説明

自動車

【課題】 自動車を提供する。
【解決手段】 本発明は、ナンバープレートの裏側に配置される電気端子を有する自動車に関し、ナンバープレートは、自動車に対して規則に従い位置決めされた標準位置から、ナンバープレートの裏側に配置された電気端子を開放する開放位置へと調節することができる。ここでは、ナンバープレートと電気端子とを連結する運動学的調節機構であって、ナンバープレートが開放位置に調節されると、電気端子をより容易にアクセス可能な位置に調節する運動学的調節機構が提供されることが、本発明にとって本質的である。これにより車両バッテリの固定電源網との接続が簡便となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に係るナンバープレートの裏側に配置された電気端子を有する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)は、ナンバープレートの裏側に配置される電気端子を有する一般的なタイプの自動車を開示し、このナンバープレートは、自動車に対して規則に従い配置される標準位置から、ナンバープレートの裏側に配置された電気端子を開放する開放位置に調節することができる。
【0003】
(特許文献2)は、可動式の、特に折り畳み式のナンバープレートを有する別の自動車を開示し、ここで畳み込まれた状態のナンバープレートは燃料タンクフィラーネックを開放する。
【0004】
この種の別の車両は、例えば(特許文献3)及び(特許文献4)により公知である。
【0005】
先行技術では、ナンバープレートが開放位置に調節されている場合であっても、ナンバープレートの裏側に配置された電気端子へアクセスするのが困難であることが多いという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案第20 2009 007 394 U1号明細書
【特許文献2】米国特許第2,760,811号明細書
【特許文献3】英国特許第895,524号明細書
【特許文献4】米国特許第4,257,642号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、特に電気端子への簡易なアクセス性により定義される一般的なタイプの自動車についての改良された、又は少なくとも代替となる実施形態を特定するという問題に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題は、本発明に従い独立請求項1の主題によって解決される。有利な実施形態が従属請求項の主題である。
【0009】
本発明は、電気端子を自動車のナンバープレートの裏側に位置決めし、運動学的調節機構(adjustment kinematics)を介して前記電気端子をナンバープレートに連動させることにより、ナンバープレートが、自動車に対して規則に従い位置決めされた標準位置から、ナンバープレートの裏側に配置された電気端子を開放する開放位置へと調節されたときに、電気端子が著しく容易にアクセス可能な位置に調節されるという概略的な着想に基づく。このように著しく容易にアクセス可能な位置は、例えば、ナンバープレートが取り除かれたときに電気端子を外側に旋回、回転又は移動させることによりもたらされ得る。従って本発明に係る運動学的調節機構により、特に自動車への電気エネルギーの補給が簡便となり、これは特にハイブリッド車両又は電気車両で大きい利点を提供する。
【0010】
本発明に係る解決策の一つの有利な発展形態において、運動学的調節機構は、ナンバープレートの標準位置から開放位置への調節を円形軌道でもたらす。これは、ナンバープレートが直立した状態のまま保たれ、従って標準位置及び開放位置の双方において判読可能な位置であるという大きい利点を提供する。これにより、特にナンバープレートが不都合に折り倒され、従ってそれ以上判読できなくなることを確実に防止することが可能となる。従って、本発明に係る運動学的調節機構により、ナンバープレートは単に円形軌道に従い調節されるに過ぎず、いかなる位置においても、それ以上判読性を確保できなくなる可能性がない。
【0011】
本発明のさらなる重要な特徴及び利点は、従属請求項から、図面から、及び図面に基づく関連する図の説明から明らかとなる。
【0012】
上記に特定した、且つ以下で説明することになる特徴は、それぞれ特定される組み合わせのみならず、他の組み合わせでも、又は単独でも、本発明の範囲から逸脱することなく使用できることは言うまでもない。
【0013】
本発明の好ましい例示的実施形態が図面に示されるとともに以下の記載にさらに詳細に説明され、ここで同じ参照符号は、同一又は同様の、又は機能上同一の構成要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電気端子がナンバープレートの裏側に配置された後部ナンバープレートの運動学的調節機構の概略図を示し、ここでナンバープレートは標準位置にある。
【図2】図1と同じ概略図を示すが、ナンバープレートは開放位置にある。
【図3】図1に係る構成における概略断面図を示す。
【図4】図2に係る構成における概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2によれば、断片的にのみ示され、且つ例えばハイブリッド車両又は電気車両として具体化される自動車1は、ナンバープレートの裏側に配置された電気端子2を有する。ナンバープレートはここでは補強板3の上に配置され、特にそこにねじ付けられるが、より明瞭にすること目的として本図面には含まない。図1はここでは、標準位置にある補強板3を示し、すなわちまたナンバープレートを示し、この位置ではナンバープレートが自動車1に対して規則に従い配置される。対照的に図2は、開放位置にある補強板3を示し、この位置では補強板3はナンバープレートの裏側に配置された電気端子2を開放する。本発明によれば、ナンバープレート及び/又は補強板3と電気端子2とに連結される運動学的調節機構4が提供され、前記運動学的調節機構4は、ナンバープレート及び/又は補強板3が開放位置に調節されたときに(図2及び図4を参照)、電気端子2をより容易にアクセス可能な位置に調節する。
【0016】
電気端子2のより容易にアクセス可能な位置とは、ここでは、ナンバープレート及び/又は補強板3が開放位置に動かされると、運動学的調節機構4が電気端子2を外側に旋回、回転及び/又は移動させ、それにより電気端子2が隠れた位置から現れることを意味する。運動学的調節機構4の調節を促進するため、例えば運動学的調節機構4にはばね荷重が加えられ、特に前記運動学的調節機構4はばね支持体を有するか、又は他の場合には電気式、液圧式若しくは空圧式ドライブを有し、それにより調節してナンバープレートを開放位置から標準位置に戻す。
【0017】
補強板3は、好都合には運動学的調節機構4の一構成要素を形成し、運動学的調節機構4は端子キャリア5及び複数のレバー6よりなる平行リンクも含む。端子キャリア5は、ここでは電気端子2を保持し、一方で複数のレバー6よりなる平行リンクは、ナンバープレートが調節されたときに、電気端子2の開放位置への調節移動を強制的にもたらす。ナンバープレートの標準位置及び開放位置での判読性を確保できるよう、運動学的調節機構4はナンバープレートの標準位置から開放位置への調節を円形軌道でもたらすように具体化され、その結果ナンバープレートは好ましくは、いかなる時点であっても水平軸の周りを回転することはない。
【0018】
本発明に係る運動学的調節機構4により、ナンバープレートが開くと電気端子2はアクセスが簡便な位置に調節され、この容易にアクセス可能な位置では、充電ケーブル(別途図示せず)の充電プラグ7(図4を参照)を電気端子2に容易に差し込むことができ、それにより自動車1を例えば固定電源網に接続し、従って車両バッテリを充填することができる。既に記載したとおり、これに関連して調節移動は、完全に手動によって行うことも、又は電気式、空圧式若しくは液圧式補助を用いて行うこともできる。
【0019】
従って、本発明に係る運動学的調節機構4により、車両バッテリを充填するための充填プロセスを車両バッテリに対して大幅に単純化して構成することができ、ここで電気端子2は図1及び図2に示されるMennekesプラグに限定されず、概してあらゆるプラグシステムもまた含み、特に外国のプラグ、例えば米国のX2ソケット並びに世界の他の諸国の異なる型もまた含み得る。
【符号の説明】
【0020】
1 自動車
2 電気端子
3 補強板
4 運動学的調節機構
5 端子キャリア
6 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナンバープレートの裏側に配置される電気端子(2)を有する自動車(1)であって、前記ナンバープレートを、前記自動車(1)に対して規則に従い位置決めされた標準位置から、前記ナンバープレートの裏側に配置された前記電気端子(2)を開放する開放位置へと調節することができる自動車(1)において、前記ナンバープレートと前記電気端子(2)とを連結する運動学的調節機構(4)であって、前記ナンバープレートが開放位置に調節されると、前記電気端子(2)を容易にアクセス可能な位置に調節する運動学的調節機構(4)が提供されることを特徴とする、自動車。
【請求項2】
前記自動車(1)がハイブリッド車両として、又は電気車両として具体化されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記ナンバープレートが開放位置に動かされると、前記運動学的調節機構(4)が前記電気端子(2)を外側に旋回、回転及び/又は移動させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車。
【請求項4】
調節を促進するため前記運動学的調節機構(4)にばね荷重が加えられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項5】
前記ナンバープレートが、前記運動学的調節機構(4)の一構成要素を形成する補強板(3)に接続されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項6】
前記運動学的調節機構(4)が、前記ナンバープレートの標準位置から開放位置までの調節を、円形軌道でもたらすことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の自動車。
【請求項7】
前記運動学的調節機構(4)が前記補強板(3)と端子キャリア(5)と複数のレバー(6)よりなる平行リンクとを含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載の自動車。
【請求項8】
前記運動学的調節機構(4)を駆動するための電気式、液圧式又は空圧式ドライブが提供されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−180087(P2012−180087A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−41891(P2012−41891)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(510238096)ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (63)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】