説明

自動車用耐荷重ボードおよびその製造方法

【課題】軽量でかつ十分な強度、特に、荷重に対する剛性および局所荷重に対する耐久性を有する自動車用耐荷重ボードを提供すること、ならびにこの自動車用耐荷重ボードを簡単な工程により製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明の自動車用耐荷重ボードは、第一繊維性基材と熱可塑性発泡コア層と第二繊維性基材とがこの順に積層されてなる積層構造体を一体プレスして得られるコアボードを備え、これらの繊維性基材は繊維状物と樹脂バインダーとを含有する絡合不織布でなり、そして熱可塑性発泡コア層を構成する樹脂成分の融点は、樹脂バインダーの融点よりも高い。本発明の自動車用耐荷重ボードは軽量であり、かつリーンホースなどの補強材を用いることなく、十分な強度を有し得、フロアボード、リアパッケージトレイなどに用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用耐荷重ボードおよびその製造方法に関する。より詳細には、樹脂発泡体を含む成形体でなる自動車用耐荷重ボードおよび該耐荷重ボードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車を構成する各種部品には、燃費向上のため軽量化すること、および環境に配慮してリサイクル可能な材料を使用することが重要視されている。
【0003】
例えば、自動車の室内を構成する内装部材(フロアボード、ドア材、天井材、リアトレイなど)は、かつて木質の合板が使用されていた。合板は、ある程度の強度を保持するためには十分な厚みが必要である。そのため、自動車用内装部材への木質合板の使用については、その厚みを確保すると重くなり、軽量化を達成するには強度が不十分であるという問題が指摘されていた。さらに、合板でなる内装部材は、リサイクルが困難であるという問題も有する。合板はまた、任意の所望の立体的形状を有するように加工することも困難である。そのため、自動車のデザインに制約を与える恐れもある。
【0004】
他方、住宅のような建築物において、建材に利用される木質材料からホルムアルデヒド(合板などの接着剤の成分である)や木材保存剤のような化学物質が徐々に放出されて、人体にアレルギー症を発症させるシックハウス症候群が問題となっている。これは、自動車のような比較的狭い室内においても懸念されるべき問題であり、この点からも合板の使用を回避する傾向にある。
【0005】
近年では、合板に代わり、樹脂製の自動車用内装部材が使用されている。樹脂は任意の形状に成形可能であるため、当該自動車のデザインにバリエーションを与えることもできる。しかし、樹脂製の自動車用内装部材は、強度に問題があることが指摘されている。
【0006】
このような樹脂製自動車内装部材における強度上の問題は、特に、フロアボード、リアパッケージトレイなどの、各種荷重に対して耐久性の求められる耐荷重ボード(板材)に関して重要である。
【0007】
自動車用フロアボードとは、自動車室内を構成する床面をいい、例えば、図10に示されるような自動車のトランクルームまたはラゲッジルームを構成する開閉可能な板状部材400をいう。自動車用フロアボードはまた、デッキボード、ラゲッジ(フロア)ボードなどとも呼ばれる。
【0008】
RV車のように、通常のセダン車よりも大きなスペアタイヤを自動車室内に収納する車においては、スペアタイヤが収納される部分を覆うフロアボードは、比較的大きな一枚の板材でなければならない。さらに、フロアボード上には、搭乗者の荷物などが置かれるため、荷重により容易にたわむまたは破損するような材料を用いることができない。したがって、樹脂製のフロアボードを採用する際には、これらの問題が生じないように強度の向上(特に、荷重に対する剛性の向上および局所荷重に対する耐久性の向上)が図られている。例えば、フロアボード内に多数の金属製のリーンホースを配置あるいは埋設することにより、強度の低下(すなわち、荷重に対する剛性の低下)が防止されている。しかし、実際は、多数のリーンホースの使用はフロアボード自体の質量を増すこととなり、軽量化の目的とは矛盾する。
【0009】
従来の自動車用耐荷重ボードとしては、例えば、特許文献1に記載の内装部品が知られている。図11は、特許文献1に記載の内装部品でなる耐荷重ボードの一例を示す模式断面図である。
【0010】
図11に示すように、従来の自動車用耐荷重ボード500は、2つの基材512と522との間に発泡材などの空気層を有する芯材530が挟持されてなる。基材512および522は、実質的にポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂でなるシートで構成されている。さらに、基材512および522の外表面には、表皮材514および524が貼着されている。
【0011】
図11に示されるような従来の自動車用耐荷重ボード500は、例えば、特許文献2に記載されるようなシートブロー技術を用いて製造される。すなわち、予め上下金型内にそれぞれ配置した基材512と522との間に芯材530を挟持させ、圧縮空気を導入しながら、基材512および522同士を接着または圧着させることによって製造される。このため、得られた耐荷重ボード500の内部には、製造時に導入される圧縮空気によって、空洞部540および544が必ず存在することとなる。
【0012】
この空洞部の存在は、耐荷重ボードのさらなる軽量化には貢献するが、その部分にかかる荷重に対しては何ら耐久性を保持し得ないので、耐荷重ボードの強度保持(特に局所荷重に対する耐久性の保持)にはむしろマイナスの影響を及ぼすこととなる。このため、従来の耐荷重ボードでは、補強の観点からやはりリーンホースのような補強材360を使用せざるを得ず、それに伴う質量の増加を避けることは困難である。
【0013】
特許文献3には、上記芯材として複数のエンボス部を有する熱可塑性樹脂製のコアシートを用い、このコアシートを上下の基材と密着させた合成樹脂ボードが開示されている。当該合成樹脂ボードは複数のエンボス部によってボード自体の軽量化と、リーンホースのような補強材の使用を回避して強度保持を達成しようとしている。
【0014】
しかし、特許文献3に記載の合成樹脂ボードを耐荷重ボードとして用い、その上に各種荷物などを長時間置くと、この耐荷重ボードの上の基材表面(例えば、表皮材の表面)に、その基材の下に存在する複数のエンボス部の凹部に沿って型が残ったりまたは基材が延びたりすることが考えられ、外観的な観点および凹部の上面の強度の観点から、必ずしも優れたものとはいえない。さらに、特許文献3に記載の合成樹脂ボードを用いたとしても、RV車またはSUV車に搭載されるような比較的大きなフロアボードでは、荷重に対する強度が不十分であり、リーンホースのような補強材の使用を完全に回避し得るものでもない。
【0015】
一方、基材(例えば、シート)の強度の向上による補強も種々検討されている。例えば、板状の発泡体と、シート状の繊維補強材と、表皮材とを含む、一体的に型成形された板状発泡成形体が特許文献4に開示されている。この成形体に用いられている繊維補強材は、繊維集合体およびその繊維間隙に含浸固化しかつ該発泡体と組成を同じくする樹脂からなるので、この補強材と発泡体の一部表面とが一体的に接合した状態で型成形される。しかし、この繊維補強材を構成する繊維集合体の繊維間隙で固化した樹脂は、必ずしも発泡しないわけではないため、耐荷重性を向上させるためにはパイプやアングルなどの補強材を挿設することが記載されており、やはり補強材の使用を回避するものではない。
【0016】
あるいは、特許文献5には、機械的強度と軽量化とを向上させる目的で、接着剤なしでガラス繊維マット強化外側層が取り付けられた発泡熱可塑性プラスチックのコア層を備える合成パネルが開示されている。このパネルにおいても、コア層と外側層(ガラス繊維マット)とは、同一のグループの熱可塑性材料が用いられている。しかし、このパネルは、剛性よりも弾性に優れる点を特徴としており、耐荷重性および軽量化はあまり重要視されていない。
【0017】
特許文献6には、樹脂基板の上下対称の位置に、少なくとも1層以上の織布状の繊維補強材と、最外側の樹脂表面層とがそれぞれ重ね合わされ、かつ加熱加圧して一体化された積層体が開示されている。しかし、十分な強度を得るためには、繊維補強材を10〜40体積%の割合になるように複数積層させる必要があり、軽量化については重要視されていない。
【0018】
剛性および形状保持を目的とした補強繊維シートとして、バインダーとして熱可塑性樹脂を結着し、さらに該熱可塑性樹脂の軟化点よりも高い硬化温度の熱硬化性樹脂を含浸させた繊維シートがある(特許文献7)。この補強繊維シートは、形状保持が主目的であり、軽量化に対する考慮はなされていない。
【0019】
さらに、基材表面へのシートの付与の観点からは、基材表面の汚染防止の目的で、発泡性樹脂などの通気性基材表面に非通気性のフィルムを貼着することが知られている(特許文献8)。特許文献8では、表面に貼着される非通気性フィルムは、成形前または成形中においては通気性を有するため、内側層である基材にも十分に熱風が送通される。ここでは、成形時の加熱溶融によって、通気性基材表面と非通気性フィルムとを貼着すると同時に、非通気性フィルムを形成させている。しかし、得られた内装基材は、天井などへの用途であり、剛性などを必要とする耐荷重ボードなどの用途は意図されていない。
【特許文献1】特開平10−80982号公報
【特許文献2】特開平10−24487号公報
【特許文献3】特開2001−145969号公報
【特許文献4】特開2002−28997号公報
【特許文献5】特表平10−510494号公報
【特許文献6】特許第2721820号明細書
【特許文献7】特開平9−19980号公報
【特許文献8】特許第2999948号明細書
【特許文献9】特開2005−68289号公報
【特許文献10】特開2006−182348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、軽量でかつ十分な強度、特に、荷重に対する剛性および局所荷重に対する耐久性を有する自動車用耐荷重ボードを提供することにある。本発明のさらに他の目的は、上記自動車用耐荷重ボードを簡単な工程により製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、自動車用耐荷重ボードを提供し、該自動車用耐荷重ボードは、
(a)第一繊維状物と第一樹脂バインダーとを含有する絡合不織布でなる、第一繊維性基材と、
(b)熱可塑性発泡コア層と、
(c)第二繊維状物と第二樹脂バインダーとを含有する絡合不織布でなる、第二繊維性基材と、
がこの順に積層されてなる積層構造体を一体プレスして得られるコアボードを含み、
該(b)熱可塑性発泡コア層を構成する樹脂成分の融点が、該(a)第一繊維性基材の該第一樹脂バインダーの融点および該(c)第二繊維性基材の該第二樹脂バインダーの融点よりも高い。
【0022】
1つの実施態様では、上記(a)第一繊維性基材および上記(c)第二繊維性基材は通気性を有する。
【0023】
1つの実施態様では、上記(a)第一繊維性基材は、クロスレイヤー法、エアレイヤー法、抄造法、ニードルパンチ法、またはウォーターニードルパンチ法により得られた絡合不織布である。
【0024】
1つの実施態様では、上記(c)第二繊維性基材は、クロスレイヤー法、エアレイヤー法、抄造法、ニードルパンチ法、またはウォーターニードルパンチ法により得られた絡合不織布である。
【0025】
さらなる実施態様では、上記(a)第一繊維性基材の上記第一繊維状物および上記(c)第二繊維性基材の上記第二繊維状物は、無機繊維および有機繊維からなる群より選択される少なくとも1種の繊維である。
【0026】
さらなる実施態様では、上記第一繊維状物および前記第二繊維状物は、ガラス繊維またはケナフ繊維である。
【0027】
1つの実施態様では、上記(b)熱可塑性発泡コア層の外表面のすべては、上記(a)第一繊維性基材と上記(c)第二繊維性基材との間で密着挟持されている。
【0028】
ある実施態様では、上記コアボードを構成する上記(a)第一繊維性基材の外側および/または上記(c)第二繊維性基材の外側に、それぞれ第一表皮材および/または第二表皮材が積層されている。
【0029】
1つの実施態様では、上記自動車用耐荷重ボードは、フロアボードまたはリアパッケージトレイである。
【0030】
本発明はまた、自動車用耐荷重ボードの製造方法を提供し、該方法は、
構成部材として、(a)第一繊維性基材、(b)熱可塑性発泡コア層および(c)第二繊維性基材をこの順序で配置して積層構造体を得る工程;および
該積層構造体を一体プレスしてコアボードを形成する工程;
を包含し、
該(a)第一繊維性基材が、第一繊維状物と第一樹脂バインダーとを含有する絡合不織布でなり、
該(c)第二繊維性基材が、第二繊維状物と第二樹脂バインダーとを含有する絡合不織布でなり、そして
該(b)熱可塑性発泡コア層を構成する樹脂成分の融点が、該(a)第一繊維性基材の該第一樹脂バインダーの融点および該(c)第二繊維性基材の該第二樹脂バインダーの融点よりも高い。
【0031】
ある実施態様では、上記方法は、上記積層構造体を得る工程の前に、
上記(a)第一繊維性基材および上記(c)第二繊維性基材を、上記(b)熱可塑性発泡コア層を構成する樹脂成分の融点よりも高い温度まで予め加熱する工程、
をさらに含む。
【0032】
1つの実施態様では、上記一体プレスしてコアボードを形成する工程においてまたは該工程後に、上記(a)第一繊維性基材および上記(c)第二繊維性基材は通気性を有する。
【0033】
1つの実施態様では、上記(a)第一繊維性基材は、クロスレイヤー法、エアレイヤー法、抄造法、ニードルパンチ法、またはウォーターニードルパンチ法により得られた絡合不織布である。
【0034】
1つの実施態様では、上記(c)第二繊維性基材は、クロスレイヤー法、エアレイヤー法、抄造法、ニードルパンチ法、またはウォーターニードルパンチ法により得られた絡合不織布である。
【0035】
さらなる実施態様では、上記(a)第一繊維性基材の上記第一繊維状物および上記(c)第二繊維性基材の上記第二繊維状物は、無機繊維および有機繊維からなる群より選択される少なくとも1種の繊維である。
【0036】
さらなる実施態様では、上記第一繊維状物および上記第二繊維状物は、ガラス繊維またはケナフ繊維である。
【0037】
1つの実施態様では、上記積層構造体を得る工程において、上記(b)熱可塑性発泡コア層の外表面のすべてに上記(a)第一繊維性基材および上記(c)第二繊維性基材を密着させるように配置する。
【0038】
さらなる実施態様では、上記積層構造体を得る工程において、上記コアボードを構成する上記(a)第一繊維性基材の外側および/または上記(c)第二繊維性基材の外側に、それぞれ第一表皮材および/または第二表皮材が配置されている。
【0039】
ある実施態様では、上記積層構造体を得る工程において、上記コアボードの外表面のすべてに、上記第一表皮材および上記第二表皮材を密着させるように配置する。
【0040】
1つの実施態様では、上記方法において、上記自動車用耐荷重ボードは、フロアボードまたはリアパッケージトレイである。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、リーンホースのような補強材を使用しなくても、十分な強度を有する自動車用耐荷重ボードを提供することができる。また、本発明の自動車用耐荷重ボードは、荷重に対するたわみが少ない一方で、荷重に対する剛性と局所荷重に対する耐久性といった当該耐荷重ボードに要求されるべき強度がともに優れており、かつ軽量化も達成し得るため、自動車の燃費向上にもより有用である。本発明の自動車用耐荷重ボードは、その強度および軽量さのため、RV車のような比較的大きなラゲッジスペースを有する自動車のフロアボードとしても利用することができる。さらに、本発明の自動車用耐荷重ボードは、簡易に製造することができる。
【0042】
さらに、本発明の自動車用耐荷重ボードにおいては、第一繊維性基材および第二繊維性基材が通気性を有することにより、プレス成形時にこれらの繊維性基材とコア層との間に残存する空気が抜け易く、繊維性基材とコア層とがより強固に接着されることが可能となる。このことにより、繊維性基材とコア層とがより強固に密着し、結果として耐荷重ボードの全体にわたって高い剛性を付与することができる。さらに、得られた耐荷重ボードは、表面に空気溜まりのような凹凸部分が形成されることなく、平滑で意匠性に優れた成形面を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、図面を用いて本発明を詳述する。
【0044】
本発明の自動車用耐荷重ボード(以下、単に「耐荷重ボード」という場合がある)を、自動車用フロアボードとして用いる例を挙げて説明する。図1は、本発明の自動車用耐荷重ボード100を、自動車用フロアボードとして用いる場合の、当該自動車用フロアボードの一例を説明するための模式図である。
【0045】
本発明の自動車用耐荷重ボードは、自動車の室内表面を構成する内装材または内装ボードの一種であって、自動車室内(例えば、車室、あるいは自動車の乗車空間(居住空間)および荷物空間を包含する空間内部をいう)の水平方向に設置され、荷物、小物などの物品が任意に載置され得る部分に用いられる。本発明の自動車用耐荷重ボードが用いられ得る自動車の種類は、特に限定されず、自動車全般が挙げられ、例えば、セダン、スポーツ、スペシャリティ、クーペ、ワゴン、ステーションワゴン、コンパクト、ミニバン、キャブワゴン、1BOX、2BOX、レクレーショナルビークル(RV)、スポーツユーティリティビークル(SUV)、軽自動車などの通常、閉鎖系の居住空間および荷物空間を備える車両;ならびにオープンカー、ロードスター、スパイダー、カブリオレ、クーペカブリオレ、コンバーチブル、フェートン、バルケッタ、タルガトップ、Tバールーフなどの一部または全部が開放系の居住空間を有しかつ閉鎖系の荷物空間を備える車両が挙げられる。このような耐荷重ボードは、載置された物品の荷重によって容易に撓んだり、変形したりすることがなく(すなわち、適度なたわみ強度を有し)、剛性に富み、かつ局所的な荷重に対する強度を有すること、ならびに車両の燃費に悪影響を及ぼさず、かつ人が比較的容易に持上げることができるような軽量さであることが所望される。したがって、本明細書で用いられる用語「耐荷重ボード」とは、上記内装材または内装ボードのうち、荷重に対して所定の耐久性を有するボードであって、物品などの載置を通じて荷重の負荷がかかる可能性がある部分に使用され得る内装材または内装ボードをいう。
【0046】
図2は、本発明の自動車用耐荷重ボードの一例の内部構造を説明するため模式図であって、図1に示す自動車用フロアボードのA−A’方向における模式断面図である。
【0047】
本発明の自動車用耐荷重ボード100は、第一表皮材110および第二表皮材120で密着して挟持されたコアボード130を備える。
【0048】
<コアボード>
さらに、本発明に用いられるコアボード130は、第一繊維性基材132と熱可塑性発泡コア層134と第二繊維性基材136とがこの順に積層されて一体プレスされてなる。
【0049】
<熱可塑性発泡コア層>
本発明に用いられる熱可塑性発泡コア層134は、複数の発泡樹脂粒子が、互いに接触しかつ均一に存在する樹脂発泡体でなる。熱可塑性発泡コア層は、好ましくは0.01g/cm〜0.25g/cm、より好ましくは0.03g/cm〜0.1g/cmの密度(見かけ密度)を有する。
【0050】
熱可塑性発泡コア層134の素材は、熱可塑性発泡コア層134を構成する樹脂成分の融点が、第一繊維性基材132の第一樹脂バインダーの融点および第二繊維性基材136の第二樹脂バインダーの融点よりも高い限りは、特に限定されない。例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキサイド、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体、およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)でなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂が挙げられる。成形が容易でかつ得られた発泡体の強度が比較的高い点で、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)を用いることが、特に好ましい。
【0051】
このような熱可塑性発泡コア層134は、通常、発泡剤を含浸させた樹脂ビーズを用いて、例えば、特許文献9または10に記載の方法に基づいて製造することができる。以下、熱可塑性発泡コア層134の製造方法を具体的に説明する。
【0052】
発泡剤を含浸させた樹脂ビーズは、当業者が通常用いる方法により製造される。発泡剤を含浸させたポリスチレンビーズを例に挙げて説明する。まず、スチレンの懸濁重合を行い、得られたビーズを分級し、所望のサイズのポリスチレンビーズを得る。これを水中に懸濁させ、これに発泡剤を加圧状態で加え、このポリスチレンビーズ中に含浸させる。あるいは、スチレンの重合反応が90%以上進行した時点で、加圧状態において発泡剤を加え、ポリスチレンビーズに発泡剤を含浸させる。発泡剤としては、ブタン、プロパン、ペンタンなどが用いられる。このようにして得られた発泡剤含浸樹脂ビーズを、洗浄し、乾燥させ、必要に応じて分級する。ポリスチレン以外の樹脂においても、これに準じた方法で発泡剤を含浸させ得る。
【0053】
このようにして得られた発泡剤を含浸させた樹脂ビーズの粒径は、好ましくは0.6mm〜2mm、より好ましくは0.8mm〜1.5mmである。発泡剤は、ビーズ中に好ましくは3質量%〜7質量%、より好ましくは4質量%〜6質量%の割合で含浸される。
【0054】
次いで、この発泡剤を含浸させた樹脂ビーズを発泡させ、所望の形状に成形する。図2に示す本発明に用いられる熱可塑性発泡コア層134は、少なくとも2段階に分けて発泡が行われることが好ましく、より好ましくは1次発泡および2次発泡の2段階の発泡工程が採用される。すなわち、この2段階の発泡工程が採用される場合、第1段階(1次発泡工程)では、樹脂ビーズを所定の嵩密度まで発泡(予備発泡)し、次いで、第2段階(2次発泡工程)では、発泡成形品として所定の密度となるように成形(2次発泡)させる。3段階以上の工程に分けて発泡させることも可能である。
【0055】
例えば、本発明に用いられる熱可塑性発泡コア層134を、2段階の発泡工程により製造する方法について説明する。まず、発泡剤含浸樹脂ビーズをスチームなどにより加熱して、所定の嵩密度まで、好ましくは3倍〜5倍の発泡倍率で発泡(一次発泡)させる。一次発泡させたビーズを熟成させた後、乾燥させ、ビーズ内部の圧力を平衡化させる。次いで、この一次発泡ビーズを所望の金型に充填し、加熱して、例えば、成形品とほぼ同等の大きさになるように、好ましくは一次発泡前のビーズの容積を基準として、5倍〜12倍の発泡倍率で発泡させることができる(二次発泡)。
【0056】
このようにして得られる熱可塑性発泡コア層134は、上記発泡工程の合計で、好ましくは4倍〜12倍、さらに好ましくは5倍〜10倍の発泡倍率で発泡されて得られる樹脂発泡体であり、この樹脂発泡体は、0.09g/cm〜0.25g/cm、好ましくは0.1g/cm〜0.2g/cmの密度(見かけ比重)を有する。
【0057】
この樹脂発泡体においては、発泡後の樹脂粒子(以下、「発泡樹脂粒子」という)が、互いに接触して存在し、発泡粒子は均一に存在する。ここで、「均一に存在する」とは、ほぼ同一のサイズでほぼ同一の発泡の度合いの発泡樹脂粒子が樹脂発泡体全体にわたって存在することをいい、樹脂発泡体全体にわたって発泡樹脂粒子の密度がほぼ均一であることを示す。特に、上記のような多段階の発泡を行った場合には、樹脂ビーズがより均一に発泡して、発泡樹脂粒子となり、この発泡樹脂粒子が互いに接触して均一に存在する樹脂発泡体が得られる。これにより、この樹脂発泡体を含む成形体を自動車用耐荷重ボード100に用いると、耐荷重ボード100にかかる荷重を発泡樹脂粒子のそれぞれに分散させることができる。さらに、上記多段階発泡によれば、1つの発泡樹脂粒子において表層部分と中心部分との間には発泡の度合いに差が生じる。発泡樹脂粒子の中心部分は粒子の表層部分よりも発泡の度合いが大きい。したがって、発泡樹脂粒子の表層部分は、発泡による空隙のサイズが中心部分のものよりも小さいため、中心部分よりも堅い。さらに、隣接する発泡樹脂粒子の間においては、粒子同士が表層部分を通じて互いに接触し、その接触面がこの樹脂発泡体全体に形成される。その結果、発泡体を構成するすべての発泡樹脂粒子の表層部分を通じてマトリックスを構成するような構造となる。したがって、本発明に用いられる熱可塑性発泡コア層134は、優れた強度(特に、荷重に対する剛性の向上と局所荷重に対する耐久性の向上)を提供する。
【0058】
本発明に用いられる熱可塑性発泡コア層134における発泡樹脂粒子のサイズは、好ましくは0.8mm〜3mmである。このように比較的小さい発泡粒子とすることで、自動車用耐荷重ボード100に使用される際の各種荷重に対する剛性と局部荷重に対する耐久性とが向上する。また、樹脂発泡体は軽量であるため、自動車用耐荷重ボード100自体の軽量化をも達成し得る。
【0059】
さらに、本発明に用いられる熱可塑性発泡コア層134は、例えば、加熱溶融して脱泡することにより、再度樹脂として使用することが可能である。リモネン系溶媒を用いて溶解させ、再利用することが可能な樹脂もある。この点で、本発明に用いられる熱可塑性発泡コア層134は、リサイクルが容易であり、環境的かつ経済的観点からも有用である。
【0060】
本発明に用いられる熱可塑性発泡コア層134の大きさは、本発明の耐荷重ボード100が使用される自動車のラゲッジスペースまたはリアスペースの容量、自動車の種類などによって変動するため、特に限定されない。熱可塑性発泡コア層134の厚みもまた、特に限定されない。熱可塑性発泡コア層134の厚みは、好ましくは5mm〜50mm、より好ましくは10mm〜30mmである。
【0061】
また、本発明に用いられる熱可塑性発泡コア層134は、75mm×300mm×15mmのサイズ試験片において、その中心付近で200mmの間隔の2点の支点で支えて、室温にて荷重速度30mm/minで荷重した場合に、好ましくは少なくとも70N/10mm、より好ましくは72〜90N/10mmの弾性勾配を有する。ここで、弾性勾配(N/10mm)は、上記の条件下で試験片が10mmたわむために必要な応力を表しており、弾性勾配の値が大きいほど剛性が高い。熱可塑性発泡コア層134が、このように大きな弾性勾配を有すると、リーンホースのような補強材をコア層内に備えなくても、十分な荷重に対する剛性が得られ得る。
【0062】
なお、本発明に用いられる熱可塑性発泡コア層134はまた、当該コア層全体として非通気性であることが好ましい。
【0063】
<第一繊維性基材および第二繊維性基材>
まず、第一繊維性基材132について言及すると、図2に示されるように、当該本発明に用いられる第一繊維性基材132は、上記熱可塑性発泡コア層134の一方の面(すなわち、図2における下面)側に積層されている。
【0064】
第一繊維性基材132の厚みは、特に限定されず、好ましくは0.8mm〜2.4mmであり、より好ましくは1mm〜2.2mmである。第一繊維性基材132は、後述する一体プレスの際、積層された熱可塑性発泡コア層134から第一表皮材110までの間に滞留する空気を金型外部に排出し得る程度の通気性を有していることが好ましい。この通気性のため、一体プレスの際に、積層された各材料の間に残存し得る空気が適度に当該繊維状物間に分散し得る。したがって、空気溜まりの形成の回避だけでなく、第一繊維性基材134を中心とした第一表皮材110および熱可塑性発泡コア層134のそれぞれの層間の密着性も高まる。本発明に用いられる第一繊維性基材132自体の通気性は、好ましくは約1〜200cc/cm・sである。なお、第一繊維性基材132は、もともと通気性を有する基材であってもよく、加熱前には非通気性であっても加熱後に通気性を有するものであればよい。
【0065】
このような第一繊維性基材132は、第一繊維状物と第一樹脂バインダーとを含有する絡合不織布でなる。
【0066】
第一繊維状物としては、無機繊維、有機繊維、これらの組合せなどが挙げられる。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、バサルトファイバー、ウォラストナイト、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、ホウ素繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素チタン酸カリウム繊維、および金属繊維が挙げられる。有機繊維としては、例えば、植物繊維および動物繊維のような天然繊維;ならびに合成繊維、再生繊維、および半合成繊維のような化学繊維が挙げられる。
【0067】
植物繊維としては、例えば、綿、麻、ケナフ繊維、竹繊維、バナナ繊維、ココナッツ繊維およびそれらの組合せが挙げられる。動物繊維としては、例えば、ウール、絹、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0068】
合成繊維としては、例えば、ポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアリレート繊維、およびポリ乳酸繊維);ポリアミド繊維(例えば、ナイロン、ナイロン6、およびナイロン66のような脂肪族ポリアミド系繊維ならびにアラミド繊維のような芳香族ポリアミド系繊維);ビニロン繊維のようなポリビニルアルコール系繊維;ビニリデン繊維のようなポリ塩化ビニリデン系繊維;ポリ塩化ビニル繊維のようなポリ塩化ビニル系繊維;アクリル繊維またはアクリル系繊維のようなポリアクリロニトリル系繊維;ポリエチレン繊維のようなポリエチレン系繊維;ポリプロピレン繊維のようなポリプロピレン系繊維;スパンデックスのようなポリウレタン系繊維;フッ素系繊維;ポリフェニレンサルファイド繊維;ポリイミド繊維;アクリレート繊維;エチレンビニルアルコール繊維;およびポリエーテルエステル繊維;ならびにそれらの組合せが挙げられる。半合成繊維としては、例えば、アセテート、ニトロセルロース繊維、およびそれらの組合せが挙げられる。再生繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0069】
本発明においては、上記繊維状物のうち、得られる耐荷重ボードにより強度を付与し得、かつ入手も容易であるとの理由から、ガラス繊維および/またはケナフ繊維を用いることが好ましい。繊維状物の繊維径、長さ、アスペクト比などの外観は、特に限定されない。これらの繊維状物は、フィラメント(長繊維)またはステープル(短繊維)のいずれのものを使用してもよい。
【0070】
本発明において、第一繊維性基材132に用いられ得る第一樹脂バインダーは、その融点が、上記熱可塑性発泡コア層134を構成する樹脂成分の融点よりも低い。そのため、以下で詳述する一体プレス時の加熱によっても熱可塑性発泡コア層134の形状を安定に保ったまま、第一繊維性基材132中の第一樹脂バインダーのみを一部溶融させて、第一繊維性基材132を熱可塑性発泡コア層134の表面に(さらには、外側に積層される第一表皮材とも)、より十分に密着させることが可能である。熱可塑性発泡コア層134を構成する樹脂成分の融点と、第一繊維性基材132に用いられ得る第一樹脂バインダーの融点とは、好ましくは少なくとも10℃、より好ましくは少なくとも20℃の差があることが好ましい。熱可塑性発泡コア層134を構成する樹脂成分の融点と第一樹脂バインダーとが同じ樹脂成分の融点が同じである場合は、一体プレス時の加熱により第一樹脂バインダーを溶融させると、熱可塑性発泡コア層134も溶融するので、熱可塑性発泡コア層134の形状を維持できない。したがって、製造された成形品の寸法安定性に欠ける。一方、一体プレス時の加熱温度がこれらの融点よりも低いと、熱可塑性発泡コア層134の表面への第一繊維性基材132の密着が不十分となり得る。
【0071】
本発明において、第一繊維性基材132に用いられ得る第一樹脂バインダーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、およびそれらの組合せが挙げられる。上述のように、熱可塑性発泡コア層134を構成する樹脂成分に応じて、この樹脂成分よりも融点が低い樹脂が適宜選択される。
【0072】
第一繊維性基材132における第一繊維状物と第一樹脂バインダーとの質量比は、後述する一体プレス時に必要とされる程度の通気性を有し、かつ繊維成分の含有による基材自体に粘りを提供させる目的を考慮すれば、10:90〜90:10の範囲内にあることが好ましく、40:60〜60:40の範囲内にあることがより好ましい。あるいは、上記第一繊維性基材32は、好ましくは400g/m〜2000g/m、より好ましくは500g/m〜1100g/mの目付け量を有し得る。
【0073】
第一繊維性基材132は、繊維状物と第一樹脂バインダーとを当業者に公知の手段を用いて絡合させて得られる、絡合不織布である。絡合とは、短繊維あるいはフィラメントを規則的または不規則的に絡ませることをいう。絡合不織布とは、繊維がランダムに配向しており、交流、および/または融着、および/または接着によって繊維間が結合された繊維シートをいう。絡合不織布は、例えば、クロスレイヤー法、エアレイヤー法、抄造法、ニードルパンチ法、またはウォーターニードルパンチ法により得られる。本発明においては、第一繊維性基材132は、第一繊維状物の結合部分が第一樹脂バインダーで接着あるいは溶着されている。このような繊維状物および第一樹脂バインダーを含んで構成される繊維性基材は市販により入手可能である。
【0074】
上記第一繊維性基材132は、絡合不織布であるため、編物または織物のような布帛とは異なり、基材自体が伸びにくい。そのため、熱可塑性発泡コア層134の表面に密着した場合、その伸びにくさにより、熱可塑性発泡コア層134のたわみを抑制し、コアボード130に剛性を付与する効果も有し得る。
【0075】
本発明においては、第一繊維性基材132と熱可塑性発泡コア層134とは、図示していないが、任意の接着剤層を介して互いに密着して積層されていてもよい。
【0076】
次に、第二繊維性基材136について説明すると、図2に示されるように、当該本発明に用いられる第二繊維性基材136は、上記熱可塑性発泡コア層134の他方の面(すなわち、図2における上面、あるいは上記熱可塑性発泡コア層134と上記第一繊維性基材132とが積層されている側と反対の面)側に積層されている。
【0077】
第二繊維性基材136の厚みもまた、特に限定されず、好ましくは0.8mm〜2.4mmであり、より好ましくは1mm〜2.2mmである。第二繊維性基材136は、上記第一繊維性基材132と同様に、後述する一体プレスの際、積層された熱可塑性発泡コア層134から第二表皮材120までの間に滞留する空気を金型外部に排出し得る程度の通気性を有していることが好ましい。この通気性ため、一体プレスの際に、積層された各材料の間に残存し得る空気が適度に当該繊維成分間に分散し得る。本発明に用いられる第二繊維性基材136自体の通気性は、好ましくは約1〜200cc/cm・sである。なお、第二繊維性基材136は、もともと通気性を有する基材であってもよく、加熱前には非通気性であっても加熱後に通気性を有するものであればよい。
【0078】
本発明に用いられる第二繊維性基材136の材質としては、上記第一繊維性基材132と同様の材質が挙げられる。すなわち、第二繊維性基材136は、第二繊維状物と第二樹脂バインダーとを含有する絡合不織布でなり、そして第二樹脂バインダーは、その融点が、上記熱可塑性発泡コア層134を構成する樹脂成分の融点よりも低い。本発明において、第二繊維性基材136と第一繊維性基材132とは、同一の材質および大きさで構成されていてもよく、あるいは、必ずしも完全に同一のものである必要はなく、互いに異なる材質および/または大きさで構成されていてもよい。
【0079】
本発明においては、第二繊維性基材136と熱可塑性発泡コア層134とは、図示していないが、任意の接着剤層を介して互いに密着して積層されていてもよい。
【0080】
本発明に用いられる第一繊維性基材132および第二繊維性基材136は、上記のようにその内部に各種の繊維成分を含有する。これにより、後述するような一体プレスによっても、積層された各材料の間に残存し得る空気が適度に当該繊維成分間に分散し、空気溜まりのような意匠性を阻害する要因も回避され、むしろこうした空気溜まりの形成の回避に伴って各繊維性基材を中心とした表皮材および熱可塑性発泡コア層の層間の密着性が高まり、耐荷重ボード100の剛性および局所荷重に対する強度を向上させる。また、第一繊維性基材132および第二繊維性基材136が、このような繊維成分を含有する絡合不織布であることにより、基材内で繊維成分が互いに絡み合って当該繊維性基材自体に荷重に対する粘りを提供し、さらに、織物や編物とは異なって基材自体が伸びにくいため、これも耐荷重ボード100の剛性および局所荷重に対する強度の向上に寄与する。さらに、当該繊維性基材132および136の樹脂バインダーの融点が熱可塑性発泡コア層134を構成する樹脂成分の融点よりも低いことにより、熱可塑性発泡コア層134を変形させることなく、熱可塑性発泡コア層134との密着性をさらに高めて、耐荷重ボード100の剛性および局所荷重に対する強度の向上に寄与する。
【0081】
<第一表皮材および第二表皮材>
本発明に用いられ得る第一表皮材110は、上記第一繊維性基材132よりも通気性に劣ることが好ましく、非通気性であることがより好ましい。第一表皮材110は、熱可塑性樹脂、天然または人工レザーなどの従来のフロアボードまたはリアパッケージトレイに使用され得る材料から構成されている。第一表皮材110に使用される熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0082】
第一表皮材110の厚みは、特に限定されず、好ましくは10g/m〜500g/m、より好ましくは50g/m〜300g/mの目付け量を有する。
【0083】
本発明において、第一表皮材110は、好ましくは第一繊維性基材132の外表面(すなわち、本発明の耐荷重ボードにおいて、積層方向における外側)の全体を完全に覆う。さらに、第一表皮材110と第一繊維性基材132との間は、図示していないが、接着剤層を介して密着していることが好ましい。
【0084】
本発明に用いられる第二表皮材120は、上記第二繊維性基材136よりも通気性に劣ることが好ましく、非通気性であることがより好ましい。上記第一表皮材110と同様に、第二表皮材120は、熱可塑性樹脂、天然または人工レザーなどの、従来のフロアボードまたはリアパッケージトレイに使用され得る材料から構成されている。第二表皮材120に使用される熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、およびそれらの組合せが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0085】
第二表皮材120の厚みは、特に限定されず、好ましくは10g/m〜500g/m、より好ましくは50g/m〜300g/mの目付け量を有する。
【0086】
本発明に用いられる第二表皮材120の材質としては、上記第一表皮材110と同様の材質が挙げられる。本発明において、第二表皮材120と第一表皮材110とは、同一の材質および大きさで構成されていてもよく、あるいは、必ずしも完全に同一のものである必要はなく、互いに異なる材質および/または大きさで構成されていてもよい。
【0087】
本発明において、第二表皮材120は、好ましくは第二繊維性基材136の外表面(すなわち、本発明の耐荷重ボードにおいて、積層方向におけるより上側)の全体を完全に覆う。さらに、第二表皮材120と第二繊維性基材136との間は、図示していないが、接着剤層を介して密着していることが好ましい。
【0088】
図3は、本発明の自動車用耐荷重ボードの他の例を説明するため模式図であって、当該自動車用フロアボードの長さ方向における模式断面図である。
【0089】
図3に示される本発明の自動車用耐荷重ボード200は、上記自動車用耐荷重ボード100に対し、荷重に対する剛性および局所的荷重に対する強度をさらに向上させ得るものである。
【0090】
本発明の自動車用耐荷重ボード200では、上記と同様の材料でなる熱可塑性発泡コア層134と、これを(必要に応じて、図示しない任意の接着剤層を介して)密着挟持する2つの繊維性基材(すなわち、第一繊維性基材232および第二繊維性基材236)とでコアボード230を構成する。ここで、当該熱可塑性発泡コア層134の外表面のすべてが、第一繊維性基材232および第二繊維性基材236との間で密着挟持されている。言い換えれば、当該熱可塑性発泡コア層134の外表面のうち、上下面(または表裏面)に加え、側面も第一繊維性基材232または第二繊維性基材236のいずれかによって覆われている。この場合、熱可塑性発泡コア層134を構成する樹脂成分の融点が、第一繊維性基材232の第一樹脂バインダーの融点および第二繊維性基材236の第二樹脂バインダーの融点よりも高いので、熱可塑性発泡コア層134の形状を安定に保持したまま、その外表面全体を第一繊維性基材232および第二繊維性基材236で密着させて覆うことができる。このように、第一繊維性基材232および第二繊維性基材236による熱可塑性発泡コア層134への密着面積を増加させることにより、各繊維性基材と熱可塑性発泡コア層との間の密着強度が向上し、耐荷重ボード全体としての剛性および局所的荷重に対する強度をも高めることができる。したがって、本発明においては、このような耐荷重ボードの剛性および局所的荷重に対する強度をさらに一層向上させるために、当該熱可塑性発泡コア層134の外表面のうち、上下面のすべてに加え、側面のすべても第一繊維性基材232または第二繊維性基材236のいずれかによって覆われていることが好ましい。
【0091】
また、第一繊維性基材232および第二繊維性基材236が通気性を有する場合は、一体プレスの際に、積層された各材料の間に残存し得る空気が適度に各基材中の繊維状物間に分散し得るため、空気溜まりを生じることなく、熱可塑性発泡コア層134の外表面を密着させて覆うことができる。したがって、図3に示す自動車用耐荷重ボード200のような構成を有する場合には、第一繊維性基材232および第二繊維性基材236が通気性を有することが好ましい。
【0092】
さらに、本発明においては、各繊維性基材と各表皮材との密着面積を増加させることにより、耐荷重ボード全体としての剛性および局所荷重に対する強度を一層高めることもできる。
【0093】
すなわち、図3に示されるように、本発明の自動車用耐荷重ボード200では、コアボード230のすべてが、これを(必要に応じて、図示しない任意の接着剤層を介して)上記と同様の材料でなる第一表皮材210および第二表皮材220との間で密着挟持されている。言い換えれば、当該コアボード230の外表面のうち、上下面(または表裏面)に加え、側面も第一表皮材210または第二表皮材220のいずれかによって覆われている。このように、第一表皮材210および第二表皮材220によるコアボード230への密着面積(すなわち、第一繊維性基材232および第二繊維性基材236への密着面積)を増加させることにより、各表皮材とコアボードとの間の密着強度(すなわち、各表皮材と各繊維性基材との間の密着強度)が向上し、耐荷重ボード全体としての剛性および局所的荷重に対する強度をもさらに高めることができる。したがって、本発明においては、このような耐荷重ボードの剛性および局所的荷重に対する強度をさらに一層向上させるために、当該コアボード230の外表面のうち、上下面のすべてに加え、側面のすべても第一表皮材210または第二表皮材220のいずれかによって覆われていることが好ましい。
【0094】
なお、図3においては、第一繊維性基材232および第二繊維性基材236の各端部、ならびに第一表皮材210および第二表皮材220の各端部は、それぞれ互いに耐荷重ボード200の厚み方向のほぼ中央部で接着されているが、本発明においては必ずしもこれらの構成に限定されない。
【0095】
例えば、本発明においては、図4に示されるように、第一繊維性基材232および第二繊維性基材236の各端部ならびに第一表皮材210と第二表皮材220の各端部を、それぞれ互いに耐荷重ボードの厚さ方向下端Aで接着してもよい。下端Aで接着することにより、本発明の自動車用耐荷重ボードの側面は、実質的に第二表皮材236のみで覆われることとなり、当該ボードを側方から見ても第一表皮材210および第二表皮材220の接着部分が継ぎ目線(境界)として見えにくく、意匠性が向上するという利点がある。より具体的には、このような位置に継ぎ目線があれば、例えば、図5に示されるように、実際にフロアボード等として自動車のトランクルーム配置する際においても荷物の積み下ろしを行う人の死角となり得る。
【0096】
図6は、本発明の自動車用耐荷重ボードのさらに他の例を説明するため模式図であって、(a)はコアボードのみで構成される本発明の自動車耐荷重ボードの長さ方向における模式断面図であり、(b)はコアボードの片側に第一表皮材のみが積層されてなる本発明の自動車耐荷重ボードの長さ方向における模式断面図であり、そして(c)はコアボードの片側に第二表皮材のみが積層されてなる本発明の自動車耐荷重ボードの長さ方向における模式断面図である。
【0097】
図6の(a)から(c)のそれぞれに示されるように、本発明においては、上記第一表皮材110および第二表皮材120で密着して挟持されたコアボード130を備える限り、必ずしも第一表皮材および第二表皮材の積層は必須とされない。すなわち、図6の(a)に示されるように、コアボード130単独を、自動車用耐荷重ボード300として使用してもよく、図6の(b)または(c)に示されるように、使用目的に応じて、コアボード130のいずれか一方の外側に、第一表皮材110または第二表皮材120を積層することにより、自動車用耐荷重ボード310または320としてもよい。
【0098】
図1から図3および図6に示される自動車用耐荷重ボード100、200、300、310、および320は、いずれも所定の厚みを有し、水平方向において平面を形成し得るように表されているが、本発明は、必ずしもこうした形状に限定されない。ラゲッジスペース内に載置される物品の転倒またはすべり防止のため、任意の凹凸が耐荷重ボード表面に形成され得るように、上記コアボード(より具体的には熱可塑性発泡コア層)自体に突起構造が設けられてもよい。さらに、図1の耐荷重ボード100は、ほぼ矩形の平面形状で表現されているが、本発明は、特にこの形状に限定されるものでもない。ラゲッジスペース内の立体的形状に応じて、任意の平面形状を有し得る。さらに、再び図1を参照すると、本発明の耐荷重ボード100は、必要に応じて、ラゲッジスペース内で耐荷重ボードの開閉を容易にするための把持部106を有していてもよい。把持部106は、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂、アルミニウム、ステンレスなどの金属などの材料からなり、ボード表面に取り付けられている。
【0099】
<自動車用耐荷重ボードの製造方法>
次に、本発明の自動車用耐荷重ボードの製造方法について説明する。
【0100】
図7は、図3に示される本発明の自動車用耐荷重ボード200の製造を行う際の手順を説明するための模式図であって、(a)は金型内に、耐荷重ボードを構成する各種材料を順番に配置する状態を説明するための図であり、(b)は、配置された各種材料を一体的にプレスしている状態を説明するための図であり、そして(c)は一体プレスした後の金型内の状態を説明するための図である。
【0101】
本発明においては、まず、図7の(a)に示されるように、一方の金型362の上に、第一表皮材210、第一繊維性基材232、熱可塑性発泡コア層134、第二繊維状基材236、および第二表皮材220がこの順序に配置され、未だ密着していない状態にある「積層構造体」が形成される。
【0102】
ここで、熱可塑性発泡コア層134は、製造される耐荷重ボードの目的および形状(例えば、フロアボードまたはリアパッケージトレイとしての使用およびその形状)に応じて、予め所望の形状に成形されている。熱可塑性コア層134はまた、予め外表面に、スチレンブタジエンゴム(SBR)系接着剤などの接着剤が、接着強度を高めるために適宜(例えば、外表面全体にほぼ均一に)塗布されていてもよい。熱可塑性発泡コア層134に塗布され得る接着剤の量または厚みは、当業者によって任意に調整され得る。
【0103】
第一繊維状基材232および第二繊維状基材236には、それぞれ、第一表皮材210または第二表皮材220と対向する面に、予め上記と同様の接着剤が、接着強度を高めるために適宜塗布されてもよい。あるいは、第一繊維状基材232および第二繊維状基材236の両面に、予めSBR系接着剤などの接着剤が、適宜塗布されていてもよい。第一繊維状基材232および第二繊維状基材236に塗布され得る接着剤の量または厚みもまた、当業者によって任意に調整され得る。
【0104】
なお、上記積層構造体のうち、第一繊維性基材232および第二繊維性基材236は、例えば、熱盤または熱風炉によって所定温度に加熱されていることが好ましい。特に、本発明においては、当該積層構造体の配置に積層した際に熱可塑性発泡コア層134の表面をわずかに溶解する点、ならびに第一繊維性基材232および第二繊維性基材236を構成する各第一繊維状物および第二繊維状物ならびに樹脂バインダーとのアンカー効果および接着性を向上させる点から、上記積層構造体を形成する前に、第一繊維性基材232および第二繊維性基材236をそれぞれ、熱可塑性発泡コア層134を構成する樹脂成分の融点よりも高い温度にまで予め加熱しておき、これを用いて当該熱可塑性発泡コア層134を挟持することが好ましい。このような第一繊維性基材232および第二繊維性基材236の加熱温度は、例えば、130℃〜350℃である。これに対し、熱可塑性発泡コア層134は、上記積層構造体の配置に積層される前には、必ずしも加熱されていなくてもよい。
【0105】
次いで、図7の(b)を参照すると、金型362上に配置された積層構造体は、その上部から他方の金型364で積層方向に沿って一体的にプレスされる。このとき、熱可塑性発泡コア層134を被覆するように第一繊維状基材232および第二繊維状基材236が密着され、第一繊維状基材232を被覆するように第一表皮材210が密着され、そして第二繊維状基材236を被覆するように第二表皮材220が密着される。また、このプレスを通じ、金型362、364の内側形状に沿って第一繊維状基材232の厚み方向端部と第二繊維状基材236の厚み方向端部とが密着し、そして第一表皮材210の厚み方向端部と第二表皮材220の厚み方向端部とが密着する。
【0106】
上記一体プレス工程において、各種材料を積層した際に材料間に挟まれて残留する空気は、積層された材料の間を通じて平面方向に排出される。他方、材料間には極微量の空気が排出されることなく残存する可能性もあることが考えられる。しかし、仮にこのような空気の残存があったとしても、本発明において各表皮材と熱可塑性発泡コア層との間に配置される第一繊維状基材および第二繊維状基材は、その構成成分として繊維状物を含有する絡合不織布であるため、繊維状物の間に残存空気がトラップされかつ均一に分散する。その結果、第一表皮材210または第二表皮材220の表面には耐荷重ボードの外観性を喪失させるような、空気溜まりなどの隆起物が形成されることが回避され得る。空気溜まりの形成は、第一繊維状基材232と第一表皮材210との間の密着度および第二繊維状基材236と第二表皮材220との間の密着度をそれぞれ弱める原因となり得る。したがって、空気溜まりの回避により、これらの密着度を高めることができ、耐荷重ボード全体としての剛性を高め、かつ局所的荷重に対する強度を向上させ得る。
【0107】
上記一体プレス工程において、上記積層構造体に付与されるプレス圧は、熱可塑性発泡コア層、第一および第二繊維性基材、ならびに第一および第二表皮材として使用する材料の種類、大きさかつ厚み、その他立体的形状の有無などの各種パラメータによって変動し得るため、必ずしも限定されず、当業者によって任意に調節され得る。他方、採用され得るプレス条件としては、金型温度は好ましくは30℃〜40℃であり、そして圧締時間は好ましくは10秒〜30秒である。
【0108】
上記一体プレス後、図7の(c)に示されるように、金型364が開放され、本発明の自動車用耐荷重ボード200が取り出される。得られた耐荷重ボード200は、必要に応じて、当業者に公知の手段(例えば、バーナーまたはカッターナイフ)により外周部(第一表皮材の端部と第二表皮材の端部との接着部分)のバリ取りを施すことによって、さらに外観性を向上させることが好ましい。
【0109】
このようにして、本発明の自動車用耐荷重ボードが効率よく製造され得る。本発明の耐荷重ボードは、リーンホースのような補強材を追加しなくても、荷物などによって荷重がかかる自動車のフロアボードおよびリアパッケージトレイのような自動車室内用内装部品として、荷重に対し充分な剛性を提供し得る。また、傘の先やハイヒールのヒール部分などの先の尖った物体による局所的な荷重が加えられたとしても、充分な強度を有しているため表面に凹凸が形成されることが低減され得る。これにより、外観性を喪失するような機会も低減される。さらに、本発明の耐荷重ボードは、補強材の使用を必須としないため、より軽量な内装部品として自動車自体の軽量化も可能となり、例えば、自動車の燃費向上にも貢献し得る。また、本発明の耐荷重ボードは、軽量かつ剛性であるため、ワンタッチ式で開閉可能に自動車内に設置することもできる。
【0110】
本発明の耐荷重ボードは、フロアボードおよびリアパッケージトレイの他、自動車室内を構成するフロアリッドまたはアンダートレイとしても使用することができる。さらに、本発明の耐荷重ボードは、自動車用途だけでなく、十分な強度と軽量化との両立が特に期待される分野(例えば、航空機のキャビンスペースを構成する床材、スクーターなどの自動二輪車の床材など)にも利用することができる。
【実施例】
【0111】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。しかし、これらによって本発明は限定されるものではない。
【0112】
<実施例1:多層プレスによる耐荷重ボードの成形(1)>
第一表皮材として、ニードルパンチが施されたポリエチレンテレフタレートシート(A)(目付け量100g/m);第一繊維性基材として、50質量%のガラス繊維と50質量%のポリプロピレン(PP)とで構成される絡合不織布(B)(目付け量750g/m、ケープラシート株式会社製KPシート);熱可塑性発泡コア層として、特許文献9に記載の方法を用いて最終発泡倍率20倍にまで発泡したアクリロニトリル−スチレン(AS)ビーズ製コア層(C)(厚み10mm);第二繊維性基材として、上記絡合不織布(B);および第二表皮材として、第二繊維状基材側に、スチレンブタジエンゴム(SBR)でバッキング処理された裏打ち材(目付け量50g/m)を有するニードルパンチが施されたポリエチレンテレフタレート製ディロアシート(A)(目付け量250g/m)を、この順序で、35℃の型温度に調節されたプレス成形機(高木金属(株)製OUB350プレス))に配置した。この配置にあたり、第一および第二繊維性基材を、予め160℃に加熱し、そして第一繊維性基材、熱可塑性発泡コア層、および第二繊維性基材のそれぞれの両面には、スチレンブタジエン系接着剤を200g/mの量で塗布した。
【0113】
次いで、上記のように積層した材料(すなわち、積層構造体)を、プレス圧2kg/cmかつ圧締時間20秒で一体プレスし、そしてバーナーで外周のバリ取りを施して、700mm×500mmの大きさでかつ厚みが12mmの耐荷重ボード(E1)を作製した。
【0114】
<実施例2:多層プレスによる耐荷重ボードの成形(2)>
第一繊維性基材および第二繊維性基材として、実施例1で使用した絡合不織布(B)の代わりに、50質量%のガラス繊維と50質量%のポリプロピレン(PP)とで構成される絡合不織布(B)(目付け量800g/m、ケープラシート株式会社製KPシート)を用い、かつ熱可塑性発泡コア層として、実施例1で使用したASビーズ製コア層(C)の代わりに、特許文献9に記載の方法を用いて最終発泡倍率30倍にまで発泡したASビーズ製コア層(C)(厚み10mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、700mm×500mmの大きさでかつ厚みが12mmの耐荷重ボード(E2)を作製した。
【0115】
<比較例1:シートブローによる耐荷重ボードの成形(1)>
第一表皮材として、上記ポリエチレンテレフタレートシート(A);第一基材として、ポリプロピレン(PP)シート(BC1)(目付け量1200g/m、樹脂押し出しシート);熱可塑性発泡コア層として、特許文献9に記載の方法を用いて最終発泡倍率20倍にまで発泡したASビーズ製コア層(CC1)(厚み11mm);第二基材として、上記ポリプロピレンシート(BC1);および第二表皮材として、上記ポリエチレンテレフタレート製ディロアシート(A)を、この順序で、40℃の型温度に調節されたブロー成形機に配置した。この配置にあたり、第一および第二基材を、予め170℃に加熱し、そして熱可塑性発泡コア層の両面、ならびに第一基材および第二基材のそれぞれの片面には、スチレンブタジエン系接着剤を200g/mの量で塗布した。
【0116】
次いで、得られた積層構造体を、真空下にてブロー成形し、そしてバーナーで外周のバリ取りを施して、700mm×500mmの大きさでかつ厚みが12mmの耐荷重ボード(C1)を作製した。
【0117】
<比較例2:シートブローによる耐荷重ボードの成形(2)>
熱可塑性発泡コア層として、比較例1で使用したASビーズ製コア層(CC1)の代わりに、特許文献9に記載の方法を用いて最終発泡倍率20倍にまで発泡したポリプロピレン(PP)ビーズ製コア層(CC2)(厚み10mm)を用いたこと以外は、比較例1と同様の手順で、700mm×500mmの大きさでかつ厚みが12mmの耐荷重ボード(C2)を作製した。
【0118】
<実施例3:耐荷重ボードのたわみ量の測定(1)>
実施例1および2ならびに比較例1および2でそれぞれ得られた耐荷重ボード((E1)、(E2)、(C2)、および(C2))および軽量合板(K1)(厚み9mm、目付け量4000g/m)について、以下の手順で所定荷重の負荷に対するたわみ量の測定を行った。
【0119】
まず、耐荷重ボードを短辺側両端で支持するように配置した。次いで、耐荷重ボードの中央部に、80℃で40kgの荷重をかけ、耐荷重ボード中央部において、無荷重の位置と荷重によってたわんだ最下点との鉛直方向の距離をたわみの量(mm)として測定した。各耐荷重ボードの目付け量(g/m)に対するたわみ量(mm)の測定結果を、図8に示す。
【0120】
図8に示されるように、実施例1および2で得られた本発明の耐荷重ボード(E1)および(E2)では、目付け量に対するたわみの量が小さいことがわかる。他方、比較例1および2で得られたシートブローによる耐荷重ボード(C1)および(C2)では、目付け量に対するたわみの量が大きい。したがって、これらの結果と軽量合板(K1)の結果とを比較することにより、以下の1)〜3)が見出され得る。
【0121】
1)荷重に対するたわみの量が小さい軽量合板(K1)は、強度(耐荷重特性)の点では優れているものの、その強度を得るためには目付け量も大きくなる。これは自動車用途における軽量化の目的には沿わず、むしろ回避しなければならない。
【0122】
2)比較例1および2の耐荷重ボード(C1)および(C2)では、軽量合板(K1)と比較して目付け量を低減させることができるものの、荷重に対するたわみ量は軽量合板(K1)よりも著しく増加する。これは、耐荷重特性が不十分であることを示す。例えば、耐荷重ボード(C1)および(C2)をフロアボードなどの自動車室内用内装部品に使用する場合、リーンホースなどの補強材で耐荷重特性を補わなければならないことを意味する。しかし、リーンホースの使用によって、ボード全体のみかけの目付け量が増大することとなり、実質的に軽量合板(K1)と差異がないことがわかる。
【0123】
3)これに対し、実施例1および2の耐荷重ボード(E1)および(E2)では、軽量合板(K1)ならびに比較例1および2のボードと比較して、目付け量が著しく小さく、かつたわみ量も低い。すなわち、得られたボードは、軽量化とより好ましい強度(耐荷重特性)との両方を同時に満足している。
【0124】
<実施例4:多層プレスによる耐荷重ボードの成形(3)>
第一表皮材として、上記ポリエチレンテレフタレートシート(A);第一繊維性基材として、50質量%のガラス繊維と50質量%のポリプロピレン(PP)とで構成される絡合不織布(B)(目付け量550g/m、ケープラシート株式会社製KPシート);熱可塑性発泡コア層として、特許文献9に記載の方法を用いて最終発泡倍率20倍にまで発泡したアクリロニトリル−スチレン(AS)ビーズ製コア層(C)(厚み15mm);第二繊維性基材として、上記絡合不織布(B);および第二表皮材として、上記ポリエチレンテレフタレート製ディロアシート(A)を、この順序で、35℃の型温度に調節されたプレス成形機(高木金属(株)製OUB350プレス)に配置した。この配置にあたり、第一および第二繊維性基材を、予め180℃に加熱し、そして熱可塑性発泡コア層の両面、ならびに第一繊維性基材および第二繊維性基材のそれぞれの片面(表皮材側の面)にはスチレンブタジエン系接着剤を200g/mの量で塗布した。
【0125】
次いで、得られた積層構造体を、プレス圧2kg/cmかつ圧締時間20秒で一体プレスし、そしてバーナーで外周のバリ取りを施して、700mm×500mmの大きさでかつ厚みが17mmの耐荷重ボード(E3)を作製した。
【0126】
<実施例5:多層プレスによる耐荷重ボードの成形(4)>
第一繊維性基材および第二繊維性基材として、実施例4で使用した絡合不織布(B)の代わりに、50質量%のガラス繊維と50質量%のポリプロピレン(PP)とで構成される絡合不織布(B)(目付け量790g/m、ケープラシート株式会社製KPシート)を用い、かつ熱可塑性発泡コア層として、実施例4で使用したASビーズ製コア層(C)の代わりに、特許文献9に記載の方法を用いて最終発泡倍率30倍にまで発泡したASビーズ製コア層(C)(厚み15mm)を用いたこと以外は、実施例4と同様の手順で、700mm×500mmの大きさでかつ厚みが17mmの耐荷重ボード(E4)を作製した。
【0127】
<比較例3:シートブローによる耐荷重ボードの成形(3)>
第一表皮材として、上記ポリエチレンテレフタレートシート(A);第一基材として、比較例1で使用したポリプロピレンシート(BC1);熱可塑性発泡コア層として、特許文献9に記載の方法を用いて最終発泡倍率20倍にまで発泡したASビーズ製コア層(CC3)(厚み16mm);第二基材として、上記ポリプロピレンシート(BC1);および第二表皮材として、上記ポリエチレンテレフタレート製ディロアシート(A)を、この順序で、40℃の型温度に調節されたブロー成形機に配置した。この配置にあたり、第一および第二基材を、予め170℃に加熱し、そして熱可塑性発泡コア層の両面、ならびに第一基材および第二基材のそれぞれの片面(表皮材側の面)には、スチレンブタジエン系接着剤を200g/mの量で塗布した。
【0128】
次いで、得られた積層構造体を、真空下にてブロー成形し、そしてバーナーで外周のバリ取りを施して、700mm×500mmの大きさでかつ厚みが17mmの耐荷重ボード(C3)を作製した。
【0129】
<比較例4:シートブローによる耐荷重ボードの成形(4)>
熱可塑性発泡コア層として、比較例3で使用したASビーズ製コア層(CC3)の代わりに、特許文献9に記載の方法を用いて最終発泡倍率20倍にまで発泡したポリプロピレン(PP)ビーズ製コア層(CC4)(厚み15mm)を用いたこと以外は、比較例3と同様の手順で、700mm×500mmの大きさでかつ厚みが17mmの耐荷重ボード(C4)を作製した。
【0130】
<実施例6:耐荷重ボードのたわみ量の測定(2)>
実施例4および5ならびに比較例3および4でそれぞれ得られた耐荷重ボード((E3)、(E4)、(C3)、および(C4))および上記軽量合板(K1)について、実施例3と同様の手順で、80℃での40kg荷重に対するたわみ量(mm)の測定を行った。各耐荷重ボードの目付け量(g/m)に対するたわみ量(mm)の測定結果を、図9に示す。
【0131】
図9に示されるように、実施例4および5で得られた本発明の耐荷重ボード(E3)および(E4)では、目付け量に対するたわみの量が小さい。他方、比較例3および4で得られたシートブローによる耐荷重ボード(C3)および(C4)では、目付け量に対するたわみの量が大きい。したがって、これら結果と軽量合板(K1)の結果とを比較することにより、以下4)および5)が見出され得る。
【0132】
4)比較例3および4の耐荷重ボード(C3)および(C4)では、軽量合板(K1)と比較して目付け量を低減させることができるものの、荷重に対するたわみ量は軽量合板(K1)よりも著しく増加する。これは、耐荷重特性が不十分であることを示す。例えば、耐荷重ボード(C3)および(C4)をフロアボードなどの自動車室内用内装部品に使用する場合、リーンホースなどの補強材で耐荷重特性を補わなければならないことを意味する。しかし、リーンホースの使用によって、ボード全体のみかけの目付け量が増大することとなり、実質的に軽量合板(K1)と差異がないことがわかる。
【0133】
5)これに対し、実施例4および5の耐荷重ボード(E3)および(E4)では、軽量合板(K1)ならびに比較例3および4のボードと比較して、目付け量が著しく小さく、かつたわみ量も低い。すなわち、得られたボードは、軽量化とより好ましい強度(耐荷重特性)との両方を同時に満足している。
【0134】
<比較例5:多層プレスによる耐荷重ボードの成形(5)>
第一繊維性基材および第二繊維性基材として、実施例1で使用した絡合不織布(B)の代わりに、実施例2で使用した50質量%のガラス繊維と50質量%のポリプロピレン(PP)とで構成される絡合不織布(B)(目付け量800g/m、ケープラシート株式会社製KPシート)を用い、かつ熱可塑性発泡コア層として、実施例1で使用したASビーズ製コア層(C)の代わりに、比較例4で使用した特許文献9に記載の方法を用いて最終発泡倍率20倍にまで発泡したポリプロピレン(PP)ビーズ製コア層(CC4)(厚み15mm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、700mm×500mmの大きさの耐荷重ボード(C5)の作製を試みた。しかし、ボード(C5)の厚みが不均一となり、さらに剛性もなく、形状の安定した成形体を得ることができなかった。
【0135】
<比較例6:多層プレスによる耐荷重ボードの成形(6)>
第一基材および第二基材としてとして、実施例1で使用した絡合不織布(B)の代わりに、比較例1で使用したポリプロピレン(PP)シート(BC1)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、700mm×500mmの大きさの耐荷重ボード(C6)の作製を試みた。しかし、ボード(C6)の表面に、コア層と表皮材との間の空気溜まりによると思われる凹凸が明らかに見られ、意匠性の良好な成形体を得ることができなかった。
【0136】
<参考例1:繊維性基材の通気性の測定>
50質量%のガラス繊維と50質量%のポリプロピレン(PP)とで構成される絡合不織布(B)(目付け量1000g/m、ケープラシート株式会社製KPシート)、実施例2で使用した50質量%のガラス繊維と50質量%のポリプロピレン(PP)とで構成される絡合不織布(B)(目付け量800g/m、ケープラシート株式会社製KPシート)、および50質量%のケナフ繊維と50質量%のポリプロピレンとで構成される絡合不織布(B)(目付け量1000g/m)について、それぞれ通気量を通気性試験機(KES−F8−AP1:カトーテック株式会社製)を用いて測定した。これらのシートをそれぞれ加熱熱風炉内に入れ、基材温度を160℃に加熱して、通気量を測定した。なお、測定値は、JIS L 1096 通気性A法(フラジール形法)の定義の通気度に変換し、これを通気量とした。結果を表1に示す。
【0137】
【表1】

【0138】
本発明に用いられる絡合不織布は、加熱前に比べて加熱後により良好な通気性を有することがわかった。したがって、本発明に用いられる絡合不織布は、一体プレス前の予備加熱によって通気性を獲得することにより、一体プレスの際に、積層された各材料の間に残存し得る空気が適度に各基材中の繊維状物間に分散され得ると考えられる。
【0139】
<参考例2:熱可塑性発泡コア層の弾性勾配の測定>
実施例4で用いたASビーズ製コア層(C)(厚み15mm、目付け量780g/m)ならびに特許文献9に記載の方法を用いて最終発泡倍率20倍にまで発泡したCとは異なるアクリロニトリル−スチレン(AS)ビーズ製コア層(C)(厚み15mm、目付け量850g/m)について、弾性勾配を測定した。それぞれのコア層を75mm×300mm×15mmのサイズ試験片とし、その中心付近で200mmの間隔の2点の支点で支え、室温にて荷重速度30mm/minで支点間の中央に荷重した。その結果、弾性勾配は、Cでは72N/10mmであり、そしてCでは90N/10mmであった。
【0140】
<比較例7:多層プレスによる耐荷重ボードの成形(7)>
第一基材および第二基材としてとして、実施例1で使用した絡合不織布(B)の代わりに、ガラス繊維でなる織物シート(BC2)(目付け量800g/m、エヌエスジーヴェトロテックス株式会社製ツインテックス)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、700mm×500mmの大きさの耐荷重ボード(C7)の作製を試みた。しかし、一体プレス後のボード(C7)の意匠性が著しく悪く(すなわち、ボード(C7)の端面が丸みを帯び)、たわみ量の評価を行うまでもなく、自動車用耐荷重ボードとしての製品とするには、明らかに意匠性に劣る成形体であった。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明によれば、軽量でかつ十分な強度を有する自動車用耐荷重ボードおよびその製造方法が提供される。このような耐荷重ボードは、例えば、セダン、RV、およびSUVのようなタイプに属する乗用車のフロアボードおよび/またはリアパッケージトレイのような自動車室内を構成する内装部品として有用である。本発明の耐荷重ボードは、補強材の使用を必須としないため、より軽量な内装部品として自動車自体の軽量化も可能となり、例えば、自動車の燃費向上にも貢献し得る。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の自動車用耐荷重ボードを、自動車用フロアボードとして用いる場合の、当該自動車用フロアボードの一例を説明するための模式図である。
【図2】本発明の自動車用耐荷重ボードの内部構造を説明するため模式図であって、図1に示される自動車用フロアボードのA−A’方向における模式断面図である。
【図3】本発明の自動車用耐荷重ボードの他の例を説明するため模式図であって、当該自動車用フロアボードの長さ方向における模式断面図である。
【図4】本発明の自動車用耐荷重ボードの内部構造を説明するための当該ボードの部分拡大断面図である。
【図5】図4に示される本発明の自動車用耐荷重ボードを、フロアボードとしてトランクルームに配置した際の当該ボードと人の視線との関係を説明するための模式図である。
【図6】本発明の自動車用耐荷重ボードのさらに他の例を説明するため模式図であって、(a)はコアボードのみで構成される本発明の自動車耐荷重ボードの長さ方向における模式断面図であり、(b)はコアボードの片側に第一表皮材のみが積層されてなる本発明の自動車耐荷重ボードの長さ方向における模式断面図であり、そして(c)はコアボードの片側に第二表皮材のみが積層されてなる本発明の自動車耐荷重ボードの長さ方向における模式断面図である。
【図7】図3に示される本発明の自動車用耐荷重ボード200の製造を行う際の手順を説明するための模式図であって、(a)は金型内に、耐荷重ボードを構成する各種材料を順番に配置する状態を説明するための図であり、(b)は、配置された各種材料を一体的にプレスしている状態を説明するための図であり、そして(c)は一体プレスした後の金型内の状態を説明するための図である。
【図8】実施例3において測定された、実施例1および2と比較例1および2とで得られた耐荷重ボードの目付け量(g/m)に対するたわみ量(mm)の結果を表す散布図である。
【図9】実施例6において測定された、実施例4および5と比較例3および4とで得られた耐荷重ボードの目付け量(g/m)に対するたわみ量(mm)の結果を表す散布図である。
【図10】従来の自動車リア部分に配置されたフロアボードおよびその周辺を説明するための模式図である。
【図11】従来の耐荷重ボードとして、特許文献1に記載の内装部品でなる耐荷重ボードの一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0143】
100、200、300、310、320 自動車用耐荷重ボード
106 把持部
110、210 第一表皮材
120、220 第二表皮材
130、230 コアボード
132、232 第一繊維性基材
134 熱可塑性発泡コア層
136、236 第二繊維性基材
362、364 金型
400 板状部材
500 従来の自動車用耐荷重ボード
512、522 基材
514、524 表皮材
530 芯材
540、544 空洞部
560 補強材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用耐荷重ボードであって、
(a)第一繊維状物と第一樹脂バインダーとを含有する絡合不織布でなる、第一繊維性基材と、
(b)熱可塑性発泡コア層と、
(c)第二繊維状物と第二樹脂バインダーとを含有する絡合不織布でなる、第二繊維性基材と、
がこの順に積層されてなる積層構造体を一体プレスして得られるコアボードを含み、
該(b)熱可塑性発泡コア層を構成する樹脂成分の融点が、該(a)第一繊維性基材の該第一樹脂バインダーの融点および該(c)第二繊維性基材の該第二樹脂バインダーの融点よりも高い、自動車用耐荷重ボード。
【請求項2】
前記(a)第一繊維性基材および前記(c)第二繊維性基材が通気性を有する、請求項1に記載の自動車耐荷重ボード。
【請求項3】
前記(a)第一繊維性基材が、クロスレイヤー法、エアレイヤー法、抄造法、ニードルパンチ法、またはウォーターニードルパンチ法により得られた絡合不織布である、請求項1または2に記載の自動車用耐荷重ボード。
【請求項4】
前記(c)第二繊維性基材が、クロスレイヤー法、エアレイヤー法、抄造法、ニードルパンチ法、またはウォーターニードルパンチ法により得られた絡合不織布である、請求項1から3のいずれかの項に記載の自動車用耐荷重ボード。
【請求項5】
前記(a)第一繊維性基材の前記第一繊維状物および前記(c)第二繊維性基材の前記第二繊維状物が、無機繊維および有機繊維からなる群より選択される少なくとも1種の繊維である、請求項1から4のいずれかの項に記載の自動車用耐荷重ボード。
【請求項6】
前記第一繊維状物および前記第二繊維状物が、ガラス繊維またはケナフ繊維である、請求項5に記載の自動車用耐荷重ボード。
【請求項7】
前記(b)熱可塑性発泡コア層の外表面のすべてが、前記(a)第一繊維性基材と前記(c)第二繊維性基材との間で密着挟持されている、請求項1から6のいずれかの項に記載の自動車用耐荷重ボード。
【請求項8】
前記コアボードを構成する前記(a)第一繊維性基材の外側および/または前記(c)第二繊維性基材の外側に、それぞれ第一表皮材および/または第二表皮材が積層されている、請求項1から7のいずれかの項に記載の自動車用耐荷重ボード。
【請求項9】
前記コアボードの外表面のすべてが、前記第一表皮材および前記第二表皮材で密着挟持されている、請求項8に記載の自動車用耐荷重ボード。
【請求項10】
フロアボードまたはリアパッケージトレイである、請求項1から9のいずれかの項に記載の自動車用耐荷重ボード。
【請求項11】
自動車用耐荷重ボードの製造方法であって、
構成部材として、(a)第一繊維性基材、(b)熱可塑性発泡コア層および(c)第二繊維性基材をこの順序で配置して積層構造体を得る工程;および
該積層構造体を一体プレスしてコアボードを形成する工程;
を包含し、
該(a)第一繊維性基材が、第一繊維状物と第一樹脂バインダーとを含有する絡合不織布でなり、
該(c)第二繊維性基材が、第二繊維状物と第二樹脂バインダーとを含有する絡合不織布でなり、そして
該(b)熱可塑性発泡コア層を構成する樹脂成分の融点が、該(a)第一繊維性基材の該第一樹脂バインダーの融点および該(c)第二繊維性基材の該第二樹脂バインダーの融点よりも高い、
方法。
【請求項12】
前記積層構造体を得る工程の前に、
前記(a)第一繊維性基材および前記(c)第二繊維性基材を、前記(b)熱可塑性発泡コア層を構成する樹脂成分の融点よりも高い温度まで予め加熱する工程、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記一体プレスしてコアボードを形成する工程においてまたは該工程後に、前記(a)第一繊維性基材および前記(c)第二繊維性基材が通気性を有する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記(a)第一繊維性基材が、クロスレイヤー法、エアレイヤー法、抄造法、ニードルパンチ法、またはウォーターニードルパンチ法により得られた絡合不織布である、請求項11から13のいずれかの項に記載の方法。
【請求項15】
前記(c)第二繊維性基材が、クロスレイヤー法、エアレイヤー法、抄造法、ニードルパンチ法、またはウォーターニードルパンチ法により得られた絡合不織布である、請求項11から14のいずれかの項に記載の方法。
【請求項16】
前記(a)第一繊維性基材の前記第一繊維状物および前記(c)第二繊維性基材の前記第二繊維状物が、無機繊維および有機繊維からなる群より選択される少なくとも1種の繊維である、請求項11から15のいずれかの項に記載の方法。
【請求項17】
前記第一繊維状物および前記第二繊維状物が、ガラス繊維またはケナフ繊維である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記積層構造体を得る工程において、前記(b)熱可塑性発泡コア層の外表面のすべてに前記(a)第一繊維性基材および前記(c)第二繊維性基材を密着させるように配置する、請求項11から17のいずれかの項に記載の方法。
【請求項19】
前記積層構造体を得る工程において、前記コアボードを構成する前記(a)第一繊維性基材の外側および/または前記(c)第二繊維性基材の外側に、それぞれ第一表皮材および/または第二表皮材が配置されている、請求項11から18のいずれかの項に記載の方法。
【請求項20】
前記積層構造体を得る工程において、前記コアボードの外表面のすべてに、前記第一表皮材および前記第二表皮材を密着させるように配置する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記自動車用耐荷重ボードが、フロアボードまたはリアパッケージトレイである、請求項11から20のいずれかの項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−222208(P2008−222208A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30375(P2008−30375)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000133065)株式会社タケヒロ (16)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】