説明

自動車用の内部容積可変コンソールボックス

本発明は、内部の収納用の窪み(6)へのアクセスを可能にする上部開口(7)を有し、収納コンパートメントの寸法を変更することを可能にし、これによってコンソールボックス(1)の内部空間の利用を最適化するコンソールボックスに関する。このため、上記窪み(6)は、一方が他方の上に設けられ、概ね水平な隔壁(11)によって分離された、下部コンパートメント(9)と上部コンパートメント(10)との、少なくとも2つに分割される。上記隔壁(11)は、荷物を支持することが可能な閉鎖位置と、2つの上記コンパートメント(9、10)が連結される開放位置との間を可動な、少なくとも1つの開口蓋(13)によって閉鎖される、少なくとも1つの開口を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の内部容積可変コンソールボックスに関し、特に前席の間に設けられるセンターコンソールボックスに関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の目的は、コンソールボックスの内部空間の使い方を最適化しながら、収納コンパートメントの寸法を変更することが可能なコンソールボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記目的を達成するため、本発明の自動車用のコンソールボックスは、内部の収納用の窪みへのアクセスを可能にする上部開口を有する自動車用のコンソールボックスにおいて、上記窪みは、一方が他方の上に設けられ、概ね水平な隔壁によって分離された、下部コンパートメントと上部コンパートメントとの、少なくとも2つに分割され、上記隔壁は、荷物を支持することが可能な閉鎖位置と、2つの上記コンパートメントが連結される開放位置との間を可動な、少なくとも1つの開口蓋によって閉鎖される、少なくとも1つの開口を有することを特徴とする。
【0004】
上記開口蓋を開くことによって、このように両方のコンパートメントを使用することができ、上記コンソールボックスの上部開口をとおして上記下部コンパートメントへアクセスすることができる。
【0005】
上記開口蓋が開かれているときに、大きな容積が得られるように、上記隔壁の開口は、上記下部コンパートメントの概ね全上面上を伸びることが望ましい。
【0006】
1実施の形態においては、上記少なくとも1つの開口蓋は、スライド式の蓋である。この場合、上記上部コンパートメントの残りの部分を使用し続けながら、上記下部コンパートメントの一部のみにアクセスするために、上記開口蓋を部分的に容易に開くことができる。
【0007】
他の1つの実施の形態においては、上記少なくとも1つの開口蓋は、上記上部コンパートメントの中へ開くように取り付けられたヒンジ式の蓋である。この場合、実施が容易であるという利点がある。
【0008】
上記コンソールボックスの横方向の側壁に、横方向の開口を設けることが望ましい。この場合、上記上部コンパートメントから上記開口蓋へアクセスすることなく、上記下部コンパートメントの内容物へアクセスすることが可能になる。
【0009】
上記下部コンパートメントへ収容されることができ、上記横方向の開口をとおして、上記下部コンパートメントの中へ引き込み、及び、上記下部コンパートメントから引き出し可能な、収納ボックスを有することが望ましい。この場合、上記下部コンパートメントの内容物の全体へ、簡単かつ迅速にアクセスすることが可能になる。
【0010】
また、上記収納ボックスは、上記コンソールボックスの縦方向に滑動させることができ、上記横方向の開口は上記コンソールボックスの横方向の側壁に設けられることが望ましい。上記コンソールボックスが、前部中央のコンソールボックスである場合には、自動車の後席の搭乗者による上記下部コンパートメントへのアクセスが可能である。
【0011】
少なくとも1つの縦方向の側壁は、上記上部コンパートメントの高さにおいて、上記コンソールボックスの縦方向の全長を延びる、空調ダクトを有することが望ましい。上記コンソールボックスが、前部中央のコンソールボックスである場合には、このダクトは、自動車の後部の換気や暖房を可能にする。
【0012】
特に上記開口蓋がヒンジ式の蓋である場合には、1または複数の上記空調ダクトは、可動の上記開口蓋の開放を妨げないように、開放位置における上記開口蓋よりも上に配置される。
【0013】
1または複数の上記空調ダクトは、上記縦方向の側壁の中に形成され、上記コンソールボックスの横方向における上記空調ダクトの寸法は、縦方向の側壁によって形成される面の両側に分布されることが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のコンソールボックスを、非限定的な添付図面を参照して説明する。これらの添付図面において:
図1は、本発明によるコンソールボックスの概略斜視図であり;
図2は、図1に示すコンソールボックスの概略断面図であり;
図3は、2つの内部コンパートメントを分離する蓋が閉じられた、図1に示すコンソールボックスの内部の部分断面側面図であり;
図4は、2つの内部コンパートメントを分離する蓋が開かれた、図3に類似の図である。
【0015】
本発明の1実施の形態のコンソールボックスを、添付図面を参照して説明する。
【0016】
全体の形状が概ね平行6面対をなすコンソールボックス1は、2つの縦方向の側壁3と、2つの横方向の側壁4に接合された底壁2から形成される。側壁は、上壁5を支持する。
【0017】
これらの壁は、収納のために利用可能な内部空間、すなわち窪み6の範囲を定める。
【0018】
上壁5に、例えばスライド蓋である開き蓋8によって閉じられる上部開口7が設けられる。図3、4には、開き蓋8のスライド溝の1つが示されており、このスライド溝は、上部開口7の一方の端の境界を定める。
【0019】
窪み6は、一方が他方の上に設けられ、概ね水平な隔壁11によって分離された、上下の2つのコンパートメント9、10に分割される。隔壁11は、下部のコンパートメントの全表面上を伸びる開口12を有する(図3、4)。開口12は、コンソールボックスの縦方向に概ね平行な軸の周りに回動可能であるようにヒンジ付けされた、同一の2つの開口蓋13によって閉じられる。2つの開口蓋13は、縦方向の側壁3に近接して、隔壁に取り付けられる。さらに、2つの開口蓋13は、上部コンパートメント10の方向へ開くように取り付けられる(図2に、鎖線で示されている)。また、2つの開口蓋13は、閉鎖位置においては、上部コンパートメント10の底部としての役に立ち、このとき上部コンパートメント10は完全に使用可能になるように設けられる。このため、開口蓋13は、閉鎖位置において荷物を支持できるように充分強い必要がある。
【0020】
コンソールボックス1は、このような下部コンパートメント9の中に収容可能な収納ボックス14を有する。収納ボックス14は、例えばコンパクトディスクの箱を入れるのに充分な容積のものである。収納ボックス14は、隔壁11における開口12に概ね合致する上向きの開口を有する。さらに収納ボックス14は、引き出し式に下部コンパートメント9から引き出したり、下部コンパートメント9の中へ押し込むことができるように設計される。このため、コンソールボックス1の横方向の側壁の1つに、収納ボックス14を引き出したり、再挿入したりするための開口15が設けられる。収納ボックス14に、移動を容易にするためのキャスターまたは滑り面(例えば縦方向のリブ)を設けることができる。
【0021】
自動車の前席の間に配置されるコンソールボックスについては、後席の搭乗者がアクセスできるように、開口15は後席に向けられる。
【0022】
このように、収納ボックス14は、開口蓋13が開いているか閉じているかの、開口蓋13の位置に関係なく、開口15を通してアクセス可能である。望ましくは、収納ボックス14が下部コンパートメント9の中にあるときに、収納ボックス14の側壁の1つが、開口15の蓋を形成する。
【0023】
図3は、開口蓋13が閉じられたコンソールボックスを示す。このとき、上部開口7を通してアクセス可能な物体は、上部コンパートメント10の中の開口蓋13の上に載せることができる。収納14の中に収納された物体は、収納ボックス14を引き出すことによって、開口15を通してのみアクセス可能である。
【0024】
また、図2(鎖線で示す)、図4に示すように、開口蓋13が開かれているときには、上部開口7を通して収納ボックス14にアクセス可能である。このとき、2つのコンパートメントは連結され、コンソールボックス1の中にかなり大きい物体を置くことができるようになる。図4は、コンソールボックスの中に置かれ、2つのコンパートメントの全部の高さを占める、1.5リットルの水のボトルを示す。
【0025】
この例においては、上部コンパートメントは、コンソールボックスの縦方向に、開口15と反対側へ、下部コンパートメントを越えて伸びる。このようにして、追加の収納空間16が得られる。この収納空間16は、上部開口7を通してアクセス可能であり、開口蓋13が開いているか閉じているかの、開口蓋13の位置に関係なく、利用可能である。
【0026】
コンソールボックスの縦方向の側壁3は、その上部に空調ダクト17を有し(図2にのみ示す)、この空調ダクト17は、コンソールボックスの全長をとおして伸び、開口15の側における、制御手段18が設けられた穴の中へ出る。横方向の側壁4と反対の側、すなわちこの例においては自動車の前へ向かって、空調ダクト17は、自動車の空調装置(図示しない)へ接続される。空調ダクト17は、開口蓋13の完全な開口を妨げないように、上部コンパートメント10の充分高い箇所に配置される。開口蓋13の完全な開口は、開口蓋13が縦方向の側壁3に対向して、縦方向の側壁3上に位置することに該当する(図2に鎖線で示す)。
【0027】
1実施の形態(図示しない)においては、これらの空調ダクトは、縦方向の側壁3の厚みの中に形成することができ、コンソールボックスの横方向における空調ダクトの寸法は、各縦方向の側壁3によって形成される面の両側に分布される。このようにして、空調ダクトの存在と、上部コンパートメント10の内部容積の減少と、コンソールボックスの外部寸法の増加との間の、良好な妥協が得られる。
【0028】
コンソールボックスのその他の実施の形態を、例えば1または複数の以下の特徴:
コンパートメントまたは蓋の形状、
2つのコンパートメントの相対的な寸法、
2つのコンパートメントの間の蓋または間の開口の数、
2つのコンパートメントの間の開口の寸法、
蓋を開く装置(スライド式またはヒンジ式、あるいは蓋の除去)、等
を変更することによって、本発明の枠内において構想することが可能である。ヒンジ式の蓋を開いた位置に保持する手段(例えば磁石によって)を設けることもできる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の収納用の窪み(6)へのアクセスを可能にする上部開口(7)を有する自動車用のコンソールボックス(1)において、上記窪み(6)は、一方が他方の上に設けられ、概ね水平な隔壁(11)によって分離された、下部コンパートメント(9)と上部コンパートメント(10)との、少なくとも2つに分割され、上記隔壁(11)は、荷物を支持することが可能な閉鎖位置と、2つの上記コンパートメント(9、10)が連結される開放位置との間を可動な、少なくとも1つの開口蓋(13)によって閉鎖される、少なくとも1つの開口を有することを特徴とする、自動車用のコンソールボックス。
【請求項2】
上記隔壁(11)の開口は、上記下部コンパートメント(9)の概ね全上面上を伸びることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用のコンソールボックス。
【請求項3】
上記少なくとも1つの開口蓋(13)は、スライド式の蓋であることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車用のコンソールボックス。
【請求項4】
上記少なくとも1つの開口蓋(13)は、上記上部コンパートメント(10)の中へ開くように取り付けられたヒンジ式の蓋であることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車用のコンソールボックス。
【請求項5】
上記コンソールボックスの横方向の側壁(4)に設けられた横方向の開口(15)が、上記下部コンパートメント(9)へのアクセスを可能にすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動車用のコンソールボックス。
【請求項6】
上記下部コンパートメント(9)へ収容されることができ、上記横方向の開口(15)をとおして、上記下部コンパートメント(9)の中へ引き込み、及び、上記下部コンパートメント(9)から引き出し可能な、収納ボックス(14)を有することを特徴とする、請求項5に記載の自動車用のコンソールボックス。
【請求項7】
上記収納ボックス(14)は、上記コンソールボックスの縦方向に滑動させることができ、上記横方向の開口(15)は上記コンソールボックスの横方向の側壁(4)に設けられることを特徴とする、請求項6に記載の自動車用のコンソールボックス。
【請求項8】
少なくとも1つの縦方向の側壁(3)は、上記上部コンパートメント(10)の高さにおいて、上記コンソールボックスの縦方向の全長を延びる、空調ダクト(17)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の自動車用のコンソールボックス。
【請求項9】
1または複数の上記空調ダクト(17)は、開放位置における可動の上記開口蓋(13)よりも上に配置されることを特徴とする、請求項4に従属するときの、請求項8に記載の自動車用のコンソールボックス。
【請求項10】
1または複数の上記空調ダクト(17)は、上記縦方向の側壁(3)の中に形成され、上記コンソールボックスの横方向における上記空調ダクト(17)の寸法は、縦方向の側壁(3)によって形成される面の両側に分布されることを特徴とする、請求項8または9に記載の自動車用のコンソールボックス。

【公表番号】特表2007−514599(P2007−514599A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544513(P2006−544513)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050652
【国際公開番号】WO2005/061271
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)
【Fターム(参考)】