自動車用フロアーマット
【課題】マットの水平面内での前後左右方向等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される自動車用フロアーマットを提供する。
【解決手段】本発明の自動車用フロアーマット1は、マット本体8の下面8aに多数個の防滑用突起2が相互に間隔をあけて設けられてなり、防滑用突起2は、マット本体8の下面8aに設けられた台座部3と、該台座部3の下面3aに突設された1ないし複数の小突起4とを備え、小突起4は、該小突起4が設けられている位置での台座部3の略径方向の外方に向けて傾斜して突設され、小突起4の軸線方向21と、マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度θが3°〜30°の範囲であることを特徴とする。
【解決手段】本発明の自動車用フロアーマット1は、マット本体8の下面8aに多数個の防滑用突起2が相互に間隔をあけて設けられてなり、防滑用突起2は、マット本体8の下面8aに設けられた台座部3と、該台座部3の下面3aに突設された1ないし複数の小突起4とを備え、小突起4は、該小突起4が設けられている位置での台座部3の略径方向の外方に向けて傾斜して突設され、小突起4の軸線方向21と、マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度θが3°〜30°の範囲であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車室内における例えば運転者や同乗者の足元に敷いて用いられる自動車用フロアーマットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車室内のフロアーには予めカーペット等の表皮材が貼り付け施工されているが、この表皮材の汚れを防止すること等を目的として、この表皮材の上に更に取り外し可能なフロアーマットを載置することが広く行われている。このフロアーマットに、足で踏む、蹴る等の外力が加わると、フロアーマットは位置ずれを生じる。このような位置ずれを生じると、使用者が滑ったりすることが懸念されるのみならず、位置ずれによってフロアーマットがアクセル、ブレーキ、クラッチの上に覆いかぶさるようなことがあると、安全運転を行う上で支障を来すことから、この自動車用フロアーマットには位置ずれを生じ難いものであることが強く求められている。
【0003】
このような位置ずれを防止するものとして、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなるマット本体の裏面に、多数個の防滑用突起が互いに間隔を置いて、一体的に設けられてなる自動車用フロアーマットにおいて、前記防滑用突起が、盤状台座部と、該台座部の下面に垂下状に一体的に突設された複数個のスパイク状小突起とからなることを特徴とする自動車用フロアーマットが公知である(特許文献1参照)。このような構成の防滑用突起を裏面側に設けることで、足で踏む、蹴る等の外力が加わった際の前後方向への位置ずれを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−213214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車用フロアーマットが、自動車室内の例えば運転者の足元に敷設された状態において、運転者が運転席に乗り込む際にはマットを足で踏む等の動作によりマットが水平面内で回転ずれ移動(例えば図1でE1の方向への回転移動)を生じやすいし、運転者が運転席から降りる際にもマットを足で踏む等の動作によりマットが水平面内で逆の回転方向への回転ずれ移動(例えば図1でE2の方向への回転移動)を生じやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、マットの水平面内での前後左右方向等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される自動車用フロアーマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1]マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の略径方向の外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が3°〜30°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【0009】
[2]前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が5°〜18°の範囲である前項1に記載の自動車用フロアーマット。
【0010】
[3]前記小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されている前項1または2に記載の自動車用フロアーマット。
【0011】
[4]マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【0012】
[5]マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【0013】
[6]マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、第1小突起及び第2小突起を備え、
前記第1小突起は、該第1小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記第2小突起は、該第2小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【0014】
[7]前記防滑用突起は、台座部の下面に1ないし複数の第1小突起が突設された第1防滑用突起と、台座部の下面に1ないし複数の第2小突起が突設された第2防滑用突起とを備えている前項6に記載の自動車用フロアーマット。
【0015】
[8]前記マットの裏側平面視において、前記第1防滑用突起と前記第2防滑用突起とが相互分散状態に配置されている前項7に記載の自動車用フロアーマット。
【0016】
[9]前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が5°〜18°の範囲である前項4〜8のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【0017】
[10]前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が30°〜60°の範囲である前項4〜9のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【0018】
[11]前記小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されている前項4〜10のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【0019】
[12]前記マット本体の少なくとも下面側部及び前記防滑用突起が、熱可塑性エラストマーで形成されている前項1〜11のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【0020】
[13]前記熱可塑性エラストマーがSBSエラストマーである前項12に記載の自動車用フロアーマット。
【発明の効果】
【0021】
[1]の発明では、小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の略径方向の外方に向けて傾斜して突設され、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であるから、本マットを自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マットの水平面内での前後左右方向等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マットの水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマットがずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1、E2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0022】
[2]の発明では、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が5°〜18°の範囲であるから、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、ずれ移動に多数回抵抗することにより生じ得る小突起の折損、欠損を十分に防止できて耐久性を向上させることができる。
【0023】
[3]の発明では、小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されているから、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対する防滑性能をさらに向上させることができる。
【0024】
[4]の発明では、小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、マットの裏側平面視において、小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であるから、本マットを自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マットの水平面内での前後左右方向等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マットの水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマットがずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗車又は降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1又はE2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0025】
[5]の発明では、小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、マットの裏側平面視において、小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であるから、本マットを自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マットの水平面内での前後左右方向等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マットの水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマットがずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗車又は降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1又はE2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0026】
[6]の発明では、小突起は、第1小突起及び第2小突起を備え、第1小突起は、該第1小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、第2小突起は、該第2小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、マットの裏側平面視において、小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であるから、本マットを自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マットの水平面内での前後左右方向等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マットの水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマットがずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1及びE2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0027】
[7]の発明では、防滑用突起は、台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設された第1小突起を備えた第1防滑用突起と、台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設された第2小突起を備えた第2防滑用突起と、を備えた構成であるから、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動をより効果的に防止できる。
【0028】
[8]の発明では、マットの裏側平面視において、第1防滑用突起と第2防滑用突起とが相互分散状態に配置されているから、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動をより一層効果的に防止できる。
【0029】
[9]の発明では、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が5°〜18°の範囲であるから、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、ずれ移動に多数回抵抗することにより生じ得る小突起の折損、欠損を十分に防止できて耐久性を向上させることができる。
【0030】
[10]の発明では、マットの裏側平面視において、小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が30°〜60°の範囲であるから、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対してより優れた防滑性が発揮され得る。
【0031】
[11]の発明では、小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されているから、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対する防滑性能をさらに向上させることができる。
【0032】
[12]の発明では、マット本体の少なくとも下面側部及び防滑用突起が、熱可塑性エラストマーで形成されているから、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対してより優れた防滑性が発揮される。
【0033】
[13]の発明では、熱可塑性エラストマーがSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマーであるから、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対してより一層優れた防滑性が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明(第1、2発明)の一実施形態に係る自動車用フロアーマットの上面側からの平面図である。
【図2】第1発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマットを裏面側から見た平面図である。
【図3】図2におけるY−Y線の断面図である。
【図4】図2の自動車用フロアーマットの一部を拡大して示す裏面側斜視図である。
【図5】第1発明に係る自動車用フロアーマットの他の実施形態を示す断面図である。
【図6】第2発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマットを裏面側から見た平面図である。
【図7】図6におけるZ−Z線の断面図である。
【図8】図6の自動車用フロアーマットの一部を拡大して示す裏面側斜視図である。
【図9】図6の自動車用フロアーマットの第1防滑用突起を拡大して示す裏面側平面図である。
【図10】図6の自動車用フロアーマットの第2防滑用突起を拡大して示す裏面側平面図である。
【図11】第2発明に係る自動車用フロアーマットの他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1発明について]
第1発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマット1を図1〜4に示す。この自動車用フロアーマット1は、表材10の下面側に裏側樹脂層9が積層一体化されてなるマット本体8と、前記マット本体8の下面8a(裏側樹脂層9の下面)に相互に間隔をあけて縦横に整列状態に設けられた多数個の防滑用突起2とを備えている。
【0036】
前記防滑用突起2は、図3、4に示すように、マット本体8の下面8aに一体的に突設された台座部3と、該台座部3の下面3aに一体的に突設された1ないし複数の略柱状の小突起4とからなる。本実施形態では、図3、4に示すように、1つの台座部3に対して3つの小突起4が一体的に突設されている。また、前記小突起4は、略円柱形状に形成されている。
【0037】
前記小突起4は、該小突起4が設けられている位置での台座部3の略径方向の外方に向けて傾斜して突設されている。なお、前記「略径方向」の語は、マットの裏側平面視において当該小突起4が設けられている位置での台座部の径方向に対する角度が−10°〜10°まで(−10°と10°は含まない)の範囲内の方向(当該小突起4が設けられている位置での台座部の径方向を含む)、を意味する。
【0038】
また、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、3°〜30°の範囲に設定されている(図3参照)。
【0039】
上記構成に係る自動車用フロアーマット1を自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マット1の水平面内での前後左右方向(図1で縦方向、横方向)等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マット1の水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマット1がずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗り降りに伴うマット1の水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1、E2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0040】
第1発明において、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、3°〜30°の範囲に設定される。3°未満では、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して十分な防滑性が得られない。一方、30°を超えると、小突起4と下地表皮材の繊維との係合性が強くなり過ぎるので、ずれ移動に多数回抵抗すると、小突起4の折損、欠損を生じやすく、十分な耐久性が得られない。中でも、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、5°〜18°の範囲に設定されるのが好ましい。θが5°以上であることで、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して優れた防滑性が得られると共に、θが18°以下であることで、ずれ移動に多数回抵抗しても小突起4の折損、欠損を生じ難く、優れた耐久性を確保することができる。特に好適なのはθが8°〜17°の範囲に設定された構成である。
【0041】
なお、上記実施形態では、マット本体8としては、表層に表材10を有する構成を採用しているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば図5に示すような表材10を設けない構成(即ちマット本体8が樹脂層9のみからなる構成)を採用することもできる。
【0042】
[第2発明について]
第2発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマット1を図1、6〜8に示す。この自動車用フロアーマット1は、表材10の下面側に裏側樹脂層9が積層一体化されてなるマット本体8と、前記マット本体8の下面8a(裏側樹脂層9の下面)に相互に間隔をあけて縦横に整列状態に設けられた多数個の防滑用突起2とを備えている。
【0043】
前記防滑用突起2は、図7、8に示すように、マット本体8の下面8aに一体的に突設された台座部3と、該台座部3の下面3aに一体的に突設された1ないし複数の略柱状の小突起4とからなる。本実施形態では、図7、8に示すように、1つの台座部3に対して3つの小突起4が一体的に突設されている。また、前記小突起4は、略円柱形状に形成されている。
【0044】
前記小突起4は、第1小突起4A及び第2小突起4Bの2種類の部材で構成される(図6〜8参照)。前記防滑用突起2は、第1防滑用突起2Aと、第2防滑用突起2Bとからなる(図6〜8参照)。前記第1防滑用突起2Aは、台座部3の下面3aに3つの第1小突起4Aが突設されてなる。また、前記第2防滑用突起2Bは、台座部3の下面3aに3つの第2小突起4Bが突設されてなる。しかして、前記マット1の裏側平面視において、前記第1防滑用突起2Aと前記第2防滑用突起2Bとが相互分散状態に配置されている(図6参照)。即ち、前記第1防滑用突起2Aは、該第1防滑用突起2Aに最近接した4つの第2防滑用突起2Bで取り囲まれると共に、前記第2防滑用突起2Bは、該第2防滑用突起2Bに最近接した4つの第1防滑用突起2Aで取り囲まれている(図6参照)。
【0045】
前記第1小突起4Aは、該第1小突起4Aが設けられている位置での台座部3の径方向外方Fに対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方Gに向けて傾斜して突設されている(図9参照)。
【0046】
一方、前記第2小突起4Bは、該第2小突起4Bが設けられている位置での台座部3の径方向外方Fに対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方Hに向けて傾斜して突設されている(図10参照)。
【0047】
前記小突起4(4A、4B)の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、3°〜30°の範囲に設定されている(図7参照)。
【0048】
また、前記マット1の裏側平面視(裏側からの投影平面視)において、前記小突起4の軸線方向21と、該小突起4が設けられている位置での台座部3の径方向23とがなす角度(鋭角)βは10°〜70°の範囲に設定されている(図9、10参照)。
【0049】
上記第2発明の自動車用フロアーマット1を自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マット1の水平面内での前後左右方向(図1で縦方向、横方向)等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マット1の水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマット1がずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗り降りに伴うマット1の水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1、E2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0050】
第2発明において、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、3°〜30°の範囲に設定される。3°未満では、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して十分な防滑性が得られない。一方、30°を超えると、小突起4と下地表皮材の繊維との係合性が強くなり過ぎるので、ずれ移動に多数回抵抗すると、小突起4の折損、欠損を生じやすく、十分な耐久性が得られない。中でも、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、5°〜18°の範囲に設定されるのが好ましい。θが5°以上であることで、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して優れた防滑性が得られると共に、θが18°以下であることで、ずれ移動に多数回抵抗しても小突起4の折損、欠損を生じ難く、優れた耐久性を確保することができる。特に好適なのはθが8°〜17°の範囲に設定された構成である。
【0051】
第2発明において、前記マット1の裏側平面視(裏側からの投影平面視)において、前記小突起4の軸線方向21と、該小突起4が設けられている位置での台座部3の径方向23とがなす角度(鋭角)βは10°〜70°の範囲に設定される。10°未満では、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して十分な防滑性が得られない。また、70°を超えると、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して十分な防滑性が得られない。中でも、前記マット1の裏側平面視において、前記小突起4の軸線方向21と、該小突起4が設けられている位置での台座部3の径方向23とがなす角度(鋭角)βは30°〜60°の範囲に設定されるのが好ましく、35°〜55°の範囲に設定されるのがより好ましい。
【0052】
なお、上記実施形態では、マット本体8としては、表層に表材10を有する構成を採用しているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば図11に示すような表材10を設けない構成(即ちマット本体8が樹脂層9のみからなる構成)を採用することもできる。
【0053】
また、上記実施形態では、防滑用突起2としては、第1防滑用突起2A及び第2防滑用突起2Bの2種類を備えた構成が採用されていたが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば、第1防滑用突起2Aのみからなる構成を採用してもよいし、或いは第2防滑用突起2Bのみからなる構成を採用してもよい。
【0054】
[第1発明及び第2発明について]
本発明において、前記マット本体8の少なくとも下面側部(裏側樹脂層9等)及び前記防滑用突起2は、通常、熱可塑性エラストマー等の樹脂、ゴム等で構成される。中でも、マット本体8の少なくとも下面側部(裏側樹脂層9等)及び防滑用突起2は、熱可塑性エラストマー(熱可塑性エラストマーの発泡体を含む)で形成されるのが好ましい。前記熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマー、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)エラストマー等のスチレン系エラストマー、アタクチックポリプロピレン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)等のオレフィン系エラストマー等が挙げられる。これらの中でもスチレン系エラストマーを用いるのが好ましく、さらにはSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマーを用いるのが特に好ましい。
【0055】
なお、熱可塑性エラストマー発泡体を用いる場合には、独立気泡構造のものを用いて形成するのがよい。前記発泡のための発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱膨張マイクロカプセル、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)等が挙げられる。
【0056】
前記裏側樹脂層9及び防滑用突起2には、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、色剤、無機充填剤等の各種添加剤を必要に応じて含有せしめても良い。
【0057】
前記防滑用突起2の配置密度は、平面視(図2、6参照)において10cm2当たり3個〜20個とするのが好ましい。3個以上とすることで位置ずれ防止性を十分に確保できると共に、20個以下とすることで目付量を抑制できてマット1としての軽量性を十分に確保できる。
【0058】
前記台座部3の高さdは、0.5〜2.0mmに設定されるのが好ましい。前記台座部3の下面3aの面積は、7〜30mm2に設定されるのが好ましい。高さdが0.5mm以上又は面積が7mm2以上であることで位置ずれ防止性を十分に確保できると共に、高さdが2.0mm以下又は面積が30mm2以下であることで目付量を抑制できてマット1としての軽量性を十分に確保できる。
【0059】
前記台座部3の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、平面視円形、平面視楕円形、平面視四角形、平面視三角形等が挙げられる。
【0060】
前記小突起4の高さt(台座部の下面3aからの高さt)は、0.7〜2.0mmに設定されるのが好ましい。前記小突起4の径mは、0.7〜1.5mmに設定されるのが好ましい。高さが2.0mm以下又は径が0.7mm以上であることで小突起4が曲がりやすくなり過ぎて下地表皮材の繊維との係合性が低下するのを十分に防止できる。また、高さが0.7mm以上又は径が1.5mm以下であることで小突起4の変形が起こり難くなり過ぎて下地表皮材の繊維との係合性が低下するのを十分に防止できる。
【0061】
前記小突起4の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、略円柱形状、先端が略半球状に形成された略円柱形状、略六角柱形状等が挙げられる。前記小突起4の先端形状も特に限定されず、例えば、半球状であってもよいし、平坦状であってもよい。また、1つの台座部3に対して設けられる小突起4の数は、特に限定されず、1個であっても良いし、複数個であっても良い。
【0062】
前記表材10としては、特に限定されるものではないが、例えばポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン等の合成繊維あるいは天然繊維等の繊維からなるカーペット原反等が挙げられ、その種類は限定されず例えばタフトカーペット、ニードルパンチカーペット等が挙げられ、そのパイル形状も限定されずループパイル、カットパイル等が挙げられる。
【実施例】
【0063】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0064】
<実施例1>
SBSエラストマー50質量部、炭酸カルシウム30質量部を混合せしめた樹脂組成物を口径135mmの押出機で溶融状態でシート状に押出成形しながら、これの上に、タフトカーペット原反(表材)10をそのパイル面を上にして重ね合わせ、次いで加圧ロールを用いて両者を圧接させて一体化して、図1〜4に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。なお、加圧ロールの樹脂組成物接触面には、台座部3及び小突起4成型用の凹面加工が施されており、ロール部通過後に裏側樹脂層9の下面に、1つの台座部3及び3個の小突起4からなる防滑用突起2が多数個形成される。
【0065】
前記タフトカーペット原反(表材)10は、目付120g/m2のPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維製スパンボンド不織布からなるカーペット基材にナイロンBCF糸からなるパイルが目付610g/m2でタフトされてなるタフトカーペット原反である。
【0066】
なお、得られた自動車用フロアーマット1において、裏側樹脂層9の厚さは1.7mm、台座部3の直径nは4mm、台座部3の高さdは1.0mm、台座部3の下面3aの面積は12.56mm2、小突起4の径mは1mm、小突起4の高さtは1.5mm、防滑用突起2の配置密度は平面視で10cm2当たり9個であった。また、小突起4の軸線方向21と、マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度θは25°であった。
【0067】
<実施例2>
角度θを20°に設定した以外は、実施例1と同様にして図1〜4に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0068】
<実施例3>
角度θを15°に設定した以外は、実施例1と同様にして図1〜4に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0069】
<実施例4>
SBSエラストマー50質量部、炭酸カルシウム30質量部を混合せしめた樹脂組成物を口径135mmの押出機で溶融状態でシート状に押出成形しながら、これの上に、タフトカーペット原反(表材)10をそのパイル面を上にして重ね合わせ、次いで加圧ロールを用いて両者を圧接させて一体化して、図1、6〜8に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。なお、加圧ロールの樹脂組成物接触面には、台座部3及び小突起4成型用の凹面加工が施されており、ロール部通過後に裏側樹脂層9の下面に、1つの台座部3及び3個の小突起4からなる防滑用突起2(2A、2B)が多数個形成される。
【0070】
前記タフトカーペット原反(表材)10は、目付120g/m2のPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維製スパンボンド不織布からなるカーペット基材にナイロンBCF糸からなるパイルが目付610g/m2でタフトされてなるタフトカーペット原反である。
【0071】
なお、得られた自動車用フロアーマット1において、裏側樹脂層9の厚さは1.7mm、台座部3の直径nは4mm、台座部3の高さdは1.0mm、台座部3の下面3aの面積は12.56mm2、小突起4の径mは1mm、小突起4の高さtは1.5mm、防滑用突起2の配置密度は平面視で10cm2当たり9個であった。また、小突起4(4A、4B)の軸線方向21と、マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度θは25°であった(図7参照)。また、マット1の裏側平面視において、小突起4(4A、4B)の軸線方向21と、該小突起4が設けられている位置での台座部3の径方向23とがなす角度(鋭角)βは45°であった(図9、10参照)。
【0072】
<実施例5>
角度θを20°に設定した以外は、実施例4と同様にして図1、6〜8に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0073】
<実施例6>
角度θを15°に設定した以外は、実施例4と同様にして図1、6〜8に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0074】
<実施例7>
角度βを35°に設定した以外は、実施例4と同様にして図1、6〜8に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0075】
<実施例8>
角度βを55°に設定した以外は、実施例4と同様にして図1、6〜8に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0076】
<比較例1>
角度θを0°に設定した以外は、実施例1と同様にして自動車用フロアーマット(特許文献1に記載の従来構成)を得た。
【0077】
【表1】
【0078】
上記のようにして得られた各自動車用フロアーマットをそれぞれ自動車の床面カーペット上に載置し、この状態で実際に運転者が運転席に10回乗り降りしたところ、実施例1〜8の自動車用フロアーマットでは乗車時、降車時のいずれにおいてもマットの水平面内での回転ずれ移動(図1でE1、E2の方向への回転移動等)は生じなかったのに対し、比較例1の自動車用フロアーマットでは少し回転ずれ移動を生じることが多かった(表1参照)。
【0079】
また、実施例1〜8の自動車用フロアーマットは、自動車の床面カーペット上に載置した状態においてマットの水平面内での前後左右方向への直線的なずれ移動に対しても優れた防滑性を備えていた(表1参照)。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の自動車用フロアーマットは、例えば、自動車室内における運転者や同乗者の足元に敷いて用いられるフロアーマットとして、あるいは自動車の荷台マットや荷室マット等として用いられる。
【符号の説明】
【0081】
1…自動車用フロアーマット
2…防滑用突起
2A…第1防滑用突起
2B…第2防滑用突起
3…台座部
3a…台座部の下面
4…小突起
4A…第1小突起
4B…第2小突起
8…マット本体
8a…マット本体の下面
9…裏側樹脂層(マット本体の下面側部)
10…表材
21…小突起の軸線方向
22…マット本体の下面に対する垂線
23…台座部の径方向
E1…回転ずれ移動の方向
E2…回転ずれ移動の方向
F…径方向外方
G…時計回り方向の斜めにずれた斜め外方
H…反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方
θ…小突起の軸線方向とマット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)
β…小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車室内における例えば運転者や同乗者の足元に敷いて用いられる自動車用フロアーマットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車室内のフロアーには予めカーペット等の表皮材が貼り付け施工されているが、この表皮材の汚れを防止すること等を目的として、この表皮材の上に更に取り外し可能なフロアーマットを載置することが広く行われている。このフロアーマットに、足で踏む、蹴る等の外力が加わると、フロアーマットは位置ずれを生じる。このような位置ずれを生じると、使用者が滑ったりすることが懸念されるのみならず、位置ずれによってフロアーマットがアクセル、ブレーキ、クラッチの上に覆いかぶさるようなことがあると、安全運転を行う上で支障を来すことから、この自動車用フロアーマットには位置ずれを生じ難いものであることが強く求められている。
【0003】
このような位置ずれを防止するものとして、ゴム又は熱可塑性エラストマーからなるマット本体の裏面に、多数個の防滑用突起が互いに間隔を置いて、一体的に設けられてなる自動車用フロアーマットにおいて、前記防滑用突起が、盤状台座部と、該台座部の下面に垂下状に一体的に突設された複数個のスパイク状小突起とからなることを特徴とする自動車用フロアーマットが公知である(特許文献1参照)。このような構成の防滑用突起を裏面側に設けることで、足で踏む、蹴る等の外力が加わった際の前後方向への位置ずれを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−213214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車用フロアーマットが、自動車室内の例えば運転者の足元に敷設された状態において、運転者が運転席に乗り込む際にはマットを足で踏む等の動作によりマットが水平面内で回転ずれ移動(例えば図1でE1の方向への回転移動)を生じやすいし、運転者が運転席から降りる際にもマットを足で踏む等の動作によりマットが水平面内で逆の回転方向への回転ずれ移動(例えば図1でE2の方向への回転移動)を生じやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、マットの水平面内での前後左右方向等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される自動車用フロアーマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1]マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の略径方向の外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が3°〜30°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【0009】
[2]前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が5°〜18°の範囲である前項1に記載の自動車用フロアーマット。
【0010】
[3]前記小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されている前項1または2に記載の自動車用フロアーマット。
【0011】
[4]マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【0012】
[5]マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【0013】
[6]マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、第1小突起及び第2小突起を備え、
前記第1小突起は、該第1小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記第2小突起は、該第2小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【0014】
[7]前記防滑用突起は、台座部の下面に1ないし複数の第1小突起が突設された第1防滑用突起と、台座部の下面に1ないし複数の第2小突起が突設された第2防滑用突起とを備えている前項6に記載の自動車用フロアーマット。
【0015】
[8]前記マットの裏側平面視において、前記第1防滑用突起と前記第2防滑用突起とが相互分散状態に配置されている前項7に記載の自動車用フロアーマット。
【0016】
[9]前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)が5°〜18°の範囲である前項4〜8のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【0017】
[10]前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が30°〜60°の範囲である前項4〜9のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【0018】
[11]前記小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されている前項4〜10のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【0019】
[12]前記マット本体の少なくとも下面側部及び前記防滑用突起が、熱可塑性エラストマーで形成されている前項1〜11のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【0020】
[13]前記熱可塑性エラストマーがSBSエラストマーである前項12に記載の自動車用フロアーマット。
【発明の効果】
【0021】
[1]の発明では、小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の略径方向の外方に向けて傾斜して突設され、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であるから、本マットを自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マットの水平面内での前後左右方向等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マットの水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマットがずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1、E2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0022】
[2]の発明では、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が5°〜18°の範囲であるから、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、ずれ移動に多数回抵抗することにより生じ得る小突起の折損、欠損を十分に防止できて耐久性を向上させることができる。
【0023】
[3]の発明では、小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されているから、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対する防滑性能をさらに向上させることができる。
【0024】
[4]の発明では、小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、マットの裏側平面視において、小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であるから、本マットを自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マットの水平面内での前後左右方向等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マットの水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマットがずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗車又は降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1又はE2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0025】
[5]の発明では、小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、マットの裏側平面視において、小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であるから、本マットを自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マットの水平面内での前後左右方向等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マットの水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマットがずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗車又は降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1又はE2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0026】
[6]の発明では、小突起は、第1小突起及び第2小突起を備え、第1小突起は、該第1小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、第2小突起は、該第2小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、マットの裏側平面視において、小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が10°〜70°の範囲であるから、本マットを自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マットの水平面内での前後左右方向等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マットの水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマットがずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1及びE2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0027】
[7]の発明では、防滑用突起は、台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設された第1小突起を備えた第1防滑用突起と、台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設された第2小突起を備えた第2防滑用突起と、を備えた構成であるから、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動をより効果的に防止できる。
【0028】
[8]の発明では、マットの裏側平面視において、第1防滑用突起と第2防滑用突起とが相互分散状態に配置されているから、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動をより一層効果的に防止できる。
【0029】
[9]の発明では、小突起の軸線方向と、マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が5°〜18°の範囲であるから、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、ずれ移動に多数回抵抗することにより生じ得る小突起の折損、欠損を十分に防止できて耐久性を向上させることができる。
【0030】
[10]の発明では、マットの裏側平面視において、小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)が30°〜60°の範囲であるから、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対してより優れた防滑性が発揮され得る。
【0031】
[11]の発明では、小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されているから、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対する防滑性能をさらに向上させることができる。
【0032】
[12]の発明では、マット本体の少なくとも下面側部及び防滑用突起が、熱可塑性エラストマーで形成されているから、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対してより優れた防滑性が発揮される。
【0033】
[13]の発明では、熱可塑性エラストマーがSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマーであるから、自動車への乗車又は/及び降車に伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対してより一層優れた防滑性が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明(第1、2発明)の一実施形態に係る自動車用フロアーマットの上面側からの平面図である。
【図2】第1発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマットを裏面側から見た平面図である。
【図3】図2におけるY−Y線の断面図である。
【図4】図2の自動車用フロアーマットの一部を拡大して示す裏面側斜視図である。
【図5】第1発明に係る自動車用フロアーマットの他の実施形態を示す断面図である。
【図6】第2発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマットを裏面側から見た平面図である。
【図7】図6におけるZ−Z線の断面図である。
【図8】図6の自動車用フロアーマットの一部を拡大して示す裏面側斜視図である。
【図9】図6の自動車用フロアーマットの第1防滑用突起を拡大して示す裏面側平面図である。
【図10】図6の自動車用フロアーマットの第2防滑用突起を拡大して示す裏面側平面図である。
【図11】第2発明に係る自動車用フロアーマットの他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1発明について]
第1発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマット1を図1〜4に示す。この自動車用フロアーマット1は、表材10の下面側に裏側樹脂層9が積層一体化されてなるマット本体8と、前記マット本体8の下面8a(裏側樹脂層9の下面)に相互に間隔をあけて縦横に整列状態に設けられた多数個の防滑用突起2とを備えている。
【0036】
前記防滑用突起2は、図3、4に示すように、マット本体8の下面8aに一体的に突設された台座部3と、該台座部3の下面3aに一体的に突設された1ないし複数の略柱状の小突起4とからなる。本実施形態では、図3、4に示すように、1つの台座部3に対して3つの小突起4が一体的に突設されている。また、前記小突起4は、略円柱形状に形成されている。
【0037】
前記小突起4は、該小突起4が設けられている位置での台座部3の略径方向の外方に向けて傾斜して突設されている。なお、前記「略径方向」の語は、マットの裏側平面視において当該小突起4が設けられている位置での台座部の径方向に対する角度が−10°〜10°まで(−10°と10°は含まない)の範囲内の方向(当該小突起4が設けられている位置での台座部の径方向を含む)、を意味する。
【0038】
また、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、3°〜30°の範囲に設定されている(図3参照)。
【0039】
上記構成に係る自動車用フロアーマット1を自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マット1の水平面内での前後左右方向(図1で縦方向、横方向)等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マット1の水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマット1がずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗り降りに伴うマット1の水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1、E2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0040】
第1発明において、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、3°〜30°の範囲に設定される。3°未満では、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して十分な防滑性が得られない。一方、30°を超えると、小突起4と下地表皮材の繊維との係合性が強くなり過ぎるので、ずれ移動に多数回抵抗すると、小突起4の折損、欠損を生じやすく、十分な耐久性が得られない。中でも、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、5°〜18°の範囲に設定されるのが好ましい。θが5°以上であることで、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して優れた防滑性が得られると共に、θが18°以下であることで、ずれ移動に多数回抵抗しても小突起4の折損、欠損を生じ難く、優れた耐久性を確保することができる。特に好適なのはθが8°〜17°の範囲に設定された構成である。
【0041】
なお、上記実施形態では、マット本体8としては、表層に表材10を有する構成を採用しているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば図5に示すような表材10を設けない構成(即ちマット本体8が樹脂層9のみからなる構成)を採用することもできる。
【0042】
[第2発明について]
第2発明の一実施形態に係る自動車用フロアーマット1を図1、6〜8に示す。この自動車用フロアーマット1は、表材10の下面側に裏側樹脂層9が積層一体化されてなるマット本体8と、前記マット本体8の下面8a(裏側樹脂層9の下面)に相互に間隔をあけて縦横に整列状態に設けられた多数個の防滑用突起2とを備えている。
【0043】
前記防滑用突起2は、図7、8に示すように、マット本体8の下面8aに一体的に突設された台座部3と、該台座部3の下面3aに一体的に突設された1ないし複数の略柱状の小突起4とからなる。本実施形態では、図7、8に示すように、1つの台座部3に対して3つの小突起4が一体的に突設されている。また、前記小突起4は、略円柱形状に形成されている。
【0044】
前記小突起4は、第1小突起4A及び第2小突起4Bの2種類の部材で構成される(図6〜8参照)。前記防滑用突起2は、第1防滑用突起2Aと、第2防滑用突起2Bとからなる(図6〜8参照)。前記第1防滑用突起2Aは、台座部3の下面3aに3つの第1小突起4Aが突設されてなる。また、前記第2防滑用突起2Bは、台座部3の下面3aに3つの第2小突起4Bが突設されてなる。しかして、前記マット1の裏側平面視において、前記第1防滑用突起2Aと前記第2防滑用突起2Bとが相互分散状態に配置されている(図6参照)。即ち、前記第1防滑用突起2Aは、該第1防滑用突起2Aに最近接した4つの第2防滑用突起2Bで取り囲まれると共に、前記第2防滑用突起2Bは、該第2防滑用突起2Bに最近接した4つの第1防滑用突起2Aで取り囲まれている(図6参照)。
【0045】
前記第1小突起4Aは、該第1小突起4Aが設けられている位置での台座部3の径方向外方Fに対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方Gに向けて傾斜して突設されている(図9参照)。
【0046】
一方、前記第2小突起4Bは、該第2小突起4Bが設けられている位置での台座部3の径方向外方Fに対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方Hに向けて傾斜して突設されている(図10参照)。
【0047】
前記小突起4(4A、4B)の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、3°〜30°の範囲に設定されている(図7参照)。
【0048】
また、前記マット1の裏側平面視(裏側からの投影平面視)において、前記小突起4の軸線方向21と、該小突起4が設けられている位置での台座部3の径方向23とがなす角度(鋭角)βは10°〜70°の範囲に設定されている(図9、10参照)。
【0049】
上記第2発明の自動車用フロアーマット1を自動車の床の下地表皮材(カーペット等)の上に載置すると、マット1の水平面内での前後左右方向(図1で縦方向、横方向)等への直線的なずれ移動に対して優れた防滑性が発揮されると共に、マット1の水平面内での回転ずれ移動に対しても優れた防滑性が発揮される。従って、ブレーキ等が存在する前方方向へマット1がずれ移動することを効果的に防止できて安全性に優れると共に、自動車への乗り降りに伴うマット1の水平面内での回転ずれ移動(例えば、図1でE1、E2の方向への回転移動等)も効果的に防止できる。
【0050】
第2発明において、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、3°〜30°の範囲に設定される。3°未満では、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して十分な防滑性が得られない。一方、30°を超えると、小突起4と下地表皮材の繊維との係合性が強くなり過ぎるので、ずれ移動に多数回抵抗すると、小突起4の折損、欠損を生じやすく、十分な耐久性が得られない。中でも、前記小突起4の軸線方向21と、前記マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度(鋭角)θは、5°〜18°の範囲に設定されるのが好ましい。θが5°以上であることで、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して優れた防滑性が得られると共に、θが18°以下であることで、ずれ移動に多数回抵抗しても小突起4の折損、欠損を生じ難く、優れた耐久性を確保することができる。特に好適なのはθが8°〜17°の範囲に設定された構成である。
【0051】
第2発明において、前記マット1の裏側平面視(裏側からの投影平面視)において、前記小突起4の軸線方向21と、該小突起4が設けられている位置での台座部3の径方向23とがなす角度(鋭角)βは10°〜70°の範囲に設定される。10°未満では、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して十分な防滑性が得られない。また、70°を超えると、自動車への乗り降りに伴うマットの水平面内での回転ずれ移動に対して十分な防滑性が得られない。中でも、前記マット1の裏側平面視において、前記小突起4の軸線方向21と、該小突起4が設けられている位置での台座部3の径方向23とがなす角度(鋭角)βは30°〜60°の範囲に設定されるのが好ましく、35°〜55°の範囲に設定されるのがより好ましい。
【0052】
なお、上記実施形態では、マット本体8としては、表層に表材10を有する構成を採用しているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば図11に示すような表材10を設けない構成(即ちマット本体8が樹脂層9のみからなる構成)を採用することもできる。
【0053】
また、上記実施形態では、防滑用突起2としては、第1防滑用突起2A及び第2防滑用突起2Bの2種類を備えた構成が採用されていたが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば、第1防滑用突起2Aのみからなる構成を採用してもよいし、或いは第2防滑用突起2Bのみからなる構成を採用してもよい。
【0054】
[第1発明及び第2発明について]
本発明において、前記マット本体8の少なくとも下面側部(裏側樹脂層9等)及び前記防滑用突起2は、通常、熱可塑性エラストマー等の樹脂、ゴム等で構成される。中でも、マット本体8の少なくとも下面側部(裏側樹脂層9等)及び防滑用突起2は、熱可塑性エラストマー(熱可塑性エラストマーの発泡体を含む)で形成されるのが好ましい。前記熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマー、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)エラストマー等のスチレン系エラストマー、アタクチックポリプロピレン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)等のオレフィン系エラストマー等が挙げられる。これらの中でもスチレン系エラストマーを用いるのが好ましく、さらにはSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)エラストマーを用いるのが特に好ましい。
【0055】
なお、熱可塑性エラストマー発泡体を用いる場合には、独立気泡構造のものを用いて形成するのがよい。前記発泡のための発泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱膨張マイクロカプセル、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)等が挙げられる。
【0056】
前記裏側樹脂層9及び防滑用突起2には、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、色剤、無機充填剤等の各種添加剤を必要に応じて含有せしめても良い。
【0057】
前記防滑用突起2の配置密度は、平面視(図2、6参照)において10cm2当たり3個〜20個とするのが好ましい。3個以上とすることで位置ずれ防止性を十分に確保できると共に、20個以下とすることで目付量を抑制できてマット1としての軽量性を十分に確保できる。
【0058】
前記台座部3の高さdは、0.5〜2.0mmに設定されるのが好ましい。前記台座部3の下面3aの面積は、7〜30mm2に設定されるのが好ましい。高さdが0.5mm以上又は面積が7mm2以上であることで位置ずれ防止性を十分に確保できると共に、高さdが2.0mm以下又は面積が30mm2以下であることで目付量を抑制できてマット1としての軽量性を十分に確保できる。
【0059】
前記台座部3の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、平面視円形、平面視楕円形、平面視四角形、平面視三角形等が挙げられる。
【0060】
前記小突起4の高さt(台座部の下面3aからの高さt)は、0.7〜2.0mmに設定されるのが好ましい。前記小突起4の径mは、0.7〜1.5mmに設定されるのが好ましい。高さが2.0mm以下又は径が0.7mm以上であることで小突起4が曲がりやすくなり過ぎて下地表皮材の繊維との係合性が低下するのを十分に防止できる。また、高さが0.7mm以上又は径が1.5mm以下であることで小突起4の変形が起こり難くなり過ぎて下地表皮材の繊維との係合性が低下するのを十分に防止できる。
【0061】
前記小突起4の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、略円柱形状、先端が略半球状に形成された略円柱形状、略六角柱形状等が挙げられる。前記小突起4の先端形状も特に限定されず、例えば、半球状であってもよいし、平坦状であってもよい。また、1つの台座部3に対して設けられる小突起4の数は、特に限定されず、1個であっても良いし、複数個であっても良い。
【0062】
前記表材10としては、特に限定されるものではないが、例えばポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン等の合成繊維あるいは天然繊維等の繊維からなるカーペット原反等が挙げられ、その種類は限定されず例えばタフトカーペット、ニードルパンチカーペット等が挙げられ、そのパイル形状も限定されずループパイル、カットパイル等が挙げられる。
【実施例】
【0063】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0064】
<実施例1>
SBSエラストマー50質量部、炭酸カルシウム30質量部を混合せしめた樹脂組成物を口径135mmの押出機で溶融状態でシート状に押出成形しながら、これの上に、タフトカーペット原反(表材)10をそのパイル面を上にして重ね合わせ、次いで加圧ロールを用いて両者を圧接させて一体化して、図1〜4に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。なお、加圧ロールの樹脂組成物接触面には、台座部3及び小突起4成型用の凹面加工が施されており、ロール部通過後に裏側樹脂層9の下面に、1つの台座部3及び3個の小突起4からなる防滑用突起2が多数個形成される。
【0065】
前記タフトカーペット原反(表材)10は、目付120g/m2のPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維製スパンボンド不織布からなるカーペット基材にナイロンBCF糸からなるパイルが目付610g/m2でタフトされてなるタフトカーペット原反である。
【0066】
なお、得られた自動車用フロアーマット1において、裏側樹脂層9の厚さは1.7mm、台座部3の直径nは4mm、台座部3の高さdは1.0mm、台座部3の下面3aの面積は12.56mm2、小突起4の径mは1mm、小突起4の高さtは1.5mm、防滑用突起2の配置密度は平面視で10cm2当たり9個であった。また、小突起4の軸線方向21と、マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度θは25°であった。
【0067】
<実施例2>
角度θを20°に設定した以外は、実施例1と同様にして図1〜4に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0068】
<実施例3>
角度θを15°に設定した以外は、実施例1と同様にして図1〜4に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0069】
<実施例4>
SBSエラストマー50質量部、炭酸カルシウム30質量部を混合せしめた樹脂組成物を口径135mmの押出機で溶融状態でシート状に押出成形しながら、これの上に、タフトカーペット原反(表材)10をそのパイル面を上にして重ね合わせ、次いで加圧ロールを用いて両者を圧接させて一体化して、図1、6〜8に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。なお、加圧ロールの樹脂組成物接触面には、台座部3及び小突起4成型用の凹面加工が施されており、ロール部通過後に裏側樹脂層9の下面に、1つの台座部3及び3個の小突起4からなる防滑用突起2(2A、2B)が多数個形成される。
【0070】
前記タフトカーペット原反(表材)10は、目付120g/m2のPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維製スパンボンド不織布からなるカーペット基材にナイロンBCF糸からなるパイルが目付610g/m2でタフトされてなるタフトカーペット原反である。
【0071】
なお、得られた自動車用フロアーマット1において、裏側樹脂層9の厚さは1.7mm、台座部3の直径nは4mm、台座部3の高さdは1.0mm、台座部3の下面3aの面積は12.56mm2、小突起4の径mは1mm、小突起4の高さtは1.5mm、防滑用突起2の配置密度は平面視で10cm2当たり9個であった。また、小突起4(4A、4B)の軸線方向21と、マット本体8の下面8aに対する垂線22とがなす角度θは25°であった(図7参照)。また、マット1の裏側平面視において、小突起4(4A、4B)の軸線方向21と、該小突起4が設けられている位置での台座部3の径方向23とがなす角度(鋭角)βは45°であった(図9、10参照)。
【0072】
<実施例5>
角度θを20°に設定した以外は、実施例4と同様にして図1、6〜8に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0073】
<実施例6>
角度θを15°に設定した以外は、実施例4と同様にして図1、6〜8に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0074】
<実施例7>
角度βを35°に設定した以外は、実施例4と同様にして図1、6〜8に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0075】
<実施例8>
角度βを55°に設定した以外は、実施例4と同様にして図1、6〜8に示す構成の自動車用フロアーマット1を得た。
【0076】
<比較例1>
角度θを0°に設定した以外は、実施例1と同様にして自動車用フロアーマット(特許文献1に記載の従来構成)を得た。
【0077】
【表1】
【0078】
上記のようにして得られた各自動車用フロアーマットをそれぞれ自動車の床面カーペット上に載置し、この状態で実際に運転者が運転席に10回乗り降りしたところ、実施例1〜8の自動車用フロアーマットでは乗車時、降車時のいずれにおいてもマットの水平面内での回転ずれ移動(図1でE1、E2の方向への回転移動等)は生じなかったのに対し、比較例1の自動車用フロアーマットでは少し回転ずれ移動を生じることが多かった(表1参照)。
【0079】
また、実施例1〜8の自動車用フロアーマットは、自動車の床面カーペット上に載置した状態においてマットの水平面内での前後左右方向への直線的なずれ移動に対しても優れた防滑性を備えていた(表1参照)。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の自動車用フロアーマットは、例えば、自動車室内における運転者や同乗者の足元に敷いて用いられるフロアーマットとして、あるいは自動車の荷台マットや荷室マット等として用いられる。
【符号の説明】
【0081】
1…自動車用フロアーマット
2…防滑用突起
2A…第1防滑用突起
2B…第2防滑用突起
3…台座部
3a…台座部の下面
4…小突起
4A…第1小突起
4B…第2小突起
8…マット本体
8a…マット本体の下面
9…裏側樹脂層(マット本体の下面側部)
10…表材
21…小突起の軸線方向
22…マット本体の下面に対する垂線
23…台座部の径方向
E1…回転ずれ移動の方向
E2…回転ずれ移動の方向
F…径方向外方
G…時計回り方向の斜めにずれた斜め外方
H…反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方
θ…小突起の軸線方向とマット本体の下面に対する垂線とがなす角度(鋭角)
β…小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度(鋭角)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の略径方向の外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【請求項2】
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が5°〜18°の範囲である請求項1に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項3】
前記小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されている請求項1または2に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項4】
マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【請求項5】
マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【請求項6】
マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、第1小突起及び第2小突起を備え、
前記第1小突起は、該第1小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記第2小突起は、該第2小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【請求項7】
前記防滑用突起は、台座部の下面に1ないし複数の第1小突起が突設された第1防滑用突起と、台座部の下面に1ないし複数の第2小突起が突設された第2防滑用突起とを備えている請求項6に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項8】
前記マットの裏側平面視において、前記第1防滑用突起と前記第2防滑用突起とが相互分散状態に配置されている請求項7に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項9】
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が5°〜18°の範囲である請求項4〜8のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項10】
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度が30°〜60°の範囲である請求項4〜9のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項11】
前記小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されている請求項4〜10のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項12】
前記マット本体の少なくとも下面側部及び前記防滑用突起が、熱可塑性エラストマーで形成されている請求項1〜11のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項13】
前記熱可塑性エラストマーがSBSエラストマーである請求項12に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項1】
マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の略径方向の外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【請求項2】
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が5°〜18°の範囲である請求項1に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項3】
前記小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されている請求項1または2に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項4】
マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【請求項5】
マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【請求項6】
マット本体の下面に多数個の防滑用突起が相互に間隔をあけて設けられてなる自動車用フロアーマットであって、
前記防滑用突起は、前記マット本体の下面に設けられた台座部と、該台座部の下面に突設された1ないし複数の小突起とを備え、
前記小突起は、第1小突起及び第2小突起を備え、
前記第1小突起は、該第1小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記第2小突起は、該第2小突起が設けられている位置での台座部の径方向外方に対して裏側平面視での反時計回り方向の斜めにずれた斜め外方に向けて傾斜して突設され、
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が3°〜30°の範囲であり、
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度が10°〜70°の範囲であることを特徴とする自動車用フロアーマット。
【請求項7】
前記防滑用突起は、台座部の下面に1ないし複数の第1小突起が突設された第1防滑用突起と、台座部の下面に1ないし複数の第2小突起が突設された第2防滑用突起とを備えている請求項6に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項8】
前記マットの裏側平面視において、前記第1防滑用突起と前記第2防滑用突起とが相互分散状態に配置されている請求項7に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項9】
前記小突起の軸線方向と、前記マット本体の下面に対する垂線とがなす角度が5°〜18°の範囲である請求項4〜8のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項10】
前記マットの裏側平面視において、前記小突起の軸線方向と、該小突起が設けられている位置での台座部の径方向とがなす角度が30°〜60°の範囲である請求項4〜9のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項11】
前記小突起は、1つの台座部に対して少なくとも3個突設されている請求項4〜10のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項12】
前記マット本体の少なくとも下面側部及び前記防滑用突起が、熱可塑性エラストマーで形成されている請求項1〜11のいずれか1項に記載の自動車用フロアーマット。
【請求項13】
前記熱可塑性エラストマーがSBSエラストマーである請求項12に記載の自動車用フロアーマット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−76618(P2012−76618A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224024(P2010−224024)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000120696)永大化工株式会社 (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000120696)永大化工株式会社 (22)
【Fターム(参考)】
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