説明

自在継手およびその製造方法

【課題】長寿命で低コストであり、生産性にも優れ、環境への負荷低減を同時に達成できる発泡潤滑剤を封入した自在継手およびその製造方法を提供する。
【解決手段】トルク伝達部材(ボール)6の周囲に発泡潤滑剤10を封入してなる自在継手であって、発泡潤滑剤10が潤滑成分と、分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させてなり、上記潤滑成分の配合割合は、上記混合物全体に対して 1 重量%〜90 重量%であり、上記硬化剤が芳香族ポリアミン化合物であり、上記発泡剤が水である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発泡潤滑剤を封入した自在継手(ジョイント)およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の高性能化、コンパクト化および軽量化のための技術的改良が進み、自動車部品や産業機械の駆動伝達に用いられる自在継手についても小型化、高性能化および長寿命化の要求が高まっている。
コンパクト化や軽量化の進展とともに、自在継手にも高い負荷が加わることになり、従来のグリースによる潤滑では、充分な長寿命化が困難な場合がある。今後ますます高性能化が求められることからグリースの封入量や添加剤を最適化するだけでは、高温、高速、高負荷の使用環境下での潤滑剤の飛散や垂れ落ちを防止するには限界がある。
このような問題に対して、固形成分を発泡体化し、これに潤滑油を充填させる発泡潤滑剤が報告されている(特許文献1参照)。
この発泡潤滑剤は、等速ジョイントの屈曲により変形するブーツに追従して固形状となった潤滑剤が圧縮される。ここで固形状となった潤滑剤より滲み出た液状潤滑剤が必要部位に供給され、良好な潤滑を可能にするものである。
【0003】
特許文献1に開示されている潤滑剤は発泡樹脂に潤滑油を含浸させるという後含浸型のものである。後含浸型の場合、潤滑油は発泡樹脂の発泡空間には含浸されるが、発泡樹脂そのものには殆ど含浸しない。そのため、発泡樹脂と潤滑油との親和性が弱い場合など、潤滑油保持力が小さく、高速条件下で使用した場合には潤滑油が一度に抜け出てしまうという問題がある。このような発泡潤滑剤においては短時間での潤滑や密閉空間においては使用可能であるが、長時間や開放空間で使用することが困難である。また、油保持性が高くないため、潤滑油の放出と発泡体への吸収を繰り返しながら潤滑油は絶えず空間内を流動する。このような場合、潤滑油やそれに含まれる添加剤の化学的性質によってはブーツ材を攻撃、劣化させる可能性があり、潤滑剤またはブーツ材のどちらか一方の材料選択が制限されるという問題がある。また、後含浸に伴う製造工程の工数増加や、製造時間の増加、それらに伴うコストアップは避けられないという問題がある。
【0004】
そこで上記のような理由から潤滑剤の保持性が高く、かつ大きな変形を許容する固形潤滑剤を用いた自在継手が求められている。特に固形樹脂成分内にも潤滑油等を含有させ、潤滑剤保持力を高める必要がある。
このように自在継手に求められている潤滑剤は工業的に汎用されているようなグリース潤滑と比較しても、必要量を必要箇所に供給することが可能であるため、従来のグリース使用量の低減によるコストダウン、ブーツ材への負荷低減、自在継手の軽量化とコンパクト化を可能にする技術であるという利点があり、工業的に有利な経済的側面だけでなく環境に対する負荷低減、設計の自由度という複数の観点からも社会的重要度の高い技術であるといえる。
【特許文献1】特開平9−42297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような課題に対処するためになされたものであり、長寿命で低コストであり、生産性にも優れ、環境への負荷低減を同時に達成できる発泡潤滑剤を封入した自在継手およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自在継手は、トラック溝とトルク伝達部材との係り合いによって回転トルクが伝達され、上記トルク伝達部材が上記トラック溝に沿って転動することによって軸方向移動がなされ、上記トルク伝達部材の周囲に発泡潤滑剤が封入されてなる自在継手であって、上記発泡潤滑剤が潤滑成分と、分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させてなり、上記潤滑成分の配合割合は、上記混合物全体に対して 1 重量%〜90 重量%であることを特徴とする。
【0007】
上記硬化剤が芳香族ポリアミン化合物であり、上記発泡剤が水であることを特徴とする。
また、上記混合物は、発泡・硬化が完了する前にトルク伝達部材の周囲に充填されることを特徴とする。
また、上記発泡潤滑剤の連続気泡率が 50%以上であることを特徴とする。
また、上記自在継手は等速自在継手であることを特徴とする。
【0008】
本発明の自在継手の製造方法は、潤滑成分と、分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む成分を混合して混合物を得る混合工程と、上記混合物の発泡・硬化が完了する前に、上記混合物をトルク伝達部材の周囲に充填する充填工程と、上記充填された上記混合物を発泡・硬化させる発泡・硬化工程とからなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の自在継手に用いる発泡潤滑剤は、潤滑成分と、分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させてなるので、潤滑成分が発泡・硬化した固形成分内に吸蔵される。このため、自在継手の回転運動に伴う遠心力や自在継手が角度をとったときに発生する圧縮、屈曲、膨張などの外的な応力によって発泡潤滑剤中より外部に潤滑油が徐放されるので、潤滑剤保持力に優れ、自在継手の小型化、高性能化および長寿命化が図れる。
【0010】
また、本発明の自在継手の製造方法は、上記混合工程と、充填工程と、発泡・硬化工程とからなるので、組み立て後に潤滑剤を封入しなくてもよい。その結果、生産効率が向上し、安価に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
自在継手に用いる固形潤滑剤として潤滑油保持力に優れ、潤滑油染み出し量を必要最小限に抑制できる固形潤滑剤について鋭意検討の結果、潤滑成分と、分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させて発泡潤滑剤を得た。この発泡潤滑剤はウレタンプレポリマーが発泡・硬化して多孔質化された固形物であり、かつ潤滑成分を樹脂内部に吸蔵してなる発泡潤滑剤である。なお、潤滑成分が発泡・硬化した固形成分内に吸蔵されるとは、後述する潤滑油やグリースなどの液体・半固体状の潤滑成分が発泡・硬化した固形成分中にウレタンプレポリマーや硬化剤と反応することなく、化合物にならないで含まれることをいう。
この発泡潤滑剤は潤滑油保持力に優れ、外力による変形を受けても潤滑油染み出し量を必要最小限に抑制し、かつ安価に製造でき、自在継手の必要箇所にのみ封入でき、自在継手を効率よく製造できることがわかった。本発明はこのような知見に基づくものである。
【0012】
本発明の自在継手に用いられる発泡潤滑剤は、樹脂内に潤滑成分を吸蔵させるので、樹脂の柔軟性により、例えば圧縮、膨張、屈曲、ねじりなどの外力による変形により潤滑剤を染み出させて樹脂の分子間から外部に徐放できる。この際、染み出す潤滑油量は、外力の大きさに応じて弾性変形する程度を樹脂の選択などによって変えることにより、必要最小限にすることができる。
また、本発明に用いる発泡潤滑剤において樹脂成分は、発泡により表面積が大きくなっており、染み出した余剰の潤滑油を再び発泡体の気泡内に一時的に保持することもできて染み出す潤滑油量は安定しており、また樹脂内に潤滑剤を吸蔵させると共に気泡内に含浸させることによって非発泡の状態より潤滑油の保持量も多くなる。
【0013】
その上、本発明に用いる発泡潤滑剤は、非発泡体と比較して屈曲時に必要なエネルギーが非常に小さく、潤滑油を高密度に保持しながら柔軟な変形が可能である。また、発泡により嵩密度が小さくなり、多孔質な部分を多く持つため、軽量化の点でも有利である。
また、潤滑成分と、ウレタンプレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させるだけであるので、特別な設備も不要であり、任意の場所に充填して成形することが可能である。
また、潤滑成分と、ウレタンプレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物の配合量をコントロールすることにより発泡潤滑剤の密度を変化させることができる。
【0014】
本発明に使用するウレタンプレポリマーは分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであって、このイソシアネート基は他の置換基によってブロックされていてもよい。分子内に含まれるイソシアネート基は、分子鎖末端であっても、あるいは分子鎖内から分岐した側鎖末端に含まれていてもよい。また、ウレタンプレポリマーは分子鎖内にウレタン結合を有していてもよい。
【0015】
ウレタンプレポリマーは、活性水素基を有する化合物とポリイソシアネートとの反応によって得ることができる。
活性水素基を有する化合物としては低分子ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ひまし油系ポリオール等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上の混合物として使用することができる。低分子ポリオールとしては、2価のもの例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールA等、3価以上のもの(3〜8価のもの)例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークローズ等が挙げられる。
【0016】
ポリエーテル系ポリオールとしては上記低分子ポリオールのアルキレンオキサイド(炭素数2〜4のアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド)付加物およびアルキレンオキサイドの開環重合物が挙げられ、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが含まれる。
【0017】
ポリエステル系ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールおよびポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。ポリエステルポリオールはカルボン酸(脂肪族飽和または不飽和カルボン酸、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、二量化リノール酸およびまたは芳香族カルボン酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸)とポリオール(上記低分子ポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール)との縮合重合により得られる。
【0018】
ポリカプロラクトンポリオールは、グリコール類やトリオール類の重合開始剤にε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、ε-メチル-ε-カプロラクトン等を有機金属化合物、金属キレート化合物、脂肪酸金属アシル化物等の触媒の存在下で付加重合により得られる。ポリエーテルエステルポリオールには、末端にカルボキシル基および/またはOH基を有するポリエステルにアルキレンオキサイド例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加反応させて得られる。ひまし油系ポリオールとしては、ひまし油およびひまし油またはひまし油脂肪酸と上記低分子ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールとのエステル交換あるいは、エステル化ポリオールが挙げられる。
本発明で用いるウレタンプレポリマーは、イソシアネート基(−NCO)含有量が 2 重量%以上のものが望ましい。イソシアネート基(−NCO)含有量がこれ未満であると、発泡性と弾力性の両立が難しくなる。
【0019】
ポリイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族または脂環式およびポリイソシアネート化合物がある。
芳香族ジイソシアネートは、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネートおよびその混合物、1,5-ナフチレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネートが挙げられる。
脂肪族または脂環式ジイソシアネートは、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、1,3-シクロブタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソプロパンジイソシアネート、2,4-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、1,3-ヘキサヒドロフェニルジイソシアネート、1,4-ヘキサヒドロフェニルジイソシアネート、2,4′パーヒドロジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′-パーヒドロジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、4,4′,4″-トリフェニルメタントリイソシアネート、4,6,4′-ジフェニルトリイソシアネート、2,4,4′-ジフェニルエーテルトリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが挙げられる。
また、これらイソシアネートの一部をビウレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサゾリドン、アミド、イミド等に変性したものが挙げられる。
【0020】
本発明に好適なウレタンプレポリマーとしては、注型用ウレタンプレポリマーとして知られている、ポリラクトンエステルポリオール、ポリエーテルポリオールにポリイソシアネートを付加重合させて得られるプレポリマー等が挙げられる。
上記ポリラクトンエステルポリオールはカプロラクトンを開環反応させて得られるポリラクトンエステルポリオールに短鎖ポリオールの存在下、ポリイソシアネートを付加重合させたウレタンプレポリマーが好ましい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキサイドの付加物または開環重合物が挙げられ、これらとポリイソシアネートを付加重合させたウレタンプレポリマーが好ましい。
【0021】
本発明に好適に使用できるウレタンプレポリマーの市販品を例示すれば、ダイセル化学社製の商品名プラクセルEP、日本ポリウレタン社製の商品名コロネート4090、4047などが挙げられる。プラクセルEPは室温以上の融点を有する白色固体のウレタンプレポリマーである。
【0022】
上記ウレタンプレポリマーを硬化させる硬化剤としては、3,3′-ジクロロ-4,4′-ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと記す)や4,4′-ジアミノ-3,3′-ジエチル-5,5′-ジメチルジフェニルメタン、トリメチレン−ビス-(4-アミノベンゾアート)、ビス(メチルチオ)-2,4-トルエンジアミン、ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミン、メチルチオトルエンジアミン、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミンに代表される芳香族ポリアミン、上記ポリイソシアネート、1,4-ブタングリコールやトリメチロールプロパンに代表される低分子ポリオール、ポリエーテルポリオール、ひまし油系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、水酸基末端液状ポリブタジエン、水酸基末端液状ポリイソプレン、水酸基末端ポリオレフィン系ポリオールやこれら化合物の末端水酸基をイソシアネート基やエポキシ基などで変性した化合物に代表される2個以上の水酸基を有する液状ゴム等を単独でまたは併用して用いることができる。これらの中で発泡性とゴム状弾性を両立でき、工業上容易に入手できる芳香族ポリアミンがポリラクトンエステルポリオールとポリイソシアネートを付加重合させたウレタンプレポリマーを硬化させるのに好ましい。
【0023】
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、末端水酸基または末端アミン基を有する硬化剤との配合割合は、水酸基(−OH)またはアミン基(−NH2)とイソシアネート基(−NCO)との当量比で(OHまたはNH2/NCO)=1/(0.9〜1.7)の範囲が好ましく、特に発泡性および弾力性を考慮すると、(OHまたはNH2/NCO)=1/(1.0〜1.5)の範囲が好ましい。
【0024】
また固形成分中には必要により添加剤を用いることができる。添加剤としてはヒンダードフェノール系に代表される酸化防止剤、補強剤(カ−ボンブラック、ホワイトカーボン、コロイダルシリカなど)、無機充填剤(炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレイ、硅石粉など)老化防止剤、難燃剤、金属不活性剤、帯電防止剤、防黴剤やフィラーおよび着色剤などが挙げられる。
【0025】
本発明に使用できる発泡剤は、ウレタンプレポリマーを発泡させることができるものであれば使用できる。発泡剤としては、(a)イソシアネート化合物と反応して二酸化炭素ガスを発生させる水などの化学的発泡剤、(b)加熱処理や光照射によって化学分解させ、窒素ガスなどを発生させるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾジカルボンアミド(ADCA)等の分解型発泡剤、(c)アセトン、ヘキサン等の比較的沸点の低い有機溶媒を加熱し、気化させる物理的発泡剤、(d)窒素などの不活性ガスや空気を外部から吹き込む機械的発泡剤が挙げられる。
本発明においては、分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを用いることから、イソシアネート化合物と反応して二酸化炭素ガスを発生させる水が好ましい。
【0026】
また、このような反応を伴う化学的発泡方法を用いる場合には必要に応じて触媒を使用することが好ましく、例えば、3級アミン系触媒や有機金属触媒などが用いられる。3級アミン系触媒としてはモノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類、イミダゾール誘導体、酸ブロックアミン触媒などが挙げられる。
また、有機金属触媒としてはスタナオクタエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマレエート、ジオクチルチンジメルカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、オクテン酸塩などが挙げられる。また、反応のバランスを整えるなどの目的でこれら複数種類を混合して用いてもよい。
【0027】
本発明に使用できる潤滑成分は、発泡体を形成する固形成分を溶解しないものであれば種類を選ばずに使用することができる。潤滑成分としては、例えば潤滑油、グリース、ワックスなどを単独でもしくは混合して使用できる。
潤滑油としては、パラフィン系やナフテン系の鉱物油、エステル系合成油、エーテル系合成油、炭化水素系合成油、GTL基油、フッ素油、シリコーン油等が挙げられる。これらは単独でも混合油としても使用できる。
【0028】
グリースは、基油に増ちょう剤を加えたものであり、基油としては上述の潤滑油を挙げることができる。
増ちょう剤としては、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、カルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。
ジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、アニリン、p-トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン等が挙げられる。
【0029】
上記グリースにおける基油の配合割合は、グリース成分全体に対して、基油が 1〜98 重量%、好ましくは 5〜95 重量%である。基油が 1 重量%未満であると、潤滑油を必要箇所に十分に供給することが困難になる。また 98 重量%より多いときには、低温でも固まらずに液状のままとなる。
【0030】
ワックスとしては、炭化水素系合成ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸アミド系ワックス、ケトン・アミン類、水素硬化油などを挙げることができる。これらのワックスに油を混合してもよく使用する油成分としては上述の潤滑油と同様のものを用いることができる。
【0031】
潤滑成分には、さらに二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、有機モリブデン等の摩擦調整剤、アミン、脂肪酸、油脂類等の油性剤、アミン系、フェノール系化合物などの酸化防止剤、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステルなどの錆止め剤、イオウ系、イオウ−リン系化合物などの極圧剤、有機亜鉛、リン系化合物などの摩耗防止剤、ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
【0032】
本発明に用いる発泡潤滑剤は、上記潤滑成分と、ウレタンプレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させて得られる。
上記潤滑成分の配合割合は、混合物全体に対して、1 重量%〜90 重量%、好ましくは 5 重量%〜80 重量%である。潤滑成分が 1 重量%未満であると、潤滑成分の供給量が少なく発泡潤滑剤としての機能を発揮できず、90 重量%より多いときには固化しなくなる。
上記分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの配合割合は、混合物全体に対して、8 重量%〜98 重量%、好ましくは 20 重量%〜80 重量%である。8 重量%より少ないときは固化しないため発泡潤滑剤としての機能を持たず、98 重量%より多いときには潤滑成分の供給量が少なく、発泡潤滑剤としての機能を発揮できない。
【0033】
上記硬化剤の配合割合は、ウレタンプレポリマーの配合量と発泡倍率により、上記発泡剤の配合割合は、後述する発泡倍率との関係でそれぞれ定まる。すなわち、硬化剤量(割合)は分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの水酸基当量と水の当量との関係で定まる。
【0034】
本発明において潤滑油などの潤滑成分存在下で発泡反応と硬化反応とを同時に行なう反応型含浸法を用いることが、潤滑成分の高充填化と材料物性の高強度化を同時に両立させるためには望ましい。これは発泡体形成段階において発泡体に形成された気泡に潤滑剤が均一に含浸されるとともに、潤滑成分が発泡・硬化した固形成分内に吸蔵されることにより潤滑剤の高充填化と材料物性の高強度化が両立するものと考えられる。
これに対してあらかじめ発泡体を製造しておき、これに潤滑剤を含浸させる後含浸法では潤滑剤保持力が十分でなく、短時間で潤滑剤が放出され長期的に使用すると潤滑剤が供給不足となる。
【0035】
本発明においてウレタンプレポリマーを発泡により多孔質化する際に生成させる気泡は気泡が連通している連続気泡であることが好ましい。これは、外部応力によって潤滑成分を樹脂の表面から連続気泡を介して外部に直接供給するためである。気泡間が連通していない独立気泡の場合は固形成分中の潤滑油の全量が一時的に独立気泡中に隔離され気泡間での移動が困難となり、必要なときに外部に十分供給されない場合がある。
【0036】
本発明に用いる発泡潤滑剤の連続気泡率は 50%以上が好ましく、より好ましくは 70%以上である。連続気泡率が 50%未満の場合は、樹脂成分(固形成分)の潤滑油が一時的に独立気泡中に取り込まれている割合が多くなり、必要な時に外部へ供給されない場合がある。
【0037】
本発明に用いる発泡潤滑剤の連続気泡率は以下の手順で算出できる。
(1)発泡硬化した発泡潤滑剤を適当な大きさにカットし、試料Aを得る。試料Aの重量を測定する。
(2)Aを 3 時間ソックスレー洗浄(溶剤:石油ベンジン)する。その後 80℃で 2 時間恒温槽に放置し、有機溶剤を完全に乾燥させ、試料Bを得る。試料Bの重量を測定する。
(3)連続気泡率を以下の手順で算出する。
連続気泡率=(1−(試料Bの樹脂成分重量−試料Aの樹脂成分重量)/試料Aの潤滑成分重量)×100
なお、試料A、Bの樹脂成分重量、潤滑成分重量は、試料A、Bの重量に組成の仕込み割合を乗じて算出する。
連続していない独立気泡中に取り込まれた潤滑成分は 3 時間ソックスレー洗浄では外部へ放出されないため試料Bの重量を減少させることがないので、上記の操作で試料Bの重量減少分は連続気泡からの潤滑成分の放出によるものとして連続気泡率が算出できる。
【0038】
本発明において発泡潤滑剤の発泡倍率は 1.1 倍〜100 倍であることが好ましく、より好ましくは 1.1 倍〜10 倍である。発泡倍率 1.1 倍未満の場合は気泡体積が小さく、外部応力が加わったときに変形を許容できない。また、100 倍をこえる場合は外部応力に耐える強度を得ることが困難となる。
【0039】
本発明の自在継手を等速ジョイントに利用した例としては、ボールフィクストジョイント(以下、BJと記す)の他、アンダーカットフリージョイント(以下、UJと記す)などが挙げられる。このようなBJやUJのトルク伝達部材(ボール)数は6個または8個の場合がある。
BJやUJに発泡潤滑剤を封入した場合、潤滑剤が必要な部位のみに充填されることになるため、低コスト化・軽量化に寄与できると共に、使用される作動角が大きいことから圧縮・屈曲を受けやすく、摺動部へ潤滑剤が供給されやすい。
また、摺動式等速ジョイントに利用した例としては、ダブルオフセットジョイント(以下、DOJと記す)、トリポードジョイント(以下、TJと記す)、クロスグルーブジョイントなどが挙げられる。DOJのトルク伝達部材(ボール)数は6個または8個の場合がある。
また、不等速ジョイントとしては、クロスジョイントなどが挙げられる。
【0040】
本発明の自在継手を図1〜図3に基づいて説明する。図1はBJの一部切欠断面図を、図2はDOJの一部切欠断面図を、図3はTJの一部切欠断面図を、それぞれ示す。
図1に示すように、BJ1は外方部材2の内面および球形の内方部材3の外面に軸方向の六本のトラック溝4、5を等角度に形成し、そのトラック溝4、5間に組み込んだトルク伝達部材6をケージ7で支持し、このケージ7の外周を球面7aとし、かつ内周を内方部材3の外周に適合する球面7bとしている。
また、外方部材2の外周とシャフト8の外周とをブーツ9で覆い、外方部材2と、球形の内方部材3と、トラック溝4、5と、トルク伝達部材6と、ケージ7と、シャフト8とに囲まれた空間に発泡潤滑剤10が封入されている。
【0041】
図2に示すように、DOJ11は外方部材12の内面および球形の内方部材13の外面に軸方向の六本のトラック溝14、15を等角度に形成し、そのトラック溝14、15間に組み込んだトルク伝達部材16をケージ17で支持し、このケージ17の外周を球面17aとし、かつ内周を内方部材13の外周に適合する球面17bとし、各球面17a、17bの中心(イ)、(ロ)を外方部材12の軸心上において軸方向に位置をずらしてある。
また、外方部材12の外周とシャフト18の外周とをブーツ19で覆い、外方部材12と、球形の内方部材13と、トラック溝14、15と、トルク伝達部材16と、ケージ17と、シャフト18とに囲まれた空間に発泡潤滑剤20が封入されている。
【0042】
図3に示すように、TJ21は外方部材22の内面に軸方向の三本の円筒形トラック溝23を等角度に形成し、外方部材22の内側に組み込んだトリポード部材24には三本の脚軸25を設け、各脚軸25の外側にトルク伝達部材である球面ローラ26を嵌合し、そのトルク伝達部材である球面ローラ26と脚軸25との間にニードル27を組み込んでトルク伝達部材である球面ローラ26を回転可能に、かつ軸方向にスライド可能に支持し、そのトルク伝達部材である球面ローラ26を上記トラック溝23に嵌合してある。
また、外方部材22の外周とシャフト28の外周とをブーツ29で覆い、外方部材22と、トラック溝23と、トリポード部材24と、シャフト28とに囲まれた空間に発泡潤滑剤30が封入されている。
【0043】
このようなTJやDOJについては、軸方向に摺動しろが必要なため、グリースなどの既存の潤滑剤を用いた場合は上述したBJなどの固定式ジョイントよりも封入空間容積が多くなる。
しかしながら発泡潤滑剤(図1の10、図2の20、図3の30)は、必要な部位にのみ充填が可能であるため、DOJやTJに発泡潤滑剤を封入する場合に低コスト化と軽量化への寄与度がより大きくなる。
【0044】
本発明の自在継手の製造方法は、上記自在継手の製造方法であって、原料の各成分を混合して混合物を得る混合工程と、上記混合物の発泡・硬化が完了する前に、上記混合物をトルク伝達部材の周囲に充填する充填工程と、上記充填された上記混合物を発泡・硬化させ固形物を得る発泡・硬化工程とを備える。
本発明の自在継手は、上記各種自在継手のトルク伝達部材周りのみ組み立てたサブアッシーの所定空間に少なくともウレタンプレポリマーと、硬化剤と、潤滑成分と、発泡剤との混合物を充填し、発泡・硬化させた後、ブーツ等の部材を組み付けることで得られる。混合物を自在継手サブアッシーに充填し発泡・硬化させるだけであるので、形状が複雑な自在継手内の任意の部位にも容易に充填することが可能であり、得られる自在継手には既に潤滑剤が含浸されている。このため発泡成形体を得るための成形金型や潤滑剤の後含浸工程等も不要である。
【0045】
上記混合工程は、原料の各成分を混合して混合物を得る工程である。潤滑成分と、分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を混合する方法は、特に限定されることなく、例えばヘンシェルミキサー、リボンミキサー、ジューサーミキサー、ミキシングヘッド等、一般に用いられる撹拌機を使用して混合することができる。
混合物は、市販のシリコーン系整泡剤などの界面活性剤を使用し、各原料分子を均一に分散させておくことが望ましい。また、この整泡剤の種類によって表面張力を制御し、生じる気泡の種類を連続気泡または独立気泡に制御することが可能となる。このような界面活性剤としては陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
【0046】
上記充填工程は、混合物が発泡・硬化する前にこの混合物を自在継手サブアッシーの任意の部位に充填する工程である。発泡・硬化する前の混合物は流動性があるので形状が複雑な自在継手内の任意の部位にも容易に充填することが可能である。なお、混合物を充填する際は、必要に応じて自在継手サブアッシー内の所定空間の側面に金具等の治具で蓋をすることにより、所定の形状に成形することができる。
【0047】
上記発泡・硬化工程は、充填された混合物を自在継手サブアッシー内で発泡・硬化させる工程である。
樹脂成分を発泡させる手段としては上述の発泡手段を採用することができる。本発明においては原料として反応性の高いイソシアネート基を持つ化合物を使用して、イソシアネート化合物と水分子との化学反応によって生じる二酸化炭素による化学的発泡を用いている。また、このような反応を伴う発泡を用いる場合には必要に応じて上述の触媒を使用することが好ましい。
また、発泡により得られる気泡は上述の連続気泡であることが好ましく、樹脂成分の発泡倍率は 1.1 倍〜100 倍であることが好ましい。
【0048】
また上記製造方法において、混合物を自在継手サブアッシーに充填する以外の方法として、成形用金型内に充填後、発泡・硬化させて成形した発泡潤滑剤を自在継手に組み込む方法がある。
また成形用金型を用いずに常圧で混合物を発泡・硬化させる方法もあるが、この場合は発泡・硬化物を裁断や研削等で目的の形状に後加工して、自在継手に組み込む必要がある。なお後加工の場合は、加工時に潤滑剤が漏出する場合があるので、この場合は後含浸して所定量の潤滑剤を確保する必要がある。
これらの方法は成形用金型等の治具を必要としたり、研削や後含浸、組み込み等の後加工が必要となる。また、硬化した発泡体に潤滑剤を後含浸して追加しても、潤滑剤保持性が低いことや、自在継手に組み込むためのハンドリング時に発泡体から潤滑剤が漏出しやすい等の不具合が生じやすい。
以上のことから本発明においては、品質面、作業面、コスト面で混合物を自在継手サブアッシーに充填して発泡・硬化させる方法を採用することが好ましい。
【0049】
従来の自在継手ではブーツ破損などでグリースが流出し、その結果潤滑不良にいたるような場合でも、本発明の自在継手においては潤滑剤が徐放されるためブーツ破損は寿命に直接的な要因とはならず、また、外部からの塵や水分等の侵入に対してはシールの役割をも果たす。
【0050】
本発明の自在継手において、発泡潤滑剤中に含浸された状態で含まれる潤滑成分は、外力による発泡体の変形によっても急激に染み出すことがなく、潤滑成分を効率よく摺動面に染み出させて用いることができる。その結果、潤滑成分量は必要最小限でよく、しかも長寿命でゴム製ブーツの劣化も少ない自在継手が得られる。このため本発明の自在継手は各種産業用自在継手に、好ましくは自動車用自在継手に、特に好ましくは自動車用等速ジョイントに用いることができる。
【実施例】
【0051】
実施例1〜実施例4および比較例2
表1に示す配合割合で、ウレタンプレポリマー、整泡剤、潤滑油、グリースを 80℃でよく混合し、次に、120℃で溶解した硬化剤を加えて素早く混合した。最後に発泡剤およびアミン触媒を投入し撹拌した後、外方部材2、内方部材3、ケージ7およびトルク伝達部材6を組み付けた図1に示す固定式8個ボールジョイントサブアッシー(NTN株式会社製、EBJ82 外径サイズ 72.6 mm )に 17.0 g 封入した。数秒後に発泡反応が始まり、100℃で 30分間放置し発泡・硬化させた後、ブーツ、シャフトなど他の部材を組み付け発泡潤滑剤を封入した試験用等速ジョイントを得た。この試験用等速ジョイントを用いて以下に示す実機耐久試験を行ない、実機での耐久性を評価した。結果を表1に併記する。また、前述の連続気泡率の算出法に基づき発泡潤滑剤の連続気泡率を測定した。結果を表1に併記する。
【0052】
比較例1
潤滑油を用いずに発泡・硬化させた後、潤滑油を後含浸したこと以外は実施例1と同様に処理して試験用等速ジョイントを得た。この試験用等速ジョイントを用いて以下に示す実機耐久試験を行ない、実機での耐久性を評価した。結果を表1に併記する。
【0053】
<実機耐久試験>
試験用等速ジョイントをトルク負荷 186 N・m 、回転数 1700 rpm、角度 6 deg にて運転時間 300 時間の条件で実機耐久試験を行なった。試験後に試験用等速ジョイント内部を点検し、継続運転可能なものを可として「○」を、損傷が激しく、継続運転不可能なものを不可として「×」を表1に併記した。また、試験中に外方部材表面温度が、100℃をこえたものは、異常温度上昇として不可とし、100℃をこえた時間を表1に併記した。
【0054】
【表1】

【0055】
実施例1〜実施例4は、実機を用いた耐久試験において良好な結果を示した。比較例1は、発泡体を形成した後に潤滑油を含浸させた(後含浸)ために潤滑剤保持力が小さく、等速ジョイント運転中(回転中)にジョイント外(ブーツ側)に潤滑剤が移動してしまった。結果として、潤滑が必要な部分において潤滑剤量が不足したため潤滑不良となり、温度上昇を引き起こしたものと考えられる。比較例2は、連続気泡率が小さかったため、次第に潤滑成分の放出が小さくなり潤滑不良となり、温度上昇を引き起こしたものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の自在継手は、潤滑成分を効率よく染み出させることができ、潤滑成分量は必要最小限でよく、しかも長期間潤滑性を保持できるので、撚線機、電動機器、印刷機、自動車部品、電装補機、建設機械等の各種産業用機械用の自在継手として、特に自動車用等速ジョイントとして好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施例に係る等速ジョイントの断面図である。
【図2】本発明の他の実施例に係る等速ジョイントの断面図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る等速ジョイントの断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1、11、21 等速ジョイント
2、12、22 外方部材
3、13 内方部材
4、5、14、15、23 トラック溝
6、16 トルク伝達部材(ボール)
7、17 ケージ
7a、17a 球面
7b、17b 球面
8、18、28 シャフト
9、19、29 ブーツ
10、20、30 発泡潤滑剤
24 トリポード部材
25 脚軸
26 トルク伝達部材(球面ローラ)
27 ニードル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック溝とトルク伝達部材との係り合いによって回転トルクが伝達され、前記トルク伝達部材が前記トラック溝に沿って転動することによって軸方向移動がなされ、前記トルク伝達部材の周囲に発泡潤滑剤が封入されてなる自在継手であって、
前記発泡潤滑剤が潤滑成分と、分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させてなり、
前記潤滑成分の配合割合は、前記混合物全体に対して 1 重量%〜90 重量%であることを特徴とする自在継手。
【請求項2】
前記硬化剤が芳香族ポリアミン化合物であり、前記発泡剤が水であることを特徴とする請求項1記載の自在継手。
【請求項3】
前記混合物は、発泡・硬化が完了する前にトルク伝達部材の周囲に充填されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の自在継手。
【請求項4】
前記発泡潤滑剤の連続気泡率が 50%以上であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の自在継手。
【請求項5】
前記自在継手は、等速自在継手であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の自在継手。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載の自在継手の製造方法であって、
潤滑成分と、分子内にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、硬化剤と、発泡剤とを含む成分を混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物の発泡・硬化が完了する前に、前記混合物をトルク伝達部材の周囲に充填する充填工程と、
前記充填された前記混合物を発泡・硬化させる発泡・硬化工程とを備えることを特徴とする自在継手の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−32214(P2008−32214A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43096(P2007−43096)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】