説明

自己組織化単層パターン化基材の湿式エッチング方法、及び金属パターン化物品

基材のパターン化方法が記載され、この方法は、自己組織化単層パターン化領域及び非パターン化領域を有する金属化表面を含む基材を用意する工程と、金属化表面を、バブリングガスにより振盪される液体エッチャント中で湿式エッチングして、非パターン化領域から金属を除去し、金属パターンを形成する工程と、を含む。基材と、基材上に配置されたエッチングされたマイクロコンタクト印刷金属パターンとを含むパターン化物品も記載され、パターンは、少なくとも100ナノメートルの厚さと、少なくとも25cmの範囲において少なくとも50%のパターン構造均一性とを有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
マイクロコンタクト印刷は、一般に、インク付けされ、かつ基材上に配置されたポリジメチルシロキサン(PDMS)から作製されたマイクロパターン化エラストマースタンプを使用して、自己組織化単層(SAM)を形成することが可能なインク分子と基材との間の化学反応を局部に制限する。このような技術から得られるパターン化SAMは、金属及び金属化基材を選択的にエッチングして導電性パターンを形成するためのレジストの役割を果たしている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
様々なエッチャントプロセスが文献に記載されているが、産業界は、特に比較的大きい範囲に亘って向上された均一性及び/又は増大された厚さを有する金属パターンの作製に適した方法に利点を見出すであろう。産業界は、増大されたエッチング速度を有することにより製造効率を増大させるエッチング方法にも利点を見出すであろう。
【0003】
いくつかの実施形態では、SAMパターン化金属化基材の湿式エッチング方法を記載する。
【0004】
1つの実施形態において、基材のパターン化方法が記載され、この方法は、自己組織化単層パターン化領域及び非パターン化領域を有する金属化表面を含む基材を用意する工程と、金属化表面を、バブリングガスにより振盪される液体エッチャント中で湿式エッチングして、非パターン化領域から金属を除去し、金属パターンを形成する工程と、を含む。
【0005】
別の実施形態では、基材のパターン化方法が記載され、この方法は、自己組織化単層パターン化領域及び非パターン化領域を有する金属化表面を含む基材を用意する工程と、基材を少なくとも300nm/分の速度で湿式エッチングして、非パターン化領域から金属を除去することにより金属パターンを形成する工程と、を含む。
【0006】
具体化されたそれぞれの方法において、自己組織化単層パターン化領域は、一般に、金属化表面上にマイクロコンタクト印刷されている。泡は、液体エッチャントを通して、金属化表面に対して実質的に垂直な方向に移動する泡生成表面から放出されることが好ましい。泡は、パターン化自己組織化単層を含む金属化表面上に突き当たることが好ましい。
【0007】
いくつかの実施形態において、自己組織化単層パターン化領域を含む金属化表面は、泡を放出する泡生成表面に対して実質的に平行に配置されている。金属化表面は、泡生成表面から少なくとも30ミリメートルの距離に配置され得る。更に、泡生成表面は一般に、自己組織化単層パターンの表面積の少なくとも約1/4の表面積を有する。泡生成表面から放出される泡は、少なくとも10cm/分の速度を有する。更に、泡は一般に、金属化表面において少なくとも2ミリメートルの直径を有する。
【0008】
本方法は、様々なパターン化物品の製造に適している。
【0009】
1つの実施形態において、基材と、基材上に配置されたエッチングされたマイクロコンタクト印刷金属パターンとを含むパターン化物品を記載し、パターンは、少なくとも100ナノメートルの厚さと、少なくとも25cmの範囲に亘って少なくとも50%、75%又は90%のパターン構造均一性とを有する。
【0010】
別の実施形態では、基材と、基材上に配置されたエッチングされたマイクロコンタクト印刷金属パターンとを含むパターン化物品を記載し、パターンは、少なくとも250ナノメートルの厚さを有する銀又は金を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ガスバブリングにより振盪されているエッチャント浴内のSAMパターン化金属化基材のエッチングを概略的に示す。
【図2】エッチングされたマイクロコンタクト印刷金属パターンの縁部領域の光学顕微鏡写真。
【図3】エッチングされたマイクロコンタクト印刷金属パターンの中心部領域の光学顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本特許出願で使用するとき、
「自己組織化単層」は、一般に、表面に(例えば化学結合によって)結合した、また表面に対して、更には互いに対して好ましい配向に適合した分子の層を指す。自己組織化単層は、表面の特性が変化するように表面を完全に覆うことが示されている。例えば、自己組織化単層の適用は、表面エネルギーの低減をもたらし得るとともに、自己組織化単層でコーティングされていない金属の選択的エッチングを可能とし得る。
「エッチャント」は、化学反応、溶解、又はこれらの組み合わせによって(例えば、金属を溶解し又は金属と反応する湿式化学溶液と材料とを接触させて、可溶性生成物を生成することによって)金属を非パターン化領域から除去する材料(例えば液体)を意味する。
「チオ」は、式−S−の二価の基又は部分を意味する。
【0013】
本開示は、非パターン化領域及びパターン化自己組織化単層(SAM)を有する金属化表面を含む基材の金属を湿式エッチングする方法に関する。パターン化SAMはエッチレジストとして機能し、一般に金属化表面上にマイクロコンタクト印刷される。
【0014】
本発明は、一般に、任意の金属又は金属化基材に有用である。本明細書で使用されるとき、「金属」及び「金属化」は、意図される目的のために好適に導電性である元素金属又は合金を指す。
【0015】
本明細書に記載する方法及び物品は、シリコンウェハなどの不透明基材に使用することができるが、好ましい実施形態では、金属化基材は、一般に金属コーティングされた可視光透明性基材である。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「可視光線透明性」とは、少なくとも1つの偏光状態の可視光線に対して少なくとも80%の透過率を有する、基材の非金属化領域の透過レベルを指し、%透過率は、入射光(所望により偏光)の強度に対して正規化される。(例えばマイクロコンタクト印刷された)金属パターンを含む基材の領域は、一般により低い透過率を有する。一般に、パターン化(即ち、金属化)及び非パターン化(即ち、非金属化)領域の両方を含む、エッチングされたマイクロコンタクト印刷金属パターンを上部に有する基材の平均透過性は、少なくとも60%である。
【0017】
一般的な可視光線透明性基材には、ガラス及びポリマーフィルムが挙げられる。ポリマー「フィルム」基材は、ロールツーロール(roll-to-roll)様式で加工されるのに十分な可撓性及び強度を有する、平坦なシートの形態のポリマー材料である。ロールツーロールは、材料が支持体に巻き取られるか又は支持体から巻き出され、加えて何らかの方法で更に加工されるプロセスを意味する。更なるプロセスの例としては、コーティング、スリット加工、打ち抜き加工、及び放射線への曝露などが挙げられる。ポリマーフィルムは、一般に約5μm〜1000μmの範囲の種々の厚さで製造できる。多くの実施形態において、ポリマーフィルムの厚さは、約25μm〜約500μm、又は約50μm〜約250μm、又は約75μm〜約200μmの範囲である。ロールツーロールポリマーフィルムは、少なくとも12インチ(30cm)、24インチ(61cm)、36インチ(91cm)又は48インチ(122cm)の幅を有し得る。
【0018】
有用なポリマーフィルムとしては、熱可塑性及び熱硬化性ポリマーフィルムが挙げられる。熱可塑性プラスチックの例としては、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、及びポリエステルが挙げられる。熱可塑性プラスチックの更なる例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、及びポリ(フッ化ビニリデン)が挙げられる。
【0019】
(例えばポリマーフィルム)基材は、少なくとも1つの主表面上に配置された金属コーティングを有する。上部に金属コーティングが配置された基材の表面は、本明細書では基材の金属化表面と記載する。金属コーティングは一般に、連続的な金属コーティングであり、次に金属コーティングは金属領域をSAMパターン化し、SAMパターン化されたコーティングは基材上に維持され、非パターン化領域の金属が湿式エッチングによって除去されることによって金属パターンが形成される。
【0020】
金属コーティングは、任意の便利な方法、例えば、スパッタリング、蒸着、化学気相成長法、又は化学溶液堆積法(無電解メッキを含む)を利用して堆積することができる。
【0021】
金属コーティングは、元素金属、金属合金、金属間化合物、金属酸化物、金属硫化物、金属炭化物、金属窒化物、又はこれらの組み合わせを含む。代表的な金属には、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、銅、ニッケル、鉄、インジウム、スズ、タンタル、並びにこれら元素の混合物、合金及び化合物が挙げられる。
【0022】
金属コーティングは、様々な厚さを有することができる。しかしながら、得られた導電性パターンの厚さは、一般に、金属コーティングの厚さと等しい。本発明の方法は、厚さ約5ナノメートル〜約50ナノメートルの範囲の比較的薄いパターンにも使用することができるが、本明細書に記載する方法は、特に、少なくとも60nm、70nm、80nm、90nm又は100nmの増大された金属パターンの厚さを有する物品に適している。いくつかの実施形態では、(例えば導電性)金属パターンの厚さは、少なくとも250nmである。いくつかの実施形態では、銀微小パターンは少なくとも300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、及び更には1000nm、又はそれ以上の厚さを有する。他の実施形態では、金微小パターンは少なくとも300nm、350nm、400nm、又はそれ以上の厚さを有する。
【0023】
所望であれば、金属化基材表面は、インクを塗布する前に多数の異なるプロセスのいずれかにより処理可能である。任意の処理プロセスの例としては、紫外光−オゾンクリーニング、酸素プラズマクリーニング、溶媒脱脂、高圧洗浄、及び洗剤をベースとするクリーニングが挙げられる。
【0024】
官能基化分子をパターン化して自己組織化単層パターンを生成することは、マイクロコンタクト印刷、ディップペン・ナノリソグラフィー、フォトリソグラフィー、及びインクジェット印刷を含む多数の異なる技術を用いて達成することができる。本明細書で使用されるとき、自己組織化単層パターン化領域とは、(例えば、マイクロコンタクト印刷により適用された)自己組織化単層が存在する、金属化表面の部分である。本明細書で使用されるとき、非パターン化領域とは、パターン化領域の自己組織化単層が存在しない金属化表面の部分である。非パターン化領域内に異なる自己組織化単層が存在することは、その存在がエッチングを妨害しない限り、本発明の範囲内である。
【0025】
マイクロコンタクト印刷は、典型的には、レリーフパターン化エラストマースタンプを利用する。スタンプを形成するのに有用なエラストマーには、シリコーン、ポリウレタン、エチレンプロピレンジエンM−クラス(EPDM)ゴム、及び、市販されている既存の様々なフレキソ印刷プレート材料(例えば、商品名Cyrel(商標)としてE.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delaware)から市販されているものが挙げられる。このスタンプを複合材料(例えば、織製繊維又は不織繊維補強と組み合わされた前述のエラストマーの1つ)から作ることができる。
【0026】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、エラストマー性であり、低表面エネルギー(これによりスタンプを大多数の基材から除去するのが容易)を有するので、スタンプ材料として特に有用である。PDMSも市販されている。有用な市販の配合物は、Sylgard(商標)184 PDMS(Dow Corning,Midland,Michigan)である。PDMSスタンプは例えば、パターン付き型に、無架橋のPDMSポリマーを流し入れ、次いで硬化させることにより形成することができる。パターン化構造は、例えば、ミリメートルのサイズ、マイクロメートルのサイズ、ナノメートルのサイズ、又はこれらの組み合わせであることができる。
【0027】
エラストマースタンプを成型するためのマスターツールは、当技術分野にて既知のように、フォトリソグラフィーを用いてパターン化フォトレジストを調製することにより作製することができる。マスターツールに未硬化PDMSを適用した後、硬化させることにより、エラストマースタンプをマスターツールに対して成型することができる。
【0028】
スタンプ又は版のレリーフパターンに従って基材にパターン化自己組織化単層(SAM)を転写するために、マイクロコンタクト印刷は、エラストマーでできたレリーフパターン化スタンプ又は印刷版を、実質的に平坦な基材と組み合わせて使用することにより実施可能である。別法として、基材のレリーフパターンに従って基材にパターン化自己組織化単層(SAM)を転写するために、マイクロコンタクト印刷は、エラストマーでできた実質的に平坦なスタンプ又は印刷版を、レリーフパターン化(又は構造化又はミクロ構造化された)基材(例えば、エンボスされた表面構造を主表面上に有するコーティングされたポリマーフィルム)と組み合わせて使用することにより実施可能である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008−0095985(A1)号(Freyら)で述べられているように)。
【0029】
「インク」は、自己組織化単層を形成可能な分子を含む。例えば、有機硫黄化合物、オルガノシロキサン及びオルガノホスホン酸などの、自己組織化単層(SAM)を形成する様々な分子が既知である。有機硫黄化合物には、例えばアルキルチオール、ジアルキルジスルフィド、ジアルキルスルフィド、キサントゲン酸アルキル、ジチオホスフェート及びジアルキルチオカルバメートが挙げられる。分子は、硫黄原子に連結した後部基(複数を含む)で特徴付けられ、後部基(複数を含む)は、その主鎖に沿って14〜20個の原子、好ましくは16、17、又は18個の原子を有する。主鎖に沿った原子は、好ましくは炭素原子である。
【0030】
好ましいインク溶液は、例えば、次の線状アルキルチオールのようなアルキルチオールを含む。
HS(CH
式中、nはメチレン単位の数であり、Xはアルキル鎖の末端基(例えば、X=−CH、−OH、−COOH、−NHなど)である。好ましくは、X=−CHであり、n=15、16、又は17であり、それぞれ16、17、又は18の鎖長に対応する。他の有用な鎖長には、19及び20が含まれる。金属への連結のための硫黄含有先端基を有する直鎖分子の場合、鎖長は、硫黄原子に結合した原子(これを含む)と直鎖配列における最終炭素原子との間の結合原子の直鎖配列に沿った原子の数として決定される。単層形成分子は、その分子がエッチレジストとして機能する自己組織化単層を形成するのに好適であれば、他の末端基を含んでもよく、又は分枝状(例えば、側基を有する)であってもよい。またSAM形成分子は、例えば2009年12月11日出願の米国特許仮出願第61/121605号に記載されているように、部分フッ素化され又は過フッ素化されてもよい。
【0031】
当技術分野にて既知のように、そのような印刷は、SAM形成分子内の原子又は官能基の除去又は変更をもたらす置換反応を含み得る(例えば、単層が金属(M)、例えば銀又は金上に形成されている場合、チオール(R−SH化合物)のチオラート(R−S−M)単層への変換)。このように、得られた印刷パターンは、インク組成物の分子と化学的に異なる化合物又は分子を含むことができる。
【0032】
所望により、しかし好ましくは、インク組成物は、少なくとも1つの溶媒を更に含むことができる。
【0033】
インク組成物中での使用に好適な溶媒としては、アルコール、ケトン、芳香族化合物、ヘテロ環化合物、フッ素化溶媒など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。他の有用な溶媒としては、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチルアセテート、テトラヒドロフラン(THF)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0034】
好ましくは、スタンプ表面から比較的急速に蒸発させることができるように、インク組成物の溶媒を選択することができ、最小の時間及び強制空気の適用と共に、このことは、スタンプ上又はスタンプ内でのSAM形成分子の比較的均一な分布を得るのにも有用であり得る。溶媒は、溶媒が(例えばPDMS)スタンプを過度に膨潤させないよう選択される。
【0035】
インク組成物は、所望であれば、当技術分野にて既知のように、比較的少量の通常の添加剤(例えば、安定剤又は乾燥剤)を含んでもよい。
【0036】
スタンプは、SAMを形成可能な分子を含む組成物により、当技術分野にて既知の方法を用いて「インク付け」されることができる。
【0037】
1つの方法においては、このインク組成物を滲み込ませたアプリケータ(例えば、綿棒又はフォームアプリケータ)をスタンプのレリーフパターン化表面にこすりつけ、次にこのスタンプ表面から溶媒を乾燥させることができる。別のアプローチにおいては、インク組成物を滲み込ませた「インクパッド」にスタンプを押し付けることができ、このインクパッドは所望によりPDMSスラブであり得る。別のアプローチにおいては、印刷面に対し裏側からこのスタンプにインク組成物を装填することができる。この後者のアプローチでは、分子はスタンプ通して拡散して、印刷用のレリーフパターン化面に到達する。代替的に、スタンプのレリーフパターン化印刷面をインク中に浸漬し、次に引き上げて乾燥させることができる(「浸漬インク付け」)。上に記述したインク付け方法の全てが、レリーフパターン化スタンプ表面にインクを与え、「インク付けされた表面」をもたらす。
【0038】
インク付けされたスタンプは、パターンを基材の金属化表面に転写して、金属化表面上に少なくとも1つのSAMパターン化領域及び(例えば、隣接する)非パターン化領域を形成するために使用することができる。インク付けされたスタンプ表面がレリーフパターンを含む場合、このインク付けされた表面を、基本的に平坦である基材の表面に接触させることによって、このSAM形成分子のパターンを基材の金属化表面に転写することができ、ここにおいてSAM分子のパターンは本質的に、スタンプのインク付けされた表面のレリーフパターンの隆起構造のパターンと同一である。このような方法においては、パターンは、スタンプのインク付けされた表面のレリーフパターンに従って転写されるといわれる。代替的に、スタンプのインク付けされた表面(又は、代替的に印刷版)は、本質的に平坦であり、基材がレリーフパターンを含んでもよい。このような「逆」マイクロコンタクト印刷プロセスは、例えば米国特許第6,518,168号(Clemら)に記載されている。
【0039】
インク付けされたスタンプを、このスタンプのレリーフパターン化表面の隆起領域に接触するように、基材の表面と接触して配置することができる。分子は、スタンプから基材の表面上へと拡散することができ、ここでSAMを形成することができる。
【0040】
印刷時間(即ち、スタンプと基材との接触持続時間)は、例えばインク組成物の濃度及びスタンプに適用される圧力などの要因に応じて、変わることができる。いくつかの実施形態では、印刷時間は、1分未満(好ましくは約30秒未満、より好ましくは約10秒未満、最も好ましくは約5秒未満)である。
【0041】
SAMパターン化基材は、続くエッチング工程中、下層の基材表面を保護するレジストとして使用することができる。したがって、SAMパターン化基材は、エッチャントの作用から保護するエッチマスクとしての役割を果たすことができる一方、基材表面上の他の領域(即ち、パターン化単層を有さない)は保護されず、暴露領域内での材料(例えば金属)の選択的除去を可能にする。
【0042】
基材の湿式エッチングは、一般に、エッチャント溶液を含むエッチャント浴を使用して行われる。暴露領域のエッチングは選択的であり、即ち、SAMパターンを含む表面領域は有意にエッチングされない。いくつかの実施形態では、SAMパターン化領域内の金属の単位面積当たり約50質量%未満が、湿式エッチングにより除去される。好ましい実施形態では、SAMパターン化領域の金属の単位面積当たり約25質量%未満、約10質量%未満、又は約5質量%未満が、湿式エッチングにより除去される。これは、透過光減衰法、形状測定、質量分析などの既知の方法を用いて測定することができる。
【0043】
有用な化学エッチング浴は、エッチャント種を水又は非水性溶媒に溶解する(例えば、エッチャントの性状に従って、振盪若しくは攪拌、pH制御、温度制御、及び/又は消費時のエッチャント種の補充)ことにより、作製可能である。
【0044】
理論又は機構に束縛されるものではないが、以下の考察は、エッチャントの選択に関する。
【0045】
エッチャント浴は一般に、少なくとも1つの酸化剤を含む。特に銀又は金をエッチングするための酸化剤は、典型的には約200g/モル未満の分子量を有する比較的小分子の酸化剤であってもよい。好適な小分子酸化剤としては、例えば溶解酸素の存在下のシアン化物イオン、フェリシアン化物イオン及び第2鉄イオンが挙げられる。
【0046】
エッチャント浴はまた、一般に、チオ尿素(NHCS又はチオ尿素誘導体(即ち、一般構造式(RN)(RN)C=S(式中、R、R、R、Rのそれぞれは、独立して水素原子又はエチル若しくはメチルなどのある有機部分である)を有する化合物のクラス)などの少なくとも1つの金属錯化化合物を含む。チオ尿素及びチオ尿素誘導体は、チオアミド、例えば、RC(S)NR(式中、Rは、メチル、エチルなどである)に関連する。いくつかの実施形態では、同様に約200g/モル未満の分子量を有する小分子金属錯化化合物が使用される。
【0047】
酸化種としての第2鉄イオンを有するチオ尿素ベースのエッチャントは、概して、特に銀又は金をエッチングするための好ましいエッチャント溶液である。
【0048】
酸化種(例えば、硝酸第2鉄)の濃度は、一般に少なくとも1mM又は5mMであり、かつ500mM又は250mM以下である。いくつかの実施形態では、酸化種(例えば、硝酸第2鉄)の濃度は、少なくとも10mM、15mM又は20mMであり、かつ100mM又は50mM以下である。
【0049】
いくつかの実施形態では、エッチャントは、チオ尿素などの金属錯化化合物の不在下で酸化種を含む。他の実施形態では、金属錯化化合物(例えばチオ尿素)は、エッチャント浴内に、少なくとも1mM又は5mM、かつ250mM又は100mM以下の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、金属錯化化合物(例えばチオ尿素)の濃度は、少なくとも10mM又は15mMであり、かつ100mM以下である。
【0050】
エッチャントは、自己組織化する単層形成分子も含み得る。しかしながら、良好なパターン構造の均一性、増大された金属パターンの厚さ、又はこれらの組み合わせは、自己組織化する単層形成分子を含まない液体エッチャントを使用して得られた。
【0051】
エッチャントは一般にエッチャント浴に加えられ、循環される。その濃度は、エッチング継続時間の間、一定濃度に維持されるように監視及び調整され得る。
【0052】
本発明は、エッチャントがSAMパターン化基材と接触している間、エッチャント溶液をバブリングガスで振盪するのに使用される物理的機構(例えばバブラー装置)に関するものに限定されない。エッチャント配合物及び金属に応じて、好適なガスは、空気、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素又は一酸化炭素を含むことができる。
【0053】
本方法は、1つのタイプの装置、即ちガス分散ガラス濾板に関してより詳細に記載されるが、バブリングガス振盪は、代替的に他の手段により用意されてもよい。例えば、バブリングガス振盪は、沸騰(加熱により又は周囲気圧を低下させることにより生じる)により、又はキャビテーションを用いて用意されてもよく、キャビテーションでは、超音波変換器(例えば超音波ホーン)又は超音波変換器のアレイがエッチャント浴内に沈められ、泡が上昇して、エッチャント浴と接触しているSAMパターン化基材上に突き当たるように配向されてもよい。
【0054】
バブリングガスによる振盪はまた、液体エッチャント浴内に流入するよう形成されたガス流をせん断することにより用意されてもよい。例えば、ガス流又は単一のオリフィスから出現する一連の大きい泡を、ローター、例えばシャフト末端部上のブレードを含む回転ローターで分散させてもよい。泡の分散物をせん断する別のアプローチでは、ローター(例えば、シャフト上のブレード付きローター、又は磁気撹拌棒)は、周囲ガス(例えば空気)を取り込み、そのガスをせん断して泡とするように形成され得る。
【0055】
液体エッチャントをバブリングガスで振盪する方法の一般的概略図である図1を参照すると、(例えば、ガス分散ガラス濾板)ガスバブラー130がエッチング溶液120中に浸漬されている。泡生成表面131(例えば、ガラス濾板の)は一般に、粒子(例えば、フリットガラス又は粉末冶金製品)の部分焼結プロセスの結果として、又は固体材料の機械加工(例えばレーザー穿孔又は放電加工)によって形成された小開口部(即ち、図示しない細孔)を含む。圧縮ガスの供給源、例えば空気圧縮機(図示せず)に接続されている管140は、開口部を通して空気を強制的に移動させて、泡を液体エッチャント中に放出する。ガス(例えば空気)圧はガス流量調節器により制御することができ、気流速度は、流量計により監視(及び一体型ニードル弁を有するロータメーターの場合のように制御)することができる。1つの好適なガス分散ガラス濾板は、Sigma−Aldrichから、カタログ番号CLS3952530Cで入手可能である。そのようなガスバブラーは、ガス搬送管とフリットガラス濾板(fritted glass disc)の泡生成表面との間に90°の角度を有する。
【0056】
泡生成表面から放出される泡は、エッチャント浴を通って、金属化表面に対して実質的に垂直な方向132に移動(例えば上昇)する。泡はSAM印刷金属化表面上に突き当たる。
【0057】
1つの実施形態において、パターン化SAM 110を含む金属化基材表面は、泡生成表面に対して実質的に平行に配置されることが好ましい。このようにすれば、SAMパターン化基材の中心部領域及び縁部領域は、泡生成表面とほぼ等距離である。
【0058】
パターン構造の均一性、及びエッチング速度は、多数の要因による影響を受け得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、ガス分散ガラスフリットなどの泡生成表面が微細な細孔サイズ(例えば<20マイクロメートル)を有する場合、ガス泡のサイズは一般に、SAMパターン化基材の表面において比較的小さい(例えば0.5〜1ミリメートル)ことが見出された。エッチング中、これら極めて小さいガス泡のいくつかは、金属化基材上の所定の位置に固定される可能性がある。この固定現象の結果、エッチングされた表面は不均一となり、また、泡で覆われていない範囲が、泡で覆われている範囲と比較してより急速にエッチングされ得る。エッチング後、泡で覆われた非パターン化金属領域は、基材上に残留し得る。対照的に、他の実施形態では、少なくとも40、50又は60マイクロメートルの細孔サイズを有する(例えば、ガス分散ガラス濾板)泡生成表面は、いくつかの条件下で、SAMパターン化基材の表面で少なくとも約2又は3mmの直径を有するより大きい泡を生成することができる。いくつかの実施形態では、泡生成表面の開口部が少なくとも150、200又は250マイクロメートルの細孔サイズを有する場合、泡の直径は約2〜4mmの範囲であった。そのようなより大きい泡は合体する傾向があり、SAMパターン化基材に到達した後、固定されずに可動のままである。したがって、バブリングガスの泡サイズが十分な直径を有する場合、エッチングされた非パターン化表面は、泡の固定を原因とする大量の金属残留物を含まない。理論に束縛されるものではないが、好ましい最大泡サイズは、およそ5mm〜10mmであると推定される。
【0060】
いくつかの実施形態では、泡生成表面とSAMパターン化金属化基材との間の距離が、所定の値、例えば20ミリメートル未満である場合、表面に沿って(例えば側方に)、次いでその表面から離れて振盪される泡のスペースが限られることが見出されている。このこともまた、いくつかのガス泡を、金属化基材の表面上の所定の位置に固定させ得る。いくつかの実施形態では、SAMパターン化表面と泡生成表面との間の距離が、例えば少なくとも50ミリメートル(例えば7.5×7.5cm試料に関して)に増大された際、固定された泡に関連した金属残留物は実質的に観察されなかった。したがって、(例えばガラス濾板の)バブリング生成表面の表面と、基材のSAMパターン化表面との間の距離は、一般に少なくとも10ミリメートルである。いくつかの実施形態では、この距離は20ミリメートルを超え、より一般的には、少なくとも30ミリメートル、40ミリメートル又は50ミリメートルである。
【0061】
泡生成表面(例えばガラス濾板の)と液体エッチャント容器とのサイズは、SAMパターン化基材の試料サイズに基づいて選択され得る。容器は、基材を収容するように十分大きい。泡生成表面のサイズは、基材のSAMパターン化範囲のサイズの少なくとも約1/10〜1/8であることが好ましい。例えば、泡生成表面(例えばガス分散ガラス濾板の)のサイズは、7.5cm×7.5cmのSAMパターン化基材(基材の面積が56.25平方センチメートルに等しい)の場合、好ましくは少なくとも直径約3cm(バブラーの表面積が7.1平方センチメートルに等しい)である。エッチングされるSAMパターン化金属化表面に対して泡生成表面の表面積が不十分である場合、エッチャントは均一に振盪されない。この場合、ガス泡は、主にエッチャント浴の中間部領域を振盪する。その結果、SAMパターン化金属化基材の中間部領域は、縁部領域と比較してより急速にエッチングされ得る。エッチャント浴全体の均一な振盪を有するために、泡生成表面の形状が容器の形状と同様であることも好ましい。したがって、円形形状の泡生成表面が円筒形のエッチャント浴容器に好ましい一方、矩形形状のエッチャント浴には、エッチャント浴全体の均一な振盪を有するために矩形形状の泡生成表面が好ましい。
【0062】
表面速度は、泡の体積気流速度(体積/単位時間)を、上昇する泡のゾーンの断面積で除算したものである。例えば、平坦なフリットガラスバブラーの場合、上昇する泡のゾーンの断面積は、泡の流れ方向に垂直な面上に泡を放出するバブラー表面の発射範囲(細孔+細孔の間の任意の材料)に近似される。気流速度が遅い場合、単位時間当たりに存在する泡はより少なく、泡生成表面から放出される際の泡の速度は、比較的遅い。しかしながら、約10cm/分のみの表面速度を用いた場合でも、バブリングガス振盪を全く用いない場合に観察された速度と比較して、エッチング速度は少なくとも2倍であり得る。更に、約50cm/分の表面速度は、エッチング速度を少なくとも3倍に(例えば、少なくとも100nm/分に)し得る。気流流速が速すぎる場合、単位時間当たりより大量の泡が生成され、泡の速度はより速くなる。より速い速度は、エッチング溶液の連続循環に適している。いくつかの実施形態では、SAMパターン化金属化基材表面における%泡適用範囲は、一般に少なくとも30%、40%又は50%であり、かつ一般に約70パーセント以下である。しかしながら、泡の速度を増大させることにより、泡がSAMパターン化基材表面との衝突後に合体するか、又は表面から(例えば側方に)一掃されて、泡が固定されかつSAMパターン化金属化表面上に保持されることが防止される。
【0063】
エッチング速度は、(例えば、体積気流速度の増大により形成される)表面速度が約100cm/分〜150cm/分に到達するまで、表面速度の増大と共に増大することが見出されている。その後、いくつかのエッチング設定では、気流及び速度の増大は実質的にエッチング速度を更に増大させない。速度が約340cm/分を超え、かつ試料サイズが比較的小さい(例えば<10センチメートル×10センチメートル)場合、泡は、支持されていないSAMパターン化金属化基材を上方へと、エッチャント浴の化学作用(chemistry)から離れるよう持ち上げ得る。これもまた、非均一なエッチングをもたらす。
【0064】
泡生成表面とSAMパターン化金属化基材との間の距離が最大であり、かつ泡生成表面から放出される際の泡の速度が、より大きいサイズの基材の場合、かなり速い場合があることが理解され、このことは尚、本発明の範囲内に含まれる。
【0065】
エッチャント浴は、他の方法で用意される振盪と組み合わせて、バブリングガスにより振盪されてもよい。例えば、エッチャント浴は、更に例えばエッチング浴の撹拌、流動、及び/又は超音波活性化により振盪されてもよい。キャビテーションとは異なり、超音波活性化は比較的少量の超音波エネルギーを使用し、そのため必ずしも目に見えるほどのバブリングを生成しない。代替的に又はそれらと組み合わせて、基材を移動することによって、基材の揺動、平行移動、回転、及び/又は振動などにより更なる振盪が用意され得る。
【0066】
本明細書に記載したバブリングガスによる振盪の使用により用意され得る十分な振盪により、金属コーティング、特に金及び銀の厚さ方向におけるエッチング速度が300nm/分を超え得る。本明細書で使用されるとき、エッチング速度とは、金属化部分の厚さを、エッチャントが金属を除去するのに要する時間で除算して提供される平均エッチング速度を指す。
【0067】
非パターン化領域の金属が除去された後、エッチャント(例えば、酸化剤及び金属錯体形成分子)は、一般に、エッチングされたマイクロコンタクト印刷金属パターンの表面から洗い流される。エッチャントを完全に除去することが意図されるが、非常に低濃度の湿式エッチャント成分が残留することは希なことではない。そのような湿式エッチャント成分の存在は、表面増強ラマン散乱、X線光電子分光法、オージェ電子分光法、二次イオン質量分析法、及び反射型赤外分光法などの様々な定量及び/又は定性分析により測定することができる。
【0068】
本明細書に記載した方法は、バッチで、又は連続プロセスで行うことができる。
【0069】
エッチングされたSAMパターン化金属パターン(隆起構造に対応する)は、多様なパターンを含むことができる。導電性パターン又はパターン領域は、概して連続し、かつパターンの面内で導電性を有する。
【0070】
好ましい(例えば導電性)パターンは、2次元メッシュ、例えば正方形格子、矩形(正方形ではない)格子、又は規則的な六角形の網状組織を有する領域を含み、ここで例えばパターン化線のような導電性パターン構造が、メッシュ内の包囲された開放範囲を画定する。金属パターンにより画定される開放スペースは、セルと定義される。メッシュセルの他の有用な形状としては、ランダムなセル形状、及び不規則多角形が挙げられる。
【0071】
パターンは、開放スペースの全表面積に関連して記載されることができる。いくつかの実施形態では、パターンは、少なくとも60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%の開放範囲を有する。好ましい実施形態では、パターンは、少なくとも96%、97%又は98%の開放範囲を有する。残りは、パターン化金属の全表面積である。
【0072】
パターン化構造の幅は、パターンの選択に応じて変動し得る。(例えば六角形)開放メッシュの場合、線幅は、一般に少なくとも0.5マイクロメートルであり、かつ20マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態では、パターン化構造(例えば線幅)は1〜5マイクロメートルの範囲である。
【0073】
本明細書に記載した方法は、少なくとも25cmの範囲において良好なパターン均一性を有する、エッチングされたマイクロコンタクト印刷金属パターンを含むパターン化物品を製造するのに適している。いくつかの実施形態では、エッチングされたマイクロコンタクト印刷金属パターンは、少なくとも100cm、いくつかの実施形態では少なくとも150cm、更なる他の実施形態では少なくとも200cmの範囲において良好なパターン均一性を示す。
【0074】
パターン構造の均一性は、様々な方法に従って評価することができる。下記の実施例に記載するように、本明細書に記載するパターン構造の均一性は、金属パターンの(例えば中心又は中心の近傍における)中間部領域からの反復パターン構造の(例えば最短)寸法を測定し、パターンの(例えば周辺又は周辺の近傍における)縁部領域のその(即ち、同一の)反復パターン構造の寸法を測定することにより決定される。例えば、パターンが開放(例えば、六角形)セルなどの金属メッシュパターンを形成する直線状パターン構造のアレイを含む場合、パターン化基材の中間部領域からのセルの縁部を画定するトレースの線幅が、縁部領域からのセルの線幅から減算され得る。パターン(例えば線幅)構造寸法に差がない場合、パターン構造均一性は100%である。パターン構造の寸法間の差を用いて、下記の等式に従ってパターン構造均一性(%均一性)を計算することができる。
%均一性=(1−(中間部領域と縁部領域との構造寸法における差の絶対値/(中間部領域及び縁部領域のより大きい構造寸法)))×100
【0075】
例えばSAMパターン化基材が本明細書に記載したようにエッチングされる場合などのいくつかの実施形態では、より大きい構造(例えば線幅)寸法は、一般に縁部における構造(例えば線幅)寸法である。しかしながら、より大きい構造(例えば線幅)寸法は、中間部(例えば線幅)寸法でもあり得る。
【0076】
ドット及び正方形などの反復充填パターン構造の均一性は、反復パターン構造の範囲の直線寸法(例えば、正方形の縁部の幅、円形ドットの直径)を測定することにより、実質的に同一の方法で評価することができる。
【0077】
特に、ランダムなパターン又は多様な異なる(例えばセル)デザインを含むパターンの場合、パターン均一性は、代替的に、金属パターン構造を、パターン構造が由来する隆起構造(例えば、インク付けされたスタンプの)と比較することにより測定されてもよい。これは通常、パターン複製忠実度(pattern replication fidelity)として知られている。前述の比較は、基材の異なる領域(例えば、縁部領域対中間部領域)に関して実行されるであろう。
【0078】
全金属パターンが約75cm以下の面積を有する場合、範囲全体のパターン構造の均一性は、一般に、中間部領域及び縁部領域からの単一のパターン構造の測定値の比較から決定することができる。これは特に、金属パターン化範囲全体に亘って反復パターン(例えば、同一のデザイン、厚さ、及び(例えば線)幅を有する)を有する場合に当てはまる。しかしながら、より大きい金属パターン化範囲と、複数のデザインを有する金属パターン化範囲とに関しては、平均パターン構造均一性に到達するのに統計的に有意な数のパターン構造の測定値が作成されるであろう。例えば75cmを超える面積を有する(例えば反復)金属パターン化範囲の場合、異なる手順を用いて%均一性を測定し得る。この場合、一般に2つ以上のパターン均一性測定値を取得し、各測定値は少なくとも約4〜5cmの距離により分離されている。更に、様々な構造寸法を有するパターンの場合、最小のパターン構造のパターン構造均一性を測定することが一般的であり、これは最小のパターン構造が、百分率ベースで、構造の狭まり(narrowing)を生じる望ましくないプロセスアーチファクトの影響を最も受けるためである。
【0079】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載した金属パターン化物品は、少なくとも25cmの範囲において、少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%のパターン構造均一性を有する。少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%のパターン構造均一性が、様々な金属パターンの厚さにおいて得られた。好ましい実施形態では、そのようなパターン均一性は、更により大きい全金属パターン化範囲において得ることができる。特に銀又は金の全金属パターン化範囲は、少なくとも50cm、100cm、150cm、200cm又はそれ以上であってもよい。
【0080】
シート導体のコンダクタンスは、金属の厚さに強く依存する。所定の導電性を達成するためには、増大された金属厚さを有するパターンが必要である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載した金属(例えば、銀及び金の)パターン化物品は、増大された金属パターン厚さを有する。例えばいくつかの実施形態では、厚さは少なくとも125nm、150nm、175nm又は200nmである。いくつかの実施形態では、銀又は金の金属パターンの厚さは、少なくとも250nm、300nm、350nm、400nm、又はそれ以上である。銀パターン(例えば、良好な均一性も示す)は、少なくとも500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、又はそれ以上の厚さを有し得る。
【0081】
本明細書に記載した方法及び実施形態は、前述の厚さ値と、前述のパターン構造均一性値とを有するエッチングされたSAMパターン化金属パターンを達成するのに特に有用である。
【0082】
金属パターンの厚さの増大は、線に沿って所定の標的レベルのコンダクタンスを得るために、例えば線幅などのより狭い面内構造寸法、及び/又は、より小さい範囲部分の適用範囲にも適している。例えば、金属厚さがそれぞれ100ナノメートルから200ナノメートルに増大された場合、2マイクロメートルの線幅及び98%の金属適用範囲を有するメッシュパターンは、1マイクロメートルの線幅及び99%の金属適用範囲と同一のシート抵抗を有する。線幅及び/金属適用範囲を低下させることは、例えばより高い光透過率及びより低い曇り度など、低密度メッシュパターンの光学特性を改善するのに適している。
【0083】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。これらの実施例は、単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した請求項の範囲を限定することを意味するものではない。
【0084】
金属化ポリマーフィルム基材の調製
金属化ポリマーフィルム基材は、金属を5milポリエチレンテレフタレート「PET」(ST504,E.I.DuPont de Nemours and Company,Wilmington,Delaware)上に熱蒸着させることにより調製した。銀コーティングされた基材の場合、基材表面は30、60、100及び125ナノメートルの銀でコーティングされ、30オングストロームのクロム、次いで200、500、700、1000ナノメートルの銀でコーティングされ、又は30オングストロームのチタン、次いで300及び400ナノメートルの銀でコーティングされた。
【0085】
金コーティングされた基材は、最初に30オングストロームのクロムでコーティングされ、次いで400ナノメートルの金でコーティングされた。
【0086】
スタンプ作製
実施例1〜10及びC1〜C4では、フォトリソグラフィーを用いて、直径10センチメートルのシリコンウェハ上にパターン化フォトレジスト(Shipley 1818,Rohm and Haas Company,Philadelphia,Pennsylvania)を調製することにより、エラストマースタンプを成型するための第1のマスターツールを作製した。マスターツールは、溝(フォトレジスト材料が除去された)を含むフォトレジストのパターンが、線からなる六角形メッシュのパターンでそのツール上に配置されていた。図3は、一般に低密度メッシュ領域(97パーセントの開放範囲と、六角形を形成する幅3マイクロメートルの線とを有する六角形セル形状)の形状を示す、完成されたパターン(PET上の銀の薄フィルム)の領域の光学顕微鏡写真である。
【0087】
エラストマースタンプは、未硬化ポリジメチルシロキサン(PDMS、Sylgard(商標)184,Dow Corning,Midland Michigan)をツールにおよそ3.0ミリメートルの厚さまで注ぐことによって、マスターツールに対して成形された。マスターと接触している未硬化シリコーンは、真空に曝露することによって脱気され、その後70℃で2時間にわたって硬化された。マスターツールから剥いだ後、PDMSスタンプには、およそ1.8マイクロメートルの高さの隆起構造を含むレリーフパターンが付与された。スタンプの隆起構造は、それぞれのメッシュ形状を画定する線であった。スタンプをおよそ7×7センチメートルのサイズに切った。このスタンプを、「スタンプ1」と称する。
【0088】
実施例11では、フォトレジストのパターンをガラスプレート上に配置したことを除いて、第1のマスターツールと同様に第2のマスターツールを調製した。フォトレジストのパターンは、六角形セル形状が、98パーセントの開放範囲と、六角形を形成する幅2マイクロメートルの線とを有したことを除いて、第1のマスターツールに関して上述したものと同様の形状要素(六角形メッシュ)を含んでいた。このスタンプをおよそ15×15センチメートルのサイズに切った。このスタンプを、「スタンプ2」と称する。
【0089】
インク付け
スタンプ1は、その裏側(レリーフパターンのない平坦な表面)を、エタノール中の5mMのオクタデシルチオール(「ODT」O0005,TCI AMERICA,Wellesley Hills,Massachusetts)溶液に20時間接触させることによってインク付けされた。
【0090】
実施例11において、スタンプ2は、その裏側(レリーフパターンのない平坦な表面)を、エタノール中の10mMのオクタデシルチオール溶液に20時間接触させることによってインク付けされた。
【0091】
スタンピング
金属化ポリマーフィルム基材は、記載したインク付けスタンプを用いてスタンピングされた。スタンピングでは、最初にフィルム試料の縁部をスタンプ表面に接触させ、次いで直径およそ3.0センチメートルのローラーを使用して、フィルムをローラーでスタンプ全体に接触させることにより、金属化フィルムを、上を向いたスタンプのレリーフパターン化表面に接触させた。ローリング工程は、実行に5秒未満を必要とした。ローリング工程後、基材を、スタンプ1では10秒、(実施例11の)スタンプ2では15秒、スタンプと接触させた。次いで、基材がスタンプから剥がされ、工程は1秒未満を必要とした。
【0092】
エッチング
スタンピング後、SAM印刷パターンを有する金属化フィルム基材をエッチング浴内に配置して、選択的エッチング及び金属パターン化を行った。
【0093】
実施例1〜6及びC1〜C4において、エッチャント溶液は、2.25グラムのチオ尿素(T8656,Sigma−Aldrich,St.Louis,Missouri)、8.2グラムの硝酸第2鉄(216828,Sigma−Aldrich,St.Louis,Missouri)及び1000ミリリットルの脱イオン水を組み合わせることにより調製した。
【0094】
実施例7〜10において、エッチャントは、4.5グラムのチオ尿素、16.4グラムの硝酸第2鉄及び1000ミリリットルの脱イオン水を組み合わせることにより調製した。
【0095】
実施例11において、エッチャントは、9.0グラムのチオ尿素、32.8グラムの硝酸第2鉄及び4000ミリリットルの脱イオン水から構成されていた。
【0096】
実施例1〜11では、図1に示すように、バブリング振盪を有するエッチャント浴内で、試料をエッチングした。エッチング溶液の温度は、21℃であった。2つの異なるガスバブラーの一方をエッチング溶液中に浸漬し、ビーカーの底部上に配置した。バブラーは全て、フリットガラス濾板型のものであった。それぞれの場合にて、バブラー供給管を流量計を介して空気源に接続した。空気圧はガス流量調節器により制御され、8psiに設定された。気流速度は、流量計(LINDE FM 4334,Union Carbide,New York、1999年にDow Chemicalにより買収)により監視した。SAM印刷金属化基材を、金属側を下向きにしてエッチング溶液の表面上に配置した(表面張力によりエッチャント浴上に浮遊する)。ガラス濾板の表面と基材の表面との間の距離は、70ミリメートル(即ち、バブラーから基材表面へのガス泡の移動距離は、70ミリメートル)であった。ガス泡はガス分散ガラス濾板を通して生成され、上方に流れて金属表面を打ち、エッチングプロセスにて振盪した。ガス泡は、SAM印刷金属化基材の表面に対して略垂直方向に移動し、連続的に提供された。
【0097】
実施例1〜10、7センチメートル×7センチメートル未満のサイズを有する試料は、エッチャント浴としての2リットルビーカー(即ち、直径14センチメートル)内の1リットルのエッチング溶液を使用した。40〜60マイクロメートルの細孔サイズと、30ミリメートルの濾板直径とを有するガス分散ガラス濾板を使用してガス泡を生成し、流速は1100cc/分(即ち、面速度155.7cm/分)に設定した。基材表面における泡サイズは、約2〜3ミリメートルであった。基材表面における泡密度は、約70%と概算された。上昇する泡の速度は、40cm/sを超えた。
【0098】
15センチメートル×15センチメートルの試料サイズを有する実施例11では、円筒形のエッチ浴(直径25センチメートル、高さ25センチメートル)内の4リットルのエッチング溶液を使用した。170〜220マイクロメートルの細孔サイズと、10センチメートルの濾板直径とを有するガス分散ガラス濾板を使用してガス泡を生成し、流速は12222cc/分(即ち、面速度155.7cm/分)に設定した。基材表面における泡サイズは、約2〜4ミリメートルであった。基材表面における泡密度は、80%より高いと概算された。上昇する泡の速度は、40cm/sを超えた。
【0099】
比較例(C−1、C−2及びC−3)の場合、エッチャント浴としての2リットルビーカー内に、1リットルのエッチング溶液を用意した。エッチング溶液を、磁気撹拌棒(長さ8センチメートル、直径1.3cm)を用いて速度約260rpmで撹拌した。試料を溶液中に浸漬し、ビーカーの壁に沿って垂直に配置した。
【0100】
試験方法
エッチング時間
エッチング時間は、VWR Big−Digit Stopwatchにより記録した。各試料の平均エッチング速度は、金属厚さをエッチング時間で除算することにより計算した。
【0101】
パターン均一性
選択的エッチング及び金属パターン化の後、光学顕微鏡(Leica DFC 420,Leica Microsystems Inc.,Bannockburn,Illinois)を使用して金属パターンを特徴付けた。金属パターンの線構造の幅を決定するために顕微鏡技術を使用した。パターン構造均一性は、前述のように決定した。
【実施例】
【0102】
実施例1〜11及びC1〜C3
金属薄フィルムの六角形メッシュパターンを作製し、上述したように特徴付けた。金属厚さ、エッチング時間、エッチング速度、試料の縁部及び中間部における線幅、並びにエッチング均一性を、下記の表1及び2に報告する。
【0103】
図2は、金属化パターンの縁部領域における線幅を示す、実施例C−3の光学顕微鏡写真である。
【0104】
図3は、金属化パターンの中心部領域における線幅を示す、実施例C−3の光学顕微鏡写真である。
【0105】
実施例C−4は、以下の相違点を除いて、実施例C−1と同一の方法で調製した。銀の薄フィルムの厚さは、100ナノメートルであった。スタンピング後、印刷パターンを有する銀基材(7.5cm×7.5cm)をエッチング溶液の表面上に、金属側を下向きにして配置した。エッチング溶液を、磁気撹拌棒を用いて260回転数/分の速度で撹拌して、エッチングプロセスにて振盪した。1分30秒のエッチング後、試料の縁部領域は完全にエッチングされたが、試料の中間部領域は、この撹拌速度でエッチング溶液中に形成された渦が、エッチャント溶液を試料の中間部領域内の金属化及びSAM印刷基材表面と接触させなかったため、未エッチングのまま残留した。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】


縁部の線幅−中間部の線幅の絶対値
【0108】
%均一性=(1−(中間部領域と縁部領域との構造寸法における差の絶対値/(中間部領域及び縁部領域のより大きい構造寸法)))×100
【0109】
ロールツーロールプロセスを用いた連続エッチング
金属化ポリマーフィルム基材を、R2Rシステム内で、ポリエチレンテレフタレート「PET」フィルム(E.I.DuPont de Nemours Company,Wilmington,Delawareから商標名TEIJIN ST504で入手)上に銀をスパッタコーティングすることにより調製した。ポリマーフィルム基材に、厚さ70ナノメートルまで、又は120ナノメートルまでの銀をコーティングした。次いで、銀コーティングフィルムに、自己組織化分子(SAM)層を、米国特許第2009/218310号に記載されている方法に従ってパターンにて印刷した。
【0110】
エッチング実験に関しては、エッチング溶液は、脱イオン水中の0.05M硝酸第2鉄(ACS試薬等級、GFS Chemicals,Powell,OHから入手)及び0.1Mチオ尿素(ACS試薬等級、GFS Chemicals,Powell,OHから入手)からなっていた。水性加工ユニット内でウェブを液体表面レベルの直下で下向きの配向で配置するよう構成されている一連のアイドラーである巻き出しユニットを装備した水性加工ユニット(ASI Model 1024,Eidschun Engineering,Clearwater,Fl,USAから市販)、及び巻き取りユニットを使用した。使用した巻き取り機及び巻き出し機は、Northfield Automation,Northfield,MNから市販されているものと同様であった。加工システム(多数のサンプ及び空洞を有する)は機械的に変更されて部分浸漬ウェブ経路を提供し、各サンプ又は空洞に出入りすることを可能にした。主空洞は、浸漬構成でのローラーの中心から中心への15cm間隔を可能にした。ローラーは、直径7cmであった。浸漬されたウェブの長さは、およそ22.5cmであった。機械的変更により、入口、主サンプ空洞、第1の濯ぎ空洞、及び乾燥区画を含む、システムのそれぞれの内部区画内のウェブシステムの接続が可能となった。接続は、ねじ付きパイプを、下部流体供給マニホールドインレットと、マニホールドからのインレットの反対側の側板上の噴霧バーハンガー(spray bar hangar)とに取り付けることにより形成した。システムを構成し、主サンプ空洞(〜132L)の上部中心に配置した3つの散布管と1つの噴霧バーとを使用して、サンプ内での浴振盪を用意した。散布管は、サンプの静的部分(static portions)を有さないように下部マニホールドに接続された。散布管は、流体全部が振盪され、この体積が比較的均質であるように保つ。散布管は、供給されたポリプロピレンの1/2”(1.3cm)OD管(tubing)であり、3つ存在する。1つはサンプのそれぞれの遠方の角部を指し(2)、1つは流体を再循環ポンプに向かって移動させるために使用された。サンプの遠方側からの目に見える逆流は、サンプ全域の良好な混合を示した。頂部の噴霧バーは、サンプ空洞を通して流体を移動させることのみに使用され、ウェブの非コーティング側に指向されているため、噴霧バーによるエッチングの可能性は存在しなかった。他の全マニホールドインレットは閉鎖されて、更なる流れを防止した。第1の部分浸漬アイドラーの底部にて、Exairエアーナイフ(長さ45cm、モデル# 110018、316ステンレス鋼、Exair,Inc.,Cincinnati,OHから市販)を横向きに配置し、ウェブが動作している間、空気噴射がウェブの下方に及び水平に通過するようにした。エアーナイフは、サンプを冷却及び加熱する既存のステンレス機械設備に取り付けられた。エアーナイフは、ナイロンジップタイを使用して一時的なやり方で取り付けられた。エアーナイフは、ウェブ経路に直交する配向で置かれた。第1の濯ぎサンプは1組の噴霧バーの使用を組み込んで、エッチングサンプを離れた後、振盪された濯ぎ液をウェブの後面上に付与することを補助し、ウェブは濯ぎ溶液中に浸漬されて、ウェブの前面、即ちパターン化側を濯いだ。
【0111】
114L(30ガロン)のDI水を主サンプに加え、およそ72L(19ガロン)のDI水を第1の濯ぎサンプに加えた。1008グラムのチオ尿素を19L(5ガロン)バケツ内の11.4L(3ガロン)のDI水に加え、磁気撹拌ステーションの補助によりオフラインで数分間溶解し、チオ尿素の濃縮溶液を得た。2676グラムの硝酸第2鉄を19L(5ガロン)バケツ内の7.5L(2ガロン)のDI水に加え、周期的に手動で振盪して溶解し、硝酸第2鉄の濃縮溶液を得た。サンプを、およそ24℃の一定温度に維持した。SAM印刷パターンを有する銀コーティングフィルムウェブを巻き出しステーションのコアチャック上に配置し、予め巻き出されたウェブ材料に接合した。チオ尿素濃縮物を主サンプに加え、システムに備えられた揚送システムを使用して15分間混合した。15分間の混合後、硝酸第2鉄濃縮物を加え、再循環により15分間混合した。ウェブ搬送を開始し、Dwyer流量計(Dwyer Instruments,Inc.,Michigan City,IN)で観察したおよそ40Lpmの空気流を用いて泡を出した。エッチングのためのウェブ搬送速度は、厚さ〜70nmのAgフィルムではおよそ0.5メートル/分(MPM)(1.75フィート/分、FPM)、厚さ〜120nmのフィルムでは0.4MPM(1.25FPM)であった。ウェブを連続的に輸送している間に泡が止められた際に、銀上にエッチングは殆ど存在しなかったため、泡エッチングは実際に主要なエッチング機構であることが示された。
【0112】
概算のエッチング時間は、70nmの銀を有するフィルムでは27秒、120nmの銀を有するフィルムでは38秒であった。エッチング速度は、70nmの銀及び120nmの銀を有するフィルムに関して、それぞれ156nm/分及び189nm/分であった。これら2つの試料に関するエッチング均一性の百分率は、前述の等式により決定して90%である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材のパターン化方法であって、
自己組織化パターン化領域及び非パターン化領域を有する金属化表面を含む基材を用意する工程と、
前記金属化表面を、バブリングガスにより振盪される液体エッチャント中で湿式エッチングして、前記非パターン化領域から金属を除去し、金属パターンを形成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記湿式エッチングが、少なくとも100nm/分の速度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基材のパターン化方法であって、
自己組織化単層パターン化領域及び非パターン化領域を有する金属化表面を含む基材を用意する工程と、
前記基材を少なくとも300nm/分の速度で湿式エッチングして、前記非パターン化領域から金属を除去することにより金属パターンを形成する工程と、を含む、方法。
【請求項4】
前記湿式エッチングが、前記自己組織化単層パターン化領域を含む前記金属化表面を、バブリングガスにより振盪される液体エッチャント中に浸漬する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記自己組織化単層パターン化領域が、前記金属化表面上にマイクロコンタクト印刷されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記自己組織化単層パターン化領域が、自己組織化単層形成分子を含むインク付けエラストマースタンプを用意する工程と、
前記インク付けスタンプを、金属コーティングされた基材に接触させる工程と、
によりマイクロコンタクト印刷され、
前記エラストマースタンプ、前記基材、又はこれらの組み合わせが、前記自己組織化単層パターン化領域を形成する1つ以上の隆起構造を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
泡生成表面から放出される泡が、前記液体エッチャントを通して、前記金属化表面に対して実質的に垂直の方向に移動し、前記泡が前記自己組織化単層パターン化領域上に突き当たる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記自己組織化単層パターン化領域及び非パターン化領域を含む前記金属化表面が、泡を放出する泡生成表面に対して実質的に平行に配置されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属化表面が、前記泡生成表面から少なくとも30ミリメートルの距離に配置されている、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記泡生成表面が、前記自己組織化単層パターン化領域を含む前記金属化表面の表面積の少なくとも約1/3の表面積を有する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
前記泡生成表面から放出される泡が、少なくとも10cm/分の速度を有する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項12】
前記泡が、前記金属化表面において少なくとも2ミリメートルの直径を有する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項13】
前記単層が有機硫黄化合物を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記有機硫黄化合物がアルキルチオールを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記エッチャントが第2鉄イオンを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記エッチャントが、チオ尿素又はチオ尿素誘導体を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記金属が銀又は金から選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
基材と、前記基材上に配置されたエッチングされたマイクロコンタクト印刷金属パターンとを含み、前記パターンが、少なくとも100ナノメートルの厚さと、少なくとも25cmの範囲において少なくとも50%のパターン構造均一性とを有する、金属パターン化物品。
【請求項19】
前記パターンが、少なくとも75%のパターン構造均一性を有する、請求項18に記載の金属パターン化物品。
【請求項20】
前記パターンが、少なくとも90%のパターン構造均一性を有する、請求項18に記載の金属パターン化物品。
【請求項21】
前記金属が銀又は金を含む、請求項18〜20のいずれか一項に記載の金属パターン化物品。
【請求項22】
基材と、前記基材上に配置されたエッチングされたマイクロコンタクト印刷金属パターンとを含み、前記パターンが、少なくとも250ナノメートルの厚さを有する銀又は金を含む、金属パターン化物品。
【請求項23】
前記金属パターンが、少なくとも400nmの厚さを有する金を含む、請求項22に記載の金属パターン化物品。
【請求項24】
前記金属パターンが、少なくとも1マイクロメートルの厚さを有する銀を含む、請求項22に記載の金属パターン化物品。
【請求項25】
前記金属パターンが、少なくとも25cmの範囲に亘って少なくとも50%のパターン構造均一性を有する、請求項22〜24のいずれか一項に記載の金属パターン化物品。
【請求項26】
前記パターンが、少なくとも75%のパターン構造均一性を有する、請求項25に記載の金属パターン化物品。
【請求項27】
前記パターンが、少なくとも90%のパターン構造均一性を有する、請求項25に記載の金属パターン化物品。
【請求項28】
前記パターンが、10マイクロメートル未満の幅を有する線構造を含む、請求項18〜27のいずれか一項に記載の金属パターン化物品。
【請求項29】
前記パターンが、少なくとも95%の開放範囲を有する、請求項18〜28のいずれか一項に記載の金属パターン化物品。
【請求項30】
前記基材が、ガラス、シリコンウェハ又はポリマーフィルムから選択される、請求項18〜29のいずれか一項に記載の金属パターン化物品。
【請求項31】
前記基材が用意され、連続プロセスにて湿式エッチングされる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−531518(P2012−531518A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517584(P2012−517584)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/038942
【国際公開番号】WO2010/151471
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】