説明

自動車用小物収納具

【課題】 軟質のエラストマー素材であって弾性変形する特性をより活かした使い勝手の良い安全性にも優れた自動車用小物収納具を提供することを目的とする。
【解決手段】 タバコや携帯電話機などの小物を収納して使用する上面を開放した有底の箱状体からなる自動車用の小物収納具において、該小物収納具は、軟質のエラストマーで形成され、箱状体を形成する少なくとも一つの壁面に水平方向にスリットを設けたので、スリットがない壁面に比べて弾性変形性能が格段に向上した。これにより小物収納具の開放部寸法に対してほぼ同じ寸法の小物を既に収納している場合でも細身のペンや薄いライターなどの小物を容易に追加して収納することを可能とした。また、軟質のエラストマーから形成されているので収納した小物への傷付防止、自動車の走行振動による収納物のカタカタ音の防止、衝撃を吸収する安全性を兼ね備えた自動車用小物収納具を提供することが可能となったものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車室内での携帯電話機、携帯デジタルオーディオプレイヤー、タバコ、ライターなどの小物の収納具に関し、特に軟質のエラストマーからなる小物の収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のダッシュボードやドア内面などには、小物類を収納するためのボックスが予め備えられている。また、収納する物品に応じて自動車の室内のダッシュボードやドア内面、ピラーなどに両面粘着テープなどの止着手段を用いて取り付ける後付の収納具が種々提案されている。
【0003】
これら後付の収納具は従来から種々提案されており、例えば非特許文献1の「ナポレックス総合カタログ2006」のP.20に掲載されている「JK−3 ピラーポケット」は、出願人が従来から実施している軟質樹脂(エラストマー)のPVCで形成したポケット状の小物収納具であって、背面に両面粘着テープなどの止着手段を用いて自動車の運転席ピラーに取り付け、タバコや携帯電話機などの小物を収納して使用するものである。該小物収納具は、軟質樹脂のPVCから形成されているので、弾性変形することで小物収納具の開放部寸法に対して多少であれば縦寸あるいは横寸が大きめの小物であっても許容して挟着保持することが可能である。また、小物収納具の開放部寸法に対してほぼ同じ寸法の小物を収納している場合でも細身のペンや薄いライターであれば弾性変形することでさらに収納することができる。さらに、軟質素材から形成されているので乗員が何らかのはずみで衝突することがあっても衝撃を吸収するので安全面への配慮もされているものである。
【0004】
また、特許文献1の実用新案登録第3025730号公報「飲料容器立て」は、軟質素材からなる一般的な先行技術を示したものであり、前記非特許文献1と同様に安全面を配慮したものである。また、このような飲料容器立てに便宜上小物類を収納して使用することもよくあることである。
【0005】
【非特許文献1】 ナポレックス総合カタログ2006 P.20 JK−3 ピラーポケット
【特許文献1】 実用新案登録第3025730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、非特許文献1の小物収納具にあっては、軟質樹脂(エラストマー)のPVCで形成されているので壁面が弾性変形することで小物の寸法に対して多少は許容して挟着保持することができ、また、小物を収納している状態であっても細目や薄目の小物であればさらに収納することが可能であることは前述の通りであるが、実際には、弾性変形するという特性に甘んじて無理に入れたというに過ぎず、結果的には使い勝手の良いものではなく、収納しづらく取り出しづらい点、収納小物を傷付けたり変形させてしまったりといった不具合がある。これを解消するためには小物収納具自体や、より弾性変形させたい壁面や部分の厚みを薄く設定すれば良いのであるが、軟質樹故に腰が無くなり形状を保てないなど商品価値としての課題が生じてしまうのである。
【0007】
そこで本発明は、上記した課題を考慮し、軟質のエラストマーであって弾性変形する特性をより活かした使い勝手の良い安全性にも優れた自動車用小物収納具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上面を開放した有底の箱状体からなる自動車用の小物収納具において、該小物収納具は、軟質のエラストマーで形成され、箱状体を形成する少なくとも一つの壁面に水平方向にスリットを設けたことで解決される。
【発明の効果】
【0009】
タバコや携帯電話機などの小物を収納して使用する上面を開放した有底の箱状体からなる自動車用の小物収納具において、該小物収納具は、軟質のエラストマーで形成され、箱状体を形成する少なくとも一つの壁面に水平方向にスリットを設けたので、スリットがない壁面に比べて弾性変形性能が格段に向上したのである。これにより小物収納具の開放部寸法に対してほぼ同じ寸法の小物を既に収納している場合でも、細身のペンや薄いライターなどの小物を容易に追加して収納することを可能とした。また、軟質のエラストマーから形成されているので収納した小物への傷付防止、自動車の走行振動による収納物のカタカタ音の防止、衝撃を吸収する安全性を兼ね備えた自動車用小物収納具を提供することが可能となったものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の自動車用小物収納具について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の全体図であり、PVCやシリコンなどの軟質のエラストマーであって、(1)は上面を開放した有底で箱状体の自動車用の小物収納具であり、上面を開放した開放部(1a)、底面部(1b)、底面部(1b)から立設される前面、背面、両側面からなる壁面(1c)、そして少なくとも1つの壁面に水平方向に開口されたスリット(2)から構成される。
【0011】
本発明の小物収納具(1)は、自動車のダッシュボード上面や壁面に両面粘着テープなど止着手段(図示せず)を用いて取り付けて使用するが、ダッシュボードの上面に取り付けるのであれば底面部(1b)に、壁面に取り付けるのであれば壁面(1c)のうち背面側に両面粘着テープなどを用いて使い勝手が良いように適宜取り付ける。
【0012】
小物収納具(1)には、タバコやライター、携帯電話機などの小物類を収納して使用する。図2は一例としてタバコ(3)とライター(4)を収納した状態を示す図であり、図3は小物収納具(1)に前記タバコ(3)とライター(4)を収納した状態の断面図であって、図3(A)はタバコ(3)だけを収納した状態を示し小物収納具(1)の内壁前後の隙間はほとんどない状態に収納されている。小物収納具(1)はその材質を弾性変形が可能な軟質のエラストマーで形成しているので、タバコ(3)の前面にライター(4)を無理に収納することは可能である。しかしながらそれは決して使い勝手が良いものではなく、収納しづらく取り出しづらい点、収納物であるタバコ(3)に傷を付けたり変形させてしまうといった不具合が生じる。
【0013】
図3(B)はタバコ(3)の前面にライター(4)を収納した状態を示したものであるが、スリット(2)が設けられていることで、ライター(4)を収納する際にスリット(2)の上方の壁面(1c)が容易に前方に膨出し、無理なくライター(4)がタバコ(3)の前面に収納することが可能となる。
【0014】
このように、スリット(2)を設けたことにより壁面(1c)の弾性変形性能がスリット(2)のない壁面(1c)と比較して格段に向上しているので、小物収納具の開放部寸法に対してほぼ同じ寸法の小物を既に収納している場合でも細身のペンや薄いライターなどの小物を容易に追加して収納することが可能となった。また、軟質のエラストマーから形成されているので収納した小物への傷付防止、自動車の走行振動による収納物のカタカタ音の防止、衝撃を吸収する安全性を兼ね備えた自動車用小物収納具を提供することが可能となったものである。
【0015】
なお、前述した説明では、スリット(2)は1つの壁面に設けたが、複数の壁面に設けてもよく、この場合も効果は同様である。また、複数の壁面に設けたスリット(2)を水平方向において段違いに設けてもよく、この場合においてもその効果は同様である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の全体図である。
【図2】小物を収納した状態を示す図である。
【図3】小物を収納した状態の断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 小物収納具
1a 開放部
1b 底面部
1c 壁面
2 スリット
3 タバコ
4 ライター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を開放した有底の箱状体からなる自動車用の小物収納具において、該小物収納具は、軟質のエラストマーで形成され、箱状体を形成する少なくとも一つの壁面に水平方向にスリットを設けたことを特徴とする自動車用小物収納具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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