説明

自動車用フロアマットクリップ

【課題】フロアやフロアマットの清掃時には、係止孔がマット係止突起から抜けやすいようにして、フロアマットを容易に外せるようにする。
【解決手段】フロアマットクリップのマット係止突起13は、筒部17と、筒部17に対して上から押し込み可能である押込部18とからなる。筒部17には内外方向に撓みうる可撓部19が形成され、可撓部19には外側へ突出する係止爪20が形成されている。押込部18は、太軸部24と細軸部25とを備え、押込部18が引き上げられると、可撓部19の内側に細軸部25が位置して可撓部19は内側へ撓みうるようになり、押込部18が押し込まれると、可撓部19の内側に太軸部26が位置して可撓部19は内側へ撓むことができないようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のフロアマットをカーペットへ係止するためのフロアマットクリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフロアマットクリップは、フロアマットとカーペットとの間へ介在されるプレートと、上端部分が座席側へ折り曲げられた形状に、プレートの上面から膨出されて、フロアマットの係止孔の周縁へ係合するマット係止突起と、プレートの下面から膨出されて、カーペットに形成された係止孔の周縁へ係合するカーペット係止突起とからなり、合成樹脂で一体成形されていた(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
マット係止突起はプレートの上面から垂直に突設された円柱状の首部と、当該首部の上端から座席側へ傾斜した爪状の頭部からなる。頭部を座席側へ傾斜させることにより、マット係止突起は、その上端部分が座席側へ折り曲げられた形状となる。フロアマットには、乗客の足で図の矢印方向へ荷重が掛けられるので、当該マット係止突起は係止孔の周縁へフック止め的に係合することとなる。そして、頭部の傾斜方向が座席方向以外であると、既述の荷重方向の関係から、フロアマットが係止突起より外れ易くなるので好ましくないとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−24278号公報
【特許文献2】意匠登録第801906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり、従来のフロアマットクリップは、上記形状のマット係止突起がフロアマットの係止孔の周縁へフック止め的に係合していたので、フロアマット使用時に係止孔がマット係止突起から抜けてフロアマットが外れるようなことはなかった。
【0006】
しかしその反面、フロアやフロアマットの清掃等のために、係止孔をマット係止突起から抜いてフロアマットを外そうとすると、外しにくいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(A) 本発明のフロアマットクリップは、フロアマットとカーペットとの間へ介在されるプレートと、プレートの上面から膨出されて、フロアマットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するマット係止突起と、プレートの下面から膨出されて、カーペットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するカーペット係止突起とを備えるフロアマットクリップにおいて、次の[1]〜[8]の各手段を採ったものである。
[1] マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された筒部(17)と、この筒部(17)に対して上から押し込み可能である押込部(18)とからなり、
筒部(17)には内外方向に撓みうる可撓部(19)が形成され、可撓部(19)には外側へ突出する係止爪(20)が形成され、
押込部(18)は、太軸部(24)と該太軸部(24)より細い細軸部(25)とを備え、押込部(18)が引き上げられると、可撓部(19)の内側に細軸部(25)が位置して可撓部(19)は内側へ撓みうるようになり、押込部(18)が押し込まれると、可撓部(19)の内側に太軸部(24)が位置して可撓部(19)は内側へ撓むことができないようになることを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
[2] マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された筒部(30)と、この筒部(30)に対して上から押し込み可能である押込部(31)とからなり、
筒部(30)には内外方向に撓みうる可撓部(32)が形成され、可撓部(32)には外側へ突出する係止爪(33)と内側へ突出する内側突起(34)が形成され、
押込部(31)は、太軸部(37)と該太軸部(37)より細い細軸部(38)とを備え、押込部(31)が引き上げられると、内側突起(34)の内側に細軸部(38)が位置して可撓部(32)が内側へ窄んでおり、押込部(31)が押し込まれると、内側突起(34)の内側に太軸部(37)が位置して可撓部(19)が外側へ撓むことを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
[3] マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された軸部(40)と、軸部(40)の上部に装着されるスライドガイド(41)と、スライドガイド(41)に案内されてスライドして軸部(40)に止められるスライダ(42)とからなり、
スライドガイド(41)は、ガイド本体(43)と該ガイド本体(43)から下方へ延びて外側にフロアマット(6)の係止孔(7)を挿入する円筒部(44)とからなり、
スライダ(42)は、軸部(40)の上端付近に形成された凹部(47)にスライド可能に嵌合する嵌合部(48)が形成されたことを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
[4] マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された軸部(50)と、軸部(50)の上部に装着される水平回転キャップ(51)とからなり、
水平回転キャップ(51)は、頭部(52)と該頭部(52)から下方へ延びて外側にフロアマット(6)の係止孔(7)を挿入する円筒部(53)とを備え、
頭部(52)の中心部には軸部(50)の上端に形成された長方形部(54)を通過させるとともに、該長方形部(54)の直下に形成された凹部(55)に嵌合する長孔(56)が形成されたことを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
[5] マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された円筒部(60)と、円筒部(60)に座席側に偏心して上方から挿入される偏心昇降体(61)とからなり、
円筒部(60)には、回り止め構造の挿入孔(62)が形成され、筒壁には係止孔(63)が形成され、
偏心昇降体(61)は、頭部(64)と該頭部(64)から下方へ延びて前記挿入孔(62)に挿入される挿入部(65)と、頭部(64)から下方へ延びて円筒部(53)の座席側の外部にはみ出すはみ出し部(66)とからなり、頭部(64)のうちのはみ出し部(66)よりも座席側に突出した部位と、はみ出し部(66)の下端から座席側に突出させた凸部(67)との間に、フロアマット(6)の係止孔(7)が係合し得るようになっていることを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
[6] フロアマット(6)の係止孔(7)が四角形孔とされ、
マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された四角軸部(70)と、四角軸部(70)の上部に四角軸部(70)からはみ出さない状態と四角軸部(70)から座席側にはみ出した状態との間でスライド可能に装着されたスライド頭部(71)とからなることを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
[7] フロアマット(6)の係止孔(7)が長方形孔とされ、
マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された前後方向に長い長方形軸部(80)と、長方形軸部(80)の上部に水平回転可能に装着された長方形頭部(81)とからなり、
長方形軸部(80)の上面には、長手方向が交差したときの長方形軸部(80)の短辺間を落とし込んで係合させ、節度間を出す係合凹部(85)が形成されていることを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
[8] フロアマット(6)の係止孔(7)が長円形孔とされ、
マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された軸部(90)と、軸部(90)の上部に形成された、長円形状をなしその長手方向が前後方向に対して30〜60度傾いた長円形頭部(91)とからなることを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
【0008】
(B) また、本発明のフロアマットクリップのマット係止突起は、上記(1)〜(8)のマット係止突起である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フロアマット使用時には、係止孔がマット係止突起から抜けないようにしてフロアマットが外れることを防止し、また、フロアやフロアマットの清掃時には、係止孔がマット係止突起から抜けやすいようにしてフロアマットを容易に外すことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の斜視図である。
【図2】実施例1の、(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)左側面図、(e)右側面図である。背面図は正面図と対称に表れる。
【図3】実施例1の使用状態を示す断面図である。
【図4】実施例2の斜視図である。
【図5】実施例2の(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)左側面図、(e)右側面図である。背面図は正面図と対称に表れる。
【図6】実施例2の使用状態を示す断面図である。
【図7】実施例3の斜視図である。
【図8】実施例3の(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)左側面図、(e)右側面図である。背面図は正面図と対称に表れる。
【図9】実施例3の使用状態を示す断面図である。
【図10】実施例4の斜視図である。
【図11】実施例4の(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)左側面図、(e)右側面図である。背面図は正面図と対称に表れる。
【図12】実施例4の使用状態を示す断面図である。
【図13】実施例5の斜視図である。
【図14】実施例5の(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)左側面図、(e)右側面図である。背面図は正面図と対称に表れる。
【図15】実施例5の使用状態を示す断面図である。
【図16】実施例6の斜視図である。
【図17】実施例6の(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)左側面図、(e)右側面図である。背面図は正面図と対称に表れる。
【図18】実施例6の使用状態を示す断面図である。
【図19】実施例7の斜視図である。
【図20】実施例7の(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)左側面図、(e)右側面図である。背面図は正面図と対称に表れる。
【図21】実施例7の使用状態を示す断面図である。
【図22】実施例8の斜視図である。
【図23】実施例8の(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)左側面図、(e)右側面図である。背面図は正面図と対称に表れる。
【図24】実施例8の使用状態を示す断面図である。
【図25】実施例8の使用状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
フロアマットとカーペットとの間へ介在されるプレートと、プレートの上面から膨出されて、フロアマットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するマット係止突起と、プレートの下面から膨出されて、カーペットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するカーペット係止突起とを備えるフロアマットクリップにおいて、マット係止突起を、実施例1〜8のように構成した。
【0012】
実施例1〜8のフロアマットクリップを説明する前に、自動車のフロアとフロアマットについて説明しておく。各実施例の断面図(図3等)において、左側が前方向(運転席であればペダルがある側)、右側が後方向(座席側)示している。自動車用のフロアパネル1の上にはカーペット2が前後左右に動かないように敷かれている。カーペット2には係止孔3が形成され、図示例の係止孔3における周縁4は、ハトメ状(フランジ付金属筒)の補強部材5で補強されている。カーペット2の上に載せられるフロアマット6には係止孔7が形成され、図示例の係止孔7における周縁8は、ハトメ状(フランジ付金属筒)の補強部材9で補強されている。実施例1〜5の補強部材9は平面視円形の係止孔を有し、実施例6〜8の補強部材9は平面視四角形ないし長円形の係止孔を有する。なお、周縁4,8の補強部材の材質及び固定の態様は特に限定されない。例えば、樹脂製の筒状部材を補強部材とし、これをカーペットやフロアマットへ接着することでもよいし、カーペットやフロアマットへ樹脂を含浸させて補強部材とすることでもよい。
【0013】
いずれの実施例1〜8のフロアマットクリップも、フロアマット6とカーペット2との間へ介在されるプレート11と、プレート11の下面から膨出されて、カーペット2の係止孔3を貫通して該係止孔3の周縁4へ係合するカーペット係止突起12と、プレート11の上面から膨出されて、フロアマット6の係止孔7を貫通して該係止孔7の周縁8へ係合するマット係止突起13とを備えている。プレート11において、カーペット係止突起とマット係止突起13とは前後方向に離間している。
【0014】
いずれの実施例1〜8のフロアマットクリップも、プレート11は樹脂で左右幅よりも前後に長く形成されている。また、カーペット係止突起12は、間隙14をおいて対向する2つの半割円筒状の可撓部15と、可撓部15の下端部からの膨径状に突出した係止部16とからなり、これら15,16は樹脂でプレート11と一体形成されている。そして、間隙14を狭めるように2つの半割円筒状の可撓部15を撓ませて、係止部16をカーペット2の係止孔3に挿入し、該撓みが戻ると、係止部16が係止孔3の周縁4に係止するようになっている。
【0015】
いずれの実施例1〜8のフロアマットクリップも、マット係止突起13は、フロアマット6の係止孔7が抜けない状態と、フロアマット6の係止孔7が抜けやすい状態とに変化させられるように構成されているが、その態様が異なる。そこで、以下の実施例1〜8の説明では、主としてマット係止突起13の態様について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1〜図3に示すように、実施例1のフロアマットクリップにおけるマット係止突起13は、プレート11の上面から垂直に突設された筒部17と、この筒部17に対して上から押し込み可能である押込部18とからなる。筒部17は樹脂でプレート11と一体形成されている。押込部18は樹脂でプレート11とは別体に形成されている。
【0017】
筒部17の180度対向する2箇所には、∩字状に切り込まれてなり下端を中心に弾性的に内外方向に撓みうる2つの可撓部19が形成され、各可撓部19の上部には筒部17の外周面より外側へ突出する係止爪20が形成されている。各係止爪20の先端を結ぶ径はフロアマット6の係止孔7(本例では補強部材9の孔)より大きい。筒部17の内側の下部には筒部の内径より小さい孔22を備えた隔壁21が形成されている。押込部18は、上から順に、筒部17の内径より大きいフランジを備えた頭部23と、筒部17の内周に摺接する太軸部24と、孔22の内周に摺接する細軸部25とからなる。細軸部25の下部には、下端からスリットで縦割りされて弾性的に撓みうる2つの可撓部26が形成され、各可撓部26の下部と途中部とには細軸部25の外周面より外側へ突出する第1係止爪27と第2係止爪28が形成されている。各係止爪27、28の先端を結ぶ径は孔22より大きい。
【0018】
図3(a1)(a2)に示すように、押込部18を引き上げた状態にすると、可撓部19の内側に細軸部25が位置して両者19,25間に隙間が生じるため、可撓部19は内側へ撓みうる。このため、フロアマット6の係止孔7を、マット係止突起13にあてがい、可撓部19を内側へ撓ませて係止爪20を乗り越えさせることにより、フロアマット6を係止爪20より下方まで挿入することができる。また、この状態で、フロアマット6を引き上げれば、同様に係止爪20を乗り越えさせることができるので、フロアマット6をマット係止突起13から容易に外すことができる。なお、押込部18を引き上げるとき、係止爪27が隔壁21の下面に係止するため、押込部18が抜け外れることはなくその紛失を防ぐことができる。
【0019】
図3(b1)(b2)に示すように、押込部18を押し込んだ状態にすると、可撓部19の内側に太軸部24が位置して両者19,24間にほとんど隙間が生じないため、可撓部19は内側へ撓むことができない。このため、フロアマット6の係止孔7の周縁8に係止爪20が外れることなく係止し、フロアマット6は抜けない状態となる。
【実施例2】
【0020】
図4〜図6に示すように、実施例2のフロアマットクリップにおけるマット係止突起13は、プレート11の上面から垂直に突設された筒部30と、この筒部30に対して上から押し込み可能である押込部31とからなる。筒部30は樹脂でプレート11と一体形成されている。押込部31は樹脂でプレート11とは別体に形成されている。
【0021】
筒部30の90度毎の4箇所には、上端からスリットで縦割りされて内外方向に弾性的に撓みうる4つの可撓部32が形成され、各可撓部32の上部には外側へ突出する係止爪33が形成されている。各係止爪33の先端を結ぶ径は、フロアマット6の係止孔7(本例では補強部材9の孔)より僅かに小さい。各可撓部32の上部には内側へ突出する内側突起34が形成されている。各内側突起34の先端間には可撓部32の外側への撓みにより拡径可能な拡縮孔35が形成される。押込部31は、上から順に、拡径したときの拡縮孔35の内径より大きいフランジを備えた頭部36と、拡径したときの拡縮孔35に入り込んで当接する太軸部37と、拡径していない拡縮孔35に摺接する細軸部38とからなる。細軸部38の下部には、可撓部32の突起34に下側から係止しうる係止爪39が形成されている。
【0022】
図6(a)に示すように、押込部31を引き上げた状態にすると、内側突起34の内側に細軸部38が位置して、可撓部32が内側へ窄んでいる。このため、フロアマット6の係止孔7を、係止爪33に干渉することなく、マット係止突起13に挿入することができる。また、この状態で、フロアマット6を引き上げれば、同様に係止爪33に干渉することなく、フロアマット6をマット係止突起13から容易に外すことができる。なお、押込部31を引き上げるとき、係止爪39が内側突起34の下面に係止するため、押込部31が抜け外れることはなくその紛失を防ぐことができる。
【0023】
図6(b)に示すように、押込部31を押し込んだ状態にすると、内側突起34の内側に太軸部37が位置して、可撓部19のが外側へ撓む。このため、各係止爪33の先端を結ぶ径が、フロアマット6の係止孔7(本例では補強部材9の孔)より大きくなり、フロアマット6の係止孔7の周縁8に外れることなく係止し、フロアマット6は抜けない状態となる。
【実施例3】
【0024】
図7〜図9に示すように、実施例3のフロアマットクリップにおけるマット係止突起13は、プレート11の上面から垂直に突設された軸部40と、軸部40の上部に装着されるスライドガイド41と、スライドガイド41に案内されてスライドして軸部40に止められるスライダ42とからなる。軸部40は樹脂でプレート11と一体形成されている。スライドガイド41とスライダ42は、それぞれ樹脂でプレート11とは別体に形成されている。
【0025】
スライドガイド41は、平面長円形で上面が開口した箱状のガイド本体43と、ガイド本体43から下方へ延びる円筒部44とからなる。ガイド本体43の内側部にはガイド溝45が形成されている。円筒部44は、その外側にフロアマット6の補強部材9を挿入した状態で、その内側を軸部40に挿入するものである。スライダ42は、箱状のガイド本体43に入り込んで前記長円形の長手方向にスライドしうる形状に形成され、その外側部には前記ガイド溝45に摺動可能に係合する凸部46が形成されている。また、スライダ42の下部には、軸部40の上端付近に形成された凹部47にスライド可能に嵌合する嵌合部48が形成されている。
【0026】
図9(a1)(a2)に示すように、スライダ42の嵌合部48を軸部40の凹部47から外れた状態にすると、フロアマット6をスライドガイド41とともにマット係止突起13に挿入することができる。また、この状態で、フロアマット6を引き上げれば、フロアマット6をスライドガイド41とともにマット係止突起13から容易に外すことができる。
【0027】
図9(b1)(b2)に示すように、スライダ42をスライドさせて嵌合部48を軸部40の凹部47に嵌合した状態にすると、フロアマット6はスライドガイド41とともにマット係止突起13に係止して抜けない状態となる。
【実施例4】
【0028】
図10〜図12に示すように、実施例4のフロアマットクリップにおけるマット係止突起13は、プレート11の上面から垂直に突設された軸部50と、軸部50の上部に装着される水平回転キャップ51とからなる。軸部50は樹脂でプレート11と一体形成されている。水平回転キャップ51は樹脂でプレート11とは別体に形成されている。
【0029】
水平回転キャップ51は、円盤状の頭部52と、頭部52から下方へ延びる円筒部53とからなる。頭部52の中心部には、軸部50の上端に形成された長方形部54を通過させるとともに、該長方形部54の直下に形成された凹部55に嵌合する長孔56が形成され、頭部52の上面にはつまみ57が突設されている。円筒部53は、その外側にフロアマット6の補強部材9を挿入した状態で、その内側を軸部50に挿入するものである。円筒部53には、4つの可撓部58が形成され、各可撓部58の下端には係止爪59が形成されている。
【0030】
図12(a1)(a2)に示すように、水平回転キャップ51の長孔56を軸部40の長方形部54と長手方向が合致する状態にすると、フロアマット6を水平回転キャップ51とともにマット係止突起13に挿入することができる。また、この状態で、フロアマット6を引き上げれば、フロアマット6を水平回転キャップ51とともにマット係止突起13から容易に外すことができる。
【0031】
図12(b1)(b2)に示すように、水平回転キャップ51を水平回転させて、その長孔56を軸部40の長方形部54と長手方向が交差するようにし、長孔56の周りの頭部52が軸部50の凹部55に嵌合した状態にすると、フロアマット6は水平回転キャップ51とともにマット係止突起13に係止して抜けない状態となる。
【実施例5】
【0032】
図13〜図15に示すように、実施例5のフロアマットクリップにおけるマット係止突起13は、プレート11の上面から垂直に突設された円筒部60と、この円筒部60に座席側に偏心して上方から挿入される偏心昇降体61とからなる。円筒部60は樹脂でプレート11と一体形成されている。偏心昇降体61は樹脂でプレート11とは別体に形成されている。
【0033】
円筒部60には、回り止め構造の挿入孔62が形成され、筒壁には係止孔63が形成されている。偏心昇降体61は、円盤状の頭部64と、頭部64から下方へ延びて前記挿入孔62に挿入される挿入部65と、頭部64から下方へ延びて円筒部53の座席側の外部にはみ出すはみ出し部66とからなる。頭部64のうちのはみ出し部66よりも座席側に突出した部位と、はみ出し部66の下端から座席側に突出させた凸部67との間に、補強部材9が係合し得るようになっている。挿入部65には、前記係止孔63に係止する係止爪68が形成されている。
【0034】
図15(a1)(a2)に示すように、偏心昇降体61を引き上げた状態にすると、フロアマット6の係止孔7を、偏心昇降体61に挿入することができる。また、この状態で、フロアマット6を引き上げれば、フロアマット6を偏心昇降体61から容易に外すことができる。なお、偏心昇降体61を引き上げるとき、係止爪68が係止孔63に係止するため、偏心昇降体61が抜け外れることはなくその紛失を防ぐことができる。
【0035】
図15(b1)(b2)に示すように、偏心昇降体61を押し下げ、フロアマット6の係止孔7を少しペダル側にずらして頭部64と凸部67との間に係合させた状態で、円筒部60に挿入すると、フロアマット6はマット係止突起13に外れることなく係止し、フロアマット6が抜けない状態となる。
【実施例6】
【0036】
図16〜図18に示すように、実施例6のフロアマットクリップにおけるマット係止突起13は、プレート11の上面から垂直に突設された平面視四角形をなす四角軸部70と、四角軸部70の上部にスライド可能に装着されたスライド頭部71とからなる。四角軸部70は樹脂でプレート11と一体形成されている。スライド頭部71は樹脂でプレート11とは別体に形成されている。また、本実施例では、フロアマット6の係止孔7(本例では補強部材9の孔)を平面視四角形をなす四角孔とする。
【0037】
四角軸部70の上壁には前後方向に長い長孔72が形成されている。スライド頭部71の下部には長孔72に挿入されてスライド可能に案内される可撓部73が形成され、可撓部73の下部には四角軸部70の上壁の下面に係合する係合爪74が形成されている。また、四角軸部70の上壁の下面には可撓部73を座席側に弾性的に付勢するアーム75が形成されている。
【0038】
図18(a1)(a2)に示すように、スライド頭部71を四角軸部70からはみ出さない状態にすると、フロアマット6をマット係止突起13に挿入することができる。また、この状態で、フロアマット6を引き上げれば、フロアマット6をマット係止突起13から容易に外すことができる。
【0039】
図18(b1)(b2)に示すように、スライド頭部71を四角軸部70から座席側にはみ出した状態にスライドさせると、フロアマット6はマット係止突起13に係止して抜けない状態となる。
【実施例7】
【0040】
図19〜図21に示すように、実施例7のフロアマットクリップにおけるマット係止突起13は、プレート11の上面から垂直に突設された前後方向に長い平面視長方形をなす長方形軸部80と、長方形軸部80の上部に水平回転可能に装着された平面視長方形をなす長方形頭部81とからなる。長方形軸部80は樹脂でプレート11と一体形成されている。長方形頭部81は樹脂でプレート11とは別体に形成されている。また、本実施例では、フロアマット6の係止孔7(本例では補強部材9の孔)を平面視長方形をなす長方形孔とする。
【0041】
長方形軸部80の上壁には孔82が形成されている。長方形頭部81の下部には孔82に回転可能に挿入される可撓部83が形成され、可撓部83の下部には長方形軸部80の上壁の下面に係合する係合爪84が形成されている。また、長方形軸部80の上面には、長手方向が交差したときの長方形軸部80の短辺間を落とし込んで係合させ、節度間を出す係合凹部85が形成されている。
【0042】
図21(a1)(a2)に示すように、長方形頭部81を長方形軸部80と長手方向が合致する状態にすると、フロアマット6をマット係止突起13に挿入することができる。また、この状態で、フロアマット6を引き上げれば、フロアマット6をマット係止突起13から容易に外すことができる。
【0043】
図21(b1)(b2)に示すように、長方形頭部81を水平回転させて、その長手方向を長方形軸部80の長手方向と交差するようにし、短辺間を係合凹部85に係合した状態にすると、フロアマット6はマット係止突起13に係止して抜けない状態となる。
【実施例8】
【0044】
図22〜図25に示すように、実施例8のフロアマットクリップにおけるマット係止突起13は、プレート11の上面から垂直に突設された軸部90と、軸部90の上部に形成された、平面視長円形状をなしその長手方向が前後方向に対して30〜60度(図示例は45度)傾いた長円形頭部91とからなる。軸部90及び長円形頭部91は樹脂でプレート11と一体形成されている。また、本実施例では、フロアマット6の係止孔7(本例では補強部材9の孔)を、平面視長円形孔をなしその長手方向が前後方向となるものとする。
【0045】
図25(a)に示すように、フロアマット6を前後方向に対して30〜60度(図示例は45度)回した状態にすれば、フロアマット6の係止孔7(本例では補強部材9の孔)を長円形頭部91に通過させて、マット係止突起13(軸部90)に挿入することができる。また、この状態で、フロアマット6を引き上げれば、フロアマット6をマット係止突起13から容易に外すことができる。
【0046】
図25(b)に矢印で示すように、フロアマット6を前後方向に向くように回せば、フロアマット6はマット係止突起13に係止して抜けない状態となる。
【0047】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
【符号の説明】
【0048】
13 マット係止突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアマットとカーペットとの間へ介在されるプレートと、プレートの上面から膨出されて、フロアマットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するマット係止突起と、プレートの下面から膨出されて、カーペットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するカーペット係止突起とを備える自動車用フロアマットクリップにおいて、
マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された筒部(17)と、この筒部(17)に対して上から押し込み可能である押込部(18)とからなり、
筒部(17)には内外方向に撓みうる可撓部(19)が形成され、可撓部(19)には外側へ突出する係止爪(20)が形成され、
押込部(18)は、太軸部(24)と該太軸部(24)より細い細軸部(25)とを備え、押込部(18)が引き上げられると、可撓部(19)の内側に細軸部(25)が位置して可撓部(19)は内側へ撓みうるようになり、押込部(18)が押し込まれると、可撓部(19)の内側に太軸部(24)が位置して可撓部(19)は内側へ撓むことができないようになることを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
【請求項2】
フロアマットとカーペットとの間へ介在されるプレートと、プレートの上面から膨出されて、フロアマットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するマット係止突起と、プレートの下面から膨出されて、カーペットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するカーペット係止突起とを備える自動車用フロアマットクリップにおいて、
マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された筒部(30)と、この筒部(30)に対して上から押し込み可能である押込部(31)とからなり、
筒部(30)には内外方向に撓みうる可撓部(32)が形成され、可撓部(32)には外側へ突出する係止爪(33)と内側へ突出する内側突起(34)が形成され、
押込部(31)は、太軸部(37)と該太軸部(37)より細い細軸部(38)とを備え、押込部(31)が引き上げられると、内側突起(34)の内側に細軸部(38)が位置して可撓部(32)が内側へ窄んでおり、押込部(31)が押し込まれると、内側突起(34)の内側に太軸部(37)が位置して可撓部(19)が外側へ撓むことを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
【請求項3】
フロアマットとカーペットとの間へ介在されるプレートと、プレートの上面から膨出されて、フロアマットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するマット係止突起と、プレートの下面から膨出されて、カーペットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するカーペット係止突起とを備える自動車用フロアマットクリップにおいて、
マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された軸部(40)と、軸部(40)の上部に装着されるスライドガイド(41)と、スライドガイド(41)に案内されてスライドして軸部(40)に止められるスライダ(42)とからなり、
スライドガイド(41)は、ガイド本体(43)と該ガイド本体(43)から下方へ延びて外側にフロアマット(6)の係止孔(7)を挿入する円筒部(44)とからなり、
スライダ(42)は、軸部(40)の上端付近に形成された凹部(47)にスライド可能に嵌合する嵌合部(48)が形成されたことを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
【請求項4】
フロアマットとカーペットとの間へ介在されるプレートと、プレートの上面から膨出されて、フロアマットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するマット係止突起と、プレートの下面から膨出されて、カーペットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するカーペット係止突起とを備える自動車用フロアマットクリップにおいて、
マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された軸部(50)と、軸部(50)の上部に装着される水平回転キャップ(51)とからなり、
水平回転キャップ(51)は、頭部(52)と該頭部(52)から下方へ延びて外側にフロアマット(6)の係止孔(7)を挿入する円筒部(53)とを備え、
頭部(52)の中心部には軸部(50)の上端に形成された長方形部(54)を通過させるとともに、該長方形部(54)の直下に形成された凹部(55)に嵌合する長孔(56)が形成されたことを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
【請求項5】
フロアマットとカーペットとの間へ介在されるプレートと、プレートの上面から膨出されて、フロアマットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するマット係止突起と、プレートの下面から膨出されて、カーペットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するカーペット係止突起とを備える自動車用フロアマットクリップにおいて、
マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された円筒部(60)と、円筒部(60)に座席側に偏心して上方から挿入される偏心昇降体(61)とからなり、
円筒部(60)には、回り止め構造の挿入孔(62)が形成され、筒壁には係止孔(63)が形成され、
偏心昇降体(61)は、頭部(64)と該頭部(64)から下方へ延びて前記挿入孔(62)に挿入される挿入部(65)と、頭部(64)から下方へ延びて円筒部(53)の座席側の外部にはみ出すはみ出し部(66)とからなり、頭部(64)のうちのはみ出し部(66)よりも座席側に突出した部位と、はみ出し部(66)の下端から座席側に突出させた凸部(67)との間に、フロアマット(6)の係止孔(7)が係合し得るようになっていることを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
【請求項6】
フロアマットとカーペットとの間へ介在されるプレートと、プレートの上面から膨出されて、フロアマットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するマット係止突起と、プレートの下面から膨出されて、カーペットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するカーペット係止突起とを備える自動車用フロアマットクリップにおいて、
フロアマット(6)の係止孔(7)が四角形孔とされ、
マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された四角軸部(70)と、四角軸部(70)の上部に四角軸部(70)からはみ出さない状態と四角軸部(70)から座席側にはみ出した状態との間でスライド可能に装着されたスライド頭部(71)とからなることを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
【請求項7】
フロアマットとカーペットとの間へ介在されるプレートと、プレートの上面から膨出されて、フロアマットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するマット係止突起と、プレートの下面から膨出されて、カーペットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するカーペット係止突起とを備える自動車用フロアマットクリップにおいて、
フロアマット(6)の係止孔(7)が長方形孔とされ、
マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された前後方向に長い長方形軸部(80)と、長方形軸部(80)の上部に水平回転可能に装着された長方形頭部(81)とからなり、
長方形軸部(80)の上面には、長手方向が交差したときの長方形軸部(80)の短辺間を落とし込んで係合させ、節度間を出す係合凹部(85)が形成されていることを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
【請求項8】
フロアマットとカーペットとの間へ介在されるプレートと、プレートの上面から膨出されて、フロアマットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するマット係止突起と、プレートの下面から膨出されて、カーペットの係止孔を貫通して該係止孔の周縁へ係合するカーペット係止突起とを備える自動車用フロアマットクリップにおいて、
フロアマット(6)の係止孔(7)が長円形孔とされ、
マット係止突起(13)は、プレート(11)の上面から垂直に突設された軸部(90)と、軸部(90)の上部に形成された、長円形状をなしその長手方向が前後方向に対して30〜60度傾いた長円形頭部(91)とからなることを特徴とする自動車用フロアマットクリップ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のフロアマットクリップのマット係止突起。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate