金庫ボックスを移載可能な移載ユニットと、
前記移載ユニットを、前記格納棚の前記各格納部に対して前記金庫ボックスを出し入れ可能な位置、又は、前記ブース台に対して前記金庫ボックスを搬出入可能な位置に移動させる搬送機構部と、
前記搬送機構部に対して電源供給する動力電源と、
前記搬送機構部に対して、前記各格納部に対応する位置又は前記ブース台に対応する位置に前記移載ユニットを移動させる動作指令を与えると共に、前記搬送機構部の非利用期間に、少なくとも前記動力電源からの電源供給をオフ状態にする指令を与える制御部と、
を備える自動貸金庫装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動貸金庫装置であって、
前記動力電源からの電源供給を受けて、前記搬送機構部が移動させる前記移載ユニットの移動に応じた信号を出力する検知部と、
前記制御部に対して電源供給する常時電源と、
を備え、
前記制御部は、
記憶部を有し、
前記検知部の出力に基づいて前記移載ユニットの位置を特定可能で、前記動力電源からの電源供給をオフ状態にする指令を与える際に、特定した前記移載ユニットの位置情報を前記記憶部に格納し、前記搬送機構部に対する動作要求があると、前記動力電源からの電源供給をオン状態にする指令を与えると共に前記記憶部に格納されている前記位置情報を読み出す、自動貸金庫装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の自動貸金庫装置であって、
前記制御部は、前記搬送機構部の動作完了後一定期間経過後に、前記動力電源からの電源供給をオフ状態にする指令を与える、自動貸金庫装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の自動貸金庫装置であって、
前記制御部は、予め設定された利用優先期間には、前記動力電源からの電源供給をオン状態に維持する、自動貸金庫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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