説明

自動車構造部品の損傷予測方法

【課題】できるだけ簡単な方法で自動車構造部品の障害の早期かつ高信頼度の確認又は余命時間に関する予測を可能にする。
【解決手段】自動車構造部品に関する損傷モデルを構築するステップと、構造部品の負荷を検出するステップと、損傷過程全体に沿って又は損傷期間全体にわたってあるいはその両方で前記構造部品の酷使および損傷を検知するステップと、構造部品の前記検知された酷使又は損傷あるいはその両方に基づく参照損傷過程又は参照損傷期間あるいはその両方を決定するステップと、損傷過程又は前記損傷期間あるいはその両方と、対応する前記参照損傷過程又は前記参照損傷期間あるいはその両方とを比較するステップと、損傷過程と参照損傷過程とから又は損傷期間と参照損傷期間とからあるいはその両方とから切迫率を決定するステップとを含む自動車構造部品の損傷予測方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車構造部品の損傷予測を行うための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個々のユーザの車両に搭載される変速機の制御に係わるセンサ系の診断情報を一括管理して有効活用し、故障発生前の点検時期の予告を可能とすると共に、システム信頼性の向上を図ることのできる車両管理システムが知られている(例えば、特許文献1)。この特許文献1によるシステムでは、構造部品がセンサシステムによって監視されて、問題発生時に中央情報管理センタに伝達される。中央情報管理センタは問題範囲を識別し、システム部品の損傷を調べ、その後の損傷特性および耐用期間に関する予測を行う。中央情報管理センタのデータベースに蓄積された車両の初期情報及び市場における情報(個々のユーザ毎の車両情報)は、データベースへのアクセス権を与えられた各部署にネットワークを介して配信され、車両健康状態を管理すると共に各種サービスが行われる。ユーザの車両における各種部品の使用頻度情報の収集、制御アルゴリズムの評価、リアルタイムな診断や不具合対応、各部品の経時変化や学習値の変化を把握しての予測診断、再現困難な不具合の診断等を該当部署にて行い、制御アルゴリズムの改良や新規開発のための情報収集等を該当部署にて行う。また、ユーザサービスの一環として、ユーザの車両の入庫前の事前診断、個別ユーザに対応した定期検査等の入庫連絡等を該当部署にて行い、ディーラ等に情報を配信してサービスツールによる点検或いは診断を指示する。更に、市場における部品レベルでの絶対的な品質評価、リアルタイムな生の統計データの採取、部品製造メーカ毎の相対的な品質評価等を該当部署にて行い、評価結果を各部門にフィードバックする。これにより、ユーザに対し、重大な障害が発生する前に、点検およびサービス期日の勧告を行うことができる。しかしながら、このシステムでは、ユーザ、つまり車両から中央情報管理センタに診断情報が伝達され、そこで一括管理される。これにより、測定されたデータの実時間評価がユーザ側で実行されることが保証されず、そのため、極端な場合には中央情報管理センタによって評価が行われる前にすでに致命的な障害に至ってしまうという不都合が生じうる。このシステムのさらにもう一つの短所は、統計的に解析された障害頻度による補正が行われないことである。
【0003】
構成部品の寿命を評価するための装置も公知である(例えば、特許文献2)。期待される寿命(余命)に関する予測は損傷モデルに基づいて行われ、その際、相応したセンサ機構を経て局所的な構成部品仕様での酷使(負担)に基づくシステム負荷が顧慮される。この文献によれば、時間に依存したシステム負荷の完全な全体の作用下におけるモデル挙動の時間積分によって局所的な部品酷使の時間曲線が求められる。この場合、こうした部品酷使は局所的な反力の経時挙動の形で選択された部品における引張りや圧縮を示している。加わった酷使の結果として累積された部品損傷の評価は、使用強度分析において、損傷蓄積計算による酷使の経時挙動の評価を通じて行われる。
【0004】
障害モデルの万一の不確実性又は不正確な入力データは時間経過につれて実際値からの余命時間予測の顕著なずれを導くことから、こうした方式はかなり不確実な結果を導く可能性がある。
【0005】
さらに、レーシングスポーツにあっては、予想される負荷に構造部品を極度に正確に適応させることが必要である。したがって、例えば、短所を回避すべく、エンジンが一定数のレースに故障なく耐え得ることが必要である。個々のエンジン構造部品の最適な設計では個々の要素の寿命が最終ラウンドの後にゼロに低下してもよい。構造部品にかかる負荷は使用状態に応じて非常に異なっているため、個々の要素の設計に際して使用時間数や走行距離を設定するだけでは十分ではないことが判明した。
【特許文献1】特開第2003−345421号公報
【特許文献2】ドイツ公開第10257793号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、できるだけ簡単な方法で障害の早期かつ高信頼度の確認又は余命時間に関する予測あるいはその両方を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明による自動車構造部品の損傷予測方法は、少なくとも1つの構造部品に関する損傷モデルを構築するステップと、前記構造部品の負荷を検出するステップと、損傷過程(距離)全体に沿って又は損傷期間全体にわたってあるいはその両方で前記構造部品の酷使(負担)および損傷を検知するステップと、前記構造部品の前記検知された酷使又は損傷あるいはその両方に基づく参照損傷過程又は参照損傷期間あるいはその両方を決定するステップと、前記損傷過程又は前記損傷期間あるいはその両方と、対応する前記参照損傷過程又は前記参照損傷期間あるいはその両方とを比較するステップと、損傷過程と参照損傷過程とから又は損傷期間と参照損傷期間とからあるいはその両方とから切迫率(加速率)を決定するステップとを含む。損傷過程は起点となる損傷状態から致命的な損傷状態に至る過程であると考えることができ、損傷期間は、起点となる損傷状態から致命的な損傷状態に至る時間と考えることができる。損傷過程は損傷現象列(致命的損傷状態までの現象経過)を意味し、損傷期間は損傷時経列(致命的損傷状態までの時間経過)を意味している。
【0008】
上記引用した従来の技術の場合に類似して、構造部品が受ける負荷から余命時間(残存寿命)ないし余命過程(残存距離)を推定するため、損傷モデルが使用される。ここでいうモデルとは、例えばモデル化によって導かれた方程式群であり、種々の測定データなどからパラメータを設定しながらこれを数値演算やシミュレーション演算を用いて解くことにより所望の解、つまり要求された項目の数値が得られるものである。ただし、ここでは、従来の技術とは異なり、運転中に得られた経験(種々の測定データなど)に基づいて、前記モデルのリアルタイムでの適合化ならびに最適化が行われる。
【0009】
好ましくは、構造部品のすべての損傷過程の損傷量又はあるいはその両方損傷期間が積算されて、データ蓄積部に記憶されている限界値(最大値)と比較されるが、その際、積算された損傷量が前記前記限界値に到達すると、前記構造部品の損傷が確定されるように構成すると好都合である。
【0010】
本発明による方法により、個々の構造部品の個別負荷だけでなく、個々の構造部品の個々の危険箇所の個別負荷も運転条件に応じて適切に顧慮することが可能である。例えば、高回転数時のコンロッドの損傷は低回転数時よりも著しく危険であるが、ただし、その他のパラメータ、例えばエンジン温度又は負荷も損傷に重大な役割を果たしている。
【0011】
本発明による特に好ましい実施形態では、さらなるステップとして、構造部品又はシステム全体の余命時間(残された寿命)に関する予測も行う。この余命時間とは、必要に応じ、故障発生が予測されるまでの本来の意味の期間又は故障発生までの現象経過としての余命過程であってよい。この場合に重要なのは、この期待余命時間(寿命)は常に、定義された負荷を基礎として理解されなければならないことである。したがって、例えばレーシング中に、例えば、最後の5周が同じ運転走行態様であれば構造部品Xは7.2周の余命時間を有するとの判定を行うことになる。
【0012】
限界値との差から当該構造部品の余命時間が評価されれば、その後の損傷の推移に関する高信頼度の予測を行うことができる。
【0013】
本発明の好適な実施形態の1つにおいて、さらに、余命時間はデータ蓄積部に記憶されている少なくとも1つの寿命モデルに基づいて決定されるように構成されている。
【0014】
重要な点は、システムの障害データ蓄積部が不断に更新されるため、障害の評価ならびに余命時間の予測に際して最新の自己の統計情報を使用することができることである。したがって、システムは自己学習設計されている。
【0015】
本方法の重要な特質は、オンライン損傷演算もしくはリアルタイム損傷演算が行われることである。したがって、データ後処理は不要である。構成部品の状態は実時間で評価され、その後の損傷に関する予測を行うことが可能である。すでにテスト走行中に実際の酷使を評価することができる。
【0016】
システムの微調整の手掛かりを得るために、事後的なシミュレーションも可能である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態において、構造部品の負荷を少なくとも部分的にシミュレーションデータに基づいて得ることが可能である。これによって、例えばすでに一定の負荷履歴を有する構造部品に関する判定を行うことが可能であり、その際、当該構造部品は予想される推移に関する仮定が得られている今後のレーシングに使用されると想定される。ただし同時に、新たな構造部品をシミュレーションを用いて評価し、予想される損傷ないし余命時間を予測することも可能である。
【0018】
本発明による方法のさらに別の特に好適な実施形態において、前もって要求された余命時間ないし余命過程に基づいて、前記構造部品の負荷を規定するパラメータが算出される。例えば、なお30周以上を残すレーシングの間に、シミュレーションに基づき、所与の条件下で予想される構造部品の余命時間が25周でしかないことが判明する場合には、相応した適切な対策を講じて損傷が致命的な損傷としての故障にまで至る危険を低下させることができる。したがって例えば、余命時間を所要の値に引上げるために、最大エンジン回転数を相応して適切に減少させることが可能である。最大エンジン回転数の他に、複合的な調整も上記の意味における決定的なパラメータとして採用することができる。つまり、例えば、重要な構造部品にかかる負荷が低減するようにエンジン特性を選択的に調整し直すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に示した実施形態を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、損傷予測システムは、伝送ユニット1、測定ユニットおよびデータロガー2、評価ソフトウェア3、データ蓄積部4、ドライバー向け表示モジュール5、寿命モデル6、損傷モデル7、寿命データ蓄積部(データベース、知識ベース)8を備えている。
【0021】
車両の重要な構造部品は連続的又は不連続的に車載式診断センサコントローラ9を介して監視されている。この診断センサコントローラ9のデータは測定ユニット・データロガー2および評価ソフトウェア3に転送される。構造部品の状態と同時に、構造部品の実際の使用期間ないし使用距離も測定され、損傷予測システムで利用可能である。データ蓄積部4には、監視される各々の構造部品につき、損傷起点現象から故障発生となる致命的な損傷現象に至る損傷過程(距離)の参照情報として利用される参照損傷過程又は損傷起点時から故障発生時に至る損傷期間の参照情報として利用される参照損傷期間が記憶されている。構造部品について損傷ないしは損傷を導く損傷前現象としての擬似損傷が測定データを通じて検知されると、評価ソフトウェア3は、それぞれの構造部品に関するこの損傷(以下損傷には前記擬似損傷も含まれる)の発生時点までの損傷過程ないし損傷期間をこの損傷に関するデータ蓄積部4中の参照損傷過程ないし参照損傷期間と比較する。損傷過程と参照損傷過程との間の相違ないし損傷期間と参照損傷期間との間の相違に基づき、この損傷が統計的に調査された参照損傷過程ないし参照損傷期間の前に生じたか又は後に生じたかを示す切迫率が決定される。データ蓄積部4の更新は伝送ユニット1を介して実施可能である。さらに、欠落した又は障害のあるデータのアップデートを実施するため、測定評価に関するステータスを中央コンピュータに送信することが可能である。ただし、この損傷予測システムではオンボードで評価を実施しているために、伝送ユニット1を通じて伝送されるデータ量は僅かである。重要なのは、損傷予測を行うための本方法が無線データ伝送ライン10の故障時にも支障なく続行可能であることである。
【0022】
構造部品のすべての損傷過程の損傷量ないし損傷期間は積算されて、データ蓄積部4に記憶されている限界値(最大値)と比較される。この限界値が到達されると、構造部品の損傷が検知される。他方、限界値に対する差から、構造部品の余命時間を評価することができる。余命時間がデータ蓄積部8に記憶されている寿命モデル6に基づいて決定されれば、より正確な結果を達成することが可能である。この場合、寿命モデル6が損傷モデル7と結合されれば、特に有利である。
【0023】
表示モジュール5を通じて、ドライバーに対し、
1)実際の損傷ないし余命時間:a、
2)予期される損傷の予測(切迫率):b、
3)予想損傷と実損傷との比:c、
4)目標達成のためのさらなる運転走行態様(種々の運転条件や機器設定)に関する勧告:d、
に関する情報が伝達される。緊急の損傷に関する情報は視覚、音響又は触覚によって伝達することが可能である。
【0024】
以下に、自動車構造部品の具体例としてプラグインポンプを取り上げ、本発明の実施形態の1つを詳細に説明する。
【0025】
プラグインポンプ監視のセンサ信号としてエンジントルクMとエンジン回転数nが使用される。プラグインポンプのカムローラー接点の摩耗に関する基本的な余命(寿命)式は、ヘルツ面圧p0、ポンプ回転数nおよび定係数Cの関数として設定することが可能であり、つまり、L10を期待される余命とすると、L10=f(p0,n,C)で表される。
【0026】
ポンプ回転数nはエンジン回転数nと、当該エンジン作動点における噴射圧力から得られるヘルツ面圧p0とから決定される。噴射圧力はシステムの基本テーブルに格納可能である。
【0027】
異なったエンジン作動点におけるそれぞれの滞留時間(dwell time)および損傷から、例えば図2に表した実際のプラグインポンプの損傷が生ずる。図2のグラフでは、時間当たりのプラグインポンプ損傷Sはエンジン負荷Lとエンジン回転数nに相関させて示されている。図3には、エンジン特性マップによる作動点滞留時間VがエンジントルクMとエンジン回転数nに相関させて記載されている。図4では、時間当たりのプラグインポンプの正規化損傷Sとエンジン特性マップによる正規化滞留時間Vが1つのグラフで示されている。これから、プラグインポンプの具体的な損傷が計算される。図5では、車両停止後の具体的な距離ケースに関して計算された損傷SがエンジントルクMとエンジン回転数nに相関させて示されている。なお、図2〜図5において、エンジントルクMの単位はニュートンメータ(Nm)であり、エンジン回転数nの単位は毎分回転数(U/min)である。
【0028】
損傷過程に対して、続いて参照損傷過程との比が算定される。ここで、標準ユーザの平均負荷集合値(負荷積算値)は参照集合とみなされる。これは測定の始めに、あるいはまた測定中にもシステムに入力される。
【0029】
参照プロフィールに対する距離プロフィールの比は切迫率(加速率)となる。
【0030】
すべての損傷量が合計されて、限界値と比較される。限界値に達すると、構造部品は故障とみなされ、交換しなければならない。同時に、計算時点までの同様な負荷集合値の想定下で余命時間を出力することができる。
【0031】
本発明による方法はテスト運転中の車両全体の酷使(負担)ないし損傷の実時間検知を可能にする。ほぼ確実に予想される平均負荷集合値を基礎として寿命に関する予測を行うことができる。損傷分析の結果は損傷モデルに流入可能であり、これによってシステムの自己補正が可能である。
【0032】
本方法によりテスト期間を大幅に節約し、特定の構造部品のみならずシステム全体に関するテスト距離/サイクルを最適化し、期間全体にわたってシステム挙動を観察・記録することができる。より正確なサービス間隔予測を可能にするため、特別なシステムに合わされた損傷モデルを車両制御ユニットに入力することができる。
【0033】
本方法の重要な利点は、車両の開発期間を決定的に短縮することができることである。本発明による方法のもう1つの利点は、相応した適切な対策によって構造部品の故障確率を最小化し得る点にある。
【0034】
以下に、本発明における好適な実施の形態を列挙する。
(1)前記損傷に関する予想される余命時間又は余命過程あるいはその両方が算出される。
(2)構造部品のすべての損傷過程の損傷量又は損傷期間の損傷量はあるいはそのそれぞれの損傷量が積算されて、データ蓄積部に記憶されている限界値と比較されることを特徴とする請求項1又は2に記載の損傷予測方法。
(3)積算された損傷量が前記前記限界値に到達すると、前記構造部品の損傷が確定される。
(4)構造部品の前記余命時間又は余命過程あるいはその両方は前記限界値との差から算定されることを特徴とする請求項2に記載の損傷予測方法。

(5)前記余命時間はデータ蓄積部に記憶されている少なくとも1つの寿命モデルに基づいて決定される。
(6)実際の損傷、余命時間、予想される損傷や切迫率の予測に関する情報又はさらなる運転走行態様に関する勧告あるいはその両方が視覚、音響又は触覚によってドライバーに伝達される。
(7)無線データ伝送可能に構成されたデータ蓄積部を介して、損傷モデル、寿命モデル、参照損傷過程、参照損傷期間および限界損傷量に関する実際の情報が伝送される。
(8)前記構造部品の負荷は少なくとも部分的にはシミュレーションデータから得られる。
(9)前もって要求された余命時間ないし余命過程に基づいて、前記構造部品の負荷を規定するパラメータが算出される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による方法を実施するシステムの概略構成図
【図2】構造部品の損傷をエンジン負荷ならびにエンジン回転数と相関させて示すグラフ
【図3】エンジン特性マップによる前記構造部品の滞留時間を示すグラフ
【図4】前記構造部品の正規化損傷とエンジン特性マップによる滞留時間とを示すグラフ
【図5】エンジン特性マップにおいて前記構造部品について決定された損傷を示すグラフ
【符号の説明】
【0036】
1:伝送ユニット
2:測定ユニットおよびデータロガー
3:評価ソフトウェア
4:データ蓄積部
5:ドライバー向け表示モジュール
6:寿命モデル
7:損傷モデル
8:寿命データ蓄積部(データベース、知識ベース)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの構造部品に関する損傷モデルを構築するステップと、
前記構造部品の負荷を検出するステップと、
損傷過程全体に沿って又は損傷期間全体にわたってあるいはその両方で前記構造部品の酷使および損傷を検知するステップと、
前記構造部品の前記検知された酷使又は損傷あるいはその両方に基づく参照損傷過程又は参照損傷期間あるいはその両方を決定するステップと、
前記損傷過程又は前記損傷期間あるいはその両方と、対応する前記参照損傷過程又は前記参照損傷期間あるいはその両方とを比較するステップと、
損傷過程と参照損傷過程とから又は損傷期間と参照損傷期間とからあるいはその両方とから切迫率を決定するステップと、
を含む自動車構造部品の損傷予測方法。
【請求項2】
さらに、前記損傷に関する予想される余命時間又は余命過程あるいはその両方が算出されることを特徴とする請求項1に記載の損傷予測方法。
【請求項3】
前記構造部品のすべての損傷過程の損傷量又は損傷期間の損傷量はあるいはそのそれぞれの損傷量が積算されて、データ蓄積部に記憶されている限界値と比較されることを特徴とする請求項1又は2に記載の損傷予測方法。
【請求項4】
積算された損傷量が前記前記限界値に到達すると、前記構造部品の損傷が確定されることを特徴とする請求項3に記載の損傷予測方法。
【請求項5】
前記構造部品の前記余命時間又は余命過程あるいはその両方は前記限界値との差から算定されることを特徴とする請求項2に記載の損傷予測方法。
【請求項6】
前記余命時間はデータ蓄積部に記憶されている少なくとも1つの寿命モデルに基づいて決定されることを特徴とする請求項2又は5に記載の損傷予測方法。
【請求項7】
実際の損傷、余命時間、予想される損傷や切迫率の予測に関する情報又はさらなる運転走行態様に関する勧告あるいはその両方が視覚、音響又は触覚によってドライバーに伝達されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の損傷予測方法。
【請求項8】
無線データ伝送可能に構成されたデータ蓄積部を介して、損傷モデル、寿命モデル、参照損傷過程、参照損傷期間および限界損傷量に関する実際の情報が伝送されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の損傷予測方法。
【請求項9】
前記構造部品の負荷は少なくとも部分的にはシミュレーションデータから得られることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の損傷予測方法。
【請求項10】
前もって要求された余命時間ないし余命過程に基づいて、前記構造部品の負荷を規定するパラメータが算出されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の損傷予測方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−115796(P2009−115796A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283496(P2008−283496)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(597083976)アー・ファウ・エル・リスト・ゲー・エム・ベー・ハー (26)
【氏名又は名称原語表記】AVL LIST GMBH
【住所又は居所原語表記】HANS−LIST−PLATZ 1,A−8020 GRAZ,AUSTRIA
【Fターム(参考)】