説明

自己集合性の両親媒性ポリマーを有する薬物の可溶化および標的化導入

疎水性成分としてペンダント脂肪族基を有する親水性骨格を含む両親媒性生分解性共重合体を提供する。該ポリマーは、薬物、ビタミン、着色料、および造影剤などの不溶性有機化合物を可溶化することができる疎水性内部を有する、水性の環境において、ナノスケール分子会合体を形成する。該ポリマーは、任意に抗体、リガンド、ならびに薬物および造影剤の標的化導入に有用なその他の標的部分に対して、付着点を提供する反応性官能基を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両親媒性ポリマー、特に生体適合性のミセル形成くし形ポリマーの分野に関する。本発明はまた、薬物可溶化および標的薬物導入の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
疎水性ブロックおよび親水性ブロックを含む両親媒性ブロック共重合体は、周囲の溶媒を変更する場合、種々のナノ構造への自己集合能力のため、近年よく研究されている。Cameron et al.,Can.J.Chem./Rev.Can.CUm.77:1311 1-1326(1999)を参照。水溶液中において、両親媒性高分子の疎水性分画は、水との接触を避け、システムの自由界面エネルギーを最小化するために、自己集合する傾向がある。同時に、該親水性ブロックは、水性の環境において、水和した「コロナ」を形成するため、該会合体は、熱力学的に安定な構造を保持する。その結果物は、疎水性コアおよび親水性コロナを有するポリマー会合体粒子の安定した、ラテックスのようなコロイド懸濁液である。
【0003】
くし形両親媒性共重合体は、骨格が疎水性または親水性であることが大きいブロック共重合体とは異なり、それに組み込まれているというよりむしろ、骨格から異極性ペンダントのポリマー鎖を有する。くし形共重合体は、疎水性骨格および親水性分岐(Mayes et al.、米国特許第6,399,700号)、また、親水性骨格および疎水性分岐(Watterson et al.、米国特許第6,521,736号)で調製される。薬物を可溶化し、細胞に導入するために後者を使用すると同時に、細胞表面受容体に多価提示を提供するために前者を使用した。
【0004】
両親媒性高分子会合体は、不溶性薬物を可溶化するための担体、標的薬物導入媒体、および遺伝子導入システムとして、研究されている。それらは、鎖エンタングルメントおよび/または内部疎水性領域の結晶化度のため、従来の低分子量のミセルよりもさらに安定した構造を有する。媒体のポリマーの特性は、臨界ミセル濃度以下に希釈する場合、一般リポゾームが受ける分解に比較的に影響されない会合体を与える。それらはまた、2分子膜の欠如において、細胞膜を伴いさらに容易に2分子膜を溶解し、細胞に直接ペイロードに導入することが可能である、従来のリポソームの薬物導入組成物に利点を有する。
【0005】
卓越した生体適合性のあるポリ(エチレングリコール)(PEG)であるため、細網内皮系、ミセル、リポゾーム、およびポリマーがPEGを組み込まないようにするためのPEGコーティングした「ステルス」粒子の見掛け能力は、薬物導入システムのための物質として広範囲にわたって考慮されている。(リポゾームおよびミセルの形成する)PEG脂質の親水性成分として、ポリ(エチレングリコール)(PEG)の使用についての多くの報告がある、例えば、Krishnadas et al,Pharm.Res.20:297-302(2003)を参照。さらに強固な「ポリマーゾーム」に自己集合する、自己集合性の両親媒性ブロック共重合体はまた、薬物可溶化および導入のための媒体として研究されている(Photos et al,J.Controlled Release,90:323-334(2003))。また、Gref et al.,Int.Symp.Controlled Release Mater.20:131(1993)、Kwon et al.,Langmuir,9:945(1993)、Kabanov et al.,J.Controlled Release,22:141(1992)、Allen et al.,J.Controlled Release,63:275(2000)、Inoue et al.,J.Controlled Release,51:221(1998)、Yu and Eisenberg,Macromolecules,29:6359(1996)、Discher et al.,Science,284:113(1999)、Kim et al.、米国特許第6,322,805号、Seo et al.、米国特許第6,616,941号およびSeo et al.、欧州特許第EP 0583955号を参照。本能力におけるポリ(エチレンイミン)(PEI)の使用はまた、オリゴヌクレオチドの導入を中心に、報告されている(Nam et al.、米国特許第6,569,528号、Wagner et al.、米国特許出願番号第20040248842号)。同等の文脈で、Luoらは、ポリヌクレオチドの導入に適しているPEG共役のポリアミドアミン(「PAMAM」)デンドリマーをMacromolecules 35:3456(2002)に記載する。
【0006】
薬物を可溶化、分配、および導入する必要性に加えて、標的組織、腫瘍、または臓器に特に的を搾る標的薬物導入のための必要性がある。これは、通常、抗体または標的部位で細胞壁に対する特異親和性を有するその他のリガンドの結合により完了する。しかしながら、PEGは、ポリマー鎖の末端を除いて官能基が欠如し、末端基の大部分は、その他のブロック共重合体成分への結合により必然的に処理される。従って、PEGブロック共重合体への抗体または細胞接着分子などの標的部分の付着は、一般に非PEGブロックに限定され、あいにく共重合体の一部ではなく、自己集合した会合体のコロナに通常露出する。
【0007】
ポリマー会合体にブロック共重合体の自己集合をもたらす相分離現象は、容易に改善することが可能であり、疎水性コアに架橋結合することにより、会合体の安定性を増加させる取り組みが行われている(欧州特許第EP 0552802号を参照)。またブロック共重合体の疎水性成分への薬物の共有結合の取り組みも行われている(ParkおよびYoo、米国特許第6,623,729号、欧州特許第EP 0397307号)。
【0008】
安定した、生体適合性のある、会合体の外部への標的部分の結合に適し、望ましい細胞内標的に薬物を運搬する場合、効率的である、薬物運搬システムを必要とする。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、分枝点部分を有する親水性骨格、およびこれらの分枝点部分で結合する疎水性分枝を含む、生体適合性のあるくし形ポリマー分子を提供する。本発明は、当該のポリマーから形成されたポリマー会合体の水性懸濁液を提供し、ポリマー会合体の疎水性コアで該化合物を組み込むことにより、薬物、着色料、ビタミンなどの不溶性または難溶性有機化合物を可溶化する方法を提供する。水性溶媒中で不水溶性有機種を可溶化する方法は、基本的に不水溶性有機種を水性または混合水性溶媒中で本発明のポリマーを接触する方法を含む。
【0010】
特定の実施形態において、分枝点部分は、標的部分に対して結合点としての役割を果たすことができる反応性官能基さらに含む。特定の好ましい実施形態において、リガンドまたは抗体などの標的部分は、本発明のポリマーの分枝点部分に共有結合し、薬物は、標的薬物複合体を形成するために、会合体のコアに組み込まれる。
【0011】
本発明は、本明細書に記載のくし形ポリマー、会合体、および標的ポリマー会合体および標的薬物複合体の調製方法をさらに提供する。生体内での薬物を十分に可溶化し、分配、導入するポリマー会合体を自己集合する本発明のポリマーは、非毒性、生体適合性であり、安定しており、外表面上に多数の細胞標的部分を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
「πポリマー」と本明細書に称される、本発明のポリマーは、交互分枝点部分Bおよび親水性、水溶性ポリマーブロックAから形成される骨格を有するくし形構造を有し、各分枝点部分に結合した複数の疎水性側鎖Cを有する。それらは、本質的に式1に示される構造からなる。側鎖Cは、比較的短い、疎水性部分であり、脂肪酸分子、鎖またはオリゴマーであってよい。pの値は、理想的には、2、3、または4のいずれかの整数である。実際には、ほとんどの場合、側鎖は、化学反応を介して完全な有効性に欠けて導入され、概して、意図した整数でない、ポリマー調製に対するpの平均値を生じる。非整数平均値はまた、下記に記載されるように、意図的に取得することができる。従って、本発明のポリマーにおけるpの平均値は、1より大きく、4以下であってもよい(1<p≦4)。好ましい実施形態において、pは、約2から4、さらに好ましくは、1.5<p≦2である。
【0013】
【化1】

【0014】
骨格ポリマーブロックAは、親水性および/または水溶性ポリマー鎖から選択され、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、多糖類などを含むがこれらに限定されるものではない。好ましくは、ポリマー単位Aは、式のポリ(エチレングリコール)鎖-(CH2CH2O)m-であり、mは、1から10,000であり、好ましくは3から3,000である。ポリマー鎖の末端官能基は、特徴付けられないが、本発明には関連するものではない。
【0015】
様々な等級のポリ(エチレングリコール)の製造において、分子量の範囲を比較的狭く維持すると同時に、ポリマーの分子量を実質的に2倍にする、2つのポリ(エチレングリコール)鎖への2価リンカー部分(例、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)を連結することは、当業界では既知である。得られる「ポリ(エチレングリコール)」分子は、非グリコールリンカー部分(例えば、ポリ(エチレングリコール)-ビスフェノールAジグリシジルエーテル付加化合物、CAS登録番号37225-26-6を参照)によりポリマー鎖の中点で必然的に中断される。高オリゴマー、すなわち、2つのビスフェノールAジグリシジルエーテル部分で分離される3つのPEG鎖を有するオリゴマーはまた、既知であり、例えば、国際特許出願第WO 00/24008号を参照のこと。従って、本明細書において使用される、用語「ポリ(エチレングリコール)」および「ポリ(プロピレングリコール)」は、非グリコールリンカー単位を組み込むポリ(エチレングリコール)およびポリ(プロピレングリコール)ポリマー鎖を含み、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテルなどを含むがこれらに限定されるものではない。本明細書の目的のために、いかなる当該のリンカー部分を「モノマー単位」として数えない。
【0016】
ポリマーブロックAは、最も好ましくは、20から50のモノマー単位の長さを有する。ポリエチレングリコール鎖は、1つまたは2つの末端で、その他の部分へのリンカーとしての使用が好適な官能基で末端置換してもよく、アミノ、メルカプト、アクリレート、アクリルアミド、マレイン酸エステル、マレイミドを含むがこれらに限定されるものではない。nの値は、1から1000であり、好ましくは、3から100である。πポリマーの総分子量は、1000から100,000ダルトン以上であり、好ましくは、2,000ダルトン以上、さらに好ましくは、7,000ダルトン以上である。
【0017】
疎水性部分Cは、同一または異なってもよく、例えば、(1つ以上の親水性置換基で任意に置換された)直鎖炭化水素、(1つ以上の親水性置換基で任意に置換された)多環式炭化水素、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーであってよい。好適な親水性置換基は、ヒドロキシル、エーテル、シアノ、およびアミド官能基を含むがこれらに限定されるものではない。特に、ω-ヒドロキシ、ω-シアノ、ω-アミド、またはω-アルコキシ置換基を有するC8からC20アルキル基を意図する。これに関して、用語「置換基」とは、部分Cの炭化水素鎖または環系の炭素原子に対する、O、N、またはSなどのヘテロ原子の置換を含む。従って、エーテルおよびアミド連鎖、および複素環をCに組み込んでもよい。
【0018】
疎水性部分Cは、好ましくは、相対的に短鎖(C8-C20)脂肪酸であるが、短鎖オリゴマーであってもよい。好適なオリゴマーは、ポリ(グリコール酸)、ポリ(DL-乳酸)、ポリ(L-乳酸)などのオリゴヒドロキシ酸、およびポリ(グリコール酸)およびポリ(乳酸)ヒドロキシ酸の共重合体、およびポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(オルソエステル)、およびポリ(ホスホエステル)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ(δ-バレロラクトン)、ポリ(γ-ブチロラクトン)およびポリ(β-ヒドロキシブチラート)などのポリアクトンを含む。C部分はまた、コレステロール、コール酸、リトコール酸、疎水性ペプチドなどの疎水性分子から選択してもよい。各部分Cの分子量は、40より大きく、好ましくは、50から1,000であり、最も好ましくは、100から500である。一般に、分子C-Hが、水中で実質的に不溶性である場合、いずれの部分Cは、本発明の使用に対して好適であると考えられる。
【0019】
側鎖Cは、ポリマー鎖に沿って規則的かつ均一に、分散されないが、クラスタ[C]pにむしろ生じることが、本発明のくし形ポリマーの際立った特徴である。これらのクラスタは、ポリマー単位Aの単分散の程度にもよるが、ポリマー鎖に沿ってほぼ規則的である。従って、共有分枝部分Bに結合する2つの側鎖C間の距離は、異なる分枝部分に結合する2つの側鎖間の距離とは異なる。
【0020】
本発明の第2の実施形態において、分枝点部分Bは、1つ以上の反応性官能基Xをさらに含み、ポリマーは、実質的に式2に図示される構造からなる。
【化2】

【0021】
式2において、個々の反応基Xは、同一、または互いに異なってよく、ポリマー2の組立中、必要である場合、任意にブロックまたは保護してもよい。rの平均値は、0(X基でない)から約4である場合がある。通常は、反応基は、分子種間の共有結合を形成するために有用である、従来知られている官能基から選択される場合がある。該基Xは、薬物分子、組織または細胞標的部分、ウイルス標的部分、マトリクス結合部分に対する結合点Fとしての役割を果たす(ステントまたはその他の医療装置の表面にコーティングする目的など)。ある実施形態において、単一結合点Xであってもよい。その他の実施形態において、3つまたは4つの異なる反応基の型であってもよい。マトリクス結合部分は、共有結合を経由するマトリクスに、特異的非共有結合相互作用(例、抗体抗原)、または非特異性相互作用(例、イオン対を経由または「疎水性」相互作用)を結合してもよい。好適な反応基Xは、-OH、-NH2、-SH、-CHO、-NHNH2、-COOH、-CONHNH2、ハロアシル、アセトアセチル、-CN、-OCN、-SCN、-NCO、-NCSなど、ビニル、アクリル、アリル、マレイン酸、桂皮酸などの反応2重結合、アセチレンカルボキシおよびアセチレンカルボキシアミド(Michael付加、Diels-Alder反応、および遊離基付加反応に適する)などの反応3重結合で用いる基を含むがこれらに限定されるものではない。
【0022】
例示される細胞標的部分は、受容体に特異的なリガンド、抗体、およびアルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)アミノ酸配列またはチロシン-イソロイシン-セリン-アルギニン-グリシン(YISRG)モチーフを所有するペプチドなどのその他の標的部分、上皮細胞増殖因子、血管内皮増殖因子および線維芽細胞増殖因子を含む増殖因子、シアル酸およびN-アセチルノイラミン酸誘導体などのウイルス表面リガンド、葉酸、メトトレキサート、プテロイン酸、エストラジオール、エストラトリオール、テストステロン、およびその他のホルモンなどの細胞受容体リガンド、マンノース-6-リン酸塩、糖類、ビタミン、トリプトファンなどを含むがこれらに限定されるものではない。抗体は、好ましくは、細胞特異的な表面抗原に対して行われる単クローン抗体であり、好適な標的部分は、完全抗体だけでなく、Fab′2フラグメント、Fab′フラグメントなどの活性抗原結合配列、または当該の抗体の活性抗原結合配列の単鎖ペプチドアナログを含む抗体フラグメントも含む。
【0023】
ウイルス標的部分の例は、アミノアルキルアダマンタン、Fuzeon(登録商標)、PRO-542、BMS-488043、シアル酸、2-デオキシ-2,3-ジデヒドロ-N-アセチルノイラミン酸、4-グアニジノ-Neu5Ac2en(ザナミビル)、オセルタミビル、RWJ-270201などのウイルス、オリゴペプチド、オリゴサッカライド、ウイルス表面、およびウイルス特異的な表面抗原に対して向けられる抗体および抗体フラグメントに結合するグリコペプチドに結合する、小分子リガンドを含む。好ましい実施形態において、本発明は、ウイルスノイラミニダーゼまたは血球凝集素のためのリガンドを有するπ-ポリマーを提供する。当該のポリマーは、自らの正当性において抗ウイルス特性を有することは既知であり、例えば、T.Masuda et al.,Chemical & Pharmaceutical Bulletin 51:1386-98(2003)、M.Itoh et al.,Virology 212:340-7(1995)、およびReece et al.、米国特許第6,680,054号(2004)を参照のこと。本発明のポリマーおよびポリマー会合体の抗ウイルス剤の疎水性コアは、1つ以上の従来の抗ウイルス剤で任意に満たしてもよく、ウイルス粒子の周辺に遊離に放出する。
【0024】
医学的関連のその他の結合基は、小化学物質、ペプチド、抗体または抗体フラグメント、酵素または活性薬剤成分であってもよく、それらは、ホルモンまたはホルモン作用薬または拮抗薬、ウイルス結合で妨害する物質、細胞内侵入後、細胞周期または細胞過程で妨害する物質など、生物過程に影響を及ぼす場合がある。細菌、菌類、高等動物、および植物を含む、単細胞および多細胞生物の細胞を標的にしてもよい。ビオチンは、π-ポリマーに結合し、アビジンおよびストレプトアビジン結合タンパク質、ペプチド、および抗体、成長ホルモン、画像剤などのその他の標的または薬学的活性剤のために結合点として使用される場合がある。
【0025】
「マトリクス」とは、有機物または無機物、ガラス、シリカ、または金属面などの表面、および沈着物、細胞外マトリクス、様々な種類のアミロイド斑などのタンパク質沈着、細胞表面、ウイルス表面、およびプリオンを含む、うまく特徴づけられる場合もある、一般の均質または不均質表面を意味する。
【0026】
ガラスまたはシリカマトリクス結合部分の例は、ポリマーを含む当該の官能基を示す化学物質と同様に、種々のハロシラン、アルコキシシラン、アシルシランを含む。特定のマトリクスの物理化学的特性に基づいて、その他の結合基を考案することができる。例えば、ステントをコーティングするために使用される好適な結合部分は、当業者には既知である。
【0027】
本発明の第3の態様において、該分枝点部分Bは、架橋ヒドロゲルの構造を形成するために、ポリマー鎖の別の場所にある、その他の分枝点部分に接続される。当該の架橋結合は、同種官能性または異種官能性を含む多官能部分とポリマーを反応することにより生じる場合があり、同種官能性または異種官能性のうちの少なくとも1つは、第1の分枝点部分上に位置するC上のXまたは反応基と反応し、同種官能性または異種官能性のうちの少なくとも1つは、第2の分枝点部分でC上に示すXまたは反応官能基と反応する。架橋結合はまた、ポリマー鎖Aの末端官能基に連結を通じて行われる場合もある。当該の架橋ポリマーは、薬物分子または標的部分の結合に適する反応官能基を任意に含んでもよい。
【0028】
分枝点部分Bは、通常は、複数の反応基を有する多官能分子から生じ、反応基のうちの2つは、親水性ポリマー単位Aへの結合に適し、反応基のうちの2つは、疎水性部分Cへの結合に適する。部分Bは、上記に記載のように、追加の反応基Xを有する場合がある。
【0029】
特に好ましい分枝点部分は、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、またはマレイン酸の2つの分子を伴う2,3-ジアミノブタン-1,4-ジチオールの複合体である。部分Aとして、ポリエチレングリコールを伴う本分枝点部分の合成は、以下の式3および3aのポリマー骨格を生成する。
【化3】

[式中、YおよびY′は、同一または異なってよく、好ましくは、OH、NH2、ONH2、NHOH、およびNHNH2から選択される。]
好ましい実施形態において、ジチオールのヒドロキシルまたはアミノ基は、反応基Xであり、官能基YおよびY′は、C部分の結合点としての役割を果たすと同時に、標的または薬物部分の結合点としての役割を果たす。あるいは、基YおよびY′は、C部分を結合するためにヒドロキシルまたはアミノ基を使用すると同時に、結合点としての役割を果たす。
【0030】
式3および3aは、各硫黄原子は独立して、PEGエステルカルボニル基にαまたはβを結合することができることを送達することを意図している。本発明は、1つまたは双方のC-S結合で、位置異性体の混合物と同様に、単一異性組成物を含む。さらに、式1にある4つの不斉炭素のため、本発明は、すべてのキラル、メソ、ジアステレオ異性体およびその混合物を含む。
【0031】
アセチレンジカルボキシル酸およびフランのDiels-Alder付加化合物はまた、好適な分枝点部分としての役割を果たしてもよい。例えば、PEGおよびアセチレンジカルボキシル酸から生じるポリエステル4は、フランとのDiels-Alder反応を行うことが知られている(M.Delerba et al,Macromol.Rapid Commun.18(8):723-728(1997))。
【0032】
【化4】

【0033】
従って、3,4-2基置換フランとのDiels-Alder反応により、5などの種を生成する場合があり、ポリマー5を反応基を提供するために、ヒドロキシル化またはエポキシ化により修正することができる(例、スキーム1のXおよびX′)。
【0034】
同様に、エチレンジアミン4酢酸2無水物とPEGの反応は、式6のポリエステルを提供する。
【化5】

【0035】
その他の好適な分枝点部分は、酒石酸、アセチレンジカルボキシル酸、ニトリロ3酢酸、3,4,3′,4′-ジフェニルスルホンテトラカルボキシル酸2無水物、3,4,3′,4′-ジフェニルエーテルテトラカルボキシル酸2無水物、ピロメリット酸2無水物、1,2-エタンジチオールおよび1,4-ブタンジチオールなどのアルカンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、2-メルカプトエチルスルフィド、ジメルカプトプロパノール、ジメルカプトプリン、ジメルカプトチアジアゾール、ジメルカプトコハク酸、ベンゼンジメタンチオール、ベンゼンジチオール、ジハロゲン化ベンゼンジメタンチオール、ジハロゲン化4,4′-チオビスベンゼンチオールなどから生じる場合がある。
【0036】
YおよびY′はOHであり、疎水性基Cは、カルボキシル酸基のアミド化またはエステル化によりポリマーに結合する場合がある。疎水性基Cは、好ましくは、比較的小さい(C8-C20)および主に炭化水素部分であり、直鎖または分枝であってもよく、または1つ以上の環を含んでもよい。例は、ドデシルアミン、ペンタデシルアミン、コレステロール、およびコール酸から生じる共有結合部分を含むがこれらに限定されるものではない。便宜上、本発明のポリマーを示すが、最大2つの異なる疎水性側鎖を有する場合、2つ以上の疎水性化合物の混合物が、種々の疎水性側鎖を特定のポリマーに導入するために使用することができることを理解すべきである。
【0037】
一具体例として、X=OH、r=2である、式2のポリマーを、無水マレイン酸とポリエチレングリコールの反応により調製し、ポリエステル7を形成し、その後、ジチオスレイトールと反応させ、8を形成する。酸7は、その後、n-オクタデシルアミンとアミド化し、望ましいくし形ポリマー9を形成する(スキーム2)。式9に示されるDTT派生アミドくし形ポリマーは、本明細書に「π-ポリマーA」と称され、スキーム2の特定ポリマー9は、「C18-π-ポリマーA」と表す。
【0038】
【化6】

【0039】
ジチオスレイトールに対する2,3-ビス(t-ブトキシカルボニルアミノ)ブタン-1,4-ジチオール(DuPriest et al.、米国特許第4,755,528号の方法により調製)の置換は、脱保護後、対応するアミノ官能化されたπ-ポリマー9b(スキーム3)をもたらす。
【0040】
【化7】

【0041】
同様に、ブタンジチオール10cの使用は、標的部分の順次結合に対して適切に、スペーサー基Lを伴い、一般構造9cのポリマーをもたらす(スキーム4)。スペーサー基Lは、基質分子へのリガンドまたはラベルの結合に使用するために、当技術分野において既知であるいずれかのスペーサー基であってもよく、C2からC20アルキレンおよび1から10の-CH2CH2O-単位を有するオリゴ(エチレングリコール)スペーサーを含むがこれらに限定されるものではない。
【0042】
【化8】

【0043】
その他の実施形態において、末端アミノ基を有するPEGポリマーは、下記の構造10〜14に示されるように、AとBとの単位間のアミド結合を有する例を調製するために使用してもよい。これらの各ポリアミドは、適切な環状無水物とPEGジアミンH2N-(CH2CH2O)mCH2CH2-NH2の反応を通して生じる場合がある。
【化9】

【0044】
中性状態下で、上記のアミド酸は、予想生成物である。加熱しながら、イミド形成を期待することができ、少数の反応基を有するポリマーをもたらすが、それでも疎水性C部分の結合に適している。あるいは、ペンダント側鎖CをポリマーAブロックの末端に添加することができ、重合時に、分枝点部分は発生する可能性がある(スキーム5)。
【0045】
【化10】

【0046】
1,3-ジアミノプロパンなどの単一ジアミンに加えて、スキーム5に示されるように、(任意に仮面性)反応官能基Xを有するジアミンを使用してもよく、標的部分の結合に適するポリマー15を生じる(スキーム6)。下記の式において、pは、0〜4の範囲であってもよく、各Xは独立して、存在する可能性のあるいずれかの他の基Xと同一または異なる。反応基Xは、ペンダントである必要はないが、例えば、モノマーH2N-(CH2)3-NH-(CH2)3-NH2などの場合、ジアミンを作製する原子の鎖内でNH基であってもよい。
【0047】
【化11】

【0048】
上記のように調製されたあるπ-ポリマーは、さらに誘導体化に適する反応基Xを有し、小分子、ペプチド、ヌクレオチド、糖類、抗体など標的部分を結合し、2官能性または多官能性架橋剤を通じてポリマー鎖の架橋結合に影響を及ぼす。特定の実施形態において、ポリマー鎖上の反応基の部分的な誘導体化は、種々の異なる反応基を有するπ-ポリマーを生成するために行われ、単一ポリマー鎖に種々の標的および薬物部分の結合を可能にする。従って、実施例1のπ-ポリマーへのアクロイルクロリド(または無水マレイン酸)の不足当量の添加は、ポリマーにアクリロイル(またはマレイル)基および残余ヒドロキシル基の双方を提供するであろう。続いて、例えば、メルカプト-カルボキシル酸HS-(CH2)3-COOHの不足当量のMichael付加は、ポリマーにヒドロキシル、アクリロイル、およびカルボキシル基を提供するだろう。試薬の不足当量により残されるいずれかの残余反応基に加えて、システインの添加は、アミノおよびカルボキシル基を導入する。
【0049】
多官能性π-ポリマーへの別の方法は、疎水性鎖Cの留分の意図的な削除を含む。例えば、実施例1のπ-ポリマーは、アミド化工程において、ペンダント形成のアルキルアミンンの量を限定する単一処置により、未反応のカルボキシル酸基で調製することができる。さらに別の方法は、反応基Xを含むアミンの混合物の留分の、アミンの混合物とのアミド化である。また、適切な状態下で(ステップAの過剰無水マレイン酸およびステップBの過剰DTT)、遊離チオール基の望ましい集団を有するポリマー調製を生成する場合がある。
【0050】
実施例1のπ-ポリマーは、意図的に、骨格内でDTT部分から生じるヒドロキシル基を含み、反応基Xとしての役割を果たす。炭酸塩/重炭酸塩緩衝液の存在下で、水媒体のアクロイルクロリドまたはメタアクロイルクロリドとこれらの基のエステル化は、-OH基上にアクリロイル置換をもたらす。アクリレートポリマーは、容易にラジカル重合(アクリル酸化合物などのラジカルモノマーまたはビスアクリル酸化合物などの架橋の添加に関わらず)を受けることができ、薬物導入を制御するため、および局所使用のため(皮膚用パッチ剤または軟膏など)に適するヒドロゲル(ポリマー貯蔵または蓄積の役割を果たす)を得る。
【0051】
【化12】

【0052】
アクリル基はまた、特に、タンパク質、酵素、ペプチド、抗体、Fab′2フラグメントまたはFab′フラグメント、もしくはその他の標的部分内のシステイン残余のアクリル基とMichael付加を受けることができる(スキーム7)。乾燥後、反応ヒドロキシル基を有するπ-ポリマーは、マレイン酸エステル基、Michael受容体を結合するために、遊離カルボン酸基を生成すると同時に、無水マレイン酸とエステル化することもできる。得られるポリマーにおいて、特に、タンパク質、酵素、ペプチド、抗体、Fab′2フラグメントまたはFab′フラグメント、もしくはその他の標的部分内のシステイン残余のアクリル基などのチオールと、マレイン2重結合は、Michael付加に利用可能である。(スキーム8)、およびカルボキシル基は、薬物またはリガンドのアミノ基、またはタンパク質およびペプチドのリジン残基に結合させることに利用可能である。
【0053】
異なる部分は、アミド化を行い、新規に導入した(または従来利用可能な)カルボン酸基にさらに結合してもよい。従って、少なくとも2つの異なる標的部分は、飽和反応状態下でさえ、結合することができる(すなわち、結合部分は、化学量の過剰において存在する)。
【0054】
ペンダントカルボキシレート基を有するポリマーは、標準の結合の状態下で、アミンとアミド化することができ、Curtius再配列を行い、イソシアネート基に変換することもでき、その後、尿素およびカルバメートをそれぞれ形成するために、アミンまたはアルコールと結合する。かかる反応は、疎水性基Cを導入、または標的部分を結合するために使用することができる。
【0055】
遊離アミンをジアミンと反応基の1つを少なくとも部分的に反応させることにより、ポリマー内に導入することができる。反応物の状態下で、アミン基の1つを保護するか反応しないように、ジアミンを選択しなければならない。2つのアミノ基のpKaが大幅に異なるため、後者は、多くの場合、約7.5のpHで、エチレンジアミンを使用して完了することができる。好ましくは、本アミド化は、疎水性ペンダント基の導入後、分離工程として実行される。カルボン酸基を有するペプチドまたは別の分子は、その後、本遊離アミンのアミド化により結合することができる。
【0056】
【化13】

【0057】
従って、飽和状態下でさえ、3つもの異なるペプチドまたはその他の標的部分をチオール、アミンまたはヒドロキシル、およびカルボキシル酸基を介して、π-ポリマーに結合することができる。
【0058】
ヒドロキシルおよびチオール基はまた、アジリジンまたはハロアルキルアミンン(ブロモエチルアミンまたはクロロエチルアミンなど)との反応により、第1アミンに変換することができる。システアミンとのアミド化は、ジスルフィドを導入し、ペプチドまたは抗体のシステインによりペプチドまたは抗体を結合するために直接反応できるか、まず、ペプチドまたは抗体とのさらなる反応のために、例えば、アミノエタンチオールまたはDTTを低減することができる。
【0059】
部分的な反応を行うことにより、本発明のポリマーにさらに反応官能基を導入することができ、それには、(1)アクリルまたはマレイン酸誘導体などのチオール反応基、(2)アミノまたはヒドロキシルなどのカルボキシル酸反応基、(3)カルボキシルなどのアミン反応基、および(4)メルカプトなどのジスルフィド反応基を含むがこれらに限定されるものではない。ポリマー分子あたりの当該の添加官能基数は、1/rからrの数倍であってよく、使用した試薬および使用した量により異なる。
【0060】
あるいは、2つ以上の特異的リガンドは、例えば、ウイルスまたは細胞表面への結合の特異性を改善するために結合することができる。2つ以上の特異的リガンドはまた、例えば、あるリガンドがウイルス粒子を標的化し、別のリガンドが食細胞への結合を促進することができ、それによって、ウイルス粒子を食細胞の近接または食細胞との接触をもたらし、ファゴサイトーシスを促進するなど、異なる細胞内標的間で相互作用をもたらすために使用することもできる。
【0061】
当該の誘導体化は、異なる官能基結合(アミン、カルボキル酸、およびチオールなど)を通して、3つ以上の異なる標的部分および/またはポリマーへの治療的部分の結合を可能にする。従って、組織特異的標的剤、画像剤、および治療剤を単一ポリマー鎖に結合し、その後、ポリマーの自己集合は、標的の分配および有効性を監視できる標的化された治療剤を得るであろう。
【0062】
本発明のポリマーの繰り返し単位へのリガンド結合は、ポリマー鎖上およびナノ粒子表面上にリガンドの多価表示を提供する。多価表示は、多くの場合、標的の親和性の大幅な増加をもたらす。例えば、多価抗体は、正常の2価抗体よりも標的の除去にさらに効果的である。炭水化物結合タンパク質および炭水化物は、本来は多価であり、一価である場合、効果がないことは既知である。同様に、多価ペプチドおよび炭水化物標的部分は、モノマー単独よりもさらに効果的であろう。ポリマー結合によるMWの増加は、ペプチドおよびその他のリガンドの腎クリアランス率の低下をもたらす。さらに、PEG骨格は、免疫学的監視の回避を含む、PEG付加の有益性と同様に、ペプチドの有益性を得た。
【0063】
さらに、多価標的部分は、多価標的(例えば、ウイルス粒子)を装飾し、一価標的部分よりもさらに効果的に中和する。多価形式の複数の(異なる)ペプチドを表示する能力は、強化した特異性をもたらすことができる。例えば、真のHIV特異性(HIVウイルス結合)ポリマーを、CD4結合領域に対応するペプチド、ウイルスのCCR-5またはCXCR-4結合領域に対応する別のペプチド、あるいは、その他の受容体(CXCR-4またはCCR-5のそれぞれ)に対応する第3のペプチドに結合することにより構築することができる。当該のポリマーは、ウイルスの結合領域を完全に覆うことができ、細胞に結合できないウイルスを得、それによって、非感染を可能にした。さらに、ポリマーの界面活性剤特性は、結合によりウイルス構成自体の不安定化をもたらす場合がある。ペプチドの代わりに、同一の結合形態を妨げる小分子(CD4、CCR-5、CXCR-4)、またはペプチドと分子の混合物、好ましくは、相補的活性を伴う混合物を使用することができる。得られるポリマーは、いかなる遊離ウイルスの非感染を得ることができ、それ故に、コンドームの潤滑油などの成分として使用することにより感染の拡散を阻止するのに適している。さらに、当該のポリマーをHIVの重荷を低減するために患者に注射する場合がある。
【0064】
一般に、DTTなどの多官能性の試薬を使用する場合、DTTまたは類似の副作用があるカルボキシル酸のエステル化を通してポリマー鎖の部分的な架橋結合がある場合がある。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル残渣に関連する、PEG鎖の中心領域の第2ヒドロキシル基はまた、PEG出発物質に存在する場合、架橋結合の一因となる場合がある。得られる架橋結合のヒドロゲル構造はまた、有用な物質である。例えば、本架橋結合の範囲の好適な増加または選択的な架橋剤(例えば、ビソキシラン(bisoxiranes)など)を使用して明示的架橋結合により、薬物に対して持続性薬剤としての役割を果たす適応性のあるヒドロゲルである物質を生成することができる。物質を適切に修正することにより(例、PEGの長さをさらに低くする、カルボン酸基をさらに解放する、好適なアクリル基の結合)、ステントなどの装置で固定するか、接着性パッチまたは皮下挿入パッチのためのパッドなどの装置に吸収するかのいずれかを支持することができる貯蔵としての役割を果たす直鎖または架橋結合したヒドロゲル物質を生成することができる。一般に、当該の架橋結合した物質は、強化した、標的放出よりむしろ制御した放出に適している場合がある。
【0065】
本発明のくし形ポリマーは、水性溶媒系において、難溶性物質の可溶化に有用である。水性溶媒中の物質を可溶化する方法は、物質およびポリマーの水溶性複合体を形成するために、水存在下で、本発明のくし形ポリマーと難溶性物質を接触するステップを含む。あるいは、水性有機エマルジョンと蒸発により除去した有機溶媒の2相において、ポリマーおよび可溶化される物質を混合することができる。例示される工程は、米国特許第6,838,089号で記載され、参照により本明細書に組み込まれる。ほとんどの場合、ポリマーは、Aブロックが粒子の水性懸濁液を安定性を維持させるために界面の遊離エネルギーを十分に低減する親水性コロナを形成すると同時に、粒子のコアを融合する疎水性C鎖間で融解する難溶性物質を有するナノ粒子に自己集合することが考えられる。
【0066】
場合によっては、難溶性物質は、コアに完全に溶解することができないが、粒子のコアで、C鎖で取り囲まれ、C鎖に停止している固体ナノ粒子として存在することができる。本発明のために、これは程度の違いであり、本発明の実践として、難溶性物質を有するC鎖の混合のいかなる特定の程度に依存しない。物質は、場合によっては、C鎖間の分子レベルで溶解することができるが、その他の場合には、C鎖環境からの相分離のいずれかの程度を示すことができる。場合によっては、当該システムは、温度の機能として、ある状態から別の状態に移動することを予想することができる。
【0067】
疎水性C部分を修正することにより、ポリマー粒子の疎水性コアの溶媒力を修正することができる。好適な修正は、疎水性コアの極性率および/または分極率を増加するために、ヒドロキシル、エーテル、アミド、およびシアノ官能基などの1つ以上の親水性置換基の導入を含むがこれらに限定されるものではない。
【0068】
これらのポリマーにより溶解される難溶性物質は、脂溶性ビタミンおよび栄養素を含み、ビタミンA、D、EおよびK、カロチン、コレカルシフェロール、およびコエンザイムQ、ドセタキセル、アムホテリシンB、ナイスタチン、パクリタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、ルビテカン、テニポシド、エトポシド、ダウノマイシン、メトトレキサート、マイトマイシンC、シクロスポリン、イリノテカン代謝産物(SN-38)、スタチン、およびステロイドなどの不溶性薬剤、着色料、光力学剤、造影剤、および核酸、核酸類似体および核酸複合体を含むがこれらに限定されるものではない。核酸類似体は、チオリン酸塩およびペプチド核酸などの種類を含み、核酸複合体は、陽イオンまたはポリカチオン性の種の実質的な電荷中和量を有するオリゴ核酸のイオン結合型錯体である。
【0069】
本開示のために、多くの場合、中性薬学的組成物の必要性があるため、中性pHで不溶性である薬剤は、「難溶性」であると見なされる。例えば、シプロフロキサシンは、pH4.5以下で、水中に無理なく溶解できるが、本pHは、薬物が眼球投与のために処方される場合、極めて刺激させる可能性がある。本発明のポリマーは、pH7で生理食塩水中にシプロフロキサシンを可溶化できる。また、本開示のために、「難溶性」は、水性媒体におけるいかなる物質の溶解度は、溶解度の増加が改良された、またはさらに有用な組成物を得ることを意味することを理解するべきである。従って、例えば、静脈内投与用の単位用量が5gである場合、2g/リットルの範囲で中度に溶解される薬剤は、「難溶性」である。
【0070】
薬学的活性種を可溶化するための本発明のポリマーの能力の結果として、本発明はまた、薬学的組成物を提供し、それには、1つ以上の薬学的活性剤の治療有効量との併用で本発明の1つ以上のπ-ポリマーを含む。本発明のポリマーは、効果的な有効量を得ることができ、そうでなければ、薬学的活性剤の効果がない量である。従って、本開示の目的のために、「治療有効量」は、総体的な組成物が効果的である薬剤の量である。
【0071】
本明細書に記載のすべての特許、特許出願、および出版物は、参照することにより本明細書にすべて組み込まれる。
【実施例】
【0072】
1.一般手順
本発明はまた、本発明のくし形ポリマーの調製のための工程を提供する。これらのポリマーの合成は、下記に記載の手順に従い、当業者による有機合成について、容易に実施される。主要な出発物質はポリエチレングリコールであり、好ましくは、使用前に乾燥させる。これは、気泡の形成が停止するまで、高温で、融解されたPEGを真空下で撹拌することにより、便宜的に実施される。これは、PEGの質により異なるが、8〜12時間かかる場合がある。乾燥した時点で、PEGは、アルゴン下で永久保存することができる。例えば、1430〜1570の分子量分布を有する商用の多分散系の「PEG1500」など、市販のPEGの産業用および研究用の等級を本発明のポリマーの生成において使用することができる。当該の物質は、PEG鎖の中央で第2ヒドロキシル基を導入する、ビスフェノールAジグリシジルエーテルに組み込むことができる。本発明のポリマーが最も再生可能で均一な品質を有することを確証するために、PEGは、好ましくは、ビスフェノールAがなく、低分散性がないことである。アラバマ州ハンツビルから市販されているNektar Therapeutics(以前は、Shearwater Polymers)、およびノルウェーオスロから市販されているPolypure ASなど、95%より多い単分散であるPEGポリマーが最も好ましい。特に好ましいPEGの例は、95%より多いHO(CH2CH2O)28H、分子量1252である「PEG-28」である。
【0073】
すべての反応は、磁気または好ましくは、機械的撹拌を使用し、窒素またはアルゴンなどの不活性雰囲気下で実施される。
【0074】
ステップAにおいて、乾燥PEGを溶解し、無水マレイン酸(PEGモルあたり2モル)を撹拌しながら添加する。無水マレイン酸の量は、PEG末端のヒドロキシル基の数にできるだけ一致させるべきである。無水マレイン酸の不足は、ヒドロキシル末端ポリマー鎖をもたらす一方で、無水マレイン酸の過剰は、次のステップにおいてチオール基を消費し、早期の連鎖停止および末端カルボキシル基をもたらす。反応温度は、臨界ではなく、工程は、45℃から100℃の温度で、便宜的に実施することができる。本反応の好ましい温度は、65℃から90℃である。高温を使用する場合、無水マレイン酸は昇華する傾向があり、ステップでは、無水マレイン酸が溶液に残っていることを確認するべきである。ヘッドスペースを最小化し、油浴の反応槽に浸すことは、効果的な方法である。
【0075】
選択温度により異なるが、本反応は2時間以内に完了する、もしくは一晩実施することができる。本反応をシリカゲルプレート上のTLCで監視してもよく、本反応は、無水マレイン酸の消失後まで継続される。視覚コントラスト、UV、およびヨード染色はすべて、TLCプレートを試験するために使用することができる。
【0076】
ステップBにおいて、ステップAで生成された粗製PEGビス-マレイン酸エステルエステルをジチオスレイトール(DTT)およびN,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)(流動性が必要である場合、水添加を伴う)と混合し、混合物を70℃で撹拌した。本反応は、粘度の急増で示されるように、30分以内で完了する。DTTの最適量より多く、または少なく使用する場合、生成物の分子量は減少する。生成物の分子量はまた、必要であれば、TEMEDをTEAなどの効果の弱い第3アミン塩基で置換することにより、減少させることができる。
【0077】
ステップCにおいて、十分な水を反応混合物に添加し、粘度を低下させ、ポリマー中にカルボキシル酸基の1モルあたり0.1モルのN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)および1.05モルのヘキサデシルアミンを添加する。(NHSの量は、副作用の範囲を最適に最小化することを示す。)N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N′-エチルカルボジイミド(EDC)の過剰(カルボキシル酸基の1モルあたり1.4molのEDC)をその後、撹拌を維持するために必要な水をさらに添加すると同時に、部分に添加する。本反応混合物のpHは、7以上に維持し、好ましくは、9〜11であり、アルキルアミンンの反応性を最適化する。ドデシルアミンとの反応は、約40〜45℃で実施され、一方、オクタデシルアミンとの反応での温度は、約55℃〜57℃である。残ったアルキルアミンンの一定レベルを観察するまで、通常は一晩実施後、反応をTLCで観察する。
【0078】
本反応混合物を約3.0から約4.5のpHに酸性化し、室温で約24時間撹拌し、未反応のEDCを破壊し、その後、1N NaOHを使用して、pH7.0に滴定する。本最終反応混合物を約800xgで1〜3時間、遠心分離機で分離し、固体混入物質および副生成物を除去する。
【0079】
遠心分離後、本浮遊物をGPCカラム(ToyopearlTM、SephadexTM、SephacrylTM、BiogelTMなど)上でクロマトグラフすることができる。しかしながら、πポリマーは、両親媒性物質であり、混入物質の除去を複雑にする、最もGPCカラム包装に対する親和性を示す。あるいは、本ポリマーを大孔径の疎水性相互作用カラム(例えば、米国ペンシルバニア州モントゴメリビルのToshoh Biosciences製、TOYOPEARLTMPhenyl 650C)上でクロマトグラフでき、水中のメタノール勾配で希釈する。好ましくは、酸性水および中性水のいくつかの変化に対して、本反応混合物を透析し、低分子量の出発物質および反応副生成物を除去する。
【0080】
本反応混合物はまた、ブタノン、イソプロパノール、ブタノールまたはその他の極性有機溶媒で抽出し、有機不純物を除去してもよいが、両親媒性高分子の相当量が、抽出溶媒に放出される。好ましくは、本反応混合物は、限外ろ過を行い、好適な細胞膜を使用して、使用するろ過膜の分画により異なるが、5kDa〜10kDa、10kDa〜30kDa、30kDa〜50kDaなどの分子量に生成物を分画する。本ポリマーの水溶液は、ろ過膜または培地の選択により異なるが、滅菌溶液またはウイルス遊離溶液を生成するために全量ろ過を受ける場合がある。
【0081】
2.π-ポリマーの合成
実施例1:PEG-ジ(アルキルアミドスクシニル)ジチオエーテル中間分子量ポリマー(C16-π-ポリマーA)
【0082】
ポリエチレングリコール(PEG-1500、Sigma Chemical Co.)を気泡の形成が停止するまで80℃で真空下で乾燥させた。(PEGの質により異なるが、8〜12時間)。乾燥PEGは、アルゴン下で乾燥させ、永久保存することができる。
【0083】
乾燥PEGを油浴のアルゴン下で溶解し、無水マレイン酸(1モルのPEGあたり2モル、不純物に対して修正)を撹拌しながら徐々に添加した。混合物をアルゴン下で90℃で撹拌した。無水マレイン酸は昇華する傾向があるため、ヘッドスペースを最小化し、全反応槽を反応温度で維持した。容器壁上のいかなる濃縮した無水マレイン酸を擦り取り、反応混合物に戻した。反応物の進行は、別々に溶媒として、エタノールおよびヘキサンを使用して、UV視覚化およびヨード染色を伴い、シリカゲルプレート上のTLCで監視された。反応を無水マレイン酸の消失後1時間継続した。
【0084】
粗製PEGジマレイン酸エステルを2容積の水で希釈した。その後、水(TEMEDの1容積あたり2容積の水)にジチオスレイトール(DTT、PEGの1当量あたり1.01当量)およびN,N,N,N′-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED、1.02当量)を加えた溶液を反応混合物に撹拌しながら添加した。反応物をアルゴン下で、70℃で2.5時間撹拌し、室温で一晩放置し、その後、70℃で2時間再度撹拌した。反応物をTLCで監視し、DTTの完全消失において完全判断を行った。
【0085】
水を上記の反応混合物を添加し、混合物を撹拌できるまで(約25%の固体で)、粘度を低下させ、混合物をアルゴン下で65℃で撹拌し、N-ヒドロキシスクシンイミド(PEG-ジマレイン酸エステル-DTTポリマーにおいてカルボキシル酸基の1モルあたり0.1モル)、ヘキサデシルアミン(ポリマーにおいてカルボキシル酸基の1モルあたり1.05モル)およびN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N′-エチルカルボジイミド(EDC、ポリマーにおいてカルボキシル酸基の1モルあたり0.56モル)の順次で添加した。混合物をアルゴン下で1時間撹拌し、EDCの第2部分(ポリマーにおいてカルボキシル酸基の1モルあたり0.56モル)を添加した。別の時間後、EDCの第3部分(1モルのカルボキシル酸あたり総量の1.4モルのEDCに対して、ポリマーにおいてカルボキシル酸基の1モルあたり0.28モル)をさらに添加し、加水分解のEDCの消失の原因となった。流動性を維持する必要がある場合、さらに水を添加し、添加した固体が、懸濁液の撹拌を困難にする場合、必要に応じて、1N NaOHを添加することにより、pHは8から10に維持された。混合物をアルゴン下で65℃で一晩撹拌し、アルキルアミンンが安定した濃縮に達することを示すまで、TLC(シリカエタノール)で監視し、その後、さらに4時間撹拌した。その後、約4.5のpHまで反応混合物を1N HClで酸性化し、24時間撹拌し、未反応のEDCを破壊し、追加の1N NaOHの滴下によりpH7.0まで調節された。ドデシルアミンとの反応は、約40〜45℃で実施され、一方、オクタデシルアミンとの反応での温度は、好ましくは、約55℃〜57℃である。
【0086】
混合物を遠心瓶に移し、約800xgで2時間卓上遠心分離機で回転させ、残留物を分離した。遠心分離後、反応混合物をイソプロパノールで抽出し、有機不純物を除去した。イソプロパノール抽出の代替物として限外ろ過が好ましい。
【0087】
本方法により、以下のアミノ化合物をポリマーに共役する。
実施例1a:ウンデシルアミン
実施例1b:オクタデシルアミン
実施例1c:4-ノニルベンジルアミン
実施例1d:3-[(4-フェノキシ)フェニル]プロピルアミン
【0088】
実施例2:PEG-ジ(アルキルアミドスクシニル)ジチオエーテル高分子量ポリマー
無水マレイン酸の1モルあたりの0.55モルのDTTおよび0.55モルのTEMEDを使用することを除いては、実施例1を参照にした手順に従った。粘度が急速に蓄積される場合、活発な撹拌を必要とした。反応物のほとんどは、5〜10分以内に完了し、温度が55℃から80℃に上昇する場合、さらに4時間にわたって、ゆっくりと完了したことを示した。
【0089】
実施例3:PEG-ジ(アルキルアミドスクシニル)ジチオエーテルポリマー
ポリマーにおいて、カルボキシル酸基の1モルあたりの1.5モルのドデシルアミンを使用することを除いては、実施例1を参照にした手順に従った。N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS、カルボキシル酸基の1モルあたりの1.0モル)および1,1′-カルボニルジイミダゾール(CDI、カルボキシル酸基の1モルあたりの3.0モル)を添加し、反応物を80℃で4時間撹拌し、上記のように処理した。
【0090】
本方法により、以下のアミノ化合物をポリマーに共役する。
実施例3a:ウンデシルアミン
実施例3b:テトラデシルアミン
実施例3c:オクタデシルアミン
実施例3d:デヒドロアビエチルアミン
実施例3e:コレステロール2-アミノエチルエーテル
実施例3f:10-フェノキシデシルアミン
実施例3g:セバシン酸ヒドラジド
実施例3h:オレイン酸ヒドラジド
実施例3i:デヒドロアビエチン酸ヒドラジド
実施例3j:コール酸ヒドラジド
実施例3k:パルミチン酸ヒドラジド
【0091】
実施例4:PEG-co-(アルキルアミドコハク酸エステル)ポリマー
乾燥ジエチルエーテル(10ml)のPEG(6.66mmol)およびトリエチルアミン(2.32ml、16.65mmol)の溶液をアルゴン下で0℃で冷却し、塩化メタンスルホニル(1.03ml、13.32mmol)で滴下処理した。1時間、0℃で撹拌を継続し、その後、室温で2時間撹拌した。エーテルを蒸発させ、溶液からろ過したトリエチルアミン塩酸塩を沈殿させるために、乾燥アセトン(15ml)を残留物に添加した。ろ液を臭化リチウム(2.31g、26.64mmol)で処置し、20時間、還流加熱した。その後、混合物をヘキサンで希釈し、CeliteTM(0.5cm)で覆われたシリカ(3cm)の短カラムでろ過し、ヘキサンで溶離した。ろ液を乾燥し、ろ過し、α,ω-ジブロモ-PEGを油に放置するために蒸発させる。
【0092】
α,ω-ジブロモ-PEGをGodjoianらのTetrahedron Letters,37:433-6(1996)の方法により2,2-ジブチル-4,5-ビス(メトキシカルボニル)-1,3,2-ジオキサスタンノランの1当量で反応させる。得られるジメチル酒石酸塩-PEGポリエーテルをメタノールのKOHで鹸化し、その後、上記の実施例1および3に記載のように、ドデシルアミンまたはヘキサデシルアミン、または実施例3a〜3kのアミンでアミド化する。
【0093】
実施例5:EDTA2無水物とのPEG共重合
実施例1に記載の方法で、乾燥PEGをエチレンジアミンテトラ酢酸2無水物と反応させ、その後、実施例1に記載のドデシルアミンと、または実施例3に記載のヘキサデシルと、または実施例3a〜3kに記載のアミンとアミンアミド化する。
【0094】
同様の方法で、以下の2無水物をPEGで共重合し、アミド化する。
実施例5a:ナフタレンテトラカルボン酸2無水物
実施例5b:ペリレンテトラカルボン酸2無水物
実施例5c:ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物
実施例5d:4,4′-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
実施例5e:ブタンテトラカルボキシル酸2無水物
実施例5f:ビシクロ(2,2,2)オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボキシル酸2無水物
実施例5g:ジエチレンテトラアミン5酢酸2無水物
実施例5h:3,4,3′,4′-ジフェニルスルホンテトラカルボキシル酸2無水物
実施例5i:3,4,3′,4′-ジフェニルエーテルテトラカルボキシル酸2無水物
実施例5j:ピロメリット二無水物
【0095】
実施例6A:ペンダントチオエーテルとのPEG-ジアミン共重合体
実施例1に記載のように調製されたPEGジマレイン酸エステルを実施例1のDTT2使用される同様の手順を使用して、ドデカンチオール(PEGジマレイン酸エステルの1当量あたり2当量)と反応させる。重合が行われない場合、希釈する必要はなく、反応を溶解PEG-ジマレイン酸エステルにおいて行う。TEMED触媒を添加してから、チオールを添加する。TLCを使用して、出発物質の消失後、反応を行った。蒸発によるアルキルチオールの消失が有意になる時点までの温度を使用することができる(約100℃まで)。わずかな過剰アルキルチオールをマレイン基を完全飽和するために使用してもよい。臭気またはTLCでなにも検出されなくなるまで、過剰アルキルチオールを窒素またはアルゴンで散布および/または真空下で加熱することにより反応の終わりで除去する。
【0096】
本方法により、以下のチオールをPEGジマレイン酸エステルに共役することができる。
実施例6Aa:メルカプトコハク酸ジ-t-ブチルエステル
実施例6Ab:テトラデカンチオール
実施例6Ac:ヘキサデカンチオール
実施例6Ad:2-メルカプトエタンスルホン酸
実施例6Ae:3-メルカプトプロパンスルホン酸
実施例6Af:6-メルカプトヘキサン酸t-ブチルエステル
実施例6Ag:4-メルカプト安息香酸t-ブチルエステル
実施例6Ah:メルカプト酢酸t-ブチルエステル
実施例6Ai:4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)ブタンチオール
実施例6Aj:3-(t-ブトキシカルボニルアミノ)ベンジルメルカプタン
実施例6Ak:4-デシルベンジルメルカプタン
【0097】
反応官能基を有するチオールは、C鎖の結合に適する、および/または反応官能基は、標的部分に対する結合点(X)としての役割を果たすことができる。
【0098】
実施例6B:ペンダントチオエーテルを有するPEG-ジアミン共重合体
【化14】

実施例6Aで得たチオール付加化合物を1,4-ジアミノブタン(2つのCOOH基あたりの1当量のジアミン)でアミド化し、実施例1のドデシルアミンに対して使用される同様の手順を使用して、反応混合物の流動性を維持するために必要な場合、水で希釈する。完全重合を確保することが必要な場合、EDCの追加の一定分量を添加する。本方法により、実施例6Aおよび6Aa〜6Akのチオール付加化合物をPEG-ジアミノブタンポリアミドに変換する。
【0099】
本方法により、以下のジアミンをPEGポリアミドに共役することができる(BOC=t-ブトキシカルボニル)。
実施例6Ba:2-(O-BOC)-1,3-ジアミノ-2-プロパノール
実施例6Bb:N′,N′′-ジ(BOC)ヘキサエチレンテトラアミン
実施例6Bc:N′,N′′-ジ(BOC)スペルミン
実施例6Bd:N′-BOCスペルミジン
実施例6Be:N′,N′′,N′′′-トリ(BOC)ペンタエチレンヘキサミン
実施例6Bf:アグマチン
実施例6Bg:リシンt-ブチルエステル
実施例6Bh:1,6-ジアミノヘキサン
実施例6Bi:1,4-フェニレンジアミン
実施例6Bj:1,3-フェニレンジアミン
実施例6Bk:1,4-ジアミノブタン-2,3-ジオールアセトニド
【0100】
実施例7:PEG-ジ(アルキルコハク酸エステル)ジチオエーテル
【化15】

DTT(meso-2,3-ビス(ヘキサデシルオキシ)ブタン-1,4-ジチオール)の2,3-ビス-O-ヘキサデシルエーテルをS.Sasaki et al.,Chem.Pharm.Bull.33(10):4247-4266(1985)の手順の修正により調製する。これを実施例1の方法でPEG-ジマレイン酸エステルに添加する。
【0101】
本方法により、以下のエーテルジチオールをPEGポリマーに共役する。
実施例7a:meso-2,3-ビス(n-ブトキシ)ブタン-1,4-ジチオール
実施例7b:meso-2,3-ビス(4-ノニルフェニルメトキシ)ブタン-l,4-ジチオール
実施例7c:meso-2,3-ビス(ビフェニル-4-メトキシ)ブタン-1,4-ジチオール
実施例7d:4,6-ビス(デシロキシ)ベンゼン-1,3-ジメタンチオール
実施例7e:4,5-ビス(デシロキシ)ベンゼン-1,2-ジメタンチオール
実施例7f:3,4-ビス(デシロキシ)チオフェン-2,5-ジメタンチオール
【0102】
実施例8A:置換PEGコハク酸エステル
2-ドデセン-1-イル無水コハク酸を無水マレイン酸の代わりに使用することを除いては、実施例1の方法に従う。ドデセニル置換基は、最終ポリマーにおいてペンダントC鎖を提供する。
【0103】
本方法により、以下の置換された無水コハク酸をPEGとエステル化する。
実施例8Aa:イソブテニル無水コハク酸
実施例8Ab:2-オクテン-1-イル無水コハク酸
実施例8Ac:オクタデセニル無水コハク酸
実施例8Ad:3-オキサビシクロ-ヘキサン-2,4-ジオン
実施例8Ae:シクロヘキサンジカルボン酸無水物
実施例8Af:フタル酸無水物
実施例8Ag:4-デシル無水フタル酸
実施例8Ah:ヘキサヒドロメチルフタル酸無水物
実施例8Ai:テトラヒドロフタル酸無水物
実施例8Aj:ノルボルネンジカルボン酸無水物
実施例8Ak:カンタリジン
実施例8Al:ビシクロオクテンジカルボン酸無水物
実施例8Am:exo-3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物
実施例8An:S-アセチルメルカプト無水コハク酸
【0104】
実施例8B:ペンダントアルキル基を有するPEG-ジ(アルキルアミドスクシニル)ジチオエーテル
実施例1の方法により、実施例8Aおよび8Aaから8Anに記載されるように取得した置換PEGコハク酸エステルをDTTと反応させる。
【0105】
本方法により、以下のジチオールを実施例8Aおよび8Aaから8Anに記載されるように取得した置換PEGコハク酸エステルのいずれかと反応させる。
実施例8Ba:エタン-1,2-ジチオール
実施例8Bb:プロパン-1,3-ジチオール
実施例8Bc:ブタン-1,4-ジチオール
実施例8Bd:ペンタン-1,5-ジチオール
実施例8Be:ヘキサン-1,6-ジチオール
実施例8Bf:1,4-ベンゼンジチオール
実施例8Bg:1,3-ベンゼンジチオール
実施例8Bh:1,4-ベンゼンジメタンチオール
実施例8Bi:1,3-ベンゼンジメタンチオール
実施例8Bj:1,2-ベンゼンジメタンチオール
【0106】
実施例8C:ペンダントアルキル基を有するPEG-ジアミン共重合体
実施例6Bの方法により、実施例8Aに記載されるように取得した置換PEGコハク酸エステルを1,4-ジアミノブタンと共重合させる。
【0107】
本方法により、以下のジアミンを実施例8Aおよび8Aaから8Anのうちの置換PEGコハク酸エステルのいずれかと共重合させる。
実施例8Ca:2O-BOC1,3-ジアミノ-2-プロパノール
実施例8Cb:N′,N′′-ジ(BOC)ヘキサエチレンテトラアミン
実施例8Cc:N′,N′′-ジ(BOC)スペルミン
実施例8Cd:N′-BOCスペルミジン
実施例8Ce:N′,N′′,N′′′-トリ(BOC)ペンタエチレンヘキサミン
実施例8Cf:アグマチン
実施例8Cg:リシンt-ブチルエステル
実施例8Ch:1,6-ジアミノヘキサン
実施例8Ci:1,4-フェニレンジアミン
実施例8Cj:1,3-フェニレンジアミン
実施例8Ck:1,4-ジアミノブタン-2,3-ジオールアセトニド
【0108】
実施例9:置換酸を使用するPEG Transエステル化
PEGトシル酸:1モルのPEG(DMFに溶解された、またはそのまま溶解した)に、アルゴン下で撹拌すると同時に、2.1モルのトシルクロリド(5%過剰モル)を添加した。本反応混合物に、2.2モルのテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)を添加した。その後、反応物を45℃で2時間培養した。TLCを使用して、TLC溶媒として、エチルアセテート、トルエン、またはエタノールに生成物を分解した。PEGトシル酸をトルエンを有する反応混合物から抽出することができる。トルンスルホニルクロリドの代わりに、メシルクロリド(実施例4を参照)、トリフリック酸無水物、またはトレシルクロリドなどのその他のスルホニル剤をまた使用することもできる(米国特許出願第10/397332号、米国特許第20040006051号を参照)。
【0109】
PEGトシル酸のポリエステル重縮合:1モルの溶解PEG-トシル酸に、アルゴン下で撹拌しながら、1モルのS,S′-ジデシル-meso-2,3-ジメルカプトコハク酸および2モルのTEMEDに添加する。流動性を維持する必要がある場合、DMFを添加する。反応混合物を80℃で加熱し、TLCにより完了するまで、24時間撹拌する。
【0110】
実施例10:PEG-ジ(スクシニル)-ジ-(O-アシル化)チオエーテル中間分子量ポリマー(C16-π-ポリマーB)
【化16】

実施例1に記載のように調製したPEG-ジマレイン酸エステル(10.24g、6.1mmol)を乾燥125mlフラスコに移し、アルゴン下で70℃まで加熱し、PEG-ジマレイン酸エステルを溶解した。本溶解物質に、撹拌しながら、水(10mL)および水(3mL)にDTT(0.961g、6.168mmol)およびTEMED(0.723g、6.166mmol)を加えた溶液を順次添加した。溶液を70℃で約4時間攪拌した。真空中で水の除去は、約90%産出の固体ポリマーを得た。
【0111】
乾燥ポリマー(5g、2.7mmol)をアルゴン下で70〜90℃で加熱し、溶解し、TEMED(0.635g、5.5mmol)を添加した。パルミトイルクロリド(1.689g、5.5mmol)を撹拌しながら添加し、混合物をアルゴン下で一晩撹拌した。(ポリマーとアシルクロリドの割合は、0〜100%の化学量論の置換度を取得するために変更することが可能である。)水を反応混合物に添加し、「C16-π-ポリマーB」を単離する。
【0112】
本方法により、以下の酸をヒドロキシル基のジ(スクシニル)PEG-DTT共重合体とエステル化する。
実施例10a:オレイン酸
実施例10b:コレステリルコハク酸エステル
実施例10c:ビフェニル-4-カルボキシル酸
実施例10d:4-オクチルフェニル酢酸
実施例10e:ヘキサデカ-6-イン酸
【0113】
また、酸ハロゲン化物の使用の代替物として、DTT由来のヒドロキシル基のπ-ポリマーを1,3-ビス(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)カルボジイミド(BDDC)と活性化でき、カルボキシル酸と直接結合することもできる、Handbook of Reagents or Organic Synthesis,Reagents for Glycoside,Nucleotide,and Peptide synthesis,Ed.David Crich,Wiley,2005 p 107-108、およびその参考文献を参照)。
【0114】
実施例11:C16-π-ポリマーAのジマレイン酸エステル
ポリマーAジマレイン酸エステルを無水マレイン酸をポリマーAヒドロキシル基と反応させることにより調製する。導入した活性2重結合をチオール含有のリガンドをポリマーに添加するために使用することができる。ポリマーと無水マレイン酸の割合は、0〜100%の完全化学量論のエステル化と異なる置換を取得するために変更することが可能である。
【0115】
C16-π-ポリマーA(2g)および無水マレイン酸(0.85g)を乾燥すり鉢内で細かくし、50mLの丸底フラスコに移した。フラスコをアルゴン下で、90℃で2〜3時間撹拌しながら加熱した。その後、固体反応混合物を水の助けで透析袋(3.5kDa分画)に移し、過剰マレイン酸および低分子量の副生成物を除去するために水に対して透析した。その後、残留物を袋から取り除き、60℃で固定量に乾燥させ、C16-π-ポリマーAジマレイン酸エステル(1.79g)を得た。
【0116】
実施例12:C16-π-ポリマーAジマレイン酸エステルのシステイン付加化合物:
粉末C16-π-ポリマーAジマレイン酸エステル(実施例11)(253mg)を水(5mL)に添加し、混合物を活発に撹拌した。システイン(24mg)およびTEMED(30.5μl)を反応混合物に添加し、混合物をアルゴン雰囲気下で、室温で撹拌した。ニンヒドリンを有する検出とともに、反応の進行をTLC(シリカゲルプレート、n-ブタノール-酢酸-水、3:1:1)で監視した。反応混合物は、ポリマーとともに移動するニンヒドリン陽性スポットを示した。システインはまた、ニンヒドリン陽性スポットを得、一方、出発ポリマーは、ニンヒドリンでいずれの色も得られなかった。
【0117】
3.不溶性または弱可溶性物質を可溶化するためのπポリマーの使用
実施例1:染料の可溶化
不溶性物質を除去するように遠心分離にかけられたが精製されていない、PEG1500-コスクシニルDTT-ビス-C16-アミドポリマー(C16-ポリマーA、実施例1)の50mg/ml水溶液の1.0mlアリコートに、別々の容器(FlexExcel透明ポリプロピレン舟形秤、WB2.5サイズ、AllExcel,Inc.,West Haven,CTの製品)中のエオシンY、ジクロロフルオレセイン、およびスーダンIVといった染料の超過量を添加し、成分を一緒に攪拌してペーストを形成したTM。その後、耐水性両面テープを使用して、容器の底を小型宝石超音波洗浄器槽の底に取り付けた。ちょうど十分な量の水を槽に添加し、舟形秤を約3分の1の高さまで浸した。超音波処理を5分ずつ、15分間行った。液体を遠心分離管に移して、卓上遠心分離機中で30分間2度遠心分離にかけ、非溶解染料を沈殿させた。浮遊物をきれいな管に移して再び遠心分離にかけ、同伴固体を除去した。ポリマー溶液の量と同じ量の蒸留水中の同じ量の染料の懸濁液を、対照として同じ方法で処理する。結果として生じた溶液をTLCプレートに染みをつけ(25ul)、液滴から円を形成した。染みの強度をエタノールまたはエタノール/水中で作られた染料溶液の標準から作られた染みと比較して近似濃度を決定した。染みを図1に示す。水中の染料の溶解度は、室温で11以上の脱イオン水(非緩衝化)に適切な量の染料を溶解させ、必要に応じてさらに水を添加して(つまり水で滴定して)飽和溶液を得ることによって、決定した。
【0118】
50mg/mlポリマー中のスーダンIVの濃度は、H2O中の0.000mg/mlとは対照的に、約0.2mg/mlであった(スーダンIVは中性pHで不溶性)。ジクロロフルオレセインの濃度は、H2O中の0.010mg/mlとは対照的に、50mg/mlポリマー中で約5mg/mlであった。エオシンYの濃度は、H2O中の0.007mg/mlとは対照的に、約5mg/mlであった。ペイロード比(1単位量のポリマーあたりの薬物の量)を、スーダンIVに対しては約1:250、ジクロロフルオレセインに対しては1:10、およびエオシンYに対しては1:10となるよう計算した。
【0119】
物理化学的性質において薬学的活性物質に似ている極性化合物に対する1:10のペイロード比は、リポソーム、シクロデキストリン、CremophorTM、または界面活性剤またはその他の可溶化システムと概して結合可能なものよりも高い。エオシンYは、能率が非常に高い光活性化可能な1重項酸素発生源であり、実施例1のポリマーで生成されるようなエオシンYの濃縮液は、光活性化可能な細胞毒性薬として薬学的に活性であると予期することができる。
【0120】
水中のもの(緑がかかった黄色)へのポリマー溶液中(赤みを帯びた黄色/オレンジ色)のジクロロフルオレセインの蛍光スペクトルの変化は、視覚的に顕著であり、染料が水性の環境中にないが、自己集合ポリマー粒子コアの有機的環境に封入されていることを示す。確かに、蛍光スペクトルの変化は、微小環境の極性の変化を決定する方法として使用されている(例えば「脂質プローブ」)。ポリマー中のスーダンIV溶液の色は、エタノール溶液中の赤色および水に懸濁した時の茶色の粒子とは対照的に、赤褐色であった。エオシンYは有意な視覚的変化を示さなかった(水中ではピンク、およびポリマー溶液中では赤みを帯びたピンク)。
【0121】
実施例2:医学関連物質の可溶化
プルプリン、アムホテリシンB、カンプトセシン、およびドキソルビシンを、代表的な難溶性活性薬剤成分(API)として選択した。アムホテリシンBは、抗菌薬注射剤としてリポソーム製剤の形で使用される一方で、カンプトセシンおよびドキソルビシンは抗癌剤である。プルプリンは、薬剤実用性の可能性があるDNA挿入染料であり、エオシンYは光線力学療法における利用の可能性がある感光性一重項酸素試薬である。各APIは、C16-π-ポリマーA、C18-π-ポリマーB、および/またはC16-π-ポリマーA-葉酸抱合体とともに、水中で可溶化した(下記参照)。可溶化は、染料について上記に説明したように、可溶化APIおよび非可溶化対照をTLCプレートに染みをつけることによって実証した。
【0122】
乾燥ポリマーは、必要に応じて水、加熱、攪拌、および超音波処理で再構成した。溶液の粘性が高すぎる場合は、希釈した。C16-π-ポリマーAを10%w/vで、葉酸C16-π-ポリマーAを5%w/vで、C18-π-ポリマーBを2%w/vで使用した。
【0123】
製剤原料(20mg)を1mlのポリマー溶液に直接添加し、ドキソルビシンを除いて、C16-π-ポリマーAに対しては5:1、葉酸C16-π-ポリマーAに対しては2.5:1、C18-π-ポリマーBに対しては1:1というポリマー:API質量比を結果としてもたらした(下記参照)。混合物は低出力で1時間超音波処理し、その後2000xgで2度遠心分離にかけて非溶解固体を除去した。沈殿固体の量は有意ではなかった。シリカゲルTLCプレートに溶液の染みをつけると、溶媒先端から遅れた移動を伴って薬剤が可溶化したことを示した(図2)。
【0124】
塩酸ドキソルビシンを、上記のように10:1のC16-π-ポリマーA対塩化ドキソルビシン質量比、または5:1のC16-π-ポリマーA対塩化ドキソルビシン質量比でポリマーと混合し、続いて十分な3M酢酸ナトリウムを添加して塩化ドキソルビシンを中和した。混合物は24時間活発に振り、その後2000xgで2度遠心分離にかけて非溶解固体を除去した。沈殿固体の量は有意ではなかった。
【0125】
可溶化API対ポリマーの質量比を表1に示す。ポリマーの取り込みを最大限化しようという試行を行わなかったため、これらの比は、ポリマーが溶液中に有することが可能であるAPIの量の下限値を表す。
【0126】
50ulの各溶液をBakerflexTMシリカゲルTLCプレートに染みをつけて広げさせた。水溶液は円の外側境界、および封入物質を伴うポリマーの移動によって形成される内側円を形成する(図2)。あらゆる場合において、水性のみの区域の周辺末端にはAPIが少ししかなく、可溶化の成功および封入物質の最小限の漏出を示す。
【0127】
【表1】

【0128】
4.πポリマーの生体適合性
実施例1:局所緩和薬、クリームまたはペーストに対する適合性
【0129】
実施例1のポリマーの濃縮油性ろうを、発明者によって手首の内側の皮膚に擦り付け、取り込みについて観察した。該物質は、該領域をやや柔らかくして、薬剤ろう状クリームと同様に吸収されると思われた。発赤、発疹、または痒みなどの即時または遅延型アレルギー反応は、この単回局所使用時に観察されなかった。
【0130】
これらのポリマーの多くは、室温で吸湿性ろうであり、組成によって約45℃から60℃の期待されるmpを有する。低分子量(MW)PEGでできたポリマーは、室温で液体になることさえできる。一部のポリマーは室温で固体となることができ、体温で融解する。よって、これらのπポリマーの特性により、それら自体によって、または活性医薬品を含む様々な物質との混合物としてのどちらかで、ローション、クリーム、軟膏、皮膚軟化剤、およびその他の導入形態を作製するための優れた基質となる。
【0131】
実施例2:非経口投与に対する適合性
実施例1のポリマーの水溶液を、リン酸緩衝生理食塩水中で調製し、その後0.22umフィルタを通して無菌管内へろ過した。
【0132】
CD-1マウスが、ポリマーの最大5%w/v水溶液の体重あたり10mlの尾静脈注射を受けた、最大耐量プロトコルを採用した。マウスは12時間継続的に、その後、群に応じて48から72時間まで2時間ごとに観察した。血液試料を採取して分析した。一部のマウスを屠殺し、まず肉眼的組織学について検査した。その後顕微鏡的組織学を選択された部分に行った。
【0133】
対照マウスと処置マウスとの間に、血液化学の観察可能な差異は見出されなかった。心臓、肺、腎臓、脾臓、肝臓、腸、胃、膀胱、皮膚、筋肉、骨、脳、およびリンパ節を含む様々な臓器の肉眼的組織学では、対照動物と比較して観察可能な差異または病変は見出されなかった。異なる群の動物からの複数の試料を、観察されている同じ結果で検討した。検査した組織の細胞組織構造に観察可能な差異は見出されなかった。腎臓のうちのいくつかは、ポリマーへの暴露時間を短縮したなんらかの配役を示した。このことは、該配役が一時的状態であり、時間が進行するにつれて正常となることを暗示する。
【0134】
ポリマーは注射製剤およびその他の非経口製剤中の医薬品としての医学的用途に安全であることが結論付けられる。ポリマーが、経口液剤、カプレット、およびタブレット、鼻腔用スプレー、経口/気管支エアロゾル、舌下、皮膚用クリーム/ローション/パッチ、点眼薬、その他の局所経路、およびその他の投与経路において安全であると期待することは合理的である。
【0135】
5.π-ポリマーへの標的部分の付着
実施例1:アミド結合形成を介したC-16π-ポリマーBへのガラクトサミンの付着
ガラクトサミン(GA)は、肝アシアロ糖タンパク受容体(ASGPR)を標的にし、共有結合したガラクトサミンを有するポリマーは、肝臓に運搬される。L.Seymour et al.,“Hepatic Drug Targeting:Phase I Evaluation of Polymer-Bound Doxorubicin”J.Clin.Oncology,20(6):1668-1676(2002)およびその中の参考文献を参照。
【0136】
C16-π-ポリマーB(上記の合成方法の部の実施例10)(461mg、繰り返し単位あたり0.2mmol当量COOH)を14mLの水中に分散し、この分散にEDC HCl(0.485mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(0.464mmol)を加えた。混合物は周辺温度で15分間攪拌し、1mlの水中のガラクトサミンHCl(0.386mmol)およびTEMED(0.387mmol)の溶液を添加した。溶液を攪拌し、反応に続いてシリカゲル上のTLCおよび1-ブタノール-酢酸-水(3:1:1)中の展開を行った。追加量のTEMED(0.079mmol)、NHS(0.078mmol)、およびEDC HCl(0.193mmol)を添加して、反応の完了を強制した。TLCがGAの消費に関して定常状態を示した時、反応混合物を3×1000mlの脱イオン水に対して透析し(3500Daのカットオフ膜)、低分子量反応物質および副生成物を除去した。残留物を除去し、恒量(348mg)まで60℃で乾燥した。
【0137】
生成物のTLCは遊離GAを示さなかった(ニンヒドリン陰性)。生成物の試料は100℃で6N HClにより加水分解し、結合GAを加水分解した。TLC分析は、参照GAと同じRfでGAの存在を示した(ニンヒドリン陽性)。
【0138】
実施例2:C18-π-ポリマーAへの葉酸の付着
BDDC(2.44g、8.56mmol)を、アルゴンで洗い流した125mLの丸底フラスコ内で検量した(BDDCは蜜様稠度があり非常に粘性が高く、扱いが困難である)。C18-π-ポリマーA(10g、4.28mmol)をフラスコに添加し、混合物を70℃に加熱し、残留物を一緒に30分間攪拌した。葉酸(3g)を添加し、続いて十分なTHFを添加して攪拌を可能にした。残留物を40〜70℃で一晩攪拌し、湿気から保護した。その後THFを蒸発させ、水(80mL)を添加し、混合物をさらに2時間50℃で攪拌した。室温まで冷却した後、混合物をカットオフが3500ダルトンの透析管の一部分に移し、0.1N HCl(2×2000ml)、水(2000ml)、5%炭酸ナトリウム(2×2000ml)および水(4×2000ml)に対して透析し、未反応の試薬および副生成物を除去した。明るい黄色〜オレンジ色の残留物を除去した。一部は恒量まで蒸発して固体濃度を決定し、上記の可溶化実験に使用した。
【0139】
実施例3:C16-π-ポリマーBへのN-アセチルノイラミン酸(NANA)の付着
ともにシアル酸に結合することが知られている血球凝集素およびノイラミニダーゼ外皮タンパク質のため、ノイラミン酸誘導体はインフルエンザウイルスに対する部分を標的にしていることが予期される。
【0140】
BDDC(2.44g、8.56mmol)およびC18-π-ポリマーA(10g、4.28mmol)を混合して70℃まで加熱し、アルゴン下で約30分間一緒に攪拌する。N-アセチルノイラミン酸(3g)を添加し、それに続いて必要に応じてTHFを添加して流動性を維持する。残留物を40〜70℃で一晩攪拌し、湿気から保護する。水(80mL)を添加し、混合物をさらに2時間50℃で攪拌する。室温まで冷却した後、混合物を、0.1N HCl、5%NaHCO3、水(それぞれ2×2000ml)に対して3.5kDaカットオフ膜で透析する。
【0141】
実施例4:C16-π-ポリマーBへのβ-O-メチルノイラミン酸(MNA)の付着
1mlの水中の43ミクロモルCOOH基準である、C16-π-ポリマーB、および40ミクロモルのノイラミン酸β-メチルグリコシド(Toronto Research Chemicals)を共に混合し、0.1mlの水中の40ミクロモルNHSを添加し、それに続いて0.1mlの水中の40ミクロモルEDC塩酸塩を添加した。反応混合物を周辺温度で48時間振り、イソプロパノール-酢酸エチル-水(4:3:2)を伴うシリカゲル上のTLCによって分析した。130℃の70%硫酸中の0.2%オルシノールによる検出は、開始ポリマーによる呈色反応を生成しないが、反応混合物のTLCは、ポリマーによる紫斑同時移動を生じた。
【0142】
実施例5:C16-π-ポリマーBへのザナミビルの付着
ザナミビル(GG167)は、ウイルスノイラミニダーゼの強力阻害剤であり、多価リガンドとしてこの分子を有するポリマーは、インフルエンザウイルス複製の阻害剤である。
【0143】
C16-π-ポリマーB(920mg)を30mLの水中に分散し、これにEDC HCl(1.2mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(1.1mmol)を加える。混合物を周辺温度で20分間攪拌し、1mlの水中の5-アセトアミド-7-(6'-アミノヘキシル)-カルバミルオキシ-4-グアニジノ-2,3,4,5-テトラデオキシ-D-グリセロ-D-ガラクト-非2-エノピラノソニック(enopyranosonic)酸(米国特許第6,242,582号および第6,680,054号)(0.39g、0.67mmol)およびTEMED(0.67mmol)のトリフルオロ酢酸塩の溶液を添加する。溶液は室温で攪拌し、反応に続いてTLCを行う。反応混合物を3×1000mlの脱イオン水に対して透析し(3500kDaのカットオフ膜)、低分子量反応物質および副生成物を除去する。残留物を除去し、恒量まで60℃で乾燥する。糖の取り込みのレベルは、グアニジン基に対する比色分析によって決定することができる(Can.J.Chem.,36:1541(1958))。ノイラミニダーゼ分析は、Potier et al.,Anal Biochem.,29 287(1979)の手順の後に行うことができる。
【0144】
実施例6:C16-π-ポリマーAジマレイン酸エステルへのFab断片の付着
表面糖タンパク質高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)に向けられる単鎖可変断片抗体(scFv)は、メラノーマ細胞を標的にする。F.Martin et al.,J.Virology,73:6923-6929(1999)を参照。
【0145】
この抗体断片におけるジスルフィド結合は、製造者のプロトコルによりImmobilized TCEP Disulfide Reducing Gel(Pierce Biotechnology,Rockford,IL)により還元し、合成方法の部分の実施例12の方法によってC16-π-ポリマーAジマレイン酸エステルと反応させる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】図1は、シリカゲルTLCプレートに染みをつけた、純水中の3つの脂溶性着色料(A スーダンIV、B ジクロロフルオレセイン、C 揮発性エオシン水溶液Y)の飽和水溶液の20μlの試料を示す。上列:50mg/mlの実施例1のπ-ポリマー、下列:π-ポリマーなし
【図2】図2は、シリカゲルTLCプレートに染みをつけた、純水中の4つの不溶性薬物(列1 プルプリン、列2 カンプトセシン、列3 アムホテリシンB、列4 ドキソルビシン)の飽和水溶液の50μlの試料を示す。カラムA 葉酸ポリマーA、カラムB ポリマーA、カラムC ポリマーなし。各スポット周辺の鉛筆の印は、プレート上の溶媒の拡散範囲を示す。カラムAおよびBの円の中心は、透明な溶液を示し、シリカに均一に分散し、カラムCの円の中心は、主として固体の沈殿物からなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】

から本質的になるくし形ポリマーであって、交互分枝点部分Bおよび親水性、水溶性ポリマーブロックAから形成される骨格を含み、前記分枝点部分に結合する疎水性側鎖Cを有し、各側鎖Cは独立して、1つ以上の親水性置換基で場合により置換された直鎖炭化水素、1つ以上の親水性置換基、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーで場合により置換された多環式炭化水素からなる群から選択され、式中nは、3から約100の範囲であり、平均して、1<p≦4である、前記くし形ポリマー。
【請求項2】
pは平均して、約2から4の範囲である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
平均して、1.5≦p≦2である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
各分枝点部分に結合する1つ以上の反応性官能基Xをさらに含み、そして本質的に以下の構造:
【化2】

[式中、rは平均して、約1〜約4の範囲である]
からなる、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記水溶性ポリマーブロックAが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、および多糖類、ならびにその共重合体からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載のポリマー。
【請求項6】
前記ポリマーブロックAが、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(プロピレングリコール)、ならびにその共重合体からなる群から選択される、請求項5に記載のポリマー。
【請求項7】
前記ポリマーブロックAが、ポリ(エチレングリコール)である、請求項6に記載のポリマー。
【請求項8】
前記ポリマーブロックAが、4〜700のモノマー単位の平均長さを有する、請求項7に記載のポリマー。
【請求項9】
以下の構造:
【化3】

[式中、mは、4〜700であり、YおよびY′は独立して、R、OR、COOR、SR、NHR、NRR′、ONHR、NHOR、NRNH2、NHNHR、NRNHR′、およびNHNRR′からなる群から選択され、ここで、RおよびR′は独立して、1つ以上の親水性置換基で任意に置換された直鎖炭化水素、1つ以上の親水性置換基、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーで任意に置換された多環式炭化水素からなる群から選択される]
を有する、請求項4に記載のポリマー。
【請求項10】
以下の構造:
【化4】

[式中、mは、4〜700であり、YおよびY′は独立して、R、COR、COOR、CONHR、CONRR′、CONHOR、CONRNH2、CONHNHR、CONRNHR′、およびCONHNRR′からなる群から選択され、ここで、RおよびR′は独立して、1つ以上の親水性置換基で任意に置換された直鎖炭化水素、1つ以上の親水性置換基、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーで任意に置換された多環式炭化水素からなる群から選択される]
を有する、請求項4に記載のポリマー。
【請求項11】
以下の構造:
【化5】

[式中、mは、4〜700であり、YおよびY′は独立して、R、OR、COOR、SR、NHR、NRR′、ONHR、NHOR、NRNH2、NHNHR、NRNHR′、およびNHNRR′からなる群から選択され、ここで、RおよびR′は独立して、1つ以上の親水性置換基で任意に置換された直鎖炭化水素、1つ以上の親水性置換基、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーで任意に置換された多環式炭化水素からなる群から選択される]
を有する、請求項4に記載のポリマー。
【請求項12】
以下の構造:
【化6】

[式中、mは、4〜700であり、YおよびY′は独立して、R、OR、COOR、SR、NHR、NRR′、ONHR、NHOR、NRNH2、NHNHR、NRNHR′、およびNHNRR′からなる群から選択され、ここでRおよびR′は独立して、1つ以上の親水性置換基で任意に置換された直鎖炭化水素、1つ以上の親水性置換基、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーで任意に置換された多環式炭化水素からなる群から選択される]
を有する、請求項3に記載のポリマー。
【請求項13】
以下の構造:
【化7】

[式中、mは、4〜700であり、YおよびY′は独立して、R、OR、COOR、SR、NHR、NRR′、ONHR、NHOR、NRNH2、NHNHR、NRNHR′、およびNHNRR′からなる群から選択され、ここでRおよびR′は独立して、1つ以上の親水性置換基で任意に置換された直鎖炭化水素、1つ以上の親水性置換基、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーで任意に置換された多環式炭化水素からなる群から選択される]
を有する、請求項3に記載のポリマー。
【請求項14】
以下の構造:
【化8】

[式中、部分Dは、以下の一般構造:
【化9】

を有するジアミンに由来し、各Xは独立して、反応性官能基であり、pは0〜4であり、mは4〜700であり、RおよびR′は独立して、1つ以上の親水性置換基で任意に置換された直鎖炭化水素、1つ以上の親水性置換基、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーで任意に置換された多環式炭化水素からなる群から選択される]
を有する、請求項3に記載のポリマー。
【請求項15】
以下の構造:
【化10】

[式中、mは4〜700であり、そしてRおよびR′は独立して、1つ以上の親水性置換基で任意に置換された直鎖炭化水素、1つ以上の親水性置換基、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーで任意に置換された多環式炭化水素からなる群から選択される]
を有する、請求項4に記載のポリマー。
【請求項16】
以下の構造:
【化11】

[式中、mは4〜700であり、Lはフェニレン、C2-C6アルキレン、またはベンゼンジメチレンであり、そしてRおよびR′は独立して、1つ以上の親水性置換基で任意に置換された直鎖炭化水素、1つ以上の親水性置換基、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーで任意に置換された多環式炭化水素からなる群から選択される]
を有する、請求項4に記載のポリマー。
【請求項17】
ポリエチレングリコールおよび無水マレイン酸の化学反応から生じ、無水マレイン酸によって、ポリエチレングリコールの末端ヒドロキシル基に実質的に完全なエステル化をもたらす、組成物。
【請求項18】
ポリエチレングリコールおよび無水マレイン酸の化学反応から生じ、無水マレイン酸によって、ポリプロピレングリコールの末端ヒドロキシル基に実質的にエステル化の完了をもたらす組成物。
【請求項19】
請求項17に記載の組成物と、ジチオスレイトールの化学反応から生じる組成物。
【請求項20】
請求項18に記載の組成物と、ジチオスレイトールの化学反応から生じる組成物。
【請求項21】
以下の構造:
【化12】

[式中、mは4から約700であり、nは3から約100であり、そして図示される構造を有するモノマー単位の各場合において、YおよびY′は独立して、OH、COOH、SH、NH2、NHR、ONH2、NHOH、NHNH2、およびNRNH2からなる群から選択され、ここで、Rが、C1〜C5アルキルおよび(CH2)kY、(式中kは2から5である)からなる群から選択される]
を有するポリマー。
【請求項22】
以下の構造:
【化13】

[式中、mは4から約700であり、nは3から約100であり、図示される構造を有するモノマー単位の各場合において、YおよびY′は独立して、OH、COOH、SH、NH2、NHR、ONH2、NHOH、NHNH2、およびNRNH2からなる群から選択され、ここでRは、C1からC5アルキルおよび(CH2)kY、(式中、kは2から5である)からなる群から選択され、WおよびW′は独立して、OまたはH2であり、前記モノマー単位の各場合において、ZおよびZ′は独立して、1つ以上の親水性置換基で任意に置換された直鎖炭化水素、1つ以上の親水性置換基、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーで任意に置換された多環式炭化水素からなる群から選択される]
を有するポリマー。
【請求項23】
以下の構造:
【化14】

[式中、mは、4〜700であり、YおよびY′は独立して、R、OR、COOR、SR、NHR、NRR′、ONHR、NHOR、NRNH2、NHNHR、NRNHR′、およびNHNRR′からなる群から選択され、ここで、RおよびR′は独立して、1つ以上の親水性置換基で任意に置換された直鎖炭化水素、1つ以上の親水性置換基、疎水性アミノ酸、ペプチドおよびポリマーで任意に置換された多環式炭化水素からなる群から選択され、前記モノマー単位の各場合において、WおよびW′は独立して、H、-COCH=CH2、-COC(CH3)=CH2、COCH=CHCO2H、および-COC(CH3)=CHCO2Hからなる群から選択される]
を有するポリマー。
【請求項24】
請求項1〜9のいずれかに記載のポリマーを含み、有効量の医薬活性剤をさらに含む、医薬組成物。
【請求項25】
水性溶媒中の物質の溶解度を増加する方法であって、前記物質および前記ポリマーの水溶性複合体を形成するために、請求項1または請求項2に記載のポリマーと前記物質を接触させるステップを含む、前記方法。
【請求項26】
非水性溶媒中の物質の溶解度を増加する方法であって、前記物質、および非水性溶媒中に可溶である前記ポリマーの複合体を形成するために、請求項1または請求項2に記載のポリマーと前記物質を接触させるステップを含む、前記方法。
【請求項27】
請求項25または請求項26に記載の方法であって、前記物質が、ビタミン、栄養素、薬物、着色料、核酸複合体、および造影剤からなる群から選択される、前記方法。
【請求項28】
前記物質が、薬物である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマー上に存在する前記反応性官能基Xの1つ以上に標的部分を結合するステップを含む、請求項4に記載のポリマーに、生物学的標的に対する結合親和力を誘発する方法。
【請求項30】
前記生物学的標的は、細胞またはウイルスの表面である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記標的部分が、受容体に特異的なリガンド、抗体、抗体フラグメント、RGDアミノ酸配列を含むペプチド、YISRGモチーフを含むペプチド、シアル酸誘導体、N-アセチルノイラミン酸誘導体などの成長因子、葉酸、メトトレキサート、プテロイン酸、エストラジオール、エストラトリオール、テストステロン、マンノース-6-リン酸、糖類、ビタミン、トリプトファン、アミノアルキルアダマンタン、Fuzeon(登録商標)、PRO-542、BMS-488043、シアル酸、2-デオキシ-2,3-ジデヒドロ-N-アセチルノイラミン酸、4-グアニジノ-Neu5Ac2en(ザナミビル)、オセルタミビル、およびRWJ-270201からなる群から選択される、前記方法。
【請求項32】
前記標的部分は、モノクローナル抗体または抗体フラグメントである、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−528394(P2009−528394A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551234(P2008−551234)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/001820
【国際公開番号】WO2007/084126
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508215050)オールエクセル,インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】