説明

自動車のホーン装置のためのトリガ装置

自動車のホーン装置のためのトリガ装置は、自動車のステアリングホイール(2)内に組み込まれている。ステアリングホイールに属する構成部分相互の相対運動を回避するために、かつそれにもかかわらずホーン装置のトリガ装置の確実で信頼性の高い操作と、ステアリングホイール(2)の視覚的にコンパクトかつ魅力的な形態とを同時に可能にするために、トリガ装置が、意図されたホーン鳴動プロセスに伴うパラメータを検出可能であるとともに、このパラメータの検出時には第1のトリガ信号を出力可能な第1のトリガユニット(7)と、意図されたホーン鳴動プロセスに伴う別のパラメータを検出可能であるとともに、第2のトリガ信号を出力可能な第2のトリガユニット(11)とを備え、トリガ装置(7,11)によって自動車のホーン装置は、第1のトリガ信号が第1のトリガユニット(7)から出力され、かつ第2のトリガ信号が第2のトリガユニット(11)から出力されると、作動可能であるようにすることを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のホーン装置のためのトリガ装置であって、自動車のステアリングホイール内に、又はステアリングホイールに接して組み込まれている形式のものに関する。
【0002】
公知のこの種のトリガ装置あるいは作動装置では、操作部材が所定のストロークだけ運動すると、ホーンあるいは警音器の鳴動プロセス(Hupvorgang)がトリガされる。それゆえ、ステアリングホイールの内部、又はステアリングホイール自体には、適当な操作部材をトリガストロークの分だけ移動可能とする機能が提供されなければならない。これにより、ステアリングホイールのデザインに関する悪影響が生じる。しかも、場合によっては、ステアリングホイール表面のシール性を低下させるスリット、ギャップ又はこれに類するものを形成する必要がある。
【0003】
前述の背景技術から出発して、本発明の課題は、ステアリングホイールのデザイナーにより大きな自由度を提供し、ホーン装置の動作信頼性を少なくとも従来公知のトリガ装置と同等に保証し、かつステアリングホイールのコンパクトな形態と、ステアリングホイール表面の、ギャップ及びスリットを有しない液密な形態とを可能にする、自動車のホーン装置のためのトリガ装置を提供することである。
【0004】
この課題は、本発明により、トリガ装置が、意図されたホーン鳴動プロセスに伴うパラメータを検出可能であるとともに、このパラメータの検出時には第1のトリガ信号を出力可能な第1のトリガユニットと、意図されたホーン鳴動プロセスに伴う別のパラメータを検出可能であるとともに、第2のトリガ信号を出力可能な第2のトリガユニットとを備え、トリガ装置によってホーン装置は、第1のトリガ信号が第1のトリガユニットから出力され、かつ第2のトリガ信号が第2のトリガユニットから出力されると、作動可能であることによって解決される。本発明により、ホーン鳴動プロセスに伴う2つのパラメータが存在する場合にのみ、ホーン鳴動プロセスがトリガされるトリガ装置が提供される。
【0005】
これにより、例えば、ステアリングホイールか、又はステアリングホイールのその他の構成部品に関して可動な構成部品なしに、トリガ装置を構成することができる。
【0006】
このトリガ装置において、第1のトリガユニットが、ステアリングホイール表面と手の接触を検出可能であるとともに、このステアリングホイール表面と手の接触の検出時には第1のトリガ信号を出力可能な接触面(Tastflaeche)であると、いずれにしても、例えば路面上に穴等があったり、衝突したりした場合などに発生し得るステアリング装置の何らかの機械的な負荷によって、ホーン鳴動プロセスがトリガされてしまうことを防止することができる。それというのも、接触面に手が存在していることを示すトリガ信号が存在しないからである。手が接触面に接しているか、又はその直接的な近傍にある場合にのみ、ホーン装置を作動させるために必要な第1のトリガ信号が出力される。
【0007】
さらに、第2のトリガユニットが、自動車のステアリングホイール内に配置されているとともに、このステアリングホイールの圧力負荷時に第2のトリガ信号を出力可能な圧力センサ装置として形成されていると、ホーン装置を作動させるためには、接触面の近傍に手があるだけでは不十分であることが保証されている。むしろ、圧力センサ装置には、圧力センサ装置が第2のトリガ信号を出力するように、感知可能な圧力が作用していなければならない。手が接触面に接触するか、又は直接的な近傍に達する、ステアリングホイール表面に対する手の単なる通過あるいは擦過は、ホーン装置の作動にはまだ至らない。それというのも、前述したような手の運動時には、圧力センサ装置の圧力負荷がなされておらず、圧力センサ装置が第2のトリガ信号を出力していないからである。この第2のトリガ信号は圧力センサ装置によって、手により圧力がステアリングホイール表面に加えられた場合にのみ出力される。
【0008】
その他の形式で圧力センサ装置の機械的な負荷あるいは圧力負荷がなされても、このことは、ホーン装置の作動には至らない。それというのも、手がステアリングホイール表面上に、すなわち接触面の近傍になければ、他方の必要な条件、すなわち第1のトリガ信号の出力が欠如しているからである。
【0009】
ステアリングホイールの表面カバーは、ホーン装置のトリガ装置に何らかの形で配慮する必要なく構成され得る。好ましくは、トリガ装置の接触面が直接、ステアリングホイールの表面カバーの下に配置されている。
【0010】
接触面が、センサ制御される機能接触面(Funktionstastflaeche)として形成されており、誘電体のプレートと、誘電体のプレートの下に配置される電極とを有すると、手又は手の一部がまだ接触面の表面から約5mmの距離にある時点で、第1のトリガ信号を既に発生することができる。既に繰り返し説明したように、この場合、圧力センサ装置はまだ圧力負荷されていないので、ホーン装置は作動しない、あるいはまだ作動しない。
【0011】
有利な態様では、圧力センサ装置が複数の圧力センサを備える。圧力センサが介装されている構成部品の静定性(statische Bestimmtheit)は、特に、3つの圧力センサが設けられていると、達成可能である。
【0012】
以下に、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】自動車のホーン装置のための、ステアリングホイール内に組み込まれる本発明に係るトリガ装置の一実施の形態の原理図である。
【図2】図1に示した本発明に係るトリガ装置の接触面の一実施の形態の原理図である。
【0014】
他の部分は図示しない自動車の、図1に原理図で示したステアリングホイール装置1には、以下に詳述するように、自動車のホーン装置のための本発明に係るトリガ装置の一実施の形態が装備されている。ステアリングホイール装置1のステアリングホイール2は、一般には、ステアリングホイール装置1のステアリングコラム3に配置されている。
【0015】
既に述べた本発明に係るホーン装置のためのトリガ装置の他に、ステアリングホイール2内には、一般には、エアバッグ4が組み込まれている。
【0016】
ステアリングホイール表面5は、例えば皮革からなる表面カバー6の外面によって形成される。表面カバー6の下には、センサ制御される機能接触面として形成される接触面7が存在する。接触面7は、説明する本実施の形態では2つのトリガユニットを備えるトリガ装置の1つのトリガユニットを形成する。
【0017】
接触面7の機能原理については図2を参照されたい。図2からは、接触面7が誘電体のプレート8及び電極9を有することが看取される。電極によって、誘電体のプレート8内及び誘電体のプレート8上に、手10の接近時に変化するか、あるいは乱れが生じる場が形成されている。この種の乱れが存在する場合には、図2に概略的に示すように、第1のトリガ信号が出力される。
【0018】
さらに、ステアリングホイール2内には圧力センサ装置11が組み込まれている。圧力センサ装置11は、有利には3つの圧力センサ12を有していてよい。これらの圧力センサ12のうち、図1には2つの圧力センサが示されている。例えば手によってステアリングホイール表面5に圧力が加えられると、この圧力は圧力センサ12によって検出される。これにより、第2のトリガ信号が発生される。
【0019】
接触面7の第1のトリガ信号と、圧力センサ装置11の第2のトリガ信号とが出力されると直ちに、前述のトリガ装置によって、自動車の、図面には示されていないホーン装置が作動される。接触面7の第1のトリガ信号が存在するだけでは、又は圧力センサ装置11の第2のトリガ信号が存在するだけでは、自動車のホーン装置は作動しない。ホーン装置のための前述のトリガ装置によって、ステアリングホイール表面におけるギャップ等がもはや不要となる、ステアリングホイール2の形態が可能である。ステアリングホイール表面は、液密に構成することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のホーン装置のためのトリガ装置であって、自動車のステアリングホイール(2)内に、又はステアリングホイール(2)に接して組み込まれている形式のものにおいて、当該トリガ装置が少なくとも、意図されたホーン鳴動プロセスに伴うパラメータを検出可能であるとともに、該パラメータの検出時には第1のトリガ信号を出力可能な第1のトリガユニット(7)と、意図されたホーン鳴動プロセスに伴う別のパラメータを検出可能であるとともに、第2のトリガ信号を出力可能な第2のトリガユニット(11)とを備え、当該トリガ装置(7,11)によって前記ホーン装置は、前記第1のトリガ信号が前記第1のトリガユニット(7)から出力され、かつ前記第2のトリガ信号が前記第2のトリガユニット(11)から出力されると、作動可能であることを特徴とする、自動車のホーン装置のためのトリガ装置。
【請求項2】
前記第1のトリガユニットは、ステアリングホイール表面(5)と手(10)の接触を検出可能であるとともに、該ステアリングホイール表面(5)と手(10)の接触の検出時には前記第1のトリガ信号を出力可能な接触面(7)である、請求項1記載のトリガ装置。
【請求項3】
前記第2のトリガユニットは、前記自動車の前記ステアリングホイール(2)内に配置されているとともに、該ステアリングホイール(2)の圧力負荷時に前記第2のトリガ信号を出力可能な圧力センサ装置(11)である、請求項1又は2記載のトリガ装置。
【請求項4】
当該トリガ装置の前記接触面(7)が直接、前記ステアリングホイール(2)の表面カバー(6)の下に配置されている、請求項2又は3記載のトリガ装置。
【請求項5】
当該トリガ装置の前記接触面(7)が、センサ制御される機能接触面として形成されており、誘電体のプレート(8)と、該誘電体のプレート(8)の下に配置される電極(9)とを有する、請求項2から4までのいずれか1項記載のトリガ装置。
【請求項6】
当該トリガ装置の前記圧力センサ装置(11)が、複数の、有利には3つの圧力センサ(12)を備える、請求項3から5までのいずれか1項記載のトリガ装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−509865(P2011−509865A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542570(P2010−542570)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000132
【国際公開番号】WO2009/090031
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(504085808)パラゴン アクチエンゲゼルシャフト (8)
【氏名又は名称原語表記】paragon AG
【住所又は居所原語表記】Schwalbenweg 29, D−33129 Delbrueck, Germany
【出願人】(510198239)タカタ−ペトリ アクチエンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】TAKATA−PETRI AG
【住所又は居所原語表記】Bahnweg 1, D−63743 Aschaffenburg, Germany
【Fターム(参考)】