自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法、これに用いられる自己組織化ポリマー膜及びポリマー膜材

【課題】固体状態や膜状態でも色彩変化及び新たならせん構造の形成やらせんの巻き方向の制御を同時に行うことができる光学活性ポリマーを提供する。
【手段】ポリマー分子鎖が一般式(1)で表されるシス体に制御された一方巻きらせん構造を有するポリマー膜に、溶媒との接触、熱、圧力、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与して、らせん方向、らせんピッチ、らせん構造、ポリマーの結晶構造、及びポリマーの分子配向からなる群から選択される特性の少なくとも1つを変化させ、
膜中のポリマー鎖ないしはポリマー集合体の共役状態、膜の光学的性質、及び/又は膜の円偏光二色性を可逆的に制御する自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法。


(式中、nは10以上の整数、Rは光学活性炭素を有する芳香族又は脂肪族基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー鎖がらせん構造を有するポリマーの可逆的ないしは不可逆的制御方法及びそのポリマー材に関するものであり、詳しくは、溶媒との接触、熱、圧力、延伸、光、磁場及び電場等の外的負荷を付与して、前記ポリマー鎖のらせん方向、らせんピッチ、らせん構造、結晶構造、配向等の特性を変化させることにより、前記ポリマーの共役状態、光学的性質及び/又は円偏光二色性を可逆的ないしは不可逆的に制御する方法及びそのポリマー材に関する。
本発明は新規な光学活性ポリマーに関するものであり、詳しくは、粉末状態又は膜状態で加熱等の処理を行うことにより色彩が変化し、並びにらせん構造が変化および/または新たならせん構造を形成する光学活性ポリアセチレン誘導体に関する。
本発明はポリマー膜および配向膜に関し、詳しくは、エレクトロニクス材料、光学材料等に有効な置換ポリアセチレン膜および置換ポリアセチレン配向膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリアセチレン類はドーピングすることで優れた導電性を示すことが知られているが、ポリマー主鎖の二重結合を介してシス形・トランス形の異性体が存在し、熱、圧力、電磁波、光、放射線または磁場などの刺激によりシス−トランス異性化を生じて吸収スペクトルが変化することや色彩が変化することも知られている(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1及び2参照)。このような性質を利用して、ポリアセチレン類は導電性材料、可変色材料、非線形光学材料、磁性材料、感圧材料などの様々な用途に用いられる。
【0003】
また、安定ならせん構造を有するポリアセチレン置換体について近年研究が進んでおり、ポリアセチレン置換体の構造中に不斉炭素を導入して旋光性を付与した光学活性ポリアセチレン置換体は、らせんが一定方向に規則正しく巻かれており、しかも上記のように熱などの刺激によってらせんの巻き方向の反転やらせんの巻き数の増幅などらせん構造の変化を制御できることが知られている(例えば、非特許文献3、特許文献4参照)。
【0004】
しかし、従来、溶液中における光学活性ポリアセチレン類の色変化およびらせん反転が報告されているものの、固体状態や膜状態では分子の動きが抑制されるため色変化はしても外部刺激により新たならせん構造の形成やらせんの巻き方向の制御を行うことはできなかった。
配向膜はエレクトロニクス材料、光学材料等に有用であり、ポリシラン配向膜などが知られている(例えば特許文献5、非特許文献4参照)。
このようにポリアセチレン類は興味深い特性を示すが、硬くもろい性質を有するため、膜を形成しても延伸すると膜が壊れてしまい、ポリアセチレン類の配向膜を得ることはできなかった。
【特許文献1】特開2004−161835号公報
【特許文献2】特開2004−256690号公報
【特許文献3】特開2004−300394号公報
【特許文献4】特開2004−155929号公報
【特許文献5】特許第2535780号明細書
【非特許文献1】「高分子加工」,2001年,第50巻,第5号,p.221−223
【非特許文献2】「Macromolecule」,2001年,第34巻,第11号,p.3776−3782
【非特許文献3】「J.Am.Chem.Soc.」,2001年,第123巻,p.8159−8160
【非特許文献4】「Polymer」,1999年,第40巻,p.5857
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、溶媒との接触、熱、圧力、延伸、光、磁場、電場等の外的負荷により、らせんポリマー鎖が有する、らせん方向、らせんピッチ、らせん構造、結晶構造、配向等の特性を可逆的に変化させることにより、前記らせんポリマー鎖の共役状態、光学的性質及び/又は円偏光二色性を可逆的に制御する可逆的制御方法、及びその制御された自己組織化ポリマー膜及びポリマー固材を提供することを目的とする。
本発明は、固体状態や膜状態でも色彩変化及び新たならせん構造の形成やらせんの巻き方向の制御を同時に行うことができる光学活性ポリマーを提供することを目的とする。
本発明は、延伸により色彩が変化するポリマー膜を提供すること、並びにエレクトロニクス材料、光学材料等に有効な置換ポリアセチレン配向膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、溶媒との接触、熱、圧力、延伸、光、磁場、電場等の外的負荷により、らせんポリマー鎖が有する、らせん方向、らせんピッチ、らせん構造、結晶構造、配向等の特性を可逆的に変化させることにより、前記らせんポリマー鎖の共役状態、光学的性質及び/又は円偏光二色性を可逆的に制御できることを見出した。
また、本発明者らは、ポリプロピレン等の支持膜上に所定のポリアセチレン置換体のポリマー膜を形成すると、延伸しても膜が壊れずに配向膜が得られること、およびこの膜が延伸時に色変化することも見出した。
さらに、所定の構造を有する光学活性ポリアセチレン誘導体は、固体状態や膜状態でも色彩変化及び新たならせん構造の形成やらせんの巻き方向の制御を同時に行うことができることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされるに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜に、溶媒との接触、熱、圧力、延伸、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与して、らせん方向を変化させ又は可逆的に変化させ、並びに、らせんピッチ、らせん構造、ポリマーの結晶構造、及びポリマーの分子配向からなる群から選択される特性の少なくとも1つを変化させ、又は前記特性の少なくとも1つを可逆的に変化させることにより、ポリマー鎖及び/又はポリマー集合体の共役状態及び/又は光学的性質及び/又は円偏光二色性を可逆的に制御してなる自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法、
(2)ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜に、溶媒との接触、熱、圧力、延伸、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与して、らせん方向、らせんピッチ、らせん構造、ポリマーの結晶構造、及びポリマーの分子配向からなる群から選択される特性の少なくとも2つを変化させ、又は前記特性の少なくとも1つを可逆的に変化させることにより、ポリマー鎖及び/又はポリマー集合体の共役状態及び/又は光学的性質及び/又は円偏光二色性を可逆的に制御してなる自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法、
(3)ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜に、溶媒との接触、熱、圧力、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与して、共役構造、らせん構造および結晶構造を変化させるとともに、新たな共役構造を形成して色彩を変化させ、前記刺激の除去後もそれらの構造を維持し、その後、溶媒との接触、熱、圧力、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与することにより、共役構造、らせん構造および結晶構造を膜の形状を保ったまま可逆的に制御する自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法、
(4)ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜に対し、延伸又は収縮又は張力の有無により、らせん構造及び/又は結晶構造を可逆的に変化させ、共役及び/又は色彩を膜の形状を保ったまま可逆的に制御する自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法、
(5)前記ポリマー膜が一般式(1)で表されるらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする(3)又は(4)項記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、nは10以上の整数、Rは芳香族又は脂肪族基を表す。)、
(6)前記ポリマー膜が一般式(2)で表されるらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする(3)又は(4)項記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、nは10以上の整数であり、X1、X2およびX3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1、X2およびX3のうち少なくともひとつは置換基を表す。)、
(7)前記ポリマー膜が一般式(3)で表されるらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする(3)又は(4)項記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、nは10以上の整数であり、Xは水素原子または置換基を表す。)、
(8)ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜に、溶媒との接触、熱、圧力、延伸、光、磁場、及び電場なる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与して、らせん方向を変化させ又は可逆的に変化させ、並びに、らせんピッチ、らせん構造、ポリマーの結晶構造、及びポリマーの分子配向からなる群から選択される特性の少なくとも1つを変化させ、又は前記特性の少なくとも1つを可逆的に変化させることにより、ポリマー鎖及び/又はポリマー集合体の共役状態及び/又は光学的性質及び/又は円偏光二色性及び/又は膜の旋光性を可逆的に制御して得られる自己組織化ポリマー膜、
(9)ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜に、溶媒との接触、熱、圧力、延伸、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1を付与して、らせん方向、らせんピッチ、らせん構造、ポリマーの結晶構造、及びポリマーの分子配向からなる群から選択される特性の少なくとも2つを変化させ、又は前記特性の少なくとも1つを可逆的に変化させることにより、ポリマー鎖及び/又はポリマー集合体の共役状態及び又は光学的性質及び又は円偏光二色性及び/又は膜の旋光性を可逆的に制御して得られる自己組織化ポリマー膜、
(10)ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜に、溶媒との接触、熱、圧力、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与して、共役構造、らせん構造および結晶構造を変化させるとともに新たな共役構造を形成して色彩を変化させ、前記刺激の除去後もそれらの構造を維持し、その後、溶媒との接触、熱、圧力、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与することにより、共役構造、らせん構造および結晶構造を膜の形状を保ったまま可逆的に制御したポリマー分子よりなる自己組織化ポリマー膜、
(11)前記刺激の最初の付与により形成された新たならせん構造が450nm以上の長波長域にピークトップをもつ吸収を有し、この新たならせんの向き及び/又は膜の旋光性を膜の形状を保ったまま制御した(10)項記載のポリマー分子よりなる自己組織化ポリマー膜、
(12)ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜に対し、延伸又は収縮及び/又は張力の有無により、らせん構造及び/又は結晶構造を可逆的に変化させ、共役及び/又は色彩を膜の形状を保ったまま可逆的に制御するポリマー分子よりなる自己組織化ポリマー膜、
(13)ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマー膜が溶媒との接触、熱、圧力、光、磁場、及び電場からなる群から選択された少なくとも1の刺激により共役構造、らせん構造、結晶構造を変化させ、刺激の除去後もそれらの構造を維持し、それらの構造が前記刺激により一意的に決まることを特徴とするポリマー分子よりなる自己組織化ポリマー膜、
(14)刺激により吸収のピークトップが400〜550nmの範囲で一意的かつ任意に制御可能な(12)項記載のポリマー分子よりなる自己組織化ポリマー膜、
(15)前記ポリマー膜が一般式(1)で表されるらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする(10)〜(14)のいずれか1項に記載の自己組織化ポリマー膜
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、nは10以上の整数、Rは芳香族又は脂肪族基を表す。)、
(16)前記ポリマー膜が一般式(2)で表されるらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする(10)〜(14)のいずれか1項に記載の自己組織化ポリマー膜
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、nは10以上の整数であり、X1、X2およびX3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1、X2およびX3のうち少なくともひとつは置換基を表す。)、
(17)前記ポリマー膜が一般式(3)で表されるらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする(10)〜(14)のいずれか1項に記載の自己組織化ポリマー膜
【0018】
【化6】

【0019】
(式中、nは10以上の整数であり、Xは水素原子または置換基を表す。)、
(18)ポリマー分子鎖が一方巻きらせん構造を有するポリマー固材が、溶媒との接触、熱、圧力、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与して、固材の形状を保ったまま自己組織化により10分以内にらせん方向及び/又は膜の旋光性を可逆的に変化する、刺激を除去した後もらせん方向を保持するポリマー分子よりなるポリマー固材、
(19)ポリマー分子鎖が一方巻きらせん構造を有するポリマー固材に、溶媒との接触、熱、圧力、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与して、固材の形状を保ったまま自己組織化により10分以内にらせん方向及び/又は膜の旋光性を可逆的に変化する、刺激を除去した後もらせん方向を保持する方法、
(20)一般式(4)で表される一方巻きらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする(18)又は(19)項記載のポリマー固材
【0020】
【化7】

【0021】
(式中、nは10以上の整数、Rは少なくとも1つ以上の光学活性炭素を有する基を表す。)、
(21)一般式(5)で表される一方巻きらせん構造を有するポリマーからなることを特徴とする(18)又は(19)項記載のポリマー固材
【0022】
【化8】

【0023】
(式中、nは10以上の整数、X1、X2、X3は少なくとも1つ以上の光学活性炭素を有する基を表す。)、
(22)自立膜、基板を備える膜、又は積層体のいずれか1つであることを特徴とする(8)〜(17)のいずれか1項に記載の自己組織化ポリマー膜、
(23)自立膜、基板を備える膜、粒子、微粒子、又は粉体のいずれか1つであることを特徴とする(18)〜(21)のいずれか1項に記載のポリマー固材、
(24)支持膜上に下記一般式(2)で表されるポリアセチレン置換体のポリマー膜が形成されていることを特徴とする置換ポリアセチレン膜、
【0024】
【化9】

【0025】
(式中、X1、X2およびX3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1、X2およびX3のうち少なくともひとつは置換基を表す。)
(25)前記一般式(2)におけるX1及びX3が水素原子であり、X2がアルコキシ基であることを特徴とする(24)項記載の置換ポリアセチレン膜、
(26)延伸することにより、色彩及びらせん構造が変化することを特徴とする(24)又は(25)項に記載の置換ポリアセチレン膜、
(27)(24)〜(26)のいずれか1項に記載の置換ポリアセチレン膜を延伸することにより得られる置換ポリアセチレン配向膜、
(28)加熱および/または有機溶媒蒸気と接触させることにより、色彩及びらせん構造が変化することを特徴とする(27)項記載の置換ポリアセチレン配向膜、
(29)(22)項記載の自己組織化ポリマー膜に加熱および/または有機溶媒蒸気と接触させることにより、色彩及びらせん構造を制御しうることを特徴とする置換ポリアセチレン配向膜、
(30)下記一般式(2)で表されるポリアセチレン置換体を支持膜上に塗布し乾燥してポリマー膜を形成し、該ポリマー膜を延伸することを特徴とする置換ポリアセチレン配向膜の製造方法
【0026】
【化10】

【0027】
(式中、nは10以上の整数であり、X1、X2およびX3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1、X2およびX3のうち少なくともひとつは置換基を表す。)、
(31)下記一般式(6)で表され、ポリマー鎖がらせん構造を有することを特徴とする光学活性ポリマー
【0028】
【化11】

【0029】
(式中、nは10以上の整数であり、Rは、1つ以上の不斉炭素を含みかつ該不斉炭素にOH基が置換した、炭素数2〜10のアルキル基又はアルコキシ基を表す。)、
(32)粉末状態又は膜状態で、加熱および/または有機溶媒蒸気と接触させることにより、色彩が変化し、並びにらせん構造が変化および/または新たならせん構造を形成することを特徴とする(31)項に記載の光学活性ポリマー、
(33)(31)又は(32)項に記載された光学活性ポリマーを用いて形成したポリマー膜であって、加熱および/または有機溶媒蒸気と接触させることにより、色彩が変化し、並びにらせん構造が変化および/または新たならせん構造を形成することを特徴とするポリマー膜、
(34)下記一般式(7)で表されるアセチレン誘導体を、ロジウム錯体触媒の存在下で重合することを特徴とする下記一般式(2)で表される光学活性ポリマーの製造方法
【0030】
【化12】

【0031】
(式中、X1、X2およびX3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1、X2およびX3のうち少なくともひとつは置換基を表す。)、
【0032】
【化13】

【0033】
(式中、nは10以上の整数であり、X1、X2およびX3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1、X2およびX3のうち少なくともひとつは置換基を表す。)、
(35)前記ロジウム錯体触媒が[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2であり、助触媒がアルキルアミン類であることを特徴とする(34)項記載の光学活性ポリマーの製造方法、(36)下記一般式(8)で表されるアセチレン誘導体を、ロジウム錯体触媒の存在下で重合することを特徴とする下記一般式(6)で表される光学活性ポリマーの製造方法
【0034】
【化14】

【0035】
(式中、Rは、1つ以上の不斉炭素を含みかつ該不斉炭素にOH基が置換した、炭素数2〜10のアルキル基又はアルコキシ基を表す。)、
【0036】
【化15】

【0037】
(式中、nは10以上の整数であり、Rは、1つ以上の不斉炭素を含みかつ該不斉炭素にOH基が置換した、炭素数2〜10のアルキル基又はアルコキシ基を表す。)、および(37)前記ロジウム錯体触媒が[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2であり、助触媒がアルキルアミン類であることを特徴とする(36)項記載の光学活性ポリマーの製造方法
を提供するものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明により、共役状態、光学的性質及び/又は円偏光二色性を可逆的ないしは不可逆的制御に基づいた各種電子・光学デバイスを提供できる。
本発明の置換ポリアセチレン膜は、延伸して配向させる際に色彩および共役構造が変化するという特性を有しており、この色彩および共役構造の変化を利用して各種センサーに利用することができる。
また、本発明の置換ポリアセチレン配向膜は高い配向度を有しており、共役を活かした電気電子的および光学的応用分野においてポリマーのポテンシャルをより高度に発揮させることができる。さらにこの配向膜は熱、圧力、電磁波、光、放射線または磁場などの刺激により吸収スペクトルおよび共役構造を変化させることができ、色可変材料、有機EL装置の電子供給層を構成する材料、非線形光学材料、磁性材料、導電性材料などの様々な光学用途及びエレクトロニクス用途に利用することができる。
本発明の光学活性ポリマーは、固体状態や膜状態でも外部刺激により共役やらせんピッチ、らせんの向き等が変化する。これによりポリマーにおける色彩、円偏光二色性を示す波長や円偏光二色性の正負および/または大きさ及び/又は膜の旋光性の制御を同時に行うことができる。これらを用いて光学デバイス、光メモリ、光学分割剤、液晶、非線形光学材料等の種々の用途に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
まず、本発明の「可逆的制御方法」について説明する。
本発明の可逆的制御方法は、ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマーに、外的負荷の少なくとも1つを付与して、らせん方向、らせんピッチ、らせん構造、結晶構造及びポリマー分子鎖の配向から選択される前記ポリマー鎖の特性の少なくとも2つを可逆的ないしは不可逆的に変化させることにより、前記ポリマー分子鎖ないしはポリマー集合体の共役状態、光学的性質及び/又は円偏光二色性を可逆的ないしは不可逆的に制御することを特徴とする。
本発明において、「らせん構造」とは、前記ポリマー鎖が、下記数値範囲のらせん直径、らせんピッチ及びらせん持続長を有するものをいう。
前記ポリマー分子鎖の前記らせん直径は50nm以下であり、0.1〜50nmであることが好ましく、0.5〜10nmであることがより好ましい。
前記ポリマー分子鎖の前記らせんピッチは50nm以下であり、0.1〜50nmであることが好ましく、0.5〜10nmであることがより好ましい。
前記ポリマー分子鎖の前記らせん持続長は10nm以上であり、50nm以上であることが好ましく、50nm〜500nmであることがより好ましい。
【0040】
本発明において、「らせん方向」とは、右巻き方向又は左巻き方向のいずれかをいう。
「らせん方向を変化させる」とは、右巻き方向から左巻き方向に、又は左巻き方向を右巻き方向に変化させることをいう。円偏光二色性の数値は膜厚や分子のパッキング状態により変化するが、例えば可視部の極大吸光度が1程度の膜を用いた一方巻きらせんの場合、円偏光二色性の数値範囲は1〜500mdeg、好ましくは、5〜100mdegであり、逆巻きらせんの場合、−1〜−500mdeg、好ましくは、−5〜−100mdegである。
本発明において、「らせんピッチ」とは、ポリマーらせんが1回転したときの両ユニット間の距離をいう。前記らせんピッチを変化させる具体例としては、例えば、1.8nmから2.5nmに変化させること、2.5nmから1.8nmに変化させること等が挙げられる。らせんピッチの変化は電子顕微鏡等による直接観察により測定できる。
本発明において、「結晶構造」とは、一定のらせん軸間距離を有するカラムナー構造等の高次構造をいう。前記結晶構造を変化させる具体例としては、例えば、アモルファス構造からカラムナー構造に変化させること、カラムナー構造からアモルファス構造に変化させること等が挙げられる。結晶構造の変化は広角X線散乱により測定できる。
本発明において、「ポリマーの分子配向」とは、分子のらせん軸が一定の方向を有する構造をいう。前記ポリマーの分子配向を変化させる具体例としては、例えば、無配向から一軸配向に変化させること、一軸配向から無配向に変化させること等が挙げられる。ポリマーの分子配向の変化は、偏光UVスペクトルにおいて、無配向は吸収が膜の向きにかかわらず一定で二色比が1として、一軸配向は延伸方向の偏光の吸収が大きくなとともにこれと垂直方向の偏光の吸収は小さくなり、二色比の増大として測定される。
【0041】
前記刺激としては、溶媒との接触、熱、圧力、延伸、光、磁場、電場等が挙げられ、溶媒との接触、熱、延伸が好ましく、溶媒との接触、熱がより好ましい。
前記刺激の各々の具体的処理条件は特に制限はないが、例えば下記のような条件が挙げられる。
「溶媒との接触」については、例えば、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン等の任意の溶媒ないしはその蒸気を適宜選択した温度、時間条件にて前記ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマーを処理することができる。
「熱」処理については、例えば、50〜300℃、好ましくは50〜200℃に前記ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマーを加熱処理することが挙げられる。
「圧力」処理については、例えば、1〜100kPa、好ましくは5〜20kPaにて前記ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマーを処理することが挙げられる。
「延伸」処理については、その条件・方法について詳細に後述している。
「光」処理については、例えば、100mJ〜100000mJ、好ましくは500mJ〜10000mJの光量にて前記ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマーを処理することが挙げられる。
「磁場」処理については、例えば、0.1T〜10T、好ましくは1T〜10Tにて前記ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマーを処理することが挙げられる。
「電場」処理については、例えば、0.01MV/cm〜10MV/cm、好ましくは0.1MV/cm〜1MV/cmにて前記ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマーを処理することが挙げられる。
本発明の可逆的制御方法において、(1)らせん方向と、(2)らせんピッチ、らせん構造、ポリマーの結晶構造及びポリマーの分子配向から選択される少なくとも1つの特性とを可逆的ないしは不可逆的に変化させることが好ましく、(1)らせん方向と、(2)らせんピッチ及びポリマーの結晶構造から選択される少なくとも1つの特性とを変化させることがより好ましく、(1)らせん方向と、(2)らせんピッチとを変化させることがさらに好ましい。
「ポリマー集合体」とは、2分子以上のポリマー分子からなる集合体をいう。
前記外的負荷を付与することにより、共役状態は、例えば、吸収極大が400nmから500nmへ変化させることができたり、500nmから400nmへ変化させることができる。
前記光学的性質は、例えば、ポリマー膜の色が黄色から赤色へ変化させることができたり、旋光度が正から負へ変化させることができる。例えば、膜の旋光度が正から負へ変化すること、または負から正へ変化することは、膜の旋光性が変化し、逆転することを意味する。
【0042】
本発明において「自己組織化ポリマー」とは外部刺激により分子の高次構造を自ら変化させることが可能であるポリマーをいう。
【0043】
本発明のポリマー材は、好ましくは自己組織化ポリマー膜、又はポリマー固材であり、ポリマー分子鎖がらせん構造を有するポリマーに、前記刺激の少なくとも1つを付与して、らせん方向、らせんピッチ、らせん構造、ポリマーの結晶構造及びポリマーの分子配向から選択される特性の少なくとも2つを可逆的ないしは不可逆的に変化させることにより、前記ポリマー鎖ないしはポリマー集合体の共役状態、光学的性質及び/又は円偏光二色性を可逆的ないしは不可逆的に制御しうることが好ましい。
本発明のポリマー材は、(1)らせん方向と、(2)らせんピッチ、らせん構造、ポリマーの結晶構造及びポリマーの分子配向から選択される少なくとも1つの特性とを可逆的ないしは不可逆的に変化させうることが好ましい。
前記ポリマー材の構成例の具体例としては、粒子、微粒子、粉体及び/又は基板を備える膜、自立膜等が挙げられる。
粒子、微粒子、粉体及び/又は基板を備える膜の具体例としては、スピンコート膜等が挙げられる。
前記自立膜の具体例としては、キャスト膜等が挙げられる。
前記ポリマー材は各種電子・光学デバイスとして使用することができる。
前記電子・光学デバイスの具体例としては、光学メモリ素子、分子メモリ素子等が挙げられる。
次に、前記可逆的制御方法に好ましく用いられる、「ポリマー鎖がらせん構造を有する下記一般式(I)で表されるポリマー」について説明する。
【0044】
【化16】

【0045】
(式中、nは10以上の整数、Rは芳香族又は脂肪族基を表す。)
本発明に用いられる化合物において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分は基自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における基が有してもよい「置換基」には、どのような置換基でも含まれる。
【0046】
置換基としては特に制限は無いが、例えばハロゲン原子、アルキル基[(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基及びトリシクロアルキル基を含む)、またアルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基も含むこととする]、アリール基、複素環基(ヘテロ環基とも言う)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、その他公知の置換基が例として挙げられる。
【0047】
さらに詳しくは、置換基は、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えばシクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、例えばビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル)、さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基に加え、下記のアルケニル基、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、アルキニル基等も含むものとする。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらはアルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えばビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、例えば2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えばエチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、複素環基(好ましくは5〜6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは炭素数3〜30の5〜6員の芳香族の複素環基、例えば2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、なお1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性複素環基でもよい)、
【0048】
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えばフェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えばトリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、例えば1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えばホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えばN,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えばフェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
【0049】
アミノ基(好ましくはアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチルアニリノ、ジフェニルアミノ)、アンモニオ基(好ましくはアンモニオ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基、例えばトリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)、アシルアミノ基(好ましくはホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えばホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えばカルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えばメトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えばフェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−(n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ))、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えばスルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えばメチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、
【0050】
メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えばフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えばN−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えばメチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えばアセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えばフェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えばカルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、
【0051】
アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えばフェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくはN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えばジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えばホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えばジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えばジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、ホスホ基、シリル基(好ましくは炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えばトリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、ヒドラジノ基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基、例えばトリメチルヒドラジノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のウレイド基、例えばN,N−ジメチルウレイド)を表す。
【0052】
上記の置換基の中で水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の置換基で置換されていてもよい。そのような複合置換基の例としては、アシルスルファモイル基、アルキル又はアリールスルホニルカルバモイル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルカルバモイル、p−メチルフェニルスルホニルカルバモイル、アセチルスルファモイル、ベンゾイルスルファモイル基が挙げられる。
【0053】
前記一般式(1)で表されるポリマーの重合度nはポリマーの重合度を表し、10以上の整数である。好ましくは10〜10000であり、より好ましくは20〜500である。
また、前記一般式(1)で表されるポリマーの数平均分子量は1000〜1000000が好ましく、10000〜100000がより好ましい。
次に、本発明の「ポリマーに色彩を付与する方法」について説明する。
本発明の「ポリマーに色彩を付与する方法」は、ポリマー鎖がらせん構造を有するポリマーに、前記外的負荷の少なくとも1つを付与して、(1)らせん方向及び/又はポリマー鎖の配向と、(2)らせん構造及び/又は結晶構造と、を可逆的ないしは不可逆的に変化させ、又は新たならせん構造を形成させて、前記ポリマーの色彩を変化させることを特徴とする。
本発明において、「色彩を変化させる」具体例としては、前記ポリマー鎖がらせん構造を有するポリマーが黄色を帯びているものを、前記外的負荷を付与して赤色に、黄色を帯びているもの橙色に、赤色を帯びているものを黄色に等の色彩を変化させることが挙げられる。上記色彩の変化は、UV吸収ないしは偏光UV吸収によっても測定できる。
【0054】
本発明のポリマーに色彩を付与する方法に、ポリマー鎖がらせん構造を有する前記一般式(1)で表されるポリマーを用いれば、各種センサーとすることができる。例えば、有機溶剤ガスにより色彩が変化する、温度変化により色彩が変化する温度センサー、張力変化により色彩が変化する張力センサー、圧力変化により色彩が変化する圧力センサー、光の波長、強度変化により色彩が変化する光センサー等が挙げられる。
【0055】
本発明は、ポリマー鎖が一方巻きらせん構造を有するポリマーに、前記外的負荷の少なくとも1つを付与してらせん方向を可逆的に変化する方法とすることができる。
本発明は、ポリマー鎖が一方巻きらせん構造を有し、前記外的負荷の少なくとも1つを付与してらせん方向を可逆的に変化しうるポリマー材とすることもできる。
前記ポリマー材の構成例としての具体例としては、基板を備える膜、自立膜等が挙げられる。
前記基板を備える膜の具体例としては、スピンコート膜等が挙げられる。
前記自立膜の具体例としては前述したものが挙げられる。
本発明の自己組織化ポリマー膜は、自立膜、基板を備える膜、又は積層体のいずれか1つであることが好ましい。
また、本発明のポリマー固材は、自立膜、基板を備える膜、粒子、微粒子、又は粉体のいずれか1つであることが好ましい。
【0056】
本発明のポリマー膜および配向膜に用いられるポリアセチレン置換体は、前記一般式(I)で表され、ポリマー鎖が規則的ならせん構造を有する。
【0057】
一般式(1)で表されるポリマーは一般式(2)で表されるポリマーであることが好ましい。
【0058】
【化17】

【0059】
(式中、nは10以上の整数であり、X1、X2およびX3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1、X2およびX3のうち少なくとも1つは光学活性置換基を表す。)
【0060】
本発明において、X1、X2およびX3のうち少なくとも1つは光学活性置換基であるのが好ましい。
1、X2およびX3のうち少なくとも1つが光学活性置換基であり、かつそのX1、X2およびX3の組み合わせとして、X1が水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子、X2がアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基又はアミノ基、X3が水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子の場合が好ましく、X1が水素原子、アルキル基又はハロゲン原子、X2が光学活性アルキル基又は光学活性アルコキシ基、X3が水素原子、アルキル基又はハロゲン原子の場合がより好ましく、X1及びX3が水素原子であり、X2が光学活性アルコキシ基である場合が特に好ましい。
【0061】
前記光学活性置換基が、1つ以上の不斉炭素を有し、かつ該不斉炭素にOH基が置換した炭素数2以上のアルキル基又はアルコキシル基であることが特に好ましい。
【0062】
前記光学活性アルキル基とは、炭素数2〜10の直鎖または分岐のアルキル基であって、1つ以上の不斉炭素を含みかつ該不斉炭素にOH基が置換したものを表す。炭素数が4〜8のものが好ましい。具体例としては、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基、1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、2−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシヘキシル基、2−ヒドロキシへプチル基、2−ヒドロキシオクチル基、2−ヒドロキシノニル基、2−ヒドロキシデシル基等が挙げられ、特に好ましくは、2−ヒドロキシヘキシル基、2−ヒドロキシへプチル基、2−ヒドロキシオクチル基である。
【0063】
前記光学活性アルコキシ基とは、炭素数2〜10の直鎖または分岐のアルコキシ基であって、1つ以上の不斉炭素を含みかつ該不斉炭素にOH基が置換したものを表す。炭素数が4〜8のものが好ましい。具体例としては、1−ヒドロキシエトキシ基、2−ヒドロキシプロポキシ基、2−ヒドロキシブトキシ基、1−ヒドロキシ−1−メチルプロポキシ基、1−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ基、2−ヒドロキシペンチルオキシ基、2−ヒドロキシヘキシルオキシ基、2−ヒドロキシへプチルオキシ基、2−ヒドロキシオクチルオキシ基、2−ヒドロキシノニルオキシ基、2−ヒドロキシデシルオキシ基等が挙げられ、特に好ましくは、2−ヒドロキシヘキシルオキシ基、2−ヒドロキシへプチルオキシ基、2−ヒドロキシオクチルオキシ基である。
【0064】
また、X1とX2又はX2とX3が連結して、環(芳香族または非芳香族の、炭化水素環または複素環。これらはさらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、キノリン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、キノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)構造をとることもできる。
【0065】
前記一般式(2)で表されるポリマーは、前記一般式(7)で表されるアセチレン置換体モノマーを重合することにより製造できる。
置換アセチレンモノマーの製造方法は特に限定されないが、例えばR.D’Amato,T.Sone,M.Tabata,M.V.Russo,A.Fdurlaniらによる「Macromolecules」,Vol.31,p.8660(1998)に記載の方法により得ることができる。
【0066】
一般式(1)で表されるポリマーは一般式(3)で表されるポリマーであることも好ましい。
【0067】
【化18】

【0068】
nは10〜10000が好ましい。Xはフェノキシ酸素を有する基であることが好ましい。一般式(3)で表されるポリマーは、例えば、[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2触媒を用いることにより合成することができる。
【0069】
本発明の別の実施態様は下記一般式(4)の一方巻きらせん構造を有するポリマーからなるポリマー固材である。
【0070】
【化19】

【0071】
(式中、nは10以上の整数、Rは少なくとも1つ以上の光学活性炭素を有する基を表す。)
nは10〜10000が好ましい。Rは水素結合性光学活性基を有する基であることが好ましい。一般式(4)で表されるポリマーは、例えば、[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2触媒を用いることにより合成することができる。
【0072】
本実施態様では、ポリマーは下記一般式(5)のポリマーからなることが好ましい。
【0073】
【化20】

【0074】
(式中、nは10以上の整数、X1、X2、X3は少なくとも1つ以上の光学活性炭素を有する基を表す。)
nは10〜10000が好ましい。X1、X2、X3は水素結合性光学活性基を有する基であることが好ましい。一般式(5)で表されるポリマーは、例えば、[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2触媒を用いることにより合成することができる。
【0075】
本発明に用いられるポリマーを製造する重合反応は、ロジウム錯体触媒の存在下で行うことが好ましい。ロジウム錯体触媒を用いることにより、ポリマー主鎖の共役二重結合がすべてシス形に制御された立体規則性ポリマーを生成することができる。
ロジウム錯体触媒としては特に限定されないが、[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2、[Rh(シクロオクタジエン)Cl]2、[Rh(ビス−シクロオクテン)Cl]2等のジエンおよびモノエン配位子を有するロジウム錯体触媒が挙げられ、特に[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2が好ましく用いられる。
本発明に用いられるポリマーの製造方法においては、ロジウム錯体触媒として[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2を用い、かつ助触媒としてトリエチルアミンを用いることが好ましい。
【0076】
また、上記の反応において、溶媒としては、ヘキサン、トルエン、クロロホルム等の非極性有機溶媒や、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン、アルコール類(メタノール、エタノール等)等の極性有機溶媒が挙げられる。
【0077】
本発明の置換ポリアセチレン膜および配向膜は支持膜を含む。
支持膜としては公知の延伸可能なポリマーを用いることができ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の置換ポリアセチレン膜および配向膜の膜厚は、0.01μm〜1mmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましい。
【0078】
つぎに、本発明の置換ポリアセチレン膜および配向膜の製造方法について説明する。
本発明の置換ポリアセチレン膜は、前記一般式(2)で表されるポリアセチレン置換体を溶媒に溶解させた溶液を前記支持膜上に塗布・乾燥することで作製することができる。 溶媒としては例えば、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン等の有機溶媒が挙げられるが特にこれらに限定されない。また、ポリマー溶液の塗布方法は、スピンキャスト法等の一般的な方法により行うことができ、特に限定されるものではない。
【0079】
さらに本発明の置換ポリアセチレン膜を延伸することで本発明の配向膜を作製することができる。ポリアセチレン類は硬くもろい性質を有するため、単独で膜を形成しても延伸すると膜が破壊されて配向膜を得ることができない。本発明は、支持膜上に所定のポリアセチレン置換体のポリマー膜を形成すると延伸しても膜が壊れずに配向膜が得られるという知見に基づきなされるに至ったものである。
【0080】
延伸方法は一軸延伸、二軸延伸などの一般的な方法を用いることができ、特開平11−348113号公報等に記載の方法を用いることができる。延伸の際には、ポリマー膜を好ましくは50〜100℃、より好ましくは50〜70℃に加熱してもよい。延伸速度は10〜100mm/分が好ましく、20〜30mm/分がより好ましい。延伸倍率は2〜20倍が好ましく、2.5〜10倍がより好ましい。
【0081】
本発明の置換ポリアセチレン膜は、延伸して配向させる際に色彩および共役構造が変化する。
また、本発明の配向膜は、加熱または有機溶媒蒸気と接触させることにより、色彩、共役状態及びらせん構造が変化する。また、加熱しさらに有機溶媒蒸気と接触させることでらせんの向きを制御することができる。共役状態がどのように変化しているかは未だ定かではないが、ポリマー主鎖における単結合の立体構造または高次構造の変化が生じると考えられている。この共役状態の変化は色彩変化を誘起し、電気的・電子的性質の変化をも誘起する。
【0082】
上記の処理における加熱温度は、好ましくは60〜200℃、より好ましくは80〜120℃である。また、加熱時間は、好ましくは1〜60分、より好ましくは10〜30分である。
【0083】
上記の処理において用いられる有機溶媒としては例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;クロロホルムジクロロメタン等の含塩素溶媒などが挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。
上記有機溶媒の蒸気を本発明のポリマーに接触させる際の条件は、常圧下又は減圧下で0〜50℃の雰囲気で行うことが好ましい。接触時間は10〜60分が好ましい。蒸気温度は、20〜30℃が好ましい。
【0084】
本発明の光学活性ポリマーは、下記一般式(6)で表され、ポリマー鎖が規則的ならせん構造を有することが好ましい。
【0085】
【化21】

【0086】
式中、Rは、1つ以上の不斉炭素を含みかつ該不斉炭素にOH基が置換した、炭素数2〜10のアルキル基又はアルコキシ基を表す。不斉炭素の数は1〜3個が好ましいが、立体制御の観点から1個が特に好ましい。
本発明のポリマーは、ポリマー主鎖の共役二重結合がすべてシス体に制御されることで安定ならせん構造を有しており、しかもS異性体又はR異性体のどちらか一方の基で置換されることでらせんの巻き方向が統一された規則的ならせん構造を有する。そして、前記不斉炭素にOH基を置換することで、水素結合によりらせん構造を安定化できると考えられる。
【0087】
Rで表されるアルキル基とは、炭素数2〜10の直鎖または分岐のアルキル基であって、1つ以上の不斉炭素を含みかつ該不斉炭素にOH基が置換したものを表す。炭素数が4〜8のものが好ましい。具体例としては、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基、1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、2−ヒドロキシペンチル基、2−ヒドロキシヘキシル基、2−ヒドロキシへプチル基、2−ヒドロキシオクチル基、2−ヒドロキシノニル基、2−ヒドロキシデシル基等が挙げられ、特に好ましくは、2−ヒドロキシヘキシル基、2−ヒドロキシへプチル基、2−ヒドロキシオクチル基である。
【0088】
Rで表されるアルコキシ基とは、炭素数2〜10の直鎖または分岐のアルコキシ基であって、1つ以上の不斉炭素を含みかつ該不斉炭素にOH基が置換したものを表す。炭素数が4〜8のものが好ましい。具体例としては、1−ヒドロキシエトキシ基、2−ヒドロキシプロポキシ基、2−ヒドロキシブトキシ基、1−ヒドロキシ−1−メチルプロポキシ基、1−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ基、2−ヒドロキシペンチルオキシ基、2−ヒドロキシヘキシルオキシ基、2−ヒドロキシへプチルオキシ基、2−ヒドロキシオクチルオキシ基、2−ヒドロキシノニルオキシ基、2−ヒドロキシデシルオキシ基等が挙げられ、特に好ましくは、2−ヒドロキシヘキシルオキシ基、2−ヒドロキシへプチルオキシ基、2−ヒドロキシオクチルオキシ基である。
【0089】
nはポリマーの重合度を表し、10以上の整数である。好ましくは10〜10000であり、より好ましくは20〜500である。
【0090】
本発明のポリマーは光学活性を有しており、旋光性を示す。本発明のポリマーはS異性体およびR異性体のいずれであってもよいがラセミ混合物ではない。
本発明のポリマーの数平均分子量は1000〜1000000が好ましく、4000〜100000がより好ましい。
【0091】
本発明のポリマーは、加熱または有機溶媒蒸気と接触させることにより、色彩および共役状態が変化し、並びにらせん構造が変化および/または新たならせん構造を形成することが好ましい。また、加熱しさらに有機溶媒蒸気と接触させることで新たに形成されるらせんの向きを制御することができる。共役状態がどのように変化しているかは未だ定かではないが、ポリマー主鎖における単結合の立体構造または高次構造の変化が生じると考えられている。この共役状態の変化は色彩変化を誘起し、電気的・電子的性質の変化をも誘起する。
本発明のポリマーは、溶液状態ではもちろん粉末状態又は膜状態でも色彩およびらせん構造を同時に制御することができる。
【0092】
上記の処理における加熱温度は、好ましくは60〜200℃、より好ましくは100〜150℃である。また、加熱時間は、好ましくは1〜60分、より好ましくは3〜30分である。
【0093】
上記の処理において用いられる有機溶媒としては例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;クロロホルム、ジクロロメタン等の含塩素溶媒などが挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。
上記有機溶媒の蒸気を本発明のポリマーに接触させる際の条件は、常圧下又は減圧下で0〜50℃の雰囲気で行うことが好ましい。接触時間は10〜90分が好ましい。蒸気温度は、10〜30℃が好ましい。
【0094】
つぎに、本発明のポリマーの製造方法について説明する。
前記一般式(2)で表されるポリマーは、下記一般式(7)で表されるアセチレン誘導体を重合することにより製造できる。
【0095】
【化22】

【0096】
式中、X1、X2およびX3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1
、X2およびX3のうち少なくともひとつは置換基を表す。X1、X2およびX3は前記一般
式(2)におけるX1、X2およびX3におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様であ
る。
【0097】
また、前記一般式(6)で表される光学活性ポリマーは、下記一般式(8)で表される
アセチレン誘導体を重合することにより製造できる。
【0098】
【化23】

【0099】
式中、Rは、1つ以上の不斉炭素を含みかつ該不斉炭素にOH基が置換した、炭素数2〜10のアルキル基又はアルコキシ基を表す。Rは前記一般式(6)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0100】
前記一般式(7)または(8)で表される置換アセチレンモノマーの製造方法は特に限定されないが、例えばR.D’Amato,T.Sone,M.Tabata,M.V.Russo,A.Fdurlaniらによる「Macromolecules」,Vol.31,p.8660(1998)に記載の方法により得ることができる。
【0101】
本発明のポリマーを製造する重合反応は、ロジウム錯体触媒の存在下で行うことが好ましい。ロジウム錯体触媒を用いることにより、ポリマー主鎖の共役二重結合がすべてシス形に制御された立体規則的なポリマーを生成することができる。
ロジウム錯体触媒としては特に限定されないが、[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2、[Rh(シクロオクタジエン)Cl]2、[Rh(ビス−シクロオクテン)Cl]2等のジエンおよびモノエン配位子を有するロジウム錯体触媒が挙げられ、特に[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2が好ましく用いられる。また、助触媒としてアルキルアミン類を用いることが好ましく、例えばジエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチルアミン等が用いられる。
本発明のポリマーの製造方法においては、ロジウム錯体触媒として[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2を用い、かつ助触媒としてトリエチルアミンを用いることが好ましい。
【0102】
また、上記の製造方法において、溶媒としては、ヘキサン、トルエン、クロロホルム等の非極性有機溶媒や、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン、アルコール類(メタノール、エタノール等)等の極性有機溶媒が挙げられる。
【0103】
つぎに、本発明のポリマーを用いたポリマー膜について説明する。
該ポリマー膜は、本発明のポリマーを溶媒に溶解し、ガラス等の上に塗布・乾燥することで形成することができる。
溶媒としては例えば、ジエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒が挙げられるが特にこれらに限定されない。また、ポリマー溶液の塗布方法は、スピンキャスト法等の一般的な方法により行うことができ、特に限定されるものではない。
ポリマー膜の膜厚は、0.01μm〜1mmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。
【0104】
本発明のポリマー分子よりなる自己組織化ポリマー膜は、上記の刺激により吸収のピークトップが400〜550nmの範囲で一意的かつ任意に制御可能であることが好ましい。
本発明において、一意的かつ任意にとは、加熱温度等の刺激の種類により吸収のピークトップが制御可能であることを意味する。
【実施例】
【0105】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
<(S)−1−(4−エチニルフェノキシ)−2−ヘキサノールの製造>
(salen)Co(O−C(CF3)3)(H2O) 0.85g、3Aモレキュラーシーブズ1g、p−ヨードフェノール5g、1,2−エポキシヘキサン5g、t−ブチルメチルエーテル2mLを混合し、−15℃で12時間反応させた。これにピリジニウム p−トルエンスルホネート0.7gを添加しt−ブチルメチルエーテル20mLで希釈後、シリカゲルでろ過した。エバポレータで脱溶剤後、酢酸エチル/ヘキサン(体積比、1/5)溶媒によりカラム精製した。
【0106】
得られた化合物にトリエチルアミン40mL、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム24mg、トリフェニルホスフィン35mg、ヨウ化銅39mg、トリメチルシリルアセチレン4.32gを添加し、40℃で1時間反応させた。エバポレータで脱溶剤後、エチルエーテルを添加し、生成した化合物を抽出した。このエチルエーテル層を蒸留水300mLで3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥させ、その後ろ過し、ろ液の溶媒を留去した。得られた化合物にエタノール10mL、水酸化カリウム0.1gを添加し、室温で1時間攪拌した。エチルエーテルを加え、生成した化合物を抽出した。このエチルエーテル層を5%塩酸水溶液で2回洗浄し、蒸留水300mLでエーテル層が中性になるまで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥させ、ろ過後、溶媒を留去した。溶媒を留去し、酢酸エチル/ヘキサン(体積比、1/5)溶媒によりカラム精製することにより(S)−1−(4−エチニルフェノキシ)−2−ヘキサノール1.7gを得た(収率35%)。生成物の旋光性についてP−1020(商品名、日本分光社製)を用いて測定したところ、ジメチルホルムアミド中濃度1.01g/dLで測定した589nmにおける比旋光度は−10.2だった。
【0107】
<ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェノキシ)−2−ヘキサノール]の製造>
【化24】

【0108】
窒素ガスで置換したフラスコ中に[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2 34.5mg、トリエチルアミン30.6mg、テトラヒドロフラン1.5mLを入れ、これに別のフラスコで調製された(S)−1−(4−エチニルフェノキシ)−2−ヘキサノール327mgのテトラヒドロフラン溶液1.5mLをすばやく加え重合を開始させた。25℃で30分間撹拌後シクロヘキサン200mLに反応混合物を滴下し、反応を停止させた。沈殿してきたポリマーをろ別し、真空乾燥し黄色粉末230mgを得た(収率70%)。生成物の旋光性についてP−1020(商品名、日本分光社製)を用いて測定したところ、ジメチルホルムアミド中濃度0.10g/dLで測定した589nmにおける比旋光度は+170.3だった。
生成したポリマーの1H−NMRのチャート図を図1に示す。
【0109】
<ポリマー膜の作製>
上記で作製したポリマーのジエチルアミン溶液(2質量%)を18×18mmのカバーグラス上に1500rpmでスピンコートし、これを乾燥させて黄色のポリマー膜を作製した(膜厚0.3μm)。生成した膜のCDスペクトル及び紫外可視(UV)スペクトルをV−570(商品名、日本分光社製)を用いて測定した。結果を図2に示す。図2中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸(左側)はCDスペクトル(mdeg)を示し、縦軸(右側)は吸光度を示す。図2中の曲線1はポリマー膜のCDスペクトルであり、曲線4は
ポリマー膜の紫外可視スペクトルである。
図2から明らかなように、380nmに正のピークを有する大きなスペクトルが観測され、円偏光二色性を示すことがわかった。
なお、以下の実施例におけるCDスペクトル及び紫外可視(UV)スペクトルの測定も同様に行ったものである。
【0110】
<ポリマー膜のクロロホルム蒸気処理>
上記で作製したポリマー膜を常温常圧下で、25℃のクロロホルム蒸気に30分接触させたところ、膜の色は黄色から赤色に変化した。
上記と同様にしてCDスペクトル及び紫外可視スペクトルを測定した。結果を図2に示す。図2中の曲線2はクロロホルム蒸気処理したポリマー膜のCDスペクトルであり、曲線5はクロロホルム蒸気処理したポリマー膜の紫外可視スペクトルである。
図2から明らかなように、蒸気処理していないポリマー膜のものと比べて、紫外可視スペクトルが長波長方向にシフトした。また、CDスペクトルについてみると、蒸気処理していないポリマー膜で見られた380nmのピークは大きく減少し、代わって520nm付近に正のピークを有するスペクトルが現れた。このことから、クロロホルム蒸気処理を行うことでポリマーの新たならせん構造が形成されていることがわかる。
さらに広角X線散乱では26Å付近に鋭いピークが現れ、結晶化が促進していることが確認された。この膜を常温常圧下でジエチルアミン蒸気に30分接触させると膜の色は黄色に戻り、CDスペクトルについても520nmのピークは消失し、380nmのピークが増大した。また広角X線散乱における26Åのピークはほぼ消失し、非晶状態に戻ったことが確認された。
【0111】
<ポリマー膜のトルエン蒸気処理>
上記で作製したポリマー膜を常温常圧下で、25℃のトルエン蒸気に30分接触させたところ、膜の色は赤色に変化した。
上記と同様にしてCDスペクトル及び紫外可視スペクトルを測定した。結果を図2に示す。図2中の破曲線3はトルエン蒸気処理したポリマー膜のCDスペクトルであり、破曲線6はトルエン蒸気処理したポリマー膜の紫外可視スペクトルである。
図2から明らかなように、蒸気処理していないポリマー膜のものと比べて、紫外可視スペクトルが長波長方向にシフトした。また、CDスペクトルについてみると、蒸気処理していないポリマー膜で見られた380nmのピークは大きく減少したが、クロロホルム蒸気処理時に現れた520nm付近のピークは観測されなかった。このことから、トルエン蒸気処理を行うことでポリマーのらせん構造が変化したこと、並びにクロロホルム蒸気処理を行った際に形成された新たならせん構造は形成されなかったことがわかる。
【0112】
<ポリマー膜の熱処理>
上記で作製したポリマー膜を100℃で3分間加熱したところ、膜の色は橙色に変化した。
上記と同様にしてCDスペクトル及び紫外可視スペクトルを測定した。結果を図3に示す。図3中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸(左側)はCDスペクトル(mdeg)を示し、縦軸(右側)は吸光度を示す。図3中の破曲線7が熱処理したポリマー膜のCDスペクトルであり、破曲線9が熱処理したポリマー膜の紫外可視スペクトルである。また、図3中の曲線1が熱処理していないポリマー膜のCDスペクトルであり、曲線4は熱処理していないポリマー膜の紫外可視スペクトルである。
図3から明らかなように、熱処理していないポリマー膜のものと比べて、紫外可視スペクトルが長波長方向にシフトした。また、CDスペクトルについてみると、熱処理していないポリマー膜で見られた380nmのピークは大きく減少した。このことから、熱処理を行うことでポリマーのらせん構造が変化していることがわかる。
【0113】
<ポリマー膜の熱処理後のクロロホルム蒸気処理>
上記で作製したポリマー膜を100℃で3分間加熱した後、25℃のクロロホルム蒸気に30分接触させたところ、膜の色は黄色から赤色に変化した。
上記と同様にしてCDスペクトル及び紫外可視スペクトルを測定した。結果を図3に示す。図3中の曲線8が熱処理後にクロロホルム蒸気処理したポリマー膜のCDスペクトルであり、曲線10が熱処理後にクロロホルム蒸気処理したポリマー膜の紫外可視スペクトルである。
図3から明らかなように、紫外可視スペクトルは熱処理したポリマー膜のものよりさらに長波長方向にシフトした。また、CDスペクトルについてみると、熱処理していないポリマー膜で見られた380nmのピークは大きく減少し、代わって530nm付近に負のピークを有するスペクトルが現れた。このピークの正負が逆転していることから、熱処理後にクロロホルム蒸気処理を行うことでポリマーの新たならせん構造が形成され、しかもそのらせんの巻き方向が熱処理を行わなかった場合と比べ反転していることがわかる。
さらに広角X線散乱では26Å付近に鋭いピークが現れ、結晶化が促進していることが確認された。この膜を常温常圧下でジエチルアミン蒸気に30分接触させると膜の色は黄色に戻り、CDスペクトルについても520nmのピークは消失し、380nmのピークが増大した。また広角X線散乱における26Åのピークはほぼ消失し、非晶状態に戻ったことが確認された。
【0114】
実施例2
<ポリ[(S)―1−(4−エチニルフェニル)−1−ペンタノール]を用いたポリマー膜の製造>
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェノキシ)−2−ヘキサノール]の代わりにポリ[(S)―1−(4−エチニルフェニル)−1−ペンタノール]を用いた以外は実施例1と同様な方法により、ポリ[(S)―1−(4−エチニルフェニル)−1−ペンタノール]のスピンコート膜をジエチルアミン溶液から製造したところ黄色の膜が得られた。CDスペクトルにおいては370nm付近に正の、440nm付近に負のピークが観測された。これを常温常圧下でアセトン蒸気に1分間接触させると上記2つのピークの正負が逆転し、370nm付近のピークが負に、440nm付近のピークが正になった。このことから溶媒蒸気によりらせん反転が起こったことが確認された。さらにこの膜を常温常圧下でジエチルアミン蒸気に1分間接触させると370nm付近に正の、440nm付近に負のピークが観測され、らせんの向きは当初の方向に戻ったことが確認された。図4に、この製膜直後及びアセトン蒸気に1分間接触後のポリマー膜のCDスペクトルを示す。図4中、縦軸は楕円率(Ellipticity/単位:mdeg)、横軸は波長(Wavelength/単位:nm)である。また、実線41は製膜直後のCDスペクトル、破線42はアセトン蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトルである。
【0115】
<ポリマー膜の熱処理後のクロロホルム蒸気処理>
ポリ[(S)―1−(4−エチニルフェニル)−1−ペンタノール]のスピンコート膜をジエチルアミン溶液から作製したところ黄色の膜が得られた。CDスペクトルにおいては370nm付近に負の、440nm付近に正のピークが観測された。これを常温常圧下でクロロホルム蒸気に1分間接触させると上記2つのピークの正負が逆転し、370nm付近のピークが正に、440nm付近のピークが負になった。このことから溶媒蒸気によりらせん反転が起こったことが確認された。さらにこの膜を常温常圧下でメタノール蒸気に1分間接触させると370nm付近に負の、440nm付近に正のピークが観測され、らせんの向きは再び反転し、当初の方向に戻ったことが確認された。これらのらせんの向きは溶媒蒸気を除いた後も保持された。図5に、この製膜直後、クロロホルム蒸気に1分間接触後、及びクロロホルム蒸気に1分間接触後さらにメタノール蒸気に1分間接触後のポリマー膜のCDスペクトルを示す。図5中、縦軸は楕円率(Ellipticity/単位:mdeg)、横軸は波長(Wavelength/単位:nm)である。また、実線51は製膜直後のCDスペクトル、破線52はクロロホルム蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトル、破線53はクロロホルム蒸気に1分間接触後メタノール蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトルである。
【0116】
<ポリマー膜の熱処理後のテトラヒドロフラン蒸気処理>
ポリ[(S)―1−(4−エチニルフェニル)−1−ペンタノール]のスピンコート膜をジエチルアミン溶液から作製したところ黄色の膜が得られた。CDスペクトルにおいては370nm付近に正の、440nm付近に負のピークが観測された。これを常温常圧下でテトラヒドロフラン蒸気に1分間接触させると上記2つのピークのうち370nm付近のピークの正負が逆転した。一方、440nm付近のピークは消失した。このことから溶媒蒸気によりらせん反転が起こるとともに、一部らせん構造の変化が起こったことが確認された。さらにこの膜を常温常圧下でジエチルアミン蒸気に1分間接触させると370nm付近に正の、440nm付近に負のピークが観測され、らせんの向きおよび構造が元に戻ったことが確認された。図6に、この製膜直後、テトラヒドロフラン蒸気に1分間接触後、及びテトラヒドロフラン蒸気に1分間接触後さらにジエチルアミン蒸気に1分間接触後のポリマー膜のCDスペクトルを示す。図6中、縦軸は楕円率(Ellipticity/単位:mdeg)、横軸は波長(Wavelength/単位:nm)である。また、実線61は製膜直後のCDスペクトル、破線62はテトラヒドロフラン蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトル、破線63はテトラヒドロフラン蒸気に1分間接触後ジエチルアミン蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトルである。
【0117】
実施例3
<N−ブチル−2−(p−エチニルフェノキシ)アセトアミドの製造>
トリエチルアミン150mLにN−ブチル−2−(p−ブロモフェノキシ)アセトアミド10g、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.74g、トリフェニルホスフィン1.10g、ヨウ化銅1.20g、トリメチルシリルアセチレン4.12gを添加し、90℃で30時間反応させた。エバポレータで脱溶剤後、エチルエーテルを添加し、生成した化合物を抽出した。このエチルエーテル層を蒸留水300mLで3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥させ、その後ろ過し、ろ液の溶媒を留去した。得られた化合物にトルエン100mL、メタノール100mL、炭酸カリウム2.4gを添加し、室温で1時間攪拌した。エチルエーテルを加え、生成した化合物を抽出した。このエチルエーテル層を5%塩酸水溶液で2回洗浄し、蒸留水300mLでエーテル層が中性になるまで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥させ、ろ過後、溶媒を留去した。カラム精製後溶媒を留去し、クロロホルムを展開溶媒としてカラム精製することによりN−ブチル−2−(p−エチニルフェノキシ)アセトアミド6.3gを得た(収率78%)。
【0118】
<ポリ[N−ブチル−2−(p−エチニルフェノキシ)アセトアミド]の製造>
窒素ガスで置換したフラスコ中に、[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2 11.5mg、トリエチルアミン50.6mg、クロロホルム2.5mLを入れ、これに別のフラスコで調製されたN−ブチル−2−(p−エチニルフェノキシ)アセトアミド580mgのクロロホルム溶液2.5mLをすばやく加え重合を開始させた。25℃で30分間撹拌後、200mLのシクロヘキサンに反応混合物を滴下し、反応を停止させた。沈殿してきたポリマーをろ別し、真空乾燥し430mgの黄色ポリマーを得た(収率74%)。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ7.12(s,1H),6.63(d,2H),6.47(d,2H),5.70(s,1H),4.17(s,2H),3.31(s,2H),1.53(tt,2H),1.32(tq,2H),0.91(t,3H)
【0119】
<ポリマー膜および配向膜の作製>
上記で製造したポリマーのクロロホルム溶液(2質量%)を幅20mm×長さ30mm×厚さ0.2mmのポリプロピレン支持膜上に1500rpmでスピンコートし、これを乾燥させてポリマー膜を作製した(膜厚1μm)。得られたポリマー膜を支持膜ごと50℃で25mm/分の速度で5倍に一軸延伸し、配向膜を得た。ポリマー膜の色は延伸前は黄色だったが、5倍の延伸により橙色に変化した。延伸前後のポリマー膜のUVスペクトルを、Cary500分光光度計(商品名、Varian社製)を用いて測定した。結果を図7に示す。図7中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸光度を示す。図7中の点線71は延伸前のポリマー膜のUVスペクトルであり、実線72は延伸後の配向膜のUVスペクトルである。図7は、延伸することによりスペクトルが長波長方向にシフトして色彩が変化していることを示している。
【0120】
また、作製した配向膜について、延伸方向の偏光UVスペクトル及び延伸方向に対して垂直方向の偏光UVスペクトルを、Cary500分光光度計(商品名、Varian社製)を用いて測定した。結果を図8に示す。図8中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸光度を示す。図8中の曲線81は配向膜の延伸方向の偏光UVスペクトルであり、曲線82は配向膜の延伸方向に対して垂直方向の偏光UVスペクトルである。図8の結果は、延伸方向の光吸収が垂直方向より大きく、本発明の配向膜が高配向していることを示している。
【0121】
実施例4
<p−ヘキシルオキシフェニルアセチレンの製造>
N,N−ジメチルホルムアミド20mLにp−ヨードフェノール4.40g、炭酸カリウム5.29g、臭化ヘキサン3.96gを添加し、70℃で8時間反応させた。エチルエーテルを添加し、生成した化合物を抽出した。このエーテル層を蒸留水100mLで3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥させ、ろ過し、ろ液の溶媒を留去した。得られた化合物は減圧蒸留により精製し、p−ヘキシルオキシヨードフェノール5.50gを得た(収率91%)。トリエチルアミン100mLにp−ヘキシルオキシヨードフェノール5.7g、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.014g、トリフェニルホスフィン0.054g、ヨウ化銅0.058g、トリメチルシリルアセチレン11.8gを添加し、80℃で4時間反応させた。反応液をろ過し、ろ液溶媒を留去した後、エチルエーテルを加えた。このエーテル層を蒸留水100mLで3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥させ、その後ろ過し、ろ液の溶媒を留去した。得られた化合物にエタノール30mL、水酸化カリウム2gを加えて室温で2時間撹拌した。エチルエーテルを加え、生成した化合物を抽出した。このエーテル層を蒸留水で中性になるまで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥させ、ろ過後、ろ液の溶媒を留去した。さらに減圧蒸留により生成しp−ヘキシルオキシフェニルアセチレンを1.57g得た(収率53%)。
【0122】
<ポリ(p−ヘキシルオキシフェニルアセチレン)の製造>
窒素ガスで置換したフラスコ中に、[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2 57.6mg、NaOCH3 57.9mg、トリフェニルホスフィン65.6mg、N,N−ジメチルアミノピリジン30.5mg、テトラヒドロフラン12mLを入れ、これに別のフラスコで調製されたp−ヘキシルオキシフェニルアセチレン506mgのトルエン溶液12mLをすばやく加え重合を開始させた。25℃で2時間室温で撹拌後450mLのメタノールに反応混合物を滴下し、反応を停止させた。沈殿してきたポリマーをろ別し、真空乾燥し黄色ポリマー360mgを得た(収率71%)。
クロロホルム中でのゲル透過クロマトグラフィ(GPC)測定によると、数平均分子量はポリスチレン換算で33000と見積もられた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ6.59(d,2H),6.41(d,2H),5.75(s,1H),3.68(s,2H),1.65(br,2H),1.31
(br,8H),0.89(t,3H)
【0123】
<ポリマー膜および配向膜の作製>
上記で製造したポリマーを用いたこと以外は実施例3と同様にして、ポリプロピレン支持膜上に塗布・乾燥してポリマー膜(膜厚1μm)を作製した。さらに、このポリマー膜を一軸延伸して配向膜を得た。ポリマー膜の色は延伸前は黄色だったが、5倍の延伸によりわずかに赤みがかった色に変化した。
作製した配向膜の偏光UVスペクトルを実施例3と同様にして測定した。結果を図9に示す。図9中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸光度を示す。図9中の曲線91は配向膜の延伸方向の偏光UVスペクトルであり、曲線92は配向膜の延伸方向に対して垂直方向の偏光UVスペクトルである。図9の結果は、延伸方向の光吸収が垂直方向より大きく、本発明の配向膜が高配向していることを示している。
さらに、配向膜を常温常圧下で25℃のヘキサン蒸気に60分接触させたところ、膜の色は赤色に変化した。溶媒蒸気処理を行った配向膜についても同様にして偏光UVスペクトルを測定した。結果を図10に示す。図10中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸光度を示す。図10中の曲線101は配向膜の延伸方向の偏光UVスペクトルであり、曲線102は配向膜の延伸方向に対して垂直方向の偏光UVスペクトルである。図9と図10の結果から、本発明の配向膜は溶媒蒸気に接触させると、配向を維持したまま光吸収が長波長側に移動することがわかった。
【0124】
実施例5
<p−エトキシフェニルアセチレンの製造>
N,N−ジメチルホルムアミド100mLにヨードフェノール63.4g、炭酸カルシウム79.6g、ヨウ化エチル49.9gを添加し、70℃で4時間反応させた。反応混合物にエチルエーテルを添加し、生成した化合物を抽出した。このエーテル層を蒸留水300mLで3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥させてろ過し、ろ液の溶媒を留去した。得られた化合物は減圧蒸留により生成し、p−エトキシヨードフェノール52.6gを得た(収率74%)。
トリエチルアミン100mLにp−エトキシヨードフェノール24.8g、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.35g、トリフェニルホスフィン0.53g、ヨウ化銅0.57g、トリメチルシリルアセチレン11.8gを添加し、室温で2時間反応させた。反応液をろ過し、ろ液の溶媒を留去した後、エチルエーテルを添加し、生成した化合物を抽出した。このエーテル層を蒸留水300mLで3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥させた。その後ろ過し、ろ液の溶媒を留去した。得られた化合物にエタノール30mL、水酸化カリウム2gを加えて室温で2時間撹拌した。エチルエーテルを加え、生成した化合物を抽出した。このエーテル層を蒸留水で中性になるまで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥させ、ろ過後、ろ液の溶媒を留去した。さらに減圧蒸留により生成しp−エトキシフェニルアセチレン6.93gを得た(収率47%)。
【0125】
<ポリ(p−エトキシフェニルアセチレン)の製造>
窒素ガスで置換したフラスコ中に[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2 23.1mg、トリエチルアミン65.2mg、エタノール5mLをいれ、これに別のフラスコで調製されたp−エトキシフェニルアセチレン731mgのエタノール溶液5mLを素早く加え重合を開始させた。25℃で30分撹拌後200mLのメタノールに反応混合物を投入し、反応を停止させた。沈殿してきたポリマーをろ別し真空乾燥し、黄色ポリマーを690mg得た(収率94%)。クロロホルム中でのゲル透過クロマトグラフィ(GPC)測定によると、数平均分子量はポリスチレン換算で41000と見積もられた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ6.62(d,2H),6.44(d,2H
),5.75(s,1H),3.76(q,2H),1.28(t,3H)
【0126】
<配向膜の作製>
上記で製造したポリマーを用いたこと及び延伸倍率を2.5倍としたこと以外は実施例3と同様にして、上記で製造したポリマーをポリプロピレン支持膜上に塗布・乾燥してポリマー膜(膜厚1μm)を作製した。さらに、このポリマー膜を一軸延伸して配向膜を得た。ポリマー膜の色は延伸前の黄色だったが、2.5倍の延伸によりわずかに赤みがかった色に変化した。
作製した配向膜の偏光UVスペクトルを実施例3と同様にして測定したところ、延伸方向の吸収が垂直方向より大きく、ポリマーが高配向していることがわかった。
さらに、配向膜を常温常圧下で25℃のヘキサン蒸気に60分接触させたところ、膜の
色は黄色に戻った。
【0127】
実施例6
ポリ[(S)―1−(4−エチニルフェニル)−1−ペンタノール]のスピンコート膜をジエチルアミン溶液から作製したところ黄色の膜が得られた。CDスペクトルにおいては370nm付近に負の、440nm付近に正のピークが観測された。410nmにおける旋光度は−14.5mdegであった。この膜を110℃で1分間加熱後CDスペクトルを測定すると、上記2つのピークの正負が逆転し、370nm付近のピークが正に、440nm付近のピークが負になった。410nmにおける旋光度は+12.3mdegに変化し、正負が逆転した。この後室温に戻してもこのピークの正負、大きさ、旋光度とも全く変化せず、らせんの反転が保持された。図11に、この製膜直後の室温、110℃、及び110℃1分加熱後の室温でのポリマー膜のCDスペクトルを示す。図11中、縦軸は楕円率(Ellipticity/単位:mdeg)、横軸は波長(Wavelength/単位:nm)である。また、破線111は製膜直後のCDスペクトル、実線112は110℃に加熱した膜のCDスペクトル、破線113は110℃で1分間加熱後の室温に戻した膜のCDスペクトルを示す。
【0128】
実施例7
ポリ[(S)―1−(4−エチニルフェニル)−1−ドデカノール]のスピンコート膜をジエチルアミン溶液から作製したところ黄色の膜が得られた。CDスペクトルにおいては370nm付近に負の、440nm付近に正のピークが観測された。416nmにおける旋光度は−22.7mdegであった。この膜を100℃で3秒間加熱後CDスペクトルを測定すると、上記2つのピークの正負が逆転し、370nm付近のピークが正に、440nm付近のピークが負になった。416nmにおける旋光度は+76.0mdegに変化し、正負が逆転した。この後室温に戻してもこのピークの正負、大きさ、旋光度とも全く変化せず、らせんの反転が保持された。さらにこの膜を常温常圧下でジエチルアミン蒸気に1分間接触させると370nm付近に負の、440nm付近に正のピークが観測され、416nmにおける旋光度は−20.8mdegに変化し、正負が再び逆転した。これによりらせんの向きは再び反転し、当初の方向に戻ったことが確認された。これらのらせんの向きは溶媒蒸気を除いた後も保持された。図12に、この製膜直後の室温、100℃3秒間加熱後の室温、及び100℃で3秒間加熱後ジエチルアミン蒸気に1分間接触して室温でのポリマー膜のCDスペクトルを示す。図12中、縦軸は楕円率(Ellipticity/単位:mdeg)、横軸は波長(Wavelength/単位:nm)である。また、実線121は製膜直後のCDスペクトル、破線122は100℃で3秒間加熱した膜のCDスペクトル、破線123は100℃で3秒間加熱後ジエチルアミン蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトルを示す。
【0129】
実施例8
ポリ[(S)―1−(4−エチニルフェニル)−1−ドデカノール]のスピンコート膜をジエチルアミン溶液から作製したところ黄色の膜が得られた。CDスペクトルにおいては370nm付近に負の、440nm付近に正のピークが観測された。416nmにおける旋光度は−22.7mdegであった。この膜を65℃で8分間加熱後CDスペクトルを測定すると、上記2つのピークの正負が逆転し、370nm付近のピークが正に、440nm付近のピークが負になった。416nmにおける旋光度は+53.3mdegに変化し、正負が逆転した。この後室温に戻してもこのピークの正負、大きさ、旋光度とも全く変化せず、らせんの反転が保持された。図13に、この製膜直後の室温、及び65℃8分間加熱後の室温でのポリマー膜のCDスペクトルを示す。図13中、縦軸は楕円率(Ellipticity/単位:mdeg)、横軸は波長(Wavelength/単位:nm)である。また、実線131は製膜直後のCDスペクトル、破線132は65℃8分間加熱後の室温に戻した膜のCDスペクトルを示す。
【0130】
実施例9
ポリ[4−エチニルベンゾイル−L―バリンメチルエステル]のスピンコート膜をクロロホルム溶液から作製したところ黄色の膜が得られた。CDスペクトルにおいては370nm付近に負の、440nm付近に正のピークが観測された。403nmにおける旋光度は−26.3mdegであった。これを常温常圧下でメタノール蒸気に1分間接触させると上記2つのピークの正負が逆転し、370nm付近のピークが正に、440nm付近のピークが負になった。403nmにおける旋光度は+15.9mdegに変化し、正負が再び逆転した。このことから溶媒蒸気によりらせん反転が起こったことが確認された。さらにこの膜を常温常圧下でクロロホルム蒸気に1分間接触させると370nm付近に負の、440nm付近に正のピークが観測され、403nmにおける旋光度は−30.5mdegに変化した。これによりらせんの向きは再び反転し、当初の方向に戻ったことが確認された。これらのらせんの向きは溶媒蒸気を除いた後も保持された。図14に、この製膜直後、メタノール蒸気1分間接触後、及びメタノール蒸気1分間接触後さらにクロロホルム蒸気1分間接触後のポリマー膜のCDスペクトルを示す。図14中、縦軸は楕円率(Ellipticity/単位:mdeg)、横軸は波長(Wavelength/単位:nm)である。また、実線141は製膜直後のCDスペクトル、破線142はメタノール蒸気1分間接触した膜のCDスペクトル、破線143はメタノール蒸気1分間接触後さらにクロロホルム蒸気1分間接触した膜のCDスペクトルを示す。
【0131】
実施例10
ポリ[N−ブチル−2−(4−エチニルフェノキシアセトアミド)]のスピンコート膜を弾力性のあるポリエチレンフィルム上に作成したところ黄色の膜が得られ、このときの二色比は1であった。この膜を延伸機を用いて室温で毎分1cmで5.0倍に延伸したところ膜の色が赤色に変化した。このとき吸収のピークトップは461nmとなった。偏光スペクトルによると二色比は6.28であり、高配向膜が得られたことがわかった。延伸機から膜をはずしたところ膜は収縮し、延伸倍率は4.5倍となるとともに膜の色は黄色に戻り、吸収のピークトップは436nmとなったが、膜の配向は保たれていた。この膜をさらに延伸機を用いて5倍に延伸したところ再び膜の色は赤色となり、この色変化が可逆的であることが示された。
【0132】
実施例11
ポリ[N−ブチル−2−(4−エチニルフェノキシアセトアミド)]のスピンコート膜を弾力性のあるポリエチレンフィルム上に作成したところ黄色の膜が得られた。この膜を延伸機を用いて室温で毎分1cmで2.2倍に延伸したところ膜の色が赤色に変化した。このとき吸収のピークトップは420nmであった。この膜をさらに延伸機により3.0倍まで延伸した後延伸機から膜をはずしたところ膜は収縮し、延伸倍率は2.2倍となるとともに膜の色は黄色に戻った。このときの紫外可視スペクトルの吸収のピークトップは408nmであった。このように同じ延伸倍率で比較した場合、張力がかかった状態では赤色、張力がない場合には黄色であることから、この色変化は張力によるものであることがわかった。図15に、この2.2倍に延伸した膜、3.0倍に延伸した膜、及び3.0倍に延伸後延伸機からはずし2.2倍にまで収縮した膜の紫外可視吸収スペクトルを示す。図15中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸光度を示す。また、実線151は2.2倍に延伸した膜の紫外可視スペクトル、破線152は3.0倍に延伸した膜の紫外可視スペクトル、破線153は3.0倍に延伸後延伸機からはずし2.2倍にまで収縮した膜の紫外可視スペクトルを示す。
【0133】
実施例12
ポリ[N−ブチル−2−(4−エチニルフェノキシアセトアミド)]のスピンコート膜をクロロホルム溶液からガラス基板上に作製したところ黄色の膜が得られた。この膜を100℃で10分間加熱したところオレンジ色の膜が得られ、紫外可視吸収スペクトルのピークトップは415nmとなった。さらに100℃で30分間加熱してもピークトップの変化はなかった。この膜を再びクロロホルムに溶解してスペクトルを測定したところ、加熱前のスペクトルと一致した。
【0134】
実施例13
ポリ[N−ブチル−2−(4−エチニルフェノキシアセトアミド)]のスピンコート膜をクロロホルム溶液からガラス基板上に作製したところ黄色の膜が得られた。この膜を120℃で5分間加熱したところオレンジ色の膜が得られ、紫外可視吸収スペクトルのピークトップは440nmとなった。さらに加熱時間を伸ばしてもピークトップの変化はなかった。この膜を再びクロロホルムに溶解してスペクトルを測定したところ、加熱前のスペクトルと一致した。
【0135】
実施例14
ポリ[N−ブチル−2−(4−エチニルフェノキシアセトアミド)]のスピンコート膜をクロロホルム溶液からガラス基板上に作製したところ黄色の膜が得られた。この膜を160℃で1分間加熱したところ赤橙色の膜が得られ、紫外可視吸収スペクトルのピークトップは468nmとなった。さらに加熱時間を伸ばしてもピークトップの変化はなかった。この膜を再びクロロホルムに溶解してスペクトルを測定したところ、加熱前のスペクトルと一致した。
【0136】
実施例15
ポリ[N−ブチル−2−(4−エチニルフェノキシアセトアミド)]のスピンコート膜をクロロホルム溶液からガラス基板上に作製したところ黄色の膜が得られた。この膜を200℃で10秒間加熱したところ赤色の膜が得られ、紫外可視吸収スペクトルのピークトップは494nmとなった。この膜を再びクロロホルムに溶解してスペクトルを測定したところ、加熱前のスペクトルと一致した。
図16に実施例12〜15で作製したポリマー膜の紫外可視吸収スペクトルを示す。図16中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸光度を示す。また、実線161は実施例12で得られた膜の紫外可視スペクトル、破線162は実施例13で得られた膜の紫外可視スペクトル、破線163は実施例14で得られた膜の紫外可視スペクトル、破線164は実施例15で得られた膜の紫外可視スペクトルを示す。
実施例12〜15の結果より膜の吸収は加熱温度により一意的に変化することがわかった。
【0137】
実施例16
ポリ[N−ブチル−2−(4−エチニルフェノキシアセトアミド)]のスピンコート膜をクロロホルム溶液からガラス基板上に作製したところ黄色の膜が得られた。この膜の一部に厚紙でマスキングを施し、水銀ランプを用いて365nmの光を3000mJ照射した。この膜をメタノール蒸気に常温常圧で30分間接触させたところ、光照射部は色の変化が見られなかったが、マスキングにより光の照射されなかったところは赤色に変化した。図17に照射部、未照射部の蒸気接触後の紫外可視スペクトルを示す。図17中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸光度を示す。また、実線171は光照射後メタノール蒸気に接触した膜の紫外可視スペクトル、破線172は光を照射せずメタノール蒸気に接触した膜の紫外可視スペクトルを示す。光照射の有無で膜の色彩に大きな違いがあることがわかる。
【0138】
実施例17
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェノキシ)−2−ヘキサノール]のスピンコート膜をジエチルアミン溶液からガラス基板上に作製したところ黄色の膜が得られた。この膜の一部に厚紙でマスキングを施し、水銀ランプを用いて365nmの光を1200mJ照射した。この膜をクロロホルム蒸気に常温常圧で15分間接触させたところ、光照射部は色の変化が見られなかったが、マスキングにより光の照射されなかったところは赤色に変化した。図18に照射部、未照射部の蒸気接触後の紫外可視スペクトルを示す。図18中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸光度を示す。また、実線181は光照射後クロロホルム蒸気に接触した膜の紫外可視スペクトル、破線182は光を照射せずクロロホルム蒸気に接触した膜の紫外可視スペクトルを示す。光照射の有無で膜の色彩に大きな違いがあることがわかる。
【0139】
実施例18
ポリ[(S)―2−ヘプタニル−2−プロピニルカルバメート]のスピンコート膜を弾力性のあるポリエチレンフィルム上に作成したところ黄色の膜が得られた。この膜を1秒以内に1.9倍に延伸したところ膜の色が延伸と同時に橙色に変化した。このとき吸収のピークトップは420nmであり、500nm付近の吸収に増加が見られた。この膜をさらに1秒以内に2.5倍まで延伸したところ膜は延伸と同時に赤色となり500nm付近の吸収の増大が見られた。図19に、各延伸倍率でのスペクトルを示す。図19中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸光度を示す。また、破線191は製膜直後の紫外可視スペクトル、破線192は延伸倍率1.5倍に延伸した膜の紫外可視スペクトル、破線193は延伸倍率1.9倍に延伸した膜の紫外可視スペクトル、実線194は延伸倍率2.5倍に延伸した膜の紫外可視スペクトルを示す。
【0140】
実施例19
実施例18で得られた膜を張力をゆるめると1秒以内に膜は収縮し延伸倍率は1.9倍に戻った。このとき膜の色は収縮と同時に黄色に戻った。図20に、各延伸倍率でのスペクトルを示す。図20中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸光度を示す。また、実線201は延伸倍率2.5倍に延伸した膜の紫外可視スペクトル、破線202は延伸倍率2.5倍に延伸した後1.9倍に収縮した膜の紫外可視スペクトルを示す。
【0141】
実施例20
実施例18及び19に示した瞬間的な膜の延伸、収縮を繰り返し行ったところ、膜の色は延伸時には赤色、収縮時には黄色になった。延伸収縮を100回以上繰り返した後も再現性は保たれた。
【0142】
実施例21
ポリ[(R)―1−(4−エチニルフェニル)−1−ドデカノール]のスピンコート膜をジエチルアミン溶液から作製したところ黄色の膜が得られた。CDスペクトルにおいては370nm付近に正の、440nm付近に負のピークが観測された。405nmにおける旋光度は+26.6mdegであった。この膜をアセトンに5秒間浸した後CDスペクトルを測定すると、上記2つのピークの正負が逆転し、390nm付近に負の、440nm付近に正のピークが現れた。405nmにおける旋光度は−74.0mdegに変化した。図21に、この製膜直後、及びアセトンに5秒間浸した後のポリマー膜のCDスペクトルを示す。図21中、縦軸は楕円率(Ellipticity/単位:mdeg)、横軸は波長(Wavelength/単位:nm)である。また、実線211は製膜直後のCDスペクトル、破線2112はアセトンに5秒間浸漬した膜のCDスペクトルを示す。
【0143】
実施例22
ポリ[(S)−1−メチルへキシル−N−プロパギルカルバメート]のスピンコート膜をテトラヒドロフラン溶液から作製したところ無色の膜が得られた。CDスペクトルにおいては280nm付近に正のピークが観測された。270nmにおける旋光度は−256.1mdegであった。この膜を110℃で1分間加熱後CDスペクトルを測定すると、300nm付近に正のピークが現れた。270nmにおける旋光度は+242.0mdegに変化した。この後室温に戻してもこのピークの正負、大きさ、旋光分散とも全く変化せず、らせんの反転が保持された。さらにこの膜を常温常圧下でジエチルアミン蒸気に5分間接触させると280nm付近に正のピークが観測され、270nmにおける旋光度は−230.2mdegに変化した。これによりらせんの向きは再び反転し、当初の方向に戻ったことが確認された。これらのらせんの向きは溶媒蒸気を除いた後も保持された。図22に、この製膜直後の室温、110℃で1分間加熱後の室温、及び110℃で1分間加熱後ジエチルアミン蒸気に5分間接触した後室温でのポリマー膜のCDスペクトルを示す。図22中、縦軸は楕円率(Ellipticity/単位:mdeg)、横軸は波長(Wavelength/単位:nm)である。また、実線221は製膜直後のCDスペクトル、破線222は110℃で1分間加熱した膜のCDスペクトル、破線223は110℃で1分間加熱後ジエチルアミン蒸気に5分間接触した膜のCDスペクトルを示す。
【0144】
実施例23
ポリ[(S)―1−(4−エチニルフェニル)−1−ペンタノール]のスピンコート膜をジエチルアミン溶液から作製したところ黄色の膜が得られた。この膜をテトラヒドロフラン蒸気に常温常圧で1分間接触させたところ415nmにおける旋光度はほぼ0に近い値の−2.2mdegであった。この膜を110℃で1分間加熱すると、415nmにおける旋光度が現れ、その値は+25.4mdegであった。
【0145】
実施例24
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェノキシ)−2−ヘキサノール]のスピンコート膜をジエチルアミン溶液から作製したところ黄色の膜が得られた。この膜の502nmにおける旋光度はほぼ0に近い値の−1.95mdegであった。この膜を常温常圧でクロロホルム蒸気に30分間接触させると、500nmより長波長領域に新たに旋光性が現れ、502nmにおける旋光度の値は−10.1mdegであった。
【0146】
実施例25
ポリ[(S)―1−(4−エチニルフェニル)−1−ペンタノール]のスピンコート膜をジエチルアミン溶液からガラス基板上に作製し、クロロホルム蒸気に5分間接触させたところ黄色の膜が得られた。CDスペクトルにおいては370nm付近に正の、440nm付近に負のピークが観測された。この膜の一部に厚紙でマスキングを施し、水銀ランプを用いて365nmの光を3000mJ照射した。CDスペクトルに変化は見られなかった。この膜をメタノール蒸気に常温常圧で15秒間接触させ、CDスペクトルを測定したところ、光未照射部は正負の逆転が見られたが、光照射部の正負はメタノール蒸気との接触前と変わらなかった。図23に照射部、未照射部の蒸気接触前後のCDスペクトルを示す。図23中、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は吸光度を示す。また、破線231は光未照射部のメタノール蒸気に15秒間接触した膜のCDスペクトル、実線232は光照射後メタノール蒸気に15秒間接触させた膜のCDスペクトルを示す。光照射の有無でCDスペクトル、旋光度の正負を逆にすることができることがわかる。
【0147】
実施例26
ポリ[(S)−1−(4−エチニルフェノキシ)−2−ブタノール]のスピンコート膜をクロロホルム溶液からガラス基板上に作製したところ黄色の膜が得られた。この膜をアセトンに1時間浸漬したところ赤色の膜が得られ、紫外可視吸収スペクトルで500nm付近にふくらみが現れた。図24に浸漬前後の紫外可視スペクトルを示す。図24において、実線241は製膜直後の紫外可視スペクトル、破線242はアセトンに1時間浸漬した膜の紫外可視スペクトルを示す。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】実施例1で製造したポリマーの1H−NMRのチャート図である。
【図2】実施例1で作製したポリマー膜のCDスペクトルおよび紫外可視スペクトルを示すグラフである。
【図3】実施例1で作製したポリマー膜のCDスペクトルおよび紫外可視スペクトルを示すグラフである。
【図4】実施例2で作製したポリマー膜のCDスペクトルを示すグラフである。
【図5】実施例2で作製したポリマー膜のCDスペクトルを示す別のグラフである。
【図6】実施例2で作製したポリマー膜のCDスペクトルを示すさらに別のグラフである。
【図7】実施例3で作製したポリマー膜の延伸前後のUVスペクトルを示すグラフである。
【図8】実施例3で作製した配向膜の偏光UVスペクトルを示すグラフである。
【図9】実施例4で作製した配向膜の偏光UVスペクトルを示すグラフである。
【図10】実施例4で作製した配向膜について溶媒蒸気処理を行った場合の偏光UVスペクトルを示すグラフである。
【図11】実施例6で作製したポリマー膜のCDスペクトルを示すグラフである。
【図12】実施例7で作製したポリマー膜のCDスペクトルを示すグラフである。
【図13】実施例8で作製したポリマー膜のCDスペクトルを示すグラフである。
【図14】実施例9で作製したポリマー膜のCDスペクトルを示すグラフである。
【図15】実施例11で作製したポリマー膜の延伸後の紫外可視吸収スペクトルを示すグラフである。
【図16】実施例12〜15で作製したポリマー膜の紫外可視吸収スペクトルを示すグラフである。
【図17】実施例16で作製したポリマー膜の紫外可視吸収スペクトルを示すグラフである。
【図18】実施例17で作製したポリマー膜の紫外可視吸収スペクトルを示すグラフである。
【図19】実施例18で作製したポリマー膜の延伸前後のUVスペクトルを示すグラフである。
【図20】実施例19で作製したポリマー膜の収縮前後のUVスペクトルを示すグラフである。
【図21】実施例21で作製したポリマー膜のCDスペクトルを示すグラフである。
【図22】実施例22で作製したポリマー膜のCDスペクトルを示すグラフである。
【図23】実施例25で作製したポリマー膜のCDスペクトルを示すグラフである。
【図24】実施例26で作製したポリマー膜のUVスペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0149】
1 未処理ポリマー膜のCDスペクトル
2 クロロホルム蒸気処理したポリマー膜のCDスペクトル
3 トルエン蒸気処理したポリマー膜のCDスペクトル
4 未処理ポリマー膜の紫外可視スペクトル
5 クロロホルム蒸気処理したポリマー膜の紫外可視スペクトル
6 トルエン蒸気処理したポリマー膜の紫外可視スペクトル
7 熱処理したポリマー膜のCDスペクトル
8 熱処理後にクロロホルム蒸気処理したポリマー膜のCDスペクトル
9 熱処理したポリマー膜の紫外可視スペクトル
10 熱処理後にクロロホルム蒸気処理したポリマー膜の紫外可視スペクトル
41 製膜直後のCDスペクトル
42 アセトン蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトル
51 製膜直後のCDスペクトル
52 クロロホルム蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトル
53 クロロホルム蒸気に1分間接触後メタノール蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトル
61 製膜直後のCDスペクトル
62 テトラヒドロフラン蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトル
63 テトラヒドロフラン蒸気に1分間接触後ジエチルアミン蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトル
71 延伸前のポリマー膜のUVスペクトル
72 延伸後の配向膜のUVスペクトル
81 配向膜の延伸方向の偏光UVスペクトル
82 配向膜の延伸方向に対して垂直方向の偏光UVスペクトル
91 配向膜の延伸方向の偏光UVスペクトル
92 配向膜の延伸方向に対して垂直方向の偏光UVスペクトル
101 配向膜の延伸方向の偏光UVスペクトル
102 配向膜の延伸方向に対して垂直方向の偏光UVスペクトル
111 製膜直後のCDスペクトル
112 110℃に加熱した膜のCDスペクトル
113 110℃で1分間加熱後の室温に戻した膜のCDスペクトル
121 製膜直後のCDスペクトル
122 100℃で3秒間加熱した膜のCDスペクトル
123 100℃で3秒間加熱後ジエチルアミン蒸気に1分間接触した膜のCDスペクトル
131 製膜直後のCDスペクトル
132 65℃8分間加熱後の室温に戻した膜のCDスペクトル
141 製膜直後のCDスペクトル
142 メタノール蒸気1分間接触した膜のCDスペクトル
143 メタノール蒸気1分間接触後さらにクロロホルム蒸気1分間接触した膜のCDスペクトル
151 2.2倍に延伸した膜の紫外可視スペクトル
152 3.0倍に延伸した膜の紫外可視スペクトル
153 3.0倍に延伸後延伸機からはずし2.2倍にまで収縮した膜の紫外可視スペクトル
161 実施例12で得られた膜の紫外可視スペクトル
162 実施例13で得られた膜の紫外可視スペクトル
163 実施例14で得られた膜の紫外可視スペクトル
164 実施例15で得られた膜の紫外可視スペクトル
171 光照射後メタノール蒸気に接触した膜の紫外可視スペクトル
172 光を照射せずメタノール蒸気に接触した膜の紫外可視スペクトル
181 光照射後クロロホルム蒸気に接触した膜の紫外可視スペクトル
182 光を照射せずクロロホルム蒸気に接触した膜の紫外可視スペクトル
191 製膜直後の紫外可視スペクトル
192 延伸倍率1.5倍に延伸した膜の紫外可視スペクトル
193 延伸倍率1.9倍に延伸した膜の紫外可視スペクトル
194 延伸倍率2.5倍に延伸した膜の紫外可視スペクトル
201 延伸倍率2.5倍に延伸した膜の紫外可視スペクトル
202 延伸倍率2.5倍に延伸した後1.9倍に収縮した膜の紫外可視スペクトル
211 製膜直後のCDスペクトル
212 アセトンに5秒間浸漬した膜のCDスペクトル
221 製膜直後のCDスペクトル
222 110℃で1分間加熱した膜のCDスペクトル
223 110℃で1分間加熱後ジエチルアミン蒸気に5分間接触した膜のCDスペクトル
231 光未照射部のメタノール蒸気に15秒間接触した膜のCDスペクトル
232 光照射後メタノール蒸気に15秒間接触させた膜のCDスペクトル
241 製膜直後の紫外可視スペクトル
242 アセトンに1時間浸漬した膜の紫外可視スペクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー分子鎖が一般式(1)で表されるシス体に制御された一方巻きらせん構造を有するポリマー膜に、
溶媒との接触、熱、圧力、光、磁場、及び電場からなる群から選択される刺激の少なくとも1つを付与して、
らせん方向、らせんピッチ、らせん構造、ポリマーの結晶構造、及びポリマーの分子配向からなる群から選択される特性の少なくとも1つを変化させ、
膜中のポリマー鎖ないしはポリマー集合体の共役状態、膜の光学的性質、及び/又は膜の円偏光二色性を可逆的に制御することを特徴とする自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法。
【化1】

(式中、nは10以上の整数、Rは光学活性炭素を有する芳香族又は脂肪族基を表す。)
【請求項2】
前記刺激を付与して、該刺激の除去後も、その刺激を受けた膜の状態を維持する請求項1に記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法。
【請求項3】
前記一般式(1)が下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1又は2記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法。
【化2】

(式中、nは10以上の整数であり、X1、X2およびX3はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、X1、X2およびX3のうち少なくともひとつは光学活性炭素を有する置換基を表す。)
【請求項4】
前記一般式(1)が下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1又は2記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法。
【化3】

(式中、nは10以上の整数であり、Xはキラリティを有する置換基を表す。)
【請求項5】
前記一般式(1)中のRが少なくとも1つ以上の光学活性炭素を有する基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自己組織化ポリマー膜の可逆的制御方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの制御方法に用いられるポリマー膜であって、前記一般式(1)で表されるポリマー鎖がシス型に制御された一方巻きらせん構造を有する自己組織化ポリマー膜。
【請求項7】
前記刺激の最初の付与により形成された新たならせん構造が450nm以上の長波長域にピークトップをもつ吸収を有し、この新たならせんの向き及び/又は膜の旋光性を膜の形状を保ったまま制御しうる請求項6記載の自己組織化ポリマー膜。
【請求項8】
前記一般式(1)が一般式(2)で表されることを特徴とする請求項6又は7に記載の自己組織化ポリマー膜。
る置換基を表す。)
【請求項9】
前記一般式(1)が一般式(3)で表されることを特徴とする請求項6又は7に記載の自己組織化ポリマー膜
【請求項10】
前記一般式(1)中のRが少なくとも1つ以上の光学活性炭素を有する基であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の自己組織化ポリマー膜。
【請求項11】
前記一般式(2)中のX、X、又はXが、少なくとも1つ以上の光学活性炭素を有する基であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の自己組織化ポリマー膜。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれか1項に記載の自己組織化ポリマー膜と、粒子、微粒子、粉体及び/又は基板とを組み合わせたことを特徴とするポリマー膜材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−42808(P2011−42808A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267616(P2010−267616)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【分割の表示】特願2006−236057(P2006−236057)の分割
【原出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】