自動車用の燃料タンクの保護構造
【課題】燃料タンクとフロアパネルとの当接時の荷重の少ない自動車用の燃料タンクの保護構造を提供する。
【解決手段】自動車のフロアパネル1の下に取付けられる自動車用の燃料タンクの保護構造において、燃料タンクの上面のフロアパネル1に当接する部分に平面状のクッション座面12を形成する。クッション座面12に座面凹部13を形成する。座面凹部13に注入した接着剤20でクッション座面12を覆うクッション部材30をクッション座面12と接着して、クッション部材30がフロアパネル1と当接する自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【解決手段】自動車のフロアパネル1の下に取付けられる自動車用の燃料タンクの保護構造において、燃料タンクの上面のフロアパネル1に当接する部分に平面状のクッション座面12を形成する。クッション座面12に座面凹部13を形成する。座面凹部13に注入した接着剤20でクッション座面12を覆うクッション部材30をクッション座面12と接着して、クッション部材30がフロアパネル1と当接する自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロアパネルの下に取付けられる自動車用の燃料タンクの保護構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用の燃料タンクは、スペースの関係上、フロアパネルの下に取付けられることが多い。この場合は、フロアパネルと燃料タンクが直接接触すると、自動車の走行時に振動や撓みにより、フロアパネルと燃料タンクが摩耗したり、異音が発生したりする問題があった。また、フロアパネル塗装の剥がれや、衝突時の燃料タンクの傷付きを防止する必要もあった。
【0003】
そのため、図8に示すように、燃料タンク110を取付バンド3で車体2に取付け、燃料タンク110の上面とフロアパネル1との間にクッション部材130を取付けるものがある(例えば、特許文献1参照。)。このクッション部材130は、燃料タンク110の表面にブチルテープ等で直接接着するため、燃料タンク110の上面の形状によりフロアパネル1と接触する面が均一ではなく、接触面積を確保するため、大きなクッション部材130が必要であった。
【0004】
また、図9に示すように、合成樹脂製の燃料タンク210の上面に取付部材211を設け、取付部材211にゴム製の防振部材230を取付けて、フロアパネル1に取付けるものもある(例えば、特許文献2参照。)。この場合には、予め燃料タンク210の上面に取付部材211を溶着しておく必要があり、手間がかかっている。
【0005】
さらに、図10に示すように、燃料タンク310の上面にクッション座面312を形成し、クッション座面312に両面接着テープ320を貼り付けておき、クッション部材330を取付けるときに、両面接着テープ320の表面の離型紙を剥がして、クッション部材330を張り付けるものもある。この場合には、両面接着テープ320を予め貼着しておく必要があり、クッション部材330を取付けるときに離型紙を剥がす手間がかかるとともに、両面接着テープ320高価であり、コストアップとなっていた。
【0006】
また、図11に示すように、燃料タンク410の上面にクッション座面412を形成し、凹部の無いクッション座面412に接着剤420を塗布して、クッション部材430を接着するものがある。この場合には、クッション座面412の接着剤420の付いていないクッション座面412とクッション部材430との間に隙間ができ、クッション部材430がフロアパネル1に当接したときに、クッション部材430がフロアパネル1に当接する面積が少なくなり、フロアパネル1がクッション部材430から受ける単位面積当たりの荷重が大きくなってしまう問題がある。さらに、クッション座面412に全面的に均一に接着剤420を塗布するには、塗布工程管理の手間がかかる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−22137号公報
【特許文献2】特開2006−1380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、燃料タンクとフロアパネルとの当接時の単位面積当たりの荷重の少ない自動車用の燃料タンクの保護構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、自動車のフロアパネルの下に取付けられる自動車用の燃料タンクの保護構造において、
燃料タンクの上面のフロアパネルに当接する部分に平面状のクッション座面を形成し、クッション座面に座面凹部を形成し、座面凹部に注入した接着剤でクッション座面を覆うクッション部材がクッション座面と接着され、クッション部材がフロアパネルと当接する自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0010】
請求項1の本発明では、燃料タンクの上面のフロアパネルに当接する部分に平面状のクッション座面を形成したため、フロアパネルとクッション座面を平行に形成することができるとともに、フロアパネルと当接するクッション座面がフロアパネルと当接する面積を大きくすることができ、フロアパネルとの当接を安定させて、フロアパネルへの単位面積当たりの荷重を分散させることができる。
【0011】
クッション座面に座面凹部を形成し、座面凹部に注入した接着剤でクッション座面を覆うクッション部材がクッション座面と接着され、クッション部材がフロアパネルと当接する。このため、接着剤の塗布量をコントロールしやすく、座面凹部の体積よりも若干少ない量の接着剤を塗布すれば、接着力も大きく、接着剤が座面凹部からはみ出すことがなく、座面凹部以外のクッション座面とクッション部材が密着することができ、クッション部材が座面凹部以外のクッション座面に均一に保持されて、フロアパネルと均一に当接して、クッション部材からフロアパネルへの単位面積当たりの荷重を均一にすることができる。また、接着剤とクッション部材の接着力も充分である。
【0012】
請求項2の本発明は、クッション座面は、燃料タンクの上面に複数個形成された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0013】
請求項2の本発明では、クッション座面は、燃料タンクの上面に複数個形成されたため、燃料タンクの上面の複数の部分で、燃料タンクとフロアパネルの形状に合わせてクッション座面を設けることができるとともに、フロアパネルと当接して、燃料タンクからフロアパネルへの荷重を分散させることができる。
【0014】
請求項3の本発明は、クッション座面は、燃料タンクの上面から10〜20mmの高さで形成され、座面凹部は、クッション座面から1〜2mmの深さで形成された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0015】
請求項3の本発明では、クッション座面は、燃料タンクの上面から10〜20mmの高さで形成されたため、クッション座面が設けられていない燃料タンク上部壁とフロアパネルとの接触を防止することができる。10mm未満では、充分な接触防止効果を得ることがなく、20mmを超える場合には、フロアパネルと燃料タンクとの間の隙間が大きくなり、燃料タンクの取付スペースが大きくなってしまうこととなる。
【0016】
座面凹部は、クッション座面から1〜2mmの深さで形成されたため、接着剤を充分塗布することができ、充分な接着強度を得ることができる。特にホットメルト系の接着剤を使用する場合には、1mm未満では、塗布する接着剤の量が十分ではなく、接着力が低下する恐れがあり、2mm超える場合では、塗布する接着剤の量が多くなり、接着強度の増加が見込めないため無駄である。
【0017】
請求項4の本発明は、クッション部材は、クッション座面と略同じ大きさである自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0018】
請求項4の本発明では、クッション部材は、クッション座面と略同じ大きさであるため、クッション部材がクッション座面に確実に保持されて、フロアパネルと当接することができるとともに、クッション部材がクッション座面からはみ出ることがなく、燃料タンクを車体に取付けるときに、クッション部材が邪魔になることがない。
【0019】
請求項5の本発明は、クッション部材は、ソリッドゴムである自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0020】
請求項5の本発明では、クッション部材は、ソリッドゴムであるため、耐久性に優れて、燃料タンクからの振動を確実に吸収することができるとともに、フロアパネルと燃料タンクの上面を傷つけることがない。
【0021】
請求項6の本発明は、接着剤は、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤である自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0022】
請求項6の本発明では、接着剤は、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤であるため、座面凹部に塗布するときに、垂れ流れることがなく、塗布しやすく、塗布後に硬化させることも容易であり、接着剤の塗布作業が容易である。また、ポリオレフィン系又は合成ゴム系であるため、耐久性に優れている。
【0023】
請求項7の本発明は、座面凹部に突起を形成した自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0024】
請求項7の本発明では、座面凹部に突起を形成したため、座面凹部に塗布された接着剤との接触面積を大きくすることができ、接着剤と座面凹部との接着強度を向上させることができる。
【0025】
請求項8の本発明は、座面凹部に先端が根元よりも大な形状を有する突起を形成した自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0026】
請求項8の本発明では、座面凹部に先端が根元よりも大な形状を有する突起を形成したため、接着剤が座面凹部に形成された突起の先端に係止されて、座面凹部から接着剤が剥離することなく、座面凹部との接着強度を一層向上させることができる。
【0027】
請求項9の本発明は、座面凹部の内部に底部が入口よりも広がった構造を有する溝部が形成された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0028】
請求項9の本発明では、座面凹部の内部に底部が入口よりも広がった構造を有する溝部が形成されたため、底部が入口よりも広がった構造を有する溝部内に座面凹部に塗布された接着剤が入り込み、接着剤の硬化後には、接着剤が強く溝部に固定されて、座面凹部から接着剤が剥離することなく、座面凹部との接着強度を一層向上させることができる。
【0029】
請求項10の本発明は、燃料タンクは、合成樹脂又は鉄で形成された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0030】
請求項10の本発明では、燃料タンクは、合成樹脂又は鉄で形成されたため、合成樹脂で形成された場合には、燃料タンクを軽くすることができるとともに、ブロー成形や射出成型により燃料タンクの型成形をするときに、成形金型でクッション座面と座面凹部の形成が容易であり、鉄で形成された場合には、強度の大きな燃料タンクを形成することができるとともに、燃料タンクの形成をプレス成形するときに、同時にクッション座面と座面凹部の形成が容易である。
【発明の効果】
【0031】
燃料タンクの上面のフロアパネルに当接する部分に平面状のクッション座面を形成したため、フロアパネルと当接するクッション座面がフロアパネルと当接する面積を大きくすることができ、フロアパネルとの当接を安定させて、フロアパネルへの荷重を分散させることができる。
クッション座面に座面凹部を形成し、座面凹部に注入した接着剤でクッション座面を覆うクッション部材がクッション座面と接着され、クッション部材がフロアパネルと当接するため、接着剤が座面凹部からはみ出すことがなく、座面凹部以外のクッション座面とクッション部材が密着することができ、クッション部材が座面凹部以外のクッション座面に均一に保持されて、フロアパネルと均一に当接して、クッション部材からフロアパネルへの単位面積当たりの荷重を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態である燃料タンクの上面にクッション座面と座面凹部を設け、座面凹部に接着剤を入れクッション部材を接着し、フロアパネルに当接した部分の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態である燃料タンクにクッション座面と座面凹部を設けた部分の燃料タンクの断面図であり、図3におけるA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態である燃料タンクにクッション座面と座面凹部を設けた部分の燃料タンクの斜め上から見た斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態である燃料タンクの上面にクッション座面と座面凹部を設けた部分の燃料タンクの断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態である燃料タンクの上面にクッション座面と座面凹部を設けた部分の燃料タンクの断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態である燃料タンクの上面にクッション座面と座面凹部を設けた部分の燃料タンクの断面図である。
【図7】本発明の実施の形態である燃料タンクの斜め上から見た斜視図である。
【図8】従来の燃料タンクをフロアパネルに取付けた状態の断面図である。
【図9】従来の他の燃料タンクの斜め上から見た斜視図である。
【図10】従来の燃料タンクにクッション座面を設け、クッション座面にクッション部材を接着し、フロアパネルに当接した部分の断面図である。
【図11】従来の燃料タンクにクッション座面を設け、クッション座面に接着剤を塗布しクッション部材を接着し、フロアパネルに当接した部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態である自動車用の燃料タンク10の保護構造について、図1〜図7に基づき説明する。
図7に示すように、本発明の実施の形態に使用する燃料タンク10は、その燃料タンク上部壁11に、その燃料タンク10に燃料ポンプ(図示せず)等を出し入れするためにポンプユニット50が上面に取付けられて、燃料を燃料タンク10から送り出すホースが取付けられている。
【0034】
さらに、燃料タンク10には車体2に設けられた給油口(図示せず)から燃料を燃料タンク10内に注入するインレットパイプ(図示せず)と接続するフィラーホース40が取付けられている。また、燃料ポンプを駆動する電気コードや燃料タンク10内の蒸発燃料を調整する各種のパイプが取付けられている。
【0035】
燃料タンク10は、金属製や合成樹脂製のものがあるが、本件発明においては、いずれの燃料タンク10も使用することができる。本実施の形態においては、合成樹脂製の燃料タンク10を例にとり説明する。
金属製の燃料タンク10の場合には、鉄又はステンレススチール等を使用することができる。
【0036】
合成樹脂製の燃料タンク10の場合は、車体2の取り付け部分の空間に合わせた形状に形成され、高密度ポリエチレン(HDPE)の一層で形成されたものや、表皮層、バリヤ層と本体層の多層構造で形成されたものを使用することができる。多層構造の場合は、表皮層、本体層は、耐衝撃性が大きく、燃料油に対しても剛性が維持される熱可塑性合成樹脂から形成され、高密度ポリエチレン(HDPE)から形成されることが好ましい。バリヤ層を構成する熱可塑性合成樹脂は、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を使用することが好ましい。
【0037】
次に、自動車の車体2の下部に形成されたフロアパネル1について説明する。フロアパネル1は、自動車の車室内の下面を形成するパネルであり、鉄板で形成されている。フロアパネル1の下部で、図8に示すように、車体2に燃料タンク10が取付けられている。
【0038】
次に、図7に基づき、本発明に使用する燃料タンク10の上面について説明する。燃料タンク10の燃料タンク上部壁11には、平面状に形成されたクッション座面12が複数個形成されている。本実施の形態では、クッション座面12は、5つ形成されている。クッション座面12は、フロアパネル1と対向して後述するクッション部材30を介してフロアパネル1と当接するように平面状に形成されている。
【0039】
クッション座面12は、燃料タンク10の上面に複数個形成されることが好ましい。この場合には、燃料タンク10の上面の複数の部分で、燃料タンク10とフロアパネル1の形状に合わせてクッション座面12を設けることができ、安定して燃料タンク10をフロアパネル1に当接させるとともに、フロアパネル1と当接して、燃料タンク10からフロアパネル1への荷重を分散させることができる。
【0040】
クッション座面12の大きさは、例えば縦60mm、横60mm程度に形成することができるが、その大きさはクッション座面12を設ける部分により適宜変更することができる。クッション座面12は、燃料タンク上部壁11の面よりも10〜20mm程度外方に突出して設けることが好ましい。これによりクッション座面12が設けられていない燃料タンク上部壁11とフロアパネル1との接触を防止することができる。10mm未満では、充分な接触防止効果を得ることがなく、20mmを超える場合には、フロアパネル1と燃料タンク10との間の隙間が大きくなり、燃料タンク10の取付スペースが大きくなってしまうこととなる。
【0041】
第1の実施の形態では、図2と図3に示すように、クッション座面12の中央付近に座面凹部13が形成されている。座面凹部13は、クッション座面12の中央付近に円形に形成されているが、その形状は円形のみではなく、他の形状にすることもできる。また、その大きさも後述する接着剤20の接着効果を奏することができる範囲で、任意に設定することができる。
【0042】
座面凹部13の深さは、1〜2mm程度である。特にホットメルト系の接着剤20を使用する場合には、1mm以下では、塗布する接着剤20の量が十分ではなく、接着力が低下する恐れがあり、2mm以上では、塗布する接着剤20の量が多くなり、接着強度の増加が見込めないため無駄である。
【0043】
座面凹部13には接着剤20が塗布される。接着剤20の量は座面凹部13の体積より若干少ないことが好ましい。接着剤20の量が多いと、座面凹部13から接着剤20がはみ出して、クッション部材30が座面凹部13と密着しなくなり、接着剤20の量が少ないと、接着力が不足する。
【0044】
接着剤20は、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤20が好ましい。ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤20を使用する場合は、座面凹部13に塗布するときに、接着剤20が座面凹部13から垂れ流れることがなく、塗布しやすく、塗布後に硬化させることも容易であり、接着剤20の塗布作業が容易である。
【0045】
さらに、接着剤20が座面凹部13からはみ出すことがなく、座面凹部13以外のクッション座面12とクッション部材30が密着することができ、クッション部材30が座面凹部13以外のクッション座面12に均一に保持される。そして、後述するように、フロアパネル1と均一に当接して、クッション部材30からフロアパネル1への荷重を均一にすることができる。
【0046】
ここで、ホットメルトタイプの接着剤20とは、常温では固体で、加熱溶融することにより流動性を付与して接着対象物に塗布し、冷却固化によって接着する熱可塑性接着剤である。冷却固化のため、短時間で接合でき作業性を向上させることができる。ホットメルトタイプの接着剤20には、ポリエステル系、合成ゴム系、オレフィン系、反応型ウレタン系を使用することができるが、本実施の形態では、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤20を使用する。これは燃料タンク10の外壁が高密度ポリエチレン(HDPE)から形成されているため、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤20の接着力が大きく、好ましいためである。
【0047】
図1に示すように、座面凹部13にホットメルトタイプの接着剤20を注入した後に、クッション座面12を覆うように、クッション部材30をクッション座面12に乗せて、圧着して、ホットメルトタイプの接着剤20を固化して、クッション部材30をクッション座面12に接着する。
【0048】
このとき、クッション部材30は、クッション座面12と略同じ大きさであることが好ましい。この場合は、クッション部材30がクッション座面12に確実に保持されることができる。また、クッション部材30がクッション座面12からはみ出ることがなく、燃料タンク10を車体に取付けるときに、クッション部材30が車体等の部分に接触することがなく、邪魔になることがない。
【0049】
なお、座面凹部13の形状については、第2の実施の形態では、図4に示すように、座面凹部13の外面(燃料タンク10の外側の面)に複数本の凹部突起14を外側方向に突出するように形成する。凹部突起14の高さは、座面凹部13の深さよりも小さくする。複数の凹部突起14を形成すると、座面凹部13にホットメルトタイプの接着剤20を塗布したときに、座面凹部13に塗布された接着剤20と凹部突起14及び座面凹部13の接触面積を大きくすることができ、接着剤20と座面凹部13との接着強度を向上させることができる。
【0050】
なお、第3の実施の形態では、座面凹部13の形状については、図5に示すように、座面凹部13に先端が横方向に張り出し、根元よりも大な形状を有する凹部突起頭部15aを有する凹部突起15を形成する。この凹部突起頭部15aを有する凹部突起15を形成すると、ホットメルトタイプの接着剤20が座面凹部13に形成された凹部突起頭部15aに係止されて、座面凹部13との接着強度を一層向上させることができる。
【0051】
さらに、第4の実施の形態では、座面凹部13の形状については、図6に示すように、座面凹部13の内部に底部が入口よりも広がった構造を有する凹部溝部16を形成する。この底部が入口よりも広がった構造を有する凹部溝部16を形成すると、底部が入口よりも広がった構造を有する凹部溝部16内に座面凹部13に塗布された接着剤20が入り込み、接着剤20の硬化後には、接着剤20が強く凹部溝部16に固定されて、座面凹部13との接着強度を一層向上させることができる。
【0052】
座面凹部13にホットメルトタイプの接着剤20を注入した後に、クッション部材30を上から置くと、図1に示すように、クッション部材30で軟化したホットメルトタイプの接着剤20を圧縮して座面凹部13内に接着剤20が広がり、クッション部材30を接着することができる。このとき、座面凹部13内から接着剤20がはみ出すことがないため、クッション部材30は、クッション座面12に隙間なく密着することができる。
【0053】
座面凹部13以外のクッション座面12の面積は、座面凹部13の面積よりも大きいため、クッション部材30が座面凹部13以外のクッション座面12に均一に安定的に保持されて、フロアパネル1と均一に当接して、クッション部材30からフロアパネル1への単位面積当たりの荷重を均一にすることができる。
【0054】
燃料タンク10をフロアパネル1の下部に取付けたときに、クッション座面12とクッション部材30は平面状に形成されているため、平面状のフロアパネル1の裏面と当接するクッション部材30がフロアパネル1の裏面と平行に位置して、フロアパネル1との当接を安定させて、自動車の振動等で、燃料タンク10からフロアパネル1への単位面積当たりの荷重を分散させることができる。
【0055】
クッション部材30は、ソリッドゴムで形成することが好ましい。この場合には、柔軟性と弾性を有するため、燃料タンク10からの振動を確実に吸収することができるとともに、フロアパネル1と燃料タンク10の上面を傷つけることがない。ソリッドゴムは、EPDM等の耐久性のあるゴムを使用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 フロアパネル
10 燃料タンク
12 クッション座面
13 座面凹部
14、15 凹部突起
16 凹部溝部
20 接着剤
30 クッション部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロアパネルの下に取付けられる自動車用の燃料タンクの保護構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用の燃料タンクは、スペースの関係上、フロアパネルの下に取付けられることが多い。この場合は、フロアパネルと燃料タンクが直接接触すると、自動車の走行時に振動や撓みにより、フロアパネルと燃料タンクが摩耗したり、異音が発生したりする問題があった。また、フロアパネル塗装の剥がれや、衝突時の燃料タンクの傷付きを防止する必要もあった。
【0003】
そのため、図8に示すように、燃料タンク110を取付バンド3で車体2に取付け、燃料タンク110の上面とフロアパネル1との間にクッション部材130を取付けるものがある(例えば、特許文献1参照。)。このクッション部材130は、燃料タンク110の表面にブチルテープ等で直接接着するため、燃料タンク110の上面の形状によりフロアパネル1と接触する面が均一ではなく、接触面積を確保するため、大きなクッション部材130が必要であった。
【0004】
また、図9に示すように、合成樹脂製の燃料タンク210の上面に取付部材211を設け、取付部材211にゴム製の防振部材230を取付けて、フロアパネル1に取付けるものもある(例えば、特許文献2参照。)。この場合には、予め燃料タンク210の上面に取付部材211を溶着しておく必要があり、手間がかかっている。
【0005】
さらに、図10に示すように、燃料タンク310の上面にクッション座面312を形成し、クッション座面312に両面接着テープ320を貼り付けておき、クッション部材330を取付けるときに、両面接着テープ320の表面の離型紙を剥がして、クッション部材330を張り付けるものもある。この場合には、両面接着テープ320を予め貼着しておく必要があり、クッション部材330を取付けるときに離型紙を剥がす手間がかかるとともに、両面接着テープ320高価であり、コストアップとなっていた。
【0006】
また、図11に示すように、燃料タンク410の上面にクッション座面412を形成し、凹部の無いクッション座面412に接着剤420を塗布して、クッション部材430を接着するものがある。この場合には、クッション座面412の接着剤420の付いていないクッション座面412とクッション部材430との間に隙間ができ、クッション部材430がフロアパネル1に当接したときに、クッション部材430がフロアパネル1に当接する面積が少なくなり、フロアパネル1がクッション部材430から受ける単位面積当たりの荷重が大きくなってしまう問題がある。さらに、クッション座面412に全面的に均一に接着剤420を塗布するには、塗布工程管理の手間がかかる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−22137号公報
【特許文献2】特開2006−1380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、燃料タンクとフロアパネルとの当接時の単位面積当たりの荷重の少ない自動車用の燃料タンクの保護構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、自動車のフロアパネルの下に取付けられる自動車用の燃料タンクの保護構造において、
燃料タンクの上面のフロアパネルに当接する部分に平面状のクッション座面を形成し、クッション座面に座面凹部を形成し、座面凹部に注入した接着剤でクッション座面を覆うクッション部材がクッション座面と接着され、クッション部材がフロアパネルと当接する自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0010】
請求項1の本発明では、燃料タンクの上面のフロアパネルに当接する部分に平面状のクッション座面を形成したため、フロアパネルとクッション座面を平行に形成することができるとともに、フロアパネルと当接するクッション座面がフロアパネルと当接する面積を大きくすることができ、フロアパネルとの当接を安定させて、フロアパネルへの単位面積当たりの荷重を分散させることができる。
【0011】
クッション座面に座面凹部を形成し、座面凹部に注入した接着剤でクッション座面を覆うクッション部材がクッション座面と接着され、クッション部材がフロアパネルと当接する。このため、接着剤の塗布量をコントロールしやすく、座面凹部の体積よりも若干少ない量の接着剤を塗布すれば、接着力も大きく、接着剤が座面凹部からはみ出すことがなく、座面凹部以外のクッション座面とクッション部材が密着することができ、クッション部材が座面凹部以外のクッション座面に均一に保持されて、フロアパネルと均一に当接して、クッション部材からフロアパネルへの単位面積当たりの荷重を均一にすることができる。また、接着剤とクッション部材の接着力も充分である。
【0012】
請求項2の本発明は、クッション座面は、燃料タンクの上面に複数個形成された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0013】
請求項2の本発明では、クッション座面は、燃料タンクの上面に複数個形成されたため、燃料タンクの上面の複数の部分で、燃料タンクとフロアパネルの形状に合わせてクッション座面を設けることができるとともに、フロアパネルと当接して、燃料タンクからフロアパネルへの荷重を分散させることができる。
【0014】
請求項3の本発明は、クッション座面は、燃料タンクの上面から10〜20mmの高さで形成され、座面凹部は、クッション座面から1〜2mmの深さで形成された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0015】
請求項3の本発明では、クッション座面は、燃料タンクの上面から10〜20mmの高さで形成されたため、クッション座面が設けられていない燃料タンク上部壁とフロアパネルとの接触を防止することができる。10mm未満では、充分な接触防止効果を得ることがなく、20mmを超える場合には、フロアパネルと燃料タンクとの間の隙間が大きくなり、燃料タンクの取付スペースが大きくなってしまうこととなる。
【0016】
座面凹部は、クッション座面から1〜2mmの深さで形成されたため、接着剤を充分塗布することができ、充分な接着強度を得ることができる。特にホットメルト系の接着剤を使用する場合には、1mm未満では、塗布する接着剤の量が十分ではなく、接着力が低下する恐れがあり、2mm超える場合では、塗布する接着剤の量が多くなり、接着強度の増加が見込めないため無駄である。
【0017】
請求項4の本発明は、クッション部材は、クッション座面と略同じ大きさである自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0018】
請求項4の本発明では、クッション部材は、クッション座面と略同じ大きさであるため、クッション部材がクッション座面に確実に保持されて、フロアパネルと当接することができるとともに、クッション部材がクッション座面からはみ出ることがなく、燃料タンクを車体に取付けるときに、クッション部材が邪魔になることがない。
【0019】
請求項5の本発明は、クッション部材は、ソリッドゴムである自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0020】
請求項5の本発明では、クッション部材は、ソリッドゴムであるため、耐久性に優れて、燃料タンクからの振動を確実に吸収することができるとともに、フロアパネルと燃料タンクの上面を傷つけることがない。
【0021】
請求項6の本発明は、接着剤は、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤である自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0022】
請求項6の本発明では、接着剤は、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤であるため、座面凹部に塗布するときに、垂れ流れることがなく、塗布しやすく、塗布後に硬化させることも容易であり、接着剤の塗布作業が容易である。また、ポリオレフィン系又は合成ゴム系であるため、耐久性に優れている。
【0023】
請求項7の本発明は、座面凹部に突起を形成した自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0024】
請求項7の本発明では、座面凹部に突起を形成したため、座面凹部に塗布された接着剤との接触面積を大きくすることができ、接着剤と座面凹部との接着強度を向上させることができる。
【0025】
請求項8の本発明は、座面凹部に先端が根元よりも大な形状を有する突起を形成した自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0026】
請求項8の本発明では、座面凹部に先端が根元よりも大な形状を有する突起を形成したため、接着剤が座面凹部に形成された突起の先端に係止されて、座面凹部から接着剤が剥離することなく、座面凹部との接着強度を一層向上させることができる。
【0027】
請求項9の本発明は、座面凹部の内部に底部が入口よりも広がった構造を有する溝部が形成された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0028】
請求項9の本発明では、座面凹部の内部に底部が入口よりも広がった構造を有する溝部が形成されたため、底部が入口よりも広がった構造を有する溝部内に座面凹部に塗布された接着剤が入り込み、接着剤の硬化後には、接着剤が強く溝部に固定されて、座面凹部から接着剤が剥離することなく、座面凹部との接着強度を一層向上させることができる。
【0029】
請求項10の本発明は、燃料タンクは、合成樹脂又は鉄で形成された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【0030】
請求項10の本発明では、燃料タンクは、合成樹脂又は鉄で形成されたため、合成樹脂で形成された場合には、燃料タンクを軽くすることができるとともに、ブロー成形や射出成型により燃料タンクの型成形をするときに、成形金型でクッション座面と座面凹部の形成が容易であり、鉄で形成された場合には、強度の大きな燃料タンクを形成することができるとともに、燃料タンクの形成をプレス成形するときに、同時にクッション座面と座面凹部の形成が容易である。
【発明の効果】
【0031】
燃料タンクの上面のフロアパネルに当接する部分に平面状のクッション座面を形成したため、フロアパネルと当接するクッション座面がフロアパネルと当接する面積を大きくすることができ、フロアパネルとの当接を安定させて、フロアパネルへの荷重を分散させることができる。
クッション座面に座面凹部を形成し、座面凹部に注入した接着剤でクッション座面を覆うクッション部材がクッション座面と接着され、クッション部材がフロアパネルと当接するため、接着剤が座面凹部からはみ出すことがなく、座面凹部以外のクッション座面とクッション部材が密着することができ、クッション部材が座面凹部以外のクッション座面に均一に保持されて、フロアパネルと均一に当接して、クッション部材からフロアパネルへの単位面積当たりの荷重を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態である燃料タンクの上面にクッション座面と座面凹部を設け、座面凹部に接着剤を入れクッション部材を接着し、フロアパネルに当接した部分の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態である燃料タンクにクッション座面と座面凹部を設けた部分の燃料タンクの断面図であり、図3におけるA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態である燃料タンクにクッション座面と座面凹部を設けた部分の燃料タンクの斜め上から見た斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態である燃料タンクの上面にクッション座面と座面凹部を設けた部分の燃料タンクの断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態である燃料タンクの上面にクッション座面と座面凹部を設けた部分の燃料タンクの断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態である燃料タンクの上面にクッション座面と座面凹部を設けた部分の燃料タンクの断面図である。
【図7】本発明の実施の形態である燃料タンクの斜め上から見た斜視図である。
【図8】従来の燃料タンクをフロアパネルに取付けた状態の断面図である。
【図9】従来の他の燃料タンクの斜め上から見た斜視図である。
【図10】従来の燃料タンクにクッション座面を設け、クッション座面にクッション部材を接着し、フロアパネルに当接した部分の断面図である。
【図11】従来の燃料タンクにクッション座面を設け、クッション座面に接着剤を塗布しクッション部材を接着し、フロアパネルに当接した部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態である自動車用の燃料タンク10の保護構造について、図1〜図7に基づき説明する。
図7に示すように、本発明の実施の形態に使用する燃料タンク10は、その燃料タンク上部壁11に、その燃料タンク10に燃料ポンプ(図示せず)等を出し入れするためにポンプユニット50が上面に取付けられて、燃料を燃料タンク10から送り出すホースが取付けられている。
【0034】
さらに、燃料タンク10には車体2に設けられた給油口(図示せず)から燃料を燃料タンク10内に注入するインレットパイプ(図示せず)と接続するフィラーホース40が取付けられている。また、燃料ポンプを駆動する電気コードや燃料タンク10内の蒸発燃料を調整する各種のパイプが取付けられている。
【0035】
燃料タンク10は、金属製や合成樹脂製のものがあるが、本件発明においては、いずれの燃料タンク10も使用することができる。本実施の形態においては、合成樹脂製の燃料タンク10を例にとり説明する。
金属製の燃料タンク10の場合には、鉄又はステンレススチール等を使用することができる。
【0036】
合成樹脂製の燃料タンク10の場合は、車体2の取り付け部分の空間に合わせた形状に形成され、高密度ポリエチレン(HDPE)の一層で形成されたものや、表皮層、バリヤ層と本体層の多層構造で形成されたものを使用することができる。多層構造の場合は、表皮層、本体層は、耐衝撃性が大きく、燃料油に対しても剛性が維持される熱可塑性合成樹脂から形成され、高密度ポリエチレン(HDPE)から形成されることが好ましい。バリヤ層を構成する熱可塑性合成樹脂は、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を使用することが好ましい。
【0037】
次に、自動車の車体2の下部に形成されたフロアパネル1について説明する。フロアパネル1は、自動車の車室内の下面を形成するパネルであり、鉄板で形成されている。フロアパネル1の下部で、図8に示すように、車体2に燃料タンク10が取付けられている。
【0038】
次に、図7に基づき、本発明に使用する燃料タンク10の上面について説明する。燃料タンク10の燃料タンク上部壁11には、平面状に形成されたクッション座面12が複数個形成されている。本実施の形態では、クッション座面12は、5つ形成されている。クッション座面12は、フロアパネル1と対向して後述するクッション部材30を介してフロアパネル1と当接するように平面状に形成されている。
【0039】
クッション座面12は、燃料タンク10の上面に複数個形成されることが好ましい。この場合には、燃料タンク10の上面の複数の部分で、燃料タンク10とフロアパネル1の形状に合わせてクッション座面12を設けることができ、安定して燃料タンク10をフロアパネル1に当接させるとともに、フロアパネル1と当接して、燃料タンク10からフロアパネル1への荷重を分散させることができる。
【0040】
クッション座面12の大きさは、例えば縦60mm、横60mm程度に形成することができるが、その大きさはクッション座面12を設ける部分により適宜変更することができる。クッション座面12は、燃料タンク上部壁11の面よりも10〜20mm程度外方に突出して設けることが好ましい。これによりクッション座面12が設けられていない燃料タンク上部壁11とフロアパネル1との接触を防止することができる。10mm未満では、充分な接触防止効果を得ることがなく、20mmを超える場合には、フロアパネル1と燃料タンク10との間の隙間が大きくなり、燃料タンク10の取付スペースが大きくなってしまうこととなる。
【0041】
第1の実施の形態では、図2と図3に示すように、クッション座面12の中央付近に座面凹部13が形成されている。座面凹部13は、クッション座面12の中央付近に円形に形成されているが、その形状は円形のみではなく、他の形状にすることもできる。また、その大きさも後述する接着剤20の接着効果を奏することができる範囲で、任意に設定することができる。
【0042】
座面凹部13の深さは、1〜2mm程度である。特にホットメルト系の接着剤20を使用する場合には、1mm以下では、塗布する接着剤20の量が十分ではなく、接着力が低下する恐れがあり、2mm以上では、塗布する接着剤20の量が多くなり、接着強度の増加が見込めないため無駄である。
【0043】
座面凹部13には接着剤20が塗布される。接着剤20の量は座面凹部13の体積より若干少ないことが好ましい。接着剤20の量が多いと、座面凹部13から接着剤20がはみ出して、クッション部材30が座面凹部13と密着しなくなり、接着剤20の量が少ないと、接着力が不足する。
【0044】
接着剤20は、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤20が好ましい。ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤20を使用する場合は、座面凹部13に塗布するときに、接着剤20が座面凹部13から垂れ流れることがなく、塗布しやすく、塗布後に硬化させることも容易であり、接着剤20の塗布作業が容易である。
【0045】
さらに、接着剤20が座面凹部13からはみ出すことがなく、座面凹部13以外のクッション座面12とクッション部材30が密着することができ、クッション部材30が座面凹部13以外のクッション座面12に均一に保持される。そして、後述するように、フロアパネル1と均一に当接して、クッション部材30からフロアパネル1への荷重を均一にすることができる。
【0046】
ここで、ホットメルトタイプの接着剤20とは、常温では固体で、加熱溶融することにより流動性を付与して接着対象物に塗布し、冷却固化によって接着する熱可塑性接着剤である。冷却固化のため、短時間で接合でき作業性を向上させることができる。ホットメルトタイプの接着剤20には、ポリエステル系、合成ゴム系、オレフィン系、反応型ウレタン系を使用することができるが、本実施の形態では、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤20を使用する。これは燃料タンク10の外壁が高密度ポリエチレン(HDPE)から形成されているため、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤20の接着力が大きく、好ましいためである。
【0047】
図1に示すように、座面凹部13にホットメルトタイプの接着剤20を注入した後に、クッション座面12を覆うように、クッション部材30をクッション座面12に乗せて、圧着して、ホットメルトタイプの接着剤20を固化して、クッション部材30をクッション座面12に接着する。
【0048】
このとき、クッション部材30は、クッション座面12と略同じ大きさであることが好ましい。この場合は、クッション部材30がクッション座面12に確実に保持されることができる。また、クッション部材30がクッション座面12からはみ出ることがなく、燃料タンク10を車体に取付けるときに、クッション部材30が車体等の部分に接触することがなく、邪魔になることがない。
【0049】
なお、座面凹部13の形状については、第2の実施の形態では、図4に示すように、座面凹部13の外面(燃料タンク10の外側の面)に複数本の凹部突起14を外側方向に突出するように形成する。凹部突起14の高さは、座面凹部13の深さよりも小さくする。複数の凹部突起14を形成すると、座面凹部13にホットメルトタイプの接着剤20を塗布したときに、座面凹部13に塗布された接着剤20と凹部突起14及び座面凹部13の接触面積を大きくすることができ、接着剤20と座面凹部13との接着強度を向上させることができる。
【0050】
なお、第3の実施の形態では、座面凹部13の形状については、図5に示すように、座面凹部13に先端が横方向に張り出し、根元よりも大な形状を有する凹部突起頭部15aを有する凹部突起15を形成する。この凹部突起頭部15aを有する凹部突起15を形成すると、ホットメルトタイプの接着剤20が座面凹部13に形成された凹部突起頭部15aに係止されて、座面凹部13との接着強度を一層向上させることができる。
【0051】
さらに、第4の実施の形態では、座面凹部13の形状については、図6に示すように、座面凹部13の内部に底部が入口よりも広がった構造を有する凹部溝部16を形成する。この底部が入口よりも広がった構造を有する凹部溝部16を形成すると、底部が入口よりも広がった構造を有する凹部溝部16内に座面凹部13に塗布された接着剤20が入り込み、接着剤20の硬化後には、接着剤20が強く凹部溝部16に固定されて、座面凹部13との接着強度を一層向上させることができる。
【0052】
座面凹部13にホットメルトタイプの接着剤20を注入した後に、クッション部材30を上から置くと、図1に示すように、クッション部材30で軟化したホットメルトタイプの接着剤20を圧縮して座面凹部13内に接着剤20が広がり、クッション部材30を接着することができる。このとき、座面凹部13内から接着剤20がはみ出すことがないため、クッション部材30は、クッション座面12に隙間なく密着することができる。
【0053】
座面凹部13以外のクッション座面12の面積は、座面凹部13の面積よりも大きいため、クッション部材30が座面凹部13以外のクッション座面12に均一に安定的に保持されて、フロアパネル1と均一に当接して、クッション部材30からフロアパネル1への単位面積当たりの荷重を均一にすることができる。
【0054】
燃料タンク10をフロアパネル1の下部に取付けたときに、クッション座面12とクッション部材30は平面状に形成されているため、平面状のフロアパネル1の裏面と当接するクッション部材30がフロアパネル1の裏面と平行に位置して、フロアパネル1との当接を安定させて、自動車の振動等で、燃料タンク10からフロアパネル1への単位面積当たりの荷重を分散させることができる。
【0055】
クッション部材30は、ソリッドゴムで形成することが好ましい。この場合には、柔軟性と弾性を有するため、燃料タンク10からの振動を確実に吸収することができるとともに、フロアパネル1と燃料タンク10の上面を傷つけることがない。ソリッドゴムは、EPDM等の耐久性のあるゴムを使用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 フロアパネル
10 燃料タンク
12 クッション座面
13 座面凹部
14、15 凹部突起
16 凹部溝部
20 接着剤
30 クッション部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のフロアパネルの下に取付けられる自動車用の燃料タンクの保護構造において、
上記燃料タンクの上面のフロアパネルに当接する部分に平面状のクッション座面を形成し、該クッション座面に座面凹部を形成し、該座面凹部に注入した接着剤で上記クッション座面を覆うクッション部材が上記クッション座面と接着され、上記クッション部材が上記フロアパネルと当接することを特徴とする自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項2】
上記クッション座面は、上記燃料タンクの上面に複数個形成された請求項1に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項3】
上記クッション座面は、上記燃料タンクの上面から10〜20mmの高さで形成され、上記座面凹部は、上記クッション座面から1〜2mmの深さで形成された請求項1又は請求項2に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【請求項4】
上記クッション部材は、上記クッション座面と略同じ大きさである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項5】
上記クッション部材は、ソリッドゴムである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項6】
上記接着剤は、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項7】
上記座面凹部に突起を形成した請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項8】
上記座面凹部に先端が根元よりも大な形状を有する突起を形成した請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項9】
上記座面凹部の内部に底部が入口よりも広がった構造を有する溝部が形成された請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項10】
上記燃料タンクは、合成樹脂又は鉄で形成された請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項1】
自動車のフロアパネルの下に取付けられる自動車用の燃料タンクの保護構造において、
上記燃料タンクの上面のフロアパネルに当接する部分に平面状のクッション座面を形成し、該クッション座面に座面凹部を形成し、該座面凹部に注入した接着剤で上記クッション座面を覆うクッション部材が上記クッション座面と接着され、上記クッション部材が上記フロアパネルと当接することを特徴とする自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項2】
上記クッション座面は、上記燃料タンクの上面に複数個形成された請求項1に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項3】
上記クッション座面は、上記燃料タンクの上面から10〜20mmの高さで形成され、上記座面凹部は、上記クッション座面から1〜2mmの深さで形成された請求項1又は請求項2に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造である。
【請求項4】
上記クッション部材は、上記クッション座面と略同じ大きさである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項5】
上記クッション部材は、ソリッドゴムである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項6】
上記接着剤は、ポリオレフィン系又は合成ゴム系のホットメルトタイプの接着剤である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項7】
上記座面凹部に突起を形成した請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項8】
上記座面凹部に先端が根元よりも大な形状を有する突起を形成した請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項9】
上記座面凹部の内部に底部が入口よりも広がった構造を有する溝部が形成された請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【請求項10】
上記燃料タンクは、合成樹脂又は鉄で形成された請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載された自動車用の燃料タンクの保護構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−71538(P2013−71538A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210980(P2011−210980)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(308039414)株式会社FTS (60)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(308039414)株式会社FTS (60)
【Fターム(参考)】
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